一般社団法人 薬学教育評価機構

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2014年度 京都大学 評価報告書

(様式 17) 薬学教育評 価 評価報告書 申請大学名 京都大学大学院薬学研究科・薬学部 (評価実施年度)平成 26 年度 (作成日)平成 27 年3月3日 一般社団法人 薬学教育評価機構 Ⅰ.総合判定の結果 京都大学薬学部薬学科(6年制薬学教育プログラム)は、薬学教育評価機構が定める「薬 学教育評価 評価基準」に適合していると認定する。 認定の期間は、2022(平成34)年3月31日までとする。 Ⅱ.総 評 京都大学薬学部は、6年制の薬学科と4年制の薬科学科の2学科を設置し、薬学部薬学 科では、「薬学の学修を通じて、先端医療、医療薬学・臨床薬学の発展を担いうる人材を育 成することによって、人類の健康と社会の発展に貢献する。」という教育理念のもとに、 「生命倫理を基盤に、薬学の基礎となる自然科学の諸学問と薬学固有の学問に関する知識 と技術および医療人として適正な態度を修得し、高度な先端医療を担う指導的薬剤師とな る人材、医療薬学分野で活躍できる人材の育成を目指す。」を人材養成の目的としている。 この目的のもと、入学者受入方針(アドミッション・ポリシー)、教育課程の編成・実施 方針(カリキュラム・ポリシー)および学位授与の方針(ディプロマ・ポリシー)を制定 している。 これらを踏まえ、薬学科の教育課程は、教養教育・語学教育、薬学専門教育、実習および 演習、卒業研究から構成されている。教養教育・語学教育は、「自学自習」のキーワードの もと、人文科学など多様な選択科目での全学共通教育が実施されている。一方、薬学専門教 育は、基礎力および研究力の育成に重点が置かれている。医療人の基本としてのヒューマニ ズム教育、コミュニケーション教育については、入学後から4年次まで及び実務実習におい て実施されている。事前学習と共用試験により学生の能力を保証した上で、京都大学医学部 附属病院で病院実習を、調整機構との連携に基づき大学の近隣の保険薬局で薬局実習を、い ずれも実務実習モデル・コアカリキュラムに沿った内容で実施している。 入学者選抜については、外部薬剤師を含む将来計画委員会で作成し教授会で承認された入 学者受入方針(アドミッション・ポリシー)に基づいて適正に実施され、入学者の決定も教 授会において厳正かつ適正に行われている。また、入学定員に対する入学者数は適正な範囲 にある。 – 1 – 進級ならびに学士課程修了認定については、適正に実施されている。一方、成績評価につ いてはおおむね適正に実施されているが、一部科目において問題点が認められる。 学習環境については、講義・演習室、図書室、医療実務実習事前学習施設・設備、研究用 の施設・設備などが整備されており、適切である。学生への教育支援については、各学年の 最初に新年度ガイダンスを実施し、適切な履修指導が行われている。学生への経済支援とし ては、授業料の免除、海外留学、各種奨学金などを行っている。健康維持、ハラスメント防 止、障がい学生支援、バリアフリー対策などの支援も十分に行われている。学生の意見を教 育や学生生活に反映させるための体制も整えられており、教育・生活改善に活かされている。 特に、「自己評価等調査検討委員会」での追跡調査、卒業3年後と10年後のアンケート調査 を実施し、学生や社会からの教育研究に関する意見を収集し、必要な取り組みを議論する仕 組みが構築されていることは評価できる。 教員組織・職員組織については、専任教員数は大学設置基準を充足しており、専任教員数 に対する学生数比率も適切である。教員の資質向上のためのFD(Faculty Development) も実施され、教育改善に活かされている。 研究能力の向上を目指し、単位互換制度の活用など、海外の大学への短期留学制度を設 けている。さらに、若手教員の派遣を促進するために大学独自の若手人材派遣事業を実施 している点は評価できる。 薬学部内に「自己評価等調査検討委員会」を設置し、評価項目を自主的に設け、外部有 識者による外部評価も実施している。 しかし、改善すべき点として以下があげられる。 成績評価においては一部で不適切な評価方法が用いられている、また、シラバスの記載に 多くの不備が認められるなど、改善が必要である。 「自己点検・評価書」を見る限り、全ての章において、現状の記載に留まり、点検・評価 が不十分である、実施していると記載しているだけで根拠となる資料を示していないなど、 自己点検・評価が機能しているとは言えず、自己点検・評価体制の見直しと全教員による全 学部的な活動が求められる。 次に、主な助言として、以下の点があげられる。 – 2 – ヒューマニズム教育・医療倫理教育やコミュニケーション教育として、臨床現場で活躍す る薬剤師養成としての全人的教育を低学年から高学年まで体系的に実施するなど、さらなる 充実が期待される。バリアフリー施設は整えられているが、学部建物案内板が設置されてお らず、設置が求められる。 京都大学薬学部薬学科は優れた教育研究体制を構築し、教育・研究への熱心な姿勢と活 動が認められる。今後は、自己点検・評価体制の抜本的な見直しをはじめとする改善すべ き点および助言を踏まえ、6年制薬学教育に対して、より一層組織的に取り組み、さらな る発展を目指した改革・改善に邁進することを期待する。 Ⅲ.『中項目』ごとの概評 1 教育研究上の目的 本中項目は、適合水準に達している。 京都大学は「自由の学風」を建学の精神とする総合大学であり、その建学の精神のも とで、1939年(昭和14年)に医学部薬学科が設置され、1960年(昭和35年)に薬学部と なった。2006年度(平成18年)の薬学教育制度の改定によって6年制薬学科と4年制薬 科学科からなる2学科制に教育研究組織が移行した際に、薬学部の理念を制定し、その 後2回の改定を経て「薬学は医薬品の創製、生産、適正な使用を目標とする総合科学で あり、諸基礎科学の統合を基盤とする学際融合学問領域と位置づけられる。本学部・研 究科は諸学問領域の統合と演繹を通じて、創造的な薬学の“創”と“療”の拠点を構築 し、先端的創薬科学・医療薬学研究を遂行して人類の健康と社会の発展に貢献すること を目標とする。」と制定されている。同時に、薬学部薬学科の教育理念を「薬学の学修 を通じて、先端医療、医療薬学・臨床薬学の発展を担いうる人材を育成することによっ て、人類の健康と社会の発展に貢献する。」と制定し、人材養成の目的を「生命倫理を 基盤に、薬学の基礎となる自然科学の諸学問と薬学固有の学問に関する知識と技術およ び医療人として適正な態度を修得し、高度な先端医療を担う指導的薬剤師となる人材、 医療薬学分野で活躍できる人材の育成を目指す。」と制定している。また、教育理念、 – 3 – 人材養成の目的などは、大学の基本的な考え方に従い、学部内規、学生便覧ならびにホ ームページに記載され、学生に対する周知は毎年度はじめに開催されるガイダンスにお いて行われている。 一方、教育研究上の目的の定期的な検証は、「将来計画委員会」で必要に応じて行わ れており、本委員会で薬剤師会選出の薬剤師からの意見を加え、社会のニーズを適確に 反映したものになっている。 2 カリキュラム編成 本中項目は、適合水準に達している。 教育研究上の目的に基づいて下記のようなカリキュラム・ポリシーが編成されており、 学生便覧などに明記され、ホームページで広く公開されている。 [カリキュラム・ポリシー] 1.豊かな知性と人間性を育む教養教育を実施し、その上に薬学の基礎となる自然科 学の諸学問と薬学固有の学問に関する教育を体系立てて実施し、薬学領域で指導 的な役割を果たしうる人材を育成する。 2.豊かな教養、自然科学に関するしっかりとした基礎知識と技術、医療人として適 正な倫理性に基づいた態度と判断を涵養するために、調和のとれた教養教育と基 礎教育を体系的に実施する。 3.創薬科学、生命薬科学、医療薬科学に関する薬学専門教育、薬剤師として必要な 専門的知識、技能、態度を修得する教育を実施する。 4.高度な先端医療を担う指導的薬剤師として活躍できるよう、科学的観点に立った 問題発見能力および問題解決能力を醸成させる。 また、カリキュラム・ポリシーの作成に当たっては教務委員会が原案を作成し、その 後教授会の承認を経て決定されており、体制は整備され機能している。さらに、カリキ ュラムの構築と変更については、平成18年度以降に3回の軽微なカリキュラム修正が行 われており、教務委員会が対応する旨の記載があり、必要に応じて対応できる体制を整 えている。また、教員や学生への周知については学生便覧、ホームページ、学生ガイダ ンス、教員研修会などで実施しているが、認知率が高いとは言えず、さらなる充実が求 – 4 – められる。 カリキュラムは、カリキュラム・ポリシーに沿って編成され、さらに、国家試験対策 に該当する科目が開講されているが、これらの合格に偏った教育にはなっていないなど、 大学に求められる教育がなされているものと判断できる。さらに、カリキュラムの点検・ 改革は教務委員会と教授会においてなされており、迅速な変更が行われている。 3 医療人教育の基本的内容 本中項目は、おおむね適合水準に達しているが、シラバスの不備、目標達成度評価の 指標設定とそれに基づく評価の実施など、懸念される点が認められる。 医療人としてのヒューマニズム教育・医療倫理教育は、「薬学倫理・概論」、「先端 医療SGD(Small Group Discussion)演習」、「医療倫理実習」、「地域医療薬学」、 「医療実務事前学習」の5科目が入学後から4年次まで設置されている。