2013年度 岡山大学 評価報告書
薬学教育評 価 評価報告書 申請大学名 岡山大学薬学部薬学科 (評価実施年度:平成 25 年度) 一般社団法人 薬学教育評価機構 1 Ⅰ. 総合判定の結果 岡山大学薬学部薬学科(6年制薬学教育プログラム)は、薬学教育評価機構が定める「薬 学教育評価 評価基準」に適合していると認定する。 認定の期間は、2021(平成 33)年3月 31 日までとする。 ただし、6年制薬学教育年限延長の趣旨に沿った薬学科の教育研究上の目的を早急に設 定し、その対応状況に関する改善報告書をとりまとめ提出することを要請する。 Ⅱ. 総 評 岡山大学薬学部は、6年制の薬学科と4年制の創薬科学科の2学科を設置し、薬学部で は、「薬学に関する基礎及び応用の科学並びに技術を修得させること、薬学に関連する社会 的使命を正しく遂行し得る人材を養成すること、薬学に関し深く研究を遂行して社会の発 展に寄与すること」を教育研究上の目的としている。この目的の下、薬学科では、入学者 受入方針(アドミッション・ポリシー)、教育課程の編成・実施方針(カリキュラム・ポリ シー)および学位授与の方針(ディプロマ・ポリシー)を制定している。 これらを踏まえ、薬学科の教育課程は、教養教育・語学教育、薬学専門教育、実習およ び演習から構成されており、教養教育・語学教育は、主に、岡山大学の全学共通の多彩な プログラムの中で実施されている。一方、薬学専門教育は、基礎力およびリサーチマイン ドの醸成に重点が置かれ、特に、卒業研究の準備教育が始まる3年次後期から、6年次の 12 月まで、長期実務実習期間を除き、時間の許す限り卒業研究に充てられている。また、 医療人教育の基本的内容として開設し、2年次の特色ある科目である「人体解剖学」は、 学生のその後の医療教育の基礎となるヒューマニズムの科目として有効である。実務実習 では、事前学習と共用試験で参加学生の能力を保証した上で、岡山大学病院で病院実習を、 調整機構との連携に基づき大学の近隣の保険薬局で薬局実習を、いずれも実務実習コアカ リキュラムに沿った内容で実施している。 教員組織・職員組織については、専任教員数は大学設置基準を充足しており、専任教員 数に対する学生数比率も適切である。また、「薬学部教員活動評価調書」、同僚評価、FD (Faculty Development)フォーラム、新任・転入教員FD研修会、桃太郎フォーラム、教 育・研究業績の活動評価等、教員の教育研究能力の向上を図る努力が様々な形で行われて おり、学生・教員FD検討会が設置され、学生の意見も反映するように工夫されているこ とも評価できる。 2 入学者選抜については、AO(アドミッション・オフィス)入試、前期、後期の3区分 に分けて実施し、全ての入試における学力の評価には、大学入試センター試験の成績を総 合得点に加えており、基礎的な学力を有する学生を選抜することが保証できている。その 上に立って、AO入試では面接と小論文を、前期では個別学力試験を、後期では小論文を 課しており、各々の入試で異なる資質を有する学生を募集する仕組みとなっている。また、 入学定員に対する入学者数は妥当な範囲にある。 そのほか、学習環境、社会貢献等も適切であり、恒常的な自己点検・評価が十分に機能 していると評価できる。 しかし、改善すべき点として、以下の点があげられる。 上記のように、薬学部の目的は設定されているが、学校教育法第 87 条に規定されている ように、6年制薬学教育では、臨床に係る実践的な能力を培うことを主たる目的として、 修業年限が延長されている。この法の趣旨に基づき、学科の教育研究上の目的を設定し、 薬学科のカリキュラム・ポリシーを「臨床に係る実践的能力を培うことを主たる目的とす る」学科であることがよくわかるものに改定する必要がある。また、シラバスにある倫理 関係の科目の内容は、倫理観の醸成に必要な知識の領域の内容が多いので、低学年から、 医療人としての倫理観・態度を涵養するヒューマニズム教育、医療コミュニケーション科 目の充実が必要である。さらに、ヒューマニズム教育・医療倫理教育、問題解決能力等に おける技能・態度の目標達成度を評価するための指標を設定し、それに基づいて適切に評 価することが必要である。 次に、主な助言として、以下の点があげられる。 学習方法については、シラバスの授業計画の中で確認できる科目もあるが、統一された フォーマットとなっていない。学習方法の項目を設定するなど、すべての科目について学 習方法が明示されるようにシラバスを改定することが望ましい。さらに、学生の受け入れ については、学科の教育研究上の目的を設定し、アドミッション・ポリシーを再度検討す ることが望ましい。 岡山大学薬学部薬学科は、多角的な教育研究体制を構築しており、教育・研究への熱心 な姿勢がうかがえる。今後は、学科の目的改定をはじめとする改善すべき点および助言を 踏まえ、6年制薬学教育に対して、より一層組織的に取り組み、さらなる発展を目指した 改革・改善に邁進することを期待する。 3 Ⅲ.『中項目』ごとの概評 1 教育研究上の目的 本中項目はおおむね基準に適合しているが、学科別の教育研究上の目的の不備など懸念さ れる点が認められる。 岡山大学は、「高度な知の創成と的確な知の継承」を理念とする総合大学であり、この理念 の下で、1969(昭和 44)年に医学部薬学科が設置され、1976(昭和 51)年に薬学部となった。 教育研究上の目的は、1969(昭和 44)年に設定された方針を堅持し「薬学に関する基礎及び 応用の科学並びに技術を修得させ、薬学に関連する社会的使命を正しく遂行し得る人材を養 成するとともに、薬学に関し深く研究を遂行し、社会の発展に寄与することを目的とする」 と定めている。この目的が、薬学の使命と社会への貢献を含み、薬学と薬剤師に対する社会 のニーズを適確に反映するものであるとして、 2006(平成 18)年度の薬学教育制度の改定 によって6年制薬学科と4年制創薬科学科からなる2学科制に教育研究組織が移行した際に も、学部での検証を経てこれを維持している。なお、薬学部の目的は、学生便覧、学生募集 要項、薬学部ホームページを通じて、学生・教職員・入学希望者へ周知を図っており、社会 に公表している。また、教授会や各種委員会において、学部・学科の各種のポリシーを制定 し、上記と同様に公表している。 しかし、本評価の対象となる薬学科は、学校教育法第 87 条では「臨床に係る実践的な能力 を培うことを主たる目的とする」ために、修業年限が延長されている。また、大学設置基準 においても、学科ごとに人材の養成に関する目的その他の教育研究上の目的を学則等に定め ることを求めていることからも、4年制創薬科学科との違いを明示した6年制薬学科の教育 研究上の目的を制定し、学則等で規定することが必要である。また、この目的を踏まえて現 在策定されている各種のポリシーを検証することが望まれる。 2 カリキュラム編成 本中項目はおおむね基準に適合しているが、学科別の「教育研究上の目的」の不備から、 カリキュラム・ポリシーに関し懸念される点が認められる。 