一般社団法人 薬学教育評価機構

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薬学教育(6年制)第三者評価 評価基準 2023年12月(Ver.2-2)

「薬学教育評価 評価基準」における『基準』と『観点』について

本機構は、各薬科大学・薬学部の6年制薬学教育プログラムを対象とし、「薬学教育評価評価基準」に基づき評価を実施します。

『基準』は、6年制薬学教育プログラムとして満たすことが必要と考えられる要件及び当該学部・学科の教育研究上の目的に照らして教育活動等の状況を多面的に分析するための内容を定めたものです。『観点』をすべて満たせば『基準』を満たすという構成にはなっていませんが、『観点』は、『基準』への適合又は卓越性を判断するときに特に重点的に求められる内容を定めたもの です。

『基準』『観点』の表記は、その内容により、次の三つに分類されます。

  1. 各学部・学科において、定められた内容が満たされていることが求められるもの。
    例 「・・・であること。」「・・・されていること。」 等
  2. 各学部・学科において、少なくとも、定められた内容に関わる措置を講じていることが求められるもの。
    例 「・・・に努めていること。」 等
  3. 各学部・学科において、定められた内容が実施されていれば、評価において「優れている」と判断されるもの。
    例 「・・・が望ましい。」 等

注釈は、それぞれ該当する『基準』『観点』の記載内容を明確にしたり、例示したものです。また、「がくしゅう」に関する表記は、6年間のプログラムレベルでは「学修」、科目レベルでは「学習」とします。

1 教育研究上の目的と三つの方針

【基準 1-1】
薬学教育プログラムにおける教育研究上の目的が、大学又は学部の理念及び薬剤師養成教育として果たすべき使命を踏まえて設定され、公表されていること。

注釈:
「薬学教育プログラム」とは、6年制におけるプログラムを指す。複数学科を持つ場合は、教育研究上の目的を学科ごとに定めること。
【観点 1-1-1】
教育研究上の目的が、医療を取り巻く環境、薬剤師に対する社会のニーズを反映したものとなっていること。
【観点 1-1-2】
教育研究上の目的が、学則等で規定され、教職員及び学生に周知が図られるとともに、ホームページ等で公表されていること。
【基準 1-2】
教育研究上の目的に基づき、三つの方針が一貫性・整合性のあるものとして策定され、公表されていること。

注釈:
「三つの方針」とは、学校教育法施行規則第165条の2に規定されている「卒業の認定に関する方針」、「教育課程の編成及び実施に関する方針」及び「入学者の受入れに関する方針」を指す。なお、それぞれこれらの策定及び運用に関するガイドラインに記載されている「卒業認定・学位授与の方針」(ディプロマ・ポリシー)、「教育課程編成・実施の方針」(カリキュラム・ポリシー)及び「入学者受入れの方針」(アドミッション・ポリシー)と同じ意味内容を指すものである。
【観点 1-2-1】
卒業の認定に関する方針では、卒業までに学生が身につけるべき資質・能力が具体的に設定されていること。

注釈:
「卒業までに学生が身につけるべき資質・能力」は、知識・技能、思考力・判断力・表現力等の能力、主体性を持って多様な人々と協働する態度等を指す。
【観点 1-2-2】
教育課程の編成及び実施に関する方針では、卒業の認定に関する方針を踏まえた教育課程編成、当該教育課程における教育内容・方法、学修成果の評価の在り方等が具体的に設定されていること。
【観点 1-2-3】
教育課程の編成及び実施に関する方針は、学習の質を重視し、学習・教授方法及び成績評価のための課題が意図する成果のために想定された学習活動に整合するように設定されていることが望ましい。
【観点 1-2-4】
入学者の受入れに関する方針では、卒業の認定に関する方針並びに教育課程の編成及び実施に関する方針を踏まえ、どのような学生を求め、多様な学生をどのように評価・選抜するか等が具体的に設定されていること。
【観点 1-2-5】
三つの方針が、教職員及び学生に周知が図られるとともに、ホームページ等で公表されていること。
【基準 1-3】
教育研究上の目的及び三つの方針が定期的に検証されていること。