また、カリキ ュラムの編成方針において3年次までは4年制学科と同じカリキュラムで実施されてい る。さらに、例えば「薬学倫理・概論」は科目関連図ならびに学年別配置図においての 位置づけや関連性が明確でないなど、体系的であるかどうかは疑問が持たれる。臨床現 場で活躍する人材を養成するためには、臨床に関わる授業やコミュニケーション能力を 開発するプログラムが低学年から高学年まで体系的に組まれる必要があり、さらなる充 実が求められる。学習方法としては、薬剤師としての倫理観、使命感、職業観を醸成す るための効果的な方法を取り入れる努力がなされている。事前学習を除いたヒューマニ ズム・医療倫理教育の単位数は7単位であり、さらなる充実が求められる。一方、ヒュ ーマニズム教育・医療倫理教育、教養教育・語学教育、コミュニケーション教育、準備 教育、早期体験学習、生涯学習の意欲の醸成、医療安全教育には、合計58単位以上が当 てられており、卒業要件単位の1/5を超えている。 京都大学の教養教育では、「自学自習」のキーワードのもと、人文科学、社会科学、 および自然科学などを広く学び、高度な知識と豊かな人間性、強固な責任感と高い倫理 性を育むことを目的に、社会のニーズに応じた選択科目が用意され、時間割編成に配慮 もなされた環境のもとで、多様でかつ調和のとれた教養教育が実施されている。また、 – 5 – 「薬学の基礎としての数学・統計」は全学共通科目の「数学」と関連づけられ、「薬学 の基礎としての物理、化学、生物」は全学共通科目「薬学物理化学」「基礎有機化学A」 「基礎有機化学B」「薬学生物学」と関連づけられている。これらの科目は薬学の教養 的基礎科目の要素が強く、教養教育全体として薬学教育の学習と関連づけられていると は言い難いが、カリキュラム・ポリシーには「豊かな知性と人間性を育む教養教育を実 施し、その上に薬学の基礎となる自然科学の諸学問と薬学固有の学問に関する教育を体 系立てて実施し、薬学領域での指導的な役割を果たしうる人材を育成する」とされてお り、その具現化に期待したい。また、カリキュラム・マップにおいては、教養教育と薬 学教育との関連性が不明確であり、教育課程が学生にわかりやすくすることが望ましい。 コミュニケーション教育としては、1年次配当の「先端医療SGD演習」、2年次配 当の「地域医療薬学」、1、3年次配当の「統合型薬学演習」の演習科目を設け、グル ープワークや問題立脚型の小グループ討論(SGD)形式の学習方法を取り入れ、聞き 手および自分が必要とする情報の把握と状況判断の涵養も含めた、コミュニケーション 能力の基本的能力を身につけさせている。さらに、3年次配当の「薬学専門実習1〜4」、 4〜5年次配当の「医療実務事前学習」、4年次以降配当の「医療薬学ワークショップ」 「特別実習」においても、能動的学習態度、自己表現能力、コミュニケーション能力、 問題解決能力、個人および集団の意見を整理して発表できる能力を身につけさせている。 しかしながら、「自己点検・評価書」でも改善点としてあげているが、コミュニケーシ ョン能力および自己表現能力を身につけるための教育において、目標達成度を評価する ための指標の設定と評価の実施がなされておらず、改善が必要である。 英語科目では、語学教育において、「読む」、「書く」、「聞く」、「話す」の要素を全て修 得できるような時間割編成や履修指導がなされており(全学共通科目履修の手引き、授 業内容)、医療に関わる語学力育成を目的とする科目として「科学英語A」、「科学英語B」、 「学術情報論」が開講されている。しかしながら、「学術情報論」のシラバスからは語学 の科目であることがわかりにくく、各研究室で実施されているためプログラムとしての 目標が達成されているか不明瞭であり、さらに「科学英語A」、「科学英語B」では実験 に関する要素が大半であるなど、医療現場に対応した語学力育成に繋がっているかどう – 6 – か疑問である。また、医療の進歩・変革に対応するものとして、大学院生との抄読会へ の参加を行っている。これらの語学力を身につけるための教育については、低学年から 高学年まで実施されている。 教養教育科目の中に、自然・応用科学系科目群として「有機化学」、「物理化学」、「生 物系科目」を用意し、入学までの学習履歴などを考慮した準備教育が適切に配置されて いる。 1年次配当の「先端医療SGD演習」において、京都大学医学研究科、医学部附属病 院、さらに地域医療関連諸団体の協力のもと、薬剤師が活躍する現場での早期体験実習 (病院見学、薬局見学)を実施し、その体験に基づいたグループワークや討論を通して 学習意欲と学習効果を高める工夫を行っている。 医療安全に関連する科目としては、1年次の「先端医療SGD演習」、4年次の「医療 倫理実習」において弁護士を講師として招いて副作用や薬害に伴う訴訟についての講義 を実施している。しかしながら、これらの科目について、シラバスでは評価が出席、コ ンテンツ作成と試験となっているが、実際には医薬品の安全使用について科学的な視点 と客観的な判断を評価するものとして相応しい方法で評定されており、実態に合わせた シラバスの迅速な改訂が求められる。 生涯学習への意欲向上については、研修会などを大学で主催して相当数の学生が参加 するなどの実績が認められる。また、「生涯教育講演会」を定期的に継続して開催して いる。その一方で、学部主催でない研修会への参加促進策については、地域社会の意見 を取り入れながら、学外の研修会への参加を推進することにより、さらなる充実が図れ るものと考えられる。さらに、生涯学習の必要性について、附属施設における病院実務 実習を通して薬剤師から指導を受けているとあるが、生涯学習の必要性がどのように教 育されているのかシラバスからは確認できず、指導内容に含めているのであれば、シラ バスに記載することが望まれる。 4 薬学専門教育の内容 本中項目は、おおむね適合水準に達しているが、学習方法と評価基準に乖離が認めら – 7 – れるなど、成績評価に懸念される点が認められる。 シラバスには、科目ごとに対応するモデル・コアカリキュラムの到達目標が項目番号 として明示され、さらにモデル・コアカリキュラムと科目の対応表を添付するなど、工 夫がなされている。しかしながら、一般目標については授業の概要・目的という形で書 かれており、当該授業においてどのような知識、技能、態度が身に付くかという学生視 点での記述に改めることが望ましい。また、シラバスに一般目標は記載されているが、 具体的な到達目標が明示されておらず、学生がどのような姿になれるのかがわからない ため、シラバスに記載する、あるいは科目ごとのモデル・コアカリキュラム対応一覧表 を作るなどが必要である。授業科目の到達目標は、モデル・コアカリキュラムの到達目 標に準拠している。しかしながら、例えば、「C10(3)感染症にかかる」は「薬学生 物学」「微生物学1」「微生物学2」「薬学専門実習4」「生物化学7」において履修 すると対応表には記載されている、基礎資料3の対応表での対応科目が不明確であるな ど、一部でシラバスや対応表の不備が認められる。 科目の授業形態については、講義に偏ることなく、実習、演習が取り入れられ、様々 な学習方略が取り入れられており、到達目標の学習領域に合致した学習方略がおおむね 採られている。しかしながら、全体的に講義の比率が高く、学生参加型の学習方略のさ らなる導入が望ましい。また、例えば、「医療薬学ワークショプ」は講義・実験となっ ている、「創薬物理化学エクササイズ1・2」は講義ではなく演習という形をとってい ると思われるが確認できない、「臨床薬学総論」「医療実務事前学習」などでは授業形 態や内容がシラバス上で確認できない、「特別実習」のシラバスが存在しないなど、シ ラバスの不整合や不備が認められ、全教員参加によるシラバスの確認と整備が必要であ る。さらに、6年制教育のさらなる充実を目指し、基礎科目のシラバスにおいて、当該 授業内容と臨床との関連性を具体的に記述することが望ましい。「薬学専門実習1〜4」 の16単位を基礎実験に当てており、実験実習が十分に行われていると判断できる。学年 別配当科目表を用意し、各授業科目における基礎と臨床の知識などの相互関係をわかり やすく学生に示す努力がなされている。「患者に直接触れる機会を設けるとともに、薬 剤師や他の医療関係者とも交流できる環境を準備している」とあるが、「先端医療SG – 8 – D実習(2単位)」における病院見学、薬局見学、「医療倫理実習(1単位)」におけ る医療ボランティアにしか該当する授業は見受けられず、十分であるとは言えない。ま た、病院見学、薬局見学、医療ボランティアの具体的な内容がシラバスに記載されてお らず、シラバスへの明記が求められる。臨床系の授業においても、附属病院の薬剤師の 名前がいくつかの科目で記載されているが、6年制薬学教育の観点から交流体制を整備 し、臨床系の職域で活躍している他病院や薬局の薬剤師の授業を導入するなど、さらな る努力が求められる。「医療倫理実習」などにおいて、患者・薬害被害者の声を聞く機 会を設けるなど、医療を肌で感じる努力がされている。「医療倫理実習」などでは一つ の科目を1、4年次で実施することになっているが、各々の学年において実施する内容 や評価の比率を明記するなどのシラバスの改善が必要である。 大学独自のアドバンスト科目として、「統合型薬学演習」「医療倫理実習」「医薬品 開発プロジェクト演習Ⅰ・Ⅱ」などが用意されている。また、4年次以降の講義以外の 時間割が包括的に明示されているため、1週間でどのように実施されているのかがシラ バスなどでは確認できない。