カリキュラム・ポリシーについては、2006(平成 18)年度の教育制度改革によって、薬学 部は6年制薬学科と4年制創薬科学科からなる2学科の教育研究組織となった後、2012(平 成 24)年度のカリキュラム改定時に両学科にそれぞれに設定されている。薬学科のカリキュ ラム・ポリシーは、「人間性・倫理観に富む豊かな教養」、「目的につながる専門性」、「情報を 的確に収集・活用できる情報力」、「時代と社会をリードする行動力」、「生涯に亘る自己実現 4 力」の5項目で構成され、それぞれに説明が付記されている。また、カリキュラム・ポリシ ーの設定は、教務委員会が草案を作成し、教員会議、教授会の議を経て決定し、改定も同じ 手続きによって行うこととしており、責任ある体制が確立されている。さらに、カリキュラ ム・ポリシーは、学部のホームページを通じて公表されている。しかし、薬学科のカリキュ ラム・ポリシーは、創薬科学科と比較すると、上記に記載した5項目の冒頭の記載は全て共 通であり、説明部分にも共通部分が多く、薬剤師、医療あるいはそれらに関連する使命を具 体的に示す文言は見いだせない。学科のカリキュラム・ポリシーは、学科の教育研究上の目 的に基づく教育方針を表すものであることから、中項目1で指摘したように、薬剤師養成教 育を行う学科であることが明確になるように再検討する必要がある。また、自己点検・評価 書の改善計画に記載されているように、職員や学生への認知度を高めるために、学生便覧や 「薬学教育シラバス」への掲載が望まれる。 薬学科のカリキュラムについては、カリキュラム・ポリシーに基づいて構築されており、 教養科目、学部としての共通科目、学科に特異的な科目が配置されている。カリキュラムの 点検と検証は、各種のポリシーに基づき、FD活動の中で継続的に行われている。特に、カ リキュラム内容を同一年度内に速やかに改善させるために教務委員会が学生の要望を速やか に聴取する仕組み(動的PDCAサイクル)を機能させていることは、教育改善の上で好ま しい取り組みである。しかし、薬学科と創薬科学科のカリキュラム・ポリシーには共通部分 が多いため、両学科合同で講義する科目(必修・選択の指定が異なるものを含む)が少なく ない。岡山大学薬学部の「薬学の基礎は共通である」という考えは理解できるが、薬学科の 人材養成の目的に合致した科目を低学年から開講し、6年一貫の医療人教育をなお一層充実 させることが望まれる。また、低学年に実施される両学科で共通の薬学専門科目であっても、 その人材養成の目的の違いを意識した一般目標を設定することが望まれる。 3 医療人教育の基本的内容 本中項目はおおむね基準に適合しているが、ヒューマニズム教育、医療コミュニケーショ ン科目など倫理観・態度の涵養を目的とするプログラム内容ならびにその達成度評価に関し 懸念される点が認められる。 ヒューマニズム教育・医療倫理教育の1年次から6年次にわたる体系的なプログラムは、 「岡山大学薬学部における臨床薬学教育」として示されている。1年次には、SGD(Small Group Discussion)による能動的グループ学習や早期体験学習による薬剤師の職能理解と将 来像の構築などを行っている。2年次には、医学部の協力を得て人体解剖を見学させ、学生 5 にはポートフォリオ(学習記録)や感想文を執筆させることで、倫理観の醸成を図っている。 3、4年次には、「薬剤師倫理学」(3年前期、演習科目)、「薬事法規・薬事行政」(4年次前 期)において医療安全教育を行っている。また、「コミュニティーファーマシー」(4年次前 期)では、薬局薬剤師の協力を得て参加型プログラムを行い、コミュニケーション力の醸成 を図っている。これらの教育は、実務実習、臨床薬学演習に連続するように体系的に設置さ れている。特に、「人体解剖学」は、単なる見学実習ではなく内容と実施方法に工夫がなされ、 学生のその後のヒューマニズム教育の基礎として有効であると評価できる。しかし、ヒュー マニズム教育・医療倫理教育に該当する諸科目の開講状況を精査すると、倫理の知識面の内 容をもった科目が多く、低学年において態度領域の内容をもったヒューマニズム科目の充実 が必要である。また、これらの科目の達成度評価のための指標を策定し、適切に評価するこ とが必要である。さらに、3、4年次の科目をみても、将来、医療の現場で薬剤師として働 く学生を対象とした倫理の内容の態度教育の科目は少ない。加えて、1年次に開講される「S GD入門」は、臨床薬学教育で重要となるSGDへの導入と位置付けられるが、2012(平成 24)年度のカリキュラムでは「選択」で、履修者は少ない(16 名)。「臨床薬学演習」(5年 次、演習科目)も「選択」で履修者が少ない。これらの科目はいずれも、医療人養成におい て重要なものと考えられるので、内容を充実させ、必修科目とすることが望ましい。 教養教育については、総合大学の利点を生かした全学共通のプログラムとなっており、多 数の科目から選択できる。また、「主題科目」を定め、それに当てはまるグループ科目から選 択することで、幅広い教養を身につけるよう配慮したプログラムが構築されている。一方、 語学教育は、「英語(薬学部1)」と「英語(薬学部2)」で「読む」と「書く」を中心にした 教育を行い、「聞く」と「話す」を中心とした教育は、TOEIC-IPのスコアに基づいた習 熟度別クラス編制によるネイティブスピーカーによる「英語(ネイティブ)」が行われている。 また、英会話、読解などのプログラムを選択できるなど、より高い英語運用力の育成を目指 した充実した語学教育プログラムも提供されている。さらに、薬学専門英語は、卒論配属の 教員が指導している。ただし、医療現場で薬剤師に必要とされる語学力の向上に資する科目 は開講されていない。 コミュニケーション能力および自己表現能力を醸成する科目については、「SGD入門」(1 年次、選択)、「早期体験学習」(1年次1単位)、「薬学セミナーⅠ」(1年次1単位)、「薬学 セミナーⅡ 」(2年次1単位)、「薬剤師倫理学」(3年次1単位)、「臨床薬学」(4年次2単 位)などの講義・演習を開講している。これらの科目の中でSGDやプレゼンテーションの機 会を設けている。また、コミュニケーション能力の目標達成度は、傾聴、共感や、自分や集 6 団の意見の発表態度から相対評価している。ただし、上述の科目の中でも、医療人教育に重 要な意味を持つ「SGD入門」、「臨床薬学演習」、また担任制度にかかわると考えられる「薬 学セミナーⅠ」「薬学セミナーⅡ」は必修科目とすることが望ましい。 高校までの教育の格差を是正するための補充教育は、教養教育のなかで「個別科目」とし て開講され、準備教育は、情報処理能力を習得させる「情報処理入門」を1年次に開講し、 基本技術のほか、セキュリティーやモラルについて指導している。早期体験学習については、 卒業生が活躍する病院・薬局の医療現場等を見学・体験している。また、体験を基に共通テ ーマ「岡山大学の薬学科卒業後に進むべき道は?」について自ら学習して、SGDで回答を 導きだす等、学習効果を高めるよう工夫している。 