2017年度 岩手医科大学 改善報告審議結果
「Ⅳ.大学への提言」に対する改善報告についての審議結果 大学名:岩手医科大学薬学部 本評価実施年度:2017(平成 29)年度 2023 年1月 18 日 一般社団法人 薬学教育評価機構 総合評価評議会 「改善すべき点」に対する改善報告への審議結果 ※検討所見以外は提出された改善報告書のまま記載しています。 1 ■改善すべき点への対応について 改善すべき点(1) (1)改善すべき点が指摘された『中項目』 2.カリキュラム編成 (2)指摘事項 国家試験対策に偏重したカリキュラム編成となっているので、カリキュラム・ポ リシーに沿った編成に改善すべきである。 (3)本評価時の状況 6 年次のカリキュラムでは、平日の午前中に「総合講義」、「総合演習」が開講さ れており、卒業研究の時間が制限されていた(資料 1)。また、単位化されていな い「総合演習」が正規科目を実施すべき時間帯に組み込まれていた(112 コマが 4 月から 10 月の午前中に設定)。 (4)本評価後の改善状況 本学のカリキュラム・ポリシーには、「薬学実習および卒業研究を通して、薬学研 究の重要性を認識し、科学的・論理的な思考力、課題発見・解決能力を養うとともに、 学ぶ姿勢や自己研鑽能力を身につけます」と定めている。このため、最終学年であ る 6 年次の卒業研究に学生が十分に集中して取り組むことができるように、講義が 行われる日と卒業研究を行う日を区別し、更に、卒業研究は 1 限から 4 限まで連続 して配置して集中して取り組むことが出来るようにカリキュラムの編成を変更した (資料 2-1、2-2、2-3)。この変更は、2018 年度より行い、今年度まで継続している。 更に単位化されていなかった「総合演習」については、単位を付与した正規科目と して設定し、シラバスにも記載を行い、「総合講義」と連動して、学生が効率的に学 ぶことができるように改めた(資料 2-1)。なお、2018 年度より、4 年次に行う卒業 研究 1 と 5・6 年次に行う卒業研究 2 を設定し、シラバスに明記しその実体を学生や 社会に対して公表している(資料 3-1)。また、卒業研究の期間は、授業日程として シラバスに記載して学生に周知している(資料 3-2、3-3)。 (5)改善状況を示す根拠となる資料等(以下に記述した資料は別添のとおり) 資料 1:平成 28 年度(2016 年度)シラバス(改善前)「薬学部第 6 学年授業日程(抜 粋)」 資料 2-1:平成 30 年度(2018 年度)シラバス(改善後)「薬学部第 6 学年授業日程 (抜粋)」 資料 2-2:平成 30 年度(2018 年度)臨床薬学総合演習シラバス 資料 2-3:平成 30 年度(2018 年度)臨床薬学総合演習授業出欠 2 資料 3-1:本学ホームページ https://www.iwate-med.ac.jp/education/information/r3/ 資料 3-2:令和 3 年度(2021 年度)第 4 学年シラバス(授業日程) 資料 3-3:令和 3 年度(2021 年度)第 5・6 学年シラバス(授業日程) 検討所見 改善すべき点(1)は、本評価時において、6年次のカリキュラムが国家試験対策に 偏重した編成となっていた状況に対して、改善を求めたものである。 この指摘に対して、大学は上記(4)の対応をとり、講義の実施日と卒業研究の実施 日を区別して、卒業研究に1限から4限まで連続して取り組むことが出来るように時 間割を変更した。また、単位化されていなかった「総合演習」を正規科目として単位化 した。 以上のことは、上記(5)の根拠資料から確認できた。6年次の時間割を変更して卒 業研究の効果的な実施を図ったことは評価できるが、単位化されていない「特別演習」 が6年次4〜11 月の平日に合計 100 コマ新設されており、国家試験対策への偏重につ いての改善はいまだ不十分である。指摘の趣旨を踏まえた改善をさらに進めることを 望む。 3 改善すべき点(2) (1)改善すべき点が指摘された『中項目』 3.医療人教育の基本的内容 (2)指摘事項 ヒューマニズム・医療倫理教育に関連する科目において、目標達成度を総合的に 判定する指標を設定し、評価を行う必要がある。 (3)本評価時の状況 自己点検・評価書においてヒューマニズム教育・医療倫理教育に関連する科目とし て示したのは、「生命倫理学」、「医療における社会・行動科学」、「医療面接の基礎」、 「薬学入門」、「チーム医療リテラシー」、「医療倫理とヒューマニズム」、「臨床医学 概論」の 7 科目 9 単位である(資料 4)。これらの科目は、独自に到達目標を設定し、 成績判定を実施していた(資料 5)。 (4)本評価後の改善状況 令和 3 年度(2021 年度)のヒューマニズム・医療倫理教育に関連する科目は、「医 療における社会・行動科学」が 1 年次から 2 年次に変更(令和元年度より)、「早期臨 床体験:医療人としてのヒューマニズム」を 2 年次に新設(平成 30 年度より)とい う変更を行っている(資料 6、7)。本学では、卒業時コンピテンス・コンピテンシー を本学卒業生が卒業時に身につけるべきものとして学則や学位授与方針に則り定め ることを進めている。薬学部においても、令和 3 年度に「岩手医科大学薬学部コン ピテンシー」を定めた(資料 8)。更に、卒業時コンピテンシーの達成度を 1 年次か ら 6 年次までの全ての履修科目において共通かつ総合的に判定するために「コンピ テンシー達成ロードマップマトリックス」を作成した(資料 8)。これにより、ヒュ ーマニズム・医療倫理教育に関連する科目のみならず、全ての履修科目に対して、 年次進行にともない体系的に目標達成度を総合的に判定することが可能となった。 今後、この共通する達成目標を各科目の評価に結びつける取り組みを進める予定で ある。なお、医療倫理に関するコンピテンスは、「Ⅰ.医療倫理と医療安全」の領域 において「岩手医科大学薬学部の学生は、卒業時に「誠の人間」としての態度を身 につけ、医療人としての倫理観を備え、患者・生活者の視点を考慮し、個人の尊厳、 権利、守秘義務を遵守して行動することができる」とし、サブコンピテンスとして 「生命倫理」、「研究倫理」、「薬学関連の法規・制度」、「感染対策」の 5 つを定めてい る。これらのサブコンピテンスについては、それぞれに評価基準のレベル設定を行 っている。 (5)改善状況を示す根拠となる資料等(以下に記述した資料は別添のとおり) 資料 4:平成 29 年(2017 年度)5 月自己点検・評価書(改善前) 4 資料 5:平成 28 年度(2016 年度)シラバス(改善前) 資料 6:令和元年度(2019 年度)シラバス 資料 7:平成 30 年度(2018 年度)シラバス 資料 8:令和 3 年度(2021 年度)第 16 回薬学部定例教授会議事録 検討所見 改善すべき点(2)は、本評価時のヒューマニズム・医療倫理教育に関連する科目に おいて、目標達成度を総合的に判定する指標に基づく評価が行われていなかった状況 に対して、改善を求めたものである。 