2014年度 同志社女子大学 評価報告書
(様式 17) 薬学教育評 価 評価報告書 申請大学名 同志社女子大学薬学部 (評価実施年度)平成 26 年度 (作成日)平成 27 年3月3日 一般社団法人 薬学教育評価機構 Ⅰ.総合判定の結果 同志社女子大学薬学部(6年制薬学教育プログラム)は、薬学教育評価機構が定める「薬 学教育評価 評価基準」に適合していると認定する。 認定期間は、2022(平成34)年3月31日までとする。 Ⅱ.総 評 同志社女子大学薬学部は、優れた教育理念に基づき、薬剤師に対する社会のニーズを反映 した教育目的を掲げて6年制薬学教育を行っている。この教育目的に即したカリキュラム・ ポリシー(教育課程の編成・実施方針)に従い、教養教育、語学教育、導入教育、基礎薬学 系専門教育、臨床薬学系専門教育、実務実習教育、卒業研究および大学独自のアドバンスト 教育によって構成されるカリキュラムが設定されている。教養教育は、総合大学の利点を生 かした多様な科目が開講され、語学力を養う科目は5年次を除く全ての学年に開講されてい る。ヒューマニズム教育・医療倫理教育は、オリエンテーションでの「コミュニケーション・ マナー講座」に始まり、「早期体験学習」から「模擬病院・薬局実習」などの医療人教育に 至る教育が行われている。薬学専門教育は、ほとんどの科目を必修としておおむね適切に行 われている。実習科目の時間数、卒業研究に相当する「薬学研究」の実施期間と内容には問 題がなく、PBL(Problem Based Learning)、SGD(Small Group Discussion)などの 能動的学習方法を取り入れた授業も行われている。実務実習に関しては、事前学習、共用試 験の実施と評価、病院実習および薬局での実習内容、評価における施設の指導者との連携な どを含めて、基準に適合している。入学者の選抜、学生の成績評価、進級と卒業の判定につ いても、適正に行なわれている。また、学生に対する各種の支援体制は充実しており、身体 に障がいのある学生に対する充実した支援はこの大学の特色となっている。教員組織に関し ては、後述する問題点はあるが、教育研究に必要な専任教員を擁している。教育研究に必要 な施設設備は、卒論研究に使用する研究室が狭隘であることを除けば、適正に整備されてお り、図書の整備状況も基準に適合している。社会との教育研究上の交流は活発とは言えない が行われており、自己点検・評価についても必要最小限の体制は整えられている。 – 1 – 以上のように、同志社女子大学薬学部の薬学教育プログラムは、総合的に判断すると本機 構の評価基準に適合している。しかし、以下の重要な問題点が指摘される。 第1は、薬学教育モデル・コアカリキュラムの一部の重要な到達目標が、それにふさわし い専門科目で行われていないことである。薬学専門科目の内容を薬学教育モデル・コアカリ キュラムに準拠させることは、6年制薬学教育の基盤であるので、早急な改善が必要である。 第2は、「薬学研究」などの問題解決能力の醸成を目的とする科目や能動的学習において、 目標への達成度を測定する明確な指標とそれに基づく評価方法が確立されていないことで ある。該当する科目や能動的学習について、これらの問題点を解消することが必要である。 第3は、薬学専門科目を対象に行っている再試験実施の根拠となる規則、規程がないこと である。規定によらない再試験の実施は、成績評価の厳正さを保つ上で好ましいことではな いので、早急に再試験制度を規定すると共に、成績評価における厳正さの意味を教員全員で 確認することが必要である。 第4は、専任教員の職位と年齢の構成に偏りがあり、再任に関する基準が規定されていな い有期雇用で、授業担当が少ない特別任用助教が専任教員の1/3以上を占めているのに対 して、准教授と講師が極端に少ないことである。この状況を解消するため、若手教員の採用、 能力のある特別任用助教の昇格などにより准教授、講師を増やすなどの対応が必要である。 第5は、薬学部がこれまでに行っている自己点検・評価は第三者評価に対応するためのも ので、薬学部が教育プログラムの改善と発展を目指して、自主的で恒常的な自己点検・評価 を行っていないことである。本機構による今回の第三者評価に備えて行った自己点検・評価 の結果を基礎として、適切な評価項目を設定して、恒常的な点検・評価に取り組むことが望 まれる。 以上の重要な問題点については、自ら改善に取り組むことが必要であるが、それ以外の問 題点についても、今回の評価結果に基づいて改善に向けた取り組みを進め、薬学教育の向上 に努めることが望まれる。 – 2 – Ⅲ.『中項目』ごとの概評 1 教育研究上の目的 本中項目は、適合水準に達している。 同志社女子大学は学則第1条で教育目標を定め、「キリスト教主義」、「国際主義」、 「リベラル・アーツ」という教育理念を基盤とする各学部の教育目標とディプロマ・ポリ シー(学位授与方針)、カリキュラム・ポリシー、アドミッション・ポリシー(入学者受 入方針)を設定している。それらに基づいて設定された薬学部の教育目的は、「最先端の 薬学領域である医療や創薬現場で活躍できる研究能力をもち、幅広い教養と人間性、国際 性を兼ね備えた、高度医療に対応できる薬剤師を養成する」(学則)であり、医療を取り巻 く環境や薬剤師に対する社会のニーズを反映したものとなっている。これらの教育理念や 教育目標は、ホームページなど複数の媒体を介して教職員、学生に周知されており、同時 に社会に公表している。 薬学部の教育理念や教育目標の検証は、学長を中心とした全学体制で行われ、定期的な 検証は「常任委員会」、「評議会」、「全学教授会」で、長期的な検証は「常任委員会・ 夏期集中討議」で行なわれている。この体制は、学部には「教員会議」しか置かず、教授 会は大学全体で一つとし、重要な問題は常に全学で審議し決定するというこの大学独特の 制度に基づくものである。しかし、薬剤師の養成を目的とする唯一の教育課程である6年 制の薬学部教育には、4年制課程である他学部とは異なる教育体制を必要とする。薬学教 育が持つこのような特殊性を考えると、薬学部の教育研究目的やそれに基づく教育研究体 制などの検証や改善に関する検討を薬学部の判断と責任の下で行い、迅速に実行できる体 制が必要である。そのためには、薬学部の教育研究に関わる基本的な諸問題の検証やそれ らの改善策の検討においては、「自己点検・評価書」の[改善計画]で述べている「薬学部 運営委員会」の機能強化に加えて、薬学部の「教員会議」が学部の意思を決定する機関と しての役割を担うことができるように改善することが望まれる。 2 カリキュラム編成 本中項目は、おおむね適合水準に達しているが、カリキュラムの検討と改訂を速やかに – 3 – 行う体制が不十分であることが懸念される点として認められる。 同志社女子大学では、教育理念に基づいた「卒業までに身につけてもらいたい 10 の力 (DWCLA10)」として、「1.分析力、2.思考力、3.創造力、4.プレゼンテーショ ン力、5.コミュニケーション力、6.リーダーシップ力、7.思いやる力、8.変化対応 力、9.自己管理力、10.自己実現力」を掲げている。また、薬剤師に求められる 10 の資 質として、「1.薬剤師としての心構え、2.患者・生活者本位の視点、3.コミュニケー ション能力、4.チーム医療への参画、5.基礎的な科学力、6.薬物治療における実践的 能力、7.地域の保健・医療における実践的能力、8.研究能力、9.自己研鑽、10.教育 能力」が掲げられているので、これらを踏まえて薬学部では、下記1)~4)の「薬学 部カリキュラム・ポリシー」を定めて薬学教育カリキュラムを構築しており、それによ って学ぶことで全学生が薬学の知識を総合的に理解し、薬学部卒業に要求される「知識」、 「態度」、「技能」を身につけることができるとしていることは評価できる。 1)幅広い教養と国際社会で活躍できる能力を身につけるための教養・語学科目を配 置している。 2)学習モチベーション向上とコミュニケーション能力の醸成のための科目を配置し ている。 3)薬学の基幹となる知識、応用知識・技能を養成するための科目を配置している。 4)問題発見・解決能力の醸成のための科目を配置している。 薬学部では、カリキュラムの編成・実施の基本的な方針を「薬学部運営委員会」で検討 し、「薬学部教員会議」の審議を経て決定している。しかし、その決定事項は大学全体 の「カリキュラム委員会」を経て「全学教授会」で決議されることによって正式に認め られる。この体制は、カリキュラムの変更においても適用されるので、本評価基準が求 める「必要に応じた変更を速やかに行う」という点は不十分であり、カリキュラムに関 わる「薬学部教員会議」や「薬学部運営委員会」の権限と機能の強化を図ることが必要 である。 カリキュラムの編成・実施の方針は、学生や教職員に対しては「薬学部履修要項・シ ラバス」を配布することで周知しており、受験生や社会に対しては「大学案内」や大学 のホームページを通して公表している。しかし、「薬学部履修要項・シラバス」に掲載 – 4 – されている科目の配列順序には規則性がなく、開講年次も記載されていないため、「科 目配置表」を見なければ科目の開講年次を知ることができない。学生のカリキュラムに 対する理解度を深めるためには、「薬学部履修要項・シラバス」の編集を学生が教育体 系と各科目の内容との関係を把握しやすい形に見直すことが望まれる。 現行のカリキュラムは、上述したカリキュラム・ポリシーに沿ったものであり、「医 療人たる薬剤師」に求められる資質の育成にこの大学の理念が生かされている点が好ま しく、5年次以外すべての学年で英語教育プログラムを設定していることも評価できる。 