医療安全教育については、薬害、医療過誤、医療事故の概要、背景、その後の対応および 予防策・解決策に関する教育は、「医薬品開発学」(選択科目)、「薬剤師倫理学」(2012(平成 24)年度より必修科目)、「薬事法規」(必修科目)で行われている。「薬事法規」(必修科目) においては、サリドマイド薬害事件の被害者を講師に招き、体験を基にした講義が行われて おり、「薬剤師倫理学」のSGDには、学生による同僚評価を導入している。 生涯学習の意欲醸成については、臨床現場の薬剤師(「コミュニティーファーマシー」)や、 他学部の医療者、専門職を学外講師として(「臨床病態学Ⅰ」、「実務実習事前教育Ⅰ~Ⅲ」、 「臨床薬学演習Ⅰ~Ⅳ」)卒後の医療の現場に学生の目を向けるとともに、生涯学習の重要性 を認識させる機会となっている。また、社会連携部会が生涯学習としての講演会を開催して おり、毎回学部学生の参加がある。 4 薬学専門教育の内容 本中項目は適合水準に達している。 薬学専門教育の内容については、薬学教育モデル・コアカリキュラムのSBOsを網羅し、 1年次から学年進行とともに高度化する体系となっており、「薬学教育シラバス」は、本機構 がシラバスで求めている学習方法の記載が不十分な科目が目立つが、おおむね一定のフォー マットを用いて記載されている。なお、2012(平成 24)年度にカリキュラムの大幅な改定を 行い、本評価の実施時には、1、2年次の学生が新カリキュラムで学んでいる。このカリキ ュラム改定の方針と骨子は自己点検・評価書(中項目2)に記載されているが、大きな変更 点は選択科目である講義科目の多くを必修科目に移行させたことで、科目の構成は基本的に 維持されている。基礎実習(「基礎薬学系実習Ⅰ~Ⅲ」、「臨床薬学系実習Ⅰ~Ⅲ」、「衛生薬学 系実習」)は、旧カリキュラムでは3年次の前・後期に、新カリキュラムでは2年次後期と3 7 年次前期に設定されているが、それらの履修に必要な知識は各実習前に主に講義形式で履修 できるように設定されている。また、大部分の基礎実習は個人単位で行われており、技能・ 態度の修得のための質が担保されている。さらに、基礎実習の実施時期の変更に伴って研究 室への配属時期を4年次から3年次後期に早め卒論準備教育と卒業研究を充実させる工夫が なされている。 薬学専門教育の構成については、薬学教育モデル・コアカリキュラムに準拠している。た だし、基礎と臨床の知見を相互に関連づける教育を実現するためには、5、6年次に「臨床 薬学演習 I~Ⅳ」を開講するだけでなく、低学年の基礎科目の授業でも臨床との関連性を意 識させる授業を行うことが求められる。 大学独自のプログラムについては、選択科目、自由科目あるいは必修科目の一部として実 施されている。2012(平成 24)年度に改定された新カリキュラムでは、独自プログラムとし て 21 科目 35 単位が開講され、学生の自主的な選択が保証されている。また、各科目の内容 も高度な知識を求めるものなど、薬学科の目的に基づき、よく吟味され開講されている。「漢 方処方応用学」のように、集中講義として開講し、3~6年次の間に自由に履修できる科目 も用意されている点は良い。 5 実務実習 本中項目は適合水準に達している。 実務実習事前学習については「調剤学」、「臨床薬学」と「実務実習事前教育」(合計 12 単 位)で構成され、モデル・コアカリキュラムの目標に準拠して行われている。「実務実習事前 教育」は、大学独自の実習書を用い、講義、演習、実習、SGDなどを組み合わせてモデル・ コアカリキュラムのSBOsを網羅している。これらの教育は4年次の前期から後期にわた って十分な時間をかけて実施されており、県内の病院薬剤部長、薬剤師会から推薦された保 険薬局の薬剤師、医師の参加を得て、臨床現場の状況が伝わるよう工夫して行われている。 また、「実務実習事前教育」においては、各々のコーディネータを中心に、コアカリキュラム の到達目標を参照しながら、実技試験、レポート等を組み合わせて、評価している。 薬学共用試験については、学部に設置したCBT(Computer Based Testing)部会ならび にOSCE(Objective Structured Clinical Examination)部会が実施している。なお、合 格基準および結果は共用試験センターの規定に従い、ホームページに公表している。 実務実習は、学部に設置した「実務実習部会」が企画・実施・成績評価を行っている。学 生は実務実習の実施に当たり、岡山大学保健管理センターにおいて、各種抗体検査を実施し、 必要に応じてワクチン接種なども行い、「守秘義務誓約書」を提出させ、学生および関係者の 8 安全を確保している。 病院実務実習については、「実習受け入れに関するワーキング・グループ(WG)」を設置 し、学部教員と病院薬剤部との連携のもとに全学生が岡山大学附属病院で実習を行っている。 各週で教員と指導薬剤師が当該実習生の実習進捗状況等について情報交換を行い、さらにイ ンターネットを活用した学生・教員間の連携体制も構築されており、三者(教員・実習生・ 指導薬剤師)の連携が適切に行える体制が確保されている。毎週金曜日の実習報告会(学生 による発表とSGDの一例)と独自に構築したWeb版電子ポートフォリオシステムにより、 指導薬剤師および薬学部教員が学生の実習状況等を把握し、実習成果を確認している。最終 評価においては、基礎点、加点要素、減点要素などを明確に規定し、客観性の高い評価を行 っている。 薬局実務実習では、学生の実習施設への割り振りは、3年次 12 月に説明会を開催し、実習 施設の受け入れ希望時期、学生の希望時期、交通事情などを考慮し、実務実習部会が適切に 決定している。薬局実習における学生の指導には、個別の担任教員(卒論指導教員)を配置 し、担当教員(訪問指導教員)が事前から事後まで、合計5回(2011(平成 23)年度からは 4回)実習施設を訪問して密接な連携をとるようにしている。また、学生は、実習期間の中 間時点で大学に集まり、学習内容の確認と相互の情報共有を目的とするSGDを行うことに よって個々の学生の成果を共有している。薬局実習では、保険薬局実務実習記録(保険薬局 実務実習記録(原本))によって評価を記録し、フィードバックできる仕組みを整えている。 最終評価においては、基礎点、加点要素、減点要素などを明確に規定し、客観性の高い評価 を行っている。また、実習中の各種トラブルへの対応には、実務実習学生相談担当部会を設 置し、「トラブル対応のための連絡マップ」を作成している。 しかし、一部の薬局実務実習施設において、学生の成長記録として重要な意味をもつ形成 的評価の記録が不十分な事例も見られる点から、岡山県薬剤師会との連携を強化し、実習な らびに評価の均質化を図るとともに、病院実習と同様に、電子ポートフォリオの利用など、 さらなる実習環境整備の推進が望まれる。 6 問題解決能力の醸成のための教育 本中項目はおおむね基準に適合しているが、問題解決能力の醸成のための教育における達 成度評価に関し懸念される点が認められる。 卒業研究は、3年次後期と4年次に行う卒業論文基礎実習(2011(平成 23)年度以前は、 薬学応用実習と卒業研究準備実習)と5、6年次に行う卒業論文実習から構成されている。 