注釈:
「検証」は、医療を取り巻く環境や薬剤師に対する社会のニーズの変化を調査した結果等を踏まえて行うこと。

2 内部質保証

【基準 2-1】
教育研究上の目的及び三つの方針に基づく教育研究活動について、自己点検・評価が適切に行われていること。
【観点 2-1-1】
自己点検・評価が組織的かつ計画的に行われていること。注釈:必要に応じて外部委員又は当該学部の6年制課程の卒業生を含むこと。また、本機構の評価を受審する時だけでなく、計画的に実施されていること。【観点 2-1-2】自己点検・評価は、教育研究活動に対する質的・量的な解析に基づいていること。

注釈:
「質的・量的な解析」の例示。・学習ポートフォリオ等を活用した学習達成度・卒業の認定に関する方針に掲げた学修成果の達成度・在籍(留年・休学・退学等)及び卒業状況(入学者に対する標準修業年限内の卒業者の割合等)の入学年次別分析等
【観点 2-1-3】
自己点検・評価の結果がホームページ等で公表されていること。
【基準 2-2】
教育研究活動の改善が、自己点検・評価結果等に基づいて適切に行われていること。

注釈:
「自己点検・評価結果等」の「等」とは、行政機関、認証評価機関からの指摘事項を含む。また、自己点検・評価の結果等を教育研究活動に反映する体制が整備されていること。

3 薬学教育カリキュラム

3-1
教育課程の編成
【基準 3-1-1】
薬学教育カリキュラムが、教育課程の編成及び実施に関する方針に基づいて構築されていること。
【観点 3-1-1-1】
教育課程の編成及び実施に関する方針に基づき、薬学教育カリキュラムが以下の内容を含み体系的に整理され、効果的に編成されていること。

  • 教養教育
  • 語学教育
  • 人の行動と心理に関する教育
  • 薬学教育モデル・コアカリキュラム平成 25 年度改訂版の各項目(基本事項・薬学と社会・薬学基礎・衛生薬学・医療薬学・薬学臨床・薬学研究)
    補足:令和6年度入学生以降については、薬学教育モデル・コア・カリキュラム令和4年度改訂版に沿った内容とします。
  • 大学独自の教育
  • 問題発見・解決能力の醸成のための教育
    注釈:薬学教育カリキュラムの体系性及び科目の順次性が、カリキュラム・ツリー等を用いて明示されていること。
    注釈:語学教育には、医療の進歩・変革に対応し、医療現場で活用できる語学力を身につける教育を含む。
【観点 3-1-1-2】
薬学教育カリキュラムが、薬学共用試験や薬剤師国家試験の合格率の向上のみを目指した編成になっていないこと。
【観点 3-1-1-3】
教育課程及びその内容、方法の適切性について検証され、その結果に基づき必要に応じて改善・向上が図られていること。
3-2
教育課程の実施
【基準 3-2-1】
教育課程の編成及び実施に関する方針に基づいた教育が適切に行われていること。
【観点 3-2-1-1】
学習目標の達成に適した学習方略が用いられていること。

注釈:
例えば薬学研究では、必修単位化、十分な研究期間の設定、研究論文の作成、研究成果の医療や薬学における位置づけの考察、研究発表会が行われていること。
【観点 3-2-1-2】
薬学臨床における実務実習が「薬学実務実習に関するガイドライン」を踏まえて適切に行われていること。
【観点 3-2-1-3】
学生の資質・能力の向上に資する学習・教授・評価方法を開発していることが望ましい。

注釈:
「資質・能力の向上に資する学習・教授・評価方法」には、主体的・対話的で深い学び(アクティブラーニング)やパフォーマンス評価を含む。
【基準 3-2-2】
各科目の成績評価が、公正かつ厳格に行われていること。
【観点 3-2-2-1】
各科目において適切な成績評価の方法・基準が設定され、学生への周知が図られていること。
【観点 3-2-2-2】
各科目の成績評価が、設定された方法・基準に従って公正かつ厳格に行われていること。
【観点 3-2-2-3】
成績評価の結果が、必要な関連情報とともに当事者である学生に告知されるとともに、成績評価に対しての学生からの異議申立の仕組みが整備され、学生へ周知が図られていること。
【基準 3-2-3】
進級が、公正かつ厳格に判定されていること。
【観点 3-2-3-1】
進級判定基準、留年の場合の取扱い等が設定され、学生への周知が図られていること。