しかし一方では、以下のような問題点が指摘できる。 同志社女子大学薬学部では、実務実習期間中に学生の基礎学力が低下することを防ぐ 目的で5年次に薬学基礎科目に関する学力の定着・向上を図るための補講を組み入れる ことを検討している。しかし、5年次で「実務実習」が行われていない期間は、卒業研 究に相当する「薬学研究Ⅱ」に専念できる重要な時期でもある。そのような時期に国家 試験準備教育となる補講を組み入れようとすることは、薬学教育に占める国家試験準備 教育の割合を高めることになる可能性が高い。また、6年次に国家試験準備教育を目的 とする「薬学特別演習」を置いていることに加えて、卒業研究に相当する「薬学研究Ⅱ」 に集中することが求められる5年次の実務実習以外の時期に、国家試験準備を意識した 基礎科目の補講を開設しようとする「改善計画」は、同志社女子大学薬学部の教育が「国 家試験準備のための教育」へ偏重傾向に向かうものであり、上述の改善計画は見直すこ とが望ましい。また、薬学専門科目をすべて必修科目としていることが、低学年の未修 得科目を上級学年にまで持ち越す原因であるとの自己点検・評価に基づいて、必修科目 の削減や、不合格必修科目の再履修が不利にならないような時間割編成の見直しを「改 善計画」に挙げている。不必要な必修科目を選択科目に変更する見直しは必要であるが、 「再履修する学生の利便性」を重視し、正規の履修者が不便になることがないよう配慮 することが望まれる。 同志社女子大学薬学部では、平成27年度から適用される新薬学教育モデル・コアカリ キュラムに対応するための検討に着手しており、その過程では薬学部独自の方法の導入 について大学当局と協議するとしている。中項目1で指摘した薬学教育の特殊性や、臨 – 5 – 機応変なカリキュラム改定の必要性に対する大学当局の理解を求め、薬学部独自の教育 方法が導入できるよう努めることが望まれる。 3 医療人教育の基本的内容 本中項目は、おおむね適合水準に達しているが、ヒューマニズム教育・医療倫理教育 などの目標達成度を評価するための指標を設定し、それに基づく適切な評価が行われて いないという懸念される点が認められる。 同志社女子大学薬学部では、医療人として生命に関わる薬学専門家に相応しい行動を 身につけるための教育を体系的に行っている。すなわち、オリエンテーションでの「コ ミュニケーション・マナー講座」に始まり、導入教育には「薬学概論」、「臨床医学概 論」、「看護・介護学概論」、「早期体験学習」を置き、「早期体験学習」では医療現 場の見学だけでなく、学内での調剤体験、PBLによる課題研究、見学の目的意識を高 めるための体験報告会の開催、薬害被害者の体験談を聞く機会を与えるなど、教育効果 を高める工夫をしている。2、3年次では、薬学専門科目の修得に重点を置いた教育を 行っているが、4年次には、医療人として、患者や医療提供者の心理、立場、環境を理 解し、相互の信頼関係を構築するために必要な教育を行う科目として、「内科学総論」、 「臨床検査学」、「医薬品情報学」、「薬事法規・ 制度」、「薬局管理学」を開講し、 実務実習の事前学習ではより実践的な教育を行って体系的な教育体制を整えている。し かし、シラバスを点検すると、「内科学総論」や「臨床検査学」の内容がヒューマニズ ム教育・医療倫理教育として適切であるとは言えないことや、基礎資料3-1の「ヒューマ ニズムについて学ぶ」に収載されている科目と「自己点検・評価書」の説明とが整合し ていないなどの問題点も見出されるので、それら科目の教育内容の再検討が望まれる。 ヒューマニズム教育・医療倫理教育の評価方法は、「早期体験学習」では体験発表会 のポスターの内容、「模擬病院・薬局実習」では、OSCE(Objective Structured Clinical Examination)に準じた方法で薬学教育モデル・コアカリキュラムに準拠した評価項目を 設定して個々の学生の技量を測定しているが、それら以外の科目では通常試験によって 評価しているので、ヒューマニズム教育・医療倫理教育の目標達成度を評価するための – 6 – 指標を設定し、それに基づき適切に評価することが必要である。なお、ヒューマニズム 教育・医療倫理教育に関する科目の単位数と本中項目の対象となるそれら以外の科目群 の単位数合計は卒業要件の1/5以上に設定されている。 教養教育科目に関しては、同志社建学の精神であるキリスト教主義に基づく人格教育、 リベラル・アーツ教育、国際主義教育を体現化した「共通学芸科目」、「キリスト教・ 同志社関係科目」、「外国語科目」、「スポーツ・健康科目」が設定され、それらの科 目は全学部の学生が受講できる。また、同志社大学や大学コンソーシアム京都に公開さ れている他大学の教養科目との単位互換制度もあることは評価できる。しかし、薬学部 における教養教育科目の履修必要単位数が少ないこともあって、薬学部学生が受講して いる教養科目には著しい偏りがあり、学生が上述した特色を学習に生かしているとは言 えず、学生がそれらの制度を活用した学習をするよう促すことが望まれる。 コミュニケーション力を醸成する教育では、新入生オリエンテーションでの「コミュ ニケーション・マナー講座」に始まり、「早期体験学習」では「接遇」と「マナー」に 関わるコミュニケーション講座と5コマのPBLによるプレゼンテーション力の養成教 育を行っている。さらに、上級学年でも、実験実習科目や「模擬病院・薬局実習」にP BLやSGDを組み込み、コミュニケーション能力やプレゼンテーション能力の醸成に 努めている。しかし、学生の能力に応じた少人数教育の指導に当たる要員が不足し、5、 6年次の学生をチューターとして活用することを計画している状況については、それら の改善に向けた取り組みが望まれる。また、コミュニケーション能力および自己表現能 力を身につけるための教育では、科目ごとの成績評価は適切に行われてはいるが、全体 としての目標達成度を評価するための指標を設定し、それに基づく適切な評価を行うよ うにすることが必要である。 語学教育では、必修科目として「英語講読IA、IB」、「英語コミュニケーションⅠ A、ⅠB」、「英語コミュニケーションⅡA、ⅡB」、「薬学英語A」、選択科目とし て「薬学英語B」、「医療薬学海外事情」を開講し、「読む」、「書く」、「聞く」、 「話す」の要素を取り入れた授業科目を用意している。しかし、選択科目では履修者は 少なく(4年次「薬学英語B」受講者7名)、期待通りの成果が上がっているとは言えな – 7 – いので、選択科目の履修者を増やす指導が望まれる。 薬学専門教育への準備教育としては、1年次春学期に「基礎数学」、「基礎化学」、 「基礎生物学」および「基礎物理化学」を開講し、1年次秋学期には「生物統計学」を 開講している。また、入学時に基礎学力調査を行い、学生の入学前学修歴等を考慮した 教育プログラムとして「生物」および「化学」の補講を土曜日に実施している。しかし、 それらの科目への出席率は経時的に低下しており、学生の勉学意欲を持続させるための 改善措置を講じることが望ましい。 「早期体験学習」では、学内で行う模擬調剤業務で薬学生であることへのモチベーシ ョンを高めた後、先進的医療に取り組んでいる病院と保険薬局を見学し、見学後にポー トフォリオを作成し、学習成果のポスター発表を行うことによって、知識の定着と今後 に向けた学習意欲の向上を図っている。しかし、薬学教育モデル・コアカリキュラムに 含まれている「早期体験学習」の到達目標の一部(製薬企業、行政機関などの見学)は、 形の上で「薬学特別演習」で実施することになっているだけで実質的には行われていな いので、「早期体験学習」において上記の見学先を追加することが望ましい。 「医療安全教育」に関しては、薬害、医療過誤、医療事故の概要、それらの背景、そ の後の対応および予防策・解決策に関する教育を「薬学概論」、「調剤学」、「薬事法 規・制度」、「医療安全性学」、「早期体験学習」および「実務実習事前学習ⅡB」で 行っており、薬害被害者や関連医療施設関係者などから直接に体験や意見を聞く機会を 設けている。しかし、製薬企業および保健衛生、健康に関わる行政機関の業務の役割、 保健、福祉の重要性について積極的に学ぶことができる機会は設けられていないので、 それらの機会を設けることが望ましい。 生涯学習の意欲醸成を目指す教育としては、医療現場で活躍する薬剤師などから生涯 学習の重要性について学ぶ機会を設けている。また、薬学部が開催する卒後研修会など に薬学部学生が参加できる機会が設けられており、テーマによっては比較的多数の学生 が聴講している。 – 8 – 4 薬学専門教育の内容 本中項目は、おおむね適合水準に達しているが、専門科目の教育内容の一部が、薬学 教育モデル・コアカリキュラムに準拠していないことが懸念される点として認められる。 同志社女子大学では、大学として統一した形式のシラバスが作られており、「授業目 標」が薬学教育モデル・コアカリキュラムの「一般目標」に相当し、「授業計画の内容」 には薬学教育モデル・コアカリキュラムの「到達目標」に対応する内容が記載されてい る。 提出された調書では、薬学教育モデル・コアカリキュラムの到達目標のすべてを開講 している授業科目で網羅していることになっている。しかし、全ての到達目標が6年次 の「薬学特別演習」に割り当てられている一方、この科目以外では扱われていない重要 な到達目標が「早期体験学習」の一部 や「相互作用」などに見出された。