9 この卒業論文基礎実習は、研究活動に必要な基礎的な知識と技能をあらかじめ醸成するため に設置している。 卒業論文実習は実務実習期間以外のほぼすべての期間を用いて行われ、6年次の 12 月には、 ポスター形式の卒論発表会を行うとともに、指定した形式で卒業論文を提出させている。卒 業論文実習の評価については、2012(平成 24)年度には、「卒業論文実習の評価について(薬 学科)」という指針を作成している。 問題解決能力の醸成に向けた教育として貴大学が指定した授業科目は、「薬学セミナーⅠ」、 「早期体験学習」、「薬学セミナーⅡ」、「人体解剖学」、「薬剤師倫理学」、「基礎薬学系実習Ⅰ ~Ⅲ」、「衛生薬学系実習」、「医療薬学系実習Ⅰ~Ⅲ」、「臨床薬学」、「実務実習事前教育1~ 5」(8単位)、「薬学応用実習」(2単位)、「卒業論文準備実習」(4単位)、「卒業論文」(12 単位)の 21 科目、43 単位である。これらの科目の中で、実務実習および卒業論文に関連す る科目を除くと、17 単位が該当する。これらの科目の中では、グループ学習、参加型学習、 自己学習、PBL(Problem Based Learning)といった能動的学習方法が用いられている。 また、シャトルカードを用いた学生と教員の情報共有・フィードバックシステムも活用し、 科目ごとの目標に基づき、きめ細かな指導がなされている。しかし、問題解決能力醸成教育 の目標達成度評価に関し、明確な指標を設定しそれに基づいて評価を行う必要がある。 7 学生の受入 本中項目は適合水準に達している。 アドミッション・ポリシーは、薬学部入試委員会が立案し、教授会の審議を経て学長の決 裁を受けて設定し、岡山大学薬学部案内および岡山大学ホームページを通じて公表している。 学部のアドミッション・ポリシーでは、「岡山大学薬学部では、医薬品を含む多くの化学物質 と生体との相互作用の解明などの研究に重点をおいて、医療の発展や実践に貢献し得る人材 の育成を目指しています」と定めており、学科の違いは学科ごとに設定したアドミッション・ ポリシーによって表している。アドミッション・ポリシーは基本的には二つの項目から成り、 第一は「薬剤師として活躍したい人」、第二は「大学院進学後に研究者・教育者を目指したい 人」となっている。しかし、第二の項目は創薬科学科とも共通しており、学部の研究重視の 方針が表れている。したがって、薬学科の「教育研究上の目的」を設定後、再度アドミッシ ョン・ポリシーを検証することが望まれる。 入学者の選抜については、入試委員会で原案を作成し、教授会で審議し、学部案を決定し た後に学長の決裁を得て決定する仕組みとなっている。入学者の学力の評価には、大学入試 10 センター試験の成績(5教科)を総合得点に加えており、基礎的な学力を有する学生を選抜 することが保証できている。その上に立って、AO入試では、適性、思考、表現力を重視す るために、面接と小論文を、前期日程入試では、学力を重要視するために、数学、理科、外 国語の個別学力試験を、後期日程入試では、思考や表現力を重視するために小論文を課して おり、各々の入試で異なる資質を有する学生を募集する仕組みとなっている。また、判定結 果の公平性を担保するために、大学入試センター試験と個別試験の合格者の平均点、最高点、 最低点、志願者状況などをホームページに掲載している。 入学定員充足状況については、過去6年間にわたって平均 103.3%であり、入学試験によ って必要な学生が確保できており、最近6年間の入学者数と入学定員数との間には問題にな るような乖離はない。また、進級率は 97.7%であることに鑑みると、入学試験において志願 者の適性と能力が適切に評価できていると判断できる。 8 成績評価・進級・学士課程修了認定 本中項目は適合水準に達している。 成績評価の方法については、学生便覧など学生に配付する印刷物に記載している。また、 科目ごとの評価基準をシラバスに記載して学生に周知を図っており、成績関連の資料を確認 した限り、成績評価は科目担当者が責任を持って公正かつ厳格に行っている。成績の表示に はGPA方式を採用しており、学生、保護者、および教員が個々の学生の学習状況を適確に 評価できるようになっている。学生は自分の成績をWebから確認することができ、保護者 には年に2回、成績を送付している。 進級基準については、学年ごとの最低必要単位数として規定し、それに基づく進級判定を 行っている。留年者数は年次別に把握されており、問題となるような留年者数にはなってい ない。なお、2012(平成 24)年度に実施したカリキュラム改定によって各学年末までに開講 されている必修科目の単位数と進級基準との差が低学年ではかなり大きくなっている。これ は、教養課程の履修制度との整合性を取るために旧課程において採用されてきた形式を踏襲 しているためである。 担任制を採用して学生の指導体制を確立すると共に、「成績不振者の早期把握システム」を 運用し、成績不振者(指導基準に示す基準に満たない者)に対する積極的なケアができる仕 組みを構築している。 薬学科の学位授与方針(ディプロマ・ポリシー)については、学部のディプロマ・ポリシ ーを受け、「人間性・倫理観に富む教養」、「汎用的な知識と技能に基づく専門性」、「医薬品に 11 関わる専門性と実践的技能」、「臨床研究に関わる専門性」、「情報を的確に収集・活用できる 情報力」、「時代と社会をリードする行動力」、「生涯に亘る自己実現力」を柱とするディプロ マ・ポリシーを設定しており、学生便覧に記載して教職員、学生に周知し、ホームページに も掲載している。 学士課程修了(卒業)要件については、197 単位を取得することと定め、教務委員会の資 料に基づき教授会で厳正に判定している。なお、卒業延期学生の指導は、成績不振者への対 応システムに沿って教務委員会が指導教員と協同して対応している。 総合的な学習成果を評価する仕組みについては、現時点では整備されていないが、教務委 員会、FD部会が主体となって評価の指標設定を目指す議論が進められているので、その成 果に期待したい。 9 学生の支援 本中項目は適合水準に達している。 入学時には履修科目選択のオリエンテーションを行い、薬学教育全体を俯瞰するための「薬 学ガイダンス」を教養課程の必修科目として開講し、学生が学習全体を理解できる仕組みを 構築しているほか、学年ごとにも履修指導を実施している。また、薬学ガイダンスの一環と して行われる1泊2日の合宿では、新入生相互および教職員や先輩との親睦とともに、学部 学生としてのモチベーションの向上が図られている。さらに、入学前の学習状況の違いに対 処するため、高校で一部の理科科目(生物、物理)を履修していない学生に対する補充科目 を教養教育の一環として1年次に開講している。加えて、在学中の一貫した指導を行う担任 制度と「シャトルカード」を用いて教員と学生が双方向に情報共有する仕組みを構築し、履 修指導ならびに学習相談に活用しており、その有用性は教員と学生の両者が認めている。そ のほか、大学内に学生相談室を完備して相談助言体制を構築し、学生からの各種の相談に対 して適切に対応する仕組みが機能している。