注釈:
「留年の場合の取扱い」には、留年生に対する上位学年配当の授業科目の履修を制限する制度、再履修を要する科目の範囲等を含む。
【観点 3-2-3-2】
各学年の進級判定が、設定された基準に従って公正かつ厳格に行われていること。
【基準 3-2-4】
卒業認定が、公正かつ厳格に行われていること。
【観点 3-2-4-1】
卒業認定の判定基準が卒業の認定に関する方針に基づいて適切に設定され、学生への周知が図られていること。
【観点 3-2-4-2】
卒業に必要な単位数の修得だけではなく、卒業の認定に関する方針に掲げた学生が身につけるべき資質・能力の評価を含むことが望ましい。
【観点 3-2-4-3】
卒業認定が判定基準に従って適切な時期に、公正かつ厳格に行われていること。

注釈:
「適切な時期」とは、卒業見込者が当該年度の薬剤師国家試験を受験できる時期を指す。
【基準 3-2-5】
履修指導が適切に行われていること。

注釈:
「履修指導」には、日々の履修指導のほか、入学者に対する薬学教育の全体像を俯瞰できるような導入ガイダンス、入学までの学習歴等に応じた履修指導、「薬学実務実習に関するガイドライン」を踏まえた実務実習ガイダンス、留年生・卒業延期者に対する履修指導を含む。
3-3
学修成果の評価
【基準 3-3-1】
学修成果の評価が、教育課程の編成及び実施に関する方針に基づいて適切に行われていること。

注釈:
学修成果は、教育課程の修了時に学生が身につけるべき資質・能力を意味する。
【観点 3-3-1-1】
学生が身につけるべき資質・能力が、教育課程の進行に対応して評価されていること。

注釈:
評価に際しては、教育課程の編成及び実施に関する方針に基づいて適切に評価計画(例えば教育課程の編成及び実施に関する方針に基づいて設定したカリキュラムに則った教育の実施により、いつ、どのような方法で測定するかの計画)が策定されていることが望ましい。
【観点 3-3-1-2】
実務実習を履修するために必要な資質・能力が、薬学共用試験(CBT及びOSCE)を通じて確認されていること。

注釈:
実務実習を行うために必要な資質・能力を修得していることが、薬学共用試験センターの提示した基準点に基づいて確認されていること。薬学共用試験(CBT及びOSCE)の実施時期、実施方法、合格者数及び合格基準が公表されていること。
【観点 3-3-1-3】
学修成果の評価結果が、教育課程の編成及び実施の改善・向上に活用されていること。

4 学生の受入れ

【基準 4-1】
入学者(編入学を含む)の資質・能力が、入学者の受入れに関する方針に基づいて適切に評価されていること。
【観点 4-1-1】
入学者の評価と受入れの決定が、責任ある体制の下で適切に行われていること。
【観点 4-1-2】
学力の3要素が、多面的・総合的に評価されていること。

注釈:
「学力の3要素」とは、知識・技能、思考力・判断力・表現力等の能力、主体性を持って多様な人々と協働して学ぶ態度を指す。
【観点 4-1-3】
医療人を目指す者としての資質・能力を評価するための工夫がなされていること。
【観点 4-1-4】
入学を希望する者への合理的な配慮に基づく公平な入学者選抜の機会を提供していること。

注釈:
「合理的な配慮」とは、障がいのある方が日常生活や社会生活で受けるさまざまな制限をもたらす原因となる社会的障壁を取り除くために、障がいのある方に対し、負担になり過ぎない 範囲で、個別の状況に応じて行われる配慮を指す。
【観点 4-1-5】
入学者の資質・能力について検証され、その結果に基づき必要に応じて入学者受入れの改善・向上等が図られていること。

注釈:
学力の3要素に対応した試験方式の見直しのほか、入学後の進路変更指導等も含む。
【基準 4-2】
入学者数が入学定員数と乖離していないこと。
【観点 4-2-1】
最近6年間の入学者数が入学定員数を大きく上回っていないこと。
【観点 4-2-2】入学者数の適切性について検証が行われ、必要に応じて改善が図られていること。

5 教員組織・職員組織

【基準 5-1】
教育研究上の目的に沿った教育研究活動の実施に必要な教員組織が整備されていること。

補足:
令和4年度大学設置基準等の改正に基づき、「専任教員」は「専任教員又は基幹教員」と読み替えます。
【観点 5-1-1】
教育研究活動の実施に必要な教員組織の編成方針を定めていること。
【観点 5-1-2】
専任教員数については法令に定められている数以上であること。また、教授、准教授、講師、助教の人数比率及び年齢構成が適切であること。