特に6年次の科目が前期4科目、後期5科目配当されてお り、時間割上、具体的な実施日程などが明示されていないため、単位数との関連性が把 握できない、アドバンスト科目の多くが「その他」の曜日時限で実施することになって おり、学生のニーズに配慮した選択可能な時間割編成になっているか疑念が残される、 などの問題点が見られる。これら問題点の解決策の一つとして、シラバスの充実が必要 である。また、これらの科目は創薬関連の内容が多く、臨床に係る授業は「医療倫理実 習」に留まっており、6年制薬学教育の観点から、本学科の教育研究上の目的に鑑み、 アドバンスト科目においても、臨床系の授業内容を多く組み入れることが求められる。 5 実務実習 本中項目は、適合水準に達している。 事前学習は、実務実習モデル・コアカリキュラムに掲げられた目標・方略に準拠して 実施されている。事前学習の時間数については、十分な教育時間が提供されている。実 施時期についても、4年次のみならず、5年次4月に11コマ設定され、第1期実務実習 – 9 – 直前にも学習の機会が与えられており、適切である。学生数約30名に対し、実務家4名、 他8名の合計12名の教員が指導に当たるとしているが、実際には大半の時間を1名の実 務家教員が指導しており、改善が望ましい。また、事前学習において、外部協力者、S P(模擬患者)などの人的資源についてもさらなる充実が望まれる。事前学習の総合的 評価も基準が設けられて実施されている。しかしながら、「自己点検・評価書」では、 到達目標への達成度は7ユニットに分けて評価している、レポートや実技の形成的評価 により知識、技能、態度の評価を行っていると記載されているが、シラバスでは成績評 価は出席と小テストとなっており矛盾しているため、改めることが望ましい。実務実習 の開始時期と実務実習事前学習の終了時期が離れる場合については、実施実績はないが、 実務実習の直前に実務実習事前学習の到達度を確認するための目標ごとの自己評価で確 認するという体制が整えられている。 薬学共用試験については、薬学共用試験センターの実施要項に基づいて、学部内に設 ける共用試験委員会(CBT(Computer Based Testing)、OSCE(Objective Structured Clinical Examination))が適切な体制のもとに適正に実施している。また、学生の能 力の確認と情報の公表も適切に行われている。共用試験に用いる施設と設備も適切であ る。 実務実習を行うための責任組織として「実務実習委員会」が組織され、そこが中心と なり、病院実習は医学部附属病院で、薬局実習は近畿地区調整機構を介して市内の保険 薬局で、各々認定指導薬剤師が配置されている適正な施設において実務実習が行われて いる。実習中の指導は、担当教員による「実習記録管理システム」の指導薬剤師コメン トなどでの経過の把握、実習先の訪問による指導と、実習先との連携をとり適切に行っ ている。しかし、これら記録の保存期間が1年間だけであり、少なくとも卒業までは保 存するなど、保存期間の延長が必要である。また、学生には事前に「医療実務事前学習」 において法令や守秘義務の遵守について指導するとともに個人情報や機密情報の保護に 関する説明文書を作成し、それに基づき学生に誓約書を提出させている。健康診断や感 染予防対策についても適確に実施されている。実務実習の訪問指導には、配属された研 究室が担当して責任を持つなど、全ての教員が参画する体制が整えられている。 – 10 – 実習施設配属については、全学生の通学経路や交通手段が配慮され、実施されている。 実務実習は実務実習モデル・コアカリキュラムの目標・方略に準拠して適切な施設にお いて実施されている。しかしながら、実習施設概要については、実習2年目以降は自大 学で保管されていない。また、薬局の訪問記録が教員のためのチェックシートのみとな っており、訪問時の指導内容を記録するなど、学生のための指導記録としての充実が望 まれる。一方、病院については、学生、指導薬剤師、教員間でのフィードバックも適切 に行われている。しかしながら、総括的評価は、モデル・コアカリキュラムの各SBO (Specific Behavioral Objective)に関して5段階で行っていると「自己点検・評価書」 にあるが、最終評価をするにあたっての基準が不明である。また、実務実習の総合的な 学修成果の指標設定と評価が望まれる。 6 問題解決能力の醸成のための教育 本中項目は、おおむね適合水準に達しているが、特別実習(卒業研究)のシラバス、 目標達成度を評価するための指標の設定と評価に関して懸念される点が認められる。 卒業研究は、特別実習(10単位)として位置づけられ、実施期間も4年次後期から6 年次後期までと十分な期間を当てている。しかしながら、特別実習(卒業研究)に相当 する科目のシラバスが作成されておらず、シラバスならびにカリキュラム・マップの改 善が必要である。卒業論文を英語または日本語で作成し、特別実習発表会論文集として まとめている。また、卒業論文においては修士課程と同じレベルを目指し、医療や薬学 における位置づけが考察されており、発表会も修士課程と同じレベルを目指して開催し ており、問題解決能力の醸成に努めている。卒業論文や発表会の評価も基準を定め、適 切に行われている。しかしながら、卒業研究については臨床系の研究題材が少ないよう に思われるため、より臨床的な課題にも取り組むことが期待される。 問題解決型学習については、全学年を通じて、グループ学習、発表、自己学習、講義 などの方略を組合せるなど、学生が能動的に学べるよう工夫されており、学年進行に合 わせた科目を配当し、単位数としては39.85単位(時間換算)を当てている。しかしなが ら、例えば特別実習ではシラバスが存在しない、他の科目においても内容の明示がない – 11 – など、シラバス作成上の問題があり、改善が必要である。 さらに、問題解決能力の醸成に向けた教育において、成績評価の基準は設定されてい るが、目標達成度を評価するための指標の設定と、それに基づく評価はなされておらず、 改善が必要である。また、科目によっては小テストで評価を行う「医薬品開発プロジェ クト演習Ⅱ」など、成績評価の方法が適切でない科目が見受けられる、複数学年にまた がる科目(「医療薬学ワークショップ」、「学術情報論」、「医療薬学実験技術」など) については、最終学年に単位を得ることになるのか、学年ごとに単位を得ることになる のかが不明確であるなどの問題点があり、シラバスへの明記などの改善が必要である。 7 学生の受入 本中項目は、適合水準に達している。 学部の理念と目標に基づき医療人としてのアドミッション・ポリシーが、下記のとお り適切に設定され、ホームページや募集要項において公表されている。 [アドミッション・ポリシー] 薬学は、人体に働きその機能の調節などを介して疾病の治癒、健康の増進をもたらす 「医薬品」の創製、生産、適正な使用を目標とする総合科学であり、諸基礎科学の総合 を基盤とする学際融合学問領域と位置づけられる。 京都大学薬学研究科・薬学部は、この諸学問領域の統合と演繹を通じて世界に例を見 ない創造的な薬学の“創”と“療”の拠点を構築し、先端的創薬科学・医療薬学研究を 遂行して人類の健康と社会の発展に大きく貢献することを目標としている。そのため、 教育においては、生命倫理を基盤に、薬学の基礎となる自然科学の諸学問と薬学固有の 学問に関する知識と技術および、研究者、医療人として適正な態度を修得し、独創的な 創薬研究を遂行しうる資質・能力を有する薬学研究者、高度な先端医療を担う指導的薬 剤師となる人材の育成を目指す。また、研究においては、薬学の諸学問の最先端研究に 挑戦して世界をリードするとともに、創薬科学と医療薬学の統合を図り実践的に社会に 貢献することを目指す。 このような目標のもと、京都大学薬学部では、多様な能力としっかりとした基礎学力、 – 12 – 医療人としての適正な倫理性を備え、自己の発想を大切にして真理を探求する意欲に富 む学生を求めている。 しかしながら、入学者選抜要項で大学全体の受入方針が示され、薬学部については学 生像がp.46に示されているが、学部ホームページに示されている表記と同じではないた め、方針が複数存在するように見えてしまう状況であり、統一することが望ましい。ま た、理念、受入方針については、「将来計画委員会」で原案を作成し、「教授会」の議 を経て確定されている。さらに、それに基づく試験も、大学入試センター試験(国語、 地歴・公民から1科目、数学、理科から2科目、外国語)に加え、個別学力試験(国語、 数学、理科2科目、外国語)と適切に実施されており、入学者の決定も「教授会」にお いて厳正、公平、適正に行われている。また、入試要項に個別学力検査の出題範囲に対 する注意、志願者が評価されるポイントが明示されており、評価できる。 入学者数についても定員数に基づき適切な人数を受け入れている。 しかしながら、入学試験において医療人としての意欲や適性の確認が行われておらず、 これらを確認するための新たな制度の導入が期待される。 8 成績評価・進級・学士課程修了認定 本中項目は、おおむね適合水準に達しているが、シラバスの記載内容、総合的な学習 成果の指標の設定と評価に関して懸念される点が認められる。 学部科目の成績評価は100点満点で行い、60点以上を合格とすることが学修要項に明示 されており、各科目において成績評価の方法は、シラバスにより学生に周知されている。 