全教員に対しても、相談室だよりが毎月メール 配信されている。なお、薬学部には専門相談員は常駐していないが、薬学部学生相談室が設 置され、教務委員長ほか(女性教員を含む)が、ハラスメントも含め種々の相談に対応して いる。低学年においては、担任教員による薬学セミナーも学生相談への対応あるいはコミュ ニケーションの促進に役立っている。 学生の経済的支援については、薬学部独自の奨学金制度はないが、奨学金、傷害保険等の 支援業務は、学生支援センターならびに学生支援課が大学全体に共通した仕組みで運用して いる。また、女子寮も完備している。これらの情報は、岡山大学のホームページ上に掲示さ 12 れており、在学生のみならず保護者にも伝えられている。 健康面の管理については、岡山大学保健管理センターが全体を統括している。なお、薬学 部では、実務実習を行うために、学部指定の各種抗体検査を実施しており、3年次までには、 必要な予防接種は済ませることを原則としている。 ハラスメント対策については、「ハラスメント等の防止に関する規程」を制定し、相談窓口 として、全学的には学生支援センターの学生相談室、薬学部には学生相談室を設置している。 また、ハラスメント防止の取り組みを学生へ啓発する講演会も開催している。 障がい者への対応については、入試と学内でのバリアフリー化など十分に行われており、 これらの対応は大学ホームページと学生募集要項に記載して説明している。また、薬学部の 建物はバリアフリー化されているほか、岡山大学には「障がい学生支援室」が設置されてい る。 学生の就職については、全学の部署であるキャリア開発センターが中心になるとともに、 薬学部の就職部会が就職に関する情報を掲示によって学生に知らせ、企業・病院・薬局の説 明会を開催しているほか、全学年を対象とした「キャリアパスセミナー」等も開催している。 教育や学生生活に対する学生からの意見の反映について、岡山大学はFD活動を積極的に 行っており、薬学部では、学生と教員が教育や学生生活全般について意見交換する場として、 学生・教員FD検討会が設置され、その「学生・教員FD検討会」が学生のニーズを適確に 教員に伝えている。また、FD活動の一環として、学生・自己・同僚による授業評価(三者 の評価者による授業評価)が定着している。授業アンケートは、学生のみならず、卒業生に 対しても実施しており、それらをそれぞれの教員にフィードバックしている。全学的に実施 している授業評価アンケートの結果は、講義担当教員に送付されるとともに、専門科目の結 果は学部内限定で開示(学生も閲覧可)し、講義改善に活用されている。これらに加えて、 薬学部独自の授業アンケートも行われており、専門教育科目の講義に対する学生たちの具体 的な意見を収集し、アンケート結果は学部内限定で開示されている。さらに、薬学部内に意 見箱を設置し、意見箱に寄せられた意見については、学部長名での回答を学部内に掲示して いる。 学生が安全かつ安心して学修に専念できる体制等については、岡山大学では理系学部に対 して「安全の手引き」(研究・実習を安全に行うためのマニュアル)を作成し、薬学部におい ても、「安全指針」を作成している。これらをもとに、自衛消防団が設置され、定期的に防災 訓練が行われている。また、実習開始前には、実習講義を行い、研究実験における危険性等 を説明し、さらに、実験・実習を実施する際には、保護メガネ等の着用の徹底を促している。 13 保険については、学生教育研究災害傷害保険/学研災付帯賠償責任保険に、全学生が加入す るよう指導が行われている。 10 教員組織・職員組織 本中項目は適合水準に達している。 薬学科の専任教員数は 28 名配置されており、大学設置基準上必要な専任教員数 22 名を満 たしている。また、専任教員1人あたりの学生数は、2012(平成 24)年5月1日現在、9.0 名であり、適正な比率といえる。一方、専任教員の職位別比率は、教授 25%、准教授 50%、 助教 25%であり、准教授の割合がやや多い。大学設置基準では、原則として必置教員の半数 である 11 名の教授が必要である。2012(平成 24)年5月1日現在では、教授は7名であっ たが、その後の採用により、2013(平成 25)年 10 月1日現在、11 名の教授数を充足してい る。 薬学科の専任教員は、提出された資料から判断して、専門分野について、①教育上および 研究上の優れた実績を有する者、②優れた知識・経験および高度な技術・技能を有する者の いずれかに該当し、かつ、その担当する専門分野に関する教育上の指導能力と高い見識があ ると認められる者が配置されている。また、薬学科の専門科目数は 114 科目で、その 105 科 目(92.1%)を専任の教授・准教授が担当しており、主要な科目の教育は専任教員が行って いる。また、外部講師も医師、薬剤師等の医療関係者であり、連携強化の一端を担っている。 教員の採用について、募集は「岡山大学大学院医歯薬学総合研究科薬学系教員選考要項」 に基づき公募によって行っている。選考は、論文数、教育研究に関する抱負、学会活動、外 部資金獲得状況、推薦書などの資料をもとに選考委員会が複数候補者を選出し、プレゼンテ ーションを行っているが、教育上の指導力については、教育に関する内容の質疑に対する応 答内容から判断するような工夫も行っている。上位ポストが空席となった時には候補者を公 募し、選考の結果学内教員が採用された場合に昇任となる。 教員の教育研究活動については、「薬学部教員活動評価調書」を作成して多角的な自己評価 を行い、調書はWebを通じて公開している。また、部局長による教員評価を毎年実施し、 昇給や勤勉手当に反映させている。教授以外の教員には任期制を設けており、准教授は7年、 助教は5年の任期ごとに再任審査委員会が審議している。薬剤師として実務経験を有する専 任教員に対しては、病院診療従事承認願いを提出し、病院にて定期的に研鑽する制度を設け ている。さらに、教育能力の向上のために、薬学部FDフォーラムを毎年数回開催しており、 多くの教員が参加している。研究面では、毎年 150 報以上の学術論文が薬学部から報告され 14 ており、活発に行われている。 教員の研究環境については、研究室が整備され、共同機器も充実している。より高額な実 験機器や動物飼育のため等の実験室は、全学施設である自然生命科学研究支援センター等の 研究センターに集約され、専任の教員や専従の技術専門職員等が配置されている。新たに立 ちあげた先端薬学教育・研究支援センターには、技術専門職員3名が所属し、薬学部全体の 教育・研究の支援を行っている。また、薬用植物園には教員1名と臨時用務員1名が配置さ れている。運営費交付金から交付される教育、研究費は、教員の職位、教員研究室の構成員 数(大学院生数、卒論配属学部学生数など)などを勘案して配分されており、適切である。 また、学内で交付される教育・研究基金、科学研究費補助金、受託研究費、奨学寄附金等を 含めて研究経費は十分得られている。