薬学教育で重 要な意味を持つ到達目標の一部を、それらを学ぶのに相応しい専門科目で扱わず、最終 学年で行う知識の総まとめ科目である「薬学特別演習」で教育することは不適切である。 また、座学である「薬学特別演習」で「技能」や「態度」に関わる到達目標を達成する ことは難しいので、「薬学特別演習」で薬学教育モデル・コアカリキュラムに含まれて いる全ての到達目標を対象にした復習を行うことは不可能である。これらの問題点を改 善するため、専門教育の内容を薬学教育モデル・コアカリキュラムに準拠させるようカ リキュラムを改訂することが必要である。 個々の授業科目については、それぞれの到達目標の学習領域(知識・技能・態度)に おおむね適した学習方法が用いられており、講義だけでなく、PBL、SGDなど能動 的な学習方法が必要に応じて採用されている。また、実験実習科目は、2、3年次に各 5科目の基礎系科目、4年次に2科目の臨床系科目を置き、内容と時間数の両面で基準 を満たしている。 基礎薬学の科目では、基礎と臨床の知見を相互に関連付けるよう、臨床との関連を示 す具体例を取り入れる配慮がなされていることがシラバスで確認できる。また、専門科 目の実施時期は、科目間の関連性に配慮して、学年の進行に伴って効果的な学習ができ るようなカリキュラムが構築されている。また、医師、看護師、管理栄養士、薬害被害 – 9 – 者などを必要に応じて講師に迎える授業が、複数の科目で行われている。 大学独自の薬学専門教育として、1年次に「臨床医学概論」、「看護・介護学概論」、 4年次に「薬局管理学」、「薬業経済学」を開講している他、6年次には専門領域の先 進的な問題を取り上げるアドバンスト科目となる12科目の「○○学特論」を開講してい る。 5 実務実習 本中項目は、おおむね適合水準に達している。 同志社女子大学薬学部では、実務実習事前学習を「実務実習事前学習」および「模擬 病院・薬局実習」として実施している。それらの科目の教育目標は、実務実習モデル・ コアカリキュラムに準拠したものになっており、学習方法、授業時間数、実施場所、指 導体制は適切で、事前学習の達成度は、実務実習モデル・コアカリキュラムに準拠した 評価項目に対して適切な指標を設定して評価している。また、事前学習終了から実務実 習開始までには空白期間が生じるため、実務実習開始の1週間前に「直前講習会」を実 施している。 薬学共用試験(CBT(Computer Based Testing)およびOSCE)は、薬学共用試 験センターの実施要項に基づいて行われており、学生が実務実習を行うために必要な能 力を修得していることは、薬学共用試験センターの提示した合格基準に基づいて確認し ている。また、薬学共用試験の実施時期、実施方法、合格者数および合格基準はホーム ページに公表されている。しかし、薬学共用試験の受験者数は公表されておらず、「自 己点検・評価書」にも記載されていなかったので記載する必要がある。 薬学共用試験は、「薬学共用試験実施委員会」が中心となって、公正かつ円滑に実施 されている。CBTを適正に行う施設と設備は整備されているが、OSCEの実施とそ れに先立つ演習および実務実習直前に行うアドバンスト演習に関しては、演習室や講義 室の確保が必ずしも容易ではないこと、事前学習の指導に当たる教員も少人数での指導 を行うには必ずしも十分とは言えないことが問題になっているので、それらの解消に向 けた取り組みが望まれる。その一方で、新人の模擬患者(SP)の育成とベテランSP – 10 – の技術力向上を目的とする講習会を年4~5回開催しているという優れた取り組みも行 われている。 実務実習は、「実務教育推進委員会」が中心となって、円滑な実施が図られている。 実務実習に先立って4年次学生に抗体検査を行い、予防接種が必要な者にワクチンの接 種を指導しており、実習直前の健康診断を5年次の4月に実施しているが、その受診率 は100%ではないので全員が受診するよう指導することが望まれる。訪問指導や学生のメ ンタル面でのサポートを担当する実習担当教員には、薬学部の全教員が当たっている。 学生の実務実習配属先の決定は、学生に対する希望アンケートの結果と近畿地区調整機 構による調整に基づいて公正に行われており、通学経路や交通手段にも配慮されている。 「ふるさと実習」も行われており、指導担当教員が実習期間中に原則3回の訪問を行っ て学生の指導やメンタル面のサポートを行っている。 実習施設としては、近畿地区調整機構が適切と認めた、適正な指導者や設備を有する 施設が選ばれており、施設側に何らかの不備が見出された場合には調整機構を通して対 応できる体制になっている。 実務実習の教育目標は、実務実習モデル・コアカリキュラムに準拠して設定されてお り、学習方法、時間数、場所等が実務実習モデル・コアカリキュラムに沿って実施され ていることは、実務実習担当教員が確認している。実務実習を11週間にわたって実施す ることは、実習施設と取り交わしている契約書に明記しており、教員の施設訪問や学生 の日誌等によって実習期間が守られていることを確認している。実習の具体的な実施内 容は、大学と施設との事前打ち合わせと訪問指導などで確認している。学生による関連 法令や守秘義務等の遵守に関する指導監督については、大学と実習施設との間であらか じめ協議され、適切に行われている。 実務実習の達成度評価に関しては、大学が設定した各項目の評価基準を学生と実習施 設の指導者にあらかじめ示し、大学と実習施設の指導者が連携して、適正に行っている。 また、学生、実習施設の指導者、教員の間で、実習内容、実習状況およびその成果に関 する評価のフィードバックを実習期間内に行っている他、実習終了後には、実習内容、 実習状況およびその成果に関する学生、実習施設の指導者、教員からの意見聴取を行っ – 11 – ている。実務実習の最終的な成績評価は、指導薬剤師からの5段階評価を受け、それを 含めて総合的な評価を大学の担当者が行っている。 6 問題解決能力の醸成のための教育 本中項目は、おおむね適合水準に達しているが、問題解決能力の醸成に関する目標達 成度評価に懸念される点が認められる。 同志社女子大学薬学部では、卒業研究に相当する教育を4〜6年次に開講する各4単位 の必修科目である「薬学研究Ⅰ〜Ⅲ」として行っている。4、5年次に行われている「薬 学研究Ⅰ」および「同Ⅱ」においては、それぞれの終了時に提出されるレポートを指導教 員が評価して、個別に単位を認定している。6年次に行う「薬学研究Ⅲ」では、6年次の 秋学期開始前日(9月下旬)に開催する「研究発表会」(ポスター発表)で成果を発表し、 「薬学研究Ⅰ、Ⅱ」の結果を結び付けた内容の「卒業論文」を作成している。「卒業論文」 の多くは「薬学研究ⅠおよびⅡ」のレポートの内容との関連が見られ、「卒業論文」が上 記の趣旨に沿って作成されていることが確認された。「卒業論文」の評価は、上記の研究 発表会における質疑応答(副査が担当する口頭試問)に基づく5段階評価と、「卒業論文」 の主査、副査による審査(研究目的や成果ならびに医療や薬学における位置づけを明確に 理解しているかが対象)に基づいて行われる。このように、卒業研究は十分な期間と目的 に適う内容で行われているが、「卒業論文」によって評価されるのは6年次の「薬学研究 Ⅲ」の成績だけであり、それ以前に確定しているⅠとⅡの評価との関連づけがないので、 卒業研究に相当する「薬学研究」全体を通して評価基準を設定して、これに基づいて評価 を行う必要がある。 卒業研究以外で行っている問題解決能力の醸成を目指す教育としては、複数の専門科目 にPBLなどの能動的学習方法を導入し、それらの科目における能動的学習の評価は、学 習に取り組む態度、結果に関するレポート、ポスターによる発表等を対象にして行ってお り、「薬理学実習」で行われている結果に対する検討に用いられている評価方法は特に優 れている。しかし、それらの科目でPBL形式の授業を学生の能力差に対応させて行うた めの教員数が十分とは言えない状況にある。これは、問題解決能力の醸成を目指す教育の – 12 – 充実に不可欠な問題であり、改善に取り組む努力が望まれる。 「問題解決能力の醸成を目指す教育の実質的な時間数が18単位以上」としているが、根 拠としている「薬学研究」以外の教科の科目単位数であり、それぞれの授業時間に占める 問題解決型学習の実質的な実施時間数に基づくものではない。それらの授業における問題 解決型学習の実質的な実施時間数を示す根拠はないが、問題解決型学習の実質的な実施時 間数が18単位以上にならないと考えられるので、対応する授業を増すことが望まれる。 7 学生の受入 本中項目は、適合水準に達している。 同志社女子大学薬学部では、教育目標に基づき、入学者受入方針(アドミッション・ ポリシー)となる「本学薬学部が求める学生像」として、以下の1)~9)を設定して いる。 1)医療人としての薬剤師に魅力を感じている者 2)医療現場以外の薬学関連領域で活躍したいと強く希望している者 3)病に苦しむ弱者の立場を思いやることができる人間性を育むことのできる者 4)責任感が強く、医療人としての協調性を育むことのできる者 5)物事を科学的かつ客観的に判断できる能力を育むことができる者 6)知的好奇心と学習意欲を持ち、自己研鑽に努力を惜しまない者 7)地道な努力を継続していける者 8)人としての基本的なマナーを身につけている者 9)薬学では化学物質である薬物そのものおよび薬物と生体の相互作用を理解しなけ ればならないので、高校で少なくとも化学と生物を履修した者 この「入学者受入方針」(アドミッション・ポリシー)は、「薬学部教員会議」で作 成した原案を、大学の「入試委員会」、「常任委員会」、「評議会」、「全学教授会」 で協議し承認されたもので、全学的な責任体制の下で作成されたものである。