薬学教育評価報告の結果と公表
各年度の「薬学教育(6年制)評価」結果報告書
各年度の改善報告の審議結果一覧(大学別)
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| 大学名 | 設置形態 | 所在地 | 評価基準 | 実施年度 | 判定 | 大学の自己点検評価 | 評価結果 | 評価後の対応 改善報告 その他 |
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|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|
| 大阪医科薬科大学 | 私 | 大阪府 | 第2期 |
2024年度 |
適 |
自己点検・評価書 基礎資料 正誤票 |
評価報告書
総評
大阪医科薬科大学 総評 大阪医科薬科大学は、2021 年度に大阪医科大学と大阪薬科大学が統合することで設置され、薬学部薬学科の目的は、大学の理念「建学の精神及び学是(至誠仁術)に基づき、国際的視野に立った教育、研究或いは良質な医療の実践をとおして、人間性豊かで創造性に富み人類の福祉と文化の発展に貢献する医療人を育成する」及び、薬学教育モデル・コアカリキュラム平成 25 年度改訂版に示された「薬剤師として求められる基本的な資質」を踏まえて設定されている。また、それに合わせてディプロマ・ポリシー(DP)、カリキュラム・ポリシー(CP)、アドミッション・ポリシー(AP)が設定されている。
大学では、医学部・薬学部・看護学部を有することから、3学部合同で実施する多職種連携教育(Interprofessional Education、“IPE”)科目群を設定し、超高齢化が進む地域の特性や多職種が連携して行われる地域医療の実際を学ぶ機会などを提供し、また、初年次においては、グループに分かれてのローテーション形式で、医療現場におけるさまざまな技術、手技等について実習形式で学ぶ授業を必修化するなど、医系大学の特徴を活かした教育を展開している。さらに、語学教育は、1年次前期から4年次前期まで多様な学習方略を取り入れて必修科目としており、医療現場で活用できる語学力を身につける教育として優れている。 しかしながら、学修成果の評価の在り方等については、CPには具体的な記載はないのでそれを明確に示す必要がある。また、特に能動的な学習経験と質的評価が必要な「ヒューマニズム教育・医療倫理教育」、「コミュニケーション・プレゼンテーション教育」、「問題解決能力の醸成に向けた教育」などについて、編成を適正化し、関連した各科目の学習目標達成度の評価と、それらにおける学びが総合した学修成果の教育課程の進行に対応した評価をさらに進めていくとともに、その結果を教育課程の改善に活用していくことが求められる。 大阪医科薬科大学薬学部は、医系大学の特徴を活かし、様々な魅力的な教育を展開しているが、その効果を質的・量的の両面で十分に評価できる段階には至っていない。アセスメントプランの有効化に取り組むことで、学修成果の適正な評価と評価に基づくカリキュラムの改善がなされていくことを期待する。
大学への提言
大阪医科薬科大学 大学への提言1)長所
1. 大学の特色として医学部・薬学部・看護学部の3学部合同で実施する多職種連携教育(Interprofessional Education、“IPE”)に関わる科目群があり、超高齢化が進む地域の特性や多職種が連携して行われる地域医療の実際を学ぶなど、良い取り組みが行われている。(3.薬学教育カリキュラム 3-1教育課程の編成) 2. 第2外国語を必修化するなど語学教育は充実しており、1年次前期から4年次前期まで必修科目を多様な学習方略を取り入れて隙間なく配置して実施されている語学教育のカリキュラムは、医療現場で活用できる語学力を身につける教育として優れている。(3.薬学教育カリキュラム 3-2教育課程の実施) 3. 1年次の「医療薬学導入学習」では、グループに分かれてのローテーション形式で、医療現場におけるさまざまな技術、手技等について実習において学んでおり、1年次生に対する薬学臨床の導入授業として良い取り組みである。(3.薬学教育カリキュラム 3-2教育課程の実施) 2)助言 1. 教育課程の編成が、各科目における学習の質を重視し、学習・教授方法及び成績評価のための課題が想定された学習活動に整合したものになるように、CP及びアセスメントプランを修正することが望まれる。(1.教育研究上の目的と三つの方針) 2. CPについての学生の認知度・理解度の調査は行われておらず、また、教職員への3ポリシーの周知についてもその機会が十分ではないので、学生・教職員が共に3ポリシーをよく理解して活動できるように、必要な調査や、ガイダンス・FD研修会を活用していくことが望ましい。(1.教育研究上の目的と三つの方針) 3. ホームページの「教育」から参照できる「薬学部 薬学科」に「内部質保証」のページを設け教育研究内部質保証評価会議の検証結果報告を掲載し公表しているが、薬学部の薬学教育の現状を全体にわたり内部質保証の観点から点検・評価した結果を公表したものになるように、例えば「教育年報」、「学生支援年報」を公開するなど、公開内容を再検討することが望ましい。(2.内部質保証) 4. 薬学教育評価機構からの指摘事項(第1期評価報告書「改善すべき点1」など)への対応で導入されたルーブリックを用いた評価などが、薬学科のアセスメントプランに反映されていないなど、大学独自に行う内部質保証としての点検・評価と第三者評価への対応に一部乖離が認められるので、大学が行う内部質保証活動が全体として機能するように改善に取り組むことが望まれる。(2.内部質保証) 5. 教養教育については、現時点でも、薬学部規程別表2により、卒業要件単位として4科目4単位以上の修得が必要と定められているだけであり、学生に多様な学びを提供するように単位数を増やすなど改善することが望ましい。(3.薬学教育カリキュラム 3-1教育課程の編成) 6. 現行のカリキュラムでは、1~3年次にかけて基礎・応用・医療薬学に関する事項を実習形式で学習する科目において、問題発見・解決能力の醸成を科目の目標として設定しておらず、4年次から卒業研究に該当する「特別演習・実習」においてのみ問題発見・解決能力の実習を通しての醸成が図られていることから、学生の段階的成長を促し、確認していく上で好ましくなく、改善することが望ましい。(3.薬学教育カリキュラム 3-1教育課程の編成) 7. 問題発見・問題解決能力の醸成のための教育について全面的に点検を行い、2024年度以降入学者用CPに整合する形でその適正化に努めるとともに、カリキュラムマップとカリキュラム・ツリーにその全体像をわかりやすく示すことが望まれる。(3.薬学教育カリキュラム 3-1教育課程の編成) 8. 大学の教育研究上の目的の実現に向けて設定された3ポリシーを含む各方針に基づいて、より主体的な内部質保証活動に取り組み、教育課程及びその内容、方法の改善・向上が行われることが望ましい。(3.薬学教育カリキュラム 3-1教育課程の編成) 9. 卒業研究の実施において、研究成果の医療や薬学における位置づけの考察がなされるよう指導を行っていないので、ガイダンスなどで指導することが望ましい。(3.薬学教育カリキュラム 3-2教育課程の実施) 10. いくつかの科目での評価方法の妥当性、特に実習科目での「技能」の評価の方法・基準については適正ではないものもあるので、現状の評価の検証に基づいた適切な設定が望まれる。(3.薬学教育カリキュラム 3-2教育課程の実施) 11. 学位授与の方針に掲げる学修成果の到達度を、レーダーチャート形式で学生に示し、学修ポートフォリオに掲載する取り組みを始めているが、その元となる各授業科目のDP項目に対する寄与率の設定は十分な根拠に基づいてなされていないので、それらに関する検証を行った上で、2024年度以降入学生用DP及びCPに整合する形で、卒業認定基準の設定に取り組むことが望ましい。(3.薬学教育カリキュラム 3-2教育課程の実施) 12. 各授業科目のDP項目に対する寄与率、各科目で行われる各評価方法の成績評価への寄与率、各評価結果の絶対値としての妥当性などの十分な検証に基づいて、学修成果の評価は、2024年度以降入学生用CPに整合する形で、評価計画を設定して、なされることが望まれる。(3.薬学教育カリキュラム 3-3学修成果の評価) 13. 「薬学部入試委員会等において、筆記試験の問題作成における工夫、提出書類の活用や面接の実施など様々な評価手法の検証を行い、本学部の一般選抜における「思考力・判断力・表現力」や「主体性をもって多様な人々と協働して学ぶ態度」の適切な評価方法を検討する」と一般選抜の状況を自己点検・評価しているが、全ての入試形態について、学力の3要素を多面的・総合的に評価するように改善することが望まれる。(4.学生の受入れ) 14. 「医療人を目指す者としての資質・能力」の評価については十分になされていないので、全ての入学者選抜において何らかの評価を行うよう工夫することが望まれる。(4.学生の受入れ) 15. 専任教員1名あたりの学生数(S/T比)については、2015(平成27)年度は28.4名、2023年5月1日時点では22.3(1,850/83)名となっており、改善計画は策定されているが、望ましいとされている10名以内には達していないので、改善することが望まれる。(5.教員組織・職員組織) 16. 研究もしくは教育業績が乏しい教員が認められ、大学としていくつかの対応策を行ってはいるものの不十分であるので、さらに実効性のある対策が望まれる。(5.教員組織・職員組織) 17. 健康診断受診率が100%になるようにさらなる取り組みが望まれる。(6.学生の支援) 3)改善すべき点 1. 2024年度改定される前のCPは、学修成果の評価の在り方等について、求める資質・能力それぞれに対応する形で、教育の内容・方法、評価の在り方を具体的に示しておらず、2024年度以降入学者用のCPにおいても、学習及び学修成果の評価の方法が列挙されているだけなので、CPに具体的な記載を行う、もしくはアセスメントプランにその内容とDPとの関係を明確に示すなどの改善が必要である。(1.教育研究上の目的と三つの方針) 2. 薬学自己点検・評価委員会での検証活動は、大学のアセスメント・ポリシー及び薬学部のアセスメントプランに基づき、入学時、在学時、卒業時の各種データを課程レベルで解析して実施されているが、質的な解析が不足しているので、質的・量的両面での解析が必要である。(2.内部質保証) 3. 「ヒューマニズム・医療倫理教育」及び「コミュニケーション・プレゼンテーション教育」に関連する科目全体を見た場合、その設定や選択必修の区分、各科目の方略については、現時点でも不十分な点が見受けられる。特に、重要な科目が選択科目のままである点が問題であり、2024年度以降の入学生向けカリキュラムマップやカリキュラム・ツリーにも、その構築が示されていない。そのため、これらの編成について、新CPと整合性を持たせる形で改善する必要がある。(3.薬学教育カリキュラム 3-1教育課程の編成) 4. 「ヒューマニズム教育・医療倫理教育」、「コミュニケーション・プレゼンテーション 教育」、「問題解決能力の醸成に向けた教育」に関連する科目では、教育課程の進行に 対応した評価方針が定められていない。学習目標達成度や総合的な学修成果の評価においては、学生による自己評価のみが行われ、教員による評価が実施されていないため、改善が必要である。(3.薬学教育カリキュラム 3-3学修成果の評価) 5. 学修成果の評価の適正化に取り組んだ上で、その結果を教育課程の編成及び実施の改善・向上に活用すべきである。(3.薬学教育カリキュラム 3-3学修成果の評価) |
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| 金沢大学 | 国 | 石川県 | 第2期 |
2024年度 |
適 |
自己点検・評価書 基礎資料 正誤票 |
評価報告書
総評
金沢大学 総評 金沢大学では、金沢大学<グローバル>スタンダード(KUGS)を踏まえ、人類の健康増進並びに医薬品等の創製と適正使用につながる先端的な基礎研究、応用研究、医療薬学研究の拠点として、健康な長寿社会の実現に貢献することを理念と定め、薬学関連の知識・技能・態度を修得した上で、人類が抱える健康や医療に関わる諸課題の解決に挑戦し、持続可能社会の実現に貢献できる、多様な専門性を身につけた薬学高度専門人材の養成を教育目標としている。
薬学類の教育課程は、KUGSに基づく共通教育科目、薬学教育モデル・コアカリキュラムに基づく導入的・基礎的科目、基礎薬学、応用薬学、医療薬学を中心とする科目、実務実習、卒業研究・卒業演習などが体系的・階層的に配置され、さらに大学独自の特徴的なカリキュラムを加えた編成となっている。早期から研究マインド、国際性、ティーチングスキルの醸成を目標として、1、2年次にラボローテーション、短期海外留学プログラム、クラスラーニングアドバイザーが設けられている。ディプロマ・ポリシーに掲げた5項目の学修成果について、『ディプロマ・ポリシーで掲げる「学生が身につけるべき資質・能力」醸成ルーブリック』を用いて、形成的・総括的に資質・能力の醸成を評価しようとしている。実務実習では、地元薬剤師会等と連携して独自の実務実習計画により実施している。アドバイザー教員による学生相談体制の他に、ハラスメント、障がい、就職に関する支援体制なども整備されている。施設・設備においては、自主学習のためのアカデミックプロムナードを設置するとともに、卒業研究の実施に適した環境を整備している。社会貢献・社会連携では、教員だけでなく、学生も地域住民の保健衛生の保持・向上に向けた取り組みを実施している。また、金沢大学の教員経験者や帰国後母国の大学で活躍している留学生等をコラボラティブ・プロフェッサーとして委嘱することにより、海外の高等教育機関との国際交流を推進している。 他方で、カリキュラム・マップがカリキュラム・ポリシーやディプロマ・ポリシーに対応していない、教育課程及びその内容、方法の適切性の検証が科目レベルに留まっている点などは、さらなる改善が求められる。シラバスには、担当教員名、概要、授業計画などの情報が記載されているが、フォーマットが統一されておらず、学習内容とSBOs(Specific Behavioral Objectives)との関連性も明示されていないため、学生の視点に立ったシラバスの作成が必要である。さらに、アドミッション・ポリシーとディプロマ・ポリシーの適切な表記、一般選抜入試への「学力の3要素」の評価の導入、6年制薬学教育プログラムの分析と活用などの改善が必要である。 地域医療の発展に貢献しつつ、海外の高等教育機関との国際交流を推進している金沢大学には、引き続き、多様な専門性を身につけた薬学高度専門人材の育成・輩出を期待する。
大学への提言
金沢大学 大学への提言1)長所
1. 「大学教員」や「薬学研究者」などの人材育成目標の実現に向け、研究マインドを醸成する低学年次のラボローテーションや、短期海外留学プログラム、学士課程と博士課程を合わせた「博士一貫プログラム」を設けている。短期海外留学プログラムにおいては、帰国後に1年生を対象とした報告会を開催するなど、海外派遣学生だけでなく在学生の国際性の醸成にもつなげている点は高く評価できる。 (3.薬学教育カリキュラム 3-1教育課程の編成) 2. 実務実習は、「実務実習に関するガイドライン」に準拠しつつ、学修効果を高めるために地元薬剤師会等と連携し、アカンサス薬局、金沢大学附属病院薬剤部、市中薬局、市中病院という独自の実務実習計画により実施していることは、ディプロマ・ポリシー到達目標達成の観点から高く評価できる。(3.薬学教育カリキュラム 3-2教育課程の実施) 3. 研究室に併設される学生用の居室は廊下との仕切りがなく、学生数に応じてスペースの変更ができるようになっており、卒業研究の実施に適した環境が整備されている点は、高く評価できる。(7.施設・設備) 4. 自主学習のための場所として、図書館だけでなく講義室に隣接して『アカデミックプロムナード』と呼ばれる開放的なスペースが設置され、常時学生が利用できる点は、高く評価できる。(7.施設・設備) 5. 教員による各種公開講座だけでなく、学生による「地域薬局レジデント体験」や地域住民に対する薬の使い方等の説明会など、地域住民の保健衛生の保持・向上に向けた取り組みを実施している点は、高く評価できる。(8.社会連携・社会貢献) 6. 大学コンソーシアム石川2023年度地域課題研究ゼミナール支援事業に採択され、石川県野々市市と連携して薬の多剤重複の解消やお薬手帳の活用を目的とした「くすりと健康プロジェクト」を実施している点は、高く評価できる。(8.社会連携・社会貢献) 2)助言 1. 実習科目においては、いずれの科目も概略的なパフォーマンス評価に留まっているので、各実習(各実験)項目の技能(SBOsに掲げられている技能)に関して評価する指標(ルーブリックなど)を設定して評価することが望ましい。(3.薬学教育カリキュラム 3-2教育課程の実施) 2. ルーブリックには到達レベルを評価できる基準を具体的に策定し、その基準に基づいた評価を実施するよう改善が望まれる。(3.薬学教育カリキュラム 3-3学修成果の評価) 3. 個別学力検査のボーダー層の志願者は主体性等が評価されているが、他の一般選抜の評価が基礎学力の評価のみで、学力の3要素が多面的・総合的に評価されているとはいえないため、改善が望ましい。(4.学生の受入れ) 4. 薬学類・高大院接続入試の募集定員は10名であるが、定員割れしているため、適切に入学者を選考できるよう改善が望まれる。(4.学生の受入れ) 5. 「実務実習Ⅱ」と「チーム医療実習」には専任教員が担当者に含まれていないため、適切に教員を配置するよう改善が望まれる。(5.教員組織・職員組織) 6. 授業評価アンケートは、演習や実習を含めすべての授業を対象に実施するよう改善が望まれる。(5.教員組織・職員組織) 7. 定期健康診断の受診率が5年次以外の学年においては100%になっていないため、全員が受診するよう改善を図ることが望まれる。(6.学生の支援) 3)改善すべき点 1. 教育研究上の目的、理念・人材育成目標、三つの方針は、年度始めのガイダンス等で周知されているが、ガイダンスが実施されていない学年があるため、各学年のガイダンス等で全学生に周知するように、改善が必要である。(1.教育研究上の目的と三つの方針) 2. カリキュラム・ポリシーに教育課程の編成、教育内容・方法、学修成果の評価の在り方が具体的に設定されているが、「学生の手引き」には改正されたカリキュラム・ポリシーが反映されていないため、改善が必要である。(1.教育研究上の目的と三つの方針) 3. 入試区分ごとの評価される項目やその評価方法がアドミッション・ポリシーに明記されていないため、改善が必要である。(1.教育研究上の目的と三つの方針) 4. 教育研究活動に関するデータを収集しているが、質的・量的な解析に基づく分析と活用が十分になされていないため、改善が必要である。(2.内部質保証) 5. シラバスには、担当教員名、開講年度学期、概要、授業計画、評価方法などの情報は記載されているが、授業概要とスケジュールの記載内容が統一されておらず、学習内容とSBOsとの関連性も明示されていないため、改善が必要である。(3.薬学教育カリキュラム 3-1教育課程の編成) 6. カリキュラム・ツリーとカリキュラム・マップが薬学教育モデル・コアカリキュラムに沿った形で作成されており、ディプロマ・ポリシーの到達に向けた科目の順次性が不明確、カリキュラム・ポリシーやディプロマ・ポリシーに対応していない、大学独自の科目が不明確といった問題点があるため、改善が必要である。(3.薬学教育カリキュラム 3-1教育課程の編成) 7. 点検・検証・改善に必要なデータを収集されているが、教育課程及びその内容、方法の適切性の検証が科目レベルに留まっているため、多角的な分析に基づいて検証し、必要に応じて教育課程及びその内容、方法の改善・向上を図ることが必要である。(3.薬学教育カリキュラム 3-1教育課程の編成) 8. シラバスの学習(学修)到達目標に記載されていない出席を評価基準に含めている科目、レポート未提出であると試験の得点から減点する科目、実習試験の割合が高い科目など、適切とはいえない評価基準を含んでいる科目があるため、改善が必要である。(3.薬学教育カリキュラム 3-2教育課程の実施) 9. 現行の『ディプロマ・ポリシーで掲げる「学生が身につけるべき資質・能力」醸成ルーブリック』では3年次の学年末からのルーブリックになっており、1年次末から設定されていないため、形成的な評価を実施しにくく、1年次から教育課程の進行に対応した評価がなされていないため、学年進行に対応して評価するように改善が必要である。(3.薬学教育カリキュラム 3-3学修成果の評価) 10. 『ディプロマ・ポリシーで掲げる「学生が身につけるべき資質・能力」醸成ルーブリック』に基づく評価が始まったばかりで、学修成果の評価結果が教育課程の編成及び実施の改善・向上に活用されているとはいえないため、さらなる改善が必要である。(3.薬学教育カリキュラム 3-3学修成果の評価) 11. 共通テスト及び個別学力検査の合計点から導き出された合格ボーダー層の受験者に対 し、調査書の主体性等評価を行い、共通テスト及び個別学力検査の合計点に加算して評価しているが、他の受験者との公平性が担保できないため、改善が必要である。(4.学生の受入れ) |
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| 慶應義塾大学 | 私 | 東京都 | 第2期 |
2024年度 |
適 |
自己点検・評価書 基礎資料 正誤票 |
評価報告書
総評
慶應義塾大学 総評慶應義塾大学は福澤諭吉創業の精神を建学の理念とし、同大学薬学部薬学科はこの理念に従い、薬学教育と研究は勿論のこと、地域を含む社会貢献と国際交流に熱心に取り組んでいる。総合大学の強みを活かし、充実した教養教育と英語教育及び海外研修プログラムを提供していることは特筆に値する。「教育課程の編成及び実施に関する方針(カリキュラム・ポリシー)CP」に基づいた教育が適切に行われ、各科目の成績評価、進級判定、卒業認定等は公正かつ厳格に行われ、また履修指導も適切に行われている。研究環境も良く整備されており、学部学生や若手教員の研究へのモチベーションは高く、学内外で多くの共同研究が実施されている。同薬学科の目的に沿った卒前の人材育成のみならず、医療薬学・社会連携センターが中心となって、卒後の質の高い薬剤師育成に貢献している。
一方、教学マネジメントと内部質保証の観点からは、PDCAサイクルのPとDが熱心に実施されているものの、教育研究活動に対する質的・量的な分析が自主的に行われておらず、学修成果に基づいた教育プログラムの改善・向上は一部で認められるにとどまっている。特に、「卒業認定・学位授与の方針(ディプロマ・ポリシー)DP」に記載された資質・能力の段階的かつ総合的な達成度評価は不十分であるので、現行の教育プログラムの適性が適切に検証されているとはいえない。また、DPとCPを踏まえて設定されるべき「入学者の受入れに関する方針(アドミッション・ポリシー)AP」には、選抜の趣旨や求める人材像、多様な学生を評価できるような入学者選抜の在り方などが具体的に示されていないので、2022 年度に改訂された薬学教育モデル・コア・カリキュラム(以下、R4改訂コアカリ)に沿ったDPとCPに適切に整合したAPの作成が必要である。さらに、CPに記載された教育方法と学修成果の評価の在り方等が科目レベルの設定にとどまっているので、改善が必要である。 今後、教学マネジメントと内部質保証の観点からPDCAサイクルを主体的に回し、その成果を薬学教育プログラムに反映させることにより、さらに大学の強みを伸ばして発展することを期待する。
大学への提言
慶應義塾大学 大学への提言1)長所
1. 豊かな人間性の涵養を目指して、他学部の学生と一緒に幅広い教養を修得させ、他者理解力を醸成するために、多種多様な科目を多数用意し、自由に選択できる環境を整えている。(3.薬学教育カリキュラム 3-1教育課程の編成) 2. 1~6年次にかけての英語教育と低学年と高学年での海外研修が充実している。(3.薬学教育カリキュラム 3-1教育課程の編成) 3. 医療系三学部合同教育では、医学部、看護医療学部及び薬学部薬学科の全学生が参加し、初期教育(1年次)、中期教育(4年次)、後期教育(6年次)はそれぞれ半日から1日かけて学部混合の少人数チームで、チーム医療と多職種連携について学んでいる。(3.薬学教育カリキュラム 3-1教育課程の編成) 4. 薬学部サイエンスカフェでの交流が盛んで、専門領域横断的に共同研究に発展して研究成果につながっており、今後も成果が期待される。(5.教員組織・職員組織) 5. 薬剤師としての実務経験を有する専任教員が、常に新しい医療に対応するために研鑽できる体制が整備されている。(5.教員組織・職員組織) 6. 薬学部附属薬局は保険薬局と健康サポート薬局の機能を有している。薬局実務実習生を他大学生も含めて受入れ、教育施設としても機能している。薬学科生の「実務実習事前学習(実習)」における外来患者に対する服薬指導の実習にも附属薬局の投薬カウンターが活用されている。(7.施設・設備) 7. 薬学部の専任教員が、多くの団体や機関で役員や委員として活動しながら医療・薬学の発展に貢献している。(8.社会連携・社会貢献) 8. 医療薬学・社会連携センターを中心に生涯学習プログラム(公開講座と研修認定薬剤師制度)を提供して、薬剤師の資質や能力の向上に貢献している。(8.社会連携・社会貢献) 9. 薬学部附属薬局と体育研究所が協働して、地域住民向けの「健康づくり教室」を年7回開講し、教員による健康講話を実施している。薬学部附属薬局は、健康サポート薬局として、自動血圧計、検体測定室及び無菌製剤室を設置しており、無菌製剤室を近隣薬局に開放して共同利用している。(8.社会連携・社会貢献) 10. 海外協定校5校と連携し、充実した海外臨床研修プログラムを提供している。(8.社会連携・社会貢献) 2)助言 1. 薬学科の教育研究上の目的が現在の医療を取り巻く環境や薬剤師に対する社会のニーズを反映しているか、内部質保証の観点から自ら点検・検証していないので、改善が望まれる。(1.教育研究上の目的と三つの方針) 2. 自己点検・評価委員会に外部委員や6年制課程の卒業生は含まれていないことを改善する計画であるので、速やかに実行されることが望まれる。(2.内部質保証) 3. 春学期後半(第2クオーター)に大学独自の教育内容を含む選択必修科目と選択科目が合計41科目(53単位)開講されているが、多くの学生は卒業に必要な9単位を低学年次に修得し、4年次と6年次に開講される科目の履修者が少ないので、改善が望まれる。(3.薬学教育カリキュラム 3-1教育課程の編成) 4. 一般選抜と塾内進学制度において、学力の3要素が多面的・総合的に評価されていないので、改善が望まれる。(4.学生の受入れ) 5. 一般選抜と塾内進学制度において、医療人を目指す者としての資質・能力の評価が不十分であり、面接や小論文等を取り入れるなど、さらなる工夫や改善が望まれる。(4.学生の受入れ) 6. 専任教員1名に対する学生数は19.2名であり、10名を大きく超えているので、改善が望まれる。(5.教員組織・職員組織) 7. 若手教員の育成と研究環境の整備という観点から、助教の教育負担を軽減することが望まれる。(5.教員組織・職員組織) 8. 修学支援に関わる面談記録等を含む必要な情報を、修学指導に関わる担当者間で適切に引き継ぐ仕組みがないので、学習ポートフォリオ等の導入が望まれる。(6.学生の支援) 9. 健康診断の受診率は高いものの、100%になるようにさらなる改善が望まれる。(6.学生の支援) 3)改善すべき点 1. カリキュラム・ポリシーに示されている教育方法と学修成果の評価方法は科目レベルにとどまっており、ディプロマ・ポリシーの達成に向けて学修成果を教育課程の進行 に対応して総合的に評価する方法が記載されていないので、改善が必要である。(1.教育研究上の目的と三つの方針) 2. 薬学部薬学科のアドミッション・ポリシーは、入学者選抜に求められる学力の3要素のすべてを含んだ具体性のある表記になっていないので、改善が必要である。(1.教育研究上の目的と三つの方針) 3. ディプロマ・ポリシーとカリキュラム・ポリシーを踏まえて設定されるべきアドミッション・ポリシーとしては不十分であり、多様な学生をどのように評価・選抜するのか具体的に示されていないので、改善が必要である。(1.教育研究上の目的と三つの方針) 4. 教育研究上の目的や三つの方針について、薬学部が定期的かつ主体的な分析・点検・検証を行うよう、改善が必要である。(1.教育研究上の目的と三つの方針) 5. 自己点検・評価委員会が、「教育・研究年報」で講座等を点検・評価する際に指標となる明確な評価基準を定めて、自己点検・評価委員会や教授会が点検・評価を計画的に継続するよう、改善が必要である。(2.内部質保証) 6. 自己点検・評価委員会が中心となって、質的・量的な解析に基づく自己点検・評価を行い、内部質保証のPDCAサイクルを主体的に機能させて教育研究活動の向上・発展を目指すよう、改善が必要である。(2.内部質保証) 7. カリキュラム・マップはDP1とDP2についてのみ作成されており、シラバスでは個々の授業科目の「到達目標」にディプロマ・ポリシーが関連付けられていないので、改善が必要である。(3.薬学教育カリキュラム 3-1教育課程の編成) 8. 6年次の選択必修科目の履修の有無により、卒業研究の単位数が17単位から27単位まで変動する点は問題であるので、基礎とする卒業研究の科目を必修科目として単位数を固定化する等、改善が必要である。(3.薬学教育カリキュラム 3-1教育課程の編成) 9. 実務実習の評価に、薬局出欠(14点)と病院出欠(14点)が含まれていることは不適切であるので、改善が必要である。(3.薬学教育カリキュラム 3-2教育課程の実施) 10. 一部の科目のシラバスにおいて、成績評価方法・基準の一部に「授業(演習・実習)への参加(20~60%と科目により異なる)」と記載されている。また、他の科目では、「授業(演習・実習)への参加態度(10~60%と科目により異なる)」と区別して記載されている。よって、「授業(演習・実習)への参加」は「出席点」ではないことが学生に明確に伝わる表記にするよう、改善が必要である。(3.薬学教育カリキュラム3-2教育課程の実施) 11. 「未了単位取得試験(4年生)」と「再度試験」は、再度履修することなく、試験のみで単位を取得できる制度になっているので、講義や補講等を実施したうえで成績評価を行うよう、改善が必要である。(3.薬学教育カリキュラム 3-2教育課程の実施) 12. 「再度試験」により学業成績の評語Bを取得できることは問題であるので、改善が必要である。(3.薬学教育カリキュラム 3-2教育課程の実施) 13. 学生と教員の両者が達成度を確認できる学習ポートフォリオ等を活用して、学修成果の達成度を段階的にかつ卒業時に評価するよう、改善が必要である。(3.薬学教育カリキュラム 3-3学修成果の評価) 14. 学修成果の評価結果がカリキュラム・ポリシーの改善・向上に活用された事例はあるものの、DP4とDP5が卒業研究だけで評価されていたり、DP6とDP7が低学年で評価されていない等、教育課程の進行に対応したディプロマ・ポリシーの達成度評価が不十分であるので、学修成果の評価をさらに充実させ、その結果を教育プログラムの改善・向上に主体的に活用するよう、改善が必要である。(3.薬学教育カリキュラム 3-3学修成果の評価) 15. 入学者の資質・能力の評価は進級率の検証だけでは不十分であるので、選抜区分ごとに評価基準を設定して質的・量的分析を行い、試験科目も含めた選抜方法の適性を検証するよう、改善が必要である。(4.学生の受入れ) |
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2024年度 |
適 |
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評価報告書
総評
神戸学院大学 総評神戸学院大学薬学部は、建学の精神「真理愛好・個性尊重」すなわち「学びと知の探究を通じて、普遍的な学問体系の英知に触れる喜びを実感し、その過程で自己と他者の個性に気づき、互いの存在をこよなく尊重すること」に基づき、「自主的で個性豊かな良識ある社会人」の育成を目指す中で、教育研究上の目的を「医療人としての薬剤師に必要な知識及び技術を修得させ、社会の求める医療のニーズに応えうる問題解決能力を持った学士(薬学)の育成を行うとともに、高度の専門知識技能を持った薬剤師の養成を行う。」と定め、一貫性のある三つの方針を設定している。
三つの方針に基づく教育においては、特に学生の自主性を伸ばすための配慮が認められる。例えば、カリキュラムツリーとカリキュラムマップは、6年間の学修の参考になるよう、入学直後の学生にもわかりやすく書かれている。次に、先進的かつ挑戦的な事例として、学生自身の自己評価のためコンピテンシーアンケートを実施し、学年進行に伴う能力的な成長を学生自ら評価することによって、ディプロマ・ポリシー(DP)への到達度を確認できるように設定されている。さらに、汎用的技能を評価する取り組みにおいては、客観性が高い外部試験を導入し、学生の自己評価・改善に活用されている。自己点検・評価を教育研究運営組織レベルから、系部門・連携教育グループ(分野)レベル、ユニットレベル、及び教員(科目)レベルの四つのレベルに分類して実施することにより、迅速な問題抽出、可視化へ繋げている。 神戸学院大学薬学部は、学生が海外の薬剤師業務について、来訪した海外の薬剤師から直接学ぶ機会を提供し、多くの学生が受講している。さらに、若手教員の育成を図るためのセミナー、実務経験を有する専任教員が常に新しい医療に対応するための医療機関における研鑽体制並びに若手教員が海外の大学等に留学し研鑽を積む制度を提供し、いずれも成果を上げている。 改善すべき点としては、まず、自己点検・評価の結果の公表が十分に行われていない。また、教育研究上の目的及び三つの方針の妥当性についての検証は、定期的なスケジュールを定めておらず、自己点検・評価の結果が教育プログラムの改善に活かせていない。さらに、休学者と退学者、及び留年者が増加傾向にあることから入試制度見直し等の改善策を多角的に実施しているが、十分な改善には至っていない。以上のように薬学部薬学科の教育研究活動の点検・評価、改善・向上を計画的に継続していく必要がある。 懸念が示された点への対応によりさらなる発展が期待される。
大学への提言
神戸学院大学 大学への提言1)長所
1. 外部試験による学生の汎用的技能について全体的傾向を把握する取組みは、客観性が高いという点で学生の自己評価・改善に有用であると判断される。(3.薬学教育カリキュラム 3-3学修成果の評価) 2. 薬学部の専任教員、助手(リサーチャー)、実験助手、実習助手を対象に、「ファカルティセミナー」と「知の創造セミナー」を定期的に開催し、この取り組みを通じて、次世代を担う教員の養成に努めている。(5.教員組織・職員組織) 3. 実務経験を有する専任教員が、常に新しい医療に対応するために医療機関において研鑽できる体制を整え、教員が学外で研鑽を行っている。(5.教員組織・職員組織) 4. 学生の食生活等の改善を目的とした『100円朝食』並びに『100円夕食』を提供していることは、高く評価される。(6.学生の支援) 5. 過去に大きな震災を経験した神戸の大学・薬学部として、消防局と連携した防災教育を行っている。(8.社会連携・社会貢献) 6. 若手教員が海外の大学等に留学し、研鑽を積む制度が創設されており、教員の研究レベルの向上や、国際交流の活性化に貢献している。(8.社会連携・社会貢献) 2)助言 1. ディプロマ・ポリシーのうち、「医療人としての資質」「コミュニケーション能力と連携能力」「医療における課題対応能力」「薬学における探求能力」は卒業判定において評価されていないので、評価方略の検討が望まれる。(1.教育研究上の目的と三つの方針) 2. ディプロマ・ポリシーとカリキュラム・ポリシーの見直しを実施する中で、年度途中に改定したポリシーを、その年度の入学生に遡及して適用したことは好ましくないので、今後は遡及して適用しないようにすることが望ましい。(1.教育研究上の目的と三つの方針) 3. 医療を取り巻く環境や薬剤師に対する社会のニーズの変化をアドミッション・ポリシーに反映させるために、卒業生や薬剤師などの外部委員等の意見を踏まえた検証を実施することが望まれる。(1.教育研究上の目的と三つの方針) 4. カリキュラム・ポリシーに基づき科目間の関連性や順次性を考慮して授業科目を配置しているが、一部のSBOsについては対応できていないので改善することが望ましい。(3.薬学教育カリキュラム 3-1教育課程の編成) 5. 「原著論文」「卒業研究Ⅰ」「卒業研究Ⅱ」の評価については、評価基準が明確ではないことから、教員間や分野間の評価の差が生じないよう、客観性を担保するための評価基準を設定することが望まれる。(3.薬学教育カリキュラム 3-2教育課程の実施) 6. 1年次から3年次の実習・演習科目におけるパフォーマンス評価は、体系的とは言いがたいので改善することが望ましい。(3.薬学教育カリキュラム 3-2教育課程の実施) 7. 「卒業研究」での研究活動並びに卒業論文作成・発表において、学生が共同で実施した例が一組あったので、学生一人ひとりが独立して実施することが望まれる。(3.薬学教育カリキュラム 3-2教育課程の実施) 8. 公募制推薦入試、一般選抜入試、大学入学共通テスト利用入試では、アドミッション・ポリシーの5項目の内3項目について評価していない。さらに、医療人を目指す者としての資質・能力については、2025 年度入試より「総合型選抜型入試」を導入するなど改善に努めているが、すべての入試制度において評価できているわけではないので、今後適切に評価することが望まれる。(4.学生の受入れ) 9. 1年次の休学者・退学者・留年者の割合は、2021 年度より増加傾向にあるので、成績不振者のプレイスメントテスト及びアセスメントテストの結果を検証し、これに基づいた改善に取り組むことが望ましい。(4.学生の受入れ) 10. 専任教員1名あたりの学生数は、薬学教育評価機構の推奨値である10名以内には及んでいないので、改善することが望ましい。(5.教員組織・職員組織) 11. 研究発表をしていない教員がやや増加している傾向にあるので改善が望まれる。(5.教員組織・職員組織) 12. 学生による授業評価や学生対象の各種アンケートの回答率が低く、アンケートの実施方法等の改善が望まれる。(6.学生の支援) 13. 定期健康診断の受診率は100%に達していないので改善が望まれる。(6.学生の支援) 3)改善すべき点 1. 薬学部薬学科では教育研究上の目的及び三つの方針の妥当性についても自己点検・評価を行っているものの、その定期的なスケジュールを定めていないことは問題であるので、改善が必要である。(1.教育研究上の目的と三つの方針) 2. 自己点検・評価の結果を教育プログラムにフィードバックして改善に活かすには至っていないので、薬学部内部質保証推進委員会の下、薬学部薬学科の教育研究活動の点検・評価、改善・向上を計画的に継続して改善する必要がある。(2.内部質保証) 3. 自己点検・評価の結果を、ホームページで公表できていないので、改善が必要である。(2.内部質保証) 4. 複数の評価項目を設定している薬学実務実習など一部の科目において、シラバスにそれぞれの評価の割合が明示されていない科目及び評価の説明が適切でない科目があるため、改善が必要である。 (3.薬学教育カリキュラム 3-2教育課程の実施) 5. 休学者と退学者、及び留年者を減少させる対策として、入試制度の見直しが必要であると認識し、改善策を多角的に実施しているが、十分な改善には至っていないので、今後も改善を継続することが必要である。(4.学生の受入れ) |
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評価報告書
総評
神戸薬科大学 総評神戸薬科大学は、1930(昭和5)年に設立された神戸女子薬学校をその母体とし、1949(昭和 24)年には神戸女子薬科大学となり、1994(平成6)年4月より男女共学制を導入し、大学名が神戸薬科大学と変更されて 2006(平成 18)年4月からは6年制薬学教育を実施している。
学生の利便性を最優先に考慮した教育設備を完備し、1年次から4年次まではクラス担任制により学生一人ひとりに手厚い対応を行い、質の高い薬学教育が実施されている。また、大学内に設置されたエクステンションセンターで薬剤師の生涯研修事業を行うだけでなく、2017(平成 29)年には神戸薬科大学地域連携サテライトセンターを竣工して市民向けセミナーも活発に実施しており、地域社会に対する薬学系大学としての多大なる貢献を続けている。 学長のリーダーシップの下で自己点検・評価が継続的に実施され、2022 年からは授業時間の変更を含む大幅なカリキュラム改定により教育のさらなる質の向上を目指している。2016(平成 28)年実施開始のカリキュラムとの並行進行でやりくりが大変なところであるが、成果が期待される。自己点検・評価は広範囲かつ詳細に行われており、フィードバックも行っているが、結果は学内での共有のみであり公表はされていない。内容の選択は必要であろうが、外部機関による評価結果と同様に公表する必要がある。学則に「高い教養と専門的能力を培うことによって、医療人としての使命感と倫理観を十分に理解し、高度な薬学の知識を身につけた薬剤師並びに教育・研究者を育成すること、さらに医療と薬事衛生の向上に貢献すること」を教育研究上の目的として定め、それに従って、「教育目標」「学位授与の方針」(DP、ディプロマ・ポリシー)「教育課程編成・実施の方針」(CP、カリキュラム・ポリシー)及び「入学者受入の方針」(AP、アドミッション・ポリシー)を定めて公表している。「学位授与の方針」は、教育目標と方向性は同じであるが、到達度を評価するためには具体性が不足しており、学生が理解したうえで学習していくためにも改善が必要である。また、「教育課程編成・実施の方針」は、評価の在り方の記載がないので加えることが必要である。入学者選抜として、学校推薦型選抜(指定校制、公募制)、一般選抜(共通テスト利用、前期、中期、後期)を行っており、学校推薦型選抜ではグループディスカッションによる思考力・判断力・表現力の評価も行っているものの、「入学者受入の方針」として定められているものを部分的に評価している選抜が多く、入学者の受入れに関する方針としては十分なものではない。2024 年度入試から導入した一般選抜(地域枠選抜)では学科試験に加えて面接を実施し、2025 年度からはプレゼンテーションを課す新規選抜方法を加えることを行ってきているので、さらなる改良が望まれる。 神戸薬科大学薬学部は、学長を中心に大学全体で効率的に薬学教育に取り組んでおり、この体制を維持して今後のさらなる発展を期待する。
大学への提言
神戸薬科大学 大学への提言1)長所
1. 学長のリーダーシップの下、自己点検・評価委員会が動き、カリキュラムの大幅な改善を自ら行ったことは評価出来る。(2.内部質保証) 2. 毎年1月に学長から教員に対して、研究業績による研究費の配分額を決定するための基礎資料提出を求め、提出された資料を基に、学長が配分を決定し、研究費配分を決めている。さらに、優れた共同研究を推進・支援するため、学長裁量経費による研究費の追加支援も行っている。(5.教員組織・職員組織) 3. 価格が50,000千円以上の大型・中型機器の購入に備えて毎年25,000千円を積み立て、購入を希望する複数の研究室で合議の上、要望書を研究設備等充実委員会に提出し、必要度及び優先順位を議論したうえで、大学運営会議で審議を行うシステムが構築されている。(7.施設・設備) 4. 2024年4月から使用開始された新教育棟は、学生の利便性ばかりでなく、効率的な教育を行うために最大限の配慮をもって設計・建築されており、今後の教育成果が期待される。(7.施設・設備) 5. 薬剤師を対象とした生涯教育研修プログラムの提供ばかりでなく、地域住民を対象としたセミナーをさまざまな内容で開催し、地域貢献に大きく寄与している。(8.社会連携・社会貢献) 2)助言 1. 医療関係者、企業などの他職種や、卒業生などを自己点検・評価委員会に加えて、より客観的な自己点検・評価を目指すことが望ましい。(2.内部質保証) 2. 2022年度から開始した、科目としての学修成果の評価結果を用いた改善・向上の取り組みとして、評価主体となる「ロジカル思考演習」における教育課程の改善が始められたところであり、まだ教育課程の編成の改善・向上に活用するには至っていないため、今後の運用方針の検討が望まれる。(3.薬学教育カリキュラム 3-3学修成果の評価) 3. 学力の3要素及び医療人を目指すものとしての資質・能力の評価は、入試全体としては含まれているが、各選抜方法においてはそれらの一部しか満たされていないので、すべての選抜方法での導入が望ましい。(4.学生の受入れ) 4. 専任教員1名あたりの学生数は、2023 年5月1日時点では教員数は 84 名(教授 31 名、准教授 17 名、講師 24 名、助教7名、助手5名)であるので、10 名以内とすることが望ましい。(5.教員組織・職員組織) 5. 全学生を対象にした定期健康診断は、全員が受診することが望まれる。(6.学生の支援) 6. 防災避難訓練の参加者が少ないので学生の参加者を増やすことが望まれる。(6.学生の支援) 3)改善すべき点 1. 教育目標は、学外者が理解するには具体性に乏しいため、学外へのアンケートなどにより、学内では気づきにくい社会のニーズを積極的に取り入れて見直すとともに、ディプロマ・ポリシーに基づいた学修成果の到達度評価を容易にするために具体的なものに改変することが必要である。(1.教育研究上の目的と三つの方針) 2. ディプロマ・ポリシーが、学外者が理解するには具体性に乏しいため、学生が卒業までに修得を目指す学習成果を明確にするよう、改善が必要である。(1.教育研究上の目的と三つの方針) 3. カリキュラム・ポリシーに挙げた各項目の学修成果の評価の在り方について具体的に記載がされていないため改善が必要である。(1.教育研究上の目的と三つの方針) 4. アドミッション・ポリシーには、評価・選抜に関する具体的な記載がないため、改善が必要である。(1.教育研究上の目的と三つの方針) 5. これまで実施してきている自己点検・評価の結果を文書化して、外部機関による評価結果と同様に公表していくことが必要である。(2.内部質保証) 6. 語学教育(英語)が必修科目として実施されているのが1~3年次までであるが、医療人としての活動に必要な英語力を有し、グローバル化に対応した国際感覚を身につけることをディプロマ・ポリシーとしてあげてあり、カリキュラム・ポリシーにも「国 際化に対応できる人材の養成を図るため、6年間を通じて英語を学べる環境を構築するとともに、医療、薬学に関わる英語科目を編成し、実施する」と記載されていることから、科目として全員が履修する形態の英語教育を高学年まで継続することが必要である。(3.薬学教育カリキュラム 3-1教育課程の編成) 7. 「総合的に評価」を行う場合、シラバスに評価の基準の詳細まで記載することが必要である。(3.薬学教育カリキュラム 3-2教育課程の実施) 8. シラバスの成績評価に関する記載で、「平常点」の中に出席を含めている科目が散見されるので、授業態度などを評価するよう改善が必要である。(3.薬学教育カリキュラム 3-2教育課程の実施) 9. 実務実習(病院・薬局)の成績評価は、実習先の指導薬剤師の評価(35 点分)を加味しながら実習記録の内容を精査するなどして 65 点分を評価して合計 100 点満点で成績評価としているが、点数の内訳をシラバスに記載するよう改善が必要である。(3.薬学教育カリキュラム 3-2教育課程の実施) 10. 成績評価に対しての学生からの異議申立の仕組みは、科目担当者が窓口ではなく、学部として受け付けて対応するよう改善が必要である。(3.薬学教育カリキュラム 3-2教育課程の実施) 11. 「留年年次の翌年次科目(1学年上の開講科目)のうち、再履修科目と時間割が重複しない講義科目に限り、5科目まで履修することができる」という規定は、科目の開講年次の規定と矛盾するので改善が必要である。(3.薬学教育カリキュラム 3-2教育課程の実施) 12. 「留年年次科目の既修得科目を再履修することができ、評定が高い方を最終成績として認定する」というのは既修得科目の同時履修登録での成績の上書きであり公正・厳格なシステムとはいい難いので改善が必要である。(3.薬学教育カリキュラム 3-2教育課程の実施) 13. 学生が身につけるべき資質・能力の評価を行うための体制は段階的に構築されているが、適切な評価基準を作成し、教育課程の進行に対応して評価を行えるように改善が必要である。(3.薬学教育カリキュラム 3-3学修成果の評価) |
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評価報告書
総評
静岡県立大学 総評静岡県立大学薬学部薬学科(6年制)における教育研究上の目的は、静岡県立大学の「大学理念」を踏まえ、「静岡県立大学学則」第 1 条にて規定された「教育研究上の目的」に加えて、薬学部独自の「人材養成等教育研究上の目的」として同学則に定められ、そこには「薬剤師としての臨床能力および倫理観を修得し、医療薬学に根ざした研究者や高度専門職薬剤師として、医療の質向上を通して人類の健康長寿に貢献できる先導的な人材を育むための薬学基礎・専門教育を行う。」と設定され、公表されている。これに基づき「学位授与の方針(ディプロマ・ポリシー:DP)」、「教育課程の編成及び実施に関する方針(カリキュラム・ポリシー:CP」、「入学者受入れの方針(アドミッション・ポリシー:AP)」が策定され、公表されている。
静岡県立大学薬学部薬学科では、教員の教育・研究レベルの維持向上に努めており、静岡県立総合病院内に設置された薬学教育・研究センターには、5年以上の実務経験を有する教員 11 名を兼務教員として配置し、病院実務実習の指導及び診療科・薬剤部との臨床共同研究を行い、常に新しい医療に対応するために研鑽できる体制・制度の整備に努めている。 一方、学生に対しては、基本教育として静岡特有の歴史・文化、防災医療システムや地域産業を取り扱う「しずおか学」が設定され、公立大学の教育目的を踏まえた教育体制としている。また、グローバル化を目指し英語ディベート教育を取り入れ、語学能力の醸成にも努めている。さらに、バーチャルリアリティー映像を活用した服薬指導やワクチン注射体験実習など、最新の教育ツールを用いて拡大する薬剤師業務へ対応するとともに、社会貢献も視野に入れた過疎地域でのアドバンスト実習を実施するなど、DPに則した教育を実施している。 しかしながら、重要な項目である「学修成果の評価」が適切に実施されているとはいえず、教育課程の編成及び実施の改善・向上に活用されるには至っていない。すなわち、学生が身につけるべき資質・能力が、教育課程の進行に対応して評価されていない。その原因のひとつとして、シラバスに掲載される多くの科目において、カリキュラムの体系性及び順次性を考慮した適切な学修成果を評価するための基準や指標が設定されていないことが挙げられる。また、DP達成のためにCPに基づいた教育課程及びその内容、方法の適切性について検証するための到達目標があらかじめ設定されていないことから、学生が身につけるべき資質・能力を評価する学修成果の評価の在り方について具体的に示されていない。 静岡県立大学薬学部薬学科においては、今後指摘した問題点の改善に取り組み、「人材養成等教育研究上の目的」に掲げる医療薬学に根ざした研究者や高度な専門性を持つ薬剤師を目指す人材の育成、また、医療の質向上を通じて人類の健康長寿に貢献できる先導的な人材を育むよう薬学教育プログラムの充実を図られることを期待する。
大学への提言
静岡県立大学 大学への提言1)長所
1. 静岡県の公立大学としての特徴を活かし、公立大学として地域への貢献を大学理念及び教育研究上の目的として掲げ、地域社会へ貢献する能力を養う目的で大学独自の教育として「しずおか学」科目群の履修を必修として開講している。(3.薬学教育カリキュラム 3-1教育課程の編成) 2. 「臨床薬学演習」は医療人としての倫理観、使命感、コミュニケーション能力を低学年から育成し、学年進行の知識レベルに配慮した臨床症例を題材に問題発見・問題解決能力を醸成できるように工夫されている。(3.薬学教育カリキュラム 3-1教育課程の編成) 3. 大学独自の教育である「静岡救命連携演習」がチーム医療に貢献するための医療従事者間の連携や協働、災害時や緊急時の症例検討を通じて、緊急時対応に特化した問題解決能力を醸成するために配置されていることは評価できる。(3.薬学教育カリキュラム 3-1教育課程の編成) 4. 「科学演習」では、参加型学習等を実施し、情報の集計・加工、情報発信能力及び問題解決能力の育成と共に、薬学及び医療に関連する諸問題について、少人数グループで日本語及び英語でのディベート教育を取り入れ、語学能力の醸成に努めている。(3.薬学教育カリキュラム 3-2教育課程の実施) 5. 「実務事前実習」では、バーチャルリアリティー映像を活用した服薬指導、フィジカルアセスメント実習、静脈注射・皮下注射・筋肉内注射・ワクチン注射体験実習を実施し、拡大する薬剤師業務へ対応するとともに、希望者を対象に過疎地域(静岡県榛原郡川根本町ほか)でのアドバンスト実習を実施している。(3.薬学教育カリキュラム 3-2教育課程の実施) 6. 静岡県立総合病院内に設置した薬学教育・研究センターでは、実務経験を有する教員を配置し、病院実務実習をはじめ、先端の医療薬学系の教育及び研究を行える環境を整備している。(5.教員組織・職員組織) 7. 実務家教員は、「静岡県立大学・病院・地域薬局連携薬物療法研修会」の定期的な開催、並びに病院や薬局、薬学教育・研究センターにおける臨床実務・臨床研究の実践等を通して自己研鑽を行っている。この取り組みは、薬剤師としての実務経験を有する専任教員が、常に新しい医療に対応するために研鑽できる体制・制度として優れている。(5.教員組織・職員組織) 8. 静岡県の公立大学という特徴を活かし、地域の医療界、薬剤師会、病院薬剤師会、行政機関、産業界との連携を通じて、地域における医療・薬学の発展及び薬剤師の資質・能力の向上に貢献している。(8.社会連携・社会貢献) 2)助言 1. カリキュラム・ポリシーに基づく学習・教授方法及び成績評価のための課題が、ディプロマ・ポリシーの実現のために想定された学習活動に整合するようにカリキュラム・ポリシーを設定することが望まれる。(1.教育研究上の目的と三つの方針) 2. 各ディプロマ・ポリシーと科目の連結がカリキュラム・ツリー及びカリキュラム・マップとして明示されたことから、今後、ディプロマ・ポリシーとカリキュラム・ポリシーと各科目の関連性について、組織的な点検・検証に向けた取り組みが実施されることが望まれる。(3.薬学教育カリキュラム 3-1教育課程の編成) 3. 多くの科目においてシラバスの成績評価の項目に出席に関する記載が併記されていることから、「履修に関する注意事項」等、別項目に記載することが望まれる。(3.薬学教育カリキュラム 3-2教育課程の実施) 4. ディプロマ・ポリシーに掲げた資質・能力の達成度の適切な評価を実施した上で、ディプロマ・ポリシーの達成度を含めた卒業認定を実施することが望まれる。(3.薬学教育カリキュラム 3-2教育課程の実施) 5. 面接のない入試制度においては、「主体性を持って多様な人々と協働して学ぶ態度」や「医療人を目指す者としての資質・能力」も含めた多面的かつ総合的な評価ができるように、面接や小論文などの評価方法を取り入れるなど工夫することが望まれる。(4.学生の受入れ) 6. 専任教員数に対する女性教員の割合(11%)が少ない。また、教授20名のうち女性の教授は現在1名であるため、教授会構成メンバーにおける女性教員(女性の教授)の割合を増やすように努めることが望まれる。(5.教員組織・職員組織) 7. 実務家教員の授業担当時間が多く、それ以外の専任教員とに大きな差があることから、負担を軽減することが望まれる。(5.教員組織・職員組織) 8. 授業評価アンケートの結果や教員相互による授業評価の結果が、学部教育プログラムレベルでの組織的な授業改善・向上の取り組みに活用されることが望まれる。(5.教員組織・職員組織) 9. 薬学部専任の事務職員数が4名と少なく、職員及び教員の事務作業の負担が増えることのないよう、職員数を増員することが望まれる。(5.教員組織・職員組織) 10. アドバイザー教員による個別の相談体制については、面談内容が記録されていないことから、対応内容の第三者による確認とその対応の解析、改善に結びつくための体制を構築することが望まれる。(6.学生の支援) 11. 健康診断の受診率が2年、3年及び、5年次の学年においては100%になっていないため、全員が受診するよう改善が望まれる。(6.学生の支援) 3)改善すべき点 1. カリキュラム・ポリシーでは、ディプロマ・ポリシーに示された資質・能力を踏まえた学修成果の評価の在り方が具体的に設定されていないので、改善が必要である。(1.教育研究上の目的と三つの方針) 2. 「教育研究上の目的(人材養成等教育研究上の目的)」及び三つの方針は、各項目の点検・評価にとどまっており、医療を取り巻く環境や薬剤師に対する社会のニーズの変化を調査した結果等を踏まえた計画的・定期的な検証が実施されていないため、改善が必要である。(1.教育研究上の目的と三つの方針) 3. 「教育研究上の目的(人材養成等教育研究上の目的)」及び三つの方針に基づく教育研究活動の自己点検・評価は、点検・評価し検証する体制が適切に運用されていないので、組織的かつ計画的に実施できるように改善が必要である。(2.内部質保証) 4. 教育研究活動に対して適切な基準や指標等を設定するとともに、学習ポートフォリオ等を活用して学習達成度を評価するなど、質的・量的な解析に基づいた自己点検・評価を実施するように、改善が必要である。(2.内部質保証) 5. 教育課程及びその内容、方法の適切性については、解析やその解析結果に基づく検証が十分にできているとはいえないので、組織(教育プログラム)レベルで検証し、必要に応じて改善・向上に活用していくよう、改善が必要である。(3.薬学教育カリキュラム 3-1教育課程の編成) 6. アクティブラーニングを実施する科目については、学習方略及びその評価方法をシラバスに明記するように、早期の改善が必要である。(3.薬学教育カリキュラム 3-2教育課程の実施) 7. 各科目において適切な成績評価の方法・基準が設定され、学生が理解しやすいように周知が図られているとはいえない。特に、実務実習の評価の比率がシラバスに記載されていないので、早急な改善が必要である。(3.薬学教育カリキュラム 3-2教育課程の実施) 8. 100点を超える採点や、あらかじめ受講生全員に実施した課題点を試験の不合格者に対してのみ上乗せするなど、一部の科目で適切とはいい難い評価が散見され、成績評価が公正かつ厳格に行われているとはいえないので、改善が必要である。(3.薬学教育カリキュラム 3-2教育課程の実施) 9. 学修成果の評価については、カリキュラム・ポリシーに基づく適切な評価計画を策定し、教員による客観性が高い評価方法等によって、学生が身につけるべき資質・能力を教育課程の進行に対応して評価するよう、改善が必要である。(3.薬学教育カリキュラム 3-3学修成果の評価) 10. 授業評価アンケートや教員による授業相互評価は、科目レベルにおける教育活動の実施の改善・向上にとどまっており、プログラムレベルに活用できていない。したがって、学修成果の評価結果を教育課程の編成及び実施の改善・向上に活用するよう、改善が必要である。(3.薬学教育カリキュラム 3-3学修成果の評価) |
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| 新潟薬科大学 | 私 | 新潟県 | 第2期 |
2024年度 |
適 |
自己点検・評価書 基礎資料 正誤票 |
評価報告書
総評
新潟薬科大学 総評 新潟薬科大学薬学部薬学科は、大学の理念及び目的、並びに薬剤師養成教育に課せられた基本的な使命を受けて、教育研究上の目的を「「実学一体」の精神のもと、薬学に係る専門知識を習得し、医療人に適う倫理観と豊かな人間性をもち、問題解決能力と実践力を身に付け、医療の進展に資する研究心を有し、地域における人々の健康増進や公衆衛生の向上に貢献する薬剤師を育成することを目的とする。」と定め、三つの方針を設定している。内部質保証に関しては、教育研究活動に対する質的・量的な解析に基づいた自己点検・評価が実施されている。薬学教育カリキュラムは、教育課程の編成及び実施に関する方針に基づいて構築され、薬学教育モデル・コアカリキュラムに準拠し、大学独自に設定した授業科目を取り入れた特色ある教育課程を編成している。学修成果の評価では、2021 年度から毎年、学生による自己評価と各資質・能力の修得に関連する授業科目の成績平均値を用いた評価を実施するとともに、本評価法の検証作業を継続して、さらなる改善に取り組んでいる。学生の支援においては、手厚い修学支援が行われ、社会連携・社会貢献では、大学の理念・目的を踏まえて「新潟薬科大学社会連携・社会貢献に関する方針」を定め、社会のニーズを反映した社会連携・社会貢献に積極的に取り組んでいる。
一方、卒業の認定に関する方針(ディプロマ・ポリシー)に基づいた卒業認定が行われていない、「ディプロマ・ポリシー」に基づく総合的な学修成果の評価結果を学生にフィードバックできていない、現行の学修成果の評価方法は、教育課程の編成及び実施に関する方針(カリキュラム・ポリシー)に記載されたものと異なっている、「成績表確認願い」の扱いについては学生に不利益になることが懸念される等の問題点が認められるため、内部質保証の組織的かつ計画的な実施について、今後の改善が求められる。また、これまで入学生の資質・能力の検証から入試改革が行われてきたが、留年率・退学率の改善は十分とは言えないので、引き続き検証とその結果に基づく入学者受け入れの改善・向上の取り組みを継続することが期待される。本評価結果が、新潟薬科大学薬学部薬学科における内部質保証に積極的に活かされ、薬学教育プログラムのさらなる改善と向上が図られることが期待される。
大学への提言
新潟薬科大学 大学への提言1)長所
1. 4年次の「多職種連携Ⅰ・Ⅱ」(選択科目)では、看護師や検査技師ら医療職を目指す学生が大学や学部の垣根を越えて協働・連携し、チームワークについて理解を深める機会が設けられている。(3.薬学教育カリキュラム 3-1教育課程の編成) 2. 大学独自に設定した授業科目として、薬学の専門領域を相互に関連づけることを意識した統合型科目群を1年次~6年次に配置し、薬物治療を体系的に学べるよう工夫している。(3.薬学教育カリキュラム 3-1教育課程の編成) 3. 1年次~4年次の「社会貢献活動Ⅰ」では、学生が自らの専門分野を活かして地域社会や社会全体に貢献する方法を学び、3年次の選択科目「地域医療の実践」では在宅治療患者への訪問薬剤業務を体験することができるなど、早期から地域貢献や地域医療に係る体験型学習を取り入れている。(3.薬学教育カリキュラム 3-2教育課程の実施) 4. 臨床系実務家教員の研鑽については、新潟薬科大学薬学部臨床研修実施要項を作成し、臨床研修の関する協定を締結した病院や薬局を研修先として、複数の臨床系実務家教員が研修を行っている。(5.教員組織・職員組織) 5. 「新潟薬科大学薬学部薬用植物園」、「新潟薬科大学薬用植物園五頭分園」、「新潟薬科大学薬草・薬樹交流園」など、薬草園に係わる施設が充実し、一般公開やワークショップ、体験教室などの社会還元活動を実施している。(7.施設・設備) 6. 「地域連携推進室」、「産官学連携推進センター」、「教育連携推進センター」及び「高度薬剤師教育研究センター」設置するとともに、地元の自治体、教育機関、地域企業、県外機関と包括連携協定を締結し、社会ニーズを反映した社会連携・社会貢献活動を積極的に実施している。(8.社会連携・社会貢献) |
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| 姫路獨協大学 | 私 | 兵庫県 | 第2期 |
2024年度 |
適 |
自己点検・評価書 基礎資料 正誤票 |
評価報告書
総評
姫路獨協大学 総評 姫路獨協大学薬学部では、教育研究上の目的に基づいて三つの方針が策定されている。例えば、ディプロマ・ポリシーでは、卒業までに学生が身につけるべき資質・能力として、薬剤師としての使命等の8項目を設定している。また、自己点検のPDCAサイクルを機能的に推進するため、教授会、FD委員会(FD:Faculty Development)、そして構成員に学外委員及び卒業生が含まれる自己点検・評価委員会の三つの組織を薬学部に常置している。教育カリキュラムに関しては、学生参加型の自己研鑽・参加型学習科目として、2年次以降にPBL(Problem Based Learning)形式の統合演習科目を数多く配置するなど、カリキュラム・ポリシーに基づいて、教育課程が適切に編成されている。また、薬学教育支援室を設置するなど、学生に対する細やかな履修指導や学修支援も行われている。薬学部あるいは薬学部の教員は、兵庫県の薬剤師会や病院薬剤師会などとの密接な連携を図り、医療・薬学の発展、薬剤師の資質・能力の向上、及び地域の保健衛生の保持・向上に貢献している。また、地元の酒造会社との産学協同研究も行っている。これらの取り組みについては評価できる。しかしながら、カリキュラム・ポリシーに関しては、教育課程全般の教育内容や方法、具体的な学修成果の評価の在り方、各項目における学修の質を重視した評価方法が記載されていないため、ディプロマ・ポリシーとの一貫性や整合性が明確ではない。一方、内部質保証に関しては、全学組織との連絡・連携体制は確立されているが、学習ポートフォリオ等を活用した学習達成度、ディプロマ・ポリシーに掲げた学修成果の達成度等、教育研
究活動に対する質的・量的な解析に基づいた自己点検・評価を実施する必要がある。また、学生の学修成果の達成度を網羅的かつ経年的に評価するシステムを構築する必要もある。これらの問題点ついては改善が求められる。姫路獨協大学薬学部が、今後、内部質保証や学生一人ひとりの学修成果の評価等に関する本評価の指摘事項に対する対応を検討し、薬学教育プログラムの改善とさらなる向上に 努めることを期待する。
大学への提言
姫路獨協大学 大学への提言 1)長所
1. 姫路市ゆかりの草花から単離した酵母を用いて日本酒を開発するなど、地元の酒造会社との産学協同研究を活発に行っていることは評価できる。(8.社会連携・社会貢献) 2)助言 1. 「履修の手引」が大学全体で一つの冊子となっているため、利便性の観点からは、学部別の冊子とすることが望ましい。(1.教育研究上の目的と三つの方針) 2. 就職状況の調査、卒業時学生アンケート、及び就職先の企業アンケートの結果を教育課程の編成や実施の改善・向上に活用する体制を確立することが望ましい。 (3.薬学教育カリキュラム 3-3学修成果の評価) 3. 教授、准教授・講師と比較して助教の割合が少ないので、教育研究上の目的に沿った教育研究活動の継続の観点からは、助教の割合を増やすことが望ましい。(5.教員組織・職員組織) 4. 緊急性の高い事案への対応が遅れるなどの懸念があるので、教育研究業務の円滑な実施のためには、薬学部にも事務組織を整備することが望ましい。(5.教員組織・職員組織) 5. 学生が安全かつ安心して学習に専念できるように、実験室等での事故・災害の発生時や被害防止のためのマニュアルを整備すると共に、防火・防災訓練の学生への周知方法を定めることが望ましい。(6.学生の支援) 6. 健康診断の受診率が 100%になるように、さらなる改善が望まれる。(6.学生の支援) 7. セミナー等に使用できる教室やゼミ室が薬学部棟に整備されていないので、その整備 が望まれる。(7.施設・設備) 8. ホームページ上に英文サイトが設けられているが、発信されている情報量は十分ではない。世界への情報発信のためには、ホームページの英文サイトを拡充することが望まれる。(8.社会連携・社会貢献) 3)改善すべき点 1. カリキュラム・ポリシーとして必要な教育課程全般の教育内容や方法、学修成果の評価の在り方などが具体的に記載されていないので、それらを記載する必要がある。 (1.教育研究上の目的と三つの方針) 2. カリキュラム・ポリシーの8項目のそれぞれにおいて、学修の質を重視した評価方法を設定し、具体的に記載する必要がある。(1.教育研究上の目的と三つの方針) 3. 全学での自己点検・評価においては、薬学部が独自の基準を設定する必要がある。(2.内部質保証) 4. 学習ポートフォリオ等を活用した学習達成度、ディプロマ・ポリシーに掲げた学修成果の達成度、在籍及び卒業状況の入学年次別分析等、教育研究活動に対する質的・量的な解析に基づいた自己点検・評価を行う必要がある。(2.内部質保証) 5. 教育課程及びその内容や方法の適切性に関する検証が十分に行われていないので、十分な検証を行うと共に、その結果に基づいた改善・向上を図る必要がある。(3.薬学教育カリキュラム 3-1教育課程の編成) 6. 再試験の評価が「可」もしくは「不可」であるため、稀ではあるが、再試験で合格となった学生の評価点が 60 点を超えることがある。定期試験で合格した学生に対して不公平な制度となっているため、改善が必要である。(3.薬学教育カリキュラム 3-2教育課程の実施) 7. 成績評価の異議申し立てについては、透明性を確保するためにも事務部(教務課等)を介して照会する制度とする必要がある。(3.薬学教育カリキュラム 3-2教育課程の実施) 8. 卒業認定の際の学生が身につけるべき資質・能力の到達度の総合的な評価については、より適切な評価指標を策定し、その指標に基づいた評価の実施が必要である。(3.薬学教育カリキュラム 3-2教育課程の実施) 9. ディプロマ・ポリシーを満たす学生を輩出するためには、大学の教学マネジメントの方針に従い、学生の学修成果の到達度を網羅的かつ経年的に評価する指標や方法を定め、学生一人ひとりの学修成果や成長度を総合的に把握・評価するシステムを確立し、その評価結果を教育課程の編成や実施方法の改善に活用する必要がある。(3.薬学教育カリキュラム 3-3学修成果の評価) |
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| 星薬科大学 | 私 | 東京都 | 第2期 |
2024年度 |
適 |
自己点検・評価書 基礎資料 正誤票 |
評価報告書
総評
星薬科大学 総評 星薬科大学は、薬学部に6年制の薬学科と4年制の創薬科学科を併設し、建学の精神「本学は、薬学を通じて、世界に奉仕する人材育成の揺籃である」の下、教育研究上の目的を「薬学に関する学理及び応用を教授、研究し人格の陶冶を図り、医療、福祉及び環境衛生の向上に寄与するとともに、文化の創造と発展に貢献すること」と定めている。薬剤師を養成するための薬学部薬学科における教育研究上の目的は、薬剤師養成教育に課せられた基本的な使命を踏まえて設定しており、学則にも「臨床の現場において高い倫理観と高度な専門性を発揮できる薬剤師の養成を目指すものとする」と規定し、それに基づいた「ディプロマ・ポリシー(学位授与の方針)」、「カリキュラム・ポリシー(教育課程編成・実施
の方針)」、「アドミッション・ポリシー(入学者受入れの方針)」を制定している。これらは、医療を取り巻く環境、薬剤師に対する社会のニーズを反映したものとなっている。しかし、カリキュラム・ポリシーには、教育課程における教育内容・方法、学修成果の評価の在り方等が具体的に設定されておらず改善する必要がある。内部質保証については、改善計画の策定と実行、検証及び改善の提言を経て、再び改善計画の検討を行うサイクルとなっており、自己点検・評価が組織的に行われている。教育課程の編成では、ディプロマ・ポリシーと授業科目との関係性を「ディプロマ・ポリシー対応表」によって示しており、ディプロマ・ポリシーの浸透を図っている。また、多くの独自科目を配置していることは評価できる。学修成果の評価については、新たに設定されたアセスメント・ポリシーに基づき、指導教員と学生とが面談を通して、ディプロマ・ポリシーの達成度をルーブリック評価表で評価している。しかしながら、学修成果の達成度を年次進行に伴って総合的に評価するためには、より詳細なルーブリックを作成する必要がある。また、アセスメント・ポリシーは策定されたばかりなので、適切なものであるか を検証していくことが望まれる。学生支援において、24 時間の電話相談サービス「星薬科大学こころとからだの相談ダイヤル」を運用し、電話、もしくはインターネットで 24 時間、健康相談やメンタルヘルスのカウンセリング、法律に関する相談ができるようにしている点は優れた取り組みとして高く評価できる。また、多くの大学・医療機関との連携や地域住人を対象とした講演会・薬草見学会等の社会貢献にも努めている。本評価の結果を生かして、星薬科大学における薬学教育プログラムが今後、さらに充実することを期待したい。
大学への提言
星薬科大学 大学への提言1)長所
1. 5、6時年次に、アドバンスト・コースとして、問題解決能力の醸成に重きを置いた多くの独自科目を選択科目として設置していることは評価できる。(3.薬学教育カリキュラム 3-1教育課程の編成) 2. すべての実務家教員に対して実務研修を義務付ける規程が整備されており、実務家教員全員が、病院及び保険薬局で週1回程度の研修を継続しており、実務に関わる臨床体験を通じて、知識・技能等の向上に努めている。(5.教員組織・職員組織) 3. 電話、もしくはインターネットで 24時間、健康相談やメンタルヘルスのカウンセリング、法律に関する相談ができるようにしている。(6.学生の支援) 4. 学内における様々な悩みや相談を受け付ける最初の窓口として「学生支援窓口」を学生支援部に設置し、ヘルスケア、メンタルケア、生活、修学等の日常的な学生や指導教員からの相談について、適切な対応部署の紹介等を行っている。(6.学生の支援) 5. 「公益社団法人薬剤師認定制度認証機構(CPC)」により認証された生涯研修認定制度の実施機関として各種研修プログラムを実施しており、生涯学習を通じて自己研鑽に努める薬剤師を支援している。(8.社会連携・社会貢献) 6. 東京慈恵会医科大学、昭和大学及び上智大学と大学院連携がんチーム医療ワークショップを毎年開催しており、がん医療分野において活躍する人材の育成も行っている。(8.社会連携・社会貢献) 7. 薬用植物園は、年2回の薬草見学会の他にも随時見学を受け入れるなど、地域交流の場として貢献している。(8.社会連携・社会貢献) 8. 「留学生を囲む会」や留学生によるプレゼンテーションを開催するほか、学生の留学体験レポートをホームページ上の「国際交流」のページに「星薬生の体験レポート」として掲載するなど、国際交流を進めていることは評価できる。(8.社会連携・社貢献) 2)助言 1. 大学評価委員会のメンバーは全員が学内の教職員であるため、外部の有識者や6年制課程の卒業生が含まれることが望ましい。(2.内部質保証) 2. アドバンスト・コースの科目は、シラバス上では独自科目であることが不明確なので、シラバスに明記することが望ましい。(3.薬学教育カリキュラム 3-1教育課程の編成) 3. アセスメント・ポリシーは策定されたばかりなので、適切なものであるかを検証していくことが望まれる。(3.薬学教育カリキュラム 3-3学修成果の評価) 4. 一般選抜はマークシートで実施しており、調査書を評価に加えているものの、学力の3要素を適切に評価できているとはいいがたいので、それらを適切に評価できる選抜方法にすることが望ましい。(4.学生の受入れ) 5. 専任教員1名あたりの学生数は20.8名と 10名以内にはなっていないばかりでなく、第1期薬学教育評価時の18.5名から更に悪化しており、専任教員の増員が望まれる。 (5.教員組織・職員組織) 6. 教員(教授~講師)の週当たりの授業担当時間は、教授は約4.25~10.90時間、准教授は約4.20~10.07時間、講師は1.40〜10.72時間となっており、いずれの職位においても教員間の格差を是正することが望まれる。(5.教員組織・職員組織) 7. ほとんどの学生が健康診断を受診しているが、受診率が100%になるように、さらなる改善が望まれる。(6.学生の支援) 3)改善すべき点 1. カリキュラム・ポリシー(教育課程編成・実施の方針)には、教育課程における教育内容・方法、学修成果の評価の在り方等を具体的に設定する必要がある。(1.教育研究上の目的と三つの方針) 2. アドミッション・ポリシー(入学者受入方針)は、多様な学生をどのように評価・選抜するか等が具体的に設定されていないので、具体的に示す必要がある。(1.教育研究上の目的と三つの方針) 3. 自己点検・評価の評価項目には、教育研究上の目的や三つの方針に沿った項目など、星薬科大学独自の観点を評価に加えるように改善する必要がある。(2.内部質保証) 4. 単位を修得済みの科目を留年生に限定して再受講させ、前年度の成績を上回った場合のみに成績評価を上書きすることは、公正な成績評価とはいえないので、留年生に対する再受講に関する規定について改善する必要がある。(3.薬学教育カリキュラム3-2教育課程の実施) 5. 「DP対応ルーブリック」は、ディプロマ・ポリシーに掲げた各項目の到達目標を5段階で評価しているにすぎず、年次進行に伴った総合的な達成度を評価するためには、各ディプロマ・ポリシーの構成要素を細分化して評価できるようにするなど、より詳細なルーブリックを作成する必要がある。(3.薬学教育カリキュラム 3-3学修成果の評価) 6. 大学設置基準によって、大学全体の必要教員数は60名であり、教授数は原則として31名以上とすることが求められているが、教授数についてはその数を満たせていないので、改善する必要がある。(5.教員組織・職員組織) |
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| 北海道医療大学 | 私 | 北海道 | 第2期 |
2024年度 |
適 |
自己点検・評価書 基礎資料 正誤票 |
評価報告書
総評
北海道医療大学 総評 北海道医療大学薬学部薬学科は、「幅広く深い教養に基づく豊かな人間性と高度で正確な専門知識・技術を有し、保健・医療・福祉を中心とする多様な分野と連携・協調して行動し、地域社会や国際社会で活躍できる専門職業人の養成」を教育目的として、三つの方針を策定し、6年制薬学教育を実施している。
卒業認定・学位授与の方針(ディプロマ・ポリシー、以下DP)では、卒業までに身につけるべき「五つの資質」が設定されている。「五つの資質」を修得するために教育課程編成・実施の方針(カリキュラム・ポリシー、以下CP)が設定されており、その方針に沿って、薬学教育カリキュラムが構築されている。2024 年度より、「ディプロマ・ポリシー到達度可視化システム」が導入され、卒業判定の資料として試行的に利用されている。 学部教育の自己点検・評価に関するPDCAサイクルとしては、「薬学部点検・評価委員会」が中心となり、学部長、教授会、各種委員会が連携して評価、改善するシステムが構築されている。 教育課程は、DP並びにCPに基づき、教育プログラムが体系的かつ順次性をもって構築されている。カリキュラムの順次性についてはカリキュラムマップとして、DPの5項目と科目群との関係性についてはカリキュラムツリーとして提示されており、CPに基づいた教育がおおむね適正に行われている。学習環境としては適切に整備されている。特徴的な事項として、全学部の学生を対象とした「多職種連携入門」「全学地域包括ケア実践演習」のような学部横断型の科目を配置し、他学部の学生と共に多職種連携の基礎を学ぶことができることは評価できる。これら科目については、受講者数がさらに増加することが期待される。 学生からの意見収集に関しては、低学年においては学生担任が、4年次以降は指導教員があたっており、またSCP(Student Campus President:学生キャンパス副学長)制度が2008(平成20)年より設けられ、学生の意見を集約して学習環境向上等の改善に取り組んでいる。さらに、入学後の修学を支援するために、スクーリング事業をはじめ、入学前教育に力を入れている。 地域連携・社会貢献に関しては、地域包括ケアセンター(あいの里キャンパス)を開設し、研修及び公開講座、地域住民の健康増進、在宅医療の推進、多職種連携などが図られている。 しかしながら、内部質保証については、現段階では教育研究活動に対する質的・量的な解析に基づいた改善が組織的、自主的に行われているとはいえず、6年間の総合的な学修成果の評価についても、学生が身につけるべき資質・能力が、教育課程の進行に対応して評価されているとはいえない。また、前回の受審時に指摘された入試に関する事項への対応がなされていないことや、未だ国家試験合格率の向上に重きをおいた教育から脱却したとはいえないなどの課題もある。これらの点については、さらなる改善が求められる。 北海道医療大学薬学部は、地域密着型の実践的な薬剤師養成を行っている。一方で、改善が望まれるいくつかの点を助言として指摘した。これらの点について適切に対応することによって、6年制薬学教育プログラムをさらに充実させることが期待される。
大学への提言
北海道医療大学 大学への提言1)長所
1. 成績に関わらず、より専門的な内容の科目をアドバンスト科目として4年次と6年次に設定し、学生の「高度専門知識を学びたい」といった要望に対応していることは評価できる。(3.薬学教育カリキュラム 3-1教育課程の編成) 2. 学生が北海道医療大学附属の病院で診察を受けた場合、診療費の保険給付内の自己負担に関して、後援会による全額補助を行う制度が設けられていることは評価できる。(6.学生の支援) 3. 少人数で実施する参加型学習のSGD及びPBL教育に活用している教室(小ゼミ室及び中ゼミ室)が学生定員に対して十分に確保され、それらが自習スペースとしても利用でき、さらに学内の様々な所に自習できるスペースが整備されていることは評価できる。(7.施設・設備) 4. 地域包括ケアセンター(あいの里キャンパス)を開設し、さらに当別町をはじめとして近隣の滝川市などと包括連携協定を締結して、地域社会や関連機関などを対象とした研修及び公開講座の実施、地域住民の健康増進や交流促進、在宅医療の推進、多職種連携などを図っていっていることは評価できる。(8.社会連携・社会貢献) 2)助言 1. 教育研究上の目的などに反映させるために、学部として組織的に社会のニーズなどを把握する取り組みをすることが望まれる。(1.教育研究上の目的と三つの方針) 2. 問題発見・解決能力の醸成のための教育としては、主に学内で行われる実習と、「総合薬学研究」が充てられているが、他には用意されておらず、さらなる充実が望まれる。 (3.薬学教育カリキュラム 3-1教育課程の編成) 3. 進級率が高いとはいえない状況が続いていることから、入学生の学力確認、入学前教育や入学後の補充教育の充実、カリキュラムの見直しなど、さらなる努力が望まれる。 (3.薬学教育カリキュラム 3-2教育課程の実施) 4. 志望理由書・活動報告書の提出や面接の実施を行わない一般選抜と共通テスト利用選抜では、「主体性を持って多様な人々と協働して学ぶ態度」や「医療人を目指す者としての資質・能力」の評価が不十分であり、これらの評価方法の導入が望まれる。(4.学生の受入れ) 5. 前回の評価においても指摘されているが、高校での理科の履修については化学が必須ではなく、入学試験でも「化学」は理科科目の選択の一つであることは、低学年次の留年、退学を生む一因となっている可能性があるため、入試科目の見直しが望まれる。(4.学生の受入れ) 6. 教員1名あたりの学生数は15.5名となっており、薬学教育評価基準で求められている10名以内には達しておらず、さらなる充実が望まれる。(5.教員組織・職員組織) 7. 各教員の研究業績は薬学部のホームページを通して公表されているが、教育業績については教員の自己評価を通じて学部長のみが閲覧できる状態になっており、公表されてはいないので、適切な対応が望まれる。(5.教員組織・職員組織) 8. 「学生委員会」が実施している学生生活全般に関するアンケート調査について、薬学部では4年生以下の回収率が非常に悪く、全体的にも他学部と比べて低くなっている。また、年一回だけの調査であり、学生の意見を教育や学生生活に反映するための体制の整備としては不十分と思われる。アンケート調査の実施方法の改善や全学年の回答率を向上させる取り組みが望まれる。(6.学生の支援) 9. 健康診断の受診率は高いものの、医療人養成機関であることを鑑みると100%受診が望ましく、さらに学生通則第9条に「学生は、学校保健法により、毎年大学で実施する健康診断を受けなければならない」とされていることからも、受診率100%の達成が望まれる。(6.学生の支援) 10. 薬学部棟の冬期暖房設備の運転時間が平日17時までと制限され、また土日・祝日には稼働しないため、配属学生の研究活動に支障を来すことがないよう、特に平日の方は、さらなる充実が望まれる。(7.施設・設備) 3)改善すべき点 1. カリキュラム・ポリシーの新旧ともに6年間の学習についての展開の流れは見えるものの具体的な教育内容と方略との関係性についての記載は見当たらず、評価方法についても具体性に欠けているので改善が必要である。(1.教育研究上の目的と三つの方針) 2. 教育研究活動に対する質的・量的な解析に基づいた改善が組織的、自主的に行われているとはいえず、改善が必要である。(2.内部質保証) 3. 2016(平成28)年度に受審した薬学教育評価で指摘された改善すべき点・助言に対して、2021年の『「Ⅳ.大学への提言」に対する改善報告についての審議結果』で改善不十分と指摘された6項目及びさらなる改善を期待された2項目については、「教員の研究業績を点検・評価する体制の整備」を除いて、明確な対応が認められないため、改善が必要である。(2.内部質保証) 4. 留年生が前年度合格した科目の講義を再び履修して試験を受験し、前年度より高い評価を得た場合はその科目の最終評価とする再履修制度が設けられているのは、既修得科目の同時履修登録での成績の上書きを行うことになるので改善が必要である。(3.薬学教育カリキュラム 3-2教育課程の実施) 5. 卒業延期となった学生に対して、4~6月に開催される予備校講師(一部大学教員)による「特別講義」が実施されているのみであり、卒業判定も「薬学総合演習」の未修得科目再試験の結果のみで行われていることは、学部教育としては不十分であるといわざるを得ず、改善が必要である。(3.薬学教育カリキュラム 3-2教育課程の実施) 6. ディプロマ・ポリシー到達度可視化システムが導入されたが、現在は試行段階のため、学生が身につけるべき資質・能力が、教育課程の進行に対応して評価されているとはいえず、改善が必要である。(3.薬学教育カリキュラム 3-3学修成果の評価) 7. 学修成果の評価が実施されていないため、評価の結果を教育課程の編成及び実施の改善・向上に活用されているとはいえず、改善が必要である。(3.薬学教育カリキュラム 3-3学修成果の評価) 8. プレイスメントテストを含め、種々の状況把握は転学科を含めた学生個人に対する個別対応には役立っているものの、入学者受入れの改善・向上等に十分に活かされておらず、さらなる改革が必要である。(4.学生の受入れ) 9. 研究室への学生の配属は4年次4月に行われるものの、6年制開始後も薬学部棟の研究室スペースの増設などが行われておらず、4年生が研究室配属後に活用できる場所が限られているので改善が必要である。(7.施設・設備) |
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| 武庫川女子大学 | 私 | 兵庫県 | 第2期 |
2024年度 |
適 |
自己点検・評価書 基礎資料 正誤票 |
評価報告書
総評
武庫川女子大学 総評 武庫川女子大学は、教育目標に「常に真理を追い求める、優れた知性」、「感性豊かな、潤いのある心」、「人を思いやり、人のために尽くす精神」の三つを有して社会に貢献できる女性の育成をかかげ、これを基に薬学部薬学科は「薬剤師として高度な臨床能力と実践力を有し、医療人としての使命感を持ち、病院・薬局などの医療機関をはじめ、薬の専門家としてあらゆる場面で活躍できる有為な女性を養成すること」を教育研究上の目的として定め、「卒業認定・学位授与の方針」、「教育課程編成・実施の方針」、「入学者受入れの方針」を制定し、6年制薬学教育を行っている。評価項目の「学生の受入れ」、「施設・設備」、「社会連携・社会貢献」は基準に適合している。学生の受入れに関しては、2024 年度入学生から入学定員が大幅に削減され、入学定員充足率が改善した。また、講義形式の必修科目は講義ビデオとして収録され、学生の学習支援に活用されていること、また、クラス担任制度により学生と教員の緊密な連携がとられ、学習環境や学生生活が円滑に行われるよう十分に配慮されていることは、武庫川女
子大学薬学部の優れている点といえる。しかしながら、内部質保証体制に関して、薬学部自己評価委員会が十分に機能しているとはいい難い。第1期で改善すべき点として指摘された「総合的な目標達成度」に関する複数の事項は、3年後の改善報告でも改善されていない。さらに、それに関係する今回の評価項目「学修成果の評価」においても十分な検討がされていない。また、カリキュラムに関する指摘についても一部が改善されないまま、薬学教育モデル・コア・カリキュラム(令和4年度改訂版)に基づく新カリキュラムが 2024 年度から開始されている。「総合的な目標達成度」や「学修成果の評価」は、カリキュラムを設定するうえで重要な指標になるものであり、これらの意義を十分理解することは医療人の育成に資する薬学教育カリキュラムの構築に不可欠である。薬学部自己評価委員会は、薬学教育プログラム全体が適切に実施されているかを客観的に点検・評価する重要な組織であることを再認識する必要がある。 今後、改善された入学定員充足率を維持し、内部質保証体制を整えて自主的に薬学教育プログラムを自己点検・評価して、より質の高い教育をめざすことを期待する。
大学への提言
武庫川女子大学 大学への提言 1)長所
1. 低学年の多くの科目において習熟度別授業を行い、薬学専門科目の理解に必要な基礎学力を修得できるようにしていることは評価できる。(3.薬学教育カリキュラム3-1教育課程の編成) 2. 講義形式の必修科目は講義ビデオとして収録され、学生が自由にアクセスでき、復習ツールとして活用することができる学習支援が行われていることは評価できる。 (3.薬学教育カリキュラム 3-2教育課程の実施) 3. 実務家教員7名が臨床薬学教育センターに所属し、そのうち6名が毎週金曜日に臨床現場で研鑽しており、薬学科として積極的に常に新しい医療に対応することに取り組んでいることは評価できる。(5.教員組織・職員組織) 4. 複数の給付型奨学金制度など大学独自の奨学金制度を設け、経済的学生支援が充実していることは評価できる。(6.学生の支援) 5. ボランティア活動を奨励し、単位化制度の設置など自主性と社会性を涵養する環境を提供していることは評価できる。(6.学生の支援) 2)助言 1. ディプロマ・ポリシーは、「知識・理解」「技能・表現」「思考・判断/態度・志向性」からなる三つの属性と、九つからなる資質・能力に整合性がないものがあるので、改善することが望まれる。(1.教育研究上の目的と三つの方針) 2. カリキュラム・ポリシーに記載されている教育方法は、カリキュラム・ポリシー全体でまとめて設定されているので、カリキュラム・ポリシーに設定されている項目別に具体的に設定することが望まれる。(1.教育研究上の目的と三つの方針) 3. カリキュラム・ポリシーに記載されている学修成果の評価の在り方は、2科目を用いた総括的評価のみが記載されており不十分であるので、科目レベル及びプログラムレベルの学修成果の評価の在り方をそれぞれ具体的に設定することが望まれる。(1.教育研究上の目的と三つの方針) 4. 自己評価委員会のメンバーは、外部委員がいるものの大半が学部運営に関係している学部運営会議のメンバーによって構成されているので、学部運営会議メンバー以外の委員もさらに加えて、客観的な視点から自己点検・評価を行うことが望まれる。(2.内部質保証) 5. 学部の自己点検・評価に重要な役割を担う薬学部教務委員会や薬学部自己評価委員会では、委員会活動報告書を作成していないので、改善することが望まれる。(2.内部質保証) 6. アセスメントポリシー等で質的・量的な解析をすべき項目を明確にして、自己点検・評価を行うことが望まれる。(2.内部質保証) 7. 5年次「卒業研究Ⅱ」(2単位)は実務実習期間外に合計30コマ実施しているとのことであるが、実際は授業時間以外にも多くの時間が「卒業研究Ⅱ」にあてられているので、「卒業研究Ⅱ」の単位数を実態にあわせるように改善が望まれる。(3.薬学教育カリキュラム 3-1教育課程の編成) 8. 人の行動と心理に関する教育及び薬剤師としての使命感を身につけるための教育の到達目標を達成するためには、アクティブラーニングの時間数を増やすことが望まれる。(3.薬学教育カリキュラム 3-2教育課程の実施) 9. 卒業研究の配属決定に関して、累積GPA2.30 未満の学生の研究内容を調査研究に限定する指導は、国家試験の合格率の向上のためと考えられ、卒業研究の目的にひずみを与えかねないので、学生の希望により実験研究か調査研究を選択できるように改善することが望まれる。(3.薬学教育カリキュラム 3-2教育課程の実施) 10. 現在行われているパフォーマンス評価は卒業研究及び実務実習事前学習に対するものであり、基準で求めている学生の資質・能力の向上に資する学習・教授・評価方法の開発としては不十分な状況であるので、学生の資質・能力の向上に資する学習方法並びに教授方法についても開発していくことが望まれる。(3.薬学教育カリキュラム 3-2教育課程の実施) 11. 併設附属高校からの推薦入試、公募制推薦入試、指定校推薦入試及び MUKOJO 未来教育総合型選抜では学力の3要素が評価されているが、一般選抜及び大学入学共通テスト利用型入試では学科試験のみで「主体性を持って多様な人々と協働して学ぶ態度」や医療人を目指す者としての資質・能力が評価されていないので、適切に評価することが望まれる。(4.学生の受入れ) 12. 入学者の知識・技能についての検証は行われているが、思考力・判断力・表現力等の能力や主体性を持って多様な人々と協働して学ぶ態度については十分な検証は行われていないので、それらについても検証を行い、その結果に基づき、必要に応じて入学者受入れの改善・向上等をさらに図ることが望まれる。(4.学生の受入れ) 13. 原著論文が最近5年間においてない教員が2名いる。この点に関して第1期薬学教育評価でも指摘されており、全教員が教育・研究の業績をあげるように改善することが望まれる。 (5.教員組織・職員組織) 14. 1名の専任教員に対する学生数が極めて多いため、教育研究活動の向上を図るために教員数を増員することが望まれる。(5.教員組織・職員組織) 15. 研究費が十分ではなく、機器の更新などに影響がでているので、研究費を改善して教育研究活動の向上を図ることが望まれる。(5.教員組織・職員組織) 16. 健康診断の未受診者へのフォローアップ体制を整えてはいるものの、受診率が 100%にはなっていないので改善が望まれる。(6.学生の支援) 17. 薬学部キャンパスにおいて、火災などに対する防災避難訓練が実施されていないので、実施することが望まれる。(6.学生の支援) 18. 薬学部別館の実習室は2階以上に設置されているので、バリアフリー化を実現することが望まれる。(7.施設・設備) 19. 薬学部のオリジナルのホームページは日本語のみであるので、英語版を作成することが望まれる。(8.社会連携・社会貢献) 3)改善すべき点 1. 学則には依然として改善前の教育目的が掲載されているので、速やかに学則を変更することが必要である。また、大学ホームページの「大学情報の公表」にも、学則と同様に研究上の目的が入っていない教育目的が掲載されているので変更することが必要である。(1.教育研究上の目的と三つの方針) 2. カリキュラム・ポリシーは学年ごとのカリキュラムを主眼として設定されているため、ディプロマ・ポリシーに設定されている九つの資質・能力との整合性に欠けているので改善が必要である。(1.教育研究上の目的と三つの方針) 3. アドミッション・ポリシーには多様な学生をどのように評価・選抜するかについて記載がないので、記載することが必要である。(1.教育研究上の目的と三つの方針) 4. 三つの方針は薬学部運営会議等において検証されているが、各ポリシーには不備が見られるので、十分な検証を行うことが必要である。(1.教育研究上の目的と三つの方針) 5. 薬学教育プログラムを自己点検・評価するための基準がなく、自己点検・評価が十分に行われているとはいえないため、適切な「基準」を設定し、それに基づいて自己点検・評価することが必要である。(2.内部質保証) 6. ホームページで公開されている自己点検結果は、教育課程や学修成果に相当する内容のみであるので、薬学部の教育研究活動全体の自己点検・評価を定期的に実施し、その結果を公表する必要がある。(2.内部質保証) 7. 薬学部自己評価委員会は毎月開催され問題点を検討しているが、深い議論や基準に沿った点検の不足など、委員会が十分に機能していないため、責任をもって自己点検・評価を行える体制を整え、教育研究活動の改善を適切に行うことが必要である。(2.内部質保証) 8. コミュニケーション能力を醸成するための必修科目を設置して、薬剤師養成教育に必須であるコミュニケーション能力醸成のための教育をさらに充実させるよう改善する必要がある。(3.薬学教育カリキュラム 3-1教育課程の編成) 9. 6年次の必修科目は「総合演習Ⅱ」のみであるので、6年次において、実務実習での学修を深化させる科目や、卒業研究のような問題発見・問題解決能力の醸成のための科目などを必修科目または選択必修科目として配置するなどによって、カリキュラム・ポリシーに則ったカリキュラム編成にする必要がある。(3.薬学教育カリキュラム3-1教育課程の編成) 10. 2016(平成28)年度の第1期薬学教育評価において「総合演習Ⅱ」の科目単位数当たりの授業時間が、学則の規定に比べ極端に多いことが指摘されているが、改善が行われていないので、至急改善を行うことが必要である。また、4年次「総合演習Ⅰ」も同様の状態であるので改善する必要がある。(3.薬学教育カリキュラム 3-1教育課程の編成) 11. 4年次「総合演習Ⅰ」と6年次「総合演習Ⅱ」のシラバスの「授業計画」に1回ごとの授業内容が記載されていないので、記載する必要がある。(3.薬学教育カリキュラム3-1教育課程の編成) 12. 第1期薬学教育評価の指摘事項で未改善の課題を含めて、教育課程及びその内容、方法の適切性について検証し、その結果に基づき必要に応じて改善・向上を図ることが必要である。(3.薬学教育カリキュラム 3-1教育課程の編成) 13. 卒業研究の成績評価に用いられているルーブリック表は、最低基準でも合格になる配点になっているので、配点または尺度を変更する必要がある。(3.薬学教育カリキュラム 3-2教育課程の実施) 14. 「卒業研究Ⅱ」と「卒業研究Ⅲ」において、複数の学生がほぼ同一の卒業論文を提出しており、適切ではない。卒業研究を共同で実施していても、卒業論文は学生が個々に執筆し、それに基づいて成績評価を行わなければならないので、各学生が独立して卒業論文を執筆するように改善する必要がある。(3.薬学教育カリキュラム 3-2教育課程の実施) 15. 「臨床薬学基本実習Ⅰ」では出席点、「総合演習Ⅰ」と「総合演習Ⅱ」では「授業への積極的参加度」が評価基準に含まれており、「総合演習Ⅲ」では「演習への積極的取り組み」のような抽象的な表現が用いられている。また、「総合演習Ⅱ」の成績評価は、大学の履修規程で定められているS、A、B、Cの4段階ではないので、履修規程に則って成績評価を行うことが必要である。(3.薬学教育カリキュラム 3-2教育課程の実施) 16. 留年生が上級学年の科目履修によって単位取得できる制度は、履修上限科目数が定められておらず履修指導のみで実施されているので、上級学年の科目履修に関する事項を規定し薬学部履修要項に明記するように改善することが必要である。(3.薬学教育カリキュラム 3-2教育課程の実施) 17. 学修成果基盤型教育を実現するために重要である学修成果の評価について理解を深め、資質・能力の達成度を評価するための指標を設定し、教員による客観性が高い評価方法によって、学生が身につけるべき資質・能力を教育課程の進行に対応して評価することが必要である。(3.薬学教育カリキュラム 3-3学修成果の評価) 18. 教育課程の編成及び実施の改善・向上に関しては、授業アンケートや科目成績等の解析による教員の授業改善やDP1の「知識・理解」に関する学修達成度の改善にとどまっているので、ディプロマ・ポリシーに示されている資質・能力を達成できるカリキュラムへ改善できるように、学修成果の評価結果を教育課程の編成及び実施の改善・向上に活用することが必要である。(3.薬学教育カリキュラム 3-3学修成果の評価) 19. 薬学部生全員が入学時に、教育研究活動中に起きた事故に対して補償できる保険に加 入するよう改善することが必要である。(6.学生の支援) |
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| 近畿大学 | 私 | 大阪府 | 第2期 |
2023年度 |
適 |
自己点検・評価書 基礎資料 正誤票 |
評価報告書
総評
近畿大学 総評 近畿大学薬学部は、6年制の医療薬学科と4年制の創薬科学科を併設し、大学が掲げる「建学の精神」と「教育理念」、薬学部が掲げる「教育研究の理念」のもと、医療薬学科の「学習・教育目標」を「薬に関する高度な知識と臨床技能を備え、優れたコミュニケーション能力ならびに問題解決能力を備えた薬剤師として活躍できる人材を養成する」と定め、それに基づいた「ディプロマ・ポリシー(学位授与の方針)」、「カリキュラム・ポリシー(教育課程の編成方針)」、「アドミッション・ポリシー(入学者受入れの方針)」を制定し、6年制薬学教育を行っている。これらは、医療を取り巻く環境、薬剤師に対する社会のニーズを反映したものとなっている。内部質保証の起点となる自己点検・評価は、薬学部及び医療薬学科における教育研究活動について、大学の主導のもとで実施されているが、その結果は公表されていない。この自己点検・評価に対して他大学の教員による外部評価も行われ、その結果が薬学部の全教員で共有され、教育研究活動の改善の礎となっている。学修成果の評価については、「ディプロマ・ポリシー(学位授与の方針)」に掲げた資質・能力の項目ごとに、学生が各セメスターにおける目標設定と実行計画を立て、目標達成度を学生が自己評価して教員が形成的に評価する「学習ポートフォリオ」を作成し、運用している。この「学習ポートフォリオ」では、ルーブリック表を用いて、「ディプロマ・ポリシー(学位授与の方針)」に掲げた資質・能力の達成度を、学生と教員がそれぞれ評価し、結果を共有している。この評価結果を含め、アセスメント・ポリシーに示された評価指標についての質的・量的な解析は十分には行われてはいない。それらの解析を行い、その結果に基づき、近畿大学薬学部医療薬学科における薬学教育プログラムを今後、さらに充実させることを期待する。
大学への提言
近畿大学 大学への提言1)長所
1. 近畿大学は在外研究制度を設け、専任教員に対して渡航・滞在費等を援助しており、評価できる。(5.教員組織・職員組織) 2. 発表論文件数に応じた追加研究費が配分され、競争的外部資金の獲得に応じて奨励研究費を支給していることは評価できる。(5.教員組織・職員組織) 3. 近畿大学薬学部は、同大学医学部、大阪公立大学医学部、関西医科大学と連携し、大阪府医師会、大阪府薬剤師会、大阪府病院薬剤師会、大阪府看護協会、大阪府薬務課の協力を得て、「NPO法人近畿がん診療推進ネットワーク」を立ち上げ、大阪のがん医療の均てん化や水準向上に貢献しており、評価できる。(8.社会連携・社会貢献) 2)助言 1. アセスメント・ポリシーには、教育課程をアセスメントするための評価指標が記載されているが、その指標の一つとなる、個々の学生の学修成果の達成度を学生自身がどのように確認するか、については記載が明確ではないので、学生に対してわかりやすく伝わるように表記し、カリキュラム・ポリシーに記載することが望ましい。(1.教育研究上の目的と三つの方針) 2. カリキュラム・ポリシーに記載されている学習方法や評価方法は、学習の質を重視し、学生のパフォーマンスと整合する学習・教授方法及び、成績評価の方法を設定してカリキュラム・ポリシーに記載しているというには具体的ではないので学ぶべき資質・能力が身につく適切な学習・教授方法及び、評価方法を適切に設定してカリキュラム・ポリシーに記載することが望ましい。(1.教育研究上の目的と三つの方針) 3. 薬学において重要と考えられる「生化学」や「微生物学」、「免疫学」等が「選択必修科目」となっている。これらの科目は履修指導によって全員が履修しているが、履修しない学生や合格しないまま卒業する学生が出てくる可能性があることから、薬学において重要と考えられる科目群は「必修科目」として開講することが望ましい。(3.薬学教育カリキュラム 3-1教育課程の編成) 4. 教員による評価については、客観性や信頼性が十分に担保されていないので、教員間で評価基準を一致させるような努力が望まれる。(3.薬学教育カリキュラム 3-3学修成果の評価) 5. 学修成果の評価結果の解析に基づき、教育課程の編成及び実施の改善・向上をさらに推し進めることが望まれる。(3.薬学教育カリキュラム 3-3学修成果の評価) 6. 「推薦入試」では学力の3要素の一つである「主体性を持って多様な人々と協働して学ぶ態度」や医療人を目指す者としての資質・能力について面接試験を通して評価しているが、「一般入試」ではその評価が十分に行われていないので、適切に評価することが望まれる。(4.学生の受入れ) 7. 入学者の資質・能力について十分に検証されていないので、検証を行い、その結果に基づき、必要に応じて入学者受入れの改善・向上等を図ることが望まれる。(4.学生の受入れ) 8. 女性教員の割合は多くはなく、今後、女性教員の割合を増やすように努めることが望まれる。(5.教員組織・職員組織) 9. 1名の専任教員に対して学生数は20名を超えることから、10名以内になるようにすることが望まれる。(5.教員組織・職員組織) 10. 2・3年生の健康診断受診率が低い傾向にあり、改善が望まれる。(6.学生の支援) 3)改善すべき点 1. アドミッション・ポリシーには、どのような学生を求めるのかについて記載されているが、複数の選抜試験によって多様な学生をどのように評価・選抜するか等については具体的な記載がないので、アドミッション・ポリシーに記載する必要がある。(1.教育研究上の目的と三つの方針) 2. 医療薬学科の「学習・教育目標」や三つの方針を定期的に検証するための指標や計画を立て、明文化し、検証する必要がある。(1.教育研究上の目的と三つの方針) 3. 「近畿大学自己点検・評価委員会」が行っている「全学自己点検評価資料」に記載された、薬学部医療薬学科の教育内容に関する自己点検・評価の結果は公開されていないので、これらをホームページ等で公開する必要がある。(2.内部質保証) 4. 4年次の「総合演習Ⅰ」では、外部試験を利用して成績を評価しているので、授業を担当した学内教員による試験に変更するように、改善する必要がある。(3.薬学教育カリキュラム 3-2教育課程の実施) |
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| 昭和薬科大学 | 私 | 東京都 | 第2期 |
2023年度 |
適 |
自己点検・評価書 基礎資料 正誤票 |
評価報告書
総評
昭和薬科大学 総評 昭和薬科大学は大学の理念「薬を通して人類に貢献」をもとに、学則第1条に「大学の目的と使命」を「本大学は、教育基本法及び学校教育法に基づき、広く知識を授け、人格の陶冶に努め、深く薬学に関する学理と技術とを教授研究して、社会有為の薬剤師及び薬学研究者を育成することを目的とし、薬学の進展、文化の興隆、人類の福祉に寄与することを使命とする。」と定め、それに基づいた「学位授与の方針(ディプロマ・ポリシー)」、「教育課程の編成及び実施に関する方針(カリキュラム・ポリシー)」、「入学者受入れの方針(アドミッション・ポリシー)」を制定し、6年制薬学教育を行っている。教育課程は、10種類の系で編成され、体系性と科目の順次性は、カリキュラム・ツリーとして明示し、学修成果の評価の在り方は学生便覧ならびにシラバスに記載している。昭和薬科大学では、教員の教育・研究レベルの維持向上に努めており、実務家教員に対する資質維持研修制度を設ける他、大学の次世代を担う教員の育成を視野に入れた支援制度を整えている。一方、学生に対しては、ラーニング・サポート・ステーションの設置、上級生によるピアサポーター制度により、生活や学習を支援している。また、地域の課題解決に貢献するため、様々な取り組みを行っている。しかしながら、薬学教育第三者評価の重要な項目である「教育課程の編成」において、重大な問題があると評価せざるを得ない。すなわち、卒業研究は3コース制を取り、実験または調査等の課題研究を行うことで問題発見・問題解決能力の醸成を図っているが、卒業研究に相当する科目の履修単位数は、コース間で大きく異なっているため公平・公正な履修ができず、一部の学生において問題発見・解決能力の醸成のための教育が著しく不足することが懸念される。また、学生の意思が反映されない卒業研究コースの選択方法は不適切であり、低学年の実習科目の到達目標設定と成績評価に不備がある、と言った問題がある。さらに、カリキュラム全体において、時間割のコマ数と単位数が整合していない科目がある、必修科目が同一の時間に実施されている、学修成果の評価結果が教育プログラムの改善につながっていない、6年次後期に外部講師による補講が時間割の多くを占め、薬剤師国家試験の合格率の向上を主眼とした教育が実施されているなど、重大な問題点が認められる。したがって、これらの問題点について改善し、ディプロマ・ポリシーに沿った人材が輩出できるカリキュラムとすることが求められ、所定の期間内に十分な改善が認
められない場合、本認定はその効力を失うこととしている。昭和薬科大学においては、今後指摘した問題点の改善に取り組み、「大学の目的と使命」に掲げる優秀な薬学人材の育成に向けて、薬学教育プログラムの充実を図られることを期待する。
大学への提言
昭和薬科大学 大学への提言 1)長所
1. 一部の重要な委員会には学外委員あるいは外部評価委員を招いて意見を聴き、教育研究活動の改善・向上につなげていることは評価できる。(2.内部質保証) 2. 昭和薬科大学では、大学の次世代を担う教員の育成を視野に、若手研究助成、教育改革助成、科研費調書閲覧サービス等を実施し、手厚い支援を行っている。(5.教員組織・職員組織) 3. 2~5年次学生によるピアサポーター制度では、ピアサポーターが、困った学生からの相談や、留年生サポート活動、オープンキャンパス支援、学食・売店運営やボランティア活動など多岐に対応しており、学生同士で大学生活や学習を相互に支援する良い取り組みである。 (6.学生の支援) 4. 地域連携センターを設置し、町田薬剤師会や町田市など、地域と連携して、市民や住民に対して大学が持つ学術的なものを提供することで貢献している。(8.社会連携・社会貢献) 2)助言 1. 大学独自の教育の展開をも含めて具体的な教育目標を掲げることが望ましい。(1.教育研究上の目的と三つの方針) 2. 質的・量的解析のために収集・蓄積されたデータは、各委員会単位で解析・報告されるに留まっているので、改善目標や具体的な改善策を明文化し、自己点検・評価委員会が次年度の各種委員活動の改善目標、到達目標の達成度を検証することが望まれる。(2.内部質保証) 3. 授業改善計画の策定にあたっては、学生のコメントだけではなく、成績分布などのデータ分析を通じて授業内容の精査・見直しを行うことが望まれる。(2.内部質保証) 4. ディプロマポリシー・ルーブリックを用いた学生自身による学修成果の評価は主観的なものにすぎず、教育の内部質保証のためには、教員による客観的な評価、さらには他の方法との組み合わせによる総合的な評価を実施し、自己点検・評価を通じて教育プログラムの改善につなげることが望まれる。(2.内部質保証) 5. 10種の系の科目とディプロマ・ポリシー、カリキュラム・ポリシーの関係については、学生便覧等に記載されていないので明示されることが望まれる。(3.薬学教育カリキュラム 3-1教育課程の編成) 6. 「アドバンスト実務実習」の履修者が毎年1~2名であるので、履修者を増やすことが望まれる。(3.薬学教育カリキュラム 3-1教育課程の編成) 7. 学生によって履修しなければならない卒業研究関連科目の単位数が大きく異なり、またコースによって到達すべき一般目標が異なるにも関わらず、全てのコースで同一の発表形式、ルーブリック表等で成績を評価しているのは適切とは言えず、改善が望まれる。(3.薬学教育カリキュラム 3-1教育課程の編成) 8. シラバスには各科目の評価方法に対する得点の配分は記載されているものの、評価の観点や基準が明確に記載されているものはほとんどなく、また、ヒューマニズム・コミュニケーション教育ではSGDへの参加や課題レポートをどのような観点や基準で評価するのかが示されておらず、学生による自己評価や教員による評価を適切に行えないことが懸念されるので、これらの情報を追加することが望ましい。(3.薬学教育カリキュラム 3-2教育課程の実施) 9. 定期試験及び成績評価に必要な出席要件の規定を見直し、周知することが望ましい。(3.薬学教育カリキュラム 3-2教育課程の実施) 10. 学生が自己評価した段階の学年ごとの平均値は、最も高いものでも、4段階中の3段階まで至っていないことから、ディプロマポリシー・ルーブリックの基準の適切性について検討を続けることが望まれる。(3.薬学教育カリキュラム 3-3学修成果の評価) 11. ディプロマポリシー・ルーブリックによる学生の学修自己達成度評価は、学生自身による主観的な評価に留まっており、教員による評価については現状では対応がなされていないので、教員による客観的な学修成果の評価を行うことが望まれる。(3.薬学教育カリキュラム 3-3学修成果の評価) 12. アセスメント・ポリシーについては、学内で策定のための議論を進めているが、現時点では策定されていないので、策定することが望まれる。(3.薬学教育カリキュラム 3-3学修成果の評価) 13. 現行の学力試験と出願書類を活用した人物評価では学力の3要素を多面的・総合的に評価しているとは言えない。さらに、「自己点検・評価書」に示された4つの一般入試方法とアドミッション・ポリシーに掲げた求める人物像との関係には根拠が認められない。したがって、学力の3要素を多面的・総合的に評価できるように、アドミッション・ポリシー及び入学試験制度を改善することが望ましい。(4.学生の受入れ) 14. 専任教員1名あたりの学生数が約19名と多いので、適正な教員数を確保することが望ましい。(5.教員組織・職員組織) 15. 大学ホームページ上の教員一覧から各教員の教育研究業績が閲覧できるが、全教員が最新のデータを入力していない場合があるので、定期的に整備することが望ましい。(5.教員組織・職員組織) 16. 南カリフォルニア大学薬学部との学術交流協定は令和2(2020)年12月に失効したままで、学生の海外研修先が決まっていない状況となっているので、薬学生の海外研修プログラムを検討することが望まれる。(8.社会連携・社会貢献) 17. 長期国外出張の制度はあるものの、利用する教員が少ないので、長期国外出張が活発化することが望まれる。(8.社会連携・社会貢献) 3)改善すべき点 1. 「教育研究上の目的」(「教育の目的」)は、一般的な社会のニーズをまとめた記述に留まっているので、大学又は学部の理念及び薬剤師養成教育として果たすべき使命を踏まえ、医療を取り巻く環境、薬剤師に対する社会のニーズを反映したものに改善する必要がある。また、「教育の目的」は、三つの方針と共に、適切なものとなるよう、定期的に検証するように改善する必要がある。(1.教育研究上の目的と三つの方針) 2. カリキュラム・ポリシーとして、ディプロマ・ポリシーとカリキュラム・ポリシーとの間での対応が不明瞭であり、本来示されるべき、教育課程編成、教育内容・方法、学修成果の評価の在り方等が具体的に設定されていないので、さらなる改善が必要である。(1.教育研究上の目的と三つの方針) 3. アドミッション・ポリシーとして、多様な学生をどのように評価・選抜するかについて具体的に設定されているとは言えないので、改善が必要である。(1.教育研究上の目的と三つの方針) 4. 常設委員会や常設運営委員会等の自己点検・評価の結果に基づいて改善計画の立案までは行われるものの、改善計画の実行は教員個人あるいは委員会任せになっている。 したがって、自己点検・評価結果等に基づいた教育研究活動の改善が適切に行われて いるとは言えないので、大学運営会議ならびに自己点検・評価委員会の役割を再点検 し、教育研究活動の改善に向けて適正に運営するよう改善することが必要である。(2.内部質保証) 5. シラバスを科目ごとに精査すると、授業形式や、講義回数と講義内容、評価方法の記載等に問題点が認められるので、学生が理解しやすいように、シラバスの構成や内容、及び表記の方法を見直すとともに、各科目間で統一することが必要である。(3.薬学教育カリキュラム 3-1教育課程の編成) 6. 実習科目において、問題発見・解決能力の醸成に係る到達目標を明確に設定し、また実習に適した成績評価法を用いること、評価基準を明確にすることなどの改善が必要である。(3.薬学教育カリキュラム 3-1教育課程の編成) 7. 4~6年次の期間で、卒業研究に相当する科目の履修単位数は、最高で 15 単位(総合薬学コース1)、最低で4単位(臨床薬学コース・情報薬学コース)と約4倍の差がある。このような状況は、一部の学生において、問題発見・解決能力の醸成のための教育が著しく不足している。全コースの学生について、問題発見・解決能力の醸成のための教育が十分に実施できるように、卒業研究に相当する科目の実施期間ならびに単位数を適切に設定する必要がある。(3.薬学教育カリキュラム 3-1教育課 程の編成) 8. 時間割のコマ数と単位数が整合していないことや、2つの必修科目が同一の時間に実施されていることはカリキュラムの不備であり、単位の取得に支障が生じることが懸念されるので、必要な履修時間数を単位数に応じて適切に設定し、それを正確に時間割やシラバスなどに反映させるよう、早急な改善が必要である。(3.薬学教育カリキュラム 3-1教育課程の編成) 9. 必修科目の成績判定基準では60点以上を合格点としているが、本科目に合格しているにもかかわらず70点未満の場合に学生の意向とは別に座学中心のコースを選択させることは、卒業研究コースの選択方法として不適切であるので、学生の意思によってコースを選択できるよう改善することが必要である。(3.薬学教育カリキュラム 3-1教育課程の編成) 10. 全ての学生に対し、薬学分野における問題解決能力の醸成にとって適正な課題を設定して卒業研究が実施されるよう改善が必要である。(3.薬学教育カリキュラム 3-1教育課程の編成) 11. 6年次後期の授業科目は薬剤師国家試験の合格率の向上を主眼とした編成になっていると判断されるので、外部講師による国家試験対策と考えられる補講の時間数や実施時期について見直し、大学のディプロマ・ポリシーに沿った人材が輩出できるようにカリキュラムを改善する必要がある。(3.薬学教育カリキュラム 3-1教育課程の編成) 12. 単位を取得した科目(既修得科目)の成績の上書きについては、公正な成績評価とは言えない。留年生に対する再受講の規程について改善する必要がある。(3.薬学教育カリキュラム 3-2教育課程の実施) 13. 6年次留年生に対する「最終総合演習」の講義内容及び成績評価基準を、6年次後期の「最終総合演習」と同一にすることが必要である。(3.薬学教育カリキュラム3-2教育課程の実施) 14. 総括的な達成度評価を行うための具体的な方針を引き続き検討し、教育課程の編成及び実施の改善・向上につなげ、教育プログラムを改善することが必要である。(3.薬学教育カリキュラム 3-3学修成果の評価) |
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| 摂南大学 | 私 | 大阪府 | 第2期 |
2023年度 |
適 |
自己点検・評価書 基礎資料 正誤票 |
評価報告書
総評
摂南大学 総評 摂南大学薬学部は、「高い倫理観、心豊かな人間性、実践的能力を備え、わが国の医療の進化、健康・福祉の増進、生活環境の保全に貢献する薬剤師を養成する。」を教育研究上の目的として、三つの方針が策定され、6年制薬学教育を実践している。卒業認定・学位授与の方針(ディプロマ・ポリシー)では、卒業までに身につけるべき「8つの資質」を設定している。教育課程編成・実施の方針(カリキュラム・ポリシー)は、「8つの資質」を修得するために設定された「32 の能力」を修得できるように段階的にパフォーマンスレベルが向上する構成になっている。カリキュラム・ツリー及び科目ごとの修得レベルである「卒業目標マトリックス」により、修得状況が可視化できるように工夫している点は評価できる。また、学修成果の評価の方針(アセスメント・ポリシー)に基づき策定したアセスメントプランによりディプロマ・ポリシーへの到達度や学修成果の評価及び検証を行っている。アセスメント・ツリーは、学年進行に従った評価手法・評価項目と卒業までに学生が身につけるべき「8つの資質」との関係が一目でわかる優れたものとなっている。入学者の受入れに関する方針は、ディプロマ・ポリシーとカリキュラム・ポリシーを踏まえて求める学生の資質を具体的に設定している。とりわけ、低学年から多くの科目でSGD(Small Group Discussion)やTBL(TeamBased Learning)をとり入れている点、看護学部と合同の演習科目や看護学部、農学部と合同のセミナーを開講している点、さらには、演習科目において学生間で評価させるピア評価を行っている点は特色ある取り組みとして評価できる。また、教職員の海外研修において学校法人常翔学園(以下、学園)が渡航費の全額と滞在費の一部を補助する制度を有している点や、臨床系、基礎系を問わず教員が希望すれば臨床現場で薬剤師業務を行うこ
とのできる体制を整備している点も優れた取り組みと言える。一方で、改善が望まれるいくつかの点を助言として指摘した。これらの点について適切に対応することによって、摂南大学薬学部の6年制薬学教育プログラムをさらに充実させることができるものと期待される。
大学への提言
摂南大学 大学への提言1)長所
1. アセスメント・ツリーは、学年進行に従った評価手法・評価項目と卒業までに学生が身につけるべき「8つの資質」との関係が一目でわかる優れたものとなっている。(1.教育研究上の目的と三つの方針) 2. 低学年次から多くの科目でSGDやTBLをとり入れるとともに、看護学部と合同の演習科目(「薬剤師になるために」、「患者安全」、「患者コミュニケーション」等)や看護学部及び農学部と合同の「学修キックオフセミナー」を開講している。(3.薬学教育カリキュラム 3-1教育課程の編成) 3. 実習・演習科目では、学生間でお互いに評価させるピア評価やルーブリック評価表を用いたパフォーマンス評価が行われている。(3.薬学教育カリキュラム 3-2教育課程の実施) 4. 教職員の海外研修制度を有しており、最長で1年間の長期海外出張ができ、学園が渡航費の全額及び滞在費の一部を補助している。(5.教員組織・職員組織) 5. 研究室・分野ごとに前々年度の論文発表件数をポイント化し、「研究発表奨励金」として研究費を増額している。(5.教員組織・職員組織) 6. 専任教員が常に新しい医療に対応するために研鑽するための取り組みとして、実務経験を有する専任教員に限らず、すべての教員が臨床で研鑽できる体制を構築し、専任教員の勤務時間中の職場離脱を稟議手続きにより柔軟に認めている。(5.教員組織・職員組織) 7. 通常の学生生活でのメンタルケアに対応する学生相談室の他に、5年次の薬学臨床実習時のメンタルケアのための窓口「実務実習学生こころの支援」を開設するとともに、「実務実習こころの支援ガイドライン」を制定している。(6.学生の支援) 8. 独自の教育プログラム「キャリア形成」コースを設け、1~6年次まで全学年を通じて科目を開講し、受講学生は、「学修キックオフセミナー」でのファシリテーター、基礎実習におけるアシスタント、薬用植物園の一般公開における地域住民への対応などを行っている。(6.学生の支援) 9. 近隣の15施設の医療機関と「教育・研究の連携と協力に関する協定」を締結し、現場で活躍している医師、薬剤師、看護師等の医療関係者との連携・交流を図っている。 (8.社会連携・社会貢献) 10. 関西医科大学及び大阪歯科大学と「医歯薬に関する学術・研究の連携と協力に関する協定」を締結し共同研究を進めている。(8.社会連携・社会貢献) 2)助言 1. 自己点検・評価に係る委員会活動を適切かつ継続的に実施するために、委員会の設置目的、メンバー構成、所掌事項等を記載した規約(あるいは内規)を制定し、明示することが望まれる。(2.内部質保証) 2. 卒業研究に従事すべき時間数を充足していないにもかかわらず、卒業研究の単位が認定されている例が数件ではあるが確認されたので、より厳密なチェックを行うことが望まれる。(3.薬学教育カリキュラム 3-2教育課程の実施) 3. 6年次後期の「総合薬学演習」では、本試験受験資格の記載内容が、シラバスと別途配付のガイドラインで異なっているので統一することが望まれる。(3.薬学教育カリキュラム 3-2教育課程の実施) 4. 学修成果の測定結果とディプロマ・ポリシー到達確認用ルーブリックによる自己評価との相関について検証を重ね、教育課程の編成及び実施の改善や向上に活用していくことが望まれる。(3.薬学教育カリキュラム 3-3学修成果の評価) 5. 「医療人の資質」と「主体性を持って多様な人々と協働して学ぶ態度」を測定する方法として、すべての入試区分で面接試験を導入する方向で検討を開始しているが、実施時期は未定であるので、早期の実現が望まれる。(4.学生の受入れ) 6. 専任教員1名あたりの学生数が21.5名となっているので、10名以内にすることが望まれる。(5.教員組織・職員組織) 7. 健康診断は、毎年4月に全学生を対象に実施しているが、受診率は高いものの100%にはなっていないので改善が望まれる。(6.学生の支援) 8. 海外からの留学生や研究員を積極的に受け入れる体制を整備し、国際交流のさらなる活性化に努めることが望まれる。(8.社会連携・社会貢献) |
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| 崇城大学 | 私 | 熊本県 | 第2期 |
2023年度 |
適 |
自己点検・評価書 基礎資料 正誤票 |
評価報告書
総評
崇城大学 総評 崇城大学薬学部薬学科では、教育研究上の目的に基づいて三つの方針が策定されている。ディプロマ・ポリシーでは、卒業までに学生が身につけるべき資質・能力として4項目が設定され、項目ごとに学習アウトカムも設定されている。ディプロマ・ポリシーの到達度の総合的評価については、各ディプロマ・ポリシーを5つの観点に分類し、各授業科目の質的・量的な評価結果をレーダーチャートとして可視化している。こういった学生の成長度の視覚的かつ客観的な評価が個々の学生の指導に役立つことを期待する。毎年度、卒業生も加わった評価委員会を開催し、独自の自己点検・評価を組織的かつ計画的に実施していることは評価できる。学生の自律学修の支援のために薬学 Self-AccessLearning Center が組織され、上級生から下級生への学習指導、学習アプリの利用法に関するセミナーなどの活動を行っている。また、学生が脱落することなくディプロマ・ポリシーを達成できるように、低年次生へのきめ細かな学修支援も行われている。教員組織に関しては、全教員が「教育研究等計画調書」に基づいて教育と研究を行い、その実績を自己評価して「実績調書」を作成している。また、熊本県の薬剤師会や病院薬剤師会などとの密接な連携を図り、医療・薬学の発展、薬剤師の資質・能力の向上、及び地域の保健衛生の保持・向上に貢献している。これらの点は、優れた取り組みとして評価できる。しかしながら、カリキュラム・ポリシーについては、ディプロマ・ポリシーとの一貫性・整合性があるとは言えず、また、教育課程全般の教育内容や方法、具体的な学修成果の評価の在り方が記載されておらず、学修成果の評価結果を教育課程の編成、実施方法の改善・向上に活用する体制も整っていない。アドミッション・ポリシーについては、多様な学生の受入れが示されているが、学生を評価・選抜する方法が記載されていない。現在進められている三つの方針の改訂においては、これらの点について十分検証し、改善を図る必要がある。シラバスに関しては、必要事項の不記載や誤った記載のある科目が多く、また、科目の再試験について、制度上、評価に不公平が生じる懸念がある。これらについては、早急な改善が求められる。崇城大学薬学部は、内部質保証の体制は整っているものの、十分に機能しているとは言い難い。今後は、本評価の指摘事項を内部質保証に反映し、三つの方針の適切な設定と、これに基づいた薬学教育プログラムの改善とさらなる向上に努めることを期待する。
大学への提言
崇城大学 大学への提言 1)長所
1. 崇城大学薬学部では、毎年度、外部委員が参加した薬学部評価委員会を定期的に開催しており、独自の自己点検・評価を組織的かつ計画的に実施していることは評価できる。(2.内部質保証) 2. 数理基礎教育科目の1年次前期での開講、専門科目の開講年次の変更、復習講義や補講による基礎学力向上の支援、学生支援教員の配置など、きめ細かな低年次の学生の支援は、学生が脱落することなくディプロマ・ポリシーを達成することに役立つ取り組みであり、評価できる。(2.内部質保証) 3. 学生の自律学修を支援するために、薬学SALCでは、週1回の定期的な上級生から下級生への学習指導の他、学習アプリ利用法に関するセミナーの開催、薬剤師国家試験を終えたばかりの学生から勉強法などについて話を聞く機会の設定などの活動が行われており、評価できる。(3.薬学教育カリキュラム 3-2教育課程の実施) 4. 教育と研究に関する目標を記した「教育研究等計画調書」を各教員が作成し、それに基づいて教育と研究を行った後、実績を自己評価して「実績調書」を作成しており、評価できる。(5.教員組織・職員組織) 5. 兼業願いの提出により、薬剤師としての実務の経験を有する専任教員が医療現場で研修を行うことができる。また、専任教員が薬剤師として医療現場で研修を行う体制も整備されており、評価できる。(5.教員組織・職員組織) 6. 熊本県の薬剤師会や病院薬剤師会など、関連団体と密接な連携を図り、医療・薬学の発展、薬剤師の資質・能力の向上、及び地域における保健衛生の保持・向上に対して多方面から貢献しており、評価できる。(8.社会連携・社会貢献) 2)助言 1. ホームページに掲載の「教育研究上の目的」を学則の表現と揃えることが望まれる。(1.教育研究上の目的と三つの方針) 2. 現在の「教育研究上の目的」には、ディプロマ・ポリシーの「態度・志向性」に関する項目に該当する表現が含まれていない。この項目を含むものに改訂することが望まれる。(1.教育研究上の目的と三つの方針) 3. 4項目のディプロマ・ポリシー(DP)を5つの観点に分類して各授業科目の質的・量的な評価を行っているが、学習アウトカムやカリキュラムフローにおいてDP2に位置付けされている薬学専門基礎科目の大部分が、DP1にも割り付けられるなど、5つの観点と4項目のディプロマ・ポリシーとの割り付けが適切とはいえないので、互いに整合性を持ったものにすることが望まれる。(2.内部質保証) 4. 1~3年次には大学独自の医療薬学関連科目が配置されていないので、低年次の学生も大学独自の教育を受講できる体制を構築・整備することが望まれる。(3.薬学教育カリキュラム 3-1教育課程の編成) 5. 5・6年次には多くの選択必修科目が開講されているが、これらの選択必修科目は1単位修得すればよく、実際には、配属研究室の科目のみの履修となっている。大学独自の教育を広く学生に展開するためには、関連する複数科目の履修を前提としたカリキュラム編成にすることが望まれる。(3.薬学教育カリキュラム 3-1教育課程の編成) 6. 問題発見・問題解決能力の醸成に向けた教育においては、目標達成度はルーブリック形式の指標で評価されている。しかし、ルーブリック形式が共通のものとはなっていないため、共通化を図るよう努めることが望まれる。(3.薬学教育カリキュラム 3-1教育課程の編成) 7. 教育課程及びその内容や方法の適切性に関する検証については、教務委員会あるいはカリキュラム検討会議で行われているが、未だその結果に基づいた改善・向上には至っていないので、継続的な取り組みが望まれる。(3.薬学教育カリキュラム 3-1教育課程の編成) 8. 一部の科目においては、シラバス記載の点数配分とは異なる配分での評価、授業計画とは異なる授業が行われており、より正確なシラバスとすることが望まれる。(3.薬学教育カリキュラム 3-2教育課程の実施) 9. 学修成果の到達度を総合的に評価する方法は、2021年度に適用が開始されたものである。将来的に学生の年次ごとの成長度を視覚的かつ客観的に評価し、学生個々に応じた指導に役立てると共に、評価と指導の学修成果の到達度に対する効果について検証することが望まれる。(3.薬学教育カリキュラム 3-3学修成果の評価) 10. 学生が身につけるべき資質・能力の到達度を総合的に評価する指標や評価方法の検証が、現時点では、十分に行われているとはいえない。したがって、それらの検証を適切な時期に行い、その検証結果に基づいて評価指標や評価方法を見直し、多面的評価を実施することが望まれる。(3.薬学教育カリキュラム 3-3学修成果の評価) 11. 推薦選抜の入試制度を除き、学力の3要素の1つである「主体性を持って多様な人々と協働して学ぶ態度」の評価が不十分である。加えて、アドミッション・ポリシーに示された資質を満たす人材を選抜するために、より適切な入試制度への改善が望まれる。(4.学生の受入れ) 12. 面接のない入試制度においても「医療人を目指す者としての資質と能力」を評価できるように改善することが望まれる。(4.学生の受入れ) 13. 入学者の資質・能力の解析結果が、入学者受入れの改善・向上につながるように、継続的な検証が望まれる。(4.学生の受入れ) 14. 入学者数が定員数の1.1倍を超える年度が多いので、合否判定を見直し、適正な入学定員となるように改善することが望まれる。(4.学生の受入れ) 15. 教授、准教授・講師と比較して助教の割合が少ないので、教育研究上の目的に沿った教育研究活動の継続の観点からも、助教の割合を増やすことが望まれる。(5.教員組 織・職員組織) 16. 専任教員一人当たりの学生数が20.6名となっているので、専任教員一人当たりの学生数を10名以内にすることが望まれる。(5.教員組織・職員組織) 17. ほとんどの学生が健康診断を受診しているが、受診率が100%になるように、さらなる改善が望まれる。(6.学生の支援) 3)改善すべき点 1. カリキュラム・ポリシーが、ディプロマ・ポリシーとして設定されている4項目と一貫性・整合性がある表現になっていないので、一貫性・整合性のあるものに改訂する必要がある。(1.教育研究上の目的と三つの方針) 2. カリキュラム・ポリシーにおいては、学習の質を重視した評価方法を設定し、教育課程全般の教育内容や方法と共に、カリキュラム・ポリシーの各項目に記載する必要がある。(1.教育研究上の目的と三つの方針) 3. ディプロマ・ポリシーに示した学生が身につけるべき資質・能力に関する学修成果の評価の在り方について、具体的に記載する必要がある。(1.教育研究上の目的と三 つの方針) 4. アドミッション・ポリシーにおいては、どのような学生を求め、多様な学生をどのように評価・選抜するのか、その方法が記載されていないので、改善する必要がある。(1.教育研究上の目的と三つの方針) 5. ディプロマ・ポリシー及びカリキュラム・ポリシーの改訂に合わせて、教育研究活動に対する質的・量的な解析を計画的に実施し、得られた解析結果に対する評価を行うための体制を整備する必要がある。(2.内部質保証) 6. 学修成果の達成度に係る卒業時アンケートの結果など、一部の解析結果については自己点検・評価に活用されていないことから、活用するように改善する必要がある。(2.内部質保証) 7. カリキュラム・ポリシーに基づいて、教育カリキュラムが体系的に整理され、効果的に編成されているとは言い難いので、カリキュラム・ポリシーの改訂も含め、教育カリキュラムを適切に整理・編成するよう改善する必要がある。(3.薬学教育カリキュラム 3-1教育課程の編成) 8. シラバスに関して、一般目標が記載されていない科目、到達目標が「学修上の注意」などの項目に記載されている科目が数多くある。シラバスの記載内容を再確認し、記載事項の不備について改善する必要がある。(3.薬学教育カリキュラム 3-1教育課程の編成) 9. 「総合薬学演習Ⅲ」の成績評価試験の多くで、予備校が作成した問題をそのまま使用しているので、独自に作成した問題を用いて実施する必要がある。(3.薬学教育カリキュラム 3-2教育課程の実施) 10. 制度上は、再試験の合格者が「良」となる可能性があり、本試験において「可」で合格した学生との間で不公平が生じる懸念がある。公正な成績判定を行うために、再試験合格者の成績は「可」とするように改善する必要がある。(3.薬学教育カリキュラム 3-2教育課程の実施) 11. 大学として成績評価に関する異議申立期間が設けられており、学生には大学のポータルシステムで周知が図られている。しかし、科目担当教員に直接問い合わせるのではなく、疑義照会の透明性を確保するために教務部を介して問い合わせるよう改善する必要がある。(3.薬学教育カリキュラム 3-2教育課程の実施) 12. 学修成果の到達度の総合的評価で得られた結果を将来の教育課程の編成、実施方法の改善・向上に活用するための体制を構築する必要がある。(3.薬学教育カリキュラム3-3学修成果の評価) 13. カリキュラムにおいて重要と位置付けている「薬局管理学」が非常勤講師のみの担当となっているので、専任教員が担当する必要がある。(5.教員組織・職員組織) |
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| 千葉大学 | 国 | 千葉県 | 第2期 |
2023年度 |
適 |
自己点検・評価書 基礎資料 正誤票 |
評価報告書
総評
千葉大学 総評 千葉大学薬学部薬学科は、薬学部の「人材育成および教育研究上の目的」にそって、「薬学科は、薬剤師の資格と研究能力をいかし、チーム医療の中で職能を発揮する指導的薬剤師や薬学の教育・研究、薬事・医療行政、医薬品の開発等を担う人材の育成を目的とする。」としている。大学全体の学位授与の方針(DP)は5つからなり、薬学科のDPは、これらについてさらに 16 のdpとしてより具体的に定められている。教育課程編成・実施の方針(CP)についても、全学の方針に基づき大学の5つのDPに対応した 16 のCPの項目を策定し、dp1~dp16 に紐づけされている。入学者受入れの方針(AP)は2学科で共通なものと、学科間で異なるものを示している。入試に関しては、学校推薦型選抜が薬学科志望者を、一般選抜(後期日程)が薬科学科志望者を対象として実施される。また、一般選抜(前期日程)による入学者は3年次に学科振り分けが行われるため、選抜時には学科の区別がない。薬学部は、亥鼻キャンパスでの医学部・看護学部との合同授業として、「専門職連携Ⅰ〜Ⅳ」を1年から4年まで段階を追って開講しており、関連他職種の理解を深めるとともに、協働的問題解決能力の醸成にも力を入れた教育を行っている。また、「千葉大学グローバル人材育成 “ENGINE”」の一環として、2020 年度入学生から学部生の留学を必修化し、コロナ禍においてもオンラインでの実施を行うなどグローバル教育・国際交流にも注力している。これらの点は、優れた取り組みとして評価できる。しかしながら、DPについては、現状のdpの表現では学生にとって卒業時に身につけるべき資質能力を理解することが難しいと考えられ、またこれに関連して、CPについては、学修成果の評価の在り方についての記載がない。dpについては、薬学科の教育研究上の目的と整合した資質能力を簡潔かつ具体的に示すことが望まれ、また、CPについては薬剤師教育課程の内容をより明確に示し、学修成果の評価の在り方を具体的に設定するよう改善が必要である。内部質保証については、薬学部において体制が整備され、薬学教育自己点検委員会を中心に自己点検・評価が行われているが、その活動が自己点検・評価
結果としてまとめられた記録がなく、ホームページ等で公表されていない。6年制薬学教育プログラム独自の基準を決めた上で計画的な自己点検・評価活動を行い、結果を公表するよう改善が求められる。 千葉大学薬学部薬学科は、目的とする多様な薬学人材の養成に向けて、特徴的な薬学教育プログラムを構築し実施している。本評価結果を生かして内部質保証の充実と改善を図り、さらなる教育プログラムの発展に努められることを期待したい。
大学への提言
千葉大学 大学への提言 1)長所
1. 「千葉大学グローバル人材育成“ENGINE”」の一環として、2020年度入学生から学部生の留学を必修化して単位を認めることとしている。(3.薬学教育カリキュラム 3-1教育課程の編成) 2. 専門職連携教育として、医学部・薬学部・看護学部の3学部合同(1年次は工学部の一部も合同)の授業が、「専門職連携Ⅰ」、「専門職連携Ⅱ」、「専門職連携Ⅲ」、「専門職連携Ⅳ」と1年次から4年次まで段階を追って開講されており、効果的な学習方法と評価方法を用いて実施されている。(3.薬学教育カリキュラム 3-1教育課程の編成) 2)助言 1. 教育研究上の目的を社会のニーズを反映したものとするためにアンケート調査を実施するのであれば、育成する薬剤師像を適切に把握できる内容のアンケートを、薬剤師を対象にして実施することが望ましい。(1.教育研究上の目的と三つの方針) 2. dpは、薬学科のカリキュラムにより卒業までに身につけるべき資質・能力を具体的に設定し、学生にとって理解し易いものとすることが望まれる。(1.教育研究上の目的と三つの方針) 3. 薬学部のAP3点に加えて薬学科のAP2点が設定されているが、学科ごとにそれぞれAPを設定することが望ましい。また、入試ごとにどのような基準・方法によって評価、判定するのかも設定することが望ましい。(1.教育研究上の目的と三つの方針) 4. 薬学教育自己点検委員会の組織には、卒業生はいるが教員であり外部委員とは言い難いので、学外の委員を導入することが望ましい。(2.内部質保証) 5. 学修成果の評価(アセスメント)を行うためのアセスメント・ポリシーでは、学修成果の評価の在り方について、より具体的に設定することが望まれる。(2.内部質保証) 6. 「特別実習Ⅰ、Ⅱ」の評価は、ルーブリックにより70%が行われているものの、残りの30%の基準が明確に示されていないので、研究室間で統一した基準を設定することが望ましい。「特別実習Ⅲ」の評価においては、残りの30%を主に卒業論文発表の評価で行っているが、卒業論文そのものの評価も基準を設けて行うことが望ましい。(3.薬学教育カリキュラム 3-2教育課程の実施) 7. 実務実習以外の授業では、ルーブリックによる評価が最終評価だけになっているものが見受けられるので、学生にルーブリックを提示したうえでの形成的評価にしていくことが望まれる。(3.薬学教育カリキュラム 3-2教育課程の実施) 8. 「特別実習Ⅰ、Ⅱ」では、4段階で評価する共通のルーブリック表を用いて各年次で教員が成績評価しているが、学生自身の自己評価を加えて、形成的評価も行うことが望まれる。(3.薬学教育カリキュラム 3-2教育課程の実施) 9. シラバスに再試験についての記述はないので、再試験の在り方について明示することが望まれる。(3.薬学教育カリキュラム 3-2教育課程の実施) 10. 学生個々の身につけるべき資質・能力の評価として、各科目の成績と 12 の力との関連付けについては、さらなるブラッシュアップを行い、より精度の高い達成度評価を目指すことが望まれる。(3.薬学教育カリキュラム 3-3学修成果の評価) 11. 学修成果の評価は、2022 年度に開始したもので、学修成果の評価結果を教育課程の編成及び実施の改善・向上に活用した実績はまだない。今後、評価結果について適切な点検・検証を行い、これらの改善・向上に活用することが望まれる。(3.薬学教育カリキュラム 3-3学修成果の評価) 12. 前期日程入試については、「学力の3要素」、「主体性を持ち、多様な人々と協働しつつ学習する態度」を判断することが必要であるとされているので、共通テストに加えて面接などの評価方法を加えることを検討することが望まれる。(4.学生の受入れ) 13. 教員の採用や昇進は、候補者の審査に関する実施要項に則って行われているが、これとは別に「教育研究活動の実施に必要な教員組織の編成方針」を明文化して、規定することが望まれる。(5.教員組織・職員組織) 3)改善すべき点 1. CPを、DP、dpを踏まえた教育課程編成、当該教育課程における教育内容・方法、学修成果の評価の在り方等を具体的に示す内容にするよう改善が必要である。(1.教育研究上の目的と三つの方針) 2. 薬学教育自己点検委員会の活動とその結果については、自己点検結果としてまとめられた記録がなく、必要性が生じた際の対応としての活動であり計画的なものとは言えない。6年制薬学教育プログラム独自の基準を決めた上で定期的な自己点検活動を行い、結果をホームページ等で公表していくことが必要である。(2.内部質保証) |
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2023年度 |
適 |
自己点検・評価書 基礎資料 正誤票 |
評価報告書
総評
東京薬科大学 総評 東京薬科大学薬学部は、創立以来 142 年の間に薬剤師の基本的使命を重視し、医療を取り巻く環境並びに社会のニーズの変遷に沿いながら、教育研究上の目的を「医療を担う薬学人に相応しい充分な知識と技術、及び人類の福祉に貢献できる豊かな人間性と広い視野を持つ人材の育成を目的とする。」と設定し、これに基づき三つの方針が策定されている。現時点では薬学部に3学科を設定しており、学科ごとのディプロマ・ポリシー、並びにカリキュラム・ポリシーを掲げている。内部質保証については、資する評価体制、及びその評価に基づき改善に取り組む体制の整備が進められている。教育プログラムとしては、2022 年度から新しいカリキュラムで進められており、授業科目、実習科目についてはさまざまな工夫がなされ、特にルーブリック表を用いた学習成果の評価も適切に行われている。研究においては、共同研究センターの設置や、外部機関と種々の提携を締結し、次世代型の薬学教育・研究活動を行うための環境を積極的に整備している。若手研究者の登用比率及び若手研究者の育成、活躍推進の目標を定め、公表し、若手研究者の育成に努めている。また、産業界及び地域の関係団体等と協定を締結して、地域医療の課題解決や、医療・医薬品情報の適切な提供と医療人材の育成を積極的に進めている。これらの点は優れた取り組みとして高く評価できる。しかしながら、カリキュラム・ポリシーでは、学科ごとに求められる特徴的な資質を評価する方法については記載が不十分であり、またそれぞれの学科のディプロマ・ポリシーと整合性が取れていない部分がある。また、成績評価については、履修要項と一致していないものが散見され、一部の科目では科目独自の評価基準が設けられており、公正性、厳格性に欠ける。これらの点については改善が必要である。学修成果の評価については、アセスメント・プランは作成されたばかりであり、今後は教員の評価を含めた総合的評価とし、その評価結果を教育プログラムの改善・向上に活用するための取り組みが必要である。東京薬科大学薬学部は、カリキュラム改革や次世代型の薬学教育・研究活動を行うための環境整備などに取り組み、教育研究上の目的を達成するための薬学教育プログラムの設定に努めている。今後、本評価での指摘を活かし、特にアセスメント・プランの実施体制を強化し、適切かつ総合的な学修成果の評価方法を設定することにより、教育プログラムの改善と充実が図られることを期待する。
大学への提言
東京薬科大学 大学への提言1)長所
1. 「DPを基盤とした卒業コンピテンスとコンピテンシー」及び「各コンピテンシーの達成レベル」を設定し、年次進行に伴う単位修得との関連性を「授業計画」(シラバス)やガイダンス、ホームページを通じて学生に周知していることは評価できる。(3.薬学教育カリキュラム 3-1教育課程の編成) 2. 若手研究者の登用比率及び若手研究者の育成、活躍推進の目標を定めている点は評価できる。(5.教員組織・職員組織) 3. 若手教員や博士課程大学院生を組織的に支援し、次世代を担う教員の養成に積極的に取り組んでいると評価できる。(5.教員組織・職員組織) 4. 外部機関と種々の提携を締結し、次世代型の薬学教育・研究活動を行うための環境を積極的に整備していることは評価できる。(5.教員組織・職員組織) 5. 臨床研修留学規程が制定され、カリフォルニア大学サンフランシスコ校(UCSF)等での研修を実施していることは評価できる。(5.教員組織・職員組織) 6. 産業界及び地域の関係団体等と協定を締結して、地域医療の課題解決や、医療・医薬品情報の適切な提供と医療人材の育成に積極的に取り組んでいることは評価できる。(8.社会連携・社会貢献) 2)助言 1. 各学科のカリキュラム・ポリシーの冒頭に示された薬剤師養成に係る記述(・・・薬剤師の養成)がそれぞれの学科のディプロマ・ポリシー(・・・薬剤師としての素養を身につけている)と整合性が取れていない部分があり、ディプロマ・ポリシーとの関係が理解しにくいので、整合性が取れるように改善することが望まれる。(1.教育研究上の目的と三つの方針) 2. アドミッション・ポリシーでは、それぞれの入試方式ごとに、求める学生像と、それをどのように評価・選抜するかについても具体的に記載することが望まれる。(1.教育研究上の目的と三つの方針) 3. 各種委員会の活動報告書を精査するのが学部長一人であり、より効果的に点検・評価を行える体制の構築が望まれる。(2.内部質保証) 4. 調査研究コースの実質的な課題研究は6単位であり、実験研究コースの12単位に比べて少なく、基礎調査(2単位)、アドバンス調査(4単位)の実施内容、並びに評価方法についてさらに工夫して、課題研究に有効に繋げるカリキュラムとすることが望まれる。(3.薬学教育カリキュラム 3-1教育課程の編成) 5. 「卒論ディプロマ・サプリメント」における課題研究に対する主査、副査のコメントの記載が半数程度であり、本システムをさらに有効に活用することが望まれる。(3.薬学教育カリキュラム 3-2教育課程の実施) 6. 学科ごとに設定されたディプロマ・ポリシーに関する特徴的な資質についても評価することが望ましい。(3.薬学教育カリキュラム 3-3学修成果の評価) 7. 一般選抜(A方式、B方式)では、学力の3要素のうち知識に偏った評価をしているので、学生の表現力や主体性について高校からの調査書に加えて評価する方法を工夫することが望まれる。(4.学生の受入れ) 8. 入学定員充足率が複数年で110%を上回っているので、合否判定方法等を見直し、適正な入学者数となるように改善することが望まれる。(4.学生の受入れ) 9. 標準修業年限内の卒業者の割合は直近5年間の平均として76.4%であり、教育課程の検証とともに、入学者の選抜方法、定員等の検証もさらに進めることが望まれる。(4.学生の受入れ) 10. 2022年5月時点での専任教員数は134名であり、この時点での在籍学生数を専任教員数で除した学生数は、専任教員1名に対して20.1名と多く、学生数を10名以内とすることが望ましい。(5.教員組織・職員組織) 11. 定期健康診断を年1回実施しているが、受診率は高いものの100%になるようにさらに改善が望まれる。(6.学生の支援) 3)改善すべき点 1. カリキュラム・ポリシーにおいて、教育の方法、学修成果の評価については、科目ごとの評価方法を総括的に記載しているだけで、資質・能力ごとの評価方法、特に学科ごとに特徴的な資質を評価する方法については記載が不十分であり、改善する必要がある。(1.教育研究上の目的と三つの方針) 2. アセスメント・プランは作成されたばかりであり、客観的な評価・測定結果を教育課程の編成及び改善・向上に活用する体制の構築は未だ不十分と言える。今後適切な体制の構築を進め、教育課程の編成及び改善・向上を図ることが必要である。(2.内部質保証) 3. 定期試験結果の評価において、履修要項にある成績評価基準と一致しない科目が散見され、さらに「総合演習Ⅱ」、「総合薬学演習Ⅰ及びⅡ」では、科目独自の評価基準を設けている。履修要項に成績評価基準をより明確に記載し、それに従った評価をすることが必要である。(3.薬学教育カリキュラム 3-2教育課程の実施) 4. 成績評価に対する異議の申立ての窓口は現在教科担当教員だけとなっているため、教科担当教員以外の教職員が審査、対応する体制の構築が必要である。(3.薬学教育カリキュラム 3-2教育課程の実施) 5. 学修成果の評価として、年次進行による単位取得と総合薬学演習により知識修得の確認をしているものの、それ以外の資質については、学生自身による自己評価と、課題研究でのルーブリック評価に限定されている。各資質の年次的な進行を教員が評価し、総合的な学修成果を適切に評価して教育課程の編成及び実施の改善・向上につなげ、教育プログラムを改善することが必要である。(3.薬学教育カリキュラム 3-3学修成果の評価) |
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| 東京理科大学 | 私 | 東京都 | 第2期 |
2023年度 |
適 |
自己点検・評価書 基礎資料 正誤票 |
評価報告書
総評
東京理科大学 総評 東京理科大学薬学部薬学科では、「理学の普及を以て国運発展の基礎とする」という建学の精神のもと、生命創薬科学科と協同して「医薬分子をとおして人類の健康を守る」志をもった優れた人材を育成することを基本理念と定め、薬学科は薬の性質と作用、薬物治療、医薬品の適正使用、公衆衛生等の薬剤師の職能の基盤となる専門的知識及び関連する技能、態度を習得し、臨床・公衆衛生における問題を基礎研究に結びつけることのできる問題解決能力と研究心を兼ね備えた薬剤師を育成することを目的としている。卒業認定・学位授与の方針(ディプロマ・ポリシー)からみた達成度の評価では、学修ポートフォリオを活用して学習達成度を可視化し、学修状況の分析に努めている。修学支援体制では、薬学の基礎となる数学、物理、化学の科目について、総合大学の強みを活かし、薬学科の上級生だけでなく、それぞれの科目を専攻する理工学部数学科、物理学科、先端化学科等の上級生も担当する学習相談体制を構築している。社会連携・地域貢献では、社会連携講座や生涯学習講座を開講し、アーカイブ配信によって講義資料を提供することにより、地域の医療・薬学の発展及び薬剤師の資質・能力の向上に貢献する多様な活動を行っている。また、在外研究員の支援制度を規定し、薬学部の若手教員の利用を推進することにより国際交流の推進に努めている。これらの点は、優れた取り組みとして評価できる。しかしながら、ディプロマ・ポリシーに設定された資質・能力の修得が卒業要件にあたることが明記されておらず、また教育課程編成・実施の方針(カリキュラム・ポリシー)に学修方略や学修成果の評価の在り方が具体的に示されていないので、改善が必要である。シラバスには、一部の科目で評価基準、配点などが明示されておらず、パフォーマンス評価(ルーブリック・レポートなど)の記載が曖昧である。学修成果の評価は、各授業における能力評価の積み上げに留まっているため、教育課程の進行に対応した学生の資質・能力の測定による形成的評価及び、学修成果の適切な総括的評価ができておらず、さらにその結果に基づいて教育課程のさらなる改善・向上が図られているとは言い難い。これらの点についても改善する必要がある。東京理科大学薬学部薬学科は、地域の医療・薬学の発展に貢献しつつ、問題解決能力と研究心を兼ね備えた薬剤師の養成教育を行っている。今後、本評価の結果を教育プログラムの内部質保証に生かして、優れた資質を有する薬剤師の育成・輩出に努められることを期待する。
大学への提言
東京理科大学 大学への提言 1)長所
1. 1年次から6年次、さらに大学院においても、専門科目と並行して一般教養科目を配置するとともに、専門教育が深まった3年次以降の段階においても教養科目の単位修得が可能になっている点は、高く評価される。(3.薬学教育カリキュラム 3-1教育課程の編成) 2. ディプロマ・ポリシーに示す資質・能力等の修得状況がTUSルーブリックのレーダーチャートで可視化されており、教員と学生が常に確認することができる点は、高く評価される。(3.薬学教育カリキュラム 3-2教育課程の実施) 3. 薬学の基礎となる数学、物理、化学の科目について、総合大学の強みを活かし、薬学科の上級生だけでなく、それぞれの科目を専攻する理工学部数学科、物理学科、先端化学科等の上級生も担当する学習相談体制を構築している点は、高く評価できる。(6.学生の支援) 4. 生涯学習講座はアーカイブ配信され、全国の薬剤師に対して講義資料が提供される点は、高く評価される。(8.社会連携・社会貢献) 5. 在外研究員の支援制度が規定されており、薬学部の若手教員の利用を推進している点は、高く評価される。(8.社会連携・社会貢献) 2)助言 1. 「専門分野の枠を超えて横断的にものごとを俯瞰できる能力」、「薬剤師の専門的知識と技能を発揮する者としてふさわしい態度」といった表現は具体性に欠けているため、学生が理解しやすい表現となるようにディプロマ・ポリシーの改善が望ましい。(1.教育研究上の目的と三つの方針) 2. 入試形態ごとに選抜方法などが記載されているが、その内容は入試制度の概要に留まっており、それぞれの入学試験においてアドミッション・ポリシーの各項目をどの選抜方法で評価するのかが具体的に示されていないので、改善が望まれる。(1.教育研究上の目的と三つの方針) 3. カリキュラム・ツリーは教育課程の体系性と構造を示すものであるが、カリキュラム・ポリシーで求めている学修成果と整合性がとれないため、改善が望ましい。(3.薬学教育カリキュラム 3-1教育課程の編成) 4. ディプロマ・ポリシーで国際的な視野をもって活躍できる能力を求めているため、全学生の国際的な視野を広げるには、「薬学英語」の必修科目を開設することが望ましい。(3.薬学教育カリキュラム 3-1教育課程の編成) 5. 大学独自科目であることを特徴づけるために、シラバス中にモデル・コアカリキュラム以外のSBOsを含めて記載しているが、大学独自科目の設定が分かりにくいので、改善が望ましい。(3.薬学教育カリキュラム 3-1教育課程の編成) 6. 一部の授業科目では、SGDやPBLが適切に評価されていないので、評価方法や評価基準を適切な評価ができるように改善することが望ましい。(3.薬学教育カリキュラム 3-2教育課程の実施) 7. 学修ポートフォリオは自己評価に留まっており、学生が身につけるべき資質・能力が、教育課程の進行に対応して教員によって評価されていないため、改善が望ましい。(3.薬学教育カリキュラム 3-3学修成果の評価) 8. 卒業時の学修成果が単位の積み上げ式で評価されており、総括的評価が適切に実施されているとはいえないため、現在の評価方法の妥当性を検証し、ディプロマ・ポリシーに設定した資質・能力の修得状況を評価するように、改善が望ましい。(3.薬学教育カリキュラム 3-3学修成果の評価) 9. 「学力の3要素」、「医療人を目指す者としての資質・能力」を入学試験で評価しているが、すべての入試形態において、学力の3要素を評価しているとはいえないため、改善が望ましい。(4.学生の受入れ) 10. 1名の専任教員に対して学生数が10名以内となるように、専任教員数を増員することが望ましい。(5.教員組織・職員組織) 11. 薬剤師としての実務の経験を有する専任教員が、常に新しい医療に対応するために研鑽できる体制・制度を整備することが望ましい。(5.教員組織・職員組織) 12. 健康診断の受診率は平均で95%程であるため、100%になるように改善が望まれる。(6.学生の支援) 13. 英語版の薬学部ホームページが作成されていないため、英文によるホームページを作成することが望ましい。(8.社会連携・社会貢献) 3)改善すべき点 1. 生命創薬科学科のディプロマ・ポリシーには、「教育目標に沿って編成された授業科目を履修し、次のような能力を身に付けた上で、所定の単位を修得した学生に対して卒業を認定し、学士(薬科学)の学位を授与する。」との記述であるのに対し、薬学科のディプロマ・ポリシーは「本学科の教育目標に沿って編成された授業科目を履修した学生に対して、卒業を認定し、学士(薬学)の学位を授与する。」と記述されており、能力評価や単位修得に関する記述がないため、統一した記述内容となるよう、改善が 必要である。(1.教育研究上の目的と三つの方針) 2. カリキュラム・ポリシーに、学修方略や学修成果の評価の在り方が具体的に設定されていないため、改善が必要である。(1.教育研究上の目的と三つの方針) 3. 6年制薬学教育プログラムに関する内容が質的・量的に十分に自己点検・評価され、継続的な改善につながっているとは言えないため、薬学部薬学科としての6年制薬学教育プログラムに対応した自己点検・評価を実施するように、改善が必要である。(2.内部質保証) 4. 薬学部(薬学科)の独自の自己点検評価の結果をホームページ等で公開するよう、改善が必要である。(2.内部質保証) 5. 薬学教育プログラムの全体像を示したカリキュラム・ツリーなどが明示されておらず、カリキュラム・ポリシーとディプロマ・ポリシーの関連性が不明なため、改善が必要である。(3.薬学教育カリキュラム 3-1教育課程の編成) 6. シラバスには、担当教員名、開講年度学期、概要、授業計画などの情報は記載されているが、各科目とディプロマ・ポリシーとの関係性が不明、必修科目・選択科目・選択必修科目の区別がわかりにくい、一部の科目では評価基準や配点が明確に記載されていない、パフォーマンス評価(ルーブリック・レポートなど)の記載が曖昧、といった問題があるため、改善が必要である。(3.薬学教育カリキュラム 3-1教育課程の編成) 7. 異議申し立ての仕組みが学則や履修規定等に整備されていないため、改善が必要である。(3.薬学教育カリキュラム 3-2教育課程の実施) 8. 学習達成度が各科目の寄与度によって設定されており、ディプロマ・ポリシーで求める学修成果に対する形成的な評価がなされていないため、改善が必要である。(3.薬学教育カリキュラム 3-3学修成果の評価) 9. 学修成果の評価結果が、教育課程の編成及び実施の改善・向上に活用されているとはいえないため、さらなる改善が必要である。(3.薬学教育カリキュラム 3-3学修成果の評価) |
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| 東北医科薬科大学 | 私 | 宮城県 | 第2期 |
2023年度 |
適 |
自己点検・評価書 基礎資料 正誤票 |
評価報告書
総評
東北医科薬科大学 総評 東北医科薬科大学薬学部薬学科は、医療の担い手である薬剤師に対して医療における幅広い分野で活躍する適応力を求めていることから、教育研究上の目的を「医療人としての心豊かな人間性と倫理観を持ち、先進的な薬物療法を探究するとともに疾病の予防・治療及び健康増進に積極的に貢献する意識と実践力を備えた薬剤師の養成」と定め、三つの方針を設定している。教育課程の編成では、倫理教育や臨床現場での実践的な学びに関する体系的で充実したプログラムが特色といえる。教育プログラムの内部質保証については、教学IR(Institutional Research)における解析結果を授業の改善に生かし、卒業認定・学位授与の方針(ディプロマ・ポリシー)の到達度の可視化に利用している。これらは、先進的
な取り組みとして評価できる。また、授業の改善、教員の教育研究活動の向上、若手教員の育成等を図るためのFD活動が組織的に行われ、さらに、産学共同研究活動において、地域特性のある共同研究を実施している点は、優れた取り組みである。しかしながら、ディプロマ・ポリシーと教育課程編成・実施の方針(カリキュラム・ポリシー)の整合性が十分ではなく、カリキュラム・ポリシーには学生が身につけるべき資質・能力を評価する学修成果の評価の在り方が具体的に示されていない。また、「成績評価確認願」の扱いについては学生に不利益になることが懸念され、「教員組織の編成方針」については明文化されていない。これらの点については、改善が必要である。東北医科薬科大学薬学部薬学科は、在宅医療、訪問看護・介護、地域医療及び公衆衛生、並びに医療技術及び薬物治療戦略や医療のデジタル化にも対応する適応力を持つ人材を輩出するために、先進的かつ独自性のある教育研究活動を展開している。本評価の結果を生かして、さらなる教育プログラムの充実に努められることが期待される。
大学への提言
東北医科薬科大学 大学への提言 1)長所
1. 教学IR委員会では、ディプロマ・ポリシーで設定されている自己研鑽に関する到達度を可視化する指標の導入に向けた解析を行っている。こういった解析により、ディプロマ・ポリシーに沿ったルーブリック評価による自己評価との相関を確認しており、教務委員会により自己研鑽の到達度が低い学生を早期に発見し、学習態度の改善を目的に教務委員長らによる面談を実施していることは優れた取り組みとして評価できる。(2.内部質保証) 2. 新採用教員担当の授業、初めて授業を担当する教員の授業、FD・SD推進委員会が指定した教員の授業に対して、複数の委員による授業参観を実施している。(2.内部質保証) 3. 科目別系列会議において授業内容について意見交換を行うとともに、定期試験問題、得点分布(ヒストグラム)データを持ち寄り、適正な評価が実施されているか等について点検・検討し、今後の授業改善に向けた活動を行っている。こういった授業改善に向けた薬学部FD部会の活動や授業参観、科目別系列会議による点検・検討は、優れた取り組みとして評価できる。(2.内部質保証) 4. 医療人としての高い倫理観を備えた人材を養成するための科目として「医療倫理入門」では、医学部解剖学教室の協力を得て医学科2年次の解剖学実習を薬学科3年次の学生が見学するプログラムがあり、事前に解剖献体提供団体の講演を聴講する等十分な倫理教育を受けた上で医学部生との質疑応答を含めた実地研修を行っている。(3.薬学教育カリキュラム 3-1教育課程の編成) 5. 1年次~4年次の学生は半期ごとに「薬学・生命科学を修得するための行動指針」を用いた行動の振り返りと学修ポートフォリオの作成を行うことにより、入学時から常にディプロマ・ポリシーと向き合い、その到達を目指している。(3.薬学教育カリキュラム 3-3学修成果の評価) 6. 次世代を担う若手教員の育成について、十分な授業経験を有する複数の委員が、初めて授業を担当する教員の授業を参観して積極的に助言する、科研費などの外部研究資金への応募を積極的に奨励する、さらに40歳未満の専任教員を海外に派遣する(海外研究員制度)など、教員の教育研究活動の向上、若手教員の育成を図るための組織的な取り組みや手厚いサポートが実施されている。(5.教員組織・職員組織) 7. 防災対策の立場から、名刺サイズの「大地震初動マニュアル」を入学時に配付し、学生が常時携帯できるように配慮し、全学生及び全教職員分の3日分の非常食・飲料水並びに毛布・ブルーシート・ヘルメット等の防災用品を備蓄し、さらに緊急連絡システムをスマートフォンで確認できるよう改良を進めるなどし、運用している。(6.学生の支援) 8. 宮城県加美町との間で行われている加美町産紫根(ムラサキ)の利活用に係る研究のように一般的な企業との共同研究だけではなく地域との共同研究も実施している。(8.社会連携・社会貢献) 2)助言 1. カリキュラム・ポリシーに示された学習内容の多くにおいて、総合演習試験を用いた総括的評価が行われていることから、それぞれの学習の成果に対して適切な評価方法を具体的に示すように改善が望まれる。(1.教育研究上の目的と三つの方針) 2. ディプロマ・ポリシーとカリキュラム・ポリシーの整合性について懸念される点が認められるため、改善が望まれる。(1.教育研究上の目的と三つの方針) 3. それぞれの入学試験において多様な学生を入試区分ごとにどのように評価・選抜するかについて、募集要項に記載して公表しているが、その内容はアドミッション・ポリシーにも明記されることが望まれる。(1.教育研究上の目的と三つの方針) 4. 三つの方針は、学生便覧に記載され、学生及び教職員に周知されている。また、大学ホームページを通して広く公表しているが、オリエンテーション等での説明が十分ではないので充実が望まれる。(1.教育研究上の目的と三つの方針) 5. 自己点検・評価に基づく報告書を毎年作成するとしているが、2021年度から開始されたものである。こういった自己点検・評価は高等教育評価機構の基準項目によるものであり、薬学教育評価機構が設定した評価基準に基づいた自己点検・評価も継続的に行うことが望まれる。(2.内部質保証) 6. 独自の薬学専門教育科目について、独自性をシラバスに明示することが望まれる。(3.薬学教育カリキュラム 3-1教育課程の編成) 7. 「実務実習Ⅰ(病院)」及び「実務実習Ⅱ(薬局)」の評価において、無断欠席あるいは正当な理由のない欠席・遅刻等に対して、医療人としての態度の評価としての減点5点が設定されているが、実務実習の欠席等については、補習等補充措置をシラバスに記載して適正に実施することが望まれる。(3.薬学教育カリキュラム 3-2教育課程の実施) 8. 一般選抜試験及び大学入学共通テスト利用選抜において「思考力・判断力・表現力」及び「主体性を持って多様な人々と協働して学ぶ態度」を評価できる方法の導入について改善が望まれる。(4.学生の受入れ) 9. 学校推薦型選抜(指定校制)、学校推薦型選抜(公募制)以外の入試区分(一般選抜、大学入学共通テスト選抜)においては学力による評価のみとなっており、医療人を目指す者としての資質・能力を評価することは十分とはいえないので改善が望まれる。(4.学生の受入れ) 10. 第1期の薬学教育評価で指摘された改善すべき点「留年者、退学者数が多いことは、薬学教育に必要な学力が不足する学生が入学している可能性が高いことを示唆しているので、選抜方法の見直しなどの改善が必要である。」については、選抜方法の見直しを実施し、改善報告書を提出した時点で減少に向かっていた留年者・退学者数が、コロナ禍以降、再び増加傾向となっているため、さらなる改善策の検討が望まれる。(4.学生の受入れ) 11. 教員一人当たりの学生数については、約32名、生命薬科学科、教養教育センター教員を含む薬学部教員としての学生数は約19名となっている。1名の専任教員に対して学生数が10名以内であることが望ましいとされているため、改善が望まれる。(5.教員組織・職員組織) 3)改善すべき点 1. カリキュラム・ポリシーには、学習する内容及び到達目標とその評価については示されているが、学生が身につけるべき資質・能力を評価する学修成果の評価の在り方について具体的に示されていないので、改善が必要である。(1.教育研究上の目的と三つの方針) 2. 薬学教育カリキュラムの体系性及び科目の順次性については、カリキュラム・ツリーを用いて説明されているが、ディプロマ・ポリシーと科目との関連性に不明瞭な点があり、関連性を理解できない可能性が懸念されることから、改善が必要である。(3.薬学教育カリキュラム 3-1教育課程の編成) 3. 「成績評価確認願」は、科目担当教員(教員が不在の場合は学務部教務課)に提出することとなっているが、科目担当教員への直接提出は、学生にとっては不利益になる可能性もあるため、教務課窓口等で受け付けるよう改善が必要である。(3.薬学教育カリキュラム 3-2教育課程の実施) 4. 「薬学科ディプロマ・ポリシー対応ルーブリック評価表」を用いた学生による自己評価は、運用開始から4年目であり、この結果を教育課程の編成や改善に資するまでには至っていないため、今後有効性や適切性の検証と改善への活用を進める必要がある。(3.薬学教育カリキュラム 3-3学修成果の評価) 5. ディプロマ・ポリシーの達成度評価において、学生が身につけるべき資質・能力の修得について、総括的な評価を客観試験で行っている点は、パフォーマンス評価等により適切に習得度の評価ができるよう、改善が必要である。(3.薬学教育カリキュラム3-3学修成果の評価) 6. 「教員組織の編成方針」が明文化されていないため、策定が必要である。(5.教員組織・職員組織) |
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| 名古屋市立大学 | 公 | 愛知県 | 第2期 |
2023年度 |
適 |
自己点検・評価書 基礎資料 正誤票 |
評価報告書
総評
名古屋市立大学 総評 名古屋市立大学薬学部薬学科は、教育研究上の目的を「医療薬学及び関連分野の教育研究を通じ、適正な医療・保健衛生等の推進に貢献できる人材を養成すること及び情報発信を行うこと」とし、人材の養成に関する目的を「医薬品と薬物療法に関わる医療科学を総合的に修得し、薬剤師をはじめ、医療に係る様々な分野で薬の専門家として貢献できる人材を養成すること」と規定している。これらに基づき、三つの方針は策定され、公表されている。「卒業認定・学位授与の方針(ディプロマ・ポリシー)DP」は3項目に分けて卒業までに身につけるべき能力を具体的に示している。「教育課程の編成及び実施に関する方針(カリキュラム・ポリシー)CP」は、DPを達成するための教育課程編成の方針を年次ごとに明示し、また、教育実施の方針において学修成果の評価の在り方を示している。「入学者の受入れに関する方針(アドミッション・ポリシー)AP」は、DPを満たす人材になるために入学前に必要とされる能力について記載し、入学者選抜試験ごとに選抜方法を明記している。「教育課程の編成」では、特色ある科目として医学部、看護学部の学生とともに地域医療、チーム医療を学ぶ「医薬看連携地域参加型学習」や地域の他大学との連携による「コミュニティ・ヘルスケア卒前教育科目群」等を配置していることに特徴がある。しかしながら、「内部質保証」については、教員個人の教育研究活動の点検・評価は実施しているものの、薬学部における自己点検・評価として、教育研究活動に対する質的・量的な解析が十分とは言い難い。また、「学修の成果」の評価については、教育課程の進行に対応したCPに基づいた評価計画が示されておらず、DPへの到達度の段階的かつ総合的な評価と、その結果に基づいた改善・向上が十分に行われているとは言えない。薬学教育プログラムの内部質保証体制を適切に整備し、学修成果の評価等の教育研究活動の自己点検・評価と、これに基づく改善・向上を図る必要がある。名古屋市立大学薬学部薬学科は、大学の教育理念や人材養成目的に即した薬剤師の養成に向けて、熱心に教育研究に取り組む姿勢がうかがえる。今後は、本評価結果を踏まえ、教育プログラムの内部質保証の充実等を進めることによって、さらなる発展を図られることを期待したい。
大学への提言
名古屋市立大学 大学への提言 1)長所
1. 英語以外の言語については、ドイツ語、フランス語、中国語、韓国語、スペイン語、日本手話、ポルトガル語、ロシア語、イタリア語、アラビア語、日本語(留学生のみ)など多様な言語から選択することができる。これらの言語の基礎を学ぶことによって、グローバル化が進む現代社会での他文化への豊かな視点を獲得し、国際的に多様なニーズに対応できる人材育成につながるプログラムを提供している。(3.薬学教育カリキュラム 3-1教育課程の編成) 2. 1年次の必修科目として学部横断で開講している「医薬看連携地域参加型学習」では、医学部と看護学部の同学年の学生でグループを組み(薬学部3人、医学部4人、看護学部3人の計 10 人)、地域の病院や離島、福祉施設などに直接出向いて課題を探索し、それを解決する医療系学部連携の医療人教育を実施している。(3.薬学教育カリキュラム 3-1教育課程の編成) 3. 2014(平成26)年度に文部科学省・未来医療研究人材研究養成拠点事業(地域と育む未来医療人「なごやかモデル」)に採択され、医療系学部との連携のみならず、名古屋学院大学や名古屋工業大学とも連携して発展した「コミュニティ・ヘルスケア卒前教育科目群(コミュニティ・ヘルスケア基礎・応用・発展・実践)」を選択科目として開講している。(3.薬学教育カリキュラム 3-1教育課程の編成) 4. 自己点検・評価委員会が教員評価表を作成し、研究科長(学部長)による教員評価を行って、特に優秀者を理事長表彰候補者として推薦する制度を設けている。(5.教員組織・職員組織) 5. 学部間交流協定を締結している大学として、ミシガン大学薬学部、香港浸会大学中医薬学部、梨花女子大学薬学部、香港大学薬学部があり、それぞれ教員の相互訪問、学生の派遣と受け入れを実施し、研究と教育の両面において交流に力を入れている。特に、南カリフォルニア大学薬学部とは毎年学生の相互派遣を実施している。(8.社会連携・社会貢献) 2)助言 1. 一般選抜試験の入学者選抜方法では 大学のアドミッション・ポリシーに掲げている「主体性を持ち、幅広い視野で多様な人々と協働して学ぶ態度」「豊かな人間性と、地域や社会で活躍できる適性」あるいは薬学部のアドミッション・ポリシーに掲げる態度に相当する意欲・使命感・倫理観・コミュニケーション能力等の具体的な評価・選抜方法は設定されておらず、評価を行っていないので改善が望まれる。(1.教育研究上の目的と三つの方針) 2. 薬学部共通のAP5「大学院への進学意欲を持つ人」の選抜について、学校推薦型選抜では面接試験時に大学院進学の意思を質問する場合があるが具体的な評価指標はなく、一般選抜試験では具体的な評価・選抜方法は設定されておらず、評価を行っていないので改善が望まれる。(1.教育研究上の目的と三つの方針) 3. 選抜方法ごとに評価する事項は示されているが、アドミッション・ポリシーと整合しないものもあるので、アドミッション・ポリシーに掲げた各項目をどの選抜方法で評価するのかを分かりやすく示すよう改善することが望まれる。(1.教育研究上の目的と三つの方針) 4. 教育研究上の目的と三つの方針の検証は必要時にのみ行われていて、薬学部として主体的に“定期的”な検証をしていない。教育研究上の目的と三つの方針を定期的に検証する体制を整備する改善が望まれる。(1.教育研究上の目的と三つの方針) 5. 「薬学実務実習」等の一部の科目では、個別に医療を取り巻く環境や薬剤師に対する社会のニーズの変化を実習や講義内容へ反映させているが、薬学部全体として教育研究上の目的と三つの方針の検証には活かされていない。従って、薬学部として医療を取り巻く環境や薬剤師に対する社会のニーズの変化を調査した結果等を踏まえ、教育研究上の目的と三つの方針の検証を行う体制を整備するよう改善が望まれる。(1.教育研究上の目的と三つの方針) 6. 自己点検評価委員会には外部委員や6年制課程薬学科卒業生は含まれていないので、参画できるような体制に改善することが望まれる。(2.内部質保証) 7. 公表されている自己点検・評価報告書は、薬学部の教育研究の業績に限局されたものであるため、三つのポリシーに基づく教育研究活動についての自己点検・評価の結果を公表することが望まれる。(2.内部質保証) 8. シラバスにおいて、「薬学英語Ⅰ」も「薬学英語Ⅱ」も到達目標が全く同じであることは順次性や系統性において問題であり、それぞれの講義内容を反映したシラバスに改善することが望ましい。(3.薬学教育カリキュラム 3-1教育課程の編成) 9. 履修要項では「薬学英語Ⅰ-Ⅳ」はすべて選択科目であり、選択科目だけで教養教育から専門教育へ順次的かつ系統的に英語能力の向上を図るカリキュラム編成とは言えないので、必修科目にする等の改善をすることが望ましい。(3.薬学教育カリキュラム3-1教育課程の編成) 10. 卒業時にディプロマ・ポリシーで学生に求めている信頼関係構築力は、「コミュニティ・ヘルスケア基礎・応用」で十分に教育効果を達成できるプログラムとなっている。一方、「コミュニティ・ヘルスケア発展・実践」は薬剤師レベルの高度な内容であるが、履修者は少ないので、履修者を増やすように改善することが望まれる。(3.薬学教育カリキュラム 3-1教育課程の編成) 11. 履修規程に定める卒業要件(必要単位の修得)とディプロマ・ポリシーに掲げる卒業要件が異なるので、統一することが望ましい。(3.薬学教育カリキュラム 3-2教育課程の実施) 12. ポートフォリオの評価を卒業認定にどのように活用するのか、カリキュラム改編に合わせて検討中の段階であり、現時点では具体的な基準はない。ディプロマ・ポリシーに掲げる資質・能力を適切に評価できる評価方法・基準を整えて、卒業認定に活用することが望ましい。(3.薬学教育カリキュラム 3-2教育課程の実施) 13. 教育課程の進行に対応した学修成果の評価基準は示されておらず、ディプロマ・ポリシーへの到達度を適切に段階的・総合的に評価しているとは言えないので、改善が望まれる。(3.薬学教育カリキュラム 3-3学修成果の評価) 14. 一般選抜では学科試験のみで学力の3要素を多面的に評価していないので、改善することが望まれる。(4.学生の受入れ) 15. 受験者が700人前後になる薬学科の一般選抜において、実効性ある面接試験を導入することは困難と認識されているが、大学入学共通テストと個別学力検査による学力だけで医療人の資質や能力を評価できるとは考えにくい。従って、それぞれの入試区分において学力の3要素が多面的・総合的に評価できるように入試制度の改善が望まれる。(4.学生の受入れ) 16. 教員の男女構成は、男性40名(93.0%)に対して女性は3名(7.0%)と女性教員の比率が極端に低いので、女性教員を増やすことが望まれる。(5.教員組織・職員組織) 17. 教員は教育内容・方法の改善に向けて継続的に工夫を重ね、その質の向上に努めるとともに、教員(科目)レベルでのPDCAサイクルを機能させて、教育研究上の優れた実績を適正に評価する体制を構築することが望ましい。(5.教員組織・職員組織) 18. 教育研究上の目的に沿った教育研究活動を継続するために、次世代を担う教員の養成のためのキャリアアップ体制がないので、体制や制度を構築することが望ましい。(5.教員組織・職員組織) 19. 大型(高額)の共通機器・研究設備の更新は十分行われておらず、陳腐化・老朽化が進んでいる機器類があることは問題であり、改善が望まれる。(5.教員組織・職員組織) 20. 臨床薬学教育研究センターの実務家教員が研鑽できる体制や制度が整備されていないので改善することが望ましい。(5.教員組織・職員組織) 21. 事務職員数が実質11名と少なく、職員及び教員の事務作業の負担増が懸念されるので、改善が望まれる。(5.教員組織・職員組織) 22. 2022年度の各学年の健康診断受診率が、4年次は96%、5年次は97%といずれも100%でなく、特に6年次では85%と最も低くなっているのは問題であり、改善することが望ましい。(6.学生の支援) 23. 共同研究棟のRI実験施設と動物実験施設の老朽化が進んでいる。近年の実験動物を用いた研究の発展や、今後予想される法令・規制の変化に対応した動物実験施設そのもののリニューアル及び拡張が望まれる。(7.施設・設備) 3)改善すべき点 1. 「自己点検・評価報告書」で述べられている自己点検・評価は、単に教員業務評価であって、本項目の基準2-1で求められている「教育研究上の目的及び三つの方針に基づく教育研究活動の自己点検・評価」の一部に過ぎず、薬学部を対象とした自己点検・評価とは言えないので改善する必要がある。(2.内部質保証) 2. 学習ポートフォリオの達成目標の設定が、ディプロマ・ポリシーで求める学修目標を完全に包含できていない。また、教員の定期的な学生への形成的評価や学習の到達度に関して、教員による確認方法や対応する組織体制も整備されていない。ディプロマ・ポリシーに掲げた学修成果の達成度について、質的・量的な解析に基づいた自己点検・評価が十分に行われていないので、質的・量的な解析に基づいた点検・評価できる体制を構築するように改善する必要がある。(2.内部質保証) 3. カリキュラム・マップ及びカリキュラム・ツリーの不備は、学生が理解しづらく、修学上の不利益となるので、早急に改善する必要がある。(3.薬学教育カリキュラム3-1教育課程の編成) 4. 学修成果の評価結果が、教育課程の編成及び実施の改善・向上に十分に活用されているとは言えない。教育課程の進行に応じて、質的・量的な解析に基づいて評価できる体制を構築する改善が必要である。(3.薬学教育カリキュラム 3-3学修成果の評価) 5. 教育研究活動の実施に必要な教員組織の編成方針を定めていないので改善が必要である。(5.教員組織・職員組織) 6. 全学及び薬学部が開催するFDについて、研究授業参観以外にないことは問題である。また、教育プログラムの体制・制度について、整備及び改善すべき課題も見受けられる。今後、すべての学位の教育研究活動に内部質保証の考え方を浸透させ、取り組むべきFDやスタッフ・デベロップメント(SD)の拡大と実施に努めるように改善する必要がある。(5.教員組織・職員組織) |
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| 兵庫医科大学 | 私 | 兵庫県 | 第2期 |
2023年度 |
適 |
自己点検・評価書 基礎資料 正誤票 |
評価報告書
総評
兵庫医科大学 総評兵庫医科大学薬学部は、教育研究上の目的を「物質と生体に関する正しい知識と研究を通して得られる問題解決能力を基盤としつつ、生命の尊厳を畏敬し、人々の健康と幸福を真に願う医療専門職者としての明確な意識のもとに、多様な分野で薬学的立場から全人的医療を支えることのできる薬剤師を育成する」と定め、卒業認定・学位授与の方針(ディプロマ・ポリシー)、教育課程編成・実施の方針(カリキュラム・ポリシー)及び入学者受入方針(アドミッション・ポリシー)を設定している。しかしながら、カリキュラム・ポリシーに学修成果の評価の在り方が具体的に示されていない。
教育内容やその成果は、兵庫医科大学内部質保証会議の主導のもとで薬学部自己点検・評価委員会で検証し、内部質保証会議のアドバイスを受けて改善に取り組む体制が確立されている。カリキュラムは、薬学教育モデル・コアカリキュラムに準じて体系的かつ順次性をもって設定されており、独自科目として医療系学部合同での早期臨床体験やチーム医療に関わる科目等が設置されている。しかし、一部の専門科目において、成績評価の公正性、厳格性に懸念される点がある。これらについては、十分な検証を行い、改善を図る必要がある。 これまで入学試験結果の検証に基づいて様々な入試改革が行われてきたが、標準修業年限内での卒業率の向上や低学年次での留年率・退学率の改善は十分とは言えないので、引き続き改善に取り組む必要がある。一方、薬学部アドバイザー制度等による手厚い学生支援や、教員による教授・評価方法の開発とその成果の社会への発信は、優れた取り組みと言える。薬学部としての留学生受入や教職員・学生の海外研修等の実績は少なく、また英文ホームページからの情報発信も不十分であることから、国際的な教育研究活動の活性化が求められる。 兵庫医科大学薬学部では、全教員が教育研究上の目的の達成に向けて積極的に取り組む姿勢がうかがえる。本評価結果が内部質保証に生かされ、薬学教育プログラムのさらなる改善と向上が図られることを期待する。
大学への提言
兵庫医科大学 大学への提言1)長所
1. 卒業時に求められる学生の資質・能力の向上に資する学習・教授・評価方法の開発を行い、その成果を教育研究論文や総説として積極的に社会に発信していることは有益な取り組みとして評価できる。(3.薬学教育カリキュラム 3-2教育課程の実施) 2. 若手研究者を支援する学内研究助成制度が設けられていることは評価できる。(5.教員組織・職員組織) 3. 新入生を対象とした薬学部アドバイザー制度が運用されており、教員1名につき3~4名の1年生を割り振り、入学直後から前期の間、週1回面談することで、学生の生活態度や学習意欲等を確認し、新しい環境で順調な学生生活をスタートさせているかを見守るとともに、守秘義務に配慮した上で面談の内容を担任に繋げていることは評価できる。(6.学生の支援) 4. 地域の薬剤師対象のアカデミック・ディテーリングを学ぶ場であるEBM倶楽部を、コロナ禍でもオンライン形式の「Web-EBM倶楽部」として毎月継続していることは評価できる。(8.社会連携・社会貢献) 2)助言 1. 兵庫医科大学薬学部の教育研究上の目的である「教育目的」は、教務便覧に示されており、教務便覧の冊子体は新入生と教職員に配付されている。教務便覧の冊子体を配付されない在学生は、ホームページからダウンロードできるとしているが、各 学年の教務ガイダンス資料に記載するなどにより、「教育目的」を学生に十分に周知することが望ましい。(1.教育研究上の目的と三つの方針) 2. 教育研究上の目的について、教務便覧(p3)には「薬学部 目的」というタイトルで記載されているが、学則やホームページに掲げられた「教育目的」と同一の内容であることがわかりにくいため、学則と表現を揃えることが望ましい。(1.教育研究上の目的と三つの方針) 3. 入学者の受入れに関する方針(アドミッション・ポリシー)は、入学生が目標とする将来の自分像として四つの類型を掲げ、そのために必要な素養と能力を【知識・技能】【思考力・判断力・表現力】【主体性・多様性・協働性】に分けて明示している。入試区分ごとの評価については、学生募集要項に記載されているものの、アドミッション・ポリシーには各項目をどの入試区分において、どのように評価するのかが示されていないので、これらを具体的に示すことが望まれる。(1.教育研究上の目的と三つの方針) 4. 教育研究上の目的及び三つの方針について、2021年度の自己点検・評価書の点検・評価の内容は、2022年度の該当箇所とほぼ同一であり、また、2022年度の検証は全学内部質保証会議からの要請によるものであることから、これらをもって薬学部として定期的な検証を行っているとは言い難いため、さらに主体的に検証することが望ましい。(1.教育研究上の目的と三つの方針) 5. カリキュラム・ルーブリック評価表は学生の自己評価用であるため、教員による評価も併せて行い質的・量的に解析を行うすることが望ましい。(2.内部質保証) 6. 6年次後期は「総合演習Ⅱ」及び「研究研修Ⅱ」を並行して開講しているが、時間割の大半を占める「新・研究研修Ⅱ」は2単位の自由科目であり、これまで履修者はいない状態である。したがって、このような2単位の自由科目に多くのコマ数を割く時間割科目の編成は、実質的には薬剤師国家試験の合格率の向上のみを目指していると考えられる。例えば、「研究研修」はカリキュラム・ポリシーに掲げる「医療や科学技術の発展に貢献できる研究能力と、生涯を通して学び続ける自己研鑽能力を養成するための科目」であるべきであり、「新・研究研修Ⅱ」についても必修化するなどして、このような実質的に国家試験対策科目に偏った時間割編成を解消するように改善することが望まれる。(3.薬学教育カリキュラム 3-1教育課程の編成) 7. 再試験実施の有無については、シラバス授業概要情報の「成績評価の方法」において、再試験受験の要件を明記するように各科目責任者へ要請しているが、シラバスへの記 - 33 - 載の有無は科目によって異なる。成績評価の公平性の観点から、再試験の有無及び再試験を行う場合の受験要件については、シラバスにおいて統一的に示すことが望ましい。(3.薬学教育カリキュラム 3-2教育課程の実施) 8. 仮進級については、「兵庫医科大学薬学部・看護学部・リハビリテーション学部の教務に関する規程」第19条の②に「学長が教授会の意見を聴いて、教育上有益と認めた場合、特に進級させることがある。」と規定されており、各学年の進級判定要件は教授会での承認後、4月の履修ガイダンスにおいて、その年の基準が学生に説明されている。この規程は、「全ての必修科目及び進級に必要な選択科目の単位数について合格の判定を受けた者」と定められている進級基準を満たさない者に進級を認めることになるため、公正かつ厳格な進級判定として、少なくとも具体的にどのような場合が該当するのか明示して、学生に周知する必要がある。また、これを仮進級とすると、規程の文章からは本来の進級と区別ができない。したがって、規程の見直し等、進級判定について改善を図ることが望ましい。(3.薬学教育カリキュラム 3-2教育課程の実施) 9. 単位取得以外に卒業認定に関わる項目としてディプロマ・ポリシーに掲げた学生が身につけるべき資質・能力のルーブリック評価があるが、学生の自己評価にとどまっており、教員による評価を合わせて実施し、形成的評価に活用したり、過去の結果と比較して学年進行による変化を解析することが望ましい。(3.薬学教育カリキュラム 3-2教育課程の実施) 10. 学生の自己評価の結果ではあるが、学年が進むごとにディプロマ・ポリシー達成度が上昇していることから、教育課程の進行に対応した評価として有用であると考えられているが、単年度の学年同士を比較するだけでは、実際の学生群の教育課程の進行に対応しているか明確ではないため、さらなる解析を進めることが望ましい。(3.薬学教育カリキュラム 3-3学修成果の評価) 11. ルーブリック評価はあくまでも学生の自己評価のみであり、学生が身につけるべき資質・能力を、「教育課程の進行に対応して」評価しているとはいえないため、教員による評価やフィードバックも行うことが望ましい。(3.薬学教育カリキュラム 3-3学修成果の評価) 12. 6年生による自己評価の結果が卒業判定教授会に提出され、ディプロマ・ポリシー達成度を認定したとされるが、「2023.02.09薬学部 臨時教授会議事録」によると、卒業確定者に対してディプロマ・ポリシーの達成状況が承認されたとあるので、最終的な 卒業判定の前にディプロマ・ポリシー達成度を確認することが望ましく、また、そのことをすべての学生に事前に周知することが望ましい。(3.薬学教育カリキュラム 3-3学修成果の評価) 13. 学部独自のディプロマ・ポリシー達成度の自己評価の結果を、カリキュラム全体にフィードバックする点について、さらに工夫することが望まれる。(3.薬学教育カリキュラム 3-3学修成果の評価) 14. 「表現力」の評価は、大学入学共通テスト利用入学試験(面接併用型)での二次試験のみでしか実施されていないため、他の入学試験においても改革をさらに進めることが望ましい。(4.学生の受入れ) 15. 一般選抜においては「主体性を持って多様な人々と協働して学ぶ態度」を評価できておらず、学力の3要素の多面的・総合的な評価には至っていないので改善することが望ましい。(4.学生の受入れ) 16. 大学統合前の規程等がそのまま残っており、現状の教育研究活動と齟齬が生じることが懸念されるので、それぞれについて精査し、必要に応じて改訂を行うことが望ましい。(5.教員組織・職員組織) 17. 専任教員1名に対する学生数は2022年5月時点で18.9名、2023年2月時点でも17.0名であり、1名の教員あたり学生10名以内とすることが望ましい。(5.教員組織・職員組織) 18. 教員の教育にかかる時間はほぼ均等に分布しているが、一部の教員の担当時間が多い。教員の研究時間は確保されているので早急に改善を要する状況には至っていないが、各教員の業績を見ると、2019年から著書・論文・学会発表のいずれもない教員が教授1名、准教授1名、講師1名、助教1名いる。教育にかかる時間の格差と直接結びつけることはできないが、すべての教員に対して適切な育研究環境を整備することが重要であり、改善が望まれる。(5.教員組織・職員組織) 19. 兼業規程はあるものの、薬学部として実務経験を有する教員の研鑽を支援するための制度は整備されておらず、自己研鑽の範囲に留まっているため、積極的に研鑽を積むことができる体制の整備が望まれる。(5.教員組織・職員組織) 20. 学生生活実態調査アンケートの回収率については、2021年度の薬学部の回答者は247名と低率であるため、さらに回収率を上げる取り組みが望まれる。(6.学生の支援) 21. 「学校法人兵庫医科大学ハラスメント防止等に関する規程」第8条では、学生からのハラスメント相談窓口は学生相談室であるが、学生には学生相談室以外に学生委員、 - 35 - 担任等の教職員が相談を受け、助言を行うことができると周知されている。ただし、ハラスメントに関しては、被害を受けたと感じた学生が迷わずに相談可能で、中立の立場の窓口を設置することが望ましい。(6.学生の支援) 22. 実務実習を控えた5年生の健康診断受診率は、5月時点で96.1%だったが、最終的な受診率は100%となった。しかし、医療系学部であることを鑑みて他の学年の受診率も100%とすることが望ましい。(6.学生の支援) 23. 薬学部としての留学生受入れや教職員・学生の海外研修等の実績は少なく、教員が海外に留学するための支援制度の設立等も含め、より活性化することが望ましい。(8.社会連携・社会貢献) |
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| 北陸大学 | 私 | 石川県 | 第2期 |
2023年度 |
適 |
自己点検・評価書 基礎資料 正誤票 |
評価報告書
総評
北陸大学 総評 北陸大学薬学部は、北陸大学の建学の精神である「自然を愛し 生命を尊び 真理を究める人間の形成」を基として、「医療人としての倫理観、使命感、責任感及び高度な薬学の知識・技能を身につけ、臨床の現場で実践的な能力を発揮できる薬剤師を養成する」を人材養成の目的として定め、「卒業認定・学位授与の方針」、「教育課程編成・実施の方針」、「入学者受入れの方針」を制定し、6年制薬学教育を行っている。ほとんどすべての講義は撮影され、動画が公開されて学生の自学自習に利用されていること、及び上級生が下級生に教える「ピアサポート体制」が導入されていることなど学修支援体制の整備に努力している点は、北陸大学薬学部の特色と言える。しかしながら、内部質保証体制に関して、薬学部自己点検・評価委員会が十分に機能し
ているとは言い難い。「学修成果の評価指標(アセスメント・ポリシー)」に基づいて、薬学教育研究センターが主体となり、データ収集と検証に取り組んでいるものの、定期的な自己点検・評価は全学組織の主導のもとで行われているため評価基準は機関別評価の基準にとどまっており、薬学教育プログラムの自己点検・評価が不十分である。また、自己点検・評価において重要な位置をしめる学修成果の評価については、パフォーマンス課題で評価するなどの評価方法は構築されているが、学生の自己評価のみで実施されており、教育課程の編成及び実施の改善・向上への活用に至っていない。このような不備は、自己点検・評価の目的が薬学教育プログラムの改善・向上のためであることへの理解不足に起因しており、薬学部自己点検・評価委員会の役割を明確にしてチェック機能が十分に働くように改善する必要がある。薬学教育評価機構による第1期本評価及び再評価において入学定員充足率が低い点が指摘され、入学定員が段階的に削減されたが、依然低い状況である。2024年度入学者選抜では、さらに入学定員が大幅に削減されることになっており、今後の改善状況に期待したい。北陸大学薬学部は、人材養成の目的に基づいて熱意をもって教育研究に取り組む姿勢があり、第三者評価の指摘を真摯に受け止め改善する姿勢もうかがえる。今後、内部質保証体制を整え、自主的に薬学教育プログラムを自己点検・評価して、さらなる発展に努めることを期待する。
大学への提言
北陸大学 大学への提言 1)長所
1. 上級生が下級生に教える「ピアサポート体制」は、低学力者の学修支援だけでなく、教える側の学生の学力向上にもつながる特色のある学修支援方法として評価できる。(6.学生の支援) 2. 主要な講義室の5室にハイフレックス型授業撮影システムが整備され、撮影した授業は薬学部授業アーカイブで公開し、学生の復習や自学自習に利用されていることは、設備が学修支援に有効に活用されていることとして評価できる。(7.施設・設備) 3. 北陸三県の薬剤師会との連携及び市民講座等による啓蒙活動を行い、医療・薬学の発展と地域における保健衛生の保持・向上に積極的に取り組んでいることは評価できる。(8.社会連携・社会貢献) 4. 学生が海外で学修できる教育プログラムを設定していることは、グローバルな視野を持った薬剤師の育成を行っている特色ある教育として評価できる。(8.社会連携・社会貢献) 2)助言 1. カリキュラム・ポリシーにおける学修成果の評価の在り方の記載が不明確であるので、科目レベル及びプログラムレベルの学修成果の評価の在り方をそれぞれ具体的に設定することが望まれる。(1.教育研究上の目的と三つの方針) 2. 教育研究上の目的及び三つの方針の定期的な検証について、学外識者の意見聴取を行い、薬学部教授会へ報告を行っているものの、教授会及び薬学部自己点検・評価委員会で十分議論するには至っていないので、薬学部として主体的に検証していくことが望まれる。(1.教育研究上の目的と三つの方針) 3. 全学教務委員会における学外識者からの意見聴取のみでは、薬学教育プログラムの自己点検としては不十分であるので、カリキュラムの体系性、学習内容など具体的な薬学教育プログラムに関する意見を十分に聴取できるように、薬学部自己点検・評価委員会に外部委員を含めることが望まれる。(2.内部質保証) 4. 教育研究活動の改善は、主に薬学部教務委員会の主導の下で行われ、薬学部自己点検・評価委員会の関与が十分でないので、今後、各ワーキンググループ等の改善案に対するチェックなどを通じて薬学部自己点検・評価委員会が主体となって改善のための活動を行うことが望まれる。(2.内部質保証) 5. 1年次「基礎ゼミⅠ」と2年次「基礎ゼミⅡ」は人の行動と心理に関する教育を主眼とした内容になっていないので、低学年における人の行動と心理に関する教育が体系的に行われるように改善することが望まれる。(3.薬学教育カリキュラム 3-1教育課程の編成) 6. 1年次の人の行動と心理に関する教育における中心科目の1つである「医療人」は講義と演習が実施されているが、SGDが1回しか実施されていないので、態度教育に適したアクティブラーニングを積極的に取り入れることが望まれる。(3.薬学教育カリキュラム 3-2教育課程の実施) 7. 「薬学演習Ⅰ・Ⅱ」で行われているTBL/PBLでは知識レベルの課題が多用されているので、複数領域の知識・技能・態度を総合して活用するという当該科目の学修目標に適した課題・評価方法を開発して、深い学びをするようにアクティブラーニング型授業を行うことが望まれる。(3.薬学教育カリキュラム 3-2教育課程の実施) 8. 学生間の相互評価及び自己評価等の間接評価を成績評価に用いる場合は、客観性・正確性を持たせる工夫をして用いることが望まれる。(3.薬学教育カリキュラム 3-2教育課程の実施) 9. 「アセスメント・マップ」に従った学修成果の評価の解析は緒についたところで、結果の活用までに至っていないので、学修成果の評価結果を教育課程の編成及び実施の改善・向上に活用することが望まれる。(3.薬学教育カリキュラム 3-3学修成果の評価) 10. 総合型選抜方式の受験生のほとんどが選抜試験において合格となっていることや、プレイスメントテストの得点が他の選抜方式の学生より低いことから、学力の3要素に係る十分な学力を有しているとは言えないので、当該学生の資質・能力については、卒業まで注意深く検証していくことが望まれる。(4.学生の受入れ) 11. 入学定員の削減等の方策によって入学定員充足率は改善傾向であるが、入学者数と入学定員数との乖離をさらに改善することが望まれる。(4.学生の受入れ) 12. 助教の比率が低く50歳代以上の教員の割合が61.2%と年齢構成にもやや偏りがあるので、助教の増員などによって是正することが望まれる。(5.教員組織・職員組織) 13. 過去5年間において学術論文及び学会発表がまったくない教員が散見され、また、研究活動を積極的に行うべき准教授、講師、助教の担当授業時間は、教授と同等もしくは超えており、研究活動の低下が懸念されるので、教育研究活動の向上を図るために負担の軽減を検討することが望まれる。(5.教員組織・職員組織) 14. ハラスメントに関する研修会は3~5年ごとしか実施されていないので、ハラスメントが教育研究に及ぼす影響の重大さに鑑み、研修会開催の頻度を高めることが望まれる。(5.教員組織・職員組織) 15. 卒業研究における各研究室への学生配属はおおむね3~5名でほぼ均等であるにもかかわらず、研究室の面積にやや大きな差があるのは、卒業研究の遂行や安全性に問題が生じる可能性があるので、卒業研究を実施する研究室の面積を是正することが望まれる。(7.施設・設備) 3)改善すべき点 1. カリキュラム・ポリシーのうち薬学専門科目などの項目において教育方法が記載されていないので、教育方法を具体的に設定する必要がある。(1.教育研究上の目的と三つの方針) 2. アドミッション・ポリシーには多様な学生をどのように評価・選抜するか等が具体的に設定されていないので、設定することが必要である。(1.教育研究上の目的と三つの方針) 3. 「北陸大学薬学部自己点検・評価委員会規程」の改訂などを行って、薬学部自己点検・評価委員会が十分に機能するように改善することが必要である。(2.内部質保証) 4. 薬学部自己点検・評価委員会が自主的に評価基準を設け、組織的かつ計画的、定期的に自己点検・評価を行い、その結果を公表するように改善することが必要である。(2.内部質保証) 5. 一部の科目のシラバスにおいて記載の不備があるので、必要事項が記載されているかを精査してシラバスを改善する必要がある。(3.薬学教育カリキュラム 3-1教育課程の編成) 6. 6年次「総合薬学演習」において、実務領域に割り当てられているコマすべてと生物領域の一部を、予備校教師が担当しているので、専任教員が授業を行うように改善することが必要である。(3.薬学教育カリキュラム 3-1教育課程の編成) 7. 教育課程及びその内容、方法の適切性の検証は、個々の科目の内容にとどまらず、カリキュラムの体系性、順次性及び学修成果の評価結果も考慮して実施するように改善する必要がある。(3.薬学教育カリキュラム 3-1教育課程の編成) 8. 一部の科目(下記1)~3))の成績評価に問題があるので、各科目において適切な成績評価の方法・基準を設定し、成績評価を公正かつ厳格に行うよう改善が必要である。 1)3年次「衛生環境系実習」は、実習科目にもかかわらず筆記試験70%で評価が行われている。 2)複数の科目において、追再試験及び最終試験の出題問題が、本試験と同一である。 3)1科目の再試験において、60点未満の学生を教員の裁量で合格としている。(3.薬学教育カリキュラム 3-2教育課程の実施) 9. 留年生に再履修を認めることの意義は理解できるが、既修得科目の成績の上書きについては公正な成績評価とは言えないので、この規程については改善する必要がある。(3.薬学教育カリキュラム 3-2教育課程の実施) 10. 「学修ポートフォリオ」と「卒業認定コモンルーブリック」を用いた学修成果の評価方法は、学生が自己評価を行っており間接的な評価にとどまっているので、学生が身につけるべき資質・能力の評価として教員による客観性が高い評価も行うよう改善することが必要である。(3.薬学教育カリキュラム 3-3学修成果の評価) 11. 実習室及び研究室には有機溶剤による中毒が発生したときの応急処置等の事項に関する掲示がないので、それを掲示する、または安全データシートを準備するなどによって、適切に安全管理するよう改善することが必要である。(6.学生の支援) |
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| 第一薬科大学 | 私 | 福岡県 | 第1期 | 2018年度 | 継 |
自己点検・評価書 基礎資料 正誤票 |
評価報告書
総評
第一薬科大学 総評第一薬科大学は、建学の精神である「個性の伸展による人生練磨」を基に、学則第1条 に教育研究上の目的とともに使命を定めている。また、薬学科と漢方薬学科の2学科それ ぞれにディプロマ・ポリシー、カリキュラム・ポリシー、アドミッション・ポリシーを定 め、6年制薬学教育を行っている。 教養教育は1~3年次に社会科学・人文社会系の教養科目、外国語科目を配置している。 ヒューマニズム教育・医療倫理教育およびコミュニケーション力の醸成教育は1年次から 展開しているが、体系的な科目編成や成績評価方法に懸念される点がある。薬学専門教育 は、それぞれの学科に特色ある科目を配置しつつ、薬学教育モデル・コアカリキュラムに 準拠して実施している。問題解決能力は、5、6年次の卒業研究を中心に醸成を図ってお り、また、チーム基盤型学習などのアクティブラーニングの手法を取り入れた授業を積極 的に取り入れている。 実務実習に関しては、4年次を中心に実務実習事前学習科目を配置し、5年次の病院・ 薬局実習で効果的な学習が実践できるように努めている。 学生の受け入れに対しては、アドミッション・ポリシーを定め、入学試験は7つの方式 を用いて、実施している。また、特待生入学試験の成績上位者に対し授業料を免除する制 度を用意しているが、経済的事情のため修学困難なものに対する大学独自の奨学金制度の 受給者は多くない。 教員の採用・昇任は、規定や内規に従って選考しているが、教員の専門分野と、その教 員が所属する研究室分野の専門性が一致しない例が認められる。なお、「教員による授業 の自己評価」はPDCAサイクルを活用した教員自身による教育改善として良い取り組み である。教員の研究環境および学生の学習環境は適切に整えられている。社会との連携で は、福岡県および福岡市薬剤師会、福岡県病院薬剤師会などと連携し、薬学に関する教育 研究の発展に努めている。また、海外の大学との国際交流も進めている。自己点検・評価に関しては、自己点検・評価委員会を設置し、日本高等教育評価機構の 基準に準拠した評価項目を取り入れ、6年制薬学教育を点検・評価している。 しかし、本機構の評価基準に照らして教育プログラムの内容を評価すると、多くの問題 が見出される。改善を必要とする重大な問題点は主に下記のとおりである。 (1) 「薬学演習」「薬学総合演習」「卒業研究Ⅱ」などの科目において、基礎資料およびシ ラバス記載に記載された開講期間(前期、後期、通年)、必須添付資料である時間割表 に示された開講日時、実際の授業スケジュール(訪問調査に合わせて提出された授業 カレンダー)がすべて異なっていることは、カリキュラムの適正な編成とその実施と いう観点において、カリキュラム・ポリシーに沿った教育が適切に実施されていない と判断する。したがって、カリキュラム・ポリシーに沿った教育が適切に実施できる ように授業の配当時期、期間を含めてカリキュラムを見直すことが必要である。 (2) 4年次の教育において、CBT(Computer Based Testing)対策科目である「薬学演 習」に極めて多くの時間が充てられており、過度に偏重していると判断されるので、 カリキュラムの改善が必要である。 (3) 卒業研究が正規の授業時間内に十分実施できるように時間を確保したカリキュラムに 改善すべきである。 (4) 実務実習事前学習は、実務実習モデル・コアカリキュラムが求めている授業コマ数に 足りず、その内容も異なると判断されるので、学習内容や方略を改める必要がある。 (5) 実務系教員の他、各分野の教授を各実務実習施設の担当責任者に充てているが、実際 の各施設の訪問指導教員の割り振りは研究室に任せられており、実務実習委員会の責 任の下で訪問指導教員を任命していない。さらに、訪問指導教員からの施設訪問報告 書の一部は回収されておらず、学生の実習状況の把握としては不適切である。 (6) 入学試験において、合格者数/受験者数が 80%を超える試験が多く認められること、 また学生のストレート卒業率が 20~35%であることは、大学が入学者に求めているモ チベーションや学力が適確に評価されていない可能性が強く示唆されるので、入学者 の適性を判断する方法や基準を再考すべきである。 (7) 履修科目に重複がない卒業留年生に、再履修を必要とせずに不合格科目の再試験の受 験を認め、再試験の合格をもって卒業を認定するという学士課程の修了認定制度は、 学生にとって公平かつ厳格な制度とは言えず、改善が必要である。(8) 大学の教育研究活動を教務的な視点のみならず、学生、入試などの業務組織の視点を 含めて大学全体を総合的に自己点検し、改善を図るPDCAサイクルを確立し、教育・ 研究活動のさらなる向上に繋げることが必要である。 今回の評価において「改善すべき点」として指摘した諸問題を教職員で共有し、改善に 取り組み、第一薬科大学としての6年制薬学教育を構築し、実施することを期待する。
大学への提言
第一薬科大学 大学への提言 1)長所