2011(平成 23)年度の教員の講義、実習時間数は1名、 1週間あたり 4.9 時間以内であり、研究に充てる時間を確保する上で適正な範囲内での授業 担当時間と考えられる。 FD活動としては、FD部会、学生・教員FD検討会等を組織し、授業評価アンケート、 同僚評価、FDフォーラム、新任・転入教員FD研修会、桃太郎フォーラム、教育・研究業 績の活動評価等がPDCAサイクルを意識しながら、積極的に行われている。FDフォーラ ムでは、講演会だけではなく、参加型SGDも実施している。また、FDフォーラムには、 ほとんどの教員が参加しており、職員の参加も求められている。 教育研究活動を支援する事務組織としては、大学院医歯薬学総合研究科等薬学系事務室が 設置され、事務長1名、主査3名、事務員4名、上記の技術専門職員3名、など合計 17 名の 事務支援組織が構築され、会議、行事、予算、入試、学生、など関連業務を支援している。 なお、薬学部教員の外部資金の調達や獲得した資金の報告ならびに運用等は、薬学系事務室 を通して、岡山大学本部の研究交流部や財務部で行っている。また、事務系職員勤務評価調 書を作成して自己評価し、事務長に提出し評価、査定している。 11 学習環境 本中項目は適合水準に達している。 授業科目は、教養教育科目と専門教育科目に大別されており、前者は岡山大学が一般教育 棟で全学的に実施し、後者は薬学部棟で行われている。実験実習のためには、中央実験台 10 台を設置した基礎実習室が2室整備されており、1年間の実験実習を可能にしている。また 実務実習事前学習のために、調剤実習室を設置しており、模擬薬局、模擬病室などにも対応 している。さらに講義室のうち第1講義室と第3講義室は可動式の机を設置している。その 15 ほか、関連施設として、学部内には、情報処理室、共同機器室、薬用植物園(4,708 ㎡)等 が設置されており、大学内共同利用施設としては、自然生命科学研究支援センターに、動物 実験施設(動物資源部門津島南施設) 、RI教育研究施設(ゲノム・プロテオーム解析部門、 光・放射線情報解析部門)が整備されている。 図書室としては、大学の附属図書館(中央図書館、鹿田分館、資源植物科学研究所分館) が設置されており、十分な数の閲覧座席数(座席数:1,103)、図書、資料が整備されている。 そのほか、各所に自習スペースが確保されており、学生証により開錠するシステムにより、 安全で自由に使用できる状況が確保されている。 12 社会との連携 本中項目は適合水準に達している。 医療界、産業界と毎年 10 件前後の共同研究を行い、10 件以上の受託研究を行っており、 医学界、産業界との連携は活発である。また、地域の薬剤師会などと連携し、地域の学会な らびに全国規模の学会を主催している(日本薬学会第 130 年会(岡山市)等)。さらに、岡山 大学では定期的に公開講座を開催し、地域の薬剤師の資質向上に寄与しており、2009(平成 21)年度から薬剤師研修協議会を発足させ、薬剤師卒後研修セミナーを実施してインターネ ット配信する仕組みを構築して維持している。加えて、地域住民のために薬学部公開講演会 を定期的に開催するとともに、災害医療についての講演会を開催している。 国際交流については、英語版のホームページを開設し世界に向けて情報を発信するととも に、岡山大学として韓国・成均館大学など、世界 67 大学と大学間協定を結んで交流を図って おり、薬学部は独自にタイ・コンケン大学医学部などと部局間協定を結んでいる。このほか、 岡山大学インド感染症共同研究センターの設立に積極的にかかわり、教員、大学院生が現地 に赴き交流を親密に行っている。また、岡山大学では短期交換留学プログラムを実施してお り、特に、成均館大学薬学部との学生の交流が 2013(平成 25)年度から開始され、卒業研究 発表を合同で行うなど、今後、さらに交流拡大をすることにより、薬学科の学生への良い影 響が期待できる。学生の国際感覚を養う上で重要な役割を演じている。 13 自己点検・評価 本中項目は適合水準に達している。 これまでに行った自己点検・評価の結果は、薬学部ホームページに公表(学部内教員限定) している。また、岡山大学は、「岡山大学評価センター」を立ち上げて教員の個人活動評価を 積極的に推し進めており、その結果を「岡山大学教員研究者総覧」として公開している。さ 16 らに、薬学部では、教員が作成した「岡山大学薬学部教員活動評価調書」を薬学部長が評価 し、処遇の判断ならびに指導に用いている。加えて、FD部会を中心に、三者(学生・自己・ 同僚)、の評価者による授業評価が継続的に行われるなど、多角的な評価が恒常的に行われて いる。これらの活動方針は、岡山大学評価センターを中心として行っている「岡山大学中期 目標・計画」に合致している。 薬学部では、学部内の諸活動を行い問題に対処するために、22 の部会と委員会が常設され ている。これらの部会と委員会は、岡山大学薬学部FD部会、薬学部学生・教員FD検討会 等による自己点検・評価で指摘される様々な問題に対しても、直接もしくは学部長室を経由 して担当部門が速やかに対処している。これらの改善行動が実現した教育に関する具体的な 改善実績としては、2012(平成 24)年度からのカリキュラムの大規模な改定があり、PDC Aの精神に則って実践されている。 Ⅳ.提 言 (1)長 所 1)学生・教員FD検討会が設置され、学生の意見も反映するように工夫されていること は評価できる(10.教員組織・職員組織)。 (2)助 言 1)学習方法については、シラバスの授業計画の中で確認できる科目もあるが、統一され たフォーマットとなっていない。学習方法の項目を設定するなど、すべての科目につ いて学習方法が明示されるようにシラバスを改定することが望ましい(4.薬学専門 教育の内容)。 2)学科の教育目的を設定し、アドミッション・ポリシーをそれに基づいて再度検証する ことが望ましい(7.学生の受入)。 (3)改善すべき点 1)6年制薬学科は、「臨床に係る実践的な能力を培うことを主たる目的とする」(学校教 育法第 87 条第2項)ために修業年限が延長されている。同目的に沿った「学科の教育 研究上の目的」を設定する必要がある(1.教育研究上の目的)。 2)薬学科のカリキュラム・ポリシーを「臨床に係る実践的能力を培うことを主たる目的 17 とする」学科であることがよくわかるものに改定する必要がある。(2.カリキュラム 編成)。 3)現在シラバスにある倫理関係の科目は、倫理観の醸成に必要な知識領域の内容が多い ので、低学年から、医療人としての倫理観・態度を涵養するヒューマニズム教育、医 療コミュニケーション教育の充実が必要である(3.医療人教育の基本的内容)。 4)ヒューマニズム教育・医療倫理教育における技能・態度の目標達成度を評価するため の指標を設定し、それに基づいて適切に評価することが必要である(3.医療人教育 の基本的内容)。 5)問題解決能力の醸成のための教育における技能・態度の目標達成度を評価するための 指標を設定し、それに基づいて適切に評価することが必要である(6.問題解決能力 の醸成のための教育)。 以 上 18 Ⅴ.