2023年度 兵庫医科大学 評価報告書
(様式16)
薬学教育評価
評価報告書
受審大学名 兵庫医科大学薬学部
(本評価実施年度)2023年度
(作成日)2024年3月1日
一般社団法人 薬学教育評価機構
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Ⅰ.総合判定の結果
兵庫医科大学薬学部医療薬学科(6年制薬学教育プログラム)は、薬学教育評価機構が定める「薬学教育評価 評価基準」に適合していると認定する。
認定の期間は2031年3月31日までとする。
Ⅱ.総評
兵庫医科大学薬学部は、教育研究上の目的を「物質と生体に関する正しい知識と研究を通して得られる問題解決能力を基盤としつつ、生命の尊厳を畏敬し、人々の健康と幸福を真に願う医療専門職者としての明確な意識のもとに、多様な分野で薬学的立場から全人的医療を支えることのできる薬剤師を育成する」と定め、卒業認定・学位授与の方針(ディプロマ・ポリシー)、教育課程編成・実施の方針(カリキュラム・ポリシー)及び入学者受入方針(アドミッション・ポリシー)を設定している。しかしながら、カリキュラム・ポリシーに学修成果の評価の在り方が具体的に示されていない。
教育内容やその成果は、兵庫医科大学内部質保証会議の主導のもとで薬学部自己点検・評価委員会で検証し、内部質保証会議のアドバイスを受けて改善に取り組む体制が確立されている。カリキュラムは、薬学教育モデル・コアカリキュラムに準じて体系的かつ順次性をもって設定されており、独自科目として医療系学部合同での早期臨床体験やチーム医療に関わる科目等が設置されている。しかし、一部の専門科目において、成績評価の公正性、厳格性に懸念される点がある。これらについては、十分な検証を行い、改善を図る必要がある。
これまで入学試験結果の検証に基づいて様々な入試改革が行われてきたが、標準修業年限内での卒業率の向上や低学年次での留年率・退学率の改善は十分とは言えないので、引き続き改善に取り組む必要がある。一方、薬学部アドバイザー制度等による手厚い学生支援や、教員による教授・評価方法の開発とその成果の社会への発信は、優れた取り組みと言える。薬学部としての留学生受入や教職員・学生の海外研修等の実績は少なく、また英文ホームページからの情報発信も不十分であることから、国際的な教育研究活動の活性化が求められる。
兵庫医科大学薬学部では、全教員が教育研究上の目的の達成に向けて積極的に取り組む姿勢がうかがえる。本評価結果が内部質保証に生かされ、薬学教育プログラムのさらなる改善と向上が図られることを期待する。
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Ⅲ.『項目』ごとの概評
1 教育研究上の目的と三つの方針
本項目は、おおむね適合水準に達しているが、教育研究上の三つの方針の記載内容及びその定期的な検証において懸念される点が認められる。
兵庫医科大学薬学部は、2022年4月に兵庫医療大学が同じ学校法人下の兵庫医科大学に統合されたことにより発足した。薬学部の教育理念は、建学の精神である「社会の福祉への奉仕」、「人間への深い愛」、「人間への幅の広い科学的理解」及び大学の教育理念に基づき、「基礎と臨床を融合させた薬学教育に加えて、医学・医療の関連分野との横断的教育を実践することにより、人と社会の健康と幸福に広く貢献できる薬剤師を育成します。」と定められており、その上で、学部の教育研究上の目的である「教育目的」が設定され、兵庫医科大学学則第2条1に掲げられている。この教育研究上の目的が、医療を取り巻く環境、薬剤師に対する社会のニーズを反映したものとなっていることについて、2022年度薬学部自己点検・評価委員会によって検討されている。
教育目的(兵庫医科大学学則第2条1)
薬学部は、物質と生体に関する正しい知識と研究を通して得られる問題解決能力を基盤としつつ、生命の尊厳を畏敬し、人々の健康と幸福を真に願う医療専門職者としての明確な意識のもとに、多様な分野で薬学的立場から全人的医療を支えることのできる薬剤師を養成する。
兵庫医科大学薬学部の「教育目的」は、教務便覧に示されており、教務便覧の冊子体は新入生と教職員に配付されている。教務便覧の冊子体を配付されない在学生は、ホームページからダウンロードできるとしているが、各学年の教務ガイダンス資料に記載するなどにより、「教育目的」を学生に十分に周知することが望ましい。社会に対しては、ホームページへの掲載を通して公表されている。なお、教育研究上の目的について、教務便覧(p3)には「薬学部 目的」というタイトルで記載されているが、学則やホームページに掲げられた「教育目的」と同一の内容であることがわかりにくいため、学則と表現を揃えることが望ましい。
教育研究上の三つの方針については、2016年度に前身である兵庫医療大学の薬学部、看護学部、リハビリテーション学部の三学部が協調して定めたものである。この方針は、兵庫医科大学となった2022年度も変更されていない。
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卒業認定・学位授与の方針(ディプロマ・ポリシー、以下 DP)は、薬学部の教育理念や教育目的に基づき、以下の通り、学生が卒業までに具体的に身につけるべき資質・能力として設定されている。このDPは、知識・技能、思考力・判断力・表現力等の能力、主体性を持って多様な人々と協働する態度を網羅したものになっている。
卒業認定・学位授与の方針(ディプロマ・ポリシー)
本学部所定のカリキュラムを修了するとともに、以下の資質を身につけた学生に卒業を認定し、学士(薬学)を授与します。
1. 幅広い教養と豊かな人間性を持ち、医療専門職者に必要な倫理観、使命感、責任感を有する。
2. チーム医療の一員として、他の医療専門職者とコミュニケーションを取り、互いの立場を理解し尊重しながら、薬剤師として貢献することができる。
3. 十分なコミュニケーション能力を有し、患者の病態のみならず心理的・社会的背景を理解したうえで薬物治療を実践することができる。
4. 「医薬品・化学物質」と「生体・環境」及びその相互作用について正しい知識を身につけ、さらにそれを応用する技能を有する。
5. 西洋医学及び東洋医学に基づく安全かつ有効な薬物療法を主体的に実施するために必要な薬学的管理を実践する能力を有する。
6. 地域の医療・保健・福祉に関する知識と、それを地域住民の健康増進、公衆衛生の向上に結びつける能力を有する。
7. 研究活動に取り組む意欲を有し、研究課題を発見し解決する基本的能力を有する。
8. 世界の医療・科学技術の進歩に迅速に対応できるよう、生涯にわたり自ら学び続けることができる。
9. 次世代の医療を担う人材を育成し、医療の継続的な発展に貢献するため、後進を指導する意欲と態度を有する。
教育課程編成・実施の方針(カリキュラム・ポリシー、以下 CP)は、教育目標に掲げた「教養」と「倫理・人間性」、「コミュニケーション能力」、「基礎薬学的知識」、「医療薬学的知識」、「安全・衛生管理能力」、「実務能力」、「探求心」という主題の習得を目的に八つの科目群の教育内容として設定され、6年間の編成方針のほかに、教育方法が「実施方針」として記載されている。また、「成績評価方法」は、CP1~8によって編成された科目で修得が求められている能力を評価するための評価基準・評価方法を示したものであり、DPに掲げた卒業までに身につける資質・能力を評価する学修成果の評価については記載がない。DPに掲げた資質・能力についてはカリキュラム・ルーブリックで評価を行って
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いるとしているが、学修成果の評価の在り方についてはCPに具体的に示すよう改善が必要である。
教育課程編成・実施の方針(カリキュラム・ポリシー)
「薬学教育モデル・コア・カリキュラム(平成25年度改訂版)」に準拠した授業科目と本学が独自に設定した次の授業科目を組み入れた特色あるカリキュラムを編成します。
1. 幅広い教養と豊かな人間性を涵養する科目
2. 薬剤師に必要な倫理観、使命感、責任感を涵養する科目
3. 薬学の専門的知識・技能を活かし、チーム医療の中で、連携協力し合う能力を培う統合科目
4. 薬物治療を実践するために薬剤師に必要なコミュニケーション能力を養成する科目
5. 基礎薬学から実践的な医療薬学まで、薬剤師として必要な知識、技能を養成する科目
6. 地域の医療、保健、福祉に関する知識を修得し、地域住民の健康増進、公衆衛生向上に結び付ける能力を養成する科目
7. 医療や科学技術の発展に貢献できる研究能力と、生涯を通して学び続ける自己研鑽能力を養成するための科目
8. 次世代の医療を担う人材を育成し、医療の継続的な発展に貢献するため、後進を指導する意欲と態度を養成するための科目
【編成方針】
初年次は、全教育課程を全うするために必要な学習諸要素を修得する機会を提供する。薬学専門科目を学ぶ基礎としての高大接続科目を初年次の初めに配置する。人文科学、社会科学、自然科学などの教養科目は低学年次に修得させる。
低学年次から高学年次にわたり医療専門職者としての意識づけや態度教育を行い、チーム医療科目やコミュニケーションに関する科目は複数年次にわたって継続的・発展的に編成する。
専門科目はキャリアイメージを早期に確実なものとするために、初年次から開始し、段階的に能力を各年次において発展させるべく編成する。
【実施方針】
学習効率の向上及び能動的学習態度の形成、コミュニケーション能力の育成などを目的として、講義・演習・自己学習の他に、グループ学習、問題基盤型学習、チーム基盤型学習など参加型学習を積極的に取り入れる。技能・態度の修得を目的に、実習科目
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を取り入れる。さらに、授業科目に関連する医療施設・薬事衛生施設・企業の見学、学識経験者や薬害患者などの招聘講義、医療専門職者・模擬患者の授業参加を取り入れる。
【成績評価方法】
紙面での試験、レポート評価のほか、技能・態度の評価(形成的評価を含む)、ピア評価、口頭試問、プレゼンテーションなど多角的な視点で評価する。病院・薬局実務実習に関しては、技能・知識の評価に加えて、医療専門職者となるための心構えを含めた、マナー、積極性、探求心、協調性、社会的常識などの獲得に関しても評価する。研究実習・研究研修に関しては、研究活動、研究発表、研究論文に関するルーブリック評価表を作成して評価する。
入学者の受入れに関する方針(アドミッション・ポリシー、以下 AP)は、大学の教育理念及び薬学部のDP、CPに基づき、入学生が目標とする将来の自分像として四つの類型を掲げ、そのために必要な素養と能力を【知識・技能】【思考力・判断力・表現力】【主体性・多様性・協働性】に分けて明示している。このAPについて、「どのような学生を求め、多様な学生をどのように評価・選抜するか等が具体的に設定されているといえる」としているが(「自己点検・評価書」p11)、入試区分ごとの評価については、学生募集要項に記載されているものの、APには各項目をどの入試区分で、どのように評価するのかが示されていないので、これらを具体的に示すことが望まれる。
入学者受入方針(アドミッション・ポリシー)
薬と生体についての「専門的な知識」、薬を正しく取り扱うことのできる「正確な技術」、及び、他者との「コミュニケーション能力」を身につけた人を育てます。さらに、多様な専門職者からなる医療チームの中で、身につけた知識、技術、コミュニケーション能力を活かして活躍し、人の健康と幸福のために尽力し、社会の発展に貢献する意欲を持った薬のプロフェッショナルを育成します。
したがって、目標とする<将来の自分像>を持ち、以下の<必要な素養と能力>を有している人を求めます。
<将来の自分像>
1. 薬剤師として病院や薬局などでチーム医療や地域医療に貢献する。
2. 医薬品の研究・開発や販売を通して企業などで広く医療に貢献する。
3. 薬学研究者・教育者として研究機関や大学などで活躍する。
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4. 薬事・衛生行政に関わり、国や地方自治体で活躍する。
<必要な素養と能力>
【知識・技能】
・薬学を学ぶための高等学校卒業レベルの基礎的な学力がある。
【思考力・判断力・表現力】
・根拠に基づいて論理的に考え、判断し、行動できる素養がある。
・自分の考えを人に分かりやすく伝えることができる。
【主体性・多様性・協働性】
・目的意識を持って自ら学び続けることができる。
・相手の話をよく聞いて理解し、柔軟に対応しようとする姿勢がある。