このアド ミッション・ポリシーは、入試ガイドやホームページ等を通じて公表し、オープンキャ ンパス、高校訪問、入試相談会等を通じ、入学志願者に対して事前に周知している。 – 13 – 同志社女子大学では、入学者選抜の公平さ、公正さを保つため、全学的な組織である 「入試委員会」と「入学センター」を中心にして業務を行い、システムの見直し・改善 を図っている。このため、入学試験の合格者決定も、大学の「入試委員会」が作成した 合否判定原案を「全学教授会」で協議して決定するという、学部学科が関与しない体制 で行っている。しかし、薬学教育が、他学部とは異なる6年制の学部教育で行われるこ と、前述の「薬学部が求める学生像」への適否の判断は薬学関係者でなければ難しいと 思われることなどから、「薬学部教員会議」がより主体的に入学志願者の評価と受入れ に関わることが望ましい。 入学者選抜は、様々な区分で行われているが、大学入試センター試験利用入試以外の 自らが行う入学試験では、大学全体の方針で理科を1教科しか含まない2教科型や3教 科型の入試が採用されており、「薬学部が求める学生像」の9)が正しく評価できてい るとは言えない。この点に関しては、入学者の基礎学力を入学後の基礎学力調査などで 判断し、それぞれに適した指導を行っていること(中項目3)や留年生や退学者の動向調 査の結果から、現状の入学試験でも必要な基礎学力を有している学生を入学させること ができているとしている(訪問調査時の質疑応答)が、「薬学部が求める学生像」(ア ドミッション・ポリシー)と入学試験制度に整合性を図ることが望まれる。また、 前期・ 後期日程の「一般入試」、「大学入試センター試験利用入試」や公募制の「推薦入試S」 を除く入試では、面接試験を行っている。 最近6年間の入学者数をみると、入学定員数の1.15倍を上回っている年があるので、 入学定員を遵守するよう配慮することが望ましい。 8 成績評価・進級・学士課程修了認定 本中項目は、おおむね適合水準に達しているが、明確な規程に基づくことなく再試験 が行われているなど、成績評価の厳正さを保つ体制に懸念される点が認められる。 同志社女子大学における成績評価の基準は、学則によって「60%未満不合格、60%以 上可、70%以上良、80%以上優、90%以上秀」と定められ、「履修要項・シラバス」に 明記して学生に周知している。また、個々の科目についての成績評価の方法もシラバス – 14 – に明記され、学生に周知している。通常の講義科目の大部分は客観テストを行い、成績 評価基準に基づく評価を科目担当教員が行っている。「実務実習」は、実習施設との連 携の下で厳正に評価され(中項目5)、「薬学研究」は、レポートと研究発表会や卒業論 文によって評価されている(中項目6)。 薬学部では、学力不足を補う必要から、薬学専門科目を対象にして再試験を行ってい る。しかし、同志社女子大学には再試験の制度はなく、薬学部が行う再試験の実施要領 等は規則によって明確に規定されていない。また、訪問調査で閲覧した試験成績の記録 には、一部の科目で再試験の扱いや成績の評価に厳密さを欠いていると判断される例や、 定期試験の全問題が複数年で同一であり、成績分布が高得点に偏っている科目も見出さ れた。このような状況は、成績評価の厳正さを損なうことにつながることが懸念される ので、薬学部における再試験の実施とその要領を定める明確な規則を早急に整備する必 要がある。 成績評価の結果は、必要な関連情報と共に、当事者である学生ならびに保護者に通知 されており、成績に疑義がある場合の申立て制度が設けられ、全学体制として教務部が 対応している。 薬学部では、1から4年次までの各学年について、進級基準や留年の場合の取り扱い を厳密に設定している。それらについては、入学時にオリエンテーションで説明すると 共に、「薬学部履修要項・シラバス」に明記して、学生に周知している。進級の可否は、 進級基準に基づいて薬学部が作成した原案によって「全学教授会」で審議し、公正かつ 厳格に判定している。留年した学生に対しては、アドバイザー・アドバイジー制度によ るきめ細かい指導が行われている。また、留年生は上位学年配当の授業科目は履修でき ず、その学年までの未修得科目の単位取得に専念するようになっている。学生の在籍状 況(留年・休学・退学など)は入学年次別に分析され、学生の留年、休学、退学などに ついては、アドバイザーの教員が必要に応じて相談に当たるなど、適切な対策がとられ ている。 同志社女子大学薬学部では、教育理念や教育目標に基づいて以下の1)~3)の学位 授与の方針を設定している。 – 15 – 1)知識:薬学の知識を総合的に理解し、想定される卒業後の進路である医療機関、 製薬企業、医療行政などの職種・業種を問わず、常に科学的根拠に基づいて問題 点を発掘し、解決できる能力を修得している。 2)態度:薬の専門家として医療社会に貢献するため、生涯にわたる積極的な自己研 鑽によってその知識と技能を高め続ける態度を身につけている。 3)技能:医療機関、製薬企業、医療行政などの幅広い専門職に柔軟に対応できる高 度な専門技能を身につけている。 この学位授与方針は、「薬学部教員会議」で作成した原案が、大学の「常任委員会」、 「評議会」、「全学教授会」の協議を経て承認されたものであり、「履修要項・シラバ ス」に収載して学生と教職員に周知し、ホームページに掲載して社会に公表している。 学士課程の修了認定、すなわち卒業判定は、学則に定める卒業要件単位の取得を基準 としており、この条件を満たさない学生は留年(卒業延期)となる。卒業判定は、上記 の基準に基づき「全学教授会」で審議し決定するという全学体制で行われ、卒業判定は 「薬剤師国家試験の対応を意識することなく、適正な時期に公正かつ厳格に行っている」 とされている。しかし、卒業者の決定に関しては、以下のような問題が指摘できる。す なわち、6年次秋学期に必修科目として置かれている「薬学特別演習」は、薬剤師国家 試験に準じた内容で行われる2回の試験の合否によって単位が認定されることになって おり、この試験が不合格になれば卒業要件が満たされないため卒業できない。また、訪 問時に閲覧した卒業判定に関わる資料では、評価対象年度に卒業延期になった学生の大 部分で「薬学特別演習」の未修得が卒業延期の理由となっていた。この実態は、国家試 験の準備教育科目と考えられる「薬学特別演習」の試験が実質的な卒業試験となり、卒 業の可否がこの試験の合否で決定されていることを意味している。したがって、必修科 目の「薬学特別演習」のみの未修得で卒業できないという卒業認定の実態は、学位授与 方針に基づく学士課程修了認定が行なわれていないことを意味しているので、改善する ことが望まれる。 「教育研究上の目的に基づいた教育における総合的な学習成果の評価」は、「薬学研 究」、「実務実習」および「薬学特別演習」を評価対象とし、それぞれに適切な基準を – 16 – 設けて行っていると説明されている。しかし、教育研究上の目的に基づいた総合的な学 習成果は評価されておらず、目標達成度を評価するための指標を設定し、それに基づい て評価することが望まれる。 9 学生の支援 本中項目は、適合水準に達している。 同志社女子大学薬学部では、入学者に対して「新入生オリエンテーション」などの薬 学教育の全体像を俯瞰できるような導入ガイダンスを行っている。この行事には上級生 のリーダーが参加し、履修登録の方法などについて自らの経験を活用したきめ細かな指 導を行っており、優れた取り組みと評価できる。在学生を対象とした履修に関するガイ ダンスは、各学年の開始時に行っている他、実習、卒業研究、実務実習事前学習などに ついては個別にガイダンスを行っている。 薬学部では、入学までの学修歴等に応じて、1年次に基礎学力を補充・向上させる基 礎教育科目6科目を履修させている他、2013年度からは化学、物理、生物、数学のプレ イスメント・テストを実施して基礎学力を把握し、それに基づくリメディアル教育を実 施すると共に、教員による個別指導と学修ポートフォリオによるきめ細かな履修指導や 学習相談を行っている。入学後の学力補強対策については今後改善する方向であるが、 教育方法と同時に、中項目7で示されているような、入学者の基礎学力を適正に評価す るための入学選抜制度の検証と改革に向けた検討が望まれる。 ビデオ撮影された主要な必修科目について、本学部ホームページ「薬学の広場」からダ ウンロードして復習することで、授業内容への理解を深め学力向上を図る取り組みを行 っていることは評価できる。 学生に対する経済的な支援は、「学生部学生課」が情報提供窓口となって行われてお り、奨学金等の情報を学生に周知することで、大学独自の奨学生制度と独立行政法人日 本学生支援機構による奨学金および学外諸団体による奨学金を、多数の学生が利用して いる。 学生の心身の健康保持・増進のため、「学生相談室」に臨床心理士が、「保健室」に – 17 – は看護師が常駐している。これらの体制については、入学時のオリエンテーションとク ラス担任のガイダンスによって学生に周知している。また、健康管理のため、各学年の 4月に「健康診断」を実施しており、全学生に受診するよう指導しているが、3、4年 次学生の受診率がやや低く、指導の徹底が望まれる。 同志社女子大学は、各種のハラスメント防止のためにそれぞれに対応したガイドライ ンと内規を制定している。