この指摘に対して、大学は上記(4)の対応をとり、令和3年度に「岩手医科大学薬 学部コンピテンシー」を定め、卒業時コンピテンシーの達成度を1年次から6年次まで の全ての履修科目において共通かつ総合的に判定するために「コンピテンシー達成ロ ードマップマトリックス」を作成し、「Ⅰ.医療倫理と医療安全」の領域にヒューマニズ ム・医療倫理教育に関するコンピテンシーを設定している。 以上のことは上記(5)の根拠資料から確認できたので、目標達成度の評価指標は設 定されたものと判断する。今後さらに、ヒューマニズム・医療倫理教育の学修成果を総 合的に評価するための指標としての妥当性を検証し、この指標に基づく評価が適切に 実施されることを期待する。 5 改善すべき点(3) (1)改善すべき点が指摘された『中項目』 3.医療人教育の基本的内容 (2)指摘事項 コミュニケーション能力、自己表現能力を身につけるための科目において、目標 達成度を総合的に判定する指標を設定し、評価を行う必要がある。 (3)本評価時の状況 コミュニケーション能力、自己表現能力を身につけるための科目として示したの は、1 年次の「多職種連携のためのアカデミックリテラシー」の 1 科目 2 単位であ るが、関連する科目として 3 年次の「看護体験実習」や 4 年次の「医療倫理とヒュ ーマニズム」を挙げていた。しかし、これらの科目は、独自に到達目標を設定し、 成績判定を実施していた(資料 4)。 (4)本評価後の改善状況 前述の「改善すべき点(2)」にあるように、卒業時コンピテンシーおよびその達成 のためのロードマップマトリックスを策定しており、全ての履修科目に対して、年 次進行にともにない体系的に目標達成度を総合的に判定することが可能となった (資料 8)。今後、この共通する達成目標を各科目の評価に結びつける取り組みを進 める予定である。なお、コミュニケーション能力に関するコンピテンスは、「Ⅳ. コ ミュニケーション能力とチーム医療」の領域において「岩手医科大学薬学部の学生 は、卒業時に患者・生活者、他職種から有益な情報を収集および提供するための適 切なコミュニケーション能力を有し、医療施設や地域におけるチーム医療に積極的 に参画することができる。」とし、サブコンピテンスとして「医療面接」、「コミュニ ケーションスキル」、「インフォームドコンセント」、「チーム医療」の 5 つを定めて いる。これらのサブコンピテンスについては、それぞれに評価基準のレベル設定を 行っている。 (5)改善状況を示す根拠となる資料等(以下に記述した資料は別添のとおり) 資料 4:平成 29 年(2017 年度)5 月自己点検・評価書(改善前) 資料 8:令和 3 年度(2021 年度)第 16 回薬学部定例教授会議事録 6 検討所見 改善すべき点(3)は、本評価時のコミュニケーション能力・自己表現能力を身につ けるための科目において、目標達成度を総合的に判定する指標に基づく評価が行われ ていなかった状況に対して、改善を求めたものである。 この指摘に対して、大学は上記(4)の対応をとり、令和3年度(2021 年度)に「岩 手医科大学薬学部コンピテンシー」を定め、卒業時コンピテンシーの達成度を1年次か ら6年次までの全ての履修科目において共通かつ総合的に判定するために「コンピテ ンシー達成ロードマップマトリックス」を作成し、「Ⅳ. コミュニケーション能力とチ ーム医療」の領域にコミュニケーション能力・自己表現能力に関するコンピテンシーを 設定している。 以上のことは上記(5)の根拠資料から確認できたので、目標達成度の評価指標は設 定されたものと判断する。今後さらに、コミュニケーション能力・自己表現能力を身に つけるための教育の学修成果を総合的に評価するための指標としての妥当性を検証し、 この指標に基づく評価が適切に実施されることを期待する。 7 改善すべき点(4) (1)改善すべき点が指摘された『中項目』 4.薬学専門教育の内容 (2)指摘事項 シラバスに、各科目の到達目標は示されているが、コアカリのSBOsとの対応に ついて記載がなく、また、本薬学部のカリキュラムの構成とコアカリの関係が学生 や社会から見て分かりにくいので、シラバスの授業内容にコアカリのSBOsを記 載することが必要である。 (3)本評価時の状況 シラバスに各科目の到達目標を示しているが、コアカリのSBOsとの対応につ いての記載はない(資料 9)。 (4)本評価後の改善状況 平成 30 年度の教科課程部会、教務委員会および教授会において、シラバスの各科 目の到達目標にコアカリの通し番号を付記することが審議・承認された(資料 10)。 これに基づき作成された次年度以降のシラバスの各科目の到達目標には全てコアカ リの通し番号が記載されており、対応のない到達目標については(☆)のマークを 付けることとなっている(資料 11)。また、シラバスは本学のホームページから社会 に対して公開されている(資料 3)。 (5)改善状況を示す根拠となる資料等(以下に記述した資料は別添のとおり) 資料 9:平成 28 年度(2016 年度)シラバス(改善前) 資料 10:平成 30 年度(2018 年度)第 13 回薬学部定例教授会議事録 資料 11:令和元年度(2019 年度)シラバス 資料 3:岩手医科大学ホームページ https://www.iwate-med.ac.jp/education/information/r3/ 検討所見 改善すべき点(4)は、本評価時のシラバスの到達目標にコアカリのSBOsとの対 応が明示されていなかったことに対して、改善を求めたものである。 この指摘に対して、大学は上記(4)の対応をとり、シラバスの各科目の到達目標に コアカリの通し番号を記載し、対応のない到達目標については(☆)のマークを付ける ように変更した。 以上のことは上記(5)の根拠資料から確認できたので、指摘された問題点は改善さ れたものと判断する。 8 改善すべき点(5) (1)改善すべき点が指摘された『中項目』 4.薬学専門教育の内容 (2)指摘事項 コアカリの各SBOsが示す知識、技能、態度にふさわしい学習方略で教育が行 われていないところがあるので、改善すべきである。 (3)本評価時の状況 コアカリのC2(4)-1-6「分光分析法を用いて、日本薬局方収載の代表的な医薬 品の分析を実施できる。(技能)」、D1(2)-3-3「食生活や喫煙などの生活習慣と 疾病の関わりについて討議する。(態度)」、D2(2)-1-5「人が生態系の一員であ ることをふまえて環境問題を討議する。(態度)」、E2(1)-2-3「知覚神経、運動 神経に作用する代表的な薬物の効果を動物実験で測定できる。(技能)」のSBOs については、実習等で学習すべき内容が講義のみで教授されているので、改善が必 要である(資料 12)。 (4)本評価後の改善状況 C2(4)-1-6「分光分析法を用いて、日本薬局方収載の代表的な医薬品の分析を 実施できる。(技能)」については、2 年次の薬学実習 1(分析化学)にて技能の修得 を目的に実施することが、令和元年度(2019 年度)より行われている(資料 13)。 D1(2)-3-3「食生活や喫煙などの生活習慣と疾病の関わりについて討議する。 (態度)」およびD2(2)-1-5「人が生態系の一員であることをふまえて環境問題 を討議する。(態度)」については、3 年次「保健衛生学」および 2 年次「環境衛生 学」にて討議を含めた授業形式により態度の修得を目的に実施することが、令和元 年度(2019 年度)より行われている(資料 13)。E2(1)-2-3「知覚神経、運動 神経に作用する代表的な薬物の効果を動物実験で測定できる。(技能)」について、 令和 4 年度(2022 年度)より薬学実習 2(薬理学)にて技能の修得を目的に実施す ることが予定されている(資料 14)。 (5)改善状況を示す根拠となる資料等(以下に記述した資料は別添のとおり) 資料 12:平成 28 年度(2016 年度)コアカリと科目の対応表(改善前) 資料 13:令和元年度(2019 年度)シラバス(改善後) 資料 14:令和 3 年度(2021 年度)第 16 回薬学部定例教授会議事録 9 検討所見 改善すべき点(5)は、本評価時において、実習で学習すべきコアカリSBOsの一 部が講義のみで教授されていたことに対して、改善を求めたものである。 この指摘に対して、大学は上記(4)の対応をとり、当該SBOsの学習を実習科目 で行うようにカリキュラムを変更した。 以上のことは上記(5)の根拠資料から確認できたので、指摘された問題点は改善さ れたものと判断する。 10 改善すべき点(6) (1)改善すべき点が指摘された『中項目』 5.実務実習 (2)指摘事項 実務実習事前学習全体に関して、目標達成度を評価するための指標を設定し、そ れに基づいて適切に評価する必要がある。 (3)本評価時の状況 実務実習事前学習の中心となる科目である「実務基礎実習」について、課題個々の 評価は行っているが、事前学習の目標達成度を示す具体的な指標は認証評価の時点 では設定していなかった(資料 4)。 (4)本評価後の改善状況 令和 3 年度(2021 年度)において、実務実習事前学習として SBOsが設定されてい る科目は、3 年次の「看護体験実習」、「臨床薬学入門(令和 2 年度より「調剤学」か ら名称変更」、4 年次の「臨床薬学 1」、「臨床薬学 2」、「臨床薬学 3」、「症例・処方解 析学」、「薬学実習 3(フィジカルアセスメント実習)」、「実務基礎実習」であるが、 これらも前述の卒業時コンピテンシーおよびその達成のためのロードマップマトリ ックスの対象科目であり、目標達成度を総合的に判定することが可能となっている (資料 15)。更に、実務実習事前学習の中心となる科目である「実務基礎実習」につ いて、技能を評価する実務実習事前学習到達度試験(技能)に加えて、複数の課題 を連続的に実施するより実践的な臨床能力評価試験を導入し、その合計の成績配分 を 55%とした。また、知識を評価する実務実習事前学習到達度試験(知識)は 2 回 実施し、その成績配分を 35%とし、残りの 10%を実習態度とレポートからの評価と した。更に、実習区分毎に到達度自己評価表を作成し、学生カルテとした。この自 己評価表をシラバスにも例示している。これらの変更は、令和 2 年度(2020 年度) より実施している(資料 16)。 (5)改善状況を示す根拠となる資料等(以下に記述した資料は別添のとおり) 資料 4:平成 29 年(2017 年度)5 月自己点検・評価書(改善前) 資料 15:薬学部卒業時コンピテンシーおよび達成ロードマップマトリックス 資料 16:令和 2 年度(2020 年度)シラバス(改善後) 11 検討所見 改善すべき点(6)は、本評価時において、実務実習事前学習全体の目標達成度を評 価するための指標設定とそれに基づく適切な評価が行われていなかった状況に対して、 改善を求めたものである。 この指摘に対して、上記(4)の通り、実務実習事前学習のSBOsが設定されてい る8科目が「コンピテンシー達成ロードマップマトリックス」の対象科目であるため、 目標達成度を総合的に判定することが可能であるとしている。 以上のことは上記(5)の根拠資料から確認できた。しかしながら、「コンピテンシ ー達成ロードマップマトリックス」は、卒業時コンピテンシーの達成度を年次進行に伴 って体系的・総合的に判定するための指標であるので、実務実習事前学習全体の目標達 成度を評価するための指標としては十分ではないと判断する。指摘の趣旨を踏まえた 改善をさらに進めることを望む。 12 改善すべき点(7) (1)改善すべき点が指摘された『中項目』 6.問題解決能力の醸成のための教育 (2)指摘事項 問題解決能力の醸成のために必須である卒業研究の実施期間は十分とは言えない ので、改善すべきである。 (3)本評価時の状況 自己点検・評価書の提出時は、本学の旧カリキュラムと新カリキュラムが混在して いる時期となっていた。このため、卒業研究に該当する科目は、旧カリキュラムで は、4 年次「課題研究」と 5・6 年次「卒業研究」となり、新カリキュラムでは 4 年次 「卒業研究 1」と 5・6 年次「卒業研究 2」となる(資料 17、18)。これらのカリキュ ラムにおいて実質的な卒業研究の実施期間を判断すると、4 年次で最大 3 ヶ月程度、 5 年次は実務実習があるため約 4 ヶ月、6 年次は 4 月から 10 月までの期間で薬剤師 国家試験対策科目が実施されているため 4 ヶ月程度となり、全てを合計しても 1 年 未満となっていた。 (4)本評価後の改善状況 本学は、平成 25 年度に導入した新カリキュラムが 1 年次から毎年上位学年に切り 替わり、平成 30 年度(2018 年度)に全学年が新カリキュラムとなった。卒業研究 は、4 年次「卒業研究 1」と 5・6 年次「卒業研究 2」となり、現在も同様である。ま た、令和元年度(2019 年度)からは、実務実習が 4 期制となり、4 年次より実務実 習が行われることとなった。これに対応して、平成 30 年度(2018 年度)の 4 年生 から「卒業研究 2」の開始時期を実務実習の開始時期に合わせて 4 年次の 2 月末と した。これ以降現在まで実施されている卒業研究の実質的な実施期間は、4 年次「卒 業研究 1」は 4 月から 10 月初めまでの約 6 ヶ月で、他の科目や定期試験等を考慮す ると 3 ヶ月程度となる。5 年次「卒業研究 2」は 4 年次の 2 月末から翌年度の 3 月末 までの約 13 ヶ月で、実務実習の 5 ヶ月および休業日を学生の状況に応じて 1 ヶ月程 度を取らせていることから、7 ヶ月程度となる。6 年次「卒業研究 2」は、4 月から 通年でカリキュラムを組んでいるが、就職活動や薬剤師国家試験対策等のため、実 質的には 4 月から 9 月までの 6 ヶ月の期間内の 4 ヶ月程度となる。以上から、現在 のカリキュラムでは、「卒業研究 1」として 3 ヶ月、「卒業研究 2」として 11 ヶ月と なり、合計 14 ヶ月が実質的な卒業研究の実施期間となるように改善をされている (資料 19)。 (5)改善状況を示す根拠となる資料等(以下に記述した資料は別添のとおり) 資料 17:平成 28 年度(2016 年度)シラバス(改善前) 13 資料 18:平成 29 年度(2017 年度)シラバス(改善前) 資料 19:令和 3 年度(2021 年度)シラバス(改善後) 検討所見 改善すべき点(7)は、本評価時において、問題解決能力の醸成のために必須である 卒業研究の実施期間が十分とは言えない状況であったことに対して、改善を求めたも のである。 この指摘に対して、大学は上記(4)の対応をとり、現行のカリキュラムにおける卒 業研究の実質的な実施期間は、4年次「卒業研究1」が3カ月程度、5年次「卒業研究 2」が7カ月程度、6年次「卒業研究2」が4カ月程度となり、本評価時には1年未満 であった4~6年次の卒業研究実施期間が 14 カ月程度に延長された。 以上のことは上記(5)の根拠資料から確認できたので、指摘された問題点は改善さ れたものと判断する。 14 改善すべき点(8) (1)改善すべき点が指摘された『中項目』 6.問題解決能力の醸成のための教育 (2)指摘事項 5、6年次卒業研究全体の評価を公正・適確に行うために、学部共通で、研究中 の態度、発表、卒業論文を含めた具体的な評価基準・評価方法を定め、また、シラ バスに記載する必要がある。 (3)本評価時の状況 平成 30 年度(2018 年度)までは、卒業研究の評価としては、4 年次「卒業研究 1」 では、知識・技能の習得度(40%)、研究に取り組む態度(50%)、研究発表内容(10%) で評価するとされており、5・6 年に「卒業研究 2」では、研究態度(65%)、学部主 催の研究発表会および講座内での研究発表(20%)、卒業論文(15%)で評価すると されていた。従って、成績評価の割合は定められていたものの、具体的な評価基準 や評価方法に関しては定められていなかった(資料 20)。 (4)本評価後の改善状況 平成 30 年度(2018 年度)に学内の教科課程部会、教務委員会等において卒業研 究の評価方法と評価基準の策定が進められ、教職員全員からの意見聴取なども含め て検討が行われ、最終的に教授会で審議・承認された(資料 21)。「卒業研究 1」では、 「提案された研究テーマの発展と目標達成に向けての意欲と取り組み」、「研究室の 方針やルールの順守」、「研究室内での他者とのコミュニケーション(研究室内発表 も含む)」、「英語・日本語文献の読解」、「自己研鑽」、「問題解決能力の向上や概略評 価」の 6 個の観点に関して具体的な基準をそれぞれ定めたルーブリック表において 加点方式で成績を判断することとなった。「卒業研究 2」では、「研究に臨む態度(実 験研究・調査研究)」、「研究室の方針やルールの順守」、「下級生の卒業研究の進捗に 配慮する姿勢」、「問題解決能力の向上や概略評価」、「英語の文献の読解」、「自己研 鑽」、「卒業研究発表会における発表の評価」、「医療や薬学における研究成果の位置 づけを含めた卒業論文の執筆」の 8 個の観点に関して具体的な基準をそれぞれ定め たルーブリック表において加点方式で成績を判断することとなった。これらは、シ ラバスに記載し、学生や社会に対して公表している(資料 22)。 (5)改善状況を示す根拠となる資料等(以下に記述した資料は別添のとおり) 資料 20:平成 30 年度(2018 年度)シラバス 資料 21:平成 30 年度(2018 年度)第 12、18 回薬学部定例教授会議事録 資料 22:令和元年度(2019 年度)シラバス 15 検討所見 改善すべき点(8)は、本評価時において、卒業研究の評価を公正・適確に行うため の共通の評価基準・評価方法が具体的に定められていない状況であったことに対して、 改善を求めたものである。 この指摘に対して、大学は上記(4)の対応をとり、「卒業研究1」と「卒業研究2」 それぞれについてルーブリック評価表を作成してシラバスに記載した。 以上のことは上記(5)の根拠資料から確認できたので、指摘された問題点は改善さ れたものと判断する。 16 改善すべき点(9) (1)改善すべき点が指摘された『中項目』 6.問題解決能力の醸成のための教育 (2)指摘事項 問題解決能力の醸成に向けた個々の教育において、さらに、関連した科目を総合 して、目標達成度を評価するための指標を設定し、評価を行う必要がある。 (3)本評価時の状況 自己点検・評価書において問題解決能力の醸成に関連する科目として示したのは、 多くあるが、これらの科目は、独自に到達目標を設定し、成績判定を実施していた (資料 4)。 (4)本評価後の改善状況 前述のように、卒業時コンピテンシーおよびその達成のためのロードマップマト リックスを策定しており、全ての履修科目に対して、年次進行にともない体系的に 目標達成度を総合的に判定することが可能となった(資料 8)。今後、この共通する 達成目標を各科目の評価に結びつける取り組みを進める予定である。なお、問題解 決能力の醸成に関するコンピテンスは、「Ⅲ.問題解決能力」の領域において「岩手 医科大学薬学部の学生は、卒業時に自ら課題を見いだし、その解決に向けて最適な 方法を選択し、それを実践して、論理的に思考してまとめた情報を発信することが できる。」とし、サブコンピテンスとして「課題を見いだす能力」、「解決方法を開発 する能力」、「課題解決を実践する能力」、「情報をまとめ発信する能力」の 5 つを定 めている。これらのサブコンピテンス毎の評価基準のレベル設定を行っている。 また、問題解決能力の醸成につながる教授方法は、多様化しており、ICT の活用な ど新たな試みが行われているところである。このため、本学では、平成 30 年度に教 科課程部会および教務委員会において、アクティブラーニングを積極的に導入する ことを目的として、該当する全ての授業コマに統一した標記において、実施内容を シラバスに記載することとした。アクティブラーニングの標記は「PBL」、「グループ ワーク」、「ロールプレイ」、「プレゼンテーション」、「双方向授業」、「対話・議論型授 業」、「反転授業」、「調査学習」、「フィールドワーク」、「その他( )」10 種類として いる(資料 23)。実際に多くの授業においてこれらの手法が方略として取り入れら れている(資料 24)。これらの授業における評価の指標や基準は、個々の科目におい て設定されており、今後、統一的な設定を検討していく予定である。 (5)改善状況を示す根拠となる資料等(以下に記述した資料は別添のとおり) 資料 4:平成 29 年(2017 年度)5 月自己点検・評価書(改善前) 資料 8:令和 3 年度(2021 年度)第 16 回薬学部定例教授会議事録 17 資料 23:平成 30 年度(2018 年度)第 12 回薬学部定例教授会議事録 資料 24:令和 3 年度(2021 年度)シラバス(改善後) 検討所見 改善すべき点(9)は、本評価時において、問題解決能力の醸成に向けた関連科目を 総合した目標達成度の評価を行うための指標設定とそれに基づく評価が行われていな かった状況に対して、改善を求めたものである。 