しかしながら、そもそもシラバスが記載されていない科目がある、「原則として定期試 験の成績で評価する」「出席点のみで評価する」などが基準として挙げられている科目 が認められる、評価方法も基準も書かれていない科目がある、演習や実験などでの評価 方法において不適切なものが認められる、シラバスの科目区分が空欄の科目が散見され る、科目区分として「必修」、「指定」、「選択」とシラバスに記載されているが、定 義が明記されておらず、学生に不利益が生じる可能性があるなど、シラバスに多くの問 題点がある。さらに、コミュニケーション教育、医療安全教育について、例えばコミュ – 13 – ニケーション能力とプレゼンテーション能力を養う科目である「統合型薬学演習」の評 価が出席とレポートとなっている、「医療実務事前学習」はシラバスに授業形態が記載 されておらず、さらにリスクマネージメントや医療安全教育の評価が出席と小テストと なっている、コミュニケーション能力を身につける科目として「先端医療SGD演習」、 「地域医療薬学」、「医薬品開発プロジェクト演習Ⅰ」、「病院実務実習」、「薬局実務実習」 が設定されているが、能力の修得度については出席、レポート、演習内容などからどの ように評価されているのかが明示されていない、授業の課題に対する発表の機会はある が体験したことの成果発表と評価が明らかでないなど、シラバスの不備と態度教育の評 価方法として不適切なものが認められる。また、薬害・医療過誤・医療事故防止に関す る教育において、1年次の「先端医療SGD演習」及び4年次の「医療倫理実習」では、 いずれも弁護士を招き、薬害や医療安全の講義や演習を行っているとあるが、シラバス からは人的資源が確認できないなど、シラバスの不備が多く認められ、教授会などの責 任ある組織のもとに抜本的な改革が必要である。成績評価については、一部科目で評価 基準がシラバスに明記されていないなどの問題があり、公正かつ厳格に行われているこ とについては疑念が残される。学生への成績開示については、京都大学教務情報システ ム(KULASIS)により行われている。さらに、学生が自分の成績評価に対して説 明を求める異議申し立ての体制が構築されている。 進級については、3年次での薬学専門実習を受ける資格要件、4年次での特別実習を 受ける資格要件、4年次での医療実務事前学習の受講資格、5年次での病院実務実習・ 薬局実務実習の受講資格と、4段階に分けて行われており、シラバス上で学生に公表・ 周知されている。さらに、この基準に従い、公正な進級判定が行われている。また、学 生の在籍状況(留年・休学・退学など)が入学年次別に分析されており、留年・休学・ 退学者は最近6年間で毎年1名程度と非常に少なく、学年ごとに必要に応じた対策が適 切に実施されている。留年生に対する配慮としては、グループ担任や教務委員長による 個別面談による適切な指導がなされており、必修科目については追再試験を行うなどの 配慮がなされている。また、追再試験やレポート試験の実施については授業担当教員に 委ねられている部分があり、教育的配慮に基づく改善が必要である。未履修科目の履修 – 14 – 制限はKULASISでの管理により行われている。 学位授与の方針(ディプロマ・ポリシー)は「将来計画委員会」で原案を作成し、教 授会で承認後、下記のような学位授与の方針(ディプロマ・ポリシー)が公表されてい る。 [ディプロマ・ポリシー] 1.6年以上在学し、薬学部が教育理念・教育目標に沿って設定した授業科目を履修し て、所定の単位数を修得することが、学位授与の要件である。修得すべき授業科目 には、講義および実習が含まれる。 2.全学共通教育を通じてなされた教養教育の成果と、薬学部の特性に応じて組まれた 基礎教育および専門教育の成果をともに習得していることが学士試験に合格する基 準となる。 卒業要件の内容と、卒業要件が学生に配布する学生便覧に明記されており、ガイダン スで説明し周知徹底している。また、学位授与の方針は学生便覧、ホームページにおい て公表されている。これに基づき、公正な卒業判定が教授会においてなされている。し かしながら、「臨床薬学総論」で6年間の学力評価を、「特別実習発表会」で審査委員 会が研究能力の評価を行い、総合的に学習成果を評価するとされている。一方、「臨床 薬学総論」では、国家試験対策としての補講を行うとシラバスに記載されており、「臨 床薬学総論」の最終試験が実質的な卒業試験に相当すると受け取れる可能性もあり、シ ラバスを実態に即した内容に改訂することが望ましい。また、修了判定で留年となった 学生に対する教育的配慮として、必修科目については追再試験を必ず実施することにな っている。 総合的な学習成果を測定するための指標が設定されておらず、それに基づく測定もな されていないため、指標の策定と評価の実施が求められる。 9 学生の支援 本中項目は、適合水準に達している。 入学時の4月に新入生ガイダンスを実施し、教育、生活、キャリアパスなど、幅広く – 15 – 適切に行われている。また、新入生に対しては、5月に統合型薬学演習(一泊の新入生 合宿研修)を行い、学生、教員の間での信頼関係の構築に努めている。さらに、入学前 の学習状況に応じて全学共通選択必修科目(数学、物理、実験)が適切に履修できる体 制を全学的に整備し指導している。また、グループ担任制を導入し、履修に関する学習 相談から学生生活に至るまで幅広い質問に関する相談、学生の状況に応じた指導体制を 構築している。また、2年次、3年次、4年次に新年度ガイダンスを実施し、適切な履 修指導を行っている。 学生への経済支援としては、授業料の免除、海外留学、各種奨学金などの経済的支援 などを行っており、情報提供の窓口も教務掛で集中的に行い、ホームページにも掲載し ており、十分に機能している。学部独自の奨学金制度は設けていない。 学生の健康維持については、全学的な「学生総合支援センター」「健康科学センター」 と学部が連携を取り、メンタルケアのためにはカウンセリングルームが、ヘルスケア相 談は「健康科学センター」が随時受け付けて行っているなど、適切に行われている。し かしながら、薬学部内での施設ではないため、急病人が発生した場合の対応について、 当該施設までの距離が案じられる。また、学年のはじめに定期健康診断を行い、学生の 健康管理も行っている。しかしながら、未受診の学生への対応体制が整備されておらず、 特に高学年での受診率が低下しており、医療に携わる者を目指すには自らの健康管理が 重要であることの指導を徹底することも含め、全員受診を達成する努力が求められる。 ハラスメント防止のために、ハラスメント相談窓口を設置し、また人権委員会も設置 され、「薬学研究科・薬学部における人権問題及びハラスメントの防止に関する内規」 を整備しており、人権問題及びハラスメント問題防止のための啓発活動及び必要対応が 適切に行われている。 身体に障がいのある者に対しては、まず障がいなどのある入学志願者に対し事前相談 の機会が設けられ、学部の「入試等問題検討委員会」で公正に審議し、必要に応じた特 別措置による受験を認める体制が整備されている。また、入学後も障害学生支援ルーム を設け、薬学部の施設や設備についてもバリアフリーに努めており、スロープ、身障者 用トイレの設置など、適切な整備がなされており、学生への配慮と対応は十分になされ – 16 – ている。しかしながら、バリアフリー情報も含めた学部建物案内板が設置されておらず、 設置することが望まれる。 また、学生の進路選択については、全学的な「学生総合支援センター」を中心に学部 との連携を図りながら、全学的なキャリアサポートルームの設置と各種の情報提供、薬 学部での就職委員(教員1名、現在は学生委員兼務)や学生委員(教員4名)による相 談窓口の設置、「キャリアデザイン談話会」や「企業合同会社説明会」の開催など、組 織的な取り組みを行っている。しかしながら、「企業合同会社説明会」は、平日に開催 されており、実務実習中の5年次は参加しにくいと考えられるため、週末での開催など の工夫が望まれる。また、薬学部独自の就職支援として、「キャリアデザイン談話会」 や「企業合同会社説明会」を催しているが、6年制があるにも関わらず、創薬関連企業 に偏りすぎている感があり、医療関連分野への拡大が期待される。 学生の意見を教育や学生生活に反映させるために、グループ担任の設置や、授業アン ケート、「京都大学薬学部・薬学研究科の教育に関するアンケート」、授業参観などを 実施している。特に授業評価アンケートならびに授業参観については、これらに基づい た授業改善が行われていると学生が実感しており、効果的に機能していると考えられる。 また、在学生(1、3年次)及び卒業生(3年後、10年後)に分けて、二つの委員会(「教 務委員会」と「自己評価等調査検討委員会」)がそれぞれ意見を収集しており、結果に 基づいて委員会で報告協議し、FDなどに反映する体制が構築されている。具体的には、 グループ担任から集めた学生の意見を集約し定期的に「教務委員会」で報告し対策を議 論している他、授業アンケートを項目ごとにグラフ化し現状の把握と推移を「教務委員 会」と「薬学部協議会」で報告し、FDなどへ反映するため必要な取り組みを行ってい る。「自己評価等調査検討委員会」では、新入生と3年次に進路に関して同じアンケー トをとり、2年間で学生の意識変化を追跡し、「教務委員会」での検討を通じて、薬学 部の方針に反映する体制をとっている。卒業して3年後と10年後の卒業生全員にアンケ ート調査を行い、自己点検及び社会からの要望に対して教育制度を改善すべきかの判断 材料にしている。卒業生の意見も反映できる体制になっている。 