ハラスメント問題に対応する相談窓口としては、「学生課」 や「総務課」への申し出に加えて、「学内相談員」や学外の相談員に申し込むことも可 能になっている。また、ハラスメント防止に関する取り組みについての学生への周知は、 「学生生活のしおり」や学生課に設置のリーフレット「Stop harassment 同志社女子大 学でのハラスメントの防止について」によって行っている。 同志社女子大学では、身体に障がいのある受験生に対して平等な受験機会を提供して おり、施設・設備に関するバリアフリー化が進んでいる。また、聴覚障がいのある学生 の学修支援には先進的な体制を整えている。すなわち、授業聴講に関しては、大学とし て、一般の学生を中心とする支援ボランティアによるパソコンテイカー(1名の障がい 者当たり2名)を用意している他、参加型実務実習においては、筆談による指導の徹底、 音声認識装置を活用した支援を行っている。この点は、身体に障がいがある学生に対す る優れた支援体制として、高く評価できる。 卒業後の進路選択に関しては、全学機関として「キャリアサポートセンター」や「キ ャリアサポート委員会」が設置されている他、薬学部独自の進路相談窓口として「就職 対策委員会」を設置している。 同志社女子大学には、学生の意見を収集するための全学的組織として「学生会」があ り、大学は「学生会」の要望に対して、積極的に対応している。また、新入生や在学生 に対するアンケートを行い、収集された意見は、全学的機関である「教育・研究推進セ ンター」が分析し、対応している。「授業アンケート」は、「教育・研究推進センター」 の主任会や各科目区分の責任者が分析した結果にコメントを付してフィードバックして いる。このように、学生の希望や意見を大学の教育や学生生活に反映するために必要な 基本的な取り組みは行われている。 – 18 – 実験・実習および課題研究等に必要な安全教育は、実習担当教員や研究室主宰教員に よって行われている。実験を伴う授業の安全確保については、学生実習では60名程度の 学生を3~6名の教員が指導する体制になっており、卒業研究では、各研究室に配属さ れた学生(20名程度)に対して原則3名の教員が指導に当たっている。また、「薬学部 教育研究における防災安全の手引」が学生と教職員に周知され、「学生教育研究災害傷 害保険」および「学研災付帯賠償責任保険」に全学生が加入している。 10 教員組織・職員組織 本中項目は、おおむね適合水準に達しているが、専任教員の職階、年齢などの構成比 率に懸念される点が認められる。 同志社女子大学薬学部の専任教員数は41名であり、教授の人数を含めて大学設置基準 を満たしている。また、いわゆる実務家教員は7名(内1名はみなし教員)で文部科学 省が要求している人数を満たしている。しかし、その構成を見ると、定年である65歳を 超えた、5年が任期の「特別任用教授」7名と原則として5年間が雇用限度であり、再 任に関する基準が規定されていない「特別任用助教」15名が含まれ、専任教員の半数以 上がそれらの教員で占めている上に、准教授と講師は各2名と著しく少ない。さらに、 15名の特別任用助教は、中心的業務が従来の助手の業務に相当するものであり、授業担 当時間が講師以上の教員に比べて著しく少なく、実習指導を除く授業の大部分を26名の 講師以上の教員(内7名は特別任用教授)で担当している。この他、特別任用教授は大 学運営に関わる委員には就任しないため、それ以外の教員への大学運営に関わる業務の 負担が増しているという問題もある。このような状態を解消するため、特別任用教授に 代わる若手の教授、准教授(あるいは講師)の補強を重点とする専任教員の増員によっ て専任教員の職階、年齢などの構成比率の適正化が必要である。 専任教員には、教育、研究能力に関する優れた実績を求める「教員任用規程」に適合 した、専門分野に関する教育研究上で優れた実績を有する者が採用されている。専任教 員は専門分野の学会に所属して学術論文や著書を執筆しており、直近の教育研究業績か らも、専門分野に関する優れた知識・経験および高度の技術・技能を有する者であるこ – 19 – とが確認できる。専門科目の授業は、それぞれの分野に適した専任教員が担当している が、先に指摘したように、実習を除く専門教育科目の大部分を、特別任用助教を除く26 名の教員に依存しているという問題点があり、教員の増員が望まれる。 教員の採用および昇任は、「同志社女子大学教員任用規程」に基づいて行われている。 教員の新規採用は、公募に応じた候補者を対象にして、学部の「教員選考委員会」が研 究、教育両面から多角的に審査して選考し、その結果を大学の「評議会」、「全学教授 会」(人事の場合は教授のみで構成)で審議して決定している。昇任の場合も、学科の 教員会議の議を経て推薦された候補者について、新規採用の場合と同様に審査されてい る。これらの審査過程では、研究業績のみに偏ることなく、教育上の指導能力等が十分 に反映された審査を行っている。 専任教員は、教育および研究能力の維持・向上に取り組み、教育目標を達成するため の基礎となる研究活動を行っている。教育研究活動の実績は大学が毎年作成する「教員 研究・教育活動等報告書」に収載し、ホームページで公表している。薬剤師としての実 務の経験を有する専任教員(いわゆる実務家教員)が常に新しい医療に対応するための 研鑽は教員個人の努力で行われているが、臨床系教員が外部の医療施設(可能な限り先 端的な研修が可能な大病院)での研修を行えるような体制を学部として構築することが 望ましい。 研究環境に関しては、講座の研究室が一応整備されているものの、一部の非実験系教 員の研究指導用セミナー室や、学生が卒業研究を行う実験スペースは十分ではない(中 項目11参照)。研究費については標準的と判断される額が実験実習費と合わせて講座に 対して配分されている。外部の競争的研究資金を獲得するための体制として、科学研究 費の申請に関する説明会が行われており、外部資金情報提供のためのメールマガジンも 定期的に発行されている。 教員の授業担当時間については、適正な範囲に収まっていると判断できる。しかし、 先に述べたように、授業担当の少ない特別任用助教の割合が多いため、教授、准教授、 専任講師の授業担当時間が相対的に多くなっている。若手研究者である助教の授業担当 時間が少ないことは、研究に時間を充てるためには望ましいことではあるが、専任教員 – 20 – の1/3以上を占める特別任用助教が、教育への寄与において従来の助手とあまり変わ らない扱いになっていることは好ましいことではない。以上の問題点の改善を図ると共 に、特別任用助教がステップアップに必要な教育の経験を積むことができるよう、能力 のある者には積極的に講義科目を担当する機会を与えることや、適切な評価を行って講 師、准教授への昇格を考慮することなどで、授業担当教員の教育負担の不均衡を減じる ことが望まれる。 教員の教育研究能力の向上を図る機構として、全学規模の「教育・研究推進センター」 を設置して、FD(Faculty Development)講習会を行っている。このセンターの主な活 動は、全学規模の啓発的FD活動と、学生による授業アンケートへの対応と結果の分析、 さらには教員による相互授業参観の企画などであり、薬学教育プログラムに直接関わる 内容はない。また、薬学部独自のFD活動は行われていない。したがって、薬学部独自 のFD講習会を企画・実施するなどの改善が望まれる。 事務組織には、教育活動の実施支援に必要な資質および能力を有する職員が配置され ている。薬学部の事務職員は、日本私立薬科大学協会の「学生部長会」や「教務部長会」 に参加して情報を把握し、薬学部の教育研究活動の支援を図っている。また、2011年よ り毎年、「教職員合同研修会」を開催して教員と職員が連携して資質向上を図っている。 11 学習環境 本中項目は、おおむね適合水準に達しているが、卒業研究に使用する研究室が狭隘で あることなど、懸念される点が認められる。 同志社女子大学薬学部における、講義室、演習室の規模と数は、おおむね適正であり、 参加型学習のための少人数教育に使用できる教室も4室確保されている。実習・演習を 行うための施設(実験実習室、情報処理施設、動物飼育室、RI教育研究施設、薬用植 物園など)の規模と設備も、おおむね適切である。実務実習モデル・コアカリキュラム に準拠した実務実習事前学習を実施するための施設(模擬薬局・模擬病室等)・設備は 適切に整備されている。しかし、4〜6年次生が卒業研究に相当する「薬学研究Ⅰ~Ⅲ」 に取り組むための研究室のスペースが、実験系、非実験系研究室共に著しく不足してい – 21 – る。この問題は、「自己点検・評価書」でも「教員の研究スペースと共通であると共に、 実験機器や試薬・器具も設置されているため、学生が卒業研究を行うためのスペースは 著しく狭い」と自己評価していることでもあり、早急な改善が必要である。また、薬学 共用試験のOSCEを実施する施設が薬学部にはなく、図書館棟の講義室等を利用する などの便宜的措置がとられている。このような状況は、試験課題に対する機密保持の観 点から好ましいことではなく、薬学部としての施設の整備が望まれる。その他、学生の 授業アンケートにおける施設に対する満足度が、薬学部では他学部より低くなっており、 その原因についての検討とその結果に基づく改善が望まれる。 図書館は全学共通の施設として設置され、教育研究上の目的に沿った教育研究活動に 必要な図書および学習資料(電子ジャーナル等)は、基本的に整備されている。また、 館内には自習室としてキャレル82席の他に約500席設置されている。