1. FD活動においては、教員相互の授業参観や講演会、セミナー参加など様々な活動が 企画、運営されている。研修会にも大半の教員が参加しており、適切な運営が行われ ている。また、「教員による授業の自己評価」では、「教員自身による授業評価」「学生 による授業評価に対するコメント」「昨年度の改善計画に対する自己評価」「次年度へ 向けての改善計画」を示すことで、より良い授業の実施に努めており、教員自身によ る教育改善としては良い取り組みであると評価できる。(10.教員組織・職員組織) 2)助言 1. 教育目標は、大学案内に、その全てが記載されず(4)のみが教育目標として掲載さ れているが、(1)~(3)も学外者や受験生に周知することが望ましい。(1.教育 研究上の目的) 2. 「早期臨床体験」の成績評価について、シラバスではSGD・実習等への貢献度・参 加度を50%、レポートを50%と示しているが、SGD・実習等への貢献度・参加度に ついて定量的な形成的評価は行われていないので、形成的評価が可能な評価方法を再 考することが望まれる。(3.医療人教育の基本的内容) 3. シラバスに授業への学外講師の関与やその役割(職種、所属などを含めて)、講義内 容を載せることが望まれる。(3.医療人教育の基本的内容) 4. 授業科目内で基礎と臨床の知見を相互に関連付けた教育が十分行われているとは言えないので、改善することが望ましい。(4.薬学専門教育の内容) 5. シラバスを見る限り、薬事行政や製薬企業に関わる人材が授業等に参画していないの で、これらの人材を活用することが望ましい。(4.薬学専門教育の内容) 6. シラバスの「実務実習事前学習」に記載されたGIO、SBOが、Ⅰ・Ⅱ・Ⅲ・Ⅳお よび無菌操作の5つの領域のどこに相当するのかが分かりにくいので、学生が理解で きるよう、修正することが望ましい。(5.実務実習) 7. 5年次の2期、3期の実習開始直前の復習は行われていないので、実務実習の直前に 実務実習事前学習の到達度が確認されていることが望ましい。(5.実務実習) 8. 事前学習を実務家教員以外の教員に担当させる場合には、臨床現場で研修させるな ど、教員自身に薬剤師業務の知識、技能、態度を自ら修得させることが望ましい。 (5.実務実習) 9. 実務実習全体の学習成果に対する総合的な評価の指標が設定されておらず、それに基 づいた評価が実施されていないので、改善することが望ましい。 (5.実務実習) 10. 卒業論文の基本的な作成要項を作成し、学生に提示することが望まれる。(6.問題解 決能力の醸成のための教育) 11. 問題解決能力の醸成に向けた科目について、SGDやTBLなどのアクティブラーニ ングの手法を取り入れた授業は用意されているが、真の意味で、問題解決能力の醸成 を主眼としている科目が少ないので、問題解決能力の醸成に向けた科目について、そ の目標と教育手法を検証し、問題解決能力の醸成に向けた教育をより充実することが 望まれる。(6.問題解決能力の醸成のための教育) 12. 公募制推薦入試や特待生チャレンジ入試に加え、募集数が最も多い一般入試およびセ ンター試験利用入試についても、学力に加えて医療人としての適性を評価するための 工夫を取り入れることが望ましい。(7.学生の受入) 13. 平成25年度、平成26年度、平成30年度における薬学科の入学定員充足率はそれぞれ、 1.18、1.17、1.12 と 1.1倍を超えており、今後の改善が望まれる。(7.学生の受入) 14. 学則や履修規程等に、留年した学生に対する上級履修の制限について規定を設けるこ とが望ましい。(8.成績評価・進級・学士課程修了認定) 15. 6年間の総合的な学習成果を測定するための有効な指標を設定し、評価することが望 ましい。(8.成績評価・進級・学士課程修了認定) 16. 新入生に対する ガイダンスでの説明内容について、6年間の薬学教育の全体像を俯 瞰できるように改善すべきである。 (9.学生の支援)17. 健康診断の受診率が、3年次生と6年次生が 80%以下と低いので、受診率を上げる努 力が望まれる。(9.学生の支援) 18. ハラスメント委員会活動報告書では、大学としてのハラスメント対策が不十分との意 見も出されており、ハラスメントに対する取り組みを充実させることが望まれる。(9. 学生の支援) 19. 専任教員数と収容定員数から算出される専任教員1名あたりの学生数は20.4名である ので、専任教員1名あたりの学生数を10名に近づけるよう教員を増員することが望ま れる。(10.教員組織・職員組織) 20. 専任教員全体のうち9名(17.6%、全員教授)が、大学の規定の定年である65歳を超 えており、この中には、授業担当時間数の少ない教授も存在し、他の職位の教員の負 担が増加している可能性があるので改善が望まれる。(10.教員組織・職員組織) 21. 非実験系教員に対する研究費ではなく、旅費に支給額の差があることは、非実験系教 員の自己研鑽の機会の制限につながると考えられるので、実験系教員と同額にするこ とが望ましい。(10.教員組織・職員組織) 22. 自己点検・評価委員会には外部評価委員を加えることが望ましい。(13.自己点 検・評価) 3)改善すべき点 1. 「目的および使命」は、学則だけでなく、大学案内、学生便覧、進級ガイダンス資料、 シラバス、ホームページにも記載すべきである。(1.教育研究上の目的) 2. 「薬学演習」「薬学総合演習」「卒業研究Ⅱ」などの科目において、基礎資料および シラバスに記載された開講期間(前期、後期、通年)、必須添付資料である時間割表 に示された開講日時、実際の授業スケジュール(訪問調査に合わせて提出された授業 カレンダー)がすべて異なっていることは、カリキュラムの適正な編成とその実施と いう観点において、カリキュラム・ポリシーに沿った教育が適切に実施されていない と判断する。したがって、カリキュラム・ポリシーに沿った教育が適切に実施できる ように授業の配当時期、期間を含めてカリキュラムを見直すことが必要である。(2. カリキュラム編成) 3. 薬学教育がカリキュラムに従って適正に行われている実態を、学生や社会が確認でき る時間割やシラバスを作成する必要がある。(2.カリキュラム編成) 4. 4年次の教育において、CBT対策科目である「薬学演習」に極めて多くの時間が充てられており、過度に偏重していると判断されるので、カリキュラムの改善が必要で ある。(2.カリキュラム編成) 5. 6年次は、前期に必修科目が3科目、選択科目が6科目実施され、後期に「薬学総合 演習」、「薬学総合演習試験」、学外業者による国家試験対策講座が設定されており、 正規の授業時間内に卒業研究の時間は確保されていないと判断される。したがって、 卒業研究が正規の授業時間内に十分実施できるように時間を確保したカリキュラムに 改善すべきである。(2.カリキュラム編成) 6. 平成29年度に設定した新カリキュラム・ポリシーに基づいて、カリキュラムの検証を 行うことが必要である。(2.カリキュラム編成) 7. 本来、3科目として設定された「基礎薬学演習Ⅱ」、「医療薬学演習」、「臨床薬学 演習」(通年、それぞれ、1、2、2単位)」を、「薬学演習」の1科目として、1 回の試験で成績判定し、一括して単位で付与しているという実態は、学則で規定され た科目が、適正に実施されていないことを示すものであり、改善が必要である。(2. カリキュラム編成) 8. ヒューマニズム教育・医療倫理教育のカリキュラムが体系的に編成されているとは言 えないので、再考する必要がある。(3.医療人教育の基本的内容) 9. ヒューマニズム教育・医療倫理教育に対応する科目において、SBOsの学習領域に 見合った適切な学習方略を用いて実施するよう、改善すべきである。(3.医療人教 育の基本的内容) 10. ヒューマニズム教育・医療倫理教育に対応する科目において、SBOsの学習領域に 見合った適切な指標を定めた評価が行えるよう、改善すべきである。(3.医療人教 育の基本的内容) 11. ヒューマニズム教育・医療倫理教育に対応する科目において、関連科目を総合した目 標達成度を評価する指標を定め、適切に評価することが必要である。(3.医療人教 育の基本的内容) 12. コミュニケーション能力の向上を目的とした科目において、SBOsの学習領域に見 合った学習方略を用いるよう、改善すべきである。(3.医療人教育の基本的内容) 13. コミュニケーション能力の向上を目的とした科目において、SBOsの学習領域に見 合った適切な指標を定めた評価が行えるよう、改善すべきである。(3.医療人教育 の基本的内容) 14. コミュニケーション能力の向上を目的とした科目において、また、関連科目を総合した目標達成度を評価する指標を定め、適切に評価することが必要である。(3.医療 人教育の基本的内容) 15. 実習科目の単位数が計7単位と少ないので、単位数を見直すことが必要である。(4. 薬学専門教育の内容) 16. 大学独自の科目や教育内容が、学生や第三者に理解できるようシラバスに明示する必 要がある。(4.薬学専門教育の内容) 17. 実務実習事前学習(「事前実習直前学習」を含む)は、実務実習モデル・コアカリキ ュラムが求めている授業コマ数に足りず、またその内容も異なると判断されるので、 授業コマ数、内容、方略を改める必要がある。(5.実務実習) 18. 実務実習事前学習の成績評価については、実務実習モデル・コアカリキュラムに示さ れた学習方略に対し、成績評価に占める知識に関する実習試験の割合が70%と高く、 実務実習事前学習の成績評価方法として適切ではない。したがって、実務実習事前学 習の目標達成度を評価するための指標をSBOsに基づいて適切に設定し、それに基 づいて適切に評価する必要がある。(5.実務実習) 19. 実務実習事前学習に関連した科目を含めた総合的な目標達成度を評価するための適切 な指標を設定し、それに基づいて適切に評価する必要がある。(5.実務実習) 20. 訪問指導教員については、実務系教員の他、各分野の教授を各実務実習施設の担当責 任者に充てているが、実際の各施設の訪問指導教員の割り振りは研究室に任せられて おり、実務実習委員会が責任を持って訪問指導教員を任命していない。その上、訪問 指導教員からの施設訪問報告書の一部が回収されておらず、学生の実習状況を大学が 適切に把握していない。すなわち、実務実習に対する大学の指導責任を果たしている とは言えない。したがって、学生の実務実習に対して大学として責任ある指導を行う ための体制を再構築することが必要である。(5.実務実習) 21. 実務実習の成績評価について、シラバスと、資料として提出された「実務実習の成績 評価方法」で異なる評価基準が示されており、学生に対する成績評価方法の開示とい う観点から、不適切と判断されるので、表記を一致させる必要がある。(5.実務実 習) 22. 「卒業研究Ⅰ」については、5年次3月までに実施した研究に関する要旨を提出させ るほか、評価表を用いて研究室の主任が成績を評価しているが、シラバスにはこの様 な成績評価方法は記載されていないので、その内容を学生に正しく開示できるよう、 シラバスを修正すべきである。(6.問題解決能力の醸成のための教育)23. 「卒業研究Ⅰ」や他の科目についても、「卒業研究Ⅱ」と同様にルーブリックなどを 利用して、目標到達度を評価するための指標を用いた成績評価を行う必要がある。(6. 問題解決能力の醸成のための教育) 24. 問題解決能力の醸成教育において、関連科目を総合した目標達成度を評価する指標を 定め、適切に評価することが必要である。(6.問題解決能力の醸成のための教育) 25. 入学試験において、合格者数/受験者数が80%を超える試験が多く認められること、 また学生のストレート卒業率が20~35%であることは、大学が入学者に求めているモ チベーションや学力が適確に評価されていない可能性を強く示唆するものである。し たがって、6年制薬学教育の実施に、より適切なモチベーションと学力を有する学生 を選抜できるよう、入学者の適性を判断する方法や基準を再考する必要がある。(7. 学生の受入) 26. 追試験の受験について、履修規程では、追再試験受験願いの事由が正当であることに 加えて「平素の履修状況および出欠状況が良好であって、受験資格があると認められ た者に限り、学部長が受験を許可する」と定められている。しかし、「出欠状況が良 好」が具体的に何を基準に判断されるかは明記されていないので、教員の主観的な判 断で学生に不公平が生じないよう、細則等で基準を具体的に定義することが必要であ る。(8.成績評価・進級・学士課程修了認定) 27. 学生便覧の「Ⅳ 教務・履修関係」やガイダンス資料に、試験の受験資格として示さ れている「公欠があったとしても、公欠を含む授業欠席回数が授業時間数の3分の1 を超えた場合は、当該科目の受験資格を喪失する。」という規則については、履修規 程に明記されていないので、受験資格を定めている規程に附則として示すべきである。 (8.成績評価・進級・学士課程修了認定) 28. ガイダンス資料に記載された「授業態度が悪いことによる欠席扱い」は、学生の受験 資格につながるものなので、根拠となる規程や基準 を設け、それに従って適正に運用 することが必要である。(8.成績評価・進級・学士課程修了認定) 29. 「自己点検・評価書」では、学士課程の修了判定基準は、学生便覧にて学生に周知し ていると記述されているが、ガイダンスの資料には修了判定基準などは示されておら ず、学生に対してガイダンスで明確な説明と周知をしているとは判断できない。学生 に対する学士課程の修了判定基準の周知はガイダンスでも資料を基に実施すべきであ る。(8.成績評価・進級・学士課程修了認定) 30. 6年次の国家試験受験準備教育科目である「薬学総合演習」の試験が不合格となることで卒業が認定されない学生が多数に及んでいる現状は、学士課程の修了認定が適正 に行われているとは言い難い。6年間の学習成果に対する客観的かつ適正な評価に基 づいて学士課程修了の認定ができるよう、学士課程の修了を認定する方法を改善する ことが必要である。(8.成績評価・進級・学士課程修了認定) 31. 「薬学総合演習」については追試験を実施しておらず、やむを得ず欠席した学生に対 する公平な受験機会を用意していないのは問題であるので、制度を整える必要がある。 (8.成績評価・進級・学士課程修了認定) 32. 履修科目に重複がない卒業留年生を卒業延期生とすることで、再履修を必要とせずに 不合格科目の再試験の受験を認め、再試験の合格をもって卒業を認定するという卒業 留年者に対する学士課程の修了認定制度は、学生にとって公平かつ厳格な制度とは言 えず、改善が必要である。(8.成績評価・進級・学士課程修了認定) 33. 教員の専門分野と、その教員が所属する研究室分野の専門性が一致しない例が認めら れることから、研究室が受け持つ専門科目の教育研究にふさわしい教育・研究上の指 導能力と高い見識を有する教員を採用し、それぞれの研究室に適切に配置する必要が ある。(10.教員組織・職員組織) 34. 自己点検・評価のための組織やその結果をフィードバックする体制は十分に整えられ ていないと判断されるので、自己評価体制を見直す必要がある。(13.自己点検・ 評価) 35. 大学の教育研究活動を教務的な視点のみならず、学生、入試などの業務組織の視点を 含めて大学全体を総合的に自己点検し、改善を図るPDCAサイクルを確立し、教育・ 研究活動のさらなる向上に繋げることが必要である。(13.自己点検・評価) |
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| 第1期 |
2023年度 |
適 |
再評価改善報告書 基礎資料 正誤票 |
再評価報告書
総評
第一薬科大学 総評第一薬科大学薬学部は、建学の精神である「個性の伸展による人生練磨」を基に、「広く 医療に関する専門的な知識・技能・態度を授け、実践的な能力を有する医療人を育成する ことを目的とし、医療福祉の向上、学術の深化に貢献する」ことを使命として定め、これ に基づき、6年制学科の薬学科と漢方薬学科の2学科に、それぞれ学位授与の方針(ディ プロマ・ポリシー(DP))、教育課程の編成・実施の方針(カリキュラム・ポリシー(C P))、入学者受入れの方針(アドミッション・ポリシー(AP))を定めて6年制薬学教育 を行っている。第一薬科大学薬学部の教育プログラムは2018(平成30)年度に行った本評 価において、「カリキュラム編成」、「実務実習」、「学生の受入」、「成績評価・進級・学士課 程修了認定」、「自己点検・評価」に重大な問題点が見出され評価継続となったため、それ らの問題点に対する改善結果について再評価を行った。 「カリキュラム編成」に関しては、教務委員会、及び自己点検・評価委員会が連携して 薬学教育カリキュラムを定期的に検証して改革している。2022年度以降入学者適用カリキ ュラムは2022年度に改定されたCPに基づいて編成されており、1年次~6年次にわたっ て順次性をもって専門教育科目の基礎力定着から臨床薬学の実践的な知識・技能を身につ けるように、計画されている。また、卒業研究を正規の授業時間内で十分実施できるよう に配置し、薬学共用試験や薬剤師国家試験の合格のみを目指した教育に過度に偏らないよ うに図られている。ただし、2022年度以降入学者適用カリキュラムは、現在2年次前期まで実施された状態で、3年次以上の授業科目は未実施であるので、今後カリキュラムを実 施しつつ、継続的に検証して、必要に応じて改善していくことが望まれる。なお、CPを 学生に周知するガイダンス資料にはいくつか間違いがあり、CPを学生に周知するガイダ ンスを適切に実施するように改善することが必要である。 「実務実習」に関しては、「事前学習」、「実務実習直前学習」を含めて「薬学教育モデル・ コアカリキュラム平成25年度改訂版」(改訂モデル・コアカリキュラム)に準拠して適正に 実施されている。薬学共用試験は「2022年度薬学共用試験実施要項」に基づいて公正かつ 円滑に実施されている。「事前学習」の成績評価は、以前はその評価に占める筆記試験(知 識)の割合が高かったが、2022年度ではその割合を少なくし、改訂モデル・コアカリキュ ラムに示す学習目標の到達度を評価するのに適した評価が行われるように改善されている。 「実務実習」の成績評価は、病院、薬局ともに、指導薬剤師による実務実習評点表の評価 と、実務実習生担当教員による態度及び実務実習書の評価によって行われている。 「学生の受入」に関しては、APを定め、それに基づいて、入学試験は8つの区分で行 われており、共通テスト利用選抜試験方式では学力だけであるが、それ以外の7つの入試 区分では面接による適性の評価、及び入試区分に応じた学力の評価が行われている。しか し、入試においての合格者数/受験者数の比率が高く、1年次、2年次での退学者が多く、 ストレート卒業率が低いことなど、これらの入学者選抜試験の結果と修学状況から、大学 が6年制学科の入学者に求めているモチベーションや学力が、入学者選抜において適確に 評価されていないと考えられるので、受験者を適切に評価するための選抜方法や基準によ り入学者選抜を行うように改善する必要がある。 「成績評価・進級・学士課程修了認定」に関しては、DPは建学の精神と学科ごとの教 育目標に基づいて設定し、おおむね公正かつ厳密に行われている。ただし、実質的に「薬 学総合演習」1科目の合否により卒業判定がなされている現状は、本評価時から改善され ておらず、6年間の学修成果に対する適正な評価に基づいて学士課程修了の認定ができる ように、学士課程の修了を認定する方法をさらに改善することが必要である。 「自己点検・評価」に関しては、自己点検・評価委員会を設置し、6年制薬学教育の内 部質保証を目的とした自己点検・評価が行われ、6年制薬学教育の実施に関連した一部の 問題点は改善されているが、自己点検・評価の結果が教育研究活動の改善に活用されてい るとはいえない点があるので、教育研究活動を総合的、多面的に自己点検し、問題点の改 善を図るPDCAサイクルを十分に機能させ、教育研究活動のさらなる向上に繋げること が必要である。以上のように、第一薬科大学薬学部は、本評価において指摘された多くの問題点に対し て真摯に改善に取り組んでおり、未だ改善されていない事項はあるものの、本評価におい て適合と判断されていた諸中項目を合わせて、本機構の定める「薬学教育評価 評価基準」 に適合していると判断できる。 第一薬科大学薬学部には、再評価で指摘された改善すべき点と助言、及び本評価の提言 への対応が十分にはなされていない問題点の改善に取り組み、薬学教育のさらなる向上に 努めることを期待する。
大学への提言
第一薬科大学 大学への提言1)助言
1. 2015(平成 27)年から 2021 年までのカリキュラムマップは、カリキュラムの順次性や 統合性などもわかるカリキュラムツリーとしての性質が付与されているのに対し、 2022 年度以降の入学生に適用しているカリキュラムマップは、科目と「薬剤師として 求められる基本的な資質・能力」との関係性が示されていないので、これを明示するよ うに改善することが望まれる。(2.カリキュラム編成) 2. 2022 年度以降の入学生に適用しているカリキュラムマップは、順次性や統合性が分か りにくいので、これらを学生が理解できるようにカリキュラムマップの他にカリキュ ラムツリーも作成することが望まれる。(2.カリキュラム編成) 3. 新たに導入する「科目横断演習 IV〜VI」、「科目複合演習Ⅰ,Ⅱ」のシラバスの内容は 学習項目を羅列したものであり、1年後期に実施された「科目横断演習Ⅰ」の演習課題 は、知識を記憶する課題が多く、統合的な能力が学生の身につくようにデザインされ てはいないので、薬剤師として求められる統合的能力を醸成する授業内容となるよう に授業計画を見直し、適切な学習課題、学習方法、評価方法を用いた授業を計画・実施 していくことが強く望まれる。(2.カリキュラム編成) 4. 問題解決能力を醸成する科目として実習科目を挙げているが、低学年の実習では、体 験的な学習方法により知識を学ぶ内容が多いので、低学年から学年進行に応じて、問 題発見・問題解決能力を醸成するよう、カリキュラムの内容を充実させることが望ま れる。(2.カリキュラム編成) 5. 2022 年度以降入学者適用カリキュラムは、現在2年次前期まで実施された状態で、3 年次以上の学年を対象とする授業科目は未実施で、シラバスも提示されておらず、カ リキュラムが改善途上にあるので、今後カリキュラムを実施しつつ、継続的に検証し て、必要に応じて改善していくことが望まれる。(2.カリキュラム編成) 6. 実務実習のルーブリックを用いる評価による学習の成果・効果について、評価指標の 適切性を含めて評価結果の解析を行い、その結果とともに、「実務実習事前学習」以外 の事前学習の科目を含めた、「事前学習」の総合的な目標達成度の評価に適切な指標を 設定し、総合的な評価を実施する方法の改善をさらに進めることが望まれる。(5.実 務実習)7. 実務実習生担当教員としての助手が担当する業務内容が明確ではないので、業務を明 らかにしたうえで、実務実習生担当教員として求められる基準を定め、その基準に基 づいて適切性を評価することが望まれる。(5.実務実習) 8. 実務実習生担当教員による態度の評価において、評価の内容が本来の学修目標にそぐ わないものが多くあるので、学修目標を適切に評価できるように評価の内容を改善す ることが望まれる。(5.実務実習) 9. 留年した学生が上位学年配当の授業科目を履修できないことを留年生ガイダンスの資 料に明記し、学生に周知することが望まれる。(8.成績評価・進級・学士課程修了認 定) 10.新しいカリキュラムが導入された 2022 年度では卒業率が低いので、2022 年度以降の 入学者から適用される 2022 年度以降入学者適用カリキュラムによる改善の効果を継 続的に追跡調査・分析して原因を抽出し、その改善による卒業率の向上が望まれる。 (8.成績評価・進級・学士課程修了認定) 11.ディプロマ・ポリシーに示された、卒業時に身につけるべき資質能力の総合的な学修 成果の評価について、学修成果を可視化するためのアセスメントの指標は定められて おらず、学修成果の評価が実施されていないので、総合的な学修成果を測定する指標 を設定し、それに基づいて測定することが望まれる。(8.成績評価・進級・学士課程 修了認定) 12.ディプロマ・ポリシーに示された、卒業時に身につけるべき資質能力の総合的な学修 成果の評価指標の設定と評価の実施方法などについてカリキュラム・ポリシーに具体 的に記載することが望まれる。(8.成績評価・進級・学士課程修了認定) 13.2022 年度の委員会活動の点検・評価書における達成度の表現が統一されておらず、第 一薬科大学薬学部の自己点検・評価委員会作成の自己点検・評価書の評価項目との関 係も明示されていないので、達成度の表現の統一、及び薬学部の自己点検・評価書の 評価項目との関係を明示してPDCAサイクルを十分に機能させることが望まれる。 (13.自己点検・評価) 14.教学IR委員会が提供するデータとその解析に基づいて、薬学教育カリキュラムの改 善を行うことが望まれる。(13.自己点検・評価) 2)改善すべき点 1. 4月のガイダンスにおいて、たとえば、カリキュラム・ポリシーを学生に周知するガイダンス資料では、2022 年度の薬学科1年次生の資料のタイトルが「漢方薬学科」に (内容は薬学科のカリキュラム・ポリシー)、漢方薬学科の1年次生及び1年次留年生 のカリキュラム・ポリシーが薬学科の1年次生のカリキュラム・ポリシーに、漢方薬 学科の5年次生のカリキュラム・ポリシーが薬学科のカリキュラム・ポリシーになっ ているほか、ディプロマ・ポリシー、アドミッション・ポリシーの資料もガイダンス の対象となる学科とポリシーの対応に誤りが多い。これは、教育課程の編成・実施の 方針が学生に周知されているといえない状況なので、学生に対して3つのポリシーを 正確に伝えるように改善する必要がある。(2.カリキュラム編成) 2. 入学者選抜試験の結果と修学状況から、大学が6年制学科の入学者に求めているモチ ベーションや学力が、入学者選抜において適確に評価されていないと考えられるので、 受験者を適切に評価するための選抜方法や基準により入学者選抜を行うように改善 する必要がある。(7.学生の受入) 3. 6年次留年生に対して開講されている「薬学総合演習」は、シラバスには通期科目と 記載されているが、実際には前期終了時に単位認定している。6年次留年生に対して 前期に集中して開講する場合も再履修として通常の通期科目と同様の内容の授業と 試験を行うべきであり、適切な単位認定のためにシラバスへ対象学年、開講時期、授 業の内容等を明記するように改善する必要がある。(8.成績評価・進級・学士課程修 了認定) 4. 「薬学総合演習」1科目の合否により卒業判定がなされている状況は、本評価時から 改善されていないので、6年間の学修成果に対する適正な評価に基づいて学士課程修 了の認定ができるように、学士課程の修了を認定する方法をさらに改善する必要があ る。(8.成績評価・進級・学士課程修了認定) 5. 中項目2の教育課程の編成・実施の方針の学生への周知、中項目8の学士課程の修了 認定の在り方を含めて、自己点検・評価の結果が教育研究活動の改善に活用されてい るとはいえない点があるので、教育研究活動を総合的、多面的に自己点検し、問題点 の改善を図るPDCAサイクルを十分に機能させ、教育研究活動のさらなる向上に繋 げることが必要である。(13.自己点検・評価) |
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| 国際医療福祉大学 | 私 | 栃木県 | 第1期 | 2019年度 | 継 |
自己点検・評価書 基礎資料 正誤票 |
評価報告書
総評
国際医療福祉大学 総評国際医療福祉大学薬学部薬学科は、医療福祉系総合大学の一学部として開設され、建学の理念に基づいた薬学部の「教育研究上の目的」が学則上に明記されている。さらに、薬学部の単一学科である薬学科の目的は、「国際医療福祉大学教育研究上の目的を定める規程」に記載されている。薬学教育カリキュラムは、基礎教育から専門教育へと学年の進行に沿って編成されているが、カリキュラム・ポリシー(教育課程の編成・実施の方針)が教育課程の編成と実施方針として設定されているとは言えない。4、6年次のカリキュラムが薬学共用試験(CBT(Computer Based Testing))および国家試験対策に過度に偏ったものとなっており、カリキュラム編成が適切であるとは言い難い。また、カリキュラムに関してこういった問題点を点検し、必要に応じた変更を行う体制が機能しているとは言えない。医療人教育の基本となる教育は、系統的に行われてはいるが、ヒューマニズム教育・医療倫理教育、コミュニケーションの基本的能力を身につけるための教育などに、カリキュラム編成の不備や学習方略・評価方法などに関する問題点が認められる。教養系科目は医療福祉系総合大学の特色を活かして、幅広い科目が開講されているものの、実際に選択できる科目は少ない。薬学専門教育に向けた準備教育やリメディアル教育は、入学前教育から開始されているが、入学後の教育は学生の入学前の学修歴を考慮した対応になってはいない。なお、安全教育はおおむね適正に実施されている。薬学専門教育の構成・内容は、薬学教育モデル・コアカリキュラムに準拠しており、大学独自の専門科目も医療福祉系総合大学の特色を活かして多く開講されている。実務実習の事前学習は、実務実習モデル・コアカリキュラムに基づいて行われており、薬学共用試験(CBTおよびOSCE(Objective Structured Clinical Examination))は、薬学共用試験センターの「実施要項」に基づいて適切に実施されている。実務実習施設への配属は、学生の希望や居住地を考慮して決定されており、薬局は関東地区調整機構、病院は大学附属病院、独自の契約病院、および関東地区調整機構により適切な規模のもの- 2 -が選定されている。卒業研究は5、6年次の必修科目として設定され、5年次の実務実習期間を除き、6年生の9月までがそのための期間として配置されており、卒業研究の時間は、単位数(4単位)に対応する時間が確保されている。卒業研究発表会は毎年9月上旬に薬学部主催で開催され、卒業論文は9月末までに提出されている。入学者選抜は、多様な志願者に対応できるよう6つの形式で実施されているが、合格者の決定に薬学部教授会の意見が反映できる制度となっていない。また、1、2年生において留年者、退学者が多いことから、入学者選抜において入学後の教育に求められる基礎学力を適確に評価する必要がある。成績評価の方法・基準は学則で規定され、学生に周知されており、各科目の成績評価はそれに基づいて行われている。評価結果に疑義がある場合は、答案の開示等が行われ、異議申し立てを行うことができるなど、公正な成績評価を行う体制が出来ている。進級と卒業の判定は、規程に沿った判定基準で厳正に行われているが、卒業の可否判断が実質的には国家試験受験に向けた演習科目である「特別薬学講義・演習」の合否に基づいて行われていることは好ましくない。学生の生活支援に関しては、奨学金制度の充実、学生相談室の設置など支援体制の整備がなされている。また、学生生活アンケートの実施など、学生の意見の抽出も行われて改善に結び付けている。専任教員数は大学設置基準を満たしているが、教育研究業績が十分ではない教員に対する学部からの指導、教員に対する教育研究費や卒業研究指導に係る経費の配分、研究時間への配慮が適切に行われているとは言えない。教育研究に必要な施設、設備、図書などの学習環境は整えられており、医療界との交流・連携などに関しては、複数の教員が地域の薬剤師会、病院薬剤師会の役員として、または、国や県の行政機関の委員会や審議会の委員として活動している。薬学教育プログラムについては、薬学部として適切な項目に対して自己点検・評価を行う体制・組織の整備が必要であり、特にカリキュラム編成、シラバス等について十分な自己点検・評価が行われているとは言えない。教育プログラムの質の担保と改善に向けて、自己点検・評価を恒常的に行い、その結果を教育研究活動の改善に反映するよう真摯かつ適切に取り組む必要がある。以上のように、国際医療福祉大学薬学部薬学科の薬学教育プログラムは、本機構の評価基準に照らして評価すると、多くの改善を必要とする重大な問題が見出される結果となっ- 3 -た。今回の評価で「適合水準に達していない」と評価された「中項目」について、末尾の「改善すべき点」で指摘されている問題点を中心として、全面的な改善を図り、再評価を申請されると共に、それら以外の中項目に関しても「改善すべき点」で指摘されている問題点の改善に努め、国際医療福祉大学薬学部の6年制薬学教育の向上・発展を図られることを期待する。
大学への提言
国際医療福祉大学 大学への提言1)助言1. 「国際医療福祉大学教育研究上の目的を定める規程」の薬学科の項に、上位規程となる学則が定めている「研究」への言及がないことは好ましくないので、学則と整合するよう修正することが望ましい。(1.教育研究上の目的)2. 薬学部の教育研究上の目的に「国際性」に関する内容を含めるようにすることが望ましい。(1.教育研究上の目的)3. 教職員に対して「教育研究上の目的」をFDなどを通じて周知することが望ましい。(1.教育研究上の目的)4. 教育研究上の目的について定期的に検証するよう努めることが望ましい。(1.教育研究上の目的)5. カリキュラム・ポリシーの周知のために教職員を対象としたFDを開催することが望ましい。(2.カリキュラム編成)6. 薬学部ホームページでカリキュラム・ポリシーを公表することが望ましい。(2.カリキュラム編成)7. 英語教育は実質的には1年次、2年次の必須科目での教育にとどまっており、3~6年次までの選択科目の履修者が極めて少ないので、履修者を増やす工夫をすることが望ましい。(3.医療人教育の基本的内容)8. 薬学専門領域の英語学習について、系統的な教育体系を整えることが望ましい。(3.医療人教育の基本的内容)9. 薬害、医療過誤、医療事故防止などに対する医療安全教育において、被害者の家族や弁護士などによる講義、講演会を実施することが望ましい。(3.医療人教育の基本的内容)10. 大学が主体となった生涯学習の意欲醸成のための直接的かつ体系的なプログラムが行われていないので、改善することが望ましい。(3.医療人教育の基本的内容)11. 独自性の高い「医療系総合大学の特徴を活かした科目」の履修を容易にするように時間割編成を考慮することが望ましい。(4.薬学専門教育の内容)12. 「病院・薬局事前実習Ⅰ」では、実務実習モデル・コアカリキュラムではない演習(基礎科目のCBT対策とみられる演習)については、内容を変更するなどの改善が望まれる。(5.実務実習)13. 実習全体の総合的な学習成果を適切な指標に基づいて評価することが望ましい。(5.- 39 -実務実習)14. 卒業研究の実質的な実施時間がシラバスおよび時間割上の設定期間・時間と乖離しているので、卒業研究の実質的な実施時間を反映した時間割の配置および単位設定に努めることが望ましい。(6.問題解決能力の醸成のための教育)15. 「研究マインド養成講座」および「集中講義」を「卒業研究の一部」と位置付けていることは適切でないので改善することが望ましい。(6.問題解決能力の醸成のための教育)16. 卒業研究(発表会・論文)の評価を公正かつ厳格に実施するシステムを整えて、実質的に複数教員によって実施するように努めることが望ましい。(6.問題解決能力の醸成のための教育)17. 問題解決能力醸成科目の単位数を基準にある18単位以上に増やすことが望ましい。(6.問題解決能力の醸成のための教育)18. 薬学部ホームページにアドミッション・ポリシーを掲載することが望ましい。(7.学生の受入)19. 医療人としての適性を評価する工夫として、全ての入試制度で面接を取り入れることが望まれる。(7.学生の受入)20. 一部のシラバス(「生命倫理」「化学系薬学実習Ⅰ」「特別薬学講義・演習」)に評価寄与率の記載漏れがあるので、記載することが望ましい。(8.成績評価・進級・学士課程修了認定)21. 各学年はじめに進級条件を新たに説明することが望ましい。(8.成績評価・進級・学士課程修了認定)22. ディプロマ・ポリシーを教職員に周知するためにFDを開催することが望ましい。(8.成績評価・進級・学士課程修了認定)23. ディプロマ・ポリシーを薬学部ホームページに掲載することが望ましい。(8.成績評価・進級・学士課程修了認定)24. 「特別薬学講義・演習」では、薬剤師教育の態度に関する形成的評価は行われておらず、6年間の教育成果の総合的な評価にはなっていないので、適切な評価法を確立して実施することが望ましい。(8.成績評価・進級・学士課程修了認定)25. 実験実習における教員1名あたりの担当学生数が20人を超えている一部の実習(基礎薬学実習(物理)、物理系薬学実習)については、安全性を考慮し、早急に担当教員を増員して担当学生数を20人以下にすることが望ましい。(9.学生の支援)- 40 -26. 医師教員は薬学部では実務家教員には分類されないので実務家教員の員数から除外することが望ましい。(10.教員組織・職員組織)27. 専任教員1名あたりの学生数が20名を超えているので、教育水準の一層の向上を図るために専任教員数の増員が望ましい。(10.教員組織・職員組織)28. ホームページ上の教員の活動の開示では、一部の教員では5年以上前の情報が記載されているので、毎年更新することが望ましい。(10.教員組織・職員組織)29. 薬学部担当職員の増員を行うことが望ましい。(10.教員組織・職員組織)30. 職員と教員との意見交換などを通した事務職員の資質向上の体制を整備することが望ましい。(10.教員組織・職員組織)31. 薬学部独自のFD、SD(事務職員と教員、技術職員等を対象)が行われていないので、開催することが望ましい。(10.教員組織・職員組織)32. 卒業研究に使用できる学生1人あたりのスペースが十分でない研究室があるので、卒業研究が十分実施可能となるような環境を整備することが望ましい。(11.学習環境)33. 薬学部が主体となった卒後研修プログラムの提供が行われていないので主体的に実施することが望ましい。(12.社会との連携)34. 主キャンパスが所在する大田原地区での公開講座が開催されていないので開催するよう努めることが望ましい。(12.社会との連携)35. 英文ホームページに研究内容を掲載するなど薬学部の教育研究活動を広く海外に発信することが望ましい。(12.社会との連携)36. 教員の海外留学が行われていないので体制を整え機能させることが望ましい。(12.社会との連携)37. 自己点検・評価を行う組織に外部委員を含むように努めることが望まれる。(13.自己点検・評価)2)改善すべき点1. 薬学部ホームページ上に教育研究上の目的を掲載するように改善する必要がある。(1.教育研究上の目的)2. カリキュラム・ポリシーを教育目標の列挙ではなく、「教育研究上の目的」およびディプロマ・ポリシーを達成するための方針となるように改善する必要がある。(2.カリキュラム編成)- 41 -3. カリキュラムを・ポリシーを設定する体制が機能しているとは言えないので、定期的な見直しを行うなど適切に機能するように改善する必要がある。(2.カリキュラム編成)4. 4、6年次後期において、予備校が担当する共用試験および国家試験対策と考えられる講義に正規科目が配置されるべき多くの時間数を割り当てているなど、高学年の教育が薬学共用試験および薬剤師国家試験の合格のみを目指した教育に過度に偏っているので、改善が必要である。(2.カリキュラム編成)5. カリキュラムの構築と教育効果の検証、これに基づいた改善等の迅速な対応を行う体制を整え、機能させるように改善する必要がある。(2.カリキュラム編成)6. 医療人教育の基本として重要な意味を持つヒューマニズム教育・医療倫理教育に関わる科目の設定が適切ではないことは、こういった教育が十分に行われていないことを意味しており、改善が必要である。(3.医療人教育の基本的内容)7. ヒューマニズム教育・医療倫理教育として不適切な科目以外の科目でも、多くの科目が座学に留まっており、SGD等の能動的学習方法を採用している科目が少ないので、改善が必要である。(3.医療人教育の基本的内容)8. ヒューマニズム教育・医療倫理教育科目において、学習成果を総合した目標達成度の指標を示した評価が行われていないので、改善することが必要である。(3.医療人教育の基本的内容)9. コミュニケーション能力および自己表現能力を涵養する科目において、学習成果を総合した目標達成度の指標を示した評価が行われていないので、改善することが必要である。(3.医療人教育の基本的内容)10. 新カリキュラムの英語科目において、「書く」に関する要素を実施する必要がある。(3.医療人教育の基本的内容)11. 入学後のリメディアル教育が学生の入学までの学修歴等を考慮した教育プログラムとなっていないので、改善することが必要である。(3.医療人教育の基本的内容)12. 早期体験実習において実施されている、薬剤師が活躍する現場の見学は実質的に1分野なので、全員が大学の設定した全分野にわたって広く見学できる体制をつくる必要がある。(3.医療人教育の基本的内容)13. 医療人教育については、薬学6年制教育において重要な意味を持つヒューマニズム教育・医療倫理教育を始め、カリキュラム編成や学習方法、目標達成度の評価などに多くの問題点が認められる。これらについて、薬学教育カリキュラムの構築を担う「薬- 42 -学部教務委員会」による点検・改善に向けた早急な対応が必要である。(3.医療人教育の基本的内容)14. 大学独自教育科目について、独自の科目および独自のSBOsであることが示されていないので、シラバス等に明示することが必要である。(4.薬学専門教育の内容)15. 事前学習の評価において総合的な目標達成度の評価が行われていないので、改善が必要である。(5.実務実習)16. 問題解決能力を醸成する科目において、能動的教育を実施している時間数と内容がシラバスに明確に示されていないので、改善する必要がある。(6.問題解決能力の醸成のための教育)17. 卒業研究を含めた問題解決能力の醸成に関する科目の成績評価において、個々の科目を総合した問題解決能力の醸成に対し、目標達成度の評価が行われていないので、改善する必要がある。(6.問題解決能力の醸成のための教育)18. 入学者の決定に際して、薬学部教授会には、入試判定会議による決定事項が報告されるのみで、合否判定には直接関与していないので、改善する必要がある。(7.学生の受入)19. 低学年の留年率・退学率が高い状況は、入学者選抜において入学後に必要な基礎学力が適確に評価されていないことを示しているので、合格とする基準を見直すなど、入学者選抜を改善すべきである。(7.学生の受入)20. 学力不足の入学者に対する、入学後のリメディアル教育の充実など、適切な対策を講じることが必要である。(8.成績評価・進級・学士課程修了認定)21. 薬剤師国家試験の対策科目としての性格が強い「特別薬学講義・演習」の試験が卒業試験として扱われ、卒業の可否が事実上この試験の合否によって決められていることは、学士課程の修了をディプロマ・ポリシーの到達によって判定しているとは言えないので、改善する必要がある。(8.成績評価・進級・学士課程修了認定)22. 過去5年間の業績が全くないか極めて少ない教員や教育に関する業績がほとんどない教員が見られるので、これらの教員に対しては、学部として適切な教育研究活動を行うよう指導する対応が必要である。(10.教員組織・職員組織)23. 各教員に対する個人教育研究費が予算化されていない制度を改め、予算化して配分するように改善する必要がある。(10.教員組織・職員組織)24. 卒業研究を指導するための経費が予算化されていない制度を改め、予算化して指導教員に配分するように改善する必要がある。(10.教員組織・職員組織)- 43 -25. 講義・実習の担当時間が過大な教員がいるので、研究時間が十分確保できるように改善する必要がある。(10.教員組織・職員組織)26. 薬学部独自の自己点検・評価を行う組織が常置され、機能しているとは言えないので、改善が必要である。(13.自己点検・評価)27. 薬学部独自の自己点検・評価書が作成されていないので、改善が必要である。(13.自己点検・評価)28. 本来大学が恒常的に行うべき教育プログラムに関する自己点検・評価とその結果の教育研究活動の改善への反映に対する恒常的・継続的な取り組みが十分に行われていないので、自己点検・評価・改善を担う体制を早急に整え、真摯かつ適切に機能させるように改善することが必要である。(13.自己点検・評価)
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異議審査書 |
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| 第1期 |
2023年度 |
適 |
再評価改善報告書 基礎資料 正誤票 |
再評価報告書
総評
国際医療福祉大学 総評国際医療福祉大学薬学部は、教育研究上の目的に基づき学位授与の方針(ディプロマ・ ポリシー;DP)、その達成に向けた教育課程の編成・実施の方針(カリキュラム・ポリシ ー;CP)、入学者受入方針(アドミッション・ポリシー;AP)を定めて6年制薬学教育 を行っている。 国際医療福祉大学薬学部の教育プログラムは、2019年度に行った本評価に おいて、「カリキュラム編成」、「医療人教育の基本的内容」、「学生の受入」、「教員 組織・職員組織」、「自己点検・評価」に重大な問題点が見出され評価継続となったため、 それらの問題点に対する改善結果について再評価を行った。 国際医療福祉大学薬学部では、2019年度にDPおよびCPの再検討を行い、新しく策定 されたDP・CPに基づいて、2020年度にカリキュラムを再編した。また、これらを見直 すために「総合カリキュラム検討委員会」、「ポリシー検討部会」、「薬学部自己点検・評価 委員会」が設置され、改善に向けての体制が整備された。このカリキュラム編成に伴い、 CBT(Computer Based Testing)対策の色合いが強かった「薬学演習Ⅰ・Ⅱ」、国家試験 対策としての「総合薬学演習Ⅰ・Ⅱ」にSGD(Small Group Discussion)を導入するな どの変更が図られた。しかしながら、これら演習科目では選択肢式の問題が多数使用され CBTあるいは国家試験対策の側面も色濃く残されており、さらに「総合薬学演習Ⅰ・Ⅱ」 の合否が実質的に国家試験の受験資格となっていることから、国家試験対策に過度に偏っ ているとまでは言えないが、これら科目の合否判定と国家試験の出願を切り離すなど、さらなる改善が求められる。 医療人教育の基本的内容については、2019年度の薬学教育評価機構本評価での指摘事項 への対応として関連科目の内容が見直され、サポート体験とディベート、SGDと発表会 などが導入された。また、「薬学演習Ⅰ・Ⅱ」や「総合薬学演習Ⅰ・Ⅱ」の中に、ヒューマ ニズムや医療倫理の育成を目的としたSGDやレポート作成が追加された。しかしながら 実際には、これら科目は専門教育の復習が主な目的となっており、SGD等の導入を持っ てヒューマニズムや医療倫理の育成を目的とする科目と捉えることは難しく、ヒューマニ ズムなどの育成を目的とする内容は別科目として設定する必要がある。 医療人教育については、「総合カリキュラム検討委員会」などを立ち上げて再検討され、 改善が図られている。ヒューマニズム教育・医療倫理教育の学修成果を総合的に評価する 方法として「コンピテンシーに基づく到達度評価」が導入され、現在はトライアルの段階 だが、改善に向けた努力がなされている。 教養教育については、「総合講義(現代社会をどう見るか)」などが、社会のニーズに即 した選択科目として追加された。また、DP6 医療の担い手を目指す者として、幅広い教養 と豊かな人間性を育み、生涯にわたって自他ともに研鑽しあえる姿勢および意欲を有して いる。」への到達を重視して、「医療必修-医療の倫理とプロ意識・医療情報」などが、必修 科目として設定された。英語教育の一環として、5年次に「英語による服薬指導演習」が 設けられ、英語での服薬指導のロールプレイを実施していることは、評価できる。 医療安全教育については、「医薬品安全性学」などにおいて、2019年度の本評価で指摘さ れた事項の改善が図られた。生涯学習の意欲醸成のためのプログラムについては、卒業生 を招いた講演会などが導入され、改善された。生涯学習については、「生涯学習プログラム 検討委員会」が設置され、2019年度に2020年度以降の生涯学習プログラムの内容が見直さ れた。 学生の受け入れについては、薬学教育評価機構本評価での指摘を受けて設置された「薬 学部教員代表者会議」で合格者選抜が行われることとなった。2019年度以降は、総合型選 抜と学校推薦型選抜の合格者を増やして学修に意欲を持つ入学者を確保した結果、補欠合 格者数は減少しており、それに伴い、2019年度~2021年度の1年次の進級率は91~92%と 2018年度の85%より高くなっている。しかしながら、ストレート卒業率は約60%であり、 入学者選抜に当たって、入学後の教育に求められる基礎学力が適確に評価されているとは 言い難く、既に着手されてはいるが、入試問題や補欠入学の再検討、補欠入学者の入学後 の状況、進級率、留年者及び退学者の詳細な解析など、入試選抜方法のさらなる改善が期待される。 教員組織・職員組織については、2022年5月現在の専任教員数は41名(実務家教員13名) であり、大学設置基準の必要専任教員数を満たしている。なお、2023年度に教員3名が増 員され、専任教員1名当たりの学生数は24.5名に改善されたが、専任教員数のさらなる増 加が望まれる。専任教員についての職階ごとの構成は、おおむね適正なものとなっている。 教員の採用は適正に行われているが、選考過程において模擬講義は実施されておらず、教 育上の指導能力を評価する上で模擬講義等の導入が望まれる。2019年度の本機構からの指 摘に従って薬学部事務職員5名が配置された。また、薬学部独自のグッドティーチング賞 を制定し、受賞者が薬学部FD(Faculty Development)にて発表し質疑応答を行うことで 教員の質向上を目指していることは、評価できる。 研究活動に関しては、本評価での指摘を受け、教員の自己点検報告書を基に学部長と学 科長が業績を評価する体制が整えられ、全教員の業績が適切に評価されるようになった。 FD、SD(Staff Development)については適切に実施されている。 自己点検・評価については、「薬学部自己点検・評価委員会」が中心となり、「総合カリ キュラム検討委員会」、「進級率向上委員会」などの各委員会において、適宜必要な対応が なされている。しかしながら、現段階での対策の多くは2019年度の本評価受審時に指摘さ れた事項に対する取り組みであり、6年制薬学教育の内部質保証を図るためには、独自の 評価項目を設定し、自主的に6年制薬学教育プログラム全体の自己点検・評価を統合的恒 常的に行い、その結果を教育・研究活動の改善に役立てることが求められる。 以上のように、国際医療福祉大学薬学部は、本評価において指摘された多くの問題点に 対して真摯に改善に取り組んでおり、本評価において適合と判断されていた諸項目を合わ せて、本機構の定める「薬学教育評価 評価基準」に適合していると判断できる。
大学への提言
国際医療福祉大学 大学への提言 1)長所
1. 5年次の「英語による服薬指導演習」(非正規科目)では、模擬患者としてボランティ ア(英会話教室の教員や留学生)に参加してもらい、英語での服薬指導のロールプレ イを実施していることは、グローバル化に対応して薬剤師の資質を向上させる上で、 特色ある取り組みとして評価できる。(3.医療人教育の基本的内容) 2. 2022 年度から薬学部独自の「学生が選ぶグッドティーチング賞」を設け、受賞者が薬 学部FDにて発表し質疑応答を行うことで、教員の質向上を図っていることは、特色 ある取り組みとして評価できる。(10.教員組織・職員組織) 2)助言 1. 「教育研究上の目的」の文言の記載が、学則と国際医療福祉大学教育研究上の目的を 定める規程で異なるので、統一することが望まれる。(2.カリキュラム編成) 2. 学生便覧に「教育理念」の記載はあるが、「教育研究上の目的」の記載がないので、明 記することが望ましい。(2.カリキュラム編成) 3. DP5「地域に貢献する姿勢と実践能力を有している。」、DP7「研究マインド」に対応する 言葉がCP(カリキュラム・ポリシー)になく、明記が望まれる。(2.カリキュラム 編成) 4. 学生便覧、履修の手引きにおいて、学生向けに3つのポリシーや教育目標は示されて いるが、教育研究上の目的については示されておらず、明記することが望ましい。(2. カリキュラム編成) 5. 教育目標の設定において、4年次以降のCP3に関する記載が5年次では英語に特定され ており、4、6年次では記載がなく、薬剤師として基本的な事項であることから、設定 が望まれる。(2.カリキュラム編成) 6. 定期試験や確認試験において、選択肢式の問題に加え、解答のないところから自らの答えを導き出す記述式や論述式の問題を適宜多数導入することが望まれる。(2.カリ キュラム編成) 7. コンピテンシーに基づく到達度評価基準(DPルーブリック)を用いた評価について、 教員回収率が 70%に満たないのは、評価の実質化、公平性の観点から適切とは言えず、 回収方法や時期等の改善、教員への周知徹底を図り、回収率を向上させることが望ま れる。(3.医療人教育の基本的内容) 8. 人文・社会系科目は必修科目となっている心理学と法学の単位が取得できればおおむ ね要件を満たす制度になっているため、その他科目の履修者数が少なく、VOD授業 などの特定の科目に履修が集中しているので、物事を多角的に見る能力および豊かな 人間性・知性を養う上で、幅広い履修を指導することが望まれる。(3.医療人教育の 基本的内容) 9. 医療の進歩・変革に対応するために必要とされる語学力を身につけるための教育とし ては、3年次以降に、薬学領域の専門英語に関する科目がなく、科学論文を読んだり書 いたりするなど高度な薬学英語を身につける機会が少ないので、体系的なカリキュラ ムを整えることが望まれる。(3.医療人教育の基本的内容) 10. 専任教員1名に対する学生数が、少し改善されて24.5名になったとはいえ、専任教員 数のさらなる増加が望まれる。(10.教員組織・職員組織) 11. 教員間で授業担当時間に格差があるため、格差の解消が望まれる。(10.教員組織・ 職員組織) 12. 男性教員が87.8%で女性教員が12.2%であり、女性教員の比率が少ないので、女性教 員を増やすことが望まれる。(10.教員組織・職員組織) 13. 教員の採用・昇任は、「教育職員の職制及び任免に関する規程」に基づき行われている が、適切な教員を確保するための「大学の求める教員像および教員組織の編制方針」は 定められておらず、制定が望まれる。(10.教員組織・職員組織) 14. 人事選考において、書類審査はだれがどのようにして行うのかを規則等に定めること が望まれる。(10.教員組織・職員組織) 15. 教員の選考過程において模擬講義は実施されておらず、教育上の指導能力を評価する 上で模擬講義等の実施が望まれる。(10.教員組織・職員組織) 16. 教員の活動は最近5年間における教育研究上の業績等をホームページ上で開示してい るが、更新日が古い教員が存在するため、最新の情報を掲載することが望まれる。(1 0.教員組織・職員組織)17. 学術論文がない基礎系教員が存在することから、さらなる努力が望まれる。(10.教 員組織・職員組織) 18. 卒業研究を実施する学生のための研究スペースとして、一部の研究室の面積が狭くな っているため、学生の研究活動維持のためにも是正が望まれる。(10.教員組織・職 員組織) 3)改善すべき点 1. 「総合薬学演習Ⅰ」は6年生の4月から行われており、さらに「総合薬学演習Ⅰ」と 「総合薬学演習Ⅱ」の合否が実質的に国家試験の受験資格となっていることから、こ れら科目の合否判定と国家試験の出願を切り離すなど、さらなる改善が必要である。 (2.カリキュラム編成) 2. 「薬学演習Ⅰ・Ⅱ」、「総合薬学演習Ⅰ」および「総合薬学演習Ⅱ」は薬学専門科目の復 習が主な目的となっており、これらの授業の中で一部ヒューマニズム教育・医療倫理 教育に関するものが含まれているとは言え、薬学教育として重要なヒューマニズムや 医療倫理の育成を目的とした内容がこれら科目の主目的であるとは考えに難く、ヒュ ーマニズムなどの育成を目的とする内容は別科目として設定する必要がある。(3.医 療人教育の基本的内容) 3. ストレート卒業率は約60%であり、入学者選抜に当たって、入学後の教育に求められ る基礎学力が適確に評価されているとは言い難いので、既に着手されてはいるが、入 試問題や補欠入学の再検討、補欠入学者の入学後の状況、進級率、留年者及び退学者 の詳細な解析など、入試選抜方法のさらなる改善が必要である。(7.学生の受入) 4. 6年制薬学教育の内部質保証を図るためには、独自の評価項目を設定し、自主的に6 年制薬学教育プログラムの自己点検・評価を恒常的に行い、その結果を教育・研究活動 の改善に役立てる必要がある。(13.自己点検・評価) |
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| 岐阜薬科大学 | 公 | 岐阜県 | 第2期 |
2022年度 |
適 |
自己点検・評価書 基礎資料 正誤票 |
評価報告書
総評
岐阜薬科大学 総評 岐阜薬科大学では、「薬と健康についての高度な研究に支えられた教育により、有為な薬学の専門職業人を育成し、それらを通じて社会に貢献する」という大学の理念のもと、薬学部薬学科の教育研究上の目的を「薬学科は、薬学分野における最新の学理と技術を教授研究し、臨床に係る高度な知識・技能、実践的能力及び研究能力並びに豊かな人間性と高い倫理観を身に付けた優れた薬剤師として求められる資質を有する医療従事者、研究者及び技術者を育成することを目的とする。」と定め、ファーマシストサイエンティストの育成を目指して卒業研究も重視した教育プログラムとなっている。卒業研究での研究成果は学会や学術論文において発表・公表され、学会発表における受賞者数も多く、学外からも研究力の醸成が評価されている。教育研究活動の評価は学外有識者に付託され、この評価結果に基づいて全教員が各自改善を行うとともに、IR(Institutional Research)にも取り組んでいる。さらに、地域の医療・薬学の発展及び薬剤師の資質・能力の向上に貢献する多彩な活動を行っており、地域薬剤師とともに医療・薬学の発展及び薬剤師の資質・能力の向上に貢献すると共に、モバイルファーマシーやドローンを利用した特徴ある取り組みを教育にも活用している。他方で、学修成果の評価は、単位の修得状況を基本とするものにとどまっている。しかし、教育課程の進行に対応した学生の資質・能力の測定が検討されているので、教育課程の進行に対応した学生の資質・能力の測定による学修成果の評価結果に基づく教育課程の編成及び実施の改善・向上が今後期待される。また、シラバスには各科目の受験資格や合格基準等が明記され、第 1 期の薬学教育評価以降の進捗が確認できるが、評価項目に履修態度を含む科目が多く、その具体的な評価方法や評価基準が明確ではないので、評価方法、評価基準の明確化が必要である。さらに一般選抜入試における、学力の三要素のうちの「主体性を持って多様な人々と協働して学ぶ態度」についての評価の導入や、教員組織の編成方針について明文化したものを導入するなどの改善も期待される。
地域の医療・薬学の発展に貢献しつつ、特徴ある薬剤師養成教育を実施している岐阜薬科大学には、引き続き、優れた薬剤師として求められる資質を有する人材の育成・輩出を期待する。
大学への提言
岐阜薬科大学 大学への提言 1)長所
1. 教育研究活動の評価を毎年学外有識者に付託し、その評価結果を教授総会において全学周知し、それに基づいた取り組みを進めるよう委員会に指示することで、全教員が各自改善を行っている。(2.内部質保証) 2. IR活動を充実させるため、入学区分別の就学状況や国家試験合格率等の調査の実施、職員の資質向上のための講演会の開催、ディプロマ・ポリシー主要項目の「グリーンファーマシーを理解し実践できる」教育の周知なども実施している。(2.内部質保証) 3. 卒業研究における研究成果に基づく多数の学会発表、学術論文公表、および、学会発表における授賞者により、学外からも研究力の醸成が評価されており、卒業認定・学位授与の方針に定める「問題解決能力を持って、主に医療現場で必要とされる実戦力や臨床研究を展開する能力を身につけている」、あるいは「問題解決能力を持って、主に創薬科学及び生命科学の研究を展開する能力を身につけている」が達成されている。(3.薬学教育カリキュラム 3-2教育課程の実施) 4. 岐阜薬科大学では、准教授以下の次世代を担う若手教員(准教授、講師、助教、助手)を対象とした独自の競争的助成金「学内特別研究費制度」と、「岐阜大学と岐阜薬科大学との連携に関する協定書」に基づく「育薬・創薬研究推進支援制度」を設け、研究活動に対する意識や意欲、質の向上に努めるとともに、研究活動の推進を支援している。(5.教員組織・職員組織) 5. 地域の医療・薬学の発展及び薬剤師の資質・能力の向上への貢献として、複数の教員や卒業生が薬剤師会の役員、委員会委員を務め会務に携わるともに、連携した事業の実施がなされている。また、市とは一体的な運用の中でワクチン集団接種への協力や、複数の地元企業との共同研究といった多彩な活動を行っている。(8.社会連携・社会貢献) 6. 地域における保健衛生の保持・向上への貢献としては、毎年の市民公開講座の開催、中高生を対象とした教育を行っている他、災害医療や僻地医療における薬剤師へのニーズに応えるため、2017年に地域医療薬学寄附講座を開設し、モバイルファーマシーやドローンを利用した教育研究活動を推進している。(8.社会連携・社会貢献) 2)助言 1. 医療薬学コースと創薬育薬コースでは輩出するべき人材が獲得する資質・能力も異なっていることが定められているので、各コースの目標に基づいた評価を設計することが望ましい。(3.薬学教育カリキュラム 3-3学修成果の評価) 2. 一般選抜入試は、大学入学共通テストから5教科7科目、個別学力検査として数学と理科(化学から出題する)の2科目を課しているのみなので、内申書を活用するなどしてアドミッション・ポリシーへの適合を判断したり、学力の三要素のうちの「主体性を持って多様な人々と協働して学ぶ態度」の評価を行うことが望ましい。(4.学生の受入れ) 3)改善すべき点 1. カリキュラム・ポリシーの中にはディプロマ・ポリシーに示されている学修成果の評価の在り方が具体的に設定されておらず、改善が必要である 。(1.教育研究上の目的と三つの方針) 2. アドミッション・ポリシーに、多様な学生をどのように評価・選抜するか等が具体的に設定されていないので、設定する必要がある。(1.教育研究上の目的と三つの方針) 3. 評価項目に履修態度含む科目が多く、その具体的な評価方法、評価基準が明確ではないので、評価方法、評価基準の明確化が必要である。(3.薬学教育カリキュラム 3-2教育課程の実施) 4. 学修成果の評価結果が教育課程の編成及び実施の改善・向上に活用されるには至っていないので改善が必要である。(3.薬学教育カリキュラム 3-3学修成果の評価) 5. 教員組織の編成方針を明文化して定めていないので、改善が必要である。(5.教員組織・職員組織) |
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| 九州医療科学大学 | 私 | 宮崎県 | 第2期 |
2022年度 |
継 |
自己点検・評価書 基礎資料 正誤票 |
評価報告書
総評
九州医療科学大学 総評 九州保健福祉大学薬学部薬学科は、「学生一人ひとりのもつ能力を最大限に引き出し引き伸ばし、社会に有為な人材を養成する」という建学の理念と「患者を中心とした医療において、責任をもってチーム医療の一端を担える薬剤師の養成を行なう」という学科の理念を踏まえて、教育研究上の目的を『「患者を中心とした医療」を実践するために、薬学に関する高度な専門知識と技術を教授し、臨床に係る実践的な能力を培い、倫理観、使命感、実行力を有し社会で即戦力となる質の高い薬剤師の養成』とし、学則第1条3に定めている。こういった教育研究上の目的に基づき、「卒業の認定に関する方針(ディプロマ・ポリシー)」、「教育課程の編成及び実施に関する方針 (カリキュラム・ポリシー)」、「入学者の受入れに関する方針(アドミッション・ポリシー)」を制定して6年制薬学教育を行っている。第2期の薬学教育第三者評価では、「内部質保証を重視した評価制度」を基盤とした「三つの方針(ポリシー)に基づく大学教育の質の転換」、さらには「学修成果にかかる評価の充実」が薬学教育プログラムの質の担保と向上に向けた取り組みの基軸となるものとして、評価基準を定めている。しかしながら、「2 内部質保証」、「3-2 教育課程の実施」及び「3-3 学修成果の評価」には重大な問題点が複数あり、いずれも適合水準に達していないので、薬学科として早急に改善に取り組むことが求められる。まず、「2 内部質保証」については、自己点検・自己評価委員会を設置して随時取り組む体制を取っているが、大学全体の自己点検・自己評価委員会の下部組織としての役割が強く、薬学科における学位プログラムレベルの自己点検・評価とその結果に基づいた改善・向上に向けて機能しているとは言い難い。当該薬学科に対しては、第1期の薬学教育第三者評価において薬学教育プログラムに係る多くの問題点を指摘したが、今回の第2期第三者評価において未だ改善・向上に至っていない重大な問題点が相当数あるほか、第2期の評価基準に照らして新たに重大な問題点も明らかになっており、内部質保証が機能していない所以である。「内部質保証」が機能していないことによる教育プログラムにおける問題点は項目「1 教育研究上の目的と三つの方針」、「3-1 教育課程の編成 」、「4 学生の受入れ」、「5 教員組織・職員組織」においても認められる。次に、「3-2 教育課程の実施」に関しては、問題解決能力の醸成に関わる教育で重要な役割を持つ卒業研究において、研究発表を各講座1名の学生しか行わないこと、卒業研究の成績評価を講座の教員のみの判断で行うことなど評価の客観性が懸念されること、実務実習で教員の実習施設へ訪問指導が行われていないこと、卒業の可否判断に重要な影響を持っている「薬学総合演習Ⅰ・Ⅱ」の合否判定に学外業者による模試の成績を含め、学科教員が責任をもって単位認定している状況にないことなどは、いずれも6年制薬学教育の適切な実施に抵触する重大な問題点であり、早急な改善が必要である。また、「3-3 学修成果の評価」では、アセスメント・ポリシーが明確ではなく、教育課程の進行に対応した評価に至っておらず、またその評価結果を教育課程の編成及び実施の改善・向上に活用できる体制となっていない。それゆえ、こういった不備は進級率や修業年限内での卒業率の低迷などの原因となっていると考えられる。以上のように、九州保健福祉大学薬学部薬学科の薬学教育プログラムは、本機構の評価基準に照らして評価すると、多くの改善を必要とする重大な問題が見出される結果となった。大学がその教育目的を達成するために行う教学マネジメントは、内部質保証体制を確立し機能させるための重要な営みである。教学マネジメントを支える教学IR(インスティテューショナル・リサーチ)やFD(ファカルティー・ディベロップメント)の充実を図ることによって、薬学科独自の自己点検・評価に基づく内部質保証体制を適切に整え、薬学教育プログラムに係る上記の問題点の改善・向上に向けて十分に機能させていく必要がある。今回の評価で「適合水準に達していない」と評価された「項目」について、末尾の「改善すべき点」で指摘されている問題点を中心として全面的な改善を図り、再評価を申請されるとともに、それら以外の項目に関しても「改善すべき点」で指摘されている問題点の改善に努め、九州保健福祉大学薬学部薬学科の6年制薬学教育の向上・発展を図られることを期待したい。
大学への提言
九州医療科学大学 大学への提言 1)長所
1. 次世代を担う教員の養成のための活動として、若手教員の研究成果の進展度を相互に把握する好機として、研究発表会「宮崎県北サイエンスフォーラム」を開催し、積極的な研究発表を促している。また、若手教員を中心に独創的な発想の研究や学部間を超えた共同研究などを支援するための助成金制度や講座研究費の一部を前年度の研究実績により傾斜配分することにより、若手教員の研究意欲を高めるように努めている。以上の研究環境の下で、若手教員が研究に励んだ結果として、日本薬学会九州山口支部会にて教員2名が学術奨励賞を受賞する成果が得られたのは評価できる。(5.教員組織・職員組織) 2. 大学において開発された研修に用いるフィジカルアセスメントの薬学教育システムは、『アナログ教材からアクティブラーニング・シミュレーション医療教育のコンテンツを供するフリーデジタル教材』(医療系eラーニング全国交流会会長賞を受賞)等として全国的に活用されている。(8.社会連携・社会貢献) 2)助言 1. 薬学科の教育研究上の目的には、学生に対して研究能力を身につけさせる内容が表現されていないので、その意味と必要性がわかるような表現とすることが望ましい。(1.教育研究上の目的と三つの方針) 2. 薬学科の自己点検・自己評価委員会には、医療人養成を目的とした6年制薬学科として、社会ニーズを反映させるために医療機関の関係者や当該学部の6年制課程の卒業生など、学外の意見を取り入れる体制を整備することが望まれる。(2.内部質保証) 3. 今後求められる学習成果基盤型教育(OBE:Outcome Based Education)に対応していないので、早急に教育課程の編成を見直し、改善することが望まれる。(3.薬学教育カリキュラム 3-1教育課程の編成) 4. 卒業研究ルーブリック及び卒業論文ルーブリック表に基づく単位認定の最終評価は講座主任が単独または同一講座内の教員とともに行っているので、評価の客観性を高めるために他講座の教員による評価を含めることが望まれる。(3.薬学教育カリキュラム 3-2教育課程の実施) 5. 各科目で実施しているSGD(Small Group Discussion)、ALなど到達目標の領域(技能・態度)とレベルに対応した学習成果の測定方法やその基準と評価方法(点数化)をシラバスに明記し、広く学生に周知することが望まれる。(3.薬学教育カリキュラム 3-2教育課程の実施) 6. 学力の3要素である「知識・技能」「思考力・判断力・表現力」「主体性を持って多様な人々と協働して学ぶ態度」を、筆記試験、面接、調査書、提出書類等により多面的かつ総合的に評価し、医療人を目指す者として資質・能力を有する入学者の選抜が行えるよう、さらなる工夫が望まれる。(4.学生の受入れ) 7. 助教は、適正な研究教育業務の遂行だけでなく、次世代を担う教員養成の点からも重要な人材であり、適切な人数を配置することが望まれる。(5.教員組織・職員組織) 8. 教育の質の確保ならびに、実験・実習等における安全性に懸念があるので、専任教員一人あたりの学生数を減らすよう努めることが望まれる。(5.教員組織・職員組織) 9. 専任教員が適正に配置されるよう、専門分野について、専任教員が教育上及び研究上の実績を積み重ねていけるような支援の工夫が望まれる。(5.教員組織・職員組織) 10. 実務家教員は常に新しい医療に対応するために病院や保険薬局での研鑽も必要であり、それらの時間を担保するための体制を整備することが望まれる(基礎資料7)。(5.教員組織・職員組織) 11. 専任教員の負担が大きく、その負担を軽減するためにも、共同研究施設の機器類の維持管理に精通した専門職員を配置・増員するなどの対策が望まれる。(5.教員組織・職員組織) 12. 研究用の図書・資料の収集については大学の支援は十分ではなく、研究の質を高く保てるように「選書方針」などを定め、支援の体制を整えることが望まれる。(7.施設・設備) 13. 教育研究活動の実施に必要な施設・設備が整備されているが、AV機器など一部の共通研究機器では老朽化が進んでおり、更新が望まれる。(7.施設・設備) 14. Universal Passportを活用するためのサーバーの同時アクセス数の許容量が低いことは、教育活動や学生の生活環境に大きな影響を及ぼしかねないため、改善することが望まれる。(7.施設・設備) 3)改善すべき点 1. カリキュラム・ポリシーの教育評価の項目には、ディプロマ・ポリシーに記された資質・能力の評価について具体的な在り方を設定する必要があるが、そのような記載はない。カリキュラム・ポリシーに求められている要件を満たす内容となるように改善する必要がある。(1.教育研究上の目的と三つの方針) 2. 募集要項には学科のディプロマ・ポリシーやカリキュラム・ポリシーが掲載されておらず、薬学科のパンフレットには、ディプロマ・ポリシーのみ掲載され、全学パンフレットには、三つの方針のいずれも掲載していないので、これらの資料に三つの方針を掲載するように改善する必要がある。(1.教育研究上の目的と三つの方針) 3. 薬学科において、教育研究上の目的及び三つの方針を定期的に検証する実行性のある組織体制を整備し、運用できるように改善する必要がある。(1.教育研究上の目的と三つの方針) 4. 薬学科の自己点検・評価委員会は、大学全体の自己点検・自己評価委員会の下部組織としての役割が強く、薬学科における学位プログラムレベルの内部質保証としての自己点検・評価は十分に行われていないので、自己点検・評価の結果に基づいて薬学科の教育の充実を図り、その質を自ら保証できる仕組みを構築するよう改善する必要がある。(2.内部質保証) 5. 薬学科の自己点検・自己評価委員会において、データの質的・量的な解析結果を教育研究活動の達成度や学修成果の評価に反映させる仕組みを整備する必要がある。(2.内部質保証) 6. 薬学科独自の体制による自己点検・評価の結果に基づき、6年制薬学教育固有の課題を解決し、質の高い教育プロブラムを適切に実施できるように改善する必要がある。(2.内部質保証) 7. カリキュラム・ツリー(履修系統図)ならびにカリキュラム・マップ(科目概念図)は領域ごとの科目の系列を示したものとなっており、各科目の学習・学修の順次性や相互の関係、「薬剤師として求められる基本的な資質」やディプロマ・ポリシーに示される資質・能力との関連性は、十分に表現されていないので改善が必要である。(3.薬学教育カリキュラム 3-1教育課程の編成) 8. 薬学科の教育カリキュラムは、カリキュラム・ポリシー、ならびにアセスメント・ポリシーに基づいた教育実践について、自己点検・評価に基づく適切性の検証が十分になされていないので、その体制を整備するように改善する必要がある。(3.薬学教育カリキュラム 3-1教育課程の編成) 9. 学生全員が発表者として参加する研究発表会は、学生の資質・能力の向上を促し、卒業研究の成果を測る集大成の一つとして意義があるので、目的、評価方法と基準を明確にして開催するように改善する必要がある。(3.薬学教育カリキュラム 3-2教育課程の実施) 10. 大学と実習施設がより密な連携を図るために、大学教員が学生の実習期間中に実習施設へ訪問指導する体制を構築し、実施するように改善する必要がある。(3.薬学教育カリキュラム 3-2教育課程の実施) 11. 「薬学総合演習Ⅱ」の成績によって、「薬学総合演習Ⅰ」の単位の合否を変更することは、科目の単位認定として不適切であるので、それぞれの科目の成績の合格、不合格を尊重して単位認定するように改善する必要がある。(3.薬学教育カリキュラム 3-2教育課程の実施) 12. 外部試験の結果を卒業判定に含めることは、薬学科のディプロマ・ポリシーに基づいた卒業認定とは言い難く、早急に改善する必要がある。(3.薬学教育カリキュラム3-2教育課程の実施) 13. アセスメント・ポリシーに示される評価方法には、評価基準が明確でないなどの問題点が含まれ、学生が身につけるべき資質・能力が、教育課程の進行に対応して十分に評価されていないので、学修成果の評価体制と評価方法を整備するように改善する必要がある。(3.薬学教育カリキュラム 3-3学修成果の評価) 14. ディプロマ・サプリメント以外のデータの活用も含め、教育課程の進行に対応して学生が身につけるべき資質・能力の修得・発展を評価し、その過程と卒業時の修得状況を確認し、かつその学修成果の評価結果が教育課程の編成及び実施の改善・向上に活用できる体制を構築する必要がある。(3.薬学教育カリキュラム 3-3学修成果の評価) 15. 入学者の資質・能力を適正に検証する方法を構築し、その検証結果に基づき、入学試験制度も含め幅広く改善・向上させる必要がある。(4.学生の受入れ) 16. 教育研究活動の実施に必要な教員組織の編成方針を決定する機関や委員会を明確にし、各構成教員に求める資質・能力を明示した編成方針を定める必要がある。さらに教員の採用及び昇任の規定等についても、このような編成方針に基づいて整備する必要がある。(5.教員組織・職員組織) 17. 薬学科として、教育研究活動の向上を図るための組織的な取り組みに相当する活動はないので、学科独自のFD活動を企画し実施する必要がある。(5.教員組織・職員組 織) |
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| 京都大学 | 国 | 京都府 | 第2期 |
2022年度 |
適 |
自己点検・評価書 基礎資料 正誤票 |
評価報告書
総評
京都大学 総評 京都大学薬学部は、研究大学としての教育理念に基づき、「薬学の学修を通じて、先端医療、医療薬学・臨床薬学の発展を担いうる人材を育成」を掲げ、ディプロマ・ポリシーとして5つの資質・能力の修得を示している。この目標を達成するために、学部から高度な医療薬学研究者の養成に向けた特徴的な薬学教育カリキュラムを構築している。特に教育の面では、6年間を通じて、少人数教育、反転授業、双方向性授業、他学部との合同学習、課題研究など、研究能力を含む学生の資質・能力の向上のために、学習方法にさまざまな工夫を加えていることは評価できる。また、教育活動に関わるファカルティ・ディベロップメントが適切に実施されており、教育の質向上に努めている。さらに、研究のみならず、薬剤師職能に関しても積極的な国際交流を行っていることも特筆される。一般入試では薬学科及び薬科学科を一括で募集・選抜し、4年次から各学科に振り分けているが、薬学科への志願者については、薬学科で学ぶための適性を、評価基準を作成し適切に評価している。また、薬学科の定員の変更を実施しており、定員の適切性について継続的に解析していることはPDCAサイクルが適切に実施されていることの一つの例として評価できる。研究においては、若手教員のスタートアップ研究のために、大学独自の支援体制を構築し、さらに多くの共同研究・学術指導を実施して、医薬品・医療機器などの開発研究に貢献していることは評価できる。
薬学教育評価機構による第1期の評価において今後改善が望まれると指摘された総合的な資質・能力の評価のための指標の設定については、科目ごとの総合的な評価においては著しく改善されている。しかし、ディプロマ・ポリシーで目標としている6年間を通じて育成する5つの資質・能力の達成度評価については、科目ごとの学習成果の評価、及び学生による自己評価にとどまっており、薬学教育評価機構が求める学修成果の総合的な評価方法は未だ十分には整備されておらず、教育課程の編成及び実施の改善・向上に活用されるまでには至っていないと判断される。以上のように、課題は残されているものの、京都大学薬学部は、薬学教育評価機構が定める「薬学教育評価 評価基準」に適合していると判断される。今後、ディプロマ・ポリシーで目標としている6年間を通じて育成する5つの資質・能力の京都大学独自の達成度評価法を構築し、学生の資質・能力の評価に基づく教育の改善・向上に、より一層取り組まれることを期待する。
大学への提言
京都大学 大学への提言 1)長所
1. 在籍者の学修動向や進路をふまえて、2018(平成 30)年度新入生から、薬科学科と薬学科の定員を変更していることは、教育研究活動の改善に取り組んでいる例として評価できる。(2.内部質保証) 2. 研究大学としての大学理念及び薬学科のディプロマ・ポリシーに基づき、学部から高度な医療薬学研究者の養成に向けた薬学教育カリキュラムを構築している。(3.薬学教育カリキュラム 3-1教育課程の編成) 3. 少人数教育、反転授業、双方向性授業、他学部との合同学習など、学生の資質・能力の向上に資する学習方法に工夫が見られる。(3.薬学教育カリキュラム 3-2教育課程の実施) 4. 薬学科への志願者については、薬学科志望理由書の提出を求め、グループ面接及び個別面接により、薬学科で学ぶための適性を、評価基準を作成し評価している。(4.学生の受入れ) 5. 若手教員のスタートアップ研究のために、大学独自の支援体制(京都大学若手研究者スタートアップ研究費)をとって支援している。(5.教員組織・職員組織) 6. 教育活動の向上を図るための組織的な取り組みとして、学生による授業評価のアンケート結果を授業担当教員にフィードバックするとともに、その評価の高かった教員の授業を他の教員が聴講する日を3日間設定して多くの薬学関係教員が参加することを可能とし、さらに授業聴講後にアンケートを実施することによって自らの講義方法の改善に取り組むファカルティ・ディベロップメントを実施しており、教育の質向上に努めてる。(5.教員組織・職員組織) 7. 多くの共同研究・学術指導を実施して、医薬品・医療機器などの開発研究に貢献している。(8.社会連携・社会貢献) 8. 大学間学生交流協定を締結している香港中文大学との短期間の学生交流を通じて、学生が香港の医療現場を視察調査するとともに、日本の地域医療や薬剤師の職能などについて紹介するなど、積極的な国際交流を行っている。(8.社会連携・社会貢献) 2)助言 1. 教養教育や語学教育など、薬学教育カリキュラムとして重要な科目群の位置付けについてもコースツリーに明示しておくことが望まれる。(3.薬学教育カリキュラム 3-1教育課程の編成) 2. 教養・共通科目のうちコアカリキュラムに対応する内容を含むものについても、薬学部のシラバスの該当するページに一般目標を記載することが望まれる。(3.薬学教育カリキュラム 3-1教育課程の編成) 3. 大学独自の科目として設定されている科目については、その旨をシラバスに明記することが望まれる。(3.薬学教育カリキュラム 3-1教育課程の編成) 4. 評価方法の変更などのシラバスの変更を要する場合には、必要な関連情報とともに学生に告知するなどの公正かつ厳格な対応が望まれる。(3.薬学教育カリキュラム 3-2教育課程の実施) 5. 卒業認定には、単位認定に加えて、ディプロマ・ポリシーに示された6年間で達成すべき5つの資質・能力の評価を含めることが望まれる。(3.薬学教育カリキュラム3-2教育課程の実施) 6. 一般入試においても、学力の3要素のうち「主体的に学習に取り組む態度」についての評価を含めることが望まれる。(4.学生の受入れ) 7. 年間で平均した週あたりの授業時間数が1時間未満の教員や9時間を超える教員もおり、一部に教育負担の格差がやや見られるので改善が望まれる。(5.教員組織・職員組織) 8. 定期健康診断の受診状況は、学年により大きく異なり、全員が受診するように指導を徹底することが望まれる。(6.学生の支援) 3)改善すべき点 1. カリキュラム・ポリシーには各科目の学習成果の評価方法は記載されているものの、ディプロマ・ポリシーで設定した資質・能力に関する学修成果の評価については記載されていないので改善が必要である。(1.教育研究上の目的と三つの方針) 2. 6年間で育成される資質・能力の総合的な達成度評価は未だ十分ではなく、教育課程の編成及び実施の改善・向上に活用されるまでには至っていないので、さらなる改善を進めることが必要である。(2.内部質保証) 3. 実務実習では評価の基準と重みづけがシラバス等には明示されていないので改善が必要である。(3.薬学教育カリキュラム 3-2教育課程の実施) 4. ディプロマ・ポリシーで目標としている6年間を通じて育成する資質・能力の達成度評価については、科目ごとの学習成果の評価にとどまっており、総合的な学修成果の評価方法は未だ十分には整備されていないので改善が必要である。(3.薬学教育カリキュラム 3-3学修成果の評価) 5. 教育課程に対するルーブリックを作成してパフォーマンス評価を取り入れるなど、ディプロマ・ポリシーに関わる達成度を教員と学生が相互に評価できる客観的な指標の設定が必要である。(3.薬学教育カリキュラム 3-3学修成果の評価) 6. 教育課程の編成の適切性の評価を継続的に実施する計画になっているものの、現時点では十分には実施されていないので、今後の改善・向上に活用していくことが必要である。(3.薬学教育カリキュラム 3-3学修成果の評価) |
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| 京都薬科大学 | 私 | 京都府 | 第2期 |
2022年度 |
適 |
自己点検・評価書 基礎資料 正誤票 |
評価報告書
総評
京都薬科大学 総評 京都薬科大学は、「薬学を基盤とした学術的探究心と実践意欲を伴う思考力及び行動力、さらには多様性に対応できる人間性を兼備した薬剤師の素養を身につける教育研究をとおして、医療、福祉及び社会の発展に貢献しうる有用な人材を養成することを目的とする」を教育研究上の目的と規定し、Science(科学)、Art(技術)、Humanity(人間性)のバランスのとれた薬剤師である「ファーマシスト・サイエンティスト」を育成することを目標としており、教育研究上の目的に基づいた「卒業認定・学位授与の方針(ディプロマ・ポリシー)」、「教育課程の編成・実施の方針(カリキュラム・ポリシー)」、「入学者受入れの方針(アドミッション・ポリシー)」を制定して6年制薬学教育を行っている。ディプロマ・ポリシーには、5つの資質・能力が設定され、それらに対応してカリキュラム・ポリシーには5つの項目が設定されており、特に、1年次に問題解決能力に必要な
アカデミック・スキルを習得するための演習科目を実施し、卒業研究を3年生後期から開始することによって、「ファーマシスト・サイエンティスト」のうち Science(科学)、Art(技術)に関する資質・能力を醸成するための特徴的な教育が行われている。一方、Humanity(人間性)に関する教育は、第1期評価において指摘されていたSGD(Small Group Discussion)などの参加型授業形式を増やす工夫や順次性・体系性のある 科目設定が望まれることに対する実質的な改善が行われておらず、「ファーマシスト・サイエンティスト」が目標とする Science(科学)、Art(技術)、Humanity(人間性)のバランスがとれているとは言い難い。また、第1期の評価において改善が求められていたシラバスの記載の不備の改善もなされていない。このような第1期評価における指摘に対する改善が十分に行われていない原因としては、自己点検・評価運営委員会が十分に機能していないこと、教育評価の基準が機関別評価の基準にとどまっており、薬学教育評価のための明確な基準が設定されていないこと、さらに自己点検・評価が恒常的かつ適切に行われていないことがある。また、自己点検・評価運営委員会の学内委員が学長及び各主要委員会委員長のみで構成されていることも第三者的視点で自己点検・評価を行うためには不十分であると考えられる。京都薬科大学は、学修成果を評価するためにアセスメント・ポリシーを定めているが、現状では科目レベルの学修成果の評価にとどまっているので、教育課程レベルの学修成果を評価できるようにアセスメント・ポリシーを整備して、学生が身につけるべき資質・能 力を適切に評価するように改善することが求められる。今後、内部質保証の体制を整備し、京都薬科大学がめざす「ファーマシスト・サイエンティスト」を育成する教育がさらに発展することを期待する。
大学への提言
京都薬科大学 大学への提言 1)長所
1. 学生相談室が主体となり、学生との接し方などに関する教職員SDの開催、及びCOVID-19禍の際は学生のメンタルヘルス把握を目的とするアンケート調査を行い、学生のメンタル面への支援を教職員が一体となり取り組んでいる。(6.学生の支援) 2)助言 1. CPは学習の質を重視し、学習・教授方法及び成績評価のための課題が意図する成果のために想定された学習活動に整合するように設定されているとは言えないので、今後、設定されることが望まれる。(1.教育研究上の目的と三つの方針) 2. 教育研究上の目的及び三つの方針についての定期的な検証は、毎年実施することが望まれる。(1.教育研究上の目的と三つの方針) 3. 自己点検・評価運営委員会を構成する学内メンバーは、学長及び各主要委員会委員長であるため、第三者的視点で適切に自己点検・評価を行えるように委員の構成を検討することが望まれる。(2.内部質保証) 4. 4年次前期に「実務事前学習」に関する内容が補講として実施されているが、必修とすべき内容であるので、正規科目として扱うことが望まれる。(3.薬学教育カリキュラム 3-1教育課程の編成) 5. 科目の体系性と順次性を示したカリキュラム・ツリー(基礎資料1)をシラバス等で学生へ明示して、ガイダンス等で薬学教育カリキュラムの体系性及び科目の順次性を学生に説明することが望まれる。(3.薬学教育カリキュラム 3-1教育課程の編成) 6. ヒューマニズム教育・医療倫理に係る教育において、学年進行に伴った順次性・連続性のある科目設定は不十分であり、さらに検討することが望まれる。(3.薬学教育カリキュラム 3-1教育課程の編成) 7. 第1期評価の指摘に基づいて、多くの科目でアクティブラーニングが導入されたが、アクティブラーニングによる学習が特に有効であると考えられるCP3及びCP4に係る科目で導入されている時間数が相対的に少ないので、それらの科目において、アクティブラーニングなどの適した学習方略を用いられることが望まれる。(3.薬学教育カリキュラム 3-2教育課程の実施) 8. 実務実習報告会の開催意義を鑑みて学年全体で開催し、学生、教員、実習施設指導者が実習内容に関して情報共有することが望まれる。(3.薬学教育カリキュラム 3-2教育課程の実施) 9. 本試験で合格した学生との公平性から、再試験の最高点を69点とするのは適切とは言えないので、改善することが望まれる。(3.薬学教育カリキュラム 3-2教育課程 の実施) 10. 卒業論文に関して、統一の評価基準がないので、客観的指標を作成して一定の基準で評価を行うことが望まれる。(3.薬学教育カリキュラム 3-2教育課程の実施) 11. 一般選抜試験では面接が行われておらず、AP3とAP4に掲げられている資質・能力の評価が十分とは言えないので、面接等の方法によってそれらを適切に評価することが望まれる。(4.学生の受入れ) 12. 再入学に関する実施要領は、その都度定められることになっているので、あらかじめ実施要領を定めることが望まれる。(4.学生の受入れ) 13. 入学者の資質・能力は、学修成果の評価のような方法によって、直接検証されていないので、検証が十分とは言えない。現在行われている検証方法以外に学修成果の評価などを用いて検証して、その結果に基づき必要に応じて入学者受入れの改善・向上等を図ることが望まれる。(4.学生の受入れ) - 27 - 14. 自己点検・評価運営委員会を中心として進級率、卒業率、施設の状況などの他の指標も考慮して、入学者数の適切性を検証することが望まれる。(4.学生の受入れ) 15. 専任教員1名に対する学生数が10名以内には達していない。また、1分野につき教員3名の体制の実現に向けての十分な改善が進んでいるとは言えないので、教育効果や卒業研究の質や安全面から、専任教員の増員が望まれる。(5.教員組織・職員組織) 16. 学生満足度調査アンケートの回答率が14%程度で低い状況であるので、回答率を高めるようにすることが望まれる。(6.学生の支援) 17. 内容に関わらず学生の意見を提出できる意見箱等を設置して、学生が匿名でも直接意見を大学に伝えられる仕組みを設けることが望まれる。(6.学生の支援) 18. 1~3年次生の基礎系実験実習を指導する教員の数が少なく、安全管理上問題であるので、基礎系実験実習を担当する教員数の増員が望まれる。(6.学生の支援) 19. 実習室はスケジュール的に余裕があるとは言えない状態なので、拡充が望まれる。(7.施設・設備) 3)改善すべき点 1. CP(特にCP1、2、3)において教育方法に関する設定が不十分であるので、教育方法を具体的に設定する必要がある。(1.教育研究上の目的と三つの方針) 2. APに定められた能力をもつ学生をどのように評価・選抜するかが具体的に設定されていないので改善する必要がある。(1.教育研究上の目的と三つの方針) 3. 定期的な自己点検・評価のスケジュールにしたがって、「京都薬科大学内部質保証のための方針」に沿った自己点検・評価を計画的に行うことが必要である。(2.内部質保証) 4. 「京都薬科大学アセスメント・ポリシー」に基づいて行われている自己点検及び各委員会での自己点検・評価は機関別評価の基準に基づくものにとどまっているので、薬学教育に関わる評価基準も加えて、教育研究活動を質的・量的に解析できる自己点検・評価を行うことが必要である。(2.内部質保証) 5. 大学が自主的に行った自己点検・評価の結果についても定期的にホームページ等で公表することが必要である。(2.内部質保証) 6. 大学が自主的に設定した評価基準の下で、整備された「京都薬科大学アセスメント・ポリシー」等を用いて実施した自己点検・評価の結果に基づいて、教育研究活動の改善を行うことが必要である。(2.内部質保証) 7. 選択科目「薬学演習」を選択している学生と、選択していない学生で「総合薬学研究B」の単位数が異なっているのは、科目の単位数の設定において不適切であるので、同一科目の単位数は同じになるよう改善する必要がある。(3.薬学教育カリキュラム3-1教育課程の編成) 8. 4年次後期及び6年次後期の平日の時間割において、非常勤講師でない予備校講師が担当している相当数の授業が必修科目である「薬学総合演習」や「アドバンスト薬学」と区別できない形で記載されているのは適切ではないので、予備校講師による授業を時間割から除くように至急改善する必要がある。(3.薬学教育カリキュラム 3-1教育課程の編成) 9. 一部の科目のシラバスにおいて、「学習項目・学生の到達目標」などの記載に不備があるので、必要事項が記載されているかを精査してシラバスを改善する必要がある。(3.薬学教育カリキュラム 3-1教育課程の編成) 10. 学修成果の向上にとって重要である教育課程及びその内容、方法の適切性は検証されているとは言い難いので、カリキュラム全体について検証し、その結果に基づき必要に応じて改善・向上を行うように改善する必要がある。(3.薬学教育カリキュラム 3-1教育課程の編成) 11. 一部の卒業論文に複数の学生が共同して作成しているものがあるが、卒業論文は個人で作成することが必要である。(3.薬学教育カリキュラム 3-2教育課程の実施) 12. 「基礎演習」「早期体験学習」「実務実習」「総合薬学研究A」「総合薬学研究B」などの科目において、シラバスに評価項目は記載されているが、それらの評価の割合および評価方法が記載されておらず、改善する必要がある。この点については、すでに第1期評価において指摘されているが、未だ十分な改善が行われておらず、早急に改善することが必要である。(3.薬学教育カリキュラム 3-2教育課程の実施) 13. 成績評価に対する異議申立は科目担当教員が受け付ける仕組みしかないのは適切ではないので、科目担当教員を介さずに学生が成績評価に対する異議申立をできる仕組みを整備することが必要である。(3.薬学教育カリキュラム 3-2教育課程の実施) 14. カリキュラムマップを学修成果の評価に活用できるように再検討し、加えてDP1~DP5に示されている資質・能力を評価するための科目、課題、ルーブリック評価等の学修成果を評価する方法を構築し、学修成果を適切に評価していくことが必要である。(3.薬学教育カリキュラム 3-3学修成果の評価) 15. 「京都薬科大学アセスメント・ポリシー」に設定されている項目の評価結果を分析し、教育課程の編成及び実施の改善・向上を目指していることは一定の評価はできるが、それだけでは学修成果の評価とカリキュラムの改善・向上には不十分であるので、DPに示されている資質・能力の達成度評価を適切に行って、教育課程の編成及び実施の改善・向上に活用することが必要である。(3.薬学教育カリキュラム 3-3学修成果の評価) |
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| 就実大学 | 私 | 岡山県 | 第2期 |
2022年度 |
適 |
自己点検・評価書 基礎資料 正誤票 |
評価報告書
総評
就実大学 総評 就実大学薬学部は、建学の精神の「去華就実」に基づく「実地有用」の人材育成の観点から、教育研究上の目的を「生命の尊厳を基盤とした強い使命感と高い倫理観のもとに、人々の健康を守る最良の医療薬学教育・研究を行い、医療・福祉に貢献できる高度な専門性と豊かな人間性を兼ね備えた薬剤師を育成する」と定め、三つの方針として、10 項目の卒業の認定に関する方針(ディプロマ・ポリシー)、12 項目の教育課程の編成及び実施に関する方針(カリキュラム・ポリシー)及び6項目の入学者受入れの方針(アドミッション・ポリシー)を定めている。教育研究上の目的とこれら三つの方針は、年度初めに作成される薬学部マニフェストに
明記され、学部の現状や課題をふまえた年間の方針・目標と共に年度初めに学部長から教職員に周知徹底されていることは評価に値する。また、教員の教育活動向上を図るため、相互参観授業を取り入れていること、並びに教員活動を数値化して評価する仕組みを構築し、数値化した評価を報奨に反映し上位2名の教員に対し学長賞として表彰を行っていることは高く評価される。さらに、在学生の転学部や退学などにあたっては、担任教員が学生や保護者の意向を確認することに加え、必要に応じて学年主任、学科長及び学部長とも連携してサポートを行い、適切な進路変更に繋げていることは評価できる。一方、第1期薬学教育第三者評価で改善が指摘された、問題解決能力の醸成のための教育については、ディプロマ・ポリシーに改良を加えたものの、「総合的な目標達成度指標の設定と評価」が実現されておらず、引き続き改善に向けた取り組みを継続する必要がある。順次性のあるカリキュラムの編成に関しては、一部の科目群でカリキュラム・ツリーにおいて順次性や他科目群との関連が見られないほか、科目群ごとに設定されているカリキュラム・ポリシーとディプロマ・ポリシーとの対応、カリキュラム・マップ、並びに個々の科目のシラバスや達成すべきディプロマ・ポリシーの項目の間に齟齬が認められる箇所があるため、これらの整合性を担保する必要がある。問題解決能力を醸成する「卒業特別研究」では、目標到達度をフィードバックして成長を促す仕組みが未だ構築されていない。また、順次性のあるカリキュラムの学修成果としてディプロマ・ポリシーへの到達度を段階的・総合的に評価することも十分にできていないため、科目レベルに留まらずプログラムレベルでの適切な評価を行うように改善することが望まれる。本評価において就実大学薬学部は、その運営において外部委員からの指摘、自己点検・ 評価やアンケート等の情報を解析し、薬学部マニフェストやPDCAサイクルシートへ反映させ、自己改善に努めていることが確認された。今回の評価による指摘も次回のPDCAサイクルに反映させ、さらなる改善へ繋げることに期待したい。
大学への提言
就実大学 大学への提言 1)長所
1. 三つの方針について、教育研究上の目的と共に年度初めに作成されるマニフェストに併記され、学部長が教職員に対して説明、確認していることは評価できる。(1.教育研究上の目的と三つの方針) 2. 教育活動の向上を図るための活動として実施している相互参観授業では、自薦他薦で選ばれた複数教員による授業を他の教員が自由に参観し、参考点や改善点を自由記述の形式で回答し、その内容を集計して担当教員にフィードバックしている(無記名)。2020~2021年度もオンライン授業における相互参観を行っており、優れた取り組みである。(5.教員組織・職員組織) 3. 教員活動評価において特に優れた教員(2名)については、学長賞として表彰を行うと共に成果に対する評価を報奨に反映し、教員活動の組織的な向上を図っていることは高く評価されるべき取り組みである。(5.教員組織・職員組織) 4. 入学後の学生の転学部希望や退学などの進路変更に対しては、担任教員が学生との面談に加え、保護者の意向も確認しながら指導している。担任だけでなく、必要に応じて学年主任、学科長及び学部長とも連携してサポートを行い、適切な進路変更に繋げていることは評価できる。(6.学生の支援) 2)助言 1. 薬学部の自己点検・評価は、教育研究活動に対する質的・量的な解析に基づいて十分に行われているとは言えず、改善への取り組みを継続することが望まれる。(2.内部質保証) 2. 語学教育科目については英語6科目を必修として指定しており、これだけで卒業要件を満たしていることから、実質的に選択科目とはなっていない。第二外国語を履修する学生が少ないことからも、CP(1)に掲げる「幅広い総合教育」の実現に向けた方策を検討することが望まれる。(3.薬学教育カリキュラム 3-1教育課程の編成) 3. 独自のアドバンスト科目の多くが未開講であることから、独自科目設置の意義が失われないように検討することが望まれる。(3.薬学教育カリキュラム 3-1教育課程の編成) 4. 高学年次に設置された独自科目の多くが履修申請者5名以下で開講されていないことは、履修予定の学生が自主的に学習しようとする機会を失うことになるため、履修者が少なくても開講できる体制を整えることが望ましい。(3.薬学教育カリキュラム3-1教育課程の編成) 5. 4年次においては、CBTのための単位科目は存在しないとされるが、3年次演習科目のシラバスにはCBT、共用試験という記載のある科目があるため、記載を整備することが望ましい。(3.薬学教育カリキュラム 3-1教育課程の編成) 6. 「熱力学と物理平衡」など複数科目の評価基準として「配付の練習問題をよく理解し、到達目標に達していること」との記載があり、実質的な基準とはなっていないため、より明確な評価基準を策定することが望ましい。(3.薬学教育カリキュラム 3-2教育課程の実施) 7. 「卒業特別ゼミナール」は研究室ごとに科目が設定されシラバスが作成されており、評価基準のひな形はあるものの、統一した評価系にはなっていないため、公平性の観点から評価基準を明確に定めることが望ましい。(3.薬学教育カリキュラム 3-2教育課程の実施) 8. 卒業認定の可否が取得単位数のみで判断され、卒業時のディプロマ・ポリシーへの到達状況は確認されていないため、ディプロマ・ポリシーに設定されている資質・能力を適切に評価するように改善することが望ましい。(3.薬学教育カリキュラム 3-2教育課程の実施) 9. カリキュラム・ポリシーで定めた一部の科目群では、指標となる科目を定めてディプロマ・ポリシーへの到達度を測っており、段階的な評価系が構築されていないため、教育課程の進行に対応して学生が身につけるべき資質・能力を、科目群として総合的・段階的に評価するための適切な評価指標や方法を開発することが望まれる。(3.薬学教育カリキュラム 3-3学修成果の評価) 10. 一般選抜(前期)及び共通テスト利用選抜A・Bにおいては、医療人を目指す者としての適性の評価が十分でない。定員の割合が最も高い入試区分でもあることから、今後の評価方法の工夫が望まれる。(4.学生の受入れ) 11. 個人情報保護の観点から、入学試験時の合理的配慮について、申請者の詳細な情報を大学が直接高校に問い合わせることは避けることが望ましい。(4.学生の受入れ) 12. 入学者選抜の区分ごとに、求める人材が入学したかどうかのさらなる検証のため、入学者の継続した追跡結果も含め、入学者の資質・能力を遡って長期的視点で評価することが望ましい。(4.学生の受入れ) 13. 2022年度入学生については定員を充足することができたが、直近6年間の定員充足率の平均は79%であり、入学定員数の適切性については引き続き注力していくことが望まれる。(4.学生の受入れ) 14. 在外研究員規程、国内研究員規程が整備されているが、薬学部にこの制度を利用した教員がいないので、積極的に活用されることが望まれる。(5.教員組織・職員組織) 15. 健康診断の胸部X線検査で結核罹患を否定しておくことで、安心・安全な実務実習が可能になるため、引き続き4年生、5年生の受診率が100%であることが望ましい。(6.学生の支援) 3)改善すべき点 1. 第1期薬学教育第三者評価で受けた指摘のうち、問題解決能力の醸成のための教育に関しては、ディプロマ・ポリシーに「探求心、想像力、判断力と問題発見・解決能力を有し、医療薬学の進歩に貢献できる」を加えたものの、問題解決能力の醸成に向けた教育についての「総合的な目標達成度指標の設定と評価」については、十分な改善に至っておらず、引き続き取り組み、改善する必要がある。(2.内部質保証) 2. 学習ポートフォリオ等を活用した学習達成度の測定システムについては構築中ながら、2022年度に稼動を開始した学修成果の可視化システムの活用も含めて、内部質保証の適切性の解析を継続する必要がある。(2.内部質保証) 3. カリキュラム・ツリーでは学年ごとに学修する科目の順次性はわかるが、薬学総合科目群については、科目群中での順次性と薬学臨床科目群との関連が見えない。さらにカリキュラム・マップ、個々の科目のシラバスや達成すべきディプロマ・ポリシーの項目間で齟齬が認められるため、これらの整合性を担保した上で、体系的、効果的な薬学教育カリキュラムの編成となるよう、改善が必要である。(3.薬学教育カリキュラム 3-1教育課程の編成) 4. 6年次「卒業特別講義a」の2段階の単位認定試験について、それぞれの試験の成績は学生本人に開示されていない。分野毎に行われる1段階目のβ試験では、問題と正解は公表されるが、本人に試験結果が開示されないことと、2段階目のα試験の結果と合わせた最終的な成績評価基準も不透明であることは問題であり、改善が必要である。さらに、再試験のα2試験結果も学生本人に開示されず、合否判定の根拠は学生に伝わっていないため、当事者である学生に告知されるよう改善が必要である。(3.薬学教育カリキュラム 3-2教育課程の実施) 5. 仮進級した場合、5年前期に未履修科目を修得して後期に実務実習を行うことができる学生と、未履修科目の開講時期が実務実習に重複してしまう学生がいるのであれば、「正規5年次への進級の機会を保証」する仮進級の制度は、学生にとって公平公正な制度と言えないので、改善が必要である。(3.薬学教育カリキュラム 3-2教育課程の実施) 6. 4年次~6年次の「卒業特別研究」にはルーブリック評価が導入されているが、現状では6年次の最終段階においてのみの評価であり、問題解決能力に関する目標到達度を4年次から適時学生にフィードバックしながら、成長を促す仕組みは構築されていない。医療人教育についても、ルーブリック評価表を用いているが、評価の指標は科目独自のものであり、年次進行的に確認するための評価指標は設けられていないため、総合的な目標達成度を評価できる段階に達するための、さらなる改善が必要である。(3.薬学教育カリキュラム 3-3学修成果の評価) 7. 順次性のあるカリキュラムとその学修成果であるディプロマ・ポリシーへの到達度を段階的・総合的に評価し、到達度を数値化・可視化して評価することが十分にできていない。このように、科目レベルでの評価は行われているが、プログラムレベルでの適切な評価には至っておらず、改善が必要である。(3.薬学教育カリキュラム 3-3学修成果の評価) 8. 学修成果の評価を、全てのディプロマ・ポリシーについて到達度を数値化・可視化するための体系的な仕組みが構築に至っていないことから、学修成果の評価結果を教育課程の編成及び実施の改善・向上に活用するための改善を継続することが必要である。(3.薬学教育カリキュラム 3-3学修成果の評価) |
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| 昭和医科大学 | 私 | 東京都 | 第2期 |
2022年度 |
適 |
自己点検・評価書 基礎資料 正誤票 |
評価報告書
総評
昭和医科大学 総評 昭和大学薬学部は、昭和大学の理念である「至誠一貫」の精神のもと、薬学を通して医療の発展と国民の健康増進と福祉に真心と情熱を持って寄与する医療人の育成を教育研究上の目的としており、これに基づき、ディプロマ・ポリシー(学位授与の方針・卒業時の達成目標)、カリキュラム・ポリシー(教育課程の編成及び実施に関する方針)、及びアドミッション・ポリシー(入学者の受入れに関する方針)を制定し、6年制薬学教育を行っている。ディプロマ・ポリシーでは、卒業までに身につけるべき資質・能力を7つの領域にわたって設定している。カリキュラム・ポリシーでは、ディプロマ・ポリシーを達成し、コンピテンシー(昭和大学薬学部学生が卒業時に有している能力)を実現するために、体系的、段階的なカリキュラムを編成し、全学年にわたってシームレスにカリキュラムを実施している。学修成果及び教育成果を評価するための指針として、新たにアセスメント・ポリシー(学修成果・教育成果の評価の方針)を策定し、2022 年度から運用を開始している。アドミッション・ポリシーでは、卒業時に求められる基本的資質・能力を達成できる学生として、日々の学修と多様な経験の中から薬剤師となるために必要な能力を身につけている人を求めるとしており、医療人を目指す者としての資質・能力を評価するため、全ての入試区分において志願者全員に個別の面接試験を実施している。
とりわけ、医・歯・薬・保健医療の4学部連携チーム医療教育を学年縦断的に実施している点や、8つの附属病院において、全学生に対して質の高い病院実務実習を行っている点は、特色ある取り組みとして高く評価できる。さらには、実務家教員が附属病院で常時自己研鑽できる環境が整備されている点や薬剤師生涯研修認定制度を設け、その運営体制を構築し、毎年数百人規模の参加者を受け入れている点も高く評価できる。 他方で、これらの到達点を踏まえた発展課題もある。内部質保証において、ポートフォリオの質的解析は行っているものの自己点検や評価への活用が行われていない。教育課程の実施において、前期科目の再試験を後期に実施している点や再試験の受験資格を設定している点については、学生の不利益となる可能性がある。さらには、卒業に必要な単位数が履修要項に明記されておらず、学生へも周知されていない。学修成果の評価においては、アセスメント・ポリシーが施行されたばかりであり、また、学生の自己評価に留まっている。指摘したこれらの点を早期に改善することで、薬学教育プログラムをさらに充実させることができるものと期待される。
大学への提言
昭和医科大学 大学への提言1)長所
1. 医療倫理、チーム医療、在宅医療に関する教育において、4学部連携のPBLチュートリアルやTBLが積極的に取り入れられており、昭和大学独自の優れた取り組みといえる。(3.薬学教育カリキュラム 3-2教育課程の実施) 2. 全ての入試区分において、知識・技能、思考力・判断力・表現力等の能力が十分であることを学力試験等で確認するとともに、個別の面接試験により、医療人を目指す者としての資質・能力を合わせて評価することにより入学者を選抜している点は評価できる。(4.学生の受入れ) 3. 各学部において優れた研究業績を挙げた者、優れた教育功績を挙げた者に対して毎年「上條奨学賞」を授与し、表彰している。(5.教員組織・職員組織) 4. 病院薬剤学講座及び臨床薬学講座等の教育職員が、常に臨床現場において研鑽を積めるような環境が整備されている。(5.教員組織・職員組織) 5. 8つの大学附属病院を有し、低学年時から学生の臨床実習に活用している。(7.施設・設備) 6. 薬剤師生涯研修認定制度を設け、その運営体制を構築し、現在も活発に活動している。(8.社会連携・社会貢献) 2)助言 1. 教育研究上の目的及び三つの方針の検証を、医療を取り巻く環境や薬剤師に対する社会のニーズの変化を調査した結果を踏まえて行うことが望まれる。(1.教育研究上の目的と三つの方針) 2. 研究論文の考察部分において研究成果の医療や薬学における位置づけを記載するよう求めているが、記載されていない論文が散見されるので改善が望まれる。(3.薬学教育カリキュラム 3-2教育課程の実施) 3. 前期科目の再試験も後期にまとめて実施されているが、科目の合否が後期まで保留されることは学生の不利益となるため、同一学期に再試験を実施することが望まれる。(3.薬学教育カリキュラム 3-2教育課程の実施) 4. 進級試験では多肢選択形式問題のみではなく、記述式問題を加えるなど出題形式を多様化することが望まれる。(3.薬学教育カリキュラム 3-2教育課程の実施) 5. 留年者は、当該年の全ての必修科目を再履修しなければならないとしているが、合格した科目の単位を認定しないのは、学生の不利益となると考えられるため改善が望まれる。(3.薬学教育カリキュラム 3-2教育課程の実施) 6. 分析結果に基づいて、必要に応じて入学者受入れの改善・向上を図るとあるが、現在まで未実施であるので、早急に実施することが望まれる。(4.学生の受入れ) 7. 病院薬剤学講座の教育職員に対して、研究時間を確保することが望まれる。(5.教員組織・職員組織) 8. 一部の実習室へのアクセスが階段に限られる点や段差のある箇所がある点などについては、地震や火災などの緊急時における安全確保の観点から、キャンパスの再整備を待つことなく、可能な範囲で改善することが望まれる。(7.施設・設備) 3)改善すべき点 1. ポートフォリオの質的解析は行っているものの、解析結果を教育研究活動の自己点検や評価等に活用していないので、活用するよう改善が必要である。(2.内部質保証) 2. 再試験は、合格科目数が対象科目数の60%以上、あるいは対象科目の総点数が合格基準点の総和以上のいずれかに該当した者を対象に行っているが、再試験の受験資格を設けることは、学生にとって不利益となるため改善が必要である。(3.薬学教育カリキュラム 3-2教育課程の実施) 3. 卒業に必要な単位数を履修要項に明記するとともに学生に周知することが必要である。(3.薬学教育カリキュラム 3-2教育課程の実施) 4. 薬学部独自に策定したアセスメント・ポリシーは、2022年度から施行されたばかりである。また、学修成果の評価は、学生による自己評価に留まっているので、教員による評価を加えるなど、より客観性の高い評価方法の開発に取り組み、教育課程の編成及び実施の改善・向上に活用していくことが必要である。(3.薬学教育カリキュラム3-3学修成果の評価) |
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| 千葉科学大学 | 私 | 千葉県 | 第2期 |
2022年度 |
適 |
自己点検・評価書 基礎資料 正誤票 |
評価報告書
総評
千葉科学大学 総評 千葉科学大学薬学部薬学科では、学則にある教育目標を学科の教育研究上の目的としている。これは 2019 年度に改定され、医療を取り巻く環境や薬剤師に対する社会のニーズを反映している。教育研究上の目的に基づき三つの方針が策定されている。ディプロマ・ポリシーでは、卒業までに学生が身につけるべき7項目の資質・能力が設定され、項目ごとに観点及び4段階の判断基準を示したルーブリック形式の「到達度表」が作成されていることは評価できる。この「到達度表」を用いた「学修到達度評価」は、個々の学生や学年全体の学修成果の評価への利用が試みられている。カリキュラム・ポリシーでは、カリキュラムをディプロマ・ポリシー7項目に基礎的教養を加えた8領域に分け体系的に整理し、学習目標や教育方法を明示すると共に、学修成果(修得度)の評価方法を定めている。しかし、より具体的な学修成果の評価方法の記載が期待される。アドミッション・ポリシーに示された多様な人材を受け入れるため複数の入試方式がとられている。さらに、入学者数の適切性の検証と改善に向けた努力もなされているが、入学者数が入学定員数を大幅に下回る状況が続いており、入学者数の増加につながる入試方式等の改善が期待される。2018 年度にはアセスメント・ポリシー及び 11 の評価項目を策定している。評価項目は入学生・在校生・卒業生の3段階に分かれており、各評価項目を自己点検・評価することで三つの方針を検証できる。2019 年度には評価項目ごとに「アセスメント・ポリシーチェックリスト」が策定され、これを用いた検証が 2021 年度に行われている。このように、自己点検・評価を計画的に実施し、三つの方針の定期的な検証を行う体制は整備されているが、アセスメント・ポリシーの評価項目の検証が期待される。教員組織については、直近5年間の研究活動実績や博士の学位がない専任教員が複数名おり、十分な研究成果をあげるための支援体制のさらなる整備が期待される。また、カリキュラムにおいて重要と位置づけられた科目を教授または准教授が担当するように改善することも期待される。他方では、チューター及びアカデミック・アドバイザーの教員を選任し、学生の学修指導や生活面での相談に十分に対応していることは評価できる。現在の体制による自己点検・評価は緒についたばかりであるが、評価の結果が教育課程の編成及び実施の改善・向上に活用されることを期待したい。
大学への提言
千葉科学大学 大学への提言 1)長所
1. 学修成果の評価のために、ディプロマ・ポリシーの各項目に対して、観点と4段階の判断基準から構成されるルーブリック形式の到達度表が作成され、さらに各科目の観点と判断基準を一覧にしたカリキュラム・チェックリストを作成し、これに基づいた学修到達度評価により学修成果の評価を行っていることは高く評価できる。(3.薬学教育カリキュラム 3-3学修成果の評価) 2. 学生の修学支援として、チューターと共に学修指導を行うアカデミック・アドバイザーが選任されていることは評価できる。(6.学生の支援) 2)助言 1. DP7の「危機管理能力の活用」という表現は、薬学部の学生にはわかりにくい。わかりやすい表現への変更が望まれる。(1.教育研究上の目的と三つの方針) 2. 千葉科学大学自己評価委員会の構成員には外部委員が含まれていない。外部委員または6年制課程の卒業生を当該委員会に含め、審議の段階から参加してもらうことが望ましい。(2.内部質保証) 3. 「アセスメント・ポリシーチェックリスト」においては、ディプロマ・ポリシーに関する評価項目が「卒業後アンケート調査」と「進路先への調査」の2項目であり、評価項目としては不十分である。また、これらのアンケート調査への回答率が低く、実施頻度も4年に1回である。これらのことから、ディプロマ・ポリシーへのフィードバックが十分ではない可能性があるため、アンケート調査の実施方法の根本的な改善が望まれる。(2.内部質保証) 4. 自己点検・評価の結果は、「千葉科学大学事業報告」で公表されているが、薬学部独自には公表をしていない。薬学部ホームページ等で公表することが望ましい。(2.内部質保証) 5. 継続的に自己点検・評価が行われているが、「アセスメント・ポリシーチェックリスト」での評価結果の教育研究活動の改善へのフィードバックは十分ではない。自己点検・評価結果の教育研究活動へのさらなる反映が望まれる。(2.内部質保証) 6. 英語教育に関しては、上位学年には科目が設置されていないため、十分であるとは言えない。医療現場で活用できる英語力を身につけるための科目を上位学年に設置することが望ましい。(3.薬学教育カリキュラム 3-1教育課程の編成) 7. シラバスの「学習の方略」の欄に関して、SGDやロールプレイ等の記載がないため、学習方略の詳細が不明な科目がある。学生にわかりやすいように、「学習の方略」について、より具体的に記載することが望ましい。(3.薬学教育カリキュラム 3-2教育課程の実施) 8. 多項目で成績を評価する科目については、一部の科目において、各評価項目の寄与率がシラバスに記載されていない。寄与率のシラバスへの記載が望ましい。(3.薬学教育カリキュラム 3-2教育課程の実施) 9. 「到達度表」をディプロマ・ポリシーの前文に述べられている『薬学を修めた者の職分として以下の能力を身につけ、且つ所定の単位を修得した者に対して学士(薬学)の学位を授与する。』ことに適用するためには、「到達度表」の各観点について、卒業を認める基準値を明確にすることが望ましい。(3.薬学教育カリキュラム 3-3学修成果の評価) 10. 多様な入試方式を実施しているが、いずれの方式においても「学力の3要素(知識・技能、思考力・判断力・表現力等の能力、主体性を持って多様な人々と協働して学ぶ態度)」の多面的かつ総合的な評価は不十分であり、より理想的な選抜方式への改善が望まれる。(4.学生の受入れ) 11. 各年次の留年率が依然として高いため、その原因を解析し、留年率を下げる工夫が望まれる。(4.学生の受入れ) 12. 薬学部の専任教員31名のうち、助教が5名(16.1%)と少ないため、助教の割合を増やすことが望ましい。(5.教員組織・職員組織) 13. 次世代の教員養成に関する具体的な方針や計画を策定し、全ての教員が共有することが望ましい。(5.教員組織・職員組織) 14. 薬学部の教員が医療関連施設で研鑽できる体制は整っているが、研鑽のための制度が整備されていないので、その整備が望まれる。(5.教員組織・職員組織) 15. 就職支援に関して、学生が主体的に進路を選択できるように、教学支援部キャリア支援課を中心として、情報の収集・発信の一元化を図ることが望ましい。(6.学生の支援) 16. 学生の定期健康診断の受診率は、周知がなされているにも係らず、複数の学年で80%を下回っている。受診率を100%に近づけるための改善策を策定し、実行することが望ましい。(6.学生の支援) 3)改善すべき点 1. カリキュラム・ポリシーにはディプロマ・ポリシーに示された資質・能力の学修成果(修得度)の評価方法が十分に記載されていないので、より具体的に記載する必要がある。(1.教育研究上の目的と三つの方針) 2. 「アセスメント・ポリシーチェックリスト」及び「学修到達度評価」を用いた評価では量的評価が中心であり、自己点検・評価で求められている質的・量的な解析としては不十分である。質的評価法の導入や在籍(留年・休学・退学等)及び卒業状況(入学者に対する標準修業年限内の卒業者の割合等)の入学年次別分析を含め、アセスメント・ポリシーの評価項目についての再検討が必要である。(2.内部質保証) 3. 「学修到達度評価」は学修の進捗度評価には使用されているが、学生個人へのフィードバックや教育課程の編成及び実施の改善・向上に活用するには至っていない。「学修到達度評価」の評価結果を教育課程の編成及び実施の改善・向上に活用する必要がある。(3.薬学教育カリキュラム 3-3学修成果の評価) 4. 受験者数の減少傾向が続き、入学者数が入学定員数を大幅に下回る状況が続いている。早急に入学者数の増加につながる入試方式等の改善が必要である。(4.学生の受入 れ) 5. 薬学部の専任教員のうち、実務家教員は5名であるが、教授を除く4名は博士の学位を有していない。また、専任教員のうち6名は、直近5年間において研究活動(論文発表、学会発表)の実績がない。十分な研究成果をあげ、学位が取得できるための支援体制をさらに整備する必要がある。(5.教員組織・職員組織) 6. カリキュラムにおいて重要と位置付けた科目のうち、7科目は外部の非常勤講師、13科目は講師もしくは助教が担当している。カリキュラムにおいて重要と位置付けられた科目は教授または准教授が担当するよう改善する必要がある。(5.教員組織・職員組織) |
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| 同志社女子大学 | 私 | 京都府 | 第2期 |
2022年度 |
適 |
自己点検・評価書 基礎資料 正誤票 |
評価報告書
総評
同志社女子大学 総評 同志社女子大学薬学部は、6年制の医療薬学科だけを設置し、大学が掲げる3つの教育理念のもと、「医療薬学科は、最先端の薬学領域である医療や創薬現場で活躍できる研究能力をもち、幅広い教養と人間性、国際性を兼ね備えた、高度医療に対応できる薬剤師を養成することを目的とする」と人材養成目的を定め、それに基づいた「学位授与の方針」、「教育課程の編成及び実施に関する方針」、「入学者受入れの方針」を制定し、6年制薬学教育を行っている。上級生が、入学予定者や下級生に対して、勉強や生活の相談にのるビッグシスター制度を導入し、学生満足度の向上の一助としている点は、同志社女子大学の特色と言える。しかしながら、本評価において最も重要な項目である「学修成果の評価」については、その意義を十分に理解していないと判断せざるを得ない。すなわち、「教育課程の編成及び実施に関する方針」には、「学位授与の方針」に記載された資質・能力の修得度・達成度を評価するための評価の在り方と、その段階的な修得状況を教育課程のどの時期にどのような方法で測定するかという評価計画が示されていない。さらに、この「教育課程の編成及び実施に関する方針」の「学習成果の測定方法」の項には、「6年間の学修の集大成として、薬剤師国家試験の合格によって学習成果を評価する」との項目があり、教育課程の進行に対応して学修成果を適切に評価し、その結果を教育課程の編成及び実施の改善・向上に向けて積極的に活用することの重要性が十分に理解されておらず、それらの実施に向けた検討もなされていないので、早急に適切な措置を講ずる必要がある。また、「内部質保証」の起点となる自己点検・評価は、全学組織が主導して行われており、薬学部の「内部質保証」の状況は学内資料として全学組織に提出されるのみであり、広く社会に公表されてはいないので、積極的に公表する必要がある。さらに、第1期の薬学教育評価において指摘した教員組織の編成に関しては、未だ十分な改善が行われておらず、専任教員による教員組織の適正化を図るよう、改善する必要がある。同志社女子大学薬学部は、大学の教育理念や人材養成目的に即した薬剤師の養成に向けて、熱心に教育研究に取り組む姿勢はうかがえる。学修成果の評価体制とその結果を活用する内部質保証体制を整え、さらなる発展に向けて努められたい。
大学への提言
同志社女子大学 大学への提言 1)長所
1. 申込制により、大学が入学前に新入生(リトルシスター)に対して上級生(ビッグシスター)を紹介し、上級生が下級生の履修や生活面での相談に応じる「ビッグシスター制度」を実施し、新入生が初めての環境に少しでも早く慣れ親しめるように配慮している事は評価できる。(6.学生の支援) 2)助言 1. 履修要項には「教育理念・目標」が掲載されているが、学則にある「人材養成目的」は掲載されておらず、年度当初に行われるガイダンスの資料にも人材養成目的に関する説明が含まれていない。薬学部のWeb掲示板には人材養成目的を記載したファイルへのリンクが張られているが、より積極的に周知することが望まれる。(1.教育研究上の目的と三つの方針) 2. 「学位授与の方針」には26項目の資質・能力が羅列されており、学生には自らが卒業までに身に付けるべき資質・能力の全体像を把握することは困難である。これらの項目の資質・能力の中には内容が重複するものもあることから、内容を整理し、学生が卒業までに到達すべき自らの姿をイメージできるような「学位授与の方針」に変更することが望まれる。(1.教育研究上の目的と三つの方針) 3. 「教育課程の編成及び実施に関する方針」は、学習の質を重視し、学習・教授方法及び成績評価のための課題が意図する成果のために想定された学習活動に整合するようには設定されていないので、設定することが望ましい。(1.教育研究上の目的と三つの方針) 4. 薬学部自己点検・評価委員会には、外部委員や6年制課程の卒業生を含むことが望ましい。(2.内部質保証) 5. 「国際主義」を掲げる大学の一学部として、必修科目として行われる英語教育がわずか2年半しかないというのは寂しい状況であり、英語教育のさらなる拡充が望まれる。(3.薬学教育カリキュラム 3-1教育課程の編成) 6. 倫理観醸成のための教育が、6年間を通して継続的に行われているとは言えないので、継続して行うようにカリキュラムを改訂することが望まれる。(3.薬学教育カリキュラム 3-1教育課程の編成) 7. 「早期体験学習Ⅰ(1年次)」及び「セルフメディケーション・在宅医療特論(6年次)」において看護学部との連携授業を2コマずつ開講しているとしているが、多職種連携は「薬学教育モデル・コアカリキュラム平成25年度改訂版」の「A基本事項」の中に組み込まれるほど重要な教育項目であることから、実践的な多職種連携教育を今後さらに拡充することが望まれる。(3.薬学教育カリキュラム 3-1教育課程の編成) 8. 進級及び卒業判定に関わる資料は重要であることから、全学教授会において審議する前に薬学部内の適切な委員会が資料の内容を確認するなど、薬学部としてのチェック機構を設定することが望ましい。(3.薬学教育カリキュラム 3-2教育課程の実施) 9. 定員の6割以上を占める一般入学試験や大学入学共通テストを利用する入学試験ではアドミッション・ポリシーに示した「関心・意欲・態度」の修得度を確認していないので、「医療人を目指す者としての資質と能力の評価」を含めて、この素養を正しく評価するように入試制度を改変することが望まれる。(4.学生の受入れ) 10. 1名の専任教員に対して学生数が10名以内となるような教員組織を編成することが望ましい。(5.教員組織・職員組織) 11. 過去5年間の研究業績が全く記載されていない教員がいることから、教員が担当する授業に関して自己点検・評価を行うだけでなく、広範にわたる教育研究活動について定期的に自己点検・評価を行うような仕組みを導入することが望まれる。(5.教員組織・職員組織) 3)改善すべき点 1. 「教育課程の編成及び実施に関する方針」の中の「学習成果の測定方法」の項目には学習方略別や授業科目ごとの学習成果の評価の概略が示されているが、学修成果として「学位授与の方針」に記載された資質・能力の修得度の評価の在り方は具体的に示されていないので、学修成果の評価計画を含めて具体的に示す必要がある。(1.教育研究上の目的と三つの方針) 2. 「学習成果の測定方法」には、「6年間の学修の集大成として, 薬剤師国家試験の合格によって学習成果を評価する」との項目がある。資格試験の合格のみを目指す専門学校や予備校の教育とは異なり、薬剤師国家試験の合否を大学の人材養成目的に基づく教育の最終評価とするのは不適切であり、改善する必要がある。(1.教育研究上の目的と三つの方針) 3. 「入学者受入れの方針」には、求める学生像については記載されているものの、多様な学生をどのように評価・選抜するかについては記載されていないので、記載するように改善する必要がある。(1.教育研究上の目的と三つの方針) 4. 適切な基準や指標を設け、質的・量的な解析に基づき、薬学部における教育研究活動を主体的に自己点検・評価し、その結果を広く社会に対して公表する必要がある。(2.内部質保証) 5. 薬学部独自の教育研究活動の改善は、大学の内部質保証の一環として行われているが、薬学部独自の自己点検・評価結果等に基づいて適切に行う必要がある。(2.内部質保証) 6. 臨床系科目と卒業研究に関わる科目においてルーブリック評価表を用いた学生による自己評価と教員による評価が行われるようになったが、これら以外の問題解決能力の醸成を目指す科目では到達度に対する明確な目標を立てた評価が行われておらず、また、科目の成果を総合した、問題解決能力醸成教育全体を通しての目標達成度も評価されていないので、適切な評価を行うように改善する必要がある。(3.薬学教育カリキュラム3-2教育課程の実施) 7. 「薬局実務実習」及び「病院実務実習」の成績評価は、出席しただけで合格できるような配点となっていることから成績が適切に評価されているとはいえず、改善する必要がある。(3.薬学教育カリキュラム 3-2教育課程の実施) 8. 「定期試験後の成績報告までに、教員の判断により学力不足の学生に対しての補講を行い、補講に関する確認テスト(補講テスト)を実施することにして学力アップを図った上で評価する」ことは、第1期の薬学教育評価において不適切と指摘を受けた後に廃止された「明確な規程に拠らずに実施している再試験」と同じことであり、改善する必要がある。(3.薬学教育カリキュラム 3-2教育課程の実施) 9. 異議申し立て制度が設けられていないので、制度として明文化するように改善する必要がある。(3.薬学教育カリキュラム 3-2教育課程の実施) 10. 「学位授与の方針」に記載された 26 項目の資質・能力の修得度・達成度を、カリキュラムの年次進行に伴って総合的に評価するための指標を設定し、それに基づく評価を実施するように改善する必要がある。(3.薬学教育カリキュラム 3-3学修成果の評価) 11. 入学者選抜方法の適切性を検証するための指標には、志願者動向や薬剤師国家試験のストレート合格率等が用いられており、「入学者の資質・能力」の検証に基づいて検証している訳ではない。「入学者の資質・能力」を適正に検証する方法を構築し、その検証結果に基づき入学者の受け入れを改善・向上させる必要がある。(4.学生の受入れ) 12. 薬学部が目指す教育研究活動を実現するための教員組織の編成に関する方針は具体的に示されていないので、具体的な方針を設定する必要がある。(5.教員組織・職員組織) 13. 特別任用教員ではない専任教員数は 19 名(教授 12 名、准教授7名)であり、本機構による第1期の薬学教育評価において「改善すべき点」として指摘した状況と比べて大きな変化は見られないことから、定年を過ぎた特別任用教授の交代、能力のある特別任用助教の昇格などを含めた教員組織の再編を進め、専任教員による教員組織の適正化を図るよう、改善する必要がある。(5.教員組織・職員組織) |
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| - | - | - | - | 2022年度 |
- | - |
2:なお書き 改善報告審議結果 2025/7/1 |
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| - | - | - | - | 2022年度 |
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2:なお書き 改善報告審議結果 2024/7/8 |
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| 東邦大学 | 私 | 東京都 | 第2期 |
2022年度 |
適 |
自己点検・評価書 基礎資料 正誤票 |
評価報告書
総評
東邦大学 総評 東邦大学薬学部は、東邦大学の教育の理念のもとに、「高い倫理観、豊かな人間性、自他ともに高め合う態度、基礎薬学並びに医療薬学に関するバランスのとれた豊富で正確な知識・技術及び問題解決能力を育成し、チーム医療に資するためのコミュニケーション能力及び実践的能力を醸成する。研究に関しては、基礎薬学並びに医療薬学に関する学術研究活動の推進を図り、地域はもとより広く社会に貢献する」を「教育研究上の目的」と定め、「卒業認定・学位授与の方針(ディプロマ・ポリシー)」、「教育課程の編成・実施の方針(カリキュラム・ポリシー)」、「入学者受入れの方針(アドミッション・ポリシー)」を制定して6年制薬学教育を行っている。これらは、薬学教育モデル・コアカリキュラム(平成 25年度改訂版)に示されている、薬剤師として求められる基本的な資質との整合性も取れており、医療を取り巻く環境や薬剤師に対する社会のニーズを反映したものとなっている。学修成果の評価の在り方としては、全学のアセスメントポリシーに基づいてアセスメントプランを策定している。アセスメントプランは 13 の項目で構成されており、学位プログラムレベルと学生レベルの2つが策定されている。学位プログラムレベルはGPA(GradePoint Average)、アセスメントテストなどを用いて質的・量的にプログラムの改善を図るものとなっている。学生レベルは各教科の学習によって何を身につけるべきなのか、それらの修得がディプロマ・ポリシーの資質・能力の醸成に向けたどのような段階に位置しているのかを学生が理解できるような工夫がなされているが、学生の到達状況を評価する評価基準は設定されていない。このアセスメントプランは 2021 年度より本格実施されており、実際の教育課程、教育内容との整合性、より効果的な評価の方法について検討を随時加え、その検討結果を踏まえて見直しを行うことが計画されていることから、今後のさらなる充実が期待される。一方、カリキュラム・ポリシーの中にディプロマ・ポリシーに示されている学修成果を評価する方法が記載されておらず、明記が必要である。さらに、主要な問題点に関して教員教育ワークショップを毎年開催して教育プログラムの改善を図っている、「薬学部開講科目実施状況報告書」の作成を義務付けて各教員の教育活動の改善を図っている、「目安箱」を設置して学生生活・教育活動の改善を図っているなど、不十分な点は散見されるが、学部全体で質的・量的に評価・検証を行いプログラム改善に努めていることは評価できる。なお、アセスメントポリシー並びにアセスメントプランは端緒にあり、その他の取り組みについても改める部分はあるが、どの取り組みも伸び代を大いに感じさせるものであることから、今後、教育カリキュラムの編成・実施及び評価、受け入れ学生の基礎学力の向上など、様々な観点からさらに検証を行い、東邦大学の薬学教育プログラムをさらに充実させることが期待される。
大学への提言
東邦大学 大学への提言 1)長所
1. 他学部の学生と協働する授業を開講していることは評価できる。(3.薬学教育カリキュラム 3-1教育課程の編成) 2. 卒後のキャリア形成に繋がる科目(「社会薬学特別講義」(4年次通年、選択必修)、「生命科学特別講義」(4年次通年、選択必修)、「社会への招待Ⅰ」(5年次春期、必修)、「社会への招待Ⅱa~Ⅱd」(5年次秋期、選択必修)、「臨床薬学総論」(6年次春期、必修))や国際的感覚を養うことがきる「海外実務実習」(5年次秋学期、選択)の開講は評価できる。(3.薬学教育カリキュラム 3-1教育課程の編成) 3. 国際化の流れに対応できる薬剤師、創薬専門家となるために必要な基本的知識と技能を修得することを目指して「海外実務実習」(5年次秋学期、選択)を実施している。この科目が、渡航前に各自で到達目標を設定する事前プログラム、派遣先での実習、帰国後の学部内公開成果発表と討論を行う事後プログラムと系統的に編成されていることは、評価できる。(3.薬学教育カリキュラム 3-1教育課程の編成) 4. 育成すべき能力に合わせ、SGD、PBL、TBL、他学部合同授業の実施、医療専門職の参加など、各授業において適切な方法を様々な形で導入していることは評価できる。(3.薬学教育カリキュラム 3-2教育課程の実施) 5. 2020(令和2)年度より、アセスメントテスト(GPS-Academic)を導入して、知識や技能などに対する理解度や習熟度の評価とは異なる観点に対して指標を与え、個々の学生に自らの強みと改善に向けて取り組むべきポイントを認識させ成長を促していることは評価できる。(3.薬学教育カリキュラム 3-3学修成果の評価) 6. 主要な問題点について、毎年、学部内で教育ワークショップを開催し、情報共有と改善策の提案を行っており評価できる。(5.教員組織・職員組織) 7. 1~3年次生を一人のクラス担任が担当することにより学年間の学生の繋がりができる工夫がなされている点は評価できる。(6.学生の支援) 8. 新型コロナウイルスの感染が拡大した状況下においても、春の公開講座「薬草園一般公開及び講演会」の代替としてWebでバーチャル薬草園を動画配信している点は評価できる。(8.社会連携・社会貢献) 2)助言 1. 現段階ではアセスメントプランについてはカリキュラム・ポリシーで触れられておらず、大学のアセスメントポリシーを踏まえてどのような評価方法を用いるかをあらかじめ学生に提示するという観点から、カリキュラム・ポリシーへのアセスメントプランの概要の記載が望まれる。(1.教育研究上の目的と三つの方針) 2. 学部で毎年度実施している自己点検・評価の報告書については、ホームページ等で公開されていないが、自己点検・評価活動の実態を社会に知って貰うためにも、概要等の掲載が望まれる。(2.内部質保証) 3. 定期試験等の疑義照会期間に、学生から答案開示の請求が出された場合には、原則として開示に応じているが、これに関する規程や申し合わせ等が明文化されていないため、規定等の整備が望まれる。(3.薬学教育カリキュラム 3-2教育課程の実施) 4. 一般入試、共通テスト利用入試、一般入試(共通テスト併用)においては面接試験を課しておらず、学力の3要素のうち「主体性を持って多様な人々と共同して学ぶ態度」の評価については調査書の記載を確認する程度に留まっており、面接を導入するなど、学力の3要素を全ての入試で評価することが望まれる。(4.学生の受入れ) 5. 収容定員数による教員1名あたりの学生数は約20名であり、専任教員1名当たりの学生数が10名となるよう、教員数のさらなる増加が望まれる。(5.教員組織・職員組織) 6. 教授で女性教員が25名中で1名であるなど少なくなっており、さらなる充実が望まれる。(5.教員組織・職員組織) 7. 教員間で授業の担当時間にばらつきが認められることから、格差の解消が望まれる。(5.教員組織・職員組織) 8. 教育研究活動に関する業績の入力、管理、公開の支援を担う組織として、東邦大学学事統括部研究支援課に研究業績データベース事務局が設置されており、教員に対して入力を促しているが、保存、公開されるデータは教員本人の入力に委ねられていることから情報の充実度は教員により違いがみられるため、学部として責任のある公表が望まれる。(5.教員組織・職員組織) 9. TAの資格や実施できる範囲などに関する規定が整備されていないことから、教育の質の担保の観点からも規定の整備が望まれる。(5.教員組織・職員組織) 10. 臨床系教員・実務家教員の医療実務の研鑽に向けた体制については、新しい医療に対応するために学外での研修等が行えるよう積極的に検討してはいるが、現状では、医療現場で薬剤師業務を実践できる学部内の体制は整備されているとは言い難く、体制の構築と研修の実施が望まれる。(5.教員組織・職員組織) 11. 学生の自習促進のために、薬学部独自の自習室を設けるなどのさらなる充実が望まれる。(6.学生の支援) 3)改善すべき点 1. カリキュラム・ポリシーの中にディプロマ・ポリシーに示されている学修成果を評価する方法が記載されておらず、明記が必要である。(1.教育研究上の目的と三つの方針) 2. 「薬学総合演習Ⅱ」において、学内実力試験の合否によって期末試験での合格基準点が学生毎に異なる仕組みとなっている。学生によって合格基準点が異なることは問題であり、さらに合格基準点も「東邦大学履修規則 第9条の2」に規定されているものとは異なっていることから、改善が必要である。(3.薬学教育カリキュラム 3-2教育課程の実施) 3. 薬局実習や実務実習日誌の評価において、適宜減点など、曖昧な基準が設けられており、適宜減点という制度は教員によって差異がある可能性があり、学生にとって不明確であり尚且つ不利益に通ずる可能性もあるため、減点の具体的な基準等を示す必要がある。(3.薬学教育カリキュラム 3-2教育課程の実施) 4. 成績に関する学生からの疑義照会先は現在科目の担当教員だけとなっているため、学生のアクセスと透明性を向上させるためにも、大学としての窓口を別途設け、規則を学則等へ記載して学部として対応することが必要である。(3.薬学教育カリキュラム 3-2教育課程の実施) 5. ディプロマ・ポリシーの目標に対する学修成果の評価が行われていないので、改善が必要である。(3.薬学教育カリキュラム 3-3学修成果の評価) |
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| 徳島文理大学 | 私 | 徳島県 | 第2期 |
2022年度 |
適 |
自己点検・評価書 基礎資料 正誤票 |
評価報告書
総評
徳島文理大学 総評 徳島文理大学薬学部は、教育理念として「全人教育により豊かな教養と人間性を有し、課題発見能力・問題解決能力を身に付けた地域や国際社会に貢献できる薬剤師、及び、薬剤師資格を有した多様な人材を育成すること」、教育研究上の目的を「薬学部は、薬学に関して深い知識・技能・態度をもつ有能な人材を養成するとともに、最高最新の科学を教授研究することを目的とする。」と定めている。これに基づき三つの方針が一貫性・整合性のあるものとして策定されている。また、研究志向の高い学生に対して 1 年次から学部内インターンシップ(選択科目)を設置して、興味のある研究室にて活動できる環境を用意していることは評価できる。一方、現在のディプロマ・ポリシー(DP)からは、学生が卒業時に求められる人物像を想像するのは難しいため、領域別に求められる要素を統合した到達目標として、卒業時に求められる在るべき姿が思い描けるアウトカムを示すよう改善が求められる。また、学修成果の評価については、学生が身につけるべき資質・能力について学年進行に応じた評価方法は策定されているものの、その実施については卒業時のみであり、全学年に対して
実施し、また学生にフィードバックする必要がある。併せて、評価結果については継続的に解析を行い、教育課程の編成及び実施の改善・向上に活用することが期待される。さらに、カリキュラム・ポリシー(CP)に学修成果の評価方法についての記載がなく、DPの内容及び評価方法を見直し、これに合わせたCPを策定する必要がある。平成 25 年度改訂版の薬学教育モデル・コアカリキュラムに基づく教育科目の体系性及び科目の順次性は、カリキュラム・マップ及びカリキュラム・ツリーを用いて示されている。しかし、カリキュラム・ツリーには薬剤師として求められる資質や能力と各科目との関係性が示されておらず、学年を経ることによってどのような資質・能力の修得につながるかが学生に明確にわかるよう改善が求められる。また、シラバスの内容について一部の科目で到達目標に対する学習方略・評価が不適切なものが認められ、修正するとともにチ ェックシステムの強化が期待される。徳島文理大学薬学部には、今回の評価における提言を踏まえた改善を通して、6年制薬学教育プログラムの質をさらに高め、大学が目標とする人材育成が実現することを期待する。
大学への提言
徳島文理大学 大学への提言 1)長所
1. 学部内インターンシップ (選択科目) を設置して、研究室配属される前の1~3年生であっても興味のある研究室にて研究を実施できる環境を用意している。(3.薬学教育カリキュラム 3-1教育課程の編成) 2. 「実務家(臨床系)教員の外部医療機関での研鑽制度」が整備されており、実務家教員5名が薬学部実務家教員及び薬剤師としての知識・技能を維持し最新医療に対応するために本研鑽制度を活用して近隣の徳島大学病院、徳島赤十字病院において、日常的に薬剤部カンファレンス・講習会等に参加している点は評価できる。(5.教員組織・職員組織) 3. 薬物乱用防止啓発事業の指導員に教員のみならず、学部学生が任命されている。(8.社会連携・社会貢献) 4. 海外大学との大学間協定や留学生の受入れを積極的に行っており、研究室レベル及び学生レベルにおける国際交流の活性化への取り組みは評価できる。(8.社会連携・社会貢献) 2)助言 1. 教育研究上の目的は、各学年においてスライド等を利用したより分かりやすい方法にて周知を図ることが望まれる。(1.教育研究上の目的と三つの方針) 2. 現在のディプロマ・ポリシーは学生が卒業時に求められる人物像を想像するのは難しいため、領域ごとに区分して表記するのではなく、各領域の要素を統合した到達目標として、卒業時に求められる在るべき姿が思い描けるアウトカムが示されていることが望まれる。(1.教育研究上の目的と三つの方針) 3. カリキュラム・ポリシーでは、各科目の学習評価は「12.成績評価は、科目の特性に応じて適切かつ多様な評価方法と基準を設ける。」とされており、より具体的な記載が望まれる。(1.教育研究上の目的と三つの方針) 4. 学修成果の評価基準、方法、時期などを薬学部要覧などに記載し、また各学年オリエンテーションで毎年説明する等、学生及び教職員への周知に努めることが望ましい。(3.薬学教育カリキュラム 3-3学修成果の評価) 5. 大学入学共通テスト利用入試や一般入試は筆記試験のみであり、思考・判断・表現力の評価、ならびに医療人を目指す者としての資質・能力の評価は十分とは言えない。したがって、入学者の選抜方式については引き続き工夫することが望まれる。(4.学生の受入れ) 6. 留年率やストレート卒業率などのデータからは、十分な資質や能力を持った学生を選考できているかどうかという点では疑問が残り、今後の改善に結びつけられることが望まれる。(4.学生の受入れ) 7. 薬学部専任事務職員は2名であり、より円滑な事務業務の遂行のためには薬学部専任の事務職員を増員することが望ましい。(5.教員組織・職員組織) 8. 学生の健康診断については、平成26年度に実施された薬学教育評価機構による第一期の評価において、2~4年生の受診率は極めて低い(2.7~28.6%)ことが指摘されたが、学生指導を強化した結果、2021年度は72.3~88.6%と改善したとしている。しかしながら、学校保健安全法(健康診断受診義務)の法律遵守に努め、受診率100%となるよう継続的に改善策を講じ実行することが望まれる。(6.学生の支援) 3)改善すべき点 1. カリキュラム・ポリシーには、6年間の総合的な学修成果の評価方法についても記載する必要がある。(1.教育研究上の目的と三つの方針) 2. ディプロマ・ポリシーに掲げた到達目標の総合的な達成度の評価結果について、継続的に量的解析を行い、教育研究活動の改善に努めることが必要である。(2.内部質保証) 3. 基礎資料1にカリキュラム・ツリーが示されているが、最終到達点は国家試験、就職・進学となっており、薬剤師として求められる資質や能力と各科目との関係性が示されていない、したがって、学生が6年間の学修によってどのような資質・能力の修得につながるかが学生に明確にわかるよう修正する必要がある。(3.薬学教育カリキュラム 3-1教育課程の編成) 4. 一部の科目(「免疫学」、「泌尿器・内分泌疾患の薬物学」等)においては、「知識・理解」以外の目標の学習に適した方略・評価とは考えにくいものも見られ、適切なものに修正することが必要である。(3.薬学教育カリキュラム 3-2教育課程の実施) 5. 成績評価に対しての学生からの異議申し立ての仕組みがあり、学生に周知されているが、単位認定に関わる重要な情報であることから、薬学部要覧などに記載する必要がある。(3.薬学教育カリキュラム 3-2教育課程の実施) 6. 学生が身につけるべき資質・能力の教育課程の進行に応じた評価方法は策定されているものの、評価とフィードバックがなされていないことは問題であり、早急に評価・フィードバックを行うことが必要である。(3.薬学教育カリキュラム 3-3学修成果の評価) 7. 学修成果の評価を実施し、評価結果をもとに教育課程の編成及び実施の改善・向上に活用する必要がある。(3.薬学教育カリキュラム 3-3学修成果の評価) |
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| 同志社女子大学 | 私 | 京都府 | 第2期 | 2022年度 | 適 |
自己点検・評価書 基礎資料 正誤票 |
評価報告書
総評
同志社女子大学 総評 同志社女子大学薬学部は、6年制の医療薬学科だけを設置し、大学が掲げる3つの教育理念のもと、「医療薬学科は、最先端の薬学領域である医療や創薬現場で活躍できる研究能力をもち、幅広い教養と人間性、国際性を兼ね備えた、高度医療に対応できる薬剤師を養成することを目的とする」と人材養成目的を定め、それに基づいた「学位授与の方針」、「教育課程の編成及び実施に関する方針」、「入学者受入れの方針」を制定し、6年制薬学教育を行っている。上級生が、入学予定者や下級生に対して、勉強や生活の相談にのるビッグシスター制度を導入し、学生満足度の向上の一助としている点は、同志社女子大学の特色と言える。しかしながら、本評価において最も重要な項目である「学修成果の評価」については、その意義を十分に理解していないと判断せざるを得ない。すなわち、「教育課程の編成及び実施に関する方針」には、「学位授与の方針」に記載された資質・能力の修得度・達成度を評価するための評価の在り方と、その段階的な修得状況を教育課程のどの時期にどのような方法で測定するかという評価計画が示されていない。さらに、この「教育課程の編成及び実施に関する方針」の「学習成果の測定方法」の項には、「6年間の学修の集大成として、薬剤師国家試験の合格によって学習成果を評価する」との項目があり、教育課程の進行に対応して学修成果を適切に評価し、その結果を教育課程の編成及び実施の改善・向上に向けて積極的に活用することの重要性が十分に理解されておらず、それらの実施に向けた検討もなされていないので、早急に適切な措置を講ずる必要がある。また、「内部質保証」の起点となる自己点検・評価は、全学組織が主導して行われており、薬学部の「内部質保証」の状況は学内資料として全学組織に提出されるのみであり、広く社会に公表されてはいないので、積極的に公表する必要がある。さらに、第1期の薬学教育評価において指摘した教員組織の編成に関しては、未だ十分な改善が行われておらず、専任教員による教員組織の適正化を図るよう、改善する必要がある。同志社女子大学薬学部は、大学の教育理念や人材養成目的に即した薬剤師の養成に向けて、熱心に教育研究に取り組む姿勢はうかがえる。学修成果の評価体制とその結果を活用する内部質保証体制を整え、さらなる発展に向けて努められたい。
大学への提言
同志社女子大学 大学への提言 1)長所
1. 申込制により、大学が入学前に新入生(リトルシスター)に対して上級生(ビッグシスター)を紹介し、上級生が下級生の履修や生活面での相談に応じる「ビッグシスター制度」を実施し、新入生が初めての環境に少しでも早く慣れ親しめるように配慮している事は評価できる。(6.学生の支援) 2)助言 1. 履修要項には「教育理念・目標」が掲載されているが、学則にある「人材養成目的」は掲載されておらず、年度当初に行われるガイダンスの資料にも人材養成目的に関する説明が含まれていない。薬学部のWeb掲示板には人材養成目的を記載したファイルへのリンクが張られているが、より積極的に周知することが望まれる。(1.教育研究上の目的と三つの方針) 2. 「学位授与の方針」には26項目の資質・能力が羅列されており、学生には自らが卒業までに身に付けるべき資質・能力の全体像を把握することは困難である。これらの項目の資質・能力の中には内容が重複するものもあることから、内容を整理し、学生が卒業までに到達すべき自らの姿をイメージできるような「学位授与の方針」に変更することが望まれる。(1.教育研究上の目的と三つの方針) 3. 「教育課程の編成及び実施に関する方針」は、学習の質を重視し、学習・教授方法及び成績評価のための課題が意図する成果のために想定された学習活動に整合するようには設定されていないので、設定することが望ましい。(1.教育研究上の目的と三つの方針) 4. 薬学部自己点検・評価委員会には、外部委員や6年制課程の卒業生を含むことが望ましい。(2.内部質保証) 5. 「国際主義」を掲げる大学の一学部として、必修科目として行われる英語教育がわずか2年半しかないというのは寂しい状況であり、英語教育のさらなる拡充が望まれる。(3.薬学教育カリキュラム 3-1教育課程の編成) 6. 倫理観醸成のための教育が、6年間を通して継続的に行われているとは言えないので、継続して行うようにカリキュラムを改訂することが望まれる。(3.薬学教育カリキュラム 3-1教育課程の編成) 7. 「早期体験学習Ⅰ(1年次)」及び「セルフメディケーション・在宅医療特論(6年次)」において看護学部との連携授業を2コマずつ開講しているとしているが、多職種連携は「薬学教育モデル・コアカリキュラム平成25年度改訂版」の「A基本事項」の中に組み込まれるほど重要な教育項目であることから、実践的な多職種連携教育を今後さらに拡充することが望まれる。(3.薬学教育カリキュラム 3-1教育課程の編成) 8. 進級及び卒業判定に関わる資料は重要であることから、全学教授会において審議する前に薬学部内の適切な委員会が資料の内容を確認するなど、薬学部としてのチェック機構を設定することが望ましい。(3.薬学教育カリキュラム 3-2教育課程の実施) 9. 定員の6割以上を占める一般入学試験や大学入学共通テストを利用する入学試験ではアドミッション・ポリシーに示した「関心・意欲・態度」の修得度を確認していないので、「医療人を目指す者としての資質と能力の評価」を含めて、この素養を正しく評価するように入試制度を改変することが望まれる。(4.学生の受入れ) 10. 1名の専任教員に対して学生数が10名以内となるような教員組織を編成することが望ましい。(5.教員組織・職員組織) 11. 過去5年間の研究業績が全く記載されていない教員がいることから、教員が担当する授業に関して自己点検・評価を行うだけでなく、広範にわたる教育研究活動について定期的に自己点検・評価を行うような仕組みを導入することが望まれる。(5.教員組織・職員組織) 3)改善すべき点 1. 「教育課程の編成及び実施に関する方針」の中の「学習成果の測定方法」の項目には学習方略別や授業科目ごとの学習成果の評価の概略が示されているが、学修成果として「学位授与の方針」に記載された資質・能力の修得度の評価の在り方は具体的に示されていないので、学修成果の評価計画を含めて具体的に示す必要がある。(1.教育研究上の目的と三つの方針) 2. 「学習成果の測定方法」には、「6年間の学修の集大成として, 薬剤師国家試験の合格によって学習成果を評価する」との項目がある。資格試験の合格のみを目指す専門学校や予備校の教育とは異なり、薬剤師国家試験の合否を大学の人材養成目的に基づく教育の最終評価とするのは不適切であり、改善する必要がある。(1.教育研究上の目的と三つの方針) 3. 「入学者受入れの方針」には、求める学生像については記載されているものの、多様な学生をどのように評価・選抜するかについては記載されていないので、記載するように改善する必要がある。(1.教育研究上の目的と三つの方針) 4. 適切な基準や指標を設け、質的・量的な解析に基づき、薬学部における教育研究活動を主体的に自己点検・評価し、その結果を広く社会に対して公表する必要がある。(2.内部質保証) 5. 薬学部独自の教育研究活動の改善は、大学の内部質保証の一環として行われているが、薬学部独自の自己点検・評価結果等に基づいて適切に行う必要がある。(2.内部質保証) 6. 臨床系科目と卒業研究に関わる科目においてルーブリック評価表を用いた学生による自己評価と教員による評価が行われるようになったが、これら以外の問題解決能力の醸成を目指す科目では到達度に対する明確な目標を立てた評価が行われておらず、また、科目の成果を総合した、問題解決能力醸成教育全体を通しての目標達成度も評価されていないので、適切な評価を行うように改善する必要がある。(3.薬学教育カリキュラム3-2教育課程の実施) 7. 「薬局実務実習」及び「病院実務実習」の成績評価は、出席しただけで合格できるような配点となっていることから成績が適切に評価されているとはいえず、改善する必要がある。(3.薬学教育カリキュラム 3-2教育課程の実施) 8. 「定期試験後の成績報告までに、教員の判断により学力不足の学生に対しての補講を行い、補講に関する確認テスト(補講テスト)を実施することにして学力アップを図った上で評価する」ことは、第1期の薬学教育評価において不適切と指摘を受けた後に廃止された「明確な規程に拠らずに実施している再試験」と同じことであり、改善する必要がある。(3.薬学教育カリキュラム 3-2教育課程の実施) 9. 異議申し立て制度が設けられていないので、制度として明文化するように改善する必要がある。(3.薬学教育カリキュラム 3-2教育課程の実施) 10. 「学位授与の方針」に記載された 26 項目の資質・能力の修得度・達成度を、カリキュラムの年次進行に伴って総合的に評価するための指標を設定し、それに基づく評価を実施するように改善する必要がある。(3.薬学教育カリキュラム 3-3学修成果の評価) 11. 入学者選抜方法の適切性を検証するための指標には、志願者動向や薬剤師国家試験のストレート合格率等が用いられており、「入学者の資質・能力」の検証に基づいて検証している訳ではない。「入学者の資質・能力」を適正に検証する方法を構築し、その検証結果に基づき入学者の受け入れを改善・向上させる必要がある。(4.学生の受入れ) 12. 薬学部が目指す教育研究活動を実現するための教員組織の編成に関する方針は具体的に示されていないので、具体的な方針を設定する必要がある。(5.教員組織・職員組織) 13. 特別任用教員ではない専任教員数は 19 名(教授 12 名、准教授7名)であり、本機構による第1期の薬学教育評価において「改善すべき点」として指摘した状況と比べて大きな変化は見られないことから、定年を過ぎた特別任用教授の交代、能力のある特別任用助教の昇格などを含めた教員組織の再編を進め、専任教員による教員組織の適正化を図るよう、改善する必要がある。(5.教員組織・職員組織) |
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2:なお書き 改善報告審議結果 2024/7/8 |
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| 同志社女子大学 | 私 | 京都府 | 第2期 | 2022年度 | 適 |
自己点検・評価書 基礎資料 正誤票 |
評価報告書
総評
同志社女子大学 総評 同志社女子大学薬学部は、6年制の医療薬学科だけを設置し、大学が掲げる3つの教育理念のもと、「医療薬学科は、最先端の薬学領域である医療や創薬現場で活躍できる研究能力をもち、幅広い教養と人間性、国際性を兼ね備えた、高度医療に対応できる薬剤師を養成することを目的とする」と人材養成目的を定め、それに基づいた「学位授与の方針」、「教育課程の編成及び実施に関する方針」、「入学者受入れの方針」を制定し、6年制薬学教育を行っている。上級生が、入学予定者や下級生に対して、勉強や生活の相談にのるビッグシスター制度を導入し、学生満足度の向上の一助としている点は、同志社女子大学の特色と言える。しかしながら、本評価において最も重要な項目である「学修成果の評価」については、その意義を十分に理解していないと判断せざるを得ない。すなわち、「教育課程の編成及び実施に関する方針」には、「学位授与の方針」に記載された資質・能力の修得度・達成度を評価するための評価の在り方と、その段階的な修得状況を教育課程のどの時期にどのような方法で測定するかという評価計画が示されていない。さらに、この「教育課程の編成及び実施に関する方針」の「学習成果の測定方法」の項には、「6年間の学修の集大成として、薬剤師国家試験の合格によって学習成果を評価する」との項目があり、教育課程の進行に対応して学修成果を適切に評価し、その結果を教育課程の編成及び実施の改善・向上に向けて積極的に活用することの重要性が十分に理解されておらず、それらの実施に向けた検討もなされていないので、早急に適切な措置を講ずる必要がある。また、「内部質保証」の起点となる自己点検・評価は、全学組織が主導して行われており、薬学部の「内部質保証」の状況は学内資料として全学組織に提出されるのみであり、広く社会に公表されてはいないので、積極的に公表する必要がある。さらに、第1期の薬学教育評価において指摘した教員組織の編成に関しては、未だ十分な改善が行われておらず、専任教員による教員組織の適正化を図るよう、改善する必要がある。同志社女子大学薬学部は、大学の教育理念や人材養成目的に即した薬剤師の養成に向けて、熱心に教育研究に取り組む姿勢はうかがえる。学修成果の評価体制とその結果を活用する内部質保証体制を整え、さらなる発展に向けて努められたい。
大学への提言
同志社女子大学 大学への提言 1)長所
1. 申込制により、大学が入学前に新入生(リトルシスター)に対して上級生(ビッグシスター)を紹介し、上級生が下級生の履修や生活面での相談に応じる「ビッグシスター制度」を実施し、新入生が初めての環境に少しでも早く慣れ親しめるように配慮している事は評価できる。(6.学生の支援) 2)助言 1. 履修要項には「教育理念・目標」が掲載されているが、学則にある「人材養成目的」は掲載されておらず、年度当初に行われるガイダンスの資料にも人材養成目的に関する説明が含まれていない。薬学部のWeb掲示板には人材養成目的を記載したファイルへのリンクが張られているが、より積極的に周知することが望まれる。(1.教育研究上の目的と三つの方針) 2. 「学位授与の方針」には26項目の資質・能力が羅列されており、学生には自らが卒業までに身に付けるべき資質・能力の全体像を把握することは困難である。これらの項目の資質・能力の中には内容が重複するものもあることから、内容を整理し、学生が卒業までに到達すべき自らの姿をイメージできるような「学位授与の方針」に変更することが望まれる。(1.教育研究上の目的と三つの方針) 3. 「教育課程の編成及び実施に関する方針」は、学習の質を重視し、学習・教授方法及び成績評価のための課題が意図する成果のために想定された学習活動に整合するようには設定されていないので、設定することが望ましい。(1.教育研究上の目的と三つの方針) 4. 薬学部自己点検・評価委員会には、外部委員や6年制課程の卒業生を含むことが望ましい。(2.内部質保証) 5. 「国際主義」を掲げる大学の一学部として、必修科目として行われる英語教育がわずか2年半しかないというのは寂しい状況であり、英語教育のさらなる拡充が望まれる。(3.薬学教育カリキュラム 3-1教育課程の編成) 6. 倫理観醸成のための教育が、6年間を通して継続的に行われているとは言えないので、継続して行うようにカリキュラムを改訂することが望まれる。(3.薬学教育カリキュラム 3-1教育課程の編成) 7. 「早期体験学習Ⅰ(1年次)」及び「セルフメディケーション・在宅医療特論(6年次)」において看護学部との連携授業を2コマずつ開講しているとしているが、多職種連携は「薬学教育モデル・コアカリキュラム平成25年度改訂版」の「A基本事項」の中に組み込まれるほど重要な教育項目であることから、実践的な多職種連携教育を今後さらに拡充することが望まれる。(3.薬学教育カリキュラム 3-1教育課程の編成) 8. 進級及び卒業判定に関わる資料は重要であることから、全学教授会において審議する前に薬学部内の適切な委員会が資料の内容を確認するなど、薬学部としてのチェック機構を設定することが望ましい。(3.薬学教育カリキュラム 3-2教育課程の実施) 9. 定員の6割以上を占める一般入学試験や大学入学共通テストを利用する入学試験ではアドミッション・ポリシーに示した「関心・意欲・態度」の修得度を確認していないので、「医療人を目指す者としての資質と能力の評価」を含めて、この素養を正しく評価するように入試制度を改変することが望まれる。(4.学生の受入れ) 10. 1名の専任教員に対して学生数が10名以内となるような教員組織を編成することが望ましい。(5.教員組織・職員組織) 11. 過去5年間の研究業績が全く記載されていない教員がいることから、教員が担当する授業に関して自己点検・評価を行うだけでなく、広範にわたる教育研究活動について定期的に自己点検・評価を行うような仕組みを導入することが望まれる。(5.教員組織・職員組織) 3)改善すべき点 1. 「教育課程の編成及び実施に関する方針」の中の「学習成果の測定方法」の項目には学習方略別や授業科目ごとの学習成果の評価の概略が示されているが、学修成果として「学位授与の方針」に記載された資質・能力の修得度の評価の在り方は具体的に示されていないので、学修成果の評価計画を含めて具体的に示す必要がある。(1.教育研究上の目的と三つの方針) 2. 「学習成果の測定方法」には、「6年間の学修の集大成として, 薬剤師国家試験の合格によって学習成果を評価する」との項目がある。資格試験の合格のみを目指す専門学校や予備校の教育とは異なり、薬剤師国家試験の合否を大学の人材養成目的に基づく教育の最終評価とするのは不適切であり、改善する必要がある。(1.教育研究上の目的と三つの方針) 3. 「入学者受入れの方針」には、求める学生像については記載されているものの、多様な学生をどのように評価・選抜するかについては記載されていないので、記載するように改善する必要がある。(1.教育研究上の目的と三つの方針) 4. 適切な基準や指標を設け、質的・量的な解析に基づき、薬学部における教育研究活動を主体的に自己点検・評価し、その結果を広く社会に対して公表する必要がある。(2.内部質保証) 5. 薬学部独自の教育研究活動の改善は、大学の内部質保証の一環として行われているが、薬学部独自の自己点検・評価結果等に基づいて適切に行う必要がある。(2.内部質保証) 6. 臨床系科目と卒業研究に関わる科目においてルーブリック評価表を用いた学生による自己評価と教員による評価が行われるようになったが、これら以外の問題解決能力の醸成を目指す科目では到達度に対する明確な目標を立てた評価が行われておらず、また、科目の成果を総合した、問題解決能力醸成教育全体を通しての目標達成度も評価されていないので、適切な評価を行うように改善する必要がある。(3.薬学教育カリキュラム3-2教育課程の実施) 7. 「薬局実務実習」及び「病院実務実習」の成績評価は、出席しただけで合格できるような配点となっていることから成績が適切に評価されているとはいえず、改善する必要がある。(3.薬学教育カリキュラム 3-2教育課程の実施) 8. 「定期試験後の成績報告までに、教員の判断により学力不足の学生に対しての補講を行い、補講に関する確認テスト(補講テスト)を実施することにして学力アップを図った上で評価する」ことは、第1期の薬学教育評価において不適切と指摘を受けた後に廃止された「明確な規程に拠らずに実施している再試験」と同じことであり、改善する必要がある。(3.薬学教育カリキュラム 3-2教育課程の実施) 9. 異議申し立て制度が設けられていないので、制度として明文化するように改善する必要がある。(3.薬学教育カリキュラム 3-2教育課程の実施) 10. 「学位授与の方針」に記載された 26 項目の資質・能力の修得度・達成度を、カリキュラムの年次進行に伴って総合的に評価するための指標を設定し、それに基づく評価を実施するように改善する必要がある。(3.薬学教育カリキュラム 3-3学修成果の評価) 11. 入学者選抜方法の適切性を検証するための指標には、志願者動向や薬剤師国家試験のストレート合格率等が用いられており、「入学者の資質・能力」の検証に基づいて検証している訳ではない。「入学者の資質・能力」を適正に検証する方法を構築し、その検証結果に基づき入学者の受け入れを改善・向上させる必要がある。(4.学生の受入れ) 12. 薬学部が目指す教育研究活動を実現するための教員組織の編成に関する方針は具体的に示されていないので、具体的な方針を設定する必要がある。(5.教員組織・職員組織) 13. 特別任用教員ではない専任教員数は 19 名(教授 12 名、准教授7名)であり、本機構による第1期の薬学教育評価において「改善すべき点」として指摘した状況と比べて大きな変化は見られないことから、定年を過ぎた特別任用教授の交代、能力のある特別任用助教の昇格などを含めた教員組織の再編を進め、専任教員による教員組織の適正化を図るよう、改善する必要がある。(5.教員組織・職員組織) |
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| 未入力 |
2022年度 |
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2:なお書き 改善報告審議結果 2025/7/1 |
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| 岡山大学 | 国 | 岡山県 | 第2期 |
2021年度 |
適 |
自己点検・評価書 基礎資料 正誤票 |
評価報告書
総評
岡山大学 総評 岡山大学薬学部は6年制の薬学科と4年制の創薬科学科の2学科を設置し、大学の基本理念と薬剤師養成教育に課せられた基本的な使命を踏まえて、「ヒトの健康を目的として物質を活用する。すなわち薬剤師としての業務を遂行するための専門的知識・技能・態度を教育する。さらに、これらを基にした解析・創出をも含む新たな知の創出を行うために、観察力・洞察力・分析力・論理力・研究遂行能力・発信力を練磨し、もって国際社会に貢献する人材を育成する」ことを薬学科の「教育理念・目標」とし、それに基づいた「卒業の認定に関する方針(ディプロマ・ポリシー)」、「教育課程の編成及び実施に関する方針(カリキュラム・ポリシー)」、「入学者の受入れに関する方針(アドミッション・ポリシー)」を制定して6年制薬学教育を行っている。しかしながら、「薬学教育評価 評価基準」の「内部質保証」、「学修成果の評価」についてはその意義を十分に理解していないと判断せざるを得ない。この一事を以て直ちに「薬学教育評価 評価基準」全体に適合していないとまでは言えないものの、適切な措置を早急に講ずることは必要である。したがって、所定の期間内に十分な改善が認められない場合、本認定はその効力を失うこととしている。第一に、岡山大学薬学部から提出された「自己点検・評価書」は粗放な記述が多く、教育の質に関わる「教育研究上の目的と三つの方針」、「内部質保証」及び「薬学教育カリキュラム」について、「薬学教育評価 評価基準」に対する適合性を確認できなかった。そのため、書面調査結果に付記した質問事項に対する大学の回答と書面調査結果に対する大学の意見、追加資料ならびに訪問調査時の意見交換などを経て明らかになった状況を「概評」に引用し、2020 年度の実態に沿った評価とせざるを得なかった。また、岡山大学薬学部が行っている自己点検・評価は、機関別認証評価や大学法人評価、大学の「評価センター」による評価のような学部外からの指摘や要請によるものが中心になっており、本機構の評価基準が求める自主的な内部質保証を目的とするものであるとは言えない。これらの事実から、薬学教育プログラムを自己点検・評価し、それに基づいて教育に関する内部質保証を積極的に行う重要性について理解が欠けていると言わざるを得ない。第二に、「薬学科カリキュラム・ポリシー」には、「薬学科ディプロマ・ポリシー」に掲げられた資質・能力の修得度を評価するための「学修成果の評価」の在り方と、その段階的な修得状況を教育課程のどの時期にどのような方法で測定するかという評価計画が示されていない。また、専門分野別カリキュラム会議は、当該分野における学習の達成度や薬学科ディプロマ・ポリシーに掲げた学修成果の達成度などについての質的・量的な解析を行っていない。なお本機構では、第1期の薬学教育評価において、特定の資質・能力の修得を目指す科目群における学修目標の達成度を評価するための種々の指標を設定し、それに基づく評価を行うことを「改善すべき点」と指摘したが、提出された改善報告書では改善が十分になされているとは言えない旨を 2018 年7月に通知・公表している。これらの事実から、教育課程の進行に対応して学修成果を適切に評価し、その結果を教育課程の編成及び実施の改善・向上に向けて積極的に活用することの重要性が十分に理解されておらず、それらの実施に向けた検討もなされていないと判断できる。岡山大学薬学部は、提出された「自己点検・評価書」から教育研究体制の実態を把握し、評価することは困難ではあったが、教育研究に対する熱心な姿勢はうかがえる。自己点検・評価に基づく内部質保証体制を整え、学修成果の評価体制のさらなる発展を目指した改革・改善に向けて、組織的な問題の発見とその修正に努められたい。
大学への提言
岡山大学 大学への提言 1)長所
1. 1、2年次に研究室での実際の研究を体験できる、特徴的なプログラムである「薬学研究入門」から5、6年次の「卒業研究実習」まで全学年にわたって、継続的に研究に携わることができるプログラムが組まれ、学生の研究能力の向上に努めている点は評価できる。(3.薬学教育カリキュラム 3-1教育課程の編成) 2. 地域の薬剤師会と連携し、薬学や薬学教育の発展及び地域の薬剤師の資質向上に寄与していることは評価できる。(8.社会連携・社会貢献) 2)助言 1. 「教育研究上の目的」及び「教育理念・目的」は、いずれも薬学教育に対する一般的な目標・目的を示すにとどまっているので、「医療を取り巻く環境や薬剤師に対する社会のニーズ」を十分に反映したものとするための適切な改定を行うことが望まれる。(1.教育研究上の目的と三つの方針) 2. 6年制薬学科と4年制創薬科学科の教育研究上の目的の違いをより明確に認識できるようにするため、「教育理念・目標」を薬学部規程等に規定することが望まれる。 (1.教育研究上の目的と三つの方針) 3. 「薬学科カリキュラム・ポリシー」は、学習の質を重視し、学習・教授方法及び成績評価のための課題が意図する成果のために想定された学習活動に整合するように設定されているとは言えないので、これらを設定することが望まれる。(1.教育研究上の目的と三つの方針) 4. 教職員に対しては「三つの方針」を周知する機会が設けられていないので、その重要性に鑑みて、FDなどを通して周知することが望まれる。(1.教育研究上の目的と三つの方針) 5. 薬学教育カリキュラムが体系的に整理され、効果的に編成されていることを確認することができないので、各科目を通して得た知識を関連付け、基礎から臨床までを体系的に学ぶ体制であることを学生にわかりやすく伝える工夫が望まれる。(3.薬学教育カリキュラム 3-1教育課程の編成) 6. 「卒業研究実習」において、配属研究室の指導教員のみで評価を行っていることは適切であるとは言えないので、他研究室の教員を評価者として加えるなど、評価に客観性をもたせることが望まれる。(3.薬学教育カリキュラム 3-2教育課程の実施) 7. 取り巻く状況が変化しているのにもかかわらず「安全の手引き(H24.3)」や「安全管理ガイドマニュアル(H22)」の修正や見直しが長期間行われていないことは問題なので、改定することが望まれる。(6.学生の支援) 8. 「安全の手引き」には災害時の対応等も記載されていることから、学生に対して周知することが望まれる。(6.学生の支援) 3)改善すべき点 1. 「薬学科ディプロマ・ポリシー」に掲げる「学生が身につけるべき能力」の修得度を評価するために必要となる「学修成果の評価」の在り方が、「薬学科カリキュラム・ポリシー」には記載されていないので、これらを明記するように改善する必要がある。 (1.教育研究上の目的と三つの方針) 2. 薬学部として「教育研究上の目的」及び「三つの方針」を自主的かつ定期的に検証するための基準と手順を定め、検証・検討を実施する体制を構築する必要がある。(1.教育研究上の目的と三つの方針) 3. 教育研究活動については、外部評価機関による指摘や大学の指示に対応する改善策を立案・実行するだけではなく、これとは別に薬学部として教育研究活動の質的・量的な解析に基づく自己点検・評価を組織的かつ計画的に行い、その結果を公表し、それに基づいて教育研究活動の改善を進める必要がある。(2.内部質保証) 4. 学期末の筆記試験で成績評価する科目において、筆記試験の結果によって実施される追加の試験は、各科目の単位認定に深く関わる評価の一環であるため、追加の試験の実施の有無や方法、成績の評価に与える影響を各科目のシラバスに明記する必要がある。(3.薬学教育カリキュラム 3-2教育課程の実施) 5. レポート等で成績を評価する科目で用いられているルーブリックの中には、記述がパフォーマンスを表しておらず、パフォーマンス評価として適切ではないものが見られるので、改善する必要がある。(3.薬学教育カリキュラム 3-2教育課程の実施) 6. カリキュラムの順次性を考慮すると、留年生の上位学年配当科目の履修に関して何らかの制限を設けるように改善する必要がある。(3.薬学教育カリキュラム 3-2教育課程の実施) 7. 「薬学科カリキュラム・ポリシー」には学修成果の評価方法の概略は示されているが、「薬学科ディプロマ・ポリシー」に掲げられた資質・能力の修得が段階的に進んでいる状況を、教育課程のどの時期にどのような方法で測定するかという評価計画が示されていないので、教育課程の進行に対応した学修成果の評価を適切に行うよう、改善する必要がある。(3.薬学教育カリキュラム 3-3学修成果の評価) 8. 学修成果を適切に評価し、その結果を教育課程の編成及び実施の改善・向上に向けて積極的に活用するよう、改善する必要がある。(3.薬学教育カリキュラム 3-3学修成果の評価) |
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2:なお書き 改善報告審議結果 2025/7/1 |
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2:なお書き 改善報告審議結果 2024/7/1 |
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2:なお書き 改善報告審議結果 2023/7/1 |
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| 岡山大学 | 国 | 岡山県 | 第2期 | 2021年度 | 適 |
自己点検・評価書 基礎資料 正誤票 |
評価報告書
総評
岡山大学 総評 岡山大学薬学部は6年制の薬学科と4年制の創薬科学科の2学科を設置し、大学の基本理念と薬剤師養成教育に課せられた基本的な使命を踏まえて、「ヒトの健康を目的として物質を活用する。すなわち薬剤師としての業務を遂行するための専門的知識・技能・態度を教育する。さらに、これらを基にした解析・創出をも含む新たな知の創出を行うために、観察力・洞察力・分析力・論理力・研究遂行能力・発信力を練磨し、もって国際社会に貢献する人材を育成する」ことを薬学科の「教育理念・目標」とし、それに基づいた「卒業の認定に関する方針(ディプロマ・ポリシー)」、「教育課程の編成及び実施に関する方針(カリキュラム・ポリシー)」、「入学者の受入れに関する方針(アドミッション・ポリシー)」を制定して6年制薬学教育を行っている。しかしながら、「薬学教育評価 評価基準」の「内部質保証」、「学修成果の評価」についてはその意義を十分に理解していないと判断せざるを得ない。この一事を以て直ちに「薬学教育評価 評価基準」全体に適合していないとまでは言えないものの、適切な措置を早急に講ずることは必要である。したがって、所定の期間内に十分な改善が認められない場合、本認定はその効力を失うこととしている。第一に、岡山大学薬学部から提出された「自己点検・評価書」は粗放な記述が多く、教育の質に関わる「教育研究上の目的と三つの方針」、「内部質保証」及び「薬学教育カリキュラム」について、「薬学教育評価 評価基準」に対する適合性を確認できなかった。そのため、書面調査結果に付記した質問事項に対する大学の回答と書面調査結果に対する大学の意見、追加資料ならびに訪問調査時の意見交換などを経て明らかになった状況を「概評」に引用し、2020 年度の実態に沿った評価とせざるを得なかった。また、岡山大学薬学部が行っている自己点検・評価は、機関別認証評価や大学法人評価、大学の「評価センター」による評価のような学部外からの指摘や要請によるものが中心になっており、本機構の評価基準が求める自主的な内部質保証を目的とするものであるとは言えない。これらの事実から、薬学教育プログラムを自己点検・評価し、それに基づいて教育に関する内部質保証を積極的に行う重要性について理解が欠けていると言わざるを得ない。第二に、「薬学科カリキュラム・ポリシー」には、「薬学科ディプロマ・ポリシー」に掲げられた資質・能力の修得度を評価するための「学修成果の評価」の在り方と、その段階的な修得状況を教育課程のどの時期にどのような方法で測定するかという評価計画が示されていない。また、専門分野別カリキュラム会議は、当該分野における学習の達成度や薬学科ディプロマ・ポリシーに掲げた学修成果の達成度などについての質的・量的な解析を行っていない。なお本機構では、第1期の薬学教育評価において、特定の資質・能力の修得を目指す科目群における学修目標の達成度を評価するための種々の指標を設定し、それに基づく評価を行うことを「改善すべき点」と指摘したが、提出された改善報告書では改善が十分になされているとは言えない旨を 2018 年7月に通知・公表している。これらの事実から、教育課程の進行に対応して学修成果を適切に評価し、その結果を教育課程の編成及び実施の改善・向上に向けて積極的に活用することの重要性が十分に理解されておらず、それらの実施に向けた検討もなされていないと判断できる。岡山大学薬学部は、提出された「自己点検・評価書」から教育研究体制の実態を把握し、評価することは困難ではあったが、教育研究に対する熱心な姿勢はうかがえる。自己点検・評価に基づく内部質保証体制を整え、学修成果の評価体制のさらなる発展を目指した改革・改善に向けて、組織的な問題の発見とその修正に努められたい。
大学への提言
岡山大学 大学への提言 1)長所
1. 1、2年次に研究室での実際の研究を体験できる、特徴的なプログラムである「薬学研究入門」から5、6年次の「卒業研究実習」まで全学年にわたって、継続的に研究に携わることができるプログラムが組まれ、学生の研究能力の向上に努めている点は評価できる。(3.薬学教育カリキュラム 3-1教育課程の編成) 2. 地域の薬剤師会と連携し、薬学や薬学教育の発展及び地域の薬剤師の資質向上に寄与していることは評価できる。(8.社会連携・社会貢献) 2)助言 1. 「教育研究上の目的」及び「教育理念・目的」は、いずれも薬学教育に対する一般的な目標・目的を示すにとどまっているので、「医療を取り巻く環境や薬剤師に対する社会のニーズ」を十分に反映したものとするための適切な改定を行うことが望まれる。(1.教育研究上の目的と三つの方針) 2. 6年制薬学科と4年制創薬科学科の教育研究上の目的の違いをより明確に認識できるようにするため、「教育理念・目標」を薬学部規程等に規定することが望まれる。 (1.教育研究上の目的と三つの方針) 3. 「薬学科カリキュラム・ポリシー」は、学習の質を重視し、学習・教授方法及び成績評価のための課題が意図する成果のために想定された学習活動に整合するように設定されているとは言えないので、これらを設定することが望まれる。(1.教育研究上の目的と三つの方針) 4. 教職員に対しては「三つの方針」を周知する機会が設けられていないので、その重要性に鑑みて、FDなどを通して周知することが望まれる。(1.教育研究上の目的と三つの方針) 5. 薬学教育カリキュラムが体系的に整理され、効果的に編成されていることを確認することができないので、各科目を通して得た知識を関連付け、基礎から臨床までを体系的に学ぶ体制であることを学生にわかりやすく伝える工夫が望まれる。(3.薬学教育カリキュラム 3-1教育課程の編成) 6. 「卒業研究実習」において、配属研究室の指導教員のみで評価を行っていることは適切であるとは言えないので、他研究室の教員を評価者として加えるなど、評価に客観性をもたせることが望まれる。(3.薬学教育カリキュラム 3-2教育課程の実施) 7. 取り巻く状況が変化しているのにもかかわらず「安全の手引き(H24.3)」や「安全管理ガイドマニュアル(H22)」の修正や見直しが長期間行われていないことは問題なので、改定することが望まれる。(6.学生の支援) 8. 「安全の手引き」には災害時の対応等も記載されていることから、学生に対して周知することが望まれる。(6.学生の支援) 3)改善すべき点 1. 「薬学科ディプロマ・ポリシー」に掲げる「学生が身につけるべき能力」の修得度を評価するために必要となる「学修成果の評価」の在り方が、「薬学科カリキュラム・ポリシー」には記載されていないので、これらを明記するように改善する必要がある。 (1.教育研究上の目的と三つの方針) 2. 薬学部として「教育研究上の目的」及び「三つの方針」を自主的かつ定期的に検証するための基準と手順を定め、検証・検討を実施する体制を構築する必要がある。(1.教育研究上の目的と三つの方針) 3. 教育研究活動については、外部評価機関による指摘や大学の指示に対応する改善策を立案・実行するだけではなく、これとは別に薬学部として教育研究活動の質的・量的な解析に基づく自己点検・評価を組織的かつ計画的に行い、その結果を公表し、それに基づいて教育研究活動の改善を進める必要がある。(2.内部質保証) 4. 学期末の筆記試験で成績評価する科目において、筆記試験の結果によって実施される追加の試験は、各科目の単位認定に深く関わる評価の一環であるため、追加の試験の実施の有無や方法、成績の評価に与える影響を各科目のシラバスに明記する必要がある。(3.薬学教育カリキュラム 3-2教育課程の実施) 5. レポート等で成績を評価する科目で用いられているルーブリックの中には、記述がパフォーマンスを表しておらず、パフォーマンス評価として適切ではないものが見られるので、改善する必要がある。(3.薬学教育カリキュラム 3-2教育課程の実施) 6. カリキュラムの順次性を考慮すると、留年生の上位学年配当科目の履修に関して何らかの制限を設けるように改善する必要がある。(3.薬学教育カリキュラム 3-2教育課程の実施) 7. 「薬学科カリキュラム・ポリシー」には学修成果の評価方法の概略は示されているが、「薬学科ディプロマ・ポリシー」に掲げられた資質・能力の修得が段階的に進んでいる状況を、教育課程のどの時期にどのような方法で測定するかという評価計画が示されていないので、教育課程の進行に対応した学修成果の評価を適切に行うよう、改善する必要がある。(3.薬学教育カリキュラム 3-3学修成果の評価) 8. 学修成果を適切に評価し、その結果を教育課程の編成及び実施の改善・向上に向けて積極的に活用するよう、改善する必要がある。(3.薬学教育カリキュラム 3-3学修成果の評価) |
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| 第2期 |
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2:なお書き 改善報告審議結果 2023/7/1 |
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| 日本薬科大学 | 私 | 埼玉県 | 第2期 |
2021年度 |
適 |
自己点検・評価書 基礎資料 正誤票 |
評価報告書
総評
日本薬科大学 総評 日本薬科大学は、大学独自の教育目標として「統合医療を実践できる医療人の養成」を掲げ、ディプロマ・ポリシーとして、「薬剤師として求められる10の基本的な資質」に「統合医療の理解と実践」を加えるとともに、「統合医療」を理解、実践できる人材養成のためのカリキュラムを構成し、さらに「漢方資料館」や台湾の中国医薬大学に「都築伝統薬物研究センター」を設置して活用するなど、特徴的な教育・研究を実践している。とりわけ、「学修ポートフォリオ」を用いた形成的評価、並びに各科目の成績を各資質・能力にウェイトづけすることによる総合達成度評価を併用して、学年進行に伴う達成度の見える化に取り組んでおり、第1期の薬学教育評価以降、著しい進捗を確認できる。さらに、学修成果の評価については、教育課程全体に割り振られている「卒業までに身につける11の力」に関する総合的達成度評価が、各学年次で単位認定に係る評価(「卒業までに身につける11の力に関する総合的達成度評価」)と学生の自己評価(「学修ポートフォリオ」)の両面で教育課程の進行に従って行われている。総合的達成度評価では、各科目の成績を「卒業までに身につける11の力との関連表」に基づいてウェイトづけし、学年進行に伴う達成度を見える化していることは評価できる。他方で、これらの到達点を踏まえた発展課題もある。「各科目と卒業までに身につける11の力との関連表」で示されている資質・能力を適切に評価する方法が設定されていない科目も認められ、各科目のウェイトづけは妥当であるとは当然には言えない。ウェイトの設定には、各科目の成績評価が当該の資質・能力を評価していることや、カリキュラム・マップにおけるウェイト自体が妥当であることが重要である。これらについて継続的に評価・検証するとともに、資質・能力を総合的、多面的に評価する新たな取り組みを加えて、より実質的な総合評価となるよう工夫することを期待したい。なお、自己点検・評価委員会の元に作業部会を設置して、組織的、計画的に評価を行い、毎年度、実施計画書、成果報告書を作成しているものの、ストレート卒業率等が著しく低い点については、未だ改善途上にある。さらに質的・量的な点検・検証を行い、具体的な- 2 -対策を取ることが望まれる。
大学への提言
日本薬科大学 大学への提言1)長所1. ディプロマ・ポリシーにおいて、「薬剤師として求められる10の基本的な資質」に大学独自の教育目標である「統合医療の理解と実践」を加えた11の資質が含まれていることは評価できる。(1.教育研究上の目的と三つの方針)2. 西洋医学主体の医療に、日本の伝統医学である漢方医学が持つ未病と治療の概念を融合した「統合医療」を理解・実践できる人材の養成を教育目標の一つとして掲げ、「統合医療」を3年次必修科目にしていることは評価できる。(3.薬学教育カリキュラム 3-1教育課程の編成)3. 各科目の成績を、「各科目と卒業までに身につける11の力との関連表」に基づいてウェイトづけし、卒業時の最高達成度を100として集計することにより、学年進行に伴う達成度を見える化していることは評価できる。(3.薬学教育カリキュラム 3-3学修成果の評価)4. ディプロマ・ポリシーに挙げられている統合医療の力を学生に身につけさせることに- 17 -有益と考えられる「漢方資料館」を設置していることは評価できる。(7.施設・設備)5. 地域薬剤師会や周辺自治体等と連携した薬剤師教育や高校生や市民に対する啓蒙活動など、地域との連携を積極的に実施していることは高く評価できる。(8.社会連携・社会貢献)6. 海外の大学間協定校との学生の交流や共同研究を実施するなど、活発な国際交流活動を実施していることは高く評価できる。(8.社会連携・社会貢献)
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| 福山大学 | 私 | 広島県 | 第2期 |
2021年度 |
適 |
自己点検・評価書 基礎資料 正誤票 |
評価報告書
総評
福山大学 総評 福山大学薬学部は、建学の精神、大学の教育理念、教育指針(三蔵五訓)のもとに、「医療人としての教養と倫理観及び薬剤師としての確かな専門知識・技能を身に付け、医療や社会のニーズに対して強い責任感と探求心を持って対応し、自らの能力と専門性を高めていくことができる人材を育成すること」を「教育目的」として定め、教育研究上の目的に基づいた「卒業認定・学位授与の方針(ディプロマ・ポリシー)」、「教育課程の編成・実施の方針(カリキュラム・ポリシー)」、「入学者受入れの方針(アドミッション・ポリシー)」を制定して6年制薬学教育を行っている。なお、カリキュラム・ポリシーとは別に、学修成果の評価のあり方は、アセスメント・ポリシーとして策定されている。とりわけ、ディプロマ・ポリシーでは、「卒業時に必要とされる8つの資質」が設定されており、それらの資質を評価するための仕組みであるアセスメント・ポリシーをしっかりと構築し、卒業時の学修成果の解析結果から学生レベル、学科レベル、ならびに大学レベルの評価を行い、質的・量的に教育課程の適切性を検証する仕組みを構築しており、第1期の薬学教育評価以降、著しい進捗が確認できる。さらに、ディプロマ・ポリシーに掲げた8つの資質についての学修成果の達成度は、アセスメント・ポリシーで定めた 25 の資質(中項目)を、質的・量的に解析し評価していること、また教育研究活動の改善が、自己点検・評価結果等に基づいて恒常的に行われていることも評価できる。他方で、これらの到達点を踏まえた発展課題もある。資質の形成的評価を行うために、GPA(Grade Point Average)に基づく「資質(中項目)修得度」を算出しているが、GPAは累積的であることから、資質の修得度を評価するのに必ずしも適しているとは言えない。ほかの評価方法も用いて多面的な評価法を構築するように改善することを期待したい。なお、全学共通の自己点検の評価では、薬学教育プログラム自体を質的・量的に十分解析しているとは言えない。特に、ストレート卒業率が未だ改善途上にあることから、教- 2 -育カリキュラムの編成・実施及び評価、受け入れ学生の基礎学力の向上、学生支援など様々な観点から検証を行い、具体的な対策を取ることが望まれる。
大学への提言
福山大学 大学への提言 1)長所1. ディプロマ・ポリシーに示されている8つ資質を構成する能力として25個の「資質(中項目)」を設定し中項目単位で、形成的評価、及び総括的評価を行い、学修成果の評価を実施することをアセスメント・ポリシーとして設定していることは、評価できる。(1.教育研究上の目的と三つの方針)2. 5年次に「実務実習後学習」を設置し、臨床実習後OSCE(pccOSCE)を実施している。また、6年次に「ファーマシューティカルケア総合演習」を開講している。これらの科目は、臨床での実践能力の定着のための独自の取り組みとして評価できる。(3.薬学教育カリキュラム 3-1教育課程の編成)3. 140名中約1/3の46名が他地区である近畿、四国・九州・山口地区で実務実習を行っており、日本薬剤師会、日本病院薬剤師会及び薬学教育協議会が推進しているふるさと実習に積極的に取り組んでいることは評価できる。(3.薬学教育カリキュラム- 24 -3-2教育課程の実施)4. 各教員が教育研究における年度目標を設定し、毎年自己点検評価を行って改善につなげている。また、各教員は授業改善報告書を大学教育センターに提出し、薬学部で集計・精査ののち改善が必要と認められた場合には学科長が対応している。このように、教育研究活動の向上を図るための組織的な取組みが積極的に行われており評価できる。(5.教員組織・職員組織)5. 5年生が後輩に学習指導するメンター制度は、学生への学習支援とともに、教える学生の自己研鑽の効果も考えられ、評価できる。(6.学生の支援)6. 長年、主幹校として薬学教育者ワークショップを開催し指導薬剤師養成に尽力すると共に、福山大学薬学部・福山市薬剤師会シリーズ研修会や広島びんごフィジカルアセスメント研究会などを通して、医療・薬学の発展、薬剤師の資質・能力の向上及び地域における保健衛生の保持・向上に貢献していることは高く評価できる。(8.社会連携・社会貢献)
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| 岡山大学 | 国 | 岡山県 | 第2期 | 2021年度 | 適 |
自己点検・評価書 基礎資料 正誤票 |
評価報告書
総評
岡山大学 総評 岡山大学薬学部は6年制の薬学科と4年制の創薬科学科の2学科を設置し、大学の基本理念と薬剤師養成教育に課せられた基本的な使命を踏まえて、「ヒトの健康を目的として物質を活用する。すなわち薬剤師としての業務を遂行するための専門的知識・技能・態度を教育する。さらに、これらを基にした解析・創出をも含む新たな知の創出を行うために、観察力・洞察力・分析力・論理力・研究遂行能力・発信力を練磨し、もって国際社会に貢献する人材を育成する」ことを薬学科の「教育理念・目標」とし、それに基づいた「卒業の認定に関する方針(ディプロマ・ポリシー)」、「教育課程の編成及び実施に関する方針(カリキュラム・ポリシー)」、「入学者の受入れに関する方針(アドミッション・ポリシー)」を制定して6年制薬学教育を行っている。しかしながら、「薬学教育評価 評価基準」の「内部質保証」、「学修成果の評価」についてはその意義を十分に理解していないと判断せざるを得ない。この一事を以て直ちに「薬学教育評価 評価基準」全体に適合していないとまでは言えないものの、適切な措置を早急に講ずることは必要である。したがって、所定の期間内に十分な改善が認められない場合、本認定はその効力を失うこととしている。第一に、岡山大学薬学部から提出された「自己点検・評価書」は粗放な記述が多く、教育の質に関わる「教育研究上の目的と三つの方針」、「内部質保証」及び「薬学教育カリキュラム」について、「薬学教育評価 評価基準」に対する適合性を確認できなかった。そのため、書面調査結果に付記した質問事項に対する大学の回答と書面調査結果に対する大学の意見、追加資料ならびに訪問調査時の意見交換などを経て明らかになった状況を「概評」に引用し、2020 年度の実態に沿った評価とせざるを得なかった。また、岡山大学薬学部が行っている自己点検・評価は、機関別認証評価や大学法人評価、大学の「評価センター」による評価のような学部外からの指摘や要請によるものが中心になっており、本機構の評価基準が求める自主的な内部質保証を目的とするものであるとは言えない。これらの事実から、薬学教育プログラムを自己点検・評価し、それに基づいて教育に関する内部質保証を積極的に行う重要性について理解が欠けていると言わざるを得ない。第二に、「薬学科カリキュラム・ポリシー」には、「薬学科ディプロマ・ポリシー」に掲げられた資質・能力の修得度を評価するための「学修成果の評価」の在り方と、その段階的な修得状況を教育課程のどの時期にどのような方法で測定するかという評価計画が示されていない。また、専門分野別カリキュラム会議は、当該分野における学習の達成度や薬学科ディプロマ・ポリシーに掲げた学修成果の達成度などについての質的・量的な解析を行っていない。なお本機構では、第1期の薬学教育評価において、特定の資質・能力の修得を目指す科目群における学修目標の達成度を評価するための種々の指標を設定し、それに基づく評価を行うことを「改善すべき点」と指摘したが、提出された改善報告書では改善が十分になされているとは言えない旨を 2018 年7月に通知・公表している。これらの事実から、教育課程の進行に対応して学修成果を適切に評価し、その結果を教育課程の編成及び実施の改善・向上に向けて積極的に活用することの重要性が十分に理解されておらず、それらの実施に向けた検討もなされていないと判断できる。岡山大学薬学部は、提出された「自己点検・評価書」から教育研究体制の実態を把握し、評価することは困難ではあったが、教育研究に対する熱心な姿勢はうかがえる。自己点検・評価に基づく内部質保証体制を整え、学修成果の評価体制のさらなる発展を目指した改革・改善に向けて、組織的な問題の発見とその修正に努められたい。
大学への提言
岡山大学 大学への提言 1)長所
1. 1、2年次に研究室での実際の研究を体験できる、特徴的なプログラムである「薬学研究入門」から5、6年次の「卒業研究実習」まで全学年にわたって、継続的に研究に携わることができるプログラムが組まれ、学生の研究能力の向上に努めている点は評価できる。(3.薬学教育カリキュラム 3-1教育課程の編成) 2. 地域の薬剤師会と連携し、薬学や薬学教育の発展及び地域の薬剤師の資質向上に寄与していることは評価できる。(8.社会連携・社会貢献) 2)助言 1. 「教育研究上の目的」及び「教育理念・目的」は、いずれも薬学教育に対する一般的な目標・目的を示すにとどまっているので、「医療を取り巻く環境や薬剤師に対する社会のニーズ」を十分に反映したものとするための適切な改定を行うことが望まれる。(1.教育研究上の目的と三つの方針) 2. 6年制薬学科と4年制創薬科学科の教育研究上の目的の違いをより明確に認識できるようにするため、「教育理念・目標」を薬学部規程等に規定することが望まれる。 (1.教育研究上の目的と三つの方針) 3. 「薬学科カリキュラム・ポリシー」は、学習の質を重視し、学習・教授方法及び成績評価のための課題が意図する成果のために想定された学習活動に整合するように設定されているとは言えないので、これらを設定することが望まれる。(1.教育研究上の目的と三つの方針) 4. 教職員に対しては「三つの方針」を周知する機会が設けられていないので、その重要性に鑑みて、FDなどを通して周知することが望まれる。(1.教育研究上の目的と三つの方針) 5. 薬学教育カリキュラムが体系的に整理され、効果的に編成されていることを確認することができないので、各科目を通して得た知識を関連付け、基礎から臨床までを体系的に学ぶ体制であることを学生にわかりやすく伝える工夫が望まれる。(3.薬学教育カリキュラム 3-1教育課程の編成) 6. 「卒業研究実習」において、配属研究室の指導教員のみで評価を行っていることは適切であるとは言えないので、他研究室の教員を評価者として加えるなど、評価に客観性をもたせることが望まれる。(3.薬学教育カリキュラム 3-2教育課程の実施) 7. 取り巻く状況が変化しているのにもかかわらず「安全の手引き(H24.3)」や「安全管理ガイドマニュアル(H22)」の修正や見直しが長期間行われていないことは問題なので、改定することが望まれる。(6.学生の支援) 8. 「安全の手引き」には災害時の対応等も記載されていることから、学生に対して周知することが望まれる。(6.学生の支援) 3)改善すべき点 1. 「薬学科ディプロマ・ポリシー」に掲げる「学生が身につけるべき能力」の修得度を評価するために必要となる「学修成果の評価」の在り方が、「薬学科カリキュラム・ポリシー」には記載されていないので、これらを明記するように改善する必要がある。 (1.教育研究上の目的と三つの方針) 2. 薬学部として「教育研究上の目的」及び「三つの方針」を自主的かつ定期的に検証するための基準と手順を定め、検証・検討を実施する体制を構築する必要がある。(1.教育研究上の目的と三つの方針) 3. 教育研究活動については、外部評価機関による指摘や大学の指示に対応する改善策を立案・実行するだけではなく、これとは別に薬学部として教育研究活動の質的・量的な解析に基づく自己点検・評価を組織的かつ計画的に行い、その結果を公表し、それに基づいて教育研究活動の改善を進める必要がある。(2.内部質保証) 4. 学期末の筆記試験で成績評価する科目において、筆記試験の結果によって実施される追加の試験は、各科目の単位認定に深く関わる評価の一環であるため、追加の試験の実施の有無や方法、成績の評価に与える影響を各科目のシラバスに明記する必要がある。(3.薬学教育カリキュラム 3-2教育課程の実施) 5. レポート等で成績を評価する科目で用いられているルーブリックの中には、記述がパフォーマンスを表しておらず、パフォーマンス評価として適切ではないものが見られるので、改善する必要がある。(3.薬学教育カリキュラム 3-2教育課程の実施) 6. カリキュラムの順次性を考慮すると、留年生の上位学年配当科目の履修に関して何らかの制限を設けるように改善する必要がある。(3.薬学教育カリキュラム 3-2教育課程の実施) 7. 「薬学科カリキュラム・ポリシー」には学修成果の評価方法の概略は示されているが、「薬学科ディプロマ・ポリシー」に掲げられた資質・能力の修得が段階的に進んでいる状況を、教育課程のどの時期にどのような方法で測定するかという評価計画が示されていないので、教育課程の進行に対応した学修成果の評価を適切に行うよう、改善する必要がある。(3.薬学教育カリキュラム 3-3学修成果の評価) 8. 学修成果を適切に評価し、その結果を教育課程の編成及び実施の改善・向上に向けて積極的に活用するよう、改善する必要がある。(3.薬学教育カリキュラム 3-3学修成果の評価) |
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2:なお書き 改善報告審議結果 2025/7/1 |
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| 岡山大学 | 国 | 岡山県 | 第2期 | 2021年度 | 適 |
自己点検・評価書 基礎資料 正誤票 |
評価報告書
総評
岡山大学 総評 岡山大学薬学部は6年制の薬学科と4年制の創薬科学科の2学科を設置し、大学の基本理念と薬剤師養成教育に課せられた基本的な使命を踏まえて、「ヒトの健康を目的として物質を活用する。すなわち薬剤師としての業務を遂行するための専門的知識・技能・態度を教育する。さらに、これらを基にした解析・創出をも含む新たな知の創出を行うために、観察力・洞察力・分析力・論理力・研究遂行能力・発信力を練磨し、もって国際社会に貢献する人材を育成する」ことを薬学科の「教育理念・目標」とし、それに基づいた「卒業の認定に関する方針(ディプロマ・ポリシー)」、「教育課程の編成及び実施に関する方針(カリキュラム・ポリシー)」、「入学者の受入れに関する方針(アドミッション・ポリシー)」を制定して6年制薬学教育を行っている。しかしながら、「薬学教育評価 評価基準」の「内部質保証」、「学修成果の評価」についてはその意義を十分に理解していないと判断せざるを得ない。この一事を以て直ちに「薬学教育評価 評価基準」全体に適合していないとまでは言えないものの、適切な措置を早急に講ずることは必要である。したがって、所定の期間内に十分な改善が認められない場合、本認定はその効力を失うこととしている。第一に、岡山大学薬学部から提出された「自己点検・評価書」は粗放な記述が多く、教育の質に関わる「教育研究上の目的と三つの方針」、「内部質保証」及び「薬学教育カリキュラム」について、「薬学教育評価 評価基準」に対する適合性を確認できなかった。そのため、書面調査結果に付記した質問事項に対する大学の回答と書面調査結果に対する大学の意見、追加資料ならびに訪問調査時の意見交換などを経て明らかになった状況を「概評」に引用し、2020 年度の実態に沿った評価とせざるを得なかった。また、岡山大学薬学部が行っている自己点検・評価は、機関別認証評価や大学法人評価、大学の「評価センター」による評価のような学部外からの指摘や要請によるものが中心になっており、本機構の評価基準が求める自主的な内部質保証を目的とするものであるとは言えない。これらの事実から、薬学教育プログラムを自己点検・評価し、それに基づいて教育に関する内部質保証を積極的に行う重要性について理解が欠けていると言わざるを得ない。第二に、「薬学科カリキュラム・ポリシー」には、「薬学科ディプロマ・ポリシー」に掲げられた資質・能力の修得度を評価するための「学修成果の評価」の在り方と、その段階的な修得状況を教育課程のどの時期にどのような方法で測定するかという評価計画が示されていない。また、専門分野別カリキュラム会議は、当該分野における学習の達成度や薬学科ディプロマ・ポリシーに掲げた学修成果の達成度などについての質的・量的な解析を行っていない。なお本機構では、第1期の薬学教育評価において、特定の資質・能力の修得を目指す科目群における学修目標の達成度を評価するための種々の指標を設定し、それに基づく評価を行うことを「改善すべき点」と指摘したが、提出された改善報告書では改善が十分になされているとは言えない旨を 2018 年7月に通知・公表している。これらの事実から、教育課程の進行に対応して学修成果を適切に評価し、その結果を教育課程の編成及び実施の改善・向上に向けて積極的に活用することの重要性が十分に理解されておらず、それらの実施に向けた検討もなされていないと判断できる。岡山大学薬学部は、提出された「自己点検・評価書」から教育研究体制の実態を把握し、評価することは困難ではあったが、教育研究に対する熱心な姿勢はうかがえる。自己点検・評価に基づく内部質保証体制を整え、学修成果の評価体制のさらなる発展を目指した改革・改善に向けて、組織的な問題の発見とその修正に努められたい。
大学への提言
岡山大学 大学への提言 1)長所
1. 1、2年次に研究室での実際の研究を体験できる、特徴的なプログラムである「薬学研究入門」から5、6年次の「卒業研究実習」まで全学年にわたって、継続的に研究に携わることができるプログラムが組まれ、学生の研究能力の向上に努めている点は評価できる。(3.薬学教育カリキュラム 3-1教育課程の編成) 2. 地域の薬剤師会と連携し、薬学や薬学教育の発展及び地域の薬剤師の資質向上に寄与していることは評価できる。(8.社会連携・社会貢献) 2)助言 1. 「教育研究上の目的」及び「教育理念・目的」は、いずれも薬学教育に対する一般的な目標・目的を示すにとどまっているので、「医療を取り巻く環境や薬剤師に対する社会のニーズ」を十分に反映したものとするための適切な改定を行うことが望まれる。(1.教育研究上の目的と三つの方針) 2. 6年制薬学科と4年制創薬科学科の教育研究上の目的の違いをより明確に認識できるようにするため、「教育理念・目標」を薬学部規程等に規定することが望まれる。 (1.教育研究上の目的と三つの方針) 3. 「薬学科カリキュラム・ポリシー」は、学習の質を重視し、学習・教授方法及び成績評価のための課題が意図する成果のために想定された学習活動に整合するように設定されているとは言えないので、これらを設定することが望まれる。(1.教育研究上の目的と三つの方針) 4. 教職員に対しては「三つの方針」を周知する機会が設けられていないので、その重要性に鑑みて、FDなどを通して周知することが望まれる。(1.教育研究上の目的と三つの方針) 5. 薬学教育カリキュラムが体系的に整理され、効果的に編成されていることを確認することができないので、各科目を通して得た知識を関連付け、基礎から臨床までを体系的に学ぶ体制であることを学生にわかりやすく伝える工夫が望まれる。(3.薬学教育カリキュラム 3-1教育課程の編成) 6. 「卒業研究実習」において、配属研究室の指導教員のみで評価を行っていることは適切であるとは言えないので、他研究室の教員を評価者として加えるなど、評価に客観性をもたせることが望まれる。(3.薬学教育カリキュラム 3-2教育課程の実施) 7. 取り巻く状況が変化しているのにもかかわらず「安全の手引き(H24.3)」や「安全管理ガイドマニュアル(H22)」の修正や見直しが長期間行われていないことは問題なので、改定することが望まれる。(6.学生の支援) 8. 「安全の手引き」には災害時の対応等も記載されていることから、学生に対して周知することが望まれる。(6.学生の支援) 3)改善すべき点 1. 「薬学科ディプロマ・ポリシー」に掲げる「学生が身につけるべき能力」の修得度を評価するために必要となる「学修成果の評価」の在り方が、「薬学科カリキュラム・ポリシー」には記載されていないので、これらを明記するように改善する必要がある。 (1.教育研究上の目的と三つの方針) 2. 薬学部として「教育研究上の目的」及び「三つの方針」を自主的かつ定期的に検証するための基準と手順を定め、検証・検討を実施する体制を構築する必要がある。(1.教育研究上の目的と三つの方針) 3. 教育研究活動については、外部評価機関による指摘や大学の指示に対応する改善策を立案・実行するだけではなく、これとは別に薬学部として教育研究活動の質的・量的な解析に基づく自己点検・評価を組織的かつ計画的に行い、その結果を公表し、それに基づいて教育研究活動の改善を進める必要がある。(2.内部質保証) 4. 学期末の筆記試験で成績評価する科目において、筆記試験の結果によって実施される追加の試験は、各科目の単位認定に深く関わる評価の一環であるため、追加の試験の実施の有無や方法、成績の評価に与える影響を各科目のシラバスに明記する必要がある。(3.薬学教育カリキュラム 3-2教育課程の実施) 5. レポート等で成績を評価する科目で用いられているルーブリックの中には、記述がパフォーマンスを表しておらず、パフォーマンス評価として適切ではないものが見られるので、改善する必要がある。(3.薬学教育カリキュラム 3-2教育課程の実施) 6. カリキュラムの順次性を考慮すると、留年生の上位学年配当科目の履修に関して何らかの制限を設けるように改善する必要がある。(3.薬学教育カリキュラム 3-2教育課程の実施) 7. 「薬学科カリキュラム・ポリシー」には学修成果の評価方法の概略は示されているが、「薬学科ディプロマ・ポリシー」に掲げられた資質・能力の修得が段階的に進んでいる状況を、教育課程のどの時期にどのような方法で測定するかという評価計画が示されていないので、教育課程の進行に対応した学修成果の評価を適切に行うよう、改善する必要がある。(3.薬学教育カリキュラム 3-3学修成果の評価) 8. 学修成果を適切に評価し、その結果を教育課程の編成及び実施の改善・向上に向けて積極的に活用するよう、改善する必要がある。(3.薬学教育カリキュラム 3-3学修成果の評価) |