実習などでの安全への配慮としては、学生便覧の中に「廃棄物処理指針」「安全管理 – 17 – について(薬学部防火心得)」などを掲載し、さらにガイダンスで説明など、体制が整 備され、安全講習会の開催などを通して学生への周知もなされている。「学生傷害保険」 「学生損害賠償保険」への加入を推進しており、多くの学生が加入している。 10 教員組織・職員組織 本中項目は、適合水準に達している。 教員一名あたりの学生数は5.3名となっており、設置基準を超える教員(実務家教員を 含む)が配置されている。しかしながら、「自己点検・評価書」では、薬学科が34名と なっているが、基礎資料8では50名となっている。また、設置基準上必要な教員数は、 基礎資料8では26名となっているが、「自己点検・評価書」では18名と記載されており、 点検評価の体制に問題があると認めざるを得ない。教員の適格性については、助教2名 を除いては、教育上の工夫についても記されており、教育・研究の優れた実績を有し、 あるいは優れた知識・経験・高度の技術・技能を有する者、教育上の指導能力と高い見 識があると認められる者が、専任教員として配置されている。主要な科目は全て専任教 員が担当しており、年齢構成ならびに職階構成(教授、准教授、講師、助教の比率)に ついても、バランスがとれている。 教員の採用については、公募要領に研究だけでなく教育内容も明記し、教育に対する 抱負も提出させるなど教育上の指導能力などを十分に考慮した選考になっている。内部 からの昇任の際にも教育活動状況なども総合的に評価し選考している。教員の最近5年 間における教育研究上の業績は「自己点検・評価報告書」で開示されているが、毎年ど のように研究・教育業績が提出されているのかが不明である。また、ホームページに研 究・教育業績が記載されているが、その更新が各研究室に委ねられており、毎年更新さ れているのか不明である。実務家の専任教員1名は、医学部附属病院の薬剤部副部長を 兼任し、常に新しい医療に対応するために研鑽できる体制が整えられており、新しい医 療への研鑽に努力している。また、実務家教員は全員が附属病院薬剤部所属の薬剤師で あるが、幅広い医療現場での実情を教育に反映させるために、他の病院や薬局の薬剤師 を教員として採用することが期待される。各研究室は十分な研究スペースが配分されて – 18 – いる他、共通の機器室や動物室などが整備されている。しかしながら、一部耐震性に問 題がある研究室や設備があり、対応が求められる。薬学部に配分される運営費交付金の うち、共通経費を除いたものについて教員の職位および配属学生数あたりの単価を決め 配分している。また、大学ホームページに外部資金公募情報サイトが開設されており、 各自が確認し、応募できる環境が整備されている。一方、研究時間を確保するために、 教員の授業負担を可能な限り均等化しているとされているが、基礎資料10では年間平均 の週の授業時間数はおおむね均等化されているが、一部に担当授業数が多い教員が認め られる。名誉教授(アドバイザー)による科研費補助金公募申請書の事前アドバイスや、 URA室による外部資金を獲得するための体制が整備されている。これらを勘案すると、 教育研究上の目的に沿った教育活動が行われていると判断できる。教育研究活動の質の 向上及び改善の取り組みに関する評価は、「薬学部における教育研究活動の質の向上及 び改善に関する内規」を定め、それに基づいて「自己評価等調査検討委員会」を設置し 評価を行い、教授会で必要な措置を決議している。また、新規採用教員を対象としたF D研修会を全学的に実施している。さらに、授業アンケートの結果を担当教員に還元す るとともに、評価の高い教員の講義への他の教員の聴講を推奨して自らの講義について 改善すべき点を報告するようにしており、このような取り組みの結果、授業アンケート の項目の評価が上がっている。また、FDとしての授業参観とレポート提出を全教員に 義務付け、授業改善に努め、その改善を学生が実感していることは評価できる。教員に ついても、若手人材派遣事業として「ジョン万プログラム」を実施しており、若手研究 者の海外経験や国際的な活動への支援体制が整えられており、派遣実績も認められ、若 手教員や学生の将来に向けてのモチベーション向上に繋がっている。 薬学部には15名の職員が配置されている他、南西地区には50名が薬学部を含めた事務 支援を行っており、教育研究活動の実施支援に必要な資質および能力を有する職員が適 切に配置されている。また、技術専門職員3名と技術職員1名が情報管理、安全衛生管 理、動物実験管理などの研究支援を行っている。事務職員が教授会などに陪席し、事務 職の立場から状況の説明や意見陳述を行っており、連携に努めている。 – 19 – 11 学習環境 本中項目は、適合水準に達している。 薬科学科を含め薬学部の学生80名に対し、講義室が7と教室の規模と数は適正である。 少人数教育ができる教室も確保されている。演習室、マルチメディア講義室、医療薬学 演習室など、実習・演習を行うための施設も十分に整えられている。情報処理演習室、 動物実験施設、RI教育研究施設、薬用植物園などは適切である。医療薬学教育棟があ り、医療実務事前学習を実施するため、適切な規模の施設・設備が整備されている。卒 業研究のための研究室は19、共同実験室・研究室が19あり、その他動物施設、NMR室 などの研究に必要な施設も十分あり、卒業研究の内容に相応しい施設・設備が適切に整 備されている。 薬学部内に適切な規模の図書室・資料閲覧室が整備されている。薬学部図書館には約 37,000冊の蔵書があり、大学内で閲覧できる電子ジャーナルは26,000タイトルと、教育 研究上の目的に沿った教育研究活動に必要な図書および学習資料がおおむね適切に整備 されているが、医療系図書のさらなる充実が望まれる。附属図書館には自習室が整備さ れ、薬学部の図書室には整備されていないが、情報処理演習室は自習室として使用可能 であり、オープンカンファレンスやミーティングルームも自習室として使用可能である。 薬学部の図書室は9:00-17:00、情報処理演習室は8:30-19:00まで使用可能である。 さらに、薬学部の図書室については、薬学科5、6年次、大学院生以上については、時 間制限なく利用できるように配慮されている。しかしながら、それ以外の学生について は利用可能時間が短く、自学自習の大学の方針に鑑みると、必要に応じて制限時間延長 などの対応が望まれる。 12 社会との連携 本中項目は、適合水準に達している。 実務家教員が医学部附属病院薬剤部副部長を兼任し、薬剤師会や病院薬剤師会に入会 している教員も配置されている。また、産業界との連携も伝統的に図られており、民間 企業のサポートによる寄附講座が5講座設置され、民間企業、他大学・他研究機関との – 20 – 共同研究(平成18年度~24年度:平均10件超。平成25年度:10件)も十分に行われてい る。さらに、「産学連携薬学研究教育プログラム」講演会なども活発に行われており、 「薬学教育イノベーション創出事業」で実施する講演会も一般に公開している。 また、地域住民を対象とした附属薬用植物園見学会も毎年開催しており、地域の啓発 活動も行っている。しかしながら、その他には公開講座などの活動が行われておらず、 さらなる積極的な活動が望まれる。さらに、創薬関係の講演が多く、薬剤師の資質向上 としては、やや内容に偏りがみられ、改善が期待される。 英文ホームページが作成され、さらに2年に一度「京都大学大学院薬学研究科・薬学 部概要」の英語版も作成されており、積極的に国際交流を図っている。しかしながら、 「京都大学大学院薬学研究科・薬学部概要」の英語版は研究科中心のものとなっており、 学士課程教育についての充実が期待される。また、京都大学として海外98大学4大学群 との大学間学術交流協定が結ばれており、薬学部としても2大学(ソウル大学、北京師 範大学)と部局間学術交流協定を結んで、国際活動を図っている。さらに、学術交流協 定による単位互換制度を活用し、海外の大学への留学に関しては、学生が短期海外に留 学するための制度が設けられており、人数は少ないが留学実績もあり、さらなる充実が 期待される。一方、外国人留学生特別選考を薬科学科では行っているが、薬学科では認 めていない。 13 自己点検・評価 本中項目は、おおむね適合水準に達しているが、自己点検・評価が不十分であり、自 己点検・評価の体制と全教員による全学部的な活動に関して懸念される点が認められる。 薬学部内に自己点検・評価を行う組織として、「自己評価等調査検討委員会」を設置 し、「京都大学大学院薬学研究科・薬学部における教育研究活動などの質の向上及び改 善の取り組みに関する内規」を整備している。さらに、「理念・目標・将来構想」、「教 育」、「研究活動」、「職員組織」、「管理・運営」、「財政」、「施設・設備」、「学 術情報」、「国際交流」、「社会との連携」などの評価項目を自主的に設け、外部有識 者による外部評価も実施している。 – 21 – また、「自己評価等調査検討委員会」による評価、および「将来計画委員会」による 改善の取り組みなど、自己点検・評価の結果を教育研究活動に反映させる体制を整備し、 実際に改善に活かす努力をしている。 「自己点検・評価書」を見る限り、全ての章において、現状の記載に留まり、点検・ 評価が不十分である、また、「医療実務事前学習」でのリスクマネージメント教育・医 療安全教育については、シラバスでは評価が出席と小テストとなっているが、「自己点 検・評価書」では、レポートを提出させているとあり、「自己点検・評価書」の記載内 容に矛盾が認められる、さらに、実施していると記載しているだけで根拠となる資料を 示していないなど、組織や体制は整備されているものの、実態としての自己点検・評価 活動が十分に行われているとは言えない。