以上の三つのポリシーは、それぞれの関係性が確認され、一貫性、整合性をもって作成されている。その内容は、教務便覧に記載されているほか、ホームページで公表され、学生、教職員並びに社会全体に伝達されている。DPについては、年度始めの学年別履修ガイダンス時にも学生に周知し、カリキュラム・ルーブリック表を用いた達成度の自己評価を行っている。その解析結果を教授会で報告することにより、教員にもDPとその到達度評価について再認識させていることは評価できる。CPについては、学生に対してはDPと同様に学年別履修ガイダンスでも周知しており、教員はシラバス作成時にもCPを確認している。
現行の教育目的及び三つのポリシーは、2016年度に兵庫医療大学の全学自己点検・評価委員会主導で改定され、2022年4月の合併の際に全学内部質保証会議が主導することとなった。学則上は兵庫医科大学学則第3条に定められており、毎年薬学部自己点検・評価書の作成の際に検証を行い、2022年には、第1回薬学部自己点検・評価委員会にて検証を行ったとある。教育研究上の目的及び三つの方針は、定期的に検証されているとしているが(「自己点検・評価書」p17)、統合に伴う策定後、特に2021年度の自己点検・評価書の点検・評価の内容は、2022年度の該当箇所とほぼ同一であり、また、2022年度の検証は全学内部質保証会議からの要請によるものであることから、これらをもって薬学部として定期的な検証を行っているとは言い難いため、さらに主体的に検証することが望ましい。なお、薬学教育モデル・コア・カリキュラム(令和4年度改訂版)を反映させるように新しい使命、目的、教育目標及び三つのポリシーを検証、改訂中であることを、訪問調査時に確認した。
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2 内部質保証
本項目は、適合水準に達している。
兵庫医科大学薬学部は、薬学部自己点検・評価委員会(前 薬学部内部質保証委員会)によって計画的に自己点検・評価が行われている。自己点検・評価を実施する体制として、「兵庫医療大学自己点検・評価委員会」が設置され、薬学部での自己点検・評価は、全学の自己点検・評価委員会の一環として実施してきた。2022年4月より兵庫医科大学の全学的な組織である内部質保証会議が発足し、薬学部自己点検・評価委員会が設置され、自己点検・評価を行うことになった。この委員会には、外部の有識者1名が参加しているが、6年制課程の卒業生ではないため、6年制薬学教育の適切な評価のために6年制課程の卒業生を外部委員として加えることが望ましい。
質的・量的な解析に基づいた自己点検・評価は、様々なレベルで実施されている。DPに掲げた学修成果の達成度については、学生の自己評価用としてカリキュラム・ルーブリック評価表を作成した。2018~2020年度に各学年でルーブリック自己評価を行った結果の解析から、学年ごとに到達度が上昇し学年ごとの学習成果の達成度や6年間の学修成果の達成度を可視化する指標として使用できることを確認したと自己評価しており、2021、2022年度の解析結果についても教員間で共有され、授業改善、学生指導に活用していることを追加の書面調査で確認した。しかし、このカリキュラム・ルーブリック評価表は学生の自己評価用であるため、教員による評価も併せて行い、これらに基づいた質的・量的解析を行うことが望ましい。また、2019年度と2020年度には、薬学部卒業生に対してDPの到達度や教育の満足度について調査を行い、ホームページで公開している。また、卒業後4、7年目の全学卒業生と医療機関に対してアンケートを実施し、薬学部の教育内容について評価を受け、それらの情報から教育の改善策を検討したとされる。
在籍(留年・休学・退学等)及び卒業状況(入学者に対する標準修業年限内の卒業者の割合等)の入学年次別分析等は毎年集計し(基礎資料3)、入学者推移、退学・除籍者数・中退率、留年者数、入学年度別進級者数・標準修業年限内の卒業(留年)率及び国家試験合格率はホームページを通じて広く社会に公表している(「自己点検・評価書」p24 表2-1-1~2-1-5)。これらのデータを薬学部自己点検・評価委員会で検証し、今後の取り組みに関して検討している(「自己点検・評価書」p23)。
これらの自己点検・評価の結果は、2015年度から自己点検・評価書を毎年ホームページに掲載することで社会に向けて公表している。ただし、毎年作成する自己点検・評価書は、薬学教育評価機構の定める基準に従ったものであり、薬学部独自の観点を加えて自己点検・
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評価を行うことが望まれる。
兵庫医科大学薬学部の前身である兵庫医療大学薬学部は、毎年自己点検・評価を実施し、2019年度より兵庫医療大学内部質保証委員会、2022年度からは兵庫医科大学内部質保証会議のチェック及び改善のアドバイスを受け、それを薬学部で実行する、というPDCAサイクルが確立されている。PDCAサイクルによって改善を実施する部局は、薬学部自己点検・評価委員会、薬学部教授会、薬学部教育委員会、学生部委員会、国試対策委員会、FD委員会(FD:Faculty Development)、CBT委員会(CBT:Computer Based Testing)、OSCE委員会(OSCE:Objective Structured Clinical Examination)、入試委員会、薬学部教育研究ユニット、薬学教育センター、実務実習委員会である(「自己点検・評価書」p27 表2-2-1、p28 図2-2-1)。これらの組織により、第1期薬学教育評価で指摘を受けた改善すべき点については、19項目のほとんどが改善されたと認められている(「自己点検・評価書」p28 表2-2-2)。2022年度は、2021年度の自己点検・評価を薬学部自己点検・評価委員会を中心に行い、薬学部教授会で承認後、全学の内部質保証会議に提出した。このように、薬学部自己点検・評価委員会及び全学の内部質保証会議で、教育課程の編成及び実施に関する点検と改善を行い、自己点検・評価を基にした教育研究活動の改善に多くの委員会等で取り組んでいる。
3 薬学教育カリキュラム
(3-1)教育課程の編成
本項目は、適合水準に達している。
薬学部では8項目からなるCPに基づいて基礎(教養)科目や専門科目を体系的かつ順次性をもって開講している。教育課程における配当科目を大きく基礎分野、専門基礎分野、専門分野の3分野にグループ分けし、さらに専門分野は物理系薬学、化学系薬学、生物系薬学、衛生薬学、薬理学、薬剤・薬物動態学、病態・薬物治療学、臨床薬学の8分野に分けて配当している。
教養教育は1~2年次に基礎分野の必修科目を25単位(2022年度入学生は23単位)配置している。人文社会系選択科目は12科目(24単位)配置し、6単位以上選択することを義務付けている。選択科目としては「統計学」、「教育学」、「芸術学」、「社会学」、「法学」、「哲学」、「人間発達学」、「臨床心理学」が1年次に配置されている。語学教育は、1、2年次に基礎分野に区分される英語及び第二外国語の科目(「中国語」、「韓国語」のどちらかを選択必修)、3、4年次に専門基礎分野に区分される英語科目が配当されており、2年次
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以外の英語科目は全て必修科目である。2年次の選択科目である「科学英語」と「応用英語」は、150名の定員に対して履修者が少ないため、受講者を増やす方策を検討することが望ましい。
人の行動と心理に関する教育は、1年次に「生命・医療倫理学」と「心理学」という各2単位の必修科目を中心に行われ、選択科目としては「社会学」、「法学」、「哲学」、「人間発達学」、「臨床心理学」を配置している。選択科目は、「哲学」と「教育学」を除いて同時限に開講しておらず、学生が自由に科目を選択できる時間割構成になっている。高学年次では、必修科目の4年次「新・実務実習事前学習Ⅱ」の一部が「人の行動と心理に関する授業」とされている。
専門科目は、カリキュラム・ポリシーに基づき、薬学教育モデル・コアカリキュラム(平成25年度改訂版)の内容を体系的に学ぶようになっており、その体系性はカリキュラム・ツリーに示されている(基礎資料1、正誤表:基礎資料1追記)。
大学独自の教育として示された科目には、「ユニバーサルデザイン論」(1年次)、「社会福祉学」(2年次)、「病理学概論」(4年次)、「輸液栄養学」(4年次)等の必修科目がある。専門分野に配置されるアドバンスト選択科目として「構造生物化学」、「アドバンスド物理化学」、「アドバンスド有機化学」、「アドバンスド生物化学」、「薬物相互作用学」、「腫瘍生物学」を配置している。独自教育科目については、学生が一見して認識できるようにシラバス中の講義内容欄に≪独自教育≫と明示されている。これらの選択科目は2021年度入学生までには21単位中5単位、2022年度入学生には20単位中5単位の修得を義務付けている。各科目の履修者にはばらつきがあるが、3年次または4年次の履修者が多く、6年次の履修者はほとんどいない。また、チーム医療に関わる独自科目「チーム医療研修」、「チーム医療論演習」等が配置されている。2022年度には、医学部、薬学部、看護学部、リハビリテーション学部の学生が合同して臨床現場で実習する「多職種連携総合臨床実習」の試行を開始し、ささやま医療センターの教職員、医学部、薬学部、看護学部、リハビリテーション学部の教員が多く関わり、医療現場における多職種連携教育をさらに充実させて社会が求める医療人の育成に努めている。
問題発見・解決能力醸成に向けたカリキュラムには参加型学習科目とグループ学習・自己学習科目があり、1年次から4年次にかけて順次提供され、4~6年次の卒業研究に相当する科目で集大成するように構成されている。1~4年次のグループ学習・自己学習科目のうち、「アカデミックリテラシー」、「医療概論」、「チーム医療概論」は、看護学部、リハビリテーション学部との3学部合同授業、「早期臨床体験実習」と「チーム医療論演習」
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は医学部も含む4学部合同授業となっている(「自己点検・評価書」p45 表3-1-1-3)。
6年次前期で、「総合演習Ⅰ」を「研究研修Ⅰ」と並行した期間の5限に開講しており、卒業研究の時間を十分に確保できるように工夫している。一方、6年次後期は「総合演習Ⅱ」及び「研究研修Ⅱ」を並行して開講しているが、時間割の大半を占める「新・研究研修Ⅱ」は2単位の自由科目であり、これまで履修者はいない状態である。したがって、このような2単位の自由科目に多くのコマ数を割く時間割の編成は、実質的には薬剤師国家試験の合格率の向上のみを目指していると考えられる。例えば、「研究研修」はCPに掲げる「医療や科学技術の発展に貢献できる研究能力と、生涯を通して学び続ける自己研鑽能力を養成するための科目」であるべきであり、「新・研究研修Ⅱ」についても必修化するなどして、このような実質的に国家試験対策科目に偏った時間割編成を解消するように改善することが望まれる。
兵庫医科大学薬学部は、兵庫医療大学薬学部の完成年度翌年である2013年度に、開学から6年間にわたって実施してきたカリキュラムについて、主に基礎分野、専門基礎分野の検証・検討を行い、カリキュラムを変更した。また、2015年度に薬学教育モデル・コアカリキュラム(平成25年度改訂版)に対応したカリキュラムに変更した。翌年の統合を控えた2021年度には教育課程及びその内容、方法の適切性について検証し、大学統合後の2022年度入学生からのカリキュラムを改訂した。カリキュラムに関する検討の詳細、改訂計画の実行については訪問調査時に確認した。
(3-2)教育課程の実施
本項目は、おおむね適合水準に達しているが、一部の専門科目について評価の公正性及び厳格性に懸念される点が認められる。
各授業科目の教育目標達成のために、講義、実習、グループ学習と成果発表会、体験学習等の学習方法が選択されている。知識の修得に対しては講義形式を基本とし、様々な専門科目の技能の修得及び科学的思考力の養成には実験実習計9科目、コミュニケーションスキル等の技能の修得には、実務実習事前学習及び1~4年次の計6科目(1年次「アカデミックリテラシー」、2年次「チーム医療概論」、3年次「チュートリアル」、3~4年次「医療コミュニケーション」、4年次「チーム医療論演習」、「新・コミュニティーファーマシー」)においてグループ学習や発表会が行われている。医療人としての態度の修得に対しては、兵庫医科大学病院との連携により1年次9月に「早期臨床体験実習」における病棟での体験、「薬学入門Ⅰ」での薬局や病院の見学実習がある。さらに4年次の「新・実務実
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習事前学習Ⅱ・Ⅲ」では、実際の臨床現場で必要とされる細かな対応・態度を修得させている。したがって、知識・技能・態度の学修項目についての教育は適正であるといえる。