この指摘に対して、大学は上記(4)の対応をとり、令和3年度(2021 年度)に「岩 手医科大学薬学部コンピテンシー」を定め、卒業時コンピテンシーの達成度を1年次か ら6年次までの全ての履修科目において共通かつ総合的に判定するために「コンピテ ンシー達成ロードマップマトリックス」を作成し、「Ⅲ.問題解決能力」の領域に問題解 決能力に関するコンピテンシーを設定している。 以上のことは上記(5)の根拠資料から確認できたので、目標達成度の評価指標は設 定されたものと判断する。今後さらに、問題解決能力の醸成に向けた教育の学修成果を 総合的に評価するための指標としての妥当性を検証し、この指標に基づく評価が適切 に実施されることを期待する。 18 改善すべき点(10) (1)改善すべき点が指摘された『中項目』 7.学生の受入 (2)指摘事項 毎年の入学者のうち6年間の在学期間で卒業した者の割合(ストレート卒業率)が 近年低下しており、これは大学が入学者に求めているモチベーションや学力と、入 学生の実体が乖離してきた可能性を示している。したがって、入学生を選抜する方 法について、検証、改善することが必要である。 (3)本評価時の状況 学士課程の修了状況は、卒業率(卒業者数/卒業判定時の在籍者数)は、平成 24 年度の 96.48%から徐々に低下しており、平成 27 年度は 82.5%、平成 28 年度は 73.15%である。また、卒業者のうち6年間の在学期間で卒業した者の割合は、平成 24 年度では 100%であったが、平成 27 年度は 75.76%(100 人/132 人)、平成 28 年 度は 72.48%(79 人/109 人)である。さらに、毎年の入学者のうち6年間の在学期 間で卒業した者の割合(ストレート卒業率)は平成 24 年度の 80.12%に対し、平成 27 年度は 61.35%、平成 28 年度は 47.59%である。特に2年次、3年次に多数の留 年者が発生しており、薬学専門科目を修得できる基礎学力が不足した学生が入学し ている可能性があると指摘された(資料 4)。 (4)本評価後の改善状況 平成 29 年度以降、卒業率は 60%前後、ストレート卒業率は 40%代と低値が続い ている(資料 25)。しかし、2 年次および 3 年次の進級率は、平成 29 年度や 30 年度 において 70%前後まで低下してたものの、令和 2 年度には、2 年次で 79.37%、3 年 次で 87.18%と上昇してきている。また、80%程度であった 1 年次の進級率は令和 元年度には90%を超え、更に令和2年度には91.30%と改善してきている(資料26)。 本学では、入学志願者の薬学を志す熱意および心構えの確認を目的として、従来、 推薦入試で行ってきた面接試験を平成 31 年度より一般選抜入試についても実施す ることとした(資料 27-1)。更に、入学後に理数系科目において単位が未習得とな り、その結果として留年する学生が多い傾向にあるため、令和 4 年度入試より、入 学時の学力試験(一般選抜)から英語の学科試験をなくし、数学および理科(選択 制)の学力試験とし、より理数系の学力を重視した選抜方法に変更した(資料 27- 2)。 本学では、毎年度、全ての授業科目において、学生により授業アンケートを実施し ている。平成 27 年度以降、令和 2 年度までの授業アンケートにおける学生の満足度 を示す「この授業は全体として満足できるものでしたか」の設問に対して、5 点を満 点とする評価の平均として、平成 27 年度および平成 28 年度は、3.84 および 3.78 で 19 あったのに対し、令和 2 年度および令和 3 年度は共に 4.07 であった(資料 28)。従 って、授業に対する学生の満足度は高く、モチベーションが低下しているとは考え ていない。今後も、適正な入学選抜と学内教育の充実に努め、その結果として、進 学率や卒業率の向上に繋がるよう改善を行っていく予定である。 (5)改善状況を示す根拠となる資料等(以下に記述した資料は別添のとおり) 資料 4:平成 29 年(2017 年度)5 月自己点検・評価書(改善前) 資料 25:基礎資料 2-4(平成 29 年以降追加) 資料 26:基礎資料 2-3(平成 29 年以降追加) 資料 27-1:平成 31 年度(2019 年度)入学試験要項 資料 27-2:令和 4 年度(2022 年度)入学試験要項 資料 28:平成 27 年度(2015 年度)第 7 回薬学部臨時拡大教務委員会議事録 平成 28 年度(2016 年度)第 19 回薬学部定例教授会議事録 令和 2 年度(2020 年度)第 19 回薬学部定例教授会議事録 令和 3 年度(2021 年度)第 19 回薬学部定例教授会議事録 検討所見 改善すべき点(10)は、本評価時において、6年間の在学期間で卒業した者の割 合(ストレート卒業率)が低下していた状況に対して、入学生を選抜する方法の検証 と改善を求めたものである。 この指摘に対して、大学は上記(4)の通り、平成 31 年度(2019 年度)より一般 選抜入試に面接試験を導入した。また、令和4年度入試より、一般選抜入試の学力試 験から英語を削除して数学及び理科(選択制)の学力試験とし、より理数系の学力を 重視した選抜方法に変更した。一方、1、2及び3年次の進級率には改善傾向が見ら れるとしているが、ストレート卒業率はいまだに低い状態が続いている。 以上のことは上記(5)の根拠資料から確認できたが、指摘に対する改善は途上に あるので、入試制度の検証と改善をさらに進めることを期待する。 20 改善すべき点(11) (1)改善すべき点が指摘された『中項目』 8.成績評価・進級・学士課程修了認定 (2)指摘事項 実務基礎実習に合格し、共用試験が不合格で留年となる学生に、既に合格している 実務基礎実習を再履修させるという規定は、単位認定の観点から適切ではない。し たがって、第4学年の進級規定を修正する必要がある。 (3)本評価時の状況 本学の進級判定基準には、「第4学年(2)学業成績最終判定の結果、不合格の科 目がある者、または共用試験で不合格の者は留年とする。(3)留年者は、不合格科 目及び実務基礎実習を再履修しなければならない。」と規定されている。このため、 実務基礎実習に合格し、共用試験が不合格で留年となる学生に、既に合格している 実務基礎実習を再履修させるという規定は、単位認定の観点から整合性がとれてい ない(資料 4)。 (4)本評価後の改善状況 平成 30 年度(2018 年度)に「岩手医科大学薬学部進級判定基準」に関する改訂が、 教務委員会および教授会において検討・審議された。その結果、同基準の改訂が承認 され、「第 4 学年(3)留年者は、不合格科目を再履修しなければならない。」とさ れ、留年者が実務基礎実習を再履修するという記載は削除された(資料 29)。なお、 改訂された基準は、令和元年度(2019 年度)から全学年のシラバスに掲載されてい る(資料 30)。 (5)改善状況を示す根拠となる資料等(以下に記述した資料は別添のとおり) 資料 4:平成 29 年(2017 年度)5 月自己点検・評価書(改善前) 資料 29:平成 29 年度(2017 年度)第 15 回薬学部定例教授会議事録 資料 30:令和元年度(2019 年度)シラバス 検討所見 改善すべき点(11)は、本評価時の第4学年の進級判定基準において、留年生が実 務基礎実習を再履修しなければならないと規定されていた状況に対して改善を求めた ものである。 