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| 第2期 |
2021年度 |
- |
2:なお書き 改善報告審議結果 2024/7/1 |
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| 姫路獨協大学 | 私 | 兵庫県 | 第1期 | 2016年度 | 継 |
自己点検・評価書 基礎資料 正誤票 |
評価報告書
総評
姫路獨協大学 総評姫路獨協大学薬学部医療薬学科は「人間性豊かな幅広い教養、問題発見・解決の能力及び論理的思考力、医療事故及び薬害を防ぐ安全管理能力、並びに先端医療科学に対応できる能力を修得し、医療機関、企業及び公共機関等において活躍できる豊かなコミュニケーション能力を備え、生涯にわたり学び続ける意思及び能力を身につけた幅広い視野を持つ高い資質の薬剤師を養成すること」を教育上の目的として掲げ、教育課程の編成・実施方針(カリキュラム・ポリシー)、入学者受入方針(アドミッション・ポリシー)を制定し、6年制薬学教育を行っている。
初年次教育として、「入学前教育の充実」、「入学時点の学力判定及び担任教員による学習指導」などを準備する、「数学」など基礎科目の入学後学力判定試験を実施しその結果を学習指導へ活用するなど、多様な入学生への対応に努めている。また、専門教育においては、アドバンスト教育として4年次の「医療遺伝学」、6年次の「再生医学」、「新薬論」が選択科目として設定されている。実務実習事前学習は適切な指導者のもとで実施され、「リスクマネージメント」、「フィジカルアセスメント」、「処方解析」などの実践的教育も実施されている。薬学共用試験(CBT:Computer Based TestingおよびOSCE:Objective Structured Clinical Examination)の合格判定は、薬学共用試験センターの提示する合格基準に従って実施されている。さらに実務実習は、一般社団法人薬学教育協議会病院・薬局実務実習近畿地区調整機構(以下、近畿地区調整機構)を介して選定された実習施設において実務実習モデル・コアカリキュラムに準拠して行われている。 入学試験は多様な方式で行なわれている。入学者数については、発足当時の入学定員数120名を平成25年度より100名に変更し、平成23年度に49名であった入学生が27年度には101名へと徐々に増加しているが、入学定員充足率は0.41から1.29と変動が大きくなっている。 学生の経済的支援として、大学独自の姫路獨協大学奨学金、姫路獨協大学特別学業支援奨学金、緊急支援奨学金、遠隔地予約奨学金、経済困窮者への授業料等の減免制度を設けている。学習環境としては、講義室(学部専用1室を除く)、演習室、および学生自習室が全学共用施設として整備されている。社会との連携については、姫路薬剤師会、兵庫県病院薬剤師会西播支部との連携により、地域の薬剤師の資質向上に努めている。 しかし、本機構の評価基準に照らして教育プログラムの内容を評価すると、改善を必要とする重大な問題が見出される。改善を必要とする主な問題点は下記のとおりである。 (1)薬学教育カリキュラムが薬学共用試験や薬剤師国家試験合格の対策に偏っていることが懸念される。問題解決能力の醸成のための教育における卒業研究の実質的な期間は約半年である。これは国家試験対策に相当する科目が6年次前期に配当されていることで、卒業研究の実施期間が圧迫されているためと推察される。また、6年次の講義が国家試験受験予備校に依頼して実施されており、問題がある。さらに、現行のカリキュラムにおいては、教育内容が階層的なカリキュラムでの順次性と一致していない科目配置が認められる、改訂新カリキュラムの6年次において専門分野の選択科目をまったく履修しなくても卒業が可能である、在学中に卒業要件単位数を変更しているなどの問題があり、6年一貫教育の再構築が必要である。 (2)留年率と退学率が恒常的に高く、入学システムが入学後の教育に求められる基礎学力を適確に評価しているとは言えない。 (3)6年次後期の「卒業研究Ⅱ」における試験(卒業研究Ⅱ試験)が実質的な卒業要件となっており、さらに「卒業研究Ⅱ」の合否判定の際に、国家試験受験予備校による薬剤師国家試験模擬試験結果との相関を考慮し当該試験の合否判定がなされており、適正な卒業判定とは言えない。 (4)平成28年度前期の段階で、教員数が大学設置基準を満たしておらず、進行中の教授等の公募を早急に完了させ、専任教員の不足を解消する必要がある。 (5)姫路獨協大学薬学部の教育プログラムは多くの問題を改善することなく抱え続けており、自己点検・評価の体制が整備され、その結果が教育研究活動の改善等に活用されているとは言えない。教育プログラムの改善のために、自己点検・評価のための常置委員会の設置、規定の作成など、評価体制の整備と定期的な自己点検・評価の実施が必要である。 上記の問題点に加えて、学部の理念および研究上の目的が設定されていない、薬学教育モデル・コアカリキュラムの一部項目が選択科目となっている、シラバスの記載に不備が認められる科目が多数存在する、教育プログラムの定期的な自己点検・評価が実施されていないなどの多くの問題点が認められる。 今回の評価において「改善すべき点」として指摘した諸問題を教職員で共有し、改善に取り組み、姫路獨協大学薬学部としての6年制薬学教育を構築し実施することを期待する。
大学への提言
姫路獨協大学 大学への提言1)助言1. 「教育上の目的」の学生および教職員への周知が「履修の手引き」の配布にとどまっており、さらなる充実が望まれる。(1.教育研究上の目的)2. 「教育上の目的」が、手引き、学則、ホームページで「特徴」、「目的」、「教育目的」の様に表現が統一されておらず、「教育上の目的」に統一することが望ましい。(1.教育研究上の目的)3. 教育上の目的は、「全学自己評価委員会」、その部局内組織の「薬学部自己評価委員会」により定期的に検証するよう努められているが、これまでに再検討の実績はないので、定期的な検証が望まれる。(1.教育研究上の目的)4. 薬学部自己評価委員会の規定がなく、整備が求められる。(1.教育研究上の目的)5. カリキュラム・ポリシーの学生および教職員への周知については、「履修の手引き」にとどまっており、学生および教職員の認知率が高いとはいえず、周知方法のさらなる充実が望まれる。(2.カリキュラム編成)6. ディプロマ・ポリシーを意識したカリキュラム・マップにすることが望ましい。(2.カリキュラム編成)7. 準備教育の受講は主に学生の主体性に任されており、その後の留年者数の多さを勘案すると、さらなる充実が求められる。(3.医療人教育の基本的内容)8. 改訂新カリキュラムでは2年次以降での「早期体験学習」の実施が確認できず、さらなる充実が求められる。(3.医療人教育の基本的内容)9. 薬害等の防止に該当する科目に「薬物副作用論」、「安全管理」があるが、両科目とも選択科目であり(旧カリキュラムでは必修、改訂新カリキュラムでは選択)、履修しなくても卒業が可能であり、教育上の目的に鑑み、必修化が望ましい。(3.医療人教育の基本的内容)10. ヒューマニズム教育・医療倫理教育に対応する科目の技能・態度の評価方法に明確な評価指標がないなどの問題があり、評価方法の適正化が望まれる。(3.医療人教育の基本的内容)11. 大学独自の科目として開設されている4年次の「医療遺伝学」、6年次の「再生医学」、「新薬論」などは選択科目となっており、受講者数も少ないものもあり、問題である。現在の科目を必修化する、科目数を増やして選択必修化するなど、大学独自の専門教育のさらなる充実が望まれる。(4.薬学専門教育の内容)12. 基礎と臨床の関連付けをシラバスに明記することが望まれる。(4.薬学専門教育の内容)13. 実務実習事前学習の教員負担の均等化が求められる。(5.実務実習)14. 「実務実習委員会」が組織されているが、責任の所在については明確ではなく(委員長は誰か、各委員の担当は、など)、規則の制定などが求められる。(5.実務実習)15. 実務実習の総合的な学習成果を評価するための指標を設定し、それに基づく評価を適切に行うことが望まれる。(5.実務実習)16. 卒業研究発表会は、6年次の10月までに複数の研究室が合同で開催しているが、一部、単独の研究室で行っているところがあり、薬学部全体での実施が望まれる。また、発表時間は統一されておらず、統一することが望ましい。(6.問題解決能力の醸成のための教育)17. 「卒業研究Ⅰ」、「卒業研究Ⅱ」、「物理・化学系統合演習(PBL)」などについて、シラバスに記載されている評価方法と実態がかけ離れているため、シラバスの整備が求められる。(6.問題解決能力の醸成のための教育)18. 正味時間では、問題解決型学習の実施時間数が18単位を満たしておらず、さらなる充実が期待される。(6.問題解決能力の醸成のための教育)19. 平成28年度に24%の定員割れがあったため、29年度以降の入学試験での是正が期待される。(7.学生の受入)20. 入学者数の変動が大きく(充足率/平成23年度:0.41、平成24年度:0.61、平成25年度:0.80、平成26年度:1.29、平成27年度:1.01、平成28年度:0.76(基礎資料7))、学年による教育の質の差異を避けるためにも、安定した入学者数の確保が望まれる。(7.学生の受入)21. 前年度に不合格となった科目については再履修が原則であるが、当該年次の必修科目の開講時間と重なった場合には、再履修することなく再試験として受験できる仕組みとなっており、修正が望まれる。(8.成績評価・進級・学士課程修了認定)22. ハラスメント防止講習会への薬学部教員の参加率が23.3%と低く、全員参加などのさらなる活動が望まれる。(9.学生の支援)23. 平成22年度以降、「学生満足度調査」を実施しておらず、定期的な調査が期待される。(9.学生の支援)24. すべての実験実習担当教員の数が2~3名であるために指導者1人あたりの学生数が30~45名(在籍学生数での平均)となっている。この教員数は安全性の面で非常に問題であるため、担当教員の増員が望まれる。(9.学生の支援)25. 事故や災害の安全対策について、現場任せではなく学部として取り組むことが望まれる。(9.学生の支援)26. 事故や災害の発生時や被害防止のためのマニュアル整備は不十分であり、充実が望まれる。(9.学生の支援)27. 専任教員1名に対する学生数は22名となっており、専任教員数の増などのさらなる努力が期待される。(10.教員組織・職員組織)28. 准教授以下の若手教員の増員が望まれる。(10.教員組織・職員組織)29. 教員によっては教育・研究等活動の情報を更新していない者がおり、定期的な更新が望まれる。(10.教員組織・職員組織)30. 実務家教員の研鑽の場として、薬剤師会・病院薬剤師会・姫路獨協大学薬学部の共催による「西播・姫路医療セミナー」を開催しているが、その他の取り組みについては一部教員のみとなっており、学部としての体制構築が期待される。(10.教員組織・職員組織)31. 学生自習室が共用で2室しかないため学生の自習スペースが少なく、薬学生の自習スペースの拡充が望ましい。(11.学習環境)32. 英文による薬学部の情報発信(ホームページ)が行われておらず、さらなる充実が期待される。(12.社会との連携)33. 教員の海外研修(留学)実績がなく、さらなる充実が期待される。(12.社会との連携)34. 定期的な自己点検・評価を行う委員会を設置する際には、外部委員を含めることが望ましい。(13.自己点検・評価)3)改善すべき点1. 学部の理念が設定されていないため、改善が必要である。(1.教育研究上の目的)2. 研究上の目的が設定されておらず、改善が必要である。(1.教育研究上の目的)3. 現行のカリキュラムにおいては、教育内容が階層的なカリキュラムでの順次性と一致していない科目配置が認められる、改訂新カリキュラムの6年次において専門分野の選択科目をまったく履修しなくても卒業が可能であるなどの問題があり、6年一貫教育の再構築が必要である。(2.カリキュラム編成)4. 平成27年度のカリキュラム変更に伴い在学生の卒業要件単位数を変更していることは、ディプロマ・ポリシーや履修基準(卒業要件単位数含む)が入学時に提示したものから変更できない、一種の学生との契約書であるという大学教育の根本的な原則が理解できていないことを示しており、今後は入学時に提示された卒業要件単位数を変更しないことが求められる。(2.カリキュラム編成)5. 6年次の講義が国家試験受験予備校に依頼して実施されており、改善が必要である。(2.カリキュラム編成)6. カリキュラム・ポリシーの策定ならびにカリキュラムの見直しと改訂は学部教育の根幹をなすものであるが、これらを検討する委員会組織や規定、議事録が確立されておらず、常置委員会の設置や委員会の整理、委員会規定の制定などの改善が求められる。(2.カリキュラム編成)7. 姫路獨協大学薬学部の薬学教育カリキュラムは薬学共用試験や薬剤師国家試験の合格のみを目指した教育に過度に偏っており、改善が必要である。(2.カリキュラム編成)8. ヒューマニズム教育・医療倫理教育について、目標達成度を評価するための指標は設定されておらず、それに基づいての適切な評価もなされていないため、改善が必要である。(3.医療人教育の基本的内容)9. コミュニケーション能力および自己表現能力を身につけるための教育において、授業科目ごとに成績評価はなされているが、これらの能力の目標達成度を評価するための指標の設定と評価はなされておらず、改善が求められる。(3.医療人教育の基本的内容)10. シラバスの記載について下記の問題があり、改善が必要である。・詳細のわからないシラバスがある。・ほとんどの科目に一般目標と到達目標は明示されているが、書式が統一されておらずわかりにくい。・どの科目が大学独自であるかが判別できない。・モデル・コアカリキュラムの記載について教員間での差異がある。・一部科目においてはシラバスの記載とモデル・コアカリキュラムの目標との対応が不明瞭である。・方略やオフィスアワーに関する記載に問題のある科目が散見される。・科目によっては複数の評価方法を用いる際の寄与率が記載されていないものがある。・基礎と臨床の関連付けについて明示されていない。(4.薬学専門教育の内容)11. モデル・コアカリキュラムの一部項目が選択科目となっており、改善が必要である。(4.薬学専門教育の内容)12. 実務実習事前学習の目標達成度を評価するための指標が設定されておらず、それに基づく評価もなされていないため、改善が必要である。(5.実務実習)13. 実務実習の成績評価方法を設定し、シラバスに具体的に記載する必要がある。(5.実務実習)14. 全員が卒業研究に取り組むことができる時間が、4年次の約1ヶ月、5年次の実務実習以外の期間(約3ヶ月)、6年次前期の11%(37時間/330時間)に留まっており、問題解決能力醸成のために十分な卒業研究時間の確保が必要である。(6.問題解決能力の醸成のための教育)15. 卒業論文や発表会などを通して卒業研究を評価するために、学部共通の評価指標を設定し、評価する必要がある。(6.問題解決能力の醸成のための教育)16. 卒業論文が枚数制限されているために十分な内容とは言えず、問題解決能力の醸成のためには卒業論文のさらなる充実が必要である。(6.問題解決能力の醸成のための教育)17. 問題解決能力醸成に向けた教育において、目標達成度を評価するための指標の設定と、それに基づく適切な評価がなされておらず、改善が必要である。(6.問題解決能力の醸成のための教育)18. 総在籍者に占める留年者、退学者の割合は、9.3~27.0%と高く、さらにストレート卒業率も33.3~43.3%と低く、入学後の教育に求められる基礎学力が適確に評価されているとは言えず、学生の受入れについての改善が必要である。(7.学生の受入)19. 単位未修得の科目が4科目以上の場合の進級不可に加えて、実質的には演習科目の場合は1科目の結果で進級不可になるが、これら演習科目の単位認定についてシラバスの評価方法・基準の欄が「定期試験と課題レポートで総合的に評価する」など不明瞭な記載となっており、改善が必要である。(8.成績評価・進級・学士課程修了認定)20. 6年次後期の必修科目である「卒業研究Ⅱ」で学科試験を行い、その合否によって実質的には学士課程の修了認定が行われており、学士課程の修了認定が厳格に行われているとは言えないので、が実質的な卒業要件となっており、改善が必要である。(8.成績評価・進級・学士課程修了認定)21. 「卒業研究Ⅱ」の合否判定の際に、国家試験受験予備校による薬剤師国家試験模擬試験結果との相関を考慮し当該試験の合否判定がなされており、改善が必要である。(8.成績評価・進級・学士課程修了認定)22. 平成27年度までは卒業留年者への対応は、外部受託先施設(国家試験受験予備校)に任せており、問題であるので、改善が必要である。(8.成績評価・進級・学士課程修了認定)23. 平成28年度前期の段階で、教員数が大学設置基準を満たしておらず、さらに教授数も半数を満たしておらず、早急に教授等の公募と選考を完了させて、専任教員の不足を解消する必要がある。(10.教員組織・職員組織)24. 最近6年間あるいは数年の研究業績がない教員がおり、研究時間の確保など教育研究の向上を目指した取り組みが必要である。(10.教員組織・職員組織)25. 教育プログラムの改善のために、自己点検・評価の常置委員会の設置、規定の作成など、評価体制の整備と定期的な自己点検・評価の実施が必要である。(13.自己点検・評価)
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| 第1期 |
2020年度 |
適 |
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再評価報告書
総評
姫路獨協大学 総評姫路獨協大学薬学部は、教育研究上の目的を「薬学部は、薬の専門家としての実践的能力、高い倫理観と豊かな人間性を備え、人々の健康保持・増進と福祉の向上に貢献し、薬物治療の進展に資する研究心をもった薬剤師を育成することを目的とする。」と定め、これに基づき学位授与の方針(ディプロマ・ポリシー)、その達成に向けた教育課程の編成・実施の方針(カリキュラム・ポリシー)、入学者受入方針(アドミッション・ポリシー)を定めて6年制薬学教育を行っている。姫路獨協大学薬学部の教育プログラムは、2016(平成28)年度に行った本評価において、「カリキュラム編成」、「問題解決能力の醸成のための教育」、「成績評価・進級・学士課程修了認定」、「教員組織・職員組織」、「自己点検・評価」に重大な問題点が見出され評価継続となったため、それらの問題点に対する改善結果について再評価を行った。姫路獨協大学薬学部では、2017(平成29)年度に教育目的について改めて協議し、教育研究上の目的の改定を行った。新しい教育研究上の目的に基づき、2017(平成29)年度に教育課程の編成・実施の方針(カリキュラム・ポリシー)も協議・改定され、カリキュラムの再編が行われた。また、これらを見直すために薬学部教育改善実施(FD)委員会が設置され、2年に1回見直すことも委員会規定に明記されており、改善に向けての体制が整備された。しかしながら、ディプロマ・ポリシーとカリキュラム・ポリシーの関連性が明確でない部分が認められるため、さらなる充実が求められる。- 2 -2017(平成29)年度に改定されたカリキュラム・ポリシーに基づいて新カリキュラムが編成された。しかしながら、「地域の薬剤師活動を学ぶ」以外の科目については、一部科目名の変更はあるものの学年の変更はほとんどなく、2017(平成29)年度以前のカリキュラム配置から大きな変更は認められない。これらのことから、カリキュラム・ポリシーを再検討してカリキュラムを抜本的に見直し、階層的、順次的構成へと改めることが求められる。旧カリキュラムについては、2016(平成28)年度の薬学教育評価機構の評価での指摘事項に基づいて見直しが行われ、4年次の「薬学応用演習Ⅱ」と「薬学応用演習Ⅲ」はCBT(Computer Based Testing)対策として、6年次の「薬学総合演習Ⅱ」と「薬学総合演習Ⅲ」は薬剤師国家試験対策としての意味合いが強い科目となっているが、一方、「薬学応用演習Ⅰ」、「薬学総合演習Ⅰ」、「医療薬学系統合演習」などはPBL(Problem BasedLearning)やグループ学習を組み入れた教育編成とするなどの変更が行われ、薬学共用試験や薬剤師国家試験の合格のみを目指した教育に過度に偏っていた状況は改善された。2016(平成28)年度の薬学教育評価機構の評価での指摘事項に基づいてカリキュラムが改編され、5年次前期から6年次11月末までの期間の実務実習を除く、合計7.5ヶ月が卒業研究に当てられるようになった。また、2016(平成28)年の薬学教育評価での指摘を受け、薬学部が主催して6年生全員が同一日に発表する卒業研究発表会が、10月に実施されようになった。卒業論文についても、指導教員を含めた2名の教員による査読と指導が行われている。新カリキュラムにおける問題解決型学習の実質的な単位数としては、各学年に配置した「統合演習(PBL)」7単位(1単位x7)、「卒業研究Ⅰ」2単位、「卒業研究Ⅱ」4単位、「薬学総合演習A」0.5単位、各学年に配置されている学生実習の合計3.25単位(実質の時間をグループによる考察とレポートの配点で1単位の1/4と計算、0.25単位x13)の、合計16.75単位に留まっており、さらなる充実が求められる。また、シラバスに学習方法を記載する項目がなく、改善が必要である。成績評価については、一部の科目で評価項目の比率が示されていないなどの不備が散見される、「出席」を評価基準としている科目があるなど、改善が必要である。学生への成績通知については、2016 (平成28)年度の本評価時には掲示板での通知であったが、メールによる通知方法へと変更された。留年生などに対する学習指導も個別面談を行うなど、改善が認められる。しかしながら、評価実施年度におけるストレート在籍率は4年次で既に6割を切っており、留年者・休学者・退学者もいまだに多く、さらなる努力が期待され- 3 -る。姫路獨協大学薬学部の教員在籍状況は、助教以上の専任教員が28名(訪問調査時には29名)、そのうち教授が14名であり、設置基準上必要な専任教員数を満たしている。しかしながら、大学設置基準に定められている専任教員数を大幅に超えるにはいたっていない。専任教員における実務家教員数は5名(教授:3名、准教授:1名、講師:1名)と、設置基準上必要な実務家教員数が満たされている。姫路獨協大学薬学部には、16の研究室があり、各研究室には補助的役割の助手を含めて2〜3名の教員が配置され、必要な施設・設備が整備されている。研究室への配属は4年次後期に決定され、1学年の配属定員数は1研究室あたり2〜9名となっており、1研究室あたりの面積は110 m2である。薬学部内には、共同研究機器室、学生実習室、薬用植物園が整備されている。また各研究室にはネットワーク環境が整備されており、電子ジャーナルを活用できる環境が整えられている。しかしながら、動物飼育や薬用植物の管理については保守管理に関わる薬学部専任職員が配置されていないため、円滑な運用のためにも施設専任事務職員の配置が望ましい。姫路獨協大学薬学部では、2016(平成28)年度の薬学教育評価機構による評価での指摘を受け、2017(平成29)年度に、自己点検・評価の常置委員会として、薬学部教育改善実施(FD)委員会が設置された。本委員会委員の構成は、学部長(委員長)、教務委員、基礎薬学の教員から3名以上、臨床系薬学の教員のうちから2名以上、教務課の職員、その他委員会が必要と認めた者とされており、さらに2019(平成31/令和1)年度に規定を改定し、外部委員1名が含まれることとなった。委員会は原則月1回開催されている。しかしながら、カリキュラムの見直し、実務実習など個々に対する改善策は立案されたが、教育活動全般を見直すまでには至っていない。また、「再評価報告書」ならびに「基礎資料」等にも間違いが散見される。これらの原因として、薬学部教育改善実施(FD)委員会委員の人数が限られていること、さらに、自己・点検とFD活動を行う組織が同一であるため、仮に改善が必要な問題が生じた場合でも、自らの組織で提案した活動を否定することは容易ではないことなどが考えられることから、PDCAサイクルのCとAを薬学部教育改善実施(FD)委員会単独で担当することには無理があり、別な組織を設けて役割分担をするなど、改善が必要である。以上のように、姫路獨協大学薬学部は、本評価において指摘された多くの問題点に対して真摯に改善に取り組んでおり、本評価において適合と判断されていた諸項目を合わせて、本機構の定める「薬学教育評価 評価基準」に適合していると判断できる。- 4 -姫路獨協大学薬学部には、再評価で指摘された改善すべき点と助言、および本評価の提言への対応が十分にはなされていない問題点の改善に取り組み、薬学教育のさらなる向上に努めることを期待する。
大学への提言
姫路獨協大学 大学への提言 1)助言
1. 教育研究上の目的にある「豊かな人間性」に相当する内容が、学位授与の方針(ディプロマ・ポリシー)と教育課程の編成・実施の方針(カリキュラム・ポリシー)の関連性が明確でない部分が認められるため、ディプロマ・ポリシーとカリキュラム・ポリシーとの整合性のさらなる充実が望まれる。(2.カリキュラム編成)2. カリキュラム・ポリシーを再検討してカリキュラムを見直し、階層的、順次的構成へと改めることが望まれる。(2.カリキュラム編成)3. 卒業研究に充てられている実質的な時間数は合計7.5ヶ月に留まっており、未だ問題解決能力醸成のために十分な卒業研究時間の確保ができているとは言えず、さらなる充実が望まれる。(6.問題解決能力の醸成のための教育)4. 新カリキュラムにおける問題解決型学習の実質的な単位数としては16.75単位に留まっており、さらなる充実が望まれる。(6.問題解決能力の醸成のための教育)5. 再評価実施年度(2020年度)におけるストレート在籍率は4年次ですでに6割を切っており、留年者・休学者・退学者も未だに多く、さらなる努力が望まれる。(8.成績評価・進級・学士課程修了認定)6. 総合的な学習成果の測定の指標を設定し評価することが望まれる。(8.成績評価・進級・学士課程修了認定)7. 専任教員1人あたりの学生数は、在籍数ベースでは15.8名であるが定員ベースでは21名であり、教員数のさらなる増加が望まれる。(10.教員組織・職員組織)8. ホームページでの公表に関して、一部の教員で情報が更新されていない、一部の教員は公表のリンクがされていないなどの問題も散見されるため、ホームページの更新などさらなる充実が望まれる。(10.教員組織・職員組織)9. 実務家教員が常に医療に対応するために、病院など現場で研鑽できる制度の構築が望まれる。(10.教員組織・職員組織)10. 教員の週当たりの平均授業時間において7時間を超えている教員が見受けられ、特に講師、助教といった若手教員の負担が大きくなっているため、研究時間を確保する上- 33 -でも教員を増員して授業負担の改善を図ることが望まれる。(10.教員組織・職員組織)11. 薬学部には、共用試験、病院薬局実務実習、薬学教育第三者評価などの運営に関連する多くの事務作業があるため、円滑な運用のためにも学部専任事務職員の配置が望まれる。(10.教員組織・職員組織)12. 共同利用研究施設の運営に関して、図書館についての記載はあるが、動物飼育、薬用植物の管理については保守管理に関わる薬学部専任職員の配置が認められず、円滑な運用のためにも施設専任事務職員の配置が望まれる。(10.教員組織・職員組織)13. 薬学教育カリキュラムの自己点検・評価については、2016(平成28)年度の薬学教育評価機構による評価での指摘を受けた項目を中心とした見直しに留まっており、今後は、大学独自の評価項目も加え、教育プログラム全体を定期的に自己点検・評価することが望まれる。(13.自己点検・評価) 2)改善すべき点 1. シラバスの開講年次(実態)とカリキュラム・マップとの齟齬が一部認められるため、シラバス等の見直しが必要である。(2.カリキュラム編成)2. 問題解決能力の醸成に関わる総合的な目標達成度の評価の指標の設定と評価は行われておらず、改善が必要である。(6.問題解決能力の醸成のための教育)3. 新旧カリキュラム共にシラバスに学習方法の項目がなく、一部の科目の評価方法において「グループ学習等における貢献度、課題発表」などと記載されるに留まっており、シラバスに学習方法の項目を加えるなど、改善が必要である。(6.問題解決能力の醸成のための教育)4. シラバスには各科目の成績評価の評価項目として定期試験、小テスト、レポートなどが記載され、評価方法による成績の比率についても明記されているが、「医療薬学系統合演習(PBL)」、「ドイツ語」、「アジアの歴史」、「一般医薬品入門」など記載のない科目も見受けられるため、全科目でシラバスを再確認し、適宜修正することが必要である。(8.成績評価・進級・学士課程修了認定)5. 「出席」を成績評価の基準とし、さらに総合点に占める割合が高い科目もあり、改善が必要である。(8.成績評価・進級・学士課程修了認定)- 34 -6. 学部が行っている自己評価の結果が薬学部のホームページに公開されているが、FD活動および議事録のみとなっており、自己点検評価書の掲載などの改善が必要である。(13.自己点検・評価)7. カリキュラムの見直し、実務実習など個々に対する改善策は立案されたが、教育研究活動全般を見直すまでには至っておらず、さらに、「再評価報告書」ならびに「基礎資料」等にも間違いが散見される。これらの原因として、FD委員の人数が限られていること、さらに、自己・点検とFD活動を行う組織が同一であるため、仮に改善に問題が生じた場合でも、自らの組織で提案した活動を否定することは容易ではないことなどが考えられることから、PDCAサイクルのCとAを薬学部教育改善実施(FD)委員会単独で担当することには無理があり、別な組織を設けて役割分担をするなど、改善が必要である。(13.自己点検・評価) |
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| 医療創生大学 | 私 | 福島県 | 第1期 |
2019年度 |
適 |
自己点検・評価書 基礎資料 正誤票 |
評価報告書
総評
医療創生大学 総評 医療創生大学薬学部は、「明星学苑」の校訓「健康、真面目、努力」のもと、「豊かな人間性を有し、地域の人々の健康を率先して守ることのできる、研究マインドと確かな知識に裏打ちされた、自律・自立した薬剤師を育成する」ことを教育研究上の目的として設定している。教育課程の編成・実施の方針(カリキュラム・ポリシー)は教育研究上の目的に沿って設定されている。カリキュラムはカリキュラム・ポリシーに基づき、豊かな人間性、主体的学習力ならびに問題解決能力を養うための医療創生大学薬学部の最大の特徴とする「イグナイト教育」と、基礎系科目、専門科目、臨床系科目が順次性をもって学年進行にそって構築されている。ヒューマニズム教育、医療倫理教育、およびコミュニケーションとプレゼンテーションに関する教育も、1~4年次に前述の「イグナイト教育」を中心に編成されている。東日本大震災の被災経験を基に、大学独自の選択科目として、1年次では「災害からの復興」、2年次では「地域・災害医療学」などの特徴ある科目を配置している。その他、薬学専門教育の実施に向けた準備教育、医療安全教育なども、質と量に懸念される点はあるが、順次性に配慮して行われている。薬学専門教育は、薬学教育モデル・コアカリキュラムにおおむね準拠しており、グループ学習やミニッツペーパー等の様々なアクティブラーニングを用いるなど学習領域に適した学習方略が用いられている。大学独自の薬学専門教育は、教育研究上の目的に基づいて3つの科目群を設定しており、先に述べた「災害からの復興」などの特徴ある科目は、「地域の人々の健康を率先して守ることのできる力を育む科目」に対応している。実務実習事前学習は、実務実習モデル・コアカリキュラムに準拠し、実務家教員8名に- 2 -よる適切な指導体制の下に行われている。「実務実習実施本部」が、実務実習施設の割振り、実習施設との連携、実習生への対応などを行い、病院・薬局実習は適切に行われている。卒業研究は、4年次に実験を中心とする「卒業研究A」あるいは文献調査研究である「卒業研究B」のいずれかを選択し、6年次前期まで行われている。問題解決能力の醸成のための教育は、実質的な実施時間が短いとの懸念があるが、グループ学習を取り入れた「イグナイト教育2A」や「プレゼンテーション(アドバンストイグナイト(処方解析))」において実施されている。入学者選抜は、入学者受入方針(アドミッション・ポリシー)に基づき、AO入学試験、推薦入学試験、一般入試、センター試験利用入試の4種類の入学試験が実施されているが、入学生の学力が薬学教育に十分であるか、さらには編入学生の薬学教育に求められる医療人教育科目の履修に懸念される点がある。学生の成績評価、進級判定、卒業判定は、学則等の関連する諸規程に基づいて行われているとしているが、種々の懸念される点が存在している。各科目における成績評価の方法はシラバスに明記されているが、不備が散見される。学生への支援は、チューター制による履修・学生生活の指導、複数の奨学金制度による経済的支援が行われ、ハラスメント防止や障がい学生に対する体制も整っている。健康管理センターによるヘルスケア、メンタルケア等の学生の健康維持を支援する体制が整備されている。教員組織については、専任教員数は大学設置基準を満たしており、教員の資格、授業科目の担当状況も適切である。教員の採用・昇任は、大学の規程に基づいて適正に行われている。教育研究に必要な講義室、実験室、図書館などの学習環境は十分に整備されている。社会との連携については、地域の薬剤師会と積極的に連携するなど適切な取り組みが行われている。自己点検・評価については、「薬学部自己点検評価委員会」を設置して行っているが、これらの組織が十分に機能しているとは判断できない。以上のように、医療創生大学薬学部の教育プログラムは、本機構の評価基準におおむね適合していると判断される。しかし、以下のような問題点があり、改善が必要である。(1) 6年次の授業編成が薬剤師国家試験対策の教育に偏っていると判断されるため、改善する必要がある。- 3 -(2) イグナイト教育におけるヒューマニズム・医療倫理教育に係る授業回数は少なく、また、SGDなどの能動的参加型学習法を用いた授業も限られているので、改善する必要がある。(3) ヒューマニズム教育・医療倫理教育において、総合的な目標達成度を評価するための指標が設定され、それに基づいて適切に評価されることが実施されていないので、改善する必要がある。(4) 授業科目が薬学教育モデル・コアカリキュラムの到達目標を網羅していないので、早急に改善する必要がある。(5) 問題解決能力の醸成に関する関連科目を総合して評価するための指標を設定して評価を行っていないので、改善する必要がある。(6) 留年率、退学率が高く、6年次におけるストレート在籍率は 0.5 を下回っていることから、入学者選抜に当たって、入学後の教育に求められる基礎学力が適確に評価されていないことが考えられるので、改善する必要がある。(7) 実質的な卒業試験と考えられる「薬学総合演習(ファーマドリルファイナル)」の成績評価方法、再試験の受験資格およびシラバスの記載には問題があるので改善する必要がある。(8) 6年次の国家試験受験準備科目である「薬学総合演習(ファーマドリルファイナル)」の合否で実質的卒業認定が行われており、ディプロマ・ポリシーに基づいた学士課程修了認定はなされていないので改善する必要がある。(9) 6年制薬学教育プログラムを点検・評価するための適切な項目を設定し、定期的に自己点検・評価をするように「薬学部自己点検評価委員会」を整備し機能させる必要がある。医療創生大学薬学部には、本評価で指摘された改善すべき点および助言を踏まえて、改善に取り組み、イグナイト教育など特色ある教育プログラムを効果的に活かして、より優れた6年制薬学教育が展開されることを期待する。
大学への提言
医療創生大学 大学への提言1)助言1. 薬学科の「教育研究上の目的」には、教育上の目的が薬剤師育成について設定されているが、薬学部が行う研究上の目的が含まれていないので、改善が望まれる。(1.教育研究上の目的)2. 教育研究上の目的の教職員への周知は、「履修の手引」やホームページだけであり、十分に行われているとは言い難いので、改善が望まれる。(1.教育研究上の目的)3. オリエンテーションおよび「イグナイト教育1A」の資料に記載されている教育研究上の目的が、学則に定められている文言と異なるので一致させることが望まれる。(1.教育研究上の目的)4. 教育研究上の目的は、定期的には検証されていないので、改善が望まれる。(1.教育研究上の目的)5. カリキュラム・ポリシーについて、学生・教職員に対しての周知、ならびに薬学部パンフレットなどを通じて受験生にも十分周知することが望まれる。(2.カリキュラム編成)6. 科目の単位数の設定が「履修の手引」に沿っていない科目があるので、改善すること- 43 -が望まれる。(「薬学要説(化学系)」「薬学要説(生物系)」は8コマを1単位とし、「化学演習1」は30コマで1単位としている)(2.カリキュラム編成)7. 教養教育として設定している全学共通教育科目の中の選択科目のうち、人文社会系科目等に必修科目と時間割が重複しているもの(履修できない科目;文学の世界、邦楽入門、経済学入門、社会学入門、地球環境の科学、統計のしくみ)があるので、履修できるように時間割を工夫することが望まれる。(3.医療人教育の基本的内容)8. 入学までの学習歴を考慮したリメディアル教育プログラムについて改善が望まれる。(3.医療人教育の基本的内容)9. 薬害被害者や弁護士を講師とした授業はあるが、医療における安全管理者などの話を聞く機会はないので、学生が医療安全に関して肌で感じる機会をさらに提供するように改善が望まれる。(3.医療人教育の基本的内容)10. 生涯学習に対する意欲を醸成するための教育内容を充実させることが望まれる(3.医療人教育の基本的内容)11. 「生涯学習研修会」などの生涯学習のプログラムは提供されているが、学部生の参加を増やす方策を講じることが望まれる。(3.医療人教育の基本的内容)12. 実務実習事前学習に密接に関連する科目である「臨床薬物動態学」、「医薬品情報学」、「調剤系実習」に関して、実務実習事前学習の内容であることが、シラバスの「授業の概要」(教育目標)に記載されていないので、学生がこれらの科目を実務実習につながる科目として学んでいないことが懸念されるので、改善することが望まれる。(5.実務実習)13. 実務実習の総合的な学習成果を測定するための指標を設定し、それに基づいて適切に評価することが望まれる。(5.実務実習)14. 研究成果の医療や薬学における位置づけを考察して卒業論文を作成することについて、卒業論文作成要領およびシラバスの一般目標、到達目標に記載がないので、それらに記載するとともに学生に指導して卒業論文に反映されるように改善することが望まれる。(6.問題解決能力の醸成のための教育)15. 問題解決型学習の実施時間を適切に確保し、体系的な問題解決能力の醸成に向けた教育が行われるように、改善することが望まれる。(6.問題解決能力の醸成のための教育)16. 薬学部パンフレットと入試要項に記載されている入学者受入方針(アドミッション・ポリシー)の内容が、薬学部ホームページや「履修の手引」と異なっているので、一- 44 -致させることが望まれる。(7.学生の受入)17. 一般入試とセンター試験利用入試において、面接等によって医療人としての適性を評価する工夫をすることが望まれる。(7.学生の受入)18. 一部の基礎実習(化学系実習、物理系実習)の評価方法は、学習領域(技能)に適した評価方法とは言えず、改善することが望まれる。(8.成績評価・進級・学士課程修了認定)19. 学生が成績評価に対して疑問を生じた場合には、成績質問受付期間に大学事務局内の教務課を通じて科目担当教員に確認することができることを、「履修の手引」に記載して学生に周知することが望まれる。(8.成績評価・進級・学士課程修了認定)20. 薬学部の教育研究上の目的に基づいた教育における総合的な学習成果を適切に評価するための指標は設定されていないので、指標を設定し、その指標に基づいて評価することが望まれる。(8.成績評価・進級・学士課程修了認定)21. 教授の半数以上が60歳代であり、年齢構成にやや偏りが見られるので改善が望まれる。(10.教員組織・職員組織)22. 一部の教員に過去6年間に論文や学会発表がなく、研究活動の活性化が望まれる。(10.教員組織・職員組織)23. 担当授業時間数に教員間で大きな差があるので、改善が望まれる。(10.教員組織・職員組織)24. 事務職員が大学共通部署に配属されており、薬学部専任の事務職員はいないので、適切に配置することが望まれる。(10.教員組織・職員組織)25. 「薬学部自己点検評価委員会」には外部委員は在籍しないので、改善が望まれる。(13.自己点検・評価)2)改善すべき点1. 6年次の授業編成が薬剤師国家試験対策の教育に偏っていると判断されるため、改善する必要がある。(2.カリキュラム編成)2. イグナイト教育におけるヒューマニズム・医療倫理教育に係る授業回数は少なく、また、SGDなどの能動的参加型学習法を用いた授業も限られているので、改善する必要がある。(3.医療人教育の基本的内容)3. ヒューマニズム教育・医療倫理教育において、総合的な目標達成度を評価するための指標が設定され、それに基づいて適切に評価されることが実施されていないので、改- 45 -善する必要がある。(3.医療人教育の基本的内容)4. コミュニケーション能力を養う教育について、授業回数および学習方略を改善する必要がある。(3.医療人教育の基本的内容)5. コミュニケーション能力および自己表現能力を身につけるための教育において、学習成果を総合した目標達成度を評価するための指標が設定され、それに基づいて適切に評価されることが実施されていないので、改善する必要がある。(3.医療人教育の基本的内容)6. 授業科目が薬学教育モデル・コアカリキュラムの到達目標を網羅していないので、早急に改善する必要がある。(4.薬学専門教育の内容)7. シラバスの表記に以下のような不備が散見されるので、改善する必要がある。(4.薬学専門教育の内容)① 「授業の概要」に薬学教育モデル・コアカリキュラムの一般目標が記載されていない。② 授業形態に、当該科目で用いる学習方略の記載漏れがある。③ 授業内容に対応しないSBOの記載が散見される。④ 大学独自科目の表示が分かりにくく、その根拠が説明されていない。⑤ 成績評価方法と寄与率の記載が分かりにくい。8. 到達目標に適した学習方略を用いた教育が行われていない授業科目があるので、改善する必要がある。(4.薬学専門教育の内容)9. 実務実習事前学習の目標達成度を評価するための指標を設定し、それに基づいて適切に評価することが必要である。(5.実務実習)10. 卒業研究の実施時間が十分に確保されていないので、改善する必要がある。(6.問題解決能力の醸成のための教育)11. 卒業論文の評価を複数の教員によって行うように改善する必要がある。(6.問題解決能力の醸成のための教育)12. 問題解決能力の醸成に関する関連科目を総合して評価するための指標を設定して評価を行っていないので、改善する必要がある。(6.問題解決能力の醸成のための教育)13. 薬学部教授会には、入試判定会議による決定事項が報告されるのみで、合否判定には直接は関与していないので、改善する必要がある。(7.学生の受入)14. 留年率、退学率が高く、6年次におけるストレート在籍率は0.5を下回っていることから、入学者選抜に当たって、入学後の教育に求められる基礎学力が適確に評価されて- 46 -いないことが考えられるので、改善する必要がある。(7.学生の受入)15. 編入学者は、出身学部によっては薬学教育に求められている「早期体験学習(早期臨床体験)」等の医療人教育を履修していない可能性が強く懸念されるので、編入学者に対する医療人教育が十分行われるように改善する必要がある。(7.学生の受入)16. 出席を評価項目としているのは、適正な評価項目ではないので、改善する必要がある。(8.成績評価・進級・学士課程修了認定)17. 「臨床薬学2」において、本試験 60 点以上の場合のみ、小テスト・レポートの評価を加点する、ならびに「薬品分析学1」、「調剤系実習」において全員に一律に加算点が与えられるという評価方法は適正ではないので、早急に改善する必要がある。(8.成績評価・進級・学士課程修了認定)18. 実質的な卒業試験と考えられる「薬学総合演習(ファーマドリルファイナル)」のシラバスの記載には問題があるので改善する必要がある。(8.成績評価・進級・学士課程修了認定)19. 予備校模擬試験を受験することを、「薬学総合演習(ファーマドリルファイナル)」の再試験の受験資格にしていることは不適切であるので、早急に改善する必要がある。(8.成績評価・進級・学士課程修了認定)20. 6年次の国家試験受験準備科目である「薬学総合演習(ファーマドリルファイナル)」の合否で実質的卒業認定が行われており、ディプロマ・ポリシーに基づいた学士課程修了認定はなされていないので改善する必要がある。(8.成績評価・進級・学士課程修了認定)21. 6年制薬学教育プログラムを点検・評価するための適切な項目を設定し、定期的に自己点検・評価をするように「薬学部自己点検評価委員会」を整備し機能させる必要がある。(13.自己点検・評価)22. 自己点検・評価の結果を教育研究活動に反映する体制を整備し、その結果を教育研究活動の改善に反映させる必要がある。(13.自己点検・評価)
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1:提言 改善報告審議結果 2025/1/10 |
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3:但し書き 改善報告審議結果 2022/6/28 |
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| 熊本大学 | 国 | 熊本県 | 第1期 |
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適 |
自己点検・評価書 基礎資料 正誤票 |
評価報告書
総評
熊本大学 総評熊本大学薬学部は6年制薬学科と4年制創薬・生命薬科学科の2学科を設置しており、薬学科では、「医療系薬学及び衛生・社会系薬学を中心とした応用的学問を修得し、高度化する医療において薬物治療に貢献する薬剤師や臨床研究者として活躍する人材の育成を目的とする」という教育研究上の目的の下に、入学者受入の方針(アドミッション・ポリシー)、教育課程の編成・実施の方針(カリキュラム・ポリシー)、学位授与の方針(ディプロマ・ポリシー)を、整合性を持って設定し、医療を取り巻く環境ならびに社会の薬剤師に対するニーズを反映した薬学教育を行っている。カリキュラムは、ディプロマ・ポリシーを踏まえて定められたカリキュラム・ポリシーの体系性、段階性、個別化の方針に沿って編成されており、それは薬学教育モデル・コアカリキュラムに対応したものとなっている。すなわち、ヒューマニズム教育・医療倫理教育、コミュニケーション能力教育は各学年の進行に相応した内容の科目を配置して学年進行形で順次性をもって体系的かつ効果的に行われている。教養教育は総合大学の特色を活かして、共通する主題のもとに複数の科目を1パッケージとして学修して多面的な理解・考察力の醸成する科目パッケージ制を含めて、人文・社会科学から自然科学まで幅広い領域にわたる科目が開講されている。語学教育は、英語を中心として、低学年における基礎的な語学力から、高学年での専門性を考慮した語学力まで、各学年を通じて体系的に教育が行われている。薬学専門科目では、基礎と応用・臨床を相互に関連付け、かつ目的意識を持って学修できるように、基礎的科目とそれらに関連する応用・臨床的科目が順次性に配慮しながら年次進行とともに適切に配置されている。薬学共用試験も適切に実施されている。実務実習事前学習、実務実習も適切な体制の下で実務実習モデル・コアカリキュラムに沿って適正に実施されており、「病院実務実習」では医学部医学科臨床実習(ポリクリ)- 2 -と連携・参画する参加型実務実習を行って教育効果を高めている。卒業研究は1年以上実施されており、各自その成果を卒業論文としてまとめるとともに、薬学部主催の卒業論文発表会で口頭発表している。学生の受入は、推薦入学試験と一般入学試験により行われているが、いずれもアドミッション・ポリシーに基づいて適切に行われており、入学定員数に対する入学者数にも問題はない。また、成績評価・進級判定・学士課程修了認定は、ディプロマ・ポリシーに基づいて公正かつ厳格に行われている。学生への履修指導や学習指導は研究室配属までは担任教員、研究室配属後は当該分野の所属教員が対応して適切に行われている。学生の経済的支援は、入学料免除制度および授業料免除制度の設置、各種奨学金等に関する情報提供、大学独自の奨学金制度の設置等により対応している。また、学生の健康維持、心身的な支援などの体制、ハラスメント対応、実験・実習での安全教育体制も整っている。専任教員は各専門分野において研究・教育に優れた実績を有するものが配置されており、教員数、実務家教員数も大学設置基準を十分満たしている。教員の採用、昇任は、規程に基づいて、研究実績を含めた研究能力、教育上の指導能力等を総合的に判断して行われている。また、研究室、講義室、実習室、演習室、セミナー室、実務実習事前学習のための模擬薬局および摸擬病室、コンピューター演習室、動物飼育施設、RI施設、薬用植物園、図書館などの施設、各種の設備も整備されており、学習環境も整っている。また、FD(FacultyDevelopment)活動も問題なく行われている。社会との連携として、熊本の企業との共同研究講座の設置、熊本県との共同提案事業の実施、海外の大学・研究所との大学間および部局間交流などを活発に行っている。また、教員が熊本地区の薬剤師会、病院などの委員を務め、地域の薬学の発展に貢献している。また、各種の関連学会の役員・委員を務め、それぞれの団体との連携を図っている。さらに、点検評価のために、薬学部運営会議のもとにワーキンググループが設置されており、教育プログラムに対する自己点検・評価、その結果の教育研究活動への反映も行われている。以上のように、熊本大学薬学部薬学科の6年制薬学教育プログラムは、本機構の評価基準におおむね適合していると判断される。しかし、以下のような問題点があり、改善が必要である。- 3 -(1) ヒューマニズム教育・医療倫理教育、コミュニケーション能力・自己表現能力の醸成教育、実務実習事前学習、および問題解決能力を醸成する教育において、それぞれ総合した目標達成度の指標を設定し、それに基づいた適切な評価を行う必要がある。(2) 科目の全部あるいはその一部に独自性を持つ科目においては、その独自性がシラバスで確認できるように、シラバスの記載方法を改善することが必要である。(3) 薬局実務実習において、一部の薬局で実習日数が実務実習モデル・コアカリキュラムで求められている標準の日数より不足しているので、学生、実習施設の指導者、教員の間の連携を強化し、実務実習が適正に実施されるよう、改善することが必要である。(4) 薬局・病院実務実習評点表において採点基準を定めることが必要である。(5) 「卒業前総括講義」の評価の一部に外部機関の国家試験模擬試験の結果を取り入れているので改善することが必要である。(6) 教育プログラムの自己点検・評価を必要な全ての評価項目について継続的に実施・公表し、教育研究活動の改善に恒常的に取り組む必要がある。熊本大学薬学部薬学科は、本評価での改善すべき点、助言を踏まえ、積極的に改善に取り組み、さらに発展することを期待する。
大学への提言
熊本大学 大学への提言1)長所1. 複数の科目において、病院、行政、薬局など、薬剤師が活躍している様々な領域やその関連領域から講師を招き、その講義等を通じて実際の職務や活動、今後の方向性、生涯学習の重要性などを理解するように努め、生涯学習の必要性を早期から意識付け、認識するための教育が行われている。(3.医療人教育の基本的内容)2)助言1. 薬学部の教育研究上の目的の教職員や学生に対する周知は主として学生便覧の配付という形に依存しており、積極的な周知は図られていないため、FDやガイダンス等の場を活用して一層の周知に努めるよう改善することが望まれる。(1.教育研究上の目的)2. 教育研究上の目的は、薬学部教務委員会が深い関わりを持つカリキュラム・ポリシーならびにディプロマ・ポリシーの策定の基盤となるものであり、今後のカリキュラムマネジメントの確立に向けた取組みと密接に関わる事柄でもあるため、教育研究上の目的の検証に薬学部教務委員会が関与するように改善することが望まれる。(1.教育研究上の目的)3. カリキュラム・ポリシーの教職員および学生への周知は主としてこの学生便覧の配付という形に依存しており、積極的な周知は図られていないので、教職員にはFD、学生にはガイダンス等の場を活用して一層の周知に努めるよう改善することが望まれる。(2.カリキュラム編成)4. カリキュラム・ツリーの学生への周知が図られていないので、ガイダンス等の場を活用して周知に努めるよう改善することが望まれる。(2.カリキュラム編成)5. 大学の卒後教育の研修会への学部生の参加がないので、学生に生涯学習に対する意欲を醸成するための教育が体系的に行われるよう、改善することが望まれる。(3.医療人教育の基本的内容)6. 複数の教員が授業を担当している場合、各教員が担当している部分がわからないので、それぞれの担当部分をシラバスに明記するようにすることが望ましい。(4.薬学専門教育の内容)7. 個々の科目のシラバスにおいて基礎と臨床の知見の相互の関連付けが十分に記載されていない科目が見られるので、シラバスの「授業の目的」「授業の概要」等の項目で、- 41 -科目内での基礎と臨床の知見の相互の関連付けがわかるように記述するよう、改善することが望ましい。(4.薬学専門教育の内容)8. 科目において担当教員の中に非常勤講師がいる場合は、シラバスに非常勤講師であることを明記するよう、改善することが望ましい。(4.薬学専門教育の内容)9. 卒業研究の評価を公正かつ厳格に行うために、卒業論文の評価は適切な指標を設定し、それに基づいて複数の教員で行うよう、改善することが望ましい。(6.問題解決能力の醸成のための教育)10. 一般入試において調査書等の段階別評価や面接の活用などの工夫により、医療人としての適性や主体性を持って多様な人と協働して学ぶ基礎的素養を有する学生を選抜できるような入試体制を整備することが望まれる。(7.学生の受入)11. 学生便覧では秀、優、良、可が示す評点の範囲は示されていないので、秀、優、良、可が示す評点の範囲を学生便覧に示すよう、改善することが望ましい。(8.成績評価・進級・学士課程修了認定)12. ディプロマ・ポリシーの教職員および学生への周知は主としてこの学生便覧の配付という形に依存しており、積極的な周知は図られていないため、FDやガイダンス等の場を活用して一層の周知に努めるよう改善することが望まれる。(8.成績評価・進級・学士課程修了認定)13. 総合的な学習成果の測定を行うための指標設定等の基盤となるルーブリック、学修成果可視化システム(ASO)は構築されているが、それらのシステムが教職員および学生には十分に浸透しておらず、それらの実際の運用については改善が望まれる。(8.成績評価・進級・学士課程修了認定)14. 複数の講義室・実習室ではバリアフリーとなっていないため、バリアフリー化するよう改善することが望ましい。(9.学生の支援)15. 一部の教員については、ホームページの最近の業績が更新されていないところがあるので、ホームページを最新のものに適宜更新するよう、改善することが望ましい。(10.教員組織・職員組織)16. 実務家教員は個人の努力で常に新しい医療に対応するために自己研鑽に努めている状態にあるので、制度として実務家教員のスキル向上を支援する体制を構築するよう、改善することが望ましい。(10.教員組織・職員組織)17. 一部の教員に授業負担が重くなっているので、授業担当時間数の継続的な見直し、教員の退職に伴う欠員の補充などに努め、個々の教員の授業担当時間数が適正な範囲内- 42 -となるよう、改善することが望ましい。(10.教員組織・職員組織)18. 自己点検・評価体制には外部委員が含まれておらず、外部委員を整備するよう、改善することが望まれる。(13.自己点検・評価)3)改善すべき点1. ヒューマニズム教育・医療倫理教育において、総合した目標達成度評価のための指標は設定されていないので、これを設定し、それに基づいた適切な評価を行う必要がある。(3.医療人教育の基本的内容)2. コミュニケーション能力および自己表現能力を身につけるための教育において、関連科目の学習成果を総合した目標達成度評価のための適切な指標は設定されていないので、これを設定し、それに基づいた適切な評価を行う必要がある。(3.医療人教育の基本的内容)3. シラバスにSBOsが示されていない科目や、科目全体についての大雑把な記述だけで各回の授業内容の対応が示されていない科目も見られるので、「到達目標」の欄などに履修内容に対応してSBOsを記載するよう改善する必要がある。(4.薬学専門教育の内容)4. 科目の全部あるいはその一部に独自性を持つ科目においては、その独自性がシラバスで確認できるよう、シラバスの記載方法を改善することが必要である。(4.薬学専門教育の内容)5. 実務実習事前学習において、総合した事前実習全体としての目標達成度を評価するための指標は設定されておらず、指標を設定して適切に評価するよう、改善することが必要である。(5.実務実習)6. 薬局実務実習において、一部の薬局で週5日で9週間での実習が行われており、薬局実務実習日数として実務実習モデル・コアカリキュラムで求められている標準の実習日数(週5日で 11 週間)より不足しているので、薬局実務実習日数として実務実習モデル・コアカリキュラムで求められている日数より短くならないように、学生、実習施設の指導者、教員の間の連携を強化し、実務実習が適正に実施されるよう、改善が必要である。(5.実務実習)7. 薬局・病院実務実習評点表において採点基準が定められていないので、採点基準を定めるよう、改善することが必要である。(5.実務実習)8. 問題解決型学習と位置付ける各科目には評価指標が設定されているものの、問題解決- 43 -能力の醸成に向けた総合的な目標達成度の指標や評価基準が設定されていないので、卒業研究を含めた問題解決能力の醸成に関する科目を総合した目標達成度の指標を設定して、適切に評価するよう改善することが必要である。(6.問題解決能力の醸成のための教育)9. 成績評価がいくつかの方法で行われている科目において、最終成績に寄与する各評価方法の割合や評価基準が明記されていない科目があるので、明記するように改善することが必要である。(8.成績評価・進級・学士課程修了認定)10. 「卒業前総括講義」の評価において、外部機関の 1 月末の国家試験模試の結果を取り入れていることは不適切であるので、改善が必要である。(8.成績評価・進級・学士課程修了認定)11. 平成 26 年度の自己評価では「6年制薬学科教育の内部質保証」を目的としての評価項目のすべてを評価しておらず不十分であるので、必要とする評価項目をすべて評価するよう、改善が必要である。(13.自己点検・評価)12. 自己点検・評価が恒常的に行われているとは言い難いので、自己点検・評価を継続的に実施・公表するよう、改善が必要である。(13.自己点検・評価)
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1:提言 改善報告審議結果 2025/1/10 |
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3:但し書き 改善報告審議結果 2021/6/28 |
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| 城西大学 | 私 | 埼玉県 | 第1期 |
2019年度 |
適 |
自己点検・評価書 基礎資料 正誤票 |
評価報告書
総評
城西大学 総評城西大学薬学部は薬学科、薬科学科、医療栄養学科の3学科を設置しており、薬学科では「基本的な薬学の知識に加え、医療人として専門知識と実践力、さらには倫理性を兼ね備え、人々の健康増進を積極的に支援する薬剤師の育成を目指す」という教育研究上の目的に基づいて、入学者受入の方針(アドミッション・ポリシー)、教育課程の編成・実施の方針(カリキュラム・ポリシー)、学位授与の方針(ディプロマ・ポリシー)を定めており、これらに基づいてカリキュラムを編成している。ヒューマニズム教育・医療倫理教育は、SGD(small group discussion) やTBL(team-based learning) などの方略を用いた実習や演習等を行うだけでなく、他大学や地域住民とともに「彩の国連携力育成プロジェクト」を実施することにより、効果的に実施されている。教育課程の構成と教育目標は薬学教育モデル・コアカリキュラムに準拠しており、各科目のディプロマ・ポリシーの5つのアウトカムおよび「薬剤師として求められる基本的な資質」へのつながりを示すカリキュラム・ツリー、カリキュラム・マップ、および科目対応表が作成されている。実務実習は薬学教育モデル・コアカリキュラムおよび実務実習ガイドラインに準拠して実施されており、病院実習では大学独自契約施設または関東地区調整機構を介する施設へ、薬局実習ではすべて関東地区調整機構を介する施設へ学生を配属している。新カリキュラムの卒業研究では、4年次5月に各研究室に学生を配属させている。前年度の成績が上位1/3にあたる学生には、2年次もしくは3年次から卒業研究を前倒しで実施できる早期配属制度を設けている。入学者の選抜は、主としてAO入学試験、指定校推薦入学試験、一般入学試験、大学入試センター試験利用入学試験の複数の方法で実施している。成績評価、進級判定、卒業判定は、関連する諸規定に基づいて公平かつ厳正に実施されている。学生支援においては、入学予定者が学生生活を円滑に開始できるように、教員と上級生- 2 -サポーターも参加して、入学直前に「フレッシュマンキャンプ」を実施している。さらに、在学生にメールで質問ができるピアサポート制度を取り入れている。薬学科の専任教員は 50 名(その内 23 名が教授)であり、大学設置基準に定められた専任教員数を満たしている。教員の採用および昇任は、ステップ評価と「城西大学業務規則」、薬学部教授会で定める基準に基づき行われている。薬学科が使用する施設・設備は6年制薬学教育に必要な基準を満たしている。全学共用の「水田記念図書館」が薬学部の近くに設置され、十分な図書、電子ジャーナル、閲覧席が提供されており、学生ピアサポート、学生選書、ビブリオバトル等の活動により、図書館の利用を促している。地域連携活動では、平成6年より埼玉県薬剤師会および埼玉県病院薬剤師会と連携して「埼玉医療薬学懇話会」を組織し、埼玉県を中心とした地域における薬剤師の資質向上に努めている。薬学教育プログラムに関する自己点検・評価では、学内教員、事務職員、外部委員からなる「薬学教育自己点検評価委員会」を設置し、各委員会の活動を点検している。以上のように、城西大学薬学部薬学科の教育プログラムは、本機構の評価基準におおむね適合している。しかし、以下のような問題点があり、改善が必要である。(1) 「薬学総合演習C」に補講等も含めるとCBT(Computer Based Testing)対策に多くの時間を費やしており、カリキュラムが薬学共用試験の合格を目指した教育に過度に偏っているので、改善が必要である。(2) ヒューマニズム教育・医療倫理教育において、目標達成度を総合的に評価するための指標の設定や、それに基づく評価はなされていないため、改善が必要である。(3) コミュニケーション能力・自己表現能力を身につけるための教育全体の達成度について総合的に評価する指標の設定には至っていないため、改善が必要である。(4) シラバスには、薬学教育モデル・コアカリキュラムに準拠した一般目標、オムニバス科目の場合には授業の各項目の担当教員、モデル・コアカリキュラムのSBOs(Specific Behavioral Objectives)番号、基礎と臨床の関連付け、大学独自の薬学専門教育科目が記載されていないため、授業方法欄の記載事項を明確に規定しこれらを明記することにより、学生に理解しやすいシラバスを作成するように、改善が必要である。- 3 -(5) 実務実習事前学習の主要な部分は4年次前期の4〜5月に実施されている。実務実習開始まで9ヶ月以上の期間があり、適切な時期に実施されているとはいえないため、改善が必要である。(6) 問題解決能力の醸成に向けた教育の総合的な目標達成度の指標の設定が十分ではないため、改善が必要である。(7) 委員会活動だけでなく、薬学教育研究活動全般にPDCAサイクルを十分機能させ、薬学教育プログラムの改善に努める必要がある。城西大学薬学部薬学科には、本評価の提言を踏まえ、教員が一丸となって積極的に改善に取り組むことにより、さらに優れた6年制薬学教育プログラムを構築することを期待する。
大学への提言
城西大学 大学への提言1)長所- 47 -1. 県内4大学合同の「彩の国連携力育成プロジェクト」と称するIPEプロジェクトへの参加は、多職種の信頼関係の構築を学ぶだけでなく、市民・生活者との関わりの中での問題発見とその解決につながる学びを実践している特色ある取り組みとして評価できる。(3.医療人教育の基本的内容)2. 2、3年次の低学年から研究を体験する選択科目が配置され、大学院進学者数の増加につながっていることは、評価できる。(6.問題解決能力の醸成のための教育)3. 卒業研究の妥当性を検証する形成的評価を目的とした、卒業研究の取り組みとそれによる成長に関する評価は、学生のモチベーションの向上につながっており、この評価方法を6年制第2期の学生から継続して実施していることは、特色ある取り組みとして評価できる。(6.問題解決能力の醸成のための教育)4. 図書館において、学生ピアサポーター(学生アドバイザー)の導入、新刊書情報の発信、図書館主催の講演会、学生による選書、ビブリオバトルなど活発な活動が行われており、薬学科生の利用状況も良好である点は評価できる。(11.学習環境)2)助言1. 大学のホームページに記載されている教育研究上の目的の文言が学則と一致していないため、改善が望まれる。(1.教育研究上の目的)2. 教育研究上の目的には、教育に関する記述はあるものの研究に関する記述がないので、研究についても明記するように、改善が望まれる。(1.教育研究上の目的)3. 薬学科のホームページのトップページから「理念及び教育研究上の目的」の記載ページへのリンクをわかりやすくすることが望まれる。(1.教育研究上の目的)4. 教育研究上の目的を改正する必要があるか否かなど、定期的に検証することが望まれる。(1.教育研究上の目的)5. 城西大学では3つのポリシーの改定版が全学年に適用されているが、すでに学修が進んでいる平成28年度以前の入学生のカリキュラムとカリキュラム・ポリシーの整合性がとれなくなるため、本来の趣旨に沿って、入学年度のポリシーを卒業時まで適用することが望まれる。(2.カリキュラム編成)6. 平成26年度版と平成29年度改定版のカリキュラム・ポリシーは、それぞれ設定時に入学した学生に適用されるものであるため、印刷物やホームページには改定版だけでなく、在校生の入学年度のものも併記することが望まれる。(2.カリキュラム編成)7. 学生が自己学習の時間を十分に確保できるようなカリキュラム編成や時間割編成とな- 48 -るよう工夫が望まれる。(2.カリキュラム編成)8. 「薬学総合演習A」と「薬学総合演習B」にヒューマニズム教育に関連する内容が含まれているが、シラバスには記載がないので、記載することが望まれる。(3.医療人教育の基本的内容)9. 医療人教育の基本的内容に関わる教科目の単位数の合計は卒業要件の1/5に相当する38単位には達していないので、科目数(単位数)を増やすことが望まれる。(3.医療人教育の基本的内容)10. 教養科目は1、2年で履修することになっているが、実際には2年次の時間割構成では履修しにくいため、時間割を見直すことが望まれる。(3.医療人教育の基本的内容)11. 薬学専門教育に接続できるような教養科目がほとんどないため、薬学領域の学習と関連付けて履修できる体系的なカリキュラムを編成することが望まれる。(3.医療人教育の基本的内容)12. 薬害被害者の家族や弁護士などの話を聴く機会がないため、改善が望まれる。(3.医療人教育の基本的内容)13. 生涯教育講座に学部学生が参加しやすい環境を整えるように、改善が望まれる。(3.医療人教育の基本的内容)14. 「海外薬学英語研修Ⅰ・Ⅱ・Ⅲ」、「薬学韓国語」、「薬学中国語」を選択科目として開講しているが、平成30年度には履修者がいなかったので、グローバルな視点を有する薬剤師の養成に向け、改善が望まれる。(4.薬学専門教育の内容)15. 実務実習事前学習の実技の部分は4年次5月に終わり、実務実習まで9ヶ月以上の期間があるため、実習直前に学生の実務実習に関わる技能や態度の定着を確認するように、改善が望まれる。(5.実務実習)16. 「卒業研究」以外の問題解決能力の醸成に向けた教育が不十分なので、問題解決能力の醸成に向けて十分な実施時間数の確保が望まれる。(6.問題解決能力の醸成のための教育)17. アドミッション・ポリシーが、ディプロマ・ポリシーおよびカリキュラム・ポリシーと整合して設定されているか、またどの入試区分に対応しているのかについては関連性が明確にされていないため、改善が望まれる。(7.学生の受入)18. 十分な基礎学力と共に医療人としての適性が評価できるように、入学者選抜方法の改善が望まれる。(7.学生の受入)- 49 -19. 成績判定に疑義がある場合には各授業担当者が対応することになっているため、疑義を問い合わせる制度を確立することが望まれる。(8.成績評価・進級・学士課程修了認定)20. 進級基準では、全学年で「未修得3科目までは進級を認めることがある」、5から6年次についても「「病院実習」「薬局実習」および「導入講義・演習」は進級対象外とすることもある」とあり、表現が曖昧であるため、改善が望まれる。(8.成績評価・進級・学士課程修了認定)21. 健康診断の受診率は平成30年度の新入生は99.6%、他学年の平均は93.2%であるが、3、4年次生で80%台と低いため、改善が望まれる。(9.学生の支援)22. 学生の意見を学生生活の改善につなげるように、改善が望まれる。(9.学生の支援)23. 専任教員1名あたりの学生数が20名を超えており、教育水準のより一層の向上のために、専任教員数を増やすことが望まれる。(10.教員組織・職員組織)24. 基礎資料15において教育研究活動が不十分な教員が認められるが、それらの状況を分析し、改善に向けて指導対応することが望まれる。(10.教員組織・職員組織)25. すべての実務家教員が研鑽を積む制度を学部として整備していないため、改善が望まれる。(10.教員組織・職員組織)26. 週当たり授業時間数は、教授に比べ准教授や助教の負担が大きく、担当科目数も教員間で大きな格差があるので、改善が望まれる。(10.教員組織・職員組織)27. 学内に外部資金調達のためのアドバイスを行う専門部署などが設置されていないため、改善が望まれる。(10.教員組織・職員組織)28. 教員の海外研究渡航制度や海外研究員規程はあるが、近年薬学科教員の長期留学の実績がないので、制度の周知を図ると共に、利用を推進することが望まれる。(12.社会との連携)29. 6年制薬学教育の内部質保証という観点から、薬学教育プログラムに関する点検・評価を継続的に実施することが望まれる。(13.自己点検・評価)3)改善すべき点1. 「薬学総合演習C」に補講等も含めるとCBT対策に多くの時間を費やしており、カリキュラムが薬学共用試験の合格を目指した教育に過度に偏っているので、改善が必要である。(2.カリキュラム編成)2. 6年次前期には6月後半から平日のすべてを国家試験対策授業に費やしており、カリ- 50 -キュラムが薬剤師国家試験の合格を目指した教育に過度に偏っているので、改善が必要である。(2.カリキュラム編成)3. ヒューマニズムならびに医療倫理教育に関連する各科目の成績評価において、到達目標に応じた評価指標の設定やそれによる評価を実施するまでには至っていない科目があるので、改善が必要である。(3.医療人教育の基本的内容)4. ヒューマニズム教育・医療倫理教育において目標達成度を総合的に評価するための指標の設定や、それに基づく評価がなされていないため、改善が必要である。(3.医療人教育の基本的内容)5. 人文系、社会系、自然系の教養科目の開講数は多いが、語学を除く教養科目の卒業に要する単位は少なく、物事を多角的にみる能力および豊かな人間性・知性を養うための教育が行われているとはいえないため、カリキュラムの修正が必要である。(3.医療人教育の基本的内容)6. コミュニケーション能力・自己表現能力を身につけるための教育全体の達成度について総合的に評価する指標の設定には至っていないため、改善が必要である。(3.医療人教育の基本的内容)7. 早期体験学習において、薬剤師が活躍する現場の見学は1人1分野のみなので、全員が複数の分野を見学できる体制をつくるように、改善が必要である。(3.医療人教育の基本的内容)8. シラバスには、薬学教育モデル・コアカリキュラムに準拠した一般目標、オムニバス科目の場合には授業の各項目の担当教員、モデル・コアカリキュラムのSBOs番号、基礎と臨床の関連付け、大学独自の薬学専門教育科目が記載されていないため、授業方法欄の記載事項を明確に規定しこれらを明記することにより、学生に理解しやすいシラバスを作成するように、改善が必要である。(4.薬学専門教育の内容)9. 一部の技能・態度に関するSBO項目が、講義・演習科目で対応されているため、適切な学習方法と評価方法を取り入れるように、改善が必要である。(4.薬学専門教育の内容)10. 実務実習事前学習の主要な部分は4年次前期の4〜5月に実施されている。実務実習開始まで9ヶ月以上の期間があり、適切な時期に実施されているとはいえないため、改善が必要である。(5.実務実習)11. 「薬学総合実習演習B・C」のルーブリックは科目の評価指標としては工夫されているが、事前学習全体の総合的な評価ではないため、実務実習事前学習の総合的な目標- 51 -達成度を評価する指標を設定し、それに基づいて適切に評価することが必要である。(5.実務実習)12. 旧カリキュラムでは「卒業研究」の期間が十分ではないため、改善が必要である。(6.問題解決能力の醸成のための教育)13. 「卒業研究」以外の問題解決能力の醸成のための科目について、目標到達度を評価するための指標を設定し、それに基づいて適切に評価するよう、改善が必要である。(6.問題解決能力の醸成のための教育)14. 「医療人としての成長を1〜6年の間継続して評価するためのルーブリック」の1項目である「研究能力」の項を問題解決能力の醸成に向けた教育の総合的な目標達成度の評価に用いるためには、学生の自己評価だけでなく教員による評価も行うよう、改善が必要である。(6.問題解決能力の醸成のための教育)15. 問題解決能力の醸成に向けた教育の総合的な目標達成度の指標の設定が十分ではないため、改善が必要である。(6.問題解決能力の醸成のための教育)16. 低学年次において退学者や留年者が多く、ストレート卒業率も低く推移していることから、入学者の選抜において、基礎学力を適切に評価するように、改善が必要である。(7.学生の受入)17. シラバスの成績評価方法に個々の寄与率が示されていない科目、レポートを加味することがあるという曖昧な表現を記載している科目があるため、成績評価基準を明確に記載するように、改善が必要である。(8.成績評価・進級・学士課程修了認定)18. 出席状況を評価に加えている科目があるので、適切な評価を行うように、改善が必要である。(8.成績評価・進級・学士課程修了認定)19. 地震に関するマニュアルに火災への対応は含まれているが、事故や火災の防止と対応に特化したマニュアルの整備が必要である。(9.学生の支援)20. 各委員会や個々の教職員に対して実施と報告を求める業務評価や業績評価だけでは不十分なため、6年制薬学教育の内部質保証を目的とした点検・評価項目を自主的に設定し、それに基づく自己点検・評価を実施するよう改善が必要である。(13.自己点検・評価)21. 薬学部で実施している自己点検・評価の結果をホームページなどに公開する必要がある。(13.自己点検・評価)22. 委員会活動だけでなく、教育研究活動全般にPDCAサイクルを十分機能させ、6年制薬学教育プログラムの改善に取り組む必要がある。(13.自己点検・評価)- 52 -23. 「自己点検・評価書」、「基礎資料」および添付資料に多くの誤記や齟齬が認められ、さらにその修正も不正確であるなど、自己点検・評価の体制が十分であったとはいえず、自己点検・評価体制を整備し、機能させることが必要である。(13.自己点検・評価)
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1:提言 改善報告審議結果 2024/1/15 |
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| 城西国際大学 | 私 | 千葉県 | 第1期 |
2019年度 |
適 |
自己点検・評価書 基礎資料 正誤票 |
評価報告書
総評
城西国際大学 総評城西国際大学薬学部は、医療を取り巻く環境の変化(超高齢社会、医療の国際化)の中で薬剤師に求められる社会のニーズ(安心・安全な薬物治療の提供、在宅医療への関わり、健康支援)を踏まえ、「超高齢化と国際化が進む日本社会において、質が高く安心・安全な医療サービスを提供し、健康的で豊かな生活を支援できる薬剤師の育成」を「教育研究上の目的」としている。この「教育研究上の目的」の下に、入学者受入の方針(アドミッション・ポリシー)、教育課程の編成・実施の方針(カリキュラム・ポリシー)、学位授与の方針(ディプロマ・ポリシー)が整合性を持って設定されている。カリキュラムは、「V-Actl'on」という教育プログラムを通して「薬剤師資格の基盤となる専門知識を状況に応じて発揮する力」、「地域住民の健康を支える力」、「療養患者に希望を与える力」を涵養することを大学独自の教育目標として編成されている。ヒューマニズム教育・医療倫理教育において、各学年の目標到達度の指標となる「JIU薬・マイルストーン」を策定し、「臨床マインド」醸成過程の各学年での到達目標を示している。医療人として、薬学専門家として活躍するために必要な、人と社会の関わりについて学ぶヒューマニズム教育をすべての学年で実践している。カリキュラムは、独自に「臨床マインド科目群/キャリア形成科目群」を1年次~4年次まで順次性と体系性をもって配置し、5年次の「病院実務実習」、「薬局実務実習」、5年次、6年次の「専門科目群Ⅱ」へとつなげている。多種多様な大学独自科目を導入し、また大学独自のSBOs(Specific BehavioralObjectives)を設定して低学年から高学年まで、城西国際大学の理念と薬学部の教育研究上の目標を反映した医療人教育が実践されている。- 2 -実務実習事前学習では、目標達成度を評価する「病院・薬局事前学習自己評価表(日誌・成長記録)」が作成され、学生が各項目の達成度を自己評価している。「実習施設訪問手順」や「病院・薬局実務実習Q&A」などを介して実習担当教員と指導薬剤師の連携の円滑化を常に図り、大学と施設、大学と地区調整機構との連携体制が適切に構築されている。卒業論文発表会後に学生は卒業論文をまとめるばかりでなく、学生用ルーブリック評価表を用いて「自己分析レポート」を作成することで自己/他己分析力の修得を促している。問題解決能力の醸成に向けた教育を実践するために各学年に配置されている「臨床マインド科目群/キャリア形成科目群」に属する科目ではPBL(Problem Based Learning)、SGD(Small Group Discussion)、プレゼンテーションなどの能動的参加型学習を取り入れた授業が積極的に行われている。「薬学総合演習及び卒業試験」では、試験成績に基づく評価だけでなく、自己評価・学生相互評価・教員評価・教員以外の第三者による客観的評価を組み入れた「成長報告書」による形成的評価を実施している。1年次秋学期に開講される「総合演習Ⅰ」において、同学年の成績上位者がチューターとなって学習指導を行う少人数ワークを行い、基礎学力の向上を図ることで上級学年の学習への移行が容易になるよう取り組んでいる。専任教員数は、教授 18 名、准教授 13 名、助教4名の計 35 名であり、学生の収容定員780 名に対する大学設置基準で定められた専任教員数(30 名)を上回っている。実務家教員は8名で、設置基準の専任教員数に基づく必要数(5名)を上回っている効果的な教育が推進できるように、講義室、施設・設備が規模と数の観点から適切に整えられている。千葉大学、千葉科学大学との大学間連携共同教育推進事業(三大学薬学部GP)として「実践社会薬学の確立と発展に資する薬剤師養成プログラム」を推進している。以上、城西国際大学の6年制薬学教育プログラムは、本機構の評価基準におおむね適合していると判断される。しかし、但し書きに加え、以下のような問題点があり改善が必要である。(1)5年次、6年次時間割の「薬学総合演習」/「卒業研究」という記載は不適切なので、改善することが必要である。(2)一部の教養科目、語学科目、準備教育科目が、薬学部の学生便覧やシラバス、ホー- 3 -ムページに履修可能な科目として掲載されているにもかかわらず、薬学部の専門科目等と開講時間が重なる、開講していないなどの理由で履修できない状況にあるので、改善することが必要である。(3)シラバスには、1)「必修」、「選択」、「選択必修」の区別が明記されていない、2)各回の講義内容に対応するモデル・コアカリキュラムのSBOsの記載が欠如している科目があり記載項目に統一性がない、などの問題があり、改善が必要である。(4)実務実習事前学習全体の「目標達成度」を評価する総合的な指標が設定されていないため、実務実習事前学習の最終評価が適切になされているとは言えないので改善する必要がある。(5)卒業研究は独立した科目として4年次、5年次、6年次の時間割に組み込み、単位数に応じた時間数が確保されるように改善することが必要である。(6)公平性を担保した客観的な評価を行うという観点から、指導教員(主査)のみが卒業論文の評価を行う方法は問題があるので、副査用の評価基準を定め、複数の教員で卒業論文を審査するように改善する必要がある。(7)低学年での留年率が依然として高く、またストレート卒業率が 50%を大きく下回っているので、入試別・成績別の追跡調査などを行い、各入試形態において志願者の学力をより適正に評価するための指標と基準を改めて設定する必要がある。(8)「薬学総合演習及び卒業試験」の合否基準がシラバスで確認できるように改善することが必要である。(9)必修科目の全ての講義を助教1人が担当するのは好ましくないので、改善する必要がある。(10)6年制薬学教育の内部質保証を目的として、薬学部としての点検・評価項目を設けて薬学部全体で自己点検・評価を行う体制を速やかに構築すべきである。城西国際大学薬学部には、今回の評価における改善すべき点や助言に適切に対応することで6年制薬学教育プログラムをさらに発展させ、今後も大学の独自性を活かした教育研究が推進されることを期待する。
大学への提言
城西国際大学 大学への提言1)長所1. 各学年におけるヒューマニズム教育・医療倫理教育の到達目標を、「JIU薬・マイルストーン」として示している点は評価できる。(3.医療人教育の基本的内容)2. 多種多様な大学独自科目を導入することにより、低学年から高学年まで高度な医療人教育が実践されていることは評価される。(4.薬学専門教育の内容)3. 実務実習事前学習における学習目標と到達目標を各学生に設定させ、その到達度を自己評価、他学生によるピア評価、教員による評価で確認していく「日誌・成長記録」の導入は、独自の取り組みとして評価できる。(5.実務実習)4. 卒業研究発表会終了後、学生には卒業論文をまとめさせるばかりでなく、「学生用ルーブリック評価表」の活用や「自己分析レポート」の作成を通して自己/他己分析力の修得を促している点は評価できる。(6.問題解決能力の醸成のための教育)2)助言1. 城西国際大学薬学部の「教育研究上の目的」には「研究」に関する内容が盛り込まれていないので、改善することが望まれる。(1.教育研究上の目的)2. 「教育研究上の目的」とカリキュラム・ポリシーとのつながりが理解しにくくなっているので、カリキュラム・ポリシーの前文を見直すことが望まれる。(2.カリキュラム編成)3. 臨床マインド科目群という呼称は、薬学教育・薬剤師教育を実践する上でイメージしやすく理解しやすい表現であるが、学生への周知のためにもその目標と内容を学生便- 43 -覧などに趣旨説明とともに記載することが望まれる。(3.医療人教育の基本的内容)4. 人文・社会科学系教養科目の数が少なく履修の機会も限られているので、教養教育の充実を図ることが望まれる。(3.医療人教育の基本的内容)5. 有効な語学教育を継続的に実践するために、3年次以降の「Introduction to HealthScience」や「薬学実践英語(Practical English for Pharmacists)」の必修化を考慮することが望まれる。(3.医療人教育の基本的内容)6. 1年次の通年科目である「薬学基礎物理」「薬学基礎化学」「薬学基礎生物」の秋学期の内容が「総合演習Ⅰ」とかなり重複していることから、各科目の独立性と関連性について、これらの科目を履修する学生に対し、分かりやすく説明することが望まれる。(3.医療人教育の基本的内容)7. 薬害や医療過誤の被害者や家族を講師として招聘して医療事故防止に関する教育をより積極的に行うことが望まれる。(3.医療人教育の基本的内容)8. 「医療薬学系実習Ⅱ」のすべてのコマ数を事前学習としてカウントするのは不適切なので、そのうちから事前学習にふさわしいものだけを選び、それらのコマ数の集計をもとに自己評価することが望まれる。(5.実務実習)9. 「病院・薬局事前学習」の評価について、シラバスと「病院・薬局事前学習」の学習手引きの間で記載に齟齬があるため修正することが望まれる。(5.実務実習)10. 実務実習の総合的評価には、別途そのための指標と評価基準を設定し、それに基づく評価やアンケート調査を行うことが望まれる。(5.実務実習)11. 4年次 10 月から卒業研究を開始しているのであれば、4年次秋学期の授業時間割に「卒業研究」を記載することが望まれる。(6.問題解決能力の醸成のための教育)12. 問題解決型学習の実質的な実施時間数が卒業要件単位数の 1/10 に満たないので、問題解決能力を醸成する学習時間を増やすことが望まれる。(6.問題解決能力の醸成のための教育)13. 社会のニーズや学習環境の変化に応じてアドミッション・ポリシーを迅速に修正できるようにするため、改訂の手続きを規程や内規などの形で明文化することが望まれる。(7.学生の受入)14. 医療人としての適性を評価するために、前期日程入試にも面接を取り入れることが望まれる。(7.学生の受入)15. ディプロマ・ポリシーの策定・点検・改定をタイムリーに行える体制を組織的に構築することが望まれる。(8.成績評価・進級・学士課程修了認定)- 44 -16. 成績判定の疑義に対する学生からの問い合わせを成績表交付日1日しか受け付けないことは学生の不利益につながるので、問い合わせ期間を延長するといった改善が望まれる。(8.成績評価・進級・学士課程修了認定)17. 低学年(1~3年次)における留年率、並びに卒業延期率を改善する取り組みをより効果的に継続することが望まれる。(8.成績評価・進級・学士課程修了認定)18. 入学時からの年次ごとの目標達成度、そして卒業時の目標達成度を評価するための指標と評価基準を設け、それらによって6年制教育の成果を総合的に評価することが望まれる。(8.成績評価・進級・学士課程修了認定)19. 全学的なキャリア支援体制は組織されているが、6年制薬学部卒業生の就職における特殊性に鑑み、就職委員会委員を増員するなどして薬学部における就職支援体制を強化することが望まれる。(9.学生の支援)20. 専任教員一人当たりの学生数が約 20 名と多く、教員の負担が大きいと判断されるので教員をさらに増員することが望まれる。(10.教員組織・職員組織)21. 最近6年間に学術論文や学会発表の実績がない(あるいは、わずかしかない)専任教員が複数いることから、このような教員の研究活動をサポートする体制を構築することが望まれる。(10.教員組織・職員組織)22. 指導教員が1名のみの研究室が散見されるが、そのような研究室では、教員自身の研究や学生の教育・指導が十分行われているとは考えられないため、研究室環境の改善が望まれる。(10.教員組織・職員組織)23. 授業担当時間が過重になっている助教がいるので、今後のキャリアアップを支援するために、その授業負担の割合を是正することが望まれる。(10.教員組織・職員組織)24. 薬学部にFD委員会を常設し、定期的にFD活動を行う体制を構築することが望ましい。(10.教員組織・職員組織)25. 薬学部独自の外国語ホームページを充実させ、より積極的に海外への情報発信を行うことが望まれる。(12.社会との連携)26. 学術交流協定を活用して薬学部教員がより活発に国際交流を行うことが望まれる。(12.社会との連携)27. 評価検討委員会へ他大学や医療現場からの委員を加えて、外部委員の数を増やすことが望まれる。(13.自己点検・評価)- 45 -3)改善すべき点1. 5年次、6年次時間割の「薬学総合演習」/「卒業研究」という記載は不適切なので、改善する必要がある。(2.カリキュラム編成)2. 国家試験予備校に依頼している国家試験対策講習会の一部が、「薬学総合演習」/「卒業研究」に割り振られている正規の授業時間に開講されるのは不適切なので、改善する必要がある。(2.カリキュラム編成)3. ヒューマニズム教育・医療倫理教育において、指標を設定して学習成果の総合的な目標達成度を評価する必要がある。(3.医療人教育の基本的内容)4. コミュニケーション能力および自己表現能力を身につけるための授業科目において、目標達成度を評価するための指標をシラバスに明記するように改善する必要がある。(3.医療人教育の基本的内容)5. 一部の教養科目、語学科目、準備教育科目において、薬学部の学生便覧やシラバス、ホームページに履修可能な科目として掲載されているにもかかわらず、薬学部の専門科目等と開講時間が重なる、開講していないなどの理由で履修できない状況にあるので、改善する必要がある。(3.医療人教育の基本的内容)6. 早期体験学習の訪問施設が病院または薬局のどちらか一方だけであることから、協力病院・薬局を増やし、複数の施設での早期体験の機会を設ける必要がある。(3.医療人教育の基本的内容)7. シラバスには、1)「必修」、「選択」、「選択必修」の区別が明記されていない、2)各回の講義内容に対応するモデル・コアカリキュラムのSBOsの記載が欠如している科目があり記載項目に統一性がない、などの問題点があり、改善が必要である。(4.薬学専門教育の内容)8. モデル・コアカリキュラムのSBOsの中に、一部選択科目でしか対応されていないものがあるので、必修科目でも対応するように改善する必要がある。(4.薬学専門教育の内容)9. 大学独自科目に関しては、「独自」である旨をシラバスに明示する必要がある。(4.薬学専門教育の内容)10. 実務実習事前学習全体の「目標達成度」を評価する総合的な指標を設定し、実務実習事前学習の最終評価が適切に実施されるように改善する必要がある。(5.実務実習)11. 共用試験について、合格者に加えて受験者数も公表するよう改善が必要である。(5.実務実習)- 46 -12. 卒業研究は独立した科目として4年次、5年次、6年次の時間割に組み込み、単位数に応じた時間数が確保されるように改善する必要がある。(6.問題解決能力の醸成のための教育)13. 公平性を担保した客観的な評価を行うという観点から、指導教員(主査)のみが卒業論文の評価を行う方法は問題があるので、副査用の評価基準を定め、複数の教員で卒業論文を審査するように改善する必要がある。(6.問題解決能力の醸成のための教育)14. 6年間における問題解決型学習の目標達成度に対する総合的評価は行われていないので、そのために必要な評価基準を設定した上で、これを行う必要がある。(6.問題解決能力の醸成のための教育)15. 低学年での留年率が依然として高く、またストレート卒業率が 50%を大きく下回っているので、入試別・成績別の追跡調査などを行い、各入試形態において志願者の学力をより適正に評価するための指標と基準を改めて設定する必要がある。(7.学生の受入)16. 再試験に関する規則とその開示について体系性、整合性、および統一性が欠如しているので、改善が必要である。(8.成績評価・進級・学士課程修了認定)17. 卒業判定に関わる「薬学総合演習」の評価に外部模擬試験の結果を一部組み入れているのは適切ではないので、改善が必要である。(8.成績評価・進級・学士課程修了認定)18. 「薬学総合演習及び卒業試験」の合否基準がシラバスで確認できるように改善する必要がある。(8.成績評価・進級・学士課程修了認定)19. 大規模火災や大地震に対応するためのマニュアルを整備し、教職員・学生に向けた安全教育や講習会、訓練などを定期的に実施する必要がある。(9.学生の支援)20. 一部の必修科目の講義を助教がすべて単独で担当するのは好ましくないので、改善する必要がある。(10.教員組織・職員組織)21. 本来事務職がやるべき業務の一部を教員が担っているため、教員が教育研究に専念できない状況が生じている。そのため、事務職員を増員するなどの対策を講じる必要がある。(10.教員組織・職員組織)22. 6年制薬学教育の内部質保証を目的として、薬学部としての点検・評価項目を設けて薬学部全体で自己点検・評価を行う体制を速やかに構築する必要がある。(13.自己点検・評価)23. 評価検討委員会は、「6年制薬学教育の内部質保証」としての薬学部全体の自己点検・- 47 -自己評価を主導し、取りまとめた結果を公表する必要がある。(13.自己点検・評価)24. 薬学部全体として、教育・研究活動の改善に役立てるPDCAサイクルを早急に確立Aする必要がある。(13.自己点検・評価)
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1:提言 改善報告審議結果 2025/1/10 |
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3:但し書き 改善報告審議結果 2022/6/28 |
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| 東北大学 | 国 | 宮城県 | 第1期 |
2019年度 |
適 |
自己点検・評価書 基礎資料 正誤票 |
評価報告書
総評
東北大学 総評東北大学薬学部薬学科は、「薬を通じて人類の福祉と発展に貢献できる人材を育成する」という薬学部・薬学研究科の教育理念に基づいて、「研究心あふれる高度薬剤師としての基盤形成を行うこと」を目的とする6年制薬学教育を行っている。東北大学薬学部の入学試験は、薬学科を創薬科学科(4年制)と区別せずに行われており、入学定員80名のうち20名が3年次後期から薬学科に配属されて、臨床教育が行われている。AO入試(定員20名)では、学力試験に加えて面接が行われ、知識、理解力、表現力、勉学意欲および適性が評価されている。教養教育科目は全学共通科目として多数開講され、1〜2年次に履修している。語学教育は6年間に渡り体系的に行われており、コミュニケーション能力・自己表現能力を醸成する教育は1年次から繰り返し多角的に行われている。一方、ヒューマニズム教育・医療倫理教育は、主に薬学科に配属されてから重点的に行われている。薬学科の専門教育は、薬学教育モデル・コアカリキュラムに準拠しており、創薬科学科と区別したカリキュラムマップが作成されている。実務実習事前学習は4年次の4月から十分に行われており、薬学共用試験は公正かつ円滑に実施されている。病院実習は、実務家教員の指導・管理のもとに東北大学病院で実施されている。薬局実習は東北地区調整機構に登録された保険薬局で行われており、配属研究室の教員が実習施設との連携および評価に関わっている。問題解決能力の醸成のための教育は、主に配属研究室での卒業研究(3年次後期〜6年後期)を通して行われている。授業科目の成績評価方法と各評価の寄与率は、一部の演習・実習科目を除き、シラバスに明示されている。進級判定と学士課程修了認定は公正かつ厳格に行われており、最近5年間の進級・卒業率には問題がない。学生の履修指導や学習相談への対応、授業料免除や奨学金制度等についての情報提供は、教務係が窓口となって行われている。また、学生の健康維持の支援、ハラスメントの防止と対応、障がいのある学生への支援、就職活動の支援などの体制は大学全体の体制として整っている。実験実習における安全教育、保険への加入、災害時の対応計画や訓練は適正- 2 -に行われている。薬学部の教育研究上の目的に沿った教育研究活動を実践するための施設・設備としては、講義室、セミナー室、自習室、実習室、研究室、共用実験施設、図書館などが、おおむね適正に整備されている。薬学部の専任教員には、各専門分野で十分な教育研究上の実績を有する人材がバランスよく配置されており、採用や昇任は適切に実施されている。また、薬学部の事務部には職員20名が配置され、教員と連携して教育研究活動を支援している。薬学部の教員は、公的資金の獲得とともに、多くの企業との共同・受託研究を実施し、産業界と連携した研究に取り組んでいる。また、数多くの海外の大学との国際交流を積極的に行っている。さらに、「教育活動」、「研究活動」、「大学運営・支援及び医療業務」、「社会貢献」の4項目に関する自己点検・評価を毎年行っており、FD(Faculty Development)への取組みも含め、教育研究者としての質の向上に努めている。薬学部がとりまとめた「薬剤師のための災害対策マニュアル」は、各地域における災害対策マニュアルの基盤となっており、社会貢献として評価に値する。自己点検・評価を行う組織としては、薬学部内に「評価分析委員会」が常置されており、上記の薬学部教員の個人評価のほか、東北大学全学で毎年実施している部局評価、第三者評価、授業評価に関する事項を所管している。以上のように、東北大学薬学部薬学科の6年制薬学教育プログラムは、本機構の評価基準におおむね適合していると判断される。しかし、現状では特に懸念される以下のような問題点があり、改善が必要である。(1) 薬学科のディプロマポリシー(DP、学位授与の方針)とカリキュラムポリシー(CP、教育課程の編成・実施方針)を創薬科学科と区別して設定・明文化することが必要である。(2)ヒューマニズム教育・医療倫理教育、コミュニケーション能力・自己表現能力を身につけるための教育に関わる科目の総合的な学修成果を評価するための適切な指標を設定し、それに基づいた目標達成度評価を行う必要がある。(3)低学年における早期体験学習プログラムを改善・充実させる必要がある。(4)実務実習事前学習に関わる科目の総合的な学修成果を評価するための適切な指標を設定し、それに基づいた目標達成度評価を行う必要がある。(5)問題解決能力の醸成に関わる科目の総合的な学修成果を評価するための適切な指標を設定し、それに基づいた目標達成度評価を行う必要がある。(6)教育プログラムの改善(6年制薬学教育の内部質保証)に向けた自己点検・評価の- 3 -ための適切な項目を設定し、継続的な点検・評価を行い、その結果を教育研究活動の改善に反映させることが必要である。東北大学薬学部薬学科には、今回の評価における提言を踏まえた改善を通して6年制薬学教育プログラムの質をさらに高め、大学が目標とする人材育成が実現することを期待する。
大学への提言
東北大学 大学への提言1)長所1. 「薬剤師のための災害対策マニュアル」を作成して日本薬剤師会のホームページで閲覧可能としたことは、各地域における災害対策マニュアルの整備への継続的な貢献として高く評価できる。(12.社会との連携)- 34 -2)助言1. 薬学部の「学部教育の目的」(教育研究上の目的)について、「東北大学薬学部規程」、「学生便覧」、「薬学部パンフレット」の間で一部の文言に不一致があるので、統一することが望まれる。(1.教育研究上の目的)2. カリキュラム・ポリシーには学習到達度の評価方針も明示することが望まれる。(2.カリキュラム編成)3. 医療人教育に必須であるヒューマニズム教育・医療倫理教育を低学年から継続して体系的かつ効果的に行えるように、カリキュラム編成を改善することが望まれる。(3.医療人教育の基本的内容)4. 薬学科配属後の科目だけでなく、全ての科目について、臨床の知見との関連付けをシラバスに明示することが望まれる。(4.薬学専門教育の内容)5. 学生担当教員による評価および病院・薬局実習の単位認定において、各評価項目の配分率が設定されておらず、評価が適正に行われていない懸念があるので、改善が望まれる。(5.実務実習)6. 問題解決型学習が卒業研究に偏り過ぎている懸念があるので、1年次から3年次のカリキュラムに参加型学習を取り入れた講義・演習科目を増設することが望まれる。(6.問題解決能力の醸成のための教育)7. 医療人としての適性を評価する工夫として、前期日程入試にも面接を取り入れることが望まれる。(7.学生の受入)8. ディプロマポリシーに示された目標の達成度を確認するために、6年間の総合的な学修成果を測定できる適切な指標を設定し、それに基づく評価を行うことが望まれる。(8.成績評価・進級・学士課程修了認定)9. ハラスメントの種類や対応方法、解決に向けた体制などについて、より詳細に学生便覧などに記載し、学生に周知することが望まれる。(9.学生の支援)10. 病院実務実習全般を監督している医療薬学教育研究センターの専任教員(講師1名)の授業担当時間が週平均17.47時間と極端に長くなっていることを改善することが望まれる。(10.教員組織・職員組織)11. 自己点検・評価を行う委員会には、外部委員を含めることが望ましい。(13.自己点検・評価)- 35 -3)改善すべき点1. 薬学科のカリキュラム・ポリシーを創薬科学科と分けて設定し、両学科のカリキュラムの特徴を区別して明文化することが必要である。(2.カリキュラム編成)2. 必修科目である4年次「医療薬学演習1」と6年次「総合薬学演習」の授業を国家試験受験予備校からの非常勤講師に委ねていることは不適切であるので、改善が必要である。(2.カリキュラム編成)3. ヒューマニズム教育・医療倫理教育に関わる科目の総合的な学修成果を評価するための適切な指標を設定し、それに基づいた目標達成度評価を行う必要がある。(3.医療人教育の基本的内容)4. コミュニケーション能力および自己表現能力を身につけるための教育を行っている科目の総合的な学修成果を評価するための適切な指標を設定し、それに基づいた目標達成度評価を行う必要がある。(3.医療人教育の基本的内容)5. 「F(1)①早期臨床体験」に該当する科目として基礎資料3-3に唯一挙げられている「薬学概論2」では、薬剤師が活躍する現場を広く見学させているとは言いがたい状況であるので、早期臨床体験として病院や薬局を見学してそれに関連した討議を行うなど、低学年における早期体験学習プログラムを改善・充実させる必要がある。(3.医療人教育の基本的内容)6. 改訂コアカリの「A 基本事項」および「B 薬学と社会(1)」の態度のSBOsに該当する科目として挙げられている「薬学概論1」、「薬学概論2」、「疾病学総論」、「薬事関係法規2」、「臨床調剤学」の学習方法が講義に偏っているので、参加・体験型の学習方略を増やすことが必要である。(4.薬学専門教育の内容)7. 実務実習事前学習に関わる科目の総合的な学修成果を評価するための適切な指標を設定し、それに基づいた目標達成度評価を行う必要がある。(5.実務実習)8. 卒業研究の成績評価を公平かつ公正に行うために、薬学科共通の評価指標や基準を設定してシラバスに明示した上で、指導教員以外の第三者を副査とするなど、複数の教員による評価を行うことが必要である。(6.問題解決能力の醸成のための教育)9. 問題解決能力の醸成に関わる科目の総合的な学修成果を評価するための適切な指標を設定し、それに基づいた目標達成度評価を行う必要がある。(6.問題解決能力の醸成のための教育)10. 「合格、不合格」で評価する科目である「専門薬学実習1」、「専門薬学実習2」、「医療薬学基礎実習」、「医療薬学演習1」、「医療薬学演習2」、「医療薬学病院実習」、「医- 36 -療薬学薬局実習」、「総合薬学演習」、「課題研究」について、総合的な判断や最終成績に対する成績評価の寄与率など、合否判定基準をシラバスに明示して学生に周知する必要がある。(8.成績評価・進級・学士課程修了認定)11. 薬学科のディプロマポリシーを創薬科学科と区別して設定・明文化することが必要である。(8.成績評価・進級・学士課程修了認定)12. 3年次学生の健康診断受診率が他の学年に比べて毎年低い点を改善する必要がある。(9.学生の支援)13. 教育プログラムの改善(6年制薬学教育の内部質保証)に向けた自己点検・評価のための適切な項目を設定し、継続的な点検・評価を行い、その結果を教育研究活動の改善に反映させることが必要である。(13.自己点検・評価)
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1:提言 改善報告審議結果 2025/1/10 |
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| 徳島文理大学香川薬学部 | 私 | 香川県 | 第1期 |
2019年度 |
適 |
自己点検・評価書 基礎資料 正誤票 |
評価報告書
総評
徳島文理大学香川薬学部 総評徳島文理大学香川薬学部では、「真に実力があり、社会に貢献できる薬学人を育成する」という教育理念の下、薬学部の教育目的を「薬学に関する教育プログラムに基づき、薬の科学者としての技量•学識と医療倫理観を兼備した薬剤師及び探求心を有した薬の科学者を養成することを目的とする。」と設定している。カリキュラムは、平成26(2014)年度入学生までとそれ以降の入学生で異なっているが、いずれも薬学部の教育目的に基づく教育課程の編成・実施方針(カリキュラム・ポリシー)に沿って編成されている。医療人としての基礎を形成するために必要な、倫理、ヒューマニズム、コミュニケーションなどの教育は、おおむね適切に行われており、薬学専門教育に関しては、薬学教育モデル・コアカリキュラムに準拠する内容で総じて適切になされている。また、大学独自の薬学専門教育が「アドバンスト教育プログラム」として高学年を中心に配置されている。実務実習に関しては、事前学習を薬学教育モデル・コアカリキュラムの事前学習に関わる教育目標に準拠した内容で2~4年次に継続的に配当している。病院・薬局実務実習は病院薬局実習委員会の管理下に、実務実習モデル・コアカリキュラムに沿った内容で行われ、学生の指導には、助手、助教も含めた全教員が参画している。問題解決能力醸成のための教育として、卒業研究に相当する「卒業実習1~3」(合計16単位)が5年前期から6年前期までに配当され、全ての学生が卒業論文発表会で口頭発表し、卒業論文を作成している。学生の受け入れに関しては、入学者受入方針(アドミッション・ポリシー)が設定され、種々の入学選抜制度区分による選考が行われている。授業科目の成績評価の方法は、それぞれのシラバスに記載されている。進級規程と留年に関わる基準は、「香川薬学部要覧」に明記されている。学位授与の方針(ディプロマ・ポリシー)は教育研究上の目的に基づいて設定されており、卒業判定は学則に定められた卒業要件に基づいて行われている。- 2 -香川薬学部の専任教員は40名(教授19名)であり、大学設置基準が求める専任教員数の28名以上(教授14名以上)を満たしている。臨床実務経験を有する教員は6名で、大学設置基準が求める5名を満たしている。香川薬学部は、教育研究に必要十分な施設、設備、図書を備えており、学部としての社会活動についての実績も認められる。香川薬学部の教育に対する点検・評価については、本機構による他大学への問題点指摘を参考にして自大学の問題点を検討し、必要な改善を実行している。以上のように、徳島文理大学香川薬学部の6年制薬学教育プログラムは、本機構の評価基準におおむね適合している。しかし、以下のような問題点があり、改善が必要である。(1)コミュニケーション能力と自己表現能力を身につける教育について、総合的な目標達成度を評価するための指標を設定し、それに基づく適切な評価を行うことが必要である。(2)専門科目の一部に、科目内容とSBO(Specific Behavioral Objectives)との対応や、SBOの学習領域(知識、技能、態度)と学習方法との対応が適切ではないものがあるので、改善することが必要である。(3)実務実習事前学習の総合的な目標達成度を測定する指標を設定し、それに基づく評価を行うことが必要である。(4)問題解決能力の醸成に向けた教育の総合的な目標達成度を測定する指標を設定し、それに基づく評価を行うことが必要である。(5)休学や留年する学生が多く、ストレート卒業率も50%程度であることから、入学者選抜において必要な学力が適確に評価されていないことが懸念されるので、入学者選抜の改善が必要である。(6)卒業の可否判断が薬剤師国家試験の合否予測につながる演習科目試験の結果を重視して行われているので、ディプロマ・ポリシーの達成に基づいて卒業認定を行うという趣旨に合致したものに改善することが必要である。(7)薬学教育プログラムの自主的な点検・評価によって問題点を見出し、それらを改善して教育の発展を進める取り組みを恒常的に進めることが必要である。徳島文理大学香川薬学部には、以上の改善すべき点に加え、その他の改善すべき点や助言に関しても適切に対応し、総合大学であることの強みを生かした薬学教育の推進を通し- 3 -て、さらに発展することを期待する。
大学への提言
徳島文理大学香川薬学部 大学への提言1)助言1. 教育研究上の目的は、毎年度「香川薬学部要覧」を配布することで教職員に周知するとしているが、資料の配布にとどまらず、FD等で説明することが望まれる。(1.教育研究上の目的)2. 教育の基本となる「教育研究上の目的」を、教授会など適切な主管組織において検証することが望まれる。(1.教育研究上の目的)3. ヒューマニズム教育・医療倫理教育がより体系的なものとなるよう改善することが望まれる。(3.医療人教育の基本的内容)4. ヒューマニズム教育・医療倫理教育の総合的な達成度評価を行う指標として「DP達成度」のみでは十分とは言い難いので、それ以外の適切な指標を設定するなど、さらなる工夫が望まれる。(3.医療人教育の基本的内容)5. 教養教育科目は人文科学、社会科学などをより広く学ぶことができるよう、選択の幅を拡大する改善が望まれる。(3.医療人教育の基本的内容)6. 薬害、医療過誤、医療事故等の被害者やその家族、弁護士、医療における安全管理者が講師となっている授業が少ないので、改善が望まれる。(3.医療人教育の基本的内容)7. 問題解決能力の醸成に向けた教育を行う科目の合計が、卒業要件単位数の1/10 に達していないので、改善が望まれる。(6.問題解決能力の醸成のための教育)8. 一般入試や大学入試センター試験利用入試でも、医療人としての適性を評価するような工夫が望まれる。(7.学生の受入)9. メンタルヘルスケアが必要な学生への対応をさらに充実させることが望まれる。(9.学生の支援)- 34 -10. 実務家教員の研鑽のための体制・制度に関わる規程はなく、現状においては十分な研鑽ができていないので、実務家教員の研鑽のための体制・制度の整備に努めることが望まれる。(10.教員組織・職員組織)11. 全学FDに参加している教員の数が少なく、学部としてのFDも行われていないので、実施に向けた改善が望まれる。(10.教員組織・職員組織)12. 教員の海外出張(研修)規程はあるが、これまでこの制度を利用した実績はないので、利用を推進することが望まれる。(12.社会との連携)2)改善すべき点1. コミュニケーション能力および自己表現能力を身につける教育の総合的な目標達成度を評価するための指標を設定し、それに基づいて適切に評価することが必要である。(3.医療人教育の基本的内容)2. 科目との対応が適切とは言えない到達目標が見られるので、薬学教育モデル・コアカリキュラムの到達目標と科目との対応を見直し、改善することが必要である。(4.薬学専門教育の内容)3. 「態度(関心・意欲)、技能(表現)」の修得を到達目標とする学習領域のSBOで、講義のみの授業科目で対応しているものもあるので、改善することが必要である(4.薬学専門教育の内容)。4. 平成30年度の新カリキュラムのシラバスにおいて、大学独自科目が明示されていないので、明示することが必要である。(4.薬学専門教育の内容)5. 実務実習事前学習で個別の科目(項目)についての「目標到達度評価」は行っているが、総合的な「目標達成度評価」が行われていないので、評価方法の改善が必要である。(5.実務実習)6. 問題解決能力の醸成に向けた教育の総合的な目標達成度を測定する指標を設定し、それに基づく評価を行う必要がある。(6.問題解決能力の醸成のための教育)7. 休学を含めた留年者の割合が高く、ストレート卒業率も50%程度であり、入学者の基礎学力が適確に評価されているとは言い難いことから、入学者選抜の在り方を見直す必要がある。(7.学生の受入)8. 留年生などを減らす対策は取っているが有効な改善に結びついているとは言い難いので、更なる改善を進める必要がある。(8.成績評価・進級・学士課程修了認定)- 35 -9. 「総合薬学演習2」のみが不合格であることが卒業延期の理由となっている学生が毎年20~30%存在することは、卒業の可否判断が薬剤師国家試験に向けた知識に関する成績によって行われているものと考えざるを得ない。これは、卒業認定をディプロマ・ポリシーの達成に基づいて行うという本来の趣旨に合致していないので、改善する必要がある。(8.成績評価・進級・学士課程修了認定)10. 2~4年生は、学生健康記録カードを保健センターに提出させるのみで、実際の健康診断は行っておらず、学生健康記録カードの提出も良好とは言えない状況であるので、各学年で大学の責任おいて健康診断を実施するよう改善することが必要である。(9.学生の支援)11. 本基準が求めている「自己点検・評価」は、自学の教育プログラムに対する恒常的な点検・評価とその結果に基づいて教育の向上と発展を図ることである。今後は、他大学に対する評価結果に対応した改善ではなく、自主的な点検・評価によって問題点を見出し、それらを改善して教育の発展を進める取り組みを恒常的に進めることが必要である。(13.自己点検・評価)
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1:提言 改善報告審議結果 2025/1/10 |
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評価報告書
総評
富山大学 総評富山大学薬学部は6年制薬学科と4年制創薬科学科の2学科を設置している。薬学科の教育研究上の目的(人材養成の目的)は「薬学科では、広い視野と高度な職能を持ち、和漢薬を含めた広範な東西医療分野で活躍する薬剤師などを育成することを目的とする」と「富山大学薬学部規則」に定められている。これに基づいて設定したカリキュラム・ポリシー(教育課程の編成・実施の方針)に沿ってカリキュラムを構築している。1年次は主に五福キャンパスで教養教育が、2~6年次は杉谷キャンパスで専門教育が行われている。医療人としての教育科目は1年次から高学年次に開講されている。薬学専門教育では、薬学教育モデル・コアカリキュラムに準拠した教育が行われており、学部の人材養成の目的に沿って、和漢薬に特化したカリキュラムである和漢薬コースが平成30年度から開設され、東洋医学と西洋医学を組み合わせた、より有効性かつ安全性の高い治療法を考案できる医療人を養成することを目指している。実務実習は富山県内の薬局および富山県内、県外の病院において行われている。「卒業研究」は4~6年次に行われている。4年次2月に卒業研究中間発表会(ポスター発表)が、6年次 11 月初旬に卒業研究発表会(口頭発表)が行われ、6年次 10 月末に卒業論文を提出している。入学者の受入は、アドミッション・ポリシー(入学者受入方針)に基づいて、一般入試(前期日程、後期日程)および特別入試(推薦入試、帰国生徒入試)で入学者の選抜が行われており、入学者数と入学定員との関係は適正である。各科目の成績は、100 点を満点とし、秀(90 点以上)、優(80 点以上 90 点未満)、良(70点以上 80 点未満)、可(60 点以上 70 点未満)および不可(60 点未満)の5段階で評価している。進級判定は、各学年の進級基準に基づき、薬学部教務委員会にて確認した後、薬学部教授会の審議を経て行っている。各学年の進級率はおおむね9割以上である。学士課程の修了認定は、ディプロマ・ポリシー(学位授与の方針)を策定し、学則に定めた卒業要件に基づいて行われている。- 2 -富山大学薬学部はクラス担任制度を設け学生の相談対応を行っている他、経済的支援、健康支援、ハラスメント対策、障がいをもつ学生への配慮、キャリア支援が適切に行われている。また、学生には「学生教育研究災害傷害保険」、「学研災付帯賠償責任保険」に加入させている。薬学部薬学科の専任教員数は 38 名(実務家教員7名を含む)であり、大学設置基準に定められた教員数を満たしている。薬学科教員の採用は適切に実施されており、薬学科教員は研究活動を活発に行い、教育研究能力の維持に努め、教育・研究業績を大学のホームページで公開している。薬学科教員のFD(Faculty Development)活動への出席率は高い。薬学部の施設・設備は6年制薬学教育に必要な基準を満たし、バリアフリーの講義室、十分な広さの実習施設や少人数グループ討議用の小教室があるなど適切である。卒業研究に関する設備も十分で、図書館も整備されている。地域連携活動では、富山県内の薬剤師や地域住民を対象とした取り組みに薬学科教員が参画している。平成 29 年に薬学部自己点検・評価委員会を設置し、自己点検・評価に取り組む体制が構築されている。以上のように、富山大学薬学部の6年制薬学教育プログラムは、本機構の評価基準におおむね適合していると判断される。しかし、以下のような問題点があり、改善が必要である。(1)ヒューマニズム教育・医療倫理教育が体系的に行われていないので、改善が必要である。(2)ヒューマニズム教育・医療倫理教育において、総合的な目標達成度を評価するための指標を設定し、それに基づいて評価することが必要である。(3)コミュニケーション能力および自己表現能力を身につけるための教育において、総合的な目標達成度を評価するための指標を設定し、それに基づいて評価することが必要である。(4)中間試験、期末試験以外に、成績が60点未満の学生を対象にした、学則に規定がない試験が教員の裁量で行われているので、改善が必要である。(5)薬学部自己点検・評価委員会が主体性をもって、6年制薬学教育プログラムを定期的に自己点検・評価し、これを継続してPDCAサイクルを機能させることが必要である。- 3 -富山大学薬学部には、今回の評価における提言に適切に対応することで、6年制薬学教育を推進することを期待する。
大学への提言
富山大学 大学への提言 1)長所1. 「総合薬学演習」は、医薬品シーズ探索から、基礎薬学、非臨床の各研究事項を理解し、臨床応用に必要な臨床薬学的な知識を総括して学習する科目であり、評価できる。(4.薬学専門教育の内容)2. 教育研究上の目的(人材養成等の目的)にある和漢薬や東西医薬をキーワードとした独自科目である「和漢医薬学入門」や「東洋医学概論」「東西医薬学」が開講されていることは評価できる。(4.薬学専門教育の内容)2)助言1. ヒューマニズム教育・医療倫理教育、コミュニケーション能力および自己表現能力を身につけるための教育としている科目の中には、現状では不適当な科目があるため、これらの教育が十分に行われることが望ましい。(3.医療人教育の基本的内容)2. 医療現場で必要とされる英語を身につける科目として「薬学英語Ⅰ」および「薬学英語Ⅱ」が実施されているが、これらの科目は科学英語力の醸成とTOEIC演習を主としており、医療現場で必要とされる英語を身につける科目とは言い難いので、改善が望ましい。(3.医療人教育の基本的内容)3. がん薬物療法認定薬剤師を目指す研修会には学生の参加を認めているが、この研修会は薬剤師の資質向上を図るための生涯学習プログラムではなく、一般学生の参加はな- 40 -いため、学生が参加可能な生涯学習プログラムを作ることが望ましい。(3.医療人教育の基本的内容)4. 生涯学習の意欲醸成に該当する科目は1年次と4年次にしか配置されておらず、体系的に行われているとは言い難いので、改善することが望ましい。(3.医療人教育の基本的内容)5. 「自己点検・評価書」に示された実務実習実施体制図を実習施設や学生、関係機関へ周知することが望ましい。(5.実務実習)6. 病院・薬局実務実習の総合的な学習成果が、適切な指標に基づいて評価されることが望ましい。(5.実務実習)7. 体系的な問題解決能力醸成に向けた教育のために、高学年次に配置している問題解決型学習を含む選択科目の履修者を増やすことが望ましい。(6.問題解決能力の醸成のための教育)8. 入学者の半数以上は一般入試(前期日程)で合格しているが、一般入試(前期日程)はセンター試験と富山大学の個別学力検査のみで合否を判定しているため、一般入試(前期日程)においても医療人としての適性を評価することが望ましい。(7.学生の受入)9. 教育研究上の目的に基づいた教育における総合的な学習成果を測定するための指標の設定、ならびにそれに基づいた総合的な学習成果の測定が行われていないので、改善が望ましい。(8.成績評価・進級・学士課程修了認定)10. 実験中の事故や災害の発生時における防災対応について記されている安全ノートの内容について、教員および配属学生への周知徹底を図ることが望ましい。(9.学生の支援)11. 実務系研究室に所属し、実務実習事前学習と卒業研究を担当する教員が薬局実習の指導薬剤師も担当している状況があるなど、実務系研究室に所属する教員の講義、実習の担当時間が多くなっているので、負担の軽減が望ましい。(10.教員組織・職員組織)12. がんプロフェッショナル養成プランの一環として実施されているプログラムは、専門薬剤師養成のためのものであって、薬剤師の資質向上を図るための生涯学習プログラムではないので、生涯学習プログラムの提供に努めることが望ましい。(12.社会との連携)- 41 -13. 全ての研究室で英文ホームページを開設していくことが望ましい。(12.社会との連携)14. 教員の海外研修は2、3ヶ月の短期間の場合も含め、最近5年間で4名と少ないので、教員の海外研修、長期留学のさらなる活性化が望ましい。(12.社会との連携)15. 富山大学薬学部自己点検・評価委員会の委員として、外部委員の選任が望ましい。(13.自己点検・評価)3)改善すべき点1. ヒューマニズム教育・医療倫理教育が体系的に行われていないので、改善が必要である。(3.医療人教育の基本的内容)2. ヒューマニズム教育・医療倫理教育において、各科目の目標到達度を評価するための指標を設定し、それに基づいて評価することが必要である。(3.医療人教育の基本的内容)3. ヒューマニズム教育・医療倫理教育において、総合的な目標達成度を評価するための指標を設定し、それに基づいて評価することが必要である。(3.医療人教育の基本的内容)4. コミュニケーション能力および自己表現能力を身につけるための教育において、各科目の目標到達度を評価するための指標を設定し、それに基づいて評価することが必要である。(3.医療人教育の基本的内容)5. コミュニケーション能力および自己表現能力を身につけるための教育において、総合的な目標達成度を評価するための指標を設定し、それに基づいて評価することが必要である。(3.医療人教育の基本的内容)6. 旧カリキュラムにおいては、一部のSBOが選択科目または自由科目のみで実施されているので、改善が必要である。(4.薬学専門教育の内容)7. 大学独自の科目あるいは科目の一部については、シラバスに独自科目あるいは独自項目の明記を徹底することが必要である。(4.薬学専門教育の内容)8. 実務実習事前学習では、これを構成する4科目についての個別の目標到達度評価は行われているが、全体としての総合的な目標達成度評価の指標を設定していないので、改善が必要である。(5.実務実習)9. 附属病院で実習を行う学生(約 16 名)は標準期間よりも3週間長い 14 週間にわたって病院実習を行っているにもかかわらず、「病院実習」の単位は他の施設で病院実習を行- 42 -う学生と同じく、全学生で共通の 10 単位となっているので、「病院実習」の期間とその単位については、全学生で等しくなるように改善が必要である。(5.実務実習)10. 問題解決能力醸成に向けた教育を実施している科目のうち、シラバスに、問題解決型学習であること、また、その内容が記載されていない科目があり、シラバスへの明記が必要である。(6.問題解決能力の醸成のための教育)11. 問題解決能力醸成に向けた教育において、関連科目を総合した目標達成度の評価指標の設定ならびにそれに基づく評価が行われていないので、改善が必要である。(6.問題解決能力の醸成のための教育)12. 中間試験、期末試験以外に、成績が 60 点未満の学生を対象にした、学則に規定がない試験が、教員の裁量で行われているので、改善が必要である。(8.成績評価・進級・学士課程修了認定)13. 成績評価において、出席状況といった評価指標として相応しくない項目を含んでいる科目があるので、改善が必要である。(8.成績評価・進級・学士課程修了認定)14. 複数の項目で成績を評価する場合に配分割合の記載がない科目があるため、改善が必要である。(8.成績評価・進級・学士課程修了認定)15. 一部の科目において、60 点未満や 70 点以上であっても成績を可としているなど、「富山大学薬学部規則」第7条の規定に反して、教員の裁量で最終評定が行われていることは不適切なので、改善が必要である。(8.成績評価・進級・学士課程修了認定)16. 防災訓練の開催が4年に1度では回数が少ないため、改善が必要である。(9.学生の支援)17. 薬学部自己点検・評価委員会が主体性をもって、6年制薬学教育プログラムを定期的に自己点検・評価し、これを継続してPDCAサイクルを機能させることが必要である。(13.自己点検・評価)
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1:提言 改善報告審議結果 2025/1/10 |
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| 広島国際大学 | 私 | 広島県 | 第1期 |
2019年度 |
適 |
自己点検・評価書 基礎資料 正誤票 |
評価報告書
総評
広島国際大学 総評広島国際大学薬学部薬学科は、大学の基本理念と薬剤師養成教育に課せられた基本的な使命を踏まえて、「専門的知識および優れた技能に加え、豊かな感性と心を持ち、広く社会に貢献できる「人間味あふれる薬剤師」を育成する」ことを「教育研究上の目的」とし、それに基づいた「教育課程の編成・実施の方針」(カリキュラム・ポリシー)、「学位授与の方針」(ディプロマ・ポリシー)に沿った6年制薬学教育を行っている。医療人教育の基本となるヒューマニズム教育・医療倫理教育、コミュニケーション能力および自己表現能力を身につけるための教育は低学年次を中心に行われており、医療に従事する人材の養成を目指した総合大学であることの利点を活かした専門職間連携教育が1年次から行われている。また、低学年次の学生を対象とし、教養教育を共通教育科目として開講し、人文科学、社会科学、自然科学、情報科学などの系列・分野ごとに卒業要件とする単位数を定めて、履修する科目の分野が偏らないように配慮している。語学については、英語に関する4技能を盛り込んだ教育を行っている。薬学専門教育は薬学教育モデル・コアカリキュラムに準拠しており、授業科目の関係を示す「科目関連図」によって薬学教育モデル・コアカリキュラムと授業科目との関係を示すとともに、各学年で「習得すべき学習内容」を設定し学年の進行に伴って専門性が高まるよう配慮している。実務実習は「実務事前実習」を習得し、薬学共用試験に合格した学生に対して学外施設での実習を行っている。実務実習の指導には薬学部の全教員が参画し、Webシステムを用いて実習施設の指導薬剤師と実習状況を共有するとともに、独自の「学外実習用WEBデータベース」を構築して教員間で学生の情報を共有している。卒業研究は、4年次の薬学共用試験終了後から開始し、5年次の学外実習を行っていない期間に研究を行っている。6年次の4月に卒業研究発表会を行い、5月に卒業論文を提出している。入学者の受け入れは、「入学者受入方針」(アドミッション・ポリシー)に基づき、大学- 2 -の入試委員会の主管のもと入試センターが行っている。2019年度入試は、AO入試、公募制推薦入学選考2種類、一般入試6種類、センター試験利用入試2種類を行い、入学者を受け入れている。授業科目の成績評価と進級判定、学士課程の修了判定は学則ならびに薬学部履修規定に従って行われており、それらの方法・基準やGPA(Grade Point Average)との対応は「学生便覧」に記載して学生に周知している。大学生活に必要な支援については、個々の学生に対してチューター教員を定め、様々な個別の指導を行うとともに、学生課、学生相談室、保健室、キャリアセンターなどの学内組織が必要に応じて対応している。また、チューター教員は、必要に応じて低学年次学生の学習指導も行っている。薬学部は、760名の収容定員に対し48名(うち教授18名、実務家教員8名)の専任教員を擁している。また、薬学部が教育研究に利用する施設・設備については、呉キャンパスに講義室や実習室、研究室などの研究施設、模擬薬局、図書館などが整備されており、学生の自習や学生の交流を支援するために「コミュニティールーム」が設置されている。広島国際大学は、教育研究の成果を地域社会に広く還元することを目的として、近隣の自治体や呉商工会議所、広島県リハビリテーション協会と協定を締結しており、薬学部・薬学研究科では呉市内3病院との間で教育・研究と地域医療への貢献等に関する連携協定を締結している。広島国際大学は、学則に自己点検・評価を行うことを定め、「広島国際大学自己評価委員会」が教育研究目標の設定、自己評価項目の設定および点検、自己評価を行っている。以上のように、広島国際大学薬学部薬学科の6年制薬学教育プログラムは、本機構の評価基準におおむね適合している。しかし、以下のような問題点があり、改善が必要である。(1)薬学部の教育研究上の目的に、薬学研究を目指す者を育成する姿勢が盛り込まれていないこと。(2)6年次のカリキュラムが薬剤師国家試験の受験準備を目指した教育に過度に偏っており、卒業研究に充てる時間を圧迫していること。(3)ヒューマニズム教育・医療倫理教育、および、コミュニケーション能力や自己表現能力を醸成する教育において、それらを構成する科目の学習成果を総合し、目標達成度を評価するための指標が設定されておらず、適切な評価が行われているとは言えないこと。- 3 -(4)シラバスの記載内容に不備があり、科目の授業内容と薬学教育モデル・コアカリキュラムの到達目標との対応が判断しにくいこと。また、大学独自の教育を行う科目のシラバスに、独自の授業内容や到達目標が明示されていないこと。(5)「実務事前実習」の実時間が教育内容に対して不足していること。また、実務実習事前学習の学修成果に対する総合的な目標達成度の評価が適切に行われていないこと。(6)学外施設で行われる実務実習の評価項目に対する評価指標と評価基準が設定されておらず、評価の客観性が保証されていないこと。(7)卒業研究を行う期間が十分ではないこと。また、卒業論文や卒業研究発表会が成績評価に正しく反映されていないなど、成績評価における対象、指標、基準や評価の客観性に問題が認められること。(8)進級の可否判断が教授会で審議されていないこと。また、卒業の可否判断が「総合薬学演習」の合否によって行われ、この科目の不合格のみで多くの卒業延期生が出ていること。(9)教員や委員会などの自己点検・評価が個別に行われているが、薬学教育プログラム全体を自己点検・評価し、その結果を教育研究活動の改善につなげるサイクルとする体制の構築が十分ではないこと。広島国際大学薬学部には、本評価で指摘された改善すべき点や助言に適切に対応した改善を進め、医療系総合大学としての強みを生かした6年制薬学教育の向上と発展に取り組むことを期待する。
大学への提言
広島国際大学 大学への提言1)長所1. 1年生の学力を向上させる目的で、後期に週1回ホームルームの時間を設け、チューター教員の指導のもと学生が課題に取り組む時間をとっている。(9.学生の支援)- 43 -2)助言1. 教職員は公開されたホームページ以外に薬学部の教育研究上の目的を目にする機会がないので、より積極的に周知することが望まれる。(1.教育研究上の目的)2. 薬学部において定期的に「教育研究上の目的」を検証する体制を設けることが望まれる。(1.教育研究上の目的)3. 学生手帳や学生便覧には、全学のカリキュラム・ポリシーは収載されているが薬学部のカリキュラム・ポリシーは収載されていないので、薬学部のカリキュラム・ポリシーを収載し学生に周知することが望まれる。(2.カリキュラム編成)4. 教職員は公開されたホームページ以外に薬学部のカリキュラム・ポリシーを目にする機会がないので、より積極的に周知することが望まれる。(2.カリキュラム編成)5. 薬学専門教育科目の「科目関連図」において共通教育科目の「科目関連図」との関連付けを行い、科目群同士の関係性やディプロマ・ポリシーとの関連を明確にすることが望まれる。(2.カリキュラム編成)6. 薬学部のカリキュラムを点検・評価する委員会などを設置し、恒常的な点検・評価を行うことが望まれる。(2.カリキュラム編成)7. ヒューマニズム教育・医療倫理教育に関係する科目の多くでは態度領域に関わる評価指標が設定されていないので、適切な指標を設定し、それに基づいて評価することが望まれる。(3.医療人教育の基本的内容)8. 患者や家族以外に医療安全に携わる実務者等による授業はないので、これらの人的資源を活用し、医薬品の安全使用について科学的な視点と客観的な判断力が養われるような授業へ拡充することが望まれる。(3.医療人教育の基本的内容)9. 各授業科目で基礎と臨床の知見を相互に関係付けるよう心がけている内容をシラバスに盛り込むことが望まれる。(4.薬学専門教育の内容)10. 「実務事前実習」の成績の評価項目である実習態度、技能、実習試験、レポートについて、評価基準を明記することが望まれる。(5.実務実習)11. 実務実習全体としての目標達成度を評価するための指標を設定し、それに基づく評価を行うことが望まれる。(5.実務実習)12. 新旧カリキュラムともに問題解決能力の醸成に向けた教育に関する科目の単位数は18単位よりも少なく、卒業要件単位数の10%に満たないため、問題解決能力を醸成する学習を増やすことが望まれる。(6.問題解決能力の醸成のための教育)13. 教職員に対してアドミッション・ポリシーを積極的に周知することが望まれる。(7.- 44 -学生の受入)14. 面接や実技試験は一部の入学試験で行われているだけなので、全ての入学生に対して医療人としての適性を評価するような工夫が望まれる。(7.学生の受入)15. 教職員に対して薬学部のディプロマ・ポリシーを積極的に周知することが望まれる。(8.成績評価・進級・学士課程修了認定)16. オフィスアワーが掲示板や研究室入口にしか示されていないので、シラバスなどに明記し、学部として統一的に学生に周知することが望まれる。(9.学生の支援)17. 学生向けのホームページに、パワーハラスメント、アカデミックハラスメントに関する対応を記載し、周知方法を充実させることが望まれる。(9.学生の支援)18. 評価対象年度に学会発表の実績がないなど、研究業績が少ない教員が複数いるので、研究活動を積極的に行うことを奨励することが望まれる。(10.教員組織・職員組織)19. 実務家教員や医師の資格を持つ教員の授業負担が他の教員の2倍近くあるので、これらの教員の授業負担を是正することが望まれる。(10.教員組織・職員組織)20. 教員と職員が意見交換するなど、連携して資質の向上に取り組むことが望まれる。(10.教員組織・職員組織)21. 電子ジャーナルのうち薬学領域のものは10種のみであり、多岐にわたる研究を推進するためにはより充実することが望まれる。(11.学習環境)22. 英文による薬学部のホームページを作成し、世界に向けて情報発信することが望まれる。(12.社会との連携)23. 「薬学部自己評価ワーキンググループ」に外部評価者を導入することが望まれる。(13.自己点検・評価)3)改善すべき点1. 薬学部の教育研究上の目的に、薬学研究を目指す者を育成する姿勢を盛り込むように改善する必要がある。(1.教育研究上の目的)2. 6年次のカリキュラムは、薬剤師国家試験の受験準備を目指した教育に過度に偏っているので、改善する必要がある。(2.カリキュラム編成)3. 正規の授業時間を使って予備校による講習会が行われていることは適切ではないので、改善する必要がある。(2.カリキュラム編成)4. ヒューマニズムや倫理観を順次性をもって体系的に学ぶカリキュラムにはなっていないので、改善することが必要である。(3.医療人教育の基本的内容)- 45 -5. ヒューマニズム教育・医療倫理教育において、対応する科目の学習成果を総合して、この教育全体の学修成果としての目標達成度を評価する指標が設定されておらず、それに基づく適切な評価が行われていないので、改善が必要である。(3.医療人教育の基本的内容)6. コミュニケーション能力および自己表現能力を身につけるための教育に関係する科目の多くで、科目の到達度を評価する指標が設定されていないので、評価指標を示し、適切に評価するように改善する必要がある。(3.医療人教育の基本的内容)7. コミュニケーション能力および自己表現能力醸成教育において、対応する科目の学習成果を総合して、この教育全体の学修成果としての目標達成度を評価する指標が設定されておらず、それに基づく適切な評価が行われていないので、改善が必要である。(3.医療人教育の基本的内容)8. 各科目の授業内容が薬学教育モデル・コアカリキュラムの到達目標とどのように対応しているかを判断できるよう、シラバスを改善する必要がある。(4.薬学専門教育の内容)9. 「討議する」と記述された到達目標のほとんどが講義で扱われているなど、態度や技能領域の到達目標に関しては適した学習方法がとられていないものが散見されることは問題であり、適切な学習方略に改善する必要がある。(4.薬学専門教育の内容)10. 独自の薬学専門教育を扱う科目のシラバスに大学独自の教育内容であることや独自の学習到達目標が明示されていないので、それらを明示するように改善する必要がある。(4.薬学専門教育の内容)11. 「実務事前実習」の総括的評価の対象となる事前学習の実時間数を増やし、実習内容に対して十分な時間となるように改善する必要がある。(5.実務実習)12. 実務実習事前学習全体を通した総合的な目標達成度を評価するための指標を設定し、それに基づく評価を行うように改善する必要がある。(5.実務実習)13. 実務実習を行う5年生に受診していない学生が少なからずいることは問題であるので、全員を受診させる必要がある。(5.実務実習)14. 「学外実務実習」の評価について、指標と基準を明示し、それに基づいて教員や指導薬剤師が評価を行うよう改善する必要がある。(5.実務実習)15. 学生が卒業研究に取り組むことができる期間は、4年次の共用試験後の3ヵ月間と5年次の「学外実務実習」が行われていない期間の7ヵ月間となり、この期間に夏期、冬期および春期の休暇期間が含まれているので、卒業研究に実質的に取り組める期間- 46 -が十分であるとはいえず、改善する必要がある。(6.問題解決能力の醸成のための教育)16. シラバスの「卒業研究Ⅱ」の成績評価基準に「研究論文の内容(50%)」と明記されているにも関わらず、卒業論文の共著を認めていることは公正な評価として不適当であり、改善する必要がある。(6.問題解決能力の醸成のための教育)17. 卒業研究発表会では、学生全員が発表し、成績評価の対象とするように改善する必要がある。(6.問題解決能力の醸成のための教育)18. 卒業研究の成績評価に卒業論文と卒業研究発表会の複数教員による評価を含めるとともに、それらを含め、学部で統一した評価指標や評価基準を設定した卒業研究の客観的な評価制度を導入するように改善する必要がある。(6.問題解決能力の醸成のための教育)19. 問題解決能力の醸成に向けた教育において、目標達成度を評価するための総合的な指標は設定されておらず、この指標を設定し評価するように改善する必要がある。(6.問題解決能力の醸成のための教育)20. 低学年次における留年や退学、転学部が目立ち、修学年限の6年間で卒業できる学生数が過去5年間の平均で入学時の約50%であるという実態は、入学志願者の適性や能力の評価が適切に行われていないことが原因である可能性が高いので、入学者選抜における志願者の評価方法を改善する必要がある。(7.学生の受入)21. 「授業への参加態度」のように基準が明確ではない評価の指標や、「講義への出席60%」のように授業へ出席するだけで合格できるなど、厳正な成績評価が行われていない科目について、成績評価方法を改善する必要がある。(8.成績評価・進級・学士課程修了認定)22. 進級判定は教授会における審議なしに行われているが、進級に関わる成績の最終確認と判定は学部の最終意思決定機関である教授会で行うように改善する必要がある。(8.成績評価・進級・学士課程修了認定)23. 「総合薬学演習」の成績評価に、前期科目である「応用薬学演習」の単位認定に利用された試験の成績を加えることは望ましくないので、改善が必要である。(8.成績評価・進級・学士課程修了認定)24. 「総合薬学演習」の成績評価に関わる再試験扱いの学力到達度試験の合格基準があらかじめ学生に対して明示されていないことは問題であり、改善が必要である。(8.成績評価・進級・学士課程修了認定)- 47 -25. 卒業の可否判断が、実質的には「総合薬学演習」の合否によって行われていることは、ディプロマ・ポリシーへの総合的な達成度を評価するという卒業判定の本来の趣旨からは外れているので、改善が必要である。(8.成績評価・進級・学士課程修了認定)26. 卒業延期生のために前期に開講する「総合薬学演習」の単位認定が、後期開講の正規科目と異なる基準で行われていることは好ましくないので、改善が必要である。(8.成績評価・進級・学士課程修了認定)27. 個別に行われている点検・評価を有機的に結び付けて、薬学教育プログラム全体を自己点検・評価し、その結果を教育研究活動の改善につなげるサイクルとする体制の構築に向けた改善が必要である。(13.自己点検・評価)
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1:提言 改善報告審議結果 2025/1/10 |
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自己点検・評価書 基礎資料 正誤票 |
評価報告書
総評
福岡大学 総評福岡大学薬学部では、平成 18 年度より「医薬品の開発や安全使用に関する基礎的、臨床的先端研究の推進をもって国民の健康と福祉に貢献すること」を教育研究の理念として掲げている。この理念に基づき、薬学部薬学科の教育研究上の目的は「医療技術の高度化、医薬分業の進展に伴う医薬品の安全使用および医療の担い手としての質の高い薬剤師の育成という社会的要請に応えるため、基礎科学の総合を基盤としながら、医療人としての使命感と倫理観を十分に理解し、高度な薬学の知識を身に付け、臨床に係る高い実践的な能力を備えた薬剤師、並びに教育・研究者を養成すること」としている。薬学教育カリキュラムは、教育課程の編成・実施の方針(カリキュラム・ポリシー)に沿って編成されている。医療人教育の基本的内容として、教養教育では「総合教養科目」が開設されており、より学生や社会のニーズに対応するように多種多様な教養教育プログラムが提供されている。語学教育では、グローバル化に対応した人材育成を目的とした教育が行われている。コミュニケーション能力や自己表現能力の基本的能力を身につけるための教育に関連した科目として、1年次「早期臨床体験Ⅰ」、2年次「早期臨床体験Ⅱ」、3年次「コミュニケーション学」が配置されており、薬学専門教育の実施に向けた準備教育、医療安全教育は、おおむね適切に実施されている。薬学専門教育に関しては、薬学教育モデル・コアカリキュラムに準拠しているが、薬学専門科目の多くが選択科目となっている。実務実習事前学習に関しては、実務実習モデル・コアカリキュラムに準拠して教育目標が設定されており、実務実習も適切に行われている。- 2 -卒業研究は、4年次から開始される。卒業研究の成果は、5年次2月開催の卒業研究発表会で学生全員が発表して、6年次8月までに卒業論文としてまとめている。学生の受入に関しては、薬学科の入学者受入方針(アドミッション・ポリシー)が責任ある体制で設定されており、入学者選抜は多様な入試形態を採用している。成績評価は、成績考査規程に従って行われ、各科目の成績評価基準および評価方法は、学修ガイドに記載されている。進級判定と学士課程の修了判定は、学科履修規程に定められた進級基準に従って行われている。学生の支援については、修学支援、大学独自の奨学金制度を含む経済的支援、ヘルス・メンタルケア支援、ハラスメント防止・対策、キャリア形成支援、安全に関する支援などの体制が整備されており、充実している。専任教員数は大学設置基準を満たしており、各専門分野において優れた教育・研究実績を有する者が配置されている。教育研究に必要な施設・設備・図書などの学習環境や研究環境は、基準を十分に満たしており、充実している。社会との連携では、地域薬剤師会・病院薬剤師会等の役員や委員として薬学の発展に寄与するとともに、年2回開催の卒後教育講座を行い、薬剤師の資質向上を図るために生涯学習プログラムの提供を行っている。自己点検・評価については、自己点検・評価実施委員会が毎年薬学教育評価機構の点検項目を検証して自己点検・評価書を作成し、自己点検・評価結果を検討し、教授会で審議し、改善につなげる体制となっている。以上のように、福岡大学薬学部薬学科の6年制薬学教育プログラムは、本機構の評価基準におおむね適合していると判断される。しかし、以下のような問題点があり、改善が必要である。(1)4年次後期の「薬学特別講義」(新カリで6科目、旧カリでは5科目)、「薬学演習」、ならびに、6年次前期から開講される「総合薬学特別講義」(旧カリで 10 科目)、「総合薬学演習」は、薬学共用試験、および国家試験に向けた時期に開講される復習的な要素が強い科目であり、薬学共用試験や国家試験対策に偏っているので、改善する必要がある。(2)学年によって講義1単位の授業時間(コマ数)が異なる体制をとっており、学部としての単位の設定基準が統一されていないので、改善する必要がある。- 3 -(3)ヒューマニズム教育・医療倫理教育、コミュニケーション能力および自己表現能力を身に付けるための教育において、関連科目の学習成果を総合した目標達成度を評価するための指標を設定し、それに基づいて適切に評価する必要がある。(4)薬学教育モデル・コアカリキュラムのSBOs(Specific Behavioral Objectives)を実施する科目が選択科目となっているため、すべてのSBOsを修得しなくても卒業できる制度は改善する必要がある。(5)実務実習事前学習は、実習項目ごとの評価はされているものの、総合的な目標達成度を評価する指標を設定して、適切に評価されているとは言い難いので、改善する必要がある。(6)4年次「薬学演習(含中間試験)」の評価には、シラバスの到達目標に記載されていない卒業研究とは全く関係のない中間試験(40%)が含まれていることから、科目の設定を見直すことが必要である。(7)問題解決能力の醸成に向けた科目の成績評価において、関連した科目を総合した問題解決能力の醸成に関わる目標達成度を評価する指標が設けられていないので、指標を設けて、それに基づいて適切に評価するよう改善する必要がある。(8)学士課程の修了判定において、判定基準が実施した試験の難易により変化することがあるので、あらかじめ定めた判定基準に従って修了判定を厳格に行う必要がある。(9)「総合薬学演習(含卒業試験)」の単位認定は、卒業論文 30%、ヒューマニズム・コミュニケーション 10%、卒業試験 60%で行われているが、卒業論文の評価が国家試験対策を行う授業科目の一部として行われているので、改善すべきである。(10)卒業延期者の卒業判定が事実上、「総合薬学演習(含卒業試験)」の試験の成績のみでなされているので、改善すべきである。(11)自己点検・評価結果による改善事例のほとんどが外部評価に対応するものであり、これらをPDCAサイクル実施による教育研究活動の改善に反映する必要がある。福岡大学薬学部薬学科には、今回の評価における改善すべき点や助言に適切に対応することで、大学の独自性を活かした6年制薬学教育が推進されることを期待する。
大学への提言
福岡大学 大学への提言1)助言1. 教職員に対する教育研究上の理念・目的の周知方法は、学修ガイドと薬学部シラバスの配布によって行われているが、資料の配布にとどまらず、FD等で説明することが望まれる。(1.教育研究上の目的)2. ヒューマニズム教育・医療倫理教育に関連した科目では、適切な学習方法で実施している科目が少ないので、それらの科目の学習方法をさらに改善することが望まれる。(3.医療人教育の基本的内容)3. 学習方略にロールプレイ、SGDを取り入れている「コミュニケーション学」では100%定期試験で評価しているので、科目の到達度を適切な方法で評価することが望まれる。(3.医療人教育の基本的内容)4. 医療英語の科目を配置するなど、英語教育を専門教育の中でさらに充実させることが望まれる。(3.医療人教育の基本的内容)5. 薬害・医療過誤・医療事故防止に関する教育として学生が肌で感じる機会を提供するとともに、医薬品の安全使用について科学的な視点と客観的な判断力が養われるように努めることが望まれる。(3.医療人教育の基本的内容)6. シラバスに記載された到達目標の中に、授業計画に反映されていないSBO(記号が欠落)があり、また「薬学演習(含中間試験)」のシラバスに、ヒューマニズム教育に関する到達目標が記載されていないので、改善が望まれる。(4.薬学専門教育の内容)7. 実務実習事前学習の実際の授業コマ数に対して、科目としての単位数がかけ離れているので、科目の単位数を実態にあわせることが望まれる。(5.実務実習)8. 一般入試、センター試験利用入試では学力試験のみを基に判定を行っているので、面接試験の導入など医療人としての適性を評価するための入学者選抜試験の改善が望まれる。(7.学生の受入)9. 平成 30 年度の2~4年次生の「定期健康診断」の受診率は 20%未満と低いので、改善することが望まれる。(9.学生の支援)10. 各教員の研究業績は毎年発行される薬学集報と福岡大学のホームページ「福岡大学研究者情報」で公開されているが、教育に関する業績は掲載されていない。また、ホームページ上の研究者情報については更新をしていない教員が見受けられるので、定期的に更新することが望まれる。(10.教員組織・職員組織)11. 実務家教員の多くは、他の教員に比べて授業負担が著しく大きいので、実務家教員へ- 30 -の授業負担の偏りを解消することが望まれる。(10.教員組織・職員組織)2)改善すべき点1. 4年次後期の「薬学特別講義」(新カリで6科目、旧カリでは5科目)、「薬学演習」、ならびに、6年次前期から開講される「総合薬学特別講義」(旧カリで10科目)、「総合薬学演習」は、薬学共用試験、および国家試験に向けた時期に開講される復習的な要素が強い科目であり、薬学共用試験や国家試験対策に偏っているので、改善する必要がある。(2.カリキュラム編成)2. 学年によって講義1単位の授業時間(コマ数)が異なる体制をとっており、学部としての単位の設定基準が統一されていないので、改善する必要がある。(2.カリキュラム編成)3. ヒューマニズム教育・医療倫理教育において、関連科目の学習成果を総合した目標達成度を評価するための指標を設定し、それに基づいて適切に評価する必要がある。(3.医療人教育の基本的内容)4. コミュニケーション能力および自己表現能力を身に付けるための教育において、関連科目の学習成果を総合した目標達成度を評価するための指標を設定し、それに基づいて適切に評価するよう改善が必要である。(3.医療人教育の基本的内容)5. 薬学教育モデル・コアカリキュラムのSBOsを実施する科目が選択科目となっているため、すべてのSBOsを修得しなくても卒業できる制度は改善する必要がある。(4.薬学専門教育の内容)6. 大学独自のアドバンスト専門科目については、その内容が具体的にわかる到達目標を記載し、独自科目であることをわかりやすく明示する必要がある。(4.薬学専門教育の内容)7. 実務実習事前学習は、実習項目ごとの評価はされているものの、総合的な目標達成度を評価する指標を設定して、適切に評価されているとは言い難いので、改善する必要がある。(5.実務実習)8. 4年次「薬学演習(含中間試験)」の評価には、シラバスの到達目標に記載されていない、卒業研究とは全く関係のない中間試験(40%)が含まれていることから、科目の設定を見直すことが必要である。(6.問題解決能力の醸成のための教育)9. 問題解決能力の醸成に向けた科目の成績評価において、関連した科目を総合した問題解決能力の醸成に関わる目標達成度を評価する指標が設けられていないので、指標を- 31 -設けて、それに基づいて適切に評価するよう改善する必要がある。(6.問題解決能力の醸成のための教育)10. 学士課程の修了判定において、判定基準が実施した試験の難易により変化することがあるので、あらかじめ定めた判定基準に従って修了判定を厳格に行う必要がある。(8.成績評価・進級・学士課程修了認定)11. 「総合薬学演習(含卒業試験)」の単位認定は、卒業論文30%、ヒューマニズム・コミュニケーション10%、卒業試験60%で行われているが、卒業論文の評価が国家試験対策を行う授業科目の一部として行われているので、改善すべきである。(8.成績評価・進級・学士課程修了認定)12. 卒業延期者の卒業判定が事実上、「総合薬学演習(含卒業試験)」の試験の成績のみでなされているので、改善すべきである。(8.成績評価・進級・学士課程修了認定)13. 自己点検・評価結果による改善事例のほとんどが外部評価に対応するものであり、これらをPDCAサイクル実施による教育研究活動の改善に反映する必要がある。(13.自己点検・評価)
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1:提言 改善報告審議結果 2025/1/10 |
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3:但し書き 改善報告審議結果 2022/6/28 |
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| 松山大学 | 私 | 愛媛県 | 第1期 |
2019年度 |
適 |
自己点検・評価書 基礎資料 正誤票 |
評価報告書
総評
松山大学 総評松山大学薬学部は、「高度化する医療現場の要請に対応できる質の高い薬剤師の養成ならびに薬学関連分野で幅広い知識や人類福祉に貢献できる実践力を有する高度専門職業人の養成」を目的として6年制薬学教育を行っている。教育課程の編成・実施の方針(カリキュラム・ポリシー)は、2016 年度に改訂され 2017年度入学生より適用されているが、この新カリキュラム・ポリシーは薬学部の教育研究上の目的と整合性が認められ、これに基づいて現行のカリキュラムが編成されている。医療人教育は体系的に編成されており、グループ討論等の効果的な学修方法を用いた授業やコミュニケーション能力・自己表現能力を養う授業は不十分であるものの、おおむね適切に実施されている。薬学専門教育は、シラバスへの学習方法の記載が不十分であるものの、おおむね薬学教育モデル・コアカリキュラムに準拠して実施されている。実務実習事前学習は改訂薬学教育モデル・コアカリキュラムに、実務実習は実務実習モデル・コアカリキュラムにおおむね準拠して実施されている。薬学共用試験も薬学共用試験センターの実施要項に基づき、厳正に実施されている。卒業研究は4~6年次に約 12 か月実施し、卒業研究発表会での質疑応答を学生1名に対し2名の研究室外教員が実施するなど評価の客観性を高めている。卒業研究以外の問題解決能力の醸成に向けた教育は、科目数が十分とは言えないものの体系的に構成されている。入学者選抜は、入学者受入方針(アドミッション・ポリシー)に基づき、推薦入試、一般入試、編入学試験等が適正に実施されており、入学者数は入学定員から乖離していない。成績評価と進級判定は、学生便覧に記載され学生に周知されている基準に基づき実施されている。また、学士課程の修了認定に必要な学位授与の方針(ディプロマ・ポリシー)を公表している。成績下位者への対応は十分とは言えないが、2018 年度より教員と学生アシスタントが連携してサポートする「学習サポート制度」の運用を開始している。学生への支援では、経済的には給付型の奨学金が多種類あり薬学部学生に対して実績が- 2 -ある。また、進路選択についても1年次~5年次にかけて各学年で適性試験や就職セミナーを実施し、就職手帳を配布するなど充実した支援が行われている。専任教員数は設置基準を満たしている。研究環境は整備されているものの、外部資金獲得を推進・推奨する体制は十分とは言えない。授業評価アンケートを利用した授業改善を議論するなど、教員の教育研究能力の向上を図るための組織的な取組み(ファカルティ・デベロップメント)が適切に行われている。学習環境については、少人数教育ができる教室の数は十分ではないが、講義室、実験実習室、実務実習事前学習を実施する臨床系実習室と総合調剤実習室を備えており、6年制薬学教育に必要な基準を満たしている。社会との連携では、卒後教育講座や公開講座を毎年2~3回開催している。また、ハワイ州立大学ヒロ校と一般学術交流協定を締結し毎年数名の学生を約2週間派遣しているが、教員の海外留学については十分にサポートできていない。自己点検・評価については、自己点検評価委員会および外部評価委員会を設置し、教育研究活動の改善を行っているが、この組織が中心となって行う定期的な活動としては不十分である。以上、松山大学薬学部の6年制薬学教育プログラムは、本機構の評価基準におおむね適合している。しかし、以下のような問題点があり、改善が必要である。(1) ヒューマニズム教育・医療倫理教育に関連する教育全般において、目標達成度を評価するための指標を設定し、それに基づいて適切に評価を行うことが必要である。(2) コミュニケーション能力および自己表現能力を醸成する授業を充実し、効果的な学習方法を用いて実施することが必要である。(3) コミュニケーション能力および自己表現能力を身に着けるための教育において、目標達成度を評価するための指標を設定し、それに基づいて適切に評価することが必要である。(4) 実務実習事前学習の総合的な目標達成度を評価するための指標を設定し、それに基づいた適切な評価をすることが必要である。(5) 問題解決能力の醸成に向けた教育において、目標到達度を評価するための指標を科目ごとに設定し、その指標に基づいて評価を行うことが必要である。(6) 学士課程修了の認定が、ディプロマ・ポリシーの達成より薬剤師国家試験の合否予測を重視して行われているので、改める必要がある。- 3 -(7) 薬学部自己点検・評価委員会が中心となって、定期的に毎年、自己点検・評価を実施しPDCAサイクルを回し、教育研究プログラムの改善を継続的に行うことが必要である。松山大学薬学部には、今回の評価における問題点の改善に取り組むことで、大学の理念を活かした特色ある薬学教育が展開されることを期待する。
大学への提言
松山大学 大学への提言1)助言1. 薬学部が自主的、定期的に、教育研究上の目的を検証することが望まれる。(1.教育研究上の目的)2. 改訂薬学教育モデル・コアカリキュラムに対応した科目内容の変更は行っているが、科目名やその配置の変更は行っていないので、必要に応じて速やかに変更を行うことが望まれる。(2.カリキュラム編成)3. 学生だけでなく、教職員にもカリキュラム・ポリシーを周知徹底することが望ましい。(2.カリキュラム編成)4. 大学独自の薬学専門科目を含む授業科目の内容、開講時期、時間割については、学生のニーズに配慮して設定し、履修規程において履修できるように工夫することが望まれる。(4.薬学専門教育の内容)5. 卒業研究の目標達成度を評価するためにさらに適切な指標を設定し、その指標に基づいて評価を行うよう努めることが望まれる。(6.問題解決能力の醸成のための教育)6. 6年間の学習期間の中で、問題解決能力の醸成に向けた教育を体系的に実施することが望ましい。(6.問題解決能力の醸成のための教育)7. 一般入試、センター試験利用入試では学力試験のみを基に判定を行っているので、面接等で適性の評価を行う工夫が望まれる。(7.学生の受入)8. シラバスの評価の方法・基準欄に「受講態度」、「平常点」などが散見され、具体的な評価基準が記載されていないため、改善することが望まれる。(8.成績評価・進級・学士課程修了認定)9. ディプロマ・ポリシーを教職員に周知することが望まれる。(8.成績評価・進級・学士課程修了認定)- 34 -10. 校舎・施設のバリアフリー化をさらに進めることが望まれる。(9.学生の支援)11. 教員の研究業績・教育業績を定期的にホームページ上で公表することが望ましい。(10.教員組織・職員組織)12. 教員の年間の授業担当時間数に、最大3倍の差があるので偏りを解消することが望まれる。(10.教員組織・職員組織)13. 積極的に外部資金獲得を推進・推奨する体制を整備することが望ましい。(10.教員組織・職員組織)14. 産業界との交流、連携した活動が望まれる。(12.社会との連携)15. 薬学部教職員の長期留学の実績がないので、制度の周知を図ると共に、利用を推進することが望まれる。(12.社会との連携)2)改善すべき点1. ヒューマニズム教育・医療倫理教育において、ディスカッションやプレゼンテーション、ロールプレイなどの効果的な学習方法が不足しているので増やす必要がある。(3.医療人教育の基本的内容)2. ヒューマニズム教育・医療倫理教育に関連する教育全般において、目標達成度を評価するための指標を設定し、それに基づいて適切に評価を行なうことが必要である。(3.医療人教育の基本的内容)3. コミュニケーション能力および自己表現能力を醸成する授業を充実し、効果的な学習方法を用いて実施することが必要である。(3.医療人教育の基本的内容)4. コミュニケーション能力および自己表現能力を身に着けるための教育において、目標達成度を評価するための指標を設定し、それに基づいて適切に評価することが必要である。(3.医療人教育の基本的内容)5. シラバスに、薬学教育モデル・コアカリキュラムのSBOを実施する科目の教育目標を記載するだけでなく、SBOの領域に妥当な学習方法(講義、実習、演習、SGD、TBL、プレゼンテーション、ロールプレイなど)を授業計画に記載するとともに、評価の方法・評価項目と総括的評価に対する各項目の比率、評価基準を明記する必要がある。(4.薬学専門教育の内容)6. 大学独自の内容を含む科目については、シラバスで、大学独自の到達目標であることを明示する必要がある。(4.薬学専門教育の内容)7. 実務実習事前学習において実施すべき態度項目のSBOsは、薬学臨床教育における- 35 -安全管理、法令遵守、地域におけるチーム医療、プライマリケアなどの項目で、4年次の事前学習の中で適切な学習方略で実施することが必要である。(5.実務実習)8. 実務実習事前学習の総合的な目標達成度を評価するための指標を設定し、それに基づいた適切な評価をすることが必要である。(5.実務実習)9. 問題解決能力の醸成に向けた教育において、目標到達度を評価するための指標を科目ごとに設定し、その指標に基づいて評価を行うことが必要である。(6.問題解決能力の醸成のための教育)10. 問題解決能力の醸成に関連する科目を総合して目標達成度を評価するための指標が設けられていないので、指標を設けて、その指標に基づいて適切に評価するよう改善する必要がある。(6.問題解決能力の醸成のための教育)11. 6年次配当の通年科目「総合薬学演習」の試験の合否が学士課程修了の可否判断基準となり、この科目が不合格になることで6年次在籍者の約1/4が卒業できていないという実態は、この大学における学士課程修了の認定が、ディプロマ・ポリシーの達成より薬剤師国家試験の合否予測を重視して行われていることを意味しているので、改める必要がある。(8.成績評価・進級・学士課程修了認定)12. 薬学部自己点検・評価委員会が中心となって、定期的に自己点検・評価を実施しPDCAサイクルを回し、教育研究プログラムの改善を継続的に行うことが必要である。(13.自己点検・評価)
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1:提言 改善報告審議結果 2024/1/15 |
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| 名城大学 | 私 | 愛知県 | 第1期 |
2019年度 |
適 |
自己点検・評価書 基礎資料 正誤票 |
評価報告書
総評
名城大学 総評名城大学薬学部は、「薬学の確かな知識、技能とともに、生命の尊さを知り、豊かな人間性と倫理観をもち、人々の健康と福祉の向上に貢献できる人材の養成」を目的として掲げ、薬剤師養成教育を行っている。現行の3つのポリシーは、2016(平成 28)年 12 月に制定されている。カリキュラムは、1年生~4年生に対しては 2014(平成 26)年に策定した新カリキュラムを、5年生および6年生には 2005(平成 17)年に策定した旧カリキュラムを適用している。各科目の体系性は、カリキュラムツリーによって薬学教育モデル・コアカリキュラムの領域との関連性が明示されている。医療人として生命に関わる薬学専門家に相応しい行動を身につけるための教育は、カリキュラム・ポリシー(教育課程の編成・実施の方針)に基づき、医療全般を概観し、薬剤師としての倫理観、使命感、職業観を醸成する教育科目を初年次に重点的に配置し、その後も各学年で、順次性と体系性を持って実施している。4年次前期には統合型講義科目「薬物治療マネジメント」を実施し、基礎と臨床を相互に関連付ける学習を積極的に行っている。これらの科目の中では、様々な学習方略を用い、学習効果を高める努力をし、また、筆記試験およびレポートのほかに、TBL(Team-Based Learning)のピア評価、課題シートあるいはルーブリック評価を採り入れている。早期臨床体験学習は、病院・介護施設・保険薬局の見学、不自由体験、救命救急法を実施し、多くの体験ができるように工夫している。実務実習事前学習は、3年次「薬剤学」、4年次前期「薬物治療マネジメント」、4年次後期「実務実習事前講義・演習」を組み合わせて実施しており、到達度は、ポストテストおよび技能評価試験を通して確認している。薬学共用試験(CBT:Computer Based Testing およびOSCE:Objective StructuredClinical Examination)は薬学共用試験センターが提示した薬学共用試験実施要項に従って実施している。実務実習は、実務実習運営委員会が中心となって、方針や事案の検討、実務実習を円滑に行うための対応策の提案、教員への情報提供などを含め、総括的に取りまとめている。実習施設は一般社団法人薬学教育協議会病院・薬局実務実習東海地区調整- 2 -機構を介して選定している。実務実習の成績評価は、指導薬剤師による各SBO(SpecificBehavioral Objective)に対する評価、また日誌の記載状況、出欠状況、提出物の期限遵守状況等に基づいた実習態度に対する評価を総合的に勘案して数値化し、実務系教員が最終評価を実施している。卒業研究は4年次の後期から6年次9月まで、配属研究室で実施している。6年次に卒業論文を作成し、合同で発表会を実施している。成績評価は、シラバスの「成績評価方法および評価基準」の欄に明示し、学生に周知している。2018(平成 30)年度の各学年の過年度在籍率は6~26%、6年生のストレート在籍率は 66%である。また、退学者数は毎年おおむね 20 名程度である。学生に対してディプロマ・ポリシー(学位授与の方針)で求める学修成果(アウトカム)を具体的に明示し、学修成果を可視化するために、ディプロマ・ポリシーごとにアウトカムを設定し、複数の観点からなるルーブリック評価表(ディプロマ・ルーブリック)を作成しており、学生は毎年度ごとに総合的な学習成果を測定し、教員からのアドバイスを受けている。入学者は、アドミッション・ポリシー(入学者受入方針)に基づき、一般入学試験と推薦入学試験を実施し選抜している。大学では、全学部の推薦入学試験合格者を対象に、学習習慣の維持と入学後の円滑な大学教育の開始を目的として、入学前学習プログラムを提供している。履修指導ならびに学習相談のための仕組みとして、助教以上の全教員が1年次~4年次の研究室配属までの学生を原則として各学年4~5名ずつ受け持つ「指導教員制度」を導入している。指導教員は、随時受け持ち学生の履修指導や学習指導をはじめ、メンタルケアや大学生活全般の相談に当っている。学生の経済的支援に関する情報の提供および対応は、主に薬学部事務室の学生係が担当している。実験・実習等に必要な安全教育としては、1年次「入門実験」において、「学生実習における実習上の注意事項」を全員に配布し、ガイダンスを実施している。卒業研究にあたっては、安全な実験を行うための注意点や、研究倫理、適切な実験器具・機器の使用法について教授し、適正かつ安全な研究の実施に努めている。薬学部の専任教員は 66 名であり、大学設置基準を上まわる数の専任教員を配置している。八事キャンパス(敷地面積 17,553 ㎡)には、新1号館、新2号館、新3号館、7号館、体育館および学生会館城薬ホールの計6棟が配置されており、十分な数の講義室と実験実- 3 -習室を備えている。図書館は、新1号館地下に設置し、学生閲覧室、書架室、視聴覚閲覧ブースおよび資料検索用パソコンを整備している。民間企業や国立大学法人などと契約を締結した受託研究・共同研究、文部科学省学術研究助成基金助成金/科学研究費補助金や厚生労働省科学研究費補助金/厚生労働行政推進調査事業費補助金などの公的研究費による外部機関との共同研究が盛んである。大学では 2003(平成 15)年 10 月「教育研究の質の保証」を旨とした自己点検・評価システムの構築、学長を委員長とする「大学評価委員会」を設置し、さらに、「大学評価プロジェクトチーム」を設置して組織的な活動を行う体制づくりがされている。2004(平成 16)年、名城大学の基本戦略を定め、その実現に向けて点検・評価を繰り返しながら大学運営を推進している。以上のように、名城大学薬学部の6年制薬学教育プログラムは、本機構の評価基準におおむね適合している。しかし、以下のような問題点があり、改善が必要である。(1)ヒューマニズム教育・医療倫理教育において、学習成果を総合した目標達成度の評価指標を設定し評価するよう改善すべきである。(2)コミュニケーション能力および自己表現能力の学習成果を総合した目標達成度の評価指標を設定し評価するよう改善すべきである。(3)実務実習事前学習の総合的な目標達成度を評価するための指標が設定されておらず、それに基づいて適切に評価されていないので、改善すべきである。(4)2014(平成 26)年度に策定した新カリキュラム導入後も進級率に大きな変動は見られないので、指導方法をさらに改善すべきである。(5)自己点検・評価結果を教育研究活動の改善に結び付ける活動は、委員会を中心に行われているので、「薬学部評価委員会」を中心とする体制に整備する必要がある。名城大学薬学部には、本評価での改善すべき点、助言を踏まえ、積極的に改善に取り組み、薬学教育のさらなる向上に努めることが望まれる。
大学への提言
名城大学 大学への提言1)長所1. 4年次前期の「薬物治療マネジメント」において、PBL学習、シミュレーターを使った体験プログラム、独自に開発したシミュレーションソフトを利用した振り返り、医学部などと合同のSGDを行うなど、多様な方略を用いて代表的疾患の薬物治療をマネジメントできる能力を醸成している。(4.薬学専門教育の内容)2. 情報発信力、論理的思考、創造的思考、リスクテークと遂行能力、主体的な学びの実践、学びの応用(転移)、振り返り(省察)による自己評価、専門性を高める努力、ロールモデルおよび教育能力などを評価項目とした独自のルーブリック評価表を作成し、総合的に学生の問題解決能力向上を判定する仕組みを整えている。(6.問題解決能力の醸成のための教育)- 36 -2)助言1. 「教育研究上の目的」の内容は記載場所ごとに異なっているので、統一した表現で公開することが望ましい。(1.教育研究上の目的)2. 「教育研究上の目的」は、社会情勢や人材養成の目的の変化に合わせて定期的に検証し、改訂することが望ましい。(1.教育研究上の目的)3. 「教育研究上の目的」の教職員への周知に関しては、冊子を配付することに留まっているので、FD講習会などで周知することが望ましい。(1.教育研究上の目的)4. カリキュラム・ポリシーの周知方法は、教職員に対しては学生便覧配布のみであり、周知が十分でないので、FD講習会等での周知が望ましい。(2.カリキュラム編成)5. 成績不振者に対しては振り返り演習科目の履修が必須となり、自由意志に基づく選択科目の履修が制限される状況となっているので、改善することが望ましい。(2.カリキュラム編成)6. 再履修者に対して実施される単位認定試験の再試験は実施されないので、本試験と同様の扱いにすることが望ましい。(2.カリキュラム編成)7. 教養教育・語学教育において、選択科目の開講数を増やすことが望ましい。(3.医療人教育の基本的内容)8. コミュニケーション能力および自己表現能力教育科目の評価方法は、レポートや態度、ピア評価を組み合わせ、筆記試験に偏らない評価を検討することが望ましい。(3.医療人教育の基本的内容)9. 英語力を身につけるための教育は1年次に集中しているので、6年間にわたって体系的に4要素の教育を編成し、充実させることが望ましい。(3.医療人教育の基本的内容)10. 医療現場で薬剤師として必要とされる語学力や医療の進歩・改革に対応するために必要とされる語学力を身に着けるための教育を充実させることが望ましい。(3.医療人教育の基本的内容)11. 「卒後教育講座」には、多くの学生が参加することが望ましい。(3.医療人教育の基本的内容)12. 実習の評価については、筆記試験の割合が高い科目があるので、技能・態度の評価を重視することが望ましい。(4.薬学専門教育の内容)13. 全ての科目で基礎と臨床の関連付けをするよう努めることが望ましい。(4.薬学専門教育の内容)- 37 -14. Ⅱ期以降に実務実習を開始する学生に対し、実務実習の直前に到達度が確認されていないので、改善することが望ましい。(5.実務実習)15. 卒業論文の研究成果における医療や薬学における位置づけについて、卒業論文作成要項などを改訂し、必ず記載するように指導することが望ましい。(6.問題解決能力の醸成のための教育)16. 一般入学試験においては、面接等による医療人としての適性の直接的な評価は行っていないので、面接等を導入することが望ましい。(7.学生の受入)17. 試験成績に疑義のある場合には、各講義科目の担当教員を訪ね、成績評価の再確認を願い出る制度を設けているが、評価の透明性を担保するために、第三者が関わる仕組みを取り入れることが望ましい。(8.成績評価・進級・学士課程修了認定)18. 専任教員1名あたりの学生数は24.2名であり、観点で望ましいとされている10名以内を満たしていないので、教員増を検討することが望ましい。(10.教員組織・職員組織)19. 教育研究活動の詳細な報告が毎年行われておらず、専門分野における優れた知識・技能等を有していることを恒常的に保証する仕組みとはなっていないので、評価の頻度を高めることが望ましい。(10.教員組織・職員組織)20. ウェブサイトの教員情報はアップデートされていないものが含まれるので、常に最新の情報を公開することが望ましい。(10.教員組織・職員組織)21. 実務系教員の平均授業担当時間数が他の教員の平均授業担当時間数の約1.5倍となっているので、平均化することが望ましい。(10.教員組織・職員組織)22. 教員と職員が連携して資質向上を図るFD・SD活動を行うことが望ましい。(10.教員組織・職員組織)23. 八事キャンパス内では、校舎の通路部分に約35種類の薬用植物を植栽し、学生が直に触れることができるが、狭小であるので、適切な規模となるよう改善することが望ましい。(11.学習環境)24. 卒後教育講座は会場設備の関係から在学生の出席を積極的に広報していないが、会場の変更等を含め、さらに多くの方が参加できるようにすることが望ましい。(12.社会との連携)25. 薬学部独自のウェブサイトでは英文による情報発信を行っていないので、独自に発信することが望ましい。(12.社会との連携)26. 「薬学部評価委員会」には、外部委員を加えることが望ましい。(13.自己点検・- 38 -評価)27. ホームページ上に公開された自己点検・評価結果は、2010(平成22)年3月に公表した「自己評価21」のみであるので、最新のものを掲載することが望ましい。(13.自己点検・評価)3)改善すべき点1. ヒューマニズム教育・医療倫理教育において、学習成果を総合した目標達成度の評価指標を設定し評価するよう改善すべきである。(3.医療人教育の基本的内容)2. コミュニケーション能力および自己表現能力の学習成果を総合した目標達成度の評価指標を設定し評価するよう改善すべきである。(3.医療人教育の基本的内容)3. シラバスの授業計画の欄(特に演習科目)に、対応するSBOsが記されていない科目が散見されるので、改善すべきである。(4.薬学専門教育の内容)4. 薬学教育モデル・コアカリキュラムのSBOsの一部が実施されていないので、改善すべきである。(4.薬学専門教育の内容)5. 実務実習事前学習の総合的な目標達成度を評価するための指標が設定されておらず、それに基づいて適切に評価されていないので、改善すべきである。(5.実務実習)6. 指導薬剤師からの意見の聴取が十分でないので積極的に聴取するように改善すべきである。(5.実務実習)7. 「薬学卒業研究基礎」の実施ならびに評価が学部として統一した基準で行われていないので、改善すべきである。(6.問題解決能力の醸成のための教育)8. 2014(平成26)年度に策定した新カリキュラム導入後も進級率に大きな変動は見られないので、指導方法をさらに改善すべきである。(8.成績評価・進級・学士課程修了認定)9. 事故や災害の防止と対応に向けた規則やマニュアルが十分でないので、整備すべきである。(9.学生の支援)10. 助教が単独で科目を担当するのは望ましくないので、改善すべきである。(10.教員組織・職員組織)11. 自己点検・評価結果を教育研究活動の改善に結び付ける活動は、委員会を中心に行われているので、「薬学部評価委員会」を中心とする体制に整備する必要がある。(13.自己点検・評価)
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1:提言 改善報告審議結果 2025/1/10 |
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| 横浜薬科大学 | 私 | 神奈川県 | 第1期 |
2019年度 |
適 |
自己点検・評価書 基礎資料 正誤票 |
評価報告書
総評
横浜薬科大学 総評横浜薬科大学薬学部の教育研究上の目的および使命は、建学の精神である「個性の伸展による人生練磨」を踏まえ、薬剤師養成教育に課せられた基本的な使命に基づいて設定されており、それらは医療を取り巻く環境、薬剤師に対する社会的ニーズを反映したものとなっている。また、6年制の3学科と4年制の1学科のそれぞれに特徴的な教育研究上の目的(教育目標)も定めている。横浜薬科大学薬学部(6年制の3学科)は、教育研究上の目的に沿ったカリキュラム・ポリシー(教育課程の編成・実施方針)に基づいて編成されたカリキュラムによる教育を行っており、ヒューマニズム教育・医療倫理教育関連科目を全学年に配置し、薬学専門科目を薬学教育モデル・コアカリキュラムに準拠して実施し、知識・技能・態度を効果的に習得させるために、講義科目が終了したのちに関連する実習科目を行うなどの工夫がなされている。実務実習は、3年次から4年次に実務実習事前学習を複数の科目によって十分な時間数で実施し、実務実習は、実務実習センター教員と学生の所属する研究室の全教員が協力して実習施設を訪問し、学生の実習実施状況や出席状況を確認するなど、大学と実習施設間の連携を図っている。問題解決能力の醸成を目的とする卒業研究は、4年次後期から6年次前期まで行われ、研究成果は卒業論文発表会でポスター形式で発表し、卒業論文にまとめられている。卒業研究の評価には配属研究室以外の教員が副査として参加している。入学者の選抜は、一般入試、センター試験利用入試の他、AO入試、社会人入試、指定校および公募推薦入試などの多岐にわたる方法で行われ、合格者は適正に決定され、入学者数は入学定員から大きな乖離は認められない。成績評価は学生に周知した方法で行われており、進級や卒業に関わる判定も規程に沿って行われている。留年生や卒業延期生は少ないとは言えないが、それらの学生に対する支援は、薬学教育センター教員が中心となって、学習指導や生活指導を行っている。学生生活に対する各種の支援体制は整備され、障がい者受入れのために構内のバリアフ- 2 -リー化も進めている。専任教員は各専門分野において教育・研究に実績を有する者が配置されており、教員数も 96 名と大学設置基準を満たしている。教員の採用および昇任は適切な手続きにより行われている。教員の研究環境や学生の学習環境についても整えられている。社会との連携としては、横浜市および横浜市薬剤師会との連携のもと、モバイルファーマシー2台を運用していることが特色としてあげられる。以上のように、横浜薬科大学薬学部の6年制学科(健康薬学科 漢方薬学科 臨床薬学科)の教育プログラムは、本機構の評価基準におおむね適合していると判断される。しかしながら、主な改善すべき点として、以下が挙げられる。(1)6年次の教育カリキュラムが、薬剤師国家試験の合格のみを目指した受験準備教育に著しく偏っているので、改める必要がある。(2)医療人教育の目標達成度を評価するための指標を設定するとともに、それに基づく評価を行う必要がある。(3)実務実習事前学習全体についての総合的な目標達成度を評価するための指標を設定するとともに、それに基づく評価を行う必要がある。(4)問題解決能力の醸成に向けた教育において、目標達成度を評価するための指標を設定するとともに、それに基づく評価を行う必要がある。(5)半数以上の学生が6年間の在籍で卒業できていない現状は問題であるので、学生の在籍状況を改善させるための取り組みをなお一層充実させる必要がある。(6)「薬学総合演習」試験の合否が学士課程修了の可否判断基準となり、この科目が不合格になることで6年次在籍者の約1/4が卒業できていないという実態は、この大学における学士課程修了の認定が、ディプロマ・ポリシー(学位授与の方針)の達成より薬剤師国家試験の合否予測を重視して行われていることを意味しているので、改める必要がある。(7)6年制薬学教育プログラムを自己点検・評価するために薬学部内に定期的に検証する組織を整備し、内部質保証を図る必要がある。以上の指摘に加えて、中項目ごとの概評にある改善すべき点、助言を踏まえて積極的に改善に取り組み、横浜薬科大学薬学部 健康薬学科、漢方薬学科、臨床薬学科の6年制薬学教育がさらに優れたものとなることを期待する。
大学への提言
横浜薬科大学 大学への提言1)長所1. モバイルファーマシー(災害対策医薬品供給車両)を保有し、横浜市薬剤師会、および横浜市との連携協定を締結して、災害時などに備えて常に出動できる状態で待機しているほか、学生の教育や市民防災イベントなどにも活用している。(12.社会との連携)2)助言1. ホームページを、「教育研究上の目的」に容易にアクセスできるよう修正することが望まれる。(1.教育研究上の目的)2. 教育研究上の目的を検証する体制を整備し、定期的に検証していくことが望まれる。(1.教育研究上の目的)3. カリキュラム・ポリシーの「成績評価は、科目の特性に応じて適切かつ多様な評価方法を設けています。」という方針は、多様な評価方法を具体的に示すものに改訂することが望ましい。(2.カリキュラム編成)4. ディプロマ・ポリシーに謳われている「倫理観」ならびに「国際感覚」を醸成するための教育に対応する内容をカリキュラム・ポリシーに盛り込むことが望まれる。(2.カリキュラム編成)5. 教養科目に必修科目が多いことは、学生が幅広い教養教育プログラムを学ぶという観点からは好ましくないので、開講科目数を増やし人文・社会科学系の科目を充実させるなど、学生が選択できる科目の幅を広げることが望まれる。(3.医療人教育の基本的内容)6. 英語教育において、「書く」についての教育の充実が望まれる。(3.医療人教育の基本的内容)7. 生涯学習に対する意欲を醸成するための科目の多くは1年次に集中しており、体系的とはなっていないので、改善が望まれる。(3.医療人教育の基本的内容)8. 学力試験のみで選抜を行っている入試区分においても、面接など医療人としての適性- 45 -を評価するための試験を導入するなどの工夫を行うことが望まれる。(7.学生の受入)9. 学士課程修了判定会議を12月に実施しているが、就学期間が3か月も残っている時期に卒業の可否を決定することが適切であるとは言い難いので、より適切な時期に実施することが望ましい。(8.成績評価・進級・学士課程修了認定)10. 教育研究上の目的に基づいた6年間の総合的な学習成果を測定するための指標を設定し、それに基づく評価を行うことが望ましい。(8.成績評価・進級・学士課程修了認定)11. 訪問調査で見学した実習では、実習室がやや過密であり、実習中の事故への対応などが懸念されるので、改善することが望ましい。(9.学生の支援)12. 薬剤師の実務経験を有する実務家教員が実務研鑽にまとまった時間を充てることを可能にする研修制度を設けることが望ましい。(10.教員組織・職員組織)13. 一部の教員への負担偏重を是正し、適正な研究時間の確保ができるように、授業時間数の設定を見直することが望ましい。(10.教員組織・職員組織)14. 科研費などの外部資金を獲得するための具体的な支援を行う組織体制を整備することが望ましい。(10.教員組織・職員組織)15. 授業アンケートの回答率は20%程度と低い上に無効な回答も多いため、回収率を高めることが望ましい。(10.教員組織・職員組織)16. 教員の海外研修は行われていないので、機会を設けることが望ましい。(12.社会との連携)17. 自己点検評価委員会に外部委員を含めることが望ましい。(13.自己点検・評価)3)改善すべき点1. カリキュラムに沿った6年間の学修によって、3学科に共通、および各学科に固有のディプロマ・ポリシーのどの項目が達成され、それによって薬剤師に求められる基本的な資質がどのように修得できるのかを理解できるよう、カリキュラム・ツリーを改善する必要がある。(2.カリキュラム編成)2. 6年次の国家試験受験準備のための演習と補習において、正規授業の演習より多くの時間を予備校による補習に充てており、6年次の教育カリキュラムが薬剤師国家試験の合格のみを目指した受験準備教育に著しく偏重しているので、改善する必要がある。(2.カリキュラム編成)3. ヒューマニズム教育・医療倫理教育における目標達成度を総合的に評価するための指- 46 -標を設定し、それに基づいて適切に評価する必要がある。(3.医療人教育の基本的内容)4. コミュニケーション能力および自己表現能力を身につけるための教育における目標達成度を総合的に評価するための指標を設定し、それに基づいて適切に評価する必要がある。(3.医療人教育の基本的内容)5. シラバスの学習方法の記載が統一されておらず、目標と学習方法が一致していない科目が散見されるので、改善する必要がある。(4.薬学専門教育の内容)6. 実務実習事前学習全体についての総合的な目標達成度を評価するための指標を設定し、それに基づき適切に評価する必要がある。(5.実務実習)7. 卒業研究に関わる新カリキュラムの単位数(10単位)の内訳が、規約、「自己点検・評価書」、シラバスで異なっていることについては、改善する必要がある。(6.問題解決能力の醸成のための教育)8. 医療や薬学における研究の位置づけを考察するよう明記された卒業論文作成要領を整備する必要がある。(6.問題解決能力の醸成のための教育)9. 問題解決能力の醸成に向けた教育において、目標達成度を評価するための指標を設定し、それに基づいた適切な評価を行う必要がある。(6.問題解決能力の醸成のための教育)10. 入学選抜で、入学後の教育を受けるために必要な基礎学力を欠く受験生を合格させないよう、入学者選抜の方法を改善する必要がある。(7.学生の受入)11. 成績の判定結果に疑義がある場合に学生が問い合わせる制度が定められていないので、早急に整備する必要がある。(8.成績評価・進級・学士課程修了認定)12. 半数以上の学生が6年間の在籍で卒業できていない現状は問題であるので、学生の在籍状況を改善させるための取り組みをなお一層充実させる必要がある。(8.成績評価・進級・学士課程修了認定)13. 「薬学総合演習」の合格ラインを学生ごとに引き下げる制度に、外部予備校による模擬試験受験の有無および不正解問題への取り組み状況を点数化して組み入れていることは適切ではないので、改善する必要がある。(8.成績評価・進級・学士課程修了認定)14. 「薬学総合演習」試験の合否が学士課程修了の可否判断基準となり、この科目が不合格になることで6年次在籍者の約1/4が卒業できていないという実態は、この大学における学士課程修了の認定が、ディプロマ・ポリシーの達成より薬剤師国家試験の- 47 -合否予測を重視して行われていることを意味しているので、改める必要がある。(8.成績評価・進級・学士課程修了認定)15. 横浜薬科大学が毎年行っている委員会や教員による点検・評価は、本機構が求めている6年制薬学教育プログラムに対する自己点検・評価ではない。6年制薬学教育プログラムに対する自己点検・評価を大学(あるいは薬学部)として恒常的に行い、その結果を公表する体制を構築することが必要である。(13.自己点検・評価)16. 横浜薬科大学の6年制薬学教育のレベルを保つために必要な多くの問題を解決するため、委員会や教員による個別の問題の改善ではなく、6年制薬学教育の現状が抱えている諸問題に対する点検・評価に大学全体で取り組み、その結果を教育のレベルの改善に反映できる体制を早急に構築することが必要である。(13.自己点検・評価)
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1:提言 改善報告審議結果 2025/1/10 |
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| 北陸大学 | 私 | 石川県 | 第1期 | 2015年度 | 継 |
自己点検・評価書 基礎資料 正誤票 |
評価報告書
総評
北陸大学 総評北陸大学薬学部薬学科は「医療人としての倫理観、使命感、責任感及び高度な薬学の知 識・技能を身に付け、臨床の現場で実践的な能力を発揮できる薬剤師を養成する。」を人 材養成の目的として掲げ、教育課程の編成・実施方針(カリキュラム・ポリシー)、入学 者受入方針(アドミッション・ポリシー)を制定し、6年制薬学教育を行っている。 教育課程は、教育課程の編成・実施方針に沿って低学年から高学年まで教養教育も含め 段階的に編成されている。特に低学年では能力別クラス編成の実施、補充教育の実施など、 入学者の基礎学力不足への対応にも努めている。また、専門教育においては、アドバンス ト教育として「高度医療薬剤師演習」、「東洋医薬学演習」、及び「健康医療薬学演習」 が選択コースとして設定され、「和漢薬学」、「鍼灸学」、「漢方(中医)処方学」など も選択科目として開講されている。実務実習事前学習は適切な指導者のもとで実施され、 薬学共用試験本試験終了後の1月下旬に総合復習学習も行っている。実務実習の配属は北 陸地区調整機構を介して行われ、病院実習は金沢医科大学病院を中心に、薬局実習は金沢 市ならびに高岡市周辺を中心に北陸三県の保険薬局で行われている。また、通学が困難な 地域で実習を受ける学生のための宿泊施設として、大学の山中町セミナーハウスが利用さ れている。 入学試験は多様な方式で行われている。入学者数は、平成20年から24年までは平均充足 率が54.3%と極めて低い状態が続き、指定校推薦選抜の見直しと学費減免制度の導入によ り回復傾向を見せているが、現時点でも入学者が入学定員を下回っている。 学習環境は、古い建物でのバリアフリー化に遅れが認められるが全般的には良好であり、 学生支援体制も整っている。社会との連携については、地域の薬剤師の資質向上と保健衛 生の保持・向上に努めている。 しかし、本機構の評価基準に照らして教育プログラムの内容を評価すると、多くの問題 が見出される。改善を必要とする重大な問題点は下記のとおりである。1)カリキュラムが薬学共用試験ならびに薬剤師国家試験の合格対策に偏っていることが 懸念される。すなわち、国家試験受験対策を目的とする学習に、5年次の実務実習の行わ れていない時期と6年次における多くの時間が充てられていることで、卒業研究の実施期 間が圧迫されており、成績の評価方法にも問題があるため、問題解決型学習が体系的、効 果的に実施されていない。さらに、4年次後期の大半を薬学共用試験のCBT(Computer Based Testing)対策に充てていることが2、3年次の過密カリキュラムの原因となり、当 該学年で留年者が増す一因になっている。 2)「実務事前学習」の成績評価において、薬学共用試験センターによる共用試験(CB T、OSCE(Objective Structured Clinical Examination))の成績が一定の基準を下 回った場合に、この科目を不可とすることは適切ではない。 3)留年率と退学率が恒常的に高く、入学定員ならびに基礎学力の確認を含めた入学シス テムが適切に機能しているとは言えない。 4)「総合薬学演習」の単位認定試験の合否が実質的な卒業判定基準となっている。また、 平成26年度は一部学生に対して国家試験終了後の3月末での卒業認定が実施されている。 さらに、最終学年で留年となった学生には、前年度未修得となった必修科目である「総合 薬学演習」の再履修が義務づけられているはずであるが、当該学生は留年した年次の8月 に実施する再試験を受験して単位を取得し、その後10月から休学して国家試験予備校に通 い、2月に復学して卒業認定を受けている。これらのことは国家試験合格率の向上を目指 したものであると言わざるを得ない。 上記の諸問題点に加えて、シラバスの記載に不備が認められる科目が多数存在する。ま た、薬学専門教育が講義に偏り到達目標の学習領域に合致した学習方略が設定されていな い科目が多数存在するほか、シラバスに記載されている評価方法と実際の評価との不整合 が多く認められる。さらに、入学者の選抜について教育に責任を持つ薬学部教授会での審 議がなされていない、などの多くの問題点が認められる。 今回の評価における大学への提言の「改善すべき点」として指摘した諸問題を教職員で 共有し、改善に取り組み、北陸大学として特色のある6年制薬学教育を構築し実施するこ とを期待して止まない。
大学への提言
北陸大学 大学への提言1)助言 1.薬学部の人材養成の目的ならびに教育方針・目標に関する定期的な検証がなされてい ないため、学部としての検証体制の確立と定期的な実施が望まれる。(1.教育研究 上の目的) 2.医療系科目の多くが2年次及び3年次に集中して開講されているために学生への過 度な負担が生じ、当該学年での留年生が多い一因にもなっていると考えられ、カリキ ュラムの点検評価と適切な変更が望まれる。(2.カリキュラム編成) 3.教養教育と薬学教育との関連性が学生に分かるカリキュラムマップの作成が望まれる。 (3.医療人教育の基本的内容) 4.医療人教育に関わる科目が講義中心であり、能動的参加型学習等が少ないので、能動 的参加型学習の充実が期待される。(3.医療人教育の基本的内容) 5.「リベラルアーツⅠ(医療人)」は、医療人とは何かといった重要な内容を含むにも かかわらず選択科目として設定されているため、必修科目とすることが望ましい。(3. 医療人教育の基本的内容) 6.以下の科目における態度教育の成績評価の方法について修正が望まれる。(3.医療 人教育の基本的内容) ① 「人間学I(生と死)」は、13項目ある評価項目のすべてを理解することを目標 にはしておらず、評価の指標が不明瞭である。 ② 「人間学II(心理)」は、出席と定期試験により評価されており、コミュニケー ション等の技術・態度の修得を目標とした適切な評価方法が導入されていない。 7.シラバスなどに以下の不備があるので、修正が望まれる。(4.薬学専門教育の内容)① 「薬学入門Ⅰ」、「薬学入門Ⅱ」は、シラバスから判断すると薬剤師の知識に関 する教育が主な内容と思われ、ヒューマニズム教育・医療倫理教育の内容がどの 程度教授されているのか不明である。 ② フレッシュマンセミナーのスケジュールからは、少人数制のプログラムであるこ とやコミュニケーションの機会を設けていることが確認できない。 ③ 「病態解析系実習」のシラバスからはSGDであることが確認できない。 ④ 「医療英語」のシラバスの授業計画からはプレゼンテーション力を養う教育が行 われていると判断できない。 ⑤ 「科学英語の基礎Ⅰ・Ⅱ」のシラバスから、4要素のバランスを配慮した時間割 編成となっていることが確認できない。 ⑥ 「日本近現代史」のシラバスがない。 ⑦ 「臨床体験学習」、「人体解剖学習」のシラバスと学年別授業科目への記載がない。 ⑧ 「薬学基礎ゼミⅠ」がシラバスならびに履修基準表に記載されていない。 ⑨ 「基礎演習」のシラバスにおける評価方法が適切でない。 8.専門教育における現職の薬剤師などとの交流体制の整備と、現職の薬剤師などによる 講義の実施が望まれる。(4.薬学専門教育の内容) 9.生化学系実習と衛生環境系実習のシラバスでは、知識のみを評価方法としているが、 実習科目として適正な評価方法とすることが望まれる。(4.薬学専門教育の内容) 10.学生に配布されているカリキュラムマップは簡易型であり、シラバスにおける到達目 標の整理なども不十分で、カリキュラムの体系性が分かりにくいので、分かりやすい 形に整備することが望まれる。(4.薬学専門教育の内容) 11.薬学教育モデル・コアカリキュラムに対応させた科目設定とするため、以下の修正が 望まれる。(4.薬学専門教育の内容) ① 技能のSBOs項目であるC7−(1)—2−4(技能)が「薬用植物学」の講義に 記載され、C9−(6)—2−7(技能)が「遺伝子工学」の講義に記載されており、 行動目標に対応した科目での実施が望まれる。 ② 基礎資料3-1においては、C10−(2)-4−1、−3、−4は「生体防御学」が該 当科目に記載されているが、「生体防御学」のシラバスにはこれらのSBOsは 記載されておらず、修正が望まれる。 ③ 知識・技能のSBOs項目を含むC12−(1)-2-2が、「衛生化学Ⅱ」の講義に 記載されており、行動目標に対応した科目での実施が望まれる④ 知識・技能のSBOs項目であるC14−(2)-1−2(知識・技能)が、「薬物治 療学Ⅰ」の講義に記載されており、行動目標に対応した科目での実施が望まれる。 ⑤ 「物理化学系実習」、「分析化学系実習」は、実習科目であるにもかかわらず、シ ラバス上では、あたかも約半分の時間を講義に費やしているように誤解を招く表 現になっているので、実態に即した記載への改訂が望まれる。 12.実務実習の開始時期と実務実習事前学習の終了時期が離れる場合の実務実習直前での 到達度を確認する体制を整備することが望まれる。(5.実務実習) 13.問題解決型学習について、実質的時間数から換算した単位数としては卒業要件単位の 1/10 を超えていないので、充実が望まれる。(6.問題解決能力の醸成のための教育) 14.1年次の「薬学基礎実習」を除き、多くの実習系科目のシラバスにはプレゼンテー ションやディスカッションの記載がないので、明記することが望ましい。(6.問題 解決能力の醸成のための教育) 15. 基礎学力が不足している学生が入学している可能性があり、全ての選抜方法で基礎学 力を担保するなどの方策が求められる。(7.学生の受入) 16. 学生に対するハラスメントの注意喚起は学生便覧への「ハラスメント」や「迷惑行為」 の掲示に留まり、教員や外部講師による教育はなされておらず、学生への教育体制の 構築が望まれる。(9.学生の支援) 17.古い建物はバリアフリー化されておらず、対応が望まれる。(9.学生の支援) 18.学生生活については、情報を収集するシステムが構築されておらず、構築が望まれる。 (9.学生の支援) 19.収容定員を基準にした専任教員一人当たりの学生数は 28.2 名であるので、この数を減 らす取り組みが期待される。 (10.教員組織・職員組織) 20.外部資金の獲得件数ならびに金額を増すための取り組みの推進が期待される。(10. 教員組織・職員組織) 21. 卒業研究室の配属において学生数の極端な偏りが発生しているので、卒業研究指導の 教育効果の観点から、配属学生数を適正化することが望ましい。(10.教員組織・ 職員組織) 22.学部ホームページに掲載されている教員の教育・研究業績を毎年更新していない教員 が見られるので、定期的な更新が望まれる。(10.教員組織・職員組織) 23. 収容定員に比して情報処理教育のための施設と設備が不足しているので、それらの充実が期待される。(11.学習環境) 24. 長期海外出張制度を利用した教員の海外研修の促進が望まれる。(12.社会との連 携) 25.全学的な自己点検・評価委員会ならびに薬学部の自己点検・評価プロジェクトチーム への外部委員の参加が期待される。(13.自己点検・評価) 2)改善すべき点 1.薬学部の「理念」を明示し、「教育研究上の目的」がこれを踏まえたものであること が明らかになるように改善する必要がある(1.教育研究上の目的) 2.4年次後期の大半を薬学共用試験CBT対策に充てる偏った教育がなされることが2、 3年次の過密カリキュラムの原因となっているので、早急に改善が必要である。(2. カリキュラム編成) 3.薬剤師国家試験対策教育である「事前総合薬学演習」と「総合薬学演習」が5年次の 臨床実習のない期間と6年次に置かれ、6年次の土曜日にはさらに国家試験補習も実 施される。これは5、6年次の多くの時間を国家試験の準備教育に充てる偏った教育 になっていることを意味しており、卒業研究など本来の教育内容に割り当てる時間を 早急に増やすことが必要である。(2.カリキュラム編成) 4.ヒューマニズム教育・医療倫理教育ならびにコミュニケーション能力・自己表現能力 を身に付けるための教育において、最終的な目標達成度を評価する指標の設定とそれ に基づく評価が行われていないため、それらの実施が必要である。(3.医療人教育 の基本的内容) 5.薬学専門教育が講義に偏っているので、演習など到達目標の学習領域に合致した学習 方略の設定と科目編成の再構築が必要である。(4.薬学専門教育の内容) 6.「実務事前学習」の目標達成度を総合的に評価するための指標の設定と、それに基づ く評価も行われていないので、実施に向けた改善が必要である。(5.実務実習) 7.「実務事前学習」の成績評価を、薬学共用試験の成績が一定の基準を下回った場合に 「不可」とする制度は適切ではないので、早急に廃止することが必要である。(5. 実務実習) 8.学生が卒業研究に相当する「総合薬学研究」に取り組むことができる時間が実質的に 約半年しかないので、十分な時間を与えるよう改善が必要である。(6.問題解決能 力の醸成のための教育)9.「総合薬学研究」の成績評価の基準が具体性に欠けているため、評価結果に教員間で の差異が生じているので、成績評価の平等性ならびに厳格性を担保するために、早急 に具体的かつ統一的な評価指標の設定が必要である。(6.問題解決能力の醸成のた めの教育) 10.問題解決能力の醸成に向けた教育において、個々の科目に成績評価の基準は設定され ているが、それらを総合した目標達成度を評価するための指標の設定と、それに基づ く評価はなされていないので、改善が必要である。(6.問題解決能力の醸成のため の教育) 11.知識のみを評価方法としている実験実習科目が散見されるなど、科目によっては問題 解決能力の評価に対応する成績の評価方法に問題があるので、改善が必要である。(6. 問題解決能力の醸成のための教育) 12. 入学者の選抜について、教育に責任を持つ薬学部教授会での審議がなされていないの で、早急に改善が必要である。(7.学生の受入) 13.シラバスに記載されている評価方法と実際の評価との不一致が多くの科目で認められ るため、早急に改善が必要である。(8.成績評価・進級・学士課程修了認定) 14.留年率と退学率が恒常的に高いため、入学定員ならびに基礎学力の確認を含めた入学 者選抜システムの抜本的な改善が必要である。(8.成績評価・進級・学士課程修了 認定) 15.薬剤師国家試験準備を目的とする「総合薬学演習」の不合格だけの理由で、多くの卒 業延期者(平成26年度では6年次在籍者(157名)のうち48%に相当する76名)が出て いることは、「総合薬学演習」の合否が実質的な卒業判定基準となっていることを意 味しており、好ましいことではないので早急に改善が必要である。(8.成績評価・ 進級・学士課程修了認定) 16.最終学年で留年となった学生に対する履修管理体制が適切ではないので、改善が必要 である。(8.成績評価・進級・学士課程修了認定) 17.平成26年度は、一部の学生についてではあるが、国家試験終了後の3月末での卒業認 定が実施されており、好ましいことではないので、早急に改善が必要である。(8. 成績評価・進級・学士課程修了認定) 18.校医が修学の困難さを判断して助言する制度は、障がいを持つ志願者の受験の可否判 断に大学関係者が関わることになり、好ましくないので、改善が必要である。 (9.学生の支援)19.研究活動の低下が懸念される教員が少なくないので、研究時間の確保などの改善が必 要である。(10.教員組織・職員組織) 20.「北陸大学自己点検・評価規定」に定められた自己点検項目に基づく独自の自己点検・ 評価を定期的かつ継続的に実施する必要がある。(13.自己点検・評価)
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2019年度 |
適 |
再評価改善報告書 基礎資料 正誤票 |
再評価報告書
総評
北陸大学 総評北陸大学薬学部薬学科は、教育研究上の目的を「人材養成の目的」とし、「医療人としての倫理観、使命感、責任感及び高度な薬学の知識・技能を身に付け、臨床の現場で実践的な能力を発揮できる薬剤師を養成する。」を教育研究上の目的として定め、これに基づき学位授与の方針(ディプロマ・ポリシー)とその達成に向けた教育課程の編成・実施の方針(カリキュラム・ポリシー)と入学者受入方針(アドミッション・ポリシー)を定めて6年制薬学教育を行っている。北陸大学薬学部薬学科の教育プログラムは、2015(平成27)年度に行った本評価において、「カリキュラム編成」、「実務実習」、「問題解決能力の醸成のための教育」、「学生の受入」、「成績評価・進級・学士課程修了認定」に重大な問題点が見出され評価継続となったため、それらの問題点に対する改善結果について再評価を行った。「カリキュラム編成」に関しては、薬学共用試験CBT(Computer Based Testing)対策としての4年次後期の「基礎知識学習」が 2018(平成 30)年度より廃止され、同時に「総合演習 IV」に問題発見・解決能力を身につけることを目的としたTBL(Team-BasedLearning)、PBL(Problem-Based Learning)を取り入れるなど、考える力を育成する科目へと変更された。また、国家試験対策としての5年次「事前総合薬学演習」を 2016(平成 28)年度から廃止し、さらに 2017(平成 29)年度からは、それまで6年次前期に時期を早めて行っていた「総合薬学演習」をカリキュラムどおり6年次後期のみの開講とする- 2 -こととした。これらの対応により、6年次前期を卒業研究に充てられるようにし、卒業研究の発表日(「総合薬学研究発表会」)も従来の6月から8月初旬に設定することにより、課題解決型に向けた卒業研究の拡充が図られた。これらにより、北陸大学薬学部のカリキュラムは、薬学共用試験CBTや国家試験の対策に偏った教育から脱却し、カリキュラムは、カリキュラム・ポリシーに基づいた教育が構築されている。「実務実習」に関しては、薬学共用試験の成績が一定水準を下回った場合に「実務事前学習」の成績評価を「不可」とすることが行われていたが、2015(平成 27)年度より本制度は廃止され、本評価で問題点として指摘された重大な問題点が解消された。「問題解決能力の醸成のための教育」に関しては、2015(平成 27)年度の評価機構による評価の際に指摘された5年次の「事前総合薬学演習」が 2016(平成 28)年度に廃止され、さらに 2017(平成 29)年度からは、それまで6年次前期に時期を早めて行われていた「総合薬学演習」がカリキュラムどおりの6年次後期のみの開講となり、これらに伴い、卒業研究に4年次の3月から6年次の7月までの 10 か月間が充てられるようになった。卒業研究にあたる「総合薬学研究」の評価も改善が図られ、個別評価項目として「出席」、「研究姿勢」、「研究内容」、「プレゼンテーション能力」、「総合評価」、「概評」について統一的なルーブリックが作成され、その指標を全研究室主宰教員が用いて評価することとなり、これにより、成績評価の平等性ならびに厳格性が担保され、適切な評価が行われるようになった。6年次の「総合薬学演習」の評価についても改善が図られ、「基本的な資質としての知識」、「課題解決能力」、「プレゼンテーション能力」などについて、ルーブリック、チェックリストを用い、学部教育で培われた学生個々の資質・能力(コンピテンス)を総合的に評価する方法に変更された。「学生の受入」に関しては、入学者の選抜について 2015(平成 27)年度の評価機構による評価の際に指摘された事項を参考に改善が図られ、2019(平成 31)年度入学者選抜から、入学者選抜が薬学部教授会の審議事項となり、その結果を基にアドミッション委員会にて審議され、そこで作られた原案を基に全学教授会で最終的に決定されることとなった。さらに、入学定員充足率についても、2015(平成 27)年度に 306 名であった入学定員を 2020年度に 160 名(2021 年度からは 125 名)へと漸次削減させたことにより、未だ入学定員との乖離は大きいとはいえ、改善に向かっている。「成績評価・進級・学士課程修了認定」に関しては、卒業留年となった学生については、再履修を行わずに年度途中で単位を付与する制度を撤廃し、低学年次留年生と同様に該当科目の再履修が義務づけられることとなった。卒業留年が確定した学生への対応も、担任- 3 -教員、薬学部長および教務委員長が個別かつ迅速に面談し、学修状況のみならず精神面などの状況把握に努めることに変更された。また、保護者への対応も、電話および文書で卒業留年に至るまでの経緯などを十分に説明し、必要に応じて個別面談等が実施される制度に改善された。さらに、国家試験終了後の3月末での卒業認定も 2017(平成 29)年度以降は廃止された。2015(平成 27)年度評価時の「学力不足による留年が退学につながるケースが多い」との指摘については、対応策の一つとして、2018(平成 30)年4月から、学生の学習支援に加え、FD(Faculty Development)の開催、教学IR(Institutional Research)等を任務とする薬学教育研究センターを設置して対応にあたることとなった。2016(平成28)年9月からは、薬学部教授会の下に、薬学部生の退学・留年削減を目的とした「薬学部退学・留年防止委員会」が設置され、同委員会で、学生の在籍状況(留年・休学・退学など)の分析と対応策の検討が行われている。このように、再評価によって本評価で評価継続の理由となった重要な問題点についての改善が行われていることが確認された。また、再評価の対象とはならなかった中項目に関しても、本評価における提言への対応がなされ、薬学部薬学科の教育研究目的および3つのポリシーに基づき、カリキュラムの検証と改善を図り、必要に応じた変更を速やかに行う体制を整備されるなど、改善が進められている。以上のように、北陸大学薬学部薬学科は、本評価において指摘された多くの問題点に対して真摯に改善に取り組んでおり、本評価において適合と判断されていた諸項目を合わせて、本機構の定める「薬学教育評価 評価基準」に適合していると判断できる。北陸大学薬学部薬学科には、再評価で指摘された改善すべき点と助言、および本評価の提言への対応が十分にはなされていない問題点の改善に取り組み、薬学教育のさらなる向上に努めることを期待する。