従って、自己点検・評価体制の見直しと全教 員による全学部的な活動が求められる。 Ⅳ.大学への提言 1)長所 (1)「自己評価等調査検討委員会」で、新入生と3年次に進路に関して同じアンケー トをとり、2年間での学生の意識変化を追跡し、教務委員会での検討を通じて、 薬学部の方針に反映する体制をとっている。また、卒業生に対しても、卒業3年 後と10年後にアンケート調査を実施し、教育研究に関する意見を収集し、必要な 取り組みを議論する仕組みが構築され、カリキュラム改善に活かされている。(9. 学生の支援) (2)若手研究者の海外研修などの体制が整備され、さらに若手教員が派遣されている 期間中の研究者派遣元の運営など業務にかかる人件費などを支援する(「研究者 派遣元支援プログラム」)制度が整備されているなど、大学独自の若手人材派遣 事業を実施しており、若手教員や学生の将来に向けてのモチベーション向上に繋 がっている。(10.教員組織・職員組織) – 22 – 2)助言 (1)「薬学倫理・概論」の位置づけをカリキュラム・マップなどにおいて明確にする ことが望ましい。(3.医療人教育の基本的内容) (2)ヒューマニズム教育・医療倫理教育やコミュニケーション教育として、臨床現場 で活躍する薬剤師養成としての全人的教育を低学年から高学年まで体系的に実施 するなど、さらなる充実が期待される。(3.医療人教育の基本的内容) (3)シラバスに一般目標は記載されているが、具体的な到達目標が明示されておらず、 学生がどのような姿になれるのかがわからないため、シラバスに記載するあるい は科目ごとのモデル・コアカリキュラム対応一覧表を作るなどが望ましい。(4. 薬学専門教育の内容) (4)本中項目に関連するシラバスについて、下記の改訂が望まれる。(4.薬学専門 教育の内容) ・ 「臨床薬学総論」「医療実務事前学習」など、シラバスに授業形態が入っていな いものが散見されるため、これらを追記する。 ・ 「医療薬学ワークショップ」は講義・実験となっているが、目的には「知識、技 能、態度」になっており、具体的な内容を明示する。 (5)6年制薬学教育であるという観点から、臨床の現場で働いている薬剤師の講義や講 演を多くするなど、さらなる努力が期待される。(4.薬学専門教育の内容) (6)6年制薬学教育であるという観点から、本学科の教育研究上の目的や学生のニーズ に鑑み、アドバンスト科目においても、臨床系の授業内容を多く組み入れる、さら なる努力が期待される。(4.薬学専門教育の内容) (7)モデル・コアカリキュラムの対応に一部不整合が認められるため、改訂が望まれる。 例えば、「C10(3)感染症にかかる」は「薬学生物学」「微生物学1」「微生物 学2」「薬学専門実習4」「生物化学7」において履修すると対応表には記載され ている、資料3の対応表での対応科目が不明確であるなど、一部でシラバスや対応 表の不備が認められるため、学生にわかりやすく書くことが望ましい。(4.薬学 専門教育の内容) – 23 – (8)シラバス上、事前学習の評価方法が、出席と小テストによるとなっているため、 技能・態度に関する領域の評価方法としては妥当性が低く、適切な評価方法に改 めることが望ましい。(5.実務実習) (9)「医薬品開発プロジェクト演習Ⅱ」など問題解決能力の醸成に向けた教育におい て、成績評価の方法が適切でない科目が認められるため、適切な評価方法に改め、 シラバスに記載することが望まれる。(6.問題解決能力の醸成のための教育) (10)6年制の卒業研究であるが、臨床系の研究題材が少ないように思われるため、よ り臨床的な課題にも取り組むことが期待される。(6.問題解決能力の醸成のた めの教育) (11)入学者選抜要項で大学全体の受入方針が示され、薬学部については、学生像がp.46 に示されているが、学部ホームページに示されている表記と同じではないため、 方針が複数存在するように見えてしまう状況であり、統一することが期待される。 (7.学生の受入) (12)シラバスの科目区分について、「必修」「指定」「選択」の定義を明記する、全て の科目において科目区分を明記することが望ましい。(8.成績評価・進級・学 士課程修了認定) (13)薬学部独自の就職支援として、「キャリアデザイン談話会」や「企業合同会社説 明会」を催しているが、6年制があるにも関わらず、創薬関連企業に偏りすぎて いる感があり、医療関連分野への拡大が期待される。(9.学生の支援) (14)定期健康診断の全員受診を達成する努力が求められる。(9.学生の支援) (15)バリアフリー情報も含めた学部建物案内版の設置が望まれる。(9.学生の支援) (16)臨床系の講演会などのさらなる充実が期待される。(12.社会との連携) (17)地域住民に対する公開講座および保健衛生支援活動のさらなる充実が期待される。 (12.社会との連携) (18)外部評価者が、創薬関係者、大学関係者のみで、臨床関係者が含まれていないの で、6年制薬学教育という観点から、臨床関係者を加えることが期待される。 (13.自己点検・評価) – 24 – 3)改善すべき点 (1)コミュニケーション能力および自己表現能力を身につけるための教育における目 標達成度評価の指標設定とそれに基づく評価の実施が必要である。(3.医療人 教育の基本的内容) (2)一部の実習などにおいて、出席点のみで評価を行う、出席点が評価基準の大半を 占めるなど、学習方法と評価基準に乖離が認められる科目が存在しており、学習 方法に適した評価方法と基準を定めるべきである。また、全てのシラバスにおい て「定期試験80%、レポート20%」など評価基準を明示する必要がある。 (4.薬学専門教育の内容) (3) 問題解決能力の醸成に向けた教育において、成績評価の基準は設定されているが、 目標達成度を評価するための指標の設定と、それに基づく評価はなされておらず、 指標の設定と評価の実施が必要である。(6.問題解決能力の醸成のための教育) (4)特別実習(卒業研究)のシラバスを作成し、評価基準を策定・明示する必要があ る。(6.問題解決能力の醸成のための教育) (5)シラバスが記載されていない科目がある、「原則として定期試験の成績で評価す る」「出席点のみで評価する」などが基準として挙げられている科目が認められ る、評価方法も基準も書かれていない科目がある、演習や実験などでの評価方法 において不適切なものが認められる、シラバスの科目区分が空欄の科目が散見さ れる、科目区分として「必修」、「指定」、「選択」とシラバスに記載されてい るが、定義が明記されておらず、学生に不利益が生じる可能性があるなど、多く の問題点がある。また、コミュニケーション教育、医療安全教育について、例え ば「統合型薬学演習」の評価が出席とレポートとなっている、「医療実務事前学 習」でのリスクマネージメントや医療安全教育の評価が出席と小テストとなって いるなど、態度教育の評価方法としては不適切なものが認められる。さらに、薬 害・医療過誤・医療事故防止に関する教育において、1年次の「先端医療SGD 演習」及び4年次の「医療倫理実習」では、いずれも弁護士を招き、薬害や医療 安全の講義や演習を行っているとあるが、シラバスからは人的資源が確認できな – 25 – いなど、シラバスの不備が多く認められ、教授会などの責任ある組織のもとに抜 本的な改革が必要である。(8.成績評価・進級・学士課程修了認定) (6)「医療実務事前学習」でのリスクマネージメント教育・医療安全教育については、 シラバスでは評価が出席と小テストとなっているが、「自己点検・評価書」p.18 では、レポートを提出させているとあり、「自己点検・評価書」の記載内容に矛 盾が認められ、「自己点検・評価書」の作成について十分な配慮が求められると ともに、自己点検・評価体制の抜本的な見直しと全教員による全学部的な活動が 求められる。(13.自己点検・評価) – 26 – Ⅴ.「京都大学薬学部薬学科に対する認定評価結果」について 平成24年度第一回全国薬科大学長・薬学部長会議総会において京都大学薬学部薬学科 (以下「貴学科」)が本機構の実施する「薬学教育評価」に申請することが承認され、同 26年5月2日付「薬学教育評価申請書」を以って平成26年度に実施する本評価の対象大学 として決定しました。申請された件について、評価チーム・評価委員会・総合評価評議 会において慎重に評価した結果をⅠ~Ⅳのとおり報告します。 貴学科が、本機構の「薬学教育評価 評価基準」(以下、「評価基準」)に基づき、 薬学教育プログラムを自己点検・評価して作成した「自己点検・評価書」を前提として、 本機構は書面調査および訪問調査を実施し、貴学科の意見を十分に検討したうえで、評 価結果を作成しました。 提出された資料についても不足分がある場合は、直ちに提出していただきました。不 明な点については、訪問調査前に質問事項として、回答していただきました。また、評 価者には、教育活動等の経験豊富な者を薬科大学・薬学部および日本薬剤師会・日本病 院薬剤師会から推薦していただき、その上で、本機構が実施する研修会を受講していた だいた評価実施員登録者から選出された者を配し、さらに、外部有識者も加わり、厳正 に評価しました。 評価はピア・レビューを基盤とし、本機構が設定した「評価基準」への適合状況を提 出された資料や訪問調査に基づき、万全を尽くして評価しました。 