「岡山大学薬学部薬学科に対する認定評価結果」について 平成23年度第一回全国薬科大学長・薬学部長会議総会において岡山大学薬学部薬学科(以 下「貴学科」)が本機構の実施する「薬学教育評価」に申請することが承認され、同25年5 月14日付「薬学教育評価申請書 受理通知」を以って平成25年度に実施する本評価の対象 大学として決定しました。申請された件について、評価チーム・評価委員会・総合評価評 議会において慎重に評価した結果を別紙の通り報告します。 貴学科が、本機構の「薬学教育評価 評価基準」(以下、「評価基準」)に基づき、薬 学教育プログラムを自己点検・評価して作成した「自己点検・評価書」を前提として、本 機構は書面調査および訪問調査を実施し、貴学科の意見を十分に検討したうえで、評価結 果を作成しました。 提出された資料についても不足分がある場合は、直ちに提出していただきました。不明 な点については、訪問調査前に質問事項として、回答して頂きました。また、評価者には、 教育活動等の経験豊富な者を薬科大学・薬学部および日本薬剤師会・日本病院薬剤師会か ら推薦していただき、その上で、本機構が実施する研修会を受講していただいた評価実施 員登録者から選出された者を配し、さらに、外部有識者も加わり、厳正に評価いたしまし た。 評価はピア・レビューを基盤とし、本機構が設定した「評価基準」への適合状況を提出 された資料や訪問調査に基づき、万全を尽くして評価しました。 1)評価の経過 ピア・レビューを基本とする評価を行うために5名の評価実施員(現職教員4名、就業薬 剤師1名)からなる「評価チーム」を編成し、チームに主査・副査を配しました。 書面調査では評価チームの各評価実施員が個別に評価し、それをもとに評価チーム会議で 主査を中心に「評価チーム報告書(案)」と質問事項をまとめました。その「評価チーム 報告書(案)」と質問事項を貴学科に送付し、回答をいただきました。その後、10 月 23 日および 24 日にその回答に基づき確認を目的として訪問調査を実施しました。訪問調査で は、質問事項を聴取し、現状を確認するとともに、貴学科との意見の交換、学生および若 手教員との意見交換、施設設備の見学および授業参観などを実施し、それらに基づいて主 査を中心に「評価チーム報告書」を完成しました。 作成された「評価チーム報告書」を尊重し、評価委員会幹事会が「評価報告書(委員長 19 案)」を作成し、評価委員会に諮りました。その結果をもとに「評価報告書(委員会案)」 が作成され、貴学科に送付されました。事実誤認および公表するときに誤解されやすい表 現があるかなどを中心に検討していただいた貴学科からの「意見申立て」を評価委員会で 検討し、その結果を反映させた「評価報告書原案」を決定し、評価の最高意思決定機関で ある総合評価評議会に提出しました。 総合評価評議会は「評価報告書原案」を慎重に審議し、平成 26 年 3 月 3 日に「評価報告書」 を確定し、理事長に提出しました。この「評価報告書」は理事長名を付して、貴学科に送付 するとともに社会に公表し、文部科学省および厚生労働省に報告いたします。 なお、この評価の経過は別紙に示す「岡山大学薬学部薬学科に対する認定評価のスケジ ュール」の通りです。 2)「評価結果」の構成 貴学科に提示する「評価結果」は「Ⅰ.総合判定の結果」、「Ⅱ.総評」、「Ⅲ.『中項目』 ごとの概評」、「Ⅳ.提言 (1)長所、(2)助言、(3)改善すべき点」で構成されてい ます。 「Ⅰ.総合判定の結果」には、貴学科の薬学教育プログラムを「評価基準」に基づき、13 の『中項目』について評価した結果、総合的にその「評価基準」に適合しているか否かを 記しています。 「Ⅱ.総評」には、貴学科の理念に基づいた教育研究上の目的の達成状況を示し、その上 で、長所・特長、問題点等を記しています。 「Ⅲ.『中項目』ごとの概評」には、1~13までの中項目ごとに中項目にある【基準】・【観 点】に対する充足状況について整理し、長所と問題点を含めて記しています。 「Ⅳ.提言は、「(1)長所」、「(2)助言」、「(3)改善すべき点」で構成されています。 「(1)長所」は、貴学科がその特色ある優れた取り組みをさらに伸長するために示した事 項です。学科として制度・システムが作られているのみならず、機能し、成果が上がって おり、他大学の模範となるものです。「(2)助言」は、貴学科の理念に相応しい教育研究 上の最低要件は充たしているものの、更なる教育研究上の目的を達成するために一層の改 善努力を促すために提示するものです。義務として改善報告書の提出を求めるものではあ りませんが、改善・改革の努力が求められるもので、その対応は貴学科の判断に委ねられ、 本評価では対応状況の報告の提出が求められます。一方、「(3)改善すべき点」は、薬学 教育プログラムとして最低要件を充たしていない、もしくは改善への取り組みが十分でな 20 いという事項に対し、貴学科に義務的に改善を求めるものです。なお、本評価においては、 早急にこれを是正する措置を講じるとともにその結果を「改善報告書」として取りまとめ、 本機構が提示した日までに提出することが必要となります。 今回提示した各指摘は、貴学科からの自己点検・評価書および基礎資料を基にした書面調 査および訪問調査の結果から導かれたもので、自己点検・評価書作成時を評価基準時とす るため、必ずしも貴学科の最新動向を踏まえたものとは言えないかもしれませんが、前述 の「意見申立て」の機会を設け、可能な限り実態に即するよう留意しました。 21 (3)提出資料一覧 (調書) 自己点検・評価書 薬学教育評価 基礎資料 (添付資料) <冊子体> 薬学部パンフレット (岡山大学薬学部案内(平成24・25年度(2012・3))岡山大学大学案内 (平成25年度(2013)) 学生便覧(平成24年年度(2012)) 履修要綱(平成24年度(2012)) (教養教育科目 履修の手引 授業時間割(平成24年度(2012)) 履修科目選択のオリエンテーション資料 シラバス (2012 SYLLABUS(平成24年度)岡山大学薬学部 ―平成18年~24年度入学者用― 2012 SYLABUS 教養教育科目―前期・通年―、 2012 SYLLABUS 教養教育科目―後期―) 時間割表(1年分) 入学志望者に配布された学生募集要項 岡山大学薬学部実務実習事前教育テキスト 保険薬局実務実習記録(原本) 岡山大学病院薬剤部実習テキスト(原本) 岡山大学病院薬剤部実習の手引(原本) 安全指針 平成22年3月 岡山大学薬学部 自己評価書 <印刷・コピー> 岡山大学ホームページ 岡山大学の理念・目的・目標 岡山大学薬学部ホームページ 理念 定例教授会議題 ディプロマポリシー(案)について(平成22年4月) 岡山大学薬学部ホームページ カリキュラムポリシー 岡山大学薬学部ホームページ ディプロマポリシー 岡山大学薬学部ホームページ 三者の評価者による授業評価 (岡山大学薬学部FD白書(公開は内部限定)) 22 岡山大学薬学部ホームページ 平成24年度薬学部薬学科シラバス 臨床薬学講義シナリオの例示 岡山大学ホームページ English Cafe 岡山大学薬学部講義レジメ 岡山大学薬学部ホームページ 