大学への提言
北陸大学 大学への提言1)助言1. 実務実習の「総合的な学習成果」の評価指標として設定されているものは科目の成績評価基準であるため、実務実習の「総合的な学習成果」の評価指標の設定とそれに基づく評価を実施することが望ましい。(5.実務実習)2. 「総合薬学研究」の成績評価のための観点と指標(卒業研究のためのルーブリック表)が設定されているが、観点に研究成果の医療や薬学における位置づけの考察に関する内容を加えることが望ましい。(6.問題解決能力の醸成のための教育)3. 入学定員充足率は改善傾向にあるが、未だ入学定員との乖離は大きく、さらなる努力が望ましい。(7.学生の受入)4. 留年率と退学率は高く、薬学部退学・留年防止委員会や薬学教育研究センターが設置され改善が図られているが、これら委員会による入学選抜および学生教育体制のさらなる改革が期待される。(8.成績評価・進級・学士課程修了認定)5. 総合的な学習成果の評価指標の設定とそれに基づく評価がなされていないため、さらなる検討が期待される。(8.成績評価・進級・学士課程修了認定)2)改善すべき点1. 実務実習事前学習の目標達成度を総合的に評価するための指標が設定されておらず、目標達成度の総合的な評価もなされていないため、改善が必要である。(5.実務実習)2. 「総合薬学研究」の評価は全て研究室主宰教員のみが行い、複数の教員による評価が行われていないため、複数の教員による卒業論文の評価が必要である。(6.問題解決能力の醸成のための教育)
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| 国際医療福祉大学 | 私 | 栃木県 | 第1期 |
2019年度 |
継 |
自己点検・評価書 基礎資料 正誤票 |
評価報告書
総評
国際医療福祉大学 総評国際医療福祉大学薬学部薬学科は、医療福祉系総合大学の一学部として開設され、建学の理念に基づいた薬学部の「教育研究上の目的」が学則上に明記されている。さらに、薬学部の単一学科である薬学科の目的は、「国際医療福祉大学教育研究上の目的を定める規程」に記載されている。薬学教育カリキュラムは、基礎教育から専門教育へと学年の進行に沿って編成されているが、カリキュラム・ポリシー(教育課程の編成・実施の方針)が教育課程の編成と実施方針として設定されているとは言えない。4、6年次のカリキュラムが薬学共用試験(CBT(Computer Based Testing))および国家試験対策に過度に偏ったものとなっており、カリキュラム編成が適切であるとは言い難い。また、カリキュラムに関してこういった問題点を点検し、必要に応じた変更を行う体制が機能しているとは言えない。医療人教育の基本となる教育は、系統的に行われてはいるが、ヒューマニズム教育・医療倫理教育、コミュニケーションの基本的能力を身につけるための教育などに、カリキュラム編成の不備や学習方略・評価方法などに関する問題点が認められる。教養系科目は医療福祉系総合大学の特色を活かして、幅広い科目が開講されているものの、実際に選択できる科目は少ない。薬学専門教育に向けた準備教育やリメディアル教育は、入学前教育から開始されているが、入学後の教育は学生の入学前の学修歴を考慮した対応になってはいない。なお、安全教育はおおむね適正に実施されている。薬学専門教育の構成・内容は、薬学教育モデル・コアカリキュラムに準拠しており、大学独自の専門科目も医療福祉系総合大学の特色を活かして多く開講されている。実務実習の事前学習は、実務実習モデル・コアカリキュラムに基づいて行われており、薬学共用試験(CBTおよびOSCE(Objective Structured Clinical Examination))は、薬学共用試験センターの「実施要項」に基づいて適切に実施されている。実務実習施設への配属は、学生の希望や居住地を考慮して決定されており、薬局は関東地区調整機構、病院は大学附属病院、独自の契約病院、および関東地区調整機構により適切な規模のもの- 2 -が選定されている。卒業研究は5、6年次の必修科目として設定され、5年次の実務実習期間を除き、6年生の9月までがそのための期間として配置されており、卒業研究の時間は、単位数(4単位)に対応する時間が確保されている。卒業研究発表会は毎年9月上旬に薬学部主催で開催され、卒業論文は9月末までに提出されている。入学者選抜は、多様な志願者に対応できるよう6つの形式で実施されているが、合格者の決定に薬学部教授会の意見が反映できる制度となっていない。また、1、2年生において留年者、退学者が多いことから、入学者選抜において入学後の教育に求められる基礎学力を適確に評価する必要がある。成績評価の方法・基準は学則で規定され、学生に周知されており、各科目の成績評価はそれに基づいて行われている。評価結果に疑義がある場合は、答案の開示等が行われ、異議申し立てを行うことができるなど、公正な成績評価を行う体制が出来ている。進級と卒業の判定は、規程に沿った判定基準で厳正に行われているが、卒業の可否判断が実質的には国家試験受験に向けた演習科目である「特別薬学講義・演習」の合否に基づいて行われていることは好ましくない。学生の生活支援に関しては、奨学金制度の充実、学生相談室の設置など支援体制の整備がなされている。また、学生生活アンケートの実施など、学生の意見の抽出も行われて改善に結び付けている。専任教員数は大学設置基準を満たしているが、教育研究業績が十分ではない教員に対する学部からの指導、教員に対する教育研究費や卒業研究指導に係る経費の配分、研究時間への配慮が適切に行われているとは言えない。教育研究に必要な施設、設備、図書などの学習環境は整えられており、医療界との交流・連携などに関しては、複数の教員が地域の薬剤師会、病院薬剤師会の役員として、または、国や県の行政機関の委員会や審議会の委員として活動している。薬学教育プログラムについては、薬学部として適切な項目に対して自己点検・評価を行う体制・組織の整備が必要であり、特にカリキュラム編成、シラバス等について十分な自己点検・評価が行われているとは言えない。教育プログラムの質の担保と改善に向けて、自己点検・評価を恒常的に行い、その結果を教育研究活動の改善に反映するよう真摯かつ適切に取り組む必要がある。以上のように、国際医療福祉大学薬学部薬学科の薬学教育プログラムは、本機構の評価基準に照らして評価すると、多くの改善を必要とする重大な問題が見出される結果となっ- 3 -た。今回の評価で「適合水準に達していない」と評価された「中項目」について、末尾の「改善すべき点」で指摘されている問題点を中心として、全面的な改善を図り、再評価を申請されると共に、それら以外の中項目に関しても「改善すべき点」で指摘されている問題点の改善に努め、国際医療福祉大学薬学部の6年制薬学教育の向上・発展を図られることを期待する。
大学への提言
国際医療福祉大学 大学への提言1)助言1. 「国際医療福祉大学教育研究上の目的を定める規程」の薬学科の項に、上位規程となる学則が定めている「研究」への言及がないことは好ましくないので、学則と整合するよう修正することが望ましい。(1.教育研究上の目的)2. 薬学部の教育研究上の目的に「国際性」に関する内容を含めるようにすることが望ましい。(1.教育研究上の目的)3. 教職員に対して「教育研究上の目的」をFDなどを通じて周知することが望ましい。(1.教育研究上の目的)4. 教育研究上の目的について定期的に検証するよう努めることが望ましい。(1.教育研究上の目的)5. カリキュラム・ポリシーの周知のために教職員を対象としたFDを開催することが望ましい。(2.カリキュラム編成)6. 薬学部ホームページでカリキュラム・ポリシーを公表することが望ましい。(2.カリキュラム編成)7. 英語教育は実質的には1年次、2年次の必須科目での教育にとどまっており、3~6年次までの選択科目の履修者が極めて少ないので、履修者を増やす工夫をすることが望ましい。(3.医療人教育の基本的内容)8. 薬学専門領域の英語学習について、系統的な教育体系を整えることが望ましい。(3.医療人教育の基本的内容)9. 薬害、医療過誤、医療事故防止などに対する医療安全教育において、被害者の家族や弁護士などによる講義、講演会を実施することが望ましい。(3.医療人教育の基本的内容)10. 大学が主体となった生涯学習の意欲醸成のための直接的かつ体系的なプログラムが行われていないので、改善することが望ましい。(3.医療人教育の基本的内容)11. 独自性の高い「医療系総合大学の特徴を活かした科目」の履修を容易にするように時間割編成を考慮することが望ましい。(4.薬学専門教育の内容)12. 「病院・薬局事前実習Ⅰ」では、実務実習モデル・コアカリキュラムではない演習(基礎科目のCBT対策とみられる演習)については、内容を変更するなどの改善が望まれる。(5.実務実習)13. 実習全体の総合的な学習成果を適切な指標に基づいて評価することが望ましい。(5.- 39 -実務実習)14. 卒業研究の実質的な実施時間がシラバスおよび時間割上の設定期間・時間と乖離しているので、卒業研究の実質的な実施時間を反映した時間割の配置および単位設定に努めることが望ましい。(6.問題解決能力の醸成のための教育)15. 「研究マインド養成講座」および「集中講義」を「卒業研究の一部」と位置付けていることは適切でないので改善することが望ましい。(6.問題解決能力の醸成のための教育)16. 卒業研究(発表会・論文)の評価を公正かつ厳格に実施するシステムを整えて、実質的に複数教員によって実施するように努めることが望ましい。(6.問題解決能力の醸成のための教育)17. 問題解決能力醸成科目の単位数を基準にある18単位以上に増やすことが望ましい。(6.問題解決能力の醸成のための教育)18. 薬学部ホームページにアドミッション・ポリシーを掲載することが望ましい。(7.学生の受入)19. 医療人としての適性を評価する工夫として、全ての入試制度で面接を取り入れることが望まれる。(7.学生の受入)20. 一部のシラバス(「生命倫理」「化学系薬学実習Ⅰ」「特別薬学講義・演習」)に評価寄与率の記載漏れがあるので、記載することが望ましい。(8.成績評価・進級・学士課程修了認定)21. 各学年はじめに進級条件を新たに説明することが望ましい。(8.成績評価・進級・学士課程修了認定)22. ディプロマ・ポリシーを教職員に周知するためにFDを開催することが望ましい。(8.成績評価・進級・学士課程修了認定)23. ディプロマ・ポリシーを薬学部ホームページに掲載することが望ましい。(8.成績評価・進級・学士課程修了認定)24. 「特別薬学講義・演習」では、薬剤師教育の態度に関する形成的評価は行われておらず、6年間の教育成果の総合的な評価にはなっていないので、適切な評価法を確立して実施することが望ましい。(8.成績評価・進級・学士課程修了認定)25. 実験実習における教員1名あたりの担当学生数が20人を超えている一部の実習(基礎薬学実習(物理)、物理系薬学実習)については、安全性を考慮し、早急に担当教員を増員して担当学生数を20人以下にすることが望ましい。(9.学生の支援)- 40 -26. 医師教員は薬学部では実務家教員には分類されないので実務家教員の員数から除外することが望ましい。(10.教員組織・職員組織)27. 専任教員1名あたりの学生数が20名を超えているので、教育水準の一層の向上を図るために専任教員数の増員が望ましい。(10.教員組織・職員組織)28. ホームページ上の教員の活動の開示では、一部の教員では5年以上前の情報が記載されているので、毎年更新することが望ましい。(10.教員組織・職員組織)29. 薬学部担当職員の増員を行うことが望ましい。(10.教員組織・職員組織)30. 職員と教員との意見交換などを通した事務職員の資質向上の体制を整備することが望ましい。(10.教員組織・職員組織)31. 薬学部独自のFD、SD(事務職員と教員、技術職員等を対象)が行われていないので、開催することが望ましい。(10.教員組織・職員組織)32. 卒業研究に使用できる学生1人あたりのスペースが十分でない研究室があるので、卒業研究が十分実施可能となるような環境を整備することが望ましい。(11.学習環境)33. 薬学部が主体となった卒後研修プログラムの提供が行われていないので主体的に実施することが望ましい。(12.社会との連携)34. 主キャンパスが所在する大田原地区での公開講座が開催されていないので開催するよう努めることが望ましい。(12.社会との連携)35. 英文ホームページに研究内容を掲載するなど薬学部の教育研究活動を広く海外に発信することが望ましい。(12.社会との連携)36. 教員の海外留学が行われていないので体制を整え機能させることが望ましい。(12.社会との連携)37. 自己点検・評価を行う組織に外部委員を含むように努めることが望まれる。(13.自己点検・評価)2)改善すべき点1. 薬学部ホームページ上に教育研究上の目的を掲載するように改善する必要がある。(1.教育研究上の目的)2. カリキュラム・ポリシーを教育目標の列挙ではなく、「教育研究上の目的」およびディプロマ・ポリシーを達成するための方針となるように改善する必要がある。(2.カリキュラム編成)- 41 -3. カリキュラムを・ポリシーを設定する体制が機能しているとは言えないので、定期的な見直しを行うなど適切に機能するように改善する必要がある。(2.カリキュラム編成)4. 4、6年次後期において、予備校が担当する共用試験および国家試験対策と考えられる講義に正規科目が配置されるべき多くの時間数を割り当てているなど、高学年の教育が薬学共用試験および薬剤師国家試験の合格のみを目指した教育に過度に偏っているので、改善が必要である。(2.カリキュラム編成)5. カリキュラムの構築と教育効果の検証、これに基づいた改善等の迅速な対応を行う体制を整え、機能させるように改善する必要がある。(2.カリキュラム編成)6. 医療人教育の基本として重要な意味を持つヒューマニズム教育・医療倫理教育に関わる科目の設定が適切ではないことは、こういった教育が十分に行われていないことを意味しており、改善が必要である。(3.医療人教育の基本的内容)7. ヒューマニズム教育・医療倫理教育として不適切な科目以外の科目でも、多くの科目が座学に留まっており、SGD等の能動的学習方法を採用している科目が少ないので、改善が必要である。(3.医療人教育の基本的内容)8. ヒューマニズム教育・医療倫理教育科目において、学習成果を総合した目標達成度の指標を示した評価が行われていないので、改善することが必要である。(3.医療人教育の基本的内容)9. コミュニケーション能力および自己表現能力を涵養する科目において、学習成果を総合した目標達成度の指標を示した評価が行われていないので、改善することが必要である。(3.医療人教育の基本的内容)10. 新カリキュラムの英語科目において、「書く」に関する要素を実施する必要がある。(3.医療人教育の基本的内容)11. 入学後のリメディアル教育が学生の入学までの学修歴等を考慮した教育プログラムとなっていないので、改善することが必要である。(3.医療人教育の基本的内容)12. 早期体験実習において実施されている、薬剤師が活躍する現場の見学は実質的に1分野なので、全員が大学の設定した全分野にわたって広く見学できる体制をつくる必要がある。(3.医療人教育の基本的内容)13. 医療人教育については、薬学6年制教育において重要な意味を持つヒューマニズム教育・医療倫理教育を始め、カリキュラム編成や学習方法、目標達成度の評価などに多くの問題点が認められる。これらについて、薬学教育カリキュラムの構築を担う「薬- 42 -学部教務委員会」による点検・改善に向けた早急な対応が必要である。(3.医療人教育の基本的内容)14. 大学独自教育科目について、独自の科目および独自のSBOsであることが示されていないので、シラバス等に明示することが必要である。(4.薬学専門教育の内容)15. 事前学習の評価において総合的な目標達成度の評価が行われていないので、改善が必要である。(5.実務実習)16. 問題解決能力を醸成する科目において、能動的教育を実施している時間数と内容がシラバスに明確に示されていないので、改善する必要がある。(6.問題解決能力の醸成のための教育)17. 卒業研究を含めた問題解決能力の醸成に関する科目の成績評価において、個々の科目を総合した問題解決能力の醸成に対し、目標達成度の評価が行われていないので、改善する必要がある。(6.問題解決能力の醸成のための教育)18. 入学者の決定に際して、薬学部教授会には、入試判定会議による決定事項が報告されるのみで、合否判定には直接関与していないので、改善する必要がある。(7.学生の受入)19. 低学年の留年率・退学率が高い状況は、入学者選抜において入学後に必要な基礎学力が適確に評価されていないことを示しているので、合格とする基準を見直すなど、入学者選抜を改善すべきである。(7.学生の受入)20. 学力不足の入学者に対する、入学後のリメディアル教育の充実など、適切な対策を講じることが必要である。(8.成績評価・進級・学士課程修了認定)21. 薬剤師国家試験の対策科目としての性格が強い「特別薬学講義・演習」の試験が卒業試験として扱われ、卒業の可否が事実上この試験の合否によって決められていることは、学士課程の修了をディプロマ・ポリシーの到達によって判定しているとは言えないので、改善する必要がある。(8.成績評価・進級・学士課程修了認定)22. 過去5年間の業績が全くないか極めて少ない教員や教育に関する業績がほとんどない教員が見られるので、これらの教員に対しては、学部として適切な教育研究活動を行うよう指導する対応が必要である。(10.教員組織・職員組織)23. 各教員に対する個人教育研究費が予算化されていない制度を改め、予算化して配分するように改善する必要がある。(10.教員組織・職員組織)24. 卒業研究を指導するための経費が予算化されていない制度を改め、予算化して指導教員に配分するように改善する必要がある。(10.教員組織・職員組織)- 43 -25. 講義・実習の担当時間が過大な教員がいるので、研究時間が十分確保できるように改善する必要がある。(10.教員組織・職員組織)26. 薬学部独自の自己点検・評価を行う組織が常置され、機能しているとは言えないので、改善が必要である。(13.自己点検・評価)27. 薬学部独自の自己点検・評価書が作成されていないので、改善が必要である。(13.自己点検・評価)28. 本来大学が恒常的に行うべき教育プログラムに関する自己点検・評価とその結果の教育研究活動の改善への反映に対する恒常的・継続的な取り組みが十分に行われていないので、自己点検・評価・改善を担う体制を早急に整え、真摯かつ適切に機能させるように改善することが必要である。(13.自己点検・評価)
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異議審査書 |
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| - | - | - | - | 2023年度 |
適 |
再評価改善報告書 基礎資料 正誤票 |
再評価報告書
総評
国際医療福祉大学 総評国際医療福祉大学薬学部は、教育研究上の目的に基づき学位授与の方針(ディプロマ・ ポリシー;DP)、その達成に向けた教育課程の編成・実施の方針(カリキュラム・ポリシ ー;CP)、入学者受入方針(アドミッション・ポリシー;AP)を定めて6年制薬学教育 を行っている。 国際医療福祉大学薬学部の教育プログラムは、2019年度に行った本評価に おいて、「カリキュラム編成」、「医療人教育の基本的内容」、「学生の受入」、「教員 組織・職員組織」、「自己点検・評価」に重大な問題点が見出され評価継続となったため、 それらの問題点に対する改善結果について再評価を行った。 国際医療福祉大学薬学部では、2019年度にDPおよびCPの再検討を行い、新しく策定 されたDP・CPに基づいて、2020年度にカリキュラムを再編した。また、これらを見直 すために「総合カリキュラム検討委員会」、「ポリシー検討部会」、「薬学部自己点検・評価 委員会」が設置され、改善に向けての体制が整備された。このカリキュラム編成に伴い、 CBT(Computer Based Testing)対策の色合いが強かった「薬学演習Ⅰ・Ⅱ」、国家試験 対策としての「総合薬学演習Ⅰ・Ⅱ」にSGD(Small Group Discussion)を導入するな どの変更が図られた。しかしながら、これら演習科目では選択肢式の問題が多数使用され CBTあるいは国家試験対策の側面も色濃く残されており、さらに「総合薬学演習Ⅰ・Ⅱ」 の合否が実質的に国家試験の受験資格となっていることから、国家試験対策に過度に偏っ ているとまでは言えないが、これら科目の合否判定と国家試験の出願を切り離すなど、さらなる改善が求められる。 医療人教育の基本的内容については、2019年度の薬学教育評価機構本評価での指摘事項 への対応として関連科目の内容が見直され、サポート体験とディベート、SGDと発表会 などが導入された。また、「薬学演習Ⅰ・Ⅱ」や「総合薬学演習Ⅰ・Ⅱ」の中に、ヒューマ ニズムや医療倫理の育成を目的としたSGDやレポート作成が追加された。しかしながら 実際には、これら科目は専門教育の復習が主な目的となっており、SGD等の導入を持っ てヒューマニズムや医療倫理の育成を目的とする科目と捉えることは難しく、ヒューマニ ズムなどの育成を目的とする内容は別科目として設定する必要がある。 医療人教育については、「総合カリキュラム検討委員会」などを立ち上げて再検討され、 改善が図られている。ヒューマニズム教育・医療倫理教育の学修成果を総合的に評価する 方法として「コンピテンシーに基づく到達度評価」が導入され、現在はトライアルの段階 だが、改善に向けた努力がなされている。 教養教育については、「総合講義(現代社会をどう見るか)」などが、社会のニーズに即 した選択科目として追加された。また、DP6 医療の担い手を目指す者として、幅広い教養 と豊かな人間性を育み、生涯にわたって自他ともに研鑽しあえる姿勢および意欲を有して いる。」への到達を重視して、「医療必修-医療の倫理とプロ意識・医療情報」などが、必修 科目として設定された。英語教育の一環として、5年次に「英語による服薬指導演習」が 設けられ、英語での服薬指導のロールプレイを実施していることは、評価できる。 医療安全教育については、「医薬品安全性学」などにおいて、2019年度の本評価で指摘さ れた事項の改善が図られた。生涯学習の意欲醸成のためのプログラムについては、卒業生 を招いた講演会などが導入され、改善された。生涯学習については、「生涯学習プログラム 検討委員会」が設置され、2019年度に2020年度以降の生涯学習プログラムの内容が見直さ れた。 学生の受け入れについては、薬学教育評価機構本評価での指摘を受けて設置された「薬 学部教員代表者会議」で合格者選抜が行われることとなった。2019年度以降は、総合型選 抜と学校推薦型選抜の合格者を増やして学修に意欲を持つ入学者を確保した結果、補欠合 格者数は減少しており、それに伴い、2019年度~2021年度の1年次の進級率は91~92%と 2018年度の85%より高くなっている。しかしながら、ストレート卒業率は約60%であり、 入学者選抜に当たって、入学後の教育に求められる基礎学力が適確に評価されているとは 言い難く、既に着手されてはいるが、入試問題や補欠入学の再検討、補欠入学者の入学後 の状況、進級率、留年者及び退学者の詳細な解析など、入試選抜方法のさらなる改善が期待される。 教員組織・職員組織については、2022年5月現在の専任教員数は41名(実務家教員13名) であり、大学設置基準の必要専任教員数を満たしている。なお、2023年度に教員3名が増 員され、専任教員1名当たりの学生数は24.5名に改善されたが、専任教員数のさらなる増 加が望まれる。専任教員についての職階ごとの構成は、おおむね適正なものとなっている。 教員の採用は適正に行われているが、選考過程において模擬講義は実施されておらず、教 育上の指導能力を評価する上で模擬講義等の導入が望まれる。2019年度の本機構からの指 摘に従って薬学部事務職員5名が配置された。また、薬学部独自のグッドティーチング賞 を制定し、受賞者が薬学部FD(Faculty Development)にて発表し質疑応答を行うことで 教員の質向上を目指していることは、評価できる。 研究活動に関しては、本評価での指摘を受け、教員の自己点検報告書を基に学部長と学 科長が業績を評価する体制が整えられ、全教員の業績が適切に評価されるようになった。 FD、SD(Staff Development)については適切に実施されている。 自己点検・評価については、「薬学部自己点検・評価委員会」が中心となり、「総合カリ キュラム検討委員会」、「進級率向上委員会」などの各委員会において、適宜必要な対応が なされている。しかしながら、現段階での対策の多くは2019年度の本評価受審時に指摘さ れた事項に対する取り組みであり、6年制薬学教育の内部質保証を図るためには、独自の 評価項目を設定し、自主的に6年制薬学教育プログラム全体の自己点検・評価を統合的恒 常的に行い、その結果を教育・研究活動の改善に役立てることが求められる。 以上のように、国際医療福祉大学薬学部は、本評価において指摘された多くの問題点に 対して真摯に改善に取り組んでおり、本評価において適合と判断されていた諸項目を合わ せて、本機構の定める「薬学教育評価 評価基準」に適合していると判断できる。
大学への提言
国際医療福祉大学 大学への提言 1)長所
1. 5年次の「英語による服薬指導演習」(非正規科目)では、模擬患者としてボランティ ア(英会話教室の教員や留学生)に参加してもらい、英語での服薬指導のロールプレ イを実施していることは、グローバル化に対応して薬剤師の資質を向上させる上で、 特色ある取り組みとして評価できる。(3.医療人教育の基本的内容) 2. 2022 年度から薬学部独自の「学生が選ぶグッドティーチング賞」を設け、受賞者が薬 学部FDにて発表し質疑応答を行うことで、教員の質向上を図っていることは、特色 ある取り組みとして評価できる。(10.教員組織・職員組織) 2)助言 1. 「教育研究上の目的」の文言の記載が、学則と国際医療福祉大学教育研究上の目的を 定める規程で異なるので、統一することが望まれる。(2.カリキュラム編成) 2. 学生便覧に「教育理念」の記載はあるが、「教育研究上の目的」の記載がないので、明 記することが望ましい。(2.カリキュラム編成) 3. DP5「地域に貢献する姿勢と実践能力を有している。」、DP7「研究マインド」に対応する 言葉がCP(カリキュラム・ポリシー)になく、明記が望まれる。(2.カリキュラム 編成) 4. 学生便覧、履修の手引きにおいて、学生向けに3つのポリシーや教育目標は示されて いるが、教育研究上の目的については示されておらず、明記することが望ましい。(2. カリキュラム編成) 5. 教育目標の設定において、4年次以降のCP3に関する記載が5年次では英語に特定され ており、4、6年次では記載がなく、薬剤師として基本的な事項であることから、設定 が望まれる。(2.カリキュラム編成) 6. 定期試験や確認試験において、選択肢式の問題に加え、解答のないところから自らの答えを導き出す記述式や論述式の問題を適宜多数導入することが望まれる。(2.カリ キュラム編成) 7. コンピテンシーに基づく到達度評価基準(DPルーブリック)を用いた評価について、 教員回収率が 70%に満たないのは、評価の実質化、公平性の観点から適切とは言えず、 回収方法や時期等の改善、教員への周知徹底を図り、回収率を向上させることが望ま れる。(3.医療人教育の基本的内容) 8. 人文・社会系科目は必修科目となっている心理学と法学の単位が取得できればおおむ ね要件を満たす制度になっているため、その他科目の履修者数が少なく、VOD授業 などの特定の科目に履修が集中しているので、物事を多角的に見る能力および豊かな 人間性・知性を養う上で、幅広い履修を指導することが望まれる。(3.医療人教育の 基本的内容) 9. 医療の進歩・変革に対応するために必要とされる語学力を身につけるための教育とし ては、3年次以降に、薬学領域の専門英語に関する科目がなく、科学論文を読んだり書 いたりするなど高度な薬学英語を身につける機会が少ないので、体系的なカリキュラ ムを整えることが望まれる。(3.医療人教育の基本的内容) 10. 専任教員1名に対する学生数が、少し改善されて24.5名になったとはいえ、専任教員 数のさらなる増加が望まれる。(10.教員組織・職員組織) 11. 教員間で授業担当時間に格差があるため、格差の解消が望まれる。(10.教員組織・ 職員組織) 12. 男性教員が87.8%で女性教員が12.2%であり、女性教員の比率が少ないので、女性教 員を増やすことが望まれる。(10.教員組織・職員組織) 13. 教員の採用・昇任は、「教育職員の職制及び任免に関する規程」に基づき行われている が、適切な教員を確保するための「大学の求める教員像および教員組織の編制方針」は 定められておらず、制定が望まれる。(10.教員組織・職員組織) 14. 人事選考において、書類審査はだれがどのようにして行うのかを規則等に定めること が望まれる。(10.教員組織・職員組織) 15. 教員の選考過程において模擬講義は実施されておらず、教育上の指導能力を評価する 上で模擬講義等の実施が望まれる。(10.教員組織・職員組織) 16. 教員の活動は最近5年間における教育研究上の業績等をホームページ上で開示してい るが、更新日が古い教員が存在するため、最新の情報を掲載することが望まれる。(1 0.教員組織・職員組織)17. 学術論文がない基礎系教員が存在することから、さらなる努力が望まれる。(10.教 員組織・職員組織) 18. 卒業研究を実施する学生のための研究スペースとして、一部の研究室の面積が狭くな っているため、学生の研究活動維持のためにも是正が望まれる。(10.教員組織・職 員組織) 3)改善すべき点 1. 「総合薬学演習Ⅰ」は6年生の4月から行われており、さらに「総合薬学演習Ⅰ」と 「総合薬学演習Ⅱ」の合否が実質的に国家試験の受験資格となっていることから、こ れら科目の合否判定と国家試験の出願を切り離すなど、さらなる改善が必要である。 (2.カリキュラム編成) 2. 「薬学演習Ⅰ・Ⅱ」、「総合薬学演習Ⅰ」および「総合薬学演習Ⅱ」は薬学専門科目の復 習が主な目的となっており、これらの授業の中で一部ヒューマニズム教育・医療倫理 教育に関するものが含まれているとは言え、薬学教育として重要なヒューマニズムや 医療倫理の育成を目的とした内容がこれら科目の主目的であるとは考えに難く、ヒュ ーマニズムなどの育成を目的とする内容は別科目として設定する必要がある。(3.医 療人教育の基本的内容) 3. ストレート卒業率は約60%であり、入学者選抜に当たって、入学後の教育に求められ る基礎学力が適確に評価されているとは言い難いので、既に着手されてはいるが、入 試問題や補欠入学の再検討、補欠入学者の入学後の状況、進級率、留年者及び退学者 の詳細な解析など、入試選抜方法のさらなる改善が必要である。(7.学生の受入) 4. 6年制薬学教育の内部質保証を図るためには、独自の評価項目を設定し、自主的に6 年制薬学教育プログラムの自己点検・評価を恒常的に行い、その結果を教育・研究活動 の改善に役立てる必要がある。(13.自己点検・評価) |
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1:提言 改善報告審議結果 2024/3/1 |
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| 国際医療福祉大学 | 私 | 栃木県 | 第1期 | 2019年度 | 継 |
自己点検・評価書 基礎資料 正誤票 |
評価報告書
総評
国際医療福祉大学 総評国際医療福祉大学薬学部薬学科は、医療福祉系総合大学の一学部として開設され、建学の理念に基づいた薬学部の「教育研究上の目的」が学則上に明記されている。さらに、薬学部の単一学科である薬学科の目的は、「国際医療福祉大学教育研究上の目的を定める規程」に記載されている。薬学教育カリキュラムは、基礎教育から専門教育へと学年の進行に沿って編成されているが、カリキュラム・ポリシー(教育課程の編成・実施の方針)が教育課程の編成と実施方針として設定されているとは言えない。4、6年次のカリキュラムが薬学共用試験(CBT(Computer Based Testing))および国家試験対策に過度に偏ったものとなっており、カリキュラム編成が適切であるとは言い難い。また、カリキュラムに関してこういった問題点を点検し、必要に応じた変更を行う体制が機能しているとは言えない。医療人教育の基本となる教育は、系統的に行われてはいるが、ヒューマニズム教育・医療倫理教育、コミュニケーションの基本的能力を身につけるための教育などに、カリキュラム編成の不備や学習方略・評価方法などに関する問題点が認められる。教養系科目は医療福祉系総合大学の特色を活かして、幅広い科目が開講されているものの、実際に選択できる科目は少ない。薬学専門教育に向けた準備教育やリメディアル教育は、入学前教育から開始されているが、入学後の教育は学生の入学前の学修歴を考慮した対応になってはいない。なお、安全教育はおおむね適正に実施されている。薬学専門教育の構成・内容は、薬学教育モデル・コアカリキュラムに準拠しており、大学独自の専門科目も医療福祉系総合大学の特色を活かして多く開講されている。実務実習の事前学習は、実務実習モデル・コアカリキュラムに基づいて行われており、薬学共用試験(CBTおよびOSCE(Objective Structured Clinical Examination))は、薬学共用試験センターの「実施要項」に基づいて適切に実施されている。実務実習施設への配属は、学生の希望や居住地を考慮して決定されており、薬局は関東地区調整機構、病院は大学附属病院、独自の契約病院、および関東地区調整機構により適切な規模のもの- 2 -が選定されている。卒業研究は5、6年次の必修科目として設定され、5年次の実務実習期間を除き、6年生の9月までがそのための期間として配置されており、卒業研究の時間は、単位数(4単位)に対応する時間が確保されている。卒業研究発表会は毎年9月上旬に薬学部主催で開催され、卒業論文は9月末までに提出されている。入学者選抜は、多様な志願者に対応できるよう6つの形式で実施されているが、合格者の決定に薬学部教授会の意見が反映できる制度となっていない。また、1、2年生において留年者、退学者が多いことから、入学者選抜において入学後の教育に求められる基礎学力を適確に評価する必要がある。成績評価の方法・基準は学則で規定され、学生に周知されており、各科目の成績評価はそれに基づいて行われている。評価結果に疑義がある場合は、答案の開示等が行われ、異議申し立てを行うことができるなど、公正な成績評価を行う体制が出来ている。進級と卒業の判定は、規程に沿った判定基準で厳正に行われているが、卒業の可否判断が実質的には国家試験受験に向けた演習科目である「特別薬学講義・演習」の合否に基づいて行われていることは好ましくない。学生の生活支援に関しては、奨学金制度の充実、学生相談室の設置など支援体制の整備がなされている。また、学生生活アンケートの実施など、学生の意見の抽出も行われて改善に結び付けている。専任教員数は大学設置基準を満たしているが、教育研究業績が十分ではない教員に対する学部からの指導、教員に対する教育研究費や卒業研究指導に係る経費の配分、研究時間への配慮が適切に行われているとは言えない。教育研究に必要な施設、設備、図書などの学習環境は整えられており、医療界との交流・連携などに関しては、複数の教員が地域の薬剤師会、病院薬剤師会の役員として、または、国や県の行政機関の委員会や審議会の委員として活動している。薬学教育プログラムについては、薬学部として適切な項目に対して自己点検・評価を行う体制・組織の整備が必要であり、特にカリキュラム編成、シラバス等について十分な自己点検・評価が行われているとは言えない。教育プログラムの質の担保と改善に向けて、自己点検・評価を恒常的に行い、その結果を教育研究活動の改善に反映するよう真摯かつ適切に取り組む必要がある。以上のように、国際医療福祉大学薬学部薬学科の薬学教育プログラムは、本機構の評価基準に照らして評価すると、多くの改善を必要とする重大な問題が見出される結果となっ- 3 -た。今回の評価で「適合水準に達していない」と評価された「中項目」について、末尾の「改善すべき点」で指摘されている問題点を中心として、全面的な改善を図り、再評価を申請されると共に、それら以外の中項目に関しても「改善すべき点」で指摘されている問題点の改善に努め、国際医療福祉大学薬学部の6年制薬学教育の向上・発展を図られることを期待する。
大学への提言
国際医療福祉大学 大学への提言1)助言1. 「国際医療福祉大学教育研究上の目的を定める規程」の薬学科の項に、上位規程となる学則が定めている「研究」への言及がないことは好ましくないので、学則と整合するよう修正することが望ましい。(1.教育研究上の目的)2. 薬学部の教育研究上の目的に「国際性」に関する内容を含めるようにすることが望ましい。(1.教育研究上の目的)3. 教職員に対して「教育研究上の目的」をFDなどを通じて周知することが望ましい。(1.教育研究上の目的)4. 教育研究上の目的について定期的に検証するよう努めることが望ましい。(1.教育研究上の目的)5. カリキュラム・ポリシーの周知のために教職員を対象としたFDを開催することが望ましい。(2.カリキュラム編成)6. 薬学部ホームページでカリキュラム・ポリシーを公表することが望ましい。(2.カリキュラム編成)7. 英語教育は実質的には1年次、2年次の必須科目での教育にとどまっており、3~6年次までの選択科目の履修者が極めて少ないので、履修者を増やす工夫をすることが望ましい。(3.医療人教育の基本的内容)8. 薬学専門領域の英語学習について、系統的な教育体系を整えることが望ましい。(3.医療人教育の基本的内容)9. 薬害、医療過誤、医療事故防止などに対する医療安全教育において、被害者の家族や弁護士などによる講義、講演会を実施することが望ましい。(3.医療人教育の基本的内容)10. 大学が主体となった生涯学習の意欲醸成のための直接的かつ体系的なプログラムが行われていないので、改善することが望ましい。(3.医療人教育の基本的内容)11. 独自性の高い「医療系総合大学の特徴を活かした科目」の履修を容易にするように時間割編成を考慮することが望ましい。(4.薬学専門教育の内容)12. 「病院・薬局事前実習Ⅰ」では、実務実習モデル・コアカリキュラムではない演習(基礎科目のCBT対策とみられる演習)については、内容を変更するなどの改善が望まれる。(5.実務実習)13. 実習全体の総合的な学習成果を適切な指標に基づいて評価することが望ましい。(5.- 39 -実務実習)14. 卒業研究の実質的な実施時間がシラバスおよび時間割上の設定期間・時間と乖離しているので、卒業研究の実質的な実施時間を反映した時間割の配置および単位設定に努めることが望ましい。(6.問題解決能力の醸成のための教育)15. 「研究マインド養成講座」および「集中講義」を「卒業研究の一部」と位置付けていることは適切でないので改善することが望ましい。(6.問題解決能力の醸成のための教育)16. 卒業研究(発表会・論文)の評価を公正かつ厳格に実施するシステムを整えて、実質的に複数教員によって実施するように努めることが望ましい。(6.問題解決能力の醸成のための教育)17. 問題解決能力醸成科目の単位数を基準にある18単位以上に増やすことが望ましい。(6.問題解決能力の醸成のための教育)18. 薬学部ホームページにアドミッション・ポリシーを掲載することが望ましい。(7.学生の受入)19. 医療人としての適性を評価する工夫として、全ての入試制度で面接を取り入れることが望まれる。(7.学生の受入)20. 一部のシラバス(「生命倫理」「化学系薬学実習Ⅰ」「特別薬学講義・演習」)に評価寄与率の記載漏れがあるので、記載することが望ましい。(8.成績評価・進級・学士課程修了認定)21. 各学年はじめに進級条件を新たに説明することが望ましい。(8.成績評価・進級・学士課程修了認定)22. ディプロマ・ポリシーを教職員に周知するためにFDを開催することが望ましい。(8.成績評価・進級・学士課程修了認定)23. ディプロマ・ポリシーを薬学部ホームページに掲載することが望ましい。(8.成績評価・進級・学士課程修了認定)24. 「特別薬学講義・演習」では、薬剤師教育の態度に関する形成的評価は行われておらず、6年間の教育成果の総合的な評価にはなっていないので、適切な評価法を確立して実施することが望ましい。(8.成績評価・進級・学士課程修了認定)25. 実験実習における教員1名あたりの担当学生数が20人を超えている一部の実習(基礎薬学実習(物理)、物理系薬学実習)については、安全性を考慮し、早急に担当教員を増員して担当学生数を20人以下にすることが望ましい。(9.学生の支援)- 40 -26. 医師教員は薬学部では実務家教員には分類されないので実務家教員の員数から除外することが望ましい。(10.教員組織・職員組織)27. 専任教員1名あたりの学生数が20名を超えているので、教育水準の一層の向上を図るために専任教員数の増員が望ましい。(10.教員組織・職員組織)28. ホームページ上の教員の活動の開示では、一部の教員では5年以上前の情報が記載されているので、毎年更新することが望ましい。(10.教員組織・職員組織)29. 薬学部担当職員の増員を行うことが望ましい。(10.教員組織・職員組織)30. 職員と教員との意見交換などを通した事務職員の資質向上の体制を整備することが望ましい。(10.教員組織・職員組織)31. 薬学部独自のFD、SD(事務職員と教員、技術職員等を対象)が行われていないので、開催することが望ましい。(10.教員組織・職員組織)32. 卒業研究に使用できる学生1人あたりのスペースが十分でない研究室があるので、卒業研究が十分実施可能となるような環境を整備することが望ましい。(11.学習環境)33. 薬学部が主体となった卒後研修プログラムの提供が行われていないので主体的に実施することが望ましい。(12.社会との連携)34. 主キャンパスが所在する大田原地区での公開講座が開催されていないので開催するよう努めることが望ましい。(12.社会との連携)35. 英文ホームページに研究内容を掲載するなど薬学部の教育研究活動を広く海外に発信することが望ましい。(12.社会との連携)36. 教員の海外留学が行われていないので体制を整え機能させることが望ましい。(12.社会との連携)37. 自己点検・評価を行う組織に外部委員を含むように努めることが望まれる。(13.自己点検・評価)2)改善すべき点1. 薬学部ホームページ上に教育研究上の目的を掲載するように改善する必要がある。(1.教育研究上の目的)2. カリキュラム・ポリシーを教育目標の列挙ではなく、「教育研究上の目的」およびディプロマ・ポリシーを達成するための方針となるように改善する必要がある。(2.カリキュラム編成)- 41 -3. カリキュラムを・ポリシーを設定する体制が機能しているとは言えないので、定期的な見直しを行うなど適切に機能するように改善する必要がある。(2.カリキュラム編成)4. 4、6年次後期において、予備校が担当する共用試験および国家試験対策と考えられる講義に正規科目が配置されるべき多くの時間数を割り当てているなど、高学年の教育が薬学共用試験および薬剤師国家試験の合格のみを目指した教育に過度に偏っているので、改善が必要である。(2.カリキュラム編成)5. カリキュラムの構築と教育効果の検証、これに基づいた改善等の迅速な対応を行う体制を整え、機能させるように改善する必要がある。(2.カリキュラム編成)6. 医療人教育の基本として重要な意味を持つヒューマニズム教育・医療倫理教育に関わる科目の設定が適切ではないことは、こういった教育が十分に行われていないことを意味しており、改善が必要である。(3.医療人教育の基本的内容)7. ヒューマニズム教育・医療倫理教育として不適切な科目以外の科目でも、多くの科目が座学に留まっており、SGD等の能動的学習方法を採用している科目が少ないので、改善が必要である。(3.医療人教育の基本的内容)8. ヒューマニズム教育・医療倫理教育科目において、学習成果を総合した目標達成度の指標を示した評価が行われていないので、改善することが必要である。(3.医療人教育の基本的内容)9. コミュニケーション能力および自己表現能力を涵養する科目において、学習成果を総合した目標達成度の指標を示した評価が行われていないので、改善することが必要である。(3.医療人教育の基本的内容)10. 新カリキュラムの英語科目において、「書く」に関する要素を実施する必要がある。(3.医療人教育の基本的内容)11. 入学後のリメディアル教育が学生の入学までの学修歴等を考慮した教育プログラムとなっていないので、改善することが必要である。(3.医療人教育の基本的内容)12. 早期体験実習において実施されている、薬剤師が活躍する現場の見学は実質的に1分野なので、全員が大学の設定した全分野にわたって広く見学できる体制をつくる必要がある。(3.医療人教育の基本的内容)13. 医療人教育については、薬学6年制教育において重要な意味を持つヒューマニズム教育・医療倫理教育を始め、カリキュラム編成や学習方法、目標達成度の評価などに多くの問題点が認められる。これらについて、薬学教育カリキュラムの構築を担う「薬- 42 -学部教務委員会」による点検・改善に向けた早急な対応が必要である。(3.医療人教育の基本的内容)14. 大学独自教育科目について、独自の科目および独自のSBOsであることが示されていないので、シラバス等に明示することが必要である。(4.薬学専門教育の内容)15. 事前学習の評価において総合的な目標達成度の評価が行われていないので、改善が必要である。(5.実務実習)16. 問題解決能力を醸成する科目において、能動的教育を実施している時間数と内容がシラバスに明確に示されていないので、改善する必要がある。(6.問題解決能力の醸成のための教育)17. 卒業研究を含めた問題解決能力の醸成に関する科目の成績評価において、個々の科目を総合した問題解決能力の醸成に対し、目標達成度の評価が行われていないので、改善する必要がある。(6.問題解決能力の醸成のための教育)18. 入学者の決定に際して、薬学部教授会には、入試判定会議による決定事項が報告されるのみで、合否判定には直接関与していないので、改善する必要がある。(7.学生の受入)19. 低学年の留年率・退学率が高い状況は、入学者選抜において入学後に必要な基礎学力が適確に評価されていないことを示しているので、合格とする基準を見直すなど、入学者選抜を改善すべきである。(7.学生の受入)20. 学力不足の入学者に対する、入学後のリメディアル教育の充実など、適切な対策を講じることが必要である。(8.成績評価・進級・学士課程修了認定)21. 薬剤師国家試験の対策科目としての性格が強い「特別薬学講義・演習」の試験が卒業試験として扱われ、卒業の可否が事実上この試験の合否によって決められていることは、学士課程の修了をディプロマ・ポリシーの到達によって判定しているとは言えないので、改善する必要がある。(8.成績評価・進級・学士課程修了認定)22. 過去5年間の業績が全くないか極めて少ない教員や教育に関する業績がほとんどない教員が見られるので、これらの教員に対しては、学部として適切な教育研究活動を行うよう指導する対応が必要である。(10.教員組織・職員組織)23. 各教員に対する個人教育研究費が予算化されていない制度を改め、予算化して配分するように改善する必要がある。(10.教員組織・職員組織)24. 卒業研究を指導するための経費が予算化されていない制度を改め、予算化して指導教員に配分するように改善する必要がある。(10.教員組織・職員組織)- 43 -25. 講義・実習の担当時間が過大な教員がいるので、研究時間が十分確保できるように改善する必要がある。(10.教員組織・職員組織)26. 薬学部独自の自己点検・評価を行う組織が常置され、機能しているとは言えないので、改善が必要である。(13.自己点検・評価)27. 薬学部独自の自己点検・評価書が作成されていないので、改善が必要である。(13.自己点検・評価)28. 本来大学が恒常的に行うべき教育プログラムに関する自己点検・評価とその結果の教育研究活動の改善への反映に対する恒常的・継続的な取り組みが十分に行われていないので、自己点検・評価・改善を担う体制を早急に整え、真摯かつ適切に機能させるように改善することが必要である。(13.自己点検・評価)
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異議審査書 |
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| 第1期 |
2019年度 |
継 |
異議審査書 |
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| 医療創生大学 | 私 | 福島県 | 第1期 | 2019年度 | 適 |
自己点検・評価書 基礎資料 正誤票 |
評価報告書
総評
医療創生大学 総評 医療創生大学薬学部は、「明星学苑」の校訓「健康、真面目、努力」のもと、「豊かな人間性を有し、地域の人々の健康を率先して守ることのできる、研究マインドと確かな知識に裏打ちされた、自律・自立した薬剤師を育成する」ことを教育研究上の目的として設定している。教育課程の編成・実施の方針(カリキュラム・ポリシー)は教育研究上の目的に沿って設定されている。カリキュラムはカリキュラム・ポリシーに基づき、豊かな人間性、主体的学習力ならびに問題解決能力を養うための医療創生大学薬学部の最大の特徴とする「イグナイト教育」と、基礎系科目、専門科目、臨床系科目が順次性をもって学年進行にそって構築されている。ヒューマニズム教育、医療倫理教育、およびコミュニケーションとプレゼンテーションに関する教育も、1~4年次に前述の「イグナイト教育」を中心に編成されている。東日本大震災の被災経験を基に、大学独自の選択科目として、1年次では「災害からの復興」、2年次では「地域・災害医療学」などの特徴ある科目を配置している。その他、薬学専門教育の実施に向けた準備教育、医療安全教育なども、質と量に懸念される点はあるが、順次性に配慮して行われている。薬学専門教育は、薬学教育モデル・コアカリキュラムにおおむね準拠しており、グループ学習やミニッツペーパー等の様々なアクティブラーニングを用いるなど学習領域に適した学習方略が用いられている。大学独自の薬学専門教育は、教育研究上の目的に基づいて3つの科目群を設定しており、先に述べた「災害からの復興」などの特徴ある科目は、「地域の人々の健康を率先して守ることのできる力を育む科目」に対応している。実務実習事前学習は、実務実習モデル・コアカリキュラムに準拠し、実務家教員8名に- 2 -よる適切な指導体制の下に行われている。「実務実習実施本部」が、実務実習施設の割振り、実習施設との連携、実習生への対応などを行い、病院・薬局実習は適切に行われている。卒業研究は、4年次に実験を中心とする「卒業研究A」あるいは文献調査研究である「卒業研究B」のいずれかを選択し、6年次前期まで行われている。問題解決能力の醸成のための教育は、実質的な実施時間が短いとの懸念があるが、グループ学習を取り入れた「イグナイト教育2A」や「プレゼンテーション(アドバンストイグナイト(処方解析))」において実施されている。入学者選抜は、入学者受入方針(アドミッション・ポリシー)に基づき、AO入学試験、推薦入学試験、一般入試、センター試験利用入試の4種類の入学試験が実施されているが、入学生の学力が薬学教育に十分であるか、さらには編入学生の薬学教育に求められる医療人教育科目の履修に懸念される点がある。学生の成績評価、進級判定、卒業判定は、学則等の関連する諸規程に基づいて行われているとしているが、種々の懸念される点が存在している。各科目における成績評価の方法はシラバスに明記されているが、不備が散見される。学生への支援は、チューター制による履修・学生生活の指導、複数の奨学金制度による経済的支援が行われ、ハラスメント防止や障がい学生に対する体制も整っている。健康管理センターによるヘルスケア、メンタルケア等の学生の健康維持を支援する体制が整備されている。教員組織については、専任教員数は大学設置基準を満たしており、教員の資格、授業科目の担当状況も適切である。教員の採用・昇任は、大学の規程に基づいて適正に行われている。教育研究に必要な講義室、実験室、図書館などの学習環境は十分に整備されている。社会との連携については、地域の薬剤師会と積極的に連携するなど適切な取り組みが行われている。自己点検・評価については、「薬学部自己点検評価委員会」を設置して行っているが、これらの組織が十分に機能しているとは判断できない。以上のように、医療創生大学薬学部の教育プログラムは、本機構の評価基準におおむね適合していると判断される。しかし、以下のような問題点があり、改善が必要である。(1) 6年次の授業編成が薬剤師国家試験対策の教育に偏っていると判断されるため、改善する必要がある。- 3 -(2) イグナイト教育におけるヒューマニズム・医療倫理教育に係る授業回数は少なく、また、SGDなどの能動的参加型学習法を用いた授業も限られているので、改善する必要がある。(3) ヒューマニズム教育・医療倫理教育において、総合的な目標達成度を評価するための指標が設定され、それに基づいて適切に評価されることが実施されていないので、改善する必要がある。(4) 授業科目が薬学教育モデル・コアカリキュラムの到達目標を網羅していないので、早急に改善する必要がある。(5) 問題解決能力の醸成に関する関連科目を総合して評価するための指標を設定して評価を行っていないので、改善する必要がある。(6) 留年率、退学率が高く、6年次におけるストレート在籍率は 0.5 を下回っていることから、入学者選抜に当たって、入学後の教育に求められる基礎学力が適確に評価されていないことが考えられるので、改善する必要がある。(7) 実質的な卒業試験と考えられる「薬学総合演習(ファーマドリルファイナル)」の成績評価方法、再試験の受験資格およびシラバスの記載には問題があるので改善する必要がある。(8) 6年次の国家試験受験準備科目である「薬学総合演習(ファーマドリルファイナル)」の合否で実質的卒業認定が行われており、ディプロマ・ポリシーに基づいた学士課程修了認定はなされていないので改善する必要がある。(9) 6年制薬学教育プログラムを点検・評価するための適切な項目を設定し、定期的に自己点検・評価をするように「薬学部自己点検評価委員会」を整備し機能させる必要がある。医療創生大学薬学部には、本評価で指摘された改善すべき点および助言を踏まえて、改善に取り組み、イグナイト教育など特色ある教育プログラムを効果的に活かして、より優れた6年制薬学教育が展開されることを期待する。
大学への提言
医療創生大学 大学への提言1)助言1. 薬学科の「教育研究上の目的」には、教育上の目的が薬剤師育成について設定されているが、薬学部が行う研究上の目的が含まれていないので、改善が望まれる。(1.教育研究上の目的)2. 教育研究上の目的の教職員への周知は、「履修の手引」やホームページだけであり、十分に行われているとは言い難いので、改善が望まれる。(1.教育研究上の目的)3. オリエンテーションおよび「イグナイト教育1A」の資料に記載されている教育研究上の目的が、学則に定められている文言と異なるので一致させることが望まれる。(1.教育研究上の目的)4. 教育研究上の目的は、定期的には検証されていないので、改善が望まれる。(1.教育研究上の目的)5. カリキュラム・ポリシーについて、学生・教職員に対しての周知、ならびに薬学部パンフレットなどを通じて受験生にも十分周知することが望まれる。(2.カリキュラム編成)6. 科目の単位数の設定が「履修の手引」に沿っていない科目があるので、改善すること- 43 -が望まれる。(「薬学要説(化学系)」「薬学要説(生物系)」は8コマを1単位とし、「化学演習1」は30コマで1単位としている)(2.カリキュラム編成)7. 教養教育として設定している全学共通教育科目の中の選択科目のうち、人文社会系科目等に必修科目と時間割が重複しているもの(履修できない科目;文学の世界、邦楽入門、経済学入門、社会学入門、地球環境の科学、統計のしくみ)があるので、履修できるように時間割を工夫することが望まれる。(3.医療人教育の基本的内容)8. 入学までの学習歴を考慮したリメディアル教育プログラムについて改善が望まれる。(3.医療人教育の基本的内容)9. 薬害被害者や弁護士を講師とした授業はあるが、医療における安全管理者などの話を聞く機会はないので、学生が医療安全に関して肌で感じる機会をさらに提供するように改善が望まれる。(3.医療人教育の基本的内容)10. 生涯学習に対する意欲を醸成するための教育内容を充実させることが望まれる(3.医療人教育の基本的内容)11. 「生涯学習研修会」などの生涯学習のプログラムは提供されているが、学部生の参加を増やす方策を講じることが望まれる。(3.医療人教育の基本的内容)12. 実務実習事前学習に密接に関連する科目である「臨床薬物動態学」、「医薬品情報学」、「調剤系実習」に関して、実務実習事前学習の内容であることが、シラバスの「授業の概要」(教育目標)に記載されていないので、学生がこれらの科目を実務実習につながる科目として学んでいないことが懸念されるので、改善することが望まれる。(5.実務実習)13. 実務実習の総合的な学習成果を測定するための指標を設定し、それに基づいて適切に評価することが望まれる。(5.実務実習)14. 研究成果の医療や薬学における位置づけを考察して卒業論文を作成することについて、卒業論文作成要領およびシラバスの一般目標、到達目標に記載がないので、それらに記載するとともに学生に指導して卒業論文に反映されるように改善することが望まれる。(6.問題解決能力の醸成のための教育)15. 問題解決型学習の実施時間を適切に確保し、体系的な問題解決能力の醸成に向けた教育が行われるように、改善することが望まれる。(6.問題解決能力の醸成のための教育)16. 薬学部パンフレットと入試要項に記載されている入学者受入方針(アドミッション・ポリシー)の内容が、薬学部ホームページや「履修の手引」と異なっているので、一- 44 -致させることが望まれる。(7.学生の受入)17. 一般入試とセンター試験利用入試において、面接等によって医療人としての適性を評価する工夫をすることが望まれる。(7.学生の受入)18. 一部の基礎実習(化学系実習、物理系実習)の評価方法は、学習領域(技能)に適した評価方法とは言えず、改善することが望まれる。(8.成績評価・進級・学士課程修了認定)19. 学生が成績評価に対して疑問を生じた場合には、成績質問受付期間に大学事務局内の教務課を通じて科目担当教員に確認することができることを、「履修の手引」に記載して学生に周知することが望まれる。(8.成績評価・進級・学士課程修了認定)20. 薬学部の教育研究上の目的に基づいた教育における総合的な学習成果を適切に評価するための指標は設定されていないので、指標を設定し、その指標に基づいて評価することが望まれる。(8.成績評価・進級・学士課程修了認定)21. 教授の半数以上が60歳代であり、年齢構成にやや偏りが見られるので改善が望まれる。(10.教員組織・職員組織)22. 一部の教員に過去6年間に論文や学会発表がなく、研究活動の活性化が望まれる。(10.教員組織・職員組織)23. 担当授業時間数に教員間で大きな差があるので、改善が望まれる。(10.教員組織・職員組織)24. 事務職員が大学共通部署に配属されており、薬学部専任の事務職員はいないので、適切に配置することが望まれる。(10.教員組織・職員組織)25. 「薬学部自己点検評価委員会」には外部委員は在籍しないので、改善が望まれる。(13.自己点検・評価)2)改善すべき点1. 6年次の授業編成が薬剤師国家試験対策の教育に偏っていると判断されるため、改善する必要がある。(2.カリキュラム編成)2. イグナイト教育におけるヒューマニズム・医療倫理教育に係る授業回数は少なく、また、SGDなどの能動的参加型学習法を用いた授業も限られているので、改善する必要がある。(3.医療人教育の基本的内容)3. ヒューマニズム教育・医療倫理教育において、総合的な目標達成度を評価するための指標が設定され、それに基づいて適切に評価されることが実施されていないので、改- 45 -善する必要がある。(3.医療人教育の基本的内容)4. コミュニケーション能力を養う教育について、授業回数および学習方略を改善する必要がある。(3.医療人教育の基本的内容)5. コミュニケーション能力および自己表現能力を身につけるための教育において、学習成果を総合した目標達成度を評価するための指標が設定され、それに基づいて適切に評価されることが実施されていないので、改善する必要がある。(3.医療人教育の基本的内容)6. 授業科目が薬学教育モデル・コアカリキュラムの到達目標を網羅していないので、早急に改善する必要がある。(4.薬学専門教育の内容)7. シラバスの表記に以下のような不備が散見されるので、改善する必要がある。(4.薬学専門教育の内容)① 「授業の概要」に薬学教育モデル・コアカリキュラムの一般目標が記載されていない。② 授業形態に、当該科目で用いる学習方略の記載漏れがある。③ 授業内容に対応しないSBOの記載が散見される。④ 大学独自科目の表示が分かりにくく、その根拠が説明されていない。⑤ 成績評価方法と寄与率の記載が分かりにくい。8. 到達目標に適した学習方略を用いた教育が行われていない授業科目があるので、改善する必要がある。(4.薬学専門教育の内容)9. 実務実習事前学習の目標達成度を評価するための指標を設定し、それに基づいて適切に評価することが必要である。(5.実務実習)10. 卒業研究の実施時間が十分に確保されていないので、改善する必要がある。(6.問題解決能力の醸成のための教育)11. 卒業論文の評価を複数の教員によって行うように改善する必要がある。(6.問題解決能力の醸成のための教育)12. 問題解決能力の醸成に関する関連科目を総合して評価するための指標を設定して評価を行っていないので、改善する必要がある。(6.問題解決能力の醸成のための教育)13. 薬学部教授会には、入試判定会議による決定事項が報告されるのみで、合否判定には直接は関与していないので、改善する必要がある。(7.学生の受入)14. 留年率、退学率が高く、6年次におけるストレート在籍率は0.5を下回っていることから、入学者選抜に当たって、入学後の教育に求められる基礎学力が適確に評価されて- 46 -いないことが考えられるので、改善する必要がある。(7.学生の受入)15. 編入学者は、出身学部によっては薬学教育に求められている「早期体験学習(早期臨床体験)」等の医療人教育を履修していない可能性が強く懸念されるので、編入学者に対する医療人教育が十分行われるように改善する必要がある。(7.学生の受入)16. 出席を評価項目としているのは、適正な評価項目ではないので、改善する必要がある。(8.成績評価・進級・学士課程修了認定)17. 「臨床薬学2」において、本試験 60 点以上の場合のみ、小テスト・レポートの評価を加点する、ならびに「薬品分析学1」、「調剤系実習」において全員に一律に加算点が与えられるという評価方法は適正ではないので、早急に改善する必要がある。(8.成績評価・進級・学士課程修了認定)18. 実質的な卒業試験と考えられる「薬学総合演習(ファーマドリルファイナル)」のシラバスの記載には問題があるので改善する必要がある。(8.成績評価・進級・学士課程修了認定)19. 予備校模擬試験を受験することを、「薬学総合演習(ファーマドリルファイナル)」の再試験の受験資格にしていることは不適切であるので、早急に改善する必要がある。(8.成績評価・進級・学士課程修了認定)20. 6年次の国家試験受験準備科目である「薬学総合演習(ファーマドリルファイナル)」の合否で実質的卒業認定が行われており、ディプロマ・ポリシーに基づいた学士課程修了認定はなされていないので改善する必要がある。(8.成績評価・進級・学士課程修了認定)21. 6年制薬学教育プログラムを点検・評価するための適切な項目を設定し、定期的に自己点検・評価をするように「薬学部自己点検評価委員会」を整備し機能させる必要がある。(13.自己点検・評価)22. 自己点検・評価の結果を教育研究活動に反映する体制を整備し、その結果を教育研究活動の改善に反映させる必要がある。(13.自己点検・評価)
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| 第1期 |
2019年度 |
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1:提言 改善報告審議結果 2025/1/10 |
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| 熊本大学 | 国 | 熊本県 | 第1期 | 2019年度 | 適 |
自己点検・評価書 基礎資料 正誤票 |
評価報告書
総評
熊本大学 総評熊本大学薬学部は6年制薬学科と4年制創薬・生命薬科学科の2学科を設置しており、薬学科では、「医療系薬学及び衛生・社会系薬学を中心とした応用的学問を修得し、高度化する医療において薬物治療に貢献する薬剤師や臨床研究者として活躍する人材の育成を目的とする」という教育研究上の目的の下に、入学者受入の方針(アドミッション・ポリシー)、教育課程の編成・実施の方針(カリキュラム・ポリシー)、学位授与の方針(ディプロマ・ポリシー)を、整合性を持って設定し、医療を取り巻く環境ならびに社会の薬剤師に対するニーズを反映した薬学教育を行っている。カリキュラムは、ディプロマ・ポリシーを踏まえて定められたカリキュラム・ポリシーの体系性、段階性、個別化の方針に沿って編成されており、それは薬学教育モデル・コアカリキュラムに対応したものとなっている。すなわち、ヒューマニズム教育・医療倫理教育、コミュニケーション能力教育は各学年の進行に相応した内容の科目を配置して学年進行形で順次性をもって体系的かつ効果的に行われている。教養教育は総合大学の特色を活かして、共通する主題のもとに複数の科目を1パッケージとして学修して多面的な理解・考察力の醸成する科目パッケージ制を含めて、人文・社会科学から自然科学まで幅広い領域にわたる科目が開講されている。語学教育は、英語を中心として、低学年における基礎的な語学力から、高学年での専門性を考慮した語学力まで、各学年を通じて体系的に教育が行われている。薬学専門科目では、基礎と応用・臨床を相互に関連付け、かつ目的意識を持って学修できるように、基礎的科目とそれらに関連する応用・臨床的科目が順次性に配慮しながら年次進行とともに適切に配置されている。薬学共用試験も適切に実施されている。実務実習事前学習、実務実習も適切な体制の下で実務実習モデル・コアカリキュラムに沿って適正に実施されており、「病院実務実習」では医学部医学科臨床実習(ポリクリ)- 2 -と連携・参画する参加型実務実習を行って教育効果を高めている。卒業研究は1年以上実施されており、各自その成果を卒業論文としてまとめるとともに、薬学部主催の卒業論文発表会で口頭発表している。学生の受入は、推薦入学試験と一般入学試験により行われているが、いずれもアドミッション・ポリシーに基づいて適切に行われており、入学定員数に対する入学者数にも問題はない。また、成績評価・進級判定・学士課程修了認定は、ディプロマ・ポリシーに基づいて公正かつ厳格に行われている。学生への履修指導や学習指導は研究室配属までは担任教員、研究室配属後は当該分野の所属教員が対応して適切に行われている。学生の経済的支援は、入学料免除制度および授業料免除制度の設置、各種奨学金等に関する情報提供、大学独自の奨学金制度の設置等により対応している。また、学生の健康維持、心身的な支援などの体制、ハラスメント対応、実験・実習での安全教育体制も整っている。専任教員は各専門分野において研究・教育に優れた実績を有するものが配置されており、教員数、実務家教員数も大学設置基準を十分満たしている。教員の採用、昇任は、規程に基づいて、研究実績を含めた研究能力、教育上の指導能力等を総合的に判断して行われている。また、研究室、講義室、実習室、演習室、セミナー室、実務実習事前学習のための模擬薬局および摸擬病室、コンピューター演習室、動物飼育施設、RI施設、薬用植物園、図書館などの施設、各種の設備も整備されており、学習環境も整っている。また、FD(FacultyDevelopment)活動も問題なく行われている。社会との連携として、熊本の企業との共同研究講座の設置、熊本県との共同提案事業の実施、海外の大学・研究所との大学間および部局間交流などを活発に行っている。また、教員が熊本地区の薬剤師会、病院などの委員を務め、地域の薬学の発展に貢献している。また、各種の関連学会の役員・委員を務め、それぞれの団体との連携を図っている。さらに、点検評価のために、薬学部運営会議のもとにワーキンググループが設置されており、教育プログラムに対する自己点検・評価、その結果の教育研究活動への反映も行われている。以上のように、熊本大学薬学部薬学科の6年制薬学教育プログラムは、本機構の評価基準におおむね適合していると判断される。しかし、以下のような問題点があり、改善が必要である。- 3 -(1) ヒューマニズム教育・医療倫理教育、コミュニケーション能力・自己表現能力の醸成教育、実務実習事前学習、および問題解決能力を醸成する教育において、それぞれ総合した目標達成度の指標を設定し、それに基づいた適切な評価を行う必要がある。(2) 科目の全部あるいはその一部に独自性を持つ科目においては、その独自性がシラバスで確認できるように、シラバスの記載方法を改善することが必要である。(3) 薬局実務実習において、一部の薬局で実習日数が実務実習モデル・コアカリキュラムで求められている標準の日数より不足しているので、学生、実習施設の指導者、教員の間の連携を強化し、実務実習が適正に実施されるよう、改善することが必要である。(4) 薬局・病院実務実習評点表において採点基準を定めることが必要である。(5) 「卒業前総括講義」の評価の一部に外部機関の国家試験模擬試験の結果を取り入れているので改善することが必要である。(6) 教育プログラムの自己点検・評価を必要な全ての評価項目について継続的に実施・公表し、教育研究活動の改善に恒常的に取り組む必要がある。熊本大学薬学部薬学科は、本評価での改善すべき点、助言を踏まえ、積極的に改善に取り組み、さらに発展することを期待する。
大学への提言
熊本大学 大学への提言1)長所1. 複数の科目において、病院、行政、薬局など、薬剤師が活躍している様々な領域やその関連領域から講師を招き、その講義等を通じて実際の職務や活動、今後の方向性、生涯学習の重要性などを理解するように努め、生涯学習の必要性を早期から意識付け、認識するための教育が行われている。(3.医療人教育の基本的内容)2)助言1. 薬学部の教育研究上の目的の教職員や学生に対する周知は主として学生便覧の配付という形に依存しており、積極的な周知は図られていないため、FDやガイダンス等の場を活用して一層の周知に努めるよう改善することが望まれる。(1.教育研究上の目的)2. 教育研究上の目的は、薬学部教務委員会が深い関わりを持つカリキュラム・ポリシーならびにディプロマ・ポリシーの策定の基盤となるものであり、今後のカリキュラムマネジメントの確立に向けた取組みと密接に関わる事柄でもあるため、教育研究上の目的の検証に薬学部教務委員会が関与するように改善することが望まれる。(1.教育研究上の目的)3. カリキュラム・ポリシーの教職員および学生への周知は主としてこの学生便覧の配付という形に依存しており、積極的な周知は図られていないので、教職員にはFD、学生にはガイダンス等の場を活用して一層の周知に努めるよう改善することが望まれる。(2.カリキュラム編成)4. カリキュラム・ツリーの学生への周知が図られていないので、ガイダンス等の場を活用して周知に努めるよう改善することが望まれる。(2.カリキュラム編成)5. 大学の卒後教育の研修会への学部生の参加がないので、学生に生涯学習に対する意欲を醸成するための教育が体系的に行われるよう、改善することが望まれる。(3.医療人教育の基本的内容)6. 複数の教員が授業を担当している場合、各教員が担当している部分がわからないので、それぞれの担当部分をシラバスに明記するようにすることが望ましい。(4.薬学専門教育の内容)7. 個々の科目のシラバスにおいて基礎と臨床の知見の相互の関連付けが十分に記載されていない科目が見られるので、シラバスの「授業の目的」「授業の概要」等の項目で、- 41 -科目内での基礎と臨床の知見の相互の関連付けがわかるように記述するよう、改善することが望ましい。(4.薬学専門教育の内容)8. 科目において担当教員の中に非常勤講師がいる場合は、シラバスに非常勤講師であることを明記するよう、改善することが望ましい。(4.薬学専門教育の内容)9. 卒業研究の評価を公正かつ厳格に行うために、卒業論文の評価は適切な指標を設定し、それに基づいて複数の教員で行うよう、改善することが望ましい。(6.問題解決能力の醸成のための教育)10. 一般入試において調査書等の段階別評価や面接の活用などの工夫により、医療人としての適性や主体性を持って多様な人と協働して学ぶ基礎的素養を有する学生を選抜できるような入試体制を整備することが望まれる。(7.学生の受入)11. 学生便覧では秀、優、良、可が示す評点の範囲は示されていないので、秀、優、良、可が示す評点の範囲を学生便覧に示すよう、改善することが望ましい。(8.成績評価・進級・学士課程修了認定)12. ディプロマ・ポリシーの教職員および学生への周知は主としてこの学生便覧の配付という形に依存しており、積極的な周知は図られていないため、FDやガイダンス等の場を活用して一層の周知に努めるよう改善することが望まれる。(8.成績評価・進級・学士課程修了認定)13. 総合的な学習成果の測定を行うための指標設定等の基盤となるルーブリック、学修成果可視化システム(ASO)は構築されているが、それらのシステムが教職員および学生には十分に浸透しておらず、それらの実際の運用については改善が望まれる。(8.成績評価・進級・学士課程修了認定)14. 複数の講義室・実習室ではバリアフリーとなっていないため、バリアフリー化するよう改善することが望ましい。(9.学生の支援)15. 一部の教員については、ホームページの最近の業績が更新されていないところがあるので、ホームページを最新のものに適宜更新するよう、改善することが望ましい。(10.教員組織・職員組織)16. 実務家教員は個人の努力で常に新しい医療に対応するために自己研鑽に努めている状態にあるので、制度として実務家教員のスキル向上を支援する体制を構築するよう、改善することが望ましい。(10.教員組織・職員組織)17. 一部の教員に授業負担が重くなっているので、授業担当時間数の継続的な見直し、教員の退職に伴う欠員の補充などに努め、個々の教員の授業担当時間数が適正な範囲内- 42 -となるよう、改善することが望ましい。(10.教員組織・職員組織)18. 自己点検・評価体制には外部委員が含まれておらず、外部委員を整備するよう、改善することが望まれる。(13.自己点検・評価)3)改善すべき点1. ヒューマニズム教育・医療倫理教育において、総合した目標達成度評価のための指標は設定されていないので、これを設定し、それに基づいた適切な評価を行う必要がある。(3.医療人教育の基本的内容)2. コミュニケーション能力および自己表現能力を身につけるための教育において、関連科目の学習成果を総合した目標達成度評価のための適切な指標は設定されていないので、これを設定し、それに基づいた適切な評価を行う必要がある。(3.医療人教育の基本的内容)3. シラバスにSBOsが示されていない科目や、科目全体についての大雑把な記述だけで各回の授業内容の対応が示されていない科目も見られるので、「到達目標」の欄などに履修内容に対応してSBOsを記載するよう改善する必要がある。(4.薬学専門教育の内容)4. 科目の全部あるいはその一部に独自性を持つ科目においては、その独自性がシラバスで確認できるよう、シラバスの記載方法を改善することが必要である。(4.薬学専門教育の内容)5. 実務実習事前学習において、総合した事前実習全体としての目標達成度を評価するための指標は設定されておらず、指標を設定して適切に評価するよう、改善することが必要である。(5.実務実習)6. 薬局実務実習において、一部の薬局で週5日で9週間での実習が行われており、薬局実務実習日数として実務実習モデル・コアカリキュラムで求められている標準の実習日数(週5日で 11 週間)より不足しているので、薬局実務実習日数として実務実習モデル・コアカリキュラムで求められている日数より短くならないように、学生、実習施設の指導者、教員の間の連携を強化し、実務実習が適正に実施されるよう、改善が必要である。(5.実務実習)7. 薬局・病院実務実習評点表において採点基準が定められていないので、採点基準を定めるよう、改善することが必要である。(5.実務実習)8. 問題解決型学習と位置付ける各科目には評価指標が設定されているものの、問題解決- 43 -能力の醸成に向けた総合的な目標達成度の指標や評価基準が設定されていないので、卒業研究を含めた問題解決能力の醸成に関する科目を総合した目標達成度の指標を設定して、適切に評価するよう改善することが必要である。(6.問題解決能力の醸成のための教育)9. 成績評価がいくつかの方法で行われている科目において、最終成績に寄与する各評価方法の割合や評価基準が明記されていない科目があるので、明記するように改善することが必要である。(8.成績評価・進級・学士課程修了認定)10. 「卒業前総括講義」の評価において、外部機関の 1 月末の国家試験模試の結果を取り入れていることは不適切であるので、改善が必要である。(8.成績評価・進級・学士課程修了認定)11. 平成 26 年度の自己評価では「6年制薬学科教育の内部質保証」を目的としての評価項目のすべてを評価しておらず不十分であるので、必要とする評価項目をすべて評価するよう、改善が必要である。(13.自己点検・評価)12. 自己点検・評価が恒常的に行われているとは言い難いので、自己点検・評価を継続的に実施・公表するよう、改善が必要である。(13.自己点検・評価)
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| 第1期 |
2019年度 |
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1:提言 改善報告審議結果 2025/1/10 |
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| 国際医療福祉大学 | 私 | 栃木県 | 第1期 | 2019年度 | 継 |
自己点検・評価書 基礎資料 正誤票 |
評価報告書
総評
国際医療福祉大学 総評国際医療福祉大学薬学部薬学科は、医療福祉系総合大学の一学部として開設され、建学の理念に基づいた薬学部の「教育研究上の目的」が学則上に明記されている。さらに、薬学部の単一学科である薬学科の目的は、「国際医療福祉大学教育研究上の目的を定める規程」に記載されている。薬学教育カリキュラムは、基礎教育から専門教育へと学年の進行に沿って編成されているが、カリキュラム・ポリシー(教育課程の編成・実施の方針)が教育課程の編成と実施方針として設定されているとは言えない。4、6年次のカリキュラムが薬学共用試験(CBT(Computer Based Testing))および国家試験対策に過度に偏ったものとなっており、カリキュラム編成が適切であるとは言い難い。また、カリキュラムに関してこういった問題点を点検し、必要に応じた変更を行う体制が機能しているとは言えない。医療人教育の基本となる教育は、系統的に行われてはいるが、ヒューマニズム教育・医療倫理教育、コミュニケーションの基本的能力を身につけるための教育などに、カリキュラム編成の不備や学習方略・評価方法などに関する問題点が認められる。教養系科目は医療福祉系総合大学の特色を活かして、幅広い科目が開講されているものの、実際に選択できる科目は少ない。薬学専門教育に向けた準備教育やリメディアル教育は、入学前教育から開始されているが、入学後の教育は学生の入学前の学修歴を考慮した対応になってはいない。なお、安全教育はおおむね適正に実施されている。薬学専門教育の構成・内容は、薬学教育モデル・コアカリキュラムに準拠しており、大学独自の専門科目も医療福祉系総合大学の特色を活かして多く開講されている。実務実習の事前学習は、実務実習モデル・コアカリキュラムに基づいて行われており、薬学共用試験(CBTおよびOSCE(Objective Structured Clinical Examination))は、薬学共用試験センターの「実施要項」に基づいて適切に実施されている。実務実習施設への配属は、学生の希望や居住地を考慮して決定されており、薬局は関東地区調整機構、病院は大学附属病院、独自の契約病院、および関東地区調整機構により適切な規模のもの- 2 -が選定されている。卒業研究は5、6年次の必修科目として設定され、5年次の実務実習期間を除き、6年生の9月までがそのための期間として配置されており、卒業研究の時間は、単位数(4単位)に対応する時間が確保されている。卒業研究発表会は毎年9月上旬に薬学部主催で開催され、卒業論文は9月末までに提出されている。入学者選抜は、多様な志願者に対応できるよう6つの形式で実施されているが、合格者の決定に薬学部教授会の意見が反映できる制度となっていない。また、1、2年生において留年者、退学者が多いことから、入学者選抜において入学後の教育に求められる基礎学力を適確に評価する必要がある。成績評価の方法・基準は学則で規定され、学生に周知されており、各科目の成績評価はそれに基づいて行われている。評価結果に疑義がある場合は、答案の開示等が行われ、異議申し立てを行うことができるなど、公正な成績評価を行う体制が出来ている。進級と卒業の判定は、規程に沿った判定基準で厳正に行われているが、卒業の可否判断が実質的には国家試験受験に向けた演習科目である「特別薬学講義・演習」の合否に基づいて行われていることは好ましくない。学生の生活支援に関しては、奨学金制度の充実、学生相談室の設置など支援体制の整備がなされている。また、学生生活アンケートの実施など、学生の意見の抽出も行われて改善に結び付けている。専任教員数は大学設置基準を満たしているが、教育研究業績が十分ではない教員に対する学部からの指導、教員に対する教育研究費や卒業研究指導に係る経費の配分、研究時間への配慮が適切に行われているとは言えない。教育研究に必要な施設、設備、図書などの学習環境は整えられており、医療界との交流・連携などに関しては、複数の教員が地域の薬剤師会、病院薬剤師会の役員として、または、国や県の行政機関の委員会や審議会の委員として活動している。薬学教育プログラムについては、薬学部として適切な項目に対して自己点検・評価を行う体制・組織の整備が必要であり、特にカリキュラム編成、シラバス等について十分な自己点検・評価が行われているとは言えない。教育プログラムの質の担保と改善に向けて、自己点検・評価を恒常的に行い、その結果を教育研究活動の改善に反映するよう真摯かつ適切に取り組む必要がある。以上のように、国際医療福祉大学薬学部薬学科の薬学教育プログラムは、本機構の評価基準に照らして評価すると、多くの改善を必要とする重大な問題が見出される結果となっ- 3 -た。今回の評価で「適合水準に達していない」と評価された「中項目」について、末尾の「改善すべき点」で指摘されている問題点を中心として、全面的な改善を図り、再評価を申請されると共に、それら以外の中項目に関しても「改善すべき点」で指摘されている問題点の改善に努め、国際医療福祉大学薬学部の6年制薬学教育の向上・発展を図られることを期待する。
大学への提言
国際医療福祉大学 大学への提言1)助言1. 「国際医療福祉大学教育研究上の目的を定める規程」の薬学科の項に、上位規程となる学則が定めている「研究」への言及がないことは好ましくないので、学則と整合するよう修正することが望ましい。(1.教育研究上の目的)2. 薬学部の教育研究上の目的に「国際性」に関する内容を含めるようにすることが望ましい。(1.教育研究上の目的)3. 教職員に対して「教育研究上の目的」をFDなどを通じて周知することが望ましい。(1.教育研究上の目的)4. 教育研究上の目的について定期的に検証するよう努めることが望ましい。(1.教育研究上の目的)5. カリキュラム・ポリシーの周知のために教職員を対象としたFDを開催することが望ましい。(2.カリキュラム編成)6. 薬学部ホームページでカリキュラム・ポリシーを公表することが望ましい。(2.カリキュラム編成)7. 英語教育は実質的には1年次、2年次の必須科目での教育にとどまっており、3~6年次までの選択科目の履修者が極めて少ないので、履修者を増やす工夫をすることが望ましい。(3.医療人教育の基本的内容)8. 薬学専門領域の英語学習について、系統的な教育体系を整えることが望ましい。(3.医療人教育の基本的内容)9. 薬害、医療過誤、医療事故防止などに対する医療安全教育において、被害者の家族や弁護士などによる講義、講演会を実施することが望ましい。(3.医療人教育の基本的内容)10. 大学が主体となった生涯学習の意欲醸成のための直接的かつ体系的なプログラムが行われていないので、改善することが望ましい。(3.医療人教育の基本的内容)11. 独自性の高い「医療系総合大学の特徴を活かした科目」の履修を容易にするように時間割編成を考慮することが望ましい。(4.薬学専門教育の内容)12. 「病院・薬局事前実習Ⅰ」では、実務実習モデル・コアカリキュラムではない演習(基礎科目のCBT対策とみられる演習)については、内容を変更するなどの改善が望まれる。(5.実務実習)13. 実習全体の総合的な学習成果を適切な指標に基づいて評価することが望ましい。(5.- 39 -実務実習)14. 卒業研究の実質的な実施時間がシラバスおよび時間割上の設定期間・時間と乖離しているので、卒業研究の実質的な実施時間を反映した時間割の配置および単位設定に努めることが望ましい。(6.問題解決能力の醸成のための教育)15. 「研究マインド養成講座」および「集中講義」を「卒業研究の一部」と位置付けていることは適切でないので改善することが望ましい。(6.問題解決能力の醸成のための教育)16. 卒業研究(発表会・論文)の評価を公正かつ厳格に実施するシステムを整えて、実質的に複数教員によって実施するように努めることが望ましい。(6.問題解決能力の醸成のための教育)17. 問題解決能力醸成科目の単位数を基準にある18単位以上に増やすことが望ましい。(6.問題解決能力の醸成のための教育)18. 薬学部ホームページにアドミッション・ポリシーを掲載することが望ましい。(7.学生の受入)19. 医療人としての適性を評価する工夫として、全ての入試制度で面接を取り入れることが望まれる。(7.学生の受入)20. 一部のシラバス(「生命倫理」「化学系薬学実習Ⅰ」「特別薬学講義・演習」)に評価寄与率の記載漏れがあるので、記載することが望ましい。(8.成績評価・進級・学士課程修了認定)21. 各学年はじめに進級条件を新たに説明することが望ましい。(8.成績評価・進級・学士課程修了認定)22. ディプロマ・ポリシーを教職員に周知するためにFDを開催することが望ましい。(8.成績評価・進級・学士課程修了認定)23. ディプロマ・ポリシーを薬学部ホームページに掲載することが望ましい。(8.成績評価・進級・学士課程修了認定)24. 「特別薬学講義・演習」では、薬剤師教育の態度に関する形成的評価は行われておらず、6年間の教育成果の総合的な評価にはなっていないので、適切な評価法を確立して実施することが望ましい。(8.成績評価・進級・学士課程修了認定)25. 実験実習における教員1名あたりの担当学生数が20人を超えている一部の実習(基礎薬学実習(物理)、物理系薬学実習)については、安全性を考慮し、早急に担当教員を増員して担当学生数を20人以下にすることが望ましい。(9.学生の支援)- 40 -26. 医師教員は薬学部では実務家教員には分類されないので実務家教員の員数から除外することが望ましい。(10.教員組織・職員組織)27. 専任教員1名あたりの学生数が20名を超えているので、教育水準の一層の向上を図るために専任教員数の増員が望ましい。(10.教員組織・職員組織)28. ホームページ上の教員の活動の開示では、一部の教員では5年以上前の情報が記載されているので、毎年更新することが望ましい。(10.教員組織・職員組織)29. 薬学部担当職員の増員を行うことが望ましい。(10.教員組織・職員組織)30. 職員と教員との意見交換などを通した事務職員の資質向上の体制を整備することが望ましい。(10.教員組織・職員組織)31. 薬学部独自のFD、SD(事務職員と教員、技術職員等を対象)が行われていないので、開催することが望ましい。(10.教員組織・職員組織)32. 卒業研究に使用できる学生1人あたりのスペースが十分でない研究室があるので、卒業研究が十分実施可能となるような環境を整備することが望ましい。(11.学習環境)33. 薬学部が主体となった卒後研修プログラムの提供が行われていないので主体的に実施することが望ましい。(12.社会との連携)34. 主キャンパスが所在する大田原地区での公開講座が開催されていないので開催するよう努めることが望ましい。(12.社会との連携)35. 英文ホームページに研究内容を掲載するなど薬学部の教育研究活動を広く海外に発信することが望ましい。(12.社会との連携)36. 教員の海外留学が行われていないので体制を整え機能させることが望ましい。(12.社会との連携)37. 自己点検・評価を行う組織に外部委員を含むように努めることが望まれる。(13.自己点検・評価)2)改善すべき点1. 薬学部ホームページ上に教育研究上の目的を掲載するように改善する必要がある。(1.教育研究上の目的)2. カリキュラム・ポリシーを教育目標の列挙ではなく、「教育研究上の目的」およびディプロマ・ポリシーを達成するための方針となるように改善する必要がある。(2.カリキュラム編成)- 41 -3. カリキュラムを・ポリシーを設定する体制が機能しているとは言えないので、定期的な見直しを行うなど適切に機能するように改善する必要がある。(2.カリキュラム編成)4. 4、6年次後期において、予備校が担当する共用試験および国家試験対策と考えられる講義に正規科目が配置されるべき多くの時間数を割り当てているなど、高学年の教育が薬学共用試験および薬剤師国家試験の合格のみを目指した教育に過度に偏っているので、改善が必要である。(2.カリキュラム編成)5. カリキュラムの構築と教育効果の検証、これに基づいた改善等の迅速な対応を行う体制を整え、機能させるように改善する必要がある。(2.カリキュラム編成)6. 医療人教育の基本として重要な意味を持つヒューマニズム教育・医療倫理教育に関わる科目の設定が適切ではないことは、こういった教育が十分に行われていないことを意味しており、改善が必要である。(3.医療人教育の基本的内容)7. ヒューマニズム教育・医療倫理教育として不適切な科目以外の科目でも、多くの科目が座学に留まっており、SGD等の能動的学習方法を採用している科目が少ないので、改善が必要である。(3.医療人教育の基本的内容)8. ヒューマニズム教育・医療倫理教育科目において、学習成果を総合した目標達成度の指標を示した評価が行われていないので、改善することが必要である。(3.医療人教育の基本的内容)9. コミュニケーション能力および自己表現能力を涵養する科目において、学習成果を総合した目標達成度の指標を示した評価が行われていないので、改善することが必要である。(3.医療人教育の基本的内容)10. 新カリキュラムの英語科目において、「書く」に関する要素を実施する必要がある。(3.医療人教育の基本的内容)11. 入学後のリメディアル教育が学生の入学までの学修歴等を考慮した教育プログラムとなっていないので、改善することが必要である。(3.医療人教育の基本的内容)12. 早期体験実習において実施されている、薬剤師が活躍する現場の見学は実質的に1分野なので、全員が大学の設定した全分野にわたって広く見学できる体制をつくる必要がある。(3.医療人教育の基本的内容)13. 医療人教育については、薬学6年制教育において重要な意味を持つヒューマニズム教育・医療倫理教育を始め、カリキュラム編成や学習方法、目標達成度の評価などに多くの問題点が認められる。これらについて、薬学教育カリキュラムの構築を担う「薬- 42 -学部教務委員会」による点検・改善に向けた早急な対応が必要である。(3.医療人教育の基本的内容)14. 大学独自教育科目について、独自の科目および独自のSBOsであることが示されていないので、シラバス等に明示することが必要である。(4.薬学専門教育の内容)15. 事前学習の評価において総合的な目標達成度の評価が行われていないので、改善が必要である。(5.実務実習)16. 問題解決能力を醸成する科目において、能動的教育を実施している時間数と内容がシラバスに明確に示されていないので、改善する必要がある。(6.問題解決能力の醸成のための教育)17. 卒業研究を含めた問題解決能力の醸成に関する科目の成績評価において、個々の科目を総合した問題解決能力の醸成に対し、目標達成度の評価が行われていないので、改善する必要がある。(6.問題解決能力の醸成のための教育)18. 入学者の決定に際して、薬学部教授会には、入試判定会議による決定事項が報告されるのみで、合否判定には直接関与していないので、改善する必要がある。(7.学生の受入)19. 低学年の留年率・退学率が高い状況は、入学者選抜において入学後に必要な基礎学力が適確に評価されていないことを示しているので、合格とする基準を見直すなど、入学者選抜を改善すべきである。(7.学生の受入)20. 学力不足の入学者に対する、入学後のリメディアル教育の充実など、適切な対策を講じることが必要である。(8.成績評価・進級・学士課程修了認定)21. 薬剤師国家試験の対策科目としての性格が強い「特別薬学講義・演習」の試験が卒業試験として扱われ、卒業の可否が事実上この試験の合否によって決められていることは、学士課程の修了をディプロマ・ポリシーの到達によって判定しているとは言えないので、改善する必要がある。(8.成績評価・進級・学士課程修了認定)22. 過去5年間の業績が全くないか極めて少ない教員や教育に関する業績がほとんどない教員が見られるので、これらの教員に対しては、学部として適切な教育研究活動を行うよう指導する対応が必要である。(10.教員組織・職員組織)23. 各教員に対する個人教育研究費が予算化されていない制度を改め、予算化して配分するように改善する必要がある。(10.教員組織・職員組織)24. 卒業研究を指導するための経費が予算化されていない制度を改め、予算化して指導教員に配分するように改善する必要がある。(10.教員組織・職員組織)- 43 -25. 講義・実習の担当時間が過大な教員がいるので、研究時間が十分確保できるように改善する必要がある。(10.教員組織・職員組織)26. 薬学部独自の自己点検・評価を行う組織が常置され、機能しているとは言えないので、改善が必要である。(13.自己点検・評価)27. 薬学部独自の自己点検・評価書が作成されていないので、改善が必要である。(13.自己点検・評価)28. 本来大学が恒常的に行うべき教育プログラムに関する自己点検・評価とその結果の教育研究活動の改善への反映に対する恒常的・継続的な取り組みが十分に行われていないので、自己点検・評価・改善を担う体制を早急に整え、真摯かつ適切に機能させるように改善することが必要である。(13.自己点検・評価)
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異議審査書 |
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| 第1期 |
2019年度 |
- |
1:提言 改善報告審議結果 2024/3/1 |
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| 城西大学 | 私 | 埼玉県 | 第1期 | 2019年度 | 適 |
自己点検・評価書 基礎資料 正誤票 |
評価報告書
総評
城西大学 総評城西大学薬学部は薬学科、薬科学科、医療栄養学科の3学科を設置しており、薬学科では「基本的な薬学の知識に加え、医療人として専門知識と実践力、さらには倫理性を兼ね備え、人々の健康増進を積極的に支援する薬剤師の育成を目指す」という教育研究上の目的に基づいて、入学者受入の方針(アドミッション・ポリシー)、教育課程の編成・実施の方針(カリキュラム・ポリシー)、学位授与の方針(ディプロマ・ポリシー)を定めており、これらに基づいてカリキュラムを編成している。ヒューマニズム教育・医療倫理教育は、SGD(small group discussion) やTBL(team-based learning) などの方略を用いた実習や演習等を行うだけでなく、他大学や地域住民とともに「彩の国連携力育成プロジェクト」を実施することにより、効果的に実施されている。教育課程の構成と教育目標は薬学教育モデル・コアカリキュラムに準拠しており、各科目のディプロマ・ポリシーの5つのアウトカムおよび「薬剤師として求められる基本的な資質」へのつながりを示すカリキュラム・ツリー、カリキュラム・マップ、および科目対応表が作成されている。実務実習は薬学教育モデル・コアカリキュラムおよび実務実習ガイドラインに準拠して実施されており、病院実習では大学独自契約施設または関東地区調整機構を介する施設へ、薬局実習ではすべて関東地区調整機構を介する施設へ学生を配属している。新カリキュラムの卒業研究では、4年次5月に各研究室に学生を配属させている。前年度の成績が上位1/3にあたる学生には、2年次もしくは3年次から卒業研究を前倒しで実施できる早期配属制度を設けている。入学者の選抜は、主としてAO入学試験、指定校推薦入学試験、一般入学試験、大学入試センター試験利用入学試験の複数の方法で実施している。成績評価、進級判定、卒業判定は、関連する諸規定に基づいて公平かつ厳正に実施されている。学生支援においては、入学予定者が学生生活を円滑に開始できるように、教員と上級生- 2 -サポーターも参加して、入学直前に「フレッシュマンキャンプ」を実施している。さらに、在学生にメールで質問ができるピアサポート制度を取り入れている。薬学科の専任教員は 50 名(その内 23 名が教授)であり、大学設置基準に定められた専任教員数を満たしている。教員の採用および昇任は、ステップ評価と「城西大学業務規則」、薬学部教授会で定める基準に基づき行われている。薬学科が使用する施設・設備は6年制薬学教育に必要な基準を満たしている。全学共用の「水田記念図書館」が薬学部の近くに設置され、十分な図書、電子ジャーナル、閲覧席が提供されており、学生ピアサポート、学生選書、ビブリオバトル等の活動により、図書館の利用を促している。地域連携活動では、平成6年より埼玉県薬剤師会および埼玉県病院薬剤師会と連携して「埼玉医療薬学懇話会」を組織し、埼玉県を中心とした地域における薬剤師の資質向上に努めている。薬学教育プログラムに関する自己点検・評価では、学内教員、事務職員、外部委員からなる「薬学教育自己点検評価委員会」を設置し、各委員会の活動を点検している。以上のように、城西大学薬学部薬学科の教育プログラムは、本機構の評価基準におおむね適合している。しかし、以下のような問題点があり、改善が必要である。(1) 「薬学総合演習C」に補講等も含めるとCBT(Computer Based Testing)対策に多くの時間を費やしており、カリキュラムが薬学共用試験の合格を目指した教育に過度に偏っているので、改善が必要である。(2) ヒューマニズム教育・医療倫理教育において、目標達成度を総合的に評価するための指標の設定や、それに基づく評価はなされていないため、改善が必要である。(3) コミュニケーション能力・自己表現能力を身につけるための教育全体の達成度について総合的に評価する指標の設定には至っていないため、改善が必要である。(4) シラバスには、薬学教育モデル・コアカリキュラムに準拠した一般目標、オムニバス科目の場合には授業の各項目の担当教員、モデル・コアカリキュラムのSBOs(Specific Behavioral Objectives)番号、基礎と臨床の関連付け、大学独自の薬学専門教育科目が記載されていないため、授業方法欄の記載事項を明確に規定しこれらを明記することにより、学生に理解しやすいシラバスを作成するように、改善が必要である。- 3 -(5) 実務実習事前学習の主要な部分は4年次前期の4〜5月に実施されている。実務実習開始まで9ヶ月以上の期間があり、適切な時期に実施されているとはいえないため、改善が必要である。(6) 問題解決能力の醸成に向けた教育の総合的な目標達成度の指標の設定が十分ではないため、改善が必要である。(7) 委員会活動だけでなく、薬学教育研究活動全般にPDCAサイクルを十分機能させ、薬学教育プログラムの改善に努める必要がある。城西大学薬学部薬学科には、本評価の提言を踏まえ、教員が一丸となって積極的に改善に取り組むことにより、さらに優れた6年制薬学教育プログラムを構築することを期待する。
大学への提言
城西大学 大学への提言1)長所- 47 -1. 県内4大学合同の「彩の国連携力育成プロジェクト」と称するIPEプロジェクトへの参加は、多職種の信頼関係の構築を学ぶだけでなく、市民・生活者との関わりの中での問題発見とその解決につながる学びを実践している特色ある取り組みとして評価できる。(3.医療人教育の基本的内容)2. 2、3年次の低学年から研究を体験する選択科目が配置され、大学院進学者数の増加につながっていることは、評価できる。(6.問題解決能力の醸成のための教育)3. 卒業研究の妥当性を検証する形成的評価を目的とした、卒業研究の取り組みとそれによる成長に関する評価は、学生のモチベーションの向上につながっており、この評価方法を6年制第2期の学生から継続して実施していることは、特色ある取り組みとして評価できる。(6.問題解決能力の醸成のための教育)4. 図書館において、学生ピアサポーター(学生アドバイザー)の導入、新刊書情報の発信、図書館主催の講演会、学生による選書、ビブリオバトルなど活発な活動が行われており、薬学科生の利用状況も良好である点は評価できる。(11.学習環境)2)助言1. 大学のホームページに記載されている教育研究上の目的の文言が学則と一致していないため、改善が望まれる。(1.教育研究上の目的)2. 教育研究上の目的には、教育に関する記述はあるものの研究に関する記述がないので、研究についても明記するように、改善が望まれる。(1.教育研究上の目的)3. 薬学科のホームページのトップページから「理念及び教育研究上の目的」の記載ページへのリンクをわかりやすくすることが望まれる。(1.教育研究上の目的)4. 教育研究上の目的を改正する必要があるか否かなど、定期的に検証することが望まれる。(1.教育研究上の目的)5. 城西大学では3つのポリシーの改定版が全学年に適用されているが、すでに学修が進んでいる平成28年度以前の入学生のカリキュラムとカリキュラム・ポリシーの整合性がとれなくなるため、本来の趣旨に沿って、入学年度のポリシーを卒業時まで適用することが望まれる。(2.カリキュラム編成)6. 平成26年度版と平成29年度改定版のカリキュラム・ポリシーは、それぞれ設定時に入学した学生に適用されるものであるため、印刷物やホームページには改定版だけでなく、在校生の入学年度のものも併記することが望まれる。(2.カリキュラム編成)7. 学生が自己学習の時間を十分に確保できるようなカリキュラム編成や時間割編成とな- 48 -るよう工夫が望まれる。(2.カリキュラム編成)8. 「薬学総合演習A」と「薬学総合演習B」にヒューマニズム教育に関連する内容が含まれているが、シラバスには記載がないので、記載することが望まれる。(3.医療人教育の基本的内容)9. 医療人教育の基本的内容に関わる教科目の単位数の合計は卒業要件の1/5に相当する38単位には達していないので、科目数(単位数)を増やすことが望まれる。(3.医療人教育の基本的内容)10. 教養科目は1、2年で履修することになっているが、実際には2年次の時間割構成では履修しにくいため、時間割を見直すことが望まれる。(3.医療人教育の基本的内容)11. 薬学専門教育に接続できるような教養科目がほとんどないため、薬学領域の学習と関連付けて履修できる体系的なカリキュラムを編成することが望まれる。(3.医療人教育の基本的内容)12. 薬害被害者の家族や弁護士などの話を聴く機会がないため、改善が望まれる。(3.医療人教育の基本的内容)13. 生涯教育講座に学部学生が参加しやすい環境を整えるように、改善が望まれる。(3.医療人教育の基本的内容)14. 「海外薬学英語研修Ⅰ・Ⅱ・Ⅲ」、「薬学韓国語」、「薬学中国語」を選択科目として開講しているが、平成30年度には履修者がいなかったので、グローバルな視点を有する薬剤師の養成に向け、改善が望まれる。(4.薬学専門教育の内容)15. 実務実習事前学習の実技の部分は4年次5月に終わり、実務実習まで9ヶ月以上の期間があるため、実習直前に学生の実務実習に関わる技能や態度の定着を確認するように、改善が望まれる。(5.実務実習)16. 「卒業研究」以外の問題解決能力の醸成に向けた教育が不十分なので、問題解決能力の醸成に向けて十分な実施時間数の確保が望まれる。(6.問題解決能力の醸成のための教育)17. アドミッション・ポリシーが、ディプロマ・ポリシーおよびカリキュラム・ポリシーと整合して設定されているか、またどの入試区分に対応しているのかについては関連性が明確にされていないため、改善が望まれる。(7.学生の受入)18. 十分な基礎学力と共に医療人としての適性が評価できるように、入学者選抜方法の改善が望まれる。(7.学生の受入)- 49 -19. 成績判定に疑義がある場合には各授業担当者が対応することになっているため、疑義を問い合わせる制度を確立することが望まれる。(8.成績評価・進級・学士課程修了認定)20. 進級基準では、全学年で「未修得3科目までは進級を認めることがある」、5から6年次についても「「病院実習」「薬局実習」および「導入講義・演習」は進級対象外とすることもある」とあり、表現が曖昧であるため、改善が望まれる。(8.成績評価・進級・学士課程修了認定)21. 健康診断の受診率は平成30年度の新入生は99.6%、他学年の平均は93.2%であるが、3、4年次生で80%台と低いため、改善が望まれる。(9.学生の支援)22. 学生の意見を学生生活の改善につなげるように、改善が望まれる。(9.学生の支援)23. 専任教員1名あたりの学生数が20名を超えており、教育水準のより一層の向上のために、専任教員数を増やすことが望まれる。(10.教員組織・職員組織)24. 基礎資料15において教育研究活動が不十分な教員が認められるが、それらの状況を分析し、改善に向けて指導対応することが望まれる。(10.教員組織・職員組織)25. すべての実務家教員が研鑽を積む制度を学部として整備していないため、改善が望まれる。(10.教員組織・職員組織)26. 週当たり授業時間数は、教授に比べ准教授や助教の負担が大きく、担当科目数も教員間で大きな格差があるので、改善が望まれる。(10.教員組織・職員組織)27. 学内に外部資金調達のためのアドバイスを行う専門部署などが設置されていないため、改善が望まれる。(10.教員組織・職員組織)28. 教員の海外研究渡航制度や海外研究員規程はあるが、近年薬学科教員の長期留学の実績がないので、制度の周知を図ると共に、利用を推進することが望まれる。(12.社会との連携)29. 6年制薬学教育の内部質保証という観点から、薬学教育プログラムに関する点検・評価を継続的に実施することが望まれる。(13.自己点検・評価)3)改善すべき点1. 「薬学総合演習C」に補講等も含めるとCBT対策に多くの時間を費やしており、カリキュラムが薬学共用試験の合格を目指した教育に過度に偏っているので、改善が必要である。(2.カリキュラム編成)2. 6年次前期には6月後半から平日のすべてを国家試験対策授業に費やしており、カリ- 50 -キュラムが薬剤師国家試験の合格を目指した教育に過度に偏っているので、改善が必要である。(2.カリキュラム編成)3. ヒューマニズムならびに医療倫理教育に関連する各科目の成績評価において、到達目標に応じた評価指標の設定やそれによる評価を実施するまでには至っていない科目があるので、改善が必要である。(3.医療人教育の基本的内容)4. ヒューマニズム教育・医療倫理教育において目標達成度を総合的に評価するための指標の設定や、それに基づく評価がなされていないため、改善が必要である。(3.医療人教育の基本的内容)5. 人文系、社会系、自然系の教養科目の開講数は多いが、語学を除く教養科目の卒業に要する単位は少なく、物事を多角的にみる能力および豊かな人間性・知性を養うための教育が行われているとはいえないため、カリキュラムの修正が必要である。(3.医療人教育の基本的内容)6. コミュニケーション能力・自己表現能力を身につけるための教育全体の達成度について総合的に評価する指標の設定には至っていないため、改善が必要である。(3.医療人教育の基本的内容)7. 早期体験学習において、薬剤師が活躍する現場の見学は1人1分野のみなので、全員が複数の分野を見学できる体制をつくるように、改善が必要である。(3.医療人教育の基本的内容)8. シラバスには、薬学教育モデル・コアカリキュラムに準拠した一般目標、オムニバス科目の場合には授業の各項目の担当教員、モデル・コアカリキュラムのSBOs番号、基礎と臨床の関連付け、大学独自の薬学専門教育科目が記載されていないため、授業方法欄の記載事項を明確に規定しこれらを明記することにより、学生に理解しやすいシラバスを作成するように、改善が必要である。(4.薬学専門教育の内容)9. 一部の技能・態度に関するSBO項目が、講義・演習科目で対応されているため、適切な学習方法と評価方法を取り入れるように、改善が必要である。(4.薬学専門教育の内容)10. 実務実習事前学習の主要な部分は4年次前期の4〜5月に実施されている。実務実習開始まで9ヶ月以上の期間があり、適切な時期に実施されているとはいえないため、改善が必要である。(5.実務実習)11. 「薬学総合実習演習B・C」のルーブリックは科目の評価指標としては工夫されているが、事前学習全体の総合的な評価ではないため、実務実習事前学習の総合的な目標- 51 -達成度を評価する指標を設定し、それに基づいて適切に評価することが必要である。(5.実務実習)12. 旧カリキュラムでは「卒業研究」の期間が十分ではないため、改善が必要である。(6.問題解決能力の醸成のための教育)13. 「卒業研究」以外の問題解決能力の醸成のための科目について、目標到達度を評価するための指標を設定し、それに基づいて適切に評価するよう、改善が必要である。(6.問題解決能力の醸成のための教育)14. 「医療人としての成長を1〜6年の間継続して評価するためのルーブリック」の1項目である「研究能力」の項を問題解決能力の醸成に向けた教育の総合的な目標達成度の評価に用いるためには、学生の自己評価だけでなく教員による評価も行うよう、改善が必要である。(6.問題解決能力の醸成のための教育)15. 問題解決能力の醸成に向けた教育の総合的な目標達成度の指標の設定が十分ではないため、改善が必要である。(6.問題解決能力の醸成のための教育)16. 低学年次において退学者や留年者が多く、ストレート卒業率も低く推移していることから、入学者の選抜において、基礎学力を適切に評価するように、改善が必要である。(7.学生の受入)17. シラバスの成績評価方法に個々の寄与率が示されていない科目、レポートを加味することがあるという曖昧な表現を記載している科目があるため、成績評価基準を明確に記載するように、改善が必要である。(8.成績評価・進級・学士課程修了認定)18. 出席状況を評価に加えている科目があるので、適切な評価を行うように、改善が必要である。(8.成績評価・進級・学士課程修了認定)19. 地震に関するマニュアルに火災への対応は含まれているが、事故や火災の防止と対応に特化したマニュアルの整備が必要である。(9.学生の支援)20. 各委員会や個々の教職員に対して実施と報告を求める業務評価や業績評価だけでは不十分なため、6年制薬学教育の内部質保証を目的とした点検・評価項目を自主的に設定し、それに基づく自己点検・評価を実施するよう改善が必要である。(13.自己点検・評価)21. 薬学部で実施している自己点検・評価の結果をホームページなどに公開する必要がある。(13.自己点検・評価)22. 委員会活動だけでなく、教育研究活動全般にPDCAサイクルを十分機能させ、6年制薬学教育プログラムの改善に取り組む必要がある。(13.自己点検・評価)- 52 -23. 「自己点検・評価書」、「基礎資料」および添付資料に多くの誤記や齟齬が認められ、さらにその修正も不正確であるなど、自己点検・評価の体制が十分であったとはいえず、自己点検・評価体制を整備し、機能させることが必要である。(13.自己点検・評価)
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2019年度 |
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1:提言 改善報告審議結果 2024/1/15 |
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| 城西国際大学 | 私 | 千葉県 | 第1期 | 2019年度 | 適 |
自己点検・評価書 基礎資料 正誤票 |
評価報告書
総評
城西国際大学 総評城西国際大学薬学部は、医療を取り巻く環境の変化(超高齢社会、医療の国際化)の中で薬剤師に求められる社会のニーズ(安心・安全な薬物治療の提供、在宅医療への関わり、健康支援)を踏まえ、「超高齢化と国際化が進む日本社会において、質が高く安心・安全な医療サービスを提供し、健康的で豊かな生活を支援できる薬剤師の育成」を「教育研究上の目的」としている。この「教育研究上の目的」の下に、入学者受入の方針(アドミッション・ポリシー)、教育課程の編成・実施の方針(カリキュラム・ポリシー)、学位授与の方針(ディプロマ・ポリシー)が整合性を持って設定されている。カリキュラムは、「V-Actl'on」という教育プログラムを通して「薬剤師資格の基盤となる専門知識を状況に応じて発揮する力」、「地域住民の健康を支える力」、「療養患者に希望を与える力」を涵養することを大学独自の教育目標として編成されている。ヒューマニズム教育・医療倫理教育において、各学年の目標到達度の指標となる「JIU薬・マイルストーン」を策定し、「臨床マインド」醸成過程の各学年での到達目標を示している。医療人として、薬学専門家として活躍するために必要な、人と社会の関わりについて学ぶヒューマニズム教育をすべての学年で実践している。カリキュラムは、独自に「臨床マインド科目群/キャリア形成科目群」を1年次~4年次まで順次性と体系性をもって配置し、5年次の「病院実務実習」、「薬局実務実習」、5年次、6年次の「専門科目群Ⅱ」へとつなげている。多種多様な大学独自科目を導入し、また大学独自のSBOs(Specific BehavioralObjectives)を設定して低学年から高学年まで、城西国際大学の理念と薬学部の教育研究上の目標を反映した医療人教育が実践されている。- 2 -実務実習事前学習では、目標達成度を評価する「病院・薬局事前学習自己評価表(日誌・成長記録)」が作成され、学生が各項目の達成度を自己評価している。「実習施設訪問手順」や「病院・薬局実務実習Q&A」などを介して実習担当教員と指導薬剤師の連携の円滑化を常に図り、大学と施設、大学と地区調整機構との連携体制が適切に構築されている。卒業論文発表会後に学生は卒業論文をまとめるばかりでなく、学生用ルーブリック評価表を用いて「自己分析レポート」を作成することで自己/他己分析力の修得を促している。問題解決能力の醸成に向けた教育を実践するために各学年に配置されている「臨床マインド科目群/キャリア形成科目群」に属する科目ではPBL(Problem Based Learning)、SGD(Small Group Discussion)、プレゼンテーションなどの能動的参加型学習を取り入れた授業が積極的に行われている。「薬学総合演習及び卒業試験」では、試験成績に基づく評価だけでなく、自己評価・学生相互評価・教員評価・教員以外の第三者による客観的評価を組み入れた「成長報告書」による形成的評価を実施している。1年次秋学期に開講される「総合演習Ⅰ」において、同学年の成績上位者がチューターとなって学習指導を行う少人数ワークを行い、基礎学力の向上を図ることで上級学年の学習への移行が容易になるよう取り組んでいる。専任教員数は、教授 18 名、准教授 13 名、助教4名の計 35 名であり、学生の収容定員780 名に対する大学設置基準で定められた専任教員数(30 名)を上回っている。実務家教員は8名で、設置基準の専任教員数に基づく必要数(5名)を上回っている効果的な教育が推進できるように、講義室、施設・設備が規模と数の観点から適切に整えられている。千葉大学、千葉科学大学との大学間連携共同教育推進事業(三大学薬学部GP)として「実践社会薬学の確立と発展に資する薬剤師養成プログラム」を推進している。以上、城西国際大学の6年制薬学教育プログラムは、本機構の評価基準におおむね適合していると判断される。しかし、但し書きに加え、以下のような問題点があり改善が必要である。(1)5年次、6年次時間割の「薬学総合演習」/「卒業研究」という記載は不適切なので、改善することが必要である。(2)一部の教養科目、語学科目、準備教育科目が、薬学部の学生便覧やシラバス、ホー- 3 -ムページに履修可能な科目として掲載されているにもかかわらず、薬学部の専門科目等と開講時間が重なる、開講していないなどの理由で履修できない状況にあるので、改善することが必要である。(3)シラバスには、1)「必修」、「選択」、「選択必修」の区別が明記されていない、2)各回の講義内容に対応するモデル・コアカリキュラムのSBOsの記載が欠如している科目があり記載項目に統一性がない、などの問題があり、改善が必要である。(4)実務実習事前学習全体の「目標達成度」を評価する総合的な指標が設定されていないため、実務実習事前学習の最終評価が適切になされているとは言えないので改善する必要がある。(5)卒業研究は独立した科目として4年次、5年次、6年次の時間割に組み込み、単位数に応じた時間数が確保されるように改善することが必要である。(6)公平性を担保した客観的な評価を行うという観点から、指導教員(主査)のみが卒業論文の評価を行う方法は問題があるので、副査用の評価基準を定め、複数の教員で卒業論文を審査するように改善する必要がある。(7)低学年での留年率が依然として高く、またストレート卒業率が 50%を大きく下回っているので、入試別・成績別の追跡調査などを行い、各入試形態において志願者の学力をより適正に評価するための指標と基準を改めて設定する必要がある。(8)「薬学総合演習及び卒業試験」の合否基準がシラバスで確認できるように改善することが必要である。(9)必修科目の全ての講義を助教1人が担当するのは好ましくないので、改善する必要がある。(10)6年制薬学教育の内部質保証を目的として、薬学部としての点検・評価項目を設けて薬学部全体で自己点検・評価を行う体制を速やかに構築すべきである。城西国際大学薬学部には、今回の評価における改善すべき点や助言に適切に対応することで6年制薬学教育プログラムをさらに発展させ、今後も大学の独自性を活かした教育研究が推進されることを期待する。
大学への提言
城西国際大学 大学への提言1)長所1. 各学年におけるヒューマニズム教育・医療倫理教育の到達目標を、「JIU薬・マイルストーン」として示している点は評価できる。(3.医療人教育の基本的内容)2. 多種多様な大学独自科目を導入することにより、低学年から高学年まで高度な医療人教育が実践されていることは評価される。(4.薬学専門教育の内容)3. 実務実習事前学習における学習目標と到達目標を各学生に設定させ、その到達度を自己評価、他学生によるピア評価、教員による評価で確認していく「日誌・成長記録」の導入は、独自の取り組みとして評価できる。(5.実務実習)4. 卒業研究発表会終了後、学生には卒業論文をまとめさせるばかりでなく、「学生用ルーブリック評価表」の活用や「自己分析レポート」の作成を通して自己/他己分析力の修得を促している点は評価できる。(6.問題解決能力の醸成のための教育)2)助言1. 城西国際大学薬学部の「教育研究上の目的」には「研究」に関する内容が盛り込まれていないので、改善することが望まれる。(1.教育研究上の目的)2. 「教育研究上の目的」とカリキュラム・ポリシーとのつながりが理解しにくくなっているので、カリキュラム・ポリシーの前文を見直すことが望まれる。(2.カリキュラム編成)3. 臨床マインド科目群という呼称は、薬学教育・薬剤師教育を実践する上でイメージしやすく理解しやすい表現であるが、学生への周知のためにもその目標と内容を学生便- 43 -覧などに趣旨説明とともに記載することが望まれる。(3.医療人教育の基本的内容)4. 人文・社会科学系教養科目の数が少なく履修の機会も限られているので、教養教育の充実を図ることが望まれる。(3.医療人教育の基本的内容)5. 有効な語学教育を継続的に実践するために、3年次以降の「Introduction to HealthScience」や「薬学実践英語(Practical English for Pharmacists)」の必修化を考慮することが望まれる。(3.医療人教育の基本的内容)6. 1年次の通年科目である「薬学基礎物理」「薬学基礎化学」「薬学基礎生物」の秋学期の内容が「総合演習Ⅰ」とかなり重複していることから、各科目の独立性と関連性について、これらの科目を履修する学生に対し、分かりやすく説明することが望まれる。(3.医療人教育の基本的内容)7. 薬害や医療過誤の被害者や家族を講師として招聘して医療事故防止に関する教育をより積極的に行うことが望まれる。(3.医療人教育の基本的内容)8. 「医療薬学系実習Ⅱ」のすべてのコマ数を事前学習としてカウントするのは不適切なので、そのうちから事前学習にふさわしいものだけを選び、それらのコマ数の集計をもとに自己評価することが望まれる。(5.実務実習)9. 「病院・薬局事前学習」の評価について、シラバスと「病院・薬局事前学習」の学習手引きの間で記載に齟齬があるため修正することが望まれる。(5.実務実習)10. 実務実習の総合的評価には、別途そのための指標と評価基準を設定し、それに基づく評価やアンケート調査を行うことが望まれる。(5.実務実習)11. 4年次 10 月から卒業研究を開始しているのであれば、4年次秋学期の授業時間割に「卒業研究」を記載することが望まれる。(6.問題解決能力の醸成のための教育)12. 問題解決型学習の実質的な実施時間数が卒業要件単位数の 1/10 に満たないので、問題解決能力を醸成する学習時間を増やすことが望まれる。(6.問題解決能力の醸成のための教育)13. 社会のニーズや学習環境の変化に応じてアドミッション・ポリシーを迅速に修正できるようにするため、改訂の手続きを規程や内規などの形で明文化することが望まれる。(7.学生の受入)14. 医療人としての適性を評価するために、前期日程入試にも面接を取り入れることが望まれる。(7.学生の受入)15. ディプロマ・ポリシーの策定・点検・改定をタイムリーに行える体制を組織的に構築することが望まれる。(8.成績評価・進級・学士課程修了認定)- 44 -16. 成績判定の疑義に対する学生からの問い合わせを成績表交付日1日しか受け付けないことは学生の不利益につながるので、問い合わせ期間を延長するといった改善が望まれる。(8.成績評価・進級・学士課程修了認定)17. 低学年(1~3年次)における留年率、並びに卒業延期率を改善する取り組みをより効果的に継続することが望まれる。(8.成績評価・進級・学士課程修了認定)18. 入学時からの年次ごとの目標達成度、そして卒業時の目標達成度を評価するための指標と評価基準を設け、それらによって6年制教育の成果を総合的に評価することが望まれる。(8.成績評価・進級・学士課程修了認定)19. 全学的なキャリア支援体制は組織されているが、6年制薬学部卒業生の就職における特殊性に鑑み、就職委員会委員を増員するなどして薬学部における就職支援体制を強化することが望まれる。(9.学生の支援)20. 専任教員一人当たりの学生数が約 20 名と多く、教員の負担が大きいと判断されるので教員をさらに増員することが望まれる。(10.教員組織・職員組織)21. 最近6年間に学術論文や学会発表の実績がない(あるいは、わずかしかない)専任教員が複数いることから、このような教員の研究活動をサポートする体制を構築することが望まれる。(10.教員組織・職員組織)22. 指導教員が1名のみの研究室が散見されるが、そのような研究室では、教員自身の研究や学生の教育・指導が十分行われているとは考えられないため、研究室環境の改善が望まれる。(10.教員組織・職員組織)23. 授業担当時間が過重になっている助教がいるので、今後のキャリアアップを支援するために、その授業負担の割合を是正することが望まれる。(10.教員組織・職員組織)24. 薬学部にFD委員会を常設し、定期的にFD活動を行う体制を構築することが望ましい。(10.教員組織・職員組織)25. 薬学部独自の外国語ホームページを充実させ、より積極的に海外への情報発信を行うことが望まれる。(12.社会との連携)26. 学術交流協定を活用して薬学部教員がより活発に国際交流を行うことが望まれる。(12.社会との連携)27. 評価検討委員会へ他大学や医療現場からの委員を加えて、外部委員の数を増やすことが望まれる。(13.自己点検・評価)- 45 -3)改善すべき点1. 5年次、6年次時間割の「薬学総合演習」/「卒業研究」という記載は不適切なので、改善する必要がある。(2.カリキュラム編成)2. 国家試験予備校に依頼している国家試験対策講習会の一部が、「薬学総合演習」/「卒業研究」に割り振られている正規の授業時間に開講されるのは不適切なので、改善する必要がある。(2.カリキュラム編成)3. ヒューマニズム教育・医療倫理教育において、指標を設定して学習成果の総合的な目標達成度を評価する必要がある。(3.医療人教育の基本的内容)4. コミュニケーション能力および自己表現能力を身につけるための授業科目において、目標達成度を評価するための指標をシラバスに明記するように改善する必要がある。(3.医療人教育の基本的内容)5. 一部の教養科目、語学科目、準備教育科目において、薬学部の学生便覧やシラバス、ホームページに履修可能な科目として掲載されているにもかかわらず、薬学部の専門科目等と開講時間が重なる、開講していないなどの理由で履修できない状況にあるので、改善する必要がある。(3.医療人教育の基本的内容)6. 早期体験学習の訪問施設が病院または薬局のどちらか一方だけであることから、協力病院・薬局を増やし、複数の施設での早期体験の機会を設ける必要がある。(3.医療人教育の基本的内容)7. シラバスには、1)「必修」、「選択」、「選択必修」の区別が明記されていない、2)各回の講義内容に対応するモデル・コアカリキュラムのSBOsの記載が欠如している科目があり記載項目に統一性がない、などの問題点があり、改善が必要である。(4.薬学専門教育の内容)8. モデル・コアカリキュラムのSBOsの中に、一部選択科目でしか対応されていないものがあるので、必修科目でも対応するように改善する必要がある。(4.薬学専門教育の内容)9. 大学独自科目に関しては、「独自」である旨をシラバスに明示する必要がある。(4.薬学専門教育の内容)10. 実務実習事前学習全体の「目標達成度」を評価する総合的な指標を設定し、実務実習事前学習の最終評価が適切に実施されるように改善する必要がある。(5.実務実習)11. 共用試験について、合格者に加えて受験者数も公表するよう改善が必要である。(5.実務実習)- 46 -12. 卒業研究は独立した科目として4年次、5年次、6年次の時間割に組み込み、単位数に応じた時間数が確保されるように改善する必要がある。(6.問題解決能力の醸成のための教育)13. 公平性を担保した客観的な評価を行うという観点から、指導教員(主査)のみが卒業論文の評価を行う方法は問題があるので、副査用の評価基準を定め、複数の教員で卒業論文を審査するように改善する必要がある。(6.問題解決能力の醸成のための教育)14. 6年間における問題解決型学習の目標達成度に対する総合的評価は行われていないので、そのために必要な評価基準を設定した上で、これを行う必要がある。(6.問題解決能力の醸成のための教育)15. 低学年での留年率が依然として高く、またストレート卒業率が 50%を大きく下回っているので、入試別・成績別の追跡調査などを行い、各入試形態において志願者の学力をより適正に評価するための指標と基準を改めて設定する必要がある。(7.学生の受入)16. 再試験に関する規則とその開示について体系性、整合性、および統一性が欠如しているので、改善が必要である。(8.成績評価・進級・学士課程修了認定)17. 卒業判定に関わる「薬学総合演習」の評価に外部模擬試験の結果を一部組み入れているのは適切ではないので、改善が必要である。(8.成績評価・進級・学士課程修了認定)18. 「薬学総合演習及び卒業試験」の合否基準がシラバスで確認できるように改善する必要がある。(8.成績評価・進級・学士課程修了認定)19. 大規模火災や大地震に対応するためのマニュアルを整備し、教職員・学生に向けた安全教育や講習会、訓練などを定期的に実施する必要がある。(9.学生の支援)20. 一部の必修科目の講義を助教がすべて単独で担当するのは好ましくないので、改善する必要がある。(10.教員組織・職員組織)21. 本来事務職がやるべき業務の一部を教員が担っているため、教員が教育研究に専念できない状況が生じている。そのため、事務職員を増員するなどの対策を講じる必要がある。(10.教員組織・職員組織)22. 6年制薬学教育の内部質保証を目的として、薬学部としての点検・評価項目を設けて薬学部全体で自己点検・評価を行う体制を速やかに構築する必要がある。(13.自己点検・評価)23. 評価検討委員会は、「6年制薬学教育の内部質保証」としての薬学部全体の自己点検・- 47 -自己評価を主導し、取りまとめた結果を公表する必要がある。(13.自己点検・評価)24. 薬学部全体として、教育・研究活動の改善に役立てるPDCAサイクルを早急に確立Aする必要がある。(13.自己点検・評価)
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| 第1期 |
2019年度 |
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1:提言 改善報告審議結果 2025/1/10 |
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| 東北大学 | 国 | 宮城県 | 第1期 | 2019年度 | 適 |
自己点検・評価書 基礎資料 正誤票 |
評価報告書
総評
東北大学 総評東北大学薬学部薬学科は、「薬を通じて人類の福祉と発展に貢献できる人材を育成する」という薬学部・薬学研究科の教育理念に基づいて、「研究心あふれる高度薬剤師としての基盤形成を行うこと」を目的とする6年制薬学教育を行っている。東北大学薬学部の入学試験は、薬学科を創薬科学科(4年制)と区別せずに行われており、入学定員80名のうち20名が3年次後期から薬学科に配属されて、臨床教育が行われている。AO入試(定員20名)では、学力試験に加えて面接が行われ、知識、理解力、表現力、勉学意欲および適性が評価されている。教養教育科目は全学共通科目として多数開講され、1〜2年次に履修している。語学教育は6年間に渡り体系的に行われており、コミュニケーション能力・自己表現能力を醸成する教育は1年次から繰り返し多角的に行われている。一方、ヒューマニズム教育・医療倫理教育は、主に薬学科に配属されてから重点的に行われている。薬学科の専門教育は、薬学教育モデル・コアカリキュラムに準拠しており、創薬科学科と区別したカリキュラムマップが作成されている。実務実習事前学習は4年次の4月から十分に行われており、薬学共用試験は公正かつ円滑に実施されている。病院実習は、実務家教員の指導・管理のもとに東北大学病院で実施されている。薬局実習は東北地区調整機構に登録された保険薬局で行われており、配属研究室の教員が実習施設との連携および評価に関わっている。問題解決能力の醸成のための教育は、主に配属研究室での卒業研究(3年次後期〜6年後期)を通して行われている。授業科目の成績評価方法と各評価の寄与率は、一部の演習・実習科目を除き、シラバスに明示されている。進級判定と学士課程修了認定は公正かつ厳格に行われており、最近5年間の進級・卒業率には問題がない。学生の履修指導や学習相談への対応、授業料免除や奨学金制度等についての情報提供は、教務係が窓口となって行われている。また、学生の健康維持の支援、ハラスメントの防止と対応、障がいのある学生への支援、就職活動の支援などの体制は大学全体の体制として整っている。実験実習における安全教育、保険への加入、災害時の対応計画や訓練は適正- 2 -に行われている。薬学部の教育研究上の目的に沿った教育研究活動を実践するための施設・設備としては、講義室、セミナー室、自習室、実習室、研究室、共用実験施設、図書館などが、おおむね適正に整備されている。薬学部の専任教員には、各専門分野で十分な教育研究上の実績を有する人材がバランスよく配置されており、採用や昇任は適切に実施されている。また、薬学部の事務部には職員20名が配置され、教員と連携して教育研究活動を支援している。薬学部の教員は、公的資金の獲得とともに、多くの企業との共同・受託研究を実施し、産業界と連携した研究に取り組んでいる。また、数多くの海外の大学との国際交流を積極的に行っている。さらに、「教育活動」、「研究活動」、「大学運営・支援及び医療業務」、「社会貢献」の4項目に関する自己点検・評価を毎年行っており、FD(Faculty Development)への取組みも含め、教育研究者としての質の向上に努めている。薬学部がとりまとめた「薬剤師のための災害対策マニュアル」は、各地域における災害対策マニュアルの基盤となっており、社会貢献として評価に値する。自己点検・評価を行う組織としては、薬学部内に「評価分析委員会」が常置されており、上記の薬学部教員の個人評価のほか、東北大学全学で毎年実施している部局評価、第三者評価、授業評価に関する事項を所管している。以上のように、東北大学薬学部薬学科の6年制薬学教育プログラムは、本機構の評価基準におおむね適合していると判断される。しかし、現状では特に懸念される以下のような問題点があり、改善が必要である。(1) 薬学科のディプロマポリシー(DP、学位授与の方針)とカリキュラムポリシー(CP、教育課程の編成・実施方針)を創薬科学科と区別して設定・明文化することが必要である。(2)ヒューマニズム教育・医療倫理教育、コミュニケーション能力・自己表現能力を身につけるための教育に関わる科目の総合的な学修成果を評価するための適切な指標を設定し、それに基づいた目標達成度評価を行う必要がある。(3)低学年における早期体験学習プログラムを改善・充実させる必要がある。(4)実務実習事前学習に関わる科目の総合的な学修成果を評価するための適切な指標を設定し、それに基づいた目標達成度評価を行う必要がある。(5)問題解決能力の醸成に関わる科目の総合的な学修成果を評価するための適切な指標を設定し、それに基づいた目標達成度評価を行う必要がある。(6)教育プログラムの改善(6年制薬学教育の内部質保証)に向けた自己点検・評価の- 3 -ための適切な項目を設定し、継続的な点検・評価を行い、その結果を教育研究活動の改善に反映させることが必要である。東北大学薬学部薬学科には、今回の評価における提言を踏まえた改善を通して6年制薬学教育プログラムの質をさらに高め、大学が目標とする人材育成が実現することを期待する。
大学への提言
東北大学 大学への提言1)長所1. 「薬剤師のための災害対策マニュアル」を作成して日本薬剤師会のホームページで閲覧可能としたことは、各地域における災害対策マニュアルの整備への継続的な貢献として高く評価できる。(12.社会との連携)- 34 -2)助言1. 薬学部の「学部教育の目的」(教育研究上の目的)について、「東北大学薬学部規程」、「学生便覧」、「薬学部パンフレット」の間で一部の文言に不一致があるので、統一することが望まれる。(1.教育研究上の目的)2. カリキュラム・ポリシーには学習到達度の評価方針も明示することが望まれる。(2.カリキュラム編成)3. 医療人教育に必須であるヒューマニズム教育・医療倫理教育を低学年から継続して体系的かつ効果的に行えるように、カリキュラム編成を改善することが望まれる。(3.医療人教育の基本的内容)4. 薬学科配属後の科目だけでなく、全ての科目について、臨床の知見との関連付けをシラバスに明示することが望まれる。(4.薬学専門教育の内容)5. 学生担当教員による評価および病院・薬局実習の単位認定において、各評価項目の配分率が設定されておらず、評価が適正に行われていない懸念があるので、改善が望まれる。(5.実務実習)6. 問題解決型学習が卒業研究に偏り過ぎている懸念があるので、1年次から3年次のカリキュラムに参加型学習を取り入れた講義・演習科目を増設することが望まれる。(6.問題解決能力の醸成のための教育)7. 医療人としての適性を評価する工夫として、前期日程入試にも面接を取り入れることが望まれる。(7.学生の受入)8. ディプロマポリシーに示された目標の達成度を確認するために、6年間の総合的な学修成果を測定できる適切な指標を設定し、それに基づく評価を行うことが望まれる。(8.成績評価・進級・学士課程修了認定)9. ハラスメントの種類や対応方法、解決に向けた体制などについて、より詳細に学生便覧などに記載し、学生に周知することが望まれる。(9.学生の支援)10. 病院実務実習全般を監督している医療薬学教育研究センターの専任教員(講師1名)の授業担当時間が週平均17.47時間と極端に長くなっていることを改善することが望まれる。(10.教員組織・職員組織)11. 自己点検・評価を行う委員会には、外部委員を含めることが望ましい。(13.自己点検・評価)- 35 -3)改善すべき点1. 薬学科のカリキュラム・ポリシーを創薬科学科と分けて設定し、両学科のカリキュラムの特徴を区別して明文化することが必要である。(2.カリキュラム編成)2. 必修科目である4年次「医療薬学演習1」と6年次「総合薬学演習」の授業を国家試験受験予備校からの非常勤講師に委ねていることは不適切であるので、改善が必要である。(2.カリキュラム編成)3. ヒューマニズム教育・医療倫理教育に関わる科目の総合的な学修成果を評価するための適切な指標を設定し、それに基づいた目標達成度評価を行う必要がある。(3.医療人教育の基本的内容)4. コミュニケーション能力および自己表現能力を身につけるための教育を行っている科目の総合的な学修成果を評価するための適切な指標を設定し、それに基づいた目標達成度評価を行う必要がある。(3.医療人教育の基本的内容)5. 「F(1)①早期臨床体験」に該当する科目として基礎資料3-3に唯一挙げられている「薬学概論2」では、薬剤師が活躍する現場を広く見学させているとは言いがたい状況であるので、早期臨床体験として病院や薬局を見学してそれに関連した討議を行うなど、低学年における早期体験学習プログラムを改善・充実させる必要がある。(3.医療人教育の基本的内容)6. 改訂コアカリの「A 基本事項」および「B 薬学と社会(1)」の態度のSBOsに該当する科目として挙げられている「薬学概論1」、「薬学概論2」、「疾病学総論」、「薬事関係法規2」、「臨床調剤学」の学習方法が講義に偏っているので、参加・体験型の学習方略を増やすことが必要である。(4.薬学専門教育の内容)7. 実務実習事前学習に関わる科目の総合的な学修成果を評価するための適切な指標を設定し、それに基づいた目標達成度評価を行う必要がある。(5.実務実習)8. 卒業研究の成績評価を公平かつ公正に行うために、薬学科共通の評価指標や基準を設定してシラバスに明示した上で、指導教員以外の第三者を副査とするなど、複数の教員による評価を行うことが必要である。(6.問題解決能力の醸成のための教育)9. 問題解決能力の醸成に関わる科目の総合的な学修成果を評価するための適切な指標を設定し、それに基づいた目標達成度評価を行う必要がある。(6.問題解決能力の醸成のための教育)10. 「合格、不合格」で評価する科目である「専門薬学実習1」、「専門薬学実習2」、「医療薬学基礎実習」、「医療薬学演習1」、「医療薬学演習2」、「医療薬学病院実習」、「医- 36 -療薬学薬局実習」、「総合薬学演習」、「課題研究」について、総合的な判断や最終成績に対する成績評価の寄与率など、合否判定基準をシラバスに明示して学生に周知する必要がある。(8.成績評価・進級・学士課程修了認定)11. 薬学科のディプロマポリシーを創薬科学科と区別して設定・明文化することが必要である。(8.成績評価・進級・学士課程修了認定)12. 3年次学生の健康診断受診率が他の学年に比べて毎年低い点を改善する必要がある。(9.学生の支援)13. 教育プログラムの改善(6年制薬学教育の内部質保証)に向けた自己点検・評価のための適切な項目を設定し、継続的な点検・評価を行い、その結果を教育研究活動の改善に反映させることが必要である。(13.自己点検・評価)
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自己点検・評価書 基礎資料 正誤票 |
評価報告書
総評
徳島文理大学香川薬学部 総評徳島文理大学香川薬学部では、「真に実力があり、社会に貢献できる薬学人を育成する」という教育理念の下、薬学部の教育目的を「薬学に関する教育プログラムに基づき、薬の科学者としての技量•学識と医療倫理観を兼備した薬剤師及び探求心を有した薬の科学者を養成することを目的とする。」と設定している。カリキュラムは、平成26(2014)年度入学生までとそれ以降の入学生で異なっているが、いずれも薬学部の教育目的に基づく教育課程の編成・実施方針(カリキュラム・ポリシー)に沿って編成されている。医療人としての基礎を形成するために必要な、倫理、ヒューマニズム、コミュニケーションなどの教育は、おおむね適切に行われており、薬学専門教育に関しては、薬学教育モデル・コアカリキュラムに準拠する内容で総じて適切になされている。また、大学独自の薬学専門教育が「アドバンスト教育プログラム」として高学年を中心に配置されている。実務実習に関しては、事前学習を薬学教育モデル・コアカリキュラムの事前学習に関わる教育目標に準拠した内容で2~4年次に継続的に配当している。病院・薬局実務実習は病院薬局実習委員会の管理下に、実務実習モデル・コアカリキュラムに沿った内容で行われ、学生の指導には、助手、助教も含めた全教員が参画している。問題解決能力醸成のための教育として、卒業研究に相当する「卒業実習1~3」(合計16単位)が5年前期から6年前期までに配当され、全ての学生が卒業論文発表会で口頭発表し、卒業論文を作成している。学生の受け入れに関しては、入学者受入方針(アドミッション・ポリシー)が設定され、種々の入学選抜制度区分による選考が行われている。授業科目の成績評価の方法は、それぞれのシラバスに記載されている。進級規程と留年に関わる基準は、「香川薬学部要覧」に明記されている。学位授与の方針(ディプロマ・ポリシー)は教育研究上の目的に基づいて設定されており、卒業判定は学則に定められた卒業要件に基づいて行われている。- 2 -香川薬学部の専任教員は40名(教授19名)であり、大学設置基準が求める専任教員数の28名以上(教授14名以上)を満たしている。臨床実務経験を有する教員は6名で、大学設置基準が求める5名を満たしている。香川薬学部は、教育研究に必要十分な施設、設備、図書を備えており、学部としての社会活動についての実績も認められる。香川薬学部の教育に対する点検・評価については、本機構による他大学への問題点指摘を参考にして自大学の問題点を検討し、必要な改善を実行している。以上のように、徳島文理大学香川薬学部の6年制薬学教育プログラムは、本機構の評価基準におおむね適合している。しかし、以下のような問題点があり、改善が必要である。(1)コミュニケーション能力と自己表現能力を身につける教育について、総合的な目標達成度を評価するための指標を設定し、それに基づく適切な評価を行うことが必要である。(2)専門科目の一部に、科目内容とSBO(Specific Behavioral Objectives)との対応や、SBOの学習領域(知識、技能、態度)と学習方法との対応が適切ではないものがあるので、改善することが必要である。(3)実務実習事前学習の総合的な目標達成度を測定する指標を設定し、それに基づく評価を行うことが必要である。(4)問題解決能力の醸成に向けた教育の総合的な目標達成度を測定する指標を設定し、それに基づく評価を行うことが必要である。(5)休学や留年する学生が多く、ストレート卒業率も50%程度であることから、入学者選抜において必要な学力が適確に評価されていないことが懸念されるので、入学者選抜の改善が必要である。(6)卒業の可否判断が薬剤師国家試験の合否予測につながる演習科目試験の結果を重視して行われているので、ディプロマ・ポリシーの達成に基づいて卒業認定を行うという趣旨に合致したものに改善することが必要である。(7)薬学教育プログラムの自主的な点検・評価によって問題点を見出し、それらを改善して教育の発展を進める取り組みを恒常的に進めることが必要である。徳島文理大学香川薬学部には、以上の改善すべき点に加え、その他の改善すべき点や助言に関しても適切に対応し、総合大学であることの強みを生かした薬学教育の推進を通し- 3 -て、さらに発展することを期待する。
大学への提言
徳島文理大学香川薬学部 大学への提言1)助言1. 教育研究上の目的は、毎年度「香川薬学部要覧」を配布することで教職員に周知するとしているが、資料の配布にとどまらず、FD等で説明することが望まれる。(1.教育研究上の目的)2. 教育の基本となる「教育研究上の目的」を、教授会など適切な主管組織において検証することが望まれる。(1.教育研究上の目的)3. ヒューマニズム教育・医療倫理教育がより体系的なものとなるよう改善することが望まれる。(3.医療人教育の基本的内容)4. ヒューマニズム教育・医療倫理教育の総合的な達成度評価を行う指標として「DP達成度」のみでは十分とは言い難いので、それ以外の適切な指標を設定するなど、さらなる工夫が望まれる。(3.医療人教育の基本的内容)5. 教養教育科目は人文科学、社会科学などをより広く学ぶことができるよう、選択の幅を拡大する改善が望まれる。(3.医療人教育の基本的内容)6. 薬害、医療過誤、医療事故等の被害者やその家族、弁護士、医療における安全管理者が講師となっている授業が少ないので、改善が望まれる。(3.医療人教育の基本的内容)7. 問題解決能力の醸成に向けた教育を行う科目の合計が、卒業要件単位数の1/10 に達していないので、改善が望まれる。(6.問題解決能力の醸成のための教育)8. 一般入試や大学入試センター試験利用入試でも、医療人としての適性を評価するような工夫が望まれる。(7.学生の受入)9. メンタルヘルスケアが必要な学生への対応をさらに充実させることが望まれる。(9.学生の支援)- 34 -10. 実務家教員の研鑽のための体制・制度に関わる規程はなく、現状においては十分な研鑽ができていないので、実務家教員の研鑽のための体制・制度の整備に努めることが望まれる。(10.教員組織・職員組織)11. 全学FDに参加している教員の数が少なく、学部としてのFDも行われていないので、実施に向けた改善が望まれる。(10.教員組織・職員組織)12. 教員の海外出張(研修)規程はあるが、これまでこの制度を利用した実績はないので、利用を推進することが望まれる。(12.社会との連携)2)改善すべき点1. コミュニケーション能力および自己表現能力を身につける教育の総合的な目標達成度を評価するための指標を設定し、それに基づいて適切に評価することが必要である。(3.医療人教育の基本的内容)2. 科目との対応が適切とは言えない到達目標が見られるので、薬学教育モデル・コアカリキュラムの到達目標と科目との対応を見直し、改善することが必要である。(4.薬学専門教育の内容)3. 「態度(関心・意欲)、技能(表現)」の修得を到達目標とする学習領域のSBOで、講義のみの授業科目で対応しているものもあるので、改善することが必要である(4.薬学専門教育の内容)。4. 平成30年度の新カリキュラムのシラバスにおいて、大学独自科目が明示されていないので、明示することが必要である。(4.薬学専門教育の内容)5. 実務実習事前学習で個別の科目(項目)についての「目標到達度評価」は行っているが、総合的な「目標達成度評価」が行われていないので、評価方法の改善が必要である。(5.実務実習)6. 問題解決能力の醸成に向けた教育の総合的な目標達成度を測定する指標を設定し、それに基づく評価を行う必要がある。(6.問題解決能力の醸成のための教育)7. 休学を含めた留年者の割合が高く、ストレート卒業率も50%程度であり、入学者の基礎学力が適確に評価されているとは言い難いことから、入学者選抜の在り方を見直す必要がある。(7.学生の受入)8. 留年生などを減らす対策は取っているが有効な改善に結びついているとは言い難いので、更なる改善を進める必要がある。(8.成績評価・進級・学士課程修了認定)- 35 -9. 「総合薬学演習2」のみが不合格であることが卒業延期の理由となっている学生が毎年20~30%存在することは、卒業の可否判断が薬剤師国家試験に向けた知識に関する成績によって行われているものと考えざるを得ない。これは、卒業認定をディプロマ・ポリシーの達成に基づいて行うという本来の趣旨に合致していないので、改善する必要がある。(8.成績評価・進級・学士課程修了認定)10. 2~4年生は、学生健康記録カードを保健センターに提出させるのみで、実際の健康診断は行っておらず、学生健康記録カードの提出も良好とは言えない状況であるので、各学年で大学の責任おいて健康診断を実施するよう改善することが必要である。(9.学生の支援)11. 本基準が求めている「自己点検・評価」は、自学の教育プログラムに対する恒常的な点検・評価とその結果に基づいて教育の向上と発展を図ることである。今後は、他大学に対する評価結果に対応した改善ではなく、自主的な点検・評価によって問題点を見出し、それらを改善して教育の発展を進める取り組みを恒常的に進めることが必要である。(13.自己点検・評価)
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| 富山大学 | 国 | 富山県 | 第1期 | 2019年度 | 適 |
自己点検・評価書 基礎資料 正誤票 |
評価報告書
総評
富山大学 総評富山大学薬学部は6年制薬学科と4年制創薬科学科の2学科を設置している。薬学科の教育研究上の目的(人材養成の目的)は「薬学科では、広い視野と高度な職能を持ち、和漢薬を含めた広範な東西医療分野で活躍する薬剤師などを育成することを目的とする」と「富山大学薬学部規則」に定められている。これに基づいて設定したカリキュラム・ポリシー(教育課程の編成・実施の方針)に沿ってカリキュラムを構築している。1年次は主に五福キャンパスで教養教育が、2~6年次は杉谷キャンパスで専門教育が行われている。医療人としての教育科目は1年次から高学年次に開講されている。薬学専門教育では、薬学教育モデル・コアカリキュラムに準拠した教育が行われており、学部の人材養成の目的に沿って、和漢薬に特化したカリキュラムである和漢薬コースが平成30年度から開設され、東洋医学と西洋医学を組み合わせた、より有効性かつ安全性の高い治療法を考案できる医療人を養成することを目指している。実務実習は富山県内の薬局および富山県内、県外の病院において行われている。「卒業研究」は4~6年次に行われている。4年次2月に卒業研究中間発表会(ポスター発表)が、6年次 11 月初旬に卒業研究発表会(口頭発表)が行われ、6年次 10 月末に卒業論文を提出している。入学者の受入は、アドミッション・ポリシー(入学者受入方針)に基づいて、一般入試(前期日程、後期日程)および特別入試(推薦入試、帰国生徒入試)で入学者の選抜が行われており、入学者数と入学定員との関係は適正である。各科目の成績は、100 点を満点とし、秀(90 点以上)、優(80 点以上 90 点未満)、良(70点以上 80 点未満)、可(60 点以上 70 点未満)および不可(60 点未満)の5段階で評価している。進級判定は、各学年の進級基準に基づき、薬学部教務委員会にて確認した後、薬学部教授会の審議を経て行っている。各学年の進級率はおおむね9割以上である。学士課程の修了認定は、ディプロマ・ポリシー(学位授与の方針)を策定し、学則に定めた卒業要件に基づいて行われている。- 2 -富山大学薬学部はクラス担任制度を設け学生の相談対応を行っている他、経済的支援、健康支援、ハラスメント対策、障がいをもつ学生への配慮、キャリア支援が適切に行われている。また、学生には「学生教育研究災害傷害保険」、「学研災付帯賠償責任保険」に加入させている。薬学部薬学科の専任教員数は 38 名(実務家教員7名を含む)であり、大学設置基準に定められた教員数を満たしている。薬学科教員の採用は適切に実施されており、薬学科教員は研究活動を活発に行い、教育研究能力の維持に努め、教育・研究業績を大学のホームページで公開している。薬学科教員のFD(Faculty Development)活動への出席率は高い。薬学部の施設・設備は6年制薬学教育に必要な基準を満たし、バリアフリーの講義室、十分な広さの実習施設や少人数グループ討議用の小教室があるなど適切である。卒業研究に関する設備も十分で、図書館も整備されている。地域連携活動では、富山県内の薬剤師や地域住民を対象とした取り組みに薬学科教員が参画している。平成 29 年に薬学部自己点検・評価委員会を設置し、自己点検・評価に取り組む体制が構築されている。以上のように、富山大学薬学部の6年制薬学教育プログラムは、本機構の評価基準におおむね適合していると判断される。しかし、以下のような問題点があり、改善が必要である。(1)ヒューマニズム教育・医療倫理教育が体系的に行われていないので、改善が必要である。(2)ヒューマニズム教育・医療倫理教育において、総合的な目標達成度を評価するための指標を設定し、それに基づいて評価することが必要である。(3)コミュニケーション能力および自己表現能力を身につけるための教育において、総合的な目標達成度を評価するための指標を設定し、それに基づいて評価することが必要である。(4)中間試験、期末試験以外に、成績が60点未満の学生を対象にした、学則に規定がない試験が教員の裁量で行われているので、改善が必要である。(5)薬学部自己点検・評価委員会が主体性をもって、6年制薬学教育プログラムを定期的に自己点検・評価し、これを継続してPDCAサイクルを機能させることが必要である。- 3 -富山大学薬学部には、今回の評価における提言に適切に対応することで、6年制薬学教育を推進することを期待する。
大学への提言
富山大学 大学への提言 1)長所1. 「総合薬学演習」は、医薬品シーズ探索から、基礎薬学、非臨床の各研究事項を理解し、臨床応用に必要な臨床薬学的な知識を総括して学習する科目であり、評価できる。(4.薬学専門教育の内容)2. 教育研究上の目的(人材養成等の目的)にある和漢薬や東西医薬をキーワードとした独自科目である「和漢医薬学入門」や「東洋医学概論」「東西医薬学」が開講されていることは評価できる。(4.薬学専門教育の内容)2)助言1. ヒューマニズム教育・医療倫理教育、コミュニケーション能力および自己表現能力を身につけるための教育としている科目の中には、現状では不適当な科目があるため、これらの教育が十分に行われることが望ましい。(3.医療人教育の基本的内容)2. 医療現場で必要とされる英語を身につける科目として「薬学英語Ⅰ」および「薬学英語Ⅱ」が実施されているが、これらの科目は科学英語力の醸成とTOEIC演習を主としており、医療現場で必要とされる英語を身につける科目とは言い難いので、改善が望ましい。(3.医療人教育の基本的内容)3. がん薬物療法認定薬剤師を目指す研修会には学生の参加を認めているが、この研修会は薬剤師の資質向上を図るための生涯学習プログラムではなく、一般学生の参加はな- 40 -いため、学生が参加可能な生涯学習プログラムを作ることが望ましい。(3.医療人教育の基本的内容)4. 生涯学習の意欲醸成に該当する科目は1年次と4年次にしか配置されておらず、体系的に行われているとは言い難いので、改善することが望ましい。(3.医療人教育の基本的内容)5. 「自己点検・評価書」に示された実務実習実施体制図を実習施設や学生、関係機関へ周知することが望ましい。(5.実務実習)6. 病院・薬局実務実習の総合的な学習成果が、適切な指標に基づいて評価されることが望ましい。(5.実務実習)7. 体系的な問題解決能力醸成に向けた教育のために、高学年次に配置している問題解決型学習を含む選択科目の履修者を増やすことが望ましい。(6.問題解決能力の醸成のための教育)8. 入学者の半数以上は一般入試(前期日程)で合格しているが、一般入試(前期日程)はセンター試験と富山大学の個別学力検査のみで合否を判定しているため、一般入試(前期日程)においても医療人としての適性を評価することが望ましい。(7.学生の受入)9. 教育研究上の目的に基づいた教育における総合的な学習成果を測定するための指標の設定、ならびにそれに基づいた総合的な学習成果の測定が行われていないので、改善が望ましい。(8.成績評価・進級・学士課程修了認定)10. 実験中の事故や災害の発生時における防災対応について記されている安全ノートの内容について、教員および配属学生への周知徹底を図ることが望ましい。(9.学生の支援)11. 実務系研究室に所属し、実務実習事前学習と卒業研究を担当する教員が薬局実習の指導薬剤師も担当している状況があるなど、実務系研究室に所属する教員の講義、実習の担当時間が多くなっているので、負担の軽減が望ましい。(10.教員組織・職員組織)12. がんプロフェッショナル養成プランの一環として実施されているプログラムは、専門薬剤師養成のためのものであって、薬剤師の資質向上を図るための生涯学習プログラムではないので、生涯学習プログラムの提供に努めることが望ましい。(12.社会との連携)- 41 -13. 全ての研究室で英文ホームページを開設していくことが望ましい。(12.社会との連携)14. 教員の海外研修は2、3ヶ月の短期間の場合も含め、最近5年間で4名と少ないので、教員の海外研修、長期留学のさらなる活性化が望ましい。(12.社会との連携)15. 富山大学薬学部自己点検・評価委員会の委員として、外部委員の選任が望ましい。(13.自己点検・評価)3)改善すべき点1. ヒューマニズム教育・医療倫理教育が体系的に行われていないので、改善が必要である。(3.医療人教育の基本的内容)2. ヒューマニズム教育・医療倫理教育において、各科目の目標到達度を評価するための指標を設定し、それに基づいて評価することが必要である。(3.医療人教育の基本的内容)3. ヒューマニズム教育・医療倫理教育において、総合的な目標達成度を評価するための指標を設定し、それに基づいて評価することが必要である。(3.医療人教育の基本的内容)4. コミュニケーション能力および自己表現能力を身につけるための教育において、各科目の目標到達度を評価するための指標を設定し、それに基づいて評価することが必要である。(3.医療人教育の基本的内容)5. コミュニケーション能力および自己表現能力を身につけるための教育において、総合的な目標達成度を評価するための指標を設定し、それに基づいて評価することが必要である。(3.医療人教育の基本的内容)6. 旧カリキュラムにおいては、一部のSBOが選択科目または自由科目のみで実施されているので、改善が必要である。(4.薬学専門教育の内容)7. 大学独自の科目あるいは科目の一部については、シラバスに独自科目あるいは独自項目の明記を徹底することが必要である。(4.薬学専門教育の内容)8. 実務実習事前学習では、これを構成する4科目についての個別の目標到達度評価は行われているが、全体としての総合的な目標達成度評価の指標を設定していないので、改善が必要である。(5.実務実習)9. 附属病院で実習を行う学生(約 16 名)は標準期間よりも3週間長い 14 週間にわたって病院実習を行っているにもかかわらず、「病院実習」の単位は他の施設で病院実習を行- 42 -う学生と同じく、全学生で共通の 10 単位となっているので、「病院実習」の期間とその単位については、全学生で等しくなるように改善が必要である。(5.実務実習)10. 問題解決能力醸成に向けた教育を実施している科目のうち、シラバスに、問題解決型学習であること、また、その内容が記載されていない科目があり、シラバスへの明記が必要である。(6.問題解決能力の醸成のための教育)11. 問題解決能力醸成に向けた教育において、関連科目を総合した目標達成度の評価指標の設定ならびにそれに基づく評価が行われていないので、改善が必要である。(6.問題解決能力の醸成のための教育)12. 中間試験、期末試験以外に、成績が 60 点未満の学生を対象にした、学則に規定がない試験が、教員の裁量で行われているので、改善が必要である。(8.成績評価・進級・学士課程修了認定)13. 成績評価において、出席状況といった評価指標として相応しくない項目を含んでいる科目があるので、改善が必要である。(8.成績評価・進級・学士課程修了認定)14. 複数の項目で成績を評価する場合に配分割合の記載がない科目があるため、改善が必要である。(8.成績評価・進級・学士課程修了認定)15. 一部の科目において、60 点未満や 70 点以上であっても成績を可としているなど、「富山大学薬学部規則」第7条の規定に反して、教員の裁量で最終評定が行われていることは不適切なので、改善が必要である。(8.成績評価・進級・学士課程修了認定)16. 防災訓練の開催が4年に1度では回数が少ないため、改善が必要である。(9.学生の支援)17. 薬学部自己点検・評価委員会が主体性をもって、6年制薬学教育プログラムを定期的に自己点検・評価し、これを継続してPDCAサイクルを機能させることが必要である。(13.自己点検・評価)
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評価報告書
総評
広島国際大学 総評広島国際大学薬学部薬学科は、大学の基本理念と薬剤師養成教育に課せられた基本的な使命を踏まえて、「専門的知識および優れた技能に加え、豊かな感性と心を持ち、広く社会に貢献できる「人間味あふれる薬剤師」を育成する」ことを「教育研究上の目的」とし、それに基づいた「教育課程の編成・実施の方針」(カリキュラム・ポリシー)、「学位授与の方針」(ディプロマ・ポリシー)に沿った6年制薬学教育を行っている。医療人教育の基本となるヒューマニズム教育・医療倫理教育、コミュニケーション能力および自己表現能力を身につけるための教育は低学年次を中心に行われており、医療に従事する人材の養成を目指した総合大学であることの利点を活かした専門職間連携教育が1年次から行われている。また、低学年次の学生を対象とし、教養教育を共通教育科目として開講し、人文科学、社会科学、自然科学、情報科学などの系列・分野ごとに卒業要件とする単位数を定めて、履修する科目の分野が偏らないように配慮している。語学については、英語に関する4技能を盛り込んだ教育を行っている。薬学専門教育は薬学教育モデル・コアカリキュラムに準拠しており、授業科目の関係を示す「科目関連図」によって薬学教育モデル・コアカリキュラムと授業科目との関係を示すとともに、各学年で「習得すべき学習内容」を設定し学年の進行に伴って専門性が高まるよう配慮している。実務実習は「実務事前実習」を習得し、薬学共用試験に合格した学生に対して学外施設での実習を行っている。実務実習の指導には薬学部の全教員が参画し、Webシステムを用いて実習施設の指導薬剤師と実習状況を共有するとともに、独自の「学外実習用WEBデータベース」を構築して教員間で学生の情報を共有している。卒業研究は、4年次の薬学共用試験終了後から開始し、5年次の学外実習を行っていない期間に研究を行っている。6年次の4月に卒業研究発表会を行い、5月に卒業論文を提出している。入学者の受け入れは、「入学者受入方針」(アドミッション・ポリシー)に基づき、大学- 2 -の入試委員会の主管のもと入試センターが行っている。2019年度入試は、AO入試、公募制推薦入学選考2種類、一般入試6種類、センター試験利用入試2種類を行い、入学者を受け入れている。授業科目の成績評価と進級判定、学士課程の修了判定は学則ならびに薬学部履修規定に従って行われており、それらの方法・基準やGPA(Grade Point Average)との対応は「学生便覧」に記載して学生に周知している。大学生活に必要な支援については、個々の学生に対してチューター教員を定め、様々な個別の指導を行うとともに、学生課、学生相談室、保健室、キャリアセンターなどの学内組織が必要に応じて対応している。また、チューター教員は、必要に応じて低学年次学生の学習指導も行っている。薬学部は、760名の収容定員に対し48名(うち教授18名、実務家教員8名)の専任教員を擁している。また、薬学部が教育研究に利用する施設・設備については、呉キャンパスに講義室や実習室、研究室などの研究施設、模擬薬局、図書館などが整備されており、学生の自習や学生の交流を支援するために「コミュニティールーム」が設置されている。広島国際大学は、教育研究の成果を地域社会に広く還元することを目的として、近隣の自治体や呉商工会議所、広島県リハビリテーション協会と協定を締結しており、薬学部・薬学研究科では呉市内3病院との間で教育・研究と地域医療への貢献等に関する連携協定を締結している。広島国際大学は、学則に自己点検・評価を行うことを定め、「広島国際大学自己評価委員会」が教育研究目標の設定、自己評価項目の設定および点検、自己評価を行っている。以上のように、広島国際大学薬学部薬学科の6年制薬学教育プログラムは、本機構の評価基準におおむね適合している。しかし、以下のような問題点があり、改善が必要である。(1)薬学部の教育研究上の目的に、薬学研究を目指す者を育成する姿勢が盛り込まれていないこと。(2)6年次のカリキュラムが薬剤師国家試験の受験準備を目指した教育に過度に偏っており、卒業研究に充てる時間を圧迫していること。(3)ヒューマニズム教育・医療倫理教育、および、コミュニケーション能力や自己表現能力を醸成する教育において、それらを構成する科目の学習成果を総合し、目標達成度を評価するための指標が設定されておらず、適切な評価が行われているとは言えないこと。- 3 -(4)シラバスの記載内容に不備があり、科目の授業内容と薬学教育モデル・コアカリキュラムの到達目標との対応が判断しにくいこと。また、大学独自の教育を行う科目のシラバスに、独自の授業内容や到達目標が明示されていないこと。(5)「実務事前実習」の実時間が教育内容に対して不足していること。また、実務実習事前学習の学修成果に対する総合的な目標達成度の評価が適切に行われていないこと。(6)学外施設で行われる実務実習の評価項目に対する評価指標と評価基準が設定されておらず、評価の客観性が保証されていないこと。(7)卒業研究を行う期間が十分ではないこと。また、卒業論文や卒業研究発表会が成績評価に正しく反映されていないなど、成績評価における対象、指標、基準や評価の客観性に問題が認められること。(8)進級の可否判断が教授会で審議されていないこと。また、卒業の可否判断が「総合薬学演習」の合否によって行われ、この科目の不合格のみで多くの卒業延期生が出ていること。(9)教員や委員会などの自己点検・評価が個別に行われているが、薬学教育プログラム全体を自己点検・評価し、その結果を教育研究活動の改善につなげるサイクルとする体制の構築が十分ではないこと。広島国際大学薬学部には、本評価で指摘された改善すべき点や助言に適切に対応した改善を進め、医療系総合大学としての強みを生かした6年制薬学教育の向上と発展に取り組むことを期待する。
大学への提言
広島国際大学 大学への提言1)長所1. 1年生の学力を向上させる目的で、後期に週1回ホームルームの時間を設け、チューター教員の指導のもと学生が課題に取り組む時間をとっている。(9.学生の支援)- 43 -2)助言1. 教職員は公開されたホームページ以外に薬学部の教育研究上の目的を目にする機会がないので、より積極的に周知することが望まれる。(1.教育研究上の目的)2. 薬学部において定期的に「教育研究上の目的」を検証する体制を設けることが望まれる。(1.教育研究上の目的)3. 学生手帳や学生便覧には、全学のカリキュラム・ポリシーは収載されているが薬学部のカリキュラム・ポリシーは収載されていないので、薬学部のカリキュラム・ポリシーを収載し学生に周知することが望まれる。(2.カリキュラム編成)4. 教職員は公開されたホームページ以外に薬学部のカリキュラム・ポリシーを目にする機会がないので、より積極的に周知することが望まれる。(2.カリキュラム編成)5. 薬学専門教育科目の「科目関連図」において共通教育科目の「科目関連図」との関連付けを行い、科目群同士の関係性やディプロマ・ポリシーとの関連を明確にすることが望まれる。(2.カリキュラム編成)6. 薬学部のカリキュラムを点検・評価する委員会などを設置し、恒常的な点検・評価を行うことが望まれる。(2.カリキュラム編成)7. ヒューマニズム教育・医療倫理教育に関係する科目の多くでは態度領域に関わる評価指標が設定されていないので、適切な指標を設定し、それに基づいて評価することが望まれる。(3.医療人教育の基本的内容)8. 患者や家族以外に医療安全に携わる実務者等による授業はないので、これらの人的資源を活用し、医薬品の安全使用について科学的な視点と客観的な判断力が養われるような授業へ拡充することが望まれる。(3.医療人教育の基本的内容)9. 各授業科目で基礎と臨床の知見を相互に関係付けるよう心がけている内容をシラバスに盛り込むことが望まれる。(4.薬学専門教育の内容)10. 「実務事前実習」の成績の評価項目である実習態度、技能、実習試験、レポートについて、評価基準を明記することが望まれる。(5.実務実習)11. 実務実習全体としての目標達成度を評価するための指標を設定し、それに基づく評価を行うことが望まれる。(5.実務実習)12. 新旧カリキュラムともに問題解決能力の醸成に向けた教育に関する科目の単位数は18単位よりも少なく、卒業要件単位数の10%に満たないため、問題解決能力を醸成する学習を増やすことが望まれる。(6.問題解決能力の醸成のための教育)13. 教職員に対してアドミッション・ポリシーを積極的に周知することが望まれる。(7.- 44 -学生の受入)14. 面接や実技試験は一部の入学試験で行われているだけなので、全ての入学生に対して医療人としての適性を評価するような工夫が望まれる。(7.学生の受入)15. 教職員に対して薬学部のディプロマ・ポリシーを積極的に周知することが望まれる。(8.成績評価・進級・学士課程修了認定)16. オフィスアワーが掲示板や研究室入口にしか示されていないので、シラバスなどに明記し、学部として統一的に学生に周知することが望まれる。(9.学生の支援)17. 学生向けのホームページに、パワーハラスメント、アカデミックハラスメントに関する対応を記載し、周知方法を充実させることが望まれる。(9.学生の支援)18. 評価対象年度に学会発表の実績がないなど、研究業績が少ない教員が複数いるので、研究活動を積極的に行うことを奨励することが望まれる。(10.教員組織・職員組織)19. 実務家教員や医師の資格を持つ教員の授業負担が他の教員の2倍近くあるので、これらの教員の授業負担を是正することが望まれる。(10.教員組織・職員組織)20. 教員と職員が意見交換するなど、連携して資質の向上に取り組むことが望まれる。(10.教員組織・職員組織)21. 電子ジャーナルのうち薬学領域のものは10種のみであり、多岐にわたる研究を推進するためにはより充実することが望まれる。(11.学習環境)22. 英文による薬学部のホームページを作成し、世界に向けて情報発信することが望まれる。(12.社会との連携)23. 「薬学部自己評価ワーキンググループ」に外部評価者を導入することが望まれる。(13.自己点検・評価)3)改善すべき点1. 薬学部の教育研究上の目的に、薬学研究を目指す者を育成する姿勢を盛り込むように改善する必要がある。(1.教育研究上の目的)2. 6年次のカリキュラムは、薬剤師国家試験の受験準備を目指した教育に過度に偏っているので、改善する必要がある。(2.カリキュラム編成)3. 正規の授業時間を使って予備校による講習会が行われていることは適切ではないので、改善する必要がある。(2.カリキュラム編成)4. ヒューマニズムや倫理観を順次性をもって体系的に学ぶカリキュラムにはなっていないので、改善することが必要である。(3.医療人教育の基本的内容)- 45 -5. ヒューマニズム教育・医療倫理教育において、対応する科目の学習成果を総合して、この教育全体の学修成果としての目標達成度を評価する指標が設定されておらず、それに基づく適切な評価が行われていないので、改善が必要である。(3.医療人教育の基本的内容)6. コミュニケーション能力および自己表現能力を身につけるための教育に関係する科目の多くで、科目の到達度を評価する指標が設定されていないので、評価指標を示し、適切に評価するように改善する必要がある。(3.医療人教育の基本的内容)7. コミュニケーション能力および自己表現能力醸成教育において、対応する科目の学習成果を総合して、この教育全体の学修成果としての目標達成度を評価する指標が設定されておらず、それに基づく適切な評価が行われていないので、改善が必要である。(3.医療人教育の基本的内容)8. 各科目の授業内容が薬学教育モデル・コアカリキュラムの到達目標とどのように対応しているかを判断できるよう、シラバスを改善する必要がある。(4.薬学専門教育の内容)9. 「討議する」と記述された到達目標のほとんどが講義で扱われているなど、態度や技能領域の到達目標に関しては適した学習方法がとられていないものが散見されることは問題であり、適切な学習方略に改善する必要がある。(4.薬学専門教育の内容)10. 独自の薬学専門教育を扱う科目のシラバスに大学独自の教育内容であることや独自の学習到達目標が明示されていないので、それらを明示するように改善する必要がある。(4.薬学専門教育の内容)11. 「実務事前実習」の総括的評価の対象となる事前学習の実時間数を増やし、実習内容に対して十分な時間となるように改善する必要がある。(5.実務実習)12. 実務実習事前学習全体を通した総合的な目標達成度を評価するための指標を設定し、それに基づく評価を行うように改善する必要がある。(5.実務実習)13. 実務実習を行う5年生に受診していない学生が少なからずいることは問題であるので、全員を受診させる必要がある。(5.実務実習)14. 「学外実務実習」の評価について、指標と基準を明示し、それに基づいて教員や指導薬剤師が評価を行うよう改善する必要がある。(5.実務実習)15. 学生が卒業研究に取り組むことができる期間は、4年次の共用試験後の3ヵ月間と5年次の「学外実務実習」が行われていない期間の7ヵ月間となり、この期間に夏期、冬期および春期の休暇期間が含まれているので、卒業研究に実質的に取り組める期間- 46 -が十分であるとはいえず、改善する必要がある。(6.問題解決能力の醸成のための教育)16. シラバスの「卒業研究Ⅱ」の成績評価基準に「研究論文の内容(50%)」と明記されているにも関わらず、卒業論文の共著を認めていることは公正な評価として不適当であり、改善する必要がある。(6.問題解決能力の醸成のための教育)17. 卒業研究発表会では、学生全員が発表し、成績評価の対象とするように改善する必要がある。(6.問題解決能力の醸成のための教育)18. 卒業研究の成績評価に卒業論文と卒業研究発表会の複数教員による評価を含めるとともに、それらを含め、学部で統一した評価指標や評価基準を設定した卒業研究の客観的な評価制度を導入するように改善する必要がある。(6.問題解決能力の醸成のための教育)19. 問題解決能力の醸成に向けた教育において、目標達成度を評価するための総合的な指標は設定されておらず、この指標を設定し評価するように改善する必要がある。(6.問題解決能力の醸成のための教育)20. 低学年次における留年や退学、転学部が目立ち、修学年限の6年間で卒業できる学生数が過去5年間の平均で入学時の約50%であるという実態は、入学志願者の適性や能力の評価が適切に行われていないことが原因である可能性が高いので、入学者選抜における志願者の評価方法を改善する必要がある。(7.学生の受入)21. 「授業への参加態度」のように基準が明確ではない評価の指標や、「講義への出席60%」のように授業へ出席するだけで合格できるなど、厳正な成績評価が行われていない科目について、成績評価方法を改善する必要がある。(8.成績評価・進級・学士課程修了認定)22. 進級判定は教授会における審議なしに行われているが、進級に関わる成績の最終確認と判定は学部の最終意思決定機関である教授会で行うように改善する必要がある。(8.成績評価・進級・学士課程修了認定)23. 「総合薬学演習」の成績評価に、前期科目である「応用薬学演習」の単位認定に利用された試験の成績を加えることは望ましくないので、改善が必要である。(8.成績評価・進級・学士課程修了認定)24. 「総合薬学演習」の成績評価に関わる再試験扱いの学力到達度試験の合格基準があらかじめ学生に対して明示されていないことは問題であり、改善が必要である。(8.成績評価・進級・学士課程修了認定)- 47 -25. 卒業の可否判断が、実質的には「総合薬学演習」の合否によって行われていることは、ディプロマ・ポリシーへの総合的な達成度を評価するという卒業判定の本来の趣旨からは外れているので、改善が必要である。(8.成績評価・進級・学士課程修了認定)26. 卒業延期生のために前期に開講する「総合薬学演習」の単位認定が、後期開講の正規科目と異なる基準で行われていることは好ましくないので、改善が必要である。(8.成績評価・進級・学士課程修了認定)27. 個別に行われている点検・評価を有機的に結び付けて、薬学教育プログラム全体を自己点検・評価し、その結果を教育研究活動の改善につなげるサイクルとする体制の構築に向けた改善が必要である。(13.自己点検・評価)
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評価報告書
総評
福岡大学 総評福岡大学薬学部では、平成 18 年度より「医薬品の開発や安全使用に関する基礎的、臨床的先端研究の推進をもって国民の健康と福祉に貢献すること」を教育研究の理念として掲げている。この理念に基づき、薬学部薬学科の教育研究上の目的は「医療技術の高度化、医薬分業の進展に伴う医薬品の安全使用および医療の担い手としての質の高い薬剤師の育成という社会的要請に応えるため、基礎科学の総合を基盤としながら、医療人としての使命感と倫理観を十分に理解し、高度な薬学の知識を身に付け、臨床に係る高い実践的な能力を備えた薬剤師、並びに教育・研究者を養成すること」としている。薬学教育カリキュラムは、教育課程の編成・実施の方針(カリキュラム・ポリシー)に沿って編成されている。医療人教育の基本的内容として、教養教育では「総合教養科目」が開設されており、より学生や社会のニーズに対応するように多種多様な教養教育プログラムが提供されている。語学教育では、グローバル化に対応した人材育成を目的とした教育が行われている。コミュニケーション能力や自己表現能力の基本的能力を身につけるための教育に関連した科目として、1年次「早期臨床体験Ⅰ」、2年次「早期臨床体験Ⅱ」、3年次「コミュニケーション学」が配置されており、薬学専門教育の実施に向けた準備教育、医療安全教育は、おおむね適切に実施されている。薬学専門教育に関しては、薬学教育モデル・コアカリキュラムに準拠しているが、薬学専門科目の多くが選択科目となっている。実務実習事前学習に関しては、実務実習モデル・コアカリキュラムに準拠して教育目標が設定されており、実務実習も適切に行われている。- 2 -卒業研究は、4年次から開始される。卒業研究の成果は、5年次2月開催の卒業研究発表会で学生全員が発表して、6年次8月までに卒業論文としてまとめている。学生の受入に関しては、薬学科の入学者受入方針(アドミッション・ポリシー)が責任ある体制で設定されており、入学者選抜は多様な入試形態を採用している。成績評価は、成績考査規程に従って行われ、各科目の成績評価基準および評価方法は、学修ガイドに記載されている。進級判定と学士課程の修了判定は、学科履修規程に定められた進級基準に従って行われている。学生の支援については、修学支援、大学独自の奨学金制度を含む経済的支援、ヘルス・メンタルケア支援、ハラスメント防止・対策、キャリア形成支援、安全に関する支援などの体制が整備されており、充実している。専任教員数は大学設置基準を満たしており、各専門分野において優れた教育・研究実績を有する者が配置されている。教育研究に必要な施設・設備・図書などの学習環境や研究環境は、基準を十分に満たしており、充実している。社会との連携では、地域薬剤師会・病院薬剤師会等の役員や委員として薬学の発展に寄与するとともに、年2回開催の卒後教育講座を行い、薬剤師の資質向上を図るために生涯学習プログラムの提供を行っている。自己点検・評価については、自己点検・評価実施委員会が毎年薬学教育評価機構の点検項目を検証して自己点検・評価書を作成し、自己点検・評価結果を検討し、教授会で審議し、改善につなげる体制となっている。以上のように、福岡大学薬学部薬学科の6年制薬学教育プログラムは、本機構の評価基準におおむね適合していると判断される。しかし、以下のような問題点があり、改善が必要である。(1)4年次後期の「薬学特別講義」(新カリで6科目、旧カリでは5科目)、「薬学演習」、ならびに、6年次前期から開講される「総合薬学特別講義」(旧カリで 10 科目)、「総合薬学演習」は、薬学共用試験、および国家試験に向けた時期に開講される復習的な要素が強い科目であり、薬学共用試験や国家試験対策に偏っているので、改善する必要がある。(2)学年によって講義1単位の授業時間(コマ数)が異なる体制をとっており、学部としての単位の設定基準が統一されていないので、改善する必要がある。- 3 -(3)ヒューマニズム教育・医療倫理教育、コミュニケーション能力および自己表現能力を身に付けるための教育において、関連科目の学習成果を総合した目標達成度を評価するための指標を設定し、それに基づいて適切に評価する必要がある。(4)薬学教育モデル・コアカリキュラムのSBOs(Specific Behavioral Objectives)を実施する科目が選択科目となっているため、すべてのSBOsを修得しなくても卒業できる制度は改善する必要がある。(5)実務実習事前学習は、実習項目ごとの評価はされているものの、総合的な目標達成度を評価する指標を設定して、適切に評価されているとは言い難いので、改善する必要がある。(6)4年次「薬学演習(含中間試験)」の評価には、シラバスの到達目標に記載されていない卒業研究とは全く関係のない中間試験(40%)が含まれていることから、科目の設定を見直すことが必要である。(7)問題解決能力の醸成に向けた科目の成績評価において、関連した科目を総合した問題解決能力の醸成に関わる目標達成度を評価する指標が設けられていないので、指標を設けて、それに基づいて適切に評価するよう改善する必要がある。(8)学士課程の修了判定において、判定基準が実施した試験の難易により変化することがあるので、あらかじめ定めた判定基準に従って修了判定を厳格に行う必要がある。(9)「総合薬学演習(含卒業試験)」の単位認定は、卒業論文 30%、ヒューマニズム・コミュニケーション 10%、卒業試験 60%で行われているが、卒業論文の評価が国家試験対策を行う授業科目の一部として行われているので、改善すべきである。(10)卒業延期者の卒業判定が事実上、「総合薬学演習(含卒業試験)」の試験の成績のみでなされているので、改善すべきである。(11)自己点検・評価結果による改善事例のほとんどが外部評価に対応するものであり、これらをPDCAサイクル実施による教育研究活動の改善に反映する必要がある。福岡大学薬学部薬学科には、今回の評価における改善すべき点や助言に適切に対応することで、大学の独自性を活かした6年制薬学教育が推進されることを期待する。
大学への提言
福岡大学 大学への提言1)助言1. 教職員に対する教育研究上の理念・目的の周知方法は、学修ガイドと薬学部シラバスの配布によって行われているが、資料の配布にとどまらず、FD等で説明することが望まれる。(1.教育研究上の目的)2. ヒューマニズム教育・医療倫理教育に関連した科目では、適切な学習方法で実施している科目が少ないので、それらの科目の学習方法をさらに改善することが望まれる。(3.医療人教育の基本的内容)3. 学習方略にロールプレイ、SGDを取り入れている「コミュニケーション学」では100%定期試験で評価しているので、科目の到達度を適切な方法で評価することが望まれる。(3.医療人教育の基本的内容)4. 医療英語の科目を配置するなど、英語教育を専門教育の中でさらに充実させることが望まれる。(3.医療人教育の基本的内容)5. 薬害・医療過誤・医療事故防止に関する教育として学生が肌で感じる機会を提供するとともに、医薬品の安全使用について科学的な視点と客観的な判断力が養われるように努めることが望まれる。(3.医療人教育の基本的内容)6. シラバスに記載された到達目標の中に、授業計画に反映されていないSBO(記号が欠落)があり、また「薬学演習(含中間試験)」のシラバスに、ヒューマニズム教育に関する到達目標が記載されていないので、改善が望まれる。(4.薬学専門教育の内容)7. 実務実習事前学習の実際の授業コマ数に対して、科目としての単位数がかけ離れているので、科目の単位数を実態にあわせることが望まれる。(5.実務実習)8. 一般入試、センター試験利用入試では学力試験のみを基に判定を行っているので、面接試験の導入など医療人としての適性を評価するための入学者選抜試験の改善が望まれる。(7.学生の受入)9. 平成 30 年度の2~4年次生の「定期健康診断」の受診率は 20%未満と低いので、改善することが望まれる。(9.学生の支援)10. 各教員の研究業績は毎年発行される薬学集報と福岡大学のホームページ「福岡大学研究者情報」で公開されているが、教育に関する業績は掲載されていない。また、ホームページ上の研究者情報については更新をしていない教員が見受けられるので、定期的に更新することが望まれる。(10.教員組織・職員組織)11. 実務家教員の多くは、他の教員に比べて授業負担が著しく大きいので、実務家教員へ- 30 -の授業負担の偏りを解消することが望まれる。(10.教員組織・職員組織)2)改善すべき点1. 4年次後期の「薬学特別講義」(新カリで6科目、旧カリでは5科目)、「薬学演習」、ならびに、6年次前期から開講される「総合薬学特別講義」(旧カリで10科目)、「総合薬学演習」は、薬学共用試験、および国家試験に向けた時期に開講される復習的な要素が強い科目であり、薬学共用試験や国家試験対策に偏っているので、改善する必要がある。(2.カリキュラム編成)2. 学年によって講義1単位の授業時間(コマ数)が異なる体制をとっており、学部としての単位の設定基準が統一されていないので、改善する必要がある。(2.カリキュラム編成)3. ヒューマニズム教育・医療倫理教育において、関連科目の学習成果を総合した目標達成度を評価するための指標を設定し、それに基づいて適切に評価する必要がある。(3.医療人教育の基本的内容)4. コミュニケーション能力および自己表現能力を身に付けるための教育において、関連科目の学習成果を総合した目標達成度を評価するための指標を設定し、それに基づいて適切に評価するよう改善が必要である。(3.医療人教育の基本的内容)5. 薬学教育モデル・コアカリキュラムのSBOsを実施する科目が選択科目となっているため、すべてのSBOsを修得しなくても卒業できる制度は改善する必要がある。(4.薬学専門教育の内容)6. 大学独自のアドバンスト専門科目については、その内容が具体的にわかる到達目標を記載し、独自科目であることをわかりやすく明示する必要がある。(4.薬学専門教育の内容)7. 実務実習事前学習は、実習項目ごとの評価はされているものの、総合的な目標達成度を評価する指標を設定して、適切に評価されているとは言い難いので、改善する必要がある。(5.実務実習)8. 4年次「薬学演習(含中間試験)」の評価には、シラバスの到達目標に記載されていない、卒業研究とは全く関係のない中間試験(40%)が含まれていることから、科目の設定を見直すことが必要である。(6.問題解決能力の醸成のための教育)9. 問題解決能力の醸成に向けた科目の成績評価において、関連した科目を総合した問題解決能力の醸成に関わる目標達成度を評価する指標が設けられていないので、指標を- 31 -設けて、それに基づいて適切に評価するよう改善する必要がある。(6.問題解決能力の醸成のための教育)10. 学士課程の修了判定において、判定基準が実施した試験の難易により変化することがあるので、あらかじめ定めた判定基準に従って修了判定を厳格に行う必要がある。(8.成績評価・進級・学士課程修了認定)11. 「総合薬学演習(含卒業試験)」の単位認定は、卒業論文30%、ヒューマニズム・コミュニケーション10%、卒業試験60%で行われているが、卒業論文の評価が国家試験対策を行う授業科目の一部として行われているので、改善すべきである。(8.成績評価・進級・学士課程修了認定)12. 卒業延期者の卒業判定が事実上、「総合薬学演習(含卒業試験)」の試験の成績のみでなされているので、改善すべきである。(8.成績評価・進級・学士課程修了認定)13. 自己点検・評価結果による改善事例のほとんどが外部評価に対応するものであり、これらをPDCAサイクル実施による教育研究活動の改善に反映する必要がある。(13.自己点検・評価)
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1:提言 改善報告審議結果 2025/1/10 |
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評価報告書
総評
松山大学 総評松山大学薬学部は、「高度化する医療現場の要請に対応できる質の高い薬剤師の養成ならびに薬学関連分野で幅広い知識や人類福祉に貢献できる実践力を有する高度専門職業人の養成」を目的として6年制薬学教育を行っている。教育課程の編成・実施の方針(カリキュラム・ポリシー)は、2016 年度に改訂され 2017年度入学生より適用されているが、この新カリキュラム・ポリシーは薬学部の教育研究上の目的と整合性が認められ、これに基づいて現行のカリキュラムが編成されている。医療人教育は体系的に編成されており、グループ討論等の効果的な学修方法を用いた授業やコミュニケーション能力・自己表現能力を養う授業は不十分であるものの、おおむね適切に実施されている。薬学専門教育は、シラバスへの学習方法の記載が不十分であるものの、おおむね薬学教育モデル・コアカリキュラムに準拠して実施されている。実務実習事前学習は改訂薬学教育モデル・コアカリキュラムに、実務実習は実務実習モデル・コアカリキュラムにおおむね準拠して実施されている。薬学共用試験も薬学共用試験センターの実施要項に基づき、厳正に実施されている。卒業研究は4~6年次に約 12 か月実施し、卒業研究発表会での質疑応答を学生1名に対し2名の研究室外教員が実施するなど評価の客観性を高めている。卒業研究以外の問題解決能力の醸成に向けた教育は、科目数が十分とは言えないものの体系的に構成されている。入学者選抜は、入学者受入方針(アドミッション・ポリシー)に基づき、推薦入試、一般入試、編入学試験等が適正に実施されており、入学者数は入学定員から乖離していない。成績評価と進級判定は、学生便覧に記載され学生に周知されている基準に基づき実施されている。また、学士課程の修了認定に必要な学位授与の方針(ディプロマ・ポリシー)を公表している。成績下位者への対応は十分とは言えないが、2018 年度より教員と学生アシスタントが連携してサポートする「学習サポート制度」の運用を開始している。学生への支援では、経済的には給付型の奨学金が多種類あり薬学部学生に対して実績が- 2 -ある。また、進路選択についても1年次~5年次にかけて各学年で適性試験や就職セミナーを実施し、就職手帳を配布するなど充実した支援が行われている。専任教員数は設置基準を満たしている。研究環境は整備されているものの、外部資金獲得を推進・推奨する体制は十分とは言えない。授業評価アンケートを利用した授業改善を議論するなど、教員の教育研究能力の向上を図るための組織的な取組み(ファカルティ・デベロップメント)が適切に行われている。学習環境については、少人数教育ができる教室の数は十分ではないが、講義室、実験実習室、実務実習事前学習を実施する臨床系実習室と総合調剤実習室を備えており、6年制薬学教育に必要な基準を満たしている。社会との連携では、卒後教育講座や公開講座を毎年2~3回開催している。また、ハワイ州立大学ヒロ校と一般学術交流協定を締結し毎年数名の学生を約2週間派遣しているが、教員の海外留学については十分にサポートできていない。自己点検・評価については、自己点検評価委員会および外部評価委員会を設置し、教育研究活動の改善を行っているが、この組織が中心となって行う定期的な活動としては不十分である。以上、松山大学薬学部の6年制薬学教育プログラムは、本機構の評価基準におおむね適合している。しかし、以下のような問題点があり、改善が必要である。(1) ヒューマニズム教育・医療倫理教育に関連する教育全般において、目標達成度を評価するための指標を設定し、それに基づいて適切に評価を行うことが必要である。(2) コミュニケーション能力および自己表現能力を醸成する授業を充実し、効果的な学習方法を用いて実施することが必要である。(3) コミュニケーション能力および自己表現能力を身に着けるための教育において、目標達成度を評価するための指標を設定し、それに基づいて適切に評価することが必要である。(4) 実務実習事前学習の総合的な目標達成度を評価するための指標を設定し、それに基づいた適切な評価をすることが必要である。(5) 問題解決能力の醸成に向けた教育において、目標到達度を評価するための指標を科目ごとに設定し、その指標に基づいて評価を行うことが必要である。(6) 学士課程修了の認定が、ディプロマ・ポリシーの達成より薬剤師国家試験の合否予測を重視して行われているので、改める必要がある。- 3 -(7) 薬学部自己点検・評価委員会が中心となって、定期的に毎年、自己点検・評価を実施しPDCAサイクルを回し、教育研究プログラムの改善を継続的に行うことが必要である。松山大学薬学部には、今回の評価における問題点の改善に取り組むことで、大学の理念を活かした特色ある薬学教育が展開されることを期待する。
大学への提言
松山大学 大学への提言1)助言1. 薬学部が自主的、定期的に、教育研究上の目的を検証することが望まれる。(1.教育研究上の目的)2. 改訂薬学教育モデル・コアカリキュラムに対応した科目内容の変更は行っているが、科目名やその配置の変更は行っていないので、必要に応じて速やかに変更を行うことが望まれる。(2.カリキュラム編成)3. 学生だけでなく、教職員にもカリキュラム・ポリシーを周知徹底することが望ましい。(2.カリキュラム編成)4. 大学独自の薬学専門科目を含む授業科目の内容、開講時期、時間割については、学生のニーズに配慮して設定し、履修規程において履修できるように工夫することが望まれる。(4.薬学専門教育の内容)5. 卒業研究の目標達成度を評価するためにさらに適切な指標を設定し、その指標に基づいて評価を行うよう努めることが望まれる。(6.問題解決能力の醸成のための教育)6. 6年間の学習期間の中で、問題解決能力の醸成に向けた教育を体系的に実施することが望ましい。(6.問題解決能力の醸成のための教育)7. 一般入試、センター試験利用入試では学力試験のみを基に判定を行っているので、面接等で適性の評価を行う工夫が望まれる。(7.学生の受入)8. シラバスの評価の方法・基準欄に「受講態度」、「平常点」などが散見され、具体的な評価基準が記載されていないため、改善することが望まれる。(8.成績評価・進級・学士課程修了認定)9. ディプロマ・ポリシーを教職員に周知することが望まれる。(8.成績評価・進級・学士課程修了認定)- 34 -10. 校舎・施設のバリアフリー化をさらに進めることが望まれる。(9.学生の支援)11. 教員の研究業績・教育業績を定期的にホームページ上で公表することが望ましい。(10.教員組織・職員組織)12. 教員の年間の授業担当時間数に、最大3倍の差があるので偏りを解消することが望まれる。(10.教員組織・職員組織)13. 積極的に外部資金獲得を推進・推奨する体制を整備することが望ましい。(10.教員組織・職員組織)14. 産業界との交流、連携した活動が望まれる。(12.社会との連携)15. 薬学部教職員の長期留学の実績がないので、制度の周知を図ると共に、利用を推進することが望まれる。(12.社会との連携)2)改善すべき点1. ヒューマニズム教育・医療倫理教育において、ディスカッションやプレゼンテーション、ロールプレイなどの効果的な学習方法が不足しているので増やす必要がある。(3.医療人教育の基本的内容)2. ヒューマニズム教育・医療倫理教育に関連する教育全般において、目標達成度を評価するための指標を設定し、それに基づいて適切に評価を行なうことが必要である。(3.医療人教育の基本的内容)3. コミュニケーション能力および自己表現能力を醸成する授業を充実し、効果的な学習方法を用いて実施することが必要である。(3.医療人教育の基本的内容)4. コミュニケーション能力および自己表現能力を身に着けるための教育において、目標達成度を評価するための指標を設定し、それに基づいて適切に評価することが必要である。(3.医療人教育の基本的内容)5. シラバスに、薬学教育モデル・コアカリキュラムのSBOを実施する科目の教育目標を記載するだけでなく、SBOの領域に妥当な学習方法(講義、実習、演習、SGD、TBL、プレゼンテーション、ロールプレイなど)を授業計画に記載するとともに、評価の方法・評価項目と総括的評価に対する各項目の比率、評価基準を明記する必要がある。(4.薬学専門教育の内容)6. 大学独自の内容を含む科目については、シラバスで、大学独自の到達目標であることを明示する必要がある。(4.薬学専門教育の内容)7. 実務実習事前学習において実施すべき態度項目のSBOsは、薬学臨床教育における- 35 -安全管理、法令遵守、地域におけるチーム医療、プライマリケアなどの項目で、4年次の事前学習の中で適切な学習方略で実施することが必要である。(5.実務実習)8. 実務実習事前学習の総合的な目標達成度を評価するための指標を設定し、それに基づいた適切な評価をすることが必要である。(5.実務実習)9. 問題解決能力の醸成に向けた教育において、目標到達度を評価するための指標を科目ごとに設定し、その指標に基づいて評価を行うことが必要である。(6.問題解決能力の醸成のための教育)10. 問題解決能力の醸成に関連する科目を総合して目標達成度を評価するための指標が設けられていないので、指標を設けて、その指標に基づいて適切に評価するよう改善する必要がある。(6.問題解決能力の醸成のための教育)11. 6年次配当の通年科目「総合薬学演習」の試験の合否が学士課程修了の可否判断基準となり、この科目が不合格になることで6年次在籍者の約1/4が卒業できていないという実態は、この大学における学士課程修了の認定が、ディプロマ・ポリシーの達成より薬剤師国家試験の合否予測を重視して行われていることを意味しているので、改める必要がある。(8.成績評価・進級・学士課程修了認定)12. 薬学部自己点検・評価委員会が中心となって、定期的に自己点検・評価を実施しPDCAサイクルを回し、教育研究プログラムの改善を継続的に行うことが必要である。(13.自己点検・評価)
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| 第1期 |
2019年度 |
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1:提言 改善報告審議結果 2024/1/15 |
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| 名城大学 | 私 | 愛知県 | 第1期 | 2019年度 | 適 |
自己点検・評価書 基礎資料 正誤票 |
評価報告書
総評
名城大学 総評名城大学薬学部は、「薬学の確かな知識、技能とともに、生命の尊さを知り、豊かな人間性と倫理観をもち、人々の健康と福祉の向上に貢献できる人材の養成」を目的として掲げ、薬剤師養成教育を行っている。現行の3つのポリシーは、2016(平成 28)年 12 月に制定されている。カリキュラムは、1年生~4年生に対しては 2014(平成 26)年に策定した新カリキュラムを、5年生および6年生には 2005(平成 17)年に策定した旧カリキュラムを適用している。各科目の体系性は、カリキュラムツリーによって薬学教育モデル・コアカリキュラムの領域との関連性が明示されている。医療人として生命に関わる薬学専門家に相応しい行動を身につけるための教育は、カリキュラム・ポリシー(教育課程の編成・実施の方針)に基づき、医療全般を概観し、薬剤師としての倫理観、使命感、職業観を醸成する教育科目を初年次に重点的に配置し、その後も各学年で、順次性と体系性を持って実施している。4年次前期には統合型講義科目「薬物治療マネジメント」を実施し、基礎と臨床を相互に関連付ける学習を積極的に行っている。これらの科目の中では、様々な学習方略を用い、学習効果を高める努力をし、また、筆記試験およびレポートのほかに、TBL(Team-Based Learning)のピア評価、課題シートあるいはルーブリック評価を採り入れている。早期臨床体験学習は、病院・介護施設・保険薬局の見学、不自由体験、救命救急法を実施し、多くの体験ができるように工夫している。実務実習事前学習は、3年次「薬剤学」、4年次前期「薬物治療マネジメント」、4年次後期「実務実習事前講義・演習」を組み合わせて実施しており、到達度は、ポストテストおよび技能評価試験を通して確認している。薬学共用試験(CBT:Computer Based Testing およびOSCE:Objective StructuredClinical Examination)は薬学共用試験センターが提示した薬学共用試験実施要項に従って実施している。実務実習は、実務実習運営委員会が中心となって、方針や事案の検討、実務実習を円滑に行うための対応策の提案、教員への情報提供などを含め、総括的に取りまとめている。実習施設は一般社団法人薬学教育協議会病院・薬局実務実習東海地区調整- 2 -機構を介して選定している。実務実習の成績評価は、指導薬剤師による各SBO(SpecificBehavioral Objective)に対する評価、また日誌の記載状況、出欠状況、提出物の期限遵守状況等に基づいた実習態度に対する評価を総合的に勘案して数値化し、実務系教員が最終評価を実施している。卒業研究は4年次の後期から6年次9月まで、配属研究室で実施している。6年次に卒業論文を作成し、合同で発表会を実施している。成績評価は、シラバスの「成績評価方法および評価基準」の欄に明示し、学生に周知している。2018(平成 30)年度の各学年の過年度在籍率は6~26%、6年生のストレート在籍率は 66%である。また、退学者数は毎年おおむね 20 名程度である。学生に対してディプロマ・ポリシー(学位授与の方針)で求める学修成果(アウトカム)を具体的に明示し、学修成果を可視化するために、ディプロマ・ポリシーごとにアウトカムを設定し、複数の観点からなるルーブリック評価表(ディプロマ・ルーブリック)を作成しており、学生は毎年度ごとに総合的な学習成果を測定し、教員からのアドバイスを受けている。入学者は、アドミッション・ポリシー(入学者受入方針)に基づき、一般入学試験と推薦入学試験を実施し選抜している。大学では、全学部の推薦入学試験合格者を対象に、学習習慣の維持と入学後の円滑な大学教育の開始を目的として、入学前学習プログラムを提供している。履修指導ならびに学習相談のための仕組みとして、助教以上の全教員が1年次~4年次の研究室配属までの学生を原則として各学年4~5名ずつ受け持つ「指導教員制度」を導入している。指導教員は、随時受け持ち学生の履修指導や学習指導をはじめ、メンタルケアや大学生活全般の相談に当っている。学生の経済的支援に関する情報の提供および対応は、主に薬学部事務室の学生係が担当している。実験・実習等に必要な安全教育としては、1年次「入門実験」において、「学生実習における実習上の注意事項」を全員に配布し、ガイダンスを実施している。卒業研究にあたっては、安全な実験を行うための注意点や、研究倫理、適切な実験器具・機器の使用法について教授し、適正かつ安全な研究の実施に努めている。薬学部の専任教員は 66 名であり、大学設置基準を上まわる数の専任教員を配置している。八事キャンパス(敷地面積 17,553 ㎡)には、新1号館、新2号館、新3号館、7号館、体育館および学生会館城薬ホールの計6棟が配置されており、十分な数の講義室と実験実- 3 -習室を備えている。図書館は、新1号館地下に設置し、学生閲覧室、書架室、視聴覚閲覧ブースおよび資料検索用パソコンを整備している。民間企業や国立大学法人などと契約を締結した受託研究・共同研究、文部科学省学術研究助成基金助成金/科学研究費補助金や厚生労働省科学研究費補助金/厚生労働行政推進調査事業費補助金などの公的研究費による外部機関との共同研究が盛んである。大学では 2003(平成 15)年 10 月「教育研究の質の保証」を旨とした自己点検・評価システムの構築、学長を委員長とする「大学評価委員会」を設置し、さらに、「大学評価プロジェクトチーム」を設置して組織的な活動を行う体制づくりがされている。2004(平成 16)年、名城大学の基本戦略を定め、その実現に向けて点検・評価を繰り返しながら大学運営を推進している。以上のように、名城大学薬学部の6年制薬学教育プログラムは、本機構の評価基準におおむね適合している。しかし、以下のような問題点があり、改善が必要である。(1)ヒューマニズム教育・医療倫理教育において、学習成果を総合した目標達成度の評価指標を設定し評価するよう改善すべきである。(2)コミュニケーション能力および自己表現能力の学習成果を総合した目標達成度の評価指標を設定し評価するよう改善すべきである。(3)実務実習事前学習の総合的な目標達成度を評価するための指標が設定されておらず、それに基づいて適切に評価されていないので、改善すべきである。(4)2014(平成 26)年度に策定した新カリキュラム導入後も進級率に大きな変動は見られないので、指導方法をさらに改善すべきである。(5)自己点検・評価結果を教育研究活動の改善に結び付ける活動は、委員会を中心に行われているので、「薬学部評価委員会」を中心とする体制に整備する必要がある。名城大学薬学部には、本評価での改善すべき点、助言を踏まえ、積極的に改善に取り組み、薬学教育のさらなる向上に努めることが望まれる。
大学への提言
名城大学 大学への提言1)長所1. 4年次前期の「薬物治療マネジメント」において、PBL学習、シミュレーターを使った体験プログラム、独自に開発したシミュレーションソフトを利用した振り返り、医学部などと合同のSGDを行うなど、多様な方略を用いて代表的疾患の薬物治療をマネジメントできる能力を醸成している。(4.薬学専門教育の内容)2. 情報発信力、論理的思考、創造的思考、リスクテークと遂行能力、主体的な学びの実践、学びの応用(転移)、振り返り(省察)による自己評価、専門性を高める努力、ロールモデルおよび教育能力などを評価項目とした独自のルーブリック評価表を作成し、総合的に学生の問題解決能力向上を判定する仕組みを整えている。(6.問題解決能力の醸成のための教育)- 36 -2)助言1. 「教育研究上の目的」の内容は記載場所ごとに異なっているので、統一した表現で公開することが望ましい。(1.教育研究上の目的)2. 「教育研究上の目的」は、社会情勢や人材養成の目的の変化に合わせて定期的に検証し、改訂することが望ましい。(1.教育研究上の目的)3. 「教育研究上の目的」の教職員への周知に関しては、冊子を配付することに留まっているので、FD講習会などで周知することが望ましい。(1.教育研究上の目的)4. カリキュラム・ポリシーの周知方法は、教職員に対しては学生便覧配布のみであり、周知が十分でないので、FD講習会等での周知が望ましい。(2.カリキュラム編成)5. 成績不振者に対しては振り返り演習科目の履修が必須となり、自由意志に基づく選択科目の履修が制限される状況となっているので、改善することが望ましい。(2.カリキュラム編成)6. 再履修者に対して実施される単位認定試験の再試験は実施されないので、本試験と同様の扱いにすることが望ましい。(2.カリキュラム編成)7. 教養教育・語学教育において、選択科目の開講数を増やすことが望ましい。(3.医療人教育の基本的内容)8. コミュニケーション能力および自己表現能力教育科目の評価方法は、レポートや態度、ピア評価を組み合わせ、筆記試験に偏らない評価を検討することが望ましい。(3.医療人教育の基本的内容)9. 英語力を身につけるための教育は1年次に集中しているので、6年間にわたって体系的に4要素の教育を編成し、充実させることが望ましい。(3.医療人教育の基本的内容)10. 医療現場で薬剤師として必要とされる語学力や医療の進歩・改革に対応するために必要とされる語学力を身に着けるための教育を充実させることが望ましい。(3.医療人教育の基本的内容)11. 「卒後教育講座」には、多くの学生が参加することが望ましい。(3.医療人教育の基本的内容)12. 実習の評価については、筆記試験の割合が高い科目があるので、技能・態度の評価を重視することが望ましい。(4.薬学専門教育の内容)13. 全ての科目で基礎と臨床の関連付けをするよう努めることが望ましい。(4.薬学専門教育の内容)- 37 -14. Ⅱ期以降に実務実習を開始する学生に対し、実務実習の直前に到達度が確認されていないので、改善することが望ましい。(5.実務実習)15. 卒業論文の研究成果における医療や薬学における位置づけについて、卒業論文作成要項などを改訂し、必ず記載するように指導することが望ましい。(6.問題解決能力の醸成のための教育)16. 一般入学試験においては、面接等による医療人としての適性の直接的な評価は行っていないので、面接等を導入することが望ましい。(7.学生の受入)17. 試験成績に疑義のある場合には、各講義科目の担当教員を訪ね、成績評価の再確認を願い出る制度を設けているが、評価の透明性を担保するために、第三者が関わる仕組みを取り入れることが望ましい。(8.成績評価・進級・学士課程修了認定)18. 専任教員1名あたりの学生数は24.2名であり、観点で望ましいとされている10名以内を満たしていないので、教員増を検討することが望ましい。(10.教員組織・職員組織)19. 教育研究活動の詳細な報告が毎年行われておらず、専門分野における優れた知識・技能等を有していることを恒常的に保証する仕組みとはなっていないので、評価の頻度を高めることが望ましい。(10.教員組織・職員組織)20. ウェブサイトの教員情報はアップデートされていないものが含まれるので、常に最新の情報を公開することが望ましい。(10.教員組織・職員組織)21. 実務系教員の平均授業担当時間数が他の教員の平均授業担当時間数の約1.5倍となっているので、平均化することが望ましい。(10.教員組織・職員組織)22. 教員と職員が連携して資質向上を図るFD・SD活動を行うことが望ましい。(10.教員組織・職員組織)23. 八事キャンパス内では、校舎の通路部分に約35種類の薬用植物を植栽し、学生が直に触れることができるが、狭小であるので、適切な規模となるよう改善することが望ましい。(11.学習環境)24. 卒後教育講座は会場設備の関係から在学生の出席を積極的に広報していないが、会場の変更等を含め、さらに多くの方が参加できるようにすることが望ましい。(12.社会との連携)25. 薬学部独自のウェブサイトでは英文による情報発信を行っていないので、独自に発信することが望ましい。(12.社会との連携)26. 「薬学部評価委員会」には、外部委員を加えることが望ましい。(13.自己点検・- 38 -評価)27. ホームページ上に公開された自己点検・評価結果は、2010(平成22)年3月に公表した「自己評価21」のみであるので、最新のものを掲載することが望ましい。(13.自己点検・評価)3)改善すべき点1. ヒューマニズム教育・医療倫理教育において、学習成果を総合した目標達成度の評価指標を設定し評価するよう改善すべきである。(3.医療人教育の基本的内容)2. コミュニケーション能力および自己表現能力の学習成果を総合した目標達成度の評価指標を設定し評価するよう改善すべきである。(3.医療人教育の基本的内容)3. シラバスの授業計画の欄(特に演習科目)に、対応するSBOsが記されていない科目が散見されるので、改善すべきである。(4.薬学専門教育の内容)4. 薬学教育モデル・コアカリキュラムのSBOsの一部が実施されていないので、改善すべきである。(4.薬学専門教育の内容)5. 実務実習事前学習の総合的な目標達成度を評価するための指標が設定されておらず、それに基づいて適切に評価されていないので、改善すべきである。(5.実務実習)6. 指導薬剤師からの意見の聴取が十分でないので積極的に聴取するように改善すべきである。(5.実務実習)7. 「薬学卒業研究基礎」の実施ならびに評価が学部として統一した基準で行われていないので、改善すべきである。(6.問題解決能力の醸成のための教育)8. 2014(平成26)年度に策定した新カリキュラム導入後も進級率に大きな変動は見られないので、指導方法をさらに改善すべきである。(8.成績評価・進級・学士課程修了認定)9. 事故や災害の防止と対応に向けた規則やマニュアルが十分でないので、整備すべきである。(9.学生の支援)10. 助教が単独で科目を担当するのは望ましくないので、改善すべきである。(10.教員組織・職員組織)11. 自己点検・評価結果を教育研究活動の改善に結び付ける活動は、委員会を中心に行われているので、「薬学部評価委員会」を中心とする体制に整備する必要がある。(13.自己点検・評価)