薬学研究に関しては、入学年度によって薬学研究該当科目が異なるが、合計15単位になるように必修科目が設定され、4年後期から6年前期までの間に、実務実習期間を除き卒業研究に取り組めるカリキュラムとなっている(「自己点検・評価書」p51 表3-2-1-1~3-2-1-3)。2022年度の6年生(131名)は、「新・研究研修Ⅰ」もしくは「研究研修Ⅰ」を履修し、その成果を5月26日の卒業研究発表会でポスター発表を行った(資料87、113)。さらに、研究成果の医療や薬学における位置づけ、これから解決すべき問題点、今後の展望などについて記載することを明文化した作成要領に基づいて作成された研究成果報告書を卒業論文として8月末までに提出した。卒業論文は「研究目的の理解」、「実験結果の説明」、「考察」、「結論と将来展望」、「論文原稿の作成」の観点から作成したルーブリック評価表に基づき、研究指導責任者以外の教員2名が評価している。これらのポスターと卒業論文の評価に、日頃の研究活動について研究指導責任者が行った評価を加えて、「新・研究研修Ⅰ」、「研究研修Ⅰ」の単位が認定される。なお、評価者から助言を受け修正した卒業論文最終版は、2023年1月に「卒業論文集」として冊子体に取りまとめられ、教員及び5、6年生に配布されている(「自己点検・評価書」p53)。4~5年生の「新・研究実習」については、日頃の研究室における研究活動、研究室内のデータ報告、文献紹介等に対する理解度や取組み姿勢を観点とするルーブリック評価表がガイダンスで提示され、研究実習終了後に提出する「研究実習ふりかえり報告書」とともに研究指導責任者及びそれ以外の2名の教員が評価している。以上より、薬学研究に関わる科目の学習方略、成績評価は適正に行われている。
薬学臨床における実務実習に関しては、「薬学実務実習に関するガイドライン」を踏まえて実施されている。その指導の中心は、実務経験5年以上を有する専任教員6名及び実務経験を有する専任教員1名であり、医師の資格を有する教員も参加している。学内で行われる臨床準備教育としての「新・実務実習事前学習Ⅰ」、「新・実務実習事前学習Ⅱ」、「新・実務実習事前学習Ⅲ」においては、講義、実習、演習、ディスカッション、グループワーク、ロールプレイ、シミュレーション、リフレクション等多彩な方法を用い、薬剤師として求められる基本的な資質が身につくような学習環境を提供している。また、年間延べ人数約180人の模擬患者が参加している。さらに、「新・実務実習事前学習Ⅱ」の授業には、2021年度より学外講師による一次救命処置(BLS: Basic Life Support)の講習と訓練を取り入れている(「自己点検・評価書」p54)。学内教員と共に、臨床準備教育における概
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略評価表(例示)<近畿地区版>に示されているルーブリックに基づいて学生のパフォーマンスを測定し、評価している。
薬局・病院実務実習に関しては実務実習委員会が組織されている。現委員は臨床薬学分野担当教員7名、臨床薬学分野以外の教員3名で構成されており、実務実習支援室の専任事務職員1名のサポートを受けている。この委員会が中心となり、学生の配属決定、実習施設との契約が行われている。実習先で使用する実習テキスト(教科書)は、病院・薬局実務実習近畿地区調整機構が監修している「2022年度版薬学生のための病院・薬局実習テキスト」を指定することで、他大学の実務実習生との標準化が図られている。実務実習担当教員は、実務実習指導・支援システムを通して担当学生の実務実習の学習方法、時間数、場所等を確認しながら学生や指導薬剤師との連絡を行っている。実務実習の評価は、訪問担当教員の初回訪問(事前打ち合わせ訪問)時等に指導薬剤師に依頼し、病院・薬局実務実習近畿地区調整機構において策定された統一書式によって実施している。また、総合的な学習成果の指標としてルーブリック評価基準を病院・薬局実務実習のしおりに掲載し、学生と指導薬剤師に提示・周知しながら実務実習を実施している。実習終了時の評価(5段階評価)については、実習施設において指導薬剤師を中心に実施され、評価表を大学に郵送することを依頼している。これを基に、受入れ施設を訪問した担当教員が評価を行い、その評価結果を科目責任者に提出し、最終総括評価票(案)として実務実習委員会に提出している。実務実習委員会で承認された成績案が薬学部教授会で審議され、承認されたものが成績として確定する。このように、実務実習は薬学教育モデル・コアカリキュラム(平成25年度改訂版)及び薬学実務実習に関するガイドラインに沿って適切に行われている。
兵庫医科大学薬学部では、卒業時に求められる学生の資質・能力の向上に資する学習・教授・評価方法の開発を行っている。基礎薬学専門科目においては、2年次後期「新・物理化学Ⅱ」でチーム基盤型学習の手法を取り入れた授業方法を実践した結果、通常の授業方法に比べて理解度が高まるとの評価を学生アンケートより得ることができたとしている。ただし、2020~2022年度はこの形式の授業ができず、2023年度も再開されていないことを訪問調査時に確認した。また、「新・薬学入門Ⅱ」、「基礎有機化学Ⅰ」、「基礎有機化学Ⅱ」、「アドバンスド有機化学」、「セルフメディケーション」等複数の授業で双方向型授業支援ツールを活用している。これらの学習・教授・評価方法に関する取り組みの成果を教育研究論文や総説として積極的に社会に発信している。その内容は、1)基礎薬学専門科目におけるチーム基盤型学習の導入、2)薬学専門科目における双方向型授業支援ツールの導入、3)臨床応用に向けた統合的演習教育方法のデザインと検証、4)薬学系実習におけ
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る新規評価方法の導入と効果検証、5)臨床応用に向けた実務実習事前学習教育方法のデザインと検証、6)EBM(Evidence-Based Medicine)を志向した医学文献評価教育のデザインと教育効果の評価、7)ICTツールを活用した新規な教育手法の試み、8) 臨床準備教育におけるパフォーマンス評価の導入であり、有益な取り組みとして評価できる。
成績評価の方法・基準については「兵庫医科大学薬学部・看護学部・リハビリテーション学部の教務に関する規程第8、9条」に評価基準(60点未満は不可、など)や成績評価を受けるために必要な出席時間数(講義は2/3以上、実験、実習は4/5以上)が定められており、各科目はこの基準に従って成績評価を行っている。成績評価項目とその寄与率はシラバスに明記されている。ただし、「薬物動態学Ⅰ・Ⅱ」、「新・漢方治療学」、「医薬品安全性学」等の科目では、欠席によって全体評価が3~10%減点されるとある。出欠席の状況が学習態度の一項目としてではなく評価全体に直接関与することは適切な評価とは言えず、出欠席を評価項目から外すように改善することが必要である。学生には教務便覧及び学生生活ハンドブックを通して周知され、新入生オリエンテーションや、年度始めの各学年対象のガイダンスで、スライド並びに配付資料を用いて説明されているほか、学習管理システムでも提示されている。シラバスは教務便覧とともにホームページで随時閲覧できる状態である。実習に関しては、参加態度、レポート等で複数の教員が評価している。このように、一部の科目を除いて適切な成績評価の方法・基準が設定され、学生への周知が図られている。
定期試験で評価する科目については、やむを得ない事情で定期試験を受けられなかった学生には追試験を行い、定期試験で不合格となった学生に対しては、科目責任者の判断で再試験を実施している。再試験実施の有無については、シラバス授業概要情報の「成績評価の方法」において、再試験受験の条件を明記するように各科目責任者へ要請しているが、シラバスへの記載の有無は科目によって異なる。再試験の実施を含めて画一的な評価方法を各教員に強制することは望ましくないとの考えであるが(「自己点検・評価書」p70)、学生からのクレームは出ていないとしても成績評価の公平性の観点から、再試験の有無及び再試験を行う場合の受験要件については、シラバスにおいて統一的に示すことが望ましい。
成績評価の結果は、実習を含めた全ての科目について、前期、後期の試験期間終了後に、Web上で一次評価と最終評価の2段階で発表している。一次評価では、定期試験(本試験)の合否と、再試験を行う場合は資格の有無を告知している。最終評価では、各科目について、優、良、可、不可の結果を発表している。成績評価結果について、疑義があれば、最終評価発表日を含めて2日以内に、神戸教学課に申請を行い疑義照会できるシステムが
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あり、学生にWeb掲示で周知している。なお、成績評価結果については、保護者にも成績が確定次第郵送にて連絡している。したがって、成績評価の結果は必要な関連情報とともに当事者である学生に告知されるとともに、成績評価に対しての学生からの異議申立の仕組みが整備され、学生へ周知が図られている。
後期の定期試験終了後に教授会(進級判定会議)を開催し、進級、仮進級、留年を判定している。進級の基準は「兵庫医科大学薬学部・看護学部・リハビリテーション学部の教務に関する規程」第19条に「各学年次の進級について、当該学年次に配当されている科目のうち、全ての必修科目及び進級に必要な選択科目の単位数について合格の判定を受けた者が新学年の始めに次の学年に進級することができる。」と定められている。薬学部では教授会で承認された進級判定基準にて進級判定を毎年3月に実施している。進級判定基準は、年度始めに行う各学年対象のガイダンスで、教育委員よりスライド並びに配付資料を用いて説明するほか、学習管理システムから公開している。
仮進級については、上記規程第19条の②に「学長が教授会の意見を聴いて、教育上有益と認めた場合、特に進級させることがある。」と規定されている。各学年の進級判定要件は第19条第2項の適用要件として教授会で承認され、4月の履修ガイダンスにおいて、その年の基準が学生に説明されている。進級は「全ての必修科目及び進級に必要な選択科目の単位数について合格の判定を受けた者」と定められているにもかかわらず、これに反して本規程の「教育上有益と認めた場合、特に進級させる」によってこの要件を満たさない者に進級を認めることになる。公正かつ厳格な進級判定として、少なくとも具体的にどのような場合が該当するのか明示して、学生に周知する必要がある。また、これを仮進級とすると、規程の文章からは本来の進級と区別ができない。したがって、規程の見直し等、進級判定について改善を図ることが望ましい。「兵庫医科大学薬学部・看護学部・リハビリテーション学部の教務に関する規程」第20条によると、仮進級者は、仮進級年次の履修科目と下級年次の不合格科目の再履修が必要であり、開講日時の重複は配慮されるとある。
留年生は前年度までの不合格科目をすべて再履修することが求められており、上位学年配当の授業科目の履修は認められていない。ただし、上位学年配当の授業科目や前年度までに合格した科目の聴講を希望する場合には、クラス担任との面談の上、当該学生の学習能力や生活環境から妥当と判断されれば、聴講の可否の判断が科目責任者に伝達される。チーム医療系科目(1年次:早期臨床体験実習、2年次:チーム医療概論、4年次:チーム医療論演習)が不合格になると原級にとどまることが薬学部の進級要件に設定されている。
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卒業の認定については、兵庫医科大学学則第47条に定められている。薬学部ではCPに基づくカリキュラムを履修し、卒業に必要な単位を取得していることにより、卒業要件を満たすとしている(「自己点検・評価書」p75)。卒業要件については、学則に記載して明示するだけでなく、各学年次の年度始めのガイダンスにおいて学生へ周知している。単位取得以外に卒業認定に関わる項目としてDPに掲げた学生が身につけるべき資質・能力のルーブリック評価があるが、学生の自己評価にとどまっており、教員による評価を合わせて実施し、形成的評価に活用したり、過去の結果と比較して学年進行による変化を解析することが望ましい。2022年度6年生131名の卒業判定は、学則に則り2023年2月9日の教授会において行われ、卒業要件を満たす単位を取得した学生についてはDP達成度も確認した。DPに到達したと判定された学生には、学位授与式においてディプロマサプリメントを授与している。以上より、薬学部での卒業認定は、判定基準に従って適切な時期に、公正かつ厳格に行われている。