図書室・資料閲覧室 および自習室の利用時間は、適切に設定されている。 12 社会との連携 本中項目は、適合水準に達している。 同志社女子大学薬学部は、奈良県立医科大学、国立病院機構南京都病院、医療法人社 団石鎚会と学術交流等に関する包括協定を締結する他、京都府薬剤師会とも連携して、 医療および薬学の発展および薬剤師の資質向上に貢献する活動を行っている。また、学 外の企業や医療機関の研究者を大学で指導する「学術研修員制度」を設け、産官学と連 携した研究活動を進めており、新しいニーズの発掘やシーズの開発にも取り組んでいる。 薬学部の歴史が浅いため、薬剤師として社会で活躍する卒業生は少ないが、卒業生を 含む薬剤師の資質向上を図るための取り組みとして、生涯学習講座を開設している。ま た、地域住民に対しては、「模擬患者活動の実際」という講習会を開催し、大学の教育 への地域の参画も進めている。しかし、地域の薬剤師に対する研修や地域住民との関わ りが盛んであるとは言えない状態であり、今後の活動の充実と発展が望まれる。 海外に向けた情報発信のため英文のホームページが作成されているが、大学全体の紹 介を中心とする簡素なものであり、薬学部の教育と研究に関する情報の発信は十分では – 22 – なく、内容の充実が望まれる。その他の国際的な活動としては、米国ミシガン大学薬学 部や南カリフォルニア大学と協定を結び、薬学部学生の海外研修を行っている。教員の 海外研修については、大学の「教育・研究推進センター」が所管する1年間の在外研究 制度があるが、薬学部教員の利用実績はなく、有期雇用である特別任用助教はこの制度 の対象外であるので、在外研修が必要な若手教員がこの制度を活用できるような環境整 備が望まれる。 13 自己点検・評価 本中項目は、おおむね適合水準に達しているが、薬学部独自の自己点検・評価体制に 懸念される点が認められる。 同志社女子大学は、大学として自己点検・評価に関する規程を設けており、全学規模 での自己点検・評価を行う組織としては、大学の常任委員会構成員からなる「全学自己 点検・評価委員会」を設置している。この委員会は、同志社女子大学としての将来に向 けた改善・改革案を集約して検討することを任務としており、委員には外部の有識者2 名が含まれている。 薬学部には、常置されている自己点検・評価の組織はなく、6年制薬学教育で求めら れている自己評価と外部評価にはワーキング・グループを設置して対応している。今回 の本機構が実施する第三者評価に先立つ自己点検・評価を行うため、大学企画部長を委 員長としてワーキング・グループを再編成し、薬学部長、医療薬学科主任、薬学部教員 5名などをメンバーとして、本機構の評価基準に基づく点検評価を行った。なお、2014 年度には大学基準協会による機関別評価を受けており、それに対応した自己点検・評価 も別途実施している。 しかし、薬学部が行っている上記の自己点検・評価はいずれも、外部評価に対応する ことを目的とするものであるので、本機構が求めている、薬学部として薬学教育プログ ラムの諸問題を継続的に自己点検・評価し、常に問題点を見出し、改善を図ることで薬 学教育の向上を目指す自己点検・評価体制を構築することが必要である。なお、これま でにこの大学が取り組んだ自己点検・評価の結果は、ホームページで公表されている。 – 23 – 自己点検・評価の結果が教育研究活動に反映されている状況については、大学全体と しての自己点検・評価システムの取り組みとして「同志社女子大学検討課題」が常任委 員会で審議されており、薬学部に関する課題として、「高度専門職薬剤師の養成を目指 した戦略的実践型教育の実施」や「学部学科の設置趣旨や社会的要請に適応した人間形 成のためのカリキュラムの構築」について検討を行っていると説明されている。しかし、 薬学部独自で自己点検・評価を行った結果が教育研究活動に生かされたという例は示さ れていない。薬学部が、他学部とは異なり、医療人の養成を目的とする6年制学部教育 を行う部局であることを自覚し、学部独自で自らの教育プログラムの向上と発展を目指 す、主体的な自己点検・評価に取り組み、その結果を薬学の教育研究活動の改善と発展 に反映させる努力が必要である。 Ⅳ.大学への提言 1)長所 (1)身体に障がいのある学生に対して、実務実習において筆談による指導や、音声認 識装置の活用を図るなどの支援を行える優れた体制を整えている。(9.学生の支 援) 2)助言 (1)教育研究の目的など、薬学部における教育研究の基本に関わる事項の検証と改善 に、薬学部が主体性と責任をもって取り組むことができる体制の構築が望ましい。 (1.教育研究上の目的) (2)「薬学部履修要項・シラバス」の構成を、学生が教育体系と各科目の内容との関 係を把握しやすい形に改善する(例えば、学年ごとに順序よく記載するなど)と共 に、学生が教育体系全体を把握できるようなカリキュラム・マップを示すことが 望ましい。(2.カリキュラム編成) (3) 実施を予定している、5年次の実務実習のない時期に行う薬学基礎科目の補講は、 – 24 – 学生が卒業研究の一部である「薬学研究Ⅱ」に専念する意欲と時間を減らしてし まうことが懸念される。薬学基礎科目に関する知識の定着は、 補習ではなく、学 生が「実務実習」や「薬学研究Ⅱ」の学習過程で基礎専門科目の重要性を認識し、 自ら学習するよう配慮することが望ましい。(2.カリキュラム編成) (4)「内科学総論」、「臨床検査学」のシラバス内容はヒューマニズム教育・医療倫理 教育に関するSBOs(Specific Behavioral Objectives)に対応しておらず、 これらの科目をヒューマニズム教育・医療倫理教育とすることは適切ではなく、 改めることが望ましい。(3.医療人教育の基本的内容) (5)新入生の基礎学力を補う目的で実施している授業への出席率低下を防ぐための有 効な対応策を講じることが望ましい。(3.医療人教育の基本的内容) (6)「早期体験学習」において、製薬企業、行政機関などの見学が「薬学特別演習」 に割り当てられており、実質的には行われていないので「早期体験学習」にこれ らの見学を加えることが望ましい。(3.医療人教育の基本的内容) (7)6年次の「薬学特別演習」が薬学教育の全体の総まとめを行う科目であることを 示すために、薬学教育モデル・コアカリキュラムの全ての到達目標を機械的に割 り当てていることは好ましくない。「薬学特別演習」については、この科目の目的 と内容を正確に表す説明を行うことが望ましい。(4.薬学専門教育の内容) (8)実務実習に参加する学生全員が直前に健康診断を受診するようにすることが望ま しい。また、3、4年次学生の健康診断受診率がやや低いので、受診指導を徹底 することが望ましい。(5.実務実習、9.学生の支援) (9)事前学習において、少人数教育を実施するために必要となる教員数の不足を解消 することが望ましい。(5.実務実習) (10)「自己点検・評価書」で指摘している、PBL形式の授業に対応できる施設およ び教員の充実に努めることが望ましい。(6.問題解決能力の醸成のための教育) (11)入学者の選抜に際しては、入学定員の1.15倍を超えないよう配慮することが望ま しい。(7.学生の受入) (12)「薬学部が求める学生像」(アドミッション・ポリシー)と入学試験制度に整合 – 25 – 性を図ることが望まれる。(7.学生の受入) (13)合格者の決定に薬学部の意向がより大きく反映するような入試制度の見直しが望 ましい。(7.学生の受入) (14)臨床系教員が外部の医療施設(可能な限り先端的な研修が可能な大病院)での研 修を行えるような体制を学部として構築することが望ましい。(10.教員組織・ 職員組織) (15)教員の授業担当時間数に見られる大きな差を減じることが望ましい。(10.教 員組織・職員組織) (16) 薬学部独自のFD活動に早急に取り組むことが望ましい。(10.教員組織・職 員組織) (17)OSCEの実施施設を薬学部内に整備することが望ましい。(11.学習環境) (18)若手の薬学部教員が在外研究制度を利用できるような環境を整備することが望ま しい。(12.社会との連携) 3)改善すべき点 (1)【観点2-2-3】が求める迅速なカリキュラムの検討と変更が可能になる体制とする ため、カリキュラムに関わる「薬学部教員会議」や「薬学部運営委員会」の権限 と機能の強化を図ることが必要である。(2.カリキュラム編成) (2)「ヒューマニズム教育・医療倫理教育」「コミュニケーション能力および自己表現 能力を身につけるための教育」に含まれる科目について、それぞれの目標達成度 を評価するための指標を設定し、それに基づく適切な評価を行うようにすること が必要である。(3.医療人教育の基本的内容) (3)「早期体験学習」の必須項目や「相互作用」に関わる内容など、薬学教育で重要な 意味を持つ項目が形の上で「薬学特別演習」に割り当てられているが実質的には 行われていないことは不適切である。専門科目の実際の教育内容が薬学教育モデ ル・コアカリキュラムに準拠したものとなるよう、カリキュラムを改訂すること が必要である。(4.薬学専門教育の内容) – 26 – (4)共用試験の受験者数を「自己点検・評価書」に記載することが必要である。(5. 実務実習) (5)「薬学研究Ⅰ、Ⅱ」およびそれ以外の問題解決能力の醸成を目指す科目について、 それぞれの目標に対する到達度に対する明確な指標を立て、それに基づいて評価 を行う体制を整えることが必要である。(6.