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| 第1期 |
2019年度 |
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1:提言 改善報告審議結果 2025/1/10 |
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| 横浜薬科大学 | 私 | 神奈川県 | 第1期 | 2019年度 | 適 |
自己点検・評価書 基礎資料 正誤票 |
評価報告書
総評
横浜薬科大学 総評横浜薬科大学薬学部の教育研究上の目的および使命は、建学の精神である「個性の伸展による人生練磨」を踏まえ、薬剤師養成教育に課せられた基本的な使命に基づいて設定されており、それらは医療を取り巻く環境、薬剤師に対する社会的ニーズを反映したものとなっている。また、6年制の3学科と4年制の1学科のそれぞれに特徴的な教育研究上の目的(教育目標)も定めている。横浜薬科大学薬学部(6年制の3学科)は、教育研究上の目的に沿ったカリキュラム・ポリシー(教育課程の編成・実施方針)に基づいて編成されたカリキュラムによる教育を行っており、ヒューマニズム教育・医療倫理教育関連科目を全学年に配置し、薬学専門科目を薬学教育モデル・コアカリキュラムに準拠して実施し、知識・技能・態度を効果的に習得させるために、講義科目が終了したのちに関連する実習科目を行うなどの工夫がなされている。実務実習は、3年次から4年次に実務実習事前学習を複数の科目によって十分な時間数で実施し、実務実習は、実務実習センター教員と学生の所属する研究室の全教員が協力して実習施設を訪問し、学生の実習実施状況や出席状況を確認するなど、大学と実習施設間の連携を図っている。問題解決能力の醸成を目的とする卒業研究は、4年次後期から6年次前期まで行われ、研究成果は卒業論文発表会でポスター形式で発表し、卒業論文にまとめられている。卒業研究の評価には配属研究室以外の教員が副査として参加している。入学者の選抜は、一般入試、センター試験利用入試の他、AO入試、社会人入試、指定校および公募推薦入試などの多岐にわたる方法で行われ、合格者は適正に決定され、入学者数は入学定員から大きな乖離は認められない。成績評価は学生に周知した方法で行われており、進級や卒業に関わる判定も規程に沿って行われている。留年生や卒業延期生は少ないとは言えないが、それらの学生に対する支援は、薬学教育センター教員が中心となって、学習指導や生活指導を行っている。学生生活に対する各種の支援体制は整備され、障がい者受入れのために構内のバリアフ- 2 -リー化も進めている。専任教員は各専門分野において教育・研究に実績を有する者が配置されており、教員数も 96 名と大学設置基準を満たしている。教員の採用および昇任は適切な手続きにより行われている。教員の研究環境や学生の学習環境についても整えられている。社会との連携としては、横浜市および横浜市薬剤師会との連携のもと、モバイルファーマシー2台を運用していることが特色としてあげられる。以上のように、横浜薬科大学薬学部の6年制学科(健康薬学科 漢方薬学科 臨床薬学科)の教育プログラムは、本機構の評価基準におおむね適合していると判断される。しかしながら、主な改善すべき点として、以下が挙げられる。(1)6年次の教育カリキュラムが、薬剤師国家試験の合格のみを目指した受験準備教育に著しく偏っているので、改める必要がある。(2)医療人教育の目標達成度を評価するための指標を設定するとともに、それに基づく評価を行う必要がある。(3)実務実習事前学習全体についての総合的な目標達成度を評価するための指標を設定するとともに、それに基づく評価を行う必要がある。(4)問題解決能力の醸成に向けた教育において、目標達成度を評価するための指標を設定するとともに、それに基づく評価を行う必要がある。(5)半数以上の学生が6年間の在籍で卒業できていない現状は問題であるので、学生の在籍状況を改善させるための取り組みをなお一層充実させる必要がある。(6)「薬学総合演習」試験の合否が学士課程修了の可否判断基準となり、この科目が不合格になることで6年次在籍者の約1/4が卒業できていないという実態は、この大学における学士課程修了の認定が、ディプロマ・ポリシー(学位授与の方針)の達成より薬剤師国家試験の合否予測を重視して行われていることを意味しているので、改める必要がある。(7)6年制薬学教育プログラムを自己点検・評価するために薬学部内に定期的に検証する組織を整備し、内部質保証を図る必要がある。以上の指摘に加えて、中項目ごとの概評にある改善すべき点、助言を踏まえて積極的に改善に取り組み、横浜薬科大学薬学部 健康薬学科、漢方薬学科、臨床薬学科の6年制薬学教育がさらに優れたものとなることを期待する。
大学への提言
横浜薬科大学 大学への提言1)長所1. モバイルファーマシー(災害対策医薬品供給車両)を保有し、横浜市薬剤師会、および横浜市との連携協定を締結して、災害時などに備えて常に出動できる状態で待機しているほか、学生の教育や市民防災イベントなどにも活用している。(12.社会との連携)2)助言1. ホームページを、「教育研究上の目的」に容易にアクセスできるよう修正することが望まれる。(1.教育研究上の目的)2. 教育研究上の目的を検証する体制を整備し、定期的に検証していくことが望まれる。(1.教育研究上の目的)3. カリキュラム・ポリシーの「成績評価は、科目の特性に応じて適切かつ多様な評価方法を設けています。」という方針は、多様な評価方法を具体的に示すものに改訂することが望ましい。(2.カリキュラム編成)4. ディプロマ・ポリシーに謳われている「倫理観」ならびに「国際感覚」を醸成するための教育に対応する内容をカリキュラム・ポリシーに盛り込むことが望まれる。(2.カリキュラム編成)5. 教養科目に必修科目が多いことは、学生が幅広い教養教育プログラムを学ぶという観点からは好ましくないので、開講科目数を増やし人文・社会科学系の科目を充実させるなど、学生が選択できる科目の幅を広げることが望まれる。(3.医療人教育の基本的内容)6. 英語教育において、「書く」についての教育の充実が望まれる。(3.医療人教育の基本的内容)7. 生涯学習に対する意欲を醸成するための科目の多くは1年次に集中しており、体系的とはなっていないので、改善が望まれる。(3.医療人教育の基本的内容)8. 学力試験のみで選抜を行っている入試区分においても、面接など医療人としての適性- 45 -を評価するための試験を導入するなどの工夫を行うことが望まれる。(7.学生の受入)9. 学士課程修了判定会議を12月に実施しているが、就学期間が3か月も残っている時期に卒業の可否を決定することが適切であるとは言い難いので、より適切な時期に実施することが望ましい。(8.成績評価・進級・学士課程修了認定)10. 教育研究上の目的に基づいた6年間の総合的な学習成果を測定するための指標を設定し、それに基づく評価を行うことが望ましい。(8.成績評価・進級・学士課程修了認定)11. 訪問調査で見学した実習では、実習室がやや過密であり、実習中の事故への対応などが懸念されるので、改善することが望ましい。(9.学生の支援)12. 薬剤師の実務経験を有する実務家教員が実務研鑽にまとまった時間を充てることを可能にする研修制度を設けることが望ましい。(10.教員組織・職員組織)13. 一部の教員への負担偏重を是正し、適正な研究時間の確保ができるように、授業時間数の設定を見直することが望ましい。(10.教員組織・職員組織)14. 科研費などの外部資金を獲得するための具体的な支援を行う組織体制を整備することが望ましい。(10.教員組織・職員組織)15. 授業アンケートの回答率は20%程度と低い上に無効な回答も多いため、回収率を高めることが望ましい。(10.教員組織・職員組織)16. 教員の海外研修は行われていないので、機会を設けることが望ましい。(12.社会との連携)17. 自己点検評価委員会に外部委員を含めることが望ましい。(13.自己点検・評価)3)改善すべき点1. カリキュラムに沿った6年間の学修によって、3学科に共通、および各学科に固有のディプロマ・ポリシーのどの項目が達成され、それによって薬剤師に求められる基本的な資質がどのように修得できるのかを理解できるよう、カリキュラム・ツリーを改善する必要がある。(2.カリキュラム編成)2. 6年次の国家試験受験準備のための演習と補習において、正規授業の演習より多くの時間を予備校による補習に充てており、6年次の教育カリキュラムが薬剤師国家試験の合格のみを目指した受験準備教育に著しく偏重しているので、改善する必要がある。(2.カリキュラム編成)3. ヒューマニズム教育・医療倫理教育における目標達成度を総合的に評価するための指- 46 -標を設定し、それに基づいて適切に評価する必要がある。(3.医療人教育の基本的内容)4. コミュニケーション能力および自己表現能力を身につけるための教育における目標達成度を総合的に評価するための指標を設定し、それに基づいて適切に評価する必要がある。(3.医療人教育の基本的内容)5. シラバスの学習方法の記載が統一されておらず、目標と学習方法が一致していない科目が散見されるので、改善する必要がある。(4.薬学専門教育の内容)6. 実務実習事前学習全体についての総合的な目標達成度を評価するための指標を設定し、それに基づき適切に評価する必要がある。(5.実務実習)7. 卒業研究に関わる新カリキュラムの単位数(10単位)の内訳が、規約、「自己点検・評価書」、シラバスで異なっていることについては、改善する必要がある。(6.問題解決能力の醸成のための教育)8. 医療や薬学における研究の位置づけを考察するよう明記された卒業論文作成要領を整備する必要がある。(6.問題解決能力の醸成のための教育)9. 問題解決能力の醸成に向けた教育において、目標達成度を評価するための指標を設定し、それに基づいた適切な評価を行う必要がある。(6.問題解決能力の醸成のための教育)10. 入学選抜で、入学後の教育を受けるために必要な基礎学力を欠く受験生を合格させないよう、入学者選抜の方法を改善する必要がある。(7.学生の受入)11. 成績の判定結果に疑義がある場合に学生が問い合わせる制度が定められていないので、早急に整備する必要がある。(8.成績評価・進級・学士課程修了認定)12. 半数以上の学生が6年間の在籍で卒業できていない現状は問題であるので、学生の在籍状況を改善させるための取り組みをなお一層充実させる必要がある。(8.成績評価・進級・学士課程修了認定)13. 「薬学総合演習」の合格ラインを学生ごとに引き下げる制度に、外部予備校による模擬試験受験の有無および不正解問題への取り組み状況を点数化して組み入れていることは適切ではないので、改善する必要がある。(8.成績評価・進級・学士課程修了認定)14. 「薬学総合演習」試験の合否が学士課程修了の可否判断基準となり、この科目が不合格になることで6年次在籍者の約1/4が卒業できていないという実態は、この大学における学士課程修了の認定が、ディプロマ・ポリシーの達成より薬剤師国家試験の- 47 -合否予測を重視して行われていることを意味しているので、改める必要がある。(8.成績評価・進級・学士課程修了認定)15. 横浜薬科大学が毎年行っている委員会や教員による点検・評価は、本機構が求めている6年制薬学教育プログラムに対する自己点検・評価ではない。6年制薬学教育プログラムに対する自己点検・評価を大学(あるいは薬学部)として恒常的に行い、その結果を公表する体制を構築することが必要である。(13.自己点検・評価)16. 横浜薬科大学の6年制薬学教育のレベルを保つために必要な多くの問題を解決するため、委員会や教員による個別の問題の改善ではなく、6年制薬学教育の現状が抱えている諸問題に対する点検・評価に大学全体で取り組み、その結果を教育のレベルの改善に反映できる体制を早急に構築することが必要である。(13.自己点検・評価)
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自己点検・評価書 基礎資料 正誤票 |
評価報告書
総評
医療創生大学 総評 医療創生大学薬学部は、「明星学苑」の校訓「健康、真面目、努力」のもと、「豊かな人間性を有し、地域の人々の健康を率先して守ることのできる、研究マインドと確かな知識に裏打ちされた、自律・自立した薬剤師を育成する」ことを教育研究上の目的として設定している。教育課程の編成・実施の方針(カリキュラム・ポリシー)は教育研究上の目的に沿って設定されている。カリキュラムはカリキュラム・ポリシーに基づき、豊かな人間性、主体的学習力ならびに問題解決能力を養うための医療創生大学薬学部の最大の特徴とする「イグナイト教育」と、基礎系科目、専門科目、臨床系科目が順次性をもって学年進行にそって構築されている。ヒューマニズム教育、医療倫理教育、およびコミュニケーションとプレゼンテーションに関する教育も、1~4年次に前述の「イグナイト教育」を中心に編成されている。東日本大震災の被災経験を基に、大学独自の選択科目として、1年次では「災害からの復興」、2年次では「地域・災害医療学」などの特徴ある科目を配置している。その他、薬学専門教育の実施に向けた準備教育、医療安全教育なども、質と量に懸念される点はあるが、順次性に配慮して行われている。薬学専門教育は、薬学教育モデル・コアカリキュラムにおおむね準拠しており、グループ学習やミニッツペーパー等の様々なアクティブラーニングを用いるなど学習領域に適した学習方略が用いられている。大学独自の薬学専門教育は、教育研究上の目的に基づいて3つの科目群を設定しており、先に述べた「災害からの復興」などの特徴ある科目は、「地域の人々の健康を率先して守ることのできる力を育む科目」に対応している。実務実習事前学習は、実務実習モデル・コアカリキュラムに準拠し、実務家教員8名に- 2 -よる適切な指導体制の下に行われている。「実務実習実施本部」が、実務実習施設の割振り、実習施設との連携、実習生への対応などを行い、病院・薬局実習は適切に行われている。卒業研究は、4年次に実験を中心とする「卒業研究A」あるいは文献調査研究である「卒業研究B」のいずれかを選択し、6年次前期まで行われている。問題解決能力の醸成のための教育は、実質的な実施時間が短いとの懸念があるが、グループ学習を取り入れた「イグナイト教育2A」や「プレゼンテーション(アドバンストイグナイト(処方解析))」において実施されている。入学者選抜は、入学者受入方針(アドミッション・ポリシー)に基づき、AO入学試験、推薦入学試験、一般入試、センター試験利用入試の4種類の入学試験が実施されているが、入学生の学力が薬学教育に十分であるか、さらには編入学生の薬学教育に求められる医療人教育科目の履修に懸念される点がある。学生の成績評価、進級判定、卒業判定は、学則等の関連する諸規程に基づいて行われているとしているが、種々の懸念される点が存在している。各科目における成績評価の方法はシラバスに明記されているが、不備が散見される。学生への支援は、チューター制による履修・学生生活の指導、複数の奨学金制度による経済的支援が行われ、ハラスメント防止や障がい学生に対する体制も整っている。健康管理センターによるヘルスケア、メンタルケア等の学生の健康維持を支援する体制が整備されている。教員組織については、専任教員数は大学設置基準を満たしており、教員の資格、授業科目の担当状況も適切である。教員の採用・昇任は、大学の規程に基づいて適正に行われている。教育研究に必要な講義室、実験室、図書館などの学習環境は十分に整備されている。社会との連携については、地域の薬剤師会と積極的に連携するなど適切な取り組みが行われている。自己点検・評価については、「薬学部自己点検評価委員会」を設置して行っているが、これらの組織が十分に機能しているとは判断できない。以上のように、医療創生大学薬学部の教育プログラムは、本機構の評価基準におおむね適合していると判断される。しかし、以下のような問題点があり、改善が必要である。(1) 6年次の授業編成が薬剤師国家試験対策の教育に偏っていると判断されるため、改善する必要がある。- 3 -(2) イグナイト教育におけるヒューマニズム・医療倫理教育に係る授業回数は少なく、また、SGDなどの能動的参加型学習法を用いた授業も限られているので、改善する必要がある。(3) ヒューマニズム教育・医療倫理教育において、総合的な目標達成度を評価するための指標が設定され、それに基づいて適切に評価されることが実施されていないので、改善する必要がある。(4) 授業科目が薬学教育モデル・コアカリキュラムの到達目標を網羅していないので、早急に改善する必要がある。(5) 問題解決能力の醸成に関する関連科目を総合して評価するための指標を設定して評価を行っていないので、改善する必要がある。(6) 留年率、退学率が高く、6年次におけるストレート在籍率は 0.5 を下回っていることから、入学者選抜に当たって、入学後の教育に求められる基礎学力が適確に評価されていないことが考えられるので、改善する必要がある。(7) 実質的な卒業試験と考えられる「薬学総合演習(ファーマドリルファイナル)」の成績評価方法、再試験の受験資格およびシラバスの記載には問題があるので改善する必要がある。(8) 6年次の国家試験受験準備科目である「薬学総合演習(ファーマドリルファイナル)」の合否で実質的卒業認定が行われており、ディプロマ・ポリシーに基づいた学士課程修了認定はなされていないので改善する必要がある。(9) 6年制薬学教育プログラムを点検・評価するための適切な項目を設定し、定期的に自己点検・評価をするように「薬学部自己点検評価委員会」を整備し機能させる必要がある。医療創生大学薬学部には、本評価で指摘された改善すべき点および助言を踏まえて、改善に取り組み、イグナイト教育など特色ある教育プログラムを効果的に活かして、より優れた6年制薬学教育が展開されることを期待する。
大学への提言
医療創生大学 大学への提言1)助言1. 薬学科の「教育研究上の目的」には、教育上の目的が薬剤師育成について設定されているが、薬学部が行う研究上の目的が含まれていないので、改善が望まれる。(1.教育研究上の目的)2. 教育研究上の目的の教職員への周知は、「履修の手引」やホームページだけであり、十分に行われているとは言い難いので、改善が望まれる。(1.教育研究上の目的)3. オリエンテーションおよび「イグナイト教育1A」の資料に記載されている教育研究上の目的が、学則に定められている文言と異なるので一致させることが望まれる。(1.教育研究上の目的)4. 教育研究上の目的は、定期的には検証されていないので、改善が望まれる。(1.教育研究上の目的)5. カリキュラム・ポリシーについて、学生・教職員に対しての周知、ならびに薬学部パンフレットなどを通じて受験生にも十分周知することが望まれる。(2.カリキュラム編成)6. 科目の単位数の設定が「履修の手引」に沿っていない科目があるので、改善すること- 43 -が望まれる。(「薬学要説(化学系)」「薬学要説(生物系)」は8コマを1単位とし、「化学演習1」は30コマで1単位としている)(2.カリキュラム編成)7. 教養教育として設定している全学共通教育科目の中の選択科目のうち、人文社会系科目等に必修科目と時間割が重複しているもの(履修できない科目;文学の世界、邦楽入門、経済学入門、社会学入門、地球環境の科学、統計のしくみ)があるので、履修できるように時間割を工夫することが望まれる。(3.医療人教育の基本的内容)8. 入学までの学習歴を考慮したリメディアル教育プログラムについて改善が望まれる。(3.医療人教育の基本的内容)9. 薬害被害者や弁護士を講師とした授業はあるが、医療における安全管理者などの話を聞く機会はないので、学生が医療安全に関して肌で感じる機会をさらに提供するように改善が望まれる。(3.医療人教育の基本的内容)10. 生涯学習に対する意欲を醸成するための教育内容を充実させることが望まれる(3.医療人教育の基本的内容)11. 「生涯学習研修会」などの生涯学習のプログラムは提供されているが、学部生の参加を増やす方策を講じることが望まれる。(3.医療人教育の基本的内容)12. 実務実習事前学習に密接に関連する科目である「臨床薬物動態学」、「医薬品情報学」、「調剤系実習」に関して、実務実習事前学習の内容であることが、シラバスの「授業の概要」(教育目標)に記載されていないので、学生がこれらの科目を実務実習につながる科目として学んでいないことが懸念されるので、改善することが望まれる。(5.実務実習)13. 実務実習の総合的な学習成果を測定するための指標を設定し、それに基づいて適切に評価することが望まれる。(5.実務実習)14. 研究成果の医療や薬学における位置づけを考察して卒業論文を作成することについて、卒業論文作成要領およびシラバスの一般目標、到達目標に記載がないので、それらに記載するとともに学生に指導して卒業論文に反映されるように改善することが望まれる。(6.問題解決能力の醸成のための教育)15. 問題解決型学習の実施時間を適切に確保し、体系的な問題解決能力の醸成に向けた教育が行われるように、改善することが望まれる。(6.問題解決能力の醸成のための教育)16. 薬学部パンフレットと入試要項に記載されている入学者受入方針(アドミッション・ポリシー)の内容が、薬学部ホームページや「履修の手引」と異なっているので、一- 44 -致させることが望まれる。(7.学生の受入)17. 一般入試とセンター試験利用入試において、面接等によって医療人としての適性を評価する工夫をすることが望まれる。(7.学生の受入)18. 一部の基礎実習(化学系実習、物理系実習)の評価方法は、学習領域(技能)に適した評価方法とは言えず、改善することが望まれる。(8.成績評価・進級・学士課程修了認定)19. 学生が成績評価に対して疑問を生じた場合には、成績質問受付期間に大学事務局内の教務課を通じて科目担当教員に確認することができることを、「履修の手引」に記載して学生に周知することが望まれる。(8.成績評価・進級・学士課程修了認定)20. 薬学部の教育研究上の目的に基づいた教育における総合的な学習成果を適切に評価するための指標は設定されていないので、指標を設定し、その指標に基づいて評価することが望まれる。(8.成績評価・進級・学士課程修了認定)21. 教授の半数以上が60歳代であり、年齢構成にやや偏りが見られるので改善が望まれる。(10.教員組織・職員組織)22. 一部の教員に過去6年間に論文や学会発表がなく、研究活動の活性化が望まれる。(10.教員組織・職員組織)23. 担当授業時間数に教員間で大きな差があるので、改善が望まれる。(10.教員組織・職員組織)24. 事務職員が大学共通部署に配属されており、薬学部専任の事務職員はいないので、適切に配置することが望まれる。(10.教員組織・職員組織)25. 「薬学部自己点検評価委員会」には外部委員は在籍しないので、改善が望まれる。(13.自己点検・評価)2)改善すべき点1. 6年次の授業編成が薬剤師国家試験対策の教育に偏っていると判断されるため、改善する必要がある。(2.カリキュラム編成)2. イグナイト教育におけるヒューマニズム・医療倫理教育に係る授業回数は少なく、また、SGDなどの能動的参加型学習法を用いた授業も限られているので、改善する必要がある。(3.医療人教育の基本的内容)3. ヒューマニズム教育・医療倫理教育において、総合的な目標達成度を評価するための指標が設定され、それに基づいて適切に評価されることが実施されていないので、改- 45 -善する必要がある。(3.医療人教育の基本的内容)4. コミュニケーション能力を養う教育について、授業回数および学習方略を改善する必要がある。(3.医療人教育の基本的内容)5. コミュニケーション能力および自己表現能力を身につけるための教育において、学習成果を総合した目標達成度を評価するための指標が設定され、それに基づいて適切に評価されることが実施されていないので、改善する必要がある。(3.医療人教育の基本的内容)6. 授業科目が薬学教育モデル・コアカリキュラムの到達目標を網羅していないので、早急に改善する必要がある。(4.薬学専門教育の内容)7. シラバスの表記に以下のような不備が散見されるので、改善する必要がある。(4.薬学専門教育の内容)① 「授業の概要」に薬学教育モデル・コアカリキュラムの一般目標が記載されていない。② 授業形態に、当該科目で用いる学習方略の記載漏れがある。③ 授業内容に対応しないSBOの記載が散見される。④ 大学独自科目の表示が分かりにくく、その根拠が説明されていない。⑤ 成績評価方法と寄与率の記載が分かりにくい。8. 到達目標に適した学習方略を用いた教育が行われていない授業科目があるので、改善する必要がある。(4.薬学専門教育の内容)9. 実務実習事前学習の目標達成度を評価するための指標を設定し、それに基づいて適切に評価することが必要である。(5.実務実習)10. 卒業研究の実施時間が十分に確保されていないので、改善する必要がある。(6.問題解決能力の醸成のための教育)11. 卒業論文の評価を複数の教員によって行うように改善する必要がある。(6.問題解決能力の醸成のための教育)12. 問題解決能力の醸成に関する関連科目を総合して評価するための指標を設定して評価を行っていないので、改善する必要がある。(6.問題解決能力の醸成のための教育)13. 薬学部教授会には、入試判定会議による決定事項が報告されるのみで、合否判定には直接は関与していないので、改善する必要がある。(7.学生の受入)14. 留年率、退学率が高く、6年次におけるストレート在籍率は0.5を下回っていることから、入学者選抜に当たって、入学後の教育に求められる基礎学力が適確に評価されて- 46 -いないことが考えられるので、改善する必要がある。(7.学生の受入)15. 編入学者は、出身学部によっては薬学教育に求められている「早期体験学習(早期臨床体験)」等の医療人教育を履修していない可能性が強く懸念されるので、編入学者に対する医療人教育が十分行われるように改善する必要がある。(7.学生の受入)16. 出席を評価項目としているのは、適正な評価項目ではないので、改善する必要がある。(8.成績評価・進級・学士課程修了認定)17. 「臨床薬学2」において、本試験 60 点以上の場合のみ、小テスト・レポートの評価を加点する、ならびに「薬品分析学1」、「調剤系実習」において全員に一律に加算点が与えられるという評価方法は適正ではないので、早急に改善する必要がある。(8.成績評価・進級・学士課程修了認定)18. 実質的な卒業試験と考えられる「薬学総合演習(ファーマドリルファイナル)」のシラバスの記載には問題があるので改善する必要がある。(8.成績評価・進級・学士課程修了認定)19. 予備校模擬試験を受験することを、「薬学総合演習(ファーマドリルファイナル)」の再試験の受験資格にしていることは不適切であるので、早急に改善する必要がある。(8.成績評価・進級・学士課程修了認定)20. 6年次の国家試験受験準備科目である「薬学総合演習(ファーマドリルファイナル)」の合否で実質的卒業認定が行われており、ディプロマ・ポリシーに基づいた学士課程修了認定はなされていないので改善する必要がある。(8.成績評価・進級・学士課程修了認定)21. 6年制薬学教育プログラムを点検・評価するための適切な項目を設定し、定期的に自己点検・評価をするように「薬学部自己点検評価委員会」を整備し機能させる必要がある。(13.自己点検・評価)22. 自己点検・評価の結果を教育研究活動に反映する体制を整備し、その結果を教育研究活動の改善に反映させる必要がある。(13.自己点検・評価)
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3:但し書き 改善報告審議結果 2022/6/28 |
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| 熊本大学 | 国 | 熊本県 | 第1期 | 2019年度 | 適 |
自己点検・評価書 基礎資料 正誤票 |
評価報告書
総評
熊本大学 総評熊本大学薬学部は6年制薬学科と4年制創薬・生命薬科学科の2学科を設置しており、薬学科では、「医療系薬学及び衛生・社会系薬学を中心とした応用的学問を修得し、高度化する医療において薬物治療に貢献する薬剤師や臨床研究者として活躍する人材の育成を目的とする」という教育研究上の目的の下に、入学者受入の方針(アドミッション・ポリシー)、教育課程の編成・実施の方針(カリキュラム・ポリシー)、学位授与の方針(ディプロマ・ポリシー)を、整合性を持って設定し、医療を取り巻く環境ならびに社会の薬剤師に対するニーズを反映した薬学教育を行っている。カリキュラムは、ディプロマ・ポリシーを踏まえて定められたカリキュラム・ポリシーの体系性、段階性、個別化の方針に沿って編成されており、それは薬学教育モデル・コアカリキュラムに対応したものとなっている。すなわち、ヒューマニズム教育・医療倫理教育、コミュニケーション能力教育は各学年の進行に相応した内容の科目を配置して学年進行形で順次性をもって体系的かつ効果的に行われている。教養教育は総合大学の特色を活かして、共通する主題のもとに複数の科目を1パッケージとして学修して多面的な理解・考察力の醸成する科目パッケージ制を含めて、人文・社会科学から自然科学まで幅広い領域にわたる科目が開講されている。語学教育は、英語を中心として、低学年における基礎的な語学力から、高学年での専門性を考慮した語学力まで、各学年を通じて体系的に教育が行われている。薬学専門科目では、基礎と応用・臨床を相互に関連付け、かつ目的意識を持って学修できるように、基礎的科目とそれらに関連する応用・臨床的科目が順次性に配慮しながら年次進行とともに適切に配置されている。薬学共用試験も適切に実施されている。実務実習事前学習、実務実習も適切な体制の下で実務実習モデル・コアカリキュラムに沿って適正に実施されており、「病院実務実習」では医学部医学科臨床実習(ポリクリ)- 2 -と連携・参画する参加型実務実習を行って教育効果を高めている。卒業研究は1年以上実施されており、各自その成果を卒業論文としてまとめるとともに、薬学部主催の卒業論文発表会で口頭発表している。学生の受入は、推薦入学試験と一般入学試験により行われているが、いずれもアドミッション・ポリシーに基づいて適切に行われており、入学定員数に対する入学者数にも問題はない。また、成績評価・進級判定・学士課程修了認定は、ディプロマ・ポリシーに基づいて公正かつ厳格に行われている。学生への履修指導や学習指導は研究室配属までは担任教員、研究室配属後は当該分野の所属教員が対応して適切に行われている。学生の経済的支援は、入学料免除制度および授業料免除制度の設置、各種奨学金等に関する情報提供、大学独自の奨学金制度の設置等により対応している。また、学生の健康維持、心身的な支援などの体制、ハラスメント対応、実験・実習での安全教育体制も整っている。専任教員は各専門分野において研究・教育に優れた実績を有するものが配置されており、教員数、実務家教員数も大学設置基準を十分満たしている。教員の採用、昇任は、規程に基づいて、研究実績を含めた研究能力、教育上の指導能力等を総合的に判断して行われている。また、研究室、講義室、実習室、演習室、セミナー室、実務実習事前学習のための模擬薬局および摸擬病室、コンピューター演習室、動物飼育施設、RI施設、薬用植物園、図書館などの施設、各種の設備も整備されており、学習環境も整っている。また、FD(FacultyDevelopment)活動も問題なく行われている。社会との連携として、熊本の企業との共同研究講座の設置、熊本県との共同提案事業の実施、海外の大学・研究所との大学間および部局間交流などを活発に行っている。また、教員が熊本地区の薬剤師会、病院などの委員を務め、地域の薬学の発展に貢献している。また、各種の関連学会の役員・委員を務め、それぞれの団体との連携を図っている。さらに、点検評価のために、薬学部運営会議のもとにワーキンググループが設置されており、教育プログラムに対する自己点検・評価、その結果の教育研究活動への反映も行われている。以上のように、熊本大学薬学部薬学科の6年制薬学教育プログラムは、本機構の評価基準におおむね適合していると判断される。しかし、以下のような問題点があり、改善が必要である。- 3 -(1) ヒューマニズム教育・医療倫理教育、コミュニケーション能力・自己表現能力の醸成教育、実務実習事前学習、および問題解決能力を醸成する教育において、それぞれ総合した目標達成度の指標を設定し、それに基づいた適切な評価を行う必要がある。(2) 科目の全部あるいはその一部に独自性を持つ科目においては、その独自性がシラバスで確認できるように、シラバスの記載方法を改善することが必要である。(3) 薬局実務実習において、一部の薬局で実習日数が実務実習モデル・コアカリキュラムで求められている標準の日数より不足しているので、学生、実習施設の指導者、教員の間の連携を強化し、実務実習が適正に実施されるよう、改善することが必要である。(4) 薬局・病院実務実習評点表において採点基準を定めることが必要である。(5) 「卒業前総括講義」の評価の一部に外部機関の国家試験模擬試験の結果を取り入れているので改善することが必要である。(6) 教育プログラムの自己点検・評価を必要な全ての評価項目について継続的に実施・公表し、教育研究活動の改善に恒常的に取り組む必要がある。熊本大学薬学部薬学科は、本評価での改善すべき点、助言を踏まえ、積極的に改善に取り組み、さらに発展することを期待する。
大学への提言
熊本大学 大学への提言1)長所1. 複数の科目において、病院、行政、薬局など、薬剤師が活躍している様々な領域やその関連領域から講師を招き、その講義等を通じて実際の職務や活動、今後の方向性、生涯学習の重要性などを理解するように努め、生涯学習の必要性を早期から意識付け、認識するための教育が行われている。(3.医療人教育の基本的内容)2)助言1. 薬学部の教育研究上の目的の教職員や学生に対する周知は主として学生便覧の配付という形に依存しており、積極的な周知は図られていないため、FDやガイダンス等の場を活用して一層の周知に努めるよう改善することが望まれる。(1.教育研究上の目的)2. 教育研究上の目的は、薬学部教務委員会が深い関わりを持つカリキュラム・ポリシーならびにディプロマ・ポリシーの策定の基盤となるものであり、今後のカリキュラムマネジメントの確立に向けた取組みと密接に関わる事柄でもあるため、教育研究上の目的の検証に薬学部教務委員会が関与するように改善することが望まれる。(1.教育研究上の目的)3. カリキュラム・ポリシーの教職員および学生への周知は主としてこの学生便覧の配付という形に依存しており、積極的な周知は図られていないので、教職員にはFD、学生にはガイダンス等の場を活用して一層の周知に努めるよう改善することが望まれる。(2.カリキュラム編成)4. カリキュラム・ツリーの学生への周知が図られていないので、ガイダンス等の場を活用して周知に努めるよう改善することが望まれる。(2.カリキュラム編成)5. 大学の卒後教育の研修会への学部生の参加がないので、学生に生涯学習に対する意欲を醸成するための教育が体系的に行われるよう、改善することが望まれる。(3.医療人教育の基本的内容)6. 複数の教員が授業を担当している場合、各教員が担当している部分がわからないので、それぞれの担当部分をシラバスに明記するようにすることが望ましい。(4.薬学専門教育の内容)7. 個々の科目のシラバスにおいて基礎と臨床の知見の相互の関連付けが十分に記載されていない科目が見られるので、シラバスの「授業の目的」「授業の概要」等の項目で、- 41 -科目内での基礎と臨床の知見の相互の関連付けがわかるように記述するよう、改善することが望ましい。(4.薬学専門教育の内容)8. 科目において担当教員の中に非常勤講師がいる場合は、シラバスに非常勤講師であることを明記するよう、改善することが望ましい。(4.薬学専門教育の内容)9. 卒業研究の評価を公正かつ厳格に行うために、卒業論文の評価は適切な指標を設定し、それに基づいて複数の教員で行うよう、改善することが望ましい。(6.問題解決能力の醸成のための教育)10. 一般入試において調査書等の段階別評価や面接の活用などの工夫により、医療人としての適性や主体性を持って多様な人と協働して学ぶ基礎的素養を有する学生を選抜できるような入試体制を整備することが望まれる。(7.学生の受入)11. 学生便覧では秀、優、良、可が示す評点の範囲は示されていないので、秀、優、良、可が示す評点の範囲を学生便覧に示すよう、改善することが望ましい。(8.成績評価・進級・学士課程修了認定)12. ディプロマ・ポリシーの教職員および学生への周知は主としてこの学生便覧の配付という形に依存しており、積極的な周知は図られていないため、FDやガイダンス等の場を活用して一層の周知に努めるよう改善することが望まれる。(8.成績評価・進級・学士課程修了認定)13. 総合的な学習成果の測定を行うための指標設定等の基盤となるルーブリック、学修成果可視化システム(ASO)は構築されているが、それらのシステムが教職員および学生には十分に浸透しておらず、それらの実際の運用については改善が望まれる。(8.成績評価・進級・学士課程修了認定)14. 複数の講義室・実習室ではバリアフリーとなっていないため、バリアフリー化するよう改善することが望ましい。(9.学生の支援)15. 一部の教員については、ホームページの最近の業績が更新されていないところがあるので、ホームページを最新のものに適宜更新するよう、改善することが望ましい。(10.教員組織・職員組織)16. 実務家教員は個人の努力で常に新しい医療に対応するために自己研鑽に努めている状態にあるので、制度として実務家教員のスキル向上を支援する体制を構築するよう、改善することが望ましい。(10.教員組織・職員組織)17. 一部の教員に授業負担が重くなっているので、授業担当時間数の継続的な見直し、教員の退職に伴う欠員の補充などに努め、個々の教員の授業担当時間数が適正な範囲内- 42 -となるよう、改善することが望ましい。(10.教員組織・職員組織)18. 自己点検・評価体制には外部委員が含まれておらず、外部委員を整備するよう、改善することが望まれる。(13.自己点検・評価)3)改善すべき点1. ヒューマニズム教育・医療倫理教育において、総合した目標達成度評価のための指標は設定されていないので、これを設定し、それに基づいた適切な評価を行う必要がある。(3.医療人教育の基本的内容)2. コミュニケーション能力および自己表現能力を身につけるための教育において、関連科目の学習成果を総合した目標達成度評価のための適切な指標は設定されていないので、これを設定し、それに基づいた適切な評価を行う必要がある。(3.医療人教育の基本的内容)3. シラバスにSBOsが示されていない科目や、科目全体についての大雑把な記述だけで各回の授業内容の対応が示されていない科目も見られるので、「到達目標」の欄などに履修内容に対応してSBOsを記載するよう改善する必要がある。(4.薬学専門教育の内容)4. 科目の全部あるいはその一部に独自性を持つ科目においては、その独自性がシラバスで確認できるよう、シラバスの記載方法を改善することが必要である。(4.薬学専門教育の内容)5. 実務実習事前学習において、総合した事前実習全体としての目標達成度を評価するための指標は設定されておらず、指標を設定して適切に評価するよう、改善することが必要である。(5.実務実習)6. 薬局実務実習において、一部の薬局で週5日で9週間での実習が行われており、薬局実務実習日数として実務実習モデル・コアカリキュラムで求められている標準の実習日数(週5日で 11 週間)より不足しているので、薬局実務実習日数として実務実習モデル・コアカリキュラムで求められている日数より短くならないように、学生、実習施設の指導者、教員の間の連携を強化し、実務実習が適正に実施されるよう、改善が必要である。(5.実務実習)7. 薬局・病院実務実習評点表において採点基準が定められていないので、採点基準を定めるよう、改善することが必要である。(5.実務実習)8. 問題解決型学習と位置付ける各科目には評価指標が設定されているものの、問題解決- 43 -能力の醸成に向けた総合的な目標達成度の指標や評価基準が設定されていないので、卒業研究を含めた問題解決能力の醸成に関する科目を総合した目標達成度の指標を設定して、適切に評価するよう改善することが必要である。(6.問題解決能力の醸成のための教育)9. 成績評価がいくつかの方法で行われている科目において、最終成績に寄与する各評価方法の割合や評価基準が明記されていない科目があるので、明記するように改善することが必要である。(8.成績評価・進級・学士課程修了認定)10. 「卒業前総括講義」の評価において、外部機関の 1 月末の国家試験模試の結果を取り入れていることは不適切であるので、改善が必要である。(8.成績評価・進級・学士課程修了認定)11. 平成 26 年度の自己評価では「6年制薬学科教育の内部質保証」を目的としての評価項目のすべてを評価しておらず不十分であるので、必要とする評価項目をすべて評価するよう、改善が必要である。(13.自己点検・評価)12. 自己点検・評価が恒常的に行われているとは言い難いので、自己点検・評価を継続的に実施・公表するよう、改善が必要である。(13.自己点検・評価)
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| 第1期 |
2019年度 |
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3:但し書き 改善報告審議結果 2021/6/28 |
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| 城西国際大学 | 私 | 千葉県 | 第1期 | 2019年度 | 適 |
自己点検・評価書 基礎資料 正誤票 |
評価報告書
総評
城西国際大学 総評城西国際大学薬学部は、医療を取り巻く環境の変化(超高齢社会、医療の国際化)の中で薬剤師に求められる社会のニーズ(安心・安全な薬物治療の提供、在宅医療への関わり、健康支援)を踏まえ、「超高齢化と国際化が進む日本社会において、質が高く安心・安全な医療サービスを提供し、健康的で豊かな生活を支援できる薬剤師の育成」を「教育研究上の目的」としている。この「教育研究上の目的」の下に、入学者受入の方針(アドミッション・ポリシー)、教育課程の編成・実施の方針(カリキュラム・ポリシー)、学位授与の方針(ディプロマ・ポリシー)が整合性を持って設定されている。カリキュラムは、「V-Actl'on」という教育プログラムを通して「薬剤師資格の基盤となる専門知識を状況に応じて発揮する力」、「地域住民の健康を支える力」、「療養患者に希望を与える力」を涵養することを大学独自の教育目標として編成されている。ヒューマニズム教育・医療倫理教育において、各学年の目標到達度の指標となる「JIU薬・マイルストーン」を策定し、「臨床マインド」醸成過程の各学年での到達目標を示している。医療人として、薬学専門家として活躍するために必要な、人と社会の関わりについて学ぶヒューマニズム教育をすべての学年で実践している。カリキュラムは、独自に「臨床マインド科目群/キャリア形成科目群」を1年次~4年次まで順次性と体系性をもって配置し、5年次の「病院実務実習」、「薬局実務実習」、5年次、6年次の「専門科目群Ⅱ」へとつなげている。多種多様な大学独自科目を導入し、また大学独自のSBOs(Specific BehavioralObjectives)を設定して低学年から高学年まで、城西国際大学の理念と薬学部の教育研究上の目標を反映した医療人教育が実践されている。- 2 -実務実習事前学習では、目標達成度を評価する「病院・薬局事前学習自己評価表(日誌・成長記録)」が作成され、学生が各項目の達成度を自己評価している。「実習施設訪問手順」や「病院・薬局実務実習Q&A」などを介して実習担当教員と指導薬剤師の連携の円滑化を常に図り、大学と施設、大学と地区調整機構との連携体制が適切に構築されている。卒業論文発表会後に学生は卒業論文をまとめるばかりでなく、学生用ルーブリック評価表を用いて「自己分析レポート」を作成することで自己/他己分析力の修得を促している。問題解決能力の醸成に向けた教育を実践するために各学年に配置されている「臨床マインド科目群/キャリア形成科目群」に属する科目ではPBL(Problem Based Learning)、SGD(Small Group Discussion)、プレゼンテーションなどの能動的参加型学習を取り入れた授業が積極的に行われている。「薬学総合演習及び卒業試験」では、試験成績に基づく評価だけでなく、自己評価・学生相互評価・教員評価・教員以外の第三者による客観的評価を組み入れた「成長報告書」による形成的評価を実施している。1年次秋学期に開講される「総合演習Ⅰ」において、同学年の成績上位者がチューターとなって学習指導を行う少人数ワークを行い、基礎学力の向上を図ることで上級学年の学習への移行が容易になるよう取り組んでいる。専任教員数は、教授 18 名、准教授 13 名、助教4名の計 35 名であり、学生の収容定員780 名に対する大学設置基準で定められた専任教員数(30 名)を上回っている。実務家教員は8名で、設置基準の専任教員数に基づく必要数(5名)を上回っている効果的な教育が推進できるように、講義室、施設・設備が規模と数の観点から適切に整えられている。千葉大学、千葉科学大学との大学間連携共同教育推進事業(三大学薬学部GP)として「実践社会薬学の確立と発展に資する薬剤師養成プログラム」を推進している。以上、城西国際大学の6年制薬学教育プログラムは、本機構の評価基準におおむね適合していると判断される。しかし、但し書きに加え、以下のような問題点があり改善が必要である。(1)5年次、6年次時間割の「薬学総合演習」/「卒業研究」という記載は不適切なので、改善することが必要である。(2)一部の教養科目、語学科目、準備教育科目が、薬学部の学生便覧やシラバス、ホー- 3 -ムページに履修可能な科目として掲載されているにもかかわらず、薬学部の専門科目等と開講時間が重なる、開講していないなどの理由で履修できない状況にあるので、改善することが必要である。(3)シラバスには、1)「必修」、「選択」、「選択必修」の区別が明記されていない、2)各回の講義内容に対応するモデル・コアカリキュラムのSBOsの記載が欠如している科目があり記載項目に統一性がない、などの問題があり、改善が必要である。(4)実務実習事前学習全体の「目標達成度」を評価する総合的な指標が設定されていないため、実務実習事前学習の最終評価が適切になされているとは言えないので改善する必要がある。(5)卒業研究は独立した科目として4年次、5年次、6年次の時間割に組み込み、単位数に応じた時間数が確保されるように改善することが必要である。(6)公平性を担保した客観的な評価を行うという観点から、指導教員(主査)のみが卒業論文の評価を行う方法は問題があるので、副査用の評価基準を定め、複数の教員で卒業論文を審査するように改善する必要がある。(7)低学年での留年率が依然として高く、またストレート卒業率が 50%を大きく下回っているので、入試別・成績別の追跡調査などを行い、各入試形態において志願者の学力をより適正に評価するための指標と基準を改めて設定する必要がある。(8)「薬学総合演習及び卒業試験」の合否基準がシラバスで確認できるように改善することが必要である。(9)必修科目の全ての講義を助教1人が担当するのは好ましくないので、改善する必要がある。(10)6年制薬学教育の内部質保証を目的として、薬学部としての点検・評価項目を設けて薬学部全体で自己点検・評価を行う体制を速やかに構築すべきである。城西国際大学薬学部には、今回の評価における改善すべき点や助言に適切に対応することで6年制薬学教育プログラムをさらに発展させ、今後も大学の独自性を活かした教育研究が推進されることを期待する。
大学への提言
城西国際大学 大学への提言1)長所1. 各学年におけるヒューマニズム教育・医療倫理教育の到達目標を、「JIU薬・マイルストーン」として示している点は評価できる。(3.医療人教育の基本的内容)2. 多種多様な大学独自科目を導入することにより、低学年から高学年まで高度な医療人教育が実践されていることは評価される。(4.薬学専門教育の内容)3. 実務実習事前学習における学習目標と到達目標を各学生に設定させ、その到達度を自己評価、他学生によるピア評価、教員による評価で確認していく「日誌・成長記録」の導入は、独自の取り組みとして評価できる。(5.実務実習)4. 卒業研究発表会終了後、学生には卒業論文をまとめさせるばかりでなく、「学生用ルーブリック評価表」の活用や「自己分析レポート」の作成を通して自己/他己分析力の修得を促している点は評価できる。(6.問題解決能力の醸成のための教育)2)助言1. 城西国際大学薬学部の「教育研究上の目的」には「研究」に関する内容が盛り込まれていないので、改善することが望まれる。(1.教育研究上の目的)2. 「教育研究上の目的」とカリキュラム・ポリシーとのつながりが理解しにくくなっているので、カリキュラム・ポリシーの前文を見直すことが望まれる。(2.カリキュラム編成)3. 臨床マインド科目群という呼称は、薬学教育・薬剤師教育を実践する上でイメージしやすく理解しやすい表現であるが、学生への周知のためにもその目標と内容を学生便- 43 -覧などに趣旨説明とともに記載することが望まれる。(3.医療人教育の基本的内容)4. 人文・社会科学系教養科目の数が少なく履修の機会も限られているので、教養教育の充実を図ることが望まれる。(3.医療人教育の基本的内容)5. 有効な語学教育を継続的に実践するために、3年次以降の「Introduction to HealthScience」や「薬学実践英語(Practical English for Pharmacists)」の必修化を考慮することが望まれる。(3.医療人教育の基本的内容)6. 1年次の通年科目である「薬学基礎物理」「薬学基礎化学」「薬学基礎生物」の秋学期の内容が「総合演習Ⅰ」とかなり重複していることから、各科目の独立性と関連性について、これらの科目を履修する学生に対し、分かりやすく説明することが望まれる。(3.医療人教育の基本的内容)7. 薬害や医療過誤の被害者や家族を講師として招聘して医療事故防止に関する教育をより積極的に行うことが望まれる。(3.医療人教育の基本的内容)8. 「医療薬学系実習Ⅱ」のすべてのコマ数を事前学習としてカウントするのは不適切なので、そのうちから事前学習にふさわしいものだけを選び、それらのコマ数の集計をもとに自己評価することが望まれる。(5.実務実習)9. 「病院・薬局事前学習」の評価について、シラバスと「病院・薬局事前学習」の学習手引きの間で記載に齟齬があるため修正することが望まれる。(5.実務実習)10. 実務実習の総合的評価には、別途そのための指標と評価基準を設定し、それに基づく評価やアンケート調査を行うことが望まれる。(5.実務実習)11. 4年次 10 月から卒業研究を開始しているのであれば、4年次秋学期の授業時間割に「卒業研究」を記載することが望まれる。(6.問題解決能力の醸成のための教育)12. 問題解決型学習の実質的な実施時間数が卒業要件単位数の 1/10 に満たないので、問題解決能力を醸成する学習時間を増やすことが望まれる。(6.問題解決能力の醸成のための教育)13. 社会のニーズや学習環境の変化に応じてアドミッション・ポリシーを迅速に修正できるようにするため、改訂の手続きを規程や内規などの形で明文化することが望まれる。(7.学生の受入)14. 医療人としての適性を評価するために、前期日程入試にも面接を取り入れることが望まれる。(7.学生の受入)15. ディプロマ・ポリシーの策定・点検・改定をタイムリーに行える体制を組織的に構築することが望まれる。(8.成績評価・進級・学士課程修了認定)- 44 -16. 成績判定の疑義に対する学生からの問い合わせを成績表交付日1日しか受け付けないことは学生の不利益につながるので、問い合わせ期間を延長するといった改善が望まれる。(8.成績評価・進級・学士課程修了認定)17. 低学年(1~3年次)における留年率、並びに卒業延期率を改善する取り組みをより効果的に継続することが望まれる。(8.成績評価・進級・学士課程修了認定)18. 入学時からの年次ごとの目標達成度、そして卒業時の目標達成度を評価するための指標と評価基準を設け、それらによって6年制教育の成果を総合的に評価することが望まれる。(8.成績評価・進級・学士課程修了認定)19. 全学的なキャリア支援体制は組織されているが、6年制薬学部卒業生の就職における特殊性に鑑み、就職委員会委員を増員するなどして薬学部における就職支援体制を強化することが望まれる。(9.学生の支援)20. 専任教員一人当たりの学生数が約 20 名と多く、教員の負担が大きいと判断されるので教員をさらに増員することが望まれる。(10.教員組織・職員組織)21. 最近6年間に学術論文や学会発表の実績がない(あるいは、わずかしかない)専任教員が複数いることから、このような教員の研究活動をサポートする体制を構築することが望まれる。(10.教員組織・職員組織)22. 指導教員が1名のみの研究室が散見されるが、そのような研究室では、教員自身の研究や学生の教育・指導が十分行われているとは考えられないため、研究室環境の改善が望まれる。(10.教員組織・職員組織)23. 授業担当時間が過重になっている助教がいるので、今後のキャリアアップを支援するために、その授業負担の割合を是正することが望まれる。(10.教員組織・職員組織)24. 薬学部にFD委員会を常設し、定期的にFD活動を行う体制を構築することが望ましい。(10.教員組織・職員組織)25. 薬学部独自の外国語ホームページを充実させ、より積極的に海外への情報発信を行うことが望まれる。(12.社会との連携)26. 学術交流協定を活用して薬学部教員がより活発に国際交流を行うことが望まれる。(12.社会との連携)27. 評価検討委員会へ他大学や医療現場からの委員を加えて、外部委員の数を増やすことが望まれる。(13.自己点検・評価)- 45 -3)改善すべき点1. 5年次、6年次時間割の「薬学総合演習」/「卒業研究」という記載は不適切なので、改善する必要がある。(2.カリキュラム編成)2. 国家試験予備校に依頼している国家試験対策講習会の一部が、「薬学総合演習」/「卒業研究」に割り振られている正規の授業時間に開講されるのは不適切なので、改善する必要がある。(2.カリキュラム編成)3. ヒューマニズム教育・医療倫理教育において、指標を設定して学習成果の総合的な目標達成度を評価する必要がある。(3.医療人教育の基本的内容)4. コミュニケーション能力および自己表現能力を身につけるための授業科目において、目標達成度を評価するための指標をシラバスに明記するように改善する必要がある。(3.医療人教育の基本的内容)5. 一部の教養科目、語学科目、準備教育科目において、薬学部の学生便覧やシラバス、ホームページに履修可能な科目として掲載されているにもかかわらず、薬学部の専門科目等と開講時間が重なる、開講していないなどの理由で履修できない状況にあるので、改善する必要がある。(3.医療人教育の基本的内容)6. 早期体験学習の訪問施設が病院または薬局のどちらか一方だけであることから、協力病院・薬局を増やし、複数の施設での早期体験の機会を設ける必要がある。(3.医療人教育の基本的内容)7. シラバスには、1)「必修」、「選択」、「選択必修」の区別が明記されていない、2)各回の講義内容に対応するモデル・コアカリキュラムのSBOsの記載が欠如している科目があり記載項目に統一性がない、などの問題点があり、改善が必要である。(4.薬学専門教育の内容)8. モデル・コアカリキュラムのSBOsの中に、一部選択科目でしか対応されていないものがあるので、必修科目でも対応するように改善する必要がある。(4.薬学専門教育の内容)9. 大学独自科目に関しては、「独自」である旨をシラバスに明示する必要がある。(4.薬学専門教育の内容)10. 実務実習事前学習全体の「目標達成度」を評価する総合的な指標を設定し、実務実習事前学習の最終評価が適切に実施されるように改善する必要がある。(5.実務実習)11. 共用試験について、合格者に加えて受験者数も公表するよう改善が必要である。(5.実務実習)- 46 -12. 卒業研究は独立した科目として4年次、5年次、6年次の時間割に組み込み、単位数に応じた時間数が確保されるように改善する必要がある。(6.問題解決能力の醸成のための教育)13. 公平性を担保した客観的な評価を行うという観点から、指導教員(主査)のみが卒業論文の評価を行う方法は問題があるので、副査用の評価基準を定め、複数の教員で卒業論文を審査するように改善する必要がある。(6.問題解決能力の醸成のための教育)14. 6年間における問題解決型学習の目標達成度に対する総合的評価は行われていないので、そのために必要な評価基準を設定した上で、これを行う必要がある。(6.問題解決能力の醸成のための教育)15. 低学年での留年率が依然として高く、またストレート卒業率が 50%を大きく下回っているので、入試別・成績別の追跡調査などを行い、各入試形態において志願者の学力をより適正に評価するための指標と基準を改めて設定する必要がある。(7.学生の受入)16. 再試験に関する規則とその開示について体系性、整合性、および統一性が欠如しているので、改善が必要である。(8.成績評価・進級・学士課程修了認定)17. 卒業判定に関わる「薬学総合演習」の評価に外部模擬試験の結果を一部組み入れているのは適切ではないので、改善が必要である。(8.成績評価・進級・学士課程修了認定)18. 「薬学総合演習及び卒業試験」の合否基準がシラバスで確認できるように改善する必要がある。(8.成績評価・進級・学士課程修了認定)19. 大規模火災や大地震に対応するためのマニュアルを整備し、教職員・学生に向けた安全教育や講習会、訓練などを定期的に実施する必要がある。(9.学生の支援)20. 一部の必修科目の講義を助教がすべて単独で担当するのは好ましくないので、改善する必要がある。(10.教員組織・職員組織)21. 本来事務職がやるべき業務の一部を教員が担っているため、教員が教育研究に専念できない状況が生じている。そのため、事務職員を増員するなどの対策を講じる必要がある。(10.教員組織・職員組織)22. 6年制薬学教育の内部質保証を目的として、薬学部としての点検・評価項目を設けて薬学部全体で自己点検・評価を行う体制を速やかに構築する必要がある。(13.自己点検・評価)23. 評価検討委員会は、「6年制薬学教育の内部質保証」としての薬学部全体の自己点検・- 47 -自己評価を主導し、取りまとめた結果を公表する必要がある。(13.自己点検・評価)24. 薬学部全体として、教育・研究活動の改善に役立てるPDCAサイクルを早急に確立Aする必要がある。(13.自己点検・評価)
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| 未入力 |
2019年度 |
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3:但し書き 改善報告審議結果 2022/6/28 |
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| 福岡大学 | 私 | 福岡県 | 第1期 | 2019年度 | 適 |
自己点検・評価書 基礎資料 正誤票 |
評価報告書
総評
福岡大学 総評福岡大学薬学部では、平成 18 年度より「医薬品の開発や安全使用に関する基礎的、臨床的先端研究の推進をもって国民の健康と福祉に貢献すること」を教育研究の理念として掲げている。この理念に基づき、薬学部薬学科の教育研究上の目的は「医療技術の高度化、医薬分業の進展に伴う医薬品の安全使用および医療の担い手としての質の高い薬剤師の育成という社会的要請に応えるため、基礎科学の総合を基盤としながら、医療人としての使命感と倫理観を十分に理解し、高度な薬学の知識を身に付け、臨床に係る高い実践的な能力を備えた薬剤師、並びに教育・研究者を養成すること」としている。薬学教育カリキュラムは、教育課程の編成・実施の方針(カリキュラム・ポリシー)に沿って編成されている。医療人教育の基本的内容として、教養教育では「総合教養科目」が開設されており、より学生や社会のニーズに対応するように多種多様な教養教育プログラムが提供されている。語学教育では、グローバル化に対応した人材育成を目的とした教育が行われている。コミュニケーション能力や自己表現能力の基本的能力を身につけるための教育に関連した科目として、1年次「早期臨床体験Ⅰ」、2年次「早期臨床体験Ⅱ」、3年次「コミュニケーション学」が配置されており、薬学専門教育の実施に向けた準備教育、医療安全教育は、おおむね適切に実施されている。薬学専門教育に関しては、薬学教育モデル・コアカリキュラムに準拠しているが、薬学専門科目の多くが選択科目となっている。実務実習事前学習に関しては、実務実習モデル・コアカリキュラムに準拠して教育目標が設定されており、実務実習も適切に行われている。- 2 -卒業研究は、4年次から開始される。卒業研究の成果は、5年次2月開催の卒業研究発表会で学生全員が発表して、6年次8月までに卒業論文としてまとめている。学生の受入に関しては、薬学科の入学者受入方針(アドミッション・ポリシー)が責任ある体制で設定されており、入学者選抜は多様な入試形態を採用している。成績評価は、成績考査規程に従って行われ、各科目の成績評価基準および評価方法は、学修ガイドに記載されている。進級判定と学士課程の修了判定は、学科履修規程に定められた進級基準に従って行われている。学生の支援については、修学支援、大学独自の奨学金制度を含む経済的支援、ヘルス・メンタルケア支援、ハラスメント防止・対策、キャリア形成支援、安全に関する支援などの体制が整備されており、充実している。専任教員数は大学設置基準を満たしており、各専門分野において優れた教育・研究実績を有する者が配置されている。教育研究に必要な施設・設備・図書などの学習環境や研究環境は、基準を十分に満たしており、充実している。社会との連携では、地域薬剤師会・病院薬剤師会等の役員や委員として薬学の発展に寄与するとともに、年2回開催の卒後教育講座を行い、薬剤師の資質向上を図るために生涯学習プログラムの提供を行っている。自己点検・評価については、自己点検・評価実施委員会が毎年薬学教育評価機構の点検項目を検証して自己点検・評価書を作成し、自己点検・評価結果を検討し、教授会で審議し、改善につなげる体制となっている。以上のように、福岡大学薬学部薬学科の6年制薬学教育プログラムは、本機構の評価基準におおむね適合していると判断される。しかし、以下のような問題点があり、改善が必要である。(1)4年次後期の「薬学特別講義」(新カリで6科目、旧カリでは5科目)、「薬学演習」、ならびに、6年次前期から開講される「総合薬学特別講義」(旧カリで 10 科目)、「総合薬学演習」は、薬学共用試験、および国家試験に向けた時期に開講される復習的な要素が強い科目であり、薬学共用試験や国家試験対策に偏っているので、改善する必要がある。(2)学年によって講義1単位の授業時間(コマ数)が異なる体制をとっており、学部としての単位の設定基準が統一されていないので、改善する必要がある。- 3 -(3)ヒューマニズム教育・医療倫理教育、コミュニケーション能力および自己表現能力を身に付けるための教育において、関連科目の学習成果を総合した目標達成度を評価するための指標を設定し、それに基づいて適切に評価する必要がある。(4)薬学教育モデル・コアカリキュラムのSBOs(Specific Behavioral Objectives)を実施する科目が選択科目となっているため、すべてのSBOsを修得しなくても卒業できる制度は改善する必要がある。(5)実務実習事前学習は、実習項目ごとの評価はされているものの、総合的な目標達成度を評価する指標を設定して、適切に評価されているとは言い難いので、改善する必要がある。(6)4年次「薬学演習(含中間試験)」の評価には、シラバスの到達目標に記載されていない卒業研究とは全く関係のない中間試験(40%)が含まれていることから、科目の設定を見直すことが必要である。(7)問題解決能力の醸成に向けた科目の成績評価において、関連した科目を総合した問題解決能力の醸成に関わる目標達成度を評価する指標が設けられていないので、指標を設けて、それに基づいて適切に評価するよう改善する必要がある。(8)学士課程の修了判定において、判定基準が実施した試験の難易により変化することがあるので、あらかじめ定めた判定基準に従って修了判定を厳格に行う必要がある。(9)「総合薬学演習(含卒業試験)」の単位認定は、卒業論文 30%、ヒューマニズム・コミュニケーション 10%、卒業試験 60%で行われているが、卒業論文の評価が国家試験対策を行う授業科目の一部として行われているので、改善すべきである。(10)卒業延期者の卒業判定が事実上、「総合薬学演習(含卒業試験)」の試験の成績のみでなされているので、改善すべきである。(11)自己点検・評価結果による改善事例のほとんどが外部評価に対応するものであり、これらをPDCAサイクル実施による教育研究活動の改善に反映する必要がある。福岡大学薬学部薬学科には、今回の評価における改善すべき点や助言に適切に対応することで、大学の独自性を活かした6年制薬学教育が推進されることを期待する。
大学への提言
福岡大学 大学への提言1)助言1. 教職員に対する教育研究上の理念・目的の周知方法は、学修ガイドと薬学部シラバスの配布によって行われているが、資料の配布にとどまらず、FD等で説明することが望まれる。(1.教育研究上の目的)2. ヒューマニズム教育・医療倫理教育に関連した科目では、適切な学習方法で実施している科目が少ないので、それらの科目の学習方法をさらに改善することが望まれる。(3.医療人教育の基本的内容)3. 学習方略にロールプレイ、SGDを取り入れている「コミュニケーション学」では100%定期試験で評価しているので、科目の到達度を適切な方法で評価することが望まれる。(3.医療人教育の基本的内容)4. 医療英語の科目を配置するなど、英語教育を専門教育の中でさらに充実させることが望まれる。(3.医療人教育の基本的内容)5. 薬害・医療過誤・医療事故防止に関する教育として学生が肌で感じる機会を提供するとともに、医薬品の安全使用について科学的な視点と客観的な判断力が養われるように努めることが望まれる。(3.医療人教育の基本的内容)6. シラバスに記載された到達目標の中に、授業計画に反映されていないSBO(記号が欠落)があり、また「薬学演習(含中間試験)」のシラバスに、ヒューマニズム教育に関する到達目標が記載されていないので、改善が望まれる。(4.薬学専門教育の内容)7. 実務実習事前学習の実際の授業コマ数に対して、科目としての単位数がかけ離れているので、科目の単位数を実態にあわせることが望まれる。(5.実務実習)8. 一般入試、センター試験利用入試では学力試験のみを基に判定を行っているので、面接試験の導入など医療人としての適性を評価するための入学者選抜試験の改善が望まれる。(7.学生の受入)9. 平成 30 年度の2~4年次生の「定期健康診断」の受診率は 20%未満と低いので、改善することが望まれる。(9.学生の支援)10. 各教員の研究業績は毎年発行される薬学集報と福岡大学のホームページ「福岡大学研究者情報」で公開されているが、教育に関する業績は掲載されていない。また、ホームページ上の研究者情報については更新をしていない教員が見受けられるので、定期的に更新することが望まれる。(10.教員組織・職員組織)11. 実務家教員の多くは、他の教員に比べて授業負担が著しく大きいので、実務家教員へ- 30 -の授業負担の偏りを解消することが望まれる。(10.教員組織・職員組織)2)改善すべき点1. 4年次後期の「薬学特別講義」(新カリで6科目、旧カリでは5科目)、「薬学演習」、ならびに、6年次前期から開講される「総合薬学特別講義」(旧カリで10科目)、「総合薬学演習」は、薬学共用試験、および国家試験に向けた時期に開講される復習的な要素が強い科目であり、薬学共用試験や国家試験対策に偏っているので、改善する必要がある。(2.カリキュラム編成)2. 学年によって講義1単位の授業時間(コマ数)が異なる体制をとっており、学部としての単位の設定基準が統一されていないので、改善する必要がある。(2.カリキュラム編成)3. ヒューマニズム教育・医療倫理教育において、関連科目の学習成果を総合した目標達成度を評価するための指標を設定し、それに基づいて適切に評価する必要がある。(3.医療人教育の基本的内容)4. コミュニケーション能力および自己表現能力を身に付けるための教育において、関連科目の学習成果を総合した目標達成度を評価するための指標を設定し、それに基づいて適切に評価するよう改善が必要である。(3.医療人教育の基本的内容)5. 薬学教育モデル・コアカリキュラムのSBOsを実施する科目が選択科目となっているため、すべてのSBOsを修得しなくても卒業できる制度は改善する必要がある。(4.薬学専門教育の内容)6. 大学独自のアドバンスト専門科目については、その内容が具体的にわかる到達目標を記載し、独自科目であることをわかりやすく明示する必要がある。(4.薬学専門教育の内容)7. 実務実習事前学習は、実習項目ごとの評価はされているものの、総合的な目標達成度を評価する指標を設定して、適切に評価されているとは言い難いので、改善する必要がある。(5.実務実習)8. 4年次「薬学演習(含中間試験)」の評価には、シラバスの到達目標に記載されていない、卒業研究とは全く関係のない中間試験(40%)が含まれていることから、科目の設定を見直すことが必要である。(6.問題解決能力の醸成のための教育)9. 問題解決能力の醸成に向けた科目の成績評価において、関連した科目を総合した問題解決能力の醸成に関わる目標達成度を評価する指標が設けられていないので、指標を- 31 -設けて、それに基づいて適切に評価するよう改善する必要がある。(6.問題解決能力の醸成のための教育)10. 学士課程の修了判定において、判定基準が実施した試験の難易により変化することがあるので、あらかじめ定めた判定基準に従って修了判定を厳格に行う必要がある。(8.成績評価・進級・学士課程修了認定)11. 「総合薬学演習(含卒業試験)」の単位認定は、卒業論文30%、ヒューマニズム・コミュニケーション10%、卒業試験60%で行われているが、卒業論文の評価が国家試験対策を行う授業科目の一部として行われているので、改善すべきである。(8.成績評価・進級・学士課程修了認定)12. 卒業延期者の卒業判定が事実上、「総合薬学演習(含卒業試験)」の試験の成績のみでなされているので、改善すべきである。(8.成績評価・進級・学士課程修了認定)13. 自己点検・評価結果による改善事例のほとんどが外部評価に対応するものであり、これらをPDCAサイクル実施による教育研究活動の改善に反映する必要がある。(13.自己点検・評価)
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| 第1期 |
2019年度 |
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3:但し書き 改善報告審議結果 |
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| 城西国際大学 | 私 | 千葉県 | 第1期 | 2019年度 | 適 |
自己点検・評価書 基礎資料 正誤票 |
評価報告書
総評
城西国際大学 総評城西国際大学薬学部は、医療を取り巻く環境の変化(超高齢社会、医療の国際化)の中で薬剤師に求められる社会のニーズ(安心・安全な薬物治療の提供、在宅医療への関わり、健康支援)を踏まえ、「超高齢化と国際化が進む日本社会において、質が高く安心・安全な医療サービスを提供し、健康的で豊かな生活を支援できる薬剤師の育成」を「教育研究上の目的」としている。この「教育研究上の目的」の下に、入学者受入の方針(アドミッション・ポリシー)、教育課程の編成・実施の方針(カリキュラム・ポリシー)、学位授与の方針(ディプロマ・ポリシー)が整合性を持って設定されている。カリキュラムは、「V-Actl'on」という教育プログラムを通して「薬剤師資格の基盤となる専門知識を状況に応じて発揮する力」、「地域住民の健康を支える力」、「療養患者に希望を与える力」を涵養することを大学独自の教育目標として編成されている。ヒューマニズム教育・医療倫理教育において、各学年の目標到達度の指標となる「JIU薬・マイルストーン」を策定し、「臨床マインド」醸成過程の各学年での到達目標を示している。医療人として、薬学専門家として活躍するために必要な、人と社会の関わりについて学ぶヒューマニズム教育をすべての学年で実践している。カリキュラムは、独自に「臨床マインド科目群/キャリア形成科目群」を1年次~4年次まで順次性と体系性をもって配置し、5年次の「病院実務実習」、「薬局実務実習」、5年次、6年次の「専門科目群Ⅱ」へとつなげている。多種多様な大学独自科目を導入し、また大学独自のSBOs(Specific BehavioralObjectives)を設定して低学年から高学年まで、城西国際大学の理念と薬学部の教育研究上の目標を反映した医療人教育が実践されている。- 2 -実務実習事前学習では、目標達成度を評価する「病院・薬局事前学習自己評価表(日誌・成長記録)」が作成され、学生が各項目の達成度を自己評価している。「実習施設訪問手順」や「病院・薬局実務実習Q&A」などを介して実習担当教員と指導薬剤師の連携の円滑化を常に図り、大学と施設、大学と地区調整機構との連携体制が適切に構築されている。卒業論文発表会後に学生は卒業論文をまとめるばかりでなく、学生用ルーブリック評価表を用いて「自己分析レポート」を作成することで自己/他己分析力の修得を促している。問題解決能力の醸成に向けた教育を実践するために各学年に配置されている「臨床マインド科目群/キャリア形成科目群」に属する科目ではPBL(Problem Based Learning)、SGD(Small Group Discussion)、プレゼンテーションなどの能動的参加型学習を取り入れた授業が積極的に行われている。「薬学総合演習及び卒業試験」では、試験成績に基づく評価だけでなく、自己評価・学生相互評価・教員評価・教員以外の第三者による客観的評価を組み入れた「成長報告書」による形成的評価を実施している。1年次秋学期に開講される「総合演習Ⅰ」において、同学年の成績上位者がチューターとなって学習指導を行う少人数ワークを行い、基礎学力の向上を図ることで上級学年の学習への移行が容易になるよう取り組んでいる。専任教員数は、教授 18 名、准教授 13 名、助教4名の計 35 名であり、学生の収容定員780 名に対する大学設置基準で定められた専任教員数(30 名)を上回っている。実務家教員は8名で、設置基準の専任教員数に基づく必要数(5名)を上回っている効果的な教育が推進できるように、講義室、施設・設備が規模と数の観点から適切に整えられている。千葉大学、千葉科学大学との大学間連携共同教育推進事業(三大学薬学部GP)として「実践社会薬学の確立と発展に資する薬剤師養成プログラム」を推進している。以上、城西国際大学の6年制薬学教育プログラムは、本機構の評価基準におおむね適合していると判断される。しかし、但し書きに加え、以下のような問題点があり改善が必要である。(1)5年次、6年次時間割の「薬学総合演習」/「卒業研究」という記載は不適切なので、改善することが必要である。(2)一部の教養科目、語学科目、準備教育科目が、薬学部の学生便覧やシラバス、ホー- 3 -ムページに履修可能な科目として掲載されているにもかかわらず、薬学部の専門科目等と開講時間が重なる、開講していないなどの理由で履修できない状況にあるので、改善することが必要である。(3)シラバスには、1)「必修」、「選択」、「選択必修」の区別が明記されていない、2)各回の講義内容に対応するモデル・コアカリキュラムのSBOsの記載が欠如している科目があり記載項目に統一性がない、などの問題があり、改善が必要である。(4)実務実習事前学習全体の「目標達成度」を評価する総合的な指標が設定されていないため、実務実習事前学習の最終評価が適切になされているとは言えないので改善する必要がある。(5)卒業研究は独立した科目として4年次、5年次、6年次の時間割に組み込み、単位数に応じた時間数が確保されるように改善することが必要である。(6)公平性を担保した客観的な評価を行うという観点から、指導教員(主査)のみが卒業論文の評価を行う方法は問題があるので、副査用の評価基準を定め、複数の教員で卒業論文を審査するように改善する必要がある。(7)低学年での留年率が依然として高く、またストレート卒業率が 50%を大きく下回っているので、入試別・成績別の追跡調査などを行い、各入試形態において志願者の学力をより適正に評価するための指標と基準を改めて設定する必要がある。(8)「薬学総合演習及び卒業試験」の合否基準がシラバスで確認できるように改善することが必要である。(9)必修科目の全ての講義を助教1人が担当するのは好ましくないので、改善する必要がある。(10)6年制薬学教育の内部質保証を目的として、薬学部としての点検・評価項目を設けて薬学部全体で自己点検・評価を行う体制を速やかに構築すべきである。城西国際大学薬学部には、今回の評価における改善すべき点や助言に適切に対応することで6年制薬学教育プログラムをさらに発展させ、今後も大学の独自性を活かした教育研究が推進されることを期待する。
大学への提言
城西国際大学 大学への提言1)長所1. 各学年におけるヒューマニズム教育・医療倫理教育の到達目標を、「JIU薬・マイルストーン」として示している点は評価できる。(3.医療人教育の基本的内容)2. 多種多様な大学独自科目を導入することにより、低学年から高学年まで高度な医療人教育が実践されていることは評価される。(4.薬学専門教育の内容)3. 実務実習事前学習における学習目標と到達目標を各学生に設定させ、その到達度を自己評価、他学生によるピア評価、教員による評価で確認していく「日誌・成長記録」の導入は、独自の取り組みとして評価できる。(5.実務実習)4. 卒業研究発表会終了後、学生には卒業論文をまとめさせるばかりでなく、「学生用ルーブリック評価表」の活用や「自己分析レポート」の作成を通して自己/他己分析力の修得を促している点は評価できる。(6.問題解決能力の醸成のための教育)2)助言1. 城西国際大学薬学部の「教育研究上の目的」には「研究」に関する内容が盛り込まれていないので、改善することが望まれる。(1.教育研究上の目的)2. 「教育研究上の目的」とカリキュラム・ポリシーとのつながりが理解しにくくなっているので、カリキュラム・ポリシーの前文を見直すことが望まれる。(2.カリキュラム編成)3. 臨床マインド科目群という呼称は、薬学教育・薬剤師教育を実践する上でイメージしやすく理解しやすい表現であるが、学生への周知のためにもその目標と内容を学生便- 43 -覧などに趣旨説明とともに記載することが望まれる。(3.医療人教育の基本的内容)4. 人文・社会科学系教養科目の数が少なく履修の機会も限られているので、教養教育の充実を図ることが望まれる。(3.医療人教育の基本的内容)5. 有効な語学教育を継続的に実践するために、3年次以降の「Introduction to HealthScience」や「薬学実践英語(Practical English for Pharmacists)」の必修化を考慮することが望まれる。(3.医療人教育の基本的内容)6. 1年次の通年科目である「薬学基礎物理」「薬学基礎化学」「薬学基礎生物」の秋学期の内容が「総合演習Ⅰ」とかなり重複していることから、各科目の独立性と関連性について、これらの科目を履修する学生に対し、分かりやすく説明することが望まれる。(3.医療人教育の基本的内容)7. 薬害や医療過誤の被害者や家族を講師として招聘して医療事故防止に関する教育をより積極的に行うことが望まれる。(3.医療人教育の基本的内容)8. 「医療薬学系実習Ⅱ」のすべてのコマ数を事前学習としてカウントするのは不適切なので、そのうちから事前学習にふさわしいものだけを選び、それらのコマ数の集計をもとに自己評価することが望まれる。(5.実務実習)9. 「病院・薬局事前学習」の評価について、シラバスと「病院・薬局事前学習」の学習手引きの間で記載に齟齬があるため修正することが望まれる。(5.実務実習)10. 実務実習の総合的評価には、別途そのための指標と評価基準を設定し、それに基づく評価やアンケート調査を行うことが望まれる。(5.実務実習)11. 4年次 10 月から卒業研究を開始しているのであれば、4年次秋学期の授業時間割に「卒業研究」を記載することが望まれる。(6.問題解決能力の醸成のための教育)12. 問題解決型学習の実質的な実施時間数が卒業要件単位数の 1/10 に満たないので、問題解決能力を醸成する学習時間を増やすことが望まれる。(6.問題解決能力の醸成のための教育)13. 社会のニーズや学習環境の変化に応じてアドミッション・ポリシーを迅速に修正できるようにするため、改訂の手続きを規程や内規などの形で明文化することが望まれる。(7.学生の受入)14. 医療人としての適性を評価するために、前期日程入試にも面接を取り入れることが望まれる。(7.学生の受入)15. ディプロマ・ポリシーの策定・点検・改定をタイムリーに行える体制を組織的に構築することが望まれる。(8.成績評価・進級・学士課程修了認定)- 44 -16. 成績判定の疑義に対する学生からの問い合わせを成績表交付日1日しか受け付けないことは学生の不利益につながるので、問い合わせ期間を延長するといった改善が望まれる。(8.成績評価・進級・学士課程修了認定)17. 低学年(1~3年次)における留年率、並びに卒業延期率を改善する取り組みをより効果的に継続することが望まれる。(8.成績評価・進級・学士課程修了認定)18. 入学時からの年次ごとの目標達成度、そして卒業時の目標達成度を評価するための指標と評価基準を設け、それらによって6年制教育の成果を総合的に評価することが望まれる。(8.成績評価・進級・学士課程修了認定)19. 全学的なキャリア支援体制は組織されているが、6年制薬学部卒業生の就職における特殊性に鑑み、就職委員会委員を増員するなどして薬学部における就職支援体制を強化することが望まれる。(9.学生の支援)20. 専任教員一人当たりの学生数が約 20 名と多く、教員の負担が大きいと判断されるので教員をさらに増員することが望まれる。(10.教員組織・職員組織)21. 最近6年間に学術論文や学会発表の実績がない(あるいは、わずかしかない)専任教員が複数いることから、このような教員の研究活動をサポートする体制を構築することが望まれる。(10.教員組織・職員組織)22. 指導教員が1名のみの研究室が散見されるが、そのような研究室では、教員自身の研究や学生の教育・指導が十分行われているとは考えられないため、研究室環境の改善が望まれる。(10.教員組織・職員組織)23. 授業担当時間が過重になっている助教がいるので、今後のキャリアアップを支援するために、その授業負担の割合を是正することが望まれる。(10.教員組織・職員組織)24. 薬学部にFD委員会を常設し、定期的にFD活動を行う体制を構築することが望ましい。(10.教員組織・職員組織)25. 薬学部独自の外国語ホームページを充実させ、より積極的に海外への情報発信を行うことが望まれる。(12.社会との連携)26. 学術交流協定を活用して薬学部教員がより活発に国際交流を行うことが望まれる。(12.社会との連携)27. 評価検討委員会へ他大学や医療現場からの委員を加えて、外部委員の数を増やすことが望まれる。(13.自己点検・評価)- 45 -3)改善すべき点1. 5年次、6年次時間割の「薬学総合演習」/「卒業研究」という記載は不適切なので、改善する必要がある。(2.カリキュラム編成)2. 国家試験予備校に依頼している国家試験対策講習会の一部が、「薬学総合演習」/「卒業研究」に割り振られている正規の授業時間に開講されるのは不適切なので、改善する必要がある。(2.カリキュラム編成)3. ヒューマニズム教育・医療倫理教育において、指標を設定して学習成果の総合的な目標達成度を評価する必要がある。(3.医療人教育の基本的内容)4. コミュニケーション能力および自己表現能力を身につけるための授業科目において、目標達成度を評価するための指標をシラバスに明記するように改善する必要がある。(3.医療人教育の基本的内容)5. 一部の教養科目、語学科目、準備教育科目において、薬学部の学生便覧やシラバス、ホームページに履修可能な科目として掲載されているにもかかわらず、薬学部の専門科目等と開講時間が重なる、開講していないなどの理由で履修できない状況にあるので、改善する必要がある。(3.医療人教育の基本的内容)6. 早期体験学習の訪問施設が病院または薬局のどちらか一方だけであることから、協力病院・薬局を増やし、複数の施設での早期体験の機会を設ける必要がある。(3.医療人教育の基本的内容)7. シラバスには、1)「必修」、「選択」、「選択必修」の区別が明記されていない、2)各回の講義内容に対応するモデル・コアカリキュラムのSBOsの記載が欠如している科目があり記載項目に統一性がない、などの問題点があり、改善が必要である。(4.薬学専門教育の内容)8. モデル・コアカリキュラムのSBOsの中に、一部選択科目でしか対応されていないものがあるので、必修科目でも対応するように改善する必要がある。(4.薬学専門教育の内容)9. 大学独自科目に関しては、「独自」である旨をシラバスに明示する必要がある。(4.薬学専門教育の内容)10. 実務実習事前学習全体の「目標達成度」を評価する総合的な指標を設定し、実務実習事前学習の最終評価が適切に実施されるように改善する必要がある。(5.実務実習)11. 共用試験について、合格者に加えて受験者数も公表するよう改善が必要である。(5.実務実習)- 46 -12. 卒業研究は独立した科目として4年次、5年次、6年次の時間割に組み込み、単位数に応じた時間数が確保されるように改善する必要がある。(6.問題解決能力の醸成のための教育)13. 公平性を担保した客観的な評価を行うという観点から、指導教員(主査)のみが卒業論文の評価を行う方法は問題があるので、副査用の評価基準を定め、複数の教員で卒業論文を審査するように改善する必要がある。(6.問題解決能力の醸成のための教育)14. 6年間における問題解決型学習の目標達成度に対する総合的評価は行われていないので、そのために必要な評価基準を設定した上で、これを行う必要がある。(6.問題解決能力の醸成のための教育)15. 低学年での留年率が依然として高く、またストレート卒業率が 50%を大きく下回っているので、入試別・成績別の追跡調査などを行い、各入試形態において志願者の学力をより適正に評価するための指標と基準を改めて設定する必要がある。(7.学生の受入)16. 再試験に関する規則とその開示について体系性、整合性、および統一性が欠如しているので、改善が必要である。(8.成績評価・進級・学士課程修了認定)17. 卒業判定に関わる「薬学総合演習」の評価に外部模擬試験の結果を一部組み入れているのは適切ではないので、改善が必要である。(8.成績評価・進級・学士課程修了認定)18. 「薬学総合演習及び卒業試験」の合否基準がシラバスで確認できるように改善する必要がある。(8.成績評価・進級・学士課程修了認定)19. 大規模火災や大地震に対応するためのマニュアルを整備し、教職員・学生に向けた安全教育や講習会、訓練などを定期的に実施する必要がある。(9.学生の支援)20. 一部の必修科目の講義を助教がすべて単独で担当するのは好ましくないので、改善する必要がある。(10.教員組織・職員組織)21. 本来事務職がやるべき業務の一部を教員が担っているため、教員が教育研究に専念できない状況が生じている。そのため、事務職員を増員するなどの対策を講じる必要がある。(10.教員組織・職員組織)22. 6年制薬学教育の内部質保証を目的として、薬学部としての点検・評価項目を設けて薬学部全体で自己点検・評価を行う体制を速やかに構築する必要がある。(13.自己点検・評価)23. 評価検討委員会は、「6年制薬学教育の内部質保証」としての薬学部全体の自己点検・- 47 -自己評価を主導し、取りまとめた結果を公表する必要がある。(13.自己点検・評価)24. 薬学部全体として、教育・研究活動の改善に役立てるPDCAサイクルを早急に確立Aする必要がある。(13.自己点検・評価)
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評価報告書
総評
福岡大学 総評福岡大学薬学部では、平成 18 年度より「医薬品の開発や安全使用に関する基礎的、臨床的先端研究の推進をもって国民の健康と福祉に貢献すること」を教育研究の理念として掲げている。この理念に基づき、薬学部薬学科の教育研究上の目的は「医療技術の高度化、医薬分業の進展に伴う医薬品の安全使用および医療の担い手としての質の高い薬剤師の育成という社会的要請に応えるため、基礎科学の総合を基盤としながら、医療人としての使命感と倫理観を十分に理解し、高度な薬学の知識を身に付け、臨床に係る高い実践的な能力を備えた薬剤師、並びに教育・研究者を養成すること」としている。薬学教育カリキュラムは、教育課程の編成・実施の方針(カリキュラム・ポリシー)に沿って編成されている。医療人教育の基本的内容として、教養教育では「総合教養科目」が開設されており、より学生や社会のニーズに対応するように多種多様な教養教育プログラムが提供されている。語学教育では、グローバル化に対応した人材育成を目的とした教育が行われている。コミュニケーション能力や自己表現能力の基本的能力を身につけるための教育に関連した科目として、1年次「早期臨床体験Ⅰ」、2年次「早期臨床体験Ⅱ」、3年次「コミュニケーション学」が配置されており、薬学専門教育の実施に向けた準備教育、医療安全教育は、おおむね適切に実施されている。薬学専門教育に関しては、薬学教育モデル・コアカリキュラムに準拠しているが、薬学専門科目の多くが選択科目となっている。実務実習事前学習に関しては、実務実習モデル・コアカリキュラムに準拠して教育目標が設定されており、実務実習も適切に行われている。- 2 -卒業研究は、4年次から開始される。卒業研究の成果は、5年次2月開催の卒業研究発表会で学生全員が発表して、6年次8月までに卒業論文としてまとめている。学生の受入に関しては、薬学科の入学者受入方針(アドミッション・ポリシー)が責任ある体制で設定されており、入学者選抜は多様な入試形態を採用している。成績評価は、成績考査規程に従って行われ、各科目の成績評価基準および評価方法は、学修ガイドに記載されている。進級判定と学士課程の修了判定は、学科履修規程に定められた進級基準に従って行われている。学生の支援については、修学支援、大学独自の奨学金制度を含む経済的支援、ヘルス・メンタルケア支援、ハラスメント防止・対策、キャリア形成支援、安全に関する支援などの体制が整備されており、充実している。専任教員数は大学設置基準を満たしており、各専門分野において優れた教育・研究実績を有する者が配置されている。教育研究に必要な施設・設備・図書などの学習環境や研究環境は、基準を十分に満たしており、充実している。社会との連携では、地域薬剤師会・病院薬剤師会等の役員や委員として薬学の発展に寄与するとともに、年2回開催の卒後教育講座を行い、薬剤師の資質向上を図るために生涯学習プログラムの提供を行っている。自己点検・評価については、自己点検・評価実施委員会が毎年薬学教育評価機構の点検項目を検証して自己点検・評価書を作成し、自己点検・評価結果を検討し、教授会で審議し、改善につなげる体制となっている。以上のように、福岡大学薬学部薬学科の6年制薬学教育プログラムは、本機構の評価基準におおむね適合していると判断される。しかし、以下のような問題点があり、改善が必要である。(1)4年次後期の「薬学特別講義」(新カリで6科目、旧カリでは5科目)、「薬学演習」、ならびに、6年次前期から開講される「総合薬学特別講義」(旧カリで 10 科目)、「総合薬学演習」は、薬学共用試験、および国家試験に向けた時期に開講される復習的な要素が強い科目であり、薬学共用試験や国家試験対策に偏っているので、改善する必要がある。(2)学年によって講義1単位の授業時間(コマ数)が異なる体制をとっており、学部としての単位の設定基準が統一されていないので、改善する必要がある。- 3 -(3)ヒューマニズム教育・医療倫理教育、コミュニケーション能力および自己表現能力を身に付けるための教育において、関連科目の学習成果を総合した目標達成度を評価するための指標を設定し、それに基づいて適切に評価する必要がある。(4)薬学教育モデル・コアカリキュラムのSBOs(Specific Behavioral Objectives)を実施する科目が選択科目となっているため、すべてのSBOsを修得しなくても卒業できる制度は改善する必要がある。(5)実務実習事前学習は、実習項目ごとの評価はされているものの、総合的な目標達成度を評価する指標を設定して、適切に評価されているとは言い難いので、改善する必要がある。(6)4年次「薬学演習(含中間試験)」の評価には、シラバスの到達目標に記載されていない卒業研究とは全く関係のない中間試験(40%)が含まれていることから、科目の設定を見直すことが必要である。(7)問題解決能力の醸成に向けた科目の成績評価において、関連した科目を総合した問題解決能力の醸成に関わる目標達成度を評価する指標が設けられていないので、指標を設けて、それに基づいて適切に評価するよう改善する必要がある。(8)学士課程の修了判定において、判定基準が実施した試験の難易により変化することがあるので、あらかじめ定めた判定基準に従って修了判定を厳格に行う必要がある。(9)「総合薬学演習(含卒業試験)」の単位認定は、卒業論文 30%、ヒューマニズム・コミュニケーション 10%、卒業試験 60%で行われているが、卒業論文の評価が国家試験対策を行う授業科目の一部として行われているので、改善すべきである。(10)卒業延期者の卒業判定が事実上、「総合薬学演習(含卒業試験)」の試験の成績のみでなされているので、改善すべきである。(11)自己点検・評価結果による改善事例のほとんどが外部評価に対応するものであり、これらをPDCAサイクル実施による教育研究活動の改善に反映する必要がある。福岡大学薬学部薬学科には、今回の評価における改善すべき点や助言に適切に対応することで、大学の独自性を活かした6年制薬学教育が推進されることを期待する。
大学への提言
福岡大学 大学への提言1)助言1. 教職員に対する教育研究上の理念・目的の周知方法は、学修ガイドと薬学部シラバスの配布によって行われているが、資料の配布にとどまらず、FD等で説明することが望まれる。(1.教育研究上の目的)2. ヒューマニズム教育・医療倫理教育に関連した科目では、適切な学習方法で実施している科目が少ないので、それらの科目の学習方法をさらに改善することが望まれる。(3.医療人教育の基本的内容)3. 学習方略にロールプレイ、SGDを取り入れている「コミュニケーション学」では100%定期試験で評価しているので、科目の到達度を適切な方法で評価することが望まれる。(3.医療人教育の基本的内容)4. 医療英語の科目を配置するなど、英語教育を専門教育の中でさらに充実させることが望まれる。(3.医療人教育の基本的内容)5. 薬害・医療過誤・医療事故防止に関する教育として学生が肌で感じる機会を提供するとともに、医薬品の安全使用について科学的な視点と客観的な判断力が養われるように努めることが望まれる。(3.医療人教育の基本的内容)6. シラバスに記載された到達目標の中に、授業計画に反映されていないSBO(記号が欠落)があり、また「薬学演習(含中間試験)」のシラバスに、ヒューマニズム教育に関する到達目標が記載されていないので、改善が望まれる。(4.薬学専門教育の内容)7. 実務実習事前学習の実際の授業コマ数に対して、科目としての単位数がかけ離れているので、科目の単位数を実態にあわせることが望まれる。(5.実務実習)8. 一般入試、センター試験利用入試では学力試験のみを基に判定を行っているので、面接試験の導入など医療人としての適性を評価するための入学者選抜試験の改善が望まれる。(7.学生の受入)9. 平成 30 年度の2~4年次生の「定期健康診断」の受診率は 20%未満と低いので、改善することが望まれる。(9.学生の支援)10. 各教員の研究業績は毎年発行される薬学集報と福岡大学のホームページ「福岡大学研究者情報」で公開されているが、教育に関する業績は掲載されていない。また、ホームページ上の研究者情報については更新をしていない教員が見受けられるので、定期的に更新することが望まれる。(10.教員組織・職員組織)11. 実務家教員の多くは、他の教員に比べて授業負担が著しく大きいので、実務家教員へ- 30 -の授業負担の偏りを解消することが望まれる。(10.教員組織・職員組織)2)改善すべき点1. 4年次後期の「薬学特別講義」(新カリで6科目、旧カリでは5科目)、「薬学演習」、ならびに、6年次前期から開講される「総合薬学特別講義」(旧カリで10科目)、「総合薬学演習」は、薬学共用試験、および国家試験に向けた時期に開講される復習的な要素が強い科目であり、薬学共用試験や国家試験対策に偏っているので、改善する必要がある。(2.カリキュラム編成)2. 学年によって講義1単位の授業時間(コマ数)が異なる体制をとっており、学部としての単位の設定基準が統一されていないので、改善する必要がある。(2.カリキュラム編成)3. ヒューマニズム教育・医療倫理教育において、関連科目の学習成果を総合した目標達成度を評価するための指標を設定し、それに基づいて適切に評価する必要がある。(3.医療人教育の基本的内容)4. コミュニケーション能力および自己表現能力を身に付けるための教育において、関連科目の学習成果を総合した目標達成度を評価するための指標を設定し、それに基づいて適切に評価するよう改善が必要である。(3.医療人教育の基本的内容)5. 薬学教育モデル・コアカリキュラムのSBOsを実施する科目が選択科目となっているため、すべてのSBOsを修得しなくても卒業できる制度は改善する必要がある。(4.薬学専門教育の内容)6. 大学独自のアドバンスト専門科目については、その内容が具体的にわかる到達目標を記載し、独自科目であることをわかりやすく明示する必要がある。(4.薬学専門教育の内容)7. 実務実習事前学習は、実習項目ごとの評価はされているものの、総合的な目標達成度を評価する指標を設定して、適切に評価されているとは言い難いので、改善する必要がある。(5.実務実習)8. 4年次「薬学演習(含中間試験)」の評価には、シラバスの到達目標に記載されていない、卒業研究とは全く関係のない中間試験(40%)が含まれていることから、科目の設定を見直すことが必要である。(6.問題解決能力の醸成のための教育)9. 問題解決能力の醸成に向けた科目の成績評価において、関連した科目を総合した問題解決能力の醸成に関わる目標達成度を評価する指標が設けられていないので、指標を- 31 -設けて、それに基づいて適切に評価するよう改善する必要がある。(6.問題解決能力の醸成のための教育)10. 学士課程の修了判定において、判定基準が実施した試験の難易により変化することがあるので、あらかじめ定めた判定基準に従って修了判定を厳格に行う必要がある。(8.成績評価・進級・学士課程修了認定)11. 「総合薬学演習(含卒業試験)」の単位認定は、卒業論文30%、ヒューマニズム・コミュニケーション10%、卒業試験60%で行われているが、卒業論文の評価が国家試験対策を行う授業科目の一部として行われているので、改善すべきである。(8.成績評価・進級・学士課程修了認定)12. 卒業延期者の卒業判定が事実上、「総合薬学演習(含卒業試験)」の試験の成績のみでなされているので、改善すべきである。(8.成績評価・進級・学士課程修了認定)13. 自己点検・評価結果による改善事例のほとんどが外部評価に対応するものであり、これらをPDCAサイクル実施による教育研究活動の改善に反映する必要がある。(13.自己点検・評価)
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| 第1期 |
2019年度 |
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3:但し書き 改善報告審議結果 2022/6/28 |
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| 青森大学 | 私 | 青森県 | 第1期 |
2018年度 |
適 |
自己点検・評価書 基礎資料 正誤票 |
評価報告書
総評
青森大学 総評青森大学薬学部は、「地域とともに生きる」という大学の建学の精神と、「実践的教育」、「親身な指導」、「地域貢献」という大学の基本理念に則った薬剤師養成教育を目指している。教育研究上の目的は、「薬学の基礎となる科学的知識・技術を授け、さらに医療薬学的知識・技術及び医療人としての心構えと態度を身に付け、わが国の医療環境の進展に応え得る薬剤師を育成することを目的とする」と定められており、これに基づいて、入学者受入の方針(アドミッション・ポリシー)、教育課程の編成・実施の方針(カリキュラム・ポリシー)および学位授与の方針(ディプロマ・ポリシー)が設定され、公表されている。カリキュラム・ポリシーには、薬学部における教育内容、教育方法、教育評価の方針が具体的に定められており、ディプロマ・ポリシーとの対応を示したカリキュラムマップが作成されている。カリキュラムの構築と改善に関する検討については、いくつかのサブ組織を有する教務委員会が提案を受けて協議し、最終的に薬学部教授会で審議決定される体制となっている。医療人教育の基本的内容のうち、教養教育、コミュニケーション能力・自己表現能力を身につけるための教育、語学教育、薬学専門教育の実施に向けた準備教育、医療安全教育、生涯学習の意欲醸成のための教育は、おおむね適切に実施されている。特に教養教育プログラムは、大学の基本理念や社会のニーズを反映した多彩な科目で構成されており、「あおもり学」や「じょっぱり経済学」のように、地域とともに生きる大学として特徴的な科目も設定されていることは評価に値する。薬学専門教育の内容は、薬学教育モデル・コアカリキュラムにおおむね準拠しており、実務実習事前学習、薬学共用試験、病院・薬局実習は、適正に実施されている。また、問題解決能力の醸成のための教育も、おおむね適合水準に達している。学生の受入については、ディプロマ・ポリシーおよびカリキュラム・ポリシーと整合したアドミッション・ポリシーが設定され、これに準拠した入学試験が、責任ある体制の下で実施されている。ただし、定員充足率については対策が必要な状況である。- 2 -成績評価と進級判定は、公正かつ厳格に行われている。学士課程修了認定に関わるディプロマ・ポリシーは、薬剤師として必要な知識・技能・態度の修得に加えて、全学部に共通の能力として「生涯をかけて学び続ける力」、「人とつながる力」、「自分自身を見据え、確かめる力」という「3つの力」の修得が設定されていることが特徴的である。学生に対する修学支援の一環として担任制度が導入されており、生活全般の指導のほか、履修・学習相談に応じている。経済的支援として大学独自の奨学金制度が多種類設定され活用されていることは、評価に値する。また、学生の健康相談、ハラスメントの防止対策、進路選択の支援などの体制、学生の意見を教育や学生生活に反映させるための体制は整っている。実験・実習および卒業研究等に必要な安全教育は実習担当教員により行われており、保険については学園本部と大学事務局が主体となって、各種保険に関する情報収集・加入・管理が行われている。薬学部教員の構成は大学設置基準を満たしており、職位の比率や教員1人当たりの学生数には問題がない。教員の採用と昇任は、規程に基づいて厳正に行われている。研究費は職位に応じて適正に配分されており、競争的外部研究資金の獲得のための申請支援も行われている。また、教員の教育研究能力の向上を図るためのFD(Faculty Development)、授業改善のためのアンケート調査なども大学全体の取組みとして行われている。教員の教育研究業績は、1年に1回定期的に収集確認されている。教員の活動は、大学事務局と薬学部独自の事務室とでサポートされている。講義室、演習室、実習室、自習室、図書室などは、現状の学生数に対する教育を実施するための施設・設備としては十分に確保されている。地域の医療界との連携は、認定実務実習指導薬剤師養成ワークショップや卒後研修等の開催を通して密に行われており、地域住民への啓発活動も積極的に行われている。教育プログラムの自己点検・評価の体制としては、第三者評価の受審のための委員会が設置されているだけである。以上、青森大学薬学部の6年制薬学教育プログラムは、本機構の評価基準におおむね適合していると判断される。しかし、以下のような問題点があり、改善が必要である。(1)教育研究上の目的を学生および教職員に十分周知するとともに、ホームページで社会に公表する必要がある。(2)6年次のカリキュラムが国家試験の合格のみを目指した教育に偏っていることを改善する必要がある。- 3 -(3)ヒューマニズム教育・医療倫理教育に関わる科目について、それらの体系性と学習方略、適切な評価のための指標の設定が不十分である。(4)ヒューマニズム教育・医療倫理教育およびコミュニケーション能力・自己表現能力を身につけるための教育について、関連科目の学習成果を総合した目標達成度の評価のための指標を設定し、それに基づいた適切な評価を行う必要がある。(5)薬学専門教育について、コアカリとの整合性やシラバス記載内容に関する自己点検が不十分である。また、実験実習の単位数を増やすとともに、大学の教育研究上の目的に基づいた独自の薬学専門教育を設定し、それらをシラバスに明示する必要がある。(6)実務実習事前学習について、関連科目の学習成果を総合した目標達成度の評価のための指標を設定し、それに基づいた適切な評価を行う必要がある。(7)卒業研究の実質的な実施時間を適正に確保するために、卒業研究に当てられる時間を時間割に明記して学生に周知する必要がある。(8)問題解決能力の醸成のための教育について、関連科目の学習成果を総合した目標達成度の評価のための指標を設定し、それに基づいた適切な評価を行う必要がある。(9)入学後の修学状況から判断すると、入学後の教育に求められる基礎学力が入学試験において適確に評価されていない可能性がある。(10)国家試験準備教育に相当する「薬学総合演習Ⅱ」の試験が「卒業試験」と定義され、この試験の合否のみが実質的な学士課程修了の判定基準になっていることは、ディプロマ・ポリシーの達成に基づいて学士課程修了を認定するという趣旨に合致していないので、改善する必要がある。また、卒業試験の合格基準に「程度」を設定しているなどの不明瞭な点があるので、基準を明確にする必要がある。(11)責任ある自己点検・評価体制を薬学部内に整備し、その組織の主導により教育プログラムの改善を自主的かつ恒常的に行い、PDCAサイクルを有効に回して6年制薬学教育プログラムの内部質保証に努めることが必要である。青森大学薬学部には、今回の評価における提言を踏まえた積極的な改善を通して薬学教育の質を高め、地域とともに生きる大学としてさらに発展することを期待する。
大学への提言
青森大学 大学への提言1)助言1. 「教育研究上の目的」について、薬学部が主体的かつ定期的に検証する体制を構築することが望まれる。(1.教育研究上の目的)2. カリキュラム・ポリシーを学生および教職員に十分に周知することが望まれる。(2.カリキュラム編成)3. カリキュラムマップからは、ヒューマニズム教育・医療倫理教育の体系性を読み取ることが難しいので、分かりやすいマップを作成することが望まれる。(3.医療人教育の基本的内容)- 37 -4. 教養教育科目の中に履修者が著しく少ない選択科目があることを改善することが望まれる。(3.医療人教育の基本的内容)5. 医療安全教育について、薬害、医療過誤、医療事故等の被害者やその家族、弁護士、医療における安全管理者を講師とするなど、学生が肌で感じる機会を増やすことが望まれる。(3.医療人教育の基本的内容)6. 生涯学習の意欲醸成について、より幅広い人的資源を活用した取り組みを行うことが望まれる。(3.医療人教育の基本的内容)7. 生涯学習に対する意欲を醸成する教育について、薬学専門教育における体系性を明確にすることが望まれる。(3.医療人教育の基本的内容)8. 中項目3に該当する科目の総単位数については、科目内容の識別を中項目3の基準に正確に照らし合わせて算出することが望まれる。(3.医療人教育の基本的内容)9. 旧コアカリの一部の技能系SBO(C7(1)「生薬の同定と品質評価」等)は、講義のみで教育されているので、改善が望まれる。(4.薬学専門教育の内容)10. 基礎と臨床との関連性がシラバスの「授業内容」に記述されていない基礎系科目があるので、改善が望まれる。(4.薬学専門教育の内容)11. 「実務実習事前実習」の単位数(3単位)と実施時間(1コマ90分×148コマ)との乖離を改善することが望まれる。(5.実務実習)12. 実務実習全体の総合的な学習成果を評価するための指標を設定し、それに基づいた評価を行うことが望まれる。(5.実務実習)13. アドミッション・ポリシーに掲げられた能力等を適確に判断できるような評価方法を検討し導入することが望ましい。(7.学生の受入)14. 薬学教育プログラム全体の総合的なアウトカム評価の指標をディプロマ・ポリシーに基づいて設定し、適正な卒業認定を行うことが望まれる。(8.成績評価・進級・学士課程修了認定)15. ハラスメント防止について、学生生活ガイドブックに記載することが望まれる。(9.学生の支援)16. 身体障がいのある者への受験機会の提供について、個別対応であることを青森大学入学試験ガイド等に明記することが望まれる。(9.学生の支援)17. 教員の高齢化の是正のために、今後も若手の教員を増やすことが望まれる。(10.教員組織・職員組織)18. 薬学部教員の採用と昇任について、薬学部教授会が審査・選考のプロセスに直接関与- 38 -することが望まれる。(10.教員組織・職員組織)19. 教員の教育研究活動を活性化するために、業績を定期的に収集するにとどまらず、その改善策を検討することが望まれる。(10.教員組織・職員組織)20. 実務家教員が最新の医療に対応するために研鑽する機会を増やすなど、実務家教員の資質を維持向上させるための活動をさらに促進することが望まれる。(10.教員組織・職員組織)21. 教員間の授業負担のばらつきを是正するとともに、若手の教員が研究時間を十分に確保できるように学部として配慮することが望まれる。(10.教員組織・職員組織)22. 講義室・実習室等について、定員充足率が100%である場合にも対応できる規模と数を確保することが望まれる。(11.学習環境)23. 施設や設備の老朽化への対応が望まれる。(11.学習環境)24. 図書館の蔵書について、外国語雑誌が6種、電子ジャーナルの契約数がゼロという現状を改善することが望まれる。(11.学習環境)25. 英語版のホームページを整備して世界への情報発信に努めることが望まれる。(12.社会との連携)26. 「青森大学国際教育センター」において、教職員の海外研修等についても積極的に推進することが望まれる。(12.社会との連携)27. 薬学部の自己点検・評価を行う組織の構成員に外部委員を追加することが望まれる。(13.自己点検・評価)2)改善すべき点1. 「教育研究上の目的」を学生および教職員に十分に周知することが必要である。(1.教育研究上の目的)2. 薬学部薬学科の「教育研究上の目的」を、大学のホームページで公表する必要がある。(1.教育研究上の目的)3. 6年次のカリキュラムが国家試験の合格のみを目指した教育に偏っていることを改善する必要がある。(2.カリキュラム編成)4. ヒューマニズム教育・医療倫理教育に関わる科目について、「自己点検・評価書」の記述とシラバスの記載内容との間に齟齬がある科目が多々認められたこと、科目の位置づけの解釈が基準・観点に合っていなかったことは、ヒューマニズム教育・医療倫理教育の目的や学習方略に関する理解が不十分なままでカリキュラム編成が行われて- 39 -いたことを示唆しており、改善が必要である。(3.医療人教育の基本的内容)5. ヒューマニズム教育・医療倫理教育に関わる科目の体系性について、低学年での科目設定が少ないことを改善すべきである。(3.医療人教育の基本的内容)6. ヒューマニズム教育・医療倫理教育に関わる科目について、学習目標の領域と学習方法がマッチしていない科目があることを改善する必要がある。(3.医療人教育の基本的内容)7. ヒューマニズム教育・医療倫理教育に関わる各科目について、適切な評価のための指標の設定が不十分である。(3.医療人教育の基本的内容)8. ヒューマニズム教育・医療倫理教育に関連する科目の学習成果を総合した目標達成度の評価のための指標を設定し、それに基づいた適切な評価を行う必要がある。(3.医療人教育の基本的内容)9. コミュニケーション能力および自己表現能力を身につけるための教育を行っている各科目について、適切な評価のための指標の設定が不十分である。(3.医療人教育の基本的内容)10. コミュニケーション能力および自己表現能力を身につけるための教育に関連する科目の学習成果を総合した目標達成度の評価のための指標を設定し、それに基づいた適切な評価を行う必要がある。(3.医療人教育の基本的内容)11. カリキュラムとコアカリとの整合性に不備があり、改訂コアカリに準拠したカリキュラムが適正に実施されていない懸念があるので、改善すべきである。(4.薬学専門教育の内容)12. シラバスにおけるSBOsの記載内容と基礎資料3との整合性に不備が散見されるので、十分な点検に基づく改善が必要である。(4.薬学専門教育の内容)13. 実験実習の単位数を増やす必要がある。(4.薬学専門教育の内容)14. 大学の教育研究上の目的に基づいた独自の薬学専門教育を設定し、それらをシラバスに明示する必要がある。(4.薬学専門教育の内容)15. 実務実習事前学習について、関連科目の学習成果を総合した目標達成度の評価のための指標を設定し、それに基づいた適切な評価を行う必要がある。(5.実務実習)16. 卒業研究に相当する「特別実習」は6年次通年科目となっており、シラバスと時間割には4~5年次の卒業研究についての記載がないことを改善する必要がある。(6.問題解決能力の醸成のための教育)17. 卒業研究の実質的な実施時間を適正に確保するために、卒業研究に当てられる時間を- 40 -時間割に明記して学生に周知する必要がある。(6.問題解決能力の醸成のための教育)18. 薬剤師に求められる問題解決能力の醸成に関わる科目の総合的な目標達成度の指標を設定し、それに基づいて適切に評価する必要がある。(6.問題解決能力の醸成のための教育)19. 最近5年間のストレート卒業率が平均で 50%未満であるなど、入学後の教育に求められる基礎学力が入学試験において適確に評価されていない可能性があるので、改善すべきである。(7.学生の受入)20. 国家試験準備教育に相当する「薬学総合演習Ⅱ」の試験が「卒業試験」と定義され、この試験の合否のみが実質的な学士課程修了の判定基準になっていることは、ディプロマ・ポリシーの達成に基づいて学士課程修了を認定するという趣旨に合致していないので、改善する必要がある。(8.成績評価・進級・学士課程修了認定)21. 「薬学総合演習Ⅱ」の卒業試験について、合格基準に「程度」を設定しているなどの不明瞭な点があるので、基準を明確にする必要がある。(8.成績評価・進級・学士課程修了認定)22. 定期健康診断の受診率を向上させるために、受診指導の徹底や日程調整が必要である。(9.学生の支援)23. 教育研究活動の活性化を図るために、薬学部独自のFD委員会を整備する必要がある。(10.教員組織・職員組織)24. PDCAサイクルを有効に回して6年制薬学教育プログラムの改善を図るために、責任ある自己点検・評価体制を薬学部内に整備する必要がある。(13.自己点検・評価)25. 整備された組織の主導により教育プログラムの改善を自主的かつ恒常的に行い、6年制薬学教育の内部質保証に努めることが必要である。(13.自己点検・評価)
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1:提言 改善報告審議結果 |
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| 奥羽大学 | 私 | 福島県 | 第1期 |
2018年度 |
適 |
自己点検・評価書 基礎資料 正誤票 |
評価報告書
総評
奥羽大学 総評奥羽大学は「高度な専門知識と技術を備えた人間性豊かな人材を育成する」を大学の建学の理念として掲げ、薬学部薬学科は「高度な専門知識と技術を備えた人間性豊かな薬剤師を養成する」ことを目的とする6年制の薬学教育を行っている。カリキュラムは、薬学部の「教育課程の編成・実施の方針(カリキュラム・ポリシー)」に基づいて編成されており、「チーム医療学Ⅰ」、「チーム医療学Ⅱ」など薬学部の目的を実現するための体験型学習を行っている。薬学専門教育は、薬学教育モデル・コアカリキュラムに準拠しており、平成27年度には改訂された薬学教育モデル・コアカリキュラムに対応するカリキュラム改訂が行われている。「実務実習」は、実務実習事前学習を含めてモデル・コアカリキュラムに準拠して行われており、薬学共用試験も厳正に実施されている。「実務実習」には薬学部全教員が何らかの形で学生の指導に参画している。「卒業研究」は、4年次から6年次前期に行われ、卒業研究発表会と卒業論文により成果が報告され、主査と1名の副査により評価される。問題解決能力の醸成に向けた教育は、旧カリキュラムではほとんどが実習科目であったが、新カリキュラムでは「薬と病態チュートリアル」などでPBL(Problem BasedLearning)、SGD(Small Group Discussion)などを学習方法に取り入れた能動的学習が実施されている。入学者の選抜は、「入学者受入方針(アドミッション・ポリシー)」に基づき、AO、推薦、特待生選抜、一般選抜、指定校推薦および編入学という多様な選抜方法で実施し、一部の選抜方法では面接や受験生が記載する「将来への抱負」により医療人・薬剤師としての適性の把握に努めている。学修成績の評価、進級判定、卒業判定は、学則等に基づいて厳正に実施されている。毎年、多くの学生が留年しているが、これらに対しては、アドバイザー教員や卒業研究指導教員が教育支援を行っている。学生への支援には、アドバイザー制度と研究室配属制度による学修支援と生活指導、大学独自の奨学金制度、特待生制度があり、ハラスメント防止や障がいを有する学生への配慮も十分なされている。さらに、就職支援としてのキャリアガイダンスも定期的に開催している。専任教員数は大学設置基準を満たしており、講師以上の専任教員は適切に配置されている。学習環境は十- 2 -分整っており、図書館や自習室も充実している。社会との連携では、福島県薬剤師会等と連携し薬剤師の学術的水準の向上に努めているほか、歯学部と共同で「奥羽大学市民公開講座」を開催している。以上のように、奥羽大学薬学部薬学科の薬学教育プログラムは、本機構の評価基準におおむね適合していると判断される。しかし、以下のような問題点があり、改善が必要である。(1)カリキュラムが薬学共用試験および薬剤師国家試験対策に偏っていると判断され、改善が必要である。(2)ヒューマニズム教育・医療倫理教育、コミュニケーション能力および自己表現能力を身につける教育、実務実習事前学習および問題解決能力の醸成に向けた教育において学習成果を総合した目標達成度評価の指標が定められていないため、改善が必要である。(3)卒業研究である「特別実習」が科目の目標を達成できるように研究時間を確保することが必要である。(4)「特別実習」の最終成績に「実務実習」の必須項目である「医薬品のまとめ」の評価を含めることは不適切であり、改善することが必要である。(5)退学や休学する学生が多いため、入学者選抜において入学後の教育に求められる基礎学力を適確に評価するように改善が必要である。(6)6年次の留年生はすべて「総合薬学演習Ⅱ」の不合格者であり、学士課程の修了判定はディプロマ・ポリシーの達成に基づいて行われているとは言えないため、学士課程の修了判定基準を適切に設定し、これに従って判定が行われるように改善する必要がある。(7)6年制薬学教育プログラムに関する薬学部独自の自己点検・評価を行うための項目および体制が設けられていないため、改善する必要がある。(8)薬学部の教育研究活動全体を改善するための自己点検・評価サイクルを構築するように改善する必要がある。奥羽大学薬学部は、高度な専門知識と技術を備えた人間性豊かな人材の養成を掲げ医療人としての薬剤師の育成に取組んでいる。熱心な教育、充実した学生支援があるので、提言に挙げた点を改善することにより、さらなる発展を遂げることを期待する。
大学への提言
奥羽大学 大学への提言1)長所1. 教員が持ち回りで自習室を巡回し、学生からの質問や要望を随時受け付ける体制が整えられていることは評価できる。(9.学生の支援)2. FD委員会がビデオ撮影した授業を教員が自己点検・評価するほかに、FD委員会メンバーによる評価が行われ、授業の改善が図られている。(10.教員組織・職員組織)- 37 -2)助言1. 教授会に参加していない教職員に対するカリキュラム・ポリシーの周知が不十分なため、改善することが望ましい。(2.カリキュラム編成)2. 編入生はいずれも2年次に編入学しているが、早期体験学習など1年次必修科目の厳密な読み替えが行われていないため、改善することが望ましい。(2.カリキュラム編成)3. 薬学共用試験および薬剤師国家試験の受験対策科目において学則上規定された単位数を大幅に超えた時間数を充てているので、単位数に合った時間数を設定することが望ましい。(2.カリキュラム編成)4. 薬害被害者による講義は実施されているが、薬害被害者の家族、弁護士、医療における安全管理者等の講演は実施されていないため、改善することが望ましい。(3.医療人教育の基本的内容)5. 卒後研修会は実施されておらず、学生が生涯学習プログラムに参加する機会は無いため、改善することが望ましい。(3.医療人教育の基本的内容)6. 技能・態度に関するSBOsに対しては、演習や実習など効果的な学習方法を用いていない科目があるため、改善することが望ましい。(4.薬学専門教育の内容)7. 授業科目内で基礎と臨床の知見を相互に関連付けているとは言えないので、改善することが望ましい。(4.薬学専門教育の内容)8. 大学独自の薬学専門教育の科目は、独自科目であることがシラバスから認識できるが、これらの科目に掲げられた目標については、独自教育の目標であるかが明示されていないため、改善することが望ましい。(4.薬学専門教育の内容)9. 大学独自の薬学専門教育の実質的な単位数は、新・旧カリキュラムともに7単位程度であり、十分とは言えないので改善することが望ましい。(4.薬学専門教育の内容)10. 実務実習全体の学習成果に対する総合的な評価の指標が設定されておらず、それに基づいた評価が実施されていないので、改善することが望ましい。(5.実務実習)11. 問題解決能力の醸成に向けた教育が体系的に実施されていないため、改善することが望ましい。(6.問題解決能力の醸成のための教育)12. 大学案内やオープンキャンパスの資料等には、アドミッション・ポリシーが正確に掲載されておらず、情報が周知されていないため、改善することが望ましい。(7.学生の受入)- 38 -13. 教育研究上の目的に基づいた6年間の教育プログラムを俯瞰したアウトカム評価のための指標が設定されておらず、総合的な学習成果が評価されていないため、改善することが望ましい。(8.成績評価・進級・学士課程修了認定)14. ノートテイカーなどの障がいを有する学生への協力学生への支援体制を整えるように改善することが望ましい。(9.学生の支援)15. 指導教員1名に対し学生が 30 名以上という実験実習科目があり、実習の安全のために改善が望まれる。(9.学生の支援)16. 著書・論文等の発表件数が少ない、学会活動がみられないなど、優れた実績を有するとは言いがたい教員がいるため、専任教員を適切に指導することが望ましい。(10.教員組織・職員組織)17. 専任教員全体のうち8名(18.2%)が定年年齢を超えており、また、実務家教員のうち5名(50%)が 60 歳台であることから、教員の年齢構成に偏りがあるため、改善することが望ましい。(10.教員組織・職員組織)18. ホームページの教員に関する情報において、定期的な更新がなされていない、リンクが張られていないあるいはリンク先の情報が十分でないものが複数存在するため、改善することが望ましい。(10.教員組織・職員組織)19. 薬剤師としての実務経験を有するすべての実務家教員が研鑽できる制度がないため、改善することが望ましい。(10.教員組織・職員組織)20. 年間で平均した週当り授業担当時間には個人差が認められ、特に実務家教員の授業時間が多い傾向にあるため、教員の授業担当時間数を適正な範囲に設定するように改善することが望ましい。(10.教員組織・職員組織)21. 一部の研究室では、特別実習(卒業研究)を行うスペースが十分確保されていないため、改善することが望ましい。(11.学習環境)22. 図書館の平日の閉館時間が早いため、試験期間中の開館時間を延長するなど、改善することが望ましい。(11.学習環境)23. 大学が提供する生涯学習プログラムとしての卒後研修が不十分なため、定期的に開催するように、改善することが望ましい。(12.社会との連携)24. 薬学部の英文紹介ページを作成し、入学希望者への情報提供、教員、研究紹介、アクセス情報等を積極的に発信するように改善することが望ましい。(12.社会との連携)25. 国際交流を積極的に行う体制が整備されていないため、改善することが望ましい。(1- 39 -2.社会との連携)26. 薬学部自己点検・評価委員会に外部委員が含まれていないため、改善することが望ましい。(13.自己点検・評価)3)改善すべき点1. 旧カリキュラムでは、薬学共用試験および薬剤師国家試験対策に多くの時間が費やされ、卒業研究が十分に行われていないことから、カリキュラムが薬学共用試験および薬剤師国家試験対策に偏っていると判断され、改善が必要である。(2.カリキュラム編成)2. ヒューマニズム教育・医療倫理教育に関する科目において、態度を醸成する学習が適切な方法で行われていないため、改善が必要である。(3.医療人教育の基本的内容)3. ヒューマニズム教育・医療倫理教育に関する各科目の成績評価の指標が適切に定められていないため、改善が必要である。(3.医療人教育の基本的内容)4. ヒューマニズム教育・医療倫理教育に関する科目の学習成果を総合した目標達成度を評価するための指標が設定されておらず、評価も実施されていないので、改善が必要である。(3.医療人教育の基本的内容)5. コミュニケーション能力および自己表現能力を身につけるための各科目の成績評価の指標が適切に定められていないため、改善が必要である。(3.医療人教育の基本的内容)6. コミュニケーション能力および自己表現能力を身につけるための科目の学習成果を総合した目標達成度を評価するための指標が設定されておらず、評価も実施されていないので、改善が必要である。(3.医療人教育の基本的内容)7. 実務実習事前学習(「病院・薬局事前学習」および「医療薬学総論」)の学習成果に対する総合的な評価の指標が設定されておらず、それに基づいた総合的な評価も実施されていないため、改善する必要がある。(5.実務実習)8. 「特別実習」の最終成績に「実務実習」の必須項目である「医薬品のまとめ」の評価を含めることは不適切であり、改善することが必要である。(6.問題解決能力の醸成のための教育)9. 問題解決能力の醸成に向けた教育において、関連科目を総合した目標達成度の評価の指標が設定されておらず、それに基づいた評価も実施されていないため、改善する必要がある。(6.問題解決能力の醸成のための教育)- 40 -10. 4年次までに退学や休学する学生が多いため、入学者選抜において入学後の教育に求められる基礎学力を適確に評価するように改善する必要がある。(7.学生の受入)11. 6年次の留年生はすべて「総合薬学演習Ⅱ」の不合格者であり、学士課程の修了判定はディプロマ・ポリシーの達成に基づいて行われていないため、卒業判定基準を適切に設定し、これに従って判定が行われるように改善する必要がある。(8.成績評価・進級・学士課程修了認定)12. 薬学部独自の評価項目を設け、薬学部自己点検・自己評価委員会において6年制薬学教育プログラムを検証する体制を整えるように改善する必要がある。(13.自己点検・評価)13. 6年制薬学教育の内部質保証のため、薬学部独自の自己点検・評価報告書の内容に基づいて、薬学部の教育研究活動全体を改善するための自己点検・評価サイクルを確立するように改善する必要がある。(13.自己点検・評価)
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1:提言 改善報告審議結果 |
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適 |
自己点検・評価書 基礎資料 正誤票 |
評価報告書
総評
大阪大谷大学 総評大阪大谷大学薬学部では、「生命科学・医療科学的専門知識と技能および実践力を備え、高い倫理観を有する人間性豊かな薬剤師を養成し、国民の健康・福祉の向上に寄与する」ことを、薬学部の教育目的としている。ここには研究に関する内容が含まれていないものの、当該目的は、薬剤師養成教育に課せられた基本的な使命や、医療を取り巻く環境と薬剤師に対する社会のニーズを反映したものとなっている。薬学教育カリキュラムに関しては、平成24(2012)年度以前入学生用、平成25(2013)年度入学生用および平成26(2014)年度以降入学生用の3種のカリキュラムが設定・運用されており、いずれも教育課程の編成・実施方針(カリキュラム・ポリシー)に沿って編成されている。現行の教育カリキュラムは薬剤師国家試験の合格を目指した教育にやや偏っていると考えられるとともに、総復習型科目群の単位認定方法に不適切な点が認められる。カリキュラムの改善は「薬学部教務委員会」での検討を経て、教授会で審議・決定する体制がとられている。医療人教育の基本的内容に関しては、社会のニーズを意識して設定された「国際文化交流」の他に、大学の特徴を生かした「宗教学」や「死生学」などが設定されている。現場の薬剤師等から生涯教育の重要性について聞く機会は十分ではないが、臨床経験豊富な特命教授や現役の薬剤師が非常勤講師として講義、演習、実習の一部を担当し、医療技術の高度化への対応を行っている。薬学専門教育に関しては、薬学教育モデル・コアカリキュラムのSBO(SpecificBehavioral Objective)への必修科目での対応やSBOの学習領域(知識、技能、態度)の対応が十分ではないが、大学独自の薬学専門教育を一部含む多くの科目が配置されるとともに、独自性の高いアドバンスト科目が選択科目として高学年に配置されている。実務実習事前学習は、3年次後期あるいは4年次前期から4年次後期にかけての4科目で構成され、教育目標は実務実習モデル・コアカリキュラムの実務実習事前学習に準拠している。病院・薬局実務実習を効果的かつ円滑に実施するために、「実務実習委員会」を設- 2 -置している。実務実習に関しては、薬学教育支援・開発センター所属の教員を除いた薬学部全教員が指導教員となっており、所属研究室の配属学生を担当している。卒業研究は5年次から開始され、「卒業研究発表会」が6年次7月に行われ、11月に卒業論文が仮提出される。卒業研究と並行して各種の講義・演習が実施されているため、学生によっては、十分な卒業研究の時間が確保されないことが懸念されるが、卒業研究は12単位の必修科目として設定されている。学生の受入に関しては、入学者受入方針(アドミッション・ポリシー)が設定され、指定校推薦入試、一般入試(前期)などの8つの入学選抜制度区分を設けられている。留年生が比較的多いことから、入学志願者選抜において基礎学力が適確に評価されていないことが懸念されるが、指定校推薦と学内推薦入試においては、試験の小論文で医療人としての心構えなどを課題とするなどの工夫も見られる。成績評価の方法・基準並びに修得単位の認定基準は、履修規定で定められており、各科目の評価方法・基準はシラバスに記載されている。進級基準は「薬学部授業科目履修規程」第25条(進級判定)に定められており、便覧および学習マニュアルに掲載されている。学位授与の方針(ディプロマ・ポリシー)は平成24(2012)年に設定され、平成25(2013)年度入学生より適用されている。専任教員数は、教授17名、准教授13名、専任講師5名、助教15名の計50名であり、学生の収容定員840名に対する大学設置基準で定められた専任教員数(31名)を上回っている。実務家教員は7名で、設置基準の専任教員数に基づく必要数(6名)を上回っている。在学生883名に関して、専任教員1名当たりの学生数は、18名である。薬学部では、学部長および関係する各種委員会(「教務委員会」、「学生委員会」、「広報委員会」、「将来計画委員会」、「研修センター運営委員会」)の委員長からなる「薬学部自己点検・評価委員会」が組織され、自己点検・評価の実務を担当する「薬学部自己点検・評価委員会(実務委員会)」が設けられている。しかし、自己評価21の結果以外の自己点検・評価結果はホームページなどで公表されていない。以上のように、大阪大谷大学薬学部の6年制薬学教育プログラムは、本機構の評価基準におおむね適合している。しかし、以下のような問題点があり、改善が必要である。(1)新旧いずれの薬学教育モデル・コアカリキュラムに対しても、選択科目のみが対応しているSBOsが散見される。改訂モデル・コアカリキュラムのSBOsは必修科目で対応する必要がある。(2)実務実習事前学習の目標達成度の評価指標の明示がないので、適切な指標を設定し、- 3 -それに基づいて評価するよう、改善が必要である。(3)演習科目の配置状況等によって、卒業研究の時間は学生により異なり、学生によっては十分な卒業研究の時間が確保されていないことが懸念されるので、改善が必要である。(4)6年次の必修演習科目は、それぞれ独立した科目であるにもかかわらず、前期、中期、後期の演習試験により評価していて、各々の学修内容に沿って個別に評価されていない点は不適切であり、改善が必要である。(5) 卒業率が7割程度でストレート卒業率が4割程度であることから、進級や学士課程の修了認定を含め、適切な教育体制が構築できていないことが懸念されるので、改善が必要である。大阪大谷大学薬学部には、以上の改善すべき点に加え、その他の改善すべき点や助言に関しても適切に対応し、総合大学であることの強みを生かした薬学教育の推進を通して、さらに発展することを期待する。
大学への提言
大阪大谷大学 大学への提言1)長所1. ヒューマニズム教育・医療倫理教育に対応する科目では、講義・演習に加え、体験実習、問題に基づく学習(PBL)、少人数制グループ討議(SGD) や発表など、能動的な学習を取り入れるとともに、模擬患者が参加する演習を設定するなど学習方法への工夫や教員の取り組み意識の高さが見られ、教育への情熱が感じられる。(3.医療人教育の基本的内容)2. 低学年から高学年までの複数の科目において、講義と臨床現場で遭遇し得る題材を選んだ能動的学習を組み合わせた教育をするとともに、6年次には集大成の演習科目を配置するなど、参加型学習の方法に工夫が見られる。(6.問題解決能力の醸成のための教育)3. 総合的な学習成果を測定するために、ディプロマ・ポリシーを構成する 20 の能力・資質に沿ったルーブリック評価法を策定し、総合的な学習成果の測定を進めるとともに、学年末にWebシステムを用いて、ディプロマ・ポリシーに関する共通の評価項目に基づいた学生・教員双方による到達度評価が行われていることは、高く評価できる。(8.成績評価・進級・学士課程修了認定)4. 薬学教育支援・開発センターで毎週開催されるSAセミナーでは、受講希望学生に対して、5、6年次の有志学生(SA)による個別学習ケアプログラムが進められていて、学習面のみならず生活面についても相談に応じる仕組みを取り入れている。(9.学生の支援)5. FDとして、授業をビデオ撮影してDVDに収録し、授業改善に役立てる取り組み- 32 -は評価できる。(10.教員組織・職員組織)2)助言1. 大学の理念と薬学部の教育目的をつなぐ学部の理念を明示し、それも踏まえた薬学部の教育研究上の目的とすることが望まれる。(1.教育研究上の目的)2. 「教育研究上の目的」の具体的な周知活動が十分に行われているとは言い難いので、改善が望まれる。(1.教育研究上の目的)3. カリキュラム・ポリシーの教職員への案内はホームページと大学便覧が主で、十分に周知されているとは言えないので、改善が望まれる。(2.カリキュラム編成)4. 学生が自由に選択できるよう、より幅広い教養教育プログラムを提供することが望まれる。(3.医療人教育の基本的内容)5. 「英語Ⅱ」は「書く」要素を学習できる科目だが、文章の理解に関する学習目標が設定されており、「書く」要素に関する科目の設定が十分とは言い難いので、改善が望まれる。(3.医療人教育の基本的内容)6. 外部講師(元高校教諭)による補講が、正規科目の単位に組み込まれるのであれば、そのことをシラバスに明記することが望まれる。その場合、補講ではなく正規授業にするなどの対応も望まれる。(3.医療人教育の基本的内容)7. AEDを用いた一次救命措置(心肺蘇生)法は、3年次の実習で学習させているが、2年次までに行うことが望ましい。(3.医療人教育の基本的内容)8. 各科目のカリキュラム・ポリシーの中の位置付けや科目間の有機的な繋がりが直感的にわかるチャートの作成が望まれる。(4.薬学専門教育の内容)9. 3年次後期に行われる科目(「臨床薬学I」)で学習する知識・態度について、実務実習開始直前に到達度の確認が行われているとは言えないため、再確認を行うことが望ましい。(5.実務実習)10. 実習内容の習得度(15点)と修学状況や実習態度など(55点)の評価点数にバランスを欠いているので、改善が望まれる。(5.実務実習)11. 卒業研究に関する評価は卒業研究発表会1回および卒業論文であり、必ずしも問題解決能力の向上が評価されているとは言えないので、改善が望まれる。(6.問題解決能力の醸成のための教育)12. 指定校推薦と学内推薦入試を除いては、学力試験のみで、アドミッション・ポリシーのいずれの項目も評価する試験はなされていないので、入学者選抜に関する改善が望- 33 -まれる。(7.学生の受入)13. ディプロマ・ポリシー、カリキュラム・ポリシーに沿うように、「共通教育必修科目」や「共通教育選択科目」を2年次までの低学年で履修させることが望まれる。(8.成績評価・進級・学士課程修了認定)14. 教職員に対するディプロマ・ポリシーの周知が不十分なので、改善が望まれる。(8.成績評価・進級・学士課程修了認定)15. 実習指導者の人数は、学生約20~25名につき指導者1名程度であり、やや不足しているので、安全を確保するために指導者を増やすことが望まれる。(9.学生の支援)16. 教科書執筆等の実績がなく、かつ論文発表・学会発表の記載が全くないかあるいは共著書籍1件のみの教員がおり、大学が教員に努力を促すことが望まれる。(10.教員組織・職員組織)17. 研究活動の開示に関して、記述がない教員がいるので、記載の充実が望まれる。(10.教員組織・職員組織)18. 実務家教員の定期的な現場研修制度が確立されていないので、改善が望まれる。(10.教員組織・職員組織)19. 大学の責任授業負担数を超える実務家教員については、適正な範囲内となるよう努めることが望まれる。(10.教員組織・職員組織)20. 英語版大学ホームページは公開しているが、薬学部の紹介は1ページのみで広く世界に周知しているとは言えないので、改善が望まれる。(12.社会との連携)21. 「薬学部自己点検・評価委員会」に外部委員が含まれていることが望まれる。(13.自己点検・評価)3)改善すべき点1. 教育研究上の目的が設定されているが、その中に研究に関する内容が含まれていないので、改善する必要がある。(1.教育研究上の目的)2. 「卒業研究」は、5年次では水曜2限などの演習科目と重なり、6年次では総復習型演習科目が午前中に多く配置されていることから、まとまった研究時間の確保が難しく、薬剤師国家試験の合格を目指した教育にやや偏っているので、改善が必要である。(2.カリキュラム編成)3. ヒューマニズム教育・医療倫理教育に関わる各科目の評価について、具体的な到達度の指標は定められていないので、改善が必要である。(3.医療人教育の基本的内容)- 34 -4. ヒューマニズム教育・医療倫理教育については、関連科目の学習成果を総合して目標達成度を評価するための適切な指標を設定し、評価する必要がある。(3.医療人教育の基本的内容)5. コミュニケーション能力および自己表現能力を身につけるための教育の各科目の評価について、具体的な到達度の指標は定められていないので、改善が必要である。(3.医療人教育の基本的内容)6. コミュニケーション能力および自己表現能力を身につけるための教育においては、関連科目の学習成果を総合して目標達成度を評価するための適切な指標を設定し、評価する必要がある。(3.医療人教育の基本的内容)7. 正規科目の中で現場の薬剤師等から生涯教育の重要性について聞く機会が十分に設けられているとは言い難いので、生涯教育の重要性について聞く機会を設定する必要がある。(3.医療人教育の基本的内容)8. 新旧いずれの薬学教育モデル・コアカリキュラムに対しても、選択科目のみが対応しているSBOsが散見される。改訂モデル・コアカリキュラムのSBOsは必修科目で対応する必要がある。(4.薬学専門教育の内容)9. シラバスの科目の到達目標欄に、科目としての到達目標に対応したGIOを記載する必要がある。(4.薬学専門教育の内容)10. 技能や態度に関するSBOでありながら、講義のみで行われている科目が散見されるので、改善する必要がある。(4.薬学専門教育の内容)11. 実務実習事前学習の総合的な目標達成度の評価指標の明示がなく、チェック表もOSCEのものとほぼ変わらないので、適切な指標を設定し、それに基づいて評価するよう改善が必要である。(5.実務実習)12. 演習科目の配置状況等によって、卒業研究の時間は学生により異なり、学生によっては十分な卒業研究の時間が確保されていないことが懸念されるので、改善が必要である。(6.問題解決能力の醸成のための教育)13. 修学状況が良いとは言い難いことなどから、入学志願者選抜において基礎学力が適確に評価されていないことが懸念される。従って、入試制度を見直すことが必要である。(7.学生の受入)14. ディプロマ・ポリシーの薬学部における審議結果が、大学の教務委員会に反映される体制づくりが必要である。(8.成績評価・進級・学士課程修了認定)15. 6年次の必修演習科目(「基礎薬学演習B」、「基礎薬学演習C」など)は、それぞれ独- 35 -立した科目であるにもかかわらず、前期、中期、後期の演習試験により評価しており、各々の学修内容に沿って個別に評価していないことは不適切であり、改善が必要である。(8.成績評価・進級・学士課程修了認定)16. 卒業率が7割程度でストレート卒業率が4割程度であることから、進級や学士課程の修了認定を含め、適切な教育体制が構築できていないことが懸念されるので、改善が必要である。(8.成績評価・進級・学士課程修了認定)17. シラバスの成績評価において、評価方法の配点項目(学習態度を含まない)の合計が100点であるのに、評価基準で学習態度を含めて評価するとして矛盾があるので、改善が必要である。(8.成績評価・進級・学士課程修了認定)18. 平常点が40%以上を占める科目の中には、平常点の基準項目か分からないものや、項目別の配点率が記載されてないものがあり、改善が必要である。(8.成績評価・進級・学士課程修了認定)19. 6年次の通年演習科目の成績評価に、直接は関係のない、「ミニ演習」の達成、「外部業者による模擬試験の受験」の有無、および「実務実習習得度試験」の合否を含めることは不適切であるので、改善が必要である。(8.成績評価・進級・学士課程修了認定)20. 自己点検・評価の結果の公表は自己評価21の結果だけで、他年度の「薬学部自己点検・評価委員会」の議事録も提示されていないことから、毎年継続的に自己点検・評価を実施しているとは言い難いので、改善が必要である。(13.自己点検・評価)21. 各種委員会の自己点検・評価をまとめて薬学部全体としての自己点検・評価を実施し、その結果を踏まえた改善を行うように体制を機能させる必要がある。(13.自己点検・評価)
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1:提言 改善報告審議結果 |
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| 北里大学 | 私 | 東京都 | 第1期 |
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自己点検・評価書 基礎資料 正誤票 |
評価報告書
総評
北里大学 総評学校法人北里研究所ならびに北里大学は、北里柴三郎を学祖とする生命科学の総合大学であり、「いのちを尊(たっと)び、生命の真理を探究し、実学の精神をもって社会に貢献する。」という大学の理念と薬剤師養成教育に課された使命に基づき、「人材の養成に関わる目的その他の教育研究上の目的」を設定し、6年制薬学教育を行っている。薬学教育カリキュラムは、教育課程の編成・実施方針(カリキュラム・ポリシー)に基づき、教養科目に始まり、学年進行にそって基礎系科目から専門科目、臨床系科目へと順次性をもって編成されており、薬学教育モデル・コアカリキュラムにほぼ準拠している。医療人教育は、体系的に編成されている。1年次の教養教育科目は、幾つかの領域を定めることにより、バランス良く履修できるように工夫されている。ヒューマニズム教育や医療倫理教育、コミュニケーションやプレゼンテーションに関する教育、医療安全教育、薬学専門教育の実施に向けた準備教育なども、順次性を配慮し、適切な学習方法を用いて行われている。薬学専門教育は、新・旧カリキュラムを通じて、例えば基礎系科目では授業科目の後に実験実習科目を配置するなど、「知識」と「技能・態度」が関連付けやすいように編成され、効果的な学習を促している。大学独自の薬学専門教育は、複数の科目構成からなる教育プログラムとして設定されている。中でも「漢方医薬学履修プログラム」は、東洋医学総合研究所をはじめ、漢方・生薬関連の施設が充実する北里大学の特徴を活かし、漢方医薬学に関する深い知識と技能を有する人材の育成を図っている。実務実習事前学習は、実務実習モデル・コアカリキュラムに準拠し、適切な指導体制の下に行われている。CBT(Computer Based Testing)およびOSCE(Objective- 2 -Structured Clinical Examination)は、薬学共用試験センターの実施要項に基づき、厳正に実施されている。実務実習のうち、病院実務実習は大学附属の4病院と独自契約施設で、薬局実習は関東地区調整機構を介した実習施設で、それぞれ実施されている。問題解決能力の醸成を意図した教育は、「生薬学実習」、「衛生化学実習」などの実習系科目と、「チーム医療演習」などの演習科目、卒業研究に相当する5・6年次継続必修科目「薬学卒業特別実習」において実施されている。入学者選抜は、入学者受入方針(アドミッション・ポリシー)に基づき、5種類の入学試験方式を用いて適正に実施されており、入学定員に対する入学者数に問題はない。学生の成績評価・進級・学士課程修了の認定は、定めた方法と基準に基づき行われている。学生の支援については、修学支援、大学独自を含む奨学金制度による経済的支援、学生相談室などによるヘルス・メンタルケア支援、ハラスメント防止・対策、キャリア形成支援、安全に関する支援などの体制が整備されており、充実している。教員組織については、専任教員数が設置基準を大きく上回っており、個々の教員の資格や教育研究業績も基準を満たしている。教員の採用および昇任も、適正な規程に基づき、研究、教育に加えて社会貢献をも反映させた選考が行われている。また、実務系教員が大学附属の病院などでの実務を通じて、新しい医療に対応できる体制・制度の整備を進めている。教育研究に必要な施設・設備・図書などの学習環境や研究環境は、近年一層整備され、基準を十分に満たしている。また社会との連携に関しても、卒後研修である生涯学習セミナーの開講をはじめ、適切な取り組みがなされている。自己点検・評価については、大学独自の自己点検・評価を毎年実施している。以上のように、北里大学薬学部薬学科の教育プログラムは、本機構の評価基準におおむね適合している。しかし、以下のような問題点があり、改善が必要である。(1) 6年次の実質的な授業編成が、薬剤師国家試験対策の教育に偏っているので、教育課程の編成・実施方針(カリキュラム・ポリシー)に沿った編成に改善すべきである。(2) 薬学教育モデル・コアカリキュラムが定めるSBOs(Specific BehavioralObjectives)の中に、実施されないSBOs、および適切な学習方法で実施されていないSBOsが散見されるので、薬学教育モデル・コアカリキュラムに準拠するように改善し、実施する必要がある。- 3 -(3) 学修要項(シラバス)の記載項目に関して、学習方法、評価方法(複数の評価方法のある場合にはその寄与率も)、大学独自科目ならびに独自のSBOsを明記し、学生に事前に周知する必要があるので、改善すべきである。(4) ヒューマニズム教育・医療倫理教育、コミュニケーション能力および自己表現能力を醸成する教育、実務実習事前学習、および問題解決能力を醸成する教育において、それぞれ総合した目標到達度の指標を設定し、それに基づいて適切に評価する必要がある。(5) 卒業研究に相当する必修科目「薬学卒業特別実習」において、一部の学生に対して、基礎学力を補う学習プログラムへの出席点と試験により、本科目の成績の50%を付与する成績評価の実施と、そのもととなる本科目の運用は、早急に改善すべきである。(6) 6年制薬学教育プログラムを定期的に自己点検・評価する組織を整備し、点検・評価する項目を設定して自己点検・評価した結果を、PDCAサイクルによって学部全体の教育研究活動の改善に反映する必要がある。北里大学薬学部薬学科には、本評価で指摘された改善すべき点を踏まえて、6年制教育研究プログラムの改善を進め、また、生命科学の総合大学という特色と良き伝統とを活かして、さらに展開されることを期待する。
大学への提言
北里大学 大学への提言1)長所1. 4年次必修科目の「プレゼンテーション実習」では、医療に関するテーマに対して効果的なプレゼンテーションができるようになるために、シナリオ作成、説得力のある表現手法などの基本的知識と技能を参加型学習により習得する実習が実施されている。(3.医療人教育の基本的内容)2. 漢方・生薬関連の施設が充実しており、この特徴を活用し、薬学部および北里生命科- 39 -学研究所の教員、ならびに、東洋医学総合研究所診療部・薬剤部の医師・薬剤師による講義および実習を組み合わせた教育プログラム「漢方医薬学履修プログラム」があり、漢方医薬学に関する深い知識と技能を有する人材の育成を行っている。(4.薬学専門教育の内容)2)助言1. 薬学教育カリキュラムの構築と必要に応じた変更を速やかに行う体制を機能させることが望ましい。(2.カリキュラム編成)2. 3年以上の学年の語学科目を学生が履修するように指導することが望まれる。(3.医療人教育の基本的内容)3. 「病院・薬局実習事前実習」以外の、実務実習事前学習の内容を含む講義科目(「薬剤学」など)の学修要項(シラバス)において、実務実習モデル・コアカリキュラムのSBOsを明示することが望まれる。(5.実務実習)4. 実務実習全体の総合的な学習成果を評価する適切な指標を設定し、それに基づいて評価することが望まれる。(5.実務実習)5. 教育研究上の目的に基づいた教育における総合的な学習成果を測定するための指標を設定し、それに基づいて適切に評価することが望まれる。(8.成績評価・進級・学士課程修了認定)6. 教員の授業担当時間数に著しい差があるため、改善することが望ましい。(10.教員組織・職員組織)7. 「自己点検・評価委員会」の委員の中に、外部委員が含まれていることが望まれる。(13.自己点検・評価)3)改善すべき点1. 6年制薬学科の「教育研究上の目的」は設定されているが、その中に研究に関する内容が含まれていないので、改善すべきである。(1.教育研究上の目的)2. 6年次の実質的な授業編成が、薬剤師国家試験対策の教育に偏っているので、カリキュラム・ポリシーに沿った編成に改善すべきである。(2.カリキュラム編成)3. ヒューマニズム教育・医療倫理教育において、それらの科目の学習成果を総合した目標達成度を評価するための指標を設定し、それに基づいて適切に評価する必要がある。(3.医療人教育の基本的内容)- 40 -4. コミュニケーション能力および自己表現能力を身につけるための教育において、それらの科目の学習成果を総合した目標達成度を評価する指標を設定し、それに基づいて適切に評価する必要がある。(3.医療人教育の基本的内容)5. モデル・コアカリキュラムのSBOsの中に実施されないSBOs、および適切な学習方法で実施されていないSBOsが散見されるので、薬学教育モデル・コアカリキュラムに準拠するように改善し、実施する必要がある。(4.薬学専門教育の内容)6. 学修要項(シラバス)に学習方法の項目を設け、授業ごとに学習方法を明示する必要がある。(4.薬学専門教育の内容)7. 学修要項(シラバス)に「大学独自の科目」の記載項目を加え、薬学部の独自科目を明示する必要がある。(4.薬学専門教育の内容)8. 実務実習事前実習の科目の評価法として、実際に行う評価法を学修要項(シラバス)、およびガイダンスの資料に記載し、学生に周知する必要がある。(5.実務実習)9. 実務実習事前学習の目標達成度を評価するための指標を設定し、それに基づいて適切に評価することが必要である。(5.実務実習)10. 卒業研究に相当する必修科目「薬学卒業特別実習」の成績評価において、基礎コースの学生に対しては、基礎学力を補う学習プログラムへの出席点と試験により、本科目の成績の50%を付与する評価方法は、早急に改善すべきである。(6.問題解決能力の醸成のための教育)11. 「薬学卒業特別実習」において、基礎コースの学生に対して問題解決能力を醸成するための学習時間を十分に確保しないことは問題であり、改善すべきである。(6.問題解決能力の醸成のための教育)12. 卒業研究において、設定した8項目の評価基準を活用し、薬学科で統一された評価を行うように改善すべきである。(6.問題解決能力の醸成のための教育)13. 問題解決能力の醸成について、関連した科目を総合した目標達成度を評価するための指標を設定し、それに基づいて適切に評価する必要がある。(6.問題解決能力の醸成のための教育)14. 評価方法が複数ある科目では、個々の評価方法(評価項目)の最終評価における寄与率を学修要項(シラバス)に明記することが必要である。(8.成績評価・進級・学士課程修了認定)15. 6年制薬学教育プログラムを定期的に自己点検・評価する組織を整備し、点検・評価する項目を設定する必要がある。(13.自己点検・評価)- 41 -16. 6年制薬学教育プログラムに対する自己点検・評価の結果を薬学部ホームページ上に公表する必要がある。(13.自己点検・評価)17. 6年制薬学教育プログラムの自己点検・評価の結果を、PDCAサイクルによって学部全体の教育研究活動の改善に反映する必要がある。(13.自己点検・評価)
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1:提言 改善報告審議結果 |
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3:但し書き 改善報告審議結果 |
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| 九州大学 | 国 | 福岡県 | 第1期 |
2018年度 |
適 |
自己点検・評価書 基礎資料 正誤票 |
評価報告書
総評
九州大学 総評九州大学薬学部は4年制の創薬科学科と6年制の臨床薬学科の2学科を設置し、学部の理念ならびに薬剤師養成教育に課せられた基本的な使命を踏まえ、医療を取り巻く環境・薬剤師に対する社会的なニーズを的確に反映した教育研究上の目的に基づき、入学者受入方針(アドミッション・ポリシー)、教育課程の編成・実施の方針(カリキュラム・ポリシー)、学位授与の方針(ディプロマ・ポリシー)を設定している。臨床薬学科では「薬剤師としての基礎知識、技能や高い倫理観、医療従事者としての教養、医療現場で通用する実践力などを持つ医療薬学の将来を担う人材」、すなわち「研究者マインドを持つ薬剤師」の育成を目的とし、研究を通じて課題を探求する能力と問題を解決する能力を育成するカリキュラムを薬学教育モデル・コアカリキュラムに準拠して設定している。1年次から3年次では基礎的な薬学専門科目を中心とするカリキュラム編成としているが、総合大学の特徴を生かした人文科学と自然科学を含む幅広い教養教育も重視している。また「薬害」、「漢方医薬学」、「インフォームドコンセント」、「チーム医療演習」、「臨床倫理」、「疾病病態学Ⅰ~Ⅴ」については、医学部、歯学部との合同の講義・演習が設定され、医師、薬剤師、看護師が指導教員となっている。外国語教育では英語だけではなく、第二外国語も複数設定されるなど充実しており、留学生の受入にあたり「薬学基礎実習」に使用する実習書を英語化し、英語による研修指導・討論の機会も設けられている。この他、学生に最新の科学的知見を紹介し、早期に薬学研究の動向に直に触れる機会とする「薬学少人数ゼミナール」が九州大学独自の薬学専門教育の一つとして開講されている。実務実習事前学習は、実務実習モデル・コアカリキュラムに掲げられた目標・方略に準拠して4年次後期に実施されており、実務実習も適切に行われている。学生は4~6年次に各研究分野に配属され、卒業研究に取り組み、その成果は卒業論文としてまとめられる。卒業研究発表会は口頭発表とポスター発表で構成される。入学者の選抜は、厳格に行われており、入学後に求められる基礎学力が適切に評価されている。- 2 -成績評価においては、成績評価基準に達し合格と認められた場合に所定の単位が学生に与えられる。1年次、2年次および4年次終了時において進級審査が実施され、公正かつ厳格な判定が行われている。学生に対する修学支援体制は、大学独自のものを含めた多くの奨学金による経済的支援、メンタルケアやハラスメント問題への対応、障がいを有する学生への対応、就職支援がなされ、多言語で記載されたキャンパスライフ・健康支援センター案内・しおりが用意されているなど、充実している。図書館をはじめ学習環境は整っており、研究活動のための施設・設備も整備されている。教員数は実務家教員を含めて大学設置基準を満たしている。専任教員は、各専門分野において優れた教育・研究実績を有する者が配置されており、地域における保健衛生の保持・向上につながる支援活動を積極的に行っている。以上、九州大学薬学部の6年制薬学教育プログラムは、本機構の評価基準におおむね適合している。しかし、以下のような問題点があり、改善が必要である。(1) 臨床薬学科の「教育研究上の目的」が「修学のてびき」に記載されているのみであり、学則等で規定していない。(2) ヒューマニズム教育・医療倫理教育において、関連科目の学習成果を総合した目標達成度を評価するための指標を設定し、それに基づく評価を行っていない。(3) コミュニケーション能力および自己表現能力を身につけるための科目の学習成果を総合した目標達成度の指標を設定し、それに基づく評価を行っていない。(4) 実務実習事前学習全体の学習成果を総合した目標達成度の指標を設定し、それに基づく評価を行っていない。(5) 問題解決能力の醸成に向けた教育全体の学習成果を総合した目標達成度の指標を設定し、それに基づく評価を行っていない。(6) 「アドバンスト実務実習期末試験」の再試験に不合格となった者に対して薬剤師国家試験受験申請を行わせない指導は廃止する必要がある。(7) 6年制薬学教育プログラムの継続的な自己点検・評価を行う組織が常設されておらず、自己点検・評価の結果を学部全体の教育研究活動の改善に反映させる体制が整備されていない。九州大学薬学部には、本評価の提言を踏まえ、積極的に改善に取り組むことによって、6年制薬学教育がさらに優れたものになることを期待する。
大学への提言
九州大学 大学への提言1)長所1. 3年次に開講される「薬学少人数ゼミナール」においては、希望する研究室を訪問し、最新の科学に触れる機会がある。(4.薬学専門教育の内容)2. 薬剤師会が主催の催しやキャンペーンにボランティア参加する他、福岡県警察本部銃器課から植物の種子の鑑定依頼やダイオキシン混入食品公害事件の被害者である油症患者への生活改善のための情報提供等が行われており、地域における保健衛生の保持・向上につながる支援活動などを積極的に行っている。(12.社会との連携)2)助言1. 卒業実習(アドバンスト実務実習)は九州大学の6年制薬学教育カリキュラムを特徴づける科目であるので、国家試験準備に偏重した運用を改め、本来の目的と趣旨に沿った教育内容と評価方法に改めることが望まれる。(2.カリキュラム編成)2. プレゼンテーション、ディスカッションする能力の醸成を目的とする教育では、例えば「早期体験学習」、「実務実習プレ講義」については到達目標を設定し、成績評価についても、評価割合や評価方法(ルーブリック評価)をシラバスに表示しているが、設定されていない科目もあるので改善することが望ましい。(3.医療人教育の基本的内容)3. シラバスの到達目標が独自の表現で記載されているため、モデル・コアカリキュラムの到達目標との対応が明確でなく、学生にとってモデル・コアカリキュラムとの対応が分かりにくい。各科目のシラバスにはモデル・コアカリキュラムの到達目標との関連を記載することが望ましい。(4.薬学専門教育の内容)4. 卒業研究に対する評価として、問題解決能力、プレゼンテーション力、ものごとのまとめ力などの項目を客観的に評価するための評価基準が定められていないので、適切な評価基準を定めるよう改善することが望ましい。(6.問題解決能力の醸成のための教育)5. 健康診断の受診率が低い学年がないように、改善することが望ましい。(9.学生の支援)6. 学生生活に関する学生からの意見収集は、初年次は初年次サポート教員、2、3年次はクラス担当教員が個別面談等で相談を行っているが、学生の意見を収集するための組織や委員会は設置されていないため、学生の意見を反映するための仕組みを作るこ- 35 -とが望ましい。(9.学生の支援)7. 6年制薬学教育プログラムを継続的に自己点検・評価する組織には外部委員を含めることが望ましい。(13.自己点検・評価)3)改善すべき点1. 4年制の創薬科学科と6年制の臨床薬学科の「教育研究上の目的」は、「修学のてびき」に記載されているのみであるので、それらを薬学部の「教育研究上の目的」と併せて九州大学薬学部規則で規定するよう改善することが必要である。(1.教育研究上の目的)2. ヒューマニズム教育・医療倫理教育において、関連科目の学習成果を総合した目標達成度を評価するための指標を設定し、それに基づく評価を行うことが必要である。(3.医療人教育の基本的内容)3. コミュニケーション能力および自己表現能力を身につけるための教育全体を通して、目標達成度を評価するための指標を設定し、それに基づく評価を行うことが必要である。(3.医療人教育の基本的内容)4. 評価指標について、シラバスへの記載不備がある科目があるので、改善が必要である。(4.薬学専門教育の内容)5. 実務実習事前学習全体を通しての総合的な目標達成度を評価する指標の設定やそれに基づく適切な評価はされていないため、改善することが必要である。(5.実務実習)6. 問題解決能力の醸成に向けた総合的な目標達成度の指標や評価基準が設定されていないので、適切な指標と評価基準を設定してそれに基づく評価を行うよう改善することが必要である。(6.問題解決能力の醸成のための教育)7. 「アドバンスト実務実習期末試験」の再試験に不合格であった者に対して薬剤師国家試験受験申請を行わせないとする指導(「アドバンスト実務実習期末試験の詳細と合格基準」に記載)は適切なものとは言えず、廃止する必要がある。(8.成績評価・進級・学士課程修了認定)8. 6年制薬学教育プログラムを継続的に自己点検・評価することを目的とする組織が薬学部内に設置されているとは言い難いので、「学部教授会」、「教務委員会」、「入試委員会」と不定期開催の「自己点検・評価委員会」によって教育上の個々の課題に対応する体制ではなく、薬学部内に6年制薬学教育プログラムの自己点検・評価を行う独- 36 -立した組織を設けて、恒常的な自己点検・評価を行うことが必要である。(13.自己点検・評価)9. 現状の「個人評価通知書」としての通知・フィードバックや、各教員によるシラバスの内容や授業方法における改善などは、個々の教員による担当授業の改善に関するものであり、薬学部として行った自己点検・評価の結果を、学部としての教育研究活動の改善等に活用するよう改善することが必要である。(13.自己点検・評価)
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1:提言 改善報告審議結果 |
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| 金城学院大学 | 私 | 愛知県 | 第1期 |
2018年度 |
適 |
自己点検・評価書 基礎資料 正誤票 |
評価報告書
総評
金城学院大学 総評金城学院大学薬学部は、「高いコミュニケーション能力を備え、人のこころが分かる専門性の高い薬学ジェネラリストを育て、地域社会並びに医療現場で信頼される薬剤師として活躍する人材を育成する。問題解決能力の向上と女性に特化した薬学教育の充実を図り、合わせて、これらの教育の基盤となる研究環境を整備・充実し医療現場の視点に立った医薬品開発研究に取り組むことのできる人材を育成する。」を教育研究上の目的とし、6年制薬学教育を行っている。薬学教育プログラムは、教育研究上の目的に従って設定した「教育課程の編成・実施の方針(カリキュラム・ポリシー)」に基づいて構築され、カリキュラム・マップによって「学位授与の方針(ディプロマ・ポリシー)」と関連付けられている。教養教育としては、総合大学のメリットを生かし、共通教育科目として1、2年次に自然科学科目や情報リテラシー科目など多くの科目を開講している。薬学専門教育としては、薬学教育モデル・コアカリキュラムに準拠したとする講義・演習科目や実習科目を低学年から高学年に亘って配置している。コミュニケーションに関する教育は、1~4年次まで各学年で実施され、上級生が下級生をサポートする“屋根瓦方式”の学習形態を用い、外部からも高い評価を受けている。また、語学教育は、3年次まで学年ごとに科目が配置された体系的な教育が行われており、早期体験学習ではSGD(Small Group Discussion)を組み入れるなど学習意欲を高める工夫をしている。実務実習事前学習は、主体となる内容を臨床系の授業をも兼ねた7科目で行っており、薬学共用試験後に短期間の「事前学習」を行っている。薬学共用試験は適正に実施され、実務実習への能力はこの合格基準に基づいている。実務実習は、実務系教員8名による実務実習委員会が主導し、実務実習全体の運営管理を行っている。学生の実務実習施設への- 2 -配属は適正で、専任教員が実習施設を訪問すると共に、実習の進捗状況は実務実習指導・管理システムによっても把握している。実務実習の成績評価は、指導薬剤師による評価、学生の出席状況、大学教員の評価によって行っている。卒業研究に対応する教育は、「卒業論文」と「文献調査」の選択必修として行っており、学生はその成果を卒業論文にまとめている。入学者の募集には「入学者受入方針(アドミッション・ポリシー)」が設定・公表されており、入学者の選抜は、種々の入試による多面的な評価によって行われている。成績評価、進級、学士課程の修了認定は、それぞれに規則を定めて行っている。また、履修・修学指導は、ガイダンスやアドバイザーの成績の通知および学習・生活面の指導による。独自の奨学金制度を持ち、12種類の給付奨学金制度と3種類の貸与奨学金制度がある。障がい者に対しては、キャンパス内での障がい者の移動を容易にするため、バリアフリー化に努めるとともに、修学支援を行っている。薬学部の専任教員数は、大学設置基準が定める必要な数を充たしている。専任教員には、個人研究室と共用する実験・研究室が与えられ、薬学部の専門教育に使用する講義・演習室、実習室は整備されている。卒業研究のための設備も整っている。薬学部の教員は、他大学、行政機関、企業との間で連携研究事業を進めている。薬学部には、自己評価委員会が設置されている。以上、金城学院大学薬学部の6年制薬学教育プログラムは、本機構の評価基準におおむね適合しているが、以下のような問題点があり、改善が必要である。(1) 6年次の授業時間の大半を「薬学総合演習」が占めており、最終学年の教育が国家試験の合格を目的とするものに偏っている。(2) ヒューマニズム教育・医療倫理教育が体系的に行われているとは言えず、ヒューマニズム教育・医療倫理教育を総合した目標達成度の評価が行われていない。(3) コミュニケーションの基本的能力を身につける教育を総合した目標達成度の評価が行われていない。(4) 薬学専門教育のシラバスの内容に様々な問題点があり、専門教育が薬学教育モデル・コアカリキュラムに準拠した内容で行われているとはいえない。(5) 実務実習事前実習全体としての目標達成度の評価が行われていない。(6) 問題解決能力の醸成に向けた教育の総合的な目標達成度の評価が行われていない。(7) 薬学専門教育科目の単位認定に様々な例外措置が設けられ、一部の科目を除いて、- 3 -最終的には「再試験」や「再々試験」に合格すれば単位が修得できるようにしている救済制度は、成績評価の厳正さの観点から問題がある。(8) 卒業不認定者の大部分が「薬学総合演習」の試験結果が不合格であることが理由となっていることは、卒業の可否判断がディプロマ・ポリシーの達成より薬剤師国家試験に関わる知識の評価によって行われていることを意味しており、卒業認定の趣旨に合致していない。(9) 「助教」を学校教育法第92条、大学設置基準第16条の2に適合する専任教員としていないことは適切ではない。(10) 6年制薬学教育プログラムの自己点検・評価を恒常的に行い、その結果を活用して6年制薬学教育の向上・発展を目指す体制が構築されていない。金城学院大学薬学部には、今回の評価における提言を踏まえ、大学設立の目的に則した特色のある薬学教育を通して、さらに発展することを期待する。
大学への提言
金城学院大学 大学への提言1)長所1. 「薬学PBL(1)、(2)」では、上級生(2年生)が下級生(1年生)をサポートする“屋根瓦方式”の学習形態を取り入れ、傾聴と共感など、コミュニケーションの基本を学ばせており、この“屋根瓦方式”教育の評価は高く、2013年には高等教育開発協会から表彰されている。(3.医療人教育の基本的内容)2. 専任教員には勤務年数に応じた特別研究期間制度があり、薬学部教員も利用している。(12.社会との連携)- 37 -2)助言1. 大学設立の目的を勘案すると、「教育研究上の目的」に、“世界”や“人類”などグローバルな福祉への貢献に関わる内容が盛り込まれることが望ましい。(1.教育研究上の目的)2. 「この大学で育成する女性薬剤師が備える7つの特色」を示す「教育目標」を「学生ハンドブック」などに収載して学生や教職員への周知を図ることが望ましい。(1.教育研究上の目的)3. 「教育研究上の目的」について薬学部において定期的に検証することが望ましい。(1.教育研究上の目的)4. カリキュラム編成とカリキュラム・ポリシーおよびディプロマ・ポリシーの関連に対する学生および教員の理解を深めるため、基礎資料4と同じカリキュラム・マップを、カリキュラム・ツリーと共に「履修要覧」に収載し、学生と教員に周知することが望ましい。(2.カリキュラム編成)5. 基礎系専門科目や臨床系専門科目においては基礎と臨床の結びつきを意識した教育についてシラバス等に説明することが望ましい。(4.薬学専門教育の内容)6. 卒業論文の作成要領を設定し、学生に周知させることが望ましい。(6.問題解決能力の醸成のための教育)7. 卒業研究の成績評価における教員間の偏りをなくすよう、個々の評価項目について複数の教員で行うようにすることが望ましい。(6.問題解決能力の醸成のための教育)8. 6年次在籍者の約4分の1が卒業できていないという現状から、入試によって入学者の学力が適切に評価されていないことが懸念されるので、各入試区分の受け入れ学生数など、入試選抜方法を再検討することが望まれる。(7.学生の受入)9. 「卒業再試験」は、単位未修得で卒業できない学生を救済する制度で、厳格な修了判定の観点から好ましくないので、薬学部に適用しないよう規定しておくことが望ましい。(8.成績評価・進級・学士課程修了認定)10. 教育研究上の目的に基づいた教育における総合的な学習成果を測定するための指標を設定し、それに基づく評価を行うことが望ましい。(8.成績評価・進級・学士課程修了認定)11. 障がいを有する学生の受験に関しては、個別対応する体制が整っているので、学生募集要領など、受験生への広報の中にも対応を記載することが望ましい。(9.学生の支援)- 38 -12. 事故や災害の発生時や被害防止のためのマニュアルをもとに、講習会などの開催を通じて学生および教職員へ周知することが望ましい。(9.学生の支援)13. 専任教員1名当たりの学生数が20名を大きく超えており、准教授以下の若手教員も少ないので、専任教員を増員することが望ましい。(10.教員組織・職員組織)14. 専任教員の教育と校務の負担を軽減し、研究時間を増すことを含めて、専任教員の研究の活性化を図ることが望ましい。(10.教員組織・職員組織)15. 薬剤師としての実務経験を有する専任教員が医療機関での研鑽を行うことに関わる大学としての体制・制度を設けることが望ましい。(10.教員組織・職員組織)16. 授業アンケートを全教科対象に毎年行う制度に改善することが望ましい。(10.教員組織・職員組織)17. 薬学関連書籍・資料数の充実や最新の専門書の購入など、図書および学習資料環境を適切に整備することが望ましい。(11.学習環境)18. 金城学院大学薬学部には英語版のホームページが作成されていないので作成することが望ましい。(12.社会との連携)19. 薬学部自己評価委員会に学外有識者を外部委員として加えることが望ましい。(13.自己点検・評価)3)改善すべき点1. 「薬学総合演習」が6年次の授業時間の大半を占めており、最終学年の教育が国家試験の合格を意識した知識の修得に偏ったものになっている点は改善する必要がある。(2.カリキュラム編成)2. ヒューマニズム教育・医療倫理教育に対応する科目が、2および3年では実施されておらず、医療人として生命に関わる薬学専門家に相応しい行動を身につけるための教育が体系的に行われていないので、改善が必要である。(3.医療人教育の基本的内容)3. ヒューマニズム教育・医療倫理教育に対応する科目の技能・態度に関わる評価方法を適切なものとすることが必要である。(3.医療人教育の基本的内容)4. ヒューマニズム教育・医療倫理教育を総合した目標達成度の評価は行われていないので、適切な評価を行うことが必要である。(3.医療人教育の基本的内容)5. コミュニケーションの基本的能力を身につける教育を総合した目標達成度の評価は行われていないので、適切な評価を行うことが必要である。(3.医療人教育の基本的- 39 -内容)6. 薬学専門教育の内容と薬学教育モデル・コアカリキュラムへの準拠に関して、以下の問題点があるので、それらを改善することが必要である。(4.薬学専門教育の内容)① 個々の授業科目のシラバスに、当該科目に対応する薬学教育モデル・コアカリキュラムの「一般目標」との対応を明示することが必要である。② シラバスの授業計画が項目と薬学教育モデル・コアカリキュラム到達目標記号の列挙で、各回の授業でどのような内容を学ぶかを学生が把握できないので、より具体的な内容に改善する必要がある。③ 個々の授業科目の毎回の授業内容と薬学教育モデル・コアカリキュラムの到達目標の学習領域との対応を確認し、それらに適合した学習方略と評価方法をシラバスに明記することが必要である。④ 薬学教育モデル・コアカリキュラムの到達目標の全てを必修科目で取り上げておく必要がある。7. 大学独自の薬学専門科目については、シラバスにその旨を明記し、学生が独自科目であることを認識できるようにする必要がある。(4.薬学専門教育の内容)8. 実務実習事前実習全体としての目標達成度を評価する指標を設定し、それに基づく適切な評価を行うことが必要である。(5.実務実習)9. 実務実習終了後、実習施設の指導者、および指導教員から意見聴取を行うことが必要である。(5.実務実習)10. 実務実習の成果発表が一部の学生に限られ、実務実習終了後の学生アンケートには実習内容への意見が含まれていないので、全学生に対する実習内容への意見聴取を行うことが必要である。(5.実務実習)11. 問題解決能力の醸成に向けた教育は、各科目における目標到達度を評価するための指標を設定し、それに基づいて適切に評価することが必要である。(6.問題解決能力の醸成のための教育)12. 関連科目を総合して問題解決能力の醸成に対する達成度を評価するための指標を設定し、それに基づいて適切に評価することが必要である。(6.問題解決能力の醸成のための教育)13. 成績評価が「F」となった場合に再試験を行い、合格すれば「C」評価とする制度、再履修不能な薬学教育専門の必修科目について次年度の当該科目の再試験を再々試験として受験できる制度、期間外再々試験を行う制度、5、6年次の再々試験を該当学- 40 -年の前期に実施する制度は、「再試験」や「再々試験」に合格すれば単位が修得できることになり、厳正な成績評価という点で問題があるので、改善する必要がある。(8.成績評価・進級・学士課程修了認定)14. 薬学共用試験が不合格であった場合、正規の科目である「CBL(3)」の評価を「F」とする制度は、廃止する必要がある。(8.成績評価・進級・学士課程修了認定)15. 卒業不認定者の大部分が「薬学総合演習」の試験結果が不合格であることのみが理由となっていることは、卒業の可否判断が薬剤師国家試験に向けた知識に関する試験成績によって行われていることを意味しており、卒業認定はディプロマ・ポリシーの達成に基づいて行うという趣旨に合致していないので、改善する必要がある。(8.成績評価・進級・学士課程修了認定)16. 卒業留年生に対する特別な科目である「薬学総合演習(前期)」(6単位)が不合格で9月に卒業できなかった卒業留年生が、正規の6年生に開講されている「薬学総合演習」の後期分を履修して再履修とする制度は、好ましくないので、改善する必要がある。(8.成績評価・進級・学士課程修了認定)17. 演習、実験、実習または実技を伴う授業科目を担当し、研究に携わっている「助教」は、学校教育法第92条、大学設置基準第16条の2に適合する資格を有する専任教員とする必要がある。(10.教員組織・職員組織)18. 6年制薬学教育プログラムの自己点検・評価を恒常的に行うための委員会を、既存の薬学部自己点検・評価委員会とは別に設け、運営委員以外の意見を取り入れるなど客観的な評価を行う体制を設ける必要がある。(13.自己点検・評価)19. 自己点検・評価の結果の活用は、個別に立てた目標の達成を目指すのではなく、学部の6年制薬学教育プログラム全体を恒常的に点検・評価することで問題点を見出し、それらを改善することで6年制薬学教育の向上・発展を目指すことが必要である。(13.自己点検・評価)
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1:提言 改善報告審議結果 |
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3:但し書き 改善報告審議結果 |
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| 鈴鹿医療科学大学 | 私 | 三重県 | 第1期 |
2018年度 |
適 |
自己点検・評価書 基礎資料 正誤票 |
評価報告書
総評
鈴鹿医療科学大学 総評Ⅱ.総 評鈴鹿医療科学大学薬学部薬学科は、建学の精神である「科学技術の進歩を真に人類の福祉と健康の向上に役立たせる」と、教育の理念である「知性と人間性を兼ね備えた 医療・福祉スペシャリストの育成」に基づき、教育研究上の目的を学則に定め、それに基づいて設定したカリキュラム・ポリシー(教育課程の編成・実施の方針)に沿ったカリキュラムによる6年制薬学教育を行っている。講義と実習は、1年次から6年次まで白子キャンパスで行われている。ヒューマニズム教育・医療倫理教育をはじめとする、医療人としての基礎教育は低学年次を中心に行われており、医療系の総合大学である特徴を生かし、医療人としての倫理観、使命感、職業観を醸成するために、他学部学生とともに学び、多職種連携・チーム医療を体系的に学べるプログラムが提供されている。また、それらの教育ではPBL(ProblemBased Learning)が用いられ、その評価にはルーブリックなどを用いた形成的評価も導入されている。薬学専門教育では、薬学教育モデル・コアカリキュラムに準拠した教育が行われており、実務実習は、東海地区調整機構の管轄下にある薬局、および三重大学医学部附属病院など、三重県内や東海地区の病院で行われている。卒業研究は、5~6年次に行っているが、平成 27 年度入学者からは4年次の共用試験終了時から6年次に行うことになっている。卒業研究発表会は6年次の8月に開催し、その後に卒業論文を提出している。入学者の受入は、アドミッション・ポリシー(入学者受入方針)を公表し、入学者の選抜は一般入試、推薦入試およびセンター試験利用など複数の方法で行われ、入学者数と入学定員との関係は適正な範囲にある。学修成績の評価と進級の判定は、学則および関連諸規程が定める基準に基づき、学生に周知して実施している。また、学士課程の修了認定は、ディプロマ・ポリシー(学位授与の方針)を公表し、学則に定めた卒業要件に基づいて行われている。- 2 -薬学部薬学科の専任教員数は 42 名(実務家教員6名を含む)であり、設置基準に定められた専任教員数を満たしている。また、ほとんどの教員は国内外の学会に参加し、研究発表、論文発表を行うなど、教育研究能力の維持に努めており、教育・研究業績を大学のホームページで公開している。薬学部の施設・設備は6年制薬学教育に必要な基準を満たし、基本的にバリアフリーとなっている。また、学生の安全面についても、指導や設備の体制は整っており、「学研災付帯賠償責任保険」に全学生を加入させ費用を薬学部実験実習費でまかなっている。地域連携活動では、三重県内の薬剤師を対象とした各種取り組みが積極的に行われている。また、教育体制の自己点検・評価については、学部内に自己点検評価委員会を設置して取り組んでいる。以上のように、鈴鹿医療科学大学薬学部の6年制薬学教育プログラムは、本機構の評価基準におおむね適合していると判断される。しかしながら、以下のような問題点があり、改善が必要である。(1)6年次の時間割に国家試験受験準備教育が占めている時間が大きく、卒業研究などに充てる時間が不足している状況を改善することが必要である。(2)医療倫理、ヒューマニズム教育、およびコミュニケーション能力・自己表現能力を身につけるための教育について、それぞれの総合的な目標達成度を評価するように改善することが必要である。(3)問題解決能力醸成に向けた教育を体系的に実施し、その総合的な達成度を評価できるよう改善することが必要である。(4)再試験を履修規程に基づいて厳正に実施するよう改善することが必要である。(5) 複数の薬学教育の主要科目の授業が、助教の単独での担当となっている状況については、改善することが必要である。(6)薬学部の自己点検・評価委員会の活動を充実させ、薬学教育プログラムの恒常的な点検・評価を行い、その結果を公表するとともに、それに基づく薬学教育の改善を図る恒常的な内部質保証体制を確立することが必要である。鈴鹿医療科学大学薬学部には、今回の評価における改善すべき点や助言に適切に対応することで、大学の独自性を活かした6年制薬学教育が推進されることを期待する。
大学への提言
鈴鹿医療科学大学 大学への提言1)長所1. 医療人としての倫理観、使命感、職業観を醸成するため、他学部学生とともに学び、多職種連携・チーム医療を体系的に学べるプログラムがある。(3.医療人教育の基本的内容)2)助言1. 教育研究上の目的を検証する責任ある体制を構築し、恒常的な検証を行うことが望ましい。(1.教育研究上の目的)2. 「数学」、「生物学」のリメディアル教育が外部講師による有料の課外の補習として行われている状況を改善することが望ましい。(3.医療人教育の基本的内容)3. 「生涯研修セミナー」への学生の参加を増やし、生涯学習に関わる科目を体系的に開講することが望ましい。(3.医療人教育の基本的内容)4. 改訂薬学教育モデル・コアカリキュラムの「基本事項」と「薬学と社会」に対応する到達目標を特定の科目に集中させるのではなく、複数の科目に分散させて体系的に教育することが望ましい。(4.薬学専門教育の内容)5. 個々の科目において、基礎と臨床の知見を相互に関連付けていることをシラバスで記述しておくことが望ましい。(4.薬学専門教育の内容)6. 平成 29 年度から適用されているディプロマ・ポリシーに対応したカリキュラム・マップに、専門科目相互間の関連性をわかりやすく示すことが望ましい。(4.薬学専門教育の内容)7. 事前学習の単位認定のための技能の評価において、レポートの比率が高いことは好ましくないので、改善することが望ましい。(5.実務実習)8. 「卒業論文作成要領」に、研究成果の医療や薬学における位置付けについて考察することを求める項目を追加することが望ましい。(6.問題解決能力の醸成のための教育)9. 問題解決能力の醸成を目的とする科目の実質的な実施時間から計算される単位数を卒業要件単位数の 1/10 以上にすることが望ましい。(6.問題解決能力の醸成のための教育)10. 総合的な学習成果を適切に評価する指標の設定およびそれに基づいた評価が行われることが望ましい。(8.成績評価・進級・学士課程修了認定)- 31 -11. 卒業研究開始時の安全教育が指導教員に任されているので、学部としての統一指針を作成することが望ましい。(9.学生の支援)12. 事故や災害の発生時における防災対応について、学生への周知徹底を図ることが望ましい。(9.学生の支援)13. 臨床系教員の研修制度を整備することが望ましい。(10.教員組織・職員組織)14. 教員の海外研修を推進・奨励する体制を構築し、国際交流を推進することが望ましい。(12.社会との連携)15. 自己点検・評価委員として、学部内教員のほか、外部委員を入れることが望ましい。(13.自己点検・評価)3)改善すべき点1. 平成29年度に設定した新カリキュラム・ポリシーに基づいて、カリキュラムの検証を行うことが必要である。(2.カリキュラム編成)2. 6年次では、学生が薬剤師国家試験受験準備教育に多くの時間を充てているので、卒業研究など受験準備以外に充てることができる時間を増やすよう、6年次の時間割を改訂することが必要である。(2.カリキュラム編成)3. ヒューマニズム教育・医療倫理教育に対応する科目が初年次に集中して開講されているので、高学年にも開講して体系的に行うことが必要である。(3.医療人教育の基本的内容)4. ヒューマニズム教育・医療倫理教育に関わる科目の学習成果を総合した目標達成度を測定する指標を設け、総合的な達成度を適切に評価することが必要である。(3.医療人教育の基本的内容)5. コミュニケーション能力・自己表現能力を身につけるための教育に関わる科目の学習成果を総合した目標達成度を測定する指標を設け、総合的な達成度を適切に評価することが必要である。(3.医療人教育の基本的内容)6. 学習領域に対応する方略(特に「態度」に関わるもの)が設定されていない科目が散見されるので、該当するSBOsの領域に適した学習ができるよう、改善することが必要である。(4.薬学専門教育の内容)7. 事前学習の各項目の学修成果を総合した事前実習全体としての目標達成度を評価するための指標が設定されておらず、それに基づく総合的な達成度の評価が行われていないので、改善が必要である。(5.実務実習)- 32 -8. 問題解決能力の醸成に向けた教育を増やし、体系的に実施することが必要である。(6.問題解決能力の醸成のための教育)9. 問題解決能力の醸成に向けた教育の総合的な目標達成度を評価するための指標を設定し、それによる適切な評価を行うことが必要である。(6.問題解決能力の醸成のための教育)10. ストレート卒業率が直近の3年間では50%台にとどまっており、一部の入試方式による入学者では留年率、退学率が高いので、入学後の教育に必要な基礎学力を適確に評価できるよう、入学者選抜の改善を検討することが必要である。(7.学生の受入)11. シラバスに記載されている成績評価の方法と基準(個々の授業科目の成績評価方法、複数の評価方法を用いる場合の寄与率など)が明確でない科目が散見されるので、成績評価方法を明示するよう改善することが必要である。(8.成績評価・進級・学士課程修了認定)12. 再試験成績報告後に、留年者を減らすための教育的配慮として、再度レポート提出あるいは試験を行い最終成績としている科目があるが、留年対策とは言え、再試験は1回限りとする履修規程に反しているので、改善が必要である。(8.成績評価・進級・学士課程修了認定)13. 助教が単独で担当している薬学の主要科目が複数あるので、改善が必要である。(10.教員組織・職員組織)14. 薬学教育プログラムの恒常的な内部質保証を行うことを目的とする薬学部の自己点検・評価委員会の活動を充実させ、その結果を公表するとともに、それに基づいて薬学教育の改善を図る体制を確立する必要がある。(13.自己点検・評価)
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1:提言 改善報告審議結果 |
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| 帝京平成大学 | 私 | 東京都 | 第1期 |
2018年度 |
適 |
自己点検・評価書 基礎資料 正誤票 |
評価報告書
総評
帝京平成大学 総評帝京平成大学薬学部は、薬剤師養成教育に課せられた基本的使命を踏まえて、「医療職としての使命感、及び社会への広い視野を備え、薬物療法の専門職として人と社会に貢献できる薬剤師の養成」を教育研究上の目的としている。カリキュラム・ポリシーは、教育研究上の目的である「社会に貢献できる薬剤師の養成」を達成するため、態度教育、薬学臨床教育、卒業研究の成果を活用した、医療専門職としての態度や実践力、問題解決能力を醸成する方針となっており、明文化されている。ヒューマニズム教育・医療倫理教育については、セミナー科目等でSGD(Small GroupDiscussion)やロールプレイ、実地見学などの方略を用い、また外部講師を招聘して講義を行っている。セミナー科目については、ルーブリックを用いた教員・同僚評価や、「セミナー・ポートフォリオ」による振り返り、学期末の「リフレクション面接」、「学修目標達成度調査」によって、学修プロセスにおける変化・成長を教員が評価している。実務実習の立案・運営や学生の指導に関わる責任は実務実習委員会が負っている。実務実習委員会の下に学生部会、成績評価・連携システム・エビデンス部会、実習施設割振り・個別枠確保・契約関連部会、施設連携部会が置かれ、実務実習委員会が全体を統括している。学生ごとに担当教員を定めており、施設と連携して実務実習が円滑に行えるよう、学生を指導・サポートしている。卒業研究は、平成 29 年以前に入学した学生では6単位であるが、それ以降の学生では10 単位の必修科目として、4~6年次に行われている。6年次4月には学生に対して、卒業研究委員会が作成要領や書式などについて説明会を開催し、提出された卒業論文は全員のものを合冊して製本・保管している。薬学部の入学者受入方針(アドミッション・ポリシー)は薬学部担当会議で原案が作られ、帝京平成大学総務会と教授会で審議・承認の後、全学に周知されている。AO(AdmissionOffice)入試および公募制推薦入試、一般入試、センター試験利用入試が実施され、センター入試以外では面接試験を行っている。選抜(合否判定)については、各入試の採点終- 2 -了後、理事長、学長、副学長、事務長による会議にて合否案が作成され、全学教授会において審議・承認されており、入学志願者の評価と受入の決定が責任ある体制の下で行われている。薬学部の卒業認定・学位授与の方針(ディプロマ・ポリシー)はカリキュラム・ポリシーと同様に、薬学部担当会議が原案を作成し、帝京平成大学総務会と全学教授会で審議・承認され、全学に周知されている。卒業判定は学則で定められた判定基準に則り、学部運営・教員会議の合同会議で審議され、決定されている。薬学部の専任教員数は71名(うち実務家教員13名)で、大学設置基準の専任教員数を満たしている。専任教員の教育研究業績、授業科目の担当状況、研究条件などもおおむね適切である。教員の採用と昇任は大学と学部の規程に基づいて行われており、規程の選考基準も適切である。入学定員は240名であるため、多くの講義は1学年を2クラスに分けており、それに十分対応できる講義室が整備されている。また、SGDを行うための小教室(12席、12室)やSGD大会議室(144席)を備え、物理・化学・生物系実習を行うための学生実習室1~3、パソコン演習室、動物施設、薬用植物園(相模原市)などの実習室や附属施設も整備されている。また、臨床系の実習室として、調剤実習室や無菌調剤実習室が整備されており、実務実習事前学習を実施するための適切な規模の施設・設備も整備されている。帝京平成大学では、学則に自己点検・評価の実施が定められている。薬学部では、担当会議が中心となり自己点検・評価を行うとともに、薬学部自己点検委員会が「検証結果の点検・総括評価」において、検証の対象、方法や頻度、点検・総括評価による改善計画の妥当性などについて助言や必要な修正を加えることにより、自己点検・評価の客観性や適切性を高めている。以上、帝京平成大学薬学部の6年制薬学教育プログラムは、本機構の評価基準におおむね適合している。しかし、以下のような問題点があり、改善が必要である。(1) 6年次は国家試験対策に偏った授業編成となっていることから、早急に見直しが必要である。(2) ヒューマニズム教育・医療倫理教育における総合的な目標達成度評価の指標を設定し、それに基づいて評価することが必要である。(3) コミュニケーション能力および自己表現能力を身につける教育において、総合的な目標達成度評価の指標を設定し、それに基づいて評価することが必要である。- 3 -(4) 実務実習事前学習の総合的な目標達成度を評価するための指標を設定し、それに基づいて適切に評価する必要がある。(5) 問題解決能力の醸成に向けた教育において、総合的な目標達成度を評価するための指標を設定し、それに基づいて評価をする必要がある。(6) 6年次の留年率は5割前後であり、ストレート卒業率が4割に満たない状態が続いているのは、制度(学生の受入、進級)の運用に大きな問題があり、改善が必要である。(7) 共用試験の受験資格に実力試験等の合格が必要となる制度は直ちに改善すべきである。(8) 再評価試験について、回数、合格基準などを制度として策定すべきである。(9) 「薬学総括講義Ⅰ〜Ⅳ」と「アドバンスセミナーⅣ」の5科目を、各分野の学力を判定する「総合系科目」と位置づけて総合試験を実施しているが、その第2回の判定基準は科目ごとの単位認定と異なっており、改善すべきである。(10)6年次に必修として行う「総合系科目」の単位未修得を原因とする卒業延期の比率が6年次までの各年次留年率と比べて非常に高く、学士課程の修了判定がディプロマ・ポリシーの達成に基づいて行われていない可能性があり、改善する必要がある。(11)自己点検・評価を行い、その結果をPDCAサイクルにより教育研究活動の改善に反映することが必要である。帝京平成大学薬学部には、本評価で指摘された改善を要する点を踏まえ、積極的に改革を進めることで、より優れた6年制薬学教育を展開されることを期待する。
大学への提言
帝京平成大学 大学への提言1)長所1. カリキュラムの構成において、順次性や領域ごとに整理してカリキュラムが編成されており、また、科目がどのようにつながっているかが学生にも理解しやすい形でカリキュラムツリーが作成されている。(2.カリキュラム編成)- 48 -2. 看護学科との合同授業や地域住民との演習によりコミュニケーション能力を向上させる授業を行っていることは評価できる。(3.医療人教育の基本的内容)3. 医療安全に関しては、1年次の「薬学入門」と「フレッシュセミナーⅠB」、2年次の 「フレッシュセミナーⅡB」、3年次の「アドバンスセミナーⅠA」と「医薬品の安全性」、4年次の「処方解析」と「事前学習」で行っており、継続的かつ体系的に医療安全教育が行われている。(3.医療人教育の基本的内容)4. 多くの医療関係者と交流関係が整備されており、多様な人的資源があることは評価できる。(4.薬学専門教育の内容)5. 全学年を通して設定されているセミナー科目は、薬剤師育成の目的のもと、学年進行とともにより臨床的な内容とするなど、オリジナリティの高い科目設定となっており、評価できる。(4.薬学専門教育の内容)2)助言1. 教育研究上の目的の表記が、学則と薬学部履修要覧などの資料とで異なるので、教育研究上の目的が三つのポリシーの基となることに配慮して整合性をとることが望まれる。(1.教育研究上の目的)2. 教育研究上の目的での「薬物療法の専門職として人と社会に貢献できる薬剤師を養成する。」という目的の部分を達成させるためのカリキュラム・ポリシーを設定し、カリキュラムに反映させることが望まれる。(2.カリキュラム編成)3. 2009CPに対応する上級学年の学生に対して、平成29年度履修要覧で2015CPとなっており、2009CPを併記することが望まれる。(2.カリキュラム編成)4. 旧コアカリ対応学年では、高学年における生涯学習に関連する教育カリキュラムおよびヒューマニズム教育を導入することが望まれる。(3.医療人教育の基本的内容)5. 入学までの学修歴等を考慮したリメディアル教育プログラムや、習熟度別授業についての改善が望まれる。(3.医療人教育の基本的内容)6. 大学として、生涯学習のプログラムを提供しているが、学生の参加者を増やす方策を検討することが望まれる。 (3.医療人教育の基本的内容)7. 一部の科目では、シラバスに記載上の不備(到達目標など)があるので、改善が望まれる 。(4.薬学専門教育の内容)8. 4年までに授業が行われていない改訂コアカリのSBOについては、早急に授業に組み込むことが望まれる。(4.薬学専門教育の内容)- 49 -9. シラバスに臨床や薬剤師の役割・使命とどのように関連するかについて記載されていないものが一部 あり、改善が望まれる。(4.薬学専門教育の内容)10. シラバスの実務実習事前学習 の内容が時間割等に対応しておらず、学生にとって分かりにくいので、改善が望まれる。(5.実務実習)11. 問題解決型学習の実施時間を適切に確保することが望まれる。(6.問題解決能力の醸成のための教育)12. 入試における基礎学力の評価方法を改善することが望ましい 。 (7.学生の受入)13. 合否も含めた成績結果に関して疑義がある場合、学生が問い合わせることができる制度を策定することが望まれる。 (8.成績評価・進級・学士課程修了認定)14. 総合的学修成果を測定する明確な指標の設定が望まれる。(8.成績評価・進級・学士課程修了認定)15. 総合的な学修成果を測定するための能力指標のうち、③薬学・医療に関する研究能力に関しては,ディプロマ・ポリシーに該当項目がないので、整合性を図ることが望まれる。(8.成績評価・進級・学士課程修了認定)16. 薬学部の事務部門にもキャリア支援組織体制を構築することが望まれる。(9.学生の支援)17. 1年次の薬学基礎実習における指導者1名当たりの学生数は約24名と多く、学生の安全を確保するには 指導者を増員するなどの対応が望ましい。(9.学生の支援)18. 教員1名あたりの学生数は約20.4名と多いため、教員数、特に助教の増員が望ましい。(10.教員組織・職員組織)19. 過去6年間に論文や学会発表がほとんどない教員が散見されるので、活性化が望まれる。(10.教員組織・職員組織)20. 教員の学位取得を促すことが望まれる。(10.教員組織・職員組織)21. 教員の授業担当時間数の不公平さを解消することが望まれる。(10.教員組織・職員組織)22. 薬学部の英文ホームページは限定的であり、充実が望まれる。(12.社会との連携)23. 教員に対する海外派遣が十分に行われていないので、 制度を作るなどの対応が望まれる。(12.社会との連携)24. 自己点検評価の結果を3年に一度、報告書として取りまとめるとしているが、可能な限りその頻度を高めることが望ましい。(13.自己点検・評価)- 50 -3)改善すべき点1. 6年次は国家試験対策に偏った授業編成となっていることから、早急に見直しが必要である。(2.カリキュラム編成)2. ヒューマニズム教育・医療倫理教育における総合的な目標達成度評価の指標を設定し、それに基づいて評価することが必要である。(3.医療人教育の基本的内容)3. コミュニケーション能力および自己表現能力を身につける教育において、総合的な目標達成度評価の指標を設定し、それに基づいて評価することが必要である。(3.医療人教育の基本的内容)4. 実務実習事前学習の総合的な目標達成度を評価するための適切な 指標を設定し、それに基づいて適切に評価する必要がある。(5.実務実習)5. 問題解決能力の醸成に向けた教育において、総合的な目標達成度を評価するための指標を設定し、それに基づいて評価をする必要がある。(6.問題解決能力の醸成のための教育)6. 6年次の留年率は5割前後であり、ストレート卒業率が4割に満たない状態が続いているのは、制度(学生の受入、進級)の運用に大きな 問題があり、改善が必要である。(7.学生の受入)7. 共用試験の受験資格に実力試験等の合格が必要となる制度は直ちに改善すべきである。(8.成績評価・進級・学士課程修了認定)8. 再評価試験について、回数、合格基準などを制度として策定すべきである 。(8.成績評価・進級・学士課程修了認定)9. 「薬学総括講義Ⅰ〜Ⅳ」と「アドバンスセミナーⅣ」の5科目を、各分野の学力を判定する「総合系科目」と位置づけて総合試験を実施しているが、その第2回の判定基準は科目ごとの単位認定と異なっており、改善すべきである。(8.成績評価・進級・学士課程修了認定)10. 6年次に必修として行う「総合系科目」の単位未修得を原因とする卒業延期の比率が6年次までの各年次留年率と比べて非常に高く、学士課程の修了判定がディプロマ・ポリシーの達成に基づいて行われていない可能性があり、改善する必要がある。(8.成績評価・進級・学士課程修了認定)11. 自己点検・評価を行い、その結果をPDCAサイクルにより教育研究活動の改善に反映することが必要である。(13.自己点検・評価)
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自己点検・評価書 基礎資料 正誤票 |
評価報告書
総評
徳島大学 総評徳島大学薬学部は、6年制薬学科と4年制創製薬科学科の2学科を設置しており、一括入試後、3年後期に学科配属が行われる。薬学部の教育研究上の目的および6年制薬学科独自の教育研究上の目的は、徳島大学全学の理念、薬学部6年制薬学科の教育理念に合致しており、また、薬剤師養成教育に課せられた基本的な使命を踏まえて設定されている。薬学科のカリキュラムは、教育研究上の目的に基づき策定されたカリキュラム・ポリシー(教育課程の編成・実施方針)に従って構築されており、3年次前期までに教養科目および専門基礎科目を学び、3年次後期の薬学科への配属後は、専門臨床科目を学ぶとともに、「実務実習事前学習」、「病院・薬局実務実習」に取り組む。6年次には「演習Ⅱ(処方解析演習)」により薬剤師として身につけておくべき基本的な臨床思考プロセスを修得する。国家試験対策や共用試験対策は行われておらず、正規の教育に十分な時間が充てられている。ヒューマニズム教育・医療倫理教育では、1年次に「薬学入門1」、「薬学入門2」および初年時多職種連携教育である「SIH道場」が開講されている。語学教育におけるアメリカノースカロライナ大学薬学部との連携によるビデオカンファレンスは、特徴的な取り組みである。また、生涯学習への意欲の醸成を目的とし、1年次から6年次まで継続して自己学習することを求める「演習Ⅰ」は、他に見られない特徴的な取り組みである。「実務実習事前学習」は実務実習モデル・コアカリキュラムに準拠し、指定の時間を上回る時間数で実施されている。「病院・薬局実務実習」は、徳島大学病院および徳島市内の薬局にて実施され、大学と実習施設間の連携も十分にとられている。「卒業研究」には30単位が設定されており、3年次後期から6年次に十分な時間が確保され、学生は熱心に研究に取り組んでいる。研究成果は卒業論文にまとめられ、口頭による卒業論文発表会が行われている。入学者の選抜は、一般入試、推薦入試Ⅱ、私費留学生入試により行われ、基礎学力が適切に評価されている。推薦入試Ⅱにおいては面接によりアドミッション・ポリシー(入学- 2 -者受入方針)を満たした学生の選抜に努めている。また、入学者の入学定員からの大きな乖離は認められない。進級判定および卒業判定は、適切な手続きにより公正かつ厳正に行われている。ストレート在籍率は全学年で90%以上と高い。また、毎年、薬学科の学生全員が学士課程を修了しており、卒業延期の学生はいない。クラス担任制度が設定され、学生の履修指導および学習相談が行われている。学生の経済的支援、健康維持、ハラスメント対策、就職支援等に関する体制が整備されている。学生から意見や要望を収集し反映させるための体制も整備されている。防災手帳の配付や安全講習会の実施など実験実習等での安全確保に配慮がなされている。また、年1〜2回防災訓練を行っている。専任教員は各専門分野において教育・研究に優れた実績を有する者が配置されており、教員数も大学設置基準を満たしている。教員1名あたりの学生数は9.1名であり、手厚い指導が行われている。教員の職位や年齢の構成比も適切である。教員の採用および昇任は適切な手続きにより、公正かつ厳格に行われている。研究環境や学習環境についても問題はない。社会との連携として、多数の製薬企業および化学系企業等と共同研究や受託研究を行っている。また、市民公開講座や公開シンポジウムを開催している。海外の11大学と学術交流協定を締結し国際交流の活発化を図っている。以上のように、徳島大学薬学部薬学科の薬学教育プログラムは、本機構の評価基準におおむね適合していると判断される。しかしながら、以下のような問題点があり、改善が必要である。(1)医療人教育を体系的に行うとともに、総合的な目標達成度を評価するための指標を設定し、評価を行うことが必要である。(2)シラバスには、到達目標が改訂モデル・コアカリキュラムに対応していない科目や学習方略、評価方法・基準などの記載に不備がある科目が認められるため、改善が必要である。(3)講義科目においても主体的で対話的な学習方略を用いるなど、各学習領域に応じた学習方略を適切に設定する必要がある。(4)「病院・薬局実務実習」の評価が画一的にならないよう適切な評価方法に改善する必要がある。(5)出席や受講態度などが成績評価に含まれる場合には、シラバスの到達目標欄にその- 3 -評価基準を明示する必要がある。(6)薬学部FD委員会活動(FD:Faculty Development)、特に教育能力向上に関わるFD活動の活発化、およびそれらの活動への教員の積極的な参加が必要である。(7)6年制薬学教育プログラムを自己点検・評価するために薬学部内に定期的に検証する組織を整備し、内部質保証を図る必要がある。以上の指摘に加えて、概評にある改善すべき点、助言を踏まえて積極的に改善に取り組むことにより、徳島大学薬学部薬学科の6年制薬学教育がさらに優れたものとなることを期待する。
大学への提言
徳島大学 大学への提言1)長所1. 将来チーム医療体制を構築する医学部、歯学部、薬学部の学生を対象とした科目「SIH道場」において多職種連携教育プログラムを実施しているなど、特徴的な教育が- 34 -行われている。(3.医療人教育の基本的内容)2. アメリカノースカロライナ大学薬学部との提携に基づくビデオカンファレンスは、医療現場で薬剤師に必要とされる語学力が身につく特徴的な取り組みである。(3.医療人教育の基本的内容)3. 「演習Ⅰ(能動学習)」は、在学中を通じて、大学が指定した薬剤師対象の勉強会等に参加してレポートを提出することでポイントを獲得し、20ポイントを貯めると1単位が認定される、生涯学習に対する意欲を醸成する自律的な科目で、他に例を見ないプログラムである。(3.医療人教育の基本的内容)2)助言1. 在校生に対して教育研究上の目的を新学期ガイダンス等で周知することが望まれる。(1.教育研究上の目的)2. 教育研究上の目的を検証するための体制を構築し、定期的に検証することが望まれる。(1.教育研究上の目的)3. カリキュラム・ポリシーが教養、専門基礎、専門臨床、実務実習・卒業研究の大まかな学年区分を示しているものでしかなく、ディプロマ・ポリシーの定める能力とどのように関わるのかということが明文化されていないので、改善が望まれる。(2.カリキュラム編成)4. カリキュラム・マップにおいて、専門科目である「薬学入門」等の科目が教養科目に入っており、他の科目とのつながりが示されていないなど、不備が見られるので、正確なカリキュラム・マップを作成することが望まれる。(2.カリキュラム編成)5. シラバス全般について、学生が読むだけで授業の内容等が理解できるよう、わかりやすいものにすることが望まれる。(4.薬学専門教育の内容)6. 各授業科目において基礎と臨床の知見を相互に関連づけることが望まれる。(4.薬学専門教育の内容)7. 免疫学や微生物学(ウイルスを含む)に関する内容が「細胞生物学1、2、3」および「生命薬学3」で講義されているなど、シラバスおよびカリキュラム・マップに記載の科目名だけでは講義内容が把握できないものが散見されるので、科目名が講義内容の実態を示すように改善することが望まれる。(4.薬学専門教育の内容)8. 大学独自の薬学専門教育の割合を増やすことが望まれる。(4.薬学専門教育の内容)9. CBT実施マニュアルの大学個別の実施項目を設定し、マニュアルを完全なものにす- 35 -ることが望まれる。(5.実務実習)10. CBT委員会活動についての議事録などが作成されていないので、記録を残すことにより活動経過を明確にすることが望まれる。(5.実務実習)11. 実務実習全体の総合的な学習成果の評価のための適切な指標の設定とそれに基づく評価を行うことが望まれる。(5.実務実習)12. 卒業論文の書式等は学部内で統一されていないため、論文作成のための基本的な要領を作成し、学生に提示することが望まれる。(6.問題解決能力の醸成のための教育)13. 卒業論文の評価には研究指導教員以外の教員の関与はないので、複数の教員で評価することが望まれる。(6.問題解決能力の醸成のための教育)14. 「卒業研究」を除いた問題解決能力の醸成に関わる教育が十分とは言えないので、充実が望まれる。(6.問題解決能力の醸成のための教育)15. 一般入試では大学入試センター試験および個別学力試験の結果で入学者を選抜しており、アドミッション・ポリシーを満たした学生の入学について考慮されているとは言えないので、改善が望まれる。(7.学生の受入)16. 成績に関して第三者が疑義を受け付ける制度を設け、学生へ周知することが望まれる。(8.成績評価・進級・学士課程修了認定)17. 教育研究上の目的に基づいた教育における総合的な学習成果を測定するための指標を設定することが望まれる。(8.成績評価・進級・学士課程修了認定)18. 実務家教員の全員が、実務研鑽できる体制を整備することが望まれる。(10.教員組織・職員組織)19. 臨床薬学実務教育学分野の教員(実務家教員)の週当りの授業担当時間が多いため、負担を適正な範囲内にすることが望まれる。(10.教員組織・職員組織)20. 自己点検・評価を行う組織に外部委員を含めることが望まれる。(13.自己点検・評価)3)改善すべき点1. 医療人として生命に関わる薬学専門家に相応しい行動を身につけるための教育が体系的に行われておらず、改善が必要である。(3.医療人教育の基本的内容)2. 医療人教育の基本的な内容を適切に身につける教育の方略が理解できるように、シラバスの内容を改訂する必要がある。(3.医療人教育の基本的内容)- 36 -3. ヒューマニズム教育および医療倫理教育において、総合的な目標達成度を評価するための指標を設定しそれに基づき評価する必要がある。(3.医療人教育の基本的内容)4. コミュニケーション能力および自己表現能力を身につけるための教育において、総合的な目標達成度を評価するための指標を設定しそれに基づき評価する必要がある。(3.医療人教育の基本的内容)5. 新カリキュラムのシラバスにおいて、到達目標が旧モデル・コアカリキュラムのままとなっている科目については、改訂モデル・コアカリキュラムに対応したものに修正する必要がある。(4.薬学専門教育の内容)6. 各学習領域に応じた学習方略を適切に設定する必要がある。(4.薬学専門教育の内容)7. 実務実習事前学習全体の目標達成度を評価するための指標の設定とそれに基づく評価を行う必要がある。(5.実務実習)8. 実務実習の最終評価が「合」あるいは「否」の二者択一となっているため、病院、薬局での評価結果を反映させた多段階評価とするなど評価方法の改善が必要である。(5.実務実習)9. 「卒業研究」の評価で使われているルーブリック評価表の合格最低基準の内容では、ディプロマ・ポリシーの第4項目「統合的な学習経験と創造的思考力」の修得を満たすことができないため、適切な評価基準を設定することが必要である。(6.問題解決能力の醸成のための教育)10. 問題解決能力醸成に向けた教育において、目標達成度の評価指標が設定されておらず、それに基づいた評価もなされていないので、改善が必要である。(6.問題解決能力の醸成のための教育)11. 出席や受講態度などが成績評価に含まれる場合には、シラバスの到達目標欄にその評価基準を明示することが必要である。(8.成績評価・進級・学士課程修了認定)12. FD委員会活動、特に教育能力向上に関わるFD活動の活発化、およびそれらの活動への教員の積極的な参加が必要である。(10.教員組織・職員組織)13. 大学が自己点検・評価としている内容は、本機構が求めている適切な項目設定とは言えず、自己点検・評価も行っているとは認められない。適切な項目を設定し、その項目に基づいた自己点検・評価を行い、結果を公表することが必要である。(13.自己点検・評価)14. 適切な項目を設けた6年制薬学教育プログラムの自己点検・評価を恒常的に行い、3- 37 -つのポリシーに基づくカリキュラム構築に関するFD等を実施するなどのPDCAサイクルを確立し、教育・研究活動の改善に繋げることが必要である。(13.自己点検・評価)