履修指導に関しては、クラス担任や卒業研究で配属された研究室の教員による日常の履修指導に加えて、入学者に対する導入ガイダンスや学習歴等の違いを補完するための薬学準備教育科目の配置、さらに、在学生並びに留年生・卒業延期者に対する履修指導が適切な時期に、適切に実施されている。学生に指導した内容は、教育・学生支援システムの学生情報に入力し、薬学部教員で学生情報を共有できるシステムを構築している。6年次に原級となった学生に対しては、年度内にガイダンスが実施されている。またガイダンス等の内容を学生に確実に周知するため、ガイダンス終了後も、学修支援システムにガイダンスで配布した資料並びに説明動画を掲載している。さらに同じ学修支援システム上に、カリキュラム・マップ及びカリキュラム・ツリーも掲載し、学生がカリキュラムの全体像を俯瞰し、6年間の学修の道標として活用できるようにしている。
(3-3)学修成果の評価
本項目は、おおむね適合水準に達しているが、学修成果の総合的な評価及び薬学共用試験の結果の取扱いにおいて懸念される点が認められる。
教育課程の進行に対応した学生が身につけるべき資質・能力は、9個のDPを指標として作成された履修系統図、カリキュラム・マップ、カリキュラム・ツリーにまとめられ、大学ホームページに掲載されている(基礎資料1、正誤表:基礎資料1追記)。このように、学生が身につけるべき資質・能力の評価に関しては、科目レベルの成績評価とは別に取り組んでおり、カリキュラム・ルーブリック表を用いた学生による自己評価を、年度始めの
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ガイダンス時に、全ての学年で実施していることは評価できる。DPに掲げた学修成果の達成度の指標を設定するため、2017年度にカリキュラム・ルーブリック作成ワーキンググループが、主要なDP(DP1、DP3、DP7、DP8)について、その目標達成度を測るためのルーブリック評価表を作成し、2021年度にDP2とDP9のルーブリック評価表が追加された。2022年度の新年度ガイダンスでは、DP1、DP2、DP3、DP7、DP8、DP9の達成度を自己評価しており、達成度が低いDP7とDP8は、新型コロナウイルス感染防止のため、学会参加の機会や研究セミナーの実施が少なかったことの影響が大きいと考察されている(「自己点検・評価書」p91)。また、2022年度にはDP4、DP5、DP6のルーブリック評価表も作成し、後期授業開始時期に学生自己評価を実施した。学生の自己評価の結果ではあるが、学年が進むごとにDP達成度が上昇していることから、教育課程の進行に対応した評価として有用であると考えられているが(「自己点検・評価書」p88 13行目~)、単年度の学年同士を比較するだけでは実際の学生群の教育課程の進行に対応しているか明確ではないため、さらなる解析を進めることが望ましい。DP4の達成度については、学生による自己評価だけではなく、春季総合実力テスト(2022年4月1日実施)の結果も利用して測定している。6年生に対しては、「新・研究研修Ⅰ」、「新・薬局実務実習」、「新・病院実務実習」、「総合演習Ⅱ」の授業科目を学修成果の評価対象とし、卒業時のDP達成度を評価した。2022年度は、2、3、5、6年生を対象にしてDP達成度を評価し、4年生も今後は対象になることが追加の書面調査で確認した(「自己点検・評価書」p88 表3-3-1-1)。
これにより、学生が身につけるべき資質・能力の一部が、教育課程の進行に対応して評価しているとされるが、ルーブリック評価はあくまでも学生の自己評価であり、授業科目を対象とした評価に関しては5年次、6年次のみの成績を対象としたものである。学生による自己点検評価のみでは学生が身につけるべき資質・能力を、「教育課程の進行に対応して」評価しているとはいえず、教員による評価やフィードバックも行うことが望ましい。また、DPに記載された9項目の資質・能力の修得度・達成度を、カリキュラムの年次進行に伴って総合的に評価するための指標が設定されていないため、教育課程の進行に対応した評価を実現するためにも、運用されているカリキュラム・ルーブリックを活用するなどの改善が必要である。一方、6年生による自己評価の結果が卒業判定教授会に提出され、DP達成度を認定したとされるが、「2023.02.09薬学部 臨時教授会議事録」によると、卒業確定者に対してDPの達成状況が承認されたとあるので、最終的な卒業判定の前にDP達成度を確認することが望ましく、また、そのことをすべての学生に事前に周知すること
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が望ましい。
実務実習を履修するために必要な資質・能力を評価するための薬学共用試験は、CBT委員会とOSCE委員会によって適正に実施され、実施時期、実施方法、合格者数及び合格基準を適切に公表している。ただし、自大学の受験生の薬学共用試験CBTの分野別の得点分布やOSCEの細目評価の得点分布を会議資料として全教員で共有しているほか、4年生へのガイダンス資料によると「CBTの成績を配属研究室単位で把握し、個々の学生に対して国試に向けた指導方法の最適化を行っている」とある。なお、CBTは実務実習を行うために必要な知識を評価することを目的とするものであり、その成績を目的の異なる国家試験と関連付けて指導方法の最適化を行うことについては、学生にCBTや国家試験に対する誤った認識を持たせる懸念があり、好ましいとは言えない。さらに、このことは、大学は、受験生個人の成績を本人に伝えることなく、成績データを厳格に管理し、漏洩・公開しないという、薬学共用試験の遵守事項に反しており重大な問題であるため、改善が必要である。
薬学部独自のDP達成度の評価に加え、兵庫医科大学アセスメント・ポリシーにおける評価指標が設定され、そのデータは卒業生アンケートの調査結果などと共にIR部門や各委員会において分析されている。このうち、「【問5】次世代の医療科学を担う創造性と国際性が身についたと思いますか。」の達成度が低かった結果より、「創造性(問題発見解決能力・研究力)や国際性が身につく程度が低いことは改善が必要な事項であるが簡単に改善できる項目ではない。次年度は、発表会の対面開催、学術講演会の開催で改善を試みる。」とある。この卒業生アンケートの調査結果に基づく教育改善案は、2022年3月の教授会で承認されており、国際性に関する項目以外にも「論理的思考力」を高めるための改善に向けた取り組みを行っていることを追加の書面調査で確認した。各教員は、薬学部教授会に共有された学修成果やアンケートなど様々な情報をもとに「教員活動計画報告書(報告書と計画書)」や「ティーチング・ポートフォリオ」に、担当科目等の振り返りと改善計画を記載し、毎年PDCAを実行するほか、薬学部自己点検・評価委員会でカリキュラム全体の対応を検討している。今後も継続的なDP達成度の評価について解析を行い、教育改善につなげることが期待される。
以上より、兵庫医科大学薬学部は、教育の成果を可視化し教育改善を恒常的に実施できるような取り組みを実施しており、学修成果の評価の結果が教育課程の編成及び実施の改善・向上に活用されていると言えるが、薬学部独自のDP達成度の自己評価の結果を、カリキュラム全体にフィードバックする点について、さらに工夫することが望まれる。
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4 学生の受入れ
本項目は、おおむね適合水準に達しているが、標準修業年限での卒業者の割合及び低学年次での留年率・退学率において懸念される点が認められる。
入学者の評価と受入れに関する責任ある体制として、兵庫医科大学アドミッションセンターがあり、アドミッションセンターの下部に、薬学部・看護学部・リハビリテーション学部の入試業務を行う神戸キャンパス入試センターが設置されている。神戸キャンパス入試センターは、神戸キャンパスの3学部のアドミッション・ポリシーに基づき、各年度の入学者選抜方針を策定したのち、入試問題の作成と採点とその検証を指揮・監督するなど、入試を適正かつ公正に実施するための一連の業務を統括している。入学試験実施にあたっては、神戸キャンパス入試センターから委嘱された学内専任教員が出題・採点委員と検証委員に携わり、薬学部専任教員は、全入試日程の「数学」と「化学基礎・化学」に関して入試問題の作問・採点及び入試問題の検証に係わっている。そのため、数理系科目においては、薬学部専任教員が、薬学教育に適した入試問題を作成し、問題の難易度を調整できる出題体制が構築されている。検証委員は、出題・採点委員とともに、入試問題を繰り返し検証して出題ミス防止に関わり、出題・採点委員は、各設問の正答率や点数分布を確認し、次年度の入試問題の難易度調整に活用している。学校推薦型選抜においては、主体性を持って多様な人々と協働して学ぶ態度や医療人としての適性を見るため、神戸キャンパス入試センターから委嘱された薬学部専任教員が調査書審査委員として調査書を点数化している。
全入試日程の合否判定は、審査・採点された素点を基に、薬学部長と学部入試運営委員2名で構成される採点・判定資料検証と、学長を議長とする入試運営委員会で合否ラインの原案を作成したのち、薬学部教授会構成員及び学長からなる薬学部臨時教授会(入試判定会議)にて審議され、原案の承認あるいは修正が行われ、最終的な合格者を決定している。個別面談を実施する学校推薦型選抜(指定校)も、志願者の評定平均値及び試験の採点結果・判定資料検証と入試運営委員会にて確認し、臨時教授会を経て最終的な合格者を決定している。このように、入学者の評価と受入れの決定は、責任ある体制の下で適切に行われている。
入試種別は複数回実施される一般選抜、数種類の学校推薦型選抜、総合型選抜、大学入学共通テスト利用入学試験等など多岐にわたっており、入試種別及び入試科目と配点は、入試ガイドに記載され、学生募集要項には、入試種別ごとに、どのように「学力の3要素」を評価していくかを記載している。「知識・技能」の評価は全ての入学試験で実施している。
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「主体性・多様性・協働性」は、学校推薦型選抜(指定校)、大学入学共通テスト利用入学試験(面接併用型)、総合型選抜の二次試験において面接により評価している。さらに、「思考力・判断力・表現力」のうち、「思考力・判断力」については入試問題の工夫により一部対応しているほか、総合型選抜の二次試験では、適正検査として「実習・演習」を、全ての学校推薦型選抜では、調査書の評価を実施している。一方、「表現力」の評価は大学入学共通テスト利用入学試験(面接併用型)での二次試験(課題に対するプレゼンテーション資料の作成とプレゼンテーションに関する質疑応答)のみでしか実施されていないため、他の入学試験においても改革をさらに進めることが望ましい。一般選抜においては「主体性を持って多様な人々と協働して学ぶ態度」を評価できておらず、学力の3要素の多面的・総合的な評価には至っていないので改善することが望ましい。
医療人としての適性を評価し、アドミッション・ポリシーに見合う素養と能力をもつ志願者を選抜するために、総合型選抜の二次試験と学校推薦型選抜(指定校)において個別面接を導入しているほか、総合型選抜の二次試験では、適正検査として、化学実験あるいは医療に関する実習・演習、全ての学校推薦型選抜において、調査書の点数化を実施して合格判定に用いている。一方、一部の選抜方式では面接が実施されているが十分とは言えない。このほか一部の入学試験ではあるが、複数の評価手法を導入して医療人を目指す者としての資質・能力を評価しており、大学入学共通テスト利用入学試験(面接併用型)の二次試験では、医療などに関する課題に対するプレゼンテーション資料の作成、プレゼンテーションの実施と質疑応答により、受験生個人の資質・能力を評価している。
入学試験の実施に際しては、志願者の「出願資格」に障がいに関わる一切の制限を加えておらず、著しい機能障がいまたは疾病などにより受験上及び修学上特別な配慮を必要とする場合は、事前に相談を受け付けることが学生募集要項に明記されている。これまでも別室受験を実施するなど、受験機会均等の確保を図り、障がいを持った学生を複数名受け入れて、身体的障がい、発達障がい等も含む精神的障がいを持つ入学者に対して継続的に支援している実績を追加の書面調査で確認した。
入学者受入れの改善・向上のため、毎年、入学試験後に、神戸キャンパス入試センターが入試結果をまとめ、入試の検証、入試改革の議論・立案を行っている。薬学部では、毎年4月に、新入学生に対して、プレイスメントテストを実施し、数学、物理、化学、生物の理系科目における新入学生の学力を経時的に調査している。このプレイスメントテストの結果や神戸キャンパス入試センターでの議論をもとに、必要な入試改革に取り組んでいる。低学年次において留年率・退学率が高くなる要因は、「物理系」や「化学系」等の数理