この指摘に対して、大学は上記(4)の対応をとり、留年者が実務基礎実習を再履修 しなければならないという記載は第4学年の進級判定基準から削除された。 以上のことは上記(5)の根拠資料から確認できたので、指摘された問題点は改善さ れたものと判断する。 21 改善すべき点(12) (1)改善すべき点が指摘された『中項目』 8.成績評価・進級・学士課程修了認定 (2)指摘事項 薬学部進級判定基準には「第5学年(1)第5学年において実務実習(病院)、実 務実習(薬局)に合格し、教育要項(シラバス)に定める所定の単位を取得し、卒 業研究の成績評価基準に達した者を進級とする」と規定されているが、卒業研究は 5、6年次の通期科目として設定されており、単年度ごとの「卒業研究の成績評価 基準」は示されていない。したがって、この進級規定は、現実のカリキュラムと整 合しないので科目の見直しあるいは進級規定の修正を行う必要がある。 (3)本評価時の状況 卒業研究は5、6年次の通期科目として設定されているが、薬学部進級判定基準に は「第5学年(1)第5学年において実務実習(病院)、実務実習(薬局)に合格し、 教育要項(シラバス)に定める所定の単位を取得し、卒業研究の成績評価基準に達 した者を進級とする」と規定され、単位認定の観点から整合性がとれていない(資 料 4)。 (4)本評価後の改善状況 平成 29 年度(2017 年度)に「岩手医科大学薬学部進級判定基準」に関する改訂が、 教務委員会および教授会において検討・審議された。その結果、同基準の改訂が承認 され、「第 5 学年(1)第 5 学年において履修すべき必修科目すべてに合格し、教育 要項(シラバス)における所定の単位を修得した者を進級とする。」とされ、「卒業 研究の成績評価基準に達した者」という記載は削除された(資料 31)。なお、改訂さ れた基準は、平成 30 年度(2018 年度)から全学年のシラバスに掲載されている(資 料 32)。 (5)改善状況を示す根拠となる資料等(以下に記述した資料は別添のとおり) 資料 4:平成 29 年(2017 年度)5 月自己点検・評価書(改善前) 資料 31:平成 29 年度(2017 年度)第 19 回薬学部定例教授会議事録 資料 32:平成 30 年度(2018 年度)シラバス 22 検討所見 改善すべき点(12)は、本評価時の第5学年の進級判定基準において、「卒業研究 の成績評価基準に達した者を進級とする。」という規定が現実のカリキュラムと整合し ていなかった状況に対して改善を求めたものである。 この指摘に対して、大学は上記(4)の対応をとり、「卒業研究の成績評価基準に達 した者」という記載は第5学年の進級判定基準から削除された。 以上のことは上記(5)の根拠資料から確認できたので、指摘された問題点は改善 されたものと判断する。 23 改善すべき点(13) (1)改善すべき点が指摘された『中項目』 8.成績評価・進級・学士課程修了認定 (2)指摘事項 国家試験対策科目「総合講義」に対応する「総合試験」を実質的な卒業試験とする ことは、国家試験合格の可能性がある学生の選抜に利用していると判断されるので、 改善すべきである。 (3)本評価時の状況 本学では、6年次に「総合講義」を設定し、その成績を6~1月に実施する5回の 「総合試験」で評価していた。また、これに連動した課外科目「総合演習」を設定 していた。評価報告書においては、「総合講義」の試験である「総合試験」が実質的 な卒業試験とみなされ、平成 27 年度の卒業延期生 27 名全員が「総合試験」のみ不 合格であることからも、国家試験合格の可能性がある学生の選抜に利用していると 判断された(資料 4)。 (4)本評価後の改善状況 6 年次の「総合講義」は、本学の 10 項目のディプロマ・ポリシーにおいて、「9. 生 涯教育の実践」および「10. 次世代教育への意欲」を除いて、薬学専門領域の知識 の完成を目指して、最終学年において、総復習を行い、更に科目間の知識の連携を 深めることを目的として実施しているものであり、この科目および「総合試験」を、 国家試験合格の可能性の有無の判断に使用しているとは考えていない。しかしなが ら、5 回の試験を実施していることが薬剤師国家試験対策の意味合いを強めている と考え、平成 30 年度(2018 年度)より「総合試験」の回数を 5 回から 3 回に削減 した(資料 33)。更に、令和 3 年度からは、最初の試験を 10 月から 8 月として早め て、国家試験合格相当の知識レベルの判断という意味合いを低くしている(資料34)。 また、平成 30 年度(2018 年度)より総合演習は単位化し正規科目としており、この 科目は前期で成績判定が終了するため、「総合試験」の合否に関わらずにこの科目の 未習得によって、事実上卒業延期にとなる学生がでている(平成 30 年度に 3 名、令 和元年度に 1 名、令和 2 年度に 2 名)。更に、卒業延期となる状況を低減するため に、6 年次のみならず、下位学年も含めて教育プログラムの改善に努めているとこ ろである。 (5)改善状況を示す根拠となる資料等(以下に記述した資料は別添のとおり) 資料 4:平成 29 年(2017 年度)5 月自己点検・評価書(改善前) 資料 33:平成 30 年度(2018 年度)シラバス 資料 34:令和 3 年度(2021 年度)シラバス 24 検討所見 改善すべき点(13)は、本評価時において、国家試験対策科目「総合講義」に対応 する「総合試験」が実質的な卒業試験となっており、国家試験合格の可能性がある学生 の選抜に利用されていると判断された状況に対して改善を求めたものである。 この指摘に対して、大学は上記(4)の通り、「総合試験」の回数を5回から3回に 削減するとともに、最初の試験を 10 月から8月に早め、国家試験合格相当の知識レベ ルを判断する試験という意味合いを弱めることを図った。 以上のことは上記(5)の根拠資料から確認できたが、指摘に対する本質的な改善は 不十分であると判断する。指摘の趣旨を踏まえた改善をさらに進めることを望む。 25 改善すべき点(14) (1)改善すべき点が指摘された『中項目』 8.成績評価・進級・学士課程修了認定 (2)指摘事項 「総合試験」については、「各学年年度始めガイダンス配布物 第6学年」には、成 績の傾斜配分の割合および第5回試験の免除基準が示されているが、当該科目のシ ラバスには記載がない。また、「総合試験」のガイダンス資料には、「単位評価:総 合試験+確認試験から判断」と記載されているが、この単位評価の詳細を示す資料 などは作成されていない。したがって、公平かつ厳正な卒業判定を行うためにも、 「総合講義」のシラバス等に明確な成績評価基準および合格基準を記載すべきであ る。 (3)本評価時の状況 総合試験実施要綱には、「第3(試験の回数)総合試験は年度内に5回実施する。 