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1:提言 改善報告審議結果 |
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自己点検・評価書 基礎資料 正誤票 |
評価報告書
総評
広島大学 総評広島大学薬学部薬学科は、広島大学および同大学薬学部の教育研究上の目的に基づいて、(イ)創造的な思考力を発揮し、自ら新しい問題に意欲的に取り組む能力を備えた人材を育成し、医療の質及び公衆衛生の向上に貢献すること。(ロ)チーム医療の中で科学的観点から意見が言える専門性の高い薬剤師としての能力を備えた人材を育成し、医療の質の向上に貢献すること。(ハ)病態・診断を理解でき、処方設計を判断し医薬品の適正使用に責任を持てる薬剤師としての能力を備えた人材を育成し、医療の質の向上に貢献すること。(ニ)世界をリードする薬学研究を志向し、新たな薬物療法を構築できる能力を備えた人材を育成し、薬学研究の進歩発展に貢献すること、を教育研究上の目的とする6年制薬学教育を行っている。広島大学は、平成 18 年度より全学が到達目標型教育(Outcome-based education)へ移行しており、大学独自の教育システムを「HiPROSPECTS」と称している。HiPROSPECTS は、主専攻プログラム、副専攻プログラムおよび特定プログラムの3種類のプログラムで構成されている。主専攻プログラムは学部学科ごとに作成され「詳述書」として毎年見直されホームページ等を通じて公表されている。詳述書には、ディプロマ・ポリシー(学位授与の方針)、カリキュラム・ポリシー(教育課程編成・実施の方針)、授業科目および授業内容、学習の成果(評価基準と達成水準)、カリキュラムマップなどが資料と共に記載されている。キャンパスは東広島、霞ならびに東千田から構成されている。1年次には主に東広島キャンパスにおいて教養教育科目を履修する。教養教育科目は、理念と目的に基づき総合大学として体系的に行われている。ヒューマニズム教育・医療倫理教育・コミュニケーション教育科目の一部は教養教育の一環として1年次に行われている。早期体験プログラムとして、「不自由体験学習」、医歯薬「合同早期体験実習」が実施され、「教養ゼミ」では、医学歯学とともに早期からIPE(Interprofessional Education)教育が行われ、チーム医療のためのコミュニケーション- 2 -スキルの向上を目指している。2年次以降の薬学部専門科目の教育は霞キャンパスで行われている。薬学科ならびに薬科学科の専門基礎科目は両学科ともにほぼ同一の科目編成である。薬学科生のみを対象とする科目は、4年後期の7科目ならびに「臨床事前実習」、5年次の「臨床実習」、「卒業研究」である。「臨床事前実習」は主に模擬病棟・薬局において行われ、評価はレポート、筆記試験、OSCE(Objective Structured Clinical Examination)形式の実技試験により総合的に行われている。薬学共用試験は薬学共用試験センターの実施指針に従って実施し、合格基準に従って判定している。実務実習は、実務実習指導マニュアルに従い、基礎系の研究室も含めてすべての研究室が訪問指導等に参画している。実習配属先の決定は病院・薬局実務実習中国四国地区調整機構が公正に行っている。卒業研究は必修科目として3年次後期から6年次の後期まで実務実習期間を除いて行っている。卒業論文の評価は、研究成果の医療的・薬学的な考察に関する項目を含む評価シートによって、取り組み態度、卒論発表、卒業論文の合計で評価されている。入学者の選考は、アドミッション・ポリシー(入学者受入方針)に基づき、一般入試、AO入試、および私費外国人留学生入試により行っている。AO入試では面接を行っている。広島大学では、HiPROSPECTS を導入しており、評価は、1) 授業科目の成績評価、2) 大学共通の平均評価点(GPA:Grade Point Average)、3) プログラム毎に定められた到達目標に対する到達度の評価、より構成されている。授業科目の成績評価は、科目ごとに、中間試験、期末試験、小テスト、レポート、発表など方法と寄与率も含めて規定している。基礎実習ならびに卒業研究の評価は、各々の判定基準に基づきルーブリック評価されている。進級に関わる基準として、卒論研究室への配属、共用試験受験、ならびに実務実習実施の資格が定められている。卒業要件は、6年以上在学し、修得すべき単位数を修得した者とされている。学生の修学支援体制ならびに安心・安全への配慮は、総合大学として整備されている。専任教員数は大学設置基準に定められた数を満たしており、薬学科専任教員1名に対する学生数は 8.14(現員 8.42)名である。薬学部では病院薬剤部を含め 14 講座が配置され、各講座には原則として教授1名に加え、准教授および助教を1名ずつ配置している。教員評価は、独自の目標達成型重要業績指標A-KPI(Achievement-motivated Key- 3 -Performance Indicators)ならびに教員の職務遂行エフォートを全学共通の尺度で指標化し可視化するB-KPI(Basic Effort Key Performance Indicators)により行われている。薬学部は、医療の発展に資するため、行政、製薬企業、食品企業などとの共同研究・受託研究を推進し、医療および薬学の発展に寄与している。また、薬剤師の資質向上を図るための卒後教育として、「ヒロシマ薬剤師研修会」、「患者 100 選」を用いた薬剤師研修会、在宅支援薬剤師無菌操作研修会、「広島医療情報研究会」等を開催している。以上のように、広島大学薬学部薬学科の6年制薬学教育カリキュラムは、本機構の評価基準におおむね適合していると判断される。しかし、以下のような問題点があり、改善が必要である。(1)「授業の目標・概要等」の部分で目標の記載があるものの、薬学教育シラバスで求められている一般目標(GIO:General Instructional Objective)および到達目標(SBOs:Specific Behavioral Objectives)が明記されていないので改善すべきである。(2)成績評価基準は各科目のシラバスに記載欄が設けられているが、記載に不備のある科目があるので、改善すべきである。(3)6年制薬学教育プログラムに特化した自己点検・評価は十分とは言えないので、改善すべきである。広島大学薬学部薬学科には、本評価の提言を踏まえ、積極的に改善に取り組むことによって、6年制薬学教育がさらに優れたものになることを期待する。
大学への提言
広島大学 大学への提言1)助言1. 薬学部の教育理念、目的を広島大学薬学部細則からホームページに転記する際に軽微な誤記が見られるので、修正することが望ましい。(1.教育研究上の目的)2. 教養科目において、成績評価の基準が、期末試験、講義への参加姿勢、小テスト、と- 30 -されているものがあり、知識・技能・態度の目標到達度の評価の指標との関連性が曖昧であるので、明確にすることが望まれる。(3.医療人教育の基本的内容)3. 薬学部薬学科の主専攻プログラム詳述書の科目と評価項目の関連性が明確でないので、関連性を明示することが望まれる。(3.医療人教育の基本的内容)4. 初修外国語の履修者が増加するよう指導することが望ましい。(3.医療人教育の基本的内容)5. 卒論研究室で行われる語学教育について、学部学科としての評価基準を設定して行うことが望ましい。(3.医療人教育の基本的内容)6. 卒論研究室で行われる語学教育は、HiPROSPECTSの評価項目とされていないので、該当科目として組み込むことが望ましい。(3.医療人教育の基本的内容)7. 医療現場で薬剤師に必要とされる語学力を身につけるための教育は行われていないので、薬学に特化した英語科目の導入が期待される。(3.医療人教育の基本的内容)8. 生涯学習の意欲醸成は、体系的に行われていないので、計画的で体系的な実施が望まれる。(3.医療人教育の基本的内容)9. 薬剤師会・病院薬剤師会主催の活動への参加者が少ないので、増加させることが望ましい。(3.医療人教育の基本的内容)10. 成績不振者に対しては、科目担当者が補講を行うなど、きめ細かな指導がなされることが望ましい。(8.成績評価・進級・学士課程修了認定)11. 卒業延期者に対する指導は、卒論配属研究室教員の枠を超えて、学部学科として取り組まれることが望ましい。(8.成績評価・進級・学士課程修了認定)12. 学生が担当教員に質問するためのオフィスアワー等を設定することが望ましい。(9.学生の支援)13. 健康診断の受診率が低いので、向上させることが望ましい。(9.学生の支援)14. 災害発生時の被害防止のための講習会や防災訓練は行われていないので、これらの実施が望まれる。(9.学生の支援)15. 臨床系教員の実務経験を研鑽する体制が整備されていないので、実務家教員の研修体制の整備が望まれる。(10.教員組織・職員組織)16. 学生アンケートの実施率ならびに教員のコメント入力率が低いので、向上させる取り組みを行うことが望まれる。(10.教員組織・職員組織)17. 委員会には外部委員が含まれていないので、加えることが望ましい。(13.自己点検・評価)- 31 -2)改善すべき点1. 「授業の目標・概要等」の部分で目標の記載があるものの、薬学教育シラバスで求められている一般目標(GIO)および到達目標(SBOs)が明記されていないので改善すべきである。(4.薬学専門教育の内容)2. 成績評価基準は各科目のシラバスに記載欄が設けられているが、記載に不備のある科目があるので、改善すべきである。(4.薬学専門教育の内容)3. 成績評価基準は各科目のシラバスに記載されているが、一部に成績評価の記載が曖昧であったり、記載の通りに実施されていない科目が認められたため、全ての科目においてシラバスの成績評価基準を明確にし、記載内容に沿った評価を実施するよう改善すべきである。(8.成績評価・進級・学士課程修了認定)4. 6年制薬学教育プログラムに特化した自己点検・評価は十分とは言えないので、改善すべきである。(13.自己点検・評価)
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評価報告書
総評
北海道大学 総評北海道大学薬学部は6年制薬学科と4年制薬科学科の2学科を設置しており、薬学科では、北海道大学の「「フロンティア精神」,「国際性の涵養」,「全人教育」,「実学の重視」という四つの基本理念に基づき,「国民の健康・福祉および医療における諸問題を薬学の立場から研究して,その成果を医療の現場に還元する学問である医療薬学・臨床薬学を修得し,さらに医療の現場で問題発見・解決能力を発揮し,指導的な立場で活躍できる薬剤師,あるいは医療薬学研究者を養成する」という教育研究上の目的の下に、入学者受入の方針(アドミッション・ポリシー)、教育課程の編成・実施の方針(カリキュラム・ポリシー)、学位授与の方針(ディプロマ・ポリシー)を、整合性をもって設定し、医療を取り巻く環境ならびに社会の薬剤師に対するニーズを反映した薬学教育を行っている。カリキュラムは、ディプロマ・ポリシーを踏まえて定められたカリキュラム・ポリシーに従って設定されており、それは薬学教育モデル・コアカリキュラムに対応したものとなっている。すなわち、ヒューマニズム教育・医療倫理教育、医療コミュニケーション力教育は各学年の進行に相応した内容の科目を配置して学年進行形で順次性をもって体系的かつ効果的に行われている。教養教育は総合大学の特色を活かして人文・社会科学から自然科学まで幅広い領域にわたる科目が開講されている。語学教育は、英語を中心として、低学年における基礎的な語学力から、高学年での専門性を考慮した語学力まで、各学年を通じて体系的に教育が行われていることは評価できる。薬学専門科目では、基礎と応用・臨床を相互に関連付け、かつ目的意識を持って学習できるように、基礎的科目とそれらに関連する応用・臨床的科目が順次性に配慮しながら年次進行とともに適切に配置されている。薬学共用試験も適切に実施されている。実務実習事前学習、実務実習も適切な体制の下で実務実習モデル・コアカリキュラムに沿って適正に実施されている。卒業研究は1年以上- 2 -実施しており、各自その成果を卒業論文としてまとめるとともに、学部主催の卒業研究発表会で口頭発表している。学生の受入は、前期日程の総合入試と後期日程の学部別入試により行われているが、いずれもアドミッション・ポリシーに基づいて適切に行われており、入学定員数に対する入学者数にも問題はない。また、成績評価・進級判定・学士課程修了認定は、ディプロマ・ポリシーに基づいて公正かつ厳格に行われている。学生への履修指導や学習指導は研究室配属まではグループ担任、研究室配属後は研究室の長が責任教員となり適切に行われている。学生の経済的支援は、入学料免除制度および授業料免除制度の設置、日本学生支援機構、地方公共団体や民間奨学団体等の各種奨学金に関する情報提供、大学独自の奨学金制度の設置等により対応している。キャリアセンターでの相談・支援、企業や医療機関のセミナー開催などによる就職支援の体制も整っている。また、学生の健康維持、心身的な支援などの体制、ハラスメント対応も整っている。専任教員は各専門分野において研究・教育に優れた実績を有するものが配置されており、教員数、実務家教員数も大学設置基準を十分満たしている。教員の採用、昇進は、規程に基づいて、研究業績、教育業績、教授能力を総合的に判断して行われている。また、研究室、講義室、実習室、演習室、セミナー室、実務実習事前学習のための模擬薬局/医療系実習室、情報処理演習室、動物実験施設、RI実験室、薬用植物園、図書館、自習室などの施設、各種の設備も整備されており、学習環境も整っている。また、FD(Faculty Development)活動も問題なく行われている。社会との連携として、医療施設や企業、他大学・他機関との共同研究を活発に行い、研究員を受け入れ、医療界や産業界との連携を図っている。また、教員が病院薬剤師会、薬剤師会、関連学会の役員・委員を務め、それぞれの団体との連携を図っている。さらに、点検評価委員会が設置されており、教育プログラムに対する自己点検・評価、その結果の教育研究活動への反映も行われている。以上のように、北海道大学薬学部薬学科の6年制薬学教育プログラムは、本機構の評価基準におおむね適合していると判断される。しかし、以下のような問題点があり、改善が必要である。(1)ヒューマニズム教育・医療倫理教育、コミュニケーション能力・自己表現能力の醸成教育、実務実習事前学習、および問題解決能力を醸成する教育において、それぞれ総合した目標達成度の指標を設定し、それに基づいた適切な評価を行う必要がある。- 3 -(2)「臨床薬学事前演習」の評価の一部に外部機関のCBT(Computer Based Testing)模試の結果を用いているので改善することが必要である。(3)再試験の基準、期間などを明示することが必要である。(4)教育プログラムの自己点検・評価を継続的に実施し、教育研究活動の改善に恒常的に取り組む必要がある。北海道大学薬学部薬学科は、本評価での改善すべき点、助言を踏まえ、積極的に改善に取り組み、薬学教育のさらなる向上に努めることが望まれる。
大学への提言
北海道大学 大学への提言1)長所1. 1年次の全学教育科目の英語(Ⅰ~Ⅳ)、2年次の「薬学英語Ⅰ」、3年次の「薬学英語Ⅱ」、「薬学論文講読演習Ⅰ」、4年次の「薬学論文講読演習Ⅱ」、5年次の「薬学論文講読演習Ⅲ」と、低学年における基礎的な語学力から高学年での専門性を考慮した語学力まで、各学年を通じて英語力の体系的な教育が行われている。ディプロマ・ポリシーの「世界水準の研究」、「国際的な視点と自己実現」の項目と合致しており評価できる。(3.医療人教育の基本的内容)- 42 -2)助言1. 教員へのカリキュラム・ポリシーの十分な説明が望まれる。(2.カリキュラム編成)2. カリキュラム・ポリシーは、ディプロマ・ポリシーの5つの区分にしたがって設定され、授業科目とともに提示されている。しかし、区分間での重複があり、その方針が明確であるとは言えないので更なる整理が望まれる。(2.カリキュラム編成)3. 大学の生涯教育特別講座への薬学部在学生の参加が少ないので、生涯学習に対する意欲を醸成するような改善が望まれる。(3.医療人教育の基本的内容)4. 実務実習の開始時期と実務実習事前学習の終了時期が離れているので、実務実習の直前に実務実習事前学習の到達度を再確認していることが望ましい。(5.実務実習)5. 薬学部薬学科への進学者の選抜・受入に当たって、医療人としての適性を評価するための工夫はできていないので、今後評価方法を工夫することが望まれる。(7.学生の受入)6. 教育研究上の目的に基づいた6年間の教育プログラムを俯瞰した総合的な学習効果の測定は行われていないので、測定するための指標を設定することが望ましい。(8.成績評価・進級・学士課程修了認定)7. 3年生と4年生について、定期健康診断の受診率を改善することが望ましい。(9.学生の支援)8. 建物で完全にバリアフリーになっていないところがあるため、改善することが望ましい。(9.学生の支援)9. 一部の教員の授業負担が重くなっているので、改善が望まれる。(10.教員組織・職員組織)10. 英文ホームページの一部に英語対応が不十分なところがあるので、英文化を進めることが望まれる。(12.社会との連携)3)改善すべき点1. ヒューマニズム教育・医療倫理教育において、関連科目の学習成果を総合した目標達成度評価のための指標は設定されていないので、これを設定し、それに基づいた適切な評価を行う必要がある。(3.医療人教育の基本的内容)2. コミュニケーション能力および自己表現能力を身につけるための教育において、関連科目の学習成果を総合した目標達成度評価のための適切な指標は設定されていないので、これを設定し、それに基づいた適切な評価を行う必要がある。(3.医療人教育- 43 -の基本的内容)3. 全部あるいは一部に独自性を持つ科目においては、その独自性がシラバスで確認できるよう、シラバスの記載方法を改善することが必要である。(4.薬学専門教育の内容)4. 「臨床薬学事前演習」の評価において、一部、外部機関のCBT模試の得点を含めていることは不適切であるので、改善が必要である。(5.実務実習)5. 事前実習の目標達成度を評価するために、複数の評価項目(筆記試験、実習への参加姿勢・到達度、実技試験、演習問題など)が設定されているが、個々の項目およびそれらを総合した事前実習全体の目標達成度を評価するための指標の設定、並びにこれに基づいた評価がされていないので改善が必要である。(5.実務実習)6. 卒業研究の成果の評価に対して、卒業論文の内容や卒業論文発表の結果等に対する評価の指標やその配分などが設定されていないので、それらを設定し、それに基づいた適切な評価を行う必要がある。(6.問題解決能力の醸成のための教育)7. 卒業研究以外の問題解決能力の醸成に関する科目の成績評価において、個々の科目の目標到達度を測定する明確な指標を設定して評価を行う必要がある。(6.問題解決能力の醸成のための教育)8. 問題解決能力の醸成において、関連科目の学習成果を総合した目標達成度評価のための指標は設定されていないので、これを設定し、それに基づいた適切な評価を行う必要がある。(6.問題解決能力の醸成のための教育)9. 成績評価がいくつかの方法で行われている科目において、最終成績に寄与する各評価項目の割合が明記されていない場合があるので、明記するように改善することが必要である。(8.成績評価・進級・学士課程修了認定)10. 科目の成績評価において、学修領域に適した評価方法が用いられていない場合があるので、評価方法を改善することが必要である。(8.成績評価・進級・学士課程修了認定)11. 再試験の基準、期間などを学生便覧、シラバスに明記するように改善することが必要である。(8.成績評価・進級・学士課程修了認定)12. これまで自己点検・評価が継続的に行われていないので、6年制薬学教育プログラムの自己点検・評価を継続的に行い、その結果を公開することが必要である。(13.自己点検・評価)13. 本機構の評価基準で求めているのは、この自己点検・評価で見出された結果を6年制- 44 -の教育研究活動の改善に反映させるようにPDCAサイクルの具体的な実施であるが、「自己点検・評価書」に記載の内容からは、本評価基準が求めている自己点検・評価の成果を生かした活動の成果がわからないので、改善が必要である。(13.自己点検・評価)
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1:提言 改善報告審議結果 |
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3:但し書き 改善報告審議結果 |
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| 武蔵野大学 | 私 | 東京都 | 第1期 |
2018年度 |
適 |
自己点検・評価書 基礎資料 正誤票 |
評価報告書
総評
武蔵野大学 総評武蔵野大学薬学部薬学科は、大学の理念である「仏教精神を根幹として学識、情操、品性にすぐれた人格を育成するとともに、慈悲の心を持ち、多様な薬学関連分野で人々に貢献できる人材の育成」を目的とする6年制の薬学教育を行っている。カリキュラムは、低学年では幅広く教養を養うための「武蔵野BASIS」と高学年で医療人としての高度な知識・技術・態度を養う「学科科目(専門科目)」で編成されている。「武蔵野BASIS」は、ヒューマニズム教育・医療倫理教育、教養教育、語学教育、コミュニケーション教育が主として実施されている。「学科科目」は「薬学教育モデル・コアカリキュラム(平成 25 年度改訂版)」に準拠し、薬剤師に求められる 10 の資質を十分に抱合した形で、学位授与の方針(ディプロマ・ポリシー)とともに教育課程の編成・実施の方針(カリキュラム・ポリシー)が設定され、教職員、学生に周知されており、薬学共用試験も厳正に実施されている。「実務実習」は、事前学習を含めて薬学教育モデル・コアカリキュラムに準拠しており、14 名の薬剤師業務経験者のみで構成されている臨床薬学センター教員が実施している。「卒業研究」は、5年次から6年次前期に行われ、卒業研究発表会と卒業論文により評価されている。卒業研究以外の問題解決能力の醸成に向けた教育は、スモールグループ学習を取り入れた低学年から高学年への科目の中で体系的に構成されている。入学者の選抜は、入学者受入方針(アドミッション・ポリシー)を定め、多種類の入学者選抜試験の方法が設定されている。学修成績の評価、進級判定、卒業判定は、関連する諸規程に基づいて行われ、各科目における成績評価の方法は、シラバスに明記されている。学修成績の評価、進級判定、卒業判定は、関連する諸規程に基づいて行われ、各科目における成績評価の方法は、シラバスに明記されている。学生への支援は、アドバイザー教員による勉学・生活指導、大学独自の奨学金による経済的支援、「就職・キャリア開発委員会」による進路支援が行われ、ハラスメント防止や障がい学生に対する体制も整っている。学生のヘルスケア、メンタルケア、生活相談のため- 2 -に、保健室と学生相談室からなる「健康管理センター」を設置し、細やかな学生支援を学生相談室が中心となり実施している。専任教員数は大学設置基準を満たしており、講義科目は主に教授・准教授と一部の講師が担当し適切に配置されている。薬学系研究に必要な機器類も設置され研究環境は整えられている。講義室、演習室、少人数教育に対応する教室、実験実習室、薬用植物園、コンピューター実習室、動物飼育・実験室などの教室・実習室や付属施設が整備されている。実務実習モデル・コアカリキュラムに準拠した実務実習事前学習を実施するため、模擬薬局・模擬病室等の設備が整備されている。社会との連携については、独立行政法人医薬品医療機器総合機構(PMDA)との連携大学院提携、薬学研究所内に寄付部門プロテオアナリシス客員研究部門の設置や、産学連携研究推進室を通して薬学研究所所属の研究室との産業界との共同研究も推進している。自己点検・評価では、大学全体の委員会として平成6年より武蔵野大学自己点検・評価委員会を設置し、大学として積極的に取り組んでおり、平成 24 年度に大学基準協会による認証評価を受けている。以上のように、武蔵野大学薬学部薬学科の薬学教育プログラムは、本機構の評価基準におおむね適合していると判断される。しかしながら、以下のような問題点があり、改善が必要である。(1)学則に掲げる薬学部薬学科の「教育研究上の目的」に「研究上の目的」に関する内容を加える必要がある。(2)カリキュラムが薬学共用試験や薬剤師国家試験の合格のみを目指した教育に偏っており、改善が必要である。(3)シラバスには、科目の一般目標を明記するとともに、独自性のある科目であればその旨を学生にわかりやすく明記する必要がある。(4)卒業研究の評価については、研究室ごとに異なる到達目標および評価方法により実施されている。同じ科目は、研究室が異なっても同じ到達目標および評価方法により行われるべきであり、この点は改善すべきである。(5)アドミッション・ポリシーの設定と合格者の決定は、学生の教育に責任を持つ薬学部教授会が主体的に関与する体制にする必要がある。(6)CBT(Computer Based Testing)受験および卒業にそれぞれ深くかかわる重要科- 3 -目である、「薬学総合演習1」および「薬学総合演習3」においては、外部試験であるCBT体験受験の成績および予備校が提供する模擬試験の成績が単位認定に利用されており、改善が必要である。(7)正規の授業ではない補講(補習)の成績を必修科目(基礎化学など)の得点として加点するのは、公正な成績評価の観点から不適切であり、改善が必要である。武蔵野大学薬学部には、今回の評価における問題点の改善に取り組むことで、大学の理念を活かした特色ある薬学教育が展開されることを期待する。
大学への提言
武蔵野大学 大学への提言1)長所1. PMDAや企業など、医療界や産業界と連携し、研究活動を活発に展開している。(12.社会との連携)2)助言1. 学則にある大学の目的(第1章第2条)の文言と大学Webページの(本学の目的)の文言が一致しないので、表現を学則のものに統一することが望まれる。(1.教育研究上の目的)2. 「教務運営委員会」において教育研究上の目的の検証を定期的に実施することが望ま- 33 -れる。(1.教育研究上の目的)3. カリキュラム・マップにおいて、学年配当や系が示されているものの、科目間の関連性やディプロマ・ポリシーとの関係が分かりづらいので、学生に分かり易く記載することが望まれる。(2.カリキュラム編成)4. 「薬学総合演習1~3」では、シラバスに「時間外」と記載しているが、具体的な時間割やスケジュールを提示し、各研究室単位で行われる「薬学総合演習2」では、出席管理を徹底することと評価基準を明確にすることが望まれる。(2.カリキュラム編成)5. 医療現場で薬剤師に必要とされる語学力をつけるために開講されている選択科目の「英語3~5」の履修者が極端に少ないので、改善が望まれる。(3.医療人教育の基本的内容)6. 薬害・医療過誤・医療事故防止に関する教育において学外の医師・弁護士・薬剤師等の参画が望まれる。(3.医療人教育の基本的内容)7. 薬剤師生涯教育について、学内外で開催される研修プログラムに学部学生の参加を促す制度を有しておらず、改善が望まれる。(3.医療人教育の基本的内容)8. 個々の授業科目の中で基礎と臨床の知見の関連付けが行われているのは、「病態学2」、「薬理学2」、「薬理学3」など、一部の科目に限られており、基礎と臨床の知見の相互の関連付けは十分とは言えず、他の科目にも広げるよう工夫が望まれる。(4.薬学専門教育の内容)9. 医師やコメディカルとの交流は十分ではなく、より活発化することが望ましい。(4.薬学専門教育の内容)10. 大学独自の科目が選択科目として開講されているが、高学年に開講されている科目は受講生が少ないため、学生教育に有効利用されていないので、改善が望ましい。(4.薬学専門教育の内容)11. 大学が自己点検・評価しているように、事前学習終了から実務実習開始まで時期が離れてしまう、Ⅱ期から実習開始となる学生に対して、事前学習の到達度を再確認することが望ましい。(5.実務実習)12. 学生の卒業研究実践に対する意識付けを促すために、卒業研究のコマを週間時間割上等に明示することが望ましい。(6.問題解決能力の醸成のための教育)13. レポート、グループ発表の内容評価、受講態度や積極的に討論や課題に取り組む姿勢等も評価対象としているが、形成的な評価を行えるように、シラバスに記載の評価方- 34 -法や基準を明確にすることが望ましい。(6.問題解決能力の醸成のための教育)14. 入学試験要項に薬学部の入試方式全てを含む一覧が見当たらないので、受験生に情報として十分に伝わるよう要項の作成に工夫が望まれる。(7.学生の受入)15. 教育研究上の目的に基づいた6年間の総合的な学習成果の評価に関し、ディプロマ・ポリシー8項目を評価する指標(総合的指標)をもって総合的な評価指標の設定につなげようとする努力は評価できるが、総合的な学習成果としては十分とは言えず、今後も継続して改善の努力が望まれる。(8.成績評価・進級・学士課程修了認定)16. 学生の意見を収集する全学組織として教育改革推進室が設置されているが、薬学部にも独自の問題に対処する体制を整備することが望ましい。(9.学生の支援)17. 教員の採用および昇任に関する規程は、授業および研究の継続性や、卒業研究のために配属された学生に対する教育・研究の継続性の点で問題があるので、今後改善することが望まれる。(10.教員組織・職員組織)18. 授業担当時間数について、一部の教員に偏りがみられるので、今後改善されることが望まれる。(10.教員組織・職員組織)19. 参加型学習のための少人数教育に対する教室においては広さ、数とも拡充していくことが望まれる。(11.学習環境)20. 情報処理演習室に、薬学部学生が常時利用できるパソコンを増やすことが望まれる。(11.学習環境)21. 現状の学生収容定員数に比べ、自習室は十分足りているとは言えず、今後の拡充が望まれる。(11.学習環境)22. 英文によるホームページは大学レベルで大枠を作成しているが、薬学部については不完全であり、世界へ情報を発信するよう早急な改善が望まれる。(12.社会との連携)23. 現時点で薬学科所属の留学生および派遣学生はおらず、また、薬学部レベルでの海外大学との交流も盛んとは言えず、国際交流についての活性化が望まれる。(12.社会との連携)24. 若手教員の海外研修や留学の推進を図ることが望まれる。(12.社会との連携)25. 薬学部の自己点検評価委員会に外部委員が含まれていることが望ましい。(13.自己点検・評価)26. 平成29年度から薬学教育プログラムを継続して点検・評価するための項目を設定し、それに基づく自己点検・評価に着手しており、今後も継続して実施することが望まれる。(13.自己点検・評価)- 35 -27. 平成29年度からは、自己点検・評価を恒常的に行い、その結果を教育研究活動の改善等に活用するためのPDCAサイクルシステムを構築する取り組みに着手しており、今後も継続して実施することが望まれる。(13.自己点検・評価)3)改善すべき点1. 薬学部の「教育研究上の目的」に「研究上の目的」に関する内容を加える必要がある。(1.教育研究上の目的)2. カリキュラムが薬学共用試験や薬剤師国家試験の合格のみを目指した教育に偏っており、改善が必要である。(2.カリキュラム編成)3. 早期体験学習の内容、評価等については、到達度を評価する指標を含めシラバスに記載する必要がある。(3.医療人教育の基本的内容)4. ヒューマニズム教育・医療倫理教育における目標達成度を総合的に測定するための指標を設定し、ルーブリックなどの評価表を基にするなど適切に評価するよう改善する必要がある。(3.医療人教育の基本的内容)5. コミュニケーション能力および自己表現能力を身につけるための教育において、総合的な目標達成度を評価する指標を設定し、それに基づいた適切な評価を行う必要がある。(3.医療人教育の基本的内容)6. 新カリキュラム、旧カリキュラムの双方において、準拠すべき薬学教育モデル・コアカリキュラムのSBOsに対応させる授業科目が欠落している箇所があるので、それらに対応する授業科目を設定する必要がある。(4.薬学専門教育の内容)7. シラバスに下記の不備があるので、改善が必要である。(4.薬学専門教育の内容)・大学独自の薬学専門教育科目については独自性のある科目であることが学生に分かるように、シラバスに明記する必要がある。・一般目標が明確に示されていないので、モデル・コアカリキュラムに準じた表現で明示する必要がある。・旧カリキュラムにおいても実験実習科目の単位数、必修・選択の別をシラバス等に記載する必要がある。・「卒業研究1」および「卒業研究2」のシラバスは、研究室ごとに記載されて異なる到達目標および評価方法が記載されている。同じ科目は、研究室が異なっても同じ到達目標および評価を記載する必要がある。8. 卒業研究の評価基準・方法が、各研究室で異なっており、学科で統一する必要があ- 36 -る。(6.問題解決能力の醸成のための教育)9. 問題解決能力の醸成に関する教育において、関連科目を総合した目標達成度を測定する指標を設定し、それに基づいて評価する必要がある。(6.問題解決能力の醸成のための教育)10. アドミッション・ポリシーの設定は、学生の教育に責任を持つ薬学部教授会が関与する体制にする必要がある。(7.学生の受入)11. 合格者の決定は、学生の教育に責任を持つ薬学部教授会が関与する体制にする必要がある。(7.学生の受入)12. 推薦入試で入学した学生は留年する割合が高く、低学年時の成績が低いとの自己点検・評価に基づいて、推薦入試のあり方等について改善する必要がある。(7.学生の受入)13. 「薬学総合演習1」の評価に外部試験であるCBT体験受験を入れているのは問題であり、改善が必要である。(8.成績評価・進級・学士課程修了認定)14. 「薬学総合演習2」の研究室の担当教員、授業計画、評価方法についてシラバスでは統一されていないので改善が必要である。(8.成績評価・進級・学士課程修了認定)15. 「薬学総合演習3」の評価に外部模擬試験を入れているのは問題であり、改善が必要である。(8.成績評価・進級・学士課程修了認定)16. 正規の授業ではない補講(補習)の成績を必修科目(基礎化学など)の得点として加点するのは、公正な成績評価の観点から不適切であり、改善が必要である。(8.成績評価・進級・学士課程修了認定)17. ディプロマ・ポリシーの設定は、学生の卒業に責任を持つ薬学部教授会が関与する体制にする必要がある。(8.成績評価・進級・学士課程修了認定)18. 過去の自己点検・評価報告書の薬学部のホームページでの公表が滞っていた時期があるので、今後そのようなことがないように留意する必要がある。(13.自己点検・評価)
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1:提言 改善報告審議結果 |
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| 千葉科学大学 | 私 | 千葉県 | 第1期 | 2014年度 | 継 |
自己点検・評価書 基礎資料 正誤票 |
評価報告書
総評
千葉科学大学 総評千葉科学大学薬学部薬学科は「コミュニケーション能力を持ち薬剤過誤を未然に防ぐリ スクマネージャーとしての素養を持つなど、現代社会に広く貢献できる薬剤師の養成」を 教育目標として掲げ、学位授与方針(ディプロマ・ポリシー)、教育課程の編成・実施方針 (カリキュラム・ポリシー)、入学者受入方針(アドミッション・ポリシー)を制定し、6 年制薬学教育を行っている。 教育課程は、低学年では入学者に対する基礎学力の向上に重点を置き、能力別クラス編 成を実施し、また、中高学年では薬剤師養成教育に必要な科目を配置した編成になってい る。東日本大震災を経験した千葉科学大学の特徴として、災害時対応やリスク対応能力の 養成を目的とした「リスク危機管理論(必修)」、「救急災害薬学演習(選択)」、「災害時チ ーム医療演習(選択)」という科目を開講している。学生の実務実習受入先は基本的に関東 地区調整機構との連携により決められているが、一部、大学が独自に契約を結んだ病院も 学生の実務実習受入先としている。薬学部の専任教員全員が実習施設を訪問し、実務実習 の実施に参画している。 多様な方式で入学試験を行い、試験問題が全ての学部で同一であり、学科別に解答する問 題が決められ、学科に適した学生を選抜するように設計されている。また、一部の試験では あるが、面接等が行われ、医療人としての適性の評価も入学試験に取り入れられている。 入学者数は開学以来定員を下回っていたが、定員削減や経済支援などの努力により改善 されつつあり、直近年度では定員超過となっている。 学習環境は良好であり、学生支援体制も整っている。社会との連携も行われている。しかし、本機構の評価基準に照らして教育プログラムの内容を評価すると、改善を必要 とするいくつもの重大な問題点が見出される。改善を必要とする主な問題点は下記のとお りである。 1)実務実習事前学習の単位認定に、事前学習の内容とは関連性が低いCBT(Computer Based Testing)体験受験の成績と薬学共用試験のOSCE(Objective Structured Clinical Examination)の結果を用いており、大学独自の実務実習事前学習の到達度 を評価する指標が設定されておらず、測定されていない。さらに、実務実習において 各SBOs(Specific Behavioral Objectives)に関する評価基準ならびに評価方法 が明確に設定されておらず、適正に評価されていない。 2)問題解決能力の醸成のための教育における卒業研究については、実施期間は形式的 にも1年に満たない。これは国家試験準備教育とみなされる「薬学演習Ⅱ」や「総合 薬学演習」に対して、設定単位に必要な授業時間数を大幅に超過する授業時間を充て ることで、卒業研究の実施期間が圧迫されているためと推察される。また卒業論文発 表会は実施されているが、複数名が同一課題名かつ同一内容の要旨である卒業論文も あり、評価に関する統一的な指標や基準が定められていない。また、問題解決型学習 については、各々の評価の基準が曖昧であり、成績評価のための測定が適切になされ ているとは言えず、問題解決型学習が体系的、効果的に実施されているとは言えない。 3)成績評価・進級・学士課程修了認定に関しては、学生便覧に規定されている4年次 進級試験は実施されておらず、補習を実施し明確な規定のない「進級緩和措置」によ って学生を進級させている。学士課程修了については、学外業者の試験2回を含んだ 4回の試験結果で単位認定をする「総合薬学演習」のみの単位未修得により多くの卒 業延期の学生を生じている。一方、「特別再試験」と呼ばれる優遇策が行われている など、学士課程修了認定が適切に行われているとは言えない。 上記の問題点に加えて、カリキュラム編成上、薬学教育モデル・コアカリキュラム以外 の大学独自のカリキュラムが少なく、薬剤師に求められるヒューマニズム・医療倫理教育 に関する科目の多くが選択である。また、これらヒューマニズム・医療倫理教育科目並び にコミュニケーション能力・自己表現能力を身に付ける教育のための科目に関して、目標達成度を評価するための指標が設定されておらず、それに基づいた評価がなされていない。 実務実習を含む薬学教育プログラムの内容を示すシラバスに多くの不備があり、薬学教育 モデル・コアカリキュラムへの準拠に関しても不十分な箇所がある。入学者判定や教員の 採用・昇任などに関して学則の規定通りに実施されていないなどの多くの問題点が認めら れる。 今回の評価において「改善すべき点」として指摘した諸問題を教職員で共有し、改善に 取り組み、千葉科学大学として特色のある6年制薬学教育を構築し実施することを期待し て止まない。
大学への提言
千葉科学大学 大学への提言1)助言 (1)薬学科の教育研究上の目的について、自己点検・評価する体制を構築することが望 ましい。(1.教育研究上の目的) (2)社会に発信する資料には、建学の理念や大学、学部、学科の教育研究上の目的を統 一した表現で記述することが望まれる。(1.教育研究上の目的) (3)カリキュラム・ポリシーを学生便覧やシラバス等へ掲載して、学生に周知する努力 が望まれる。(2.カリキュラム編成) (4)カリキュラム・ポリシーを学科の教育研究上の目的と具体的に関連付けることが望 ましい。(2.カリキュラム編成) (5)教育目的の達成を可能とするためにカリキュラムの体系化を行い、カリキュラム・ マップやカリキュラム・ツリー、科目相関図等として学生に広く示すことが望まし い。(2.カリキュラム編成) (6)就学年限を通した英語教育や医療現場で必要とされる英語教育を充実させることが 望ましい。(3.医療人教育の基本的内容) (7)医療人として必要な倫理観や態度教育の科目を、学年を追って体系的に学びを積み 重ねるような配慮や工夫が望まれる。さらに、実際の生涯学習活動へ学生が参加で きるような機会を増やすなど、生涯学習に対する意欲を醸成するための教育を体系 的に行うことが望ましい。(3.医療人教育の基本的内容) (8)早期体験学習を通して学生が出会う職種を増やすことが望まれる。(3.医療人教 育の基本的内容) (9)シラバスは、授業方法(学習方略:各回の授業別に)と全ての授業担当者名を記述 することが望ましい。(4.薬学専門教育の内容)(10)基礎系科目に関して、臨床との関連付けが見えるように工夫をすることが望まれる。 (4.薬学専門教育の内容) (11)大学独自のカリキュラムを増やすことが望ましい。(4.薬学専門教育の内容) (12)公表されているカリキュラムに関して、媒体間で不一致が見られることから、確認 し、訂正することが望ましい。(4.薬学専門教育の内容) (13)実務実習事前学習のシラバスには担当教員名と各回の授業に関する学習方略を明記 し、実務実習のシラバスをより充実させることが望ましい。(5.実務実習) (14)実務実習直前期に事前実習の到達度を再確認することが望まれる。(5.実務実習) (15)実習期間中は週報などを利用して、学生と指導薬剤師、大学教員の三者間で実習内 容や進捗状況に関してさらに密接に意見交換を行うことが望まれる。(5.実務実 習) (16)全ての学生が参加する実習報告会を開催することが望まれる。(5.実務実習) (17)問題解決能力の醸成に向けた科目および実質的な単位数を増やし、「特別実習」と 合わせて卒業要件の1/10という基準を満たすことが望ましい。(6.問題解決能力 の醸成のための教育) (18)卒業研究が実質的に研究室任せで運営されているので、成績の評価、実施時間につ いて、大学として責任を果たすことが望まれる。(6.問題解決能力の醸成のため の教育) (19)入学後の教育に求められる基礎学力を適確に評価する上で、入学試験の成績と入学 後の成績を比較・検証し、入試における学力調査の方法を検討することが望ましい。 (7.学生の受入) (20)編入学試験合格者に対する単位読替表を作成し、各科目の単位認定の可否の基準を 明確にすることが望ましい。(7.学生の受入) (21)薬学科の教育目標との関連が明確に見えるようなディプロマ・ポリシーに改変する ことが望ましい。(8.成績評価・進級・学士課程修了認定) (22)学生便覧へディプロマ・ポリシーを記述し、学生や教員に周知することが望まれる。 (8.成績評価・進級・学士課程修了認定)(23)9月の卒業を目指す学生に対して開講される授業の詳細な事項や該当する科目のシ ラバスへの記述、最終的な卒業の判定基準を示すことが望ましい。(8.成績評価・ 進級・学士課程修了認定) (24)学生からの意見を聞き、対応する組織や委員会を設けることが望まれる。(9.学 生の支援) (25)教員1名当たり21.4名の学生を指導することになるので、教員を増やし、是正に向 けて努力することが望まれる。(10.教員組織・職員組織) (26)教員の職位・年齢構成を考慮し、今後の人事を行うことが望ましい。(10.教員 組織・職員組織) (27)ホームページで公開している専任教員の業績を定期的に最新の情報に更新すること が望ましい。(10.教員組織・職員組織) (28)教員によって教育負担に大きな差があるので、是正に努めることが望ましい。(1 0.教員組織・職員組織) (29)FDやSDに関して、ワークショップのような能動的な取り組みも行うように努め ることが望まれる。(10.教員組織・職員組織) (30)参加型学習のための少人数教育に充てる教室を整備することが望まれる。(11. 学習環境) (31)生涯教育講座など、学科独自の地域社会との連携プログラムが年々減少傾向にある ので、再び活性化することが望ましい。(12.社会との連携) (32)大学を挙げて国際交流に力を入れるために、英語版ホームページの開設が望まれる。 (12.社会との連携) (33)教職員に対する海外派遣が十分に行われていないので、努力することが望まれる。 (12.社会との連携) (34)薬学部自己点検評価委員会が不断の自己点検・評価を促すことが望ましい。(13. 自己点検・評価)2)改善すべき点 (1)学科の教育研究の目的を学則に規定する必要がある。(1.教育研究上の目的) (2)CBT対策あるいは国家試験対策と考えられる「基礎薬学演習(4年次前期4単位)」、 「薬学演習Ⅰ(4年次後期4単位)」合わせて294時間相当、「薬学演習Ⅱ(6年次前 期)」、「総合薬学演習(6年後期)」合わせて862時間相当と、設定単位数に必要な開 講授業時間数以上に授業時間を割り当てており、CBT対策あるいは国家試験の合 格のみを目指していると判断されるので、このような教育姿勢を改める必要がある。 (2.カリキュラム編成) (3)学部あるいは学科の中でカリキュラムを検証し、必要に応じた変更を速やかに行う 体制を早急に整備する必要がある。(2.カリキュラム編成) (4)ヒューマニズム教育・医療倫理教育は、その多くが選択科目として開講されている ので、全ての学生が受講する必修科目に変える必要がある。(3.医療人教育の基 本的内容) (5)ヒューマニズム教育・医療倫理教育およびコミュニケーション能力・自己表現能力 を身につける教育等の目標達成度を評価するための指標を設定し、それに基づいて 適切に評価する必要がある。(3.医療人教育の基本的内容) (6)「薬学教育モデル・コアカリキュラム」の到達目標で対応する授業科目がないもの があるので、全てに対応したカリキュラムに改変する必要がある。(4.薬学専門教 育の内容) (7)実務実習事前学習における目標達成度の測定にCBT体験受験とOSCEの結果を 用いていることを止め、実務実習事前学習の目標達成度を評価するための指標を設 定し、それに基づいて適切に評価する必要がある(5.実務実習)。 (8)実務実習の成績評価において基準が明示されておらず、評価も適正に行われていな いので、改善が必要である。(5.実務実習) (9)実習の成績評価を行う際に用いる「実習日誌の内容」、「出席状況」、「指導薬剤師の 評価」等の、全体の評価における割合をシラバスに明記する必要がある。(5.実務 実習)(10)卒業研究は4〜6年次に分散して行われ、最大で10ヶ月と期間が短く、研究を通し て問題解決能力が醸成できる体制を築く必要がある。(6.問題解決能力の醸成のた めの教育) (11)卒業論文が成績評価の対象となっているので、卒業論文は学生一人ひとりが独立し て作成する必要がある。(6.問題解決能力の醸成のための教育) (12)論文審査基準や発表の審査基準も含めて、「特別実習」の評価基準を明示する必要 がある。(6.問題解決能力の醸成のための教育) (13)「PBL評価表」のようにグループ学習時に使用される成績評価に関しては、評価 基準とともに評価項目ごとの割合等を明示し、学生に周知する必要がある。(6.問 題解決能力の醸成のための教育) (14)問題解決能力の醸成に向けた教育において目標達成度を評価するための指標を設定 し、それに基づいて適切に評価する必要がある。(6.問題解決能力の醸成のための 教育) (15)学則第20条に示されているように、入学試験の合否の判定は、教授会による入学者 の学力を判断する審議結果に基づいて決定する必要がある。(7.学生の受入) (16)成績評価指標や評価基準をシラバスと学生便覧に明記する必要がある。(8.成績 評価・進級・学士課程修了認定) (17)学則上不明確な進級緩和措置による進級を行ったり、「総合薬学演習」に合格した 者のみに対して特別再試験を行ったりしていることは、厳格に進級や卒業が判定さ れているとは言えない。進級判定や卒業判定に関して基準に基づいて公平に実施す る必要がある。(8.成績評価・進級・学士課程修了認定) (18)事実上の卒業試験である「総合薬学演習」(「自己点検・評価書」p.56)の単位認 定試験に、国家試験合格を予測する学外業者の試験を用い、学士課程修了認定を行 っている点を改善する必要がある。(8.成績評価・進級・学士課程修了認定) (19)「総合薬学演習」のみの単位未取得で卒業延期となる学生が、受験者の約45%とい うような事態を生じさせないように、6年次までの進級判定を含め学力評価の実態 を点検し、根本的な改善を行う必要がある。(8.成績評価・進級・学士課程修了認定) (20)教員の採用・昇任に関して学則および関連規程に従って教授会で審議する必要があ る。(10.教員組織・職員組織) (21)薬学部独自の点検項目を設定し、恒常的に自己点検・評価を行う必要がある。(1 3.自己点検・評価) (22)自己点検・評価の結果を教育研究活動に反映する体制と、反映した結果を検証する 体制を構築する必要がある。(13.自己点検・評価)
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再評価改善報告書 基礎資料 正誤票 |
再評価報告書
総評
千葉科学大学 総評千葉科学大学薬学部薬学科は、「薬学に関する深い専門的知識と技能を持ち、薬学・医療に対する使命感と倫理観にあふれ、国民の健康な生活の確保に貢献できる薬剤師、研究者、技術者の養成」を教育目的とし、これに基づき学位授与の方針(ディプロマ・ポリシー)とその達成に向けた教育課程の編成・実施方針(カリキュラム・ポリシー)と入学者受入方針(アドミッション・ポリシー)を定めて6年制薬学教育を行っている。千葉科学大学薬学部薬学科の教育プログラムは、2014(平成26)年度に行った本評価において、「実務実習」、「問題解決能力の醸成のための教育」、「成績評価・進級・学士課程修了認定」に重大な問題点が見出され評価継続となったため、それらの問題点に対する改善結果について再評価を行った。「実務実習」に関しては、実務実習事前学習に当たる「事前病院・薬局実務実習」の成績評価を実務実習事前学習としての目標達成度を評価する指標に基づいて行う方式とし、本評価で問題点として指摘された薬学共用試験の結果で判断することを廃止した。また、実務実習の成績評価についても、評価基準を明示して、全体の評価に対する項目ごとの評価指標と評価の割合をシラバスに明記するよう改善し、本評価で問題点として指摘された評価基準が明示されていないという問題点を解消した。「問題解決能力の醸成のための教育」に関しては、卒業研究に対応する「特別実習」の期間を12カ月以上に延長するとともに、個々の学生が異なる課題に取り組んで卒業論文を作成する体制に改善し、評価にはルーブリックを活用している。また、「問題解決能力の- 2 -醸成のための教育」に位置付ける科目で講義のみで行っていたものについて、2単位15コマの授業の一部に能動的学習を組み込み、その割合と評価指標をシラバスに明記した。これらの対応により、「問題解決能力の醸成のための教育」について本評価時に指摘した問題点の多くが改善された。「成績評価・進級・学士課程修了認定」に関しては、個々の科目の成績評価に関する指標をシラバスに明記するとともに成績評価基準を学生便覧に明記し、ルーブリック評価表などを学生に周知するように改善している。また、学則に規定されていない進級緩和措置や「総合薬学演習」の合格者に対して行っていたそれ以外の科目の特別再試験を廃止し、進級や卒業の判定を厳格に行うように改善されている。このように、再評価によって本評価で評価継続の理由となった重要な問題点についての改善が行われていることが確認された。また、再評価の対象とはならなかった中項目に関しても、本評価における提言への対応がなされ、薬学部薬学科の教育目的を学則に規定し、単位数と演習時間の関係を適正な値に修正するとともに、カリキュラムを検証し、必要に応じた変更を速やかに行う体制を整備されるなど、改善が進められている。以上のように、千葉科学大学薬学部薬学科は、本評価において指摘された多くの問題点に対して真摯に改善に取り組んでおり、本評価において適合と判断されていた諸項目を合わせて、本機構の定める「薬学教育評価 評価基準」におおむね適合していると判断できる。しかし、再評価段階においても、以下のような問題点があり、改善が必要である。(1) 実務実習事前学習にあたる「事前病院・薬局実務実習」の成績評価において、評価項目ごとの評価の割合を事前学習の趣旨に即して技能・態度を重視したものにすると共に、事前学習の総合的な目標達成度を適切な指標を設定して評価することが必要である。(2) 実務実習の成績評価における項目ごとの評価の割合を適正なものにすることが必要である。(3) 問題解決能力の醸成に向けた教育全体としての総合的な目標達成度を測定するための指標を設定して評価を行うことが必要である。(4) 卒業率の低い状態が続き、卒業延期者の大部分が「総合薬学演習」の単位未修得によるもので、卒業判定がディプロマ・ポリシーの達成状態に基づいて行われているとは言い難いことから、入学から卒業に至るまでの過程における学修指導体制の改善が必要である。- 3 -千葉科学大学薬学部薬学科には、再評価で指摘された改善すべき点と助言、および本評価の提言への対応が十分にはなされていない問題点の改善に取り組み、薬学教育の更なる向上に努めることを期待する。
大学への提言
千葉科学大学 大学への提言1)助言
1. 全学生による実務実習発表会を行い、学生がそれぞれ学習してきた多岐にわたる実務経験を、すべての学生間で共有する機会を設定することが望ましい。(5.実務実習)2. 卒業論文の評価は、指導教員だけで行っているが、評価の客観性を担保する上で複数の教員で評価を行うよう改善することが望ましい。(6.問題解決能力の醸成のための教育)3. 卒業学年における再試験に関する例外規定(千葉科学大学履修規程第40条第2項)については、適用対象を決定する基準が明確ではなく、不公平を生じる懸念があるので、廃止あるいは適用基準を明示することが望ましい。(8.成績評価・進級・学士課程修了認定)4. 教育研究上の目的に基づいた6年間の教育における総合的な学習の成果を測定するための指標や評価基準を設定し、それに基づく評価を行うことが望まれる。(8.成績評価・進級・学士課程修了認定) 2)改善すべき点 1. 事前学習の総合的な目標達成度を評価する指標を設定し、それに基づく評価を行うように改善する必要がある。(5.実務実習)2. 事前学習に当たる「事前病院・薬局実務実習」の成績評価において、事前学習の目的とは異なる基礎薬学領域を含めた知識を80%、技能・態度を20%として評価することは、医療現場での実務実習で必要となる技能・態度を修得するという事前学習の目的から乖離しており、改善する必要がある。(5.実務実習)3. 実務実習の成績評価を、学生が提出する「実習レポート」を40%、終了後に行う「成果発表」の評価を40%、指導薬剤師の評価である「学生の成長度の測定」を20%とした合計によって行い、満点の60%以上で合格とする制度では、指導薬剤師による評価が0点であっても実務実習の単位が取得できることになり、不適切であるので、改善する必要がある。(5.実務実習)4. 問題解決能力の醸成に向けた教育において、総合的な目標達成度を測定するための指標を設定し、それに基づいた教育成果の評価を行うよう改善する必要がある。(6.問題解決能力の醸成のための教育)- 21 -5. 卒業率が44~62%に留まり、卒業延期者の多くは「総合薬学演習」の未修得が理由となっていることは、卒業判定がディプロマ・ポリシーの達成に基づいて行われているとは言い難く、この現状の解消に向けて、在学生の学力の現状とその背景となっている問題に対する点検・評価と、その結果に基づく、入学から卒業に至る学修指導体制に改善する必要がある。(8.成績評価・進級・学士課程修了認定)6. 1年次の退学者が在学生の10%を超えていることや、中高年次のストレート在籍率が49~62%と低い。このような実態について、それらの原因についての解析とその解消に向けて改善する必要がある。(8.成績評価・進級・学士課程修了認定) |
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| 第一薬科大学 | 私 | 福岡県 | 第1期 |
2018年度 |
継 |
自己点検・評価書 基礎資料 正誤票 |
評価報告書
総評
第一薬科大学 総評第一薬科大学は、建学の精神である「個性の伸展による人生練磨」を基に、学則第1条 に教育研究上の目的とともに使命を定めている。また、薬学科と漢方薬学科の2学科それ ぞれにディプロマ・ポリシー、カリキュラム・ポリシー、アドミッション・ポリシーを定 め、6年制薬学教育を行っている。 教養教育は1~3年次に社会科学・人文社会系の教養科目、外国語科目を配置している。 ヒューマニズム教育・医療倫理教育およびコミュニケーション力の醸成教育は1年次から 展開しているが、体系的な科目編成や成績評価方法に懸念される点がある。薬学専門教育 は、それぞれの学科に特色ある科目を配置しつつ、薬学教育モデル・コアカリキュラムに 準拠して実施している。問題解決能力は、5、6年次の卒業研究を中心に醸成を図ってお り、また、チーム基盤型学習などのアクティブラーニングの手法を取り入れた授業を積極 的に取り入れている。 実務実習に関しては、4年次を中心に実務実習事前学習科目を配置し、5年次の病院・ 薬局実習で効果的な学習が実践できるように努めている。 学生の受け入れに対しては、アドミッション・ポリシーを定め、入学試験は7つの方式 を用いて、実施している。また、特待生入学試験の成績上位者に対し授業料を免除する制 度を用意しているが、経済的事情のため修学困難なものに対する大学独自の奨学金制度の 受給者は多くない。 教員の採用・昇任は、規定や内規に従って選考しているが、教員の専門分野と、その教 員が所属する研究室分野の専門性が一致しない例が認められる。なお、「教員による授業 の自己評価」はPDCAサイクルを活用した教員自身による教育改善として良い取り組み である。教員の研究環境および学生の学習環境は適切に整えられている。社会との連携で は、福岡県および福岡市薬剤師会、福岡県病院薬剤師会などと連携し、薬学に関する教育 研究の発展に努めている。また、海外の大学との国際交流も進めている。自己点検・評価に関しては、自己点検・評価委員会を設置し、日本高等教育評価機構の 基準に準拠した評価項目を取り入れ、6年制薬学教育を点検・評価している。 しかし、本機構の評価基準に照らして教育プログラムの内容を評価すると、多くの問題 が見出される。改善を必要とする重大な問題点は主に下記のとおりである。 (1) 「薬学演習」「薬学総合演習」「卒業研究Ⅱ」などの科目において、基礎資料およびシ ラバス記載に記載された開講期間(前期、後期、通年)、必須添付資料である時間割表 に示された開講日時、実際の授業スケジュール(訪問調査に合わせて提出された授業 カレンダー)がすべて異なっていることは、カリキュラムの適正な編成とその実施と いう観点において、カリキュラム・ポリシーに沿った教育が適切に実施されていない と判断する。したがって、カリキュラム・ポリシーに沿った教育が適切に実施できる ように授業の配当時期、期間を含めてカリキュラムを見直すことが必要である。 (2) 4年次の教育において、CBT(Computer Based Testing)対策科目である「薬学演 習」に極めて多くの時間が充てられており、過度に偏重していると判断されるので、 カリキュラムの改善が必要である。 (3) 卒業研究が正規の授業時間内に十分実施できるように時間を確保したカリキュラムに 改善すべきである。 (4) 実務実習事前学習は、実務実習モデル・コアカリキュラムが求めている授業コマ数に 足りず、その内容も異なると判断されるので、学習内容や方略を改める必要がある。 (5) 実務系教員の他、各分野の教授を各実務実習施設の担当責任者に充てているが、実際 の各施設の訪問指導教員の割り振りは研究室に任せられており、実務実習委員会の責 任の下で訪問指導教員を任命していない。さらに、訪問指導教員からの施設訪問報告 書の一部は回収されておらず、学生の実習状況の把握としては不適切である。 (6) 入学試験において、合格者数/受験者数が 80%を超える試験が多く認められること、 また学生のストレート卒業率が 20~35%であることは、大学が入学者に求めているモ チベーションや学力が適確に評価されていない可能性が強く示唆されるので、入学者 の適性を判断する方法や基準を再考すべきである。 (7) 履修科目に重複がない卒業留年生に、再履修を必要とせずに不合格科目の再試験の受 験を認め、再試験の合格をもって卒業を認定するという学士課程の修了認定制度は、 学生にとって公平かつ厳格な制度とは言えず、改善が必要である。(8) 大学の教育研究活動を教務的な視点のみならず、学生、入試などの業務組織の視点を 含めて大学全体を総合的に自己点検し、改善を図るPDCAサイクルを確立し、教育・ 研究活動のさらなる向上に繋げることが必要である。 今回の評価において「改善すべき点」として指摘した諸問題を教職員で共有し、改善に 取り組み、第一薬科大学としての6年制薬学教育を構築し、実施することを期待する。
大学への提言
第一薬科大学 大学への提言 1)長所
1. FD活動においては、教員相互の授業参観や講演会、セミナー参加など様々な活動が 企画、運営されている。研修会にも大半の教員が参加しており、適切な運営が行われ ている。また、「教員による授業の自己評価」では、「教員自身による授業評価」「学生 による授業評価に対するコメント」「昨年度の改善計画に対する自己評価」「次年度へ 向けての改善計画」を示すことで、より良い授業の実施に努めており、教員自身によ る教育改善としては良い取り組みであると評価できる。(10.教員組織・職員組織) 2)助言 1. 教育目標は、大学案内に、その全てが記載されず(4)のみが教育目標として掲載さ れているが、(1)~(3)も学外者や受験生に周知することが望ましい。(1.教育 研究上の目的) 2. 「早期臨床体験」の成績評価について、シラバスではSGD・実習等への貢献度・参 加度を50%、レポートを50%と示しているが、SGD・実習等への貢献度・参加度に ついて定量的な形成的評価は行われていないので、形成的評価が可能な評価方法を再 考することが望まれる。(3.医療人教育の基本的内容) 3. シラバスに授業への学外講師の関与やその役割(職種、所属などを含めて)、講義内 容を載せることが望まれる。(3.医療人教育の基本的内容) 4. 授業科目内で基礎と臨床の知見を相互に関連付けた教育が十分行われているとは言えないので、改善することが望ましい。(4.薬学専門教育の内容) 5. シラバスを見る限り、薬事行政や製薬企業に関わる人材が授業等に参画していないの で、これらの人材を活用することが望ましい。(4.薬学専門教育の内容) 6. シラバスの「実務実習事前学習」に記載されたGIO、SBOが、Ⅰ・Ⅱ・Ⅲ・Ⅳお よび無菌操作の5つの領域のどこに相当するのかが分かりにくいので、学生が理解で きるよう、修正することが望ましい。(5.実務実習) 7. 5年次の2期、3期の実習開始直前の復習は行われていないので、実務実習の直前に 実務実習事前学習の到達度が確認されていることが望ましい。(5.実務実習) 8. 事前学習を実務家教員以外の教員に担当させる場合には、臨床現場で研修させるな ど、教員自身に薬剤師業務の知識、技能、態度を自ら修得させることが望ましい。 (5.実務実習) 9. 実務実習全体の学習成果に対する総合的な評価の指標が設定されておらず、それに基 づいた評価が実施されていないので、改善することが望ましい。 (5.実務実習) 10. 卒業論文の基本的な作成要項を作成し、学生に提示することが望まれる。(6.問題解 決能力の醸成のための教育) 11. 問題解決能力の醸成に向けた科目について、SGDやTBLなどのアクティブラーニ ングの手法を取り入れた授業は用意されているが、真の意味で、問題解決能力の醸成 を主眼としている科目が少ないので、問題解決能力の醸成に向けた科目について、そ の目標と教育手法を検証し、問題解決能力の醸成に向けた教育をより充実することが 望まれる。(6.問題解決能力の醸成のための教育) 12. 公募制推薦入試や特待生チャレンジ入試に加え、募集数が最も多い一般入試およびセ ンター試験利用入試についても、学力に加えて医療人としての適性を評価するための 工夫を取り入れることが望ましい。(7.学生の受入) 13. 平成25年度、平成26年度、平成30年度における薬学科の入学定員充足率はそれぞれ、 1.18、1.17、1.12 と 1.1倍を超えており、今後の改善が望まれる。(7.学生の受入) 14. 学則や履修規程等に、留年した学生に対する上級履修の制限について規定を設けるこ とが望ましい。(8.成績評価・進級・学士課程修了認定) 15. 6年間の総合的な学習成果を測定するための有効な指標を設定し、評価することが望 ましい。(8.成績評価・進級・学士課程修了認定) 16. 新入生に対する ガイダンスでの説明内容について、6年間の薬学教育の全体像を俯 瞰できるように改善すべきである。 (9.学生の支援)17. 健康診断の受診率が、3年次生と6年次生が 80%以下と低いので、受診率を上げる努 力が望まれる。(9.学生の支援) 18. ハラスメント委員会活動報告書では、大学としてのハラスメント対策が不十分との意 見も出されており、ハラスメントに対する取り組みを充実させることが望まれる。(9. 学生の支援) 19. 専任教員数と収容定員数から算出される専任教員1名あたりの学生数は20.4名である ので、専任教員1名あたりの学生数を10名に近づけるよう教員を増員することが望ま れる。(10.教員組織・職員組織) 20. 専任教員全体のうち9名(17.6%、全員教授)が、大学の規定の定年である65歳を超 えており、この中には、授業担当時間数の少ない教授も存在し、他の職位の教員の負 担が増加している可能性があるので改善が望まれる。(10.教員組織・職員組織) 21. 非実験系教員に対する研究費ではなく、旅費に支給額の差があることは、非実験系教 員の自己研鑽の機会の制限につながると考えられるので、実験系教員と同額にするこ とが望ましい。(10.教員組織・職員組織) 22. 自己点検・評価委員会には外部評価委員を加えることが望ましい。(13.自己点 検・評価) 3)改善すべき点 1. 「目的および使命」は、学則だけでなく、大学案内、学生便覧、進級ガイダンス資料、 シラバス、ホームページにも記載すべきである。(1.教育研究上の目的) 2. 「薬学演習」「薬学総合演習」「卒業研究Ⅱ」などの科目において、基礎資料および シラバスに記載された開講期間(前期、後期、通年)、必須添付資料である時間割表 に示された開講日時、実際の授業スケジュール(訪問調査に合わせて提出された授業 カレンダー)がすべて異なっていることは、カリキュラムの適正な編成とその実施と いう観点において、カリキュラム・ポリシーに沿った教育が適切に実施されていない と判断する。したがって、カリキュラム・ポリシーに沿った教育が適切に実施できる ように授業の配当時期、期間を含めてカリキュラムを見直すことが必要である。(2. カリキュラム編成) 3. 薬学教育がカリキュラムに従って適正に行われている実態を、学生や社会が確認でき る時間割やシラバスを作成する必要がある。(2.カリキュラム編成) 4. 4年次の教育において、CBT対策科目である「薬学演習」に極めて多くの時間が充てられており、過度に偏重していると判断されるので、カリキュラムの改善が必要で ある。(2.カリキュラム編成) 5. 6年次は、前期に必修科目が3科目、選択科目が6科目実施され、後期に「薬学総合 演習」、「薬学総合演習試験」、学外業者による国家試験対策講座が設定されており、 正規の授業時間内に卒業研究の時間は確保されていないと判断される。したがって、 卒業研究が正規の授業時間内に十分実施できるように時間を確保したカリキュラムに 改善すべきである。(2.カリキュラム編成) 6. 平成29年度に設定した新カリキュラム・ポリシーに基づいて、カリキュラムの検証を 行うことが必要である。(2.カリキュラム編成) 7. 本来、3科目として設定された「基礎薬学演習Ⅱ」、「医療薬学演習」、「臨床薬学 演習」(通年、それぞれ、1、2、2単位)」を、「薬学演習」の1科目として、1 回の試験で成績判定し、一括して単位で付与しているという実態は、学則で規定され た科目が、適正に実施されていないことを示すものであり、改善が必要である。(2. カリキュラム編成) 8. ヒューマニズム教育・医療倫理教育のカリキュラムが体系的に編成されているとは言 えないので、再考する必要がある。(3.医療人教育の基本的内容) 9. ヒューマニズム教育・医療倫理教育に対応する科目において、SBOsの学習領域に 見合った適切な学習方略を用いて実施するよう、改善すべきである。(3.医療人教 育の基本的内容) 10. ヒューマニズム教育・医療倫理教育に対応する科目において、SBOsの学習領域に 見合った適切な指標を定めた評価が行えるよう、改善すべきである。(3.医療人教 育の基本的内容) 11. ヒューマニズム教育・医療倫理教育に対応する科目において、関連科目を総合した目 標達成度を評価する指標を定め、適切に評価することが必要である。(3.医療人教 育の基本的内容) 12. コミュニケーション能力の向上を目的とした科目において、SBOsの学習領域に見 合った学習方略を用いるよう、改善すべきである。(3.医療人教育の基本的内容) 13. コミュニケーション能力の向上を目的とした科目において、SBOsの学習領域に見 合った適切な指標を定めた評価が行えるよう、改善すべきである。(3.医療人教育 の基本的内容) 14. コミュニケーション能力の向上を目的とした科目において、また、関連科目を総合した目標達成度を評価する指標を定め、適切に評価することが必要である。(3.医療 人教育の基本的内容) 15. 実習科目の単位数が計7単位と少ないので、単位数を見直すことが必要である。(4. 薬学専門教育の内容) 16. 大学独自の科目や教育内容が、学生や第三者に理解できるようシラバスに明示する必 要がある。(4.薬学専門教育の内容) 17. 実務実習事前学習(「事前実習直前学習」を含む)は、実務実習モデル・コアカリキ ュラムが求めている授業コマ数に足りず、またその内容も異なると判断されるので、 授業コマ数、内容、方略を改める必要がある。(5.実務実習) 18. 実務実習事前学習の成績評価については、実務実習モデル・コアカリキュラムに示さ れた学習方略に対し、成績評価に占める知識に関する実習試験の割合が70%と高く、 実務実習事前学習の成績評価方法として適切ではない。したがって、実務実習事前学 習の目標達成度を評価するための指標をSBOsに基づいて適切に設定し、それに基 づいて適切に評価する必要がある。(5.実務実習) 19. 実務実習事前学習に関連した科目を含めた総合的な目標達成度を評価するための適切 な指標を設定し、それに基づいて適切に評価する必要がある。(5.実務実習) 20. 訪問指導教員については、実務系教員の他、各分野の教授を各実務実習施設の担当責 任者に充てているが、実際の各施設の訪問指導教員の割り振りは研究室に任せられて おり、実務実習委員会が責任を持って訪問指導教員を任命していない。その上、訪問 指導教員からの施設訪問報告書の一部が回収されておらず、学生の実習状況を大学が 適切に把握していない。すなわち、実務実習に対する大学の指導責任を果たしている とは言えない。したがって、学生の実務実習に対して大学として責任ある指導を行う ための体制を再構築することが必要である。(5.実務実習) 21. 実務実習の成績評価について、シラバスと、資料として提出された「実務実習の成績 評価方法」で異なる評価基準が示されており、学生に対する成績評価方法の開示とい う観点から、不適切と判断されるので、表記を一致させる必要がある。(5.実務実 習) 22. 「卒業研究Ⅰ」については、5年次3月までに実施した研究に関する要旨を提出させ るほか、評価表を用いて研究室の主任が成績を評価しているが、シラバスにはこの様 な成績評価方法は記載されていないので、その内容を学生に正しく開示できるよう、 シラバスを修正すべきである。(6.問題解決能力の醸成のための教育)23. 「卒業研究Ⅰ」や他の科目についても、「卒業研究Ⅱ」と同様にルーブリックなどを 利用して、目標到達度を評価するための指標を用いた成績評価を行う必要がある。(6. 問題解決能力の醸成のための教育) 24. 問題解決能力の醸成教育において、関連科目を総合した目標達成度を評価する指標を 定め、適切に評価することが必要である。(6.問題解決能力の醸成のための教育) 25. 入学試験において、合格者数/受験者数が80%を超える試験が多く認められること、 また学生のストレート卒業率が20~35%であることは、大学が入学者に求めているモ チベーションや学力が適確に評価されていない可能性を強く示唆するものである。し たがって、6年制薬学教育の実施に、より適切なモチベーションと学力を有する学生 を選抜できるよう、入学者の適性を判断する方法や基準を再考する必要がある。(7. 学生の受入) 26. 追試験の受験について、履修規程では、追再試験受験願いの事由が正当であることに 加えて「平素の履修状況および出欠状況が良好であって、受験資格があると認められ た者に限り、学部長が受験を許可する」と定められている。しかし、「出欠状況が良 好」が具体的に何を基準に判断されるかは明記されていないので、教員の主観的な判 断で学生に不公平が生じないよう、細則等で基準を具体的に定義することが必要であ る。(8.成績評価・進級・学士課程修了認定) 27. 学生便覧の「Ⅳ 教務・履修関係」やガイダンス資料に、試験の受験資格として示さ れている「公欠があったとしても、公欠を含む授業欠席回数が授業時間数の3分の1 を超えた場合は、当該科目の受験資格を喪失する。」という規則については、履修規 程に明記されていないので、受験資格を定めている規程に附則として示すべきである。 (8.成績評価・進級・学士課程修了認定) 28. ガイダンス資料に記載された「授業態度が悪いことによる欠席扱い」は、学生の受験 資格につながるものなので、根拠となる規程や基準 を設け、それに従って適正に運用 することが必要である。(8.成績評価・進級・学士課程修了認定) 29. 「自己点検・評価書」では、学士課程の修了判定基準は、学生便覧にて学生に周知し ていると記述されているが、ガイダンスの資料には修了判定基準などは示されておら ず、学生に対してガイダンスで明確な説明と周知をしているとは判断できない。学生 に対する学士課程の修了判定基準の周知はガイダンスでも資料を基に実施すべきであ る。(8.成績評価・進級・学士課程修了認定) 30. 6年次の国家試験受験準備教育科目である「薬学総合演習」の試験が不合格となることで卒業が認定されない学生が多数に及んでいる現状は、学士課程の修了認定が適正 に行われているとは言い難い。6年間の学習成果に対する客観的かつ適正な評価に基 づいて学士課程修了の認定ができるよう、学士課程の修了を認定する方法を改善する ことが必要である。(8.成績評価・進級・学士課程修了認定) 31. 「薬学総合演習」については追試験を実施しておらず、やむを得ず欠席した学生に対 する公平な受験機会を用意していないのは問題であるので、制度を整える必要がある。 (8.成績評価・進級・学士課程修了認定) 32. 履修科目に重複がない卒業留年生を卒業延期生とすることで、再履修を必要とせずに 不合格科目の再試験の受験を認め、再試験の合格をもって卒業を認定するという卒業 留年者に対する学士課程の修了認定制度は、学生にとって公平かつ厳格な制度とは言 えず、改善が必要である。(8.成績評価・進級・学士課程修了認定) 33. 教員の専門分野と、その教員が所属する研究室分野の専門性が一致しない例が認めら れることから、研究室が受け持つ専門科目の教育研究にふさわしい教育・研究上の指 導能力と高い見識を有する教員を採用し、それぞれの研究室に適切に配置する必要が ある。(10.教員組織・職員組織) 34. 自己点検・評価のための組織やその結果をフィードバックする体制は十分に整えられ ていないと判断されるので、自己評価体制を見直す必要がある。(13.自己点検・ 評価) 35. 大学の教育研究活動を教務的な視点のみならず、学生、入試などの業務組織の視点を 含めて大学全体を総合的に自己点検し、改善を図るPDCAサイクルを確立し、教育・ 研究活動のさらなる向上に繋げることが必要である。(13.自己点検・評価) |
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1:提言 改善報告審議結果 |
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適 |
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再評価報告書
総評
第一薬科大学 総評第一薬科大学薬学部は、建学の精神である「個性の伸展による人生練磨」を基に、「広く 医療に関する専門的な知識・技能・態度を授け、実践的な能力を有する医療人を育成する ことを目的とし、医療福祉の向上、学術の深化に貢献する」ことを使命として定め、これ に基づき、6年制学科の薬学科と漢方薬学科の2学科に、それぞれ学位授与の方針(ディ プロマ・ポリシー(DP))、教育課程の編成・実施の方針(カリキュラム・ポリシー(C P))、入学者受入れの方針(アドミッション・ポリシー(AP))を定めて6年制薬学教育 を行っている。第一薬科大学薬学部の教育プログラムは2018(平成30)年度に行った本評 価において、「カリキュラム編成」、「実務実習」、「学生の受入」、「成績評価・進級・学士課 程修了認定」、「自己点検・評価」に重大な問題点が見出され評価継続となったため、それ らの問題点に対する改善結果について再評価を行った。 「カリキュラム編成」に関しては、教務委員会、及び自己点検・評価委員会が連携して 薬学教育カリキュラムを定期的に検証して改革している。2022年度以降入学者適用カリキ ュラムは2022年度に改定されたCPに基づいて編成されており、1年次~6年次にわたっ て順次性をもって専門教育科目の基礎力定着から臨床薬学の実践的な知識・技能を身につ けるように、計画されている。また、卒業研究を正規の授業時間内で十分実施できるよう に配置し、薬学共用試験や薬剤師国家試験の合格のみを目指した教育に過度に偏らないよ うに図られている。ただし、2022年度以降入学者適用カリキュラムは、現在2年次前期まで実施された状態で、3年次以上の授業科目は未実施であるので、今後カリキュラムを実 施しつつ、継続的に検証して、必要に応じて改善していくことが望まれる。なお、CPを 学生に周知するガイダンス資料にはいくつか間違いがあり、CPを学生に周知するガイダ ンスを適切に実施するように改善することが必要である。 「実務実習」に関しては、「事前学習」、「実務実習直前学習」を含めて「薬学教育モデル・ コアカリキュラム平成25年度改訂版」(改訂モデル・コアカリキュラム)に準拠して適正に 実施されている。薬学共用試験は「2022年度薬学共用試験実施要項」に基づいて公正かつ 円滑に実施されている。「事前学習」の成績評価は、以前はその評価に占める筆記試験(知 識)の割合が高かったが、2022年度ではその割合を少なくし、改訂モデル・コアカリキュ ラムに示す学習目標の到達度を評価するのに適した評価が行われるように改善されている。 「実務実習」の成績評価は、病院、薬局ともに、指導薬剤師による実務実習評点表の評価 と、実務実習生担当教員による態度及び実務実習書の評価によって行われている。 「学生の受入」に関しては、APを定め、それに基づいて、入学試験は8つの区分で行 われており、共通テスト利用選抜試験方式では学力だけであるが、それ以外の7つの入試 区分では面接による適性の評価、及び入試区分に応じた学力の評価が行われている。しか し、入試においての合格者数/受験者数の比率が高く、1年次、2年次での退学者が多く、 ストレート卒業率が低いことなど、これらの入学者選抜試験の結果と修学状況から、大学 が6年制学科の入学者に求めているモチベーションや学力が、入学者選抜において適確に 評価されていないと考えられるので、受験者を適切に評価するための選抜方法や基準によ り入学者選抜を行うように改善する必要がある。 「成績評価・進級・学士課程修了認定」に関しては、DPは建学の精神と学科ごとの教 育目標に基づいて設定し、おおむね公正かつ厳密に行われている。ただし、実質的に「薬 学総合演習」1科目の合否により卒業判定がなされている現状は、本評価時から改善され ておらず、6年間の学修成果に対する適正な評価に基づいて学士課程修了の認定ができる ように、学士課程の修了を認定する方法をさらに改善することが必要である。 「自己点検・評価」に関しては、自己点検・評価委員会を設置し、6年制薬学教育の内 部質保証を目的とした自己点検・評価が行われ、6年制薬学教育の実施に関連した一部の 問題点は改善されているが、自己点検・評価の結果が教育研究活動の改善に活用されてい るとはいえない点があるので、教育研究活動を総合的、多面的に自己点検し、問題点の改 善を図るPDCAサイクルを十分に機能させ、教育研究活動のさらなる向上に繋げること が必要である。以上のように、第一薬科大学薬学部は、本評価において指摘された多くの問題点に対し て真摯に改善に取り組んでおり、未だ改善されていない事項はあるものの、本評価におい て適合と判断されていた諸中項目を合わせて、本機構の定める「薬学教育評価 評価基準」 に適合していると判断できる。 第一薬科大学薬学部には、再評価で指摘された改善すべき点と助言、及び本評価の提言 への対応が十分にはなされていない問題点の改善に取り組み、薬学教育のさらなる向上に 努めることを期待する。
大学への提言
第一薬科大学 大学への提言1)助言
1. 2015(平成 27)年から 2021 年までのカリキュラムマップは、カリキュラムの順次性や 統合性などもわかるカリキュラムツリーとしての性質が付与されているのに対し、 2022 年度以降の入学生に適用しているカリキュラムマップは、科目と「薬剤師として 求められる基本的な資質・能力」との関係性が示されていないので、これを明示するよ うに改善することが望まれる。(2.カリキュラム編成) 2. 2022 年度以降の入学生に適用しているカリキュラムマップは、順次性や統合性が分か りにくいので、これらを学生が理解できるようにカリキュラムマップの他にカリキュ ラムツリーも作成することが望まれる。(2.カリキュラム編成) 3. 新たに導入する「科目横断演習 IV〜VI」、「科目複合演習Ⅰ,Ⅱ」のシラバスの内容は 学習項目を羅列したものであり、1年後期に実施された「科目横断演習Ⅰ」の演習課題 は、知識を記憶する課題が多く、統合的な能力が学生の身につくようにデザインされ てはいないので、薬剤師として求められる統合的能力を醸成する授業内容となるよう に授業計画を見直し、適切な学習課題、学習方法、評価方法を用いた授業を計画・実施 していくことが強く望まれる。(2.カリキュラム編成) 4. 問題解決能力を醸成する科目として実習科目を挙げているが、低学年の実習では、体 験的な学習方法により知識を学ぶ内容が多いので、低学年から学年進行に応じて、問 題発見・問題解決能力を醸成するよう、カリキュラムの内容を充実させることが望ま れる。(2.カリキュラム編成) 5. 2022 年度以降入学者適用カリキュラムは、現在2年次前期まで実施された状態で、3 年次以上の学年を対象とする授業科目は未実施で、シラバスも提示されておらず、カ リキュラムが改善途上にあるので、今後カリキュラムを実施しつつ、継続的に検証し て、必要に応じて改善していくことが望まれる。(2.カリキュラム編成) 6. 実務実習のルーブリックを用いる評価による学習の成果・効果について、評価指標の 適切性を含めて評価結果の解析を行い、その結果とともに、「実務実習事前学習」以外 の事前学習の科目を含めた、「事前学習」の総合的な目標達成度の評価に適切な指標を 設定し、総合的な評価を実施する方法の改善をさらに進めることが望まれる。(5.実 務実習)7. 実務実習生担当教員としての助手が担当する業務内容が明確ではないので、業務を明 らかにしたうえで、実務実習生担当教員として求められる基準を定め、その基準に基 づいて適切性を評価することが望まれる。(5.実務実習) 8. 実務実習生担当教員による態度の評価において、評価の内容が本来の学修目標にそぐ わないものが多くあるので、学修目標を適切に評価できるように評価の内容を改善す ることが望まれる。(5.実務実習) 9. 留年した学生が上位学年配当の授業科目を履修できないことを留年生ガイダンスの資 料に明記し、学生に周知することが望まれる。(8.成績評価・進級・学士課程修了認 定) 10.新しいカリキュラムが導入された 2022 年度では卒業率が低いので、2022 年度以降の 入学者から適用される 2022 年度以降入学者適用カリキュラムによる改善の効果を継 続的に追跡調査・分析して原因を抽出し、その改善による卒業率の向上が望まれる。 (8.成績評価・進級・学士課程修了認定) 11.ディプロマ・ポリシーに示された、卒業時に身につけるべき資質能力の総合的な学修 成果の評価について、学修成果を可視化するためのアセスメントの指標は定められて おらず、学修成果の評価が実施されていないので、総合的な学修成果を測定する指標 を設定し、それに基づいて測定することが望まれる。(8.成績評価・進級・学士課程 修了認定) 12.ディプロマ・ポリシーに示された、卒業時に身につけるべき資質能力の総合的な学修 成果の評価指標の設定と評価の実施方法などについてカリキュラム・ポリシーに具体 的に記載することが望まれる。(8.成績評価・進級・学士課程修了認定) 13.2022 年度の委員会活動の点検・評価書における達成度の表現が統一されておらず、第 一薬科大学薬学部の自己点検・評価委員会作成の自己点検・評価書の評価項目との関 係も明示されていないので、達成度の表現の統一、及び薬学部の自己点検・評価書の 評価項目との関係を明示してPDCAサイクルを十分に機能させることが望まれる。 (13.自己点検・評価) 14.教学IR委員会が提供するデータとその解析に基づいて、薬学教育カリキュラムの改 善を行うことが望まれる。(13.自己点検・評価) 2)改善すべき点 1. 4月のガイダンスにおいて、たとえば、カリキュラム・ポリシーを学生に周知するガイダンス資料では、2022 年度の薬学科1年次生の資料のタイトルが「漢方薬学科」に (内容は薬学科のカリキュラム・ポリシー)、漢方薬学科の1年次生及び1年次留年生 のカリキュラム・ポリシーが薬学科の1年次生のカリキュラム・ポリシーに、漢方薬 学科の5年次生のカリキュラム・ポリシーが薬学科のカリキュラム・ポリシーになっ ているほか、ディプロマ・ポリシー、アドミッション・ポリシーの資料もガイダンス の対象となる学科とポリシーの対応に誤りが多い。これは、教育課程の編成・実施の 方針が学生に周知されているといえない状況なので、学生に対して3つのポリシーを 正確に伝えるように改善する必要がある。(2.カリキュラム編成) 2. 入学者選抜試験の結果と修学状況から、大学が6年制学科の入学者に求めているモチ ベーションや学力が、入学者選抜において適確に評価されていないと考えられるので、 受験者を適切に評価するための選抜方法や基準により入学者選抜を行うように改善 する必要がある。(7.学生の受入) 3. 6年次留年生に対して開講されている「薬学総合演習」は、シラバスには通期科目と 記載されているが、実際には前期終了時に単位認定している。6年次留年生に対して 前期に集中して開講する場合も再履修として通常の通期科目と同様の内容の授業と 試験を行うべきであり、適切な単位認定のためにシラバスへ対象学年、開講時期、授 業の内容等を明記するように改善する必要がある。(8.成績評価・進級・学士課程修 了認定) 4. 「薬学総合演習」1科目の合否により卒業判定がなされている状況は、本評価時から 改善されていないので、6年間の学修成果に対する適正な評価に基づいて学士課程修 了の認定ができるように、学士課程の修了を認定する方法をさらに改善する必要があ る。(8.成績評価・進級・学士課程修了認定) 5. 中項目2の教育課程の編成・実施の方針の学生への周知、中項目8の学士課程の修了 認定の在り方を含めて、自己点検・評価の結果が教育研究活動の改善に活用されてい るとはいえない点があるので、教育研究活動を総合的、多面的に自己点検し、問題点 の改善を図るPDCAサイクルを十分に機能させ、教育研究活動のさらなる向上に繋 げることが必要である。(13.自己点検・評価) |
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| 青森大学 | 私 | 青森県 | 第1期 | 2018年度 | 適 |
自己点検・評価書 基礎資料 正誤票 |
評価報告書
総評
青森大学 総評青森大学薬学部は、「地域とともに生きる」という大学の建学の精神と、「実践的教育」、「親身な指導」、「地域貢献」という大学の基本理念に則った薬剤師養成教育を目指している。教育研究上の目的は、「薬学の基礎となる科学的知識・技術を授け、さらに医療薬学的知識・技術及び医療人としての心構えと態度を身に付け、わが国の医療環境の進展に応え得る薬剤師を育成することを目的とする」と定められており、これに基づいて、入学者受入の方針(アドミッション・ポリシー)、教育課程の編成・実施の方針(カリキュラム・ポリシー)および学位授与の方針(ディプロマ・ポリシー)が設定され、公表されている。カリキュラム・ポリシーには、薬学部における教育内容、教育方法、教育評価の方針が具体的に定められており、ディプロマ・ポリシーとの対応を示したカリキュラムマップが作成されている。カリキュラムの構築と改善に関する検討については、いくつかのサブ組織を有する教務委員会が提案を受けて協議し、最終的に薬学部教授会で審議決定される体制となっている。医療人教育の基本的内容のうち、教養教育、コミュニケーション能力・自己表現能力を身につけるための教育、語学教育、薬学専門教育の実施に向けた準備教育、医療安全教育、生涯学習の意欲醸成のための教育は、おおむね適切に実施されている。特に教養教育プログラムは、大学の基本理念や社会のニーズを反映した多彩な科目で構成されており、「あおもり学」や「じょっぱり経済学」のように、地域とともに生きる大学として特徴的な科目も設定されていることは評価に値する。薬学専門教育の内容は、薬学教育モデル・コアカリキュラムにおおむね準拠しており、実務実習事前学習、薬学共用試験、病院・薬局実習は、適正に実施されている。また、問題解決能力の醸成のための教育も、おおむね適合水準に達している。学生の受入については、ディプロマ・ポリシーおよびカリキュラム・ポリシーと整合したアドミッション・ポリシーが設定され、これに準拠した入学試験が、責任ある体制の下で実施されている。ただし、定員充足率については対策が必要な状況である。- 2 -成績評価と進級判定は、公正かつ厳格に行われている。学士課程修了認定に関わるディプロマ・ポリシーは、薬剤師として必要な知識・技能・態度の修得に加えて、全学部に共通の能力として「生涯をかけて学び続ける力」、「人とつながる力」、「自分自身を見据え、確かめる力」という「3つの力」の修得が設定されていることが特徴的である。学生に対する修学支援の一環として担任制度が導入されており、生活全般の指導のほか、履修・学習相談に応じている。経済的支援として大学独自の奨学金制度が多種類設定され活用されていることは、評価に値する。また、学生の健康相談、ハラスメントの防止対策、進路選択の支援などの体制、学生の意見を教育や学生生活に反映させるための体制は整っている。実験・実習および卒業研究等に必要な安全教育は実習担当教員により行われており、保険については学園本部と大学事務局が主体となって、各種保険に関する情報収集・加入・管理が行われている。薬学部教員の構成は大学設置基準を満たしており、職位の比率や教員1人当たりの学生数には問題がない。教員の採用と昇任は、規程に基づいて厳正に行われている。研究費は職位に応じて適正に配分されており、競争的外部研究資金の獲得のための申請支援も行われている。また、教員の教育研究能力の向上を図るためのFD(Faculty Development)、授業改善のためのアンケート調査なども大学全体の取組みとして行われている。教員の教育研究業績は、1年に1回定期的に収集確認されている。教員の活動は、大学事務局と薬学部独自の事務室とでサポートされている。講義室、演習室、実習室、自習室、図書室などは、現状の学生数に対する教育を実施するための施設・設備としては十分に確保されている。地域の医療界との連携は、認定実務実習指導薬剤師養成ワークショップや卒後研修等の開催を通して密に行われており、地域住民への啓発活動も積極的に行われている。教育プログラムの自己点検・評価の体制としては、第三者評価の受審のための委員会が設置されているだけである。以上、青森大学薬学部の6年制薬学教育プログラムは、本機構の評価基準におおむね適合していると判断される。しかし、以下のような問題点があり、改善が必要である。(1)教育研究上の目的を学生および教職員に十分周知するとともに、ホームページで社会に公表する必要がある。(2)6年次のカリキュラムが国家試験の合格のみを目指した教育に偏っていることを改善する必要がある。- 3 -(3)ヒューマニズム教育・医療倫理教育に関わる科目について、それらの体系性と学習方略、適切な評価のための指標の設定が不十分である。(4)ヒューマニズム教育・医療倫理教育およびコミュニケーション能力・自己表現能力を身につけるための教育について、関連科目の学習成果を総合した目標達成度の評価のための指標を設定し、それに基づいた適切な評価を行う必要がある。(5)薬学専門教育について、コアカリとの整合性やシラバス記載内容に関する自己点検が不十分である。また、実験実習の単位数を増やすとともに、大学の教育研究上の目的に基づいた独自の薬学専門教育を設定し、それらをシラバスに明示する必要がある。(6)実務実習事前学習について、関連科目の学習成果を総合した目標達成度の評価のための指標を設定し、それに基づいた適切な評価を行う必要がある。(7)卒業研究の実質的な実施時間を適正に確保するために、卒業研究に当てられる時間を時間割に明記して学生に周知する必要がある。(8)問題解決能力の醸成のための教育について、関連科目の学習成果を総合した目標達成度の評価のための指標を設定し、それに基づいた適切な評価を行う必要がある。(9)入学後の修学状況から判断すると、入学後の教育に求められる基礎学力が入学試験において適確に評価されていない可能性がある。(10)国家試験準備教育に相当する「薬学総合演習Ⅱ」の試験が「卒業試験」と定義され、この試験の合否のみが実質的な学士課程修了の判定基準になっていることは、ディプロマ・ポリシーの達成に基づいて学士課程修了を認定するという趣旨に合致していないので、改善する必要がある。また、卒業試験の合格基準に「程度」を設定しているなどの不明瞭な点があるので、基準を明確にする必要がある。(11)責任ある自己点検・評価体制を薬学部内に整備し、その組織の主導により教育プログラムの改善を自主的かつ恒常的に行い、PDCAサイクルを有効に回して6年制薬学教育プログラムの内部質保証に努めることが必要である。青森大学薬学部には、今回の評価における提言を踏まえた積極的な改善を通して薬学教育の質を高め、地域とともに生きる大学としてさらに発展することを期待する。
大学への提言
青森大学 大学への提言1)助言1. 「教育研究上の目的」について、薬学部が主体的かつ定期的に検証する体制を構築することが望まれる。(1.教育研究上の目的)2. カリキュラム・ポリシーを学生および教職員に十分に周知することが望まれる。(2.カリキュラム編成)3. カリキュラムマップからは、ヒューマニズム教育・医療倫理教育の体系性を読み取ることが難しいので、分かりやすいマップを作成することが望まれる。(3.医療人教育の基本的内容)- 37 -4. 教養教育科目の中に履修者が著しく少ない選択科目があることを改善することが望まれる。(3.医療人教育の基本的内容)5. 医療安全教育について、薬害、医療過誤、医療事故等の被害者やその家族、弁護士、医療における安全管理者を講師とするなど、学生が肌で感じる機会を増やすことが望まれる。(3.医療人教育の基本的内容)6. 生涯学習の意欲醸成について、より幅広い人的資源を活用した取り組みを行うことが望まれる。(3.医療人教育の基本的内容)7. 生涯学習に対する意欲を醸成する教育について、薬学専門教育における体系性を明確にすることが望まれる。(3.医療人教育の基本的内容)8. 中項目3に該当する科目の総単位数については、科目内容の識別を中項目3の基準に正確に照らし合わせて算出することが望まれる。(3.医療人教育の基本的内容)9. 旧コアカリの一部の技能系SBO(C7(1)「生薬の同定と品質評価」等)は、講義のみで教育されているので、改善が望まれる。(4.薬学専門教育の内容)10. 基礎と臨床との関連性がシラバスの「授業内容」に記述されていない基礎系科目があるので、改善が望まれる。(4.薬学専門教育の内容)11. 「実務実習事前実習」の単位数(3単位)と実施時間(1コマ90分×148コマ)との乖離を改善することが望まれる。(5.実務実習)12. 実務実習全体の総合的な学習成果を評価するための指標を設定し、それに基づいた評価を行うことが望まれる。(5.実務実習)13. アドミッション・ポリシーに掲げられた能力等を適確に判断できるような評価方法を検討し導入することが望ましい。(7.学生の受入)14. 薬学教育プログラム全体の総合的なアウトカム評価の指標をディプロマ・ポリシーに基づいて設定し、適正な卒業認定を行うことが望まれる。(8.成績評価・進級・学士課程修了認定)15. ハラスメント防止について、学生生活ガイドブックに記載することが望まれる。(9.学生の支援)16. 身体障がいのある者への受験機会の提供について、個別対応であることを青森大学入学試験ガイド等に明記することが望まれる。(9.学生の支援)17. 教員の高齢化の是正のために、今後も若手の教員を増やすことが望まれる。(10.教員組織・職員組織)18. 薬学部教員の採用と昇任について、薬学部教授会が審査・選考のプロセスに直接関与- 38 -することが望まれる。(10.教員組織・職員組織)19. 教員の教育研究活動を活性化するために、業績を定期的に収集するにとどまらず、その改善策を検討することが望まれる。(10.教員組織・職員組織)20. 実務家教員が最新の医療に対応するために研鑽する機会を増やすなど、実務家教員の資質を維持向上させるための活動をさらに促進することが望まれる。(10.教員組織・職員組織)21. 教員間の授業負担のばらつきを是正するとともに、若手の教員が研究時間を十分に確保できるように学部として配慮することが望まれる。(10.教員組織・職員組織)22. 講義室・実習室等について、定員充足率が100%である場合にも対応できる規模と数を確保することが望まれる。(11.学習環境)23. 施設や設備の老朽化への対応が望まれる。(11.学習環境)24. 図書館の蔵書について、外国語雑誌が6種、電子ジャーナルの契約数がゼロという現状を改善することが望まれる。(11.学習環境)25. 英語版のホームページを整備して世界への情報発信に努めることが望まれる。(12.社会との連携)26. 「青森大学国際教育センター」において、教職員の海外研修等についても積極的に推進することが望まれる。(12.社会との連携)27. 薬学部の自己点検・評価を行う組織の構成員に外部委員を追加することが望まれる。(13.自己点検・評価)2)改善すべき点1. 「教育研究上の目的」を学生および教職員に十分に周知することが必要である。(1.教育研究上の目的)2. 薬学部薬学科の「教育研究上の目的」を、大学のホームページで公表する必要がある。(1.教育研究上の目的)3. 6年次のカリキュラムが国家試験の合格のみを目指した教育に偏っていることを改善する必要がある。(2.カリキュラム編成)4. ヒューマニズム教育・医療倫理教育に関わる科目について、「自己点検・評価書」の記述とシラバスの記載内容との間に齟齬がある科目が多々認められたこと、科目の位置づけの解釈が基準・観点に合っていなかったことは、ヒューマニズム教育・医療倫理教育の目的や学習方略に関する理解が不十分なままでカリキュラム編成が行われて- 39 -いたことを示唆しており、改善が必要である。(3.医療人教育の基本的内容)5. ヒューマニズム教育・医療倫理教育に関わる科目の体系性について、低学年での科目設定が少ないことを改善すべきである。(3.医療人教育の基本的内容)6. ヒューマニズム教育・医療倫理教育に関わる科目について、学習目標の領域と学習方法がマッチしていない科目があることを改善する必要がある。(3.医療人教育の基本的内容)7. ヒューマニズム教育・医療倫理教育に関わる各科目について、適切な評価のための指標の設定が不十分である。(3.医療人教育の基本的内容)8. ヒューマニズム教育・医療倫理教育に関連する科目の学習成果を総合した目標達成度の評価のための指標を設定し、それに基づいた適切な評価を行う必要がある。(3.医療人教育の基本的内容)9. コミュニケーション能力および自己表現能力を身につけるための教育を行っている各科目について、適切な評価のための指標の設定が不十分である。(3.医療人教育の基本的内容)10. コミュニケーション能力および自己表現能力を身につけるための教育に関連する科目の学習成果を総合した目標達成度の評価のための指標を設定し、それに基づいた適切な評価を行う必要がある。(3.医療人教育の基本的内容)11. カリキュラムとコアカリとの整合性に不備があり、改訂コアカリに準拠したカリキュラムが適正に実施されていない懸念があるので、改善すべきである。(4.薬学専門教育の内容)12. シラバスにおけるSBOsの記載内容と基礎資料3との整合性に不備が散見されるので、十分な点検に基づく改善が必要である。(4.薬学専門教育の内容)13. 実験実習の単位数を増やす必要がある。(4.薬学専門教育の内容)14. 大学の教育研究上の目的に基づいた独自の薬学専門教育を設定し、それらをシラバスに明示する必要がある。(4.薬学専門教育の内容)15. 実務実習事前学習について、関連科目の学習成果を総合した目標達成度の評価のための指標を設定し、それに基づいた適切な評価を行う必要がある。(5.実務実習)16. 卒業研究に相当する「特別実習」は6年次通年科目となっており、シラバスと時間割には4~5年次の卒業研究についての記載がないことを改善する必要がある。(6.問題解決能力の醸成のための教育)17. 卒業研究の実質的な実施時間を適正に確保するために、卒業研究に当てられる時間を- 40 -時間割に明記して学生に周知する必要がある。(6.問題解決能力の醸成のための教育)18. 薬剤師に求められる問題解決能力の醸成に関わる科目の総合的な目標達成度の指標を設定し、それに基づいて適切に評価する必要がある。(6.問題解決能力の醸成のための教育)19. 最近5年間のストレート卒業率が平均で 50%未満であるなど、入学後の教育に求められる基礎学力が入学試験において適確に評価されていない可能性があるので、改善すべきである。(7.学生の受入)20. 国家試験準備教育に相当する「薬学総合演習Ⅱ」の試験が「卒業試験」と定義され、この試験の合否のみが実質的な学士課程修了の判定基準になっていることは、ディプロマ・ポリシーの達成に基づいて学士課程修了を認定するという趣旨に合致していないので、改善する必要がある。(8.成績評価・進級・学士課程修了認定)21. 「薬学総合演習Ⅱ」の卒業試験について、合格基準に「程度」を設定しているなどの不明瞭な点があるので、基準を明確にする必要がある。(8.成績評価・進級・学士課程修了認定)22. 定期健康診断の受診率を向上させるために、受診指導の徹底や日程調整が必要である。(9.学生の支援)23. 教育研究活動の活性化を図るために、薬学部独自のFD委員会を整備する必要がある。(10.教員組織・職員組織)24. PDCAサイクルを有効に回して6年制薬学教育プログラムの改善を図るために、責任ある自己点検・評価体制を薬学部内に整備する必要がある。(13.自己点検・評価)25. 整備された組織の主導により教育プログラムの改善を自主的かつ恒常的に行い、6年制薬学教育の内部質保証に努めることが必要である。(13.自己点検・評価)
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| 第1期 |
2018年度 |
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1:提言 改善報告審議結果 |
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| 奥羽大学 | 私 | 福島県 | 第1期 | 2018年度 | 適 |
自己点検・評価書 基礎資料 正誤票 |
評価報告書
総評
奥羽大学 総評奥羽大学は「高度な専門知識と技術を備えた人間性豊かな人材を育成する」を大学の建学の理念として掲げ、薬学部薬学科は「高度な専門知識と技術を備えた人間性豊かな薬剤師を養成する」ことを目的とする6年制の薬学教育を行っている。カリキュラムは、薬学部の「教育課程の編成・実施の方針(カリキュラム・ポリシー)」に基づいて編成されており、「チーム医療学Ⅰ」、「チーム医療学Ⅱ」など薬学部の目的を実現するための体験型学習を行っている。薬学専門教育は、薬学教育モデル・コアカリキュラムに準拠しており、平成27年度には改訂された薬学教育モデル・コアカリキュラムに対応するカリキュラム改訂が行われている。「実務実習」は、実務実習事前学習を含めてモデル・コアカリキュラムに準拠して行われており、薬学共用試験も厳正に実施されている。「実務実習」には薬学部全教員が何らかの形で学生の指導に参画している。「卒業研究」は、4年次から6年次前期に行われ、卒業研究発表会と卒業論文により成果が報告され、主査と1名の副査により評価される。問題解決能力の醸成に向けた教育は、旧カリキュラムではほとんどが実習科目であったが、新カリキュラムでは「薬と病態チュートリアル」などでPBL(Problem BasedLearning)、SGD(Small Group Discussion)などを学習方法に取り入れた能動的学習が実施されている。入学者の選抜は、「入学者受入方針(アドミッション・ポリシー)」に基づき、AO、推薦、特待生選抜、一般選抜、指定校推薦および編入学という多様な選抜方法で実施し、一部の選抜方法では面接や受験生が記載する「将来への抱負」により医療人・薬剤師としての適性の把握に努めている。学修成績の評価、進級判定、卒業判定は、学則等に基づいて厳正に実施されている。毎年、多くの学生が留年しているが、これらに対しては、アドバイザー教員や卒業研究指導教員が教育支援を行っている。学生への支援には、アドバイザー制度と研究室配属制度による学修支援と生活指導、大学独自の奨学金制度、特待生制度があり、ハラスメント防止や障がいを有する学生への配慮も十分なされている。さらに、就職支援としてのキャリアガイダンスも定期的に開催している。専任教員数は大学設置基準を満たしており、講師以上の専任教員は適切に配置されている。学習環境は十- 2 -分整っており、図書館や自習室も充実している。社会との連携では、福島県薬剤師会等と連携し薬剤師の学術的水準の向上に努めているほか、歯学部と共同で「奥羽大学市民公開講座」を開催している。以上のように、奥羽大学薬学部薬学科の薬学教育プログラムは、本機構の評価基準におおむね適合していると判断される。しかし、以下のような問題点があり、改善が必要である。(1)カリキュラムが薬学共用試験および薬剤師国家試験対策に偏っていると判断され、改善が必要である。(2)ヒューマニズム教育・医療倫理教育、コミュニケーション能力および自己表現能力を身につける教育、実務実習事前学習および問題解決能力の醸成に向けた教育において学習成果を総合した目標達成度評価の指標が定められていないため、改善が必要である。(3)卒業研究である「特別実習」が科目の目標を達成できるように研究時間を確保することが必要である。(4)「特別実習」の最終成績に「実務実習」の必須項目である「医薬品のまとめ」の評価を含めることは不適切であり、改善することが必要である。(5)退学や休学する学生が多いため、入学者選抜において入学後の教育に求められる基礎学力を適確に評価するように改善が必要である。(6)6年次の留年生はすべて「総合薬学演習Ⅱ」の不合格者であり、学士課程の修了判定はディプロマ・ポリシーの達成に基づいて行われているとは言えないため、学士課程の修了判定基準を適切に設定し、これに従って判定が行われるように改善する必要がある。(7)6年制薬学教育プログラムに関する薬学部独自の自己点検・評価を行うための項目および体制が設けられていないため、改善する必要がある。(8)薬学部の教育研究活動全体を改善するための自己点検・評価サイクルを構築するように改善する必要がある。奥羽大学薬学部は、高度な専門知識と技術を備えた人間性豊かな人材の養成を掲げ医療人としての薬剤師の育成に取組んでいる。熱心な教育、充実した学生支援があるので、提言に挙げた点を改善することにより、さらなる発展を遂げることを期待する。
大学への提言
奥羽大学 大学への提言1)長所1. 教員が持ち回りで自習室を巡回し、学生からの質問や要望を随時受け付ける体制が整えられていることは評価できる。(9.学生の支援)2. FD委員会がビデオ撮影した授業を教員が自己点検・評価するほかに、FD委員会メンバーによる評価が行われ、授業の改善が図られている。(10.教員組織・職員組織)- 37 -2)助言1. 教授会に参加していない教職員に対するカリキュラム・ポリシーの周知が不十分なため、改善することが望ましい。(2.カリキュラム編成)2. 編入生はいずれも2年次に編入学しているが、早期体験学習など1年次必修科目の厳密な読み替えが行われていないため、改善することが望ましい。(2.カリキュラム編成)3. 薬学共用試験および薬剤師国家試験の受験対策科目において学則上規定された単位数を大幅に超えた時間数を充てているので、単位数に合った時間数を設定することが望ましい。(2.カリキュラム編成)4. 薬害被害者による講義は実施されているが、薬害被害者の家族、弁護士、医療における安全管理者等の講演は実施されていないため、改善することが望ましい。(3.医療人教育の基本的内容)5. 卒後研修会は実施されておらず、学生が生涯学習プログラムに参加する機会は無いため、改善することが望ましい。(3.医療人教育の基本的内容)6. 技能・態度に関するSBOsに対しては、演習や実習など効果的な学習方法を用いていない科目があるため、改善することが望ましい。(4.薬学専門教育の内容)7. 授業科目内で基礎と臨床の知見を相互に関連付けているとは言えないので、改善することが望ましい。(4.薬学専門教育の内容)8. 大学独自の薬学専門教育の科目は、独自科目であることがシラバスから認識できるが、これらの科目に掲げられた目標については、独自教育の目標であるかが明示されていないため、改善することが望ましい。(4.薬学専門教育の内容)9. 大学独自の薬学専門教育の実質的な単位数は、新・旧カリキュラムともに7単位程度であり、十分とは言えないので改善することが望ましい。(4.薬学専門教育の内容)10. 実務実習全体の学習成果に対する総合的な評価の指標が設定されておらず、それに基づいた評価が実施されていないので、改善することが望ましい。(5.実務実習)11. 問題解決能力の醸成に向けた教育が体系的に実施されていないため、改善することが望ましい。(6.問題解決能力の醸成のための教育)12. 大学案内やオープンキャンパスの資料等には、アドミッション・ポリシーが正確に掲載されておらず、情報が周知されていないため、改善することが望ましい。(7.学生の受入)- 38 -13. 教育研究上の目的に基づいた6年間の教育プログラムを俯瞰したアウトカム評価のための指標が設定されておらず、総合的な学習成果が評価されていないため、改善することが望ましい。(8.成績評価・進級・学士課程修了認定)14. ノートテイカーなどの障がいを有する学生への協力学生への支援体制を整えるように改善することが望ましい。(9.学生の支援)15. 指導教員1名に対し学生が 30 名以上という実験実習科目があり、実習の安全のために改善が望まれる。(9.学生の支援)16. 著書・論文等の発表件数が少ない、学会活動がみられないなど、優れた実績を有するとは言いがたい教員がいるため、専任教員を適切に指導することが望ましい。(10.教員組織・職員組織)17. 専任教員全体のうち8名(18.2%)が定年年齢を超えており、また、実務家教員のうち5名(50%)が 60 歳台であることから、教員の年齢構成に偏りがあるため、改善することが望ましい。(10.教員組織・職員組織)18. ホームページの教員に関する情報において、定期的な更新がなされていない、リンクが張られていないあるいはリンク先の情報が十分でないものが複数存在するため、改善することが望ましい。(10.教員組織・職員組織)19. 薬剤師としての実務経験を有するすべての実務家教員が研鑽できる制度がないため、改善することが望ましい。(10.教員組織・職員組織)20. 年間で平均した週当り授業担当時間には個人差が認められ、特に実務家教員の授業時間が多い傾向にあるため、教員の授業担当時間数を適正な範囲に設定するように改善することが望ましい。(10.教員組織・職員組織)21. 一部の研究室では、特別実習(卒業研究)を行うスペースが十分確保されていないため、改善することが望ましい。(11.学習環境)22. 図書館の平日の閉館時間が早いため、試験期間中の開館時間を延長するなど、改善することが望ましい。(11.学習環境)23. 大学が提供する生涯学習プログラムとしての卒後研修が不十分なため、定期的に開催するように、改善することが望ましい。(12.社会との連携)24. 薬学部の英文紹介ページを作成し、入学希望者への情報提供、教員、研究紹介、アクセス情報等を積極的に発信するように改善することが望ましい。(12.社会との連携)25. 国際交流を積極的に行う体制が整備されていないため、改善することが望ましい。(1- 39 -2.社会との連携)26. 薬学部自己点検・評価委員会に外部委員が含まれていないため、改善することが望ましい。(13.自己点検・評価)3)改善すべき点1. 旧カリキュラムでは、薬学共用試験および薬剤師国家試験対策に多くの時間が費やされ、卒業研究が十分に行われていないことから、カリキュラムが薬学共用試験および薬剤師国家試験対策に偏っていると判断され、改善が必要である。(2.カリキュラム編成)2. ヒューマニズム教育・医療倫理教育に関する科目において、態度を醸成する学習が適切な方法で行われていないため、改善が必要である。(3.医療人教育の基本的内容)3. ヒューマニズム教育・医療倫理教育に関する各科目の成績評価の指標が適切に定められていないため、改善が必要である。(3.医療人教育の基本的内容)4. ヒューマニズム教育・医療倫理教育に関する科目の学習成果を総合した目標達成度を評価するための指標が設定されておらず、評価も実施されていないので、改善が必要である。(3.医療人教育の基本的内容)5. コミュニケーション能力および自己表現能力を身につけるための各科目の成績評価の指標が適切に定められていないため、改善が必要である。(3.医療人教育の基本的内容)6. コミュニケーション能力および自己表現能力を身につけるための科目の学習成果を総合した目標達成度を評価するための指標が設定されておらず、評価も実施されていないので、改善が必要である。(3.医療人教育の基本的内容)7. 実務実習事前学習(「病院・薬局事前学習」および「医療薬学総論」)の学習成果に対する総合的な評価の指標が設定されておらず、それに基づいた総合的な評価も実施されていないため、改善する必要がある。(5.実務実習)8. 「特別実習」の最終成績に「実務実習」の必須項目である「医薬品のまとめ」の評価を含めることは不適切であり、改善することが必要である。(6.問題解決能力の醸成のための教育)9. 問題解決能力の醸成に向けた教育において、関連科目を総合した目標達成度の評価の指標が設定されておらず、それに基づいた評価も実施されていないため、改善する必要がある。(6.問題解決能力の醸成のための教育)- 40 -10. 4年次までに退学や休学する学生が多いため、入学者選抜において入学後の教育に求められる基礎学力を適確に評価するように改善する必要がある。(7.学生の受入)11. 6年次の留年生はすべて「総合薬学演習Ⅱ」の不合格者であり、学士課程の修了判定はディプロマ・ポリシーの達成に基づいて行われていないため、卒業判定基準を適切に設定し、これに従って判定が行われるように改善する必要がある。(8.成績評価・進級・学士課程修了認定)12. 薬学部独自の評価項目を設け、薬学部自己点検・自己評価委員会において6年制薬学教育プログラムを検証する体制を整えるように改善する必要がある。(13.自己点検・評価)13. 6年制薬学教育の内部質保証のため、薬学部独自の自己点検・評価報告書の内容に基づいて、薬学部の教育研究活動全体を改善するための自己点検・評価サイクルを確立するように改善する必要がある。(13.自己点検・評価)
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2018年度 |
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1:提言 改善報告審議結果 |
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| 大阪大谷大学 | 私 | 大阪府 | 第1期 | 2018年度 | 適 |
自己点検・評価書 基礎資料 正誤票 |
評価報告書
総評
大阪大谷大学 総評大阪大谷大学薬学部では、「生命科学・医療科学的専門知識と技能および実践力を備え、高い倫理観を有する人間性豊かな薬剤師を養成し、国民の健康・福祉の向上に寄与する」ことを、薬学部の教育目的としている。ここには研究に関する内容が含まれていないものの、当該目的は、薬剤師養成教育に課せられた基本的な使命や、医療を取り巻く環境と薬剤師に対する社会のニーズを反映したものとなっている。薬学教育カリキュラムに関しては、平成24(2012)年度以前入学生用、平成25(2013)年度入学生用および平成26(2014)年度以降入学生用の3種のカリキュラムが設定・運用されており、いずれも教育課程の編成・実施方針(カリキュラム・ポリシー)に沿って編成されている。現行の教育カリキュラムは薬剤師国家試験の合格を目指した教育にやや偏っていると考えられるとともに、総復習型科目群の単位認定方法に不適切な点が認められる。カリキュラムの改善は「薬学部教務委員会」での検討を経て、教授会で審議・決定する体制がとられている。医療人教育の基本的内容に関しては、社会のニーズを意識して設定された「国際文化交流」の他に、大学の特徴を生かした「宗教学」や「死生学」などが設定されている。現場の薬剤師等から生涯教育の重要性について聞く機会は十分ではないが、臨床経験豊富な特命教授や現役の薬剤師が非常勤講師として講義、演習、実習の一部を担当し、医療技術の高度化への対応を行っている。薬学専門教育に関しては、薬学教育モデル・コアカリキュラムのSBO(SpecificBehavioral Objective)への必修科目での対応やSBOの学習領域(知識、技能、態度)の対応が十分ではないが、大学独自の薬学専門教育を一部含む多くの科目が配置されるとともに、独自性の高いアドバンスト科目が選択科目として高学年に配置されている。実務実習事前学習は、3年次後期あるいは4年次前期から4年次後期にかけての4科目で構成され、教育目標は実務実習モデル・コアカリキュラムの実務実習事前学習に準拠している。病院・薬局実務実習を効果的かつ円滑に実施するために、「実務実習委員会」を設- 2 -置している。実務実習に関しては、薬学教育支援・開発センター所属の教員を除いた薬学部全教員が指導教員となっており、所属研究室の配属学生を担当している。卒業研究は5年次から開始され、「卒業研究発表会」が6年次7月に行われ、11月に卒業論文が仮提出される。卒業研究と並行して各種の講義・演習が実施されているため、学生によっては、十分な卒業研究の時間が確保されないことが懸念されるが、卒業研究は12単位の必修科目として設定されている。学生の受入に関しては、入学者受入方針(アドミッション・ポリシー)が設定され、指定校推薦入試、一般入試(前期)などの8つの入学選抜制度区分を設けられている。留年生が比較的多いことから、入学志願者選抜において基礎学力が適確に評価されていないことが懸念されるが、指定校推薦と学内推薦入試においては、試験の小論文で医療人としての心構えなどを課題とするなどの工夫も見られる。成績評価の方法・基準並びに修得単位の認定基準は、履修規定で定められており、各科目の評価方法・基準はシラバスに記載されている。進級基準は「薬学部授業科目履修規程」第25条(進級判定)に定められており、便覧および学習マニュアルに掲載されている。学位授与の方針(ディプロマ・ポリシー)は平成24(2012)年に設定され、平成25(2013)年度入学生より適用されている。専任教員数は、教授17名、准教授13名、専任講師5名、助教15名の計50名であり、学生の収容定員840名に対する大学設置基準で定められた専任教員数(31名)を上回っている。実務家教員は7名で、設置基準の専任教員数に基づく必要数(6名)を上回っている。在学生883名に関して、専任教員1名当たりの学生数は、18名である。薬学部では、学部長および関係する各種委員会(「教務委員会」、「学生委員会」、「広報委員会」、「将来計画委員会」、「研修センター運営委員会」)の委員長からなる「薬学部自己点検・評価委員会」が組織され、自己点検・評価の実務を担当する「薬学部自己点検・評価委員会(実務委員会)」が設けられている。しかし、自己評価21の結果以外の自己点検・評価結果はホームページなどで公表されていない。以上のように、大阪大谷大学薬学部の6年制薬学教育プログラムは、本機構の評価基準におおむね適合している。しかし、以下のような問題点があり、改善が必要である。(1)新旧いずれの薬学教育モデル・コアカリキュラムに対しても、選択科目のみが対応しているSBOsが散見される。改訂モデル・コアカリキュラムのSBOsは必修科目で対応する必要がある。(2)実務実習事前学習の目標達成度の評価指標の明示がないので、適切な指標を設定し、- 3 -それに基づいて評価するよう、改善が必要である。(3)演習科目の配置状況等によって、卒業研究の時間は学生により異なり、学生によっては十分な卒業研究の時間が確保されていないことが懸念されるので、改善が必要である。(4)6年次の必修演習科目は、それぞれ独立した科目であるにもかかわらず、前期、中期、後期の演習試験により評価していて、各々の学修内容に沿って個別に評価されていない点は不適切であり、改善が必要である。(5) 卒業率が7割程度でストレート卒業率が4割程度であることから、進級や学士課程の修了認定を含め、適切な教育体制が構築できていないことが懸念されるので、改善が必要である。大阪大谷大学薬学部には、以上の改善すべき点に加え、その他の改善すべき点や助言に関しても適切に対応し、総合大学であることの強みを生かした薬学教育の推進を通して、さらに発展することを期待する。
大学への提言
大阪大谷大学 大学への提言1)長所1. ヒューマニズム教育・医療倫理教育に対応する科目では、講義・演習に加え、体験実習、問題に基づく学習(PBL)、少人数制グループ討議(SGD) や発表など、能動的な学習を取り入れるとともに、模擬患者が参加する演習を設定するなど学習方法への工夫や教員の取り組み意識の高さが見られ、教育への情熱が感じられる。(3.医療人教育の基本的内容)2. 低学年から高学年までの複数の科目において、講義と臨床現場で遭遇し得る題材を選んだ能動的学習を組み合わせた教育をするとともに、6年次には集大成の演習科目を配置するなど、参加型学習の方法に工夫が見られる。(6.問題解決能力の醸成のための教育)3. 総合的な学習成果を測定するために、ディプロマ・ポリシーを構成する 20 の能力・資質に沿ったルーブリック評価法を策定し、総合的な学習成果の測定を進めるとともに、学年末にWebシステムを用いて、ディプロマ・ポリシーに関する共通の評価項目に基づいた学生・教員双方による到達度評価が行われていることは、高く評価できる。(8.成績評価・進級・学士課程修了認定)4. 薬学教育支援・開発センターで毎週開催されるSAセミナーでは、受講希望学生に対して、5、6年次の有志学生(SA)による個別学習ケアプログラムが進められていて、学習面のみならず生活面についても相談に応じる仕組みを取り入れている。(9.学生の支援)5. FDとして、授業をビデオ撮影してDVDに収録し、授業改善に役立てる取り組み- 32 -は評価できる。(10.教員組織・職員組織)2)助言1. 大学の理念と薬学部の教育目的をつなぐ学部の理念を明示し、それも踏まえた薬学部の教育研究上の目的とすることが望まれる。(1.教育研究上の目的)2. 「教育研究上の目的」の具体的な周知活動が十分に行われているとは言い難いので、改善が望まれる。(1.教育研究上の目的)3. カリキュラム・ポリシーの教職員への案内はホームページと大学便覧が主で、十分に周知されているとは言えないので、改善が望まれる。(2.カリキュラム編成)4. 学生が自由に選択できるよう、より幅広い教養教育プログラムを提供することが望まれる。(3.医療人教育の基本的内容)5. 「英語Ⅱ」は「書く」要素を学習できる科目だが、文章の理解に関する学習目標が設定されており、「書く」要素に関する科目の設定が十分とは言い難いので、改善が望まれる。(3.医療人教育の基本的内容)6. 外部講師(元高校教諭)による補講が、正規科目の単位に組み込まれるのであれば、そのことをシラバスに明記することが望まれる。その場合、補講ではなく正規授業にするなどの対応も望まれる。(3.医療人教育の基本的内容)7. AEDを用いた一次救命措置(心肺蘇生)法は、3年次の実習で学習させているが、2年次までに行うことが望ましい。(3.医療人教育の基本的内容)8. 各科目のカリキュラム・ポリシーの中の位置付けや科目間の有機的な繋がりが直感的にわかるチャートの作成が望まれる。(4.薬学専門教育の内容)9. 3年次後期に行われる科目(「臨床薬学I」)で学習する知識・態度について、実務実習開始直前に到達度の確認が行われているとは言えないため、再確認を行うことが望ましい。(5.実務実習)10. 実習内容の習得度(15点)と修学状況や実習態度など(55点)の評価点数にバランスを欠いているので、改善が望まれる。(5.実務実習)11. 卒業研究に関する評価は卒業研究発表会1回および卒業論文であり、必ずしも問題解決能力の向上が評価されているとは言えないので、改善が望まれる。(6.問題解決能力の醸成のための教育)12. 指定校推薦と学内推薦入試を除いては、学力試験のみで、アドミッション・ポリシーのいずれの項目も評価する試験はなされていないので、入学者選抜に関する改善が望- 33 -まれる。(7.学生の受入)13. ディプロマ・ポリシー、カリキュラム・ポリシーに沿うように、「共通教育必修科目」や「共通教育選択科目」を2年次までの低学年で履修させることが望まれる。(8.成績評価・進級・学士課程修了認定)14. 教職員に対するディプロマ・ポリシーの周知が不十分なので、改善が望まれる。(8.成績評価・進級・学士課程修了認定)15. 実習指導者の人数は、学生約20~25名につき指導者1名程度であり、やや不足しているので、安全を確保するために指導者を増やすことが望まれる。(9.学生の支援)16. 教科書執筆等の実績がなく、かつ論文発表・学会発表の記載が全くないかあるいは共著書籍1件のみの教員がおり、大学が教員に努力を促すことが望まれる。(10.教員組織・職員組織)17. 研究活動の開示に関して、記述がない教員がいるので、記載の充実が望まれる。(10.教員組織・職員組織)18. 実務家教員の定期的な現場研修制度が確立されていないので、改善が望まれる。(10.教員組織・職員組織)19. 大学の責任授業負担数を超える実務家教員については、適正な範囲内となるよう努めることが望まれる。(10.教員組織・職員組織)20. 英語版大学ホームページは公開しているが、薬学部の紹介は1ページのみで広く世界に周知しているとは言えないので、改善が望まれる。(12.社会との連携)21. 「薬学部自己点検・評価委員会」に外部委員が含まれていることが望まれる。(13.自己点検・評価)3)改善すべき点1. 教育研究上の目的が設定されているが、その中に研究に関する内容が含まれていないので、改善する必要がある。(1.教育研究上の目的)2. 「卒業研究」は、5年次では水曜2限などの演習科目と重なり、6年次では総復習型演習科目が午前中に多く配置されていることから、まとまった研究時間の確保が難しく、薬剤師国家試験の合格を目指した教育にやや偏っているので、改善が必要である。(2.カリキュラム編成)3. ヒューマニズム教育・医療倫理教育に関わる各科目の評価について、具体的な到達度の指標は定められていないので、改善が必要である。(3.医療人教育の基本的内容)- 34 -4. ヒューマニズム教育・医療倫理教育については、関連科目の学習成果を総合して目標達成度を評価するための適切な指標を設定し、評価する必要がある。(3.医療人教育の基本的内容)5. コミュニケーション能力および自己表現能力を身につけるための教育の各科目の評価について、具体的な到達度の指標は定められていないので、改善が必要である。(3.医療人教育の基本的内容)6. コミュニケーション能力および自己表現能力を身につけるための教育においては、関連科目の学習成果を総合して目標達成度を評価するための適切な指標を設定し、評価する必要がある。(3.医療人教育の基本的内容)7. 正規科目の中で現場の薬剤師等から生涯教育の重要性について聞く機会が十分に設けられているとは言い難いので、生涯教育の重要性について聞く機会を設定する必要がある。(3.医療人教育の基本的内容)8. 新旧いずれの薬学教育モデル・コアカリキュラムに対しても、選択科目のみが対応しているSBOsが散見される。改訂モデル・コアカリキュラムのSBOsは必修科目で対応する必要がある。(4.薬学専門教育の内容)9. シラバスの科目の到達目標欄に、科目としての到達目標に対応したGIOを記載する必要がある。(4.薬学専門教育の内容)10. 技能や態度に関するSBOでありながら、講義のみで行われている科目が散見されるので、改善する必要がある。(4.薬学専門教育の内容)11. 実務実習事前学習の総合的な目標達成度の評価指標の明示がなく、チェック表もOSCEのものとほぼ変わらないので、適切な指標を設定し、それに基づいて評価するよう改善が必要である。(5.実務実習)12. 演習科目の配置状況等によって、卒業研究の時間は学生により異なり、学生によっては十分な卒業研究の時間が確保されていないことが懸念されるので、改善が必要である。(6.問題解決能力の醸成のための教育)13. 修学状況が良いとは言い難いことなどから、入学志願者選抜において基礎学力が適確に評価されていないことが懸念される。従って、入試制度を見直すことが必要である。(7.学生の受入)14. ディプロマ・ポリシーの薬学部における審議結果が、大学の教務委員会に反映される体制づくりが必要である。(8.成績評価・進級・学士課程修了認定)15. 6年次の必修演習科目(「基礎薬学演習B」、「基礎薬学演習C」など)は、それぞれ独- 35 -立した科目であるにもかかわらず、前期、中期、後期の演習試験により評価しており、各々の学修内容に沿って個別に評価していないことは不適切であり、改善が必要である。(8.成績評価・進級・学士課程修了認定)16. 卒業率が7割程度でストレート卒業率が4割程度であることから、進級や学士課程の修了認定を含め、適切な教育体制が構築できていないことが懸念されるので、改善が必要である。(8.成績評価・進級・学士課程修了認定)17. シラバスの成績評価において、評価方法の配点項目(学習態度を含まない)の合計が100点であるのに、評価基準で学習態度を含めて評価するとして矛盾があるので、改善が必要である。(8.成績評価・進級・学士課程修了認定)18. 平常点が40%以上を占める科目の中には、平常点の基準項目か分からないものや、項目別の配点率が記載されてないものがあり、改善が必要である。(8.成績評価・進級・学士課程修了認定)19. 6年次の通年演習科目の成績評価に、直接は関係のない、「ミニ演習」の達成、「外部業者による模擬試験の受験」の有無、および「実務実習習得度試験」の合否を含めることは不適切であるので、改善が必要である。(8.成績評価・進級・学士課程修了認定)20. 自己点検・評価の結果の公表は自己評価21の結果だけで、他年度の「薬学部自己点検・評価委員会」の議事録も提示されていないことから、毎年継続的に自己点検・評価を実施しているとは言い難いので、改善が必要である。(13.自己点検・評価)21. 各種委員会の自己点検・評価をまとめて薬学部全体としての自己点検・評価を実施し、その結果を踏まえた改善を行うように体制を機能させる必要がある。(13.自己点検・評価)
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| 第1期 |
2018年度 |
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1:提言 改善報告審議結果 |
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| 北里大学 | 私 | 東京都 | 第1期 | 2018年度 | 適 |
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評価報告書
総評
北里大学 総評学校法人北里研究所ならびに北里大学は、北里柴三郎を学祖とする生命科学の総合大学であり、「いのちを尊(たっと)び、生命の真理を探究し、実学の精神をもって社会に貢献する。」という大学の理念と薬剤師養成教育に課された使命に基づき、「人材の養成に関わる目的その他の教育研究上の目的」を設定し、6年制薬学教育を行っている。薬学教育カリキュラムは、教育課程の編成・実施方針(カリキュラム・ポリシー)に基づき、教養科目に始まり、学年進行にそって基礎系科目から専門科目、臨床系科目へと順次性をもって編成されており、薬学教育モデル・コアカリキュラムにほぼ準拠している。医療人教育は、体系的に編成されている。1年次の教養教育科目は、幾つかの領域を定めることにより、バランス良く履修できるように工夫されている。ヒューマニズム教育や医療倫理教育、コミュニケーションやプレゼンテーションに関する教育、医療安全教育、薬学専門教育の実施に向けた準備教育なども、順次性を配慮し、適切な学習方法を用いて行われている。薬学専門教育は、新・旧カリキュラムを通じて、例えば基礎系科目では授業科目の後に実験実習科目を配置するなど、「知識」と「技能・態度」が関連付けやすいように編成され、効果的な学習を促している。大学独自の薬学専門教育は、複数の科目構成からなる教育プログラムとして設定されている。中でも「漢方医薬学履修プログラム」は、東洋医学総合研究所をはじめ、漢方・生薬関連の施設が充実する北里大学の特徴を活かし、漢方医薬学に関する深い知識と技能を有する人材の育成を図っている。実務実習事前学習は、実務実習モデル・コアカリキュラムに準拠し、適切な指導体制の下に行われている。CBT(Computer Based Testing)およびOSCE(Objective- 2 -Structured Clinical Examination)は、薬学共用試験センターの実施要項に基づき、厳正に実施されている。実務実習のうち、病院実務実習は大学附属の4病院と独自契約施設で、薬局実習は関東地区調整機構を介した実習施設で、それぞれ実施されている。問題解決能力の醸成を意図した教育は、「生薬学実習」、「衛生化学実習」などの実習系科目と、「チーム医療演習」などの演習科目、卒業研究に相当する5・6年次継続必修科目「薬学卒業特別実習」において実施されている。入学者選抜は、入学者受入方針(アドミッション・ポリシー)に基づき、5種類の入学試験方式を用いて適正に実施されており、入学定員に対する入学者数に問題はない。学生の成績評価・進級・学士課程修了の認定は、定めた方法と基準に基づき行われている。学生の支援については、修学支援、大学独自を含む奨学金制度による経済的支援、学生相談室などによるヘルス・メンタルケア支援、ハラスメント防止・対策、キャリア形成支援、安全に関する支援などの体制が整備されており、充実している。教員組織については、専任教員数が設置基準を大きく上回っており、個々の教員の資格や教育研究業績も基準を満たしている。教員の採用および昇任も、適正な規程に基づき、研究、教育に加えて社会貢献をも反映させた選考が行われている。また、実務系教員が大学附属の病院などでの実務を通じて、新しい医療に対応できる体制・制度の整備を進めている。教育研究に必要な施設・設備・図書などの学習環境や研究環境は、近年一層整備され、基準を十分に満たしている。また社会との連携に関しても、卒後研修である生涯学習セミナーの開講をはじめ、適切な取り組みがなされている。自己点検・評価については、大学独自の自己点検・評価を毎年実施している。以上のように、北里大学薬学部薬学科の教育プログラムは、本機構の評価基準におおむね適合している。しかし、以下のような問題点があり、改善が必要である。(1) 6年次の実質的な授業編成が、薬剤師国家試験対策の教育に偏っているので、教育課程の編成・実施方針(カリキュラム・ポリシー)に沿った編成に改善すべきである。(2) 薬学教育モデル・コアカリキュラムが定めるSBOs(Specific BehavioralObjectives)の中に、実施されないSBOs、および適切な学習方法で実施されていないSBOsが散見されるので、薬学教育モデル・コアカリキュラムに準拠するように改善し、実施する必要がある。- 3 -(3) 学修要項(シラバス)の記載項目に関して、学習方法、評価方法(複数の評価方法のある場合にはその寄与率も)、大学独自科目ならびに独自のSBOsを明記し、学生に事前に周知する必要があるので、改善すべきである。(4) ヒューマニズム教育・医療倫理教育、コミュニケーション能力および自己表現能力を醸成する教育、実務実習事前学習、および問題解決能力を醸成する教育において、それぞれ総合した目標到達度の指標を設定し、それに基づいて適切に評価する必要がある。(5) 卒業研究に相当する必修科目「薬学卒業特別実習」において、一部の学生に対して、基礎学力を補う学習プログラムへの出席点と試験により、本科目の成績の50%を付与する成績評価の実施と、そのもととなる本科目の運用は、早急に改善すべきである。(6) 6年制薬学教育プログラムを定期的に自己点検・評価する組織を整備し、点検・評価する項目を設定して自己点検・評価した結果を、PDCAサイクルによって学部全体の教育研究活動の改善に反映する必要がある。北里大学薬学部薬学科には、本評価で指摘された改善すべき点を踏まえて、6年制教育研究プログラムの改善を進め、また、生命科学の総合大学という特色と良き伝統とを活かして、さらに展開されることを期待する。
大学への提言
北里大学 大学への提言1)長所1. 4年次必修科目の「プレゼンテーション実習」では、医療に関するテーマに対して効果的なプレゼンテーションができるようになるために、シナリオ作成、説得力のある表現手法などの基本的知識と技能を参加型学習により習得する実習が実施されている。(3.医療人教育の基本的内容)2. 漢方・生薬関連の施設が充実しており、この特徴を活用し、薬学部および北里生命科- 39 -学研究所の教員、ならびに、東洋医学総合研究所診療部・薬剤部の医師・薬剤師による講義および実習を組み合わせた教育プログラム「漢方医薬学履修プログラム」があり、漢方医薬学に関する深い知識と技能を有する人材の育成を行っている。(4.薬学専門教育の内容)2)助言1. 薬学教育カリキュラムの構築と必要に応じた変更を速やかに行う体制を機能させることが望ましい。(2.カリキュラム編成)2. 3年以上の学年の語学科目を学生が履修するように指導することが望まれる。(3.医療人教育の基本的内容)3. 「病院・薬局実習事前実習」以外の、実務実習事前学習の内容を含む講義科目(「薬剤学」など)の学修要項(シラバス)において、実務実習モデル・コアカリキュラムのSBOsを明示することが望まれる。(5.実務実習)4. 実務実習全体の総合的な学習成果を評価する適切な指標を設定し、それに基づいて評価することが望まれる。(5.実務実習)5. 教育研究上の目的に基づいた教育における総合的な学習成果を測定するための指標を設定し、それに基づいて適切に評価することが望まれる。(8.成績評価・進級・学士課程修了認定)6. 教員の授業担当時間数に著しい差があるため、改善することが望ましい。(10.教員組織・職員組織)7. 「自己点検・評価委員会」の委員の中に、外部委員が含まれていることが望まれる。(13.自己点検・評価)3)改善すべき点1. 6年制薬学科の「教育研究上の目的」は設定されているが、その中に研究に関する内容が含まれていないので、改善すべきである。(1.教育研究上の目的)2. 6年次の実質的な授業編成が、薬剤師国家試験対策の教育に偏っているので、カリキュラム・ポリシーに沿った編成に改善すべきである。(2.カリキュラム編成)3. ヒューマニズム教育・医療倫理教育において、それらの科目の学習成果を総合した目標達成度を評価するための指標を設定し、それに基づいて適切に評価する必要がある。(3.医療人教育の基本的内容)- 40 -4. コミュニケーション能力および自己表現能力を身につけるための教育において、それらの科目の学習成果を総合した目標達成度を評価する指標を設定し、それに基づいて適切に評価する必要がある。(3.医療人教育の基本的内容)5. モデル・コアカリキュラムのSBOsの中に実施されないSBOs、および適切な学習方法で実施されていないSBOsが散見されるので、薬学教育モデル・コアカリキュラムに準拠するように改善し、実施する必要がある。(4.薬学専門教育の内容)6. 学修要項(シラバス)に学習方法の項目を設け、授業ごとに学習方法を明示する必要がある。(4.薬学専門教育の内容)7. 学修要項(シラバス)に「大学独自の科目」の記載項目を加え、薬学部の独自科目を明示する必要がある。(4.薬学専門教育の内容)8. 実務実習事前実習の科目の評価法として、実際に行う評価法を学修要項(シラバス)、およびガイダンスの資料に記載し、学生に周知する必要がある。(5.実務実習)9. 実務実習事前学習の目標達成度を評価するための指標を設定し、それに基づいて適切に評価することが必要である。(5.実務実習)10. 卒業研究に相当する必修科目「薬学卒業特別実習」の成績評価において、基礎コースの学生に対しては、基礎学力を補う学習プログラムへの出席点と試験により、本科目の成績の50%を付与する評価方法は、早急に改善すべきである。(6.問題解決能力の醸成のための教育)11. 「薬学卒業特別実習」において、基礎コースの学生に対して問題解決能力を醸成するための学習時間を十分に確保しないことは問題であり、改善すべきである。(6.問題解決能力の醸成のための教育)12. 卒業研究において、設定した8項目の評価基準を活用し、薬学科で統一された評価を行うように改善すべきである。(6.問題解決能力の醸成のための教育)13. 問題解決能力の醸成について、関連した科目を総合した目標達成度を評価するための指標を設定し、それに基づいて適切に評価する必要がある。(6.問題解決能力の醸成のための教育)14. 評価方法が複数ある科目では、個々の評価方法(評価項目)の最終評価における寄与率を学修要項(シラバス)に明記することが必要である。(8.成績評価・進級・学士課程修了認定)15. 6年制薬学教育プログラムを定期的に自己点検・評価する組織を整備し、点検・評価する項目を設定する必要がある。(13.自己点検・評価)- 41 -16. 6年制薬学教育プログラムに対する自己点検・評価の結果を薬学部ホームページ上に公表する必要がある。(13.自己点検・評価)17. 6年制薬学教育プログラムの自己点検・評価の結果を、PDCAサイクルによって学部全体の教育研究活動の改善に反映する必要がある。(13.自己点検・評価)
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| 第1期 |
2018年度 |
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1:提言 改善報告審議結果 |
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| 九州大学 | 国 | 福岡県 | 第1期 | 2018年度 | 適 |
自己点検・評価書 基礎資料 正誤票 |
評価報告書
総評
九州大学 総評九州大学薬学部は4年制の創薬科学科と6年制の臨床薬学科の2学科を設置し、学部の理念ならびに薬剤師養成教育に課せられた基本的な使命を踏まえ、医療を取り巻く環境・薬剤師に対する社会的なニーズを的確に反映した教育研究上の目的に基づき、入学者受入方針(アドミッション・ポリシー)、教育課程の編成・実施の方針(カリキュラム・ポリシー)、学位授与の方針(ディプロマ・ポリシー)を設定している。臨床薬学科では「薬剤師としての基礎知識、技能や高い倫理観、医療従事者としての教養、医療現場で通用する実践力などを持つ医療薬学の将来を担う人材」、すなわち「研究者マインドを持つ薬剤師」の育成を目的とし、研究を通じて課題を探求する能力と問題を解決する能力を育成するカリキュラムを薬学教育モデル・コアカリキュラムに準拠して設定している。1年次から3年次では基礎的な薬学専門科目を中心とするカリキュラム編成としているが、総合大学の特徴を生かした人文科学と自然科学を含む幅広い教養教育も重視している。また「薬害」、「漢方医薬学」、「インフォームドコンセント」、「チーム医療演習」、「臨床倫理」、「疾病病態学Ⅰ~Ⅴ」については、医学部、歯学部との合同の講義・演習が設定され、医師、薬剤師、看護師が指導教員となっている。外国語教育では英語だけではなく、第二外国語も複数設定されるなど充実しており、留学生の受入にあたり「薬学基礎実習」に使用する実習書を英語化し、英語による研修指導・討論の機会も設けられている。この他、学生に最新の科学的知見を紹介し、早期に薬学研究の動向に直に触れる機会とする「薬学少人数ゼミナール」が九州大学独自の薬学専門教育の一つとして開講されている。実務実習事前学習は、実務実習モデル・コアカリキュラムに掲げられた目標・方略に準拠して4年次後期に実施されており、実務実習も適切に行われている。学生は4~6年次に各研究分野に配属され、卒業研究に取り組み、その成果は卒業論文としてまとめられる。卒業研究発表会は口頭発表とポスター発表で構成される。入学者の選抜は、厳格に行われており、入学後に求められる基礎学力が適切に評価されている。- 2 -成績評価においては、成績評価基準に達し合格と認められた場合に所定の単位が学生に与えられる。1年次、2年次および4年次終了時において進級審査が実施され、公正かつ厳格な判定が行われている。学生に対する修学支援体制は、大学独自のものを含めた多くの奨学金による経済的支援、メンタルケアやハラスメント問題への対応、障がいを有する学生への対応、就職支援がなされ、多言語で記載されたキャンパスライフ・健康支援センター案内・しおりが用意されているなど、充実している。図書館をはじめ学習環境は整っており、研究活動のための施設・設備も整備されている。教員数は実務家教員を含めて大学設置基準を満たしている。専任教員は、各専門分野において優れた教育・研究実績を有する者が配置されており、地域における保健衛生の保持・向上につながる支援活動を積極的に行っている。以上、九州大学薬学部の6年制薬学教育プログラムは、本機構の評価基準におおむね適合している。しかし、以下のような問題点があり、改善が必要である。(1) 臨床薬学科の「教育研究上の目的」が「修学のてびき」に記載されているのみであり、学則等で規定していない。(2) ヒューマニズム教育・医療倫理教育において、関連科目の学習成果を総合した目標達成度を評価するための指標を設定し、それに基づく評価を行っていない。(3) コミュニケーション能力および自己表現能力を身につけるための科目の学習成果を総合した目標達成度の指標を設定し、それに基づく評価を行っていない。(4) 実務実習事前学習全体の学習成果を総合した目標達成度の指標を設定し、それに基づく評価を行っていない。(5) 問題解決能力の醸成に向けた教育全体の学習成果を総合した目標達成度の指標を設定し、それに基づく評価を行っていない。(6) 「アドバンスト実務実習期末試験」の再試験に不合格となった者に対して薬剤師国家試験受験申請を行わせない指導は廃止する必要がある。(7) 6年制薬学教育プログラムの継続的な自己点検・評価を行う組織が常設されておらず、自己点検・評価の結果を学部全体の教育研究活動の改善に反映させる体制が整備されていない。九州大学薬学部には、本評価の提言を踏まえ、積極的に改善に取り組むことによって、6年制薬学教育がさらに優れたものになることを期待する。
大学への提言
九州大学 大学への提言1)長所1. 3年次に開講される「薬学少人数ゼミナール」においては、希望する研究室を訪問し、最新の科学に触れる機会がある。(4.薬学専門教育の内容)2. 薬剤師会が主催の催しやキャンペーンにボランティア参加する他、福岡県警察本部銃器課から植物の種子の鑑定依頼やダイオキシン混入食品公害事件の被害者である油症患者への生活改善のための情報提供等が行われており、地域における保健衛生の保持・向上につながる支援活動などを積極的に行っている。(12.社会との連携)2)助言1. 卒業実習(アドバンスト実務実習)は九州大学の6年制薬学教育カリキュラムを特徴づける科目であるので、国家試験準備に偏重した運用を改め、本来の目的と趣旨に沿った教育内容と評価方法に改めることが望まれる。(2.カリキュラム編成)2. プレゼンテーション、ディスカッションする能力の醸成を目的とする教育では、例えば「早期体験学習」、「実務実習プレ講義」については到達目標を設定し、成績評価についても、評価割合や評価方法(ルーブリック評価)をシラバスに表示しているが、設定されていない科目もあるので改善することが望ましい。(3.医療人教育の基本的内容)3. シラバスの到達目標が独自の表現で記載されているため、モデル・コアカリキュラムの到達目標との対応が明確でなく、学生にとってモデル・コアカリキュラムとの対応が分かりにくい。各科目のシラバスにはモデル・コアカリキュラムの到達目標との関連を記載することが望ましい。(4.薬学専門教育の内容)4. 卒業研究に対する評価として、問題解決能力、プレゼンテーション力、ものごとのまとめ力などの項目を客観的に評価するための評価基準が定められていないので、適切な評価基準を定めるよう改善することが望ましい。(6.問題解決能力の醸成のための教育)5. 健康診断の受診率が低い学年がないように、改善することが望ましい。(9.学生の支援)6. 学生生活に関する学生からの意見収集は、初年次は初年次サポート教員、2、3年次はクラス担当教員が個別面談等で相談を行っているが、学生の意見を収集するための組織や委員会は設置されていないため、学生の意見を反映するための仕組みを作るこ- 35 -とが望ましい。(9.学生の支援)7. 6年制薬学教育プログラムを継続的に自己点検・評価する組織には外部委員を含めることが望ましい。(13.自己点検・評価)3)改善すべき点1. 4年制の創薬科学科と6年制の臨床薬学科の「教育研究上の目的」は、「修学のてびき」に記載されているのみであるので、それらを薬学部の「教育研究上の目的」と併せて九州大学薬学部規則で規定するよう改善することが必要である。(1.教育研究上の目的)2. ヒューマニズム教育・医療倫理教育において、関連科目の学習成果を総合した目標達成度を評価するための指標を設定し、それに基づく評価を行うことが必要である。(3.医療人教育の基本的内容)3. コミュニケーション能力および自己表現能力を身につけるための教育全体を通して、目標達成度を評価するための指標を設定し、それに基づく評価を行うことが必要である。(3.医療人教育の基本的内容)4. 評価指標について、シラバスへの記載不備がある科目があるので、改善が必要である。(4.薬学専門教育の内容)5. 実務実習事前学習全体を通しての総合的な目標達成度を評価する指標の設定やそれに基づく適切な評価はされていないため、改善することが必要である。(5.実務実習)6. 問題解決能力の醸成に向けた総合的な目標達成度の指標や評価基準が設定されていないので、適切な指標と評価基準を設定してそれに基づく評価を行うよう改善することが必要である。(6.問題解決能力の醸成のための教育)7. 「アドバンスト実務実習期末試験」の再試験に不合格であった者に対して薬剤師国家試験受験申請を行わせないとする指導(「アドバンスト実務実習期末試験の詳細と合格基準」に記載)は適切なものとは言えず、廃止する必要がある。(8.成績評価・進級・学士課程修了認定)8. 6年制薬学教育プログラムを継続的に自己点検・評価することを目的とする組織が薬学部内に設置されているとは言い難いので、「学部教授会」、「教務委員会」、「入試委員会」と不定期開催の「自己点検・評価委員会」によって教育上の個々の課題に対応する体制ではなく、薬学部内に6年制薬学教育プログラムの自己点検・評価を行う独- 36 -立した組織を設けて、恒常的な自己点検・評価を行うことが必要である。(13.自己点検・評価)9. 現状の「個人評価通知書」としての通知・フィードバックや、各教員によるシラバスの内容や授業方法における改善などは、個々の教員による担当授業の改善に関するものであり、薬学部として行った自己点検・評価の結果を、学部としての教育研究活動の改善等に活用するよう改善することが必要である。(13.自己点検・評価)
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| 未入力 |
2018年度 |
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1:提言 改善報告審議結果 |
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| 金城学院大学 | 私 | 愛知県 | 第1期 | 2018年度 | 適 |
自己点検・評価書 基礎資料 正誤票 |
評価報告書
総評
金城学院大学 総評金城学院大学薬学部は、「高いコミュニケーション能力を備え、人のこころが分かる専門性の高い薬学ジェネラリストを育て、地域社会並びに医療現場で信頼される薬剤師として活躍する人材を育成する。問題解決能力の向上と女性に特化した薬学教育の充実を図り、合わせて、これらの教育の基盤となる研究環境を整備・充実し医療現場の視点に立った医薬品開発研究に取り組むことのできる人材を育成する。」を教育研究上の目的とし、6年制薬学教育を行っている。薬学教育プログラムは、教育研究上の目的に従って設定した「教育課程の編成・実施の方針(カリキュラム・ポリシー)」に基づいて構築され、カリキュラム・マップによって「学位授与の方針(ディプロマ・ポリシー)」と関連付けられている。教養教育としては、総合大学のメリットを生かし、共通教育科目として1、2年次に自然科学科目や情報リテラシー科目など多くの科目を開講している。薬学専門教育としては、薬学教育モデル・コアカリキュラムに準拠したとする講義・演習科目や実習科目を低学年から高学年に亘って配置している。コミュニケーションに関する教育は、1~4年次まで各学年で実施され、上級生が下級生をサポートする“屋根瓦方式”の学習形態を用い、外部からも高い評価を受けている。また、語学教育は、3年次まで学年ごとに科目が配置された体系的な教育が行われており、早期体験学習ではSGD(Small Group Discussion)を組み入れるなど学習意欲を高める工夫をしている。実務実習事前学習は、主体となる内容を臨床系の授業をも兼ねた7科目で行っており、薬学共用試験後に短期間の「事前学習」を行っている。薬学共用試験は適正に実施され、実務実習への能力はこの合格基準に基づいている。実務実習は、実務系教員8名による実務実習委員会が主導し、実務実習全体の運営管理を行っている。学生の実務実習施設への- 2 -配属は適正で、専任教員が実習施設を訪問すると共に、実習の進捗状況は実務実習指導・管理システムによっても把握している。実務実習の成績評価は、指導薬剤師による評価、学生の出席状況、大学教員の評価によって行っている。卒業研究に対応する教育は、「卒業論文」と「文献調査」の選択必修として行っており、学生はその成果を卒業論文にまとめている。入学者の募集には「入学者受入方針(アドミッション・ポリシー)」が設定・公表されており、入学者の選抜は、種々の入試による多面的な評価によって行われている。成績評価、進級、学士課程の修了認定は、それぞれに規則を定めて行っている。また、履修・修学指導は、ガイダンスやアドバイザーの成績の通知および学習・生活面の指導による。独自の奨学金制度を持ち、12種類の給付奨学金制度と3種類の貸与奨学金制度がある。障がい者に対しては、キャンパス内での障がい者の移動を容易にするため、バリアフリー化に努めるとともに、修学支援を行っている。薬学部の専任教員数は、大学設置基準が定める必要な数を充たしている。専任教員には、個人研究室と共用する実験・研究室が与えられ、薬学部の専門教育に使用する講義・演習室、実習室は整備されている。卒業研究のための設備も整っている。薬学部の教員は、他大学、行政機関、企業との間で連携研究事業を進めている。薬学部には、自己評価委員会が設置されている。以上、金城学院大学薬学部の6年制薬学教育プログラムは、本機構の評価基準におおむね適合しているが、以下のような問題点があり、改善が必要である。(1) 6年次の授業時間の大半を「薬学総合演習」が占めており、最終学年の教育が国家試験の合格を目的とするものに偏っている。(2) ヒューマニズム教育・医療倫理教育が体系的に行われているとは言えず、ヒューマニズム教育・医療倫理教育を総合した目標達成度の評価が行われていない。(3) コミュニケーションの基本的能力を身につける教育を総合した目標達成度の評価が行われていない。(4) 薬学専門教育のシラバスの内容に様々な問題点があり、専門教育が薬学教育モデル・コアカリキュラムに準拠した内容で行われているとはいえない。(5) 実務実習事前実習全体としての目標達成度の評価が行われていない。(6) 問題解決能力の醸成に向けた教育の総合的な目標達成度の評価が行われていない。(7) 薬学専門教育科目の単位認定に様々な例外措置が設けられ、一部の科目を除いて、- 3 -最終的には「再試験」や「再々試験」に合格すれば単位が修得できるようにしている救済制度は、成績評価の厳正さの観点から問題がある。(8) 卒業不認定者の大部分が「薬学総合演習」の試験結果が不合格であることが理由となっていることは、卒業の可否判断がディプロマ・ポリシーの達成より薬剤師国家試験に関わる知識の評価によって行われていることを意味しており、卒業認定の趣旨に合致していない。(9) 「助教」を学校教育法第92条、大学設置基準第16条の2に適合する専任教員としていないことは適切ではない。(10) 6年制薬学教育プログラムの自己点検・評価を恒常的に行い、その結果を活用して6年制薬学教育の向上・発展を目指す体制が構築されていない。金城学院大学薬学部には、今回の評価における提言を踏まえ、大学設立の目的に則した特色のある薬学教育を通して、さらに発展することを期待する。
大学への提言
金城学院大学 大学への提言1)長所1. 「薬学PBL(1)、(2)」では、上級生(2年生)が下級生(1年生)をサポートする“屋根瓦方式”の学習形態を取り入れ、傾聴と共感など、コミュニケーションの基本を学ばせており、この“屋根瓦方式”教育の評価は高く、2013年には高等教育開発協会から表彰されている。(3.医療人教育の基本的内容)2. 専任教員には勤務年数に応じた特別研究期間制度があり、薬学部教員も利用している。(12.社会との連携)- 37 -2)助言1. 大学設立の目的を勘案すると、「教育研究上の目的」に、“世界”や“人類”などグローバルな福祉への貢献に関わる内容が盛り込まれることが望ましい。(1.教育研究上の目的)2. 「この大学で育成する女性薬剤師が備える7つの特色」を示す「教育目標」を「学生ハンドブック」などに収載して学生や教職員への周知を図ることが望ましい。(1.教育研究上の目的)3. 「教育研究上の目的」について薬学部において定期的に検証することが望ましい。(1.教育研究上の目的)4. カリキュラム編成とカリキュラム・ポリシーおよびディプロマ・ポリシーの関連に対する学生および教員の理解を深めるため、基礎資料4と同じカリキュラム・マップを、カリキュラム・ツリーと共に「履修要覧」に収載し、学生と教員に周知することが望ましい。(2.カリキュラム編成)5. 基礎系専門科目や臨床系専門科目においては基礎と臨床の結びつきを意識した教育についてシラバス等に説明することが望ましい。(4.薬学専門教育の内容)6. 卒業論文の作成要領を設定し、学生に周知させることが望ましい。(6.問題解決能力の醸成のための教育)7. 卒業研究の成績評価における教員間の偏りをなくすよう、個々の評価項目について複数の教員で行うようにすることが望ましい。(6.問題解決能力の醸成のための教育)8. 6年次在籍者の約4分の1が卒業できていないという現状から、入試によって入学者の学力が適切に評価されていないことが懸念されるので、各入試区分の受け入れ学生数など、入試選抜方法を再検討することが望まれる。(7.学生の受入)9. 「卒業再試験」は、単位未修得で卒業できない学生を救済する制度で、厳格な修了判定の観点から好ましくないので、薬学部に適用しないよう規定しておくことが望ましい。(8.成績評価・進級・学士課程修了認定)10. 教育研究上の目的に基づいた教育における総合的な学習成果を測定するための指標を設定し、それに基づく評価を行うことが望ましい。(8.成績評価・進級・学士課程修了認定)11. 障がいを有する学生の受験に関しては、個別対応する体制が整っているので、学生募集要領など、受験生への広報の中にも対応を記載することが望ましい。(9.学生の支援)- 38 -12. 事故や災害の発生時や被害防止のためのマニュアルをもとに、講習会などの開催を通じて学生および教職員へ周知することが望ましい。(9.学生の支援)13. 専任教員1名当たりの学生数が20名を大きく超えており、准教授以下の若手教員も少ないので、専任教員を増員することが望ましい。(10.教員組織・職員組織)14. 専任教員の教育と校務の負担を軽減し、研究時間を増すことを含めて、専任教員の研究の活性化を図ることが望ましい。(10.教員組織・職員組織)15. 薬剤師としての実務経験を有する専任教員が医療機関での研鑽を行うことに関わる大学としての体制・制度を設けることが望ましい。(10.教員組織・職員組織)16. 授業アンケートを全教科対象に毎年行う制度に改善することが望ましい。(10.教員組織・職員組織)17. 薬学関連書籍・資料数の充実や最新の専門書の購入など、図書および学習資料環境を適切に整備することが望ましい。(11.学習環境)18. 金城学院大学薬学部には英語版のホームページが作成されていないので作成することが望ましい。(12.社会との連携)19. 薬学部自己評価委員会に学外有識者を外部委員として加えることが望ましい。(13.自己点検・評価)3)改善すべき点1. 「薬学総合演習」が6年次の授業時間の大半を占めており、最終学年の教育が国家試験の合格を意識した知識の修得に偏ったものになっている点は改善する必要がある。(2.カリキュラム編成)2. ヒューマニズム教育・医療倫理教育に対応する科目が、2および3年では実施されておらず、医療人として生命に関わる薬学専門家に相応しい行動を身につけるための教育が体系的に行われていないので、改善が必要である。(3.医療人教育の基本的内容)3. ヒューマニズム教育・医療倫理教育に対応する科目の技能・態度に関わる評価方法を適切なものとすることが必要である。(3.医療人教育の基本的内容)4. ヒューマニズム教育・医療倫理教育を総合した目標達成度の評価は行われていないので、適切な評価を行うことが必要である。(3.医療人教育の基本的内容)5. コミュニケーションの基本的能力を身につける教育を総合した目標達成度の評価は行われていないので、適切な評価を行うことが必要である。(3.医療人教育の基本的- 39 -内容)6. 薬学専門教育の内容と薬学教育モデル・コアカリキュラムへの準拠に関して、以下の問題点があるので、それらを改善することが必要である。(4.薬学専門教育の内容)① 個々の授業科目のシラバスに、当該科目に対応する薬学教育モデル・コアカリキュラムの「一般目標」との対応を明示することが必要である。② シラバスの授業計画が項目と薬学教育モデル・コアカリキュラム到達目標記号の列挙で、各回の授業でどのような内容を学ぶかを学生が把握できないので、より具体的な内容に改善する必要がある。③ 個々の授業科目の毎回の授業内容と薬学教育モデル・コアカリキュラムの到達目標の学習領域との対応を確認し、それらに適合した学習方略と評価方法をシラバスに明記することが必要である。④ 薬学教育モデル・コアカリキュラムの到達目標の全てを必修科目で取り上げておく必要がある。7. 大学独自の薬学専門科目については、シラバスにその旨を明記し、学生が独自科目であることを認識できるようにする必要がある。(4.薬学専門教育の内容)8. 実務実習事前実習全体としての目標達成度を評価する指標を設定し、それに基づく適切な評価を行うことが必要である。(5.実務実習)9. 実務実習終了後、実習施設の指導者、および指導教員から意見聴取を行うことが必要である。(5.実務実習)10. 実務実習の成果発表が一部の学生に限られ、実務実習終了後の学生アンケートには実習内容への意見が含まれていないので、全学生に対する実習内容への意見聴取を行うことが必要である。(5.実務実習)11. 問題解決能力の醸成に向けた教育は、各科目における目標到達度を評価するための指標を設定し、それに基づいて適切に評価することが必要である。(6.問題解決能力の醸成のための教育)12. 関連科目を総合して問題解決能力の醸成に対する達成度を評価するための指標を設定し、それに基づいて適切に評価することが必要である。(6.問題解決能力の醸成のための教育)13. 成績評価が「F」となった場合に再試験を行い、合格すれば「C」評価とする制度、再履修不能な薬学教育専門の必修科目について次年度の当該科目の再試験を再々試験として受験できる制度、期間外再々試験を行う制度、5、6年次の再々試験を該当学- 40 -年の前期に実施する制度は、「再試験」や「再々試験」に合格すれば単位が修得できることになり、厳正な成績評価という点で問題があるので、改善する必要がある。(8.成績評価・進級・学士課程修了認定)14. 薬学共用試験が不合格であった場合、正規の科目である「CBL(3)」の評価を「F」とする制度は、廃止する必要がある。(8.成績評価・進級・学士課程修了認定)15. 卒業不認定者の大部分が「薬学総合演習」の試験結果が不合格であることのみが理由となっていることは、卒業の可否判断が薬剤師国家試験に向けた知識に関する試験成績によって行われていることを意味しており、卒業認定はディプロマ・ポリシーの達成に基づいて行うという趣旨に合致していないので、改善する必要がある。(8.成績評価・進級・学士課程修了認定)16. 卒業留年生に対する特別な科目である「薬学総合演習(前期)」(6単位)が不合格で9月に卒業できなかった卒業留年生が、正規の6年生に開講されている「薬学総合演習」の後期分を履修して再履修とする制度は、好ましくないので、改善する必要がある。(8.成績評価・進級・学士課程修了認定)17. 演習、実験、実習または実技を伴う授業科目を担当し、研究に携わっている「助教」は、学校教育法第92条、大学設置基準第16条の2に適合する資格を有する専任教員とする必要がある。(10.教員組織・職員組織)18. 6年制薬学教育プログラムの自己点検・評価を恒常的に行うための委員会を、既存の薬学部自己点検・評価委員会とは別に設け、運営委員以外の意見を取り入れるなど客観的な評価を行う体制を設ける必要がある。(13.自己点検・評価)19. 自己点検・評価の結果の活用は、個別に立てた目標の達成を目指すのではなく、学部の6年制薬学教育プログラム全体を恒常的に点検・評価することで問題点を見出し、それらを改善することで6年制薬学教育の向上・発展を目指すことが必要である。(13.自己点検・評価)
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| 第1期 |
2018年度 |
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1:提言 改善報告審議結果 |
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| 鈴鹿医療科学大学 | 私 | 三重県 | 第1期 | 2018年度 | 適 |
自己点検・評価書 基礎資料 正誤票 |
評価報告書
総評
鈴鹿医療科学大学 総評Ⅱ.総 評鈴鹿医療科学大学薬学部薬学科は、建学の精神である「科学技術の進歩を真に人類の福祉と健康の向上に役立たせる」と、教育の理念である「知性と人間性を兼ね備えた 医療・福祉スペシャリストの育成」に基づき、教育研究上の目的を学則に定め、それに基づいて設定したカリキュラム・ポリシー(教育課程の編成・実施の方針)に沿ったカリキュラムによる6年制薬学教育を行っている。講義と実習は、1年次から6年次まで白子キャンパスで行われている。ヒューマニズム教育・医療倫理教育をはじめとする、医療人としての基礎教育は低学年次を中心に行われており、医療系の総合大学である特徴を生かし、医療人としての倫理観、使命感、職業観を醸成するために、他学部学生とともに学び、多職種連携・チーム医療を体系的に学べるプログラムが提供されている。また、それらの教育ではPBL(ProblemBased Learning)が用いられ、その評価にはルーブリックなどを用いた形成的評価も導入されている。薬学専門教育では、薬学教育モデル・コアカリキュラムに準拠した教育が行われており、実務実習は、東海地区調整機構の管轄下にある薬局、および三重大学医学部附属病院など、三重県内や東海地区の病院で行われている。卒業研究は、5~6年次に行っているが、平成 27 年度入学者からは4年次の共用試験終了時から6年次に行うことになっている。卒業研究発表会は6年次の8月に開催し、その後に卒業論文を提出している。入学者の受入は、アドミッション・ポリシー(入学者受入方針)を公表し、入学者の選抜は一般入試、推薦入試およびセンター試験利用など複数の方法で行われ、入学者数と入学定員との関係は適正な範囲にある。学修成績の評価と進級の判定は、学則および関連諸規程が定める基準に基づき、学生に周知して実施している。また、学士課程の修了認定は、ディプロマ・ポリシー(学位授与の方針)を公表し、学則に定めた卒業要件に基づいて行われている。- 2 -薬学部薬学科の専任教員数は 42 名(実務家教員6名を含む)であり、設置基準に定められた専任教員数を満たしている。また、ほとんどの教員は国内外の学会に参加し、研究発表、論文発表を行うなど、教育研究能力の維持に努めており、教育・研究業績を大学のホームページで公開している。薬学部の施設・設備は6年制薬学教育に必要な基準を満たし、基本的にバリアフリーとなっている。また、学生の安全面についても、指導や設備の体制は整っており、「学研災付帯賠償責任保険」に全学生を加入させ費用を薬学部実験実習費でまかなっている。地域連携活動では、三重県内の薬剤師を対象とした各種取り組みが積極的に行われている。また、教育体制の自己点検・評価については、学部内に自己点検評価委員会を設置して取り組んでいる。以上のように、鈴鹿医療科学大学薬学部の6年制薬学教育プログラムは、本機構の評価基準におおむね適合していると判断される。しかしながら、以下のような問題点があり、改善が必要である。(1)6年次の時間割に国家試験受験準備教育が占めている時間が大きく、卒業研究などに充てる時間が不足している状況を改善することが必要である。(2)医療倫理、ヒューマニズム教育、およびコミュニケーション能力・自己表現能力を身につけるための教育について、それぞれの総合的な目標達成度を評価するように改善することが必要である。(3)問題解決能力醸成に向けた教育を体系的に実施し、その総合的な達成度を評価できるよう改善することが必要である。(4)再試験を履修規程に基づいて厳正に実施するよう改善することが必要である。(5) 複数の薬学教育の主要科目の授業が、助教の単独での担当となっている状況については、改善することが必要である。(6)薬学部の自己点検・評価委員会の活動を充実させ、薬学教育プログラムの恒常的な点検・評価を行い、その結果を公表するとともに、それに基づく薬学教育の改善を図る恒常的な内部質保証体制を確立することが必要である。鈴鹿医療科学大学薬学部には、今回の評価における改善すべき点や助言に適切に対応することで、大学の独自性を活かした6年制薬学教育が推進されることを期待する。
大学への提言
鈴鹿医療科学大学 大学への提言1)長所1. 医療人としての倫理観、使命感、職業観を醸成するため、他学部学生とともに学び、多職種連携・チーム医療を体系的に学べるプログラムがある。(3.医療人教育の基本的内容)2)助言1. 教育研究上の目的を検証する責任ある体制を構築し、恒常的な検証を行うことが望ましい。(1.教育研究上の目的)2. 「数学」、「生物学」のリメディアル教育が外部講師による有料の課外の補習として行われている状況を改善することが望ましい。(3.医療人教育の基本的内容)3. 「生涯研修セミナー」への学生の参加を増やし、生涯学習に関わる科目を体系的に開講することが望ましい。(3.医療人教育の基本的内容)4. 改訂薬学教育モデル・コアカリキュラムの「基本事項」と「薬学と社会」に対応する到達目標を特定の科目に集中させるのではなく、複数の科目に分散させて体系的に教育することが望ましい。(4.薬学専門教育の内容)5. 個々の科目において、基礎と臨床の知見を相互に関連付けていることをシラバスで記述しておくことが望ましい。(4.薬学専門教育の内容)6. 平成 29 年度から適用されているディプロマ・ポリシーに対応したカリキュラム・マップに、専門科目相互間の関連性をわかりやすく示すことが望ましい。(4.薬学専門教育の内容)7. 事前学習の単位認定のための技能の評価において、レポートの比率が高いことは好ましくないので、改善することが望ましい。(5.実務実習)8. 「卒業論文作成要領」に、研究成果の医療や薬学における位置付けについて考察することを求める項目を追加することが望ましい。(6.問題解決能力の醸成のための教育)9. 問題解決能力の醸成を目的とする科目の実質的な実施時間から計算される単位数を卒業要件単位数の 1/10 以上にすることが望ましい。(6.問題解決能力の醸成のための教育)10. 総合的な学習成果を適切に評価する指標の設定およびそれに基づいた評価が行われることが望ましい。(8.成績評価・進級・学士課程修了認定)- 31 -11. 卒業研究開始時の安全教育が指導教員に任されているので、学部としての統一指針を作成することが望ましい。(9.学生の支援)12. 事故や災害の発生時における防災対応について、学生への周知徹底を図ることが望ましい。(9.学生の支援)13. 臨床系教員の研修制度を整備することが望ましい。(10.教員組織・職員組織)14. 教員の海外研修を推進・奨励する体制を構築し、国際交流を推進することが望ましい。(12.社会との連携)15. 自己点検・評価委員として、学部内教員のほか、外部委員を入れることが望ましい。(13.自己点検・評価)3)改善すべき点1. 平成29年度に設定した新カリキュラム・ポリシーに基づいて、カリキュラムの検証を行うことが必要である。(2.カリキュラム編成)2. 6年次では、学生が薬剤師国家試験受験準備教育に多くの時間を充てているので、卒業研究など受験準備以外に充てることができる時間を増やすよう、6年次の時間割を改訂することが必要である。(2.カリキュラム編成)3. ヒューマニズム教育・医療倫理教育に対応する科目が初年次に集中して開講されているので、高学年にも開講して体系的に行うことが必要である。(3.医療人教育の基本的内容)4. ヒューマニズム教育・医療倫理教育に関わる科目の学習成果を総合した目標達成度を測定する指標を設け、総合的な達成度を適切に評価することが必要である。(3.医療人教育の基本的内容)5. コミュニケーション能力・自己表現能力を身につけるための教育に関わる科目の学習成果を総合した目標達成度を測定する指標を設け、総合的な達成度を適切に評価することが必要である。(3.医療人教育の基本的内容)6. 学習領域に対応する方略(特に「態度」に関わるもの)が設定されていない科目が散見されるので、該当するSBOsの領域に適した学習ができるよう、改善することが必要である。(4.薬学専門教育の内容)7. 事前学習の各項目の学修成果を総合した事前実習全体としての目標達成度を評価するための指標が設定されておらず、それに基づく総合的な達成度の評価が行われていないので、改善が必要である。(5.実務実習)- 32 -8. 問題解決能力の醸成に向けた教育を増やし、体系的に実施することが必要である。(6.問題解決能力の醸成のための教育)9. 問題解決能力の醸成に向けた教育の総合的な目標達成度を評価するための指標を設定し、それによる適切な評価を行うことが必要である。(6.問題解決能力の醸成のための教育)10. ストレート卒業率が直近の3年間では50%台にとどまっており、一部の入試方式による入学者では留年率、退学率が高いので、入学後の教育に必要な基礎学力を適確に評価できるよう、入学者選抜の改善を検討することが必要である。(7.学生の受入)11. シラバスに記載されている成績評価の方法と基準(個々の授業科目の成績評価方法、複数の評価方法を用いる場合の寄与率など)が明確でない科目が散見されるので、成績評価方法を明示するよう改善することが必要である。(8.成績評価・進級・学士課程修了認定)12. 再試験成績報告後に、留年者を減らすための教育的配慮として、再度レポート提出あるいは試験を行い最終成績としている科目があるが、留年対策とは言え、再試験は1回限りとする履修規程に反しているので、改善が必要である。(8.成績評価・進級・学士課程修了認定)13. 助教が単独で担当している薬学の主要科目が複数あるので、改善が必要である。(10.教員組織・職員組織)14. 薬学教育プログラムの恒常的な内部質保証を行うことを目的とする薬学部の自己点検・評価委員会の活動を充実させ、その結果を公表するとともに、それに基づいて薬学教育の改善を図る体制を確立する必要がある。(13.自己点検・評価)
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| 第1期 |
2018年度 |
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1:提言 改善報告審議結果 |
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| 第一薬科大学 | 私 | 福岡県 | 第1期 | 2018年度 | 継 |
自己点検・評価書 基礎資料 正誤票 |
評価報告書
総評
第一薬科大学 総評第一薬科大学は、建学の精神である「個性の伸展による人生練磨」を基に、学則第1条 に教育研究上の目的とともに使命を定めている。また、薬学科と漢方薬学科の2学科それ ぞれにディプロマ・ポリシー、カリキュラム・ポリシー、アドミッション・ポリシーを定 め、6年制薬学教育を行っている。 教養教育は1~3年次に社会科学・人文社会系の教養科目、外国語科目を配置している。 ヒューマニズム教育・医療倫理教育およびコミュニケーション力の醸成教育は1年次から 展開しているが、体系的な科目編成や成績評価方法に懸念される点がある。薬学専門教育 は、それぞれの学科に特色ある科目を配置しつつ、薬学教育モデル・コアカリキュラムに 準拠して実施している。問題解決能力は、5、6年次の卒業研究を中心に醸成を図ってお り、また、チーム基盤型学習などのアクティブラーニングの手法を取り入れた授業を積極 的に取り入れている。 実務実習に関しては、4年次を中心に実務実習事前学習科目を配置し、5年次の病院・ 薬局実習で効果的な学習が実践できるように努めている。 学生の受け入れに対しては、アドミッション・ポリシーを定め、入学試験は7つの方式 を用いて、実施している。また、特待生入学試験の成績上位者に対し授業料を免除する制 度を用意しているが、経済的事情のため修学困難なものに対する大学独自の奨学金制度の 受給者は多くない。 教員の採用・昇任は、規定や内規に従って選考しているが、教員の専門分野と、その教 員が所属する研究室分野の専門性が一致しない例が認められる。なお、「教員による授業 の自己評価」はPDCAサイクルを活用した教員自身による教育改善として良い取り組み である。教員の研究環境および学生の学習環境は適切に整えられている。社会との連携で は、福岡県および福岡市薬剤師会、福岡県病院薬剤師会などと連携し、薬学に関する教育 研究の発展に努めている。また、海外の大学との国際交流も進めている。自己点検・評価に関しては、自己点検・評価委員会を設置し、日本高等教育評価機構の 基準に準拠した評価項目を取り入れ、6年制薬学教育を点検・評価している。 しかし、本機構の評価基準に照らして教育プログラムの内容を評価すると、多くの問題 が見出される。改善を必要とする重大な問題点は主に下記のとおりである。 (1) 「薬学演習」「薬学総合演習」「卒業研究Ⅱ」などの科目において、基礎資料およびシ ラバス記載に記載された開講期間(前期、後期、通年)、必須添付資料である時間割表 に示された開講日時、実際の授業スケジュール(訪問調査に合わせて提出された授業 カレンダー)がすべて異なっていることは、カリキュラムの適正な編成とその実施と いう観点において、カリキュラム・ポリシーに沿った教育が適切に実施されていない と判断する。したがって、カリキュラム・ポリシーに沿った教育が適切に実施できる ように授業の配当時期、期間を含めてカリキュラムを見直すことが必要である。 (2) 4年次の教育において、CBT(Computer Based Testing)対策科目である「薬学演 習」に極めて多くの時間が充てられており、過度に偏重していると判断されるので、 カリキュラムの改善が必要である。 (3) 卒業研究が正規の授業時間内に十分実施できるように時間を確保したカリキュラムに 改善すべきである。 (4) 実務実習事前学習は、実務実習モデル・コアカリキュラムが求めている授業コマ数に 足りず、その内容も異なると判断されるので、学習内容や方略を改める必要がある。 (5) 実務系教員の他、各分野の教授を各実務実習施設の担当責任者に充てているが、実際 の各施設の訪問指導教員の割り振りは研究室に任せられており、実務実習委員会の責 任の下で訪問指導教員を任命していない。さらに、訪問指導教員からの施設訪問報告 書の一部は回収されておらず、学生の実習状況の把握としては不適切である。 (6) 入学試験において、合格者数/受験者数が 80%を超える試験が多く認められること、 また学生のストレート卒業率が 20~35%であることは、大学が入学者に求めているモ チベーションや学力が適確に評価されていない可能性が強く示唆されるので、入学者 の適性を判断する方法や基準を再考すべきである。 (7) 履修科目に重複がない卒業留年生に、再履修を必要とせずに不合格科目の再試験の受 験を認め、再試験の合格をもって卒業を認定するという学士課程の修了認定制度は、 学生にとって公平かつ厳格な制度とは言えず、改善が必要である。(8) 大学の教育研究活動を教務的な視点のみならず、学生、入試などの業務組織の視点を 含めて大学全体を総合的に自己点検し、改善を図るPDCAサイクルを確立し、教育・ 研究活動のさらなる向上に繋げることが必要である。 今回の評価において「改善すべき点」として指摘した諸問題を教職員で共有し、改善に 取り組み、第一薬科大学としての6年制薬学教育を構築し、実施することを期待する。
大学への提言
第一薬科大学 大学への提言 1)長所
1. FD活動においては、教員相互の授業参観や講演会、セミナー参加など様々な活動が 企画、運営されている。研修会にも大半の教員が参加しており、適切な運営が行われ ている。また、「教員による授業の自己評価」では、「教員自身による授業評価」「学生 による授業評価に対するコメント」「昨年度の改善計画に対する自己評価」「次年度へ 向けての改善計画」を示すことで、より良い授業の実施に努めており、教員自身によ る教育改善としては良い取り組みであると評価できる。(10.教員組織・職員組織) 2)助言 1. 教育目標は、大学案内に、その全てが記載されず(4)のみが教育目標として掲載さ れているが、(1)~(3)も学外者や受験生に周知することが望ましい。(1.教育 研究上の目的) 2. 「早期臨床体験」の成績評価について、シラバスではSGD・実習等への貢献度・参 加度を50%、レポートを50%と示しているが、SGD・実習等への貢献度・参加度に ついて定量的な形成的評価は行われていないので、形成的評価が可能な評価方法を再 考することが望まれる。(3.医療人教育の基本的内容) 3. シラバスに授業への学外講師の関与やその役割(職種、所属などを含めて)、講義内 容を載せることが望まれる。(3.医療人教育の基本的内容) 4. 授業科目内で基礎と臨床の知見を相互に関連付けた教育が十分行われているとは言えないので、改善することが望ましい。(4.薬学専門教育の内容) 5. シラバスを見る限り、薬事行政や製薬企業に関わる人材が授業等に参画していないの で、これらの人材を活用することが望ましい。(4.薬学専門教育の内容) 6. シラバスの「実務実習事前学習」に記載されたGIO、SBOが、Ⅰ・Ⅱ・Ⅲ・Ⅳお よび無菌操作の5つの領域のどこに相当するのかが分かりにくいので、学生が理解で きるよう、修正することが望ましい。(5.実務実習) 7. 5年次の2期、3期の実習開始直前の復習は行われていないので、実務実習の直前に 実務実習事前学習の到達度が確認されていることが望ましい。(5.実務実習) 8. 事前学習を実務家教員以外の教員に担当させる場合には、臨床現場で研修させるな ど、教員自身に薬剤師業務の知識、技能、態度を自ら修得させることが望ましい。 (5.実務実習) 9. 実務実習全体の学習成果に対する総合的な評価の指標が設定されておらず、それに基 づいた評価が実施されていないので、改善することが望ましい。 (5.実務実習) 10. 卒業論文の基本的な作成要項を作成し、学生に提示することが望まれる。(6.問題解 決能力の醸成のための教育) 11. 問題解決能力の醸成に向けた科目について、SGDやTBLなどのアクティブラーニ ングの手法を取り入れた授業は用意されているが、真の意味で、問題解決能力の醸成 を主眼としている科目が少ないので、問題解決能力の醸成に向けた科目について、そ の目標と教育手法を検証し、問題解決能力の醸成に向けた教育をより充実することが 望まれる。(6.問題解決能力の醸成のための教育) 12. 公募制推薦入試や特待生チャレンジ入試に加え、募集数が最も多い一般入試およびセ ンター試験利用入試についても、学力に加えて医療人としての適性を評価するための 工夫を取り入れることが望ましい。(7.学生の受入) 13. 平成25年度、平成26年度、平成30年度における薬学科の入学定員充足率はそれぞれ、 1.18、1.17、1.12 と 1.1倍を超えており、今後の改善が望まれる。(7.学生の受入) 14. 学則や履修規程等に、留年した学生に対する上級履修の制限について規定を設けるこ とが望ましい。(8.成績評価・進級・学士課程修了認定) 15. 6年間の総合的な学習成果を測定するための有効な指標を設定し、評価することが望 ましい。(8.成績評価・進級・学士課程修了認定) 16. 新入生に対する ガイダンスでの説明内容について、6年間の薬学教育の全体像を俯 瞰できるように改善すべきである。 (9.学生の支援)17. 健康診断の受診率が、3年次生と6年次生が 80%以下と低いので、受診率を上げる努 力が望まれる。(9.学生の支援) 18. ハラスメント委員会活動報告書では、大学としてのハラスメント対策が不十分との意 見も出されており、ハラスメントに対する取り組みを充実させることが望まれる。(9. 学生の支援) 19. 専任教員数と収容定員数から算出される専任教員1名あたりの学生数は20.4名である ので、専任教員1名あたりの学生数を10名に近づけるよう教員を増員することが望ま れる。(10.教員組織・職員組織) 20. 専任教員全体のうち9名(17.6%、全員教授)が、大学の規定の定年である65歳を超 えており、この中には、授業担当時間数の少ない教授も存在し、他の職位の教員の負 担が増加している可能性があるので改善が望まれる。(10.教員組織・職員組織) 21. 非実験系教員に対する研究費ではなく、旅費に支給額の差があることは、非実験系教 員の自己研鑽の機会の制限につながると考えられるので、実験系教員と同額にするこ とが望ましい。(10.教員組織・職員組織) 22. 自己点検・評価委員会には外部評価委員を加えることが望ましい。(13.自己点 検・評価) 3)改善すべき点 1. 「目的および使命」は、学則だけでなく、大学案内、学生便覧、進級ガイダンス資料、 シラバス、ホームページにも記載すべきである。(1.教育研究上の目的) 2. 「薬学演習」「薬学総合演習」「卒業研究Ⅱ」などの科目において、基礎資料および シラバスに記載された開講期間(前期、後期、通年)、必須添付資料である時間割表 に示された開講日時、実際の授業スケジュール(訪問調査に合わせて提出された授業 カレンダー)がすべて異なっていることは、カリキュラムの適正な編成とその実施と いう観点において、カリキュラム・ポリシーに沿った教育が適切に実施されていない と判断する。したがって、カリキュラム・ポリシーに沿った教育が適切に実施できる ように授業の配当時期、期間を含めてカリキュラムを見直すことが必要である。(2. カリキュラム編成) 3. 薬学教育がカリキュラムに従って適正に行われている実態を、学生や社会が確認でき る時間割やシラバスを作成する必要がある。(2.カリキュラム編成) 4. 4年次の教育において、CBT対策科目である「薬学演習」に極めて多くの時間が充てられており、過度に偏重していると判断されるので、カリキュラムの改善が必要で ある。(2.カリキュラム編成) 5. 6年次は、前期に必修科目が3科目、選択科目が6科目実施され、後期に「薬学総合 演習」、「薬学総合演習試験」、学外業者による国家試験対策講座が設定されており、 正規の授業時間内に卒業研究の時間は確保されていないと判断される。したがって、 卒業研究が正規の授業時間内に十分実施できるように時間を確保したカリキュラムに 改善すべきである。(2.カリキュラム編成) 6. 平成29年度に設定した新カリキュラム・ポリシーに基づいて、カリキュラムの検証を 行うことが必要である。(2.カリキュラム編成) 7. 本来、3科目として設定された「基礎薬学演習Ⅱ」、「医療薬学演習」、「臨床薬学 演習」(通年、それぞれ、1、2、2単位)」を、「薬学演習」の1科目として、1 回の試験で成績判定し、一括して単位で付与しているという実態は、学則で規定され た科目が、適正に実施されていないことを示すものであり、改善が必要である。(2. カリキュラム編成) 8. ヒューマニズム教育・医療倫理教育のカリキュラムが体系的に編成されているとは言 えないので、再考する必要がある。(3.医療人教育の基本的内容) 9. ヒューマニズム教育・医療倫理教育に対応する科目において、SBOsの学習領域に 見合った適切な学習方略を用いて実施するよう、改善すべきである。(3.医療人教 育の基本的内容) 10. ヒューマニズム教育・医療倫理教育に対応する科目において、SBOsの学習領域に 見合った適切な指標を定めた評価が行えるよう、改善すべきである。(3.医療人教 育の基本的内容) 11. ヒューマニズム教育・医療倫理教育に対応する科目において、関連科目を総合した目 標達成度を評価する指標を定め、適切に評価することが必要である。(3.医療人教 育の基本的内容) 12. コミュニケーション能力の向上を目的とした科目において、SBOsの学習領域に見 合った学習方略を用いるよう、改善すべきである。(3.医療人教育の基本的内容) 13. コミュニケーション能力の向上を目的とした科目において、SBOsの学習領域に見 合った適切な指標を定めた評価が行えるよう、改善すべきである。(3.医療人教育 の基本的内容) 14. コミュニケーション能力の向上を目的とした科目において、また、関連科目を総合した目標達成度を評価する指標を定め、適切に評価することが必要である。(3.医療 人教育の基本的内容) 15. 実習科目の単位数が計7単位と少ないので、単位数を見直すことが必要である。(4. 薬学専門教育の内容) 16. 大学独自の科目や教育内容が、学生や第三者に理解できるようシラバスに明示する必 要がある。(4.薬学専門教育の内容) 17. 実務実習事前学習(「事前実習直前学習」を含む)は、実務実習モデル・コアカリキ ュラムが求めている授業コマ数に足りず、またその内容も異なると判断されるので、 授業コマ数、内容、方略を改める必要がある。(5.実務実習) 18. 実務実習事前学習の成績評価については、実務実習モデル・コアカリキュラムに示さ れた学習方略に対し、成績評価に占める知識に関する実習試験の割合が70%と高く、 実務実習事前学習の成績評価方法として適切ではない。したがって、実務実習事前学 習の目標達成度を評価するための指標をSBOsに基づいて適切に設定し、それに基 づいて適切に評価する必要がある。(5.実務実習) 19. 実務実習事前学習に関連した科目を含めた総合的な目標達成度を評価するための適切 な指標を設定し、それに基づいて適切に評価する必要がある。(5.実務実習) 20. 訪問指導教員については、実務系教員の他、各分野の教授を各実務実習施設の担当責 任者に充てているが、実際の各施設の訪問指導教員の割り振りは研究室に任せられて おり、実務実習委員会が責任を持って訪問指導教員を任命していない。その上、訪問 指導教員からの施設訪問報告書の一部が回収されておらず、学生の実習状況を大学が 適切に把握していない。すなわち、実務実習に対する大学の指導責任を果たしている とは言えない。したがって、学生の実務実習に対して大学として責任ある指導を行う ための体制を再構築することが必要である。(5.実務実習) 21. 実務実習の成績評価について、シラバスと、資料として提出された「実務実習の成績 評価方法」で異なる評価基準が示されており、学生に対する成績評価方法の開示とい う観点から、不適切と判断されるので、表記を一致させる必要がある。(5.実務実 習) 22. 「卒業研究Ⅰ」については、5年次3月までに実施した研究に関する要旨を提出させ るほか、評価表を用いて研究室の主任が成績を評価しているが、シラバスにはこの様 な成績評価方法は記載されていないので、その内容を学生に正しく開示できるよう、 シラバスを修正すべきである。(6.問題解決能力の醸成のための教育)23. 「卒業研究Ⅰ」や他の科目についても、「卒業研究Ⅱ」と同様にルーブリックなどを 利用して、目標到達度を評価するための指標を用いた成績評価を行う必要がある。(6. 問題解決能力の醸成のための教育) 24. 問題解決能力の醸成教育において、関連科目を総合した目標達成度を評価する指標を 定め、適切に評価することが必要である。(6.問題解決能力の醸成のための教育) 25. 入学試験において、合格者数/受験者数が80%を超える試験が多く認められること、 また学生のストレート卒業率が20~35%であることは、大学が入学者に求めているモ チベーションや学力が適確に評価されていない可能性を強く示唆するものである。し たがって、6年制薬学教育の実施に、より適切なモチベーションと学力を有する学生 を選抜できるよう、入学者の適性を判断する方法や基準を再考する必要がある。(7. 学生の受入) 26. 追試験の受験について、履修規程では、追再試験受験願いの事由が正当であることに 加えて「平素の履修状況および出欠状況が良好であって、受験資格があると認められ た者に限り、学部長が受験を許可する」と定められている。しかし、「出欠状況が良 好」が具体的に何を基準に判断されるかは明記されていないので、教員の主観的な判 断で学生に不公平が生じないよう、細則等で基準を具体的に定義することが必要であ る。(8.成績評価・進級・学士課程修了認定) 27. 学生便覧の「Ⅳ 教務・履修関係」やガイダンス資料に、試験の受験資格として示さ れている「公欠があったとしても、公欠を含む授業欠席回数が授業時間数の3分の1 を超えた場合は、当該科目の受験資格を喪失する。」という規則については、履修規 程に明記されていないので、受験資格を定めている規程に附則として示すべきである。 (8.成績評価・進級・学士課程修了認定) 28. ガイダンス資料に記載された「授業態度が悪いことによる欠席扱い」は、学生の受験 資格につながるものなので、根拠となる規程や基準 を設け、それに従って適正に運用 することが必要である。(8.成績評価・進級・学士課程修了認定) 29. 「自己点検・評価書」では、学士課程の修了判定基準は、学生便覧にて学生に周知し ていると記述されているが、ガイダンスの資料には修了判定基準などは示されておら ず、学生に対してガイダンスで明確な説明と周知をしているとは判断できない。学生 に対する学士課程の修了判定基準の周知はガイダンスでも資料を基に実施すべきであ る。(8.成績評価・進級・学士課程修了認定) 30. 6年次の国家試験受験準備教育科目である「薬学総合演習」の試験が不合格となることで卒業が認定されない学生が多数に及んでいる現状は、学士課程の修了認定が適正 に行われているとは言い難い。6年間の学習成果に対する客観的かつ適正な評価に基 づいて学士課程修了の認定ができるよう、学士課程の修了を認定する方法を改善する ことが必要である。(8.成績評価・進級・学士課程修了認定) 31. 「薬学総合演習」については追試験を実施しておらず、やむを得ず欠席した学生に対 する公平な受験機会を用意していないのは問題であるので、制度を整える必要がある。 (8.成績評価・進級・学士課程修了認定) 32. 履修科目に重複がない卒業留年生を卒業延期生とすることで、再履修を必要とせずに 不合格科目の再試験の受験を認め、再試験の合格をもって卒業を認定するという卒業 留年者に対する学士課程の修了認定制度は、学生にとって公平かつ厳格な制度とは言 えず、改善が必要である。(8.成績評価・進級・学士課程修了認定) 33. 教員の専門分野と、その教員が所属する研究室分野の専門性が一致しない例が認めら れることから、研究室が受け持つ専門科目の教育研究にふさわしい教育・研究上の指 導能力と高い見識を有する教員を採用し、それぞれの研究室に適切に配置する必要が ある。(10.教員組織・職員組織) 34. 自己点検・評価のための組織やその結果をフィードバックする体制は十分に整えられ ていないと判断されるので、自己評価体制を見直す必要がある。(13.自己点検・ 評価) 35. 大学の教育研究活動を教務的な視点のみならず、学生、入試などの業務組織の視点を 含めて大学全体を総合的に自己点検し、改善を図るPDCAサイクルを確立し、教育・ 研究活動のさらなる向上に繋げることが必要である。(13.自己点検・評価) |
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| 第1期 |
2018年度 |
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1:提言 改善報告審議結果 |
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| 帝京平成大学 | 私 | 東京都 | 第1期 | 2018年度 | 適 |
自己点検・評価書 基礎資料 正誤票 |
評価報告書
総評
帝京平成大学 総評帝京平成大学薬学部は、薬剤師養成教育に課せられた基本的使命を踏まえて、「医療職としての使命感、及び社会への広い視野を備え、薬物療法の専門職として人と社会に貢献できる薬剤師の養成」を教育研究上の目的としている。カリキュラム・ポリシーは、教育研究上の目的である「社会に貢献できる薬剤師の養成」を達成するため、態度教育、薬学臨床教育、卒業研究の成果を活用した、医療専門職としての態度や実践力、問題解決能力を醸成する方針となっており、明文化されている。ヒューマニズム教育・医療倫理教育については、セミナー科目等でSGD(Small GroupDiscussion)やロールプレイ、実地見学などの方略を用い、また外部講師を招聘して講義を行っている。セミナー科目については、ルーブリックを用いた教員・同僚評価や、「セミナー・ポートフォリオ」による振り返り、学期末の「リフレクション面接」、「学修目標達成度調査」によって、学修プロセスにおける変化・成長を教員が評価している。実務実習の立案・運営や学生の指導に関わる責任は実務実習委員会が負っている。実務実習委員会の下に学生部会、成績評価・連携システム・エビデンス部会、実習施設割振り・個別枠確保・契約関連部会、施設連携部会が置かれ、実務実習委員会が全体を統括している。学生ごとに担当教員を定めており、施設と連携して実務実習が円滑に行えるよう、学生を指導・サポートしている。卒業研究は、平成 29 年以前に入学した学生では6単位であるが、それ以降の学生では10 単位の必修科目として、4~6年次に行われている。6年次4月には学生に対して、卒業研究委員会が作成要領や書式などについて説明会を開催し、提出された卒業論文は全員のものを合冊して製本・保管している。薬学部の入学者受入方針(アドミッション・ポリシー)は薬学部担当会議で原案が作られ、帝京平成大学総務会と教授会で審議・承認の後、全学に周知されている。AO(AdmissionOffice)入試および公募制推薦入試、一般入試、センター試験利用入試が実施され、センター入試以外では面接試験を行っている。選抜(合否判定)については、各入試の採点終- 2 -了後、理事長、学長、副学長、事務長による会議にて合否案が作成され、全学教授会において審議・承認されており、入学志願者の評価と受入の決定が責任ある体制の下で行われている。薬学部の卒業認定・学位授与の方針(ディプロマ・ポリシー)はカリキュラム・ポリシーと同様に、薬学部担当会議が原案を作成し、帝京平成大学総務会と全学教授会で審議・承認され、全学に周知されている。卒業判定は学則で定められた判定基準に則り、学部運営・教員会議の合同会議で審議され、決定されている。薬学部の専任教員数は71名(うち実務家教員13名)で、大学設置基準の専任教員数を満たしている。専任教員の教育研究業績、授業科目の担当状況、研究条件などもおおむね適切である。教員の採用と昇任は大学と学部の規程に基づいて行われており、規程の選考基準も適切である。入学定員は240名であるため、多くの講義は1学年を2クラスに分けており、それに十分対応できる講義室が整備されている。また、SGDを行うための小教室(12席、12室)やSGD大会議室(144席)を備え、物理・化学・生物系実習を行うための学生実習室1~3、パソコン演習室、動物施設、薬用植物園(相模原市)などの実習室や附属施設も整備されている。また、臨床系の実習室として、調剤実習室や無菌調剤実習室が整備されており、実務実習事前学習を実施するための適切な規模の施設・設備も整備されている。帝京平成大学では、学則に自己点検・評価の実施が定められている。薬学部では、担当会議が中心となり自己点検・評価を行うとともに、薬学部自己点検委員会が「検証結果の点検・総括評価」において、検証の対象、方法や頻度、点検・総括評価による改善計画の妥当性などについて助言や必要な修正を加えることにより、自己点検・評価の客観性や適切性を高めている。以上、帝京平成大学薬学部の6年制薬学教育プログラムは、本機構の評価基準におおむね適合している。しかし、以下のような問題点があり、改善が必要である。(1) 6年次は国家試験対策に偏った授業編成となっていることから、早急に見直しが必要である。(2) ヒューマニズム教育・医療倫理教育における総合的な目標達成度評価の指標を設定し、それに基づいて評価することが必要である。(3) コミュニケーション能力および自己表現能力を身につける教育において、総合的な目標達成度評価の指標を設定し、それに基づいて評価することが必要である。- 3 -(4) 実務実習事前学習の総合的な目標達成度を評価するための指標を設定し、それに基づいて適切に評価する必要がある。(5) 問題解決能力の醸成に向けた教育において、総合的な目標達成度を評価するための指標を設定し、それに基づいて評価をする必要がある。(6) 6年次の留年率は5割前後であり、ストレート卒業率が4割に満たない状態が続いているのは、制度(学生の受入、進級)の運用に大きな問題があり、改善が必要である。(7) 共用試験の受験資格に実力試験等の合格が必要となる制度は直ちに改善すべきである。(8) 再評価試験について、回数、合格基準などを制度として策定すべきである。(9) 「薬学総括講義Ⅰ〜Ⅳ」と「アドバンスセミナーⅣ」の5科目を、各分野の学力を判定する「総合系科目」と位置づけて総合試験を実施しているが、その第2回の判定基準は科目ごとの単位認定と異なっており、改善すべきである。(10)6年次に必修として行う「総合系科目」の単位未修得を原因とする卒業延期の比率が6年次までの各年次留年率と比べて非常に高く、学士課程の修了判定がディプロマ・ポリシーの達成に基づいて行われていない可能性があり、改善する必要がある。(11)自己点検・評価を行い、その結果をPDCAサイクルにより教育研究活動の改善に反映することが必要である。帝京平成大学薬学部には、本評価で指摘された改善を要する点を踏まえ、積極的に改革を進めることで、より優れた6年制薬学教育を展開されることを期待する。
大学への提言
帝京平成大学 大学への提言1)長所1. カリキュラムの構成において、順次性や領域ごとに整理してカリキュラムが編成されており、また、科目がどのようにつながっているかが学生にも理解しやすい形でカリキュラムツリーが作成されている。(2.カリキュラム編成)- 48 -2. 看護学科との合同授業や地域住民との演習によりコミュニケーション能力を向上させる授業を行っていることは評価できる。(3.医療人教育の基本的内容)3. 医療安全に関しては、1年次の「薬学入門」と「フレッシュセミナーⅠB」、2年次の 「フレッシュセミナーⅡB」、3年次の「アドバンスセミナーⅠA」と「医薬品の安全性」、4年次の「処方解析」と「事前学習」で行っており、継続的かつ体系的に医療安全教育が行われている。(3.医療人教育の基本的内容)4. 多くの医療関係者と交流関係が整備されており、多様な人的資源があることは評価できる。(4.薬学専門教育の内容)5. 全学年を通して設定されているセミナー科目は、薬剤師育成の目的のもと、学年進行とともにより臨床的な内容とするなど、オリジナリティの高い科目設定となっており、評価できる。(4.薬学専門教育の内容)2)助言1. 教育研究上の目的の表記が、学則と薬学部履修要覧などの資料とで異なるので、教育研究上の目的が三つのポリシーの基となることに配慮して整合性をとることが望まれる。(1.教育研究上の目的)2. 教育研究上の目的での「薬物療法の専門職として人と社会に貢献できる薬剤師を養成する。」という目的の部分を達成させるためのカリキュラム・ポリシーを設定し、カリキュラムに反映させることが望まれる。(2.カリキュラム編成)3. 2009CPに対応する上級学年の学生に対して、平成29年度履修要覧で2015CPとなっており、2009CPを併記することが望まれる。(2.カリキュラム編成)4. 旧コアカリ対応学年では、高学年における生涯学習に関連する教育カリキュラムおよびヒューマニズム教育を導入することが望まれる。(3.医療人教育の基本的内容)5. 入学までの学修歴等を考慮したリメディアル教育プログラムや、習熟度別授業についての改善が望まれる。(3.医療人教育の基本的内容)6. 大学として、生涯学習のプログラムを提供しているが、学生の参加者を増やす方策を検討することが望まれる。 (3.医療人教育の基本的内容)7. 一部の科目では、シラバスに記載上の不備(到達目標など)があるので、改善が望まれる 。(4.薬学専門教育の内容)8. 4年までに授業が行われていない改訂コアカリのSBOについては、早急に授業に組み込むことが望まれる。(4.薬学専門教育の内容)- 49 -9. シラバスに臨床や薬剤師の役割・使命とどのように関連するかについて記載されていないものが一部 あり、改善が望まれる。(4.薬学専門教育の内容)10. シラバスの実務実習事前学習 の内容が時間割等に対応しておらず、学生にとって分かりにくいので、改善が望まれる。(5.実務実習)11. 問題解決型学習の実施時間を適切に確保することが望まれる。(6.問題解決能力の醸成のための教育)12. 入試における基礎学力の評価方法を改善することが望ましい 。 (7.学生の受入)13. 合否も含めた成績結果に関して疑義がある場合、学生が問い合わせることができる制度を策定することが望まれる。 (8.成績評価・進級・学士課程修了認定)14. 総合的学修成果を測定する明確な指標の設定が望まれる。(8.成績評価・進級・学士課程修了認定)15. 総合的な学修成果を測定するための能力指標のうち、③薬学・医療に関する研究能力に関しては,ディプロマ・ポリシーに該当項目がないので、整合性を図ることが望まれる。(8.成績評価・進級・学士課程修了認定)16. 薬学部の事務部門にもキャリア支援組織体制を構築することが望まれる。(9.学生の支援)17. 1年次の薬学基礎実習における指導者1名当たりの学生数は約24名と多く、学生の安全を確保するには 指導者を増員するなどの対応が望ましい。(9.学生の支援)18. 教員1名あたりの学生数は約20.4名と多いため、教員数、特に助教の増員が望ましい。(10.教員組織・職員組織)19. 過去6年間に論文や学会発表がほとんどない教員が散見されるので、活性化が望まれる。(10.教員組織・職員組織)20. 教員の学位取得を促すことが望まれる。(10.教員組織・職員組織)21. 教員の授業担当時間数の不公平さを解消することが望まれる。(10.教員組織・職員組織)22. 薬学部の英文ホームページは限定的であり、充実が望まれる。(12.社会との連携)23. 教員に対する海外派遣が十分に行われていないので、 制度を作るなどの対応が望まれる。(12.社会との連携)24. 自己点検評価の結果を3年に一度、報告書として取りまとめるとしているが、可能な限りその頻度を高めることが望ましい。(13.自己点検・評価)- 50 -3)改善すべき点1. 6年次は国家試験対策に偏った授業編成となっていることから、早急に見直しが必要である。(2.カリキュラム編成)2. ヒューマニズム教育・医療倫理教育における総合的な目標達成度評価の指標を設定し、それに基づいて評価することが必要である。(3.医療人教育の基本的内容)3. コミュニケーション能力および自己表現能力を身につける教育において、総合的な目標達成度評価の指標を設定し、それに基づいて評価することが必要である。(3.医療人教育の基本的内容)4. 実務実習事前学習の総合的な目標達成度を評価するための適切な 指標を設定し、それに基づいて適切に評価する必要がある。(5.実務実習)5. 問題解決能力の醸成に向けた教育において、総合的な目標達成度を評価するための指標を設定し、それに基づいて評価をする必要がある。(6.問題解決能力の醸成のための教育)6. 6年次の留年率は5割前後であり、ストレート卒業率が4割に満たない状態が続いているのは、制度(学生の受入、進級)の運用に大きな 問題があり、改善が必要である。(7.学生の受入)7. 共用試験の受験資格に実力試験等の合格が必要となる制度は直ちに改善すべきである。(8.成績評価・進級・学士課程修了認定)8. 再評価試験について、回数、合格基準などを制度として策定すべきである 。(8.成績評価・進級・学士課程修了認定)9. 「薬学総括講義Ⅰ〜Ⅳ」と「アドバンスセミナーⅣ」の5科目を、各分野の学力を判定する「総合系科目」と位置づけて総合試験を実施しているが、その第2回の判定基準は科目ごとの単位認定と異なっており、改善すべきである。(8.成績評価・進級・学士課程修了認定)10. 6年次に必修として行う「総合系科目」の単位未修得を原因とする卒業延期の比率が6年次までの各年次留年率と比べて非常に高く、学士課程の修了判定がディプロマ・ポリシーの達成に基づいて行われていない可能性があり、改善する必要がある。(8.成績評価・進級・学士課程修了認定)11. 自己点検・評価を行い、その結果をPDCAサイクルにより教育研究活動の改善に反映することが必要である。(13.自己点検・評価)