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系科目を十分に修得できない学生を受け入れているためと考え、2015年度入試から数学、化学の問題形式を変更した。しかし、入学者の数理科学的能力の向上効果は一時的であったため、2018年度から指定校制導入、2019年度からAO入試導入、2020年度から総合型選抜導入などの改善を行い、入学後のミスマッチやドロップアウトを防ぐとともに、入学志願者の能力が的確に評価できるよう改善を試みている。2021年度入試からは、公募制学校推薦型選抜に専願後期を追加し、より入学志願意識が高い入学生を受け入れるようにした。また、学校推薦型選抜(指定校)では、適時、入試運営委員が指定校の選定(追加・削除)案を立案し、薬学部教授会で審議・承認しているほか、高校のレベルを考慮した調査書の評定平均値を高校ごとに指定して、指定した評定平均値以上の学力を有する志願者を受け入れている。さらに、学校推薦型選抜(指定校)においても、化学基礎・化学の試験(学校推薦型選抜の専願前期・併願A日程と同じ入試問題)を実施して化学の学力を確認し、個別面接と学校長の推薦状でアドミッション・ポリシーに即した志願者であることも確認している。このように入試制度は改善しているものの、6年間の修業年限内で卒業できる割合の向上と低学年次での留年率・退学率の改善は十分とは言えず、未だ入学者の学力を的確に評価できていないと考えられるため、さらに入試制度の改善を進める必要がある。
兵庫医科大学薬学部の入学定員は150名であり、最近6年間の入学者数の平均をみると、入学定員に対して95%で、大きく乖離していない。2018年度入試では定員を10%上回ったが、2020年度から2023年度入試では定員未充足が続いている。この状況について、入学定員数を大きく上回っておらず問題がないとしている。
兵庫医科大学薬学部では、「学力の3要素」、すなわち知識・技能、思考力・判断力・表現力等の能力、主体性を持って多様な人々と協働して学ぶ態度を多面的・総合的に評価すべく入試改革に取り組んでいる。一方で、入学者数の適切性については法人での協議が行われて、その方針は教員にも周知されているが、現時点では入学定員の見直しは考えていないことを訪問調査時に確認した。しかし、今後も入学者の学力(資質・能力)の調査を継続し、入学定員を見直す必要があれば、薬学部教授会で検証して、適正な入学定員について大学として検討を行うとしている。
5 教員組織・職員組織
本項目は、適合水準に達している。
薬学部の教育研究活動の実施に必要な教員組織の編成方針は、「「兵庫医療大学薬学部に
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おける教員組織の編成方針」に「薬剤師として必要な知識、技能、態度を教授するために、十分な学識、倫理性、研究業績と高い学生指導能力をもつ者を教員とする。」、「6年制薬学教育に求められる専門分野のバランスを考慮した教員組織を編成する。」と定められている」としているが、兵庫医科大学への統合により「兵庫医科大学が求める教員像・教員組織の編成方針」が定められていたことを訪問調査時に確認した。その編成方針には「3つのポリシーに基づく教育活動を適切に実施する教員組織を編成する。」、「学部及び大学院の教育研究上の必要性を踏まえた上で、職位及び専門領域(分野)に偏りのない教員構成とする。また、年齢、性別構成等にも配慮し、ダイバーシティを推進する。」等が記されている。なお、大学統合後も統合前の規程等がそのまま残っており、現状の教育研究活動と齟齬が生じることが懸念されるので、それぞれについて精査し、必要に応じて改訂を行うことが望ましい。2022年5月1日時点の薬学部専任教員は45名であり、教授18名(薬学部全教員の40%)、准教授6名(同13%)、講師11名(同25%)、助教10名(同22%)となっている(「自己点検・評価書」p109表5-1-1、基礎資料5)。2022年度に教員採用を計画的に実施し、2023年2月1日時点の薬学部専任教員は50名となり、職位毎の内訳は、教授18名(薬学部全教員の36%)、准教授8名(同16%、薬学教育センター准教授を含む)、講師10名(同20%)、助教14名(同28%)となった(「自己点検・評価書」p109表5-1-2)。2023年2月1日現在の専任教員50名の年齢構成は、61歳以上:7名、56-60歳:8名、51-55歳:8名、46-50歳:8名、41-45歳:7名、40歳以下: 12名であり、平均年齢は48.8歳と比較的若手が多い配置となっている。実務家教員は2023年2月時点で6名、さらに兵庫医科大学病院薬剤部所属のみなし教員3名が配置されており、大学設置基準に定められた専任教員数及び構成の基準(16名以上の教授及び6名以上の実務家教員を含む計31名)を満たし、その人数比率、年齢構成は適切である(基礎資料5、6)。
専任教員1名に対する学生数は2022年5月時点で18.9名、2023年2月時点でも17.0名であり、1名の教員あたり学生10名以内とすることが望ましい。
専任教員45名のうち42名が博士の学位を有しており、各人の専門分野に基づいて薬学専門教育分野のほぼ全ての必修科目を担当している。現役医師4名が専任教員に含まれ、特に専門性の高い病態薬物治療学・臨床薬学分野科目の科目責任者に配置している。
専門分野全科目の77.7%は、教授または准教授が科目責任者を担当している。講師が科目責任者を担当する科目は21科目(全専門科目の17.4%)とやや多いが、実習科目や選択科目も含まれており、おおむね適切である。一部科目では助教が講義を担当しているが(基礎資料7)、科目責任者は助教ではなく講師以上の教員となっている(基礎資料7)。
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専任教員の採用及び昇任に関しては、「兵庫医科大学教員審査基準」、「兵庫医科大学教員審査に関する規程」、及び「兵庫医科大学教員の任期に関する規程」に基づいて実施されている。教員の採用は原則として公募で行うが、予め定めた要件を満たす適切な候補者が学内にいると判断される場合は学内公募を行うことも認めている。教員の選考にあたっては、その都度、教員候補者審査委員会を設置し、応募者が募集要項に記載された選考基準を満たしているか審査した後に教授会に報告し、審査に合格した候補者によるプレゼンテーションを実施する。その後、学部長は教授会での候補者に対する意向投票により教授会の意向を確認し、大学運営会議に教員候補者審査委員会の審査結果及び教授会の意向を報告することとしている。
次世代を担う教員である助教はメンター教員(教授、准教授)の指導を受け、教育と研究に携わっている。教育面では、助教は主に実習科目に関わり、「総合演習Ⅰ」、「総合演習Ⅱ」等では講義の一部を担当している。このような体制下、教育能力を高めた助教6名が講師に昇任している(「自己点検・評価書」表5-1-3)。研究面では、メンター教員の指導の下に、4~6年次カリキュラムの研究実習や研究研修を履修する学生を指導しながら研究を実施し、研究成果を挙げて次世代を担う教員へと成長を続けているとある。全学の取り組みとして、後述する兵庫医療大学研究助成・顕彰制度(学内研究助成)(2022年度から兵庫医科大学研究推進助成「神戸キャンパス研究者研究助成」)がある。
薬学部専任教員の教育研究活動の業績は、「研究業績プロ」システムで管理され、“著書・論文歴”“学会発表”“講師・講演”“受賞学術賞”“取得特許”の五つの項目のうち、教員が学外公開を許可した研究業績のみ、大学ホームページの「兵庫医科大学教員業績データベース」で公開している。「研究業績プロ」に入力した研究業績は、researchmapとのデータ交換が可能である。
研究活動の場はG棟の2階と3階に配置された15の研究室(総床面積1791.88㎡)で、各研究室は実験室と学生室から構成されている。実験室には、個々の研究室に所属する教員が取り組む研究内容に応じて、実験台、クリーンベンチ、ドラフト、汎用実験装置、小型測定器等が設置されている。また、先端医薬研究センターの三つの研究室では医学部あるいは企業の研究者と連携して疾病の病態解明や難病の治療法開発などに関する研究に共同で取り組んでいる。このほか、共同利用研究施設として、①神戸共同利用研究施設(旧 共同機器室)、②神戸病態モデル研究センター(旧 動物実験センター)、③RI実験室、及び④薬用植物園が設置されており、個体レベルから細胞・分子レベルまで多種多様な薬学研究に利用されている。専任教員の教育にかかる時間は、平均すると1教員あたり週6.8
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時間であり、職位別にみると教授18名:5.9時間、准教授6名:7.3時間、講師11名:7.8時間、助教10名:8.4時間である。一方、基礎資料7では、教授は平均週3.85(1.28~7.64)時間、准教授は4.95(3.07~8.60)時間、講師は5.10(1.75~8.38)時間、助教は4.69(3.19~6.86)時間であり、教授が担当する講義等の時間に比べ、准教授や講師が上回っている。教員の教育にかかる時間はほぼ均等に分布しているが、一部の教員の担当時間が多い。教員の研究時間は確保されているので早急に改善を要する状況には至っていないが、各教員の研究業績を見ると、2019年から著書・論文・学会発表のいずれもない教員が教授1名、准教授1名、講師1名、助教1名いる(基礎資料8 p113、141、144、160)。教育にかかる時間の格差と直接結びつけることはできないが、すべての教員に対して適切な教育研究環境を整備することが重要であり、改善が望まれる。研究費については職位に応じて異なり、一人当たり、教授450千円、准教授360千円、講師240千円、助教180千円、助手180千円である。これに、戦略的教育研究費として薬学部に配分される学部教員研究費(2,000千円/年)を加えた経費が基本的な研究経費となる。このほか、前述したように若手研究者を支援する学内研究助成制度が設けられていることは評価できる。2022年度は「神戸キャンパス研究者研究助成」において14名の応募者の中から薬学部教員9名を含む10名が採択され、それぞれ300千円の助成を受けた。また、外部資金獲得のための支援体制として、全学の研究推進課が情報提供すると共に、2022年度には科研費獲得に向けた申請書作成支援セミナーや論文執筆セミナー等が開催された。これらのセミナーや講演会は、オンデマンド配信されており、薬学部の教員・研究員は、いつでも視聴できるようになっている。
教員の教育研究能力の向上を図るための組織・体制として、兵庫医科大学FD・SD推進室(SD:Staff Development)及び薬学部FD委員会が存在する。FD・SD推進室規程では、FD・SD推進室に、各学部より1名ずつ構成員を選出することになっており、本規程に従い、2022年度より、薬学部から1名の構成員が選出されている。薬学部委員は他学部委員とともに、後述する全学教員FD並びに神戸キャンパスFDワークショップの実施運営に協力するとともに、各学部独自のFDイベントについて情報を共有し、他学部のFDイベントについて、薬学部教員に広報し、参加を促している。薬学部FD委員会は、全学FD・SD委員1名と、薬学部独自のFD委員7名からなり、年1回の薬学部独自のFDを企画・実施している。2022年度は神戸キャンパスFDワークショップ、医学部も含めた全学FD、及び薬学部独自のFDが開催されたことを追加の書面調査で確認した(「自己点検・評価書」p116 21行目)。学生による授業評価アンケートは、庶務課が主体となっ
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て実施している。必修科目では実施が義務付けられ、アンケート結果は各教員にフィードバックされると同時に、大学ホームページで公開されている。教員は学生らに対し、アンケート結果に基づく改善ポイント等を、学習管理システムを利用して、フィードバックするようになっている。
実務経験を有する教員は、薬剤師として薬局・病院等での兼業を行うことを通して自己研鑽する体制を整えているとある。この制度を利用して、実務経験を有する教員は、薬剤師として薬局・病院等で実務経験を継続し、最新の医療に触れることができる。2023年2月から学部長及び受入病院の許可を得て、1名の助教が月に数回程度の頻度で病院実務研修を行っている。しかし、兼業規程はあるものの、薬学部として実務経験を有する教員の研鑽を支援するための制度は十分に整備されておらず、自己研鑽の範囲に留まっているため、積極的に研鑽を積むことができる体制の整備が望まれる。
兵庫医科大学神戸キャンパスには、大学事務部から担当者が配置されており、神戸キャンパスにある3学部の教育研究活動を一括して支援する体制となっている。神戸教学課には薬学部に係る教育課程、教授会、共用試験、学位授与、学事等を担当する職員2名、薬学部実務実習支援室には実務実習、共用試験の事務を担当する職員1名が配置されている。その他、学生支援課、庶務課、入試課、学術情報課、研究推進課等は他学部と共通である。研究技術課では共同利用研究施設(共同機器室)、病態モデル研究センター(動物実験施設)、RI実験室等の運営支援及び動物実験等各種審査業務に、それぞれの担当職員が従事しているほか、専門的な技術支援のために実験動物技術者2名、薬学教育センターには2名の専任事務職員が配置されており、薬学部の教育研究活動の実施に必要な職員組織が整備されている。