ただし、第1回から第4回までの試験成績が薬学部教授会の定める基準に達した者 は、第5回の試験を免除することがある。第6(成績評価)成績評価は第1回から 第4回まで、又は第1回から第5回までの試験成績を傾斜配分により算出した点数 を合計し、「総合講義」の総括的評価に加える。前項の傾斜配分の割合は、薬学部教 授会が決定する。」と示されているが、シラバスの当該科目の成績評価方法には、「総 合試験を複数回行い、その総合点で評価する。(試験 100%)」と記載されているのみ であり、その詳細は記されていない。平成 28 年度「各学年年度始めガイダンス配布 物 第6学年」には、傾斜配分の割合および第5回試験の免除基準が示されているが、 毎年、同一の基準では実施されていない。また、ガイダンス資料には、「単位評価: 総合試験+確認試験から判断」と記載されているが、この単位評価の詳細を示す資 料などは作成されていない(資料 35)。 (4)本評価後の改善状況 平成 30 年度(2018 年度)に教務委員会および教授会において、「総合講義」にお ける成績評価方法が検討され、次年度より明確な成績評価基準および合格基準を明 記することが承認された(資料 36)。シラバスへの記載は以下のとおりとなる。 成績評価方法 総合試験を複数回行い、その総合点で評価する(試験 100%)詳細は以下の通り。 【回数】3 回実施(第 1 回:10 月 17、18 日、第 2 回:12 月 12、13 日、第 3 回:1 月 16、17 日〈いずれも予定〉) 【各回の成績評価比重】第 1 回:30%、第 2 回:30%、第 3 回 40% ※1)第 1 回正答率 60%かつ、第 2 回正答率 65%以上に達した学生について は、第 3 回総合試験を免除することがある。 26 ※2)上記の成績評価比重を元に各回の得点を算出・合算したものを総合点(少数以 下切り捨て)とする。但し、第 3 回総合試験免除者の成績は、第 2 回総合試験ま での成績を元に総合点を別途算出する(資料 37)。 (5)改善状況を示す根拠となる資料等(以下に記述した資料は別添のとおり) 資料 35:平成 28 年度(2016 年度)シラバス 資料 36:平成 30 年度(2018 年度)第 18 回薬学部定例教授会議事録 資料 37:令和元年度(2019 年度)シラバス 検討所見 改善すべき点(14)は、本評価時において、「総合講義」のシラバス等に明確な成 績評価基準および合格基準が記載されていなかった状況に対して改善を求めたもので ある。 この指摘に対して、大学は上記(4)の対応をとり、「総合講義」の成績評価方法の 詳細をシラバスに具体的に記載するように変更した。 以上のことは上記(5)の根拠資料から確認できたので、指摘された問題点は改善さ れたものと判断する。 27 改善すべき点(15) (1)改善すべき点が指摘された『中項目』 10.教員組織・職員組織 (2)指摘事項 平成 28 年度の各専任教員の授業時間数や卒業研究での指導学生数に大きな差があ るので、教員の負担をできるだけ均一とし、研究する時間が確保できるように、教 員配置の見直し、あるいは採用などを行う必要がある。 (3)本評価時の状況 平成 28 年度の各専任教員の年間授業時間数は、各職位内で比較して教授で最大約 2倍、准教授・講師で最大約4倍、助教では約最大 10 倍と大きな幅がある。特に、実 務家専任教員の授業時間数が多く、そのうち「実務基礎実習」が非常に多くを占める。 また、他学年での実習と実務基礎実習の期間が重複しない教員については4年次「実 務基礎実習」に協力しており、授業時間数が多い。卒業研究では、学生の希望にも配 慮しながら各講座への配属人数が平均化するように学年長と教務委員長が調整して いたが、講座当たりの配属学生数は 20~33 名、教員数も2~5名と異なり、教員一 人当たりの指導学生数は、最も少ない講座では5名、最も多い講座では 11.5 名と、 講座間で教員の負担が2倍以上異なっていた。 (4)本評価後の改善状況 各専任教員の担当する授業時間数の不均衡に関しては、教員の退職等により、必ず しも解消していない。本学では、令和元年度より教員評価を実施し、翌年度より給与 への優遇処置を行っている(資料 38)。教員評価は、学部内のすべての専任教員を対 象としており、「教育」、「研究」、「大学運営及び社会貢献」の 3 つの領域に関して、各 細目の点数を積算していく教員評価シートに基づいて実施されている。評価は、助教 や教授などの同一職位内で実施されている。授業時間数は、「講義」および「実習」の 細目において担当時間数に応じて加算されるものであるが、最高点は 8 点および 5 点 となっている(合計 123.5 点満点)。その他にも、卒業研究の学生指導として 6 点、 共用試験の担当責任者として 1 点、実務実習巡回担当として 1 点など、細かく設定さ れている。これらは教職員の職務のエフォートの不均衡の是正につながるものと考え ている。また、卒業研究の指導学生数の教員負担を均一とするため、令和 3 年度(2021 年度)より配属学生数の上限を各所属分野の教員数に応じて設定することが行われて おり(資料 39)、令和 4 年度は、所属分野の教員 1 人当たり学生 2.5 名を上限の目安 として設定している。 教員配置に関しては、教育や研究活動を円滑に行うために平成29年度(2017年度) に講座編成の変更が検討され、16 講座 1 学科から、5 講座の中に 3 ないし 4 分野が属 する体制へと変更が行われた(資料 40)。以下のその編成を示す。 28 平成 29 年度(2017 年度)まで 平成 30 年度(2018 年度)以降 構造生物薬学講座 薬科学講座 創薬有機化学 有機合成化学講座 天然物化学 天然物化学講座 構造生物薬学 衛生化学講座 分析化学 機能生化学講座 生物薬学講座 機能生化学 情報薬科学講座 生体防御学 生体防御学講座 神経科学 分子細胞薬理学講座 病態薬理学講座 分子細胞薬理学 創剤学講座 臨床医化学 薬物代謝動態学講座 薬剤治療学 神経科学講座 医療薬科学講座 創剤学 分子生物薬学講座 薬物代謝動態学 臨床医化学講座 衛生化学 薬剤治療学講座 臨床薬学講座 臨床薬剤学 臨床薬剤学講座 情報薬科学 地域医療薬学講座 地域医療薬学 薬学教育学科 薬学教育学 (5)改善状況を示す根拠となる資料等(以下に記述した資料は別添のとおり) 資料 38:令和元年度(2019 年度)第 1 回薬学部定例教授会議事録 資料 39:令和 2 年度(2020 年度)第 2 回薬学部定例教授会議事録 資料 40:平成 29 年度(2017 年度)第 10 回薬学部定例教授会議事録 検討所見 改善すべき点(15)は、本評価時において、各専任教員の授業時間数や卒業研究で の指導学生数に大きな差がある状況であったことに対して改善を求めたものである。 この指摘に対して、大学は上記(4)の対応をとり、卒業研究の指導学生数について は、令和3年度(2021 年度)より、配属学生数の上限を各所属分野の教員数に応じて 設定している。一方、各専任教員の担当する授業時間数の不均衡に関しては、教員の退 職等により必ずしも解消していない。 