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| 第1期 |
2018年度 |
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1:提言 改善報告審議結果 |
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| 徳島大学 | 国 | 徳島県 | 第1期 | 2018年度 | 適 |
自己点検・評価書 基礎資料 正誤票 |
評価報告書
総評
徳島大学 総評徳島大学薬学部は、6年制薬学科と4年制創製薬科学科の2学科を設置しており、一括入試後、3年後期に学科配属が行われる。薬学部の教育研究上の目的および6年制薬学科独自の教育研究上の目的は、徳島大学全学の理念、薬学部6年制薬学科の教育理念に合致しており、また、薬剤師養成教育に課せられた基本的な使命を踏まえて設定されている。薬学科のカリキュラムは、教育研究上の目的に基づき策定されたカリキュラム・ポリシー(教育課程の編成・実施方針)に従って構築されており、3年次前期までに教養科目および専門基礎科目を学び、3年次後期の薬学科への配属後は、専門臨床科目を学ぶとともに、「実務実習事前学習」、「病院・薬局実務実習」に取り組む。6年次には「演習Ⅱ(処方解析演習)」により薬剤師として身につけておくべき基本的な臨床思考プロセスを修得する。国家試験対策や共用試験対策は行われておらず、正規の教育に十分な時間が充てられている。ヒューマニズム教育・医療倫理教育では、1年次に「薬学入門1」、「薬学入門2」および初年時多職種連携教育である「SIH道場」が開講されている。語学教育におけるアメリカノースカロライナ大学薬学部との連携によるビデオカンファレンスは、特徴的な取り組みである。また、生涯学習への意欲の醸成を目的とし、1年次から6年次まで継続して自己学習することを求める「演習Ⅰ」は、他に見られない特徴的な取り組みである。「実務実習事前学習」は実務実習モデル・コアカリキュラムに準拠し、指定の時間を上回る時間数で実施されている。「病院・薬局実務実習」は、徳島大学病院および徳島市内の薬局にて実施され、大学と実習施設間の連携も十分にとられている。「卒業研究」には30単位が設定されており、3年次後期から6年次に十分な時間が確保され、学生は熱心に研究に取り組んでいる。研究成果は卒業論文にまとめられ、口頭による卒業論文発表会が行われている。入学者の選抜は、一般入試、推薦入試Ⅱ、私費留学生入試により行われ、基礎学力が適切に評価されている。推薦入試Ⅱにおいては面接によりアドミッション・ポリシー(入学- 2 -者受入方針)を満たした学生の選抜に努めている。また、入学者の入学定員からの大きな乖離は認められない。進級判定および卒業判定は、適切な手続きにより公正かつ厳正に行われている。ストレート在籍率は全学年で90%以上と高い。また、毎年、薬学科の学生全員が学士課程を修了しており、卒業延期の学生はいない。クラス担任制度が設定され、学生の履修指導および学習相談が行われている。学生の経済的支援、健康維持、ハラスメント対策、就職支援等に関する体制が整備されている。学生から意見や要望を収集し反映させるための体制も整備されている。防災手帳の配付や安全講習会の実施など実験実習等での安全確保に配慮がなされている。また、年1〜2回防災訓練を行っている。専任教員は各専門分野において教育・研究に優れた実績を有する者が配置されており、教員数も大学設置基準を満たしている。教員1名あたりの学生数は9.1名であり、手厚い指導が行われている。教員の職位や年齢の構成比も適切である。教員の採用および昇任は適切な手続きにより、公正かつ厳格に行われている。研究環境や学習環境についても問題はない。社会との連携として、多数の製薬企業および化学系企業等と共同研究や受託研究を行っている。また、市民公開講座や公開シンポジウムを開催している。海外の11大学と学術交流協定を締結し国際交流の活発化を図っている。以上のように、徳島大学薬学部薬学科の薬学教育プログラムは、本機構の評価基準におおむね適合していると判断される。しかしながら、以下のような問題点があり、改善が必要である。(1)医療人教育を体系的に行うとともに、総合的な目標達成度を評価するための指標を設定し、評価を行うことが必要である。(2)シラバスには、到達目標が改訂モデル・コアカリキュラムに対応していない科目や学習方略、評価方法・基準などの記載に不備がある科目が認められるため、改善が必要である。(3)講義科目においても主体的で対話的な学習方略を用いるなど、各学習領域に応じた学習方略を適切に設定する必要がある。(4)「病院・薬局実務実習」の評価が画一的にならないよう適切な評価方法に改善する必要がある。(5)出席や受講態度などが成績評価に含まれる場合には、シラバスの到達目標欄にその- 3 -評価基準を明示する必要がある。(6)薬学部FD委員会活動(FD:Faculty Development)、特に教育能力向上に関わるFD活動の活発化、およびそれらの活動への教員の積極的な参加が必要である。(7)6年制薬学教育プログラムを自己点検・評価するために薬学部内に定期的に検証する組織を整備し、内部質保証を図る必要がある。以上の指摘に加えて、概評にある改善すべき点、助言を踏まえて積極的に改善に取り組むことにより、徳島大学薬学部薬学科の6年制薬学教育がさらに優れたものとなることを期待する。
大学への提言
徳島大学 大学への提言1)長所1. 将来チーム医療体制を構築する医学部、歯学部、薬学部の学生を対象とした科目「SIH道場」において多職種連携教育プログラムを実施しているなど、特徴的な教育が- 34 -行われている。(3.医療人教育の基本的内容)2. アメリカノースカロライナ大学薬学部との提携に基づくビデオカンファレンスは、医療現場で薬剤師に必要とされる語学力が身につく特徴的な取り組みである。(3.医療人教育の基本的内容)3. 「演習Ⅰ(能動学習)」は、在学中を通じて、大学が指定した薬剤師対象の勉強会等に参加してレポートを提出することでポイントを獲得し、20ポイントを貯めると1単位が認定される、生涯学習に対する意欲を醸成する自律的な科目で、他に例を見ないプログラムである。(3.医療人教育の基本的内容)2)助言1. 在校生に対して教育研究上の目的を新学期ガイダンス等で周知することが望まれる。(1.教育研究上の目的)2. 教育研究上の目的を検証するための体制を構築し、定期的に検証することが望まれる。(1.教育研究上の目的)3. カリキュラム・ポリシーが教養、専門基礎、専門臨床、実務実習・卒業研究の大まかな学年区分を示しているものでしかなく、ディプロマ・ポリシーの定める能力とどのように関わるのかということが明文化されていないので、改善が望まれる。(2.カリキュラム編成)4. カリキュラム・マップにおいて、専門科目である「薬学入門」等の科目が教養科目に入っており、他の科目とのつながりが示されていないなど、不備が見られるので、正確なカリキュラム・マップを作成することが望まれる。(2.カリキュラム編成)5. シラバス全般について、学生が読むだけで授業の内容等が理解できるよう、わかりやすいものにすることが望まれる。(4.薬学専門教育の内容)6. 各授業科目において基礎と臨床の知見を相互に関連づけることが望まれる。(4.薬学専門教育の内容)7. 免疫学や微生物学(ウイルスを含む)に関する内容が「細胞生物学1、2、3」および「生命薬学3」で講義されているなど、シラバスおよびカリキュラム・マップに記載の科目名だけでは講義内容が把握できないものが散見されるので、科目名が講義内容の実態を示すように改善することが望まれる。(4.薬学専門教育の内容)8. 大学独自の薬学専門教育の割合を増やすことが望まれる。(4.薬学専門教育の内容)9. CBT実施マニュアルの大学個別の実施項目を設定し、マニュアルを完全なものにす- 35 -ることが望まれる。(5.実務実習)10. CBT委員会活動についての議事録などが作成されていないので、記録を残すことにより活動経過を明確にすることが望まれる。(5.実務実習)11. 実務実習全体の総合的な学習成果の評価のための適切な指標の設定とそれに基づく評価を行うことが望まれる。(5.実務実習)12. 卒業論文の書式等は学部内で統一されていないため、論文作成のための基本的な要領を作成し、学生に提示することが望まれる。(6.問題解決能力の醸成のための教育)13. 卒業論文の評価には研究指導教員以外の教員の関与はないので、複数の教員で評価することが望まれる。(6.問題解決能力の醸成のための教育)14. 「卒業研究」を除いた問題解決能力の醸成に関わる教育が十分とは言えないので、充実が望まれる。(6.問題解決能力の醸成のための教育)15. 一般入試では大学入試センター試験および個別学力試験の結果で入学者を選抜しており、アドミッション・ポリシーを満たした学生の入学について考慮されているとは言えないので、改善が望まれる。(7.学生の受入)16. 成績に関して第三者が疑義を受け付ける制度を設け、学生へ周知することが望まれる。(8.成績評価・進級・学士課程修了認定)17. 教育研究上の目的に基づいた教育における総合的な学習成果を測定するための指標を設定することが望まれる。(8.成績評価・進級・学士課程修了認定)18. 実務家教員の全員が、実務研鑽できる体制を整備することが望まれる。(10.教員組織・職員組織)19. 臨床薬学実務教育学分野の教員(実務家教員)の週当りの授業担当時間が多いため、負担を適正な範囲内にすることが望まれる。(10.教員組織・職員組織)20. 自己点検・評価を行う組織に外部委員を含めることが望まれる。(13.自己点検・評価)3)改善すべき点1. 医療人として生命に関わる薬学専門家に相応しい行動を身につけるための教育が体系的に行われておらず、改善が必要である。(3.医療人教育の基本的内容)2. 医療人教育の基本的な内容を適切に身につける教育の方略が理解できるように、シラバスの内容を改訂する必要がある。(3.医療人教育の基本的内容)- 36 -3. ヒューマニズム教育および医療倫理教育において、総合的な目標達成度を評価するための指標を設定しそれに基づき評価する必要がある。(3.医療人教育の基本的内容)4. コミュニケーション能力および自己表現能力を身につけるための教育において、総合的な目標達成度を評価するための指標を設定しそれに基づき評価する必要がある。(3.医療人教育の基本的内容)5. 新カリキュラムのシラバスにおいて、到達目標が旧モデル・コアカリキュラムのままとなっている科目については、改訂モデル・コアカリキュラムに対応したものに修正する必要がある。(4.薬学専門教育の内容)6. 各学習領域に応じた学習方略を適切に設定する必要がある。(4.薬学専門教育の内容)7. 実務実習事前学習全体の目標達成度を評価するための指標の設定とそれに基づく評価を行う必要がある。(5.実務実習)8. 実務実習の最終評価が「合」あるいは「否」の二者択一となっているため、病院、薬局での評価結果を反映させた多段階評価とするなど評価方法の改善が必要である。(5.実務実習)9. 「卒業研究」の評価で使われているルーブリック評価表の合格最低基準の内容では、ディプロマ・ポリシーの第4項目「統合的な学習経験と創造的思考力」の修得を満たすことができないため、適切な評価基準を設定することが必要である。(6.問題解決能力の醸成のための教育)10. 問題解決能力醸成に向けた教育において、目標達成度の評価指標が設定されておらず、それに基づいた評価もなされていないので、改善が必要である。(6.問題解決能力の醸成のための教育)11. 出席や受講態度などが成績評価に含まれる場合には、シラバスの到達目標欄にその評価基準を明示することが必要である。(8.成績評価・進級・学士課程修了認定)12. FD委員会活動、特に教育能力向上に関わるFD活動の活発化、およびそれらの活動への教員の積極的な参加が必要である。(10.教員組織・職員組織)13. 大学が自己点検・評価としている内容は、本機構が求めている適切な項目設定とは言えず、自己点検・評価も行っているとは認められない。適切な項目を設定し、その項目に基づいた自己点検・評価を行い、結果を公表することが必要である。(13.自己点検・評価)14. 適切な項目を設けた6年制薬学教育プログラムの自己点検・評価を恒常的に行い、3- 37 -つのポリシーに基づくカリキュラム構築に関するFD等を実施するなどのPDCAサイクルを確立し、教育・研究活動の改善に繋げることが必要である。(13.自己点検・評価)
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| 第1期 |
2018年度 |
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1:提言 改善報告審議結果 |
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| 広島大学 | 国 | 広島県 | 第1期 | 2018年度 | 適 |
自己点検・評価書 基礎資料 正誤票 |
評価報告書
総評
広島大学 総評広島大学薬学部薬学科は、広島大学および同大学薬学部の教育研究上の目的に基づいて、(イ)創造的な思考力を発揮し、自ら新しい問題に意欲的に取り組む能力を備えた人材を育成し、医療の質及び公衆衛生の向上に貢献すること。(ロ)チーム医療の中で科学的観点から意見が言える専門性の高い薬剤師としての能力を備えた人材を育成し、医療の質の向上に貢献すること。(ハ)病態・診断を理解でき、処方設計を判断し医薬品の適正使用に責任を持てる薬剤師としての能力を備えた人材を育成し、医療の質の向上に貢献すること。(ニ)世界をリードする薬学研究を志向し、新たな薬物療法を構築できる能力を備えた人材を育成し、薬学研究の進歩発展に貢献すること、を教育研究上の目的とする6年制薬学教育を行っている。広島大学は、平成 18 年度より全学が到達目標型教育(Outcome-based education)へ移行しており、大学独自の教育システムを「HiPROSPECTS」と称している。HiPROSPECTS は、主専攻プログラム、副専攻プログラムおよび特定プログラムの3種類のプログラムで構成されている。主専攻プログラムは学部学科ごとに作成され「詳述書」として毎年見直されホームページ等を通じて公表されている。詳述書には、ディプロマ・ポリシー(学位授与の方針)、カリキュラム・ポリシー(教育課程編成・実施の方針)、授業科目および授業内容、学習の成果(評価基準と達成水準)、カリキュラムマップなどが資料と共に記載されている。キャンパスは東広島、霞ならびに東千田から構成されている。1年次には主に東広島キャンパスにおいて教養教育科目を履修する。教養教育科目は、理念と目的に基づき総合大学として体系的に行われている。ヒューマニズム教育・医療倫理教育・コミュニケーション教育科目の一部は教養教育の一環として1年次に行われている。早期体験プログラムとして、「不自由体験学習」、医歯薬「合同早期体験実習」が実施され、「教養ゼミ」では、医学歯学とともに早期からIPE(Interprofessional Education)教育が行われ、チーム医療のためのコミュニケーション- 2 -スキルの向上を目指している。2年次以降の薬学部専門科目の教育は霞キャンパスで行われている。薬学科ならびに薬科学科の専門基礎科目は両学科ともにほぼ同一の科目編成である。薬学科生のみを対象とする科目は、4年後期の7科目ならびに「臨床事前実習」、5年次の「臨床実習」、「卒業研究」である。「臨床事前実習」は主に模擬病棟・薬局において行われ、評価はレポート、筆記試験、OSCE(Objective Structured Clinical Examination)形式の実技試験により総合的に行われている。薬学共用試験は薬学共用試験センターの実施指針に従って実施し、合格基準に従って判定している。実務実習は、実務実習指導マニュアルに従い、基礎系の研究室も含めてすべての研究室が訪問指導等に参画している。実習配属先の決定は病院・薬局実務実習中国四国地区調整機構が公正に行っている。卒業研究は必修科目として3年次後期から6年次の後期まで実務実習期間を除いて行っている。卒業論文の評価は、研究成果の医療的・薬学的な考察に関する項目を含む評価シートによって、取り組み態度、卒論発表、卒業論文の合計で評価されている。入学者の選考は、アドミッション・ポリシー(入学者受入方針)に基づき、一般入試、AO入試、および私費外国人留学生入試により行っている。AO入試では面接を行っている。広島大学では、HiPROSPECTS を導入しており、評価は、1) 授業科目の成績評価、2) 大学共通の平均評価点(GPA:Grade Point Average)、3) プログラム毎に定められた到達目標に対する到達度の評価、より構成されている。授業科目の成績評価は、科目ごとに、中間試験、期末試験、小テスト、レポート、発表など方法と寄与率も含めて規定している。基礎実習ならびに卒業研究の評価は、各々の判定基準に基づきルーブリック評価されている。進級に関わる基準として、卒論研究室への配属、共用試験受験、ならびに実務実習実施の資格が定められている。卒業要件は、6年以上在学し、修得すべき単位数を修得した者とされている。学生の修学支援体制ならびに安心・安全への配慮は、総合大学として整備されている。専任教員数は大学設置基準に定められた数を満たしており、薬学科専任教員1名に対する学生数は 8.14(現員 8.42)名である。薬学部では病院薬剤部を含め 14 講座が配置され、各講座には原則として教授1名に加え、准教授および助教を1名ずつ配置している。教員評価は、独自の目標達成型重要業績指標A-KPI(Achievement-motivated Key- 3 -Performance Indicators)ならびに教員の職務遂行エフォートを全学共通の尺度で指標化し可視化するB-KPI(Basic Effort Key Performance Indicators)により行われている。薬学部は、医療の発展に資するため、行政、製薬企業、食品企業などとの共同研究・受託研究を推進し、医療および薬学の発展に寄与している。また、薬剤師の資質向上を図るための卒後教育として、「ヒロシマ薬剤師研修会」、「患者 100 選」を用いた薬剤師研修会、在宅支援薬剤師無菌操作研修会、「広島医療情報研究会」等を開催している。以上のように、広島大学薬学部薬学科の6年制薬学教育カリキュラムは、本機構の評価基準におおむね適合していると判断される。しかし、以下のような問題点があり、改善が必要である。(1)「授業の目標・概要等」の部分で目標の記載があるものの、薬学教育シラバスで求められている一般目標(GIO:General Instructional Objective)および到達目標(SBOs:Specific Behavioral Objectives)が明記されていないので改善すべきである。(2)成績評価基準は各科目のシラバスに記載欄が設けられているが、記載に不備のある科目があるので、改善すべきである。(3)6年制薬学教育プログラムに特化した自己点検・評価は十分とは言えないので、改善すべきである。広島大学薬学部薬学科には、本評価の提言を踏まえ、積極的に改善に取り組むことによって、6年制薬学教育がさらに優れたものになることを期待する。
大学への提言
広島大学 大学への提言1)助言1. 薬学部の教育理念、目的を広島大学薬学部細則からホームページに転記する際に軽微な誤記が見られるので、修正することが望ましい。(1.教育研究上の目的)2. 教養科目において、成績評価の基準が、期末試験、講義への参加姿勢、小テスト、と- 30 -されているものがあり、知識・技能・態度の目標到達度の評価の指標との関連性が曖昧であるので、明確にすることが望まれる。(3.医療人教育の基本的内容)3. 薬学部薬学科の主専攻プログラム詳述書の科目と評価項目の関連性が明確でないので、関連性を明示することが望まれる。(3.医療人教育の基本的内容)4. 初修外国語の履修者が増加するよう指導することが望ましい。(3.医療人教育の基本的内容)5. 卒論研究室で行われる語学教育について、学部学科としての評価基準を設定して行うことが望ましい。(3.医療人教育の基本的内容)6. 卒論研究室で行われる語学教育は、HiPROSPECTSの評価項目とされていないので、該当科目として組み込むことが望ましい。(3.医療人教育の基本的内容)7. 医療現場で薬剤師に必要とされる語学力を身につけるための教育は行われていないので、薬学に特化した英語科目の導入が期待される。(3.医療人教育の基本的内容)8. 生涯学習の意欲醸成は、体系的に行われていないので、計画的で体系的な実施が望まれる。(3.医療人教育の基本的内容)9. 薬剤師会・病院薬剤師会主催の活動への参加者が少ないので、増加させることが望ましい。(3.医療人教育の基本的内容)10. 成績不振者に対しては、科目担当者が補講を行うなど、きめ細かな指導がなされることが望ましい。(8.成績評価・進級・学士課程修了認定)11. 卒業延期者に対する指導は、卒論配属研究室教員の枠を超えて、学部学科として取り組まれることが望ましい。(8.成績評価・進級・学士課程修了認定)12. 学生が担当教員に質問するためのオフィスアワー等を設定することが望ましい。(9.学生の支援)13. 健康診断の受診率が低いので、向上させることが望ましい。(9.学生の支援)14. 災害発生時の被害防止のための講習会や防災訓練は行われていないので、これらの実施が望まれる。(9.学生の支援)15. 臨床系教員の実務経験を研鑽する体制が整備されていないので、実務家教員の研修体制の整備が望まれる。(10.教員組織・職員組織)16. 学生アンケートの実施率ならびに教員のコメント入力率が低いので、向上させる取り組みを行うことが望まれる。(10.教員組織・職員組織)17. 委員会には外部委員が含まれていないので、加えることが望ましい。(13.自己点検・評価)- 31 -2)改善すべき点1. 「授業の目標・概要等」の部分で目標の記載があるものの、薬学教育シラバスで求められている一般目標(GIO)および到達目標(SBOs)が明記されていないので改善すべきである。(4.薬学専門教育の内容)2. 成績評価基準は各科目のシラバスに記載欄が設けられているが、記載に不備のある科目があるので、改善すべきである。(4.薬学専門教育の内容)3. 成績評価基準は各科目のシラバスに記載されているが、一部に成績評価の記載が曖昧であったり、記載の通りに実施されていない科目が認められたため、全ての科目においてシラバスの成績評価基準を明確にし、記載内容に沿った評価を実施するよう改善すべきである。(8.成績評価・進級・学士課程修了認定)4. 6年制薬学教育プログラムに特化した自己点検・評価は十分とは言えないので、改善すべきである。(13.自己点検・評価)
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| 第1期 |
2018年度 |
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1:提言 改善報告審議結果 |
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| 北海道大学 | 国 | 北海道 | 第1期 | 2018年度 | 適 |
自己点検・評価書 基礎資料 正誤票 |
評価報告書
総評
北海道大学 総評北海道大学薬学部は6年制薬学科と4年制薬科学科の2学科を設置しており、薬学科では、北海道大学の「「フロンティア精神」,「国際性の涵養」,「全人教育」,「実学の重視」という四つの基本理念に基づき,「国民の健康・福祉および医療における諸問題を薬学の立場から研究して,その成果を医療の現場に還元する学問である医療薬学・臨床薬学を修得し,さらに医療の現場で問題発見・解決能力を発揮し,指導的な立場で活躍できる薬剤師,あるいは医療薬学研究者を養成する」という教育研究上の目的の下に、入学者受入の方針(アドミッション・ポリシー)、教育課程の編成・実施の方針(カリキュラム・ポリシー)、学位授与の方針(ディプロマ・ポリシー)を、整合性をもって設定し、医療を取り巻く環境ならびに社会の薬剤師に対するニーズを反映した薬学教育を行っている。カリキュラムは、ディプロマ・ポリシーを踏まえて定められたカリキュラム・ポリシーに従って設定されており、それは薬学教育モデル・コアカリキュラムに対応したものとなっている。すなわち、ヒューマニズム教育・医療倫理教育、医療コミュニケーション力教育は各学年の進行に相応した内容の科目を配置して学年進行形で順次性をもって体系的かつ効果的に行われている。教養教育は総合大学の特色を活かして人文・社会科学から自然科学まで幅広い領域にわたる科目が開講されている。語学教育は、英語を中心として、低学年における基礎的な語学力から、高学年での専門性を考慮した語学力まで、各学年を通じて体系的に教育が行われていることは評価できる。薬学専門科目では、基礎と応用・臨床を相互に関連付け、かつ目的意識を持って学習できるように、基礎的科目とそれらに関連する応用・臨床的科目が順次性に配慮しながら年次進行とともに適切に配置されている。薬学共用試験も適切に実施されている。実務実習事前学習、実務実習も適切な体制の下で実務実習モデル・コアカリキュラムに沿って適正に実施されている。卒業研究は1年以上- 2 -実施しており、各自その成果を卒業論文としてまとめるとともに、学部主催の卒業研究発表会で口頭発表している。学生の受入は、前期日程の総合入試と後期日程の学部別入試により行われているが、いずれもアドミッション・ポリシーに基づいて適切に行われており、入学定員数に対する入学者数にも問題はない。また、成績評価・進級判定・学士課程修了認定は、ディプロマ・ポリシーに基づいて公正かつ厳格に行われている。学生への履修指導や学習指導は研究室配属まではグループ担任、研究室配属後は研究室の長が責任教員となり適切に行われている。学生の経済的支援は、入学料免除制度および授業料免除制度の設置、日本学生支援機構、地方公共団体や民間奨学団体等の各種奨学金に関する情報提供、大学独自の奨学金制度の設置等により対応している。キャリアセンターでの相談・支援、企業や医療機関のセミナー開催などによる就職支援の体制も整っている。また、学生の健康維持、心身的な支援などの体制、ハラスメント対応も整っている。専任教員は各専門分野において研究・教育に優れた実績を有するものが配置されており、教員数、実務家教員数も大学設置基準を十分満たしている。教員の採用、昇進は、規程に基づいて、研究業績、教育業績、教授能力を総合的に判断して行われている。また、研究室、講義室、実習室、演習室、セミナー室、実務実習事前学習のための模擬薬局/医療系実習室、情報処理演習室、動物実験施設、RI実験室、薬用植物園、図書館、自習室などの施設、各種の設備も整備されており、学習環境も整っている。また、FD(Faculty Development)活動も問題なく行われている。社会との連携として、医療施設や企業、他大学・他機関との共同研究を活発に行い、研究員を受け入れ、医療界や産業界との連携を図っている。また、教員が病院薬剤師会、薬剤師会、関連学会の役員・委員を務め、それぞれの団体との連携を図っている。さらに、点検評価委員会が設置されており、教育プログラムに対する自己点検・評価、その結果の教育研究活動への反映も行われている。以上のように、北海道大学薬学部薬学科の6年制薬学教育プログラムは、本機構の評価基準におおむね適合していると判断される。しかし、以下のような問題点があり、改善が必要である。(1)ヒューマニズム教育・医療倫理教育、コミュニケーション能力・自己表現能力の醸成教育、実務実習事前学習、および問題解決能力を醸成する教育において、それぞれ総合した目標達成度の指標を設定し、それに基づいた適切な評価を行う必要がある。- 3 -(2)「臨床薬学事前演習」の評価の一部に外部機関のCBT(Computer Based Testing)模試の結果を用いているので改善することが必要である。(3)再試験の基準、期間などを明示することが必要である。(4)教育プログラムの自己点検・評価を継続的に実施し、教育研究活動の改善に恒常的に取り組む必要がある。北海道大学薬学部薬学科は、本評価での改善すべき点、助言を踏まえ、積極的に改善に取り組み、薬学教育のさらなる向上に努めることが望まれる。
大学への提言
北海道大学 大学への提言1)長所1. 1年次の全学教育科目の英語(Ⅰ~Ⅳ)、2年次の「薬学英語Ⅰ」、3年次の「薬学英語Ⅱ」、「薬学論文講読演習Ⅰ」、4年次の「薬学論文講読演習Ⅱ」、5年次の「薬学論文講読演習Ⅲ」と、低学年における基礎的な語学力から高学年での専門性を考慮した語学力まで、各学年を通じて英語力の体系的な教育が行われている。ディプロマ・ポリシーの「世界水準の研究」、「国際的な視点と自己実現」の項目と合致しており評価できる。(3.医療人教育の基本的内容)- 42 -2)助言1. 教員へのカリキュラム・ポリシーの十分な説明が望まれる。(2.カリキュラム編成)2. カリキュラム・ポリシーは、ディプロマ・ポリシーの5つの区分にしたがって設定され、授業科目とともに提示されている。しかし、区分間での重複があり、その方針が明確であるとは言えないので更なる整理が望まれる。(2.カリキュラム編成)3. 大学の生涯教育特別講座への薬学部在学生の参加が少ないので、生涯学習に対する意欲を醸成するような改善が望まれる。(3.医療人教育の基本的内容)4. 実務実習の開始時期と実務実習事前学習の終了時期が離れているので、実務実習の直前に実務実習事前学習の到達度を再確認していることが望ましい。(5.実務実習)5. 薬学部薬学科への進学者の選抜・受入に当たって、医療人としての適性を評価するための工夫はできていないので、今後評価方法を工夫することが望まれる。(7.学生の受入)6. 教育研究上の目的に基づいた6年間の教育プログラムを俯瞰した総合的な学習効果の測定は行われていないので、測定するための指標を設定することが望ましい。(8.成績評価・進級・学士課程修了認定)7. 3年生と4年生について、定期健康診断の受診率を改善することが望ましい。(9.学生の支援)8. 建物で完全にバリアフリーになっていないところがあるため、改善することが望ましい。(9.学生の支援)9. 一部の教員の授業負担が重くなっているので、改善が望まれる。(10.教員組織・職員組織)10. 英文ホームページの一部に英語対応が不十分なところがあるので、英文化を進めることが望まれる。(12.社会との連携)3)改善すべき点1. ヒューマニズム教育・医療倫理教育において、関連科目の学習成果を総合した目標達成度評価のための指標は設定されていないので、これを設定し、それに基づいた適切な評価を行う必要がある。(3.医療人教育の基本的内容)2. コミュニケーション能力および自己表現能力を身につけるための教育において、関連科目の学習成果を総合した目標達成度評価のための適切な指標は設定されていないので、これを設定し、それに基づいた適切な評価を行う必要がある。(3.医療人教育- 43 -の基本的内容)3. 全部あるいは一部に独自性を持つ科目においては、その独自性がシラバスで確認できるよう、シラバスの記載方法を改善することが必要である。(4.薬学専門教育の内容)4. 「臨床薬学事前演習」の評価において、一部、外部機関のCBT模試の得点を含めていることは不適切であるので、改善が必要である。(5.実務実習)5. 事前実習の目標達成度を評価するために、複数の評価項目(筆記試験、実習への参加姿勢・到達度、実技試験、演習問題など)が設定されているが、個々の項目およびそれらを総合した事前実習全体の目標達成度を評価するための指標の設定、並びにこれに基づいた評価がされていないので改善が必要である。(5.実務実習)6. 卒業研究の成果の評価に対して、卒業論文の内容や卒業論文発表の結果等に対する評価の指標やその配分などが設定されていないので、それらを設定し、それに基づいた適切な評価を行う必要がある。(6.問題解決能力の醸成のための教育)7. 卒業研究以外の問題解決能力の醸成に関する科目の成績評価において、個々の科目の目標到達度を測定する明確な指標を設定して評価を行う必要がある。(6.問題解決能力の醸成のための教育)8. 問題解決能力の醸成において、関連科目の学習成果を総合した目標達成度評価のための指標は設定されていないので、これを設定し、それに基づいた適切な評価を行う必要がある。(6.問題解決能力の醸成のための教育)9. 成績評価がいくつかの方法で行われている科目において、最終成績に寄与する各評価項目の割合が明記されていない場合があるので、明記するように改善することが必要である。(8.成績評価・進級・学士課程修了認定)10. 科目の成績評価において、学修領域に適した評価方法が用いられていない場合があるので、評価方法を改善することが必要である。(8.成績評価・進級・学士課程修了認定)11. 再試験の基準、期間などを学生便覧、シラバスに明記するように改善することが必要である。(8.成績評価・進級・学士課程修了認定)12. これまで自己点検・評価が継続的に行われていないので、6年制薬学教育プログラムの自己点検・評価を継続的に行い、その結果を公開することが必要である。(13.自己点検・評価)13. 本機構の評価基準で求めているのは、この自己点検・評価で見出された結果を6年制- 44 -の教育研究活動の改善に反映させるようにPDCAサイクルの具体的な実施であるが、「自己点検・評価書」に記載の内容からは、本評価基準が求めている自己点検・評価の成果を生かした活動の成果がわからないので、改善が必要である。(13.自己点検・評価)
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1:提言 改善報告審議結果 |
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| 武蔵野大学 | 私 | 東京都 | 第1期 | 2018年度 | 適 |
自己点検・評価書 基礎資料 正誤票 |
評価報告書
総評
武蔵野大学 総評武蔵野大学薬学部薬学科は、大学の理念である「仏教精神を根幹として学識、情操、品性にすぐれた人格を育成するとともに、慈悲の心を持ち、多様な薬学関連分野で人々に貢献できる人材の育成」を目的とする6年制の薬学教育を行っている。カリキュラムは、低学年では幅広く教養を養うための「武蔵野BASIS」と高学年で医療人としての高度な知識・技術・態度を養う「学科科目(専門科目)」で編成されている。「武蔵野BASIS」は、ヒューマニズム教育・医療倫理教育、教養教育、語学教育、コミュニケーション教育が主として実施されている。「学科科目」は「薬学教育モデル・コアカリキュラム(平成 25 年度改訂版)」に準拠し、薬剤師に求められる 10 の資質を十分に抱合した形で、学位授与の方針(ディプロマ・ポリシー)とともに教育課程の編成・実施の方針(カリキュラム・ポリシー)が設定され、教職員、学生に周知されており、薬学共用試験も厳正に実施されている。「実務実習」は、事前学習を含めて薬学教育モデル・コアカリキュラムに準拠しており、14 名の薬剤師業務経験者のみで構成されている臨床薬学センター教員が実施している。「卒業研究」は、5年次から6年次前期に行われ、卒業研究発表会と卒業論文により評価されている。卒業研究以外の問題解決能力の醸成に向けた教育は、スモールグループ学習を取り入れた低学年から高学年への科目の中で体系的に構成されている。入学者の選抜は、入学者受入方針(アドミッション・ポリシー)を定め、多種類の入学者選抜試験の方法が設定されている。学修成績の評価、進級判定、卒業判定は、関連する諸規程に基づいて行われ、各科目における成績評価の方法は、シラバスに明記されている。学修成績の評価、進級判定、卒業判定は、関連する諸規程に基づいて行われ、各科目における成績評価の方法は、シラバスに明記されている。学生への支援は、アドバイザー教員による勉学・生活指導、大学独自の奨学金による経済的支援、「就職・キャリア開発委員会」による進路支援が行われ、ハラスメント防止や障がい学生に対する体制も整っている。学生のヘルスケア、メンタルケア、生活相談のため- 2 -に、保健室と学生相談室からなる「健康管理センター」を設置し、細やかな学生支援を学生相談室が中心となり実施している。専任教員数は大学設置基準を満たしており、講義科目は主に教授・准教授と一部の講師が担当し適切に配置されている。薬学系研究に必要な機器類も設置され研究環境は整えられている。講義室、演習室、少人数教育に対応する教室、実験実習室、薬用植物園、コンピューター実習室、動物飼育・実験室などの教室・実習室や付属施設が整備されている。実務実習モデル・コアカリキュラムに準拠した実務実習事前学習を実施するため、模擬薬局・模擬病室等の設備が整備されている。社会との連携については、独立行政法人医薬品医療機器総合機構(PMDA)との連携大学院提携、薬学研究所内に寄付部門プロテオアナリシス客員研究部門の設置や、産学連携研究推進室を通して薬学研究所所属の研究室との産業界との共同研究も推進している。自己点検・評価では、大学全体の委員会として平成6年より武蔵野大学自己点検・評価委員会を設置し、大学として積極的に取り組んでおり、平成 24 年度に大学基準協会による認証評価を受けている。以上のように、武蔵野大学薬学部薬学科の薬学教育プログラムは、本機構の評価基準におおむね適合していると判断される。しかしながら、以下のような問題点があり、改善が必要である。(1)学則に掲げる薬学部薬学科の「教育研究上の目的」に「研究上の目的」に関する内容を加える必要がある。(2)カリキュラムが薬学共用試験や薬剤師国家試験の合格のみを目指した教育に偏っており、改善が必要である。(3)シラバスには、科目の一般目標を明記するとともに、独自性のある科目であればその旨を学生にわかりやすく明記する必要がある。(4)卒業研究の評価については、研究室ごとに異なる到達目標および評価方法により実施されている。同じ科目は、研究室が異なっても同じ到達目標および評価方法により行われるべきであり、この点は改善すべきである。(5)アドミッション・ポリシーの設定と合格者の決定は、学生の教育に責任を持つ薬学部教授会が主体的に関与する体制にする必要がある。(6)CBT(Computer Based Testing)受験および卒業にそれぞれ深くかかわる重要科- 3 -目である、「薬学総合演習1」および「薬学総合演習3」においては、外部試験であるCBT体験受験の成績および予備校が提供する模擬試験の成績が単位認定に利用されており、改善が必要である。(7)正規の授業ではない補講(補習)の成績を必修科目(基礎化学など)の得点として加点するのは、公正な成績評価の観点から不適切であり、改善が必要である。武蔵野大学薬学部には、今回の評価における問題点の改善に取り組むことで、大学の理念を活かした特色ある薬学教育が展開されることを期待する。
大学への提言
武蔵野大学 大学への提言1)長所1. PMDAや企業など、医療界や産業界と連携し、研究活動を活発に展開している。(12.社会との連携)2)助言1. 学則にある大学の目的(第1章第2条)の文言と大学Webページの(本学の目的)の文言が一致しないので、表現を学則のものに統一することが望まれる。(1.教育研究上の目的)2. 「教務運営委員会」において教育研究上の目的の検証を定期的に実施することが望ま- 33 -れる。(1.教育研究上の目的)3. カリキュラム・マップにおいて、学年配当や系が示されているものの、科目間の関連性やディプロマ・ポリシーとの関係が分かりづらいので、学生に分かり易く記載することが望まれる。(2.カリキュラム編成)4. 「薬学総合演習1~3」では、シラバスに「時間外」と記載しているが、具体的な時間割やスケジュールを提示し、各研究室単位で行われる「薬学総合演習2」では、出席管理を徹底することと評価基準を明確にすることが望まれる。(2.カリキュラム編成)5. 医療現場で薬剤師に必要とされる語学力をつけるために開講されている選択科目の「英語3~5」の履修者が極端に少ないので、改善が望まれる。(3.医療人教育の基本的内容)6. 薬害・医療過誤・医療事故防止に関する教育において学外の医師・弁護士・薬剤師等の参画が望まれる。(3.医療人教育の基本的内容)7. 薬剤師生涯教育について、学内外で開催される研修プログラムに学部学生の参加を促す制度を有しておらず、改善が望まれる。(3.医療人教育の基本的内容)8. 個々の授業科目の中で基礎と臨床の知見の関連付けが行われているのは、「病態学2」、「薬理学2」、「薬理学3」など、一部の科目に限られており、基礎と臨床の知見の相互の関連付けは十分とは言えず、他の科目にも広げるよう工夫が望まれる。(4.薬学専門教育の内容)9. 医師やコメディカルとの交流は十分ではなく、より活発化することが望ましい。(4.薬学専門教育の内容)10. 大学独自の科目が選択科目として開講されているが、高学年に開講されている科目は受講生が少ないため、学生教育に有効利用されていないので、改善が望ましい。(4.薬学専門教育の内容)11. 大学が自己点検・評価しているように、事前学習終了から実務実習開始まで時期が離れてしまう、Ⅱ期から実習開始となる学生に対して、事前学習の到達度を再確認することが望ましい。(5.実務実習)12. 学生の卒業研究実践に対する意識付けを促すために、卒業研究のコマを週間時間割上等に明示することが望ましい。(6.問題解決能力の醸成のための教育)13. レポート、グループ発表の内容評価、受講態度や積極的に討論や課題に取り組む姿勢等も評価対象としているが、形成的な評価を行えるように、シラバスに記載の評価方- 34 -法や基準を明確にすることが望ましい。(6.問題解決能力の醸成のための教育)14. 入学試験要項に薬学部の入試方式全てを含む一覧が見当たらないので、受験生に情報として十分に伝わるよう要項の作成に工夫が望まれる。(7.学生の受入)15. 教育研究上の目的に基づいた6年間の総合的な学習成果の評価に関し、ディプロマ・ポリシー8項目を評価する指標(総合的指標)をもって総合的な評価指標の設定につなげようとする努力は評価できるが、総合的な学習成果としては十分とは言えず、今後も継続して改善の努力が望まれる。(8.成績評価・進級・学士課程修了認定)16. 学生の意見を収集する全学組織として教育改革推進室が設置されているが、薬学部にも独自の問題に対処する体制を整備することが望ましい。(9.学生の支援)17. 教員の採用および昇任に関する規程は、授業および研究の継続性や、卒業研究のために配属された学生に対する教育・研究の継続性の点で問題があるので、今後改善することが望まれる。(10.教員組織・職員組織)18. 授業担当時間数について、一部の教員に偏りがみられるので、今後改善されることが望まれる。(10.教員組織・職員組織)19. 参加型学習のための少人数教育に対する教室においては広さ、数とも拡充していくことが望まれる。(11.学習環境)20. 情報処理演習室に、薬学部学生が常時利用できるパソコンを増やすことが望まれる。(11.学習環境)21. 現状の学生収容定員数に比べ、自習室は十分足りているとは言えず、今後の拡充が望まれる。(11.学習環境)22. 英文によるホームページは大学レベルで大枠を作成しているが、薬学部については不完全であり、世界へ情報を発信するよう早急な改善が望まれる。(12.社会との連携)23. 現時点で薬学科所属の留学生および派遣学生はおらず、また、薬学部レベルでの海外大学との交流も盛んとは言えず、国際交流についての活性化が望まれる。(12.社会との連携)24. 若手教員の海外研修や留学の推進を図ることが望まれる。(12.社会との連携)25. 薬学部の自己点検評価委員会に外部委員が含まれていることが望ましい。(13.自己点検・評価)26. 平成29年度から薬学教育プログラムを継続して点検・評価するための項目を設定し、それに基づく自己点検・評価に着手しており、今後も継続して実施することが望まれる。(13.自己点検・評価)- 35 -27. 平成29年度からは、自己点検・評価を恒常的に行い、その結果を教育研究活動の改善等に活用するためのPDCAサイクルシステムを構築する取り組みに着手しており、今後も継続して実施することが望まれる。(13.自己点検・評価)3)改善すべき点1. 薬学部の「教育研究上の目的」に「研究上の目的」に関する内容を加える必要がある。(1.教育研究上の目的)2. カリキュラムが薬学共用試験や薬剤師国家試験の合格のみを目指した教育に偏っており、改善が必要である。(2.カリキュラム編成)3. 早期体験学習の内容、評価等については、到達度を評価する指標を含めシラバスに記載する必要がある。(3.医療人教育の基本的内容)4. ヒューマニズム教育・医療倫理教育における目標達成度を総合的に測定するための指標を設定し、ルーブリックなどの評価表を基にするなど適切に評価するよう改善する必要がある。(3.医療人教育の基本的内容)5. コミュニケーション能力および自己表現能力を身につけるための教育において、総合的な目標達成度を評価する指標を設定し、それに基づいた適切な評価を行う必要がある。(3.医療人教育の基本的内容)6. 新カリキュラム、旧カリキュラムの双方において、準拠すべき薬学教育モデル・コアカリキュラムのSBOsに対応させる授業科目が欠落している箇所があるので、それらに対応する授業科目を設定する必要がある。(4.薬学専門教育の内容)7. シラバスに下記の不備があるので、改善が必要である。(4.薬学専門教育の内容)・大学独自の薬学専門教育科目については独自性のある科目であることが学生に分かるように、シラバスに明記する必要がある。・一般目標が明確に示されていないので、モデル・コアカリキュラムに準じた表現で明示する必要がある。・旧カリキュラムにおいても実験実習科目の単位数、必修・選択の別をシラバス等に記載する必要がある。・「卒業研究1」および「卒業研究2」のシラバスは、研究室ごとに記載されて異なる到達目標および評価方法が記載されている。同じ科目は、研究室が異なっても同じ到達目標および評価を記載する必要がある。8. 卒業研究の評価基準・方法が、各研究室で異なっており、学科で統一する必要があ- 36 -る。(6.問題解決能力の醸成のための教育)9. 問題解決能力の醸成に関する教育において、関連科目を総合した目標達成度を測定する指標を設定し、それに基づいて評価する必要がある。(6.問題解決能力の醸成のための教育)10. アドミッション・ポリシーの設定は、学生の教育に責任を持つ薬学部教授会が関与する体制にする必要がある。(7.学生の受入)11. 合格者の決定は、学生の教育に責任を持つ薬学部教授会が関与する体制にする必要がある。(7.学生の受入)12. 推薦入試で入学した学生は留年する割合が高く、低学年時の成績が低いとの自己点検・評価に基づいて、推薦入試のあり方等について改善する必要がある。(7.学生の受入)13. 「薬学総合演習1」の評価に外部試験であるCBT体験受験を入れているのは問題であり、改善が必要である。(8.成績評価・進級・学士課程修了認定)14. 「薬学総合演習2」の研究室の担当教員、授業計画、評価方法についてシラバスでは統一されていないので改善が必要である。(8.成績評価・進級・学士課程修了認定)15. 「薬学総合演習3」の評価に外部模擬試験を入れているのは問題であり、改善が必要である。(8.成績評価・進級・学士課程修了認定)16. 正規の授業ではない補講(補習)の成績を必修科目(基礎化学など)の得点として加点するのは、公正な成績評価の観点から不適切であり、改善が必要である。(8.成績評価・進級・学士課程修了認定)17. ディプロマ・ポリシーの設定は、学生の卒業に責任を持つ薬学部教授会が関与する体制にする必要がある。(8.成績評価・進級・学士課程修了認定)18. 過去の自己点検・評価報告書の薬学部のホームページでの公表が滞っていた時期があるので、今後そのようなことがないように留意する必要がある。(13.自己点検・評価)
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| 第1期 |
2018年度 |
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1:提言 改善報告審議結果 |
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| 北里大学 | 私 | 東京都 | 第1期 | 2018年度 | 適 |
自己点検・評価書 基礎資料 正誤票 |
評価報告書
総評
北里大学 総評学校法人北里研究所ならびに北里大学は、北里柴三郎を学祖とする生命科学の総合大学であり、「いのちを尊(たっと)び、生命の真理を探究し、実学の精神をもって社会に貢献する。」という大学の理念と薬剤師養成教育に課された使命に基づき、「人材の養成に関わる目的その他の教育研究上の目的」を設定し、6年制薬学教育を行っている。薬学教育カリキュラムは、教育課程の編成・実施方針(カリキュラム・ポリシー)に基づき、教養科目に始まり、学年進行にそって基礎系科目から専門科目、臨床系科目へと順次性をもって編成されており、薬学教育モデル・コアカリキュラムにほぼ準拠している。医療人教育は、体系的に編成されている。1年次の教養教育科目は、幾つかの領域を定めることにより、バランス良く履修できるように工夫されている。ヒューマニズム教育や医療倫理教育、コミュニケーションやプレゼンテーションに関する教育、医療安全教育、薬学専門教育の実施に向けた準備教育なども、順次性を配慮し、適切な学習方法を用いて行われている。薬学専門教育は、新・旧カリキュラムを通じて、例えば基礎系科目では授業科目の後に実験実習科目を配置するなど、「知識」と「技能・態度」が関連付けやすいように編成され、効果的な学習を促している。大学独自の薬学専門教育は、複数の科目構成からなる教育プログラムとして設定されている。中でも「漢方医薬学履修プログラム」は、東洋医学総合研究所をはじめ、漢方・生薬関連の施設が充実する北里大学の特徴を活かし、漢方医薬学に関する深い知識と技能を有する人材の育成を図っている。実務実習事前学習は、実務実習モデル・コアカリキュラムに準拠し、適切な指導体制の下に行われている。CBT(Computer Based Testing)およびOSCE(Objective- 2 -Structured Clinical Examination)は、薬学共用試験センターの実施要項に基づき、厳正に実施されている。実務実習のうち、病院実務実習は大学附属の4病院と独自契約施設で、薬局実習は関東地区調整機構を介した実習施設で、それぞれ実施されている。問題解決能力の醸成を意図した教育は、「生薬学実習」、「衛生化学実習」などの実習系科目と、「チーム医療演習」などの演習科目、卒業研究に相当する5・6年次継続必修科目「薬学卒業特別実習」において実施されている。入学者選抜は、入学者受入方針(アドミッション・ポリシー)に基づき、5種類の入学試験方式を用いて適正に実施されており、入学定員に対する入学者数に問題はない。学生の成績評価・進級・学士課程修了の認定は、定めた方法と基準に基づき行われている。学生の支援については、修学支援、大学独自を含む奨学金制度による経済的支援、学生相談室などによるヘルス・メンタルケア支援、ハラスメント防止・対策、キャリア形成支援、安全に関する支援などの体制が整備されており、充実している。教員組織については、専任教員数が設置基準を大きく上回っており、個々の教員の資格や教育研究業績も基準を満たしている。教員の採用および昇任も、適正な規程に基づき、研究、教育に加えて社会貢献をも反映させた選考が行われている。また、実務系教員が大学附属の病院などでの実務を通じて、新しい医療に対応できる体制・制度の整備を進めている。教育研究に必要な施設・設備・図書などの学習環境や研究環境は、近年一層整備され、基準を十分に満たしている。また社会との連携に関しても、卒後研修である生涯学習セミナーの開講をはじめ、適切な取り組みがなされている。自己点検・評価については、大学独自の自己点検・評価を毎年実施している。以上のように、北里大学薬学部薬学科の教育プログラムは、本機構の評価基準におおむね適合している。しかし、以下のような問題点があり、改善が必要である。(1) 6年次の実質的な授業編成が、薬剤師国家試験対策の教育に偏っているので、教育課程の編成・実施方針(カリキュラム・ポリシー)に沿った編成に改善すべきである。(2) 薬学教育モデル・コアカリキュラムが定めるSBOs(Specific BehavioralObjectives)の中に、実施されないSBOs、および適切な学習方法で実施されていないSBOsが散見されるので、薬学教育モデル・コアカリキュラムに準拠するように改善し、実施する必要がある。- 3 -(3) 学修要項(シラバス)の記載項目に関して、学習方法、評価方法(複数の評価方法のある場合にはその寄与率も)、大学独自科目ならびに独自のSBOsを明記し、学生に事前に周知する必要があるので、改善すべきである。(4) ヒューマニズム教育・医療倫理教育、コミュニケーション能力および自己表現能力を醸成する教育、実務実習事前学習、および問題解決能力を醸成する教育において、それぞれ総合した目標到達度の指標を設定し、それに基づいて適切に評価する必要がある。(5) 卒業研究に相当する必修科目「薬学卒業特別実習」において、一部の学生に対して、基礎学力を補う学習プログラムへの出席点と試験により、本科目の成績の50%を付与する成績評価の実施と、そのもととなる本科目の運用は、早急に改善すべきである。(6) 6年制薬学教育プログラムを定期的に自己点検・評価する組織を整備し、点検・評価する項目を設定して自己点検・評価した結果を、PDCAサイクルによって学部全体の教育研究活動の改善に反映する必要がある。北里大学薬学部薬学科には、本評価で指摘された改善すべき点を踏まえて、6年制教育研究プログラムの改善を進め、また、生命科学の総合大学という特色と良き伝統とを活かして、さらに展開されることを期待する。
大学への提言
北里大学 大学への提言1)長所1. 4年次必修科目の「プレゼンテーション実習」では、医療に関するテーマに対して効果的なプレゼンテーションができるようになるために、シナリオ作成、説得力のある表現手法などの基本的知識と技能を参加型学習により習得する実習が実施されている。(3.医療人教育の基本的内容)2. 漢方・生薬関連の施設が充実しており、この特徴を活用し、薬学部および北里生命科- 39 -学研究所の教員、ならびに、東洋医学総合研究所診療部・薬剤部の医師・薬剤師による講義および実習を組み合わせた教育プログラム「漢方医薬学履修プログラム」があり、漢方医薬学に関する深い知識と技能を有する人材の育成を行っている。(4.薬学専門教育の内容)2)助言1. 薬学教育カリキュラムの構築と必要に応じた変更を速やかに行う体制を機能させることが望ましい。(2.カリキュラム編成)2. 3年以上の学年の語学科目を学生が履修するように指導することが望まれる。(3.医療人教育の基本的内容)3. 「病院・薬局実習事前実習」以外の、実務実習事前学習の内容を含む講義科目(「薬剤学」など)の学修要項(シラバス)において、実務実習モデル・コアカリキュラムのSBOsを明示することが望まれる。(5.実務実習)4. 実務実習全体の総合的な学習成果を評価する適切な指標を設定し、それに基づいて評価することが望まれる。(5.実務実習)5. 教育研究上の目的に基づいた教育における総合的な学習成果を測定するための指標を設定し、それに基づいて適切に評価することが望まれる。(8.成績評価・進級・学士課程修了認定)6. 教員の授業担当時間数に著しい差があるため、改善することが望ましい。(10.教員組織・職員組織)7. 「自己点検・評価委員会」の委員の中に、外部委員が含まれていることが望まれる。(13.自己点検・評価)3)改善すべき点1. 6年制薬学科の「教育研究上の目的」は設定されているが、その中に研究に関する内容が含まれていないので、改善すべきである。(1.教育研究上の目的)2. 6年次の実質的な授業編成が、薬剤師国家試験対策の教育に偏っているので、カリキュラム・ポリシーに沿った編成に改善すべきである。(2.カリキュラム編成)3. ヒューマニズム教育・医療倫理教育において、それらの科目の学習成果を総合した目標達成度を評価するための指標を設定し、それに基づいて適切に評価する必要がある。(3.医療人教育の基本的内容)- 40 -4. コミュニケーション能力および自己表現能力を身につけるための教育において、それらの科目の学習成果を総合した目標達成度を評価する指標を設定し、それに基づいて適切に評価する必要がある。(3.医療人教育の基本的内容)5. モデル・コアカリキュラムのSBOsの中に実施されないSBOs、および適切な学習方法で実施されていないSBOsが散見されるので、薬学教育モデル・コアカリキュラムに準拠するように改善し、実施する必要がある。(4.薬学専門教育の内容)6. 学修要項(シラバス)に学習方法の項目を設け、授業ごとに学習方法を明示する必要がある。(4.薬学専門教育の内容)7. 学修要項(シラバス)に「大学独自の科目」の記載項目を加え、薬学部の独自科目を明示する必要がある。(4.薬学専門教育の内容)8. 実務実習事前実習の科目の評価法として、実際に行う評価法を学修要項(シラバス)、およびガイダンスの資料に記載し、学生に周知する必要がある。(5.実務実習)9. 実務実習事前学習の目標達成度を評価するための指標を設定し、それに基づいて適切に評価することが必要である。(5.実務実習)10. 卒業研究に相当する必修科目「薬学卒業特別実習」の成績評価において、基礎コースの学生に対しては、基礎学力を補う学習プログラムへの出席点と試験により、本科目の成績の50%を付与する評価方法は、早急に改善すべきである。(6.問題解決能力の醸成のための教育)11. 「薬学卒業特別実習」において、基礎コースの学生に対して問題解決能力を醸成するための学習時間を十分に確保しないことは問題であり、改善すべきである。(6.問題解決能力の醸成のための教育)12. 卒業研究において、設定した8項目の評価基準を活用し、薬学科で統一された評価を行うように改善すべきである。(6.問題解決能力の醸成のための教育)13. 問題解決能力の醸成について、関連した科目を総合した目標達成度を評価するための指標を設定し、それに基づいて適切に評価する必要がある。(6.問題解決能力の醸成のための教育)14. 評価方法が複数ある科目では、個々の評価方法(評価項目)の最終評価における寄与率を学修要項(シラバス)に明記することが必要である。(8.成績評価・進級・学士課程修了認定)15. 6年制薬学教育プログラムを定期的に自己点検・評価する組織を整備し、点検・評価する項目を設定する必要がある。(13.自己点検・評価)- 41 -16. 6年制薬学教育プログラムに対する自己点検・評価の結果を薬学部ホームページ上に公表する必要がある。(13.自己点検・評価)17. 6年制薬学教育プログラムの自己点検・評価の結果を、PDCAサイクルによって学部全体の教育研究活動の改善に反映する必要がある。(13.自己点検・評価)
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| 第1期 |
2018年度 |
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3:但し書き 改善報告審議結果 |
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| 金城学院大学 | 私 | 愛知県 | 第1期 | 2018年度 | 適 |
自己点検・評価書 基礎資料 正誤票 |
評価報告書
総評
金城学院大学 総評金城学院大学薬学部は、「高いコミュニケーション能力を備え、人のこころが分かる専門性の高い薬学ジェネラリストを育て、地域社会並びに医療現場で信頼される薬剤師として活躍する人材を育成する。問題解決能力の向上と女性に特化した薬学教育の充実を図り、合わせて、これらの教育の基盤となる研究環境を整備・充実し医療現場の視点に立った医薬品開発研究に取り組むことのできる人材を育成する。」を教育研究上の目的とし、6年制薬学教育を行っている。薬学教育プログラムは、教育研究上の目的に従って設定した「教育課程の編成・実施の方針(カリキュラム・ポリシー)」に基づいて構築され、カリキュラム・マップによって「学位授与の方針(ディプロマ・ポリシー)」と関連付けられている。教養教育としては、総合大学のメリットを生かし、共通教育科目として1、2年次に自然科学科目や情報リテラシー科目など多くの科目を開講している。薬学専門教育としては、薬学教育モデル・コアカリキュラムに準拠したとする講義・演習科目や実習科目を低学年から高学年に亘って配置している。コミュニケーションに関する教育は、1~4年次まで各学年で実施され、上級生が下級生をサポートする“屋根瓦方式”の学習形態を用い、外部からも高い評価を受けている。また、語学教育は、3年次まで学年ごとに科目が配置された体系的な教育が行われており、早期体験学習ではSGD(Small Group Discussion)を組み入れるなど学習意欲を高める工夫をしている。実務実習事前学習は、主体となる内容を臨床系の授業をも兼ねた7科目で行っており、薬学共用試験後に短期間の「事前学習」を行っている。薬学共用試験は適正に実施され、実務実習への能力はこの合格基準に基づいている。実務実習は、実務系教員8名による実務実習委員会が主導し、実務実習全体の運営管理を行っている。学生の実務実習施設への- 2 -配属は適正で、専任教員が実習施設を訪問すると共に、実習の進捗状況は実務実習指導・管理システムによっても把握している。実務実習の成績評価は、指導薬剤師による評価、学生の出席状況、大学教員の評価によって行っている。卒業研究に対応する教育は、「卒業論文」と「文献調査」の選択必修として行っており、学生はその成果を卒業論文にまとめている。入学者の募集には「入学者受入方針(アドミッション・ポリシー)」が設定・公表されており、入学者の選抜は、種々の入試による多面的な評価によって行われている。成績評価、進級、学士課程の修了認定は、それぞれに規則を定めて行っている。また、履修・修学指導は、ガイダンスやアドバイザーの成績の通知および学習・生活面の指導による。独自の奨学金制度を持ち、12種類の給付奨学金制度と3種類の貸与奨学金制度がある。障がい者に対しては、キャンパス内での障がい者の移動を容易にするため、バリアフリー化に努めるとともに、修学支援を行っている。薬学部の専任教員数は、大学設置基準が定める必要な数を充たしている。専任教員には、個人研究室と共用する実験・研究室が与えられ、薬学部の専門教育に使用する講義・演習室、実習室は整備されている。卒業研究のための設備も整っている。薬学部の教員は、他大学、行政機関、企業との間で連携研究事業を進めている。薬学部には、自己評価委員会が設置されている。以上、金城学院大学薬学部の6年制薬学教育プログラムは、本機構の評価基準におおむね適合しているが、以下のような問題点があり、改善が必要である。(1) 6年次の授業時間の大半を「薬学総合演習」が占めており、最終学年の教育が国家試験の合格を目的とするものに偏っている。(2) ヒューマニズム教育・医療倫理教育が体系的に行われているとは言えず、ヒューマニズム教育・医療倫理教育を総合した目標達成度の評価が行われていない。(3) コミュニケーションの基本的能力を身につける教育を総合した目標達成度の評価が行われていない。(4) 薬学専門教育のシラバスの内容に様々な問題点があり、専門教育が薬学教育モデル・コアカリキュラムに準拠した内容で行われているとはいえない。(5) 実務実習事前実習全体としての目標達成度の評価が行われていない。(6) 問題解決能力の醸成に向けた教育の総合的な目標達成度の評価が行われていない。(7) 薬学専門教育科目の単位認定に様々な例外措置が設けられ、一部の科目を除いて、- 3 -最終的には「再試験」や「再々試験」に合格すれば単位が修得できるようにしている救済制度は、成績評価の厳正さの観点から問題がある。(8) 卒業不認定者の大部分が「薬学総合演習」の試験結果が不合格であることが理由となっていることは、卒業の可否判断がディプロマ・ポリシーの達成より薬剤師国家試験に関わる知識の評価によって行われていることを意味しており、卒業認定の趣旨に合致していない。(9) 「助教」を学校教育法第92条、大学設置基準第16条の2に適合する専任教員としていないことは適切ではない。(10) 6年制薬学教育プログラムの自己点検・評価を恒常的に行い、その結果を活用して6年制薬学教育の向上・発展を目指す体制が構築されていない。金城学院大学薬学部には、今回の評価における提言を踏まえ、大学設立の目的に則した特色のある薬学教育を通して、さらに発展することを期待する。
大学への提言
金城学院大学 大学への提言1)長所1. 「薬学PBL(1)、(2)」では、上級生(2年生)が下級生(1年生)をサポートする“屋根瓦方式”の学習形態を取り入れ、傾聴と共感など、コミュニケーションの基本を学ばせており、この“屋根瓦方式”教育の評価は高く、2013年には高等教育開発協会から表彰されている。(3.医療人教育の基本的内容)2. 専任教員には勤務年数に応じた特別研究期間制度があり、薬学部教員も利用している。(12.社会との連携)- 37 -2)助言1. 大学設立の目的を勘案すると、「教育研究上の目的」に、“世界”や“人類”などグローバルな福祉への貢献に関わる内容が盛り込まれることが望ましい。(1.教育研究上の目的)2. 「この大学で育成する女性薬剤師が備える7つの特色」を示す「教育目標」を「学生ハンドブック」などに収載して学生や教職員への周知を図ることが望ましい。(1.教育研究上の目的)3. 「教育研究上の目的」について薬学部において定期的に検証することが望ましい。(1.教育研究上の目的)4. カリキュラム編成とカリキュラム・ポリシーおよびディプロマ・ポリシーの関連に対する学生および教員の理解を深めるため、基礎資料4と同じカリキュラム・マップを、カリキュラム・ツリーと共に「履修要覧」に収載し、学生と教員に周知することが望ましい。(2.カリキュラム編成)5. 基礎系専門科目や臨床系専門科目においては基礎と臨床の結びつきを意識した教育についてシラバス等に説明することが望ましい。(4.薬学専門教育の内容)6. 卒業論文の作成要領を設定し、学生に周知させることが望ましい。(6.問題解決能力の醸成のための教育)7. 卒業研究の成績評価における教員間の偏りをなくすよう、個々の評価項目について複数の教員で行うようにすることが望ましい。(6.問題解決能力の醸成のための教育)8. 6年次在籍者の約4分の1が卒業できていないという現状から、入試によって入学者の学力が適切に評価されていないことが懸念されるので、各入試区分の受け入れ学生数など、入試選抜方法を再検討することが望まれる。(7.学生の受入)9. 「卒業再試験」は、単位未修得で卒業できない学生を救済する制度で、厳格な修了判定の観点から好ましくないので、薬学部に適用しないよう規定しておくことが望ましい。(8.成績評価・進級・学士課程修了認定)10. 教育研究上の目的に基づいた教育における総合的な学習成果を測定するための指標を設定し、それに基づく評価を行うことが望ましい。(8.成績評価・進級・学士課程修了認定)11. 障がいを有する学生の受験に関しては、個別対応する体制が整っているので、学生募集要領など、受験生への広報の中にも対応を記載することが望ましい。(9.学生の支援)- 38 -12. 事故や災害の発生時や被害防止のためのマニュアルをもとに、講習会などの開催を通じて学生および教職員へ周知することが望ましい。(9.学生の支援)13. 専任教員1名当たりの学生数が20名を大きく超えており、准教授以下の若手教員も少ないので、専任教員を増員することが望ましい。(10.教員組織・職員組織)14. 専任教員の教育と校務の負担を軽減し、研究時間を増すことを含めて、専任教員の研究の活性化を図ることが望ましい。(10.教員組織・職員組織)15. 薬剤師としての実務経験を有する専任教員が医療機関での研鑽を行うことに関わる大学としての体制・制度を設けることが望ましい。(10.教員組織・職員組織)16. 授業アンケートを全教科対象に毎年行う制度に改善することが望ましい。(10.教員組織・職員組織)17. 薬学関連書籍・資料数の充実や最新の専門書の購入など、図書および学習資料環境を適切に整備することが望ましい。(11.学習環境)18. 金城学院大学薬学部には英語版のホームページが作成されていないので作成することが望ましい。(12.社会との連携)19. 薬学部自己評価委員会に学外有識者を外部委員として加えることが望ましい。(13.自己点検・評価)3)改善すべき点1. 「薬学総合演習」が6年次の授業時間の大半を占めており、最終学年の教育が国家試験の合格を意識した知識の修得に偏ったものになっている点は改善する必要がある。(2.カリキュラム編成)2. ヒューマニズム教育・医療倫理教育に対応する科目が、2および3年では実施されておらず、医療人として生命に関わる薬学専門家に相応しい行動を身につけるための教育が体系的に行われていないので、改善が必要である。(3.医療人教育の基本的内容)3. ヒューマニズム教育・医療倫理教育に対応する科目の技能・態度に関わる評価方法を適切なものとすることが必要である。(3.医療人教育の基本的内容)4. ヒューマニズム教育・医療倫理教育を総合した目標達成度の評価は行われていないので、適切な評価を行うことが必要である。(3.医療人教育の基本的内容)5. コミュニケーションの基本的能力を身につける教育を総合した目標達成度の評価は行われていないので、適切な評価を行うことが必要である。(3.医療人教育の基本的- 39 -内容)6. 薬学専門教育の内容と薬学教育モデル・コアカリキュラムへの準拠に関して、以下の問題点があるので、それらを改善することが必要である。(4.薬学専門教育の内容)① 個々の授業科目のシラバスに、当該科目に対応する薬学教育モデル・コアカリキュラムの「一般目標」との対応を明示することが必要である。② シラバスの授業計画が項目と薬学教育モデル・コアカリキュラム到達目標記号の列挙で、各回の授業でどのような内容を学ぶかを学生が把握できないので、より具体的な内容に改善する必要がある。③ 個々の授業科目の毎回の授業内容と薬学教育モデル・コアカリキュラムの到達目標の学習領域との対応を確認し、それらに適合した学習方略と評価方法をシラバスに明記することが必要である。④ 薬学教育モデル・コアカリキュラムの到達目標の全てを必修科目で取り上げておく必要がある。7. 大学独自の薬学専門科目については、シラバスにその旨を明記し、学生が独自科目であることを認識できるようにする必要がある。(4.薬学専門教育の内容)8. 実務実習事前実習全体としての目標達成度を評価する指標を設定し、それに基づく適切な評価を行うことが必要である。(5.実務実習)9. 実務実習終了後、実習施設の指導者、および指導教員から意見聴取を行うことが必要である。(5.実務実習)10. 実務実習の成果発表が一部の学生に限られ、実務実習終了後の学生アンケートには実習内容への意見が含まれていないので、全学生に対する実習内容への意見聴取を行うことが必要である。(5.実務実習)11. 問題解決能力の醸成に向けた教育は、各科目における目標到達度を評価するための指標を設定し、それに基づいて適切に評価することが必要である。(6.問題解決能力の醸成のための教育)12. 関連科目を総合して問題解決能力の醸成に対する達成度を評価するための指標を設定し、それに基づいて適切に評価することが必要である。(6.問題解決能力の醸成のための教育)13. 成績評価が「F」となった場合に再試験を行い、合格すれば「C」評価とする制度、再履修不能な薬学教育専門の必修科目について次年度の当該科目の再試験を再々試験として受験できる制度、期間外再々試験を行う制度、5、6年次の再々試験を該当学- 40 -年の前期に実施する制度は、「再試験」や「再々試験」に合格すれば単位が修得できることになり、厳正な成績評価という点で問題があるので、改善する必要がある。(8.成績評価・進級・学士課程修了認定)14. 薬学共用試験が不合格であった場合、正規の科目である「CBL(3)」の評価を「F」とする制度は、廃止する必要がある。(8.成績評価・進級・学士課程修了認定)15. 卒業不認定者の大部分が「薬学総合演習」の試験結果が不合格であることのみが理由となっていることは、卒業の可否判断が薬剤師国家試験に向けた知識に関する試験成績によって行われていることを意味しており、卒業認定はディプロマ・ポリシーの達成に基づいて行うという趣旨に合致していないので、改善する必要がある。(8.成績評価・進級・学士課程修了認定)16. 卒業留年生に対する特別な科目である「薬学総合演習(前期)」(6単位)が不合格で9月に卒業できなかった卒業留年生が、正規の6年生に開講されている「薬学総合演習」の後期分を履修して再履修とする制度は、好ましくないので、改善する必要がある。(8.成績評価・進級・学士課程修了認定)17. 演習、実験、実習または実技を伴う授業科目を担当し、研究に携わっている「助教」は、学校教育法第92条、大学設置基準第16条の2に適合する資格を有する専任教員とする必要がある。(10.教員組織・職員組織)18. 6年制薬学教育プログラムの自己点検・評価を恒常的に行うための委員会を、既存の薬学部自己点検・評価委員会とは別に設け、運営委員以外の意見を取り入れるなど客観的な評価を行う体制を設ける必要がある。(13.自己点検・評価)19. 自己点検・評価の結果の活用は、個別に立てた目標の達成を目指すのではなく、学部の6年制薬学教育プログラム全体を恒常的に点検・評価することで問題点を見出し、それらを改善することで6年制薬学教育の向上・発展を目指すことが必要である。(13.自己点検・評価)
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| 第1期 |
2018年度 |
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3:但し書き 改善報告審議結果 |
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| 北海道大学 | 国 | 北海道 | 第1期 | 2018年度 | 適 |
自己点検・評価書 基礎資料 正誤票 |
評価報告書
総評
北海道大学 総評北海道大学薬学部は6年制薬学科と4年制薬科学科の2学科を設置しており、薬学科では、北海道大学の「「フロンティア精神」,「国際性の涵養」,「全人教育」,「実学の重視」という四つの基本理念に基づき,「国民の健康・福祉および医療における諸問題を薬学の立場から研究して,その成果を医療の現場に還元する学問である医療薬学・臨床薬学を修得し,さらに医療の現場で問題発見・解決能力を発揮し,指導的な立場で活躍できる薬剤師,あるいは医療薬学研究者を養成する」という教育研究上の目的の下に、入学者受入の方針(アドミッション・ポリシー)、教育課程の編成・実施の方針(カリキュラム・ポリシー)、学位授与の方針(ディプロマ・ポリシー)を、整合性をもって設定し、医療を取り巻く環境ならびに社会の薬剤師に対するニーズを反映した薬学教育を行っている。カリキュラムは、ディプロマ・ポリシーを踏まえて定められたカリキュラム・ポリシーに従って設定されており、それは薬学教育モデル・コアカリキュラムに対応したものとなっている。すなわち、ヒューマニズム教育・医療倫理教育、医療コミュニケーション力教育は各学年の進行に相応した内容の科目を配置して学年進行形で順次性をもって体系的かつ効果的に行われている。教養教育は総合大学の特色を活かして人文・社会科学から自然科学まで幅広い領域にわたる科目が開講されている。語学教育は、英語を中心として、低学年における基礎的な語学力から、高学年での専門性を考慮した語学力まで、各学年を通じて体系的に教育が行われていることは評価できる。薬学専門科目では、基礎と応用・臨床を相互に関連付け、かつ目的意識を持って学習できるように、基礎的科目とそれらに関連する応用・臨床的科目が順次性に配慮しながら年次進行とともに適切に配置されている。薬学共用試験も適切に実施されている。実務実習事前学習、実務実習も適切な体制の下で実務実習モデル・コアカリキュラムに沿って適正に実施されている。卒業研究は1年以上- 2 -実施しており、各自その成果を卒業論文としてまとめるとともに、学部主催の卒業研究発表会で口頭発表している。学生の受入は、前期日程の総合入試と後期日程の学部別入試により行われているが、いずれもアドミッション・ポリシーに基づいて適切に行われており、入学定員数に対する入学者数にも問題はない。また、成績評価・進級判定・学士課程修了認定は、ディプロマ・ポリシーに基づいて公正かつ厳格に行われている。学生への履修指導や学習指導は研究室配属まではグループ担任、研究室配属後は研究室の長が責任教員となり適切に行われている。学生の経済的支援は、入学料免除制度および授業料免除制度の設置、日本学生支援機構、地方公共団体や民間奨学団体等の各種奨学金に関する情報提供、大学独自の奨学金制度の設置等により対応している。キャリアセンターでの相談・支援、企業や医療機関のセミナー開催などによる就職支援の体制も整っている。また、学生の健康維持、心身的な支援などの体制、ハラスメント対応も整っている。専任教員は各専門分野において研究・教育に優れた実績を有するものが配置されており、教員数、実務家教員数も大学設置基準を十分満たしている。教員の採用、昇進は、規程に基づいて、研究業績、教育業績、教授能力を総合的に判断して行われている。また、研究室、講義室、実習室、演習室、セミナー室、実務実習事前学習のための模擬薬局/医療系実習室、情報処理演習室、動物実験施設、RI実験室、薬用植物園、図書館、自習室などの施設、各種の設備も整備されており、学習環境も整っている。また、FD(Faculty Development)活動も問題なく行われている。社会との連携として、医療施設や企業、他大学・他機関との共同研究を活発に行い、研究員を受け入れ、医療界や産業界との連携を図っている。また、教員が病院薬剤師会、薬剤師会、関連学会の役員・委員を務め、それぞれの団体との連携を図っている。さらに、点検評価委員会が設置されており、教育プログラムに対する自己点検・評価、その結果の教育研究活動への反映も行われている。以上のように、北海道大学薬学部薬学科の6年制薬学教育プログラムは、本機構の評価基準におおむね適合していると判断される。しかし、以下のような問題点があり、改善が必要である。(1)ヒューマニズム教育・医療倫理教育、コミュニケーション能力・自己表現能力の醸成教育、実務実習事前学習、および問題解決能力を醸成する教育において、それぞれ総合した目標達成度の指標を設定し、それに基づいた適切な評価を行う必要がある。- 3 -(2)「臨床薬学事前演習」の評価の一部に外部機関のCBT(Computer Based Testing)模試の結果を用いているので改善することが必要である。(3)再試験の基準、期間などを明示することが必要である。(4)教育プログラムの自己点検・評価を継続的に実施し、教育研究活動の改善に恒常的に取り組む必要がある。北海道大学薬学部薬学科は、本評価での改善すべき点、助言を踏まえ、積極的に改善に取り組み、薬学教育のさらなる向上に努めることが望まれる。
大学への提言
北海道大学 大学への提言1)長所1. 1年次の全学教育科目の英語(Ⅰ~Ⅳ)、2年次の「薬学英語Ⅰ」、3年次の「薬学英語Ⅱ」、「薬学論文講読演習Ⅰ」、4年次の「薬学論文講読演習Ⅱ」、5年次の「薬学論文講読演習Ⅲ」と、低学年における基礎的な語学力から高学年での専門性を考慮した語学力まで、各学年を通じて英語力の体系的な教育が行われている。ディプロマ・ポリシーの「世界水準の研究」、「国際的な視点と自己実現」の項目と合致しており評価できる。(3.医療人教育の基本的内容)- 42 -2)助言1. 教員へのカリキュラム・ポリシーの十分な説明が望まれる。(2.カリキュラム編成)2. カリキュラム・ポリシーは、ディプロマ・ポリシーの5つの区分にしたがって設定され、授業科目とともに提示されている。しかし、区分間での重複があり、その方針が明確であるとは言えないので更なる整理が望まれる。(2.カリキュラム編成)3. 大学の生涯教育特別講座への薬学部在学生の参加が少ないので、生涯学習に対する意欲を醸成するような改善が望まれる。(3.医療人教育の基本的内容)4. 実務実習の開始時期と実務実習事前学習の終了時期が離れているので、実務実習の直前に実務実習事前学習の到達度を再確認していることが望ましい。(5.実務実習)5. 薬学部薬学科への進学者の選抜・受入に当たって、医療人としての適性を評価するための工夫はできていないので、今後評価方法を工夫することが望まれる。(7.学生の受入)6. 教育研究上の目的に基づいた6年間の教育プログラムを俯瞰した総合的な学習効果の測定は行われていないので、測定するための指標を設定することが望ましい。(8.成績評価・進級・学士課程修了認定)7. 3年生と4年生について、定期健康診断の受診率を改善することが望ましい。(9.学生の支援)8. 建物で完全にバリアフリーになっていないところがあるため、改善することが望ましい。(9.学生の支援)9. 一部の教員の授業負担が重くなっているので、改善が望まれる。(10.教員組織・職員組織)10. 英文ホームページの一部に英語対応が不十分なところがあるので、英文化を進めることが望まれる。(12.社会との連携)3)改善すべき点1. ヒューマニズム教育・医療倫理教育において、関連科目の学習成果を総合した目標達成度評価のための指標は設定されていないので、これを設定し、それに基づいた適切な評価を行う必要がある。(3.医療人教育の基本的内容)2. コミュニケーション能力および自己表現能力を身につけるための教育において、関連科目の学習成果を総合した目標達成度評価のための適切な指標は設定されていないので、これを設定し、それに基づいた適切な評価を行う必要がある。(3.医療人教育- 43 -の基本的内容)3. 全部あるいは一部に独自性を持つ科目においては、その独自性がシラバスで確認できるよう、シラバスの記載方法を改善することが必要である。(4.薬学専門教育の内容)4. 「臨床薬学事前演習」の評価において、一部、外部機関のCBT模試の得点を含めていることは不適切であるので、改善が必要である。(5.実務実習)5. 事前実習の目標達成度を評価するために、複数の評価項目(筆記試験、実習への参加姿勢・到達度、実技試験、演習問題など)が設定されているが、個々の項目およびそれらを総合した事前実習全体の目標達成度を評価するための指標の設定、並びにこれに基づいた評価がされていないので改善が必要である。(5.実務実習)6. 卒業研究の成果の評価に対して、卒業論文の内容や卒業論文発表の結果等に対する評価の指標やその配分などが設定されていないので、それらを設定し、それに基づいた適切な評価を行う必要がある。(6.問題解決能力の醸成のための教育)7. 卒業研究以外の問題解決能力の醸成に関する科目の成績評価において、個々の科目の目標到達度を測定する明確な指標を設定して評価を行う必要がある。(6.問題解決能力の醸成のための教育)8. 問題解決能力の醸成において、関連科目の学習成果を総合した目標達成度評価のための指標は設定されていないので、これを設定し、それに基づいた適切な評価を行う必要がある。(6.問題解決能力の醸成のための教育)9. 成績評価がいくつかの方法で行われている科目において、最終成績に寄与する各評価項目の割合が明記されていない場合があるので、明記するように改善することが必要である。(8.成績評価・進級・学士課程修了認定)10. 科目の成績評価において、学修領域に適した評価方法が用いられていない場合があるので、評価方法を改善することが必要である。(8.成績評価・進級・学士課程修了認定)11. 再試験の基準、期間などを学生便覧、シラバスに明記するように改善することが必要である。(8.成績評価・進級・学士課程修了認定)12. これまで自己点検・評価が継続的に行われていないので、6年制薬学教育プログラムの自己点検・評価を継続的に行い、その結果を公開することが必要である。(13.自己点検・評価)13. 本機構の評価基準で求めているのは、この自己点検・評価で見出された結果を6年制- 44 -の教育研究活動の改善に反映させるようにPDCAサイクルの具体的な実施であるが、「自己点検・評価書」に記載の内容からは、本評価基準が求めている自己点検・評価の成果を生かした活動の成果がわからないので、改善が必要である。(13.自己点検・評価)
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| 第1期 |
2018年度 |
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3:但し書き 改善報告審議結果 |
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| 愛知学院大学 | 私 | 愛知県 | 第1期 | 2017年度 | 適 |
自己点検・評価書 基礎資料 正誤票 |
評価報告書
総評
愛知学院大学 総評愛知学院大学薬学部は「医療を協働の場として人々の健康維持と医療の発展に積極的に貢献し、共創を通じて未来を開拓する医療薬学専門人」の育成を目的としている。薬学教育プログラムはカリキュラム・ポリシー(教育課程の編成・実施方針)に基づき、教養課程、専門教育課程、実務教育ならびに卒業研究から構成されている。1年次は主に日進キャンパスで、2年次以降は楠元キャンパスで教育が行われている。人文社会系教養教育は総合大学の強みを発揮して十分に行われている。ヒューマニズム・医療倫理教育とコミュニケ―ションおよびプレゼンテーション能力を養う教育も十分に行われている。英語科目は能力別クラス編成で行われている。準備教育科目は必修科目の他に高校での履修状況に対応した選択科目も用意されている。早期体験学習は多彩に行われている。教育課程は、薬学教育モデル・コアカリキュラムに準拠したプログラムで実施されている。実習は1年次から継続的に実施されている。大学独自の専門教育科目が実施されているが、それらの独自性はシラバスに明示されていない。実務実習事前学習は 13 科目に分散して行われており、総合的な評価は行われていない。薬学共用試験は適正に実施されている。学生の実習施設への配属は適正に実施されている。訪問指導は実務系教員および実務実習担当薬剤師のみが行っているが、実務実習指導管理システムにより、実務実習に関する情報を共有できる環境を整えている。実習後には実習報告会が実施され、評価は総合評価表による多項目の合計で行われている。卒業研究は実質 11 か月間実施され、各学生が独立したテーマをもち、医療や薬学における位置づけを考察した上で卒業研究論文を作成している。発表会はポスター形式で実施している。評価は、配属講座の教員による研究実施評価と主任教授による卒業論文評価に、他講座の教員による卒業研究発表会評価を加えて実施されている。問題解決型学習のプログラムは1年次から6年次まで継続的に実施されている。入学者の選抜は各種の入学試験により行われている。学力不足の学生が増加しているた- 2 -め、入学試験制度の見直しにより適性のある学生の確保に努めている。各科目の成績は教務委員会で確認し、単位認定と進級判定は教授会で行われている。試験の不合格者の一部(D評価)は既履修者とされ、留年の有無にかかわらず再履修(再指導)は必須とされていない。2年次、3年次の留年生が多いが、講義室の不足により再履修させることが困難な状態である。留年生に関しては主としてアドバイザー教員が学習状況を把握している。卒業試験は基礎領域、臨床領域および基礎・臨床領域のそれぞれの到達度判定により行われ、到達度を総合的に評価している。履修・修学指導はガイダンスの他に学習支援室や学生アドバイザーにより行われている。学生は6年間を通じ複数のアドバイザー教員に指導されている。学生に対する経済的支援として大学独自の奨学金も設けている。健康維持や進路選択に関する支援体制も整っている。薬学部の専任教員数は設置基準を大幅に超えており、職階や年齢の構成に問題はない。専任教員の選任は教育能力も考慮して行われている。教員は、教育目標を達成するための基礎となる研究活動を行っており、教員の教育研究能力の向上を図るための取組みも実施されている。専門科目の教育は、2年次以降、楠元キャンパスの薬学部棟を中心に行われており、講義室7室、基礎系実習室3室、および事前学習のための薬剤実習センターが使用されている。PBL(Problem Based Learning)、語学教育のためにはセミナー室やマルチメディア対応の講義室も整備されている。卒業研究のための設備も整っている。地域医療機関との連携や薬剤師向けの卒後教育により、薬剤師の資質向上に努めている。また、地域における保健衛生の向上にも貢献している。自己点検・評価は、外部評価機関からの評価に対応することで教育研究環境を整備することを目的として行われている。以上のように、愛知学院大学薬学部の教育プログラムは、本機構の評価基準におおむね適合しているが、以下のような問題点があり、改善が必要である。(1)講義概要(シラバス)の記載項目が「薬学教育シラバス」に準拠していないので、改善すべきである。(2)履修要項ならびにカリキュラム・ポリシーにおいて、「実務実習事前学習」についての記載がなく、体系的な学習が行われておらず、総合的な評価が行われていないので、改善すべきである。- 3 -(3)試験の不合格者の一部(D評価)は既履修者とされ、再履修(再指導)の必要がないのは低学力者に対する指導方法として問題であるので、改善すべきである。(4)留年者の履修指導、生活指導が不十分であるので、改善すべきである。(5)ヒューマニズム教育・医療倫理教育、コミュニケーション能力を育成する教育、実務実習事前学習、問題解決能力を醸成する教育で、目標達成度を測定する指標を設定し、それに基づく適切な評価を行うよう改善することが必要である。(6)6年制薬学教育プログラムを自己点検・評価するために、薬学部内に定期的に検証する組織や規程を整備して、内部質保証を図る必要がある。愛知学院大学薬学部には、今回の評価における提言を踏まえ、仏教精神に基づく建学の精神を生かした特色ある薬学教育を通して、さらに発展することを期待する。
大学への提言
愛知学院大学 大学への提言1)助言1. 学則第1条の3に定められている「薬学部の人材育成の目的」(規程)と「教育理念・目標」(内規)の関連性を明確にすることが望ましい。(1.教育研究上の目的)2. 教育理念・目標ならびに教育研究上の目的を定期的に検証することが望まれる。(1.教育研究上の目的)3. 「実務実習事前学習」の位置づけをカリキュラム上で明確にするように、改善することが望ましい。(2.カリキュラム編成)4. 改訂モデル・コアカリキュラムにおける薬学臨床を踏まえた新たなカリキュラム・ポリシーの検討が望まれる。(2.カリキュラム編成)5. 1年次の総取得単位数はかなり多く、予習復習のための時間の確保が困難なことが懸念されるので、改善することが望ましい。(2.カリキュラム編成)6. カリキュラムツリーには、科目間連携や順次性ならびにディプロマ・ポリシーとの関連性が十分に示されていないので、改善することが望ましい。(2.カリキュラム編成)7. カリキュラム編成に関し、問題点の発見やその改善などの定期的な検証は行っていないので、改善することが望ましい。(2.カリキュラム編成)8. ヒューマニズム教育・医療倫理教育について、「自己点検・評価書」と、履修要項の「ヒューマニズム教育・医療倫理教育の体系的な実施について」に記載された科目は乖離しており、体系性が不明確であるので、改善することが望ましい。(3.医療人教育の基本的内容)9. 人文社会系教養科目の履修年次は1年次に集中しているので、他学年においても開講し、薬学領域の学習と関連付けて履修する体系的なカリキュラム編成とすることが望ましい。(3.医療人教育の基本的内容)10. 英語教育において「聞く」、「話す」能力の醸成、医療現場で薬剤師に必要とされる語学力の醸成が十分に行われていないことが懸念されるので、改善することが望ましい。(3.医療人教育の基本的内容)11. 物理、化学、生物、数学のプレースメントテストの結果を教育に反映する仕組みがないので、改善することが望ましい。(3.医療人教育の基本的内容)12. 生涯学習の意欲醸成を意識した教育が殆どなされていないため、拡充することが望ましい。(3.医療人教育の基本的内容)- 34 -13. 生涯学習プログラムへの学部学生の参加が制限されているので、改善することが望ましい。(3.医療人教育の基本的内容)14. 独自科目は選択科目での実施が望ましいとされているが、開講されている科目数が少なく、事実上必修科目となっているので改善が望ましい。(4.薬学専門教育の内容)15. 実務実習先への訪問指導は、すべての教員が参加し、臨床現場との接点を持つことが望ましい。(5.実務実習)16. 卒業研究を行う実質的期間をできるだけ多く割り当てられるよう工夫することが望ましい。(6.問題解決能力の醸成のための教育)17. アドミッション・ポリシーを定期的に検証する体制が構築されていないため、改善が望ましい。(7.学生の受入)18. 入試改革を継続的に推し進めることが望ましい。(7.学生の受入)19. 総合的な学習成果を測定する指標を制定し、それに基づき学習成果が測定されるよう努めることが望ましい。(8.成績評価・進級・学士課程修了認定)20. 6年間を通じて学生は複数のアドバイザー教員に指導されるが、アドバイザー間での学生の就学状況や指導内容の共有と引き継ぎについて、明確な取り決めがないため、改善することが望ましい。(9.学生の支援)21. ハラスメント防止に関する情報の発信が少ないので、パンフレットなどにより学生に周知することが望ましい。(9.学生の支援)22. 学生生活アンケートにより収集された意見の、教育と学生生活への反映体制は十分とはいえないので改善することが望ましい。(9.学生の支援)23. 学生数と教員定数の割合は22:1であり、教員数を増加することが望ましい。(10.教員組織・職員組織)24. 必修科目の中には講師のみで担当している科目が散見されるので、改善することが望ましい。(10.教員組織・職員組織)25. 全ての実務家教員が継続的に臨床現場での研鑚が積める仕組みを構築することが望ましい。(10.教員組織・職員組織)26. 実習や演習を含めると教員間の担当時間の差が2倍以上あるため、改善が望ましい。(10.教員組織・職員組織)27. 教員と職員が連携して資質向上を図る体制を整えるよう改善することが望ましい。(10.教員組織・職員組織)28. 講義室の稼働率は 100%に近く、座席の数も在籍者数に近いことから、選択科目の充- 35 -実や再履修制度の充実を阻み、ポリシーに基づく理想的なカリキュラム立案を妨げている要因の一つとなっている可能性があるので、講義室の拡充が望まれる。(11.学習環境)29. 産業界との連携を強化し医療および薬学の発展に努めることが望ましい。(12.社会との連携)30. 薬剤師向けの卒後教育は、1年に1度の開催であり、大学が提供する生涯学習プログラムとして不十分なため、積極的に開催することが望まれる。(12.社会との連携)31. 英文ホームページが作成されているが、内容が不十分なため、拡充し、積極的に世界に情報を発信することが望ましい。(12.社会との連携)32. 教員の海外研修制度が定められており、学部毎に毎年1名の海外留学が可能であるが、薬学部では利用実績がないので、積極的に活用することが望まれる。(12.社会との連携)33. 薬学部の定期的な自己点検・評価の実施結果について大学のみならず薬学部のホームページでも積極的に公表することが望ましい。(13.自己点検・評価)2)改善すべき点1. 教育研究上の目的において、大学の理念で重視している「研究」についての記載が十分でないので、改善すべきである。(1.教育研究上の目的)2. 医療人教育が効果的な学習方法で行われていないので、改善すべきである。(3.医療人教育の基本的内容)3. ヒューマニズム教育・医療倫理教育の目標達成度を評価するための指標が設定されておらず、それに基づいて適切に評価されていないので、改善が必要である。(3.医療人教育の基本的内容)4. コミュニケーション教育・プレゼンテーション教育において、目標達成度を評価するための指標が設定されておらず、それに基づいて適切に評価されていないので、改善が必要である。(3.医療人教育の基本的内容)5. 薬学専門科目のシラバスは、必修と選択科目の区別、学習目標の記載内容、学習目標に対応する方略と評価、評価方法の書式、SBOの個別の番号ならびに文章、担当教員の所属、オフィスアワー等の記載に不備があるので、改善が必要である。(4.薬学専門教育の内容)6. 実施されていないSBOs、およびSBOsに適していない学習方略が用いられてい- 36 -る科目があるため、改善すべきである。(4.薬学専門教育の内容)7. シラバスに独自科目であることが示されておらず、改善が必要である。(4.薬学専門教育の内容)8. 履修要項ならびにカリキュラム・ポリシーにおいて、実務実習事前学習を意識させる記載や科目の名称がないので、改善すべきである。(5.実務実習)9. 実務実習事前学習に関わる講義・実習・演習を、学習効果が高められる時期に体系的に実施するよう改善すべきである。(5.実務実習)10. 実務実習事前学習を構成する各科目の目標到達度を評価するための指標が適切に設定されていないので、改善すべきである。(5.実務実習)11. 実務実習事前学習としての総合的な目標達成度評価が行われていないので、改善すべきである。(5.実務実習)12. 問題解決能力の醸成に向けた教育において、関連科目を統合した目標達成度の評価の指標が設定されておらず、それに基づく評価も行われていないため、改善が必要である。(6.問題解決能力の醸成のための教育)13. 各科目における成績評価の方法・基準が学生に周知されているといえないので、(シラバスの記載を適切にするなど)改善すべきである。(8.成績評価・進級・学士課程修了認定)14. 試験の不合格者の一部(D評価)は既履修者とされ、再履修(再指導)の必要がないのは低学力者に対する指導方法として問題であると思われるので、改善すべきである。(8.成績評価・進級・学士課程修了認定)15. 留年者の履修指導、生活指導が十分でないので、改善すべきである。(8.成績評価・進級・学士課程修了認定)16. 「総合演習Ⅲ、Ⅳ」の2科目の評価が卒業試験Ⅰ、Ⅱ、Ⅲのいずれに対応するのか明確でないので、改善すべきである。(8.成績評価・進級・学士課程修了認定)17. 卒業試験の再試験に当たる特別試験の判定に外部試験を加えることは不適切であるので、改善すべきである。(8.成績評価・進級・学士課程修了認定)18. 災害時の教職員の役割分担や配置に関するマニュアルの作成、定期的な災害・事故防止講習会の開催などが行われていないことは問題であり、改善すべきである。(9.学生の支援)19. 全学生を対象とした事故・災害に対する講習会や訓練を実施するように、改善が必要である。(9.学生の支援)- 37 -20. 自己点検・評価に関わる委員会規則を制定し、自己点検・評価を主体的・恒常的に行うよう改善する必要がある。(13.自己点検・評価)21. 大学全体と薬学部間(全学FD委員会と薬学部FD委員会)の連携、薬学部内の委員会間(薬学部FD委員会と自己点検・評価委員会)の連携した活動が認められないため、改善が必要である。(13.自己点検・評価)
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| 第1期 |
2017年度 |
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1:提言 改善報告審議結果 |
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| 大阪大学 | 国 | 大阪府 | 第1期 | 2017年度 | 適 |
自己点検・評価書 基礎資料 正誤票 |
評価報告書
総評
大阪大学 総評大阪大学薬学部は、6年制の薬学科を設置し、教育研究上の目的を、「創薬研究から投薬に至るまで幅広い見識を持ち、薬物による疾患の克服を介して人類の福祉と健康に貢献する薬の専門家(薬剤師と薬学研究者)、すなわち様々な医薬品を疾患の予防と治療に安全で有効に活用でき、医療の現場はもちろんのこと、薬学研究、医薬・保健行政に携わる人材を育成すること」とし、学則に定めている。それに基づいて設定されたカリキュラム・ポリシー(教育課程の編成・実施方針)に従って、薬物による疾患の克服を介して人類の福祉と健康に貢献する薬の専門家(薬剤師と医療薬学研究者)育成のためのカリキュラムを組み、教育を行っている。ヒューマニズム教育・医療倫理教育が低学年次から計画的に行われており、ルーブリックを用いたPBL(Problem Based Learning)などの形成的評価も実施している。大阪大学学務情報システム「KOAN」により、シラバス、個人成績を学生が随時閲覧できるようになっており、さらにシステム内に「就職支援システム」および「進路・就職報告システム」を設け、情報の提供・収集も行っている。実務実習は、薬局においては近畿地区調整機構で調整された薬局で、病院については全員が大阪大学医学部附属病院で、薬学部との連携のもとで行われている。卒業研究は、3年次前期に研究室配属が行われ、所属の各研究室において6年次まで十分時間をかけて質の高い研究が行われており、全体での発表会が開催され、卒業論文も主査・副査の審査の後に提出されている。アドミッション・ポリシー(入学者受入方針)は、「医療の現状と問題点を理解し、その改善、解決に向けて基礎研究、臨床研究に打ち込み、医療薬学の発展に寄与する志を有する学生を求める」と、4年制学科とは別に定められており、大学入試センター試験に加えて、前期日程試験(数学、理科、外国語)および世界適塾入試(小論文、面接)が行われている。入学者数は適正な範囲である。教員数は大学設置基準を大きく上回っており、実務家教員も必要人数の4名を満たして- 2 -いる。薬学部の専任教員は、それぞれの専門分野において研究活動を活発に行っており、ホームページ上に最新の報告論文リストが掲載されている。また、極めて多数の企業などとの共同研究が行われている。自己点検・評価については、学部内に薬学評価会議を設置して実施している。外部委員によって構成されるアドバイザリーボード会議を設置し、外部評価を受けて、結果を大学ホームページで公開している。以上のように、大阪大学薬学部薬学科の6年制薬学教育プログラムは、本機構の評価基準におおむね適合していると判断される。しかしながら、主な改善すべき点として、以下が挙げられる。(1)事前学習全体を通しての目標達成度を評価する具体的な指標の設定やそれに基づく適切な評価が必要である。(2)「長期課題研究」は、客観的採点基準を定め、それに沿った評価が必要である。(3)問題解決能力の醸成に向けた教育における目標達成度の評価について、「長期課題研究」だけではなく、他の科目を含めた総合的な評価が必要である。(4)シラバスなどに評価基準の寄与率や再試験の有無について記載されていない科目については、成績評価法の学生への事前周知のために明確に記載することが必要である。(5)健康診断受診率の極端に低い学年があるので、健康診断受診率を向上させる必要がある。(6)大阪大学薬学部の薬学評価会議では、中期計画・中期目標に関する自己点検・評価のシステムを用いて、薬学教育モデル・コアカリキュラムに準拠した教育システムについての点検・評価を行い、改善に結びつける必要がある。以上の重要な問題点に加えて、その他の指摘についても適切に対応することで、より優れた薬学教育が展開されることを期待する。
大学への提言
大阪大学 大学への提言1)長所1. 講義室、実習室、移動経路のバリアフリーマップがホームページに掲載されていることは評価できる。(9.学生の支援)2. 寄付講座、共同研究講座を設置していること。共同研究・受託研究が多数(約150件)あること。(12.社会との連携)3. 国際交流が盛んであること(大学間交流協定112件、部局間交流協定547件)。(12.社会との連携)4. 若手教員の海外留学・研修を積極的に推進している。(12.社会との連携)5. 外部委員によって構成されるアドバイザリーボード会議を設置している。(13.自己点検・評価)2)助言1. シラバスの記載において、「教科書・教材」、「参考文献」が「特になし」となっている科目があるので、「教員が用意した教材や授業中に紹介する参考資料」等を明記することが望まれる。(4.薬学専門教育の内容)2. 問題解決能力の醸成を意図する科目の一部(「薬学入門」、「情報科学」、「薬学と社会」)においてはルーブリック評価基準表を用いた形成的評価がなされているが、他の問題解決能力の醸成を意図する科目においても客観的評価ができるように目標到達度の指標の設定が望まれる。(6.問題解決能力の醸成のための教育)3. 「長期課題研究」の合否を、教育の総合的な学習成果の測定指標とするには無理があるため、より適切な測定指標の設定が望まれる。(8.成績評価・進級・学士課程修了認定)4. 教員の授業担当時間数が、臨床系とそれ以外の教員間で差が大きいので、改善が望ま- 25 -れる。(10.教員組織・職員組織)3)改善すべき点1. 平成26年以前に入学した学生対象のカリキュラムのうち、選択科目の「臨床薬学特論ⅢおよびⅣ」は、ヒューマニズム教育・医療倫理教育科目として重要な科目なので、履修指導により全ての学生が履修するようにすることが必要である。(3.医療人教育の基本的内容)2. ヒューマニズム教育・医療倫理教育において、科目総合的な成果について適切な指標を設定し、それに基づいた目標達成度の評価を行うことが必要である。(3.医療人教育の基本的内容)3. コミュニケーション能力および自己表現能力を身につけるための教育において、科目総合的な成果について適切な指標を設定し、それに基づいた目標達成度の評価を行うことが必要である。(3.医療人教育の基本的内容)4. シラバスに不備不足(詳細な成績評価方法、必修・選択の別の記載がないなど)があり、改善が必要である。(4.薬学専門教育の内容)5. 事前学習全体を通しての目標達成度を評価する具体的な指標の設定やそれに基づく適切な評価が必要である。(5.実務実習)6. 「長期課題研究」は、客観的採点基準を定め、それに沿った評価が必要である。(6.問題解決能力の醸成のための教育)7. 問題解決能力の醸成に向けた教育における目標達成度の評価について、「長期課題研究」だけではなく、他の科目を含めた総合的な評価が必要である。(6.問題解決能力の醸成のための教育)8. 再試験の有無については、最初の授業の実施までに学生に周知しておく必要がある。(8.成績評価・進級・学士課程修了認定)9. 一部の科目のシラバスに評価基準の配分が曖昧な表現「総合的に評価する」等の記載があるので、寄与率を明記するなど、明確な表現にすることが必要である。(8.成績評価・進級・学士課程修了認定)10. 健康診断受診率の極端に低い学年があるので、健康診断受診率を向上させる必要がある。(9.学生の支援)11. 大阪大学薬学部の薬学評価会議では、中期計画・中期目標に関する自己点検・評価のシステムを用いて、薬学教育モデル・コアカリキュラムに準拠した教育システムにつ- 26 -いての点検・評価を行い、改善に結びつける必要がある。(13.自己点検・評価)
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| 第1期 |
2017年度 |
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1:提言 改善報告審議結果 |
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| 高崎健康福祉大学 | 私 | 群馬県 | 第1期 | 2017年度 | 適 |
自己点検・評価書 基礎資料 正誤票 |
評価報告書
総評
高崎健康福祉大学 総評高崎健康福祉大学薬学部薬学科は、薬剤師養成教育に課せられた基本的使命を踏まえて、「薬に関する基礎教育とヒューマニズム教育を徹底し、薬学専門家にふさわしい知識と倫理観を兼ね備え、創薬や医療の現場で活躍できる薬剤師(医療人)を養成する」ことを教育研究上の目的(人材養成に係る目的)として設定している。また、薬学部の教育目標には「1.社会人としての活躍の基礎となる豊かな人間性と幅広い教養」、「2.薬学に関する基礎的知識及び「薬から見た医学」に関する知識」、「3.科学的思考に基づいて、薬学に関する現代社会の諸問題を発見、分析、考察し、その解決法を提案する能力」、「4.薬剤師(医療人)としての創薬や医療の現場で活躍するために必要な臨床的知識・技能と倫理観」、「5.薬剤師(医療人)として社会で活躍し、チーム医療を推進するために必要なコミュニケーション能力」の5項目が設定されており、医療を取り巻く環境、薬剤師に対する社会のニーズを適確に反映したものとなっている。教育課程の編成・実施の方針(カリキュラム・ポリシー)は、教育研究上の目的に基づいて定められ明文化されている。ヒューマニズム教育・医療倫理教育については、薬剤師としての心構えと患者・生活者本位の視点を醸成する科目や、コミュニケーション能力ならびにチーム医療の中で医療人として臨床薬学専門家にふさわしい行動を身につけるための発展的な講義および実習が配置されている。講義・演習に加え、体験実習、問題解決型学習(PBL:Problem BasedLearning)・少人数制グループ討議(SGD:Small Group Discussion)、ロールプレイ(RPG:Role Playing Game)学習などの教育手法を組み合わせた教育が1年次から6年次まで体系的に行われている。実務実習に関して、実務実習事前学習では、実務事前学習モデル・コアカリキュラムに沿って適切な指導体制のもと実施されている。また、実務実習の企画・運営ならびに調整、成績評価、関東地区調整機構との連携については、実務実習委員会が、実習生、指導薬剤- 2 -師、訪問担当教員、各職能団体からの実務実習に関する相談応需および対応の検討については、臨床薬学教育センターが行っており、円滑な実習の実施が図られている。卒業研究は、「卒業研究(10 単位)」(PHP401)として5~6年次に行われている。その研究期間は、5年次では、4年次2月の仮配属決定後から翌年3月まで(実務実習時期は除く)、6年次では4月から9月初旬の卒業論文提出までで、約1年間が確保されている。卒業論文は、6年次の9月初旬にA4冊子体として事務室に提出され、また、別途卒業論文要旨集が発行されている。卒業論文の内容については、研究成果と医療や薬学との関連性の適切な考察について述べられている。高崎健康福祉大学薬学部の入学者受入方針(アドミッション・ポリシー)は薬学部入試広報委員会で原案が作られ、全学入試委員会での検討を経て、薬学部教授会で議論するなど、アドミッション・ポリシーを設定するための責任ある体制がとられている。AO自己推薦入試(AO:Admission Office)および推薦入試、一般入試(センター試験利用を含む)が実施され、選抜(合否判定)については、各入試の採点終了後、薬学部入試広報委員と学部長からなる予備会議が行われている。その後、教授会構成教員が出席する学部判定会議において、入学試験ごとに判定審議し、入学志願者の評価と受入の決定が責任ある体制の下で行われている。高崎健康福祉大学薬学部の教育目標および学位授与の方針(ディプロマ・ポリシー)は、薬学部教務委員会が中心となって素案を作成後、薬学部教授会にて案を作成し、全学FD(Faculty Development)・自己点検委員会において各学部からの案と比較検討され、その案に対する意見が各学部に伝達されている。学士課程修了者の判定(卒業判定) は、毎年年度末に全教員が参加する卒業判定会議により審議され、最終的な卒業判定は教授会で決定されている。高崎健康福祉大学薬学部薬学科の専任教員数は35名(内実務家教員5名)で、大学設置基準の専任教員数を十分に満たしており、教授、准教授、講師、助教の比率は適切である。専任教員の教育研究業績は学部全体としては基準を満たしており、授業科目の担当状況、研究条件などもおおむね適切である。教員の採用と昇任は大学と学部の規程に基づいて行われており、規程の選考基準も適切である。講義室、少人数教育に対応する教室、演習室などの教室が整えられ、参加型学習のための少人数教育ができる教室とし、セミナー室を備え、有機化学系学生実験室、生物物理学系学生実験室、薬理学系学生実験室、薬用植物園、コンピューター実習室、動物実験室などの実習室や附属施設も整備されている。また、臨床系の実習室として、病床実習室Ⅰ、- 3 -Ⅱ、Ⅲ、模擬薬局を配置するなど、実務実習事前学習を実施するための適切な規模の施設・設備も整備されている。高崎健康福祉大学では、全学的課題の自己点検・評価については、大学運営協議会、大学FD・自己点検委員会、各学部教授会・大学院研究科委員会、各委員会、各部局で行われており、薬学部では、薬学部長の委嘱する運営委員会を設置し、大学FD・自己点検委員会や薬学部教務委員会を中心に点検評価活動を実施している。以上、高崎健康福祉大学薬学部の6年制薬学教育プログラムは、本機構の評価基準におおむね適合している。しかし、以下の主な改善を必要とする問題点がある。(1)「教育研究上の目的」には、教育方針の記述はあるものの研究方針に関する記述がないので、教育研究上の目的に研究方針を加えた記載が必要である。(2)ヒューマニズム教育・医療倫理教育およびコミュニケーション能力・自己表現能力の醸成教育において、総合的な目標達成度を評価するための指標を設定し、それに基づいて適切に評価する必要がある。(3)卒業研究に試験を課すことは極めて重大な問題であり、改善する必要がある。(4)大学としてのFD活動の実態はあるが、薬学部としての独自の実績がないのは問題であり、早急な改善が必要である。(5)大学全体としての自己点検・評価とそれに基づく改善への取り組みは行われているが、本評価の評価基準が求めている薬学部としての薬学教育プログラムに対する恒常的な自己点検・評価とそれに基づく向上発展を目指す取り組みが行われていないので、自己点検を薬学部として行い、十分な評価を行った後に新たなプランを策定し、行動に移す明確なPDCAサイクルを早急に構築する必要がある。高崎健康福祉大学薬学部には、本評価で指摘された改善を要する点を踏まえ、積極的に改革を進めることで、より優れた6年制薬学教育を展開されることを期待する。
大学への提言
高崎健康福祉大学 大学への提言1)長所1. 学生の経済的支援は、成績優秀者への特待生制度とともに、大学、後援会が、経済的困窮度を十分に考慮した奨学金制度が独自に設けられているなど評価できる。(9.学生の支援)2. 身体に障がいのある者に対する施設・設備上および学修・生活上の支援体制の整備に努めている。(9.学生の支援)3. 「群馬県薬学ネットワーク」を通じて、地元の薬剤師会が「共同研究の提案・実施、研究活動の場の提供」や「アカデミックとの連携の強化」などを高崎健康福祉大学に期待していることがわかり、「群馬薬学ネットワーク健大研究助成金」を設立していることは、評価できる。(12.社会との連携)4. ホーチミン医科薬科大学とは国際交流と並行しながら、日本とベトナムの薬学領域における科学技術の更なる発展を目指した創薬分野における学術交流も開始されている。(12.社会との連携)2)助言1. 教育目標は、学則にも明記することが望まれる。(1.教育研究上の目的)- 32 -2. 教育研究上の目的について定期的な検証が望まれる。(1.教育研究上の目的)3. 定期的にカリキュラムのチェックや見直しを行うシステムの効果的な運用が望まれる。(2.カリキュラム編成)4. 6年次前・後期の単位外の講義が、任意参加で正規の授業時間中に実施されることは、学生間での公平性と卒業研究を始めとする他の科目の実施時間に対する影響が懸念され、このようなカリキュラムは改善が望まれる。(2.カリキュラム編成)5. 「ボランティア・市民活動論」(LAH006)、「人間関係論」(LAH008)などを含む合計20科目の選択科目が1年次前期と後期に開講されているが、一部重複する時間割編成があるので、時間割を工夫することが望まれる。(3.医療人教育の基本的内容)6. 基本的なコミュニケーション能力の醸成のために、「キャリア形成論」や「チーム医療アプローチ論」が設定されているが、履修者が少なく十分に活用されているとは言えないので、工夫が望まれる。(3.医療人教育の基本的内容)7. 「評価医療科学」は必修科目にすることが望まれる。(3.医療人教育の基本的内容)8. オムニバス科目についてどの項目をどの担当教員が行うのかシラバスに明記することが望まれる。(4.薬学専門教育の内容)9. 個々の科目について、基礎と臨床の知見を相互に関連付けることに配慮してシラバスに記載することが望まれる。(4.薬学専門教育の内容)10. 大学独自の薬学専門教育は、より充実させることが望まれる。(4.薬学専門教育の内容)11. 一次救命処置の技能に関しては2年次までに行うことが望まれる。(5.実務実習)12. 薬学部としての卒業論文作成のための基本方針や作成要領を示すことが望まれる。(6.問題解決能力の醸成のための教育)13. 「卒業研究」以外の問題解決能力を醸成するための科目の一部が選択科目であり、これを必修科目とすることが望まれる。(6.問題解決能力の醸成のための教育)14. 問題解決能力の醸成に向けた取り組みの実質的な実施時間数を卒業要件単位数の1/10にあたる18単位以上にすることが望まれる。(6.問題解決能力の醸成のための教育)15. 問題解決能力の醸成に向けた教育を体系的に行うことが望まれる。(6.問題解決能力の醸成のための教育)16. 各授業科目において、評価方法が曖昧なものがあるので、修正することが望まれる。(8.成績評価・進級・学士課程修了認定)17. 成績評価に出席点を加味している科目があるので、改善が望まれる。(8.成績評価・- 33 -進級・学士課程修了認定)18. 体系的・総合的な6年間の学習成果を測定するための指標を設定することが望まれる。(8.成績評価・進級・学士課程修了認定)19. 再試験の実施は担当教員の判断に委ねられており、実施しない科目があるのは、学生にとって不平等であるので改善が望まれる。(8.成績評価・進級・学士課程修了認定)20. 授業負担が大きい助教に対して、研究時間を充分確保することが望まれる。(10.教員組織・職員組織)21. 学生数に応じた適切な講義室、実験研究室および自習室など快適な学習環境スペースの整備が望まれる。(11.学習環境)22. 電子ジャーナルとデータベースの需要は高まる一方と思われるので、その充実が望まれる。(11.学習環境)23. 英語のホームページはあるが、学部紹介にとどまっており、各講座の研究内容や教員の業績に関する情報も英文化し一層の充実が望まれる。(12.社会との連携)24. 教職員の国外留学制度を整備し、国際的な交流を推進することが望まれる。(12.社会との連携)25. 薬学部の自己点検・評価を毎年継続的に実施することが望まれる。(13.自己点検・評価)26. 薬学部の自己点検・評価に、外部評価委員を加えることが望まれる。(13.自己点検・評価)27. 薬学部の自己点検にかかわる資料の公開が望まれる。(13.自己点検・評価)3)改善すべき点1. 「教育研究上の目的」には、教育方針の記述はあるものの研究方針に関する具体的な記述がないので、教育研究上の目的に研究方針を加えて記載する必要がある。(1.教育研究上の目的)2. ヒューマニズム教育・医療倫理教育において、総合的な目標達成度を評価するための指標を設定し、それに基づいて適切に評価する必要がある。(3.医療人教育の基本的内容)3. コミュニケーション能力・自己表現能力の醸成教育において、総合的な目標達成度を評価するための指標を設定し、それに基づいて適切に評価する必要がある。(3.医療人教育の基本的内容)- 34 -4. 薬学教育モデル・コアカリキュラムのSBOsが記載されていないのが大学独自の科目というのはわかりにくいので、大学独自であることを明記する必要がある。(4.薬学専門教育の内容)5. 問題解決能力の醸成のための教育について、目標達成度を評価するための指標を設定し、それに基づく適正な評価が必要である。(6.問題解決能力の醸成のための教育)6. 各学年の進級率は、平成25年度以降改善しているが、卒業率は、年々低下している。これは、安易に進級させ最終学年で厳しくしていることも考えられる。さらに受入学生の学力を担保するためには、入学者の基礎学力を適確に評価する必要がある。(7.学生の受入)7. 各科目について、個々の評価方法の最終成績に対する寄与率をシラバスに明記する必要がある。(8.成績評価・進級・学士課程修了認定)8. 卒業研究に試験を課すことは極めて重大な問題であり、改善する必要がある。(8.成績評価・進級・学士課程修了認定)9. 「卒業研究」の単位認定に「卒業関連試験の成績を加味しないようにする制度を、平成28年度入学生からではなく、在学生にも適用するように改善が必要である。(8.成績評価・進級・学士課程修了認定)10. 緊急時などにおける連絡網や危機管理体制、危機管理マニュアル、防災マニュアルの整備が必要である。(9.学生の支援)11. 薬学部としての具体的なFD活動(全教員が参加する)を行う必要がある。(10.教員組織・職員組織)12. 薬学部独自の自己点検と十分な評価を行った後、新たなプランを策定し行動に移す明確なPDCAサイクルを構築すべきである。(13.自己点検・評価)13. 6年制薬学教育プログラムの自己点検・評価結果を教育研究活動に反映させるための組織体制を整備する必要がある。(13.自己点検・評価)
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| 第1期 |
2017年度 |
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1:提言 改善報告審議結果 |
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| 帝京大学 | 私 | 東京都 | 第1期 | 2017年度 | 適 |
自己点検・評価書 基礎資料 正誤票 |
評価報告書
総評
帝京大学 総評帝京大学薬学部は、「高度の専門知識・技能と豊かな人間性を基盤とした実務実践力に加えて、研究心や課題発見・問題解決能力、自己研鑽能力があり、医療チームや地域社会において信頼される薬剤師として、広く社会に貢献できる人材を育成することを目的とする。」という教育研究上の目的の下に、入学者受入の方針(アドミッション・ポリシー)、教育課程の編成・実施の方針(カリキュラム・ポリシー)、学位授与の方針(ディプロマ・ポリシー)を設定し、医療を取り巻く環境ならびに社会の薬剤師に対するニーズを反映した薬学教育を行っている。カリキュラムは、カリキュラム・ポリシーに従って構築されており、平成 26 年度以前は旧薬学教育モデル・コアカリキュラム、平成 27 年度以降は改訂薬学教育モデル・コアカリキュラムにそれぞれ対応したものとなっている。特に、ヒューマニズム教育・医療倫理教育が1年次から5年次まで順次性あるらせん型を意識して学年進行形で構築・体系化して行われていることは評価できる。また、薬学部・医学部・医療技術学部の医療系3学部を持つメリットを活かして合同教育が行われており、チーム医療と多職種連携について学ぶ機会を提供する教育として評価できる。教養教育は総合大学の特色を活かして、医療人教育の基盤となる幅広い内容のプログラムを提供している。語学教育も医療関係の英語も含めた英語力の育成教育が実施され、また準備教育、医療安全教育も効果的に実施されている。薬学専門科目では、基礎から専門性の高い領域への順次性、基礎的な知識の習得から実験実習への順次性と相互効果性、薬学基礎科目から臨床薬学科目や専門科目への順次性など、科目間の関連を配慮したカリキュラムが編成されている。薬学共用試験も適切に実施されている。実務実習事前学習、実務実習も適切な体制の下で実務実習モデル・コアカリキュラムに沿って適正に実施されている。卒業研究は、期間的には4年次1月~卒論発表会のある6年次8月までの実質9か月程度であり、卒業研究発表会での発表、卒業論文の提出を必須としている。学生の受入は、アドミッション・ポリシーに基づいて行われており、入学定員数に対す- 2 -る入学者数にも問題はない。成績評価・進級判定・学士課程修了認定は、ディプロマ・ポリシーに基づいて公正かつ厳格に行われている。学生への履修指導や学習指導は担任制度や薬学教育研究センターを利用して適切に行われており、大学独自の奨学金制度を含めた学生への経済的支援体制、キャリアサポートセンターなどによる就職支援の体制も整っている。また、学生の健康維持、心身的な支援などの体制、ハラスメント対応も整っている。専任教員は各専門分野において研究・教育に優れた実績を有するものが配置されており、教員数、実務家教員数も大学設置基準を十分満たしている。教員の採用、昇進は、規定に基づいて、研究業績のみに偏ることなく、教育・研究能力や人物像を評価して行われている。また、講義室、実習・演習のための実験実習室、実務実習事前学習のための薬学部多目的実習室、情報処理演習室(PCルーム)、動物実験施設、RI教育・研究施設、薬用植物園、医療系3学部を対象とした医学総合図書館など、いずれも充実しており、学習環境は大変優れている。また、全講義をビデオ収録する講義視聴システムにより学生が自主的、効果的に学習できるシステムが構築されている。FD(Faculty Development)活動も十分行われている。社会との連携として、地域の薬剤師会・病院薬剤師会などとの連携を図っている。また、生涯学習プログラムとして帝京薬学会を毎年開催し、薬剤師の資質向上を図るための機会を提供している。さらに、薬学教育PDCA推進室が主導して、教育プログラムに対する自己点検・評価、その結果の教育研究活動への反映も行われている。以上のように、帝京大学薬学部の薬学教育プログラムは、本機構の評価基準におおむね適合していると判断される。しかし、以下のような問題点が挙げられ、改善が必要である。(1)「総合演習講義」、「薬学総合演習」においては、単位数に対して授業数が少ないので、単位数と授業数との整合性をとることが必要である。(2)受験準備教育が多く設定され、選択科目や独自科目の時間数が制限されているので、受験準備教育の時間数を減らすことが必要である。(3)ヒューマニズム教育・医療倫理教育、コミュニケーション能力・自己表現能力の醸成教育、実務実習事前学習、および問題解決能力を醸成する教育において、それぞれ総合した目標達成度の指標を設定し、それに基づいた適切な評価を行う必要がある。(4)薬剤師国家試験対策の講義・演習による卒業研究の時間的圧迫を改善することが必- 3 -要である。(5)入学試験と入学後の修学状況との相関性などの解析を進め、入試制度の妥当性を評価し、入学試験の適正化のための検討が必要である。(6)再試験受験資格についての基準を明示することが必要である。(7)教育プログラムの自己点検・評価の継続的な実施とその結果の公開が必要である。帝京大学薬学部は、本評価での改善すべき点、助言を踏まえ、積極的に改善に取り組み、薬学教育のさらなる向上に努めることが望まれる。
大学への提言
帝京大学 大学への提言1)長所1. 医療人として生命に関わる薬学専門家に相応しい行動を身につけるために、ヒューマニズム教育・医療倫理教育が順次性あるらせん型を意識して学年進行形で構築・体系化して行われていることは評価できる。(3.医療人教育の基本的内容)2. 全ての入試区分において面接が実施されている。(7.学生の受入)3. 担任の学生との面接時に収集された情報は「担任面接シート」に記載され、「担任面接シート」は、退職等で担任が変更される場合は必ず、研究室配属時には必要に応じて配属先研究室に伝達され、学生の継続的な指導が可能となっている。(9.学生の支援)4. 全講義は自動収録されており、学生はキャンパス内のPCルームまたは図書館で収録講義を閲覧することができ、学生が自主的に学習するシステムが構築されている。(11.学習環境)2)助言1. 新任教員に対して、カリキュラム・ポリシーとディプロマ・ポリシーとの関連やカリキュラムの概要などを十分に説明することが望まれる。(2.カリキュラム編成)2. 教養科目として24科目の選択科目があり、その中から4単位以上の修得が求められているが、必要単位がやや少ないので、増やすことが望まれる。(3.医療人教育の基本的内容)3. 卒後研修会である「帝京薬学会」への参加を薬学部在学生に促しているが、現在は在学生が参加しにくい日程で開催されており、在学生の参加が極めて少ないので、改善が望まれる。(3.医療人教育の基本的内容)4. 基礎資料3において、4年次と6年次に設定された受験準備教育の要素が強い科目である「特論」や「総合講義」でのみ取り扱われているSBOsが散見されるので、すべてのSBOsが通常の科目内で教育されることが望まれる。(4.薬学専門教育の内容)5. 基礎実習(Bカリ)の時間数が少ないので、各実習間の内容と実施時間を調整することが望まれる。(4.薬学専門教育の内容)6. 学外の人的資源を多数利用しているが、その具体的な記載がないので、シラバスに記載することが望まれる。(4.薬学専門教育の内容)- 39 -7. 実務実習事前学習は2年次から5年次の12科目(146コマ)で構成されているが、これら12科目のうち、シラバスに事前学習であることが示されているのは4年次の「薬学実習8、9」の2科目だけなので、他の科目のシラバスにも「実務実習事前学習」を構成している科目であることを記載することが望まれる。(5.実務実習)8. 実務実習の評価において、成績評価項目を複数設定し、多面的に評価しているが、各項目に最低点が定められており、各項目がすべて最低点であっても合計すると合格基準の60%を超えるように設定しているので、評価を複数の観点から行うという趣旨に合っておらず、改善が望まれる。(5.実務実習)9. 卒業研究の学生の研究室・センターへの配属数が指導教員数の多少(1名~6名)に係わらずほぼ一定であることから、研究室によっては教員1名が 26 名の学生(4年次~6年次)の指導を行なっている場合があり、学生に対する卒論実習の指導が十分かつ均等に行われているとは言えないので、改善が望まれる。(6.問題解決能力の醸成のための教育)10. 指定校制の推薦入試においては「基礎能力適性検査」が実施されておらず、調査書に基づく評価で代替しているため、入学後の教育に求められる基礎学力を的確に評価できていない懸念があるので、改善することが望まれる。(7.学生の受入)11. シラバスの成績評価・基準の項の但し書きの中に変動する要因が記載されている場合があり、ダブルスタンダードと判断されるので、改善が望まれる。(8.成績評価・進級・学士課程修了認定)12. 成績評価項目が複数あるにも関わらず、出席点が60%になっていて出席だけで単位が取得できる科目があり、評価方法や評価観点を複数設けるという評価の趣旨に合っていないものがあるので、改善が望まれる。(8.成績評価・進級・学士課程修了認定)13. 総合的な学習成果の測定は行われていないので、測定するための指標を設定することが望まれる。(8.成績評価・進級・学士課程修了認定)14. 薬学実習の指導体制はおおむね教員1名当たり学生25~40名程度であり、やや多いので、改善が望まれる。(9.学生の支援)15. 防災避難訓練について、平成26年度以前に入学した学生には実施しておらず、教職員は一部のみが訓練に参加している状況であるので、改善が望まれる。(9.学生の支援)16. 薬学部教員への危機管理マニュアルの周知徹底が不十分であるので、改善が望まれ- 40 -る。(9.学生の支援)17. 専任教員1名あたりの学生数は23.6名と多いので、改善が望まれる。(10.教員組織・職員組織)18. 教員の採用および昇任について教授会の関与が望まれる。(10.教員組織・職員組織)19. 研究活動については、各教員が専門分野をさらに探求するため、学会発表や論文執筆などを積極的に行っているが、少数であるが、学会・論文発表がない教員がいるので、改善が望まれる。(10.教員組織・職員組織)20. 多くの教員、学生に留学の機会を提供できるような国際交流プログラムを準備することが望まれる。(12.社会との連携)21. 薬学部の自己点検・評価を行う組織に外部委員は含まれていないので、改善が望まれる。(13.自己点検・評価)3)改善すべき点1. 「総合演習講義」、「薬学総合演習」においては、単位数に対して授業数が少ないので、授業数に合わせて単位数を削減するよう改善すべきである。(2.カリキュラム編成)2. AカリとBカリにおいては、薬学共用試験や薬剤師国家試験に向けた受験準備教育が多く設定され、選択科目や独自科目の時間数が制限されているので、受験準備教育の時間数を減らすように改善することが必要である。(2.カリキュラム編成)3. ヒューマニズム教育・医療倫理教育について、 各科目の学習成果を総合した目標達成度の指標を別途設定し、それに基づいた適切な評価を行う必要がある。(3.医療人教育の基本的内容)4. コミュニケーション能力・自己表現能力の醸成教育について、各科目の学習成果を総合した目標達成度の指標を別途設定し、それに基づいた適切な評価を行う必要がある。(3.医療人教育の基本的内容)5. 「態度」を修得させるSBOsを含んでいる科目で、その学習方法が適切でない科目があるので、これらの科目においては適切な学習方略となるよう修正が必要である。(4.薬学専門教育の内容)6. 「技能」の修得を必要とするSBOについて、シラバスでは実施を確認できないものがある。未実施のものは実施するように改善すべきであり、実施しているがシラバス- 41 -に記載がない場合は記載方法を改善することが必要である。(4.薬学専門教育の内容)7. 教育内容や学習方略に独自性のある科目もあるが、薬学教育モデル・コアカリキュラムに設定されたSBOs以外の大学独自の到達目標の設定には至っておらず、大学の教育研究上の目的に基づいて設定された大学独自の特徴ある薬学専門教育が充実されるよう、改善が必要である。(4.薬学専門教育の内容)8. 方略に独自性を持つ科目においては、その独自性がシラバスで確認できるよう、シラバスへの記載方法を改善することが必要である。(4.薬学専門教育の内容)9. 実務実習事前学習において、事前実習全体としての目標達成度を評価するための指標は設定されておらず、指標を設定して適切に評価する必要がある。(5.実務実習)10. 薬剤師国家試験対策の講義・演習のために卒業研究の時間が短縮されているので、改善が必要である。(6.問題解決能力の醸成のための教育)11. 問題解決能力の醸成に向けた教育について、関連科目を総合して評価するための指標の設定とそれに基づいた評価はなされていないので、改善が必要である。(6.問題解決能力の醸成のための教育)12. 各学年に一定数の留年者や退学者が存在していることは、入学試験における能力や適性の評価に不適確な部分があることを示唆しているので、入学試験と入学後の修学状況との相関性などの解析を進め、入試制度の妥当性を評価し、入学試験の適正化のための検討が必要である。(7.学生の受入)13. 再試験受験資格の基準が明示されていない科目があるので、改善が必要である。(8.成績評価・進級・学士課程修了認定)14. 基礎系の実験実習に必要な安全教育について、一部の実習書の記載に不備があるので、改善が必要である。(9.学生の支援)15. 卒業研究(「卒論実習」)に必要な安全教育について、各研究室における実施状況を確認できる資料がないので、安全教育を行った記録を保管することが必要である。(9.学生の支援)16. これまで自己点検・評価が継続的に行われていないので、6年制薬学教育プログラムの自己点検・評価を継続的に行い、その結果を公開することが必要である。(13.自己点検・評価)
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1:提言 改善報告審議結果 |
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自己点検・評価書 基礎資料 |
評価報告書
総評
東京大学 総評東京大学薬学部薬学科は、東京大学および同大学薬学部の教育研究上の理念と目的に基づいて、「薬学がカバーすべき広範な基礎科学の教育に加え、病院や薬局での実務教育を通じて高度で実践的な医療薬学の知識と技術を身に付けた薬剤師資格を有する医療従事者、研究者を輩出する教育・研究を行う」を「教育研究上の目的」とする6年制薬学教育を行っている。東京大学では、リベラル・アーツの理念に基づいて特定の専門に偏らない幅広い知識と教養を身につけさせることを目的とした教養学部における前期課程教育が行われており、薬学部への進学が内定した学生は、2年次後期から教養学部に所属した状態で薬学の専門教育を受けることになる。薬学専門教育は、「薬学教育モデル・コアカリキュラム」の到達目標を網羅した、化学系、物理系、生物系、医療系および衛生・社会系の専門科目の授業が、系ごとに学年の進行に従って高度化すると同時に適切なバランスで学習できるカリキュラムとなっており、多くの講義科目を2年次後期に集中させ、3年次以後は学年進行に伴い講義科目が減って実習科目が増し、4年次には臨床的内容の教育へと移行する科目配置となっている。また、上述した教育制度のため、医療人教育の基礎としてのヒューマニズム教育・医療倫理教育やコミュニケーション能力および自己表現能力を身につけるための教育は2年次後半以後に行われ、早期体験学習は3年次に実施している。東京大学では3年次までは学科所属を決めずに薬学部としての専門教育を行い、薬学科の学生だけを対象とする授業は4年次以降に行われているが、先に述べたように薬学専門教育のカリキュラムは適切である。実務実習は、4年次の11月から「薬学実務実習Ⅱ(事前学習)」、「薬学実務実習Ⅲ(病院実習)」、「薬学実務実習Ⅳ(薬局実習)」の順に行われ、それら科目の内容は「実務実習モデル・コアカリキュラム」に沿っている。卒業研究は「薬学実習Ⅵ(4~5年次)」と「薬学卒業実習(6年次)」で構成され、後者の終了後に卒業論文を提出している。卒業研究の評価は、「研究倫理・規則等の遵守」、「発表会での発表と質疑応答」、「卒業実習論文の内容」に関するルーブリック評価表を用いて行われ、問題解決能力の向上が適切に評価されている。- 2 -入学者の選考は教養学部で行われ、薬学部への進学を志望する学生の選考は、教養学部における成績に基づき2年次の10月に行われる。また、薬学科への進学希望者に対する選考は4年次への進級時に行われ、薬学専門科目の成績に教養学部における成績をも加味して学力を総合的に評価するとともに、薬学科への志望動機を評価する面接試験が行われる。精神的・身体的な健康状態を含めた学生へのサポート体制は、全学組織として複数用意されている。図書館をはじめ学習環境は整っており、研究活動のための施設、設備も整備されている。薬学部薬学科の専任教員は、各専門分野について研究・教育に優れた実績を有するものが配置されており、教員数は実務家教員を含めて大学設置基準を満たしている。専任教員の授業科目への配当や職階や年齢のバランスもおおむね適正である。専任教員の職位や年齢の構成には著しい偏りはない。東京大学薬学部は、研究活動を中心として国際交流の活性化を積極的に行っている。また、特定非営利活動法人 「医薬品ライフタイムマネジメントセンター」を立ち上げ、「育薬セミナー」を通して薬剤師に生涯学習の機会を提供するとともに、災害時に備えた服用薬の情報の管理を解説した一般市民向けの冊子の作成・配布を通して、地域における保健衛生の保持・向上につながる支援活動などを積極的に行っている。以上のように、東京大学薬学部薬学科の6年制薬学教育プログラムは、本機構の評価基準におおむね適合していると判断される。しかし、現状では以下のような問題点が挙げられるので、改善が必要である。(1)ヒューマニズム教育・医療倫理教育、及びコミュニケーション能力の育成を目的とする教育の授業を、グループ討議等の能動的な学習方法を積極的に用いるものに改善する必要がある。(2)ヒューマニズム教育・医療倫理教育、並びにコミュニケーション能力の育成を目的とする教育において、それぞれの学修成果を総合して目標達成度を評価する指標を設定し、適切な評価を行う必要がある。(3)3年次に自由参加で実施している東京大学医学部附属病院の見学を含めて、薬学教育モデル・コアカリキュラムの「早期臨床体験」に準拠した教育の内容を充実させ、薬学科進学者には必修化する必要がある。(4)シラバスの記載内容や到達目標に適した学習方略がとられていないことなど、シラバスと授業内容との対応に不備が見られるので、それらの見直しが必要である。(5)現在検討が進められている「研究」、「医療」の各領域で指標を設定して目標への到- 3 -達度を測定する取り組みを発展させ、問題解決能力の醸成に関する総合的な達成度を評価できるものに改善することが必要である。(6)「教育研究上の目的」を実現できるよう、適切な評価項目を設定して6年制薬学教育プログラムを恒常的に自己点検・評価する組織を編成し、定期的かつ継続的に自己点検・評価する体制を構築することが必要である。東京大学薬学部薬学科には、本評価の提言を踏まえ、積極的に改善に取り組むことによって、6年制薬学教育がさらに優れたものとなることを期待する。
大学への提言
東京大学 大学への提言1)長所1. 2年間の前期課程の教養教育では、社会のニーズに応じた幅広い教養教育プログラムが提供されている。(3.医療人教育の基本的内容)2. 学部の規模に比して多くの蔵書や広い閲覧室をもち、閲覧室の利用は年末年始・休日の休館日も含めて 7:30~23:00 と十分確保されているなど、図書館機能が充実している。(11.学習環境)3. 特定非営利活動法人 医薬品ライフタイムマネジメントセンターを立ち上げ、「育薬セミナー」を通して薬剤師に生涯学習の機会を提供するとともに、災害時に備えた服用- 30 -薬の情報の管理を解説した一般市民向けの冊子の作成・配布を通して、地域における保健衛生の保持・向上につながる支援活動などを積極的に行っていることは評価できる。(12.社会との連携)2)助言1. 薬学部の「教育研究上の目的」の中では「高度医療を担う薬剤師の養成」と謳っているにもかかわらず、薬学科の「教育研究上の目的」では医療人の育成に欠くことができない『態度』に関わる教育に言及していないので、薬学科の「教育研究上の目的」を改訂することが望ましい。(1.教育研究上の目的)2. 「カリキュラム・ポリシー」を「薬学部便覧」、「授業内容」、「薬学部パンフレット」などの印刷物にも記載して周知を図ることが望まれる。(2.カリキュラム編成)3. ヒューマニズムおよび医療倫理教育に体系性を持たせるよう、それらを目的とする科目の関連性を明確にした体系的な教育とすることが望ましい。(3.医療人教育の基本的内容)4. 3~6年次の後期課程教育に、医療現場で薬剤師が必要とする語学力の育成を目的とする科目を設け、医療人に必要な語学力を養う教育を体系的に行うことが望ましい。(3.医療人教育の基本的内容)5. 留年生に対して、上位学年配当の授業科目の履修を制限する制度を設けることが望ましい。(8.成績評価・進級・学士課程修了認定)6. 教育研究上の目的に基づいた教育における総合的な学習成果を測定する指標を設定し、それに基づく適切な評価を行うことが望ましい。(8.成績評価・進級・学士課程修了認定)7. 授業評価アンケート結果の学生へのフィードバックに関しては、アンケート結果によって教員が行った授業改善の内容が学生に説明されていないなど、不十分なので、学部として組織的にフィードバックを行うことが望まれる。(10.教員組織・職員組織)8. 自己点検・評価を行う組織の中に外部委員が含まれていることが望ましい。(13.自己点検・評価)3)改善すべき点1. ヒューマニズム教育・医療倫理教育を目的とする授業、コミュニケーションの基本的能力の教育を目的とする授業を、グループ討議等の能動的な学習方法を積極的に用い- 31 -る内容に改善する必要がある。(3.医療人教育の基本的内容)2. ヒューマニズム教育・医療倫理教育において、関連科目の学修成果を総合して目標達成度を評価する指標を設定し、適切な評価を行う必要がある。(3.医療人教育の基本的内容)3. コミュニケーション能力を育成する教育において、関連科目の学修成果を総合して目標達成度を評価する指標を設定し、適切な評価を行う必要がある。(3.医療人教育の基本的内容)4. 東京大学医学部附属病院の見学が3年次に希望者を対象としているため、現在の薬学科在籍者には、この見学に参加していない学生が含まれている。新しい薬学教育モデル・コアカリキュラムの「早期臨床体験」の趣旨に合わせた内容の充実と薬学科進学者に対する必修化が必要である。(3.医療人教育の基本的内容)5. 学生に学習内容をより具体的に伝えるためには、シラバスには各回の授業担当者や授業方法とともに、授業内容と対応する到達目標を明記する必要がある。(4.薬学専門教育の内容)6. 技能や態度を修得する到達目標を含む科目の学習方略が講義になっているなど、学習領域に適した学習方法を用いて授業が行われていない科目が見られるので、到達目標の学習領域に適した学習方法を用いた教育を行う必要がある。(4.薬学専門教育の内容)7. 「東大独自の薬学専門教育に相当する内容」を含むと記載されている科目については、授業のどの部分が大学独自の教育であるのかをシラバスに明記する必要がある。(4.薬学専門教育の内容)8. 現在検討が進められている「研究」、「医療」の各領域で指標を設定して目標への到達度を測定する取り組みを発展させ、問題解決能力の醸成に関する総合的な達成度を評価できるものに改善することが必要である。(6.問題解決能力の醸成のための教育)9. 東京大学薬学部が行っている自己点検・評価は、外部評価を受審するために組織した委員会が、外部機関の評価項目に従って点検・評価しているに過ぎず、本基準が求める「6年制薬学教育プログラム」に対する自らの点検・評価が行われているとは言い難い。自らの「教育研究上の目的」を実現できるよう、適切な評価項目を設定して6年制薬学教育プログラムを恒常的に自己点検・評価する組織を編成し、定期的かつ継続的に自己点検・評価する体制を構築することが必要である。(13.自己点検・評価)
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| 第1期 |
2017年度 |
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1:提言 改善報告審議結果 |
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| 長崎大学 | 国 | 長崎県 | 第1期 | 2017年度 | 適 |
自己点検・評価書 基礎資料 正誤票 |
評価報告書
総評
長崎大学 総評長崎大学薬学部は、「長崎に根づく伝統的文化を継承しつつ、豊かな心を育み、地球の平和を支える科学を創造することによって、社会の調和的発展に貢献する」という長崎大学の理念を受けて、「「ヒトの健康を目指して」の標語のもと、医薬品の創製、医療、健康・環境に関する基礎および応用の科学を教育、研究すること、並びに「くすり」の専門家として社会的使命を遂行し得る人材の養成を以て社会に貢献する」を薬学部の理念と定めている。薬学部は、薬学科(6年制)と薬科学科(4年制)から構成されている。薬学科は「医療薬学に関する高度の専門的知識及び技能・態度を修得させ、豊かな人格と高い倫理観を備えた薬学専門職者として社会に貢献しうる有為の人材を育成する」という教育研究上の目的に従って、アドミッション・ポリシー(入学者受け入れ方針)、カリキュラム・ポリシー(教育課程の編成・実施の方針)及びディプロマ・ポリシー(学位授与の方針)を設定し、教育に取り組んでいる。医療人として生命に関わる薬学専門家にふさわしい行動を身につけるための教育は1年次~4年次で、薬剤師としての倫理観、使命感、職業観を醸成するための教育は4年次~6年次で行われている。教養教育は、アクティブ・ラーニングを取り入れた全学モジュール科目、薬学領域の学修と強く関連する学部モジュール科目および語学教育を中心に充実した科目が配置されている。薬学専門教育に関しては、シラバスの記載も含めて一部に不備が認められるものの、おおむね薬学教育モデル・コアカリキュラムに準拠した内容になっている。実務実習は実務実習モデル・コアカリキュラムに準拠した教育目的に基づき、適切な方略に従って実施されている。卒業研究は5年次からの「医療薬学特別実習」に加えて、3年次後期から研究室に仮配属させることで、充実した教育を行っている。入学者選抜は入学者受け入れ方針に基づいて適切に行われている。進級判定がないため学生の在籍状況を資料から客観的に判断するのは困難であるものの、実質的な留年・休学・退学者は少なく、留年者や休学者への対応も適切になされている。ポートフォリオを利用した学生への履修指導や個別相談、経済的支援やキャリア支援、カウンセリングやハラスメント防止への体制も整っている。専任教員の配置やバランスは適切であり、リサーチ・- 2 -アドミニストレーターや下村脩博士ノーベル化学賞顕彰記念創薬研究教育センターの活動によって研究支援体制は充実している。施設・設備などの学習環境はほぼ良好であり、長崎県内の薬学系大学、薬剤師会、行政からなる長崎薬学コンソーシアムを結成し、長崎県における薬学教育の充実・発展に関した活動を行っている。自己点検・評価の組織としては薬学系評価委員会が組織され、薬学部の諸活動に対して自己点検・評価がなされており、平成 22 年には「自己評価 21」を実施している。以上のように、長崎大学薬学部の6年制薬学教育プログラムは本機構の評価水準におおむね適合していると判断できる。しかしながら、以下の諸問題については改善が必要である。(1)ヒューマニズム教育・医療倫理教育・コミュニケーション能力を醸成する教育を能動的参加型学習法に基づいて行う必要がある。(2)各回の授業内容への学習領域(知識・技能・態度)やSBO(Specific BehavioralObjective)の明示、大学独自科目の明示などシラバスの記載に不備が認められるので改善が必要である。(3)改訂・改訂前コアカリキュラム対応の科目において、6年次の「医療薬学総合演習」のみ、あるいは「医療薬学総合演習」と選択科目のみでカバーされているSBOが多数存在し、薬学教育モデル・コアカリキュラムに準拠しているとはいえないので、改善が必要である。(4)再履修にかかる「再試験」と考査にかかる「再試験」の区別が明確でないため、薬学部規程に定義した上で用いる必要がある。(5)6年制薬学教育プログラムを自己点検・評価し、その結果が教育研究活動の改善に活用される必要がある。長崎大学薬学部は、教養教育に多くの時間を割いており、また早期に研究室に配属されることで研究にも多くの時間を割いている。今後は今回提言された点を改善することにより、6年制薬学教育プログラムの更なる発展を期待する。
大学への提言
長崎大学 大学への提言1)長所1. 研究推進戦略本部および医歯薬学総合研究科に設置されたURAや下村脩博士ノーベル化学賞顕彰記念創薬研究教育センターの活動によって研究支援体制は充実している。(10.教員組織・職員組織)2. 長崎県内の薬学系大学、薬剤師会、行政の7団体からなる長崎薬学コンソーシアムを結成し、長崎県における薬学教育の充実・発展に関した活動を行っている。(12.社会との連携)2)助言1. 教育研究上の目的に「薬剤師の養成」を明記し、薬学科の目的を明確にするのが望ましい。(1.教育研究上の目的)2. 「教育研究上の目的」について定期的に検証するのが望ましい。(1.教育研究上の目的)3. 各授業科目とディプロマ・ポリシーとの関連を示したカリキュラム・マップを作成することが望ましい。(2.カリキュラム編成)4. ヒューマニズム教育・医療倫理教育を醸成する教育を体系的に行うことが望ましい。(3.医療人教育の基本的内容)5. 学部モジュール科目は薬学教育モデル・コアカリキュラムのSBOに対応した薬学専門教育科目であることから、教養教育科目ではなく薬学専門教育科目に分類するか、あるいは学部モジュール科目が薬学部の専門教育科目として位置づけられることを学生便覧に明記することが望ましい。(3.医療人教育の基本的内容)6. 一般目標、到達目標をシラバスに示す際の書式は統一する方が望ましい。(4.薬学専門教育の内容)7. 仮配属期間が1年半と長いため、授業科目に設定し教育を行うのが望ましい。(4.薬学専門教育の内容)8. 研究室仮配属方針は教授会決定ではなく、薬学部規程で規定するのが望ましい。(4.薬学専門教育の内容)9. 医療関係者・薬事関係者との交流体制の整備が6年制薬剤師教育へ直接的に関与して- 29 -いることが望ましい。(4.薬学専門教育の内容)10. 問題解決能力の醸成に向けた教育を体系的に実施することが望ましい。(6.問題解決能力の醸成のための教育)11. 実務実習の履修要件(資格)を規程として設定した上で、学生を適切に指導することが望ましい。(8.成績評価・進級・学士課程修了認定)12. 教育研究上の目的に基づいた6年間の教育プログラムを俯瞰したアウトカム評価のための指標を設定し、評価することが望ましい。(8.成績評価・進級・学士課程修了認定)13. 調剤実習室がある共用校舎にはエレベーターが設置されておらず、バリアフリーの面から設置するのが望ましい。(9.学生の支援)14. 教育研究体制や事務連絡体制の効率化を図る上で、坂本キャンパスへの集約が望ましい。(10.教員組織・職員組織)15. 教員間に授業担当時間数の隔たりあるので均等化を計ることが望まれる。(10.教員組織・職員組織)16. 自己点検・評価を行う組織に外部評価委員が含まれていることが望ましい。(13.自己点検・評価)3)改善すべき点1. 教育課程の編成および実施方針を明文化したカリキュラム・ポリシーを設定する必要がある。(2.カリキュラム編成)2. ヒューマニズム教育・医療倫理教育、コミュニケーション能力を醸成する教育を能動的参加学習法に基づいて行う必要がある。(3.医療人教育の基本的内容)3. ヒューマニズム教育・医療倫理教育、コミュニケーション能力を醸成する教育において、科目ごとに目標到達度を評価するための指標を設定し、それに基づいて適切に評価する必要がある。(3.医療人教育の基本的内容)4. ヒューマニズム教育・医療倫理教育、コミュニケーション能力を醸成する教育において、関連する科目を総合した目標達成度を評価するための指標を設定し、それに基づいて適切に評価する必要がある。(3.医療人教育の基本的内容)5. 「F-1:早期臨床体験」のうち、「地域の保健・福祉の体験に基づく討議」、「一次救命処置に関する知識・技能」が「薬学概論Ⅱ」の授業内容に網羅されていないので改- 30 -善が必要である。(3.医療人教育の基本的内容)6. 早期体験学習において、発表会、総合討論などの学習効果を高める工夫を行う必要がある。(3.医療人教育の基本的内容)7. シラバスの記載に以下の不備が認められので、改善が必要である。(4.薬学専門教育の内容)① 各回の授業内容の欄にSBOを示すことで、その日の授業を受けることでどのSBOを学習できるのかを示す必要がある。② シラバスの授業内容に到達目標の学習領域(知識・技能・態度)を明示する必要がある。③ 大学独自の薬学専門教育については、その科目あるいは科目の一部が大学独自であることをシラバスに明記する必要がある。8. 改訂・改訂前コアカリ対応の科目において、「医療薬学総合演習」のみ、あるいは「医療薬学総合演習」と選択科目のみで対応されているSBOが多数存在する。薬学教育モデル・コアカリキュラムに準拠しているとはいえないので、改善が必要である。(4.薬学専門教育の内容)9. 学習領域(技能・態度)に適した学習方法を用いるように改善する必要がある。(4.薬学専門教育の内容)10. 実習科目において、一部のSBOが実施されていないので改善が必要である。(4.薬学専門教育の内容)11. 「実務実習(事前実習)」の目標達成度を評価するための指標を設定し、それに基づいて適切に評価する必要がある。(5.実務実習)12. 学生の病院・薬局実習施設への配属決定の方法と基準は事前に学生に提示する必要がある。(5.実務実習)13. 「医療薬学特別実習」が始まる5年次に「医療実験計画法」と「科学英語」が演習科目として開講されている。これら演習科目は、独立した科目として評価するのであれば、統一した評価基準・指標を設定し、「医療薬学特別実習」との違いを事前に学生に説明したうえで評価する必要がある。(6.問題解決能力の醸成のための教育)14. 卒業研究を公正・適切に評価するために薬学科共通の指標を設定し、それに基づき複数教員(少なくとも1名は他研究室教員)で適切に評価する必要がある。(6.問題解決能力の醸成のための教育)15. 問題解決能力の醸成に向けた教育において、関連科目を総合してその達成度を評価す- 31 -るための指標を設定し、それに基づいて適切に評価することが必要である。(6.問題解決能力の醸成のための教育)16. 本試験後、成績確定までの間に行われる「救済試験」は、薬学部規程で規定した上で厳正に評価されるべきである。(8.成績評価・進級・学士課程修了認定)17. 再履修にかかる「再試験」と考査にかかる「再試験」の区別が明確でないので、薬学部規程に定義した上で用いる必要がある。(8.成績評価・進級・学士課程修了認定)18. 6年制薬学教育プログラムについて、適切な評価項目を定めて定期的に自己点検・評価する必要がある。(13.自己点検・評価)19. 6年制薬学教育の自己点検・評価の結果が教育研究活動の改善に活用される必要がある。(13.自己点検・評価)20. 6年制薬学教育の自己点検・評価結果をホームページなどで公表する必要がある。(13.自己点検・評価)
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| 第1期 |
2017年度 |
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1:提言 改善報告審議結果 |
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| 長崎国際大学 | 私 | 長崎県 | 第1期 | 2017年度 | 適 |
自己点検・評価書 基礎資料 正誤票 |
評価報告書
総評
長崎国際大学 総評(様式 17)薬学教育評 価評価報告書評価対象大学名 長崎国際大学薬学部(本評価実施年度)平成 29 年度(作成日)平成 30 年3月9日一般社団法人 薬学教育評価機構- 1 -Ⅰ.総合判定の結果長崎国際大学薬学部(6年制薬学教育プログラム)は、薬学教育評価機構が定める「薬学教育評価 評価基準」に適合していると認定する。認定の期間は2025年3月31日までとする。Ⅱ.総 評長崎国際大学薬学部薬学科は、大学の建学の理念である「人間尊重を基本理念に、より良い人間関係とホスピタリティの探求・実現並びに文化と健康を大切にする社会の建設に貢献する教育・研究」を実現することを目指し、「薬学に関する専門的知識・技能を修得し、医療薬学の分野で実践的に活動できる薬剤師を育成する」ことを目的とする6年制の薬学教育を行っている。カリキュラムは、薬学科の「教育課程の編成・実施の方針(カリキュラム・ポリシー)」に基づいて編成されているが、ヒューマニズム教育・医療倫理教育、教養教育、語学教育などの多くは長崎国際大学の全学共通科目として開講され、教育理念の「ホスピタリティ」を修得する「茶道文化」が必修科目として含まれている。薬学専門教育は、「薬学教育モデル・コアカリキュラム」に準拠しており、平成27年度からは改訂されたコアカリキュラムに対応する改訂も行われている。「実務実習」は、事前学習を含めてモデル・コアカリキュラムに準拠しており、薬学共用試験も厳正に実施されている。実務実習には薬学部全教員が担当教員として学生の指導に当たり、模擬患者は、長崎国際大学薬学部が設立したNPO法人で養成している。「卒業研究」は、5年次から6年次前期に行われ、卒業研究発表会と卒業論文により成果が報告され、主査と副査1名により評価される。卒業研究以外の問題解決能力の醸成に向けた教育は、グループ学習を取り入れた履修プログラムが低学年から高学年へ体系的に構成されている。入学者の選抜は、入学者受入方針(アドミッション・ポリシー)を定め、7種類の入学試験によって行い、一部の試験では面接や小論文を課して医療人・薬剤師としての適性の把握に努めている。学修成績の評価、進級判定、卒業判定は、関連する諸規程に基づいて厳正に実施されている。その結果として留年生が多くなっているが、それらに対しては、「薬学教育支援センター」が教育支援を行っている。学生への支援は、担任による勉学・生活指導、大学独自の奨学金による経済的支援、キャリアセンターによる進路支援が行われ、ハラスメント防止や障がい学生への配慮も十分である。さらに、「キャンパスライフ・- 2 -ヘルスサポートセンター」が、学生の心身の健康の保持・増進、学生生活における相談・支援を行っていることは評価できる。専任教員数は大学設置基準を満たしており、講師以上の専任教員は適切に配置されている。学習環境は十分整っており、実務実習事前学習のための実習室は充実している。また、社会との連携についても、「薬学研究センター」を設置して民間企業、医療機関等との共同研究・委託研究に取り組み、長崎大学、長崎県立大学との「多職種協働による在宅がん医療・緩和ケアを担う専門人材育成拠点」プロジェクトにも取り組んでいる。自己点検・評価では、「IRセンター」を開設するなど、大学として積極的に取り組んでおり、平成26年度に日本高等教育評価機構による機関別認証評価を受けている。以上のように、長崎国際大学薬学部薬学科の薬学教育プログラムは、本機構の評価基準におおむね適合していると判断される。しかし、以下に挙げる問題については改善を図ることが必要である。(1) 学則に掲げる「薬学科の目的」を、「長崎国際大学の理念」と「薬剤師養成教育に課せられた基本的な使命」および「薬学部に課せられた研究の使命」を踏まえた「薬学部の教育研究上の目的」に改訂することが必要である。(2) ヒューマニズム教育・医療倫理教育、コミュニケーション能力・自己表現能力の育成に関する教育、さらに問題解決能力の醸成を目指す教育のそれぞれについて、目標達成度を総合的に評価する体制を構築することが必要である。(3) 薬学専門科目において、到達目標の学習領域(知識・技能・態度)に適した学習方法を用いた授業が行われるよう、各科目の授業方法を再検討することが必要である。(4) 「卒業研究」が本来の目的を達成できるよう、まとまった研究時間を確保するための時間割などの見直しを行うと共に、学部全体での「卒業研究発表会」を開催することが必要である。(5) 基礎学力が不足すると思われる学生がやや多いので、入学者選抜の方法と体制を改善することが必要である。(6) 卒業の可否判定に直結する必修科目である「総合演習ⅢB」の合否を試験結果に基づく教授会審議で決定している制度は好ましくないので、早急に改めることが必要である。(7) 自己点検・評価の活動を、外部評価に対応するためではなく、薬学教育プログラム全体の教育研究活動の改善に向けた自主的な取組みに結びつけることができる体制を構築することが必要である。- 3 -長崎国際大学薬学部は、ホスピタリティの探求・実現を掲げ医療人としての薬剤師の育成に取り組んでいる。熱心な教育、充実した学生支援があるので、提言に挙げた点を改善することにより、さらなる発展を遂げることを期待する。Ⅲ.『中項目』ごとの概評1 教育研究上の目的本中項目は、おおむね適合水準に達しているが、「教育研究上の目的」の記述に懸念される点が認められる。長崎国際大学薬学部は、大学の建学の理念である「人間尊重を基本理念に、より良い人間関係とホスピタリティの探求・実現並びに文化と健康を大切にする社会の建設に貢献する教育・研究」を実現することを目指し、薬学部の教育研究上の目的を学則第3条の3で「薬学に関する専門的知識・技能を修得し、医療薬学の分野で実践的に活動できる薬剤師を育成する」と設定しているとしている。しかし、学則にある「学部の目的」(第3条の2)は全学部を包括したもの(内容は学部の設置目的)であり、「自己点検・評価書」で「薬学部の教育研究上の目的」としているものは、同条3「学科の目的」の(4)に対応するものであり、薬学部の「教育研究上の目的」は形の上からは定められていない。薬学部が薬学科のみで構成されていることから、「学科の目的」を「薬学部の教育研究上の目的」に相当すると考えるとしても、以下の問題点がある。すなわち、この「学科の目的」は、薬学教育の一般的な定義を述べているだけで、本評価の基準が求める「大学の理念ならびに薬剤師養成教育に課せられた基本的な使命に基づくもの」とは言えず、薬学部における研究に言及する記載もない。その一方で、『薬学部運営実務要諦 ―医療薬学のこれからを担う薬剤師の育成を目指して― 』には、「社会が求める質の高い薬剤師養成のための教育課程の配備」、「予防医学の観点からの薬剤師の新しい役割とその養成」、「高齢者医療、在宅医療の観点からの薬剤師の新しい役割とその養成」を目標として教育研究を行っているとの記載があり、学位授与の方針(ディプロマ・ポリシー)にも教育の目的に相当する内容が含まれている。これらの実態から判断すると、薬学部には「教育研究上の目的」に相当するものは確立されていると考えられるので、「長崎国際大学の理念」、「薬剤師養成教育に課せられた基本的な使命」、および「薬学部に課せられた研究の使命」を端的に表現する「教育研究上の目的」を策定して学則に明記するよう、早急に改善する必要がある。- 4 -上で指摘した問題点はあるが、「学部の目的」および「学科の目的」は学則に定められており、それらは「学生便覧」、「保護者会資料」に収載され、教職員、学生および保護者に周知されている。また、これらは、大学のホームページに掲載され、社会に対して公表されている。教育研究上の目的の検証は、ディプロマ・ポリシー、カリキュラム・ポリシー、およびアドミッション・ポリシーを毎年全学教育会議で検証することによって行っているとしている。しかし、3つのポリシーは「教育研究上の目的」に基づいて策定されるものであり、上記の説明は本末転倒であると言わざるを得ない。また、薬学部の「教育研究上の目的」の検証には薬学部の教育と研究に責任を負う薬学部教授会が主体的に関わることが望ましい。2 カリキュラム編成本中項目は、おおむね適合水準に達しているが、卒業研究と国家試験受験対策教育との時間配分に懸念される点が認められる。長崎国際大学薬学部薬学科はカリキュラム・ポリシーを以下の通りに設定している。・全学共通科目を通して、社会人・医療人・薬剤師として必要なホスピタリティの精神、基本的教養、及び「人間尊重」に基づく豊かな人間性を身につけます。・早期体験学習・臨床体験学習・ヒューマニズム教育等を通して、社会が求める医療人としての責任感、倫理観と豊かな人間性を修得します。・薬学教育専門科目を、順次性を持って学修することで、薬剤師に必要な知識と技能を効率よく修得します。・薬学実務実習を通して、幅広い薬剤師業務に必要な知識、技能、態度を修得します。・他学部と連携した高齢者医療・在宅介護に重点をおいた科目を通して、予防医学や地域医療に貢献できる薬剤師としての実践力を修得します。・薬学の専門知識と技能の融合を目的とした総合演習科目を通して、薬剤師としての実践力を修得します。・卒業研究を通して、深い専門性、研究する心と態度、問題発見・解決の能力、さらに後進の指導にあたる能力を修得します。カリキュラム・ポリシーについての検討は、薬学部教務委員会と薬学部教授会により行- 5 -われており、平成27年度から適用されているカリキュラム・ポリシーは、薬学部教授会、全学教授会の審議を経て決定されている。このように、カリキュラム・ポリシーは責任ある体制の下に設定されている。カリキュラム・ポリシーは「履修の手引」に記載され、学生向けのオリエンテーションで説明されている。また、教員に対しては、学部教授会で周知しているほか、薬学部FD委員会(FD:Faculty Development)主催の新任教員研修セミナーでも説明を行っている。カリキュラム・ポリシーは大学ホームページで公開し、広く社会に対し周知している。ただし、現在のホームページで確認できるカリキュラム・ポリシーは、平成29年度に改訂されたもので、薬学教育評価対象年度のものとは一部異なる。薬学部薬学科のカリキュラムは、平成18年度に設定された1次カリキュラムが平成24年度に改訂されて2次カリキュラムとなり、さらに平成27年度からは、改訂された薬学教育モデル・コアカリキュラムに準拠した3次カリキュラムが適用されている(基礎資料4)。しかし、薬学科のカリキュラムがカリキュラム・ポリシーに基づいて編成されていることについては、明確に説明されておらず、カリキュラム構成は、履修の手引きやシラバスに図式化されているものの、科目の設定やそれぞれの科目の配置とカリキュラム・ポリシーとの関係は説明されていない。薬学教育カリキュラムのうち、薬学共用試験あるいは薬剤師国家試験対策と推測される科目は、演習科目の「総合演習Ⅰ、Ⅱ、ⅢAおよびⅢB」である。これらの演習科目に配当されている単位数は合計8単位であり、卒業要件の192.5単位の4%である。しかし、演習計画一覧では、「総合演習Ⅰ」は115コマ、「総合演習Ⅱ」は74コマ、「総合演習ⅢA」は102コマ、「総合演習ⅢB」は60コマと設定されており、これら演習科目の合計コマ数は351コマ(12単位相当)となる。この実態に対しては、大学自身も「各総合演習においては、学生の学修レベルの向上を期待して、多くのコマ数を充てる結果となっている。」と自己点検・評価している。これによって、「卒業研究」の時間割上の設定が5、6年次の5限目や6限目に設定され、時間割上の学習時間配当が「卒業研究」より国家試験受験対策教育を重視したものになっていることから、学生に対して国家試験受験対策教育が卒業研究より重要であるという認識を与えることが懸念されるので、「卒業研究」の時間割上の配当を改善することが必要である。薬学教育カリキュラムの構築と必要に応じた変更については、2次カリキュラムおよび3次カリキュラムに関しては、薬学部教務委員会あるいは薬学部教務委員長を含む特別委員会にて原案が作成されて、薬学部教授会で審議され、全学教授会で決定されている。- 6 -3 医療人教育の基本的内容本中項目は、おおむね適合水準に達しているが、ヒューマニズム教育・医療倫理教育ならびにコミュニケーション能力および自己表現能力を育成するための教育に懸念される点が認められる。長崎国際大学薬学部における最新カリキュラムである3次カリキュラムでは、ヒューマニズム教育・医療倫理教育に対応する科目の多くが1年次の全学共通科目として開講されており、専門科目としての設定が少なく、授業内容も含めて薬学が必要とするこの領域の教育が十分とは言えない。また、2次カリキュラムでは2、3年次にこの領域に該当する科目が設定されていない。この様に、ヒューマニズム教育・医療倫理教育が、薬学教育が求めるものとして十分であるとは言い難いので、内容の充実を図ることが望まれる(基礎資料4)。医療全般を概観し、薬剤師としての倫理観、使命感、職業観を醸成する科目としている「教養セミナーA」、「教養セミナーB」、「生命倫理」、「治験コーディネート論」「臨床心理学」では、授業の一部に能動学習など効果的な学習方法を取り入れているとしているが、講義による教育が多く十分とは言えないので、学習方略の見直しが必要である。また、医療倫理教育科目と位置づけているにもかかわらず「治験コーディネート論」および「介護概論」は履修者がゼロであった (基礎資料1-6)。医療人として、患者や医療提供者の心理、立場、環境を理解し、相互の信頼関係を構築するために必要な教育に該当する科目としては、「在宅医療概論」、「総合基礎学習Ⅰ」、「介護概論」、「臨床心理学」などが挙げられているが、「総合基礎学習Ⅰ」以外は講義による授業であり、相互の信頼関係を構築するために必要な教育が効果的な学習方法を用いて行われているとは言えないので、学習方略の見直しが必要である。ヒューマニズム教育・医療倫理教育に対応するとしている上記の諸科目は、シラバスに評価方法、評価比率は明記されているが、評価指標は明確ではなく、「総合基礎学習Ⅰ」は、グループ学習を主な授業形態としているにもかかわらず評価が基礎学力確認試験となっているなど、評価方法が適切とは言えないものもある。また、ヒューマニズム教育・医療倫理教育の総合的な目標達成度の評価については、大学自身も「学修成果を総合した目標達成度の評価指標を策定する必要がある。」と指摘している(「自己点検・評価書」p12)ように、行われていない。ヒューマニズム・医療倫理教育、教養教育・語学教育、薬学専門教育の実施に向けた準- 7 -備教育、医療安全教育、生涯学習の意欲を醸成する教育を合わせた単位数は、2次カリキュラムで45.5単位、3次カリキュラムで51.5単位を必修としており、卒業要件(192.5単位)の1/5である38.5単位は上回っている(「自己点検・評価書」p13)。教養教育科目は、全学共通の科目として、人文、社会、自然科学の82科目が開講されており、大学が社会のニーズに応じているとしているものとしては「地域の理解と連携」、「在宅医療概論」および「学際連携研究」などが、グローバル化に対応する科目としては、「中国語」、「コリア語」、「フランス語」などがある。薬学科の学生は、これらの教養科目から30単位以上を修得することが卒業の要件になっている(基礎資料1-7)。しかし、教養教育科目の中には外国語科目や、薬学への接続教育となる化学、生物学、物理学、数学、統計学、コンピュータ演習なども含まれており、後述するようにこれらのかなりの科目が必修となっている。さらに、この大学が人間教育の柱としている「茶道文化」や導入教育と位置づける「教養セミナー」も必修となっており、教養教育科目として学生が選択できる幅はそれほど広くない。薬学教育と連携する教養教育科目としているものには、「基礎の化学」、「基礎の生物学」、「基礎の物理学」、「基礎の数学」があり、これらのうち3科目以上を1年次の選択必修科目とすることで、薬学の基礎となる物理系、化学系、生物系の専門科目の学習と関連付けて履修できるとしている。また、1年次必修科目の「統計学」は、3年次必修の学科専門科目「医療統計学」と関連する科目としている。以上のように、教養教育科目の多くが薬学専門教育への接続教育としての基礎教養科目として扱われており、いわゆる教養教育としての内容は充分ではない。また、カリキュラム編成上「教養教育科目」は、全学共通科目として設定されているため、上で指摘した必修科目を含めて、ほとんどが1年次に開講されており、薬学教育と連携するとしている「統計学」なども専門科目の「医療統計学」と関連付けた体系的な編成にはなっていない。医療人、薬剤師で欠くことのできないコミュニケーション能力を育成する教育として、「教養セミナーA」、「教養セミナーB」におけるSGD(Small Group Discussion)などによる基本スキルのトレーニング、「臨床体験学習」における相手の話を聞き、共感する態度の醸成を挙げている。「自己点検・評価書」(p16、表1、2)には、上記科目を含む約10科目のコミュニケーション教育科目が列挙されているが、これらの科目の多くがヒューマニズム・医療倫理教育とも重複し、4年次の「実務実習事前学習」がその半数程度を占めているなど、コミュニケーション能力の醸成教育に特化した専門科目は置かれていないので、コミュニケーション能力の醸成教育をさらに充実させることが望まれる。なお、- 8 -自己表現能力の養成を目指す教育については「薬学入門」でレポート作成を通して自分の考えや意見を適切に表現する能力を身につけ、「教養セミナーA、B」や2年次の「総合基礎学習Ⅰ」の一部である「臨床体験学習」、4年次の「実務実習事前学習」などのグループ討論で成果を発表するプレゼンテーションが行われているが十分とは言えない。以上のコミュニケーション能力および自己表現能力を育成する教育に関わる科目のシラバスには、到達目標、評価手段、方法、評価比率が記載され、それに基づく評価が行われているが、それら諸科目の成果を総合して、その目標達成度を評価することは行われていない。語学教育は、教養教育科目の「国際理解」として開講している「英語演習ⅠA・ⅠB~ⅣA・ⅣB」から「読む」、「書く」の要素を取り入れた授業を行う「A」と、「聞く」、「話す」の要素を取り入れた授業を行う「B」の双方から合計4単位を選択必修科目として履修し、「読む」、「書く」、「聞く」および「話す」の要素を学ぶようにしている(基礎資料5)。また、「英語演習ⅠA・ⅠB、ⅡA・ⅡB」ではネイティブ教員が配置されている。語学では他に、「中国語ⅠA・ⅠB・ⅡA・ⅡB」、「コリア語ⅠA・ⅠB・ⅡA・ⅡB」、「フランス語ⅠA・ⅠB・ⅡA・ⅡB」が選択科目として開講されているが、履修者は少ない。語学科目はセメスター制(A:前期、B:後期)で開講され、曜日に配慮した時間割編成となっており、「英語演習」は2年次まで履修できる時間割としている。また、英語に関しては、入学直後のプレイスメントテストによって、習熟度別の多クラス編成とし、履修の指導をオリエンテーションで実施している。医療現場に対応した語学力を育成する科目としては、薬学領域の研究に必要とされる専門分野特有の用語や表現を理解するための科目として「薬学英語」を開講している。この「薬学英語」では学習方法としてSGDも導入されている。「英語演習ⅠA・ⅠB~ⅣA・ⅣB」では医療現場に関連した内容を十分に取り入れており、医療の進歩に対応するために必要な語学力を身につけるための教育が行われていると言える。英語を中心とした1~3年次までの語学教育は、体系的に設定されている。薬学部では、推薦およびAO入試(AO:Admission Office)合格者を対象に「化学」、「物理」、「英語」の必須課題を大学から郵送し添削・指導を行っているほか、任意の外部通信教育の受講も勧めている。また、一般入試合格者には、予備校の通信教材を任意の受講として紹介している。入学直後には、理系科目の基礎学力テストを行い、その結果に基づき1年次の「基礎の化学」、「基礎の生物学」、「基礎の物理学」および「基礎の数- 9 -学」で、習熟度別クラスを開講している。定期試験では習熟度にかかわらず全クラスで同一問題としているが、レベルに応じた小テストの成績などを加味し、クラス間での評価の不公平感を除く努力を行っている。これらは、薬学専門教育への接続科目であり、4科目中3科目以上(6単位以上)が選択必修となっており、入学までの学修歴等を考慮した教育プログラムが準備されていると言える。早期体験学習は、1年次の「教養セミナーB」で実施し、全学生が病院薬剤部、保険薬局あるいは公的研究機関の各1施設を見学体験する。また、臨床体験学習は2年次の「総合基礎学習Ⅰ」で実施し、全学生がリハビリテーション病院での1日体験をするなど、薬剤師が活躍する現場を広く見学させている。早期体験学習の施設訪問後には、レポート提出やSGDおよびプロダクトの作成など、学習効果を高める工夫がなされている。薬害についての教育が、1年次必修科目の「薬学入門」および3年次選択科目(3次カリキュラムでは必修科目)の「医薬品情報論」で取り入れられている。また、4年次必修科目の「調剤学」では、調剤過誤とその防止対策について、「実務実習事前学習」では、薬剤師業務の中で起こりやすい事故事例とその原因、誤りを生じやすい投薬例、院内感染について学んでいる。「薬学入門」では薬害被害者を講師に招き、学生が薬害を肌で感じる機会が提供されている。また、国立病院機構の医療センター長を講師に迎え、医療安全における薬剤師の役割を考える機会を与えている。しかし、これらの機会だけでは十分とは言えず、医療問題に携わっている弁護士を講師に招くなど、学生が肌で感じる機会をさらに増やすことが望まれる。医薬品の安全使用については、必修科目の「薬物治療学Ⅰ」、「薬物治療学Ⅱ」、「病院薬学」および「医薬品安全性学」において、科学的な視点と客観的な判断力が養われるよう努めている。「薬学入門」や「実務実習事前学習」では、薬局薬剤師、病院薬剤師などが講師として参加している。また、「薬局経営学」(3年次必修科目)、「薬局管理学」(4年次選択科目)は、薬局開設者である薬剤師が講義を担当し、医療人としての社会的責任を果たす上で、医療の進歩や医療行政の変化に対応するために生涯学習が必要であることを聞く機会となっている。薬学部には生涯教育委員会が設置され、卒業生、地域の薬剤師並びに在学生を対象とした年1~2回の研修会が学内で実施されており、学生も参加しているが、参加人数の増加を図ることが望まれる。また、地域の薬剤師会主催の各種講習会に参加する機会があるとしているが、実態が確認できる資料がない。- 10 -4 薬学専門教育の内容本中項目は、おおむね適合水準に達しているが、シラバスの記載内容の一部に懸念される点が認められる。長崎国際大学薬学部薬学科の薬学専門教育カリキュラムは、平成26年度入学生までは、「薬学教育モデル・コアカリキュラム」および「実務実習モデル・コアカリキュラム」に準拠したものとなっており、すべての到達目標(SBOs:Specific BehavioralObjectives)が網羅されている(基礎資料3-1、基礎資料3-2)。また、平成27年度以降に入学した学生に対する薬学専門教育カリキュラムは、「平成25年度改訂版・薬学教育モデル・コアカリキュラム(新コアカリ)」に準拠するものに改訂されており、これもすべての到達目標が網羅されている(基礎資料3-3)。このカリキュラムによる教育は評価を実施した平成28年度には2年次までしか実施されていないが、3年次以降に開講が予定される科目の内容と新旧科目の対照表が「開講予定新規科目のシラバス」として示されており、新コアカリに準拠した教育を行うことが予定されていることが確認できた。長崎国際大学では、学習領域に「思考・判断」を加え、「知識・理解」(知識)、「技能・表現」(技能)、「関心・意欲・態度」(態度)と「思考・判断」の4領域としており、シラバスには、講義科目、演習科目、実習科目について記載できる範囲内で、4領域における学生の到達目標、評価方法・手段、評価比率を明記するとともに、学生に対して各科目の初回授業において当該授業と4領域の対応を説明するとしている。しかし、「技能」や「態度」の領域に関わる到達目標を講義科目に含めている例が多数みられ、それらの科目では多くの場合学習方法が「講義」のみになっている。「技能」や「態度」に関わる到達目標を達成するための学習を「講義」のみで行うことは不適切なので、授業科目に含まれている個々の到達目標に対する学習方略を再検討する必要がある。実験実習科目は、2年次前期から3年次後期に、必修科目として合計11単位(原則35時間で1単位)行っている。基礎系科目の授業では、基礎が臨床に繋がることを実感させるよう努めているとしており、「自己点検・評価書」に数科目の実例が記載されているが、シラバスの記載からは、そのような意図が明確に読み取れない。薬学関連の教養科目や薬学専門科目の授業担当者を見ると、「薬学入門」、「教養セミナーB」、「在宅医療概論」、「薬局経営学」、「薬局管理学」、「事前学習」において、学外からの人的資源の参加が確認でき、学生との交流体制が整備されていると言える。カリキュラムマップおよびカリキュラムツリーからは、薬学専門科目が科目間の関係を- 11 -配慮し、基礎から応用、臨床へと効果的に学修できるように配置されているとみることができる(基礎資料4)。しかし、シラバスやカリキュラムマップによる講義間や講義と演習・実習との関連性、連続性についての説明は、学生にとって必ずしも分かりやすい形になっているとは言えないので、授業科目の配置の意図を学生が正しく理解できる工夫が望まれる。大学独自の科目として、教育理念である「ホスピタリティ」の精神を修得する目的で、「茶道文化ⅠA」、「茶道文化ⅠB」、「ホスピタリティ概論」などが開講されている他、「在宅医療概論」、「地域の理解と連携」、「学際連携研究」等が設定されているとしている。しかし、これらの多くは全学共通科目として1年次に開講される科目であり、「教育理念」に基づく大学独自の科目ではあるが、本基準が求める「薬学部の教育研究上の目的に基づく大学独自の薬学専門教育」には当たらないので、大学独自の薬学専門教育に関わる科目を増やすことが望まれる。また、大学独自の薬学専門教育に関わる科目について、シラバスには独自科目であることが明記されていないので、学生に独自の科目であることが分かる記載にする必要がある。独自の薬学専門教育の開講時間は、時間割上での重複はないが、6年次に履修者のない科目が5つあり、受講生が5名以下の科目が2つある(基礎資料1-6)。この実態は、上級学年で開講している独自の専門教育科目(アドバンスト教育科目)がその役割を十分発揮していないことを示している。なお、大学独自の科目ではないが、「NICE(Nagasaki Intercollegiate Credit Exchange)キャンパス長崎」と呼ばれる長崎県内すべての大学および短期大学が参加した大学間単位互換制度で各大学が提供している特色ある授業科目を履修して、地域医療・在宅医療に関する専門教育を受けられるしくみは評価できる。5 実務実習本中項目は、適合水準に達している。長崎国際大学薬学部の「実務実習事前学習」は、実務実習モデル・コアカリキュラムの教育目標に準拠し、すべての到達目標を網羅しており(基礎資料3-2)、授業は5つのユニット(「調剤Ⅰ」、「調剤Ⅱ」、「生物薬剤」、「処方箋解析」、「総合実習」)から構成する合計151コマ(1コマ90分)と、基準のコマ数(122コマ)以上が確保されている(基礎資料6)。「実務実習事前学習」の講義・演習には講義室等を、実習には模擬薬局、模擬クリーンルームおよび模擬病室等を使用している。模擬薬局には薬局カウンター、調剤台、分包機、- 12 -全自動錠剤包装機、処方オーダリングシステムなど、模擬クリーンルームにはクリーンベンチ4台および安全キャビネット2台等が設置されている。また、模擬病室には模擬患者用ベッドやフィジカルアセスメント学習のためのシミュレーターを複数台設置しており、学習方法に適した場所、環境が用意されている。「実務実習事前学習」には、実務家教員5人(教授3人、准教授1人、講師1人)、臨床講師(非常勤)および模擬患者(SP:Simulated Patient)が関わる適切な体制が取られている。臨床講師は、この大学の薬学部が主催する講座を受講した勤務薬剤師(67%が認定実務実習指導薬剤師の有資格者)である。また、模擬患者は、長崎国際大学薬学部が設立しているNPOである 「ひびきあいネットワーク長崎」主催の模擬患者研修会の修了者である。「実務実習事前学習」は4年次の前・後期を通した約7か月間に行われており、実施時期は適切である(基礎資料6)。「実務実習事前学習」における個々の項目の目標到達度に対する評価方法は、原則として知識は筆記試験、技能・態度はチェックリスト又はルーブリック評価表を用いた実地試験で行っている。さらに、「実務実習事前学習」全体の総合的な目標達成度の評価を目的とする「総合的実地試験」を実施し、確認項目あるいは基準を定めた評価表を用いて評価している。また、実務実習直前に「実務実習事前学習」における目標達成度を学生が自己評価する目的で、実務実習開始1か月前の4月に九州・山口地区実務実習調整機構が作成した「実務実習形成的評価表」を用いた評価を実施している。薬学共用試験の実施方法、実施時期、合格者数および合格基準は、薬学共用試験センターの実施要領に基づいてホームページに公表されているが、受験者数は「自己点検・評価書」に記載されているがホームページには掲載されていない。CBT(Computer Based Testing)は、薬学共用試験センター発行の「薬学共用試験実施要項」、「薬学共用試験CBT実施の手引き/実施マニュアル」に準じて作成された「長崎国際大学薬学部平成28年度共用試験CBT本試験実施要領」に基づいて行われている。また、OSCE(Objective Structured Clinical Examination)は、薬学共用試験センター発行の「OSCE実施要項」、「薬学共用試験OSCE実施マニュアル」および「薬学共用試験OSCE運用メモ」に準じて作成された「長崎国際大学薬学部平成28年度OSCE実施要領」に基づいて実施されている。CBTについては、学内の9人の委員から成る「CBT実施委員会」が中心となって、「受験生講習会」、「監督者向けの講習会」、CBTの本試験・追再試験を実施している。- 13 -また、OSCEについては、「OSCE実施委員会」が、評価者およびスタッフへの説明会・練習会などOSCEに関するすべての事項に対応している。CBTには、コンピュータ試験に対応した3教室を使用し、受験生100~130人の試験を1日で実施している。また、CBT実施中はコンピュータやサーバーのトラブルに対処するため、大学のシステム担当職員が試験準備室に待機する対応を取っている。OSCEは、OSCEトライアルと平成20年度に実施された共用試験センターによるシミュレーションにおいて、課題に対応できる学内施設と設備が準備されていることが確認されている(基礎資料12)。また、「薬学共用試験センターOSCE実施委員会」およびモニターによる報告で、問題は指摘されていない。実務実習に関しては、教授会の下に置かれた「薬学実務実習運営委員会」が、実務実習の計画、運用、実習施設との調整、トラブル対応を担っている。また、「薬学実務実習運営委員会」で作成された、実務実習実施案などは教授会で協議され学部長が承認する責任体制が整備されている(「自己点検・評価書」p42 図1)。薬学科の学生は、実務実習直前の5年次を含む毎年4月に健康診断を受けている(受診率100%)。また、麻疹・風疹・水痘・ムンプスおよびB型肝炎の抗体検査が実施され、必要に応じてワクチン接種を実施させ確認している。また、健康診断・予防接種の結果は、実務実習開始時に施設に提供している。原則として、薬学部全教員が実務実習担当教員として施設訪問、担当学生の指導に当っている。実務実習施設への学生の配属は、地区調整機構の申し合わせ事項に基づいて行われており、「実務実習運営委員会」が、地区調整機構の実習受入施設に関する資料を基に病院実習施設の配属案を作成している。病院実習施設は、学生の居住地から公共交通機関の利用により、原則1時間以内で移動できる施設を選択している。一方、薬局実習施設の配属は、地区調整機関が学生の現住所および実家住所を基に調整し、調整結果を学生に開示して、公共交通機関で移動が可能か等交通手段を確認させている。遠隔地の実習でも訪問指導を行っているが、九州・沖縄地区以外の施設では、事前訪問における施設との相談によって、事前訪問以外は大学のWebシステムに含まれる「サイボウズ(実務実習)」による指導にとどめた例もあった。実務実習は、地区調整機構が「十分な設備を有する施設」でかつ、「5年以上の実務経験を持つ薬剤師が指導薬剤師として存在する」として教育能力を担保した施設を実習受け入れ施設としているが、学生から実習体制に不備があると訴えがあった場合、大学、薬剤師会または病院薬剤師会および受入施設の3者で協議し、対応している。- 14 -実務実習では、学習目標が記載されている「地区調整機構の形成的評価表」を利用しており、実務実習モデル・コアカリキュラムのSBOsおよびLSが網羅されている。さらに、実務実習の学習方法、時間数および場所等に関しては、学生担当教員による事前訪問において本学薬学部作成の「実務実習手順書(病院・薬局)」を提供し、それに沿った実習が行われていることを施設訪問の際に形成的評価表に基づいて確認している。実務実習の期間は、11週間としており、病欠、忌引き、災害等によって実習の進行が遅れた場合には、11週間の中で追加実習を実施する等により対応している。大学と実習受入施設との事前打ち合わせは、学生担当教員による事前施設訪問の際に行われ、訪問の結果は「事前施設訪問報告書」によって「実務実習運営委員会」と学部長に報告されている。実習期間中の実習指導は、担当教員による3回の施設を訪問によって行い、実習の進捗状況は「サイボウズ(実務実習)」を用いて把握している。実務実習における学生への守秘義務の説明は、実習前の学生説明会実施後に行い、各学生から「守秘義務誓約書」を提出させている。また、大学と受入施設間で作成する実務実習に関する「委受託契約書」にも守秘義務の遵守を明記している。実務実習の評価は、地区調整機構が提示する「形成的評価表」によって行っている。この「形成的評価表」は、評価項目(SBOs)と評価基準(6段階:0~6)で構成されており、事前訪問およびメールによって実習施設への説明がなされ、学生にも4月のオリエンテーションで説明されている。実務実習の評価は、「形成的評価表」、「統一総括評価表」、「学生用総括自己評価表」および「実務実習記録」、「成長報告書」を用いて、実習施設の指導者と連携をとりながら行っている。最終的な評価は、それらを総合して、病院、薬局ともに、施設点(45%)、担当教員評価点(45%)と出席・意欲評価(10%)として評価される。実習期間中は毎週末、担当教員および指導薬剤師が、「実務実習記録」に学生へのコメントを記載することによりフィードバックを行っている。また、担当教員の訪問時にも学生、指導薬剤師、学生担当教員間での2者面談あるいは3者面談を行い、フィードバックを実施している。実習終了後には、「学生アンケート」および「施設アンケート」により実習内容・状況・成果の情報を収集し、実務実習運営協議会、実務実習運営委員会、実務実習関連の説明会・反省会などで報告しているが、教員からの意見聴取は行われていない。また、トラブル事例に関しては、地区調整機構に随時報告している。実務実習の評価は、上述した個々の評価や記録の評価を積み上げることによって行われ- 15 -ており、実務実習全体の総合的な学習成果に対する基準を設けた評価は行われていない。6 問題解決能力の醸成のための教育本中項目は、おおむね適合水準に達しているが、「卒業研究」に取り組むことができる実質的な時間などに懸念される点が認められる。長崎国際大学薬学部の「卒業研究」は、5年次2単位、6年次4単位の必修科目として行われている。「卒業研究」は、5年次の4月に16時間(4時間×4週間)、11月から3月に56時間(4時間×14週間)の計72時間実施し、6年次の4月から9月に144時間(8時間×18週間)実施し、9月下旬以降を卒業論文作成に充てているとしている。「卒業研究」に充てている上記の時間数は、45時間の学習を1単位とする場合の4単位相当の時間数を満たしてはいる。しかし、5年次には「実務実習」による分断があり、6年次には「総合演習」のために時間割上の配当が1日3時間程度に限られることで、落ち着いて実質的な研究に継続して取り組むことができる時間が不足して、「薬学教育モデル・コアカリキュラム」のE1が求めている到達目標と「卒業研究」のシラバスの趣旨に叶う問題解決能力醸成のための教育が十分に行われていないことが懸念される。「卒業論文」は研究室ごとに一定の書式に従い作成されており、「卒業研究要旨集」も作成されている。「卒業論文」の評価項目には「研究成果の医療や薬学における位置づけがなされているか」が含まれ、それに関わる考察と記述が必須化されている。実際、要旨集の「目的」や「考察」には、創薬や疾患、医療との関連への言及がみられ、研究成果を薬学領域に関連付ける努力がなされている。「卒業研究発表会」は研究室単位で行われており、予め発表日を掲示し、公聴会形式で5月(中間発表会)と9月(卒業研究発表会)に実施されている。「卒業研究発表会」が研究室単位で行われている実態は、大学が『質疑応答やフィードバックを受け、それに基づいて「卒業論文」を完成させることで問題解決能力の修得、向上に結びつける』とする「卒業研究発表会」の教育研究上の意義に合致するものとは言い難い。「卒業研究発表会」は、広い範囲からの質疑を受けることで考察の幅を広げ、大学が目指す教育研究上の意義に合致するものとなるよう、研究室単位ではなく学部全体で行う形に改めることが必要である。「卒業研究発表会」における発表および「卒業論文」は、主査および副査1名がルーブリックを用いて評価しており、ルーブリックは、「プレゼンテーション」、「論文内容」、「論文構成①」、「論文構成②」および「薬学における位置づけ」の5つの項目から構成- 16 -されている。しかし主査は原則として主指導教員であり、副査も多くの場合同じ研究室の教員であるため、評価の客観性の担保が懸念される。副査を他の研究室の教員を含めた複数とするなどの改善が望まれる。問題解決能力の醸成に向けた教育として、講義2.14単位、実習31単位、卒業研究6単位が設定されており、低学年から高学年へ履修プログラムが体系的に構成されている。また、その基礎となる教育を1年次の「教養セミナーA」や「教養セミナーB」で取り入れるなど工夫がみられる。「教養セミナーB」のテーマ別学習、「生命倫理」のグループ討論・ディベート学習および「薬理学Ⅱ」の症例問題に対する治療法の推論学習などに問題解決能力の醸成に向けた教育の工夫がみられる。また、実習科目の「機能形態学実習」、「臨床生理学実習」、「薬理学実習」などでも、学習方法の一部としてグループ学習が取り入れられている。「教養セミナーB」では、全グループによる発表会を開催し、指標に基づき定量的な評価を実施している。「生命倫理」では、課題のテーマについての主張、ディベート前後で主張が変化した点の2点を記述したカードを提供させ、問題解決能力を客観的に評価している。しかし、問題解決能力の醸成を目指すとする実習科目において、問題解決能力を評価するための指標や評価項目が設定されていないので、これらを設定することが必要である。なお、「卒業研究」を含めた問題解決能力の醸成を目指す教育全体を通しての目標達成度の評価については「自己点検・評価書」に言及がなく、そのような評価に関わる指標の設定やそれに基づく評価は行われていない。問題解決型学習に充てられている単位数は卒業要件の1/10を超えている(講義科目2.11単位、実習科目44単位、卒業研究6単位)としている。しかし、実習科目では多くの時間が技能の学習に充てられていると考えられるので、大学が集計している実習科目の単位(44単位)の中で真の問題解決型学習に該当する時間数(単位数)はその一部に限られている。7 学生の受入本中項目は、おおむね適合水準に達しているが、入学試験における入学志願者の適性および能力の評価に懸念される点が認められる。長崎国際大学薬学部では、大学の教育理念に沿ったアドミッション・ポリシーを設定しているが、中項目1で指摘したように、薬学部薬学科の「教育研究上の目的」とは、必ずしも結び付いてはいない。- 17 -薬学部薬学科のアドミッション・ポリシーは、「入試募集委員会」と「自己点検・評価委員会」による共同案を、薬学部教授会で審議し、全学教授会での報告と学長による承認を経て設定されており、薬学教育モデル・コアカリキュラム改訂の際にも同様の体制で見直しが行われている。薬学部薬学科のアドミッション・ポリシーは、「入学試験インフォメーション」、「学生募集要項」、大学ホームページ等に明記して公表されている。また、入試相談会、オープンキャンパスおよび大学見学会等の機会にもアドミッション・ポリシーの周知に努めている。入学志願者の評価と受入の決定については、入試問題の作問者、校閲者やその実施体制に関する委員会規程があり、入試問題の作問者および校閲者の選出は、「作問委員会」で審議し決定している。また、「長崎国際大学入試・募集委員会」が、規程に基づき入学試験の方針・計画・実施および入学試験の採点・合格判定資料の作成を担当している。入学試験の採点から受入決定までの流れは、各学科から選出された専任教員(若干名)および事務局長から構成された「入試・募集委員会」が採点後、学部長、学科長などで検討された選考案が、「入試・募集委員会」、「全学教授会」で審議され、学長が合格者を決定している。したがって、薬学部が入学者の受け入れに関して責任を持つことができる体制にはなっていない。薬学部薬学科では、入学者選抜として7種類の入学試験を設定し、ほとんどの入学試験では基礎学力検査を実施しており、多様な人材を受け入れることが可能な入学者選抜を実施している。しかし、学力検査の無い「AO入学試験」や学力検査が1教科のみの「社会人入学試験」などでは、入学後の教育に求められる基礎学力が適切に評価できているか否かが懸念される。また、この数年間のストレート卒業率は50%程度と低く、平成24~28年度の1年次および2年次の約20%が留年している現状などから、入学試験で入学志願者の適性および能力が適確かつ客観的に評価されていないことが懸念されるので、入学者選抜の方法と基準を検討することが必要である。7種類の入学試験のうち、「一般学力入学試験」、「センター試験利用入学試験」以外では、面接が課せられている。また、「社会人入学試験」では小論文を課して医療人・薬剤師としての適性の把握に努めているが、これら入学試験による入学者数の定員に占める割合は多くない。最近6年間の入学定員の充足率は83~116%であり、入学者数は、おおむね定員の前後を推移している(基礎資料2-2、基礎資料7)。- 18 -8 成績評価・進級・学士課程修了認定本中項目は、おおむね適合水準に達しているが、卒業可否の判断方法に懸念される点が認められる。長崎国際大学薬学部では、各授業科目の試験などによる評点と評価(S,A,B,C,D,F)と上記の評価に対する説明(評価基準)を、「試験に関する規程」に定めている。授業への出席は定期試験等の受験要件としているが、成績評価には含めていない。個々の授業科目の評価に用いる評価方法と、複数の評価方法を用いる場合の評価比率(%)はシラバスに明記され、学生に周知している。各授業科目の成績は、担当教員がシラバスの記載に従って評価しており、専門科目について「定期試験記録表」を作成し、問題・答案等とともに保管している。定期試験、追試験(やむを得ない理由で定期試験を欠席した者を対象)および再試験(定期試験で不合格となった者を対象)の結果は、学内掲示版および担任の面談により学生に通知している。最終成績は前期および後期の終わりに、各科目の成績とGPA(Grade PointAverage)を含む「成績通知書」を保護者に郵送している。また、1~3年次のGPA席次表を学内で掲示している。1~5年次の進級基準は「長崎国際大学薬学部薬学科履修細則」に規定し、「履修の手引」に明記して、各学年のオリエンテーションで学生へ説明している。また、留年生の再履修についても、同履修細則に規定し、オリエンテーションで説明している。進級判定は、進級基準をもとに教務課が「進級判定資料」を作り、「全学教務委員会」が確認した後、薬学部教授会での審議によって行っている。留年生の指導は、「薬学教育支援センター」(専任教員3名、兼任教員12名)が主体で行っている。「薬学教育支援センター」は、留年生へのオリエンテーションや登学状況の確認を行い、学習の目標計画やポートフォリオを作成させ、定期試験後の個人面談等により指導に努めている。また、「薬学教育支援センター」の学習プログラムを受講させ、自習のスペースを優先的に利用させるなどの教育的配慮を行っている。留年生の履修に関する取扱いは「履修の手引」に明記しており、平成26年度以前の入学生が留年となった場合、科目数を制限して(5科目以下)上級年次配当科目の履修を許可していたが、平成27年度以降の入学生で留年した者に対しては、上位学年の科目を履修することを禁じ、未修得科目の再履修と併せて前年度にBおよびC評価で単位修得した学科専門科目(実習科目を除く)を再度受講することを推奨している。- 19 -長崎国際大学では、「全学学生委員会」で毎月学生の在籍状況を検証し、必要に応じ学部教授会で報告している。薬学部では、各学年での留年の原因を分析しており、2、3年次の留年生が多い理由を、「1次カリキュラムの緩い進級要件が原因で6年次の留年が多くなったことから、2次カリキュラムで進級要件を変更したことによる」と解釈している。また、平成27年度からの3次カリキュラムでは、留年生を対象にした「物理・数学演習」などの演習科目を配置することで、学修の定着・効率化および学力向上を目指している。さらに、「出席管理システム」を活用して留年や休学・退学に至る前の指導に努めている。休学や退学を考えている学生に対しては、担任が面談し、相談やアドバイスを行い離学防止に努めている。ディプロマ・ポリシーは、学部教授会および全学教授会による審議を経て平成24年に設定されている。下に引用する現在のディプロマ・ポリシーは、薬学教育モデル・コアカリキュラムの改訂に伴い「薬剤師として求められる10の基本的な資質」を念頭に検討し、学部教授会および全学教授会による審議を経て制定された。< 関心・意欲・態度>・高い倫理観と豊かな人間性を有し、医療人として責任を持った行動を取ることができる。・患者・生活者本位の視点を持ち、地域医療・保健に参画することができる。・医療の進歩に関心を払い、生涯にわたり学び続けることができる。< 思考・判断>・高度化・複雑化する医療や薬学に関する諸問題について、有用な科学的データを選択し、自ら論理的に思考・判断できる。< 技能・表現>・薬の専門家としての基礎的な科学力・研究能力を備えている。・薬の専門家として十分なコミュニケーション能力を備えている。・薬の専門家としてチーム医療に参画できる能力を備えている。・薬の専門家として安全で適切な薬物療法に責任を持ち、個々の患者や医師・看護師等に薬の情報を的確に提供することができる。・薬の専門家として後進の指導に当たる意欲と教育能力を備えている。< 知識・理解>・薬の専門家として高度化・複雑化する社会の医療ニーズに対応するために必要な知識- 20 -を備えている。ディプロマ・ポリシーは、FDおよびSD講習会(SD:Staff Development)で説明して周知を図っている。また、ディプロマ・ポリシーは、「履修の手引」を通じて学生および教職員に周知するとともに、大学ホームページ、「薬学部パンフレット」に掲載して、社会に公表している。学士課程の修了判定基準(卒業要件)は大学学則36条で規定され、「履修の手引」や「学生便覧」に収載して学生に周知されている。学士課程の修了判定(卒業判定)は、6年次後期科目である「総合演習ⅢB」の単位認定終了後に行われている。卒業判定は、教務課が作成した「卒業判定資料」を2月中旬の全学教務委員会で確認し、その資料に基づく学部教授会の審議を経て、全学教授会に報告され、学長の承認を受けて決定される。大学は「総合演習ⅢB」を「薬剤師としての資質が十分に備わっているかを判定する科目」と位置づけて卒業判定で重視しており、この位置づけと合否判定方法をシラバスに記載し、4月に行うオリエンテーションで学生に周知している。「総合演習ⅢB」の合否は、2回の随時試験の成績を教授会で審議した結果を受けて学長が決定している。また、「総合演習ⅢB」の単位認定に関わる評価基準には「(外部)模擬試験の成績を受験資格判定に用いる」という条件が付けられている。このような実態は、2回の試験の成績を教授会で審議して学生の国家試験への対応力を予測し、それに基づいて「総合演習ⅢB」の合否を決定していると判断される。必修科目である「総合演習ⅢB」の単位が不認定であるため卒業要件を充足できず、その理由によって卒業を不可とすることに規定上の問題はないが、その合否決定を上述した方法と手順によって行い、必修科目である「総合演習ⅢB」の単位未修得を理由に卒業不可とすることは、ディプロマ・ポリシーに基づく学士課程修了認定の趣旨にそぐわないと言わざるを得ない。また、最近5年間の卒業率は平均約70%である(基礎資料2-4)。これは、卒業に必要な学力が十分に身についていない学生が6年次に進級していることを意味しているので、大学はこの原因を分析し、それを解消するための改善策を講じることが望まれる。卒業判定で留年となった学生は、今後の教育方針・プログラムについての説明を受け、「薬学教育支援センター」の所属として、随時個別面談などの教育支援を受ける。また、秋季卒業の制度があるため、6年次留年生には、現役6年生とは別クラスで「総合演習ⅢB」を前期に履修させるなどの教育的配慮を行っている。長崎国際大学薬学部は、総合的な学習成果を評価する科目を6年次の「総合演習ⅢA、- 21 -ⅢB」および「卒業研究」と位置づけている。大学は、「総合演習ⅢA、ⅢB」は、6年間のすべての薬学教育を総合再編した内容で、学位授与にかなうか否かを評価する指標の一つとしているが、授業の位置づけや内容からは国家試験準備を主な目的とする演習科目であり、これらの科目で教育研究上の目的に基づいた教育の学習成果が評価できているとは言えない。大学は、総合的な学習成果を測定して評価する方法について現在検討中であるとしているので、それに合わせて、教育研究上の目的に基づいた教育における総合的な学習成果を適切に評価する体制を作ることが望まれる。9 学生の支援本中項目は、適合水準に達している。長崎国際大学薬学部では、新入生に対して入学時にオリエンテーションを実施し、薬学部における学生生活の全体像および教務関連の説明を行っている。その後は、後述する担任制による担任(1学年2~4人を入学時から4年間担当)が、学生の指導を行い保護者との連携を図っている。新入学生に対して、入学までの学修履歴・習熟度に応じたクラス編成を行うために、高校で履修した科目の「英語」、「化学」、「生物」又は「物理」、「数学」のプレイスメントテストを実施し、その成績に応じて関連科目を習熟度別に多クラス開講している。また、これらの科目についての説明と履修登録に関するガイダンスをオリエンテーションで行い、担任が個別に履修指導を行っている。上級学年における履修指導は、学年別オリエンテーションと、担任による個別の履修指導によって実施しており、それまでの履修状況をチェックしながら今後必要な修得単位数等を認識させ、担任が履修登録表を確認・押印後、教務課へ提出させている。また、実務実習のガイダンスは、4年次の2月に実務実習運営委員長が行っている。長崎国際大学は担任制を採用しており、1~4年次までの履修指導・学生相談には担任が対応している。5、6年次は、卒業研究配属研究室の教員が担任となって、学生の学修状況を把握している。なお、留年生の履修指導および学修相談には、「薬学教育支援センター」の専任教員および兼務教員が対応している。教員はオフィスアワーを設けており、その時間帯は学生からの学修相談に応じている。また、科目単位を修得済みの成績優秀な学生が、「ラーニング・アシスタント(LA)」として下級年次生又は同級生に対する学修支援を行っている。平成28年度は、29人のLAによる学修支援を延べ66人が受けており、この制度はアンケートの結果では好評である。- 22 -学生の経済的支援に関しては、大学の学生課が窓口となっている。外部機関の奨学金に関する情報は、「学生便覧」に記載するとともにホームページ等にも掲載して情報提供しており、受給者が多い「日本学生支援機構奨学金」については説明会も実施している。これらの他に、支給を薬学部生に限定した病院や薬局からの奨学金制度があり、薬学部内の掲示板で周知し、利用されている。大学独自の奨学金制度としては、「長崎国際大学同窓会特別奨励金」、「障がい学生に対する修学支援費」、「留学奨励金」などがある。また、熊本地震では被災学生等を対象に経済的支援を行った。この他の制度として成績優秀者対象の薬学部特待生制度がある。さらに、「薬学部学業奨励賞」など、成績上位者に図書券を授与する制度もあり、学生の経済的支援に関する体制が整備されている。長崎国際大学は、「キャンパスライフ・ヘルスサポートセンター」(CHサポートセンター:保健室、学生相談室および学生生活サポート室)を設置し、学生の心身の健康の保持・増進並びに学生生活における日常的な相談および支援を行っている。「保健室」は、養護教諭の資格を有する保健室長が、主として健康の保持・増進に係る業務を担当する。「学生相談室」には、専門のカウンセラーを配置し、学生の心理的支援等を行っている。