注釈:
教授は大学設置基準に定める専任教員数の半数以上
【観点 5-1-3】
1名の専任教員に対して学生数が10名以内であることが望ましい。
【観点 5-1-4】
専門分野について、教育上及び研究上の優れた実績を有する者、又は優れた知識・経験及び高度の技術・技能を有する者のいずれかに該当し、かつ、その担当する専門分野に関する教育上の指導能力と高い見識が あると認められる者が、専任教員として配置されていること。
【観点 5-1-5】
カリキュラムにおいて重要と位置付けた科目には、原則として専任の教授又は准教授が配置されていること。
【観点 5-1-6】
教員の採用及び昇任が、適切な規程に基づいて行われていること。
【観点 5-1-7】
教育研究上の目的に沿った教育研究活動を継続するために、次世代を担う教員の養成に努めていること。
【基準 5-2】
教育研究上の目的に沿った教育研究活動が、適切に行われていること。
【観点 5-2-1】
教員の活動が、最近5年間における教育研究上の業績等で示され、公表されていること。
【観点 5-2-2】
研究活動を行うための環境が整備されていること。注釈:研究環境には、研究時間の確保、研究費の配分等が含まれる。
【観点 5-2-3】
教育研究活動の向上を図るための組織的な取組みが適切に行われていること。注釈:組織的な取組みとは、組織・体制の整備、授業評価アンケート等に基づく授業改善、ファカルティ・ディベロップメント等が含まれる。
【観点 5-2-4】
薬剤師としての実務の経験を有する専任教員が、常に新しい医療に対応するために研鑽できる体制・制度の整備に努めていること。
【観点 5-2-5】
教育研究活動の実施に必要な職員組織(教員以外の組織)が整備されていること。

6 学生の支援

【基準 6-1】
修学支援体制が適切に整備されていること。
【観点 6-1-1】
学習・生活相談の体制が整備されていること。
【観点 6-1-2】
学生が主体的に進路を選択できるよう、必要な支援体制が整備されていること。

注釈:
「支援体制」には、進路選択に関する支援組織や委員会の設置、就職相談会の開催等を含む。
【観点 6-1-3】
学生の意見を教育や学生生活に反映するための体制が整備されていること。

注釈:
「反映するための体制」には、学生の意見を収集するための組織や委員会の設置、アンケート調査の実施等を含む。
【観点 6-1-4】
学生が安全かつ安心して学習に専念するための体制が整備されていること。

注釈:
「学習に専念するための体制」には、実験・実習及び卒業研究等に必要な安全教育、各種保険(傷害保険、損害賠償保険等)に関する情報の収集・管理と学生に対する加入の指導、事故・災害の発生時や被害防止のためのマニュアルの整備と講習会の開催、学生及び教職員への周知、健康診断、予防接種等を含む。

7 施設・設備

【基準 7-1】
教育研究上の目的に沿った教育研究活動の実施に必要な施設・設備が整備されていること。

注釈:
施設・設備には、以下が含まれること。教室(講義室、実験実習室、演習室等)、動物実験施設、薬用植物園、図書室・資料閲覧室・自習室(能動的学習が効果的に実施できる施設・設備であり、適切な利用時間の設定を含む)、臨床準備教育のための施設(模擬薬局等)・設備、薬学教育研究のための施設・設備、必要な図書・学習資料(電子ジャーナル等)等

8 社会連携・社会貢献

【基準 8-1】
教育研究活動を通じて、社会と連携し、社会に貢献していること。
【観点 8-1-1】
医療・薬学の発展及び薬剤師の資質・能力の向上に貢献していること。

注釈:
注釈:地域の薬剤師会・病院薬剤師会・医師会等の関係団体、製薬企業等の産業界及び行政機関との連携、生涯学習プログラムの提供等を含む。
【観点 8-1-2】
地域における保健衛生の保持・向上に貢献していること。

注釈:
地域住民に対する公開講座の開催、健康イベントの支援活動等を含む。
【観点 8-1-3】
医療及び薬学における国際交流の活性化に努めていること。

注釈:
英文によるホームページの作成、大学間協定、留学生の受入、教職員・学生の海外研修等を含む

(参考)