以上のことは上記(5)の根拠資料から確認できたが、指摘された問題点は改善の途 上にあるものと判断する。指摘の趣旨を踏まえた改善をさらに進めることを期待する。 29 改善すべき点(16) (1)改善すべき点が指摘された『中項目』 13.自己点検・評価 (2)指摘事項 「自己点検・評価書」や基礎資料、添付資料に多くの誤記や齟齬が認められたこと から、自己点検・評価が適正かつ厳格に行われていたとは言えないので、平成 28 年 度に編成された薬学部自己評価委員会を、責任ある自己点検・評価体制として機能 させる必要がある。 (3)本評価時の状況 薬学教育評価機構に提出した「自己点検・評価書」の記述内容には、基礎資料およ び添付資料との間に齟齬が認められ、特に、中項目5「実務実習(5-1)実務実習 事前学習」については、「自己点検・評価書」に記載された内容が、基礎資料6に示 された情報や、当該科目のシラバスの内容と異なると指摘を受け、資料の再提出を 行った。また、中項目6「問題解決能力の醸成のための教育(6-1)卒業研究」に ついては、卒業研究の実施期間に関する記述が各資料で異なっていた。これらから、 本学は、自己点検・評価を適正かつ厳格に行うという観点から、問題があると指摘 を受けた(資料 4)。 (4)本評価後の改善状況 本学は、令和 2 年度(2020 年度)に公益財団法人大学基準協会による機関別認証 評価を受診しており、「適合」の認証評価を受けている。この機関別認証に向けて内 部質保証体制に関する体制を全学として整えることとなった。まず、本学の内部質 保証の方針として「本学では、社会から負託された使命・目的を実現し、教育と研 究の質を向上させるために、外部の第三者機関による評価受審に加えて、自らの活 動を絶えず評価・改善する内部質保証の機構を構築します。」と定めた(資料 41)。 全学的な内部質保証の推進に当たり、PDCA サイクルを回して行くことを念頭に、計 画、実行、改善に当たる機関として学長を議長とした教学運営会議があり、これに 対し評価し提言を行う組織として全学自己評価委員会があり、両者により内部質保 証を推進していく体制を構築している。全学的な計画、実行、改善は教学運営会議 での基本方針に基づき、各学部、教養教育センター及び各研究科で具体案の計画、 実行、改善を行い、全学自己評価委員会が全学的視点からの評価を行うことにより、 全学レベルでの PDCA サイクルの運用を行っている。また、各学部、教養教育センタ ー及び各研究科レベルでも、各教授会・研究科委員会と自己評価専門部会で PDCA サ イクルを回している。つまり以下のような 3 層構造からなる内部質保証体制をとっ ている。 30 薬学部では、令和元年度に「薬学部自己評価専門部会」を組織し、全学自己評価委 員会からの要請等に基づき、薬学部の教育および研究に関する評価活動を実施して いる。これまでに、令和元年度に 4 回、令和 2 年度に 1 回、令和 3 年度は、12 月ま でに 2 回の会議を開催している(資料 42)。 (5)改善状況を示す根拠となる資料等(以下に記述した資料は別添のとおり) 資料 4:平成 29 年(2017 年度)5 月自己点検・評価書(改善前) 資料 41:令和元年度(2019 年度)教学運営会議議事録 資料 42:薬学部自己評価専門部会議事録 31 検討所見 改善すべき点(16)は、本評価時において、薬学部自己評価委員会が責任ある自己 点検・評価体制として適正に機能していなかったと判断された状況に対して改善を求 めたものである。 この指摘に対して、大学は上記(4)の対応をとり、全学的な内部質保証体制の一部 として、令和元年度に「薬学部自己評価専門部会」を組織し、全学自己評価委員会から の要請等に基づき、薬学部の教育および研究に関する評価活動を実施している。 以上のことは上記(5)の根拠資料から確認できたので、指摘された問題点は改善さ れつつあるものと判断する。今後、薬学部内の関係組織・委員会の適正な活動を通して、 指摘の趣旨を踏まえた改善がさらに進むことを期待する。 32 改善すべき点(17) (1)改善すべき点が指摘された『中項目』 13.自己点検・評価 (2)指摘事項 薬学部自己評価委員会を継続的に活動させ、適正かつ厳格な自己点検・評価の結果 を教育研究活動にフィードバックすることで、本薬学部の3つのポリシーに整合し た6年制薬学教育プログラムの質の向上に努めることが必要である。 (3)本評価時の状況 薬学教育評価機構により、本学は薬学部の教育研究上の目的のもとに、3つのポリ シーに整合した6年制薬学教育プログラムが行われているかについての内部質保証 の検証が行われていないと判断され、正確かつ厳格な自己点検・評価を実施する体 制を構築した上で、定期的に自己点検・評価を実施し、検証した結果を教育研究に 反映させ、6年制薬学教育プログラムの質の向上に努めることが必要であると指摘 された(資料 43)。 (4)本評価後の改善状況 薬学部自己評価専門部会による活動に関しては、改善すべき点(16)に記載した内 容の通りである。さらに、6年制薬学教育プログラムの適切性等の判断を目的とし て、教育プログラムを評価する専門機関として、令和元年度(2019 年度)に、「薬学 教育評価委員会」の規程を整備して、組織した(資料 44)。本委員会を構成する専任 教員は教務委員と重複しないように選任し、更に規程に定めるように学外有識者お よび薬学部の学生代表者を委員に加えている。これまでに令和元年 3 月および令和 2 年 3 月に学外有識者および学生代表者を加えて会議を開催し、薬学部教務委員会 およびそれに属する委員会や専門部会の活動が評価された(資料 45)。これに基づ き教務委員会等において改善に向けた取り組みを行っていく予定である。 (5)改善状況を示す根拠となる資料等(以下に記述した資料は別添のとおり) 資料 43:薬学教育評価 評価報告書 「岩手医科大学薬学部」 資料 44:令和元年度(2019 年度)第 13、18 回薬学部定例教授会議事録 資料 45:令和元年度(2019 年度)第 1 回薬学教育評価委員会議事録 令和 2 年度(2020 年度)第 1 回薬学教育評価委員会議事録 33 検討所見 改善すべき点(17)は、本評価時において、3つのポリシーに整合した6年制薬学 教育プログラムの内部質保証のための自己点検・評価の適正かつ厳格な実施と、その結 果の教育研究活動へのフィードバックが行われていないと判断された状況に対して改 善を求めたものである。 この指摘に対して、大学は上記(4)の対応をとり、全学的な内部質保証体制の一部 としての「薬学部自己評価専門部会」に加えて、専任教員、学外有識者及び薬学部学生 代表で構成される「薬学教育評価委員会」を令和元年に組織し、定期的な活動を開始し ている。 以上のことは上記(5)の根拠資料から確認できたので、指摘された問題点は改善さ れつつあるものと判断する。今後、適正かつ厳格な自己点検・評価の結果を教育研究活 動にフィードバックすることにより、6年制薬学教育プログラムの質の向上に努める ことを期待する。