1)評価の経過 ピア・レビューを基本とする評価を行うために5名の評価実施員(現職教員4名、就業 薬剤師1名)からなる「評価チーム」を編成し、チームに主査・副査を配しました。 書面調査では評価チームの各評価実施員が個別に評価し、それをもとに評価チーム会議 で主査を中心に「評価チーム報告書(案)」と質問事項をまとめました。その「評価チ ーム報告書(案)」と質問事項を貴学科に送付し、回答をいただきました。その後、10 月9日および 10 日に、その回答に基づき確認を目的として訪問調査を実施しました。訪 問調査では、質問事項を聴取し、現状を確認するとともに、貴学科との意見の交換、学 – 27 – 生および若手教員との意見交換、施設設備の見学および授業参観などを実施し、それら に基づいて主査を中心に「評価チーム報告書」を完成しました。 作成された「評価チーム報告書」を尊重し、主査会議において「評価報告書(委員会 案)」の素案を作成し、評価委員会に諮りました。2度の評価委員会の審議結果をもと に「評価報告書(委員会案)」を作成し、貴学科に送付しました。事実誤認および公表 するときに誤解されやすい表現があるかなどを中心に検討していただいた貴学科からの 「意見申立て」を評価委員会で検討し、その結果を反映させた「評価報告書原案」を決 定し、評価の最高意思決定機関である総合評価評議会に提出しました。 総合評価評議会は「評価報告書原案」を慎重に審議し、平成 27 年 3 月 3 日に「評価報告 書」を確定し、理事長に提出しました。この「評価報告書」は理事長名を付して、貴学科 に送付するとともに社会に公表し、文部科学省および厚生労働省に報告します。 なお、この評価の経過は「4」評価のスケジュール」に示すとおりです。 2)「評価結果」の構成 貴学科に提示する「評価結果」は「Ⅰ.総合判定の結果」、「Ⅱ.総評」、「Ⅲ.『中項目』 ごとの概評」、「Ⅳ.提言 (1)長所、(2)助言、(3)改善すべき点」で構成されて います。 「Ⅰ.総合判定の結果」には、貴学科の薬学教育プログラムを「評価基準」に基づき、 13 の『中項目』について評価した結果、総合的にその「評価基準」に適合しているか否 かを記しています。 「Ⅱ.総評」には、貴学科の理念に基づいた教育研究上の目的の達成状況を示し、そ の上で、長所・特長、問題点等を記しています。 「Ⅲ.『中項目』ごとの概評」には、1~13 までの『中項目』ごとに『中項目』にある 【基準】・【観点】に対する充足状況について整理し、長所と問題点を含めて記していま す。 「Ⅳ.提言」は、「(1)長所」、「(2)助言」、「(3)改善すべき点」で構成されてい ます。「(1)長所」は、貴学科がその特色ある優れた取り組みをさらに伸長するために – 28 – 示した事項です。学科として制度・システムが作られているのみならず、機能し、成果 が上がっており、他大学の模範となるものです。「(2)助言」は、貴学科の理念に相応 しい教育研究上の最低要件は充たしているものの、更なる教育研究上の目的を達成する ために一層の改善努力を促すために提示するものです。義務として改善報告書の提出を 求めるものではありませんが、改善・改革の努力が求められるもので、その対応は貴学 科の判断に委ねられ、本評価では対応状況の報告の提出が求められます。一方、「(3) 改善すべき点」は、薬学教育プログラムとして最低要件を充たしていない、もしくは改 善への取り組みが十分でないという事項に対し、貴学科に義務的に改善を求めるもので す。なお、本評価においては、早急にこれを是正する措置を講じるとともにその結果を 「改善報告書」として取りまとめ、本機構が提示した日までに提出することが必要とな ります。 今回提示した各指摘は、貴学科からの「自己点検・評価書」および「基礎資料」をも とにした書面調査および訪問調査の結果から導かれたもので、「自己点検・評価書」作成 時を評価基準時とするため、必ずしも貴学科の最新動向を踏まえたものとは言えないか もしれませんが、前述の「意見申立て」の機会を設け、可能な限り実態に即するよう留 意しました。 3)提出資料一覧 (調書) 自己点検・評価書 薬学教育評価 基礎資料 (添付資料)  薬学部概要(冊子)  学生便覧(冊子)  学生便覧・シラバス(冊子)  薬学科ガイダンス – 29 –  シラバス(冊子)  学生便覧・シラバス(冊子)  入学志望者に配布した学生募集要項(冊子)  京都大学大学院薬学研究科および薬学部における理念・人材養成に関する内規(部外 秘・訪問調査時に閲覧可)  京都大学大学院薬学研究科・薬学部ホームページ (http://www.pharm.kyoto-u.ac.jp/outline/principles/aim/)理念・人材養成の目 的  京都大学薬学部教授会内規(部外秘・訪問調査時に閲覧可)  京都大学大学院薬学研究科・薬学部委員会内規(部外秘・訪問調査時に閲覧可)  京都大学ホームページ (http://www.kyoto-u.ac.jp/ja/education/policy/cu_policy/gakubu_cu/yakugaku. htm)薬学部 教育課程編成・実施の方針  京都大学大学院薬学研究科・薬学部ホームページ (http://www.pharm.kyoto-u.ac.jp/faculty-graduate/faculty/policy/) 学部カリキュラム・ポリシー/ディプロマ・ポリシー  薬害に関する授業(花井十伍氏講演会)ポスター  全学共通科目授業内容(冊子)  全学共通科目履修の手引き (冊子)  「先端医療 SGD 演習」発表会資料一例(ファイルで保管)  平成 24 年度「薬学教育センター設立に向けた薬学教育イノベーション創出事業」講演 会リスト  平成 25 年度「薬学教育センター設立に向けた薬学教育イノベーション創出事業」講演 会リスト 京都大学大学院薬学研究科・薬学部ホームページ (http://www.pharm.kyoto-u.ac.jp/blog/category/event/)イベント  平成 25 年度キャリアデザイン談話会ポスター – 30 –  京都大学大学院薬学研究科・薬学部ホームページ (http://www.pharm.kyoto-u.ac.jp/wp-content/uploads/2013/06/34d9e254dbcdafa3 f1ebe4fab3a279001.pdf)生涯教育講演会:「第 5 回薬学の未来を考える京都シンポジ ウム」(平成 25 年 10 月 5 日)  京都大学大学院薬学研究科・薬学部ホームページ ( http://www.pharm.kyoto-u.ac.jp/wp-content/uploads/2013/02/H24symposium.pdf ) 生涯教育講演会:「第 4 回薬学の未来を考える京都シンポジウム」(平成 24 年 10 月 13 日)  京都大学大学院薬学研究科・薬学部ホームページ ( http://www.pharm.kyoto-u.ac.jp/wp-content/uploads/2011/09/H23symposium.pdf ) 生涯教育講演会:「第 3 回薬学の未来を考える京都シンポジウム」(平成 23 年 10 月 1 日)  自己点検・評価報告書(平成 23 年 2 月)京都大学大学院薬学研究科・薬学部(冊子)  京都大学大学院薬学研究科・薬学部ホームページ (http://www.pharm.kyoto-u.ac.jp/wp-content/uploads/2013/07/4abb7ceaab60f2cb e525956344d73738.pdf)日本学術会議公開学術講演会  授業内容の概要 (医薬品開発プロジェクト演習ⅠおよびⅡ;統合型薬学演習(新入生合宿、企業見学); 医療倫理実習(医療安全学))  実務実習に向けての事前情報  京都大学大学院薬学研究科・薬学部ホームページ (http://www.pharm.kyoto-u.ac.jp/faculty-graduate/faculty/training/yakugakuk yoyoshiken/)薬学共用試験  薬学共用試験センターホームページ (http://www.phcat.or.jp/?page_id=315) 平成 25 年度版薬学共用試験実施要綱  平成 25 年度版薬学共用試験 CBT 実施マニュアル – 31 –  平成 25 年度版薬学共用試験 OSCE 実施マニュアル  平成 25 年度薬学研究科各種委員会委員名簿  平成 25 年度薬局・病院実習一覧  京都大学大学院薬学研究科・薬学部 実習記録管理システム (http://mol.pharm.kyoto-u.ac.jp/fmi/iwp/res/iwp_home.html(学内限定;必要に応 じて閲覧可能)  平成 25 年度定期健康診断受診状況(薬学科)  平成 25 年度 B 型肝炎抗体検査予定者名簿・新入生血液抗体検査  平成 25 年度第 3 期薬学部実務実習テキスト  薬局実習指導予定表  京都大学薬学部 病院・薬局等における研修等の誠実な履行並びに個人情報等および 病院・薬局等の法人機密情報の保護に関する説明文書および誓約書  実務実習ガイダンス  平成 25 年度薬学科特別実習発表会論文集(部外秘・訪問調査時に閲覧可)  京都大学大学院薬学研究科・薬学部ホームページ (http://www.pharm.kyoto-u.ac.jp/outline/principles/policy/) アドミッションポリシー  京都大学大学院薬学研究科・薬学部将来計画委員会内規 (部外秘・訪問調査時に閲覧可)  京都大学入学者選抜要項(冊子)  