問題解決能力の醸成のための教育) (6)薬学部が、単位認定に関わる再試験を明確な規程に拠らずに実施していることは 成績評価の厳正さを保つ上で不適切であり、再試験の実施とその要領を明確に定 めた規程を設けることが必要である。(8.成績評価・進級・学士課程修了認定) (7)専任教員の職階、年齢などに関わる構成比率の適正化を図り、授業の主担当者と なる教員の実数を増すため、定年を過ぎた特別任用教授の交代、能力のある特別 任用助教の昇格などを含めた教員組織の再編を進めることが必要である。(10. 教員組織・職員組織) (8)卒業研究に使用する研究室の狭隘さを早急に解消することが必要である。(11. 学習環境) (9)本機構では、薬学教育プログラムの改善と発展を目指して、薬学部が主体的で恒 常的な自己点検・評価に取り組むことを求めている。今回の本機構による第三者 評価に対応して行った自己点検・評価の成果を基礎に、薬学部独自の自己点検・ 評価体制を構築し、自らで評価項目を設定し、恒常的な点検・評価に取り組むこ とが必要である。(13.自己点検・評価) – 27 – Ⅴ.「同志社女子大学薬学部に対する認定評価結果」について 平成24年度第一回全国薬科大学長・薬学部長会議総会において同志社女子大学薬学部 (以下「貴学部」)が本機構の実施する「薬学教育評価」に申請することが承認され、同 26年5月13日付「薬学教育評価申請書」を以って平成26年度に実施する本評価の対象大 学として決定しました。申請された件について、評価チーム・評価委員会・総合評価評 議会において慎重に評価した結果をⅠからⅣのとおり報告します。 貴学部が、本機構の「薬学教育評価 評価基準」(以下、「評価基準」)に基づき、 薬学教育プログラムを自己点検・評価して作成した「自己点検・評価書」を前提として、 本機構は書面調査および訪問調査を実施し、貴学部の意見を十分に検討したうえで、評 価結果を作成しました。 提出された資料についても不足分がある場合は、直ちに提出していただきました。不 明な点については、訪問調査前に質問事項として、回答していただきました。また、評 価者には、教育活動等の経験豊富な者を薬科大学・薬学部および日本薬剤師会・日本病 院薬剤師会から推薦していただき、その上で、本機構が実施する研修会を受講していた だいた評価実施員登録者から選出された者を配し、さらに、外部有識者も加わり、厳正 に評価しました。 評価はピア・レビューを基盤とし、本機構が設定した「評価基準」への適合状況を提 出された資料や訪問調査に基づき、万全を尽くして評価しました。 1)評価の経過 ピア・レビューを基本とする評価を行うために5名の評価実施員(現職教員4名、就業 薬剤師1名)からなる「評価チーム」を編成し、チームに主査・副査を配しました。 書面調査では評価チームの各評価実施員が個別に評価し、それをもとに評価チーム会議 で主査を中心に「評価チーム報告書(案)」と質問事項をまとめました。その「評価チ ーム報告書(案)」と質問事項を貴学部に送付し、回答をいただきました。その後、10 月2日および3日に、その回答に基づき確認を目的として訪問調査を実施しました。訪 問調査では、質問事項を聴取し、現状を確認するとともに、貴学部との意見の交換、学 – 28 – 生および若手教員との意見交換、施設設備の見学および授業参観などを実施し、それら に基づいて主査を中心に「評価チーム報告書」を完成しました。 作成された「評価チーム報告書」を尊重し、主査会議において「評価報告書(委員会 案)」の素案を作成し、評価委員会に諮りました。2度の評価委員会の審議結果をもと に「評価報告書(委員会案)」を作成し、貴学部に送付しました。事実誤認および公表 するときに誤解されやすい表現があるかなどを中心に検討していただいた貴学部からの 「意見申立て」を評価委員会で検討し、その結果を反映させた「評価報告書原案」を決 定し、評価の最高意思決定機関である総合評価評議会に提出しました。 総合評価評議会は「評価報告書原案」を慎重に審議し、平成 27 年 3 月 3 日に「評価報告 書」を確定し、理事長に提出しました。この「評価報告書」は理事長名を付して、貴学部 に送付するとともに社会に公表し、文部科学省および厚生労働省に報告します。 なお、この評価の経過は「4)評価スケジュール」に示すとおりです。 2)「評価結果」の構成 貴学部に提示する「評価結果」は「Ⅰ.総合判定の結果」、「Ⅱ.総評」、「Ⅲ.『中項目』 ごとの概評」、「Ⅳ.提言 (1)長所、(2)助言、(3)改善すべき点」で構成されて います。 「Ⅰ.総合判定の結果」には、貴学部の薬学教育プログラムを「評価基準」に基づき、 13 の『中項目』について評価した結果、総合的にその「評価基準」に適合しているか否 かを記しています。 「Ⅱ.総評」には、貴学部の理念に基づいた教育研究上の目的の達成状況を示し、そ の上で、長所・特長、問題点等を記しています。 「Ⅲ.『中項目』ごとの概評」には、1~13 までの『中項目』ごとに『中項目』にある 【基準】・【観点】に対する充足状況について整理し、長所と問題点を含めて記していま す。 「Ⅳ.提言」は、「(1)長所」、「(2)助言」、「(3)改善すべき点」で構成されてい ます。「(1)長所」は、貴学部がその特色ある優れた取り組みをさらに伸長するために – 29 – 示した事項です。学科として制度・システムが作られているのみならず、機能し、成果 が上がっており、他大学の模範となるものです。「(2)助言」は、貴学部の理念に相応 しい教育研究上の最低要件は充たしているものの、更なる教育研究上の目的を達成する ために一層の改善努力を促すために提示するものです。義務として改善報告書の提出を 求めるものではありませんが、改善・改革の努力が求められるもので、その対応は貴学 部の判断に委ねられ、本評価では対応状況の報告の提出が求められます。一方、「(3) 改善すべき点」は、薬学教育プログラムとして最低要件を充たしていない、もしくは改 善への取り組みが十分でないという事項に対し、貴学部に義務的に改善を求めるもので す。なお、本評価においては、早急にこれを是正する措置を講じるとともにその結果を 「改善報告書」として取りまとめ、本機構が提示した日までに提出することが必要とな ります。 今回提示した各指摘は、貴学部からの「自己点検・評価書」および「基礎資料」をも とにした書面調査および訪問調査の結果から導かれたもので、「自己点検・評価書」作成 時を評価基準時とするため、必ずしも貴学部の最新動向を踏まえたものとは言えないか もしれませんが、前述の「意見申立て」の機会を設け、可能な限り実態に即するよう留 意しました。なお、本評価報告書と調書(「自己点検・評価書」と「基礎資料」)をホー ムページに公表するにあたり、「自己点検・評価書」ならびに「基礎資料」の誤字脱字、 記載ミスなどを収載した正誤表も合わせて公表します。 3)提出資料一覧 (調書) 自己点検・評価書 薬学教育評価 基礎資料 (添付資料) 同志社女子大学学則(平成 25 年 4 月 1 日) 同志社女子大学ホームページ – 30 – 「大学紹介:大学の精神 教育方針:学部学科 教育方針」 (http://www.dwc.doshisha.ac.jp/about/admission_policy/faculty.html) 学生受入状況における志願者数等について 入学試験結果 同志社女子大学大学案内 2014 薬学部医療薬学科パンフレット 2014 薬学部履修要項・シラバス 2013 2013 年度薬学部新入生のしおり 2013 年度憩水会だより 第 7 号 常任委員会・2013 年度夏期集中討議報告書 文部科学省ホームページ 薬学系人材養成の在り方に関する検討会(第 16 回) 配付資料資料 6 薬学教育モデル・コアカリキュラムの基本理念と利用上の留意点について(案) (http://www.mext.go.jp/b_menu/shingi/chousa/koutou/039/siryo/1342960.htm) 全学共通科目 講義内容(シラバス)2013 開講科目表・時間割表 2013 早期体験学習発表ポスター発表掲示の写真 早期体験学習報告書 学年別授業科目 同志社大学および同志社女子大学の単位互換に関する申合せ 単位互換に関する包括協定書(大学コンソーシアム京都) 2013 年度薬学部時間割 全学共通科目 講義内容(シラバス)2013 「薬学研究Ⅰ、Ⅱ」の論文提出について 2013 年度「薬学研究」要旨作成要領 研究室配属の学生の学会参加等について(申し合わせ) – 31 – 研究室配属学生の学会参加(非発表者)・講演会参加について(申し合わせ) 同志社女子大学ホームページ「在学生の方へ」 「英語自主学習システムを使いたい」 ACLNetAcademy2(Windows) (http://www.dwc.doshisha.ac.jp/current/) 第 4 回同志社女子大学薬学部海外病院・薬局研修(2013) 南カリフォルニア大学プログラム 研修報告書 南カリフォルニア大学との契約書 DWCLA 国際交流ガイド International Programs2013 2013 年度薬学部時間割 2013 年度プレイスメントテスト大学報告書 早期体験学習 レポートの提出について 奈良県立医科大学と同志社女子大学の学術交流に関する包括協定書 奈良県立医科大学・同志社女子大学 学術交流に関する包括協定に基づくシンポジウ ム(第 1 回~第 7 回) 独立行政法人国立病院機構南京都病院と同志社女子大学との学術交流等に関する包括 協定書 医療法人社団石鎚会と同志社女子大学との学術交流等に関する包括協定書 薬学専用ホームページ 