6 学生の支援
本項目は、適合水準に達している。
兵庫医科大学薬学部では、学生が学習や生活を相談できる体制として、1学年を40人前後のクラスに分けて担任と副担任が学習相談を含む様々な問題や悩み事を相談できる担任制度がある。また、薬学部、看護学部、リハビリテーション学部の3学部の1年生を10名程度のグループに分けて対応するアドバイザー制度がある。この制度は、学生が構成員として含まれる大学行事実行委員会が主体となって相談に応じる制度であるが、2020年度以降は学部ごとに運用されていることを追加の書面調査で確認した。薬学部では、新入生を対象とした薬学部アドバイザー制度が運用されており、教員1名につき3~4名の1年生
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を割り振り、入学直後から前期の間、週1回面談することで、学生の生活態度や学習意欲等を確認し、新しい環境で順調な学生生活をスタートさせているかを見守るとともに、守秘義務に配慮した上で面談の内容を担任に繋げていることは評価できる。2~4年生については薬学部の教授、准教授、講師が開講する約30のゼミナールに所属し、社会人基礎力の涵養とともに学習相談の場としている。
学習支援に関しては、2022年度に設置された薬学教育センターの専任教員1名と専任事務職員2名が多様な学生に生活指導を行った経験を基に、学習相談とともに学生の生活面に関してのアドバイスを積極的に行っている。神戸学生保健室、神戸学生相談室等を整備しており、多様な教員・職員がさまざまな側面から学生の学習や生活を見守る体制を整えている。また、各学年のシラバスの教科目の記載内容の中に、授業担当者のオフィスアワーを記載し、学生に周知している。
薬学部が属する神戸キャンパスの学生保健管理センターは、神戸学生保健室と神戸学生相談室から構成され、学生を対象として体調の変化や心の悩みの相談に対応しているとある。保健室及び学生相談室の場所は、入学時のオリエンテーションやホームページで学生に周知している。神戸学生保健室は保健管理副センター長1名(神戸キャンパス担当学生部長)、保健師3名(常勤)(「自己点検・評価書」p124 表6-1-1)で運営され、「健康調査票」に応じた面談や体調不良の学生への対応、感染症対策に関する情報提供、学校保健安全法に定める感染症に罹患した学生への対応を行っている。神戸学生保健室では、全学学生を対象としたイベントを2022年度は4回開催し、夏季においては「熱中症予防講習会」を毎年開催している。神戸学生相談室は週4日開室しており、学生が精神的にリラックスできる環境を整えて相談員2名が学生からの相談に対応しているほか、学生を取り巻く関係者(教職員・保護者)とのコンサルテーション等にも対応している。
障がい学生の支援に関しては、全学の障がい学生支援委員会の中に神戸キャンパス障がい学生支援小委員会が置かれ、副学長1名、学生部長2名(西宮キャンパス担当・神戸キャンパス担当)、教務部長2名(西宮キャンパス担当・神戸キャンパス担当)、学校医2名(西宮キャンパス担当・神戸キャンパス担当)、保健師若干名、学生相談員若干名、大学事務部学生支援課長で構成される。支援の申し出のあった学生に対しては当該学部の支援方法の確認、今後の支援内容等を検討し、当該学生に対する支援に関し、調整を図っている。当該学生の合意を得た上でクラス担任や薬学部アドバイザー教員も合理的配慮の協議に加わり、障がいをもつ学生が安心して学生生活を送るための合理的な配慮を講じるように努めている。このように、学習・生活相談の体制は整備されている。
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学生の進路選択への支援に関する全学的組織としてキャリアデザインセンター及び薬学部の教員も参画するキャリアデザイン委員会が構成され、病院・企業等の情報収集や情報発信並びに薬学部関連のガイダンスなど就職支援活動の企画・運営を行っている。キャリアデザインセンターにはキャリアカウンセラー資格保有相談員を含む専任事務職員3名が配置されており、個別相談体制が整えられているほか、企業説明会や「公務員採用試験対策講座」、キャリア形成イベント等が実施されている。また、キャリアデザイン委員会と連携し、低学年からのキャリア形成支援並びに進路・就職支援を行っている。薬学部学生に対しては、長期休暇を利用して「病院・施設等職場見学」へのサポートを実施しており、病院薬剤師を目指す学生に対して、「学校法人兵庫医科大学連携病院の会」主催の合同病院説明会が、薬局を目指す学生に対しては企業説明会が開催されている。また、公務員を目指す学生支援として「公務員採用試験対策講座」が開講されている。このほか、大学に届いた求人情報は、キャリアデザインセンターが就職支援システムに格納して学生が自由に閲覧・検索できるようにしている。
学生の意見を収集する仕組みとして、全在学生を対象に「学生生活実態調査」が、卒業生に対して「卒業時アンケート」が、学生部委員会管掌で行われている。学生の大学に対する期待、正課教育及び正課外活動に対する意見、大学の設備や運営に対する不満や要望等を収集・分析し、分析結果を大学や教職員にフィードバックしていることを、追加の書面調査で確認した。ただし、学生生活実態調査アンケートの回収率については、2021年度の調査で薬学部の回答者は247名(29%)と低率であるため、さらに回収率を上げる取り組みが望まれる。
講義科目のうちすべての必修科目の科目責任者は、全受講生に対して授業評価アンケートを実施することが必須となっており、学生の意見を教育に反映するための体制が取られている。オフィスアワー制度で教員が学生との面談で収集した意見や、学生会が集約した意見や要望は、学生部委員会が窓口となって審議し、学生向け食堂の座席の増設、スマートフォン充電器の設置等が実現したとある。
安全に安心して学習に専念するために、学生実習では、実習開始に先立って実施するガイダンスの中で実習の安全な実施について注意喚起している。物理系薬学実習ではビデオを用いた安全教育を、実験動物を使用する「新・生理・解剖学実習」、「新・薬理学実習」では動物実験講習会を実施している(「自己点検・評価書」p127)。「新・研究実習」、「新・研究研修Ⅰ」、「新・研究研修Ⅱ」で実験動物や遺伝子組換え生物等を取り扱う学生に対しては、動物実験講習会及び遺伝子組換え実験講習会を実施し、併せて確認試験も実施して
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いる。その他の実習科目では、「天然薬物学実習」、「新・衛生薬学実習」で必要な安全教育を行っており、卒業研究等に必要な研究倫理教育については、学外の研究倫理教育eラーニングプログラムを受講させていることを、追加の書面調査で確認した。設備面では、実験室のドラフト、廊下の緊急用シャワー、消火設備が設置されている。また、全学生が学研災保険(学生教育研究災害傷害保険)に加入しており、これらの保険加入について学生委員より毎年度始めのガイダンスで説明している。学内7か所にAED(Automated External Defibrillator)が設置されており、教職員のみならず、新入生を対象に入学時ガイダンスでBLS講習会を実施しているほか、実務実習の直前にBLS講習を追加し、急変時にすべての学生が医療人としての対応が出来るように指導している。事故・災害の発生時の行動や被害防止のためのマニュアルに関しては、「地震・津波災害対策マニュアル」が整備されており、学生向けとしては、「学生生活ハンドブック」の中に「6.危機管理」として掲載されていることを、追加の書面調査で確認した。
地震、津波などの災害に対し、1月17日前後に震災・防災週間を定め、防災意識の向上を図る教育を行っているほか、年1回自衛消防訓練を実施し、港湾地区の立地も考慮して地震・津波防災訓練としての兵庫県津波一斉避難訓練に参加している。
ハラスメント問題への対応としては、ハラスメント防止等に関する「学校法人兵庫医科大学ハラスメント防止等に関する規程」に基づき、ハラスメント防止委員会が設置され、被害者の救済及び問題解決にあたる体制を整えている。学生に対しては、各学年次初頭のガイダンスにおいて、学生委員からハラスメントに関して繰り返し学生に広報しているほか、新型コロナウイルス感染症蔓延を受けてオンライン化されたガイダンスにおける動画配信と資料提供が行われている。なお、規程第8条では、学生からのハラスメント相談窓口は学生相談室であるが、「神戸キャンパスにおける学生からの相談対応の流れ」及び学生への周知スライドでは、学生相談室以外に学生委員、担任等の教職員が相談を受け、助言を行うことができると周知されている。ただし、ハラスメントに関しては、被害を受けたと感じた学生が迷わずに相談できる相手が必要なので、中立の立場で相談を受ける窓口を設置することが望ましい。
学生の健康診断は近畿健康管理センターに委託して実施している。健康診断の結果、要精密検査や要治療者に対しては、医療機関の受診と精密検査を勧め、受診結果と検査結果、医師の指示や指導内容を確認している。年度始めのガイダンスと健康診断を同じ日に行うようにして、受診率を高めるように工夫しているため、健康診断受診率はおおむね95%を超えている。実務実習を控えた5年生の受診率が96.1%であるが、その後、最終的な受診
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率は100%となったことを、追加の書面調査で確認した(基礎資料10)。しかし、医療系学部であることを鑑みて他の学年の受診率も100%とすることが望ましい。また、実務実習での感染予防対策として、5年生に対して日本環境感染学会「医療関係者のためのワクチンガイドライン第3版」に従い、麻疹・風疹・流行性耳下腺炎・水痘・B型肝炎の抗体検査を実施し、実務実習開始前までに抗体価の測定及びワクチンの接種が完了している(基礎資料10)。抗体価が基準を満たさない学生にはワクチン接種を案内している。このように学生が安心、安全に学生生活を送るための体制は整っている。
7 施設・設備
本項目は、適合水準に達している。
薬学部の総定員900名、2022年度の学生総数849名に対して、以下のような施設・設備が整備されている。
他学部と共用の講義室として、200名以上収容可能な大講義室2室(258名教室1、204名教室1)、中講義室が7室(200名教室4、152名教室3)、小講義室が8室(78名教室2、65名教室6)あり、履修者数に見合った教室の設定が可能で、教室の規模と数は適正である。また、参加型学習のための少人数教育に対応するためにG棟4階及びM棟4階に、クローズドカンファレンス室(計15室)及びオープンカンファレンス室(計22室)が整備され、講義やゼミナール活動に利用されている(基礎資料11-1)。クローズドカンファレンス室の合計面積は532.14 m2であり、全収容人数は約140名、オープンカンファレンス室は座席数が4~12席、合計148名が収容可能である(基礎資料11)。図書館には、グループ学習室18室とPC15台を備えたアクティブラーニング用の専用空間としてのラーニングスクエア(ラーニングコモンズ)1室が併設されており、学生が、図書や雑誌を参照しながら参加型学習に臨めるように整備されている。実験実習室としては、M棟2階に基礎医学実習室と薬学実習室3室が整備されており、それぞれに実習準備室があり2~4年生の実習が行われている。薬学実習室3の実習台の半数にはフードが備え付けられており、天然薬物学や有機化学の実験を安全に行うことができるように整備されている。M棟1階と2階に薬局・医療現場を模した臨床薬学研修センターがあり、円滑かつ効率的に実務実習事前学習が行われている。2室ある情報処理演習室には計220台のコンピューターが設置され、統計学や情報処理技術の講義・実習に利用されているとともに、講義での使用時間を除いた平日9時から21時(演習室1は平日9時から21時、演習室2は平日9時から17時)までは学生の利用が可能になっている。
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G棟には、動物実験施設として動物実験センター及びRI教育施設(RI実験室、RI処理室)が設置されており、非感染動物、遺伝子組み換え動物、感染動物及びRIを用いた研究活動に必要な設備及び周辺装置が備わっている。薬用植物園では、日本薬局方収載生薬の原植物を中心に約70種の薬用植物を栽培している。
自習室としては、後述の図書館内の閲覧座席408席、グループ学習室計120席、ラーニングスクエア60席、情報処理演習室1・2 218席、G棟4階にある国試対策コーナーに34席がある。12月~2月は、G棟のオープンカンファレンス室やレストラン2階の座席等も自習用として開放され、自習環境が十分に整備されている。