京都大学ホームページ (http://www.kyoto-u.ac.jp/ja/issue/kouhou/index.htm)京大広報  京都大学国際高等教育院ホームページ (http://www.z.k.kyoto-u.ac.jp/introduction_kulasis.html) 京都大学教務情報システム KULASIS  教授会資料「進級審議の表」(部外秘・訪問時閲覧可能)  平成 25 年度グループ担任について – 32 –  新入生ガイダンス資料  京都大学ホームページ (http://www.kyoto-u.ac.jp/ja/education/support)学生支援事業  京都大学ホームページ (http://www.gssc.kyoto-u.ac.jp)学生総合支援センター  京都大学ホームページ (http://www.kyoto-u.ac.jp/health/kuhc-home.html)健康科学センター  京都大学ホームページ (http://www.kyoto-u.ac.jp/ja/profile/human_rights/about/harassment)ハラスメ ントの防止と対応について  薬学研究科・薬学部における人権問題及びハラスメントの防止等に関する内規(部外 秘・訪問調査時に閲覧可)  「人権を考えるために」および「京都大学におけるハラスメントの防止と対応につい て」のパンフレット(冊子)  京都大学ホームページ (http://www.kyoto-u.ac.jp/ja/education/campus/support/counselling) 学生総合支援センター障害学生支援ルーム  京都大学ホームページ (http://www.kyoto-u.ac.jp/ja/education/campus/support/access.htm) フリーアクセスマップ(バリアフリーマップ)  京都大学ホームページ (http://www.kyoto-u.ac.jp/ja/education/job) 学生総合支援センターキャリアサポートルーム  平成 25 年度企業合同会社説明会の資料  授業アンケート  京都大学薬学部進路アンケート  薬学専門実習書(冊子) – 33 –  「学研災付帯賠償責任保険加入者しおり」および「学生教育研究災害傷害保険加入者 のしおり」(冊子)  京都大学薬学研究科環境・安全衛生委員会の内規(部外秘・訪問調査時に閲覧可)  京都大学大学院薬学研究科教員候補者選考内規(部外秘・訪問調査時に閲覧可)  京都大学大学院薬学研究科助教候補者選考内規(部外秘・訪問調査時に閲覧可)  京都大学薬学研究科助教の講師昇任候補者選考内規(部外秘・訪問調査時に閲覧可)  京都大学大学院薬学研究科講師の准教授昇任候補者選考に関する内規(部外秘・訪問 調査時に閲覧可)  公募要領の例(直近の教授、准教授、助教の公募)  自己点検・評価報告書(平成 18 年 1 月)京都大学大学院薬学研究科・薬学部(冊子)  京都大学大学院薬学研究科・薬学部ホームページ (http://www.pharm.kyoto-u.ac.jp/research/research-profile/) 研究紹介  京都大学教育研究活動データベース (http://kyouindb.iimc.kyoto-u.ac.jp/view/)薬学研究科で検索  京都大学医学部附属病院薬剤部ホームページ (http://www.kuhp.kyoto-u.ac.jp/~yakuzai/staff.html)スタッフ  平成 25 年度薬学部・薬学研究科予算委委員会資料(部外秘・訪問調査時に閲覧可)  京都大学ポータル (https://www.tam2.adm.kyoto-u.ac.jp/portal/wps/myportal) 平成 26 年度科学研究費補助金の応募に係る事前アドバイスの希望調査について(ただ し、学外閲覧不可)  京都大学大学院薬学研究科・薬学部ホームページ (http://adm.pharm.kyoto-u.ac.jp/cgi-bin/kenkyu/index.cgi) 研究助成一覧  平成 25 年度京都大学若手研究者スタートアップ研究費の募集のポスター  京都大学薬学部・大学院薬学研究科における教育・研究活動等の質の向上及び改善の – 34 – 取り組みに関する内規(部外秘・訪問調査時に閲覧可)  平成 25 年度第1回新規採用教員研修会(研究費使用等)日程表  南西地区共通事務部組織体制  薬学研究科・薬学部事務部職員配置図  南西地区共通事務部座席表  薬学研究科教職員電話番号一覧  京都大学大学院薬学研究科・薬学部ホームページ (http://www.pharm.kyoto-u.ac.jp/research/facilities/library/) 薬学部図書室  京都大学附属図書館ホームページ (http://www3.kulib.kyoto-u.ac.jp/)  京都大学附属図書館ホームページ (http://kuline.kulib.kyoto-u.ac.jp/) 蔵書検索  京都大学図書館電子リソース (http://edb.kulib.kyoto-u.ac.jp/gakunaiej.html) 電子ジャーナル(学内限定) (http://edb.kulib.kyoto-u.ac.jp/gakunaidb.html) データベース(学内限定)  京都大学大学院薬学研究科・薬学部ホームページ (http://www.pharm.kyoto-u.ac.jp/blog/2013/05/20/2nd-medicinal-plants-tour/) 附属薬用植物園見学会  京都大学ホームページの英語版 (http://www.kyoto-u.ac.jp/en)  薬学研究科・薬学部ホームページの英語版 (http://www.pharm.kyoto-u.ac.jp/en/)  京都大学大学院薬学研究科・薬学部概要のホームページの英語版(2013) – 35 – (http://www.pharm.kyoto-u.ac.jp/en/outline/)  京都大学ホームページ (http://www.kyoto-u.ac.jp/ja/research/international/agreement/agreement.htm /)大学間学術交流協定締結状況  薬学研究科・薬学部ホームページ (http://www.kyoto-u.ac.jp/ja/research/international/agreement/list.htm) 部局間学術交流協定締結状況  平成 26 年度京都大学薬学部私費外国人留学生特別選考募集要項  留学生ハンドブック 2013/2014(冊子)  平成 25 年度ジョン万プログラムポスター  外部評価報告書(平成 15 年 7 月)京都大学大学院薬学研究科・薬学部(冊子)  薬学研究科・薬学部ホームページ (http://www.pharm.kyoto-u.ac.jp/outline/self-evaluation-assessment/) 自己点検・評価  特別実習シラバス(案) 4)評価のスケジュール 貴学科の薬学教育プログラム評価を以下のとおり実施しました。 平成25年1月18日 日本薬学会長井記念館会議室において、貴学科より担当者2名の出席の もと本評価説明会を実施 平成26年4月7日 貴学科より調書の草案の提出。機構事務局は内容を確認 4月30日 機構事務局より貴学科へ草案の確認終了を通知 5月9日 貴学科より「薬学教育評価申請書」の提出。機構は貴学科へ受理を通知 5月21日 貴学科より評価資料(調書および添付資料)の提出。各評価実施員へ評 価資料を送付、評価実施員は評価所見の作成開始 – 36 – ~7月10日 評価実施員はWeb上の薬学教育評価管理システムに各人の評価所見を 入力。主査はWeb上の各実施員の評価所見をもとに「評価チーム報告 書案」の素案を作成 7月23日 評価チーム会議を開催し、Web上で共有した主査の素案をもとに「評 価チーム報告書案」を作成 8月4日 評価チームは「評価チーム報告書案」を機構事務局へ提出。機構事務局 より貴学科へ「評価チーム報告書案」を送付 9月5日 貴学科より機構事務局へ「評価チーム報告書案に対する確認および質問 事項への回答」の提出。機構事務局はその回答を主査へ通知 9月16日 評価チーム会議を開催し、貴学科からの「評価チーム報告書案に対する 確認および質問事項への回答」を検討し、訪問時の調査項目を確認 10月9・10日 貴学科への訪問調査実施 10月18日 評価チーム会議を開催し、「評価チーム報告書」を作成 11月12日 主査会議を開催し、「評価報告書(委員長案)」の素案の作成 12月1日 評価委員会を開催、「評価報告書(委員長案)」を検討後、承認 12月22日 評価委員会を開催し、承認された「評価報告書(委員長案)」を決定 平成27年1月8日 評価委員会委員長・副委員長会議を開催し、決定された「評価報告書(委 員長案)」を、最終的に文言を整え「評価報告書(委員会案)」大学送 付版を作成 1月9日 「意見申立て」のため、貴学科に「評価報告書(委員会案)」を送付 1月28日 貴学科より「意見申立書」を受理 2月6日 評価委員会を開催し、意見申立てに対する「回答書」を決定 2月20日 評価委員会を開催し、回答書を反映させた「評価報告書原案」を作成 2月23日 貴学科へ意見申立てに対する「回答書」を送付 – 37 – 2月24日 「評価報告書原案」を総合評価評議会へ提出 3月3日 総合評価評議会を開催し、「評価報告書」を決定 3月10日 「評価報告書」を貴学科へ送付 – 38 –