薬学の広場 Vivi link (http://yaku.dwc.doshisha.ac.jp/) 薬学教育モデル・コアカリキュラム等の SBOS に該当する科目 同志社女子大学ホームページ「講義内容(シラバス)検索」 (http://campusinfo.dwc.doshisha.ac.jp/syllabus/main.html) 奈良県立医科大学と同志社女子大学の学術交流に関する包括協定書 2013 年度病院・薬局実務実習 4 年次の実務実習事前学習スケジュール 同志社女子大学ホームページ – 32 – 「学部学科・大学院:医療薬学科:学科トピックス」 (http://www.dwc.doshisha.ac.jp/faculty_dep_info/pharmacy/clinical/topics/20 13/post-5.html) 薬学共用試験(CBT および OSCE)における連携体制 各実習施設の指導薬剤師と本学教員との責任体制 2013 年度実務実習先および担当教員一覧表 2013 年度病院・薬局実務実習 実務実習指導・管理システムマニュアル 大学教員用/実習生用 2013 年度病院・薬局実務実習 2013 年度薬学研究発表会要旨集 オープンキャンパス等の学部説明会資料 入試ガイド 2014 2014 年度各種入学者選抜募集要項 2013 年同志社女子大学新入生アンケート報告書 在籍学生数 アドバイジー・指導学生記録 新入生オリエンテーション資料 2013 年度リメディアル補習講座 日程のお知らせ 学生生活のしおり 2013 同志社女子大学ホームページ 「学生生活:学生生活サポート:奨学金制度」 (http://www.dwc.doshisha.ac.jp/school_life/support/ scholarship/index.html) 同志社女子大学ホームページ 「学生生活:学生生活サポート:サポート制度:健康管理(心とからだ)」 (http://www.dwc.doshisha.ac.jp/school_life/support/support_system/health_ca re.html) – 33 – 2013 年度学生定期健康診断受診結果(薬学部) 同志社女子大学ハラスメント防止等に関する内規 同志社女子大学ハラスメント防止等のためのガイドライン リーフレット「Stop harassment 同志社女子大学でのハラスメントの防止について」 パソコンテイカ―募集チラシ 同志社女子大学ホームページ 「学生生活:学生生活サポート:サポート制度:障がい学生支援」 (http://www.dwc.doshisha.ac.jp/school_life/support/support_system/disabled. html) 音声変換システム(Amivoice)(製品説明書 ホームページより) 同志社女子大学キャリアサポート委員会規程 2012 年度進路・就職関係データ集 同志社女子大学ホームページ 「キャリア・資格:キャリア・就職」 (http://www.dwc.doshisha.ac.jp/job_qualifications/career/index.html) チラシ「薬学業界セミナーのおしらせ」 2013 年度学生会からの要望に対する回答 2013 年同志社女子大学新入生アンケート報告書 2013 年同志社女子大学在学生アンケート 授業アンケート実施要項・実施様式(2013 年度春学期) 薬学部履修要項・シラバス 2013 薬学部教育研究における防災安全の手引 学生教育研究災害傷害保険 加入者のしおり 学研災付帯賠償責任保険 加入者のしおり 教員・事務職員数 薬学部教員配置表(実務家教員に「実」印) 同志社女子大学特別任用教授規程 – 34 – 専任教員の教育・研究業績 同志社女子大学特別任用助教規程・同志社女子大学特別任用助手規程 同志社女子大学ホームページ 「学部学科・大学院:薬学部:医療薬学科:ニュース一覧」 (http://www.dwc.doshisha.ac.jp/faculty_dep_info/pharmacy/clinical/news/2012 /62.html) (http://www.dwc.doshisha.ac.jp/faculty_dep_info/pharmacy/clinical/news/2013 /63.html) 授業科目における専兼比率 専任教員の担当授業時間および時間数 専任教員の年齢構成 同志社女子大学教員任用規程 教授昇任基準に関する申合せ及び教授昇任基準(薬学部) 2008−2012 論文リスト 2008−2012 著書リスト 2008−2012 学会発表リスト 教員研究・教育活動等報告書 2013 同志社女子大学ホームページ 「学部学科・大学院:薬学部:医療薬学科:教員紹介」 (http://www.dwc.doshisha.ac.jp/faculty_dep_info/pharmacy/clinical/faculty.h tml) 2013 年度薬学部研究室予算について 卒業研究の配属状況 講義室等の数と面積 薬学部教員担当時間表 The Dreams of DoRIS 2013 薬学部 科学研究費助成事業(平成 25 年度)、2013 年度外部研究資金受入一覧 – 35 – 授業アンケート実施、評価結果のフィードバック、授業評価報告の公開概要 同志社女子大学ホームページ 「学部学科・大学院:FD 推進事業:授業アンケート・教員コメント」 (http://www.dwc.doshisha.ac.jp/faculty_dep_info/development/quest.html) 新任教員入社前オリエンテーション開催報告(「FD レポート」第 7 号より) FD 啓発誌「FD レポート」第 7 号 FD 講習会概要(「FD レポート」第 7 号より) 教員による授業参観概要(「FD レポート」第 7 号より) 同志社女子大学事務機構規程 クレド 同志社女子大学職員研修内規 第3回同志社女子大学教職員合同研修参加アンケートまとめ 憩水館(薬学部実験実習棟)図面 卒業研究の配属状況 2013 年度薬学部学術研修員 南カリフォルニア大学との協定書 DWCLA 国際交流ガイド International Programs 2013 同志社女子大学自己点検・評価規程 同志社女子大学ホームページ 「大学紹介:大学情報:認証評価」 (http://www.dwc.doshisha.ac.jp/about/attestation.html) 「学部学科・大学院:薬学部:医療薬学科:学科トピックス:自己評価 21」 (http://www.dwc.doshisha.ac.jp/faculty_dep_info/pharmacy/clinical/topics/20 11/21.html) 同志社女子大学の意思決定の仕組み 同志社女子大学常任委員会規程 同志社女子大学検討課題 2013 年 11 月 常任委員会 – 36 – 同志社女子大学の将来構想へ向けた方針・方策 同志社女子大学ブランド管理委員会内規 ブランド構築アクションプラン 4)評価のスケジュール 貴学部の薬学教育プログラム評価を以下のとおり実施しました。 平成25年1月15日 日本薬学会長井記念館会議室において、貴学部より担当者3名の出席の もと本評価説明会を実施 平成26年4月11日 貴学部より調書の草案の提出。機構事務局は内容を確認 4月30日 機構事務局より貴学部へ草案の確認終了を通知 5月14日 貴学部より「薬学教育評価申請書」の提出。機構は貴学部へ受理を通知 5月23日 貴学部より評価資料(調書および添付資料)の提出。各評価実施員へ評 価資料を送付、評価実施員は評価所見の作成開始 ~7月18日 評価実施員はWeb上の薬学教育評価管理システムに各人の評価所見を 入力。主査はWeb上の各実施員の評価所見をもとに「評価チーム報告 書案」の素案を作成 7月25日 評価チーム会議を開催し、Web上で共有した主査の素案をもとに「評 価チーム報告書案」を作成 8月13日 評価チームは「評価チーム報告書案」を機構事務局へ提出。機構事務局 より貴学部へ「評価チーム報告書案」を送付 9月5日 貴学部より機構事務局へ「評価チーム報告書案に対する確認および質問 事項への回答」の提出。機構事務局はその回答を主査へ通知 9月18日 評価チーム会議を開催し、貴学部からの「評価チーム報告書案に対する 確認および質問事項への回答」を検討し、訪問時の調査項目を確認 10月2・3日 貴学部への訪問調査実施 – 37 – 10月24日 評価チーム会議を開催し、「評価チーム報告書」を作成 11月12日 主査会議を開催し、「評価報告書(委員長案)」の素案の作成 12月1日 評価委員会を開催し、「評価報告書(委員長案)」を検討後、承認 12月22日 評価委員会を開催し、承認された「評価報告書(委員長案)」を決定 平成27年1月8日 評価委員会委員長・副委員長会議を開催し、決定された「評価報告書(委 員長案)」を、最終的に文言を整え「評価報告書(委員会案)」大学送 付版を作成 1月9日 「意見申立て」のため、貴学部に「評価報告書(委員会案)」を送付 1月30日 貴学部より「意見申立書」を受理 2月6日 評価委員会を開催し、意見申立てに対する「回答書」を決定 2月20日 2月23日 価委員会を開催し、回答書を反映させた「評価報告書原案」を作成 貴学部へ意見申立てに対する「回答書」を送付 2月24日 「評価報告書原案」を総合評価評議会へ提出 3月3日 総合評価評議会を開催し、「評価報告書」を決定 3月10日 「評価報告書」を貴学部へ送付 – 38 –