神戸キャンパス図書館は、薬学部・看護学部・リハビリテーション学部・大学院共用であり、面積2,795.24 m2の館内に、閲覧座席数408席(収容学生定員の24.3%)、蔵書検索専用端末2台、教育用情報端末37台(うちラーニングスクエアに15台)、視聴覚資料閲覧機器4台が設置されている(基礎資料12)。開館時間は平日9時~21時、土曜日・日曜日・祝日は9時~17時であるが、定期試験期間中と11月~2月は、年末年始を除き、平日・土曜・日曜・祝日を問わず21時まで開館している。神戸キャンパス図書館の蔵書は、2022年5月1日現在、図書(製本雑誌含む)37,300冊、国内外の雑誌(定期刊行物)481種、視聴覚資料1,716点である(基礎資料13)。教育研究・学習に必要な最新図書の収集は、シラバス掲載の教科書・参考書購入及び図書館委員の教員を中心とした選書により行われている。学生からの意見は、神戸キャンパス図書館小委員会の学生委員経由で聴取し、小委員会の議題に反映されていることを、追加の書面調査で確認した。電子ジャーナル13,644タイトルは西宮キャンパス図書館(医学部)と共通であり、ほかにデータベース9種(医中誌Web、SciFinder等)、電子書籍55タイトルを契約し、学内だけでなく、学外からもアクセスできるよう整備していることを、追加の書面調査で確認した。
薬学教育研究のための施設・設備としては、実験室と学生室から構成される薬学研究室がある。23の研究室の面積は32.7~151 m2と幅があり(基礎資料8)、実験室の面積は配属学生一人当たり4.3倍の違いがあるが、研究内容の特徴に合わせて利用方法を工夫している。共同利用研究施設(G棟1階~3階)には個体レベルから細胞・分子レベルまで多種多様な薬学研究に利用される最先端大型機器が設置されている(基礎資料11-2)。なお、医学部や企業との共同研究に利用される先端医薬研究センターの一部及び薬学実習室は「研究研修(卒業研究)」の場として、病院薬剤部との共同研究に利用されている。また、臨床薬学研修センターは、4年生「実務実習事前学習」や「研究研修」の場として利用されていることを追加の書面調査で確認した。
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8 社会連携・社会貢献
本項目は、おおむね適合水準に達しているが、国外への情報発信の質及び量において懸念される点が認められる。
兵庫医科大学薬学部では、学部が主体となり実施する活動、教員が個々の教育研究活動の特徴を活かして取り組む活動、そして学生が主体となり実践する活動を通して、社会連携・社会貢献に取り組んでいる。
多くの教員が、兵庫県、兵庫県薬剤師会、神戸市薬剤師会等における委員として、行政機関、地域の薬剤師会等の活動を支援している(「自己点検・評価書」p136 表8-1-1)ほか、日本医療研究開発機構(AMED)などからの委託実験調査研究や委託研究開発研究(各1件)や、公的研究機関(奈良県薬事研究センター、理化学研究所)、製薬会社、医療機器製造会社、他大学(国内3件、国外1件)との共同研究等を通して医療・薬学の発展に資する研究に取り組む教員もいる(「自己点検・評価書」p137 表8-1-2)。また、薬学部生涯教育委員会が、地域の薬剤師を対象として年2回の生涯研修セミナーや全8回シリーズの中医薬実践講座(中級)を開催し、生涯学習の場を提供している。さらに、地域の薬剤師対象のアカデミック・ディテーリングを学ぶ場であるEBM倶楽部を、コロナ禍でもオンライン形式の「Web-EBM倶楽部」として毎月継続していることは評価できる。
地域住民に対しては、大学公認の学生サークル「ポーアイ多職種連携学生ネットワーク」に所属する薬学部生が公開講座開催時に希望者を対象とした「兵庫医科大生による健康チェック体験」を実施し、地域住民の健康づくりを支援している。また、同サークルの学生は、春休み期間を利用して、丹波篠山市が毎週開催している「お試しクラブ“いきいきデカボー体操”」において介護予防体操実施を支援している。これにより、学生による活動が地域の保健衛生の保持・向上に貢献しているとあるが、参加している学生は特定のサークルの計12名に限られている。薬学部が主催している地域住民対象の取り組みについては記載されていないが、神戸キャンパスの三学部が協働して地域貢献する方針に基づき、薬学部が主体的に貢献していることを、追加の書面調査及び訪問調査時に確認した。
国際交流に関しては、兵庫医科大学国際交流センターが海外の大学及び教育研究機関と連携し、国際学術研究・国際教育及び国際協力を推進している。また、英文のホームページで世界への情報発信にも取り組んでいるが(https://www.hyo-med.ac.jp/en/)、このホームページには「外部サイトの自動翻訳サービスを利用し、英語に翻訳します。」と記載されており、画像データは日本語のままであるほか、翻訳の結果には責任を負わないという
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記載がある。すなわち、責任ある正確な情報発信が行われていない可能性があることから、情報の質、量ともに責任を持って充実させるよう改善が必要である。薬学部独自の国際交流活動としては、北京中医薬大学と協定を締結し学術交流プログラムの実施及び薬学部教員の協定校訪問を行ってきたが、2019年度以降は中断しており、今後の再開を大きな課題としているものの、2023年度に新たな国際交流イベント(オンライン講演会)が企画、実施されていることを訪問調査時に確認した。兵庫医科大学国際交流センターを拠点とした体制や規程は整備されているが、薬学部としての留学生受入れや教職員・学生の海外研修等の実績は少なく、教員が海外に留学するための支援制度の設立等も含め、より活性化することが望ましい。
Ⅳ.大学への提言
1)長所
1. 卒業時に求められる学生の資質・能力の向上に資する学習・教授・評価方法の開発を行い、その成果を教育研究論文や総説として積極的に社会に発信していることは有益な取り組みとして評価できる。(3.薬学教育カリキュラム 3-2教育課程の実施)
2. 若手研究者を支援する学内研究助成制度が設けられていることは評価できる。(5.教員組織・職員組織)
3. 新入生を対象とした薬学部アドバイザー制度が運用されており、教員1名につき3~4名の1年生を割り振り、入学直後から前期の間、週1回面談することで、学生の生活態度や学習意欲等を確認し、新しい環境で順調な学生生活をスタートさせているかを見守るとともに、守秘義務に配慮した上で面談の内容を担任に繋げていることは評価できる。(6.学生の支援)
4. 地域の薬剤師対象のアカデミック・ディテーリングを学ぶ場であるEBM倶楽部を、コロナ禍でもオンライン形式の「Web-EBM倶楽部」として毎月継続していることは評価できる。(8.社会連携・社会貢献)
2)助言
1. 兵庫医科大学薬学部の教育研究上の目的である「教育目的」は、教務便覧に示されており、教務便覧の冊子体は新入生と教職員に配付されている。教務便覧の冊子体を配付されない在学生は、ホームページからダウンロードできるとしているが、各
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学年の教務ガイダンス資料に記載するなどにより、「教育目的」を学生に十分に周知することが望ましい。(1.教育研究上の目的と三つの方針)
2. 教育研究上の目的について、教務便覧(p3)には「薬学部 目的」というタイトルで記載されているが、学則やホームページに掲げられた「教育目的」と同一の内容であることがわかりにくいため、学則と表現を揃えることが望ましい。(1.教育研究上の目的と三つの方針)
3. 入学者の受入れに関する方針(アドミッション・ポリシー)は、入学生が目標とする将来の自分像として四つの類型を掲げ、そのために必要な素養と能力を【知識・技能】【思考力・判断力・表現力】【主体性・多様性・協働性】に分けて明示している。入試区分ごとの評価については、学生募集要項に記載されているものの、アドミッション・ポリシーには各項目をどの入試区分において、どのように評価するのかが示されていないので、これらを具体的に示すことが望まれる。(1.教育研究上の目的と三つの方針)
4. 教育研究上の目的及び三つの方針について、2021年度の自己点検・評価書の点検・評価の内容は、2022年度の該当箇所とほぼ同一であり、また、2022年度の検証は全学内部質保証会議からの要請によるものであることから、これらをもって薬学部として定期的な検証を行っているとは言い難いため、さらに主体的に検証することが望ましい。(1.教育研究上の目的と三つの方針)
5. カリキュラム・ルーブリック評価表は学生の自己評価用であるため、教員による評価も併せて行い質的・量的に解析を行うすることが望ましい。(2.内部質保証)
6. 6年次後期は「総合演習Ⅱ」及び「研究研修Ⅱ」を並行して開講しているが、時間割の大半を占める「新・研究研修Ⅱ」は2単位の自由科目であり、これまで履修者はいない状態である。したがって、このような2単位の自由科目に多くのコマ数を割く時間割科目の編成は、実質的には薬剤師国家試験の合格率の向上のみを目指していると考えられる。例えば、「研究研修」はカリキュラム・ポリシーに掲げる「医療や科学技術の発展に貢献できる研究能力と、生涯を通して学び続ける自己研鑽能力を養成するための科目」であるべきであり、「新・研究研修Ⅱ」についても必修化するなどして、このような実質的に国家試験対策科目に偏った時間割編成を解消するように改善することが望まれる。(3.薬学教育カリキュラム 3-1教育課程の編成)
7. 再試験実施の有無については、シラバス授業概要情報の「成績評価の方法」において、再試験受験の要件を明記するように各科目責任者へ要請しているが、シラバスへの記
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載の有無は科目によって異なる。成績評価の公平性の観点から、再試験の有無及び再試験を行う場合の受験要件については、シラバスにおいて統一的に示すことが望ましい。(3.薬学教育カリキュラム 3-2教育課程の実施)
8. 仮進級については、「兵庫医科大学薬学部・看護学部・リハビリテーション学部の教務に関する規程」第19条の②に「学長が教授会の意見を聴いて、教育上有益と認めた場合、特に進級させることがある。」と規定されており、各学年の進級判定要件は教授会での承認後、4月の履修ガイダンスにおいて、その年の基準が学生に説明されている。この規程は、「全ての必修科目及び進級に必要な選択科目の単位数について合格の判定を受けた者」と定められている進級基準を満たさない者に進級を認めることになるため、公正かつ厳格な進級判定として、少なくとも具体的にどのような場合が該当するのか明示して、学生に周知する必要がある。また、これを仮進級とすると、規程の文章からは本来の進級と区別ができない。したがって、規程の見直し等、進級判定について改善を図ることが望ましい。(3.薬学教育カリキュラム 3-2教育課程の実施)
9. 単位取得以外に卒業認定に関わる項目としてディプロマ・ポリシーに掲げた学生が身につけるべき資質・能力のルーブリック評価があるが、学生の自己評価にとどまっており、教員による評価を合わせて実施し、形成的評価に活用したり、過去の結果と比較して学年進行による変化を解析することが望ましい。(3.薬学教育カリキュラム 3-2教育課程の実施)
10. 学生の自己評価の結果ではあるが、学年が進むごとにディプロマ・ポリシー達成度が上昇していることから、教育課程の進行に対応した評価として有用であると考えられているが、単年度の学年同士を比較するだけでは、実際の学生群の教育課程の進行に対応しているか明確ではないため、さらなる解析を進めることが望ましい。(3.薬学教育カリキュラム 3-3学修成果の評価)
11. ルーブリック評価はあくまでも学生の自己評価のみであり、学生が身につけるべき資質・能力を、「教育課程の進行に対応して」評価しているとはいえないため、教員による評価やフィードバックも行うことが望ましい。(3.薬学教育カリキュラム 3-3学修成果の評価)
12. 6年生による自己評価の結果が卒業判定教授会に提出され、ディプロマ・ポリシー達成度を認定したとされるが、「2023.02.09薬学部 臨時教授会議事録」によると、卒業確定者に対してディプロマ・ポリシーの達成状況が承認されたとあるので、最終的な
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卒業判定の前にディプロマ・ポリシー達成度を確認することが望ましく、また、そのことをすべての学生に事前に周知することが望ましい。(3.薬学教育カリキュラム 3-3学修成果の評価)