地域への貢献、公開講座・公開講演会 岡山大学薬学部ホームページ CBTおよびOSCEの公開 岡山大学薬学部CBT実施マニュアル(本試験用及び体験用) 岡山大学薬学部ホームページ 薬学問題登録システム(学部内限定) 岡山大学薬学部OSCE実施要綱 調剤実習室等見取り図 第1回岡山県薬学OSCE委員連絡会議記録 「実習受け入れに関するWG」議事録(一部) 「岡山県薬剤師会薬局実習特別委員会」議事録(一部) ワクチン接種証明書(雛形) 訪問薬局教員割当表 長期実務実習受入薬局リスト ハラスメント防止講習会案内と記録 指導薬剤師説明会 学生による発表とSGDの一例 WEB版電子ポートフォリオシステム 薬局実務実習における実習途中報告ならびにSGD実施について 「守秘義務誓約書」(雛形) 平成23年度・24年度 薬学応用実習レポート(要請書) 平成23年度・24年度 卒業論文(集)(要請書) 平成23年度・24年度 卒業研究発表会実施要綱(要請書) 平成23年度 卒業生による授業に関するアンケート 平成23年度 卒業論文実習成績分布表(見本) 岡山大学ホームページ 岡山大学薬学部アドミッション・ポリシー 2012年高等学校等進路指導担当者入試説明会開催案内 岡山大学ホームページ 入試 学生募集要項(閲覧用) 岡山大学薬学部ホームページ 入試選抜実施状況 入試での小論文課題 WEBシラバス(薬学科専門科目) 学務システム(学内限定、単位の確認) 単位取得状況確認表(保護者への成績通知について) 総合薬学演習問題の例 23 岡山大学ホームページ 平成24年度 教養教育シラバス シャトルカード 岡山大学ホームページ 学生生活 奨学金 岡山大学薬学部ホームページ 学生生活 学生教育研究災害傷害保険/学研災付帯賠償責任保険 岡山大学ホームページ 学生生活 女子学生寮 岡山大学ホームページ 学生生活 学生相談室だより 岡山大学ホームページ 岡山大学保健管理センター 岡山大学ホームページ 在学生・保護者の方 学生相談室 岡山大学ホームページ ハラスメント防止委員会 岡山大学ホームページ 受験生の方 入学資格審査・障がい等のある方の出願について 岡山大学ホームページ 受験生の方 学生募集要項(閲覧用) 岡山大学ホームページ 社会人・地域の方 バリアフリーマップ 岡山大学薬学部ホームページ 専用掲示板 企業・病院・薬局説明会 岡山大学薬学部ホームページ 専用掲示板 企業・病院・薬局説明会 岡山大学ホームページ 岡山大学キャリア開発センター 岡山大学薬学部ホームページ 薬学部FD活動 岡山大学薬学部FD部会 薬学部学生・教員FD検討会 岡山大学薬学部ホームページ 学生・教職員教育改善専門委員会 安全の手引(第2版)(一部のみを添付) 安全管理ガイドマニュアル(一部のみを添付) 防災訓練部局用スケジュール 薬学部自衛消防団編成表 教員公募要領の一例 岡山大学ホームページ 岡山大学教員研究者総覧 岡山大学薬学部教員活動評価調書(様式) 岡山大学大学院医歯薬総合研究科薬学系教員選考要項 岡山大学薬学部ホームページ 研究室紹介一覧 岡山大学病院診療従事承認願 岡山大学薬学部ホームページ 救急薬学分野(研究室)の設立 岡山大学自然生命科学研究支援センターホームページ 運営費交付金配分方針 学内研究費採択状況 岡山大学薬学部ホームページ 難治性感染症を標的とした創薬教育研究推進事 業 24 同僚評価実施報告例と同僚評価アンケートに対する感想アンケート 自己による授業評価アンケート集計結果 岡山大学ホームページ 新任・転入教員FD研修会 岡山大学ホームページ 桃太郎フォーラム 事務支援組織図 事務系職員勤務評価書 岡山大学自然生命科学研究支援センターホームページ 動物資源部門 岡山大学自然生命科学研究支援センターホームページ 光・放射線情報解析部 門 薬学部共同機器一覧 岡山大学ホームページ 岡山大学附属図書館概要(2012) 「岡山県病院薬剤師会 実習委員会」議事録(一部) 岡山大学薬学部ホームページ 薬剤師研修セミナー 薬剤師フィジカルアセスメント研究会ホームページ 岡山大学薬学部ホームページ(英語版) 岡山大学ホームページ 岡山大学国際交流 岡山大学薬学部ホームページ 岡山大学インド感染症共同研究センター 岡山大学ホームページ 岡山大学留学交流プログラム 岡山大学国際センターホームページ 岡山大学短期留学プログラム(EPOK) 岡山大学ホームページ 岡山大学中国東北部大学院留学生交流プログラム “O-NECUS” 岡山大学薬学部ホームページ 自己評価書の公開 岡山大学薬学部自己点検評価書(表紙と目次のみ) 岡山大学ホームページ 岡山大学法人評価 中期目標・中期計画 25 (4)評価スケジュール 貴学科の薬学教育プログラム評価を以下のとおり実施した。 平成 24 年 1 月 19 日 本機構内会議室において、貴学科より担当者三名の出席のもと本評価説明会を実 施 平成 25 年 5 月 28 日 貴学科より評価資料(調書および添付資料)の提出。各評価実施員へ評価資料を 送付、評価実施員は評価所見の作成開始 ~7 月 25 日 評価実施員は Web 上の薬学教育評価管理システムに各人の評価所見を入力。主査 は Web 上の各実施員の評価所見を基に「評価チーム報告書案」の素案を作成 7 月 30 日 評価チーム会議を開催し、Web 上で共有した主査の素案を基に「評価チーム報告 書案」を作成 8 月 15 日 評価チームは「評価チーム報告書案」を機構事務局へ提出。機構事務局より貴学 科へ「評価チーム報告書案」を送付 9 月 5 日 貴学科より機構事務局へ「評価チーム報告書案に対する確認および質問事項への 回答」の提出。機構事務局はその回答を主査へ通知 9 月 24 日 評価チーム会議を開催し、貴学科からの「評価チーム報告書案に対する確認およ び質問事項への回答」を検討し、訪問時の調査項目を確認 10 月 23・24 日 貴学科への訪問調査実施 11 月 1 日 評価チーム会議を開催し、「評価チーム報告書」を作成 12 月 16・23 日 評価委員会幹事は幹事会を開催し、「評価報告書(委員長案)」の素案の作成 12 月 25 日 評価委員会を開催、「評価報告書(委員長案)」を検討後、承認 平成 26 年 1 月 13 日 評価委員会幹事は幹事会を開催し、承認された「評価報告書(委員長案)」を最 終的に文言を整え「評価報告書(委員会案)」作成 1 月 14 日 「意見申立て」のため、貴学科に「評価報告書(委員会案)」を送付 1 月 27 日 貴学科より「意見申立て」を受理 2 月 3 日 評価委員会幹事会を開催し、「意見申立て」に対する回答書案作成 2 月 7 日 評価委員会を開催し、「意見申立て」に対する回答書を決定 2 月 15 日 評価委員会幹事会を開催し、回答書を反映させた「評価報告書原案」案を作 成 2月 17 日 評価委員会を開催し、「評価報告書原案」を決定 2 月 18 日 貴学科へ意見申立に対する「回答書」を送付 2 月 20 日 「評価報告書原案」を総合評価評議会へ提出 3 月 3 日 総合評価評議会を開催し、「評価報告書」を決定 3 月 7 日 「評価報告書」を貴学科へ送付