13. 学部独自のディプロマ・ポリシー達成度の自己評価の結果を、カリキュラム全体にフィードバックする点について、さらに工夫することが望まれる。(3.薬学教育カリキュラム 3-3学修成果の評価)
14. 「表現力」の評価は、大学入学共通テスト利用入学試験(面接併用型)での二次試験のみでしか実施されていないため、他の入学試験においても改革をさらに進めることが望ましい。(4.学生の受入れ)
15. 一般選抜においては「主体性を持って多様な人々と協働して学ぶ態度」を評価できておらず、学力の3要素の多面的・総合的な評価には至っていないので改善することが望ましい。(4.学生の受入れ)
16. 大学統合前の規程等がそのまま残っており、現状の教育研究活動と齟齬が生じることが懸念されるので、それぞれについて精査し、必要に応じて改訂を行うことが望ましい。(5.教員組織・職員組織)
17. 専任教員1名に対する学生数は2022年5月時点で18.9名、2023年2月時点でも17.0名であり、1名の教員あたり学生10名以内とすることが望ましい。(5.教員組織・職員組織)
18. 教員の教育にかかる時間はほぼ均等に分布しているが、一部の教員の担当時間が多い。教員の研究時間は確保されているので早急に改善を要する状況には至っていないが、各教員の業績を見ると、2019年から著書・論文・学会発表のいずれもない教員が教授1名、准教授1名、講師1名、助教1名いる。教育にかかる時間の格差と直接結びつけることはできないが、すべての教員に対して適切な育研究環境を整備することが重要であり、改善が望まれる。(5.教員組織・職員組織)
19. 兼業規程はあるものの、薬学部として実務経験を有する教員の研鑽を支援するための制度は整備されておらず、自己研鑽の範囲に留まっているため、積極的に研鑽を積むことができる体制の整備が望まれる。(5.教員組織・職員組織)
20. 学生生活実態調査アンケートの回収率については、2021年度の薬学部の回答者は247名と低率であるため、さらに回収率を上げる取り組みが望まれる。(6.学生の支援)
21. 「学校法人兵庫医科大学ハラスメント防止等に関する規程」第8条では、学生からのハラスメント相談窓口は学生相談室であるが、学生には学生相談室以外に学生委員、
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担任等の教職員が相談を受け、助言を行うことができると周知されている。ただし、ハラスメントに関しては、被害を受けたと感じた学生が迷わずに相談可能で、中立の立場の窓口を設置することが望ましい。(6.学生の支援)
22. 実務実習を控えた5年生の健康診断受診率は、5月時点で96.1%だったが、最終的な受診率は100%となった。しかし、医療系学部であることを鑑みて他の学年の受診率も100%とすることが望ましい。(6.学生の支援)
23. 薬学部としての留学生受入れや教職員・学生の海外研修等の実績は少なく、教員が海外に留学するための支援制度の設立等も含め、より活性化することが望ましい。(8.社会連携・社会貢献)
3)改善すべき点
1. 教育課程編成・実施の方針(カリキュラム・ポリシー)にある「成績評価方法」は、科目ごとに修得が求められている能力を評価するための評価基準・評価方法を示したものであり、卒業認定・学位授与の方針(ディプロマ・ポリシー)に掲げた卒業までに身につける資質・能力を評価する学修成果の評価については記載がない。ディプロマ・ポリシーに掲げた資質・能力についてはカリキュラム・ルーブリックでの評価を行っているとしているが、学修成果の評価の在り方についてはカリキュラム・ポリシーに具体的に示すよう改善が必要である。(1.教育研究上の目的と三つの方針)
2. 「薬物動態学Ⅰ・Ⅱ」、「新・漢方治療学」、「医薬品安全性学」等の科目では、欠席によって全体評価が3~10%減点されるとある。出欠席の状況が学習態度の一項目としてではなく評価全体に直接関与することは適切な評価とは言えず、出欠席を評価項目から外すように改善することが必要である。(3.薬学教育カリキュラム 3-2教育課程の実施)
3. ディプロマ・ポリシーに記載された9項目の資質・能力の修得度・達成度を、カリキュラムの年次進行に伴って総合的に評価するための指標が設定されていないため、教育課程の進行に対応した評価を実現するためにも、運用されているカリキュラム・ルーブリックを活用するなどの改善が必要である。(3.薬学教育カリキュラム 3-3学修成果の評価)
4. 自大学の受験生の薬学共用試験CBTの分野別の得点分布やOSCEの細目評価の得点分布を会議資料として全教員で共有しているほか、4年生へのガイダンス資料によると「CBTの成績を配属研究室単位で把握し、個々の学生に対して国試に向けた
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指導方法の最適化を行っている」とある。このことは、大学は、受験生個人の成績を本人に伝えることなく、成績データを厳格に管理し、漏洩・公開しないという、薬学共用試験の遵守事項に反しており重大な問題であるため、改善が必要である。(3.薬学教育カリキュラム 3-3学修成果の評価)
5. 6年間の修業年限内で卒業できる割合の向上と低学年次での留年率・退学率は十分に改善されておらず、未だ入学者の学力を的確に評価できていないと考えられるため、継続して改善する必要がある。(4.学生の受入れ)
6. 英文のホームページで世界への情報発信にも取り組んでいるが、このホームページには「外部サイトの自動翻訳サービスを利用し、英語に翻訳します。」と記載されており、画像データは日本語のままであるほか、翻訳の結果には責任を負わないという記載がある。すなわち、責任ある正確な情報発信が行われていない可能性があることから、情報の量、質ともに責任を持って充実させるよう改善が必要である。(8.社会連携・社会貢献)
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Ⅴ.認定評価の結果について
兵庫医科大学薬学部医療薬学科(以下、貴学)は、2022年度に本機構の、「薬学教育評価 評価基準」(以下、「評価基準」)に基づく6年制薬学教育プログラムの自己点検・評価を実施し、「薬学教育評価申請書」を本機構に提出しました。
Ⅰ~Ⅳに記載した内容は、貴学が自己点検・評価の結果により作成し本機構に提出した「調書」(「自己点検・評価書」及び「基礎資料」)と添付資料に基づいて行った本評価の結果をまとめたものです。
1)評価の経過
本評価は、本機構が実施する研修を修了した4名の評価実施員(薬学部の教員3名、現職の薬剤師1名)で構成される評価チームによるピア・レビューを基本にして行いました。
まず、書面調査として、個々の評価実施員が「調書」に基づいて「評価基準」の達成状況を検証して所見を作成し、それらを評価チーム会議で検討して評価チームの所見をとりまとめました。評価チームは、書面調査の所見を整理した結果に貴学への質問事項などを加えた「評価チーム報告書案」を作成し、これを貴学に送付して、「評価チーム報告書案」に対する確認および質問事項への回答(第1回目のフィードバック)を求めました。
評価チームは、貴学からの回答と追加された資料、並びに「評価チーム報告書案」に対する意見を検討して「評価チーム報告書案」の所見を修正し、その結果を踏まえて、訪問調査を実施しました。訪問調査では、書面調査では十分に評価できなかった点を含めて貴学の6年制薬学教育プログラムの状況を確認することを目的に、「訪問時閲覧資料」の閲覧、施設・設備見学と授業参観、大学関係者・若手教員との意見交換、並びに学生との面談を行いました。訪問調査を終えた評価チームは、訪問調査で得た情報と書面調査の所見を総合的に検討し、「評価チーム報告書」を作成して評価委員会に提出しました。
「評価チーム報告書」の提出を受けた評価委員会は、評価チームの主査を含めた拡大評価委員会を開いて、評価チームの判断を尊重しつつ、「評価結果」に大学間での偏りが生じないことに留意して「評価チーム報告書」の内容を検討し、「評価報告書(評価委員会案)」を作成しました。次いで、評価委員会は「評価報告書(評価委員会案)」を貴学に送付し、事実誤認あるいは誤解を生じる可能性がある表現などに対する「意見申立て」(第2回目のフィードバック)の機会を設けましたが、貴学からの「意見申立て」はありませんでした。
評価委員会は、拡大評価委員会を開催し、「評価報告書原案」を作成し総合評価評議会に提出しました。
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本機構は、外部有識者を含む評価の最高意思決定機関である総合評価評議会において「評価報告書原案」を慎重に審議し、「評価報告書」を決定し、理事会に報告しました。
本機構は、「評価報告書」を貴学に送付するとともに社会に公表し、文部科学省及び厚生労働省に通知します。
なお、評価の具体的な経過は「3)評価のスケジュール」に示します。
2)「評価結果」の構成
「評価結果」は、「Ⅰ.総合判定の結果」、「Ⅱ.総評」、「Ⅲ.『項目』ごとの概評」、「Ⅳ.大学への提言」で構成されており、それらの意味は以下の通りとなっています。
「Ⅰ.総合判定の結果」には、貴学の薬学教育プログラムが総合的に本機構の「評価基準」に適合しているか否かを記しています。
「Ⅱ.総評」には、本機構の「評価基準」に対する貴学の達成状況を簡潔に記しています。
「Ⅲ.『項目』ごとの概評」には、「評価基準」を構成する項目1、2、3-1、3-2、3-3、4、5、6、7、8について、【基準】に対する達成状況の概要を記しています。
「Ⅳ.大学への提言」は、「評価結果」に関する本機構からの特記事項で、「1)長所」、「2)助言」、「3) 改善すべき点」に分かれています。
「1) 長所」は、貴学の特色となる優れた取り組みと評価されたものを記載しています。
「2)助言」は、「評価基準」を達成する最低要件は満たしているが、目標を達成するためには改善が望まれることを示すものです。「助言」の内容に対する改善の実施は貴学の判断に委ねますが、個々の「助言」への対応状況についての報告書の提出が必要です。
「3)改善すべき点」は、「評価基準」が求める最低要件を満たしていないと判断された問題点で、貴学に対して「評価基準」を達成するための改善を義務づけるものです。「改善すべき点」については、早急に改善に取り組み、「評価基準」を達成したことを示す成果を「提言に対する改善報告書」として所定の期限内に本機構に提出することが必要です。
なお、本「評価結果」は、貴学の「自己点検・評価書」及び「基礎資料」に記載された2022年度における薬学教育プログラムを対象にして、書面調査並びに訪問調査において確認した状況に基づいて作成したものであるため、現時点ではすでに改善されている点が提言の指摘対象となっている場合があります。また、別途提出されている「調書」の誤字、脱字、数値の誤記などに関する「正誤表」は、本「評価報告書」及び「調書」を本機構のホームページに公表する際に、合わせて公表します。
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3)評価のスケジュール
貴学の薬学教育プログラム評価を以下のとおり実施しました。 2022年1月24日 本評価説明会*を実施
2023年3月3日 貴学より調書の草案の提出。機構事務局は内容を確認
3月29日 機構事務局より貴学へ草案の確認終了を通知
4月4日 貴学より「薬学教育評価申請書」の提出
4月25日 貴学より評価資料(調書及び添付資料)の提出
評価実施員は評価所見の作成開始
~6月8日 主査は各実施員の評価所見を基に「評価チーム報告書案」の原案を作成
6月9日 評価チーム会議を開催し、主査の原案を基に「評価チーム報告書案」を作成
7月25日 評価チームは「評価チーム報告書案」を機構事務局へ提出
機構事務局より貴学へ「評価チーム報告書案」を送付
8月7日 貴学より「「評価チーム報告書案」に対する確認および質問事項への回答」の提出
8月30日 評価チーム会議*を開催し、貴学からの「「評価チーム報告書案」に対する確認および質問事項への回答」を検討し、訪問時の調査項目を確認
10月12日・13日 貴学への訪問調査実施
10月20日 評価チーム会議*を開催し、「評価チーム報告書」を作成
11月15日 「評価チーム報告書」を評価委員会へ提出
11月29日・30日 評価委員会(拡大)を開催し、「評価チーム報告書」を検討
12月18日 評価委員会(拡大)**を開催し、「評価報告書(評価委員会案)」を作成
2024年1月4日 機構事務局より貴学へ「評価報告書(評価委員会案)」を送付
1月15日 貴学より「意見申立書」の提出 (意見申立てなし)
2月5日 評価委員会(拡大)**を開催し、「評価報告書原案」を作成
2月20日 「評価報告書原案」を総合評価評議会へ提出
3月1日 総合評価評議会を開催し、「評価報告書」を決定
3月18日 機構事務局より貴学へ「評価報告書」を送付