毎年、全学生に対して心の健康調査を実施し、「NIUランチアワー」として居場所のない学生への対応を図っている。「学生生活サポート室」は、各学科の教員が担当し、「何でも相談室」の役割も果たしている。「CHサポートセンター」については、「キャンパスライフ・ヘルスサポートセンターだより」を年に3~4回発行するなど周知を図り、利用されている。学生定期健康診断を毎年実施しており、掲示板やWebポートフォリオへの掲示で学生に周知するとともに、教職員が受診を指導しており、薬学部の平成24年度以降の定期健康診断受診率は100%である。また、「熱中症対策講習会」、「AED講習会」、構内全面禁煙の実施など、学生の健康維持に関する支援体制を整備している。長崎国際大学では、「ハラスメントの防止及び対応に関する規程」および「ハラスメント防止ガイドライン」を制定している。大学には、「ハラスメント対策委員会」が設置されており、「ハラスメント外部諮問員会議」を設置して外部諮問員の意見を聴取するなどしてハラスメントの防止に努めている。さらに、教職員から選任された「ハラスメント相談員」が、教職員・学生等からの苦情・相談に対応している。この他、「ハラスメント相談員」に直接相談できない学生の相談に応じるため、「ハラスメント相談受付票」および「相談箱」を学内2カ所に設置し、「ハラスメント対策委員会」が週1回投函状況を確認- 23 -している。これらに加えて、パンフレット「STOP harassment ハラスメントのない大学にするために」の配布、ホームページ、学生便覧等によってハラスメントの防止に関する取組みを学生に周知している。障がい等のある入学志願者の事前相談について、「学生募集要項」に申請方法を説明しており、事前申請用紙は大学のホームページからダウンロードすることができる。平成28年度の入学試験では、入学志願者の特別措置に関して保護者を交えて入学後の対応について協議を行っている。障がいのある学生に対応する施設、設備の整備では、エレベーターの設置、点字ブロックを敷設する等、講義室、実習室移動経路のバリアフリーに配慮している。 薬学部では、聴覚障がい(ノート、コピーの提供など)や身体不自由(実習・データ取得補助、OSCE特別措置など)等、数人の身体障がいのある学生を受け入れ、薬剤師国家試験合格者も輩出している。障がいのある学生には、「障がい学生に対する修学支援費」が支給されているなど、施設・設備上および学修・生活上の支援体制の整備に努めている。長崎国際大学では、全学的な進路支援を担う事務組織として、「キャリアセンター」を置き、各学科の専任教員とキャリアセンター職員で「就職委員会」を組織している。また、薬学部では、9人の教員から成る「薬学部就職委員会」を組織し、薬学生の就職・進学に関する支援を「キャリアセンター」と協力して行っている。「薬学部就職委員会」は、5年生に対して「就職オリエンテーション」、自己分析、業界研究、面接試験対策の実施、学内外で行われる合同就職説明会の周知等を含めた「就職ガイダンス」を行っている。また、1~4年生対象の卒業後の進路を考えるセミナー、6年生対象の就職活動に関する各種学内手続きの周知等を行っている。5年生を対象に開催している「長崎国際大学薬学部就職説明会」には、病院や薬局等求人側から多数の参加がある。長崎国際大学には、学生の意見を収集するための全学組織・委員会として、「学生課」、「大学評価・IR室」、「自己点検・評価委員会」、「学生委員会」および「薬学部学生委員会」がある。学生の意見を教育や学生生活に反映するために収集する手段としては、「授業評価アンケート」、「在学生アンケート」(1年生調査・上級生調査)、「卒業生アンケート」、「保護者懇談会アンケート」、「学長カフェ」があり、それらから得られた意見を参考にして改善に努めている。また、薬学部では、「学生委員会」が学生からの意見を集約しており、これまでに図書館開館時間の延長、食堂棟1階への無線LANの設置、トイレ用擬音装置の設置等、学内環境の整備を行っている。- 24 -薬学部では、「長崎国際大学薬学部における実験の手引」を作成し、教員と学生に配付している。また、実験・実習授業が開始される2年次学生と教員を対象に安全管理教育を実施している。この他、薬学部では、「薬学部研究等倫理内規」、「薬学部動物実験指針」等を整備し、これに準拠して実験を行うことで学生の安全を確保している。実習科目では、各実習の事前説明時に安全に関する注意を周知している。実習は、教員当たりの学生数が30人以下のグループで実施しており、必要に応じて補助要員(TA:Teaching Assistant、SA:Student Assistant)(基礎資料8)を参加させるように努めている。実習・研究施設には、非常用シャワー、消火器、救急箱を設置している。なお、卒業研究配属学生に対する安全管理教育は、各研究室の教員が行っている。実習・研究用試薬の管理システムを導入し、実習用医薬品や危険物貯蔵庫には警備システム連動タグキーリーダーを設置している。さらに、「薬学部安全管理委員会」は、毒劇物・ガスボンベや廃棄物分別の調査を実施している。長崎国際大学では、学生に災害傷害保険および賠償責任保険に加入することを義務付けている。薬学部生対象の「学研災付帯学生生活総合保険」への加入は任意であるが、本任意保険に加入していない5年生には、実務実習期間中の実習施設での感染事故とそれに伴う疾病に対する保険への別途加入を義務付けている。防犯・交通安全についての講話、交通安全教室、防犯講習会、消火訓練をそれぞれ年1回実施している。薬学部では、事故や災害の発生時に的確に対応するために「長崎国際大学薬学部緊急連絡シート」を掲示し、事故や火災が発生した場合の対応について「長崎国際大学における実験の手引き(第4版)」に記載している。10 教員組織・職員組織本中項目は、適合水準に達している。長崎国際大学薬学部薬学科の専任教員数は49名であり、大学設置基準に定められる専任教員数(収容定員720名に対して30名)を充足しており、教授数21名、実務家教員数5名も設置基準を満たしている(基礎資料8)。この他、薬学部には6名の「専任助手」が置かれ、学内実習の補助、共用試験や実務実習の円滑な遂行への補助および研究上の補助を担当している。収容定員から算出した教員1名当たりの学生数は 14.7名となる。職位別の専任教員数と構成比率は、教授21名(学長1名を含む)(42.9%)、准教授13名(26.5%)、講師8名(16.3%)、助教7名(14.3%)であり、適切に構成されている。また、女性教員は6名(12.2%)である(基礎資料9)。- 25 -薬学部の研究室は、物理・化学系6研究室、生物系5研究室、衛生系5研究室、臨床系7研究室、および1センターにより構成され、それぞれの専門分野に教育研究実績を持つ教員が配置されているとしている。専任教員の大部分は、教育および研究指導を遂行する上で十分な教育と研究の実績を有している(基礎資料10、基礎資料15)が、基礎資料15に見られる研究実績が十分とは言えない一部の専任教員に対しては学部長が面接等で指導している。研究室に属する専任教員は、卒業研究指導、学会発表、受賞、特許など薬学領域の研究と教育に関する業績をあげており、「薬学教育支援センター」の専任教員は、薬学教育の研究や学修プログラムの立案、個別面談などきめ細かい指導を行っている。薬学部の主要な科目には、専任の教授又は准教授が配置され、その割合は90%を超えており(基礎資料10)、専任講師が単独で担当する科目は5科目、現職薬剤師が非常勤講師として担当している科目は3科目である。助教が担当する授業は学内で実施する実習科目に限られており、それらの単位認定は教授が行っている。専任教員の年齢構成は、70歳代(6%)、60歳代(20.4%)、50歳代(20.4%)、40歳代(26.5%)、30歳代(26.5%)であり、70歳代の教員が若干名含まれていることを除けば、年齢構成に著しい偏りはみられない(基礎資料9)。教員の採用および昇任の基準は、「長崎国際大学教員選考規程」、「教員の昇任審査に関する運用内規」および「教員資格審査委員会規程」に定められている。教員の採用および昇任は、学長の諮問機関である「人事委員会」で審議し、結果を学長に答申することになっている。「人事委員会」は各学部長、学長が指名した教員、および事務局長から構成され、構成員の中から学長に指名された委員が委員長となり会議を招集することになっている。「長崎国際大学教員選考規程」には、教授等職位にかなう資格基準として、専攻分野における知識・経験・業績並びに大学における教育を担当するにふさわしい教育上の能力の両面に関して適切に規定されている。教員の採用は原則公募となっており、薬学部教授会が作成した「科目担当者の採用案」を「人事委員会」が審議し、公募の実施を決定する。公募への応募者については、薬学部教授会で書類選考を行い、候補者を3名程度に絞り、面接および模擬授業等を含む二次選考を、理事長、学長、薬学部長、学科長、学長が指名した者、法人本部長および大学事務局長で行う。学長は、二次選考で内定した採用者について、教員資格審査委員会に諮って採用を決定している。教員の教育能力向上に向けた取組みとしては、個々の教員が、「授業評価アンケート」- 26 -や教員個人の諸活動に対する自己点検・評価報告書の結果を翌年度シラバスの作成および授業改善に活かしており、FDにおける教育能力の維持・向上に関する啓発、授業参観によるピアレビューを行っている。また、研究能力の向上については、個々の教員が研究活動を行っており、その成果を学会・研究会での発表や論文として発表しており(基礎資料15)、科学研究費をはじめとする競争的研究費の獲得においても一定の成果を得ている。研究成果については、個々の教員の学術論文、著書、学会報告などをまとめた「教員個人による諸活動について」と題する報告書を作成しており、社会に向けてはホームページの教員紹介ページで累積の全業績を公表している。しかし、直近年度まで業績が更新されている教員と更新されていないと思われる教員が混在するので、情報の更新状況を学部で点検し、最新の情報に更新しておくことが望ましい。実務系専任教員が常に新しい医療に対応するための臨床経験を積むことのできる研修制度は構築されていないので、制度の構築が望まれる。実験系研究室の総面積は約2,100㎡であり、配属学生(5、6年)1名当たりの平均面積は13.2㎡となる(基礎資料11、12)が、最も少ない研究室では7.14㎡となっている。また、非実験系の研究室の面積平均値は、1名当たり8.71㎡である(基礎資料11、12)。研究経費は、職位に応じて「分野別共同研究費」および「個人研究費」が配分されており、それ以外に、学長の指定するテーマに関する学内の教育改革および地域研究に取り組む教職員又は組織(学部等)を財政的に支援するための予算である「学長裁量経費」がある。科研費など外部からの研究資金を含めて潤沢ではないが適切な額であると判断できる。外部からの研究資金を獲得する体制としては、「科学研究費の説明会」を開催している以外は、整備されていない。各教員が年間に担当する授業の時間数の週平均は3.9時間であるが、実務家教員が担当する時間数は平均6.32時間と多くなっている(基礎資料10)。教員の教育研究能力の向上を図るための組織的な取組み(FD)は、「長崎国際大学における点検及び評価に関する規程」および「長崎国際大学自己点検・評価委員会規程」の下、「自己点検・評価委員会」主導で全学的に行われる体制が組織化されている。FD活動には、毎回8割を超える教員の出席があり、平成14年以来、計76回のFDが開催されてきた。薬学部では、「薬学部FD委員会」を設け、授業改善策等の提案、「薬学研究発表会」の開催、新任教員に対するFDなどを実施している。新任教員に対しては、毎年度、薬学部新任教員研修セミナーを開催し、大学および薬学部の3つのポリシーの説明や教務、学生支援、学部運営等の説明を行っている。- 27 -「授業評価アンケート」は、全科目ではなく各教員が1科目以上行うことになっている。アンケートの結果は、「自己点検・評価委員会」で集計し、各教員に対して全学平均と合わせてフィードバックしている。各教員は、これらの結果から「アクションプランシート」を作成し、翌年度の授業改善に努めている。さらに公開授業を教員全員が順番に行い、多くの教職員が参観して評価することで授業改善に役立てている。長崎国際大学の事務組織および事務分掌は、「長崎国際大学事務組織」によって定められており、「薬学部事務室」は事務室長、教務担当事務職員および会計担当事務職員の3人体制となっている(基礎資料8)。また、演習、実習、実験などの補助にあたる学生35人をSA、大学院生1人をTAとしている(基礎資料8)。しかし、薬用植物園、実験動物施設などは専任教員が担当しており、運営、管理を担当する専門要員は置かれていない(基礎資料8)。薬学部の事務職員は、教学の事務作業も担当し、薬学部教授会に同席している。しかし、事務職員などと教員が連携して資質向上を目指す取組みは行われていない。11 学習環境本中項目は、適合水準に達している。薬学部は、1学年(定員120人)全員を収容できる講義室を6室、「薬学教育支援センター」に大講義室(収容人員240人)を有している(基礎資料12)。すべての講義室には、大型ホワイトボード、プロジェクター、スクリーン等の視聴覚設備が設置されている。一方、小クラス編成の講義・演習には演習室(収容人員各25人)3室、講義室(収容人員56人)2室を使用し、「ラーニング・コモンズ」はグループ学習に対応する構造となっている(基礎資料12)。「教養セミナー」等の参加型少人数教育には、教員研究室(収容人員8人)41室および「薬学教育支援センター」を利用している(基礎資料12)。基礎の実習は3つの実習室(収容人員168人)で行っている(基礎資料12)。実習室には、実験台、視聴覚機器、排気装置付きフード、純水製造装置他、基本的な設備を有している。また、生物系実習室には、クリーンベンチ、安全キャビネット、細胞培養装置等を備えている。情報処理演習には全学共通の施設「メディアセンター」を使用しており、センターにはLANに接続されたPC187台が準備され、「コンピュータ基礎演習」や共用試験CBTの会場として利用している。動物実験施設は、SPF動物飼育室、SPF動物実験室等を備えている。放射線教育研究施設には、管理区域のRI実験室と監視区域の化学・物理系実習室を設けている。薬用- 28 -植物園は3カ所に分散しており、59種薬木類および草本性の薬用植物117種が育成されている。「実務実習事前学習」では、SGD形式の演習には「実務系実習室」を使用し、実習施設としては、「お薬相談室併設模擬薬局」、「模擬病室」、「模擬クリーンルーム」および「薬品情報室」が整備されている。「卒業研究」における1研究室あたりの配属学生数と研究室面積(基礎資料11)から、配属学生が同時に研究活動を行う場合でも1名あたりの実験スペースは最低7㎡が確保されており、6年生については、全研究室で個別デスクが確保されている。しかし、5年生については、大テーブルを共用する等で対応したり、5年生と6年生の同居時間を短くしたりするなど工夫している。研究室には基本的な機器機材が備えられており、継続的に充実化が図られている。共同利用実験室としては低温実験室、NMR室、MS室などが整備されている(基礎資料12)。これらの実験室では高度な測定機器が利用できるが、機器や設備は、開学から10年を経過して更新や修理が必要となり始めている。図書館の総面積は1,683㎡で、276席の閲覧席(116席はLAN接続可能)と、研究個室4室を有している。学内では、すべてのPCから図書館のホームページを通して蔵書検索(OPAC)が行える。また、コピー機や視聴覚資料(DVD、VHSビデオ等)を利用するためのAVコーナーも設置されている(基礎資料13)。図書館の蔵書は、和書62,435冊、洋書13,873冊、視聴覚資料が2,668点となっている(基礎資料14)。これらのうち、自然科学書に分類されるものは、和書17,386冊、洋書3,677冊、視聴覚資料883点である。購読している冊子体の和雑誌は257タイトル、洋雑誌は120タイトルであり、オンラインジャーナルは3,000タイトル以上が全文閲覧可能となっている。自習スペースとしては、図書館の閲覧席、教室、薬学研究棟の2つの演習室が利用可能であり、その他に教室棟2階と研究棟2階を結ぶ渡り廊下には、10組のデスクとロングチェアーが設置されており、日常の自習スペースとして機能している(基礎資料12)。なお、「ラーニング・コモンズ」は留年生が優先的に利用できるよう配慮されており、学習参考書・国家試験問題集等も開架閲覧可能になっている。図書館の開館時間は、授業開講期間が、平日9:00~21:00、土曜日9:00~18:00、定期試験期間および試験1週間前は、日曜日・祝日の9:00~18:00も開館し、休暇期間は平日9:00~17:00、土曜日9:00~13:00となっている。また、薬学棟の自習室と「薬学教育支援センター」は、施錠時刻の23:30まで利用することが可能であり、学生の自習時間の確保に配慮している。- 29 -12 社会との連携本中項目は、適合水準に達している。長崎国際大学薬学部は、「薬学研究センター」を開設して医療界や産業界から訪問研究員および特別研究生を受け入れる体制を整え、平成28年度には訪問研究員として18人を受け入れている。また、民間企業、医療機関等との共同研究・委託研究にも取り組んでおり、長崎大学、長崎県立大学との「多職種協働による在宅がん医療・緩和ケアを担う専門人材育成拠点」プロジェクトは高い評価を受けている。地域の関係団体や行政機関との連携では、「長崎薬学コンソーシアム」に参画し、長崎大学薬学部、地域の薬剤師会、病院薬剤師会等と実務実習実施に関する情報交換を行っている。特定非営利活動法人「ひびきあいネットワーク長崎」を設立し、薬剤師会との連携の下に模擬患者(SP)を養成している。また、「長崎国際大学薬学部薬剤師育成協力者養成講座」を開催し、「実務実習事前学習」における指導協力者およびOSCEにおける薬剤師協力者を養成し、臨床講師として委嘱することにより教育効果を高めている。さらに、「認定実務実習指導薬剤師養成ワークショップ」を大学で開催し、実務家教員をタスクフォースとして派遣して、薬剤師の資質向上に貢献している。他に長崎県環境審議会委員、佐世保市医療安全推進協議会委員などの公的委員に平成28年度は26人が就任している。薬剤師の資質向上を図る取組みとしては、長崎県薬剤師会の「実務実習委員会」および「生涯教育委員会」の委員、地域の薬剤師会などが主催する講演や薬剤師に対するフィジカルアセスメント研修会へ講師を派遣している。また、「長崎国際大学薬学部生涯教育セミナー」などを開催している。長崎国際大学薬学部では、薬学部教員が講師となって、地域住民を対象に公開講座を開設しており、佐世保市が主催する公開講座にも平成28年度は2人の薬学部教員を講師として派遣している。また、地域住民への在宅ケア・地域医療の推進を目指して「平成28年度長崎県民フォーラム」を開催(209人参加)した。この他、科学技術振興機構の事業「中高生の科学研究実践活動推進プログラム」において、長崎県内の高校生を対象に薬学関連の実習と講義を実施し、長崎、佐賀県下の高校生を対象に「高校生夏休み薬学研究体験」を開催した。平成28年度には、薬学科の神経薬理学所属の教員が、長崎県立佐世保西高校において生徒および教職員を対象に麻薬・覚せい剤などの薬物乱用の薬理と危険性について講演を行った。さらに、公衆衛生所属の教員が、夏休みや冬休みに、小・中学生を対象に科学教室- 30 -を開催している。長崎国際大学は、ホームページに英文、中文等によるトップページを開設しているが、薬学部独自の英文ホームページは開設されていない。長崎国際大学は11ヵ国、50大学との間で大学間協定を締結し、国際交流を行っている。薬学部独自の提携としては、タイのコーンケーン大学薬学部とタイのランジット大学薬学部との間で学術交流協定を締結し、交換留学生の受け入れ、共同研究および教育活動などを行っている。長崎国際大学には夏季に提携校への短期留学プログラムがあるが、薬学部学生は参加していない。また、教員留学規程による海外研修制度についても、薬学部教員の利用実績はない。他方、韓国からは12名の留学生が薬学部で学んでおり、中国、ケニア、ベトナム、インドからの訪問研究員の受け入れ実績もある。この他、教員は海外でのシンポジウム等に参加している。13 自己点検・評価本中項目は、おおむね適合水準に達しているが、自主的な薬学教育プログラムの点検・評価とそれに基づく改善への取組みに懸念される点が認められる。長崎国際大学の自己点検・評価に関わる活動は、全学委員会である「自己点検・評価委員会」が実施している。薬学部では、自己点検・評価を行う組織として「薬学教育第三者評価・実施検討委員会(薬学部自己点検評価委員会)」を設置している。「薬学部自己点検評価委員会」は、学部長を委員長とし、学科長、全学自己点検・評価委員会薬学部委員、薬学部各種委員会委員長および薬学事務室長から構成されており、外部委員は含まれていない。長崎国際大学は、規程により2年に一度自己点検・評価を実施しており、自己点検・評価の項目は、大学機関別認証評価の項目に準拠している。「薬学教育第三者評価・実施検討委員会(薬学部自己点検評価委員会)」は、全学での自己点検・評価において薬学部に関係する部分の取りまとめを行っているほか、薬学教育に関する「自己評価21」や「平成27年度薬学部自己点検・評価書」の作成に中心的な役割を果たしている。しかし、「薬学教育第三者評価・実施検討委員会(薬学部自己点検評価委員会)」がこれまでに取り組んだ点検・評価は、大学が実施する点検・評価の分担、ないしは外部評価に対応するものにとどまっており、薬学部が自主的に薬学教育プログラムの向上と発展を目的として恒常的な自己点検・評価を行っているとは言えない。- 31 -長崎国際大学は、平成26年度に行われた日本高等教育評価機構による「大学機関別認証評価の自己点検・評価書」をホームページ上で公開している。また、薬学部では「自己評価21」をホームページ上で公開しているが、それ以後には薬学部独自の薬学教育に関する自己点検・評価の結果を公開していない。長崎国際大学では、「授業評価アンケート」、「在学生アンケート」および「卒業生アンケート」を実施し、それらの結果から改善すべき点を学科や各種委員会で協議して教育の改善に努めている。また、長崎国際大学は、平成27年度から「大学IRコンソーシアム」に加盟し、大学に「IRセンター」を開設し、「在学生アンケート」などの結果を「IRセンター会議」において解析して問題点を抽出し、学部、学科に改善策を提案できる体制を整えている。「授業評価アンケート」は学期毎に1回実施し、学生の授業に対する評価と感想、要望を含めて、Web上で全教職員に公開しており、学生も授業評価結果と「アクションプランシート」を閲覧出来る。また、薬学部では授業公開を行い、その結果を教員の授業改善に活用している他、教育実践に顕著な成果をあげた教員を表彰する「ベストティーチャー賞」を創設しているとしており、研究活動についての自己点検・評価も行っている。しかし、上述したさまざまな取組みは、個々の教員の自己点検・評価による授業などの改善を図るもので、学部として薬学教育プログラム全体の改善を目指すものとは言えない。薬学部では「自己評価21」以後、本評価に対応する「平成27年度の薬学部自己点検・評価書」の作成までの間、薬学教育プログラムに対する学部としての総合的な点検・評価を行っておらず、自己点検・評価の結果を教育研究活動に反映する体制も整備されているとは言い難い。今後は、本評価の結果を生かして、学部として薬学教育全体の改善に取り組むことが必要である。Ⅳ.大学への提言1)長所1. 障がいのある学生に対して、学修補助、施設・設備の整備に加えて、「障がい学生に対する修学支援費」が支給されているなど、就学支援が充実している。(9.学生の支援)2. 大学教員・関係者が共同して教育もしくは研究を行う機関として「薬学研究センター」が設置され、他大学や民間等外部機関との共同研究等の推進、研究の交流支援、地域- 32 -社会における技術開発・教育の振興に貢献している。(12.社会との連携)2)助言1. 薬学部の「教育研究上の目的」の検証には薬学部の教育と研究に責任を負う薬学部教授会が主体的に関わることが望ましい。(1.教育研究上の目的)2. ヒューマニズム教育・医療倫理教育を主目的とする専門科目が少なく、教養教育科目は1年次でしか履修できないことから、ヒューマニズム教育・医療倫理教育が系統的に行われていないことが懸念されるので、専門科目を増やすなど上級学年まで継続するようカリキュラムを充実させることが望ましい。(3.医療人教育の基本的内容)3. コミュニケーション能力および自己表現能力を育成する教育を行う独立した科目がなく、これらの教育に充てる時間が不足していることが懸念されるので、これらの教育を専門に行う科目を増やすなど、カリキュラムを充実させることが望ましい。(3.医療人教育の基本的内容)4. 卒業生、地域の薬剤師並びに在学生を対象として実施している研修会への参加学生数を増やすことが望ましい。(3.医療人教育の基本的内容)5. シラバスやカリキュラムマップによる科目間の関連性、連続性の説明を、学生に分かりやすい形にしておくことが望ましい。(4.薬学専門教育の内容)6. 「卒業研究」の評価を行う主査と副査が学生の配属先の教員であるのは、厳正な評価を行う体制として好ましくないので、副査は所属研究室以外から任命することが望ましい。(6.問題解決能力の醸成のための教育)7. 入試関連の組織(入試・募集委員会、作問委員会)は、大学全体の組織であり、合否判定も入試・募集委員会、全学教授会で審議の後、学長が決定する体制である。入学志願者の評価と受け入れの決定に関して、薬学部として責任を持つことができる体制で行うことが望ましい。(7.学生の受入)8. 教育研究上の目的に基づいた教育における総合的な学習成果を適切に評価することが望ましい。(8.成績評価・進級・学士課程修了認定)9. ホームページに掲載されている研究業績、教育業績の更新状況を点検し、全教員の業績を最新のものとすることが望ましい。(10.教員組織・職員組織)10. 実務系専任教員が外部医療機関で研鑽する制度を設けることが望ましい。(10.教員組織・職員組織)11. 学生対象の短期留学プログラムや教員対象の留学・研修制度も設けられているが、何- 33 -れも利用実績がないので、利用を促すことが望ましい。(12.社会との連携)12. 薬学部の自己点検・評価を行う委員会には、外部委員を加えることが望ましい。(13.自己点検・評価)3)改善すべき点1. 学則第3条の3にある「薬学科の目的」は、薬学教育の一般的な定義を述べているだけで、本評価の基準が求める「教育研究上の目的」とは言えないので、「長崎国際大学の理念」、「薬剤師養成教育に課せられた基本的な使命」、および「薬学部に課せられた研究の使命」を端的に表現する「教育研究上の目的」を策定して学則に明記するよう、早急に改善することが必要である。(1.教育研究上の目的)2. 時間割上の学習時間配当が「卒業研究」より国家試験受験対策教育を重視したものになっていることから、学生に対して国家試験受験対策教育が卒業研究より重要であるという認識を与えることが懸念されるので、「卒業研究」の時間割上の配当を改善することが必要である。(2.カリキュラム編成)3. ヒューマニズム教育・医療倫理教育を行っている科目の多くが講義科目であり、目的に合った効果的な学習方法が用いられていると言えないので、学習方法の改善を図ることが必要である。(3.医療人教育の基本的内容)4. ヒューマニズム教育・医療倫理教育に対応する科目において、総合的な目標達成度を評価するための指標が設定されていないので、それらを設定してそれに基づく適切な評価を行うことが必要である。(3.医療人教育の基本的内容)5. コミュニケーション能力および自己表現能力の育成に対応する科目において、総合的な目標達成度を評価するための指標が設定されていないので、それらを設定してそれに基づく適切な評価を行うことが必要である。(3.医療人教育の基本的内容)6. 到達目標の学習領域(知識・技能・態度)と学習方法とが整合していない科目が散見されるので、各授業科目に含まれる到達目標を精査し、それぞれの到達目標の学習領域にあった学習方法による授業を行うように改善することが必要である。(4.薬学専門教育の内容)7. 大学独自の薬学専門教育を行う科目のシラバスに、大学独自科目であることが明記されていないので、学生に独自の教育であることが分かるように明示することが必要である。(4.薬学専門教育の内容)8. 「卒業研究」の時間がさまざまな理由で分断されているために、落ち着いて実質的な- 34 -研究に継続して取り組むことができる時間が不足し、「薬学教育モデル・コアカリキュラム」のE1が求めている到達目標とシラバスの趣旨に叶う教育が十分に行われていないことが懸念されるので、「卒業研究」の実施時期、実施時間、「総合演習」との時間配分などを検討し、「卒業研究」を充実したものにすることが必要である。(6.問題解決能力の醸成のための教育)9. 「卒業研究発表会」は、広い範囲からの質疑を受けることで考察の幅を広げ、大学が目指す教育研究上の意義に合致するものとなるよう、研究室単位ではなく学部全体で行う形に改めることが必要である。(6.問題解決能力の醸成のための教育)10. 問題解決能力の醸成を目指す教育全体としての目標達成度を評価するための指標の設定とそれに基づく評価が行われていないので、指標を設定し、それに基づく評価を行うことが必要である。(6.問題解決能力の醸成のための教育)11. 入学試験で入学志願者の適性および能力が適確かつ客観的に評価されていないことが懸念されるので、入学者選抜の方法と基準を検討し、入学者の基礎学力の改善を図ることが必要である。(7.学生の受入)12. 「総合演習ⅢB」の単位認定に関わる評価基準につけられている「(外部)模擬試験の成績を受験資格判定に用いる」という条件は早急に削除することが必要である。(8.成績評価・進級・学士課程修了認定)13. 必修科目である「総合演習ⅢB」の合否を、2回の試験の成績に基づく教授会での審議結果を受けて学長が決定することによって卒業の可否を決めていることは、ディプロマ・ポリシーに基づく学士課程修了認定の趣旨にそぐわないので、是正することが必要である。(8.成績評価・進級・学士課程修了認定)14. 「薬学教育第三者評価・実施検討委員会(薬学部自己点検評価委員会)」を、第三者評価への対応目的ではなく、薬学教育プログラムの向上と発展を目的に自己点検・評価を行うことができる組織に改善し、恒常的な点検・評価を行うことが必要である。(13.自己点検・評価)15. 個々の教員や委員会単位で行った自己点検・評価の結果を、それぞれに関わる個別の改善に生かすだけでなく、学部として行った薬学教育プログラム全般に対する自己点検・評価の結果を、学部の教育研究の改善に生かす取組みを行うことが必要である。(13.自己点検・評価)- 35 -Ⅴ.認定評価の結果について長崎国際大学薬学部(以下、貴学)薬学科は、平成27年度第一回全国薬科大学長・薬学部長会議総会において、平成29年度に薬学教育評価機構(以下、本機構)による「薬学教育評価」の対象となることが承認されました。これを受けて貴学は、平成28年度に本機構の「薬学教育評価 評価基準」(以下、「評価基準」)に基づく6年制薬学教育プログラムの自己点検・評価を実施し、その結果をまとめた「調書」(「自己点検・評価書」および「基礎資料」)と添付資料を添えて「薬学教育評価申請書」を本機構に提出しました。Ⅰ~Ⅳに記載した内容は、本機構が上記により貴学が提出した「調書」に基づいて行った第三者評価(以下、本評価)の結果をまとめたものです。1)評価の経過本評価は、本機構が実施する研修を修了した5名の評価実施員(薬学部の教員4名、現職の薬剤師1名)で構成する評価チームによるピア・レビューを基本にして行いました。まず、個々の評価実施員が「調書」に基づいて「評価基準」の達成状況を検証して所見を作成し、それらを評価チーム会議で検討して評価チームの所見をとりまとめる書面調査を行いました。評価チームは、書面調査の所見を整理した結果に貴学への質問事項などを加えた「評価チーム報告書案」を作成し、これを貴学に送付して、質問への回答と「評価チーム報告書案」に対する貴学の意見(第1回目のフィードバック)を求めました。評価チームは、貴学からの回答と追加された資料、並びに「評価チーム報告書案」に対する意見を検討して「評価チーム報告書案」の所見を修正し、その結果を踏まえて訪問調査を実施しました。訪問調査では、書面調査では十分に評価できなかった点を含めて貴学の6年制薬学教育プログラムの状況を確認することを目的に、「訪問時閲覧資料」の閲覧、貴学との意見交換、施設・設備見学と授業参観、並びに学生および若手教員との意見交換を行いました。訪問調査を終えた評価チームは、訪問調査で得た情報と書面調査の所見を総合的に検討し、「評価チーム報告書」を作成して評価委員会に提出しました。「評価チーム報告書」の提出を受けた評価委員会は、評価チームの主査を含めた拡大評価委員会を開いて、評価チームの判断を尊重しつつ、大学間での「評価結果」の偏りを抑えることを目指して「評価チーム報告書」の内容を検討し、その結果をもとに「評価報告書(委員会案)」を作成しました。次いで、評価委員会は「評価報告書(委員会案)」を貴学に送付し、事実誤認および誤解を生じる可能性がある表現などに対する「意見申立て」(第2回目のフィードバック)を受けました。- 36 -評価委員会は、申立てられた意見を検討し、その結果に基づいて「評価報告書(委員会案)」を修正するための拡大評価委員会を開催し、「評価報告書原案」を確定しました。本機構は「評価報告書原案」を、外部有識者を含む評価の最高意思決定機関である総合評価評議会において慎重に審議し、「評価報告書」を確定しました。本機構は、「評価報告書」を貴学に送付するとともに社会に公表し、文部科学省および厚生労働省に報告します。なお、評価の具体的な経過は「4)評価のスケジュール」に示します。2)「評価結果」の構成「評価結果」は、「Ⅰ.総合判定の結果」、「Ⅱ.総評」、「Ⅲ.『中項目』ごとの概評」、「Ⅳ.大学への提言」で構成されており、それらの意味は以下の通りとなっています。「Ⅰ.総合判定の結果」には、貴学の薬学教育プログラムが総合的に本機構の「評価基準」に適合しているか否かを記しています。「Ⅱ.総評」には、「Ⅰ.総合判定の結果」の根拠となった貴学の薬学教育プログラムの本機構の「評価基準」に対する達成状況を簡潔に記しています。「Ⅲ.中項目ごとの概評」には、「評価基準」を構成する 13 の『中項目』ごとに、それぞれの『中項目』に含まれる【基準】・【観点】に対する充足状況の概要を記しています。「Ⅳ.大学への提言」は、「評価結果」に関する本機構からの特記事項で、「1)長所」、「2)助言」、「3)改善すべき点」に分かれています。「1)長所」は、貴学の特色となる優れた制度・システムであり、教育研究上の実績が他大学の模範となると期待されるものです。「2)助言」は、「評価基準」を達成する最低要件は充たしているが、目標を達成するためには改善が望まれることを示すものです。「助言」の内容に対する改善の実施は貴学の判断に委ねますが、個々の「助言」への対応状況についての報告書の提出が必要です。「3)改善すべき点」は、「評価基準」が求める最低要件を充たしていないと判断された問題点で、貴学に対して「評価基準」を達成するための改善を義務づけるものです。「改善すべき点」については、早急に改善に取り組み、「評価基準」を達成したことを示す成果を「提言に対する改善報告書」として所定の期限内に本機構に提出することが必要です。本「評価結果」は、貴学の「自己点検・評価書」および「基礎資料」に記載された、評価対象年度である平成 28 年度における薬学教育プログラムを対象にしたものであるため、現時点ではすでに改善されているものが提言の指摘対象となっている場合があります。な- 37 -お、別途提出されている「調書」の誤字、脱字、数値の誤記などに関する「正誤表」は、本「評価報告書」、「調書」を本機構のホームページに公表する際に、合わせて公表します。3)提出資料一覧(調書) 自己点検・評価書 薬学教育評価 基礎資料(添付資料) NIU GUIDE BOOK2017 学生便覧 履修の手引 オリエンテーション資料 シラバス(全学共通) シラバス(学科専門・新カリ)3次カリ シラバス(学科専門・旧カリ)1・2次カリ シラバス(3次カリ開講予定新規科目)及びカリキュラム新旧対照表(3次カリ及び2次カリ科目間の読み替え表) 平成28年度時間割(前期・後期) 2017(平成29)年度学生募集要項 規程集 平成26年度第1回全学教育会議資料1「全学教育会議の発足について」 平成26年度第9回定例薬学部教授会資料6-2「H27カリキュラム3ポリシーについて」 平成26年度第2回全学教育会議資料2「長崎国際大学の3ポリシーについて」 平成26年度第12回全学教授会資料5「長崎国際大学ディプロマポリシー、カリキュラムポリシーの変更について」 平成23年度第9回薬学部教授会資料2-1「履修単位変更ならびに新カリキュラム編成に関する薬学部の」回答について」 平成26年度第9回定例薬学部教授会議事録P.4「新カリキュラム作成委員会からの協議事項」 ホームページ:目的と3つのポリシー- 38 -(http://www1.niu.ac.jp/about/policy/)(http://niupr.jp/exam/policy/) 平成27年度第7回定例薬学部教授会資料3-2「研究室配属における配属枠の決定方法について」 演習計画一覧 ホームページ:薬学部薬学科カリキュラム・シラバス(http://www1.niu.ac.jp/course/pharmacy/curriculum/) 薬学部運営実務要諦 2次及び3次カリキュラムツリー 事前訪問資料 施設訪問報告書 平成28年度第5回臨時薬学部教授会資料3「2016年長崎県環境保健センターの見学について」 平成28年度早期体験学習ガイドブック・スモールグループディスカッション(SGD)プロダクト 平成28年度早期体験学習レポート(病院・薬局・研究機関)「医療人育成のためのポートフォリオ2016」ハードコピー(一部分) 平成28年度早期体験学習振り返りSGD・プロダクト 平成28年度臨床体験学習カリキュラム・スケジュール 平成28年度臨床体験学習・評価表・レポート 平成28年度第6回臨時薬学部教授会資料2-1「総合基礎学習Ⅰ」の評価 長崎国際大学薬学部事前学習計画 各ユニット実習書 ユニットごとに指標を定めた評価表 平成28年度保護者懇談会資料 平成28年度薬学部新任教員研修セミナー実施報告書 平成28年度ボランティア体験学習ガイドブック・発表会スケジュール表・評価表・プロダクト 卒業論文評価シート 「医療人育成のためのポートフォリオ2015・2016」ハードコピー(レポート) 「平成28年度卒業研究中間発表会」評価シート 平成28年度卒業研究中間発表会評価データ- 39 - 入学前教育用送付問題・評価、送付時カバーレター 平成28年度各科目プレイスメントテスト問題 平成28年度プレイスメントテスト結果によるクラス分け 薬害に関する「薬学入門」講師・講義タイトル 非常勤講師出勤簿(事前学習臨床講師) 平成28年度学生の学会・論文発表リスト 生涯教育セミナー開催状況 「薬学入門」講師一覧表 非常勤講師発令通知書 「長崎国際大学薬学部薬剤師育成協力者養成講座」の開催実績等 NICEキャンパス長崎(http://nicecampus.nagasaki-chiikiedc.jp/) 「NICEキャンパス長崎」の受講状況等 薬剤師育成協力者養成講座開設のお知らせとプログラム 事前学習補助者名簿 平成28年度OSCE評価者依頼及び講習会案内と参加名簿 特定非営利活動法人ひびきあいネットワーク長崎定款 特定非営利活動法人ひびきあいネットワーク長崎 平成28年度事業報告と模擬患者(SP)名簿 総合実習試験評価表 学生自己評価表(生物薬剤・処方箋解析) 実務実習形成的評価表(病院・薬局) 平成28年度5年生実務実習前実力試験 平成28年度事前学習総括評価採点表 長崎国際大学薬学部平成28年度共用試験CBT本試験実施要領及び再試験実施要領 平成28年度長崎国際大学薬学部OSCE実施マニュアル及び追再試験実施マニュアル 「薬学共用試験の実施時期、合格者数等」ハードコピー 薬学部各種委員会 CBT受験生講習会 CBT監督者向け講習会 薬学部OSCE実施委員会及び組織図 評価者養成講習会、直前評価者講習会案内状と参加者リスト、模擬患者養成講習会案- 40 -内状と参加者リスト ステーション責任者会議議事録 ステーション管理者及びスタッフ会議議事録 事務スタッフ及び学生スタッフ説明会日程表と参加者リスト 実務実習先説明資料 平成28年度健康診断受診状況 ウィルス感染症に関する抗体価基準表 実務実習に関する申し合せ事項(平成22年5月13日) 実務実習説明会資料、実務実習施設と学生配属決定方法と基準について サイボウズ(実務実習) 第12回長崎薬学コンソーシアム会議次第及び会議議事要旨 長崎県薬剤師会定時総会開催案内 長崎国際大学実務実習手順書(病院) 長崎国際大学実務実習手順書(薬局) 施設訪問手順書 実務実習日誌フォーマット及びプロダクト(例) サイボウズ(実務実習)の実務実習記録 実務実習トラブル報告書 各施設への誓約書様式 地区調整機構誓約書様式 各指導薬剤師宛のメール文 統一総括評価表 成長報告書 学生用総括自己評価表 平成28年度実務実習に関する学生アンケート結果 平成28年度実務実習に関する施設アンケート結果 実務実習運営協議会議事録 「大村彼杵地区実務実習意見交換会」案内 鹿児島県病院薬剤師会実務実習関連会議(4月) 平成28年度実務実習学生説明会資料 実務実習運営委員会議事録- 41 - 担当教員用総括評価表 平成28年度総括評価採点表 平成27年度第5回臨時薬学部教授会資料5「4年生研究室配属(案)」 平成28年度 卒業研究中間発表会スケジュール表 平成28年度卒業論文作成要領 テーマ別学習概要H28 薬学部「卒業研究要旨集」 教養セミナー・基本スキルトレーニング概要 生命倫理「生命技術と生命倫理」講義内容とディベートの概要 薬理学実習・成績評価基準表 問題解決型学習関連講義一覧 薬理学Ⅱ 症例調べ学習課題例 平成28年度高校訪問・入学相談会・大学見学会(入試・募集センター) 平成28年度オープンキャンパス実施スケジュール(第1回~第4回) 平成28年度「高校生夏休み薬学研究体験」開催案内、「高校生夏休み薬学研究体験」実習書 小論文・課題論文の課題一覧(抜粋) プレイスメントテスト(化学)の平均値の経年変化 1年次成績のGPA平均値の経年変化 定期試験成績提出・面談スケジュール(前期分) サイボウズ「成績管理」ハードコピー 成績通知書 GPA席次表(平成27年度) 平成28年度1年生留年生成績・出席率一覧 薬学教育支援センター役割図 平成28年度薬学教育支援センター「出欠確認ボード」 ポートフォーリオの使用状況 定期試験後面談記録 平成28年度 留年生の「授業時間割・学習の目標計画」 FD実施一覧 学習プログラム- 42 - 学生指導記録 カリキュラム変遷と成績変化 6年次留年確定者への説明会開催案内 平成28年度学生名簿(4月1日現在) 平成28年度教務スケジュール 平成28年度オフィスアワー(薬学部) H28年度Learning Assistant制実績報告書 奨学金及びローンのご案内(http://www1.niu.ac.jp/life/scholarship/) 2016奨学金 説明会の掲示 平成28年10月現在 薬学部日本学生支援機構奨学金受給者数 平成28年熊本地震被災学生等への対応について(第1次裁定) 薬学部薬学科特待生推薦に関する申し合わせ 平成28年度薬学部特待生・減免奨学生在籍者数 薬学部学業奨励賞の運用に関する申し合わせ、荒川正幸教授奨励賞に関する申し合わせ、今泉貴世志奨励賞表彰内規 平成28年度発行キャンパスライフ・ヘルスサポートセンターだより 「心の健康調査」及び該当学生への渡し文書サンプル 平成28年度 NIUランチアワーのお知らせ キャンパスライフ・ヘルスサポートセンターについて 学生支援のFD・SD開催一覧 平成28年度前期の薬学部生のCHサポートセンター保健室利用状況 平成28年度学生定期健康診断日程表 熱中症対策講習会 (http://www1.niu.ac.jp/topics/life/2016/4198.html) 平成28年度各学科AED講習会実施報告書 AED設置場所(http://www1.niu.ac.jp/about/campusmap) 誓約書 STOP harassment ハラスメントのない大学にするために ハラスメントに関する相談(http://www1.niu.ac.jp/life/hotline/) STOP!ハラスメントカード ハラスメントFD研修開催一覧 障がい等のある入学志願者の事前相談申請書- 43 - 授業において配慮が必要な学生への対応についての説明会案内文書 配慮が必要な学生及び配慮すべき内容(訪問時に開示) 平成28年度就職ガイダンス資料 平成28年度ビーイング研修資料 平成28年度仕事の魅力発見セミナー資料 平成28年度薬学部就職オリエンテーション資料、就職登録カード(5年) 平成28年度薬学部就職説明会実施要領、参加事業所プロフィール集、出席者名簿 平成28年度薬学部就職ガイダンス資料 平成28年度薬学部卒業後の進路を考えるセミナー実施概要・出席者名簿 6年生へ 薬学部就職委員会からの伝達事項 就職登録カード(6年) 授業アンケート調査票 平成28年度1年生調査・上級生調査(在学生アンケート)調査票 大学IRコンソーシアム(http://www.irnw.jp/) 平成28年度卒業生アンケート調査票及び結果 平成28年度学長カフェ実施記録 長崎国際大学薬学部における実験の手引き(第4版) 平成28年度各実習のTA・SA数 静脈認証入室管理システム写真及び入室制限の掲示文書 長崎国際大学薬学部平成28年度安全管理調査結果、平成28年度毒劇物の管理状況とガスボンベに関する検査報告書 交通安全教室(http://www1. niu.ac.jp/topics/life/2016/4310.html) 平成28年度新入生対象学生課オリエンテーション資料(防犯講習会及び護身術の日程) 平成28年度消火・避難訓練(http://www1.niu.ac.jp/topics/general/2016/335.html) 緊急連絡!カード 見本 長崎国際大学薬学部緊急連絡シート 受賞者リスト 薬学部取得特許等一覧 大学院のマル合判定教員一覧 発表抄録 平成28年度カリキュラム(1~2年生) (3~6年生)担当者一覧- 44 - 平成28年度授業参観アンケート集 平成28年度薬学部薬学科研究分野別教員配置図及び予算 研究費獲得状況 薬学部薬学科研究室紹介(http://www1.niu.ac.jp/course/pharmacy/research/) 図書館ホームページ:論叢(http://library.niu.ac.jp/NiuDA/RNS/menu/ronsou.htm) 薬学部設立10周年記念誌、p.44-97 職位別平均時間数 科研費説明会日時等 長崎国際大学学術研究報告会資料 薬学研究発表会資料 平成27年度薬学部自己点検・評価書 SD実施一覧 実習室備品一覧 実験動物微生物検査成績書 検証実施証明書 動物実験に関する情報((http://www1.niu.ac.jp/about/disclosure/#id5083) 平成19年放射性同位元素等使用許可証 平成22年放射性同位元素等使用許可証 事前学習グループ分けの資料 卒業研究の配属資料 平成27年度薬学部共通機器一覧 図書館ホームページ:図書館を利用する(http://www.niu.ac.jp/library/guide) 図書館ホームページ:資料を探す:本・雑誌を探す:雑誌リスト(http://www.niu.ac.jp/library/search) 図書館資料(図書館委員による選書リスト(薬学科)) 図書館ホームページ:もっと図書館/イベント(http://www.niu.ac.jp/library/information#m1) 6・7号館の自学及びLA支援に使用する部屋についての取決め 薬学部薬学研究センター訪問研究員許可願受付簿 平成28年度薬学部受託・委託研究一覧 多職種協働による在宅がん医療・緩和ケアを担う専門人材育成拠点 年間活動報告書- 45 - 長崎薬学コンソーシアム規程 「第55回認定実務実習指導薬剤師養成ワークショップ in 九州・長崎」報告書 認定実務実習指導薬剤師養成ワークショップ in 九州への派遣状況 薬学部教員の受託委員一覧表 薬剤師研修会等への講師派遣状況 長崎国際大学公開講座案内 平成28年度佐世保まちなか大学案内 長崎国際大学教員による公開講座実施状況 長崎県民フォーラム開催案内 体験学習「薬学の世界を知る-くすりを創る、使う-」(http://www1.niu.ac.jp/society/ssp/) 薬物乱用防止に関する講演の依頼書 佐世保市少年科学館「星きらり」科学教室開催案内と講師依頼状 「地域の期待に応える実践活動」に関する資料 「大学間連携共同教育推進事業」中間結果評価一覧 薬品物理化学研究室の英文HP(http://210.191.85.3/~pharm1/lab/physchem/indexenglish.html) 交流大学概要 (http://www1.niu.ac.jp/international/) 長崎国際大学薬学部とコーンケーン大学薬学部との学術交流協定書 長崎国際大学薬学部とランジット大学薬学部との学術交流協定書 平成28年度 夏季短期留学 募集要項 平成28年度海外出張申請履歴 全学教育会議次第(平成27年度第4回・28年度第2回) 長崎国際大学自己点検・評価報告書一覧 平成26年度大学機関別認証評価 自己点検評価書[日本高等教育評価機構](http://www1.niu.ac.jp/about/disclosure/ 6534.html)HPのハードコピー 自己評価21(http://www1. niu.ac.jp/about/disclosure/ 3019.html)HPのハードコピー 平成29年度第1回IRセンター会議資料「平成28年度自己点検・評価委員会活動総括」 平成24~26年度在学生アンケート集計結果 平成26年度第7回定例薬学部教授会資料8「平成24~26年度在学生アンケートから抽出- 46 -された課題に対する改善策について」 大学IRコンソーシアム会員共通「一年生調査2015年」及び「上級生調査2015年」集計結果 平成28年度第10回IRセンター会議資料「2015年一年生・上級生調査」 平成28年度第9回定例薬学部教授会資料15「2015年一年生・上級生調査をもとにした解析結果(薬学部)」 平成28年度授業評価 ハイブリッドハードコピー manaba「大学からのお知らせ」ハードコピー 平成27(2015)年度ベストティーチャー賞候補者と選定基準 平成28年度第11回就職委員会議事録及び資料(薬学部就職率経年変化) 平成26年度第9回定例薬学部教授会議事録p.4 平成26年度第12回全学教授会議事録p.5 平成27年度第6回定例薬学部教授会議事録p.3 平成27年度第11回全学教授会議事録p.4 平成23年度第9回全学教務委員会議事録p.1 平成23年度第10回定例薬学部教授会議事録p.2 平成23年度第11回全学教授会議事録p.4 平成26年度第6回定例薬学部教授会議事録p.2 平成26年度第2回臨時薬学部教授会議事録p.2 平成26年度第9回全学教授会議事録p.10 「薬学入門」レポート 平成27年度第6回定例薬学部教授会議事録p.7 平成27年度第6回入試・募集委員会議事録p.1 平成20年度第10回薬学部薬学科会議議事録p.2長崎国際大学薬学部薬剤師育成協力者養成講座 平成28年度九州8大学病院薬局実習調整結果 委受託契約書 平成29年3月臨時学部教授会議事録 実務実習運営協議会、実務実習運営委員会 卒業論文 平成23年度第10回定例薬学部教授会議事録p.4 平成23年度第4回臨時薬学部教授会議事録p.2- 47 - 平成23年度第11回全学教授会議事録p.10 平成26年度第9回定例薬学部教授会議事録p.4 平成26年度第10回全学教授会議事録p.8-9 2017年度版(平成29年度)長崎国際大学入学試験マニュアル 2017(平成29)年度 長崎国際大学 推薦入学者選抜実施要領 2017(平成29)年度薬学部外国人留学生特別推薦入学者選抜実施要領 平成29年度長崎国際大学入学試験マニュアルp.22-30 平成27年度第4回教授会議事録p.5 保管問題・答案・定期試験成績記録表 平成28年度進級判定資料(教務課) 平成28年度第11回教務委員会議事録「進級判定」 平成28年度第11回定例薬学部教授会議事録「進級判定」 平成28年度第2回教務委員会議事録 平成28年度第1回定例薬学部教授会議事録p.3 平成27年度第9回定例薬学部教授会議事録.No.6-1,2 平成27年度第7回臨時薬学部教授会議事録.NO.1-1,2 平成27年度第6回定例薬学部教授会議事録p.3 平成27年度第11回全学教授会議事録p.4 平成28年度卒業判定資料(教務課) 平成28年度第2回臨時教務委員会議事録「卒業判定」 平成28年度第10回定例薬学部教授会議事録「卒業判定」 平成28年度第9回定例薬学部教授会議事録p.4「総合演習ⅢB 単位認定」 平成28年度第7回臨時薬学部教授会議事録p.1 平成27年度第11回定例薬学部教授会議事録 p.3(平成28年度薬学部特待生(1-4年)の推薦について) 平成27年度第10回臨時薬学部教授会議事録p2(平成28年度薬学部特待生・荒川賞・学業奨励賞(5年)の推薦について、平成27年度今泉貴世志奨励賞の推薦について 平成28年度第9回キャンパスライフ・ヘルスサポートセンター運営委員会議事録、p2 (平成28年度定期学生健康診断受診結果報告について) 平成28年度学生による授業評価アンケート集計結果 自己点検・評価報告書- 48 - 学生による授業アンケートに対する自己点検・評価報告書 長崎国際大学教員個人による諸活動について 自己点検・評価報告書 平成26年度第7回定例薬学部教授会議議事録p.3「在学生アンケートから抽出された課題についてのワーキンググループの設置について 入試問題 入学者を対象とする入試結果一覧表 授業リジュメ・授業で配布した資料・教材 健診受審記録 実習受入先・学生配属リスト 追再試験を含む定期試験問題 試験点数の分布表(ヒストグラム) 成績評価の根拠の分かる項目別配点表 教職員の研修(FD.SD)の実施に係る記録・資料 授業評価アクションプランシート4)評価のスケジュール貴学の薬学教育プログラム評価を以下のとおり実施しました。平成28年1月22日 日本薬学会長井記念館会議室において、貴学より担当者7名の出席のもと本評価説明会を実施平成29年3月13日 貴学より調書の草案の提出。機構事務局は内容を確認4月12日5月8日機構事務局より貴学へ草案の確認終了を通知貴学より「薬学教育評価申請書」の提出。機構は貴学へ受理を通知5月8日 貴学より評価資料(調書および添付資料)の提出。機構事務局は各評価実施員へ評価資料を送付、評価実施員は評価所見の作成開始~6月29日 評価実施員はWeb上の薬学教育評価管理システムに各人の評価所見を入力。主査はWeb上の各実施員の評価所見を基に「評価チーム報告書案」の素案を作成6月30日 評価チーム会議を開催し、Web上で共有した主査の素案を基に「評価チーム報告書案」を作成 7月31日 評価チームは「評価チーム報告書案」を機構事務局へ提出。機構事務局より貴学へ「評価チーム報告書案」を送付 8月21日 貴学より「評価チーム報告書案に対する確認および質問事項への回答」の提出。機構事務局はその回答を評価チームへ通知- 49 -9月7日 評価チーム会議を開催し、貴学からの「評価チーム報告書案に対する確認および質問事項への回答」を検討し、訪問時の調査項目を確認10月4日・5日 貴学への訪問調査実施10月14日 評価チーム会議を開催し、「評価チーム報告書」を作成11月21日 評価委員会委員長・副委員長会議を開催し、「評価チーム報告書」を検討11月26・27日 評価委員会(拡大)を開催し、「評価チーム報告書」を検討12月11日 評価委員会(拡大)を開催し、「評価報告書(委員会案)」を作成、承認平成30年1月4日 機構事務局より貴学へ「評価報告書(委員会案)」を送付1月22日 貴学より「意見申立書」を受理2月4日 評価委員会(拡大)を開催し、意見申立てに対する「回答書」および「評価報告書原案」を作成2月14日 機構事務局より貴学へ意見申立てに対する「回答書」を送付2月20日 「評価報告書原案」を総合評価評議会へ提出3月9日 総合評価評議会を開催し、「評価報告書」を決定3月15日 機構事務局より貴学へ「評価報告書」を送付
大学への提言
長崎国際大学 大学への提言1)長所1. 障がいのある学生に対して、学修補助、施設・設備の整備に加えて、「障がい学生に対する修学支援費」が支給されているなど、就学支援が充実している。(9.学生の支援)2. 大学教員・関係者が共同して教育もしくは研究を行う機関として「薬学研究センター」が設置され、他大学や民間等外部機関との共同研究等の推進、研究の交流支援、地域- 32 -社会における技術開発・教育の振興に貢献している。(12.社会との連携)2)助言1. 薬学部の「教育研究上の目的」の検証には薬学部の教育と研究に責任を負う薬学部教授会が主体的に関わることが望ましい。(1.教育研究上の目的)2. ヒューマニズム教育・医療倫理教育を主目的とする専門科目が少なく、教養教育科目は1年次でしか履修できないことから、ヒューマニズム教育・医療倫理教育が系統的に行われていないことが懸念されるので、専門科目を増やすなど上級学年まで継続するようカリキュラムを充実させることが望ましい。(3.医療人教育の基本的内容)3. コミュニケーション能力および自己表現能力を育成する教育を行う独立した科目がなく、これらの教育に充てる時間が不足していることが懸念されるので、これらの教育を専門に行う科目を増やすなど、カリキュラムを充実させることが望ましい。(3.医療人教育の基本的内容)4. 卒業生、地域の薬剤師並びに在学生を対象として実施している研修会への参加学生数を増やすことが望ましい。(3.医療人教育の基本的内容)5. シラバスやカリキュラムマップによる科目間の関連性、連続性の説明を、学生に分かりやすい形にしておくことが望ましい。(4.薬学専門教育の内容)6. 「卒業研究」の評価を行う主査と副査が学生の配属先の教員であるのは、厳正な評価を行う体制として好ましくないので、副査は所属研究室以外から任命することが望ましい。(6.問題解決能力の醸成のための教育)7. 入試関連の組織(入試・募集委員会、作問委員会)は、大学全体の組織であり、合否判定も入試・募集委員会、全学教授会で審議の後、学長が決定する体制である。入学志願者の評価と受け入れの決定に関して、薬学部として責任を持つことができる体制で行うことが望ましい。(7.学生の受入)8. 教育研究上の目的に基づいた教育における総合的な学習成果を適切に評価することが望ましい。(8.成績評価・進級・学士課程修了認定)9. ホームページに掲載されている研究業績、教育業績の更新状況を点検し、全教員の業績を最新のものとすることが望ましい。(10.教員組織・職員組織)10. 実務系専任教員が外部医療機関で研鑽する制度を設けることが望ましい。(10.教員組織・職員組織)11. 学生対象の短期留学プログラムや教員対象の留学・研修制度も設けられているが、何- 33 -れも利用実績がないので、利用を促すことが望ましい。(12.社会との連携)12. 薬学部の自己点検・評価を行う委員会には、外部委員を加えることが望ましい。(13.自己点検・評価)3)改善すべき点1. 学則第3条の3にある「薬学科の目的」は、薬学教育の一般的な定義を述べているだけで、本評価の基準が求める「教育研究上の目的」とは言えないので、「長崎国際大学の理念」、「薬剤師養成教育に課せられた基本的な使命」、および「薬学部に課せられた研究の使命」を端的に表現する「教育研究上の目的」を策定して学則に明記するよう、早急に改善することが必要である。(1.教育研究上の目的)2. 時間割上の学習時間配当が「卒業研究」より国家試験受験対策教育を重視したものになっていることから、学生に対して国家試験受験対策教育が卒業研究より重要であるという認識を与えることが懸念されるので、「卒業研究」の時間割上の配当を改善することが必要である。(2.カリキュラム編成)3. ヒューマニズム教育・医療倫理教育を行っている科目の多くが講義科目であり、目的に合った効果的な学習方法が用いられていると言えないので、学習方法の改善を図ることが必要である。(3.医療人教育の基本的内容)4. ヒューマニズム教育・医療倫理教育に対応する科目において、総合的な目標達成度を評価するための指標が設定されていないので、それらを設定してそれに基づく適切な評価を行うことが必要である。(3.医療人教育の基本的内容)5. コミュニケーション能力および自己表現能力の育成に対応する科目において、総合的な目標達成度を評価するための指標が設定されていないので、それらを設定してそれに基づく適切な評価を行うことが必要である。(3.医療人教育の基本的内容)6. 到達目標の学習領域(知識・技能・態度)と学習方法とが整合していない科目が散見されるので、各授業科目に含まれる到達目標を精査し、それぞれの到達目標の学習領域にあった学習方法による授業を行うように改善することが必要である。(4.薬学専門教育の内容)7. 大学独自の薬学専門教育を行う科目のシラバスに、大学独自科目であることが明記されていないので、学生に独自の教育であることが分かるように明示することが必要である。(4.薬学専門教育の内容)8. 「卒業研究」の時間がさまざまな理由で分断されているために、落ち着いて実質的な- 34 -研究に継続して取り組むことができる時間が不足し、「薬学教育モデル・コアカリキュラム」のE1が求めている到達目標とシラバスの趣旨に叶う教育が十分に行われていないことが懸念されるので、「卒業研究」の実施時期、実施時間、「総合演習」との時間配分などを検討し、「卒業研究」を充実したものにすることが必要である。(6.問題解決能力の醸成のための教育)9. 「卒業研究発表会」は、広い範囲からの質疑を受けることで考察の幅を広げ、大学が目指す教育研究上の意義に合致するものとなるよう、研究室単位ではなく学部全体で行う形に改めることが必要である。(6.問題解決能力の醸成のための教育)10. 問題解決能力の醸成を目指す教育全体としての目標達成度を評価するための指標の設定とそれに基づく評価が行われていないので、指標を設定し、それに基づく評価を行うことが必要である。(6.問題解決能力の醸成のための教育)11. 入学試験で入学志願者の適性および能力が適確かつ客観的に評価されていないことが懸念されるので、入学者選抜の方法と基準を検討し、入学者の基礎学力の改善を図ることが必要である。(7.学生の受入)12. 「総合演習ⅢB」の単位認定に関わる評価基準につけられている「(外部)模擬試験の成績を受験資格判定に用いる」という条件は早急に削除することが必要である。(8.成績評価・進級・学士課程修了認定)13. 必修科目である「総合演習ⅢB」の合否を、2回の試験の成績に基づく教授会での審議結果を受けて学長が決定することによって卒業の可否を決めていることは、ディプロマ・ポリシーに基づく学士課程修了認定の趣旨にそぐわないので、是正することが必要である。(8.成績評価・進級・学士課程修了認定)14. 「薬学教育第三者評価・実施検討委員会(薬学部自己点検評価委員会)」を、第三者評価への対応目的ではなく、薬学教育プログラムの向上と発展を目的に自己点検・評価を行うことができる組織に改善し、恒常的な点検・評価を行うことが必要である。(13.自己点検・評価)15. 個々の教員や委員会単位で行った自己点検・評価の結果を、それぞれに関わる個別の改善に生かすだけでなく、学部として行った薬学教育プログラム全般に対する自己点検・評価の結果を、学部の教育研究の改善に生かす取組みを行うことが必要である。(13.自己点検・評価)
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| 第1期 |
2017年度 |
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1:提言 改善報告審議結果 |
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| 日本大学 | 私 | 千葉県 | 第1期 | 2017年度 | 適 |
自己点検・評価書 基礎資料 正誤票 |
評価報告書
総評
日本大学 総評日本大学薬学部は、6年制の薬学科を設置し、「人類の保健、医療および福祉に貢献する新しい薬学を創造する」という薬学部の理念を踏まえた教育研究上の目的を掲げ、それを踏まえた入学者受入方針(アドミッション・ポリシー)、教育課程の編成・実施方針(カリキュラム・ポリシー)ならびに学位授与の方針(ディプロマ・ポリシー)を制定している。また、教育研究上の目的と3つの方針との整合性について継続して検証する体制も整えている。シラバスは記載内容の充実が図られ、旧カリキュラムならびに平成 27 年度から適用された新カリキュラムはいずれも、薬学教育モデル・コアカリキュラム、改訂薬学教育モデル・コアカリキュラムに準拠している。新カリキュラムでは科目編成を刷新し、医療における社会的ニーズを反映した大学独自の「特色教育科目」を配置しながら高度な薬剤師養成教育に取り組んでいる。医療人の基本としてのヒューマニズム教育・医療倫理教育、教養教育には1年次から4年次まで多彩な科目が置かれ、一部ではルーブリックを活用した授業も展開されている。また、語学教育では薬学英語入門から専門英語までをリレー的に修得させるための英語科目が1年次から4年次まで置かれ、準備教育や医療安全教育も適切に実施されている。実務実習については、充実した設備を有する実習室での事前学習と共用試験により学生の能力を保証し、地区調整機構との連携の下に実務実習モデル・コアカリキュラムに沿った内容で円滑に実施されている。学生は4年次後期から卒業研究に取り組み、実施期間としては 12 ヶ月以上が確保されている。また、卒業研究の評価は学部内で統一したルーブリックに従って適切に行われている。成績評価はシラバスに明記された基準によって行われ、進級判定は規程に基づいて厳格に実施されている。また、1~3年次学生に対しては学年末実力試験により学力到達度の測定が行われている。留年者に対してはリメディアル教育が実施されている。一方、学士- 2 -課程の修了認定は6年次後期の「総合講義」の試験結果を基に行われている。入学者の選抜はアドミッション・ポリシーに基づいて厳格に実施され、入学定員に対する入学者数は適正な範囲にある。学生への教育支援については、担任制度や新年度ガイダンスにより適切な履修指導が行われている。また、種々の奨学金制度を設けることで学生への経済的支援を推進するとともに、健康維持、ハラスメント、就職などに関わる支援体制もよく整備されている。また、学生の意見を教育や学習環境、生活環境の改善に反映させる制度も整えられている。専任教員数は大学設置基準を充足しており、職位の構成も適切である。教員の採用・昇任は学内審査基準に基づいて厳格に行われている。薬剤師としての臨床経験を有する教員は、継続して医療機関等での自己研鑽を重ね、また各教員はFD活動(FD:FacultyDevelopment)を通して資質向上に取り組んでいる。教育研究体制を支援する職員組織も整えられている。薬学部キャンパスの学習環境は充実しており、収容学生数に応じた講義・演習室、図書室、実習室、薬用植物園が整備されている。社会との連携については、地域の薬剤師会との連携や認定薬剤師研修制度により薬剤師の知識向上や生涯学習に寄与している。また、学生の海外短期研修等を通して国際交流にも活発に取り組んでいる。薬学部内に外部委員を含む「自己点検・評価委員会」を設置し、外部評価や全学評価に対応する体制を整えている。以上のように、日本大学薬学部薬学科の6年制薬学教育プログラムは、本機構の評価基準におおむね適合していると判断される。しかしながら、主な改善すべき点として、以下が挙げられる。(1) ヒューマニズム教育・医療倫理教育ならびにコミュニケーション能力および自己表現能力醸成のための教育における目標達成度を総合的に測定するための指標を設定し、目標達成度を適切に評価するよう改善する必要がある。(2) 問題解決能力の醸成に向けた教育における目標達成度の評価に関して、適切な指標を設定するなどさらに努力を続け、それに基づく総合的な評価を行う必要がある。(3) ストレートで卒業する学生の割合が低いこと等も含めて、入試区分と入学後の履修・成績、留年率、退学率、卒業率との関係を検証し、入学者選抜制度の見直しを図る必要がある。- 3 -(4) 学士課程修了認定が、主として薬剤師国家試験を意識した内容の「総合講義」の試験を用いて行われ、過年度も含め卒業率が低い状況が続いていることは、学士課程修了認定の方法や基準が適切ではないことを示しており、改善が必要である。(5) 自己点検・評価委員会が中心となり、教育研究活動のさらなる改善のためのPDCAサイクルを適切に機能させることが必要である。日本大学薬学部には、今回の評価における改善すべき点や助言に適切に対応することで6年制薬学教育プログラムをさらに発展させ、今後も大学の独自性を活かした教育研究が推進されることを期待する。
大学への提言
日本大学 大学への提言1)長所1. 卒業研究の評価が、平常態度評価基準、ポスター発表評価基準、卒業論文評価基準を基に学部内で統一された「卒業研究評価表」(ルーブリック/「所属研究室用」および「関連研究室用」の2種)に従って行われている点は評価できる。(6.問題解決能力の醸成のための教育)2. 1~3年次生を対象に学年末実力試験を実施して学力到達度を測定し、次年度以降の指導に役立てていることは評価できる。(8.成績評価・進級・学士課程修了認定)3. 薬剤師としての実務の経験を有する教員が、医療機関等で研鑽できる体制を整備していることは評価できる。(10.教員組織・職員組織)4. 授業評価等で指摘された問題点の改善策として、自己研鑽実施報告書および授業改善計画報告書を提出させ、学内イントラネット上で公開していることは評価できる。(10.教員組織・職員組織)- 39 -5. 図書館運営委員会が、本に接する楽しさを知ってもらうために「図書館運営委員会からのこの一冊」や「日本大学薬学部学生書店選書ツアー」を実施していることは評価できる。(11.学習環境)2)助言1. 知識領域の学習成果を総括し総合力を確実に定着させることを目的とする「分野別統合講義Ⅱ」と「医療系薬学演習講義Ⅰ」は、シラバスにはCBT対策科目と記載されているので、設置目的との整合性を取れるように記載内容を修正するのが望ましい。(2.カリキュラム編成)2. 6年次前期に業者による国家試験対策講座を実施するに当たっては、正規授業科目の時間割配置とのバランスを考慮した対応が望まれる。(2.カリキュラム編成)3. シラバスを見る限り、「法学入門」、「生命科学入門」、「哲学」、「早期体験実習」や「臨床医学概論」についてはヒューマニズム教育・医療倫理教育としての科目の位置づけが明確でなく、授業概要および目標にこれらの授業の位置づけを加えることが望まれる。(3.医療人教育の基本的内容)4. 日本大学薬学部における英語教育の総まとめと位置づけられる4年次開講の「英語Ⅴ」は履修者が極端に少ないので、履修者を増やす努力が望まれる。(3.医療人教育の基本的内容)5. 薬害や医療過誤、医療事故の当事者の話を聞く機会が少ないので、増やすことが望まれる。(3.医療人教育の基本的内容)6. 生涯学習の必要性に関する講義等が充分とは言えず、また薬剤師が生涯学習に参加する機会を設定しているが参加学生数が極めて少ないので、改善が望まれる。(3.医療人教育の基本的内容)7. 大学独自科目の履修者が少ないので、単位認定制度の変更および開講学年の再考も考慮した改善が望まれる。(4.薬学専門教育の内容)8. 問題解決型学習に充てられた単位数は、卒業研究を加味しても旧カリの卒業要件の1/10 には達していないので増やすことが望まれる。(6.問題解決能力の醸成のための教育)9. 6年間の学修成果の総合的な評価について、知識・技能・態度に関する適切な指標を設定し、それに基づいて評価することが望まれる。(8.成績評価・進級・学士課程修了認定)- 40 -10. 専任教員1名当たりの学生数は 21.2 名となっており、教育水準の向上や適切な学生指導を推進するためにも今後の教員数の増加が必要と判断されるので、改善が望まれる。(10.教員組織・職員組織)11. 研究室間の面積に差があり、教員にとっての面積が十分でないと見られる研究室があるので、改善が望まれる。(10.教員組織・職員組織)12. 実習担当等の授業負担が原因で長期留学制度がほとんど活かされていないので、教員増を図るなどの人員体制の整備が望まれる。(12.社会との連携)13. 薬学部自己点検・評価委員会は、組織図上、企画・広報委員会の下部委員会のように捉えられるので、薬学部内の独立した委員会との位置づけが明確ではなく、改善が望まれる。(13.自己点検・評価)14. 日本大学は大学基準協会が定める「大学基準」に係わる「点検・評価項目」に基づいた評価を行っているが、薬学部が6年制薬学教育プログラムを検証するための評価項目を設定して、自主的に自己点検・評価を行う体制は取られていないので改善が望まれる。(13.自己点検・評価)3)改善すべき点1. ヒューマニズム教育・医療倫理教育に該当する科目は多くが講義中心で、知識の修得を主とするものになっている。これらの科目では、態度教育が可能な方略を含めた教育内容に改善することが必要である。(3.医療人教育の基本的内容)2. ヒューマニズム教育・医療倫理教育における目標達成度を総合的に測定するための指標を設定し、目標達成度を適切に評価するよう改善する必要がある。(3.医療人教育の基本的内容)3. コミュニケーション能力および自己表現能力醸成のための教育における目標達成度を総合的に測定するための指標を設定し、適切に評価するよう改善する必要がある。(3.医療人教育の基本的内容)4. 旧カリでは、一部のSBOsに対応する授業科目が選択科目となっていたり、授業科目そのものがなかったりするので、何らかの形で全員が履修し、修得できるよう改善する必要がある。(4.薬学専門教育の内容)5. 4年次と6年次に、学生が集中的に卒業研究に取り組む時間が確保された時間割を編成する必要がある。(6.問題解決能力の醸成のための教育)6. 問題解決能力の醸成に向けた教育における目標達成度の評価に関して、適切な指標を- 41 -設定するなどさらに努力を続け、それに基づく総合的な評価を行う必要がある。(6.問題解決能力の醸成のための教育)7. ストレートで卒業する学生の割合が低いことから、入試区分と入学後の履修・成績、留年率、退学率、卒業率との関係を検証し、入学者選抜方法の見直しを図る必要がある。(7.学生の受入)8. 学士課程修了認定が、主として薬剤師国家試験を意識した内容の「総合講義」の試験を用いて行われ、過年度も含め卒業率が低い状況が続いていることは、学士課程修了認定の方法や基準が適切ではないことを示しており、改善が必要である。(8.成績評価・進級・学士課程修了認定)9. 事故や災害時の対策マニュアルを整備する必要がある。(9.学生の支援)10. 薬学部の自己点検・評価結果をホームページ上に公表することが必要である。(13.自己点検・評価)11. 自己点検・評価委員会が中心となり、教育研究活動のさらなる改善のためのPDCAサイクルを適切に機能させることが必要である。(13.自己点検・評価)
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自己点検・評価書 基礎資料 正誤票 |
評価報告書
総評
北海道科学大学 総評北海道薬科大学では、「地域社会の要請に応え、質の高い薬剤師を養成、輩出することによって北海道の医療の発展に貢献する」を「建学の精神」に掲げ、6年制薬学教育の根幹となる「目的」「教育理念」「教育目標」を定めるとともに、入学者受入れ方針(アドミッション・ポリシー)、教育課程の編成・実施の方針(カリキュラム・ポリシー)、学位授与の方針(ディプロマ・ポリシー)を設定している。教育カリキュラムはカリキュラム・ポリシーに基づいて編成されている。ヒューマニズム教育・医療倫理教育に関わる授業科目は体系的に配置されている。コミュニケーション能力・プレゼンテーション能力を育成する教育は、臨床系科目や実習・演習系科目を中心に行われている。語学教育については、「読む」「書く」「聞く」「話す」の要素を取り入れた授業科目が1年次から配置されている。また薬剤師が働く現場に接し、医療職を目指す動機づけを行うことを目的として、「早期体験実習」「防災・救急対応実習」「薬剤師実務体験実習」「介護福祉体験実習」が、入学後の早い時期に開講されている。さらには、地域医療への取組み、地域包括ケア・在宅医療・災害時における薬剤師の役割なども学修している。実務実習事前学習は、実務実習モデル・コアカリキュラムの教育目標と学習方法に準拠するとともに、大学独自の学修内容と方略を組み込んだものとして4年次前期から5年次前期まで行われ、薬学共用試験合格後の5年次前期に、より高度な薬物療法などを学修している。薬学共用試験は適正な体制の下で実施されている。実務実習は、実務実習モデル・コアカリキュラムの教育目標に準拠しており、実習施設と大学が連携し11週間実施している。卒業研究は4年次後期~6年次前期で行っているが、同期間には実務実習の他、複数の薬学専門科目や実習・演習科目が開講されている。入学者の選抜は多様な区分で実施されるが、全区分の学生募集要項において、出願資格に「入学後、たばこを吸わないことを確約できる者」と明記している。入学試験の合否判定は責任ある体制下で行われている。各授業科目の成績評価はS、A、B、C、Dの5段階の相対評価で行われ、S~Cを合格としている。進級基準や留年の取り扱い、学士課程- 2 -修了の判定基準や判定方法は適切である。修学支援のためクラス担任制がとられ、「学習相談室」も設置されている。また、心身の健康保持のため「医務室」が設置され、年度初めには健康管理のための定期健康診断が実施されている。ハラスメントの防止対策、身体に障がいをもつ学生の支援、就職活動の支援、安全教育、防災対策など、学生支援の環境は整っている。また、図書館、自習室、講義室、演習室、実験室、実務実習事前学習施設、卒業研究のための施設や設備など、学習環境も整備されている。専任教員は、教育上および研究上の優れた実績、あるいは優れた知識・経験および高度の技術・技能を有し、担当する専門分野に関する教育上の指導能力と高い見識があると認められる者が必要数配置されている。また、臨床系教員が研鑽できる体制・制度が整備されており、8名の臨床系教員が医療施設へ派遣されている。さらに複数の他大学、医療機関、薬系企業、行政機関との間で、教育、学術研究、生涯学習などに関する連携協定を締結し、医療および薬学の発展に貢献している。以上のように、北海道薬科大学薬学部薬学科の教育プログラムは、本機構の評価基準におおむね適合していると判断される。しかしながら、主な改善すべき点として、以下が挙げられる。(1)技能・態度のSBOs(Specific Behavioral Objectives)を含む授業科目でありながら、講義のみを行い、試験のみで成績を評価している科目については、授業方略や評価方法の改善が必要である。(2)「成績評価ガイドライン」による成績評価では、「D(不可)」の割合が 10%以下と定められているため、試験等の成績で修得レベルが授業科目の到達目標に達していないと科目担当者が判断する学生が合格してしまうことが懸念される。このような事態を防ぐため、「成績評価ガイドライン」の改善が必要である。(3)6年制薬学教育プログラムを対象とした大学独自の継続的な自己点検・評価を実施するとともに、自己点検・評価の結果を教育改善に結び付ける適切な体制を機能させる必要がある。以上の重要な改善すべき点に加え、その他の提言に示される改善すべき点や助言に関しても適切に対応し、6年制薬学教育のさらなる改善に努めることが望まれる。
大学への提言
北海道科学大学 大学への提言1)長所1. 臨床系教員が研鑽できる体制・制度が整備されており、多数の臨床系教員が医療施設へ派遣されている。(10.教員組織・職員組織)2. 自習室が整備され、平日・休日ともに7時~22時の長時間利用が可能である。(11.学習環境)3. 地域医療を学ぶ授業や実習を独自科目などとして開講し、地域医療に貢献する薬剤師の育成を積極的に進めていることは、地域包括ケアが進む時代を先取りする教育面での地域貢献として評価できる。(12.社会との連携)4. 「薬剤師アップトゥデート講座」および「病態・薬物治療フォローアップ講座」が、インターネットでの受講も可能となっている。(12.社会との連携)2)助言1. 教育研究上の目的に当たる「教育目標」などを定期的に検証することが望ましい。(1.教育研究上の目的)2. カリキュラム・ポリシーの学生への周知を徹底するために、教務部ガイダンスでも説明することが望ましい。(2.カリキュラム編成)3. 教職員に対して、FD等の機会を利用したカリキュラム・ポリシーの説明や周知を行うことが望ましい。(2.カリキュラム編成)4. ヒューマニズム教育・医療倫理教育に関わる科目の成績評価について、試験のみで成績評価を行っている科目がみられるので、目的に即した評価方法を用いるように改善することが望まれる。(3.医療人教育の基本的内容)5. ヒューマニズム教育・医療倫理教育に関わる科目の成績評価について、知識・技能・態度を評価する方法をシラバスに記載することが望まれる。(3.医療人教育の基本的内容)6. 「基礎数学」と「基礎物理学」については、基礎学力の違いを考慮した習熟度別の少- 41 -人数クラスの編成とすることが望ましい(3.医療人教育の基本的内容)。7. 医療安全教育については、授業科目数を増すとともに、弁護士や医療における安全管理者を講師とする授業科目を設けることが望ましい。(3.医療人教育の基本的内容)8. 学生全員が参加しての学内実務実習報告会が行われていないので、実施することが望ましい。(5.実務実習)9. 他の研究グループの教員を「卒業研究」の評価者に加えることが望ましい。(6.問題解決能力の醸成のための教育)10. 入学者の多数を占める一般入試および大学入試センター試験利用入試においても、アドミッション・ポリシーに準じた医療人としての適性を評価することが望ましい。(7.学生の受入)11. 学生への周知の観点からは、教務部ガイダンスにおいても卒業要件を説明することが望ましい。(8.成績評価・進級・学士課程修了認定)12. 身体に障がいを有する入学志願者に対する受験機会の提供に関しては、学生募集要項の「Q&A」への記載のみではなく、独立した項目を設けて分かり易く改善することが望ましい。(9.学生の支援)13. 教員の教育研究活動をホームページ等へ掲載して公開することが望ましい。(10.教員組織・職員組織)14. 点検・評価委員会は外部委員を含むことが望ましい。(13.自己点検・評価)3)改善すべき点1. 教育研究上の目的に当たる「教育目標」に、薬学あるいは薬剤師に関連する真理を探求する研究への言及がないので、それを追加するとともに、「教育目標」を「教育研究目標」とする必要がある。(1.教育研究上の目的)2. ヒューマニズム教育・医療倫理教育の授業科目の学習方法に関して、SGDなどの能動的な参加型学習法を拡充する必要がある。(3.医療人教育の基本的内容)3. ヒューマニズム教育・医療倫理教育に関わる教育の学習成果を総合した目標達成度の評価が実施されていないので、目標達成度を評価する指標を設定し、それに基づいた適切な評価を行う必要がある。(3.医療人教育の基本的内容)4. コミュニケーション能力や自己表現力の向上を目的とした教育の学習成果を総合した目標達成度の評価が実施されていないので、目標達成度を評価する指標を設定し、それに基づいた適切な評価を行う必要がある。(3.医療人教育の基本的内容)- 42 -5. 必修科目でカバーできていないSBOsについては、適切に対処する必要がある。(4.薬学専門教育の内容)6. 技能・態度のSBOsを含む授業科目でありながら、講義のみを行い、試験のみで成績を評価している科目については、授業方略や評価方法の改善が必要である。(4.薬学専門教育の内容)7. 実験実習などの実習・演習科目がカバーしていない技能に関するSBOsについては、実験実習時間(単位)の増加、補充実習・演習などによる対応が必要である。(4.薬学専門教育の内容)8. 実務実習事前学習全体としての目標達成度が評価されていないので、評価するための指標を設定し、適切に評価する必要がある。(5.実務実習)9. 問題解決能力の醸成に向けた教育の総合的な目標達成度を評価するための指標を設定し、それに基づいた適切な評価を行う必要がある。(6.問題解決能力の醸成のための教育)10. 毎年かなりの数の学生が退学や留年をしており、入学者選抜において、入学志願者の学力を適確に評価することが必要である。(7.学生の受入)11. 「成績評価ガイドライン」による成績評価では、「D(不可)」の割合が10%以下と定められているため、試験等の成績で修得レベルが授業科目の到達目標に達していないと科目担当者が判断する学生が合格してしまうことが懸念される。このような事態を防ぐため、「成績評価ガイドライン」の改善が必要である。(8.成績評価・進級・学士課程修了認定)12. 6年制薬学教育プログラムを対象とした大学独自の継続的な自己点検・評価のための適切な項目を設定し、実施する必要がある。(13.自己点検・評価)13. 6年制薬学教育プログラムに対する自主的かつ継続的な自己点検・評価の結果を教育改善に結び付ける適切な体制を構築し、教育改善のためのPDCAサイクルを機能させる必要がある。(13.自己点検・評価)
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自己点検・評価書 基礎資料 正誤票 |
評価報告書
総評
明治薬科大学 総評明治薬科大学薬学部薬学科(以下、薬学科)では、「ソフィア(純粋知)とフロネシス(実践知)を兼備えた人材を育成する。」という薬学部の教育理念の下、「社会の要請に応える医療の担い手としての質の高い薬剤師を養成すること」を「教育上の目的」とする6年制薬学教育を行っている。薬学科の教育課程は、教育上の目的に基づきカリキュラム・ポリシー(教育課程の編成・実施方針)を定め、さらに改訂薬学教育モデル・コアカリキュラムに示された「薬剤師として求められる基本的な資質」が身に付くように、6年間の教育を1、2年次の基礎教育と3年次以降4年間の専門教育に大別し、低学年から高学年にかけて系統的に編成されている。幅広い教養を学ぶための素養科目(教養科目)では「史学」、「文学」などの人文社会選択科目、医療人に必要な教養科目として「医療倫理」、「人間関係論」、「倫理哲学(選択)」、「臨床心理学(選択)」などが開講されている。語学教育としては、外国語必修科目としての英語科目に加え、外国語選択必修科目として「ドイツ語入門」、「ドイツ語基礎」などが開設されている。ヒューマニズム教育・医療倫理教育としては、「医療倫理」、「人間関係論」、「医療コミュニケーション学・演習」などが開設されている。薬学専門教育については、「薬学教育モデル・コアカリキュラム」に準拠し、低学年から高学年へ段階的に積み上げるカリキュラム編成となっている。大学独自の教育としては、2~3年次に必修科目として「体験学習(1単位)」が、5年次に選択必修科目として「コース実習・演習」(病院薬学、地域医療、臨床開発、健康薬学、伝統医療薬学、海外医療研修、薬学研究AとBの7つのコースから1つを選択)が設定されている。実務実習では、学内で事前学習として3年次前・後期の「生命科学実習Ⅳ」、「薬剤基礎実習」および「臨床薬学基礎実習」、な- 2 -らびに4年次前・後期の「事前実務実習」が「実務実習モデル・コアカリキュラム」に準拠して実施され、学外では提携病院を中心とした病院実習、調整機構を通しての薬局実習が大学と実習施設との連携の下に行われている。卒業研究は、4年次に「卒業研究Ⅰ」を、5~6年次に「卒業研究Ⅱ」を実施している。卒業論文は学生個人単位で作成され、口頭あるいはポスターでの発表が行われている。入学者選抜は、推薦入試(指定校制、公募制)、一般入試(A、B、C各方式)、および特別選抜(編入学、社会人、帰国子女)に区分して行われている。授業科目の成績評価は、授業担当教員によりS・A・B・C・Dの5段階で行われている。進級判定は、「教育課程及び履修方法等に関する規程第17条」に、修了判定は「明治薬科大学学部学則第38条」に基づき実施されている。学生の学業・生活支援として、アドバイザーなどが設けられ個別指導が行われている。健康相談体制としては、健康相談室(診察室、休憩室、カウンセリング室)が設置され、ハラスメント防止として、ハラスメント防止委員会と学生窓口が設置されている。奨学金等も大学独自のものを含めて整備されている。専任教員数は実務家教員を含めて設置基準を満たしており、専任教員の教育・研究上の業績・資質も適切である。教員の採用および承認は「明治薬科大学教員選考規程」に基づき実施されている。教員の教育研究能力の向上を図るための組織・体制として、財務部財務課の中に「産学連携・研究支援室」が設置され、公的研究費や財団助成金応募への支援が行われ、学内研究費も支給されている。教育と研究に必要な施設と設備も整備されている。以上のように、明治薬科大学薬学部薬学科は、本機構の基準を満たす6年制薬学教育を行っている。しかし、現状には以下に列挙するような問題点があるので、本評価の結果を参考にして改善を図る必要がある。(1)薬学科の研究上の目的を掲げ、学則上で規定する必要がある。(2)薬学共用試験や薬剤師国家試験を目的とした「薬学演習」および「総合医療薬学演習」の講義を国家試験予備校講師が担当しており、大学の授業科目であることを鑑み、大学教員が講義するよう改善が必要である。(3)ヒューマニズム教育・医療倫理教育、コミュニケーション能力および自己表現能力を身につけるための教育、実務実習事前学習、問題解決能力の醸成に向けた教育について目標達成度を評価するための指標を設定し、それに基づく適切な評価を行う必要がある。(4)薬学共用試験(CBT)の合格者に、必修科目である「薬学演習」の単位が試験なしで認められていることは問題であり、改善が必要である。- 3 -(5)卒業延期者に対して、後期科目である「総合医療薬学演習」などを次年度前期に特別に講義および試験を実施して単位認定を行い、9月卒業を認めていることは問題である。このような制度にする場合には「総合医療薬学演習」などを前期科目として設置するなどの改善が必要である。(6)教務関係の審議組織として教授会と教員会議が設けられているが、教員会議の規定が制定されていないにも関わらず、教員会議で進級や修了の判定を行っていることは問題であり、改善が必要である。(7)「自己点検・評価書」や添付資料に多くの誤記や齟齬が認められ、さらにその修正においても訂正を繰り返すなど、自己点検・評価が十分に行われているとは言えず、自己点検・評価体制の構築が必要である。これらの改善を早期に実施し、明治薬科大学薬学部薬学科の6年制薬学教育をさらに充実したものとすることを期待する。
大学への提言
明治薬科大学 大学への提言1)長所1. Cbox(講義収録/動画コンテンツ作成システム)および学習支援システムMY-CASTを利用し、講義収録ビデオを用いた自己評価および同僚教員によるピアレビューを実施し、教育改善が図られている。(10.教員組織・職員組織)2)助言1. ホームページに掲載されているディプロマ・ポリシーの中に教育目標として6の事項が掲げられているが、これらは大学の教育目標と整合性が取れておらず、大学の教育目標と学科の教育目標との関係性が不明確であり、再検討が期待される。(1.教育研究上の目的)2. カリキュラム・ポリシー周知のための教員へのFDが行われておらず、さらなる充実が期待される。(2.カリキュラム編成)3. 1~3年次に開講されている選択科目の「医療面接入門」は、1年間で約90人の受講生しか受けておらず、学生全員が受講できる科目設定が期待される。(3.医療人教育の基本的内容)4. 語学科目は充実しているが、多くが同時開講となっているため、複数の語学科目を選択することが難しくなっており、選択の幅を広げることが期待される。(3.医療人教育の基本的内容)5. 平成28年度版のシラバスに、到達目標は記されているが、SBOコードが明示されていない科目があり、記載が望まれる。(4.薬学専門教育の内容)6. 契約病院でのグループ実習において、契約書に実習内容が明記されていないケースが見受けられるため、緊密な連携による契約書の再検討が望まれる。(5.実務実習)7. 卒業研究評価のルーブリックを精査し、本評価方法を充実させることが期待される。(6.問題解決能力の醸成のための教育)8. 参加型授業の学習方法がシラバスに記載されていないものがあり、シラバスへの明記が期待される。(6.問題解決能力の醸成のための教育)9. 「薬学研究コースB演習・実習」など一部の科目では出席のみで成績が評価されており、小テストの導入などが望まれる。(8.成績評価・進級・学士課程修了認定)10. 6年間の学習成果を総合的に評価するための指標の設定と評価が望まれる。(8.成績評価・進級・学士課程修了認定)- 31 -11. 助教の比率が教授・准教授などに比べて少なく、職階別教員比率の是正が期待される。(10.教員組織・職員組織)12. 教員の年齢構成に高年齢層への偏りがやや認められるため、若手教員の採用が期待される。(10.教員組織・職員組織)13. 専任教員あたりの学生数が22.9名であり、教員の増員が期待される。(10.教員組織・職員組織)14. 教員の授業担当割合はおおむね均等であるが、講義担当回数が多い教員も認められるため、担当時間数の均等化が期待される。(10.教員組織・職員組織)15. 若手教員の研究能力向上を目指して「若手研究者講話」を開催し、研究面での活性化が図られているが、医療系の分野の講話がなく、充実が期待される。(10.教員組織・職員組織)16. 附属薬局にて定期的な研修を実施している実務家教員は2名のみであり、病院での勤務も含め、そのほかの教員の研修が期待される。(10.教員組織・職員組織)17. 英文ホームページの充実が期待される。(12.社会との連携)18. 教員の海外研修、長期留学のさらなる活性化が期待される。(12.社会との連携)19. 自己点検・評価委員会に外部委員を含めることが期待される。(13.自己点検・評価)3)改善すべき点1. 薬学科の研究上の目的を掲げ、学則上で規定する必要がある。(1.教育研究上の目的)2. 薬学共用試験や薬剤師国家試験を目的とした「薬学演習」および「総合医療薬学演習」の講義を国家試験予備校講師が担当しており、大学の授業科目であることを鑑み、大学教員が講義するよう改善が必要である。(2.カリキュラム編成)3. ヒューマニズム教育・医療倫理教育において、目標達成度を評価するための指標の設定と、それに基づく評価がなされておらず、改善が必要である。(3.医療人教育の基本的内容)4. 一部の編入生について、編入前の大学において早期体験や倫理教育などの科目を履修していない場合に編入後にこれら科目を履修させていないことは問題であり、改善が必要である。(3.医療人教育の基本的内容)5. コミュニケーション能力および自己表現能力を身につけるための教育において、目標達成度を評価するための指標の設定と、それに基づく評価がなされておらず、改善が必要である。(3.医療人教育の基本的内容)- 32 -6. シラバスに学習方法が記載されておらず、学習効果の向上のためにもシラバスへの明記が必要である。(4.薬学専門教育の内容)7. 実務実習事前学習の目標達成度を評価するための指標は設定されておらず、それに基づく評価もなされていないので、改善が必要である。(5.実務実習)8. 卒業研究Ⅰ・Ⅱの論文作成において、卒業研究執筆要領に記載されている所定の書式(要旨・本文・引用文献を原則とするなど)と異なることが実施されており、改善が必要である。(6.問題解決能力の醸成のための教育)9. 問題解決能力の醸成に向けた教育において、目標達成度を評価するための指標は設定されておらず、それに基づく評価もなされていないため、改善が求められる。(6.問題解決能力の醸成のための教育)10. 記載されているものや記載箇所により入学者受入方針(アドミッション・ポリシー)が異なっていることは問題であり、入試委員会で審議・検証し、大学運営協議会での審議を経て教授会で審議・承認すると定めている意思決定システムを機能させるよう、改善が必要である。(7.学生の受入)11. 再試験による成績評価は 79 点が上限とされているが、本試験の成績が 60 点以上 70点未満であり、さらに点数を積み上げたいとする学生には再試験受験資格がなく、再試験受験者と本試験合格者の間で不平等な成績判定となるため、改善が必要である。(8.成績評価・進級・学士課程修了認定)12. 薬学共用試験(CBT)の合格者に、必修科目である「薬学演習」の単位が試験なしで認められていることは問題であり、改善が必要である。(8.成績評価・進級・学士課程修了認定)13. 卒業延期者に対して、後期科目である「総合医療薬学演習」などの講義および試験を次年度前期に特別に実施して単位認定を行い、9月卒業を認めていることは問題である。このような制度にする場合には「総合医療薬学演習」などを前期科目として設置するなどの改善が必要である。(8.成績評価・進級・学士課程修了認定)14. 教務関係の審議組織として教授会と教員会議が設けられているが、教員会議の規程が制定されていないにも関わらず、教員会議で進級や修了の判定が行なわれていることは問題であり、教授会と教員会議の役割を明確とし、その上で教員会議の規程を制定する必要がある。(8.成績評価・進級・学士課程修了認定)15. 組織的な自己点検・評価については薬学教育評価機構による「自己評価21」と「大学基準協会による評価」しか行われておらず、定期的な自己点検活動が必要である。(1- 33 -3.自己点検・評価)16. 「自己点検・評価書」や添付資料に多くの誤記や齟齬が認められ、さらにその修正においても訂正を繰り返すなど、自己点検・評価が十分に行われているとは言えず、機能する体制の整備などの改善が必要である。(13.自己点検・評価)
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2017年度 |
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1:提言 改善報告審議結果 |
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| 安田女子大学 | 私 | 広島県 | 第1期 | 2017年度 | 適 |
自己点検・評価書 基礎資料 正誤票 |
評価報告書
総評
安田女子大学 総評安田女子大学薬学部薬学科は、大学の「建学の精神」と「目的」、および薬学部の「目的」を踏まえて、その「目的」を「大学および学部の目的に沿って、生命科学・薬学分野の学術を教授研究し、知的、道徳的および応用的能力の展開を図るとともに、専門的職業人として人間性・創造性豊かな薬剤師を養成する」と定め、6年制の薬学教育を行っている。カリキュラムは、薬学科の「目的」に基づく「カリキュラム・ポリシー」(教育課程の編成・実施方針)に従って構築され、共通教育科目として開講される教養教育・語学教育に、薬学教育モデル・コアカリキュラムに準拠した薬学専門教育を積み重ねるという構成となっている。共通教育科目で学ぶ教養科目と語学科目は主に1年次に学び、医療人教育の基礎となるヒューマニズム教育・医療倫理教育、コミュニケーション教育を1~4年次に、専門教育科目を2年次以上に学ぶという構成になっており、専門科目の講義と実習の関連、科目間の関連と学習の順次性にも配慮している。また、「実務実習」も、実務実習モデル・コアカリキュラムに準拠した内容で実施されており、大学と実習施設との連携も適切にとられている。「卒業研究」は、5年次の「実務実習」のない期間と6年次の 10 月までの期間で行われており、その成果は「卒業研究発表会」で発表され、「卒業発表要旨」と「卒業研究報告書」(卒業論文)として提出している。学生の受入れには、6種類に及ぶ多様な入学試験が用いられているが、入学後に基礎学力を把握して必要なフォローアップ教育を行っていることもあって、留年者、退学者、卒業延期者は比較的少なくなっており、6年制薬学教育の学習に必要となる入学者の基礎学力はほぼ適切に評価できている。授業科目の成績評価は、シラバスに示された方法と基準によって厳正に行われ、進級と学士課程の修了認定は、学則の規定に基づいて行われている。学生に対する履修をはじめとする大学生活全般に関する相談・指導には、1年~6年次- 2 -まで継続して指導するチューターの教員が対応している。また、学生への経済的、心身的な支援体制、ハラスメント対応、就職・進路支援体制なども整っている。専任教員数は大学設置基準を満たしており、多くの教員は、専門とする分野において研究・教育に優れた実績を有している。また、専任教員の教育負担、研究時間や研究経費は適切な範囲にある。専任教員の採用と昇任では、教育、研究能力等を「教員業績審査委員会」で評価している。講義・演習室、実習室、研究室などの施設は適切で、実務実習事前学習や研究に必要な諸設備は十分に整えられている。図書館には蔵書や電子ジャーナルなどの教育資源が整備されており、学生の自習室やラーニング・コモンズが整備されて、学生が使い易い学習環境となっている。社会との連携では、地域の薬剤師会をはじめ、医療に関わる団体との連携、さらには地域住民との交流も図られている。以上、安田女子大学薬学部薬学科の薬学教育プログラムは、本機構の評価基準におおむね適合していると判断される。しかし、以下のような問題点について、改善が必要である。(1) ヒューマニズム教育、医療倫理教育、コミュニケーション能力の醸成に関わる教育について、それぞれの総合的な目標達成度を評価するための指標を設定し、それに基づいて適切に評価することが必要である。(2) 改訂薬学教育モデル・コアカリキュラムの「早期臨床体験」の必須項目である「一次救命救急」に関する教育を「早期体験学習」で実施することが必要である。(3) 薬学専門の授業科目について、個々の到達目標の領域に適した学習方法をシラバスに明示し、それらの方法を用いた教育を行うことが必要である。(4) 「実務実習事前学習」の総合的な目標達成度を評価するための指標を設定し、それに基づいて適切に評価することが必要である。(5) 「卒業研究」には、十分な時間をかけて取り組むことが必要であることを時間割等に明記して学生に周知することと、成果を示すにふさわしい内容の「卒業論文」を作成することが必要である。(6) 「卒業研究」の成績評価の指標と基準を明確にし、指導教員のみが行っている評価を複数の教員で行うなど、より客観的な評価とすることが必要である。(7) 問題解決能力の醸成に関する教育を充実させると共に、その総合的な学習成果を評価する指標を設けて、問題解決能力の醸成に関する目標達成度を適切に評価することが必要である。- 3 -(8) 「ディプロマ・ポリシー」(学位授与の方針)を、学部、学科の目的に基づくものに改訂することが必要である。(9)専任教員の教育研究業績に対する薬学部としての点検・評価を行い、学部として研究業績が不十分だと判断する者があれば改善を促すことが必要である。(10)6年制薬学教育プログラム全体の改善を目指すPDCAサイクルによる恒常的な点検・評価の結果を、教育研究活動の改善に反映させることが必要である。安田女子大学薬学部薬学科は、本評価での改善すべき点、助言を踏まえ、積極的に改善に取り組み、薬学教育の更なる向上に努めることが望まれる。
大学への提言
安田女子大学 大学への提言1)長所1. 「オリエンテーション・セミナー」は、新入生と、教員、先輩・友人との人間関係を構築し、入学後の不安を解消することを目的とした2泊3日の合宿で、新入生の新しい学習環境への適応を促すものとして評価できる。(9.学生の支援)2. 実務家教員が、高齢者の残薬問題への啓発、「かかりつけ薬剤師」の利用を推奨する活動、市民団体の要望に沿った「健康サロン」など地域における保健衛生の保持・向上につながる支援活動を積極的に行っていることは評価できる。(12.社会との連携)2)助言1. 「安田女子大学各学部・学科の目的に関する内規」の薬学部と薬学科の「目的」を、「薬剤師として求められる基本的な資質」や医療をとりまく環境、薬剤師に対する社会のニーズを踏まえて再検討することが望まれる。(1.教育研究上の目的)2. 現行の「カリキュラム・ポリシー」を、改訂薬学教育モデル・コアカリキュラムに対応させて再検討することが望ましい。(2.カリキュラム編成)3. 医療過誤・医療事故防止に関わる授業をより充実させることが望ましい。(3.医療人教育の基本的内容)4. コミュニケーション教育をより充実させることが望ましい。(3.医療人教育の基本的内容)5. 教養科目として「共通教育科目」118科目が開講されていても、薬学部の学生は、指定科目として薬学部が指定、あるは推奨した選択科目を履修するため、社会科学分野の教養科目を履修する学生が少ない状況を改善することが望ましい。(3.医療人教育の基本的内容)6. 授業の中で、生涯学習に対する意欲を醸成するための教育を充実させることが望まし- 32 -い。(3.医療人教育の基本的内容)7. シラバスの記載内容を、大学長・学部長会議で合意された標準項目(「薬学教育評価ハンドブック(平成 28 年度版、p208))を参考にして充実させることが望ましい。(4.薬学専門教育の内容)8. 英語など、試験・レポート等の成績に平素の受講状況・受講態度を加味する科目については、受講状況・態度の評価比率を含めた評価基準をシラバスに明示することが望ましい。(8.成績評価・進級・学士課程修了認定)9. 教育研究上の目的に基づいた教育における総合的な学習成果を適切に評価することが望ましい。(8.成績評価・進級・学士課程修了認定)10. 専任教員1名あたりの学生数が 21 名とやや多くなっていることと、専任教員の年齢構成が高年齢に偏っていることから、若手教員の補充が望まれる。(10.教員組織・職員組織)11. 教員や学生当たりの研究室面積には、研究分野間でかなりの差がみられるので、研究スペースの相違を少なくするように配慮することが望まれる。(10.教員組織・職員組織)12. 実務家教員の授業担当時間が多くなっているので、授業負担の偏りの解消に配慮することが望まれる。(10.教員組織・職員組織)13. 薬剤師としての実務の経験を有する専任教員が、常に新しい医療に対応するために研鑽できる体制・制度の整備に努めることが望まれる。(10.教員組織・職員組織)14. 教員の新規採用時には、選考に教育能力を十分に反映させられるよう、模擬授業を含めるよう改善することが望まれる。(10.教員組織・職員組織)15. 英文によるホームページの内容をより拡大、充実させ、薬学部の教育研究活動を海外に広く発信することが望ましい。(12.社会との連携)16. 自己点検・評価を行う組織には、外部委員が含まれていることが望ましい。(13.自己点検・評価)3)改善すべき点1. 薬剤師としての倫理観、使命感、職業観を醸成する科目の授業においては、講義が主体になっているものが多いので、SGDなどの学習方法を効果的に用いることが必要である。(3.医療人教育の基本的内容)2. ヒューマニズム教育、医療倫理教育において、関連科目を総合して目標達成度を評価- 33 -するための指標を設定し、それに基づいて適切に評価することが必要である。(3.医療人教育の基本的内容)3. コミュニケーション能力の醸成に関わる教育において、関連科目を総合して目標達成度を評価するための指標を設定し、それに基づいて適切に評価することが必要である。(3.医療人教育の基本的内容)4. 「改訂薬学教育モデル・コアカリキュラム」の「早期臨床体験」に対応する科目である「早期体験学習」で必須の到達目標の一つである「一次救命救急」に関する教育が実施されていないので、実施することが必要である。(3.医療人教育の基本的内容)5. 各授業科目について、シラバスに到達目標の領域に適した学習方法を明示し、個々の到達目標に適した学習方法を用いた教育を行うことが必要である。(4.薬学専門教育の内容)6. 実務実習事前学習の総合的な目標達成度を評価するための指標を設定し、それに基づいて適切に評価する必要がある。(5.実務実習)7. 「卒業研究」には、十分な時間をかけて取り組むことが必要であることを時間割等に明記して学生に周知することが必要である。(6.問題解決能力の醸成のための教育)8. 「卒業研究」の成果を示すにふさわしい内容と形式の「卒業論文」を作成することが必要である。(6.問題解決能力の醸成のための教育)9. 「卒業研究Ⅰ、Ⅱ、Ⅲ」の成績評価は、「卒業研究発表会」を除いて、指導教員が単独で行っているので、明確な指標と基準を定めて複数の教員で評価するなど、より客観的な評価を行うことが必要である。(6.問題解決能力の醸成のための教育)10. 問題解決能力の醸成に関する教育を充実させると共に、その総合的な学習成果を評価する指標を設けて、問題解決能力の醸成に関する目標達成度を適切に評価することが必要である。(6.問題解決能力の醸成のための教育)11. 「ディプロマ・ポリシー」を学部、学科の目的に基づくものに改訂する必要がある。(8.成績評価・進級・学士課程修了認定)12. 専任教員の教育研究業績に対する薬学部としての点検・評価を行い、学部として研究業績が不十分だと判断する者があれば改善を促すことが必要である。(10.教員組織・職員組織)13. 薬学部として6年制薬学教育プログラム全体の改善を目指す点検・評価を恒常的に行う体制を構築し、実効性のある改善に結びつく自己点検・評価を行うことが必要である。(13.自己点検・評価)- 34 -14. 6年制薬学教育プログラム全体に対する恒常的な自己点検・評価で見出された問題点を学部で共有し、それらの改善を図ることで教育内容を向上・発展させる体制を整備することが必要である。(13.自己点検・評価)
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2017年度 |
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1:提言 改善報告審議結果 |
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| 立命館大学 | 私 | 京都府 | 第1期 | 2017年度 | 適 |
自己点検・評価書 基礎資料 正誤票 |
評価報告書
総評
立命館大学 総評立命館大学薬学部は、医薬品についての高度な専門知識、実務能力、医療人としての素養を有し、地域薬局や病院内で医療チームの一員として先導的な役割を果たす薬剤師、および研究マインドを持ち薬剤師として医療薬学分野の発展に貢献できる人材を養成することを、薬学科の教育研究上の目的としている。これは、医療を取り巻く環境、薬剤師に対する社会のニーズを適確に反映したものとなっている。薬学教育カリキュラムに関しては、平成20~26年度入学者向けの旧カリキュラムと、平成27年度以降入学者向けの新カリキュラムの2つのカリキュラムが設定・運用されている。医療人教育の基本的内容に関しては、総合大学であることの強みを生かし、教養教育センターから提供される社会のニーズに応じた幅広い教養教育科目を有効に取り入れつつ、学部の教学目標および薬学準備教育ガイドラインに適った科目構成をしている。実務実習事前学習は、4年次前期の「医療薬学実習1、2」、後期の「実務前実習」に加え、関連科目が3年次後期から4年次に開講され、実務実習モデル・コアカリキュラムに準拠して行われている。病院・薬局実務実習は、いずれも病院・薬局実務実習近畿地区調整機構より割り振られた認定実務実習指導薬剤師が在籍し、各都道府県病院薬剤師会および薬剤師会において実務実習要件の充足が確認された施設で行われている。問題解決能力醸成のための教育として、卒業研究が時期と期間を適切に設定して実施されており、薬学部主催で卒業研究発表会も実施している。学生の受入れに関しては、教育研究上の目的に基づいてアドミッション・ポリシーが設定され、入学者選抜に当たっては、入学後の学びに必要な基礎学力があるかどうかを、執行部会議および教授会で検討している。留年者数が多くないことなどから、入学試験における科目設定、配点、合格ライン設定は適切であると考えられる。成績評価は、定期試験、レポート試験、平常点評価の3項目からなるが、シラバスに項目ごとの配点割合が記述されていないものもある。平成26年度以前の入学生は3年次と5年次進級時に進級要件を規定している。一方、平成27年度以降の入学生には4年次進級時にも進級条件を課している。なお、薬学部の人材育成目的に基づいてディプロマ・ポリシ- 2 -ーが設定されている。学生への履修支援としては、「化学・け込み寺」、「オリター」、「エデュケーショナル・サポーター(ES)」、「ファーマアシスタント(Ph.A)」などの工夫を凝らした制度が設けられている。また、学生への経済的支援としては、立命館大学入試受験前予約採用型奨学金や立命館大学修学奨励奨学金などの大学独自の充実した奨学金制度が設けられている。専任教員は、教授、准教授、講師、助教を合わせて42名で、大学設置基準上必要な25名以上を上回っている。5名以上必要とされる実務家教員は、15名である。収容定員600名に対して、42名の薬学科教員1名当たりの学生数は、14.2名である。薬学部では、自己点検・評価を行う組織として薬学部自己評価推進委員会を設けており、平成26年度までの総括として、「薬学教育評価ハンドブック」に沿って初めて「自己点検・評価書」を作成している。また、薬学部では、「今年度教学総括・次年度計画概要」等に基づき、執行部会議や薬学部教務委員会で改善策を審議・検討している。以上のように、立命館大学薬学部の6年制薬学教育プログラムは、本機構の評価基準におおむね適合している。しかし、主な改善すべき点として以下の事項が挙げられる。(1)ヒューマニズム教育・医療倫理教育およびコミュニケーション能力と自己表現能力を身につけるための教育については、学習成果を総合した目標達成度評価を、指標を定めて適切に行う必要がある。(2)シラバスに履修年次、必修・選択科目の区別、一般目標(GIO:General InstructionalObjective)、大学独自科目等を明示するとともに、授業方法(講義、演習、実習など)、オフィスアワーを載せる必要がある。(3)専門科目において、選択科目のみが対応している薬学教育モデル・コアカリキュラムのSBOs(Specific Behavioral Objectives)がある。モデル・コアカリキュラムのSBOsは必修科目で対応する必要がある。(4)シラバスの記載項目と学生に配布される冊子「薬学教育モデル・コアカリキュラム」の巻頭に掲載されている対応表の不一致が散見されることに加え、薬学教育モデル・コアカリキュラムの項目番号の記載位置に統一性がなく、項目番号の記載のない科目も見られることなどから、両者において記載事項を一致させるとともに表記方法の統一が必要である。(5)FD(Faculty Development)フォーラムの出席率は半分またはそれ以下であり、取り組みが適切に実施されているとは言えない。従って、FD活動に、より積極的に取- 3 -り組む必要がある。立命館大学薬学部には、以上の改善すべき点に加え、その他の改善すべき点や助言に関しても適切に対応し、総合大学であることの強みを生かした薬学教育の推進を通して、さらに発展することを期待する。
大学への提言
立命館大学 大学への提言1)長所- 24 -1. バランスのとれた英語教育を行っており、薬学専門英語演習により、化学、生物医療系英語を学んでいる。(3.医療人教育の基本的内容)2. 「化学・生物駆け込み寺」、「オリター制度」、「ES制度」、「Ph.A制度」など薬学教育科目の学習成果が上げられるような工夫がなされている。(9.学生の支援)3. 立命館大学入試受験前予約採用型奨学金(入学前)や立命館大学修学奨励奨学金(入学後)などの大学独自の様々なタイプの奨学金制度が充実している。(9.学生の支援)4. 薬学部では、学部長、副学部長、学生主事、学生代表からなる学部五者懇談会を独自に開催し、学部運営への寄与を図っている。(9.学生の支援)5. 危険ドラッグ等薬物乱用防止キャンペーンの企画と実行に携わっていることは評価できる。(12.社会との連携)2)助言1. 大学の建学の精神「自由と清新」や教学理念「平和と民主主義」などをより踏まえた形で教育研究上の目的を設定することが望まれる。(1.教育研究上の目的)2. 教育研究上の目的の教職員への説明はホームページと学部則だけによるのではなく、年度ごとに全員に周知することが望まれる。(1.教育研究上の目的)3. カリキュラム・ポリシーについて、2年次以上の学生や教職員への案内はホームページと学修要覧だけなので、2年次以上の学生への周知や、FD研修会等による教職員への繰り返しの周知が望まれる。(2.カリキュラム編成)4. ヒューマニズム・倫理教育科目、PBL/SGDといった効果的な学習方法を用いた科目を増やすことが望ましい。(3.医療人教育の基本的内容)5. ヒューマニズム・倫理教育科目は、選択とすると全員が履修するとは限らないことから、重要な科目は必修にすることが望ましい。(3.医療人教育の基本的内容)6. シラバスに基礎と臨床の知見を相互に関連づける記述を含めることが望まれる。(4.薬学専門教育の内容)7. 学生が薬剤師以外の医療従事者や薬事関係者と交流する機会を増やすことが望まれる。(4.薬学専門教育の内容)8. 各科目の関連性が十分に理解できるカリキュラムマップに改善することが望まれる。(4.薬学専門教育の内容)9. 大学独自科目の履修者を増やす努力が望まれる。(4.薬学専門教育の内容)10. 大学独自の科目や内容の割合を、適切なレベルまで引き上げることが望まれる。(4.- 25 -薬学専門教育の内容)11. 「実務前実習」のシラバスの備考欄に到達目標(SBO)番号が羅列されているだけで、実習・講義内容との関連付けが分かりにくいので、改善が望まれる。(5.実務実習)12. 実務実習の時期が2、3期の学生に対して、直前に事前学習の知識と技能の到達度も確認することが望ましい。(5.実務実習)13. 実習終了後に、実習施設の指導者から実習内容、実習状況およびその成果に関する意見を聴取することが望ましい。(5.実務実習)14. 問題解決能力の醸成に関する科目において、学生が能動的に問題解決に取り組めるよう、シラバスに授業形態を記述することが望ましい。(6.問題解決能力の醸成のための教育)15. アドミッション・ポリシーの各項目が十分に確認される形で、入学者選抜を行うことが望まれる。(7.学生の受入)16. シラバスの平常点評価において、出席点が加味されている科目においては、その評価割合をできるだけ少なくすることが望ましい。(8.成績評価・進級・学士課程修了認定)17. ディプロマ・ポリシーの説明は、教職員に対して学修要覧による間接的なものである。FD等により確実に周知することが望ましい。(8.成績評価・進級・学士課程修了認定)18. 教育研究上の目的に基づいた教育における6年間の総合的な学習成果を測定するための指標を設定し、それに基づいて総合的な学習成果を測定することが望ましい。(8.成績評価・進級・学士課程修了認定)19. リメディアル科目を履修すべき学生の履修率が低いので、高めることが望まれる。(9.学生の支援)20. 実務家教員に対して、常に新しい医療に対応するために研鑽できる体制・制度を充実させることが望まれる。(10.教員組織・職員組織)21. 教員と職員が意見交換会などにより連携して資質向上を図る体制を構築することが望まれる。(10.教員組織・職員組織)22. 薬学部の英文ホームページを開設することが望ましい。(12.社会との連携)23. 薬学教育評価機構が求める自己点検・評価の内容に沿った自己点検・評価を毎年継続的に実施し、その結果をホームページでの公開することが望まれる。(13.自己点検・- 26 -評価)3)改善すべき点1. ヒューマニズム教育・医療倫理教育の各科目の評価について、客観的な指標と評価方法を設定する必要がある。(3.医療人教育の基本的内容)2. ヒューマニズム教育・医療倫理教育については、関連科目の学習成果を総合して目標達成度を評価するための適切な指標を設定し、評価を行うことが必要である。(3.医療人教育の基本的内容)3. コミュニケーション能力および自己表現能力を身につけるための各科目の評価について、客観的な指標と評価方法を設定する必要がある。(3.医療人教育の基本的内容)4. コミュニケーション能力および自己表現能力を身につけるための教育においては、関連科目の学習成果を総合して目標達成度を評価するための適切な指標を設定し、評価を行うことが必要である。(3.医療人教育の基本的内容)5. シラバスに履修年次、必修・選択科目の区別、一般目標(GIO)、大学独自科目等を明示するとともに、授業方法(講義、演習、実習など)、オフィスアワーを載せる必要がある。(4.薬学専門教育の内容)6. 専門科目において、選択科目のみが対応している薬学教育モデル・コアカリキュラムのSBOsがある。改訂モデル・コアカリキュラムのSBOsは必修科目で対応する必要がある。(4.薬学専門教育の内容)7. シラバスの記載項目と学生に配布される冊子「薬学教育モデル・コアカリキュラム(平成25年度改訂版)」の巻頭に掲載されている対応表の不一致が散見されることに加え、薬学教育モデル・コアカリキュラムの項目番号の記載位置に統一性がなく、項目番号の記載のない科目も見られることなどから、両者において記載事項を一致させるとともに表記方法の統一が必要である。(4.薬学専門教育の内容)8. 実務実習事前学習全体としての目標達成度を評価するための指標を設定し、それに基づいて適切に評価する必要がある。(5.実務実習)9. CBT委員会、OSCE委員会を組織しているが、委員会の開催実績はないので、両委員会を実効性のある組織として機能させる必要がある。(5.実務実習)10. 問題解決能力の醸成に向けた教育に関しては、関連科目を総合して目標達成度を評価するための指標を設定し、それに基づいて適切に評価するよう改善することが必要で- 27 -ある。(6.問題解決能力の醸成のための教育)11. シラバスの成績評価について、評価基準が明記されていない科目や複数の評価項目がある科目においては、基準を明記し、各項目について配点割合を示す必要がある。(8.成績評価・進級・学士課程修了認定)12. 自身の研究分野に精通することが、各教員の教育目標を達成するための基礎となるとの考えから最先端の研究活動に力を入れているが、アクティブラーニング手法の導入などの直接的な教育能力の維持・向上に取り組む必要がある。(10.教員組織・職員組織)13. 学部内に「薬学部FD委員会」を設置しているが、FDフォーラムの出席人数をみると、教員職員いずれも半数程度あるいはそれ以下の出席であり、取り組みが適切に実施されているとは言えない。従って、FD活動に、より積極的に取り組む必要がある。(10.教員組織・職員組織)
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| 第1期 |
2017年度 |
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1:提言 改善報告審議結果 |
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| 高崎健康福祉大学 | 私 | 群馬県 | 第1期 | 2017年度 | 適 |
自己点検・評価書 基礎資料 正誤票 |
評価報告書
総評
高崎健康福祉大学 総評高崎健康福祉大学薬学部薬学科は、薬剤師養成教育に課せられた基本的使命を踏まえて、「薬に関する基礎教育とヒューマニズム教育を徹底し、薬学専門家にふさわしい知識と倫理観を兼ね備え、創薬や医療の現場で活躍できる薬剤師(医療人)を養成する」ことを教育研究上の目的(人材養成に係る目的)として設定している。また、薬学部の教育目標には「1.社会人としての活躍の基礎となる豊かな人間性と幅広い教養」、「2.薬学に関する基礎的知識及び「薬から見た医学」に関する知識」、「3.科学的思考に基づいて、薬学に関する現代社会の諸問題を発見、分析、考察し、その解決法を提案する能力」、「4.薬剤師(医療人)としての創薬や医療の現場で活躍するために必要な臨床的知識・技能と倫理観」、「5.薬剤師(医療人)として社会で活躍し、チーム医療を推進するために必要なコミュニケーション能力」の5項目が設定されており、医療を取り巻く環境、薬剤師に対する社会のニーズを適確に反映したものとなっている。教育課程の編成・実施の方針(カリキュラム・ポリシー)は、教育研究上の目的に基づいて定められ明文化されている。ヒューマニズム教育・医療倫理教育については、薬剤師としての心構えと患者・生活者本位の視点を醸成する科目や、コミュニケーション能力ならびにチーム医療の中で医療人として臨床薬学専門家にふさわしい行動を身につけるための発展的な講義および実習が配置されている。講義・演習に加え、体験実習、問題解決型学習(PBL:Problem BasedLearning)・少人数制グループ討議(SGD:Small Group Discussion)、ロールプレイ(RPG:Role Playing Game)学習などの教育手法を組み合わせた教育が1年次から6年次まで体系的に行われている。実務実習に関して、実務実習事前学習では、実務事前学習モデル・コアカリキュラムに沿って適切な指導体制のもと実施されている。また、実務実習の企画・運営ならびに調整、成績評価、関東地区調整機構との連携については、実務実習委員会が、実習生、指導薬剤- 2 -師、訪問担当教員、各職能団体からの実務実習に関する相談応需および対応の検討については、臨床薬学教育センターが行っており、円滑な実習の実施が図られている。卒業研究は、「卒業研究(10 単位)」(PHP401)として5~6年次に行われている。その研究期間は、5年次では、4年次2月の仮配属決定後から翌年3月まで(実務実習時期は除く)、6年次では4月から9月初旬の卒業論文提出までで、約1年間が確保されている。卒業論文は、6年次の9月初旬にA4冊子体として事務室に提出され、また、別途卒業論文要旨集が発行されている。卒業論文の内容については、研究成果と医療や薬学との関連性の適切な考察について述べられている。高崎健康福祉大学薬学部の入学者受入方針(アドミッション・ポリシー)は薬学部入試広報委員会で原案が作られ、全学入試委員会での検討を経て、薬学部教授会で議論するなど、アドミッション・ポリシーを設定するための責任ある体制がとられている。AO自己推薦入試(AO:Admission Office)および推薦入試、一般入試(センター試験利用を含む)が実施され、選抜(合否判定)については、各入試の採点終了後、薬学部入試広報委員と学部長からなる予備会議が行われている。その後、教授会構成教員が出席する学部判定会議において、入学試験ごとに判定審議し、入学志願者の評価と受入の決定が責任ある体制の下で行われている。高崎健康福祉大学薬学部の教育目標および学位授与の方針(ディプロマ・ポリシー)は、薬学部教務委員会が中心となって素案を作成後、薬学部教授会にて案を作成し、全学FD(Faculty Development)・自己点検委員会において各学部からの案と比較検討され、その案に対する意見が各学部に伝達されている。学士課程修了者の判定(卒業判定) は、毎年年度末に全教員が参加する卒業判定会議により審議され、最終的な卒業判定は教授会で決定されている。高崎健康福祉大学薬学部薬学科の専任教員数は35名(内実務家教員5名)で、大学設置基準の専任教員数を十分に満たしており、教授、准教授、講師、助教の比率は適切である。専任教員の教育研究業績は学部全体としては基準を満たしており、授業科目の担当状況、研究条件などもおおむね適切である。教員の採用と昇任は大学と学部の規程に基づいて行われており、規程の選考基準も適切である。講義室、少人数教育に対応する教室、演習室などの教室が整えられ、参加型学習のための少人数教育ができる教室とし、セミナー室を備え、有機化学系学生実験室、生物物理学系学生実験室、薬理学系学生実験室、薬用植物園、コンピューター実習室、動物実験室などの実習室や附属施設も整備されている。また、臨床系の実習室として、病床実習室Ⅰ、- 3 -Ⅱ、Ⅲ、模擬薬局を配置するなど、実務実習事前学習を実施するための適切な規模の施設・設備も整備されている。高崎健康福祉大学では、全学的課題の自己点検・評価については、大学運営協議会、大学FD・自己点検委員会、各学部教授会・大学院研究科委員会、各委員会、各部局で行われており、薬学部では、薬学部長の委嘱する運営委員会を設置し、大学FD・自己点検委員会や薬学部教務委員会を中心に点検評価活動を実施している。以上、高崎健康福祉大学薬学部の6年制薬学教育プログラムは、本機構の評価基準におおむね適合している。しかし、以下の主な改善を必要とする問題点がある。(1)「教育研究上の目的」には、教育方針の記述はあるものの研究方針に関する記述がないので、教育研究上の目的に研究方針を加えた記載が必要である。(2)ヒューマニズム教育・医療倫理教育およびコミュニケーション能力・自己表現能力の醸成教育において、総合的な目標達成度を評価するための指標を設定し、それに基づいて適切に評価する必要がある。(3)卒業研究に試験を課すことは極めて重大な問題であり、改善する必要がある。(4)大学としてのFD活動の実態はあるが、薬学部としての独自の実績がないのは問題であり、早急な改善が必要である。(5)大学全体としての自己点検・評価とそれに基づく改善への取り組みは行われているが、本評価の評価基準が求めている薬学部としての薬学教育プログラムに対する恒常的な自己点検・評価とそれに基づく向上発展を目指す取り組みが行われていないので、自己点検を薬学部として行い、十分な評価を行った後に新たなプランを策定し、行動に移す明確なPDCAサイクルを早急に構築する必要がある。高崎健康福祉大学薬学部には、本評価で指摘された改善を要する点を踏まえ、積極的に改革を進めることで、より優れた6年制薬学教育を展開されることを期待する。
大学への提言
高崎健康福祉大学 大学への提言1)長所1. 学生の経済的支援は、成績優秀者への特待生制度とともに、大学、後援会が、経済的困窮度を十分に考慮した奨学金制度が独自に設けられているなど評価できる。(9.学生の支援)2. 身体に障がいのある者に対する施設・設備上および学修・生活上の支援体制の整備に努めている。(9.学生の支援)3. 「群馬県薬学ネットワーク」を通じて、地元の薬剤師会が「共同研究の提案・実施、研究活動の場の提供」や「アカデミックとの連携の強化」などを高崎健康福祉大学に期待していることがわかり、「群馬薬学ネットワーク健大研究助成金」を設立していることは、評価できる。(12.社会との連携)4. ホーチミン医科薬科大学とは国際交流と並行しながら、日本とベトナムの薬学領域における科学技術の更なる発展を目指した創薬分野における学術交流も開始されている。(12.社会との連携)2)助言1. 教育目標は、学則にも明記することが望まれる。(1.教育研究上の目的)- 32 -2. 教育研究上の目的について定期的な検証が望まれる。(1.教育研究上の目的)3. 定期的にカリキュラムのチェックや見直しを行うシステムの効果的な運用が望まれる。(2.カリキュラム編成)4. 6年次前・後期の単位外の講義が、任意参加で正規の授業時間中に実施されることは、学生間での公平性と卒業研究を始めとする他の科目の実施時間に対する影響が懸念され、このようなカリキュラムは改善が望まれる。(2.カリキュラム編成)5. 「ボランティア・市民活動論」(LAH006)、「人間関係論」(LAH008)などを含む合計20科目の選択科目が1年次前期と後期に開講されているが、一部重複する時間割編成があるので、時間割を工夫することが望まれる。(3.医療人教育の基本的内容)6. 基本的なコミュニケーション能力の醸成のために、「キャリア形成論」や「チーム医療アプローチ論」が設定されているが、履修者が少なく十分に活用されているとは言えないので、工夫が望まれる。(3.医療人教育の基本的内容)7. 「評価医療科学」は必修科目にすることが望まれる。(3.医療人教育の基本的内容)8. オムニバス科目についてどの項目をどの担当教員が行うのかシラバスに明記することが望まれる。(4.薬学専門教育の内容)9. 個々の科目について、基礎と臨床の知見を相互に関連付けることに配慮してシラバスに記載することが望まれる。(4.薬学専門教育の内容)10. 大学独自の薬学専門教育は、より充実させることが望まれる。(4.薬学専門教育の内容)11. 一次救命処置の技能に関しては2年次までに行うことが望まれる。(5.実務実習)12. 薬学部としての卒業論文作成のための基本方針や作成要領を示すことが望まれる。(6.問題解決能力の醸成のための教育)13. 「卒業研究」以外の問題解決能力を醸成するための科目の一部が選択科目であり、これを必修科目とすることが望まれる。(6.問題解決能力の醸成のための教育)14. 問題解決能力の醸成に向けた取り組みの実質的な実施時間数を卒業要件単位数の1/10にあたる18単位以上にすることが望まれる。(6.問題解決能力の醸成のための教育)15. 問題解決能力の醸成に向けた教育を体系的に行うことが望まれる。(6.問題解決能力の醸成のための教育)16. 各授業科目において、評価方法が曖昧なものがあるので、修正することが望まれる。(8.成績評価・進級・学士課程修了認定)17. 成績評価に出席点を加味している科目があるので、改善が望まれる。(8.成績評価・- 33 -進級・学士課程修了認定)18. 体系的・総合的な6年間の学習成果を測定するための指標を設定することが望まれる。(8.成績評価・進級・学士課程修了認定)19. 再試験の実施は担当教員の判断に委ねられており、実施しない科目があるのは、学生にとって不平等であるので改善が望まれる。(8.成績評価・進級・学士課程修了認定)20. 授業負担が大きい助教に対して、研究時間を充分確保することが望まれる。(10.教員組織・職員組織)21. 学生数に応じた適切な講義室、実験研究室および自習室など快適な学習環境スペースの整備が望まれる。(11.学習環境)22. 電子ジャーナルとデータベースの需要は高まる一方と思われるので、その充実が望まれる。(11.学習環境)23. 英語のホームページはあるが、学部紹介にとどまっており、各講座の研究内容や教員の業績に関する情報も英文化し一層の充実が望まれる。(12.社会との連携)24. 教職員の国外留学制度を整備し、国際的な交流を推進することが望まれる。(12.社会との連携)25. 薬学部の自己点検・評価を毎年継続的に実施することが望まれる。(13.自己点検・評価)26. 薬学部の自己点検・評価に、外部評価委員を加えることが望まれる。(13.自己点検・評価)27. 薬学部の自己点検にかかわる資料の公開が望まれる。(13.自己点検・評価)3)改善すべき点1. 「教育研究上の目的」には、教育方針の記述はあるものの研究方針に関する具体的な記述がないので、教育研究上の目的に研究方針を加えて記載する必要がある。(1.教育研究上の目的)2. ヒューマニズム教育・医療倫理教育において、総合的な目標達成度を評価するための指標を設定し、それに基づいて適切に評価する必要がある。(3.医療人教育の基本的内容)3. コミュニケーション能力・自己表現能力の醸成教育において、総合的な目標達成度を評価するための指標を設定し、それに基づいて適切に評価する必要がある。(3.医療人教育の基本的内容)- 34 -4. 薬学教育モデル・コアカリキュラムのSBOsが記載されていないのが大学独自の科目というのはわかりにくいので、大学独自であることを明記する必要がある。(4.薬学専門教育の内容)5. 問題解決能力の醸成のための教育について、目標達成度を評価するための指標を設定し、それに基づく適正な評価が必要である。(6.問題解決能力の醸成のための教育)6. 各学年の進級率は、平成25年度以降改善しているが、卒業率は、年々低下している。これは、安易に進級させ最終学年で厳しくしていることも考えられる。さらに受入学生の学力を担保するためには、入学者の基礎学力を適確に評価する必要がある。(7.学生の受入)7. 各科目について、個々の評価方法の最終成績に対する寄与率をシラバスに明記する必要がある。(8.成績評価・進級・学士課程修了認定)8. 卒業研究に試験を課すことは極めて重大な問題であり、改善する必要がある。(8.成績評価・進級・学士課程修了認定)9. 「卒業研究」の単位認定に「卒業関連試験の成績を加味しないようにする制度を、平成28年度入学生からではなく、在学生にも適用するように改善が必要である。(8.成績評価・進級・学士課程修了認定)10. 緊急時などにおける連絡網や危機管理体制、危機管理マニュアル、防災マニュアルの整備が必要である。(9.学生の支援)11. 薬学部としての具体的なFD活動(全教員が参加する)を行う必要がある。(10.教員組織・職員組織)12. 薬学部独自の自己点検と十分な評価を行った後、新たなプランを策定し行動に移す明確なPDCAサイクルを構築すべきである。(13.自己点検・評価)13. 6年制薬学教育プログラムの自己点検・評価結果を教育研究活動に反映させるための組織体制を整備する必要がある。(13.自己点検・評価)
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2017年度 |
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3:但し書き 改善報告審議結果 |
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| 愛知学院大学 | 私 | 愛知県 | 第1期 |
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適 |
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評価報告書
総評
愛知学院大学 総評愛知学院大学薬学部は「医療を協働の場として人々の健康維持と医療の発展に積極的に貢献し、共創を通じて未来を開拓する医療薬学専門人」の育成を目的としている。薬学教育プログラムはカリキュラム・ポリシー(教育課程の編成・実施方針)に基づき、教養課程、専門教育課程、実務教育ならびに卒業研究から構成されている。1年次は主に日進キャンパスで、2年次以降は楠元キャンパスで教育が行われている。人文社会系教養教育は総合大学の強みを発揮して十分に行われている。ヒューマニズム・医療倫理教育とコミュニケ―ションおよびプレゼンテーション能力を養う教育も十分に行われている。英語科目は能力別クラス編成で行われている。準備教育科目は必修科目の他に高校での履修状況に対応した選択科目も用意されている。早期体験学習は多彩に行われている。教育課程は、薬学教育モデル・コアカリキュラムに準拠したプログラムで実施されている。実習は1年次から継続的に実施されている。大学独自の専門教育科目が実施されているが、それらの独自性はシラバスに明示されていない。実務実習事前学習は 13 科目に分散して行われており、総合的な評価は行われていない。薬学共用試験は適正に実施されている。学生の実習施設への配属は適正に実施されている。訪問指導は実務系教員および実務実習担当薬剤師のみが行っているが、実務実習指導管理システムにより、実務実習に関する情報を共有できる環境を整えている。実習後には実習報告会が実施され、評価は総合評価表による多項目の合計で行われている。卒業研究は実質 11 か月間実施され、各学生が独立したテーマをもち、医療や薬学における位置づけを考察した上で卒業研究論文を作成している。発表会はポスター形式で実施している。評価は、配属講座の教員による研究実施評価と主任教授による卒業論文評価に、他講座の教員による卒業研究発表会評価を加えて実施されている。問題解決型学習のプログラムは1年次から6年次まで継続的に実施されている。入学者の選抜は各種の入学試験により行われている。学力不足の学生が増加しているた- 2 -め、入学試験制度の見直しにより適性のある学生の確保に努めている。各科目の成績は教務委員会で確認し、単位認定と進級判定は教授会で行われている。試験の不合格者の一部(D評価)は既履修者とされ、留年の有無にかかわらず再履修(再指導)は必須とされていない。2年次、3年次の留年生が多いが、講義室の不足により再履修させることが困難な状態である。留年生に関しては主としてアドバイザー教員が学習状況を把握している。卒業試験は基礎領域、臨床領域および基礎・臨床領域のそれぞれの到達度判定により行われ、到達度を総合的に評価している。履修・修学指導はガイダンスの他に学習支援室や学生アドバイザーにより行われている。学生は6年間を通じ複数のアドバイザー教員に指導されている。学生に対する経済的支援として大学独自の奨学金も設けている。健康維持や進路選択に関する支援体制も整っている。薬学部の専任教員数は設置基準を大幅に超えており、職階や年齢の構成に問題はない。専任教員の選任は教育能力も考慮して行われている。教員は、教育目標を達成するための基礎となる研究活動を行っており、教員の教育研究能力の向上を図るための取組みも実施されている。専門科目の教育は、2年次以降、楠元キャンパスの薬学部棟を中心に行われており、講義室7室、基礎系実習室3室、および事前学習のための薬剤実習センターが使用されている。PBL(Problem Based Learning)、語学教育のためにはセミナー室やマルチメディア対応の講義室も整備されている。卒業研究のための設備も整っている。地域医療機関との連携や薬剤師向けの卒後教育により、薬剤師の資質向上に努めている。また、地域における保健衛生の向上にも貢献している。自己点検・評価は、外部評価機関からの評価に対応することで教育研究環境を整備することを目的として行われている。以上のように、愛知学院大学薬学部の教育プログラムは、本機構の評価基準におおむね適合しているが、以下のような問題点があり、改善が必要である。(1)講義概要(シラバス)の記載項目が「薬学教育シラバス」に準拠していないので、改善すべきである。(2)履修要項ならびにカリキュラム・ポリシーにおいて、「実務実習事前学習」についての記載がなく、体系的な学習が行われておらず、総合的な評価が行われていないので、改善すべきである。- 3 -(3)試験の不合格者の一部(D評価)は既履修者とされ、再履修(再指導)の必要がないのは低学力者に対する指導方法として問題であるので、改善すべきである。(4)留年者の履修指導、生活指導が不十分であるので、改善すべきである。(5)ヒューマニズム教育・医療倫理教育、コミュニケーション能力を育成する教育、実務実習事前学習、問題解決能力を醸成する教育で、目標達成度を測定する指標を設定し、それに基づく適切な評価を行うよう改善することが必要である。(6)6年制薬学教育プログラムを自己点検・評価するために、薬学部内に定期的に検証する組織や規程を整備して、内部質保証を図る必要がある。愛知学院大学薬学部には、今回の評価における提言を踏まえ、仏教精神に基づく建学の精神を生かした特色ある薬学教育を通して、さらに発展することを期待する。
大学への提言
愛知学院大学 大学への提言1)助言1. 学則第1条の3に定められている「薬学部の人材育成の目的」(規程)と「教育理念・目標」(内規)の関連性を明確にすることが望ましい。(1.教育研究上の目的)2. 教育理念・目標ならびに教育研究上の目的を定期的に検証することが望まれる。(1.教育研究上の目的)3. 「実務実習事前学習」の位置づけをカリキュラム上で明確にするように、改善することが望ましい。(2.カリキュラム編成)4. 改訂モデル・コアカリキュラムにおける薬学臨床を踏まえた新たなカリキュラム・ポリシーの検討が望まれる。(2.カリキュラム編成)5. 1年次の総取得単位数はかなり多く、予習復習のための時間の確保が困難なことが懸念されるので、改善することが望ましい。(2.カリキュラム編成)6. カリキュラムツリーには、科目間連携や順次性ならびにディプロマ・ポリシーとの関連性が十分に示されていないので、改善することが望ましい。(2.カリキュラム編成)7. カリキュラム編成に関し、問題点の発見やその改善などの定期的な検証は行っていないので、改善することが望ましい。(2.カリキュラム編成)8. ヒューマニズム教育・医療倫理教育について、「自己点検・評価書」と、履修要項の「ヒューマニズム教育・医療倫理教育の体系的な実施について」に記載された科目は乖離しており、体系性が不明確であるので、改善することが望ましい。(3.医療人教育の基本的内容)9. 人文社会系教養科目の履修年次は1年次に集中しているので、他学年においても開講し、薬学領域の学習と関連付けて履修する体系的なカリキュラム編成とすることが望ましい。(3.医療人教育の基本的内容)10. 英語教育において「聞く」、「話す」能力の醸成、医療現場で薬剤師に必要とされる語学力の醸成が十分に行われていないことが懸念されるので、改善することが望ましい。(3.医療人教育の基本的内容)11. 物理、化学、生物、数学のプレースメントテストの結果を教育に反映する仕組みがないので、改善することが望ましい。(3.医療人教育の基本的内容)12. 生涯学習の意欲醸成を意識した教育が殆どなされていないため、拡充することが望ましい。(3.医療人教育の基本的内容)- 34 -13. 生涯学習プログラムへの学部学生の参加が制限されているので、改善することが望ましい。(3.医療人教育の基本的内容)14. 独自科目は選択科目での実施が望ましいとされているが、開講されている科目数が少なく、事実上必修科目となっているので改善が望ましい。(4.薬学専門教育の内容)15. 実務実習先への訪問指導は、すべての教員が参加し、臨床現場との接点を持つことが望ましい。(5.実務実習)16. 卒業研究を行う実質的期間をできるだけ多く割り当てられるよう工夫することが望ましい。(6.問題解決能力の醸成のための教育)17. アドミッション・ポリシーを定期的に検証する体制が構築されていないため、改善が望ましい。(7.学生の受入)18. 入試改革を継続的に推し進めることが望ましい。(7.学生の受入)19. 総合的な学習成果を測定する指標を制定し、それに基づき学習成果が測定されるよう努めることが望ましい。(8.成績評価・進級・学士課程修了認定)20. 6年間を通じて学生は複数のアドバイザー教員に指導されるが、アドバイザー間での学生の就学状況や指導内容の共有と引き継ぎについて、明確な取り決めがないため、改善することが望ましい。(9.学生の支援)21. ハラスメント防止に関する情報の発信が少ないので、パンフレットなどにより学生に周知することが望ましい。(9.学生の支援)22. 学生生活アンケートにより収集された意見の、教育と学生生活への反映体制は十分とはいえないので改善することが望ましい。(9.学生の支援)23. 学生数と教員定数の割合は22:1であり、教員数を増加することが望ましい。(10.教員組織・職員組織)24. 必修科目の中には講師のみで担当している科目が散見されるので、改善することが望ましい。(10.教員組織・職員組織)25. 全ての実務家教員が継続的に臨床現場での研鑚が積める仕組みを構築することが望ましい。(10.教員組織・職員組織)26. 実習や演習を含めると教員間の担当時間の差が2倍以上あるため、改善が望ましい。(10.教員組織・職員組織)27. 教員と職員が連携して資質向上を図る体制を整えるよう改善することが望ましい。(10.教員組織・職員組織)28. 講義室の稼働率は 100%に近く、座席の数も在籍者数に近いことから、選択科目の充- 35 -実や再履修制度の充実を阻み、ポリシーに基づく理想的なカリキュラム立案を妨げている要因の一つとなっている可能性があるので、講義室の拡充が望まれる。(11.学習環境)29. 産業界との連携を強化し医療および薬学の発展に努めることが望ましい。(12.社会との連携)30. 薬剤師向けの卒後教育は、1年に1度の開催であり、大学が提供する生涯学習プログラムとして不十分なため、積極的に開催することが望まれる。(12.社会との連携)31. 英文ホームページが作成されているが、内容が不十分なため、拡充し、積極的に世界に情報を発信することが望ましい。(12.社会との連携)32. 教員の海外研修制度が定められており、学部毎に毎年1名の海外留学が可能であるが、薬学部では利用実績がないので、積極的に活用することが望まれる。(12.社会との連携)33. 薬学部の定期的な自己点検・評価の実施結果について大学のみならず薬学部のホームページでも積極的に公表することが望ましい。(13.自己点検・評価)2)改善すべき点1. 教育研究上の目的において、大学の理念で重視している「研究」についての記載が十分でないので、改善すべきである。(1.教育研究上の目的)2. 医療人教育が効果的な学習方法で行われていないので、改善すべきである。(3.医療人教育の基本的内容)3. ヒューマニズム教育・医療倫理教育の目標達成度を評価するための指標が設定されておらず、それに基づいて適切に評価されていないので、改善が必要である。(3.医療人教育の基本的内容)4. コミュニケーション教育・プレゼンテーション教育において、目標達成度を評価するための指標が設定されておらず、それに基づいて適切に評価されていないので、改善が必要である。(3.医療人教育の基本的内容)5. 薬学専門科目のシラバスは、必修と選択科目の区別、学習目標の記載内容、学習目標に対応する方略と評価、評価方法の書式、SBOの個別の番号ならびに文章、担当教員の所属、オフィスアワー等の記載に不備があるので、改善が必要である。(4.薬学専門教育の内容)6. 実施されていないSBOs、およびSBOsに適していない学習方略が用いられてい- 36 -る科目があるため、改善すべきである。(4.薬学専門教育の内容)7. シラバスに独自科目であることが示されておらず、改善が必要である。(4.薬学専門教育の内容)8. 履修要項ならびにカリキュラム・ポリシーにおいて、実務実習事前学習を意識させる記載や科目の名称がないので、改善すべきである。(5.実務実習)9. 実務実習事前学習に関わる講義・実習・演習を、学習効果が高められる時期に体系的に実施するよう改善すべきである。(5.実務実習)10. 実務実習事前学習を構成する各科目の目標到達度を評価するための指標が適切に設定されていないので、改善すべきである。(5.実務実習)11. 実務実習事前学習としての総合的な目標達成度評価が行われていないので、改善すべきである。(5.実務実習)12. 問題解決能力の醸成に向けた教育において、関連科目を統合した目標達成度の評価の指標が設定されておらず、それに基づく評価も行われていないため、改善が必要である。(6.問題解決能力の醸成のための教育)13. 各科目における成績評価の方法・基準が学生に周知されているといえないので、(シラバスの記載を適切にするなど)改善すべきである。(8.成績評価・進級・学士課程修了認定)14. 試験の不合格者の一部(D評価)は既履修者とされ、再履修(再指導)の必要がないのは低学力者に対する指導方法として問題であると思われるので、改善すべきである。(8.成績評価・進級・学士課程修了認定)15. 留年者の履修指導、生活指導が十分でないので、改善すべきである。(8.成績評価・進級・学士課程修了認定)16. 「総合演習Ⅲ、Ⅳ」の2科目の評価が卒業試験Ⅰ、Ⅱ、Ⅲのいずれに対応するのか明確でないので、改善すべきである。(8.成績評価・進級・学士課程修了認定)17. 卒業試験の再試験に当たる特別試験の判定に外部試験を加えることは不適切であるので、改善すべきである。(8.成績評価・進級・学士課程修了認定)18. 災害時の教職員の役割分担や配置に関するマニュアルの作成、定期的な災害・事故防止講習会の開催などが行われていないことは問題であり、改善すべきである。(9.学生の支援)19. 全学生を対象とした事故・災害に対する講習会や訓練を実施するように、改善が必要である。(9.学生の支援)- 37 -20. 自己点検・評価に関わる委員会規則を制定し、自己点検・評価を主体的・恒常的に行うよう改善する必要がある。(13.自己点検・評価)21. 大学全体と薬学部間(全学FD委員会と薬学部FD委員会)の連携、薬学部内の委員会間(薬学部FD委員会と自己点検・評価委員会)の連携した活動が認められないため、改善が必要である。(13.自己点検・評価)
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1:提言 改善報告審議結果 |
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| 岩手医科大学 | 私 | 岩手県 | 第1期 |
2017年度 |
適 |
自己点検・評価書 基礎資料 正誤票 |
評価報告書
総評
岩手医科大学 総評岩手医科大学薬学部は、大学の理念「全人的地域総合医療の推進」と薬剤師養成教育に課された使命に基づいて「人材養成及び教育研究上の目的」を設定し、6年制薬学教育を行っている。ヒューマニズム、医療倫理、コミュニケーション教育科目は1年次から実施され、特に医歯薬学部合同での教育は、医療総合大学における本薬学部の特徴である。薬学専門教育は、おおむね薬学教育モデル・コアカリキュラムに準拠しており、独自の科目や教育内容を加えて学年進行に沿った教育を行っている。また、チーム基盤型学習(TBL:team-based learning)などのアクティブラーニングの手法を取り入れた講義を設定し、学習内容の定着につなげている。学生の問題解決能力は、4~6年次の卒業研究科目や、PBL(Problem Based Learning)を導入した講義、実習などで醸成を図っている。しかし、6年次のカリキュラムは薬剤師国家試験対策に偏重している。実務実習に関しては、3~4年次の実務実習事前学習はおおむね実務実習モデル・コアカリキュラムに準拠しており、実務実習での学生との面接、施設訪問などは、全教員協力のもと、施設の担当講座の教員が分担している。入学者選抜では、入学者受入方針(アドミッション・ポリシー)を掲げ、一般入学試験、推薦入学試験および大学入試センター試験利用入学試験により入学者を選抜している。学生の成績評価・進級・学士課程修了認定は学則に定められており、後述する問題点を除けば、おおむね適正に実施されている。また、留年生など成績不振学生への学習支援体制を整えている。しかし、ストレート在籍率は学年が進むごとに低下しており、1年次での退学者も目立つ。経済的支援として、大学独自の奨学金制度や東日本大震災被災学生に対する授業料等免除制度などを設けるほか、キャリア支援体制も充実させている。教員組織としては、教育・研究上の実績を有する専任教員が配置されているが、大学の定める薬学部の教員の定員数に対して各職階とも欠員がある。また、助教の占める割合- 2 -が高い。教員の研究環境および学生の学習環境は十分に整えられている。共同研究や、薬剤師の生涯教育などで社会と連携するほか、岩手県薬剤師会や病院薬剤師会などと「岩手県薬学・薬事関係者懇話会」を設立し、実務実習や学術的活動で協力している。自己点検・評価に関しては、岩手医科大学自己評価委員会に加え、薬学部自己評価委員会を設置している。また、本大学は、平成25年度に大学基準協会による認証評価を受けている。以上のように、岩手医科大学薬学部の薬学教育プログラムは、全体として本機構の評価基準におおむね適合しているが、以下の問題点について改善が必要である。(1)カリキュラムが国家試験対策に偏重しているので、教育課程の編成・実施の方針(カリキュラム・ポリシー)に沿った編成に改善すべきである。(2)問題解決能力醸成のために必須である卒業研究の実施期間は十分とは言えないので、改善すべきである。(3)実務基礎実習に合格し、共用試験が不合格で留年となる学生に、既に合格している実務基礎実習を再履修させるという規定は、単位認定の観点から適切ではないので、第4学年の進級規定を修正する必要がある。(4)「卒業研究」は5、6年次の通期科目として設定され、シラバスにも単年度ごとの「卒業研究の成績評価基準」は示されていないにもかかわらず、薬学部進級判定基準では、5年次に「卒業研究の成績評価基準に達した者を進級とする」と規定されており、現実のカリキュラムと整合しないので科目の見直し、あるいは進級規定の修正を行う必要がある。(5)国家試験対策科目「総合講義」に対応する「総合試験」を実質的な卒業試験とすることは、国家試験合格の可能性がある学生の選抜に利用していると判断されるので、改善すべきである。(6)公平かつ厳正な卒業判定を行うため、「総合試験」の明確な成績評価基準および合格基準を総合講義/演習のシラバス等に記載すべきである。(7)「自己点検・評価書」や基礎資料、添付資料に多くの誤記や齟齬があり、自己点検・評価が適正かつ厳格に行われていたとは言えないので、薬学部自己評価委員会を、責任ある自己点検・評価体制として機能させるとともに、その評価結果を教育研究活動にフィードバックし、6年制薬学教育プログラムの質の向上に努めることが必- 3 -要である。貴学には、問題点の改善に取り組むことで、医系総合大学の特色を活かし、地域に根差した薬剤師教育プログラムを展開されることを期待する。
大学への提言
岩手医科大学 大学への提言1)長所1. 学生の自習スペースとして、図書館以外に計662席を設け、そのうち542席は休日でも7~22時で利用が可能である。(11.学習環境)2. 岩手県薬学・薬事関係者懇話会の設立や、岩手県薬剤師会・病院薬剤師会と連携・協力して自由科目「被災地薬剤師から学び考える―地域におけるこれからの薬剤師のあり方」の授業が行われるなど、地域と連携・協力した教育体制が構築されている。(12.社会との連携)2)助言1. シラバスに「薬学部の教育研究上の目的」を含め、薬学部の3つのポリシーを記載することが望ましい。(1.教育研究上の目的)2. 「薬学部の教育研究上の目的」および3つのポリシーを薬学部ホームページの常に参照できる場所に掲載することが望ましい。(1.教育研究上の目的)3. シラバスに無い、単位外の「実践的薬学演習」や「総合演習」を、本来、シラバスに記載された正規科目を実施すべき時間帯に組み込むことは適切ではないので、改善することが望ましい。(2.カリキュラム編成)4. 1年次には選択必修の教養教育科目として人文科学、社会科学および自然科学22科目- 45 -を開講し、それを4グループに分けて各グループ1科目選択で、4科目の選択を求めている。しかし、同一グループの科目を重複して履修することは、時間割の制約上不可能であり、実質的に履修できる科目数は限られている。選択必修科目の履修について再考することが望まれる。(3.医療人教育の基本的内容)5. 実習科目に関連して実施される製薬工場見学はシラバスに記載がなく、ガイダンス資料に見学先、日程、注意事項などが記載されているのみであるので、シラバスに学習方針、教育成果、到達目標などを示すことが望まれる。(3.医療人教育の基本的内容)6. 卒業生や岩手県内の薬剤師を対象に卒後研修講座を開講しているが、学部学生の参加が少ないので、学部学生の参加を促すことが望ましい。(3.医療人教育の基本的内容)7. 各講義科目のシラバスを見る限り、科目内で基礎と臨床を関連付けた内容は見当たらないので、改善が望まれる。(4.薬学専門教育の内容)8. 大学独自の教育の一部が自由科目として設定されており、自由科目の受講者数は、「治療戦略概論」は94名であるが、「感染症対策薬学」29名、「実践チーム医療論(病棟実習)」25名、「処方解析演習/実践的薬学演習」19名、またこれら以外の科目については10名前後であるので、大学独自の教育を推進するためには受講者を増やすことが望まれる。(4.薬学専門教育の内容)9. 「調剤学」、「臨床薬学1」については、シラバスに事前学習科目であること、また該当する実務実習モデル・コアカリキュラムのSBOsが示されていないので、明示することが望まれる。(5.実務実習)10. OSCE終了後、実務実習Ⅰ期開始までおおむね4ヶ月間の開きがあるが、実習開始直前に調剤手技等のフォローアップや事前学習全体の到達度の確認は行われていないので、改善が望まれる。(5.実務実習)11. 処方解析の課題については、実務実習の学習の評価には加えていないが、実習施設訪問の面談時には、模擬処方せんではなく、実習施設で得た、生きた経験に基づいて、学生への形成的フィードバックを行うことが望ましい。(5.実務実習)12. 卒業論文の作成要項を整備することが望まれる。(6.問題解決能力の醸成のための教育)13. 学生の主体的な学びを促進するアクティブラーニングの教育手法を多数の科目で取り入れているが、真の意味で、問題解決能力の醸成を主眼としている科目が少なく、必- 46 -修の薬学専門科目で、問題解決型学習の教育手法を取り入れている実質的な単位数は、卒業研究科目を含めても卒業要件単位数の1/10に満たないので、充実させることが望まれる。(6.問題解決能力の醸成のための教育)14. 6年次留年生の「総合講義」については、正規6年次の「総合講義」29コマに対して、留年時には4月および5月の「総合講義」12回および総合講義補習授業8回の計20コマに出席することで、所定の履修時間の2/3以上に出席し、再履修したと判断している。しかし、実際には、学生が1日でも欠席すると、2/3以上の出席が満たされない可能性がある特別な措置であり、厳格に再履修が実施できる制度を整えることが望まれる。 (8.成績評価・進級・学士課程修了認定)15. 6年制薬学教育の総合的な学習成果の測定を、指標を設定し、それに基づいて行うことが望ましい。(8.成績評価・進級・学士課程修了認定)16. ハラスメント防止の取組みはキャンパスライフガイドやガイダンス資料に記載されていないので、学生に十分周知できるように、これらの資料を有効に活用することが望ましい。(9.学生の支援)17. 障がいを有する学生の受験に関しては、申し出や問い合わせに応じた個別対応がなされているようであるが、学生募集要項など、受験生への広報の中にも対応について記載されることが望ましい。(9.学生の支援)18. 消防訓練や避難訓練は、平成24年度に矢巾キャンパス内で学生を対象に実施しているが、25年度以降の実施は教職員のみを対象としているので、学生を交えた訓練を定期的に実施することが望ましい。(9.学生の支援)19. 准教授・講師の人数は、大学の定める薬学部の教員の定員数に対し約1/3が欠員であるので、早急に人事を進め、必要とする人数を確保することが望まれる。(10.教員組織・職員組織)20. 「岩手医科大学薬学部教員選考基準」には、研究業績の基準のみが明示されており、研究能力が重要視されていることが窺われるので、教育上の指導能力に関しても模擬講義や審査項目を加えるなど、明確な基準の設定が望まれる。(10.教員組織・職員組織)21. 大学間、薬学部間での海外の大学との交流協定・活動の実績はないので、今後改善が望まれる。(12.社会との連携)22. 教員が大学に籍を置いたまま国外留学した例がないので、海外研修制度を充実させ、積極的に活用することが望まれる。(12.社会との連携)- 47 -23. 大学および薬学部が主体となった、海外の医療系大学や医療施設での研修会などは実施されていないので、海外臨床研修プログラムなどを用意し、学生が広く世界を視野に入れた上で、薬学と医療を学ぶ機会を提供することが望ましい。(12.社会との連携)24. 薬学部自己評価委員会に学外の外部委員を加えることが望ましい。(13.自己点検・評価)25. 平成27年度薬学部自己点検・評価報告書および自己評価22が、薬学部のホームページから直接閲覧できることが望ましい。(13.自己点検・評価)3)改善すべき点1. 国家試験対策に偏重したカリキュラム編成となっているので、カリキュラム・ポリシーに沿った編成に改善すべきである。(2.カリキュラム編成)2. ヒューマニズム・医療倫理教育に関連する科目において、目標達成度を総合的に判定する指標を設定し、評価を行う必要がある。(3.医療人教育の基本的内容)3. コミュニケーション能力、自己表現能力を身につけるための科目において、目標達成度を総合的に判定する指標を設定し、評価を行う必要がある。(3.医療人教育の基本的内容)4. シラバスに、各科目の到達目標は示されているが、コアカリのSBOsとの対応について記載がなく、また、本薬学部のカリキュラムの構成とコアカリの関係が学生や社会から見て分かりにくいので、シラバスの授業内容にコアカリのSBOsを記載することが必要である。(4.薬学専門教育の内容)5. コアカリの各SBOsが示す知識、技能、態度にふさわしい学習方略で教育が行われていないところがあるので、改善すべきである。(4.薬学専門教育の内容)6. 実務実習事前学習全体に関して、目標達成度を評価するための指標を設定し、それに基づいて適切に評価する必要がある。(5.実務実習)7. 問題解決能力の醸成のために必須である卒業研究の実施期間は十分とは言えないので、改善すべきである。(6.問題解決能力の醸成のための教育)8. 5、6年次卒業研究全体の評価を公正・適確に行うために、学部共通で、研究中の態度、発表、卒業論文を含めた具体的な評価基準・評価方法を定め、また、シラバスに記載する必要がある。(6.問題解決能力の醸成のための教育)9. 問題解決能力の醸成に向けた個々の教育において、さらに、関連した科目を総合し- 48 -て、目標達成度を評価するための指標を設定し、評価を行う必要がある。(6.問題解決能力の醸成のための教育)10. 毎年の入学者のうち6年間の在学期間で卒業した者の割合(ストレート卒業率)が近年低下しており、これは大学が入学者に求めているモチベーションや学力と、入学生の実体が乖離してきた可能性を示している。したがって、入学生を選抜する方法について、検証、改善することが必要である。(7.学生の受入)11. 実務基礎実習に合格し、共用試験が不合格で留年となる学生に、既に合格している実務基礎実習を再履修させるという規定は、単位認定の観点から適切ではない。したがって、第4学年の進級規定を修正する必要がある。(8.成績評価・進級・学士課程修了認定)12. 薬学部進級判定基準には「第5学年(1)第5学年において実務実習(病院)、実務実習(薬局)に合格し、教育要項(シラバス)に定める所定の単位を取得し、卒業研究の成績評価基準に達した者を進級とする」と規定されているが、卒業研究は5、6年次の通期科目として設定されており、単年度ごとの「卒業研究の成績評価基準」は示されていない。したがって、この進級規定は、現実のカリキュラムと整合しないので科目の見直しあるいは進級規定の修正を行う必要がある。(8.成績評価・進級・学士課程修了認定)13. 国家試験対策科目「総合講義」に対応する「総合試験」を実質的な卒業試験とすることは、国家試験合格の可能性がある学生の選抜に利用していると判断されるので、改善すべきである。(8.成績評価・進級・学士課程修了認定)14. 「総合試験」については、「各学年年度始めガイダンス配布物 第6学年」には、成績の傾斜配分の割合および第5回試験の免除基準が示されているが、当該科目のシラバスには記載がない。また、「総合試験」のガイダンス資料には、「単位評価:総合試験+確認試験から判断」と記載されているが、この単位評価の詳細を示す資料などは作成されていない。したがって、公平かつ厳正な卒業判定を行うためにも、「総合講義」のシラバス等に明確な成績評価基準および合格基準を記載すべきである。(8.成績評価・進級・学士課程修了認定)15. 平成28年度の各専任教員の授業時間数や卒業研究での指導学生数に大きな差があるので、教員の負担をできるだけ均一とし、研究する時間が確保できるように、教員配置の見直し、あるいは採用などを行う必要がある。(10.教員組織・職員組織)16. 「自己点検・評価書」や基礎資料、添付資料に多くの誤記や齟齬が認められたことか- 49 -ら、自己点検・評価が適正かつ厳格に行われていたとは言えないので、平成28年度に編成された薬学部自己評価委員会を、責任ある自己点検・評価体制として機能させる必要がある。(13.自己点検・評価)17. 薬学部自己評価委員会を継続的に活動させ、適正かつ厳格な自己点検・評価の結果を教育研究活動にフィードバックすることで、本薬学部の3つのポリシーに整合した6年制薬学教育プログラムの質の向上に努めることが必要である。(13.自己点検・評価)
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1:提言 改善報告審議結果 |
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| 大阪大学 | 国 | 大阪府 | 第1期 |
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自己点検・評価書 基礎資料 正誤票 |
評価報告書
総評
大阪大学 総評大阪大学薬学部は、6年制の薬学科を設置し、教育研究上の目的を、「創薬研究から投薬に至るまで幅広い見識を持ち、薬物による疾患の克服を介して人類の福祉と健康に貢献する薬の専門家(薬剤師と薬学研究者)、すなわち様々な医薬品を疾患の予防と治療に安全で有効に活用でき、医療の現場はもちろんのこと、薬学研究、医薬・保健行政に携わる人材を育成すること」とし、学則に定めている。それに基づいて設定されたカリキュラム・ポリシー(教育課程の編成・実施方針)に従って、薬物による疾患の克服を介して人類の福祉と健康に貢献する薬の専門家(薬剤師と医療薬学研究者)育成のためのカリキュラムを組み、教育を行っている。ヒューマニズム教育・医療倫理教育が低学年次から計画的に行われており、ルーブリックを用いたPBL(Problem Based Learning)などの形成的評価も実施している。大阪大学学務情報システム「KOAN」により、シラバス、個人成績を学生が随時閲覧できるようになっており、さらにシステム内に「就職支援システム」および「進路・就職報告システム」を設け、情報の提供・収集も行っている。実務実習は、薬局においては近畿地区調整機構で調整された薬局で、病院については全員が大阪大学医学部附属病院で、薬学部との連携のもとで行われている。卒業研究は、3年次前期に研究室配属が行われ、所属の各研究室において6年次まで十分時間をかけて質の高い研究が行われており、全体での発表会が開催され、卒業論文も主査・副査の審査の後に提出されている。アドミッション・ポリシー(入学者受入方針)は、「医療の現状と問題点を理解し、その改善、解決に向けて基礎研究、臨床研究に打ち込み、医療薬学の発展に寄与する志を有する学生を求める」と、4年制学科とは別に定められており、大学入試センター試験に加えて、前期日程試験(数学、理科、外国語)および世界適塾入試(小論文、面接)が行われている。入学者数は適正な範囲である。教員数は大学設置基準を大きく上回っており、実務家教員も必要人数の4名を満たして- 2 -いる。薬学部の専任教員は、それぞれの専門分野において研究活動を活発に行っており、ホームページ上に最新の報告論文リストが掲載されている。また、極めて多数の企業などとの共同研究が行われている。自己点検・評価については、学部内に薬学評価会議を設置して実施している。外部委員によって構成されるアドバイザリーボード会議を設置し、外部評価を受けて、結果を大学ホームページで公開している。以上のように、大阪大学薬学部薬学科の6年制薬学教育プログラムは、本機構の評価基準におおむね適合していると判断される。しかしながら、主な改善すべき点として、以下が挙げられる。(1)事前学習全体を通しての目標達成度を評価する具体的な指標の設定やそれに基づく適切な評価が必要である。(2)「長期課題研究」は、客観的採点基準を定め、それに沿った評価が必要である。(3)問題解決能力の醸成に向けた教育における目標達成度の評価について、「長期課題研究」だけではなく、他の科目を含めた総合的な評価が必要である。(4)シラバスなどに評価基準の寄与率や再試験の有無について記載されていない科目については、成績評価法の学生への事前周知のために明確に記載することが必要である。(5)健康診断受診率の極端に低い学年があるので、健康診断受診率を向上させる必要がある。(6)大阪大学薬学部の薬学評価会議では、中期計画・中期目標に関する自己点検・評価のシステムを用いて、薬学教育モデル・コアカリキュラムに準拠した教育システムについての点検・評価を行い、改善に結びつける必要がある。以上の重要な問題点に加えて、その他の指摘についても適切に対応することで、より優れた薬学教育が展開されることを期待する。
大学への提言
大阪大学 大学への提言1)長所1. 講義室、実習室、移動経路のバリアフリーマップがホームページに掲載されていることは評価できる。(9.学生の支援)2. 寄付講座、共同研究講座を設置していること。共同研究・受託研究が多数(約150件)あること。(12.社会との連携)3. 国際交流が盛んであること(大学間交流協定112件、部局間交流協定547件)。(12.社会との連携)4. 若手教員の海外留学・研修を積極的に推進している。(12.社会との連携)5. 外部委員によって構成されるアドバイザリーボード会議を設置している。(13.自己点検・評価)2)助言1. シラバスの記載において、「教科書・教材」、「参考文献」が「特になし」となっている科目があるので、「教員が用意した教材や授業中に紹介する参考資料」等を明記することが望まれる。(4.薬学専門教育の内容)2. 問題解決能力の醸成を意図する科目の一部(「薬学入門」、「情報科学」、「薬学と社会」)においてはルーブリック評価基準表を用いた形成的評価がなされているが、他の問題解決能力の醸成を意図する科目においても客観的評価ができるように目標到達度の指標の設定が望まれる。(6.問題解決能力の醸成のための教育)3. 「長期課題研究」の合否を、教育の総合的な学習成果の測定指標とするには無理があるため、より適切な測定指標の設定が望まれる。(8.成績評価・進級・学士課程修了認定)4. 教員の授業担当時間数が、臨床系とそれ以外の教員間で差が大きいので、改善が望ま- 25 -れる。(10.教員組織・職員組織)3)改善すべき点1. 平成26年以前に入学した学生対象のカリキュラムのうち、選択科目の「臨床薬学特論ⅢおよびⅣ」は、ヒューマニズム教育・医療倫理教育科目として重要な科目なので、履修指導により全ての学生が履修するようにすることが必要である。(3.医療人教育の基本的内容)2. ヒューマニズム教育・医療倫理教育において、科目総合的な成果について適切な指標を設定し、それに基づいた目標達成度の評価を行うことが必要である。(3.医療人教育の基本的内容)3. コミュニケーション能力および自己表現能力を身につけるための教育において、科目総合的な成果について適切な指標を設定し、それに基づいた目標達成度の評価を行うことが必要である。(3.医療人教育の基本的内容)4. シラバスに不備不足(詳細な成績評価方法、必修・選択の別の記載がないなど)があり、改善が必要である。(4.薬学専門教育の内容)5. 事前学習全体を通しての目標達成度を評価する具体的な指標の設定やそれに基づく適切な評価が必要である。(5.実務実習)6. 「長期課題研究」は、客観的採点基準を定め、それに沿った評価が必要である。(6.問題解決能力の醸成のための教育)7. 問題解決能力の醸成に向けた教育における目標達成度の評価について、「長期課題研究」だけではなく、他の科目を含めた総合的な評価が必要である。(6.問題解決能力の醸成のための教育)8. 再試験の有無については、最初の授業の実施までに学生に周知しておく必要がある。(8.成績評価・進級・学士課程修了認定)9. 一部の科目のシラバスに評価基準の配分が曖昧な表現「総合的に評価する」等の記載があるので、寄与率を明記するなど、明確な表現にすることが必要である。(8.成績評価・進級・学士課程修了認定)10. 健康診断受診率の極端に低い学年があるので、健康診断受診率を向上させる必要がある。(9.学生の支援)11. 大阪大学薬学部の薬学評価会議では、中期計画・中期目標に関する自己点検・評価のシステムを用いて、薬学教育モデル・コアカリキュラムに準拠した教育システムにつ- 26 -いての点検・評価を行い、改善に結びつける必要がある。(13.自己点検・評価)
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1:提言 改善報告審議結果 |
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| 高崎健康福祉大学 | 私 | 群馬県 | 第1期 |
2017年度 |
適 |
自己点検・評価書 基礎資料 正誤票 |
評価報告書
総評
高崎健康福祉大学 総評高崎健康福祉大学薬学部薬学科は、薬剤師養成教育に課せられた基本的使命を踏まえて、「薬に関する基礎教育とヒューマニズム教育を徹底し、薬学専門家にふさわしい知識と倫理観を兼ね備え、創薬や医療の現場で活躍できる薬剤師(医療人)を養成する」ことを教育研究上の目的(人材養成に係る目的)として設定している。また、薬学部の教育目標には「1.社会人としての活躍の基礎となる豊かな人間性と幅広い教養」、「2.薬学に関する基礎的知識及び「薬から見た医学」に関する知識」、「3.科学的思考に基づいて、薬学に関する現代社会の諸問題を発見、分析、考察し、その解決法を提案する能力」、「4.薬剤師(医療人)としての創薬や医療の現場で活躍するために必要な臨床的知識・技能と倫理観」、「5.薬剤師(医療人)として社会で活躍し、チーム医療を推進するために必要なコミュニケーション能力」の5項目が設定されており、医療を取り巻く環境、薬剤師に対する社会のニーズを適確に反映したものとなっている。教育課程の編成・実施の方針(カリキュラム・ポリシー)は、教育研究上の目的に基づいて定められ明文化されている。ヒューマニズム教育・医療倫理教育については、薬剤師としての心構えと患者・生活者本位の視点を醸成する科目や、コミュニケーション能力ならびにチーム医療の中で医療人として臨床薬学専門家にふさわしい行動を身につけるための発展的な講義および実習が配置されている。講義・演習に加え、体験実習、問題解決型学習(PBL:Problem BasedLearning)・少人数制グループ討議(SGD:Small Group Discussion)、ロールプレイ(RPG:Role Playing Game)学習などの教育手法を組み合わせた教育が1年次から6年次まで体系的に行われている。実務実習に関して、実務実習事前学習では、実務事前学習モデル・コアカリキュラムに沿って適切な指導体制のもと実施されている。また、実務実習の企画・運営ならびに調整、成績評価、関東地区調整機構との連携については、実務実習委員会が、実習生、指導薬剤- 2 -師、訪問担当教員、各職能団体からの実務実習に関する相談応需および対応の検討については、臨床薬学教育センターが行っており、円滑な実習の実施が図られている。卒業研究は、「卒業研究(10 単位)」(PHP401)として5~6年次に行われている。その研究期間は、5年次では、4年次2月の仮配属決定後から翌年3月まで(実務実習時期は除く)、6年次では4月から9月初旬の卒業論文提出までで、約1年間が確保されている。卒業論文は、6年次の9月初旬にA4冊子体として事務室に提出され、また、別途卒業論文要旨集が発行されている。卒業論文の内容については、研究成果と医療や薬学との関連性の適切な考察について述べられている。高崎健康福祉大学薬学部の入学者受入方針(アドミッション・ポリシー)は薬学部入試広報委員会で原案が作られ、全学入試委員会での検討を経て、薬学部教授会で議論するなど、アドミッション・ポリシーを設定するための責任ある体制がとられている。AO自己推薦入試(AO:Admission Office)および推薦入試、一般入試(センター試験利用を含む)が実施され、選抜(合否判定)については、各入試の採点終了後、薬学部入試広報委員と学部長からなる予備会議が行われている。その後、教授会構成教員が出席する学部判定会議において、入学試験ごとに判定審議し、入学志願者の評価と受入の決定が責任ある体制の下で行われている。高崎健康福祉大学薬学部の教育目標および学位授与の方針(ディプロマ・ポリシー)は、薬学部教務委員会が中心となって素案を作成後、薬学部教授会にて案を作成し、全学FD(Faculty Development)・自己点検委員会において各学部からの案と比較検討され、その案に対する意見が各学部に伝達されている。学士課程修了者の判定(卒業判定) は、毎年年度末に全教員が参加する卒業判定会議により審議され、最終的な卒業判定は教授会で決定されている。高崎健康福祉大学薬学部薬学科の専任教員数は35名(内実務家教員5名)で、大学設置基準の専任教員数を十分に満たしており、教授、准教授、講師、助教の比率は適切である。専任教員の教育研究業績は学部全体としては基準を満たしており、授業科目の担当状況、研究条件などもおおむね適切である。教員の採用と昇任は大学と学部の規程に基づいて行われており、規程の選考基準も適切である。講義室、少人数教育に対応する教室、演習室などの教室が整えられ、参加型学習のための少人数教育ができる教室とし、セミナー室を備え、有機化学系学生実験室、生物物理学系学生実験室、薬理学系学生実験室、薬用植物園、コンピューター実習室、動物実験室などの実習室や附属施設も整備されている。また、臨床系の実習室として、病床実習室Ⅰ、- 3 -Ⅱ、Ⅲ、模擬薬局を配置するなど、実務実習事前学習を実施するための適切な規模の施設・設備も整備されている。高崎健康福祉大学では、全学的課題の自己点検・評価については、大学運営協議会、大学FD・自己点検委員会、各学部教授会・大学院研究科委員会、各委員会、各部局で行われており、薬学部では、薬学部長の委嘱する運営委員会を設置し、大学FD・自己点検委員会や薬学部教務委員会を中心に点検評価活動を実施している。以上、高崎健康福祉大学薬学部の6年制薬学教育プログラムは、本機構の評価基準におおむね適合している。しかし、以下の主な改善を必要とする問題点がある。(1)「教育研究上の目的」には、教育方針の記述はあるものの研究方針に関する記述がないので、教育研究上の目的に研究方針を加えた記載が必要である。(2)ヒューマニズム教育・医療倫理教育およびコミュニケーション能力・自己表現能力の醸成教育において、総合的な目標達成度を評価するための指標を設定し、それに基づいて適切に評価する必要がある。(3)卒業研究に試験を課すことは極めて重大な問題であり、改善する必要がある。(4)大学としてのFD活動の実態はあるが、薬学部としての独自の実績がないのは問題であり、早急な改善が必要である。(5)大学全体としての自己点検・評価とそれに基づく改善への取り組みは行われているが、本評価の評価基準が求めている薬学部としての薬学教育プログラムに対する恒常的な自己点検・評価とそれに基づく向上発展を目指す取り組みが行われていないので、自己点検を薬学部として行い、十分な評価を行った後に新たなプランを策定し、行動に移す明確なPDCAサイクルを早急に構築する必要がある。高崎健康福祉大学薬学部には、本評価で指摘された改善を要する点を踏まえ、積極的に改革を進めることで、より優れた6年制薬学教育を展開されることを期待する。
大学への提言
高崎健康福祉大学 大学への提言1)長所1. 学生の経済的支援は、成績優秀者への特待生制度とともに、大学、後援会が、経済的困窮度を十分に考慮した奨学金制度が独自に設けられているなど評価できる。(9.学生の支援)2. 身体に障がいのある者に対する施設・設備上および学修・生活上の支援体制の整備に努めている。(9.学生の支援)3. 「群馬県薬学ネットワーク」を通じて、地元の薬剤師会が「共同研究の提案・実施、研究活動の場の提供」や「アカデミックとの連携の強化」などを高崎健康福祉大学に期待していることがわかり、「群馬薬学ネットワーク健大研究助成金」を設立していることは、評価できる。(12.社会との連携)4. ホーチミン医科薬科大学とは国際交流と並行しながら、日本とベトナムの薬学領域における科学技術の更なる発展を目指した創薬分野における学術交流も開始されている。(12.社会との連携)2)助言1. 教育目標は、学則にも明記することが望まれる。(1.教育研究上の目的)- 32 -2. 教育研究上の目的について定期的な検証が望まれる。(1.教育研究上の目的)3. 定期的にカリキュラムのチェックや見直しを行うシステムの効果的な運用が望まれる。(2.カリキュラム編成)4. 6年次前・後期の単位外の講義が、任意参加で正規の授業時間中に実施されることは、学生間での公平性と卒業研究を始めとする他の科目の実施時間に対する影響が懸念され、このようなカリキュラムは改善が望まれる。(2.カリキュラム編成)5. 「ボランティア・市民活動論」(LAH006)、「人間関係論」(LAH008)などを含む合計20科目の選択科目が1年次前期と後期に開講されているが、一部重複する時間割編成があるので、時間割を工夫することが望まれる。(3.医療人教育の基本的内容)6. 基本的なコミュニケーション能力の醸成のために、「キャリア形成論」や「チーム医療アプローチ論」が設定されているが、履修者が少なく十分に活用されているとは言えないので、工夫が望まれる。(3.医療人教育の基本的内容)7. 「評価医療科学」は必修科目にすることが望まれる。(3.医療人教育の基本的内容)8. オムニバス科目についてどの項目をどの担当教員が行うのかシラバスに明記することが望まれる。(4.薬学専門教育の内容)9. 個々の科目について、基礎と臨床の知見を相互に関連付けることに配慮してシラバスに記載することが望まれる。(4.薬学専門教育の内容)10. 大学独自の薬学専門教育は、より充実させることが望まれる。(4.薬学専門教育の内容)11. 一次救命処置の技能に関しては2年次までに行うことが望まれる。(5.実務実習)12. 薬学部としての卒業論文作成のための基本方針や作成要領を示すことが望まれる。(6.問題解決能力の醸成のための教育)13. 「卒業研究」以外の問題解決能力を醸成するための科目の一部が選択科目であり、これを必修科目とすることが望まれる。(6.問題解決能力の醸成のための教育)14. 問題解決能力の醸成に向けた取り組みの実質的な実施時間数を卒業要件単位数の1/10にあたる18単位以上にすることが望まれる。(6.問題解決能力の醸成のための教育)15. 問題解決能力の醸成に向けた教育を体系的に行うことが望まれる。(6.問題解決能力の醸成のための教育)16. 各授業科目において、評価方法が曖昧なものがあるので、修正することが望まれる。(8.成績評価・進級・学士課程修了認定)17. 成績評価に出席点を加味している科目があるので、改善が望まれる。(8.成績評価・- 33 -進級・学士課程修了認定)18. 体系的・総合的な6年間の学習成果を測定するための指標を設定することが望まれる。(8.成績評価・進級・学士課程修了認定)19. 再試験の実施は担当教員の判断に委ねられており、実施しない科目があるのは、学生にとって不平等であるので改善が望まれる。(8.成績評価・進級・学士課程修了認定)20. 授業負担が大きい助教に対して、研究時間を充分確保することが望まれる。(10.教員組織・職員組織)21. 学生数に応じた適切な講義室、実験研究室および自習室など快適な学習環境スペースの整備が望まれる。(11.学習環境)22. 電子ジャーナルとデータベースの需要は高まる一方と思われるので、その充実が望まれる。(11.学習環境)23. 英語のホームページはあるが、学部紹介にとどまっており、各講座の研究内容や教員の業績に関する情報も英文化し一層の充実が望まれる。(12.社会との連携)24. 教職員の国外留学制度を整備し、国際的な交流を推進することが望まれる。(12.社会との連携)25. 薬学部の自己点検・評価を毎年継続的に実施することが望まれる。(13.自己点検・評価)26. 薬学部の自己点検・評価に、外部評価委員を加えることが望まれる。(13.自己点検・評価)27. 薬学部の自己点検にかかわる資料の公開が望まれる。(13.自己点検・評価)3)改善すべき点1. 「教育研究上の目的」には、教育方針の記述はあるものの研究方針に関する具体的な記述がないので、教育研究上の目的に研究方針を加えて記載する必要がある。(1.教育研究上の目的)2. ヒューマニズム教育・医療倫理教育において、総合的な目標達成度を評価するための指標を設定し、それに基づいて適切に評価する必要がある。(3.医療人教育の基本的内容)3. コミュニケーション能力・自己表現能力の醸成教育において、総合的な目標達成度を評価するための指標を設定し、それに基づいて適切に評価する必要がある。(3.医療人教育の基本的内容)- 34 -4. 薬学教育モデル・コアカリキュラムのSBOsが記載されていないのが大学独自の科目というのはわかりにくいので、大学独自であることを明記する必要がある。(4.薬学専門教育の内容)5. 問題解決能力の醸成のための教育について、目標達成度を評価するための指標を設定し、それに基づく適正な評価が必要である。(6.問題解決能力の醸成のための教育)6. 各学年の進級率は、平成25年度以降改善しているが、卒業率は、年々低下している。これは、安易に進級させ最終学年で厳しくしていることも考えられる。さらに受入学生の学力を担保するためには、入学者の基礎学力を適確に評価する必要がある。(7.学生の受入)7. 各科目について、個々の評価方法の最終成績に対する寄与率をシラバスに明記する必要がある。(8.成績評価・進級・学士課程修了認定)8. 卒業研究に試験を課すことは極めて重大な問題であり、改善する必要がある。(8.成績評価・進級・学士課程修了認定)9. 「卒業研究」の単位認定に「卒業関連試験の成績を加味しないようにする制度を、平成28年度入学生からではなく、在学生にも適用するように改善が必要である。(8.成績評価・進級・学士課程修了認定)10. 緊急時などにおける連絡網や危機管理体制、危機管理マニュアル、防災マニュアルの整備が必要である。(9.学生の支援)11. 薬学部としての具体的なFD活動(全教員が参加する)を行う必要がある。(10.教員組織・職員組織)12. 薬学部独自の自己点検と十分な評価を行った後、新たなプランを策定し行動に移す明確なPDCAサイクルを構築すべきである。(13.自己点検・評価)13. 6年制薬学教育プログラムの自己点検・評価結果を教育研究活動に反映させるための組織体制を整備する必要がある。(13.自己点検・評価)
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1:提言 改善報告審議結果 |
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3:但し書き 改善報告審議結果 |
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| 帝京大学 | 私 | 東京都 | 第1期 |
2017年度 |
適 |
自己点検・評価書 基礎資料 正誤票 |
評価報告書
総評
帝京大学 総評帝京大学薬学部は、「高度の専門知識・技能と豊かな人間性を基盤とした実務実践力に加えて、研究心や課題発見・問題解決能力、自己研鑽能力があり、医療チームや地域社会において信頼される薬剤師として、広く社会に貢献できる人材を育成することを目的とする。」という教育研究上の目的の下に、入学者受入の方針(アドミッション・ポリシー)、教育課程の編成・実施の方針(カリキュラム・ポリシー)、学位授与の方針(ディプロマ・ポリシー)を設定し、医療を取り巻く環境ならびに社会の薬剤師に対するニーズを反映した薬学教育を行っている。カリキュラムは、カリキュラム・ポリシーに従って構築されており、平成 26 年度以前は旧薬学教育モデル・コアカリキュラム、平成 27 年度以降は改訂薬学教育モデル・コアカリキュラムにそれぞれ対応したものとなっている。特に、ヒューマニズム教育・医療倫理教育が1年次から5年次まで順次性あるらせん型を意識して学年進行形で構築・体系化して行われていることは評価できる。また、薬学部・医学部・医療技術学部の医療系3学部を持つメリットを活かして合同教育が行われており、チーム医療と多職種連携について学ぶ機会を提供する教育として評価できる。教養教育は総合大学の特色を活かして、医療人教育の基盤となる幅広い内容のプログラムを提供している。語学教育も医療関係の英語も含めた英語力の育成教育が実施され、また準備教育、医療安全教育も効果的に実施されている。薬学専門科目では、基礎から専門性の高い領域への順次性、基礎的な知識の習得から実験実習への順次性と相互効果性、薬学基礎科目から臨床薬学科目や専門科目への順次性など、科目間の関連を配慮したカリキュラムが編成されている。薬学共用試験も適切に実施されている。実務実習事前学習、実務実習も適切な体制の下で実務実習モデル・コアカリキュラムに沿って適正に実施されている。卒業研究は、期間的には4年次1月~卒論発表会のある6年次8月までの実質9か月程度であり、卒業研究発表会での発表、卒業論文の提出を必須としている。学生の受入は、アドミッション・ポリシーに基づいて行われており、入学定員数に対す- 2 -る入学者数にも問題はない。成績評価・進級判定・学士課程修了認定は、ディプロマ・ポリシーに基づいて公正かつ厳格に行われている。学生への履修指導や学習指導は担任制度や薬学教育研究センターを利用して適切に行われており、大学独自の奨学金制度を含めた学生への経済的支援体制、キャリアサポートセンターなどによる就職支援の体制も整っている。また、学生の健康維持、心身的な支援などの体制、ハラスメント対応も整っている。専任教員は各専門分野において研究・教育に優れた実績を有するものが配置されており、教員数、実務家教員数も大学設置基準を十分満たしている。教員の採用、昇進は、規定に基づいて、研究業績のみに偏ることなく、教育・研究能力や人物像を評価して行われている。また、講義室、実習・演習のための実験実習室、実務実習事前学習のための薬学部多目的実習室、情報処理演習室(PCルーム)、動物実験施設、RI教育・研究施設、薬用植物園、医療系3学部を対象とした医学総合図書館など、いずれも充実しており、学習環境は大変優れている。また、全講義をビデオ収録する講義視聴システムにより学生が自主的、効果的に学習できるシステムが構築されている。FD(Faculty Development)活動も十分行われている。社会との連携として、地域の薬剤師会・病院薬剤師会などとの連携を図っている。また、生涯学習プログラムとして帝京薬学会を毎年開催し、薬剤師の資質向上を図るための機会を提供している。さらに、薬学教育PDCA推進室が主導して、教育プログラムに対する自己点検・評価、その結果の教育研究活動への反映も行われている。以上のように、帝京大学薬学部の薬学教育プログラムは、本機構の評価基準におおむね適合していると判断される。しかし、以下のような問題点が挙げられ、改善が必要である。(1)「総合演習講義」、「薬学総合演習」においては、単位数に対して授業数が少ないので、単位数と授業数との整合性をとることが必要である。(2)受験準備教育が多く設定され、選択科目や独自科目の時間数が制限されているので、受験準備教育の時間数を減らすことが必要である。(3)ヒューマニズム教育・医療倫理教育、コミュニケーション能力・自己表現能力の醸成教育、実務実習事前学習、および問題解決能力を醸成する教育において、それぞれ総合した目標達成度の指標を設定し、それに基づいた適切な評価を行う必要がある。(4)薬剤師国家試験対策の講義・演習による卒業研究の時間的圧迫を改善することが必- 3 -要である。(5)入学試験と入学後の修学状況との相関性などの解析を進め、入試制度の妥当性を評価し、入学試験の適正化のための検討が必要である。(6)再試験受験資格についての基準を明示することが必要である。(7)教育プログラムの自己点検・評価の継続的な実施とその結果の公開が必要である。帝京大学薬学部は、本評価での改善すべき点、助言を踏まえ、積極的に改善に取り組み、薬学教育のさらなる向上に努めることが望まれる。
大学への提言
帝京大学 大学への提言1)長所1. 医療人として生命に関わる薬学専門家に相応しい行動を身につけるために、ヒューマニズム教育・医療倫理教育が順次性あるらせん型を意識して学年進行形で構築・体系化して行われていることは評価できる。(3.医療人教育の基本的内容)2. 全ての入試区分において面接が実施されている。(7.学生の受入)3. 担任の学生との面接時に収集された情報は「担任面接シート」に記載され、「担任面接シート」は、退職等で担任が変更される場合は必ず、研究室配属時には必要に応じて配属先研究室に伝達され、学生の継続的な指導が可能となっている。(9.学生の支援)4. 全講義は自動収録されており、学生はキャンパス内のPCルームまたは図書館で収録講義を閲覧することができ、学生が自主的に学習するシステムが構築されている。(11.学習環境)2)助言1. 新任教員に対して、カリキュラム・ポリシーとディプロマ・ポリシーとの関連やカリキュラムの概要などを十分に説明することが望まれる。(2.カリキュラム編成)2. 教養科目として24科目の選択科目があり、その中から4単位以上の修得が求められているが、必要単位がやや少ないので、増やすことが望まれる。(3.医療人教育の基本的内容)3. 卒後研修会である「帝京薬学会」への参加を薬学部在学生に促しているが、現在は在学生が参加しにくい日程で開催されており、在学生の参加が極めて少ないので、改善が望まれる。(3.医療人教育の基本的内容)4. 基礎資料3において、4年次と6年次に設定された受験準備教育の要素が強い科目である「特論」や「総合講義」でのみ取り扱われているSBOsが散見されるので、すべてのSBOsが通常の科目内で教育されることが望まれる。(4.薬学専門教育の内容)5. 基礎実習(Bカリ)の時間数が少ないので、各実習間の内容と実施時間を調整することが望まれる。(4.薬学専門教育の内容)6. 学外の人的資源を多数利用しているが、その具体的な記載がないので、シラバスに記載することが望まれる。(4.薬学専門教育の内容)- 39 -7. 実務実習事前学習は2年次から5年次の12科目(146コマ)で構成されているが、これら12科目のうち、シラバスに事前学習であることが示されているのは4年次の「薬学実習8、9」の2科目だけなので、他の科目のシラバスにも「実務実習事前学習」を構成している科目であることを記載することが望まれる。(5.実務実習)8. 実務実習の評価において、成績評価項目を複数設定し、多面的に評価しているが、各項目に最低点が定められており、各項目がすべて最低点であっても合計すると合格基準の60%を超えるように設定しているので、評価を複数の観点から行うという趣旨に合っておらず、改善が望まれる。(5.実務実習)9. 卒業研究の学生の研究室・センターへの配属数が指導教員数の多少(1名~6名)に係わらずほぼ一定であることから、研究室によっては教員1名が 26 名の学生(4年次~6年次)の指導を行なっている場合があり、学生に対する卒論実習の指導が十分かつ均等に行われているとは言えないので、改善が望まれる。(6.問題解決能力の醸成のための教育)10. 指定校制の推薦入試においては「基礎能力適性検査」が実施されておらず、調査書に基づく評価で代替しているため、入学後の教育に求められる基礎学力を的確に評価できていない懸念があるので、改善することが望まれる。(7.学生の受入)11. シラバスの成績評価・基準の項の但し書きの中に変動する要因が記載されている場合があり、ダブルスタンダードと判断されるので、改善が望まれる。(8.成績評価・進級・学士課程修了認定)12. 成績評価項目が複数あるにも関わらず、出席点が60%になっていて出席だけで単位が取得できる科目があり、評価方法や評価観点を複数設けるという評価の趣旨に合っていないものがあるので、改善が望まれる。(8.成績評価・進級・学士課程修了認定)13. 総合的な学習成果の測定は行われていないので、測定するための指標を設定することが望まれる。(8.成績評価・進級・学士課程修了認定)14. 薬学実習の指導体制はおおむね教員1名当たり学生25~40名程度であり、やや多いので、改善が望まれる。(9.学生の支援)15. 防災避難訓練について、平成26年度以前に入学した学生には実施しておらず、教職員は一部のみが訓練に参加している状況であるので、改善が望まれる。(9.学生の支援)16. 薬学部教員への危機管理マニュアルの周知徹底が不十分であるので、改善が望まれ- 40 -る。(9.学生の支援)17. 専任教員1名あたりの学生数は23.6名と多いので、改善が望まれる。(10.教員組織・職員組織)18. 教員の採用および昇任について教授会の関与が望まれる。(10.教員組織・職員組織)19. 研究活動については、各教員が専門分野をさらに探求するため、学会発表や論文執筆などを積極的に行っているが、少数であるが、学会・論文発表がない教員がいるので、改善が望まれる。(10.教員組織・職員組織)20. 多くの教員、学生に留学の機会を提供できるような国際交流プログラムを準備することが望まれる。(12.社会との連携)21. 薬学部の自己点検・評価を行う組織に外部委員は含まれていないので、改善が望まれる。(13.自己点検・評価)3)改善すべき点1. 「総合演習講義」、「薬学総合演習」においては、単位数に対して授業数が少ないので、授業数に合わせて単位数を削減するよう改善すべきである。(2.カリキュラム編成)2. AカリとBカリにおいては、薬学共用試験や薬剤師国家試験に向けた受験準備教育が多く設定され、選択科目や独自科目の時間数が制限されているので、受験準備教育の時間数を減らすように改善することが必要である。(2.カリキュラム編成)3. ヒューマニズム教育・医療倫理教育について、 各科目の学習成果を総合した目標達成度の指標を別途設定し、それに基づいた適切な評価を行う必要がある。(3.医療人教育の基本的内容)4. コミュニケーション能力・自己表現能力の醸成教育について、各科目の学習成果を総合した目標達成度の指標を別途設定し、それに基づいた適切な評価を行う必要がある。(3.医療人教育の基本的内容)5. 「態度」を修得させるSBOsを含んでいる科目で、その学習方法が適切でない科目があるので、これらの科目においては適切な学習方略となるよう修正が必要である。(4.薬学専門教育の内容)6. 「技能」の修得を必要とするSBOについて、シラバスでは実施を確認できないものがある。未実施のものは実施するように改善すべきであり、実施しているがシラバス- 41 -に記載がない場合は記載方法を改善することが必要である。(4.薬学専門教育の内容)7. 教育内容や学習方略に独自性のある科目もあるが、薬学教育モデル・コアカリキュラムに設定されたSBOs以外の大学独自の到達目標の設定には至っておらず、大学の教育研究上の目的に基づいて設定された大学独自の特徴ある薬学専門教育が充実されるよう、改善が必要である。(4.薬学専門教育の内容)8. 方略に独自性を持つ科目においては、その独自性がシラバスで確認できるよう、シラバスへの記載方法を改善することが必要である。(4.薬学専門教育の内容)9. 実務実習事前学習において、事前実習全体としての目標達成度を評価するための指標は設定されておらず、指標を設定して適切に評価する必要がある。(5.実務実習)10. 薬剤師国家試験対策の講義・演習のために卒業研究の時間が短縮されているので、改善が必要である。(6.問題解決能力の醸成のための教育)11. 問題解決能力の醸成に向けた教育について、関連科目を総合して評価するための指標の設定とそれに基づいた評価はなされていないので、改善が必要である。(6.問題解決能力の醸成のための教育)12. 各学年に一定数の留年者や退学者が存在していることは、入学試験における能力や適性の評価に不適確な部分があることを示唆しているので、入学試験と入学後の修学状況との相関性などの解析を進め、入試制度の妥当性を評価し、入学試験の適正化のための検討が必要である。(7.学生の受入)13. 再試験受験資格の基準が明示されていない科目があるので、改善が必要である。(8.成績評価・進級・学士課程修了認定)14. 基礎系の実験実習に必要な安全教育について、一部の実習書の記載に不備があるので、改善が必要である。(9.学生の支援)15. 卒業研究(「卒論実習」)に必要な安全教育について、各研究室における実施状況を確認できる資料がないので、安全教育を行った記録を保管することが必要である。(9.学生の支援)16. これまで自己点検・評価が継続的に行われていないので、6年制薬学教育プログラムの自己点検・評価を継続的に行い、その結果を公開することが必要である。(13.自己点検・評価)
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評価報告書
総評
東京大学 総評東京大学薬学部薬学科は、東京大学および同大学薬学部の教育研究上の理念と目的に基づいて、「薬学がカバーすべき広範な基礎科学の教育に加え、病院や薬局での実務教育を通じて高度で実践的な医療薬学の知識と技術を身に付けた薬剤師資格を有する医療従事者、研究者を輩出する教育・研究を行う」を「教育研究上の目的」とする6年制薬学教育を行っている。東京大学では、リベラル・アーツの理念に基づいて特定の専門に偏らない幅広い知識と教養を身につけさせることを目的とした教養学部における前期課程教育が行われており、薬学部への進学が内定した学生は、2年次後期から教養学部に所属した状態で薬学の専門教育を受けることになる。薬学専門教育は、「薬学教育モデル・コアカリキュラム」の到達目標を網羅した、化学系、物理系、生物系、医療系および衛生・社会系の専門科目の授業が、系ごとに学年の進行に従って高度化すると同時に適切なバランスで学習できるカリキュラムとなっており、多くの講義科目を2年次後期に集中させ、3年次以後は学年進行に伴い講義科目が減って実習科目が増し、4年次には臨床的内容の教育へと移行する科目配置となっている。また、上述した教育制度のため、医療人教育の基礎としてのヒューマニズム教育・医療倫理教育やコミュニケーション能力および自己表現能力を身につけるための教育は2年次後半以後に行われ、早期体験学習は3年次に実施している。東京大学では3年次までは学科所属を決めずに薬学部としての専門教育を行い、薬学科の学生だけを対象とする授業は4年次以降に行われているが、先に述べたように薬学専門教育のカリキュラムは適切である。実務実習は、4年次の11月から「薬学実務実習Ⅱ(事前学習)」、「薬学実務実習Ⅲ(病院実習)」、「薬学実務実習Ⅳ(薬局実習)」の順に行われ、それら科目の内容は「実務実習モデル・コアカリキュラム」に沿っている。卒業研究は「薬学実習Ⅵ(4~5年次)」と「薬学卒業実習(6年次)」で構成され、後者の終了後に卒業論文を提出している。卒業研究の評価は、「研究倫理・規則等の遵守」、「発表会での発表と質疑応答」、「卒業実習論文の内容」に関するルーブリック評価表を用いて行われ、問題解決能力の向上が適切に評価されている。- 2 -入学者の選考は教養学部で行われ、薬学部への進学を志望する学生の選考は、教養学部における成績に基づき2年次の10月に行われる。また、薬学科への進学希望者に対する選考は4年次への進級時に行われ、薬学専門科目の成績に教養学部における成績をも加味して学力を総合的に評価するとともに、薬学科への志望動機を評価する面接試験が行われる。精神的・身体的な健康状態を含めた学生へのサポート体制は、全学組織として複数用意されている。図書館をはじめ学習環境は整っており、研究活動のための施設、設備も整備されている。薬学部薬学科の専任教員は、各専門分野について研究・教育に優れた実績を有するものが配置されており、教員数は実務家教員を含めて大学設置基準を満たしている。専任教員の授業科目への配当や職階や年齢のバランスもおおむね適正である。専任教員の職位や年齢の構成には著しい偏りはない。東京大学薬学部は、研究活動を中心として国際交流の活性化を積極的に行っている。また、特定非営利活動法人 「医薬品ライフタイムマネジメントセンター」を立ち上げ、「育薬セミナー」を通して薬剤師に生涯学習の機会を提供するとともに、災害時に備えた服用薬の情報の管理を解説した一般市民向けの冊子の作成・配布を通して、地域における保健衛生の保持・向上につながる支援活動などを積極的に行っている。以上のように、東京大学薬学部薬学科の6年制薬学教育プログラムは、本機構の評価基準におおむね適合していると判断される。しかし、現状では以下のような問題点が挙げられるので、改善が必要である。(1)ヒューマニズム教育・医療倫理教育、及びコミュニケーション能力の育成を目的とする教育の授業を、グループ討議等の能動的な学習方法を積極的に用いるものに改善する必要がある。(2)ヒューマニズム教育・医療倫理教育、並びにコミュニケーション能力の育成を目的とする教育において、それぞれの学修成果を総合して目標達成度を評価する指標を設定し、適切な評価を行う必要がある。(3)3年次に自由参加で実施している東京大学医学部附属病院の見学を含めて、薬学教育モデル・コアカリキュラムの「早期臨床体験」に準拠した教育の内容を充実させ、薬学科進学者には必修化する必要がある。(4)シラバスの記載内容や到達目標に適した学習方略がとられていないことなど、シラバスと授業内容との対応に不備が見られるので、それらの見直しが必要である。(5)現在検討が進められている「研究」、「医療」の各領域で指標を設定して目標への到- 3 -達度を測定する取り組みを発展させ、問題解決能力の醸成に関する総合的な達成度を評価できるものに改善することが必要である。(6)「教育研究上の目的」を実現できるよう、適切な評価項目を設定して6年制薬学教育プログラムを恒常的に自己点検・評価する組織を編成し、定期的かつ継続的に自己点検・評価する体制を構築することが必要である。東京大学薬学部薬学科には、本評価の提言を踏まえ、積極的に改善に取り組むことによって、6年制薬学教育がさらに優れたものとなることを期待する。
大学への提言
東京大学 大学への提言1)長所1. 2年間の前期課程の教養教育では、社会のニーズに応じた幅広い教養教育プログラムが提供されている。(3.医療人教育の基本的内容)2. 学部の規模に比して多くの蔵書や広い閲覧室をもち、閲覧室の利用は年末年始・休日の休館日も含めて 7:30~23:00 と十分確保されているなど、図書館機能が充実している。(11.学習環境)3. 特定非営利活動法人 医薬品ライフタイムマネジメントセンターを立ち上げ、「育薬セミナー」を通して薬剤師に生涯学習の機会を提供するとともに、災害時に備えた服用- 30 -薬の情報の管理を解説した一般市民向けの冊子の作成・配布を通して、地域における保健衛生の保持・向上につながる支援活動などを積極的に行っていることは評価できる。(12.社会との連携)2)助言1. 薬学部の「教育研究上の目的」の中では「高度医療を担う薬剤師の養成」と謳っているにもかかわらず、薬学科の「教育研究上の目的」では医療人の育成に欠くことができない『態度』に関わる教育に言及していないので、薬学科の「教育研究上の目的」を改訂することが望ましい。(1.教育研究上の目的)2. 「カリキュラム・ポリシー」を「薬学部便覧」、「授業内容」、「薬学部パンフレット」などの印刷物にも記載して周知を図ることが望まれる。(2.カリキュラム編成)3. ヒューマニズムおよび医療倫理教育に体系性を持たせるよう、それらを目的とする科目の関連性を明確にした体系的な教育とすることが望ましい。(3.医療人教育の基本的内容)4. 3~6年次の後期課程教育に、医療現場で薬剤師が必要とする語学力の育成を目的とする科目を設け、医療人に必要な語学力を養う教育を体系的に行うことが望ましい。(3.医療人教育の基本的内容)5. 留年生に対して、上位学年配当の授業科目の履修を制限する制度を設けることが望ましい。(8.成績評価・進級・学士課程修了認定)6. 教育研究上の目的に基づいた教育における総合的な学習成果を測定する指標を設定し、それに基づく適切な評価を行うことが望ましい。(8.成績評価・進級・学士課程修了認定)7. 授業評価アンケート結果の学生へのフィードバックに関しては、アンケート結果によって教員が行った授業改善の内容が学生に説明されていないなど、不十分なので、学部として組織的にフィードバックを行うことが望まれる。(10.教員組織・職員組織)8. 自己点検・評価を行う組織の中に外部委員が含まれていることが望ましい。(13.自己点検・評価)3)改善すべき点1. ヒューマニズム教育・医療倫理教育を目的とする授業、コミュニケーションの基本的能力の教育を目的とする授業を、グループ討議等の能動的な学習方法を積極的に用い- 31 -る内容に改善する必要がある。(3.医療人教育の基本的内容)2. ヒューマニズム教育・医療倫理教育において、関連科目の学修成果を総合して目標達成度を評価する指標を設定し、適切な評価を行う必要がある。(3.医療人教育の基本的内容)3. コミュニケーション能力を育成する教育において、関連科目の学修成果を総合して目標達成度を評価する指標を設定し、適切な評価を行う必要がある。(3.医療人教育の基本的内容)4. 東京大学医学部附属病院の見学が3年次に希望者を対象としているため、現在の薬学科在籍者には、この見学に参加していない学生が含まれている。新しい薬学教育モデル・コアカリキュラムの「早期臨床体験」の趣旨に合わせた内容の充実と薬学科進学者に対する必修化が必要である。(3.医療人教育の基本的内容)5. 学生に学習内容をより具体的に伝えるためには、シラバスには各回の授業担当者や授業方法とともに、授業内容と対応する到達目標を明記する必要がある。(4.薬学専門教育の内容)6. 技能や態度を修得する到達目標を含む科目の学習方略が講義になっているなど、学習領域に適した学習方法を用いて授業が行われていない科目が見られるので、到達目標の学習領域に適した学習方法を用いた教育を行う必要がある。(4.薬学専門教育の内容)7. 「東大独自の薬学専門教育に相当する内容」を含むと記載されている科目については、授業のどの部分が大学独自の教育であるのかをシラバスに明記する必要がある。(4.薬学専門教育の内容)8. 現在検討が進められている「研究」、「医療」の各領域で指標を設定して目標への到達度を測定する取り組みを発展させ、問題解決能力の醸成に関する総合的な達成度を評価できるものに改善することが必要である。(6.問題解決能力の醸成のための教育)9. 東京大学薬学部が行っている自己点検・評価は、外部評価を受審するために組織した委員会が、外部機関の評価項目に従って点検・評価しているに過ぎず、本基準が求める「6年制薬学教育プログラム」に対する自らの点検・評価が行われているとは言い難い。自らの「教育研究上の目的」を実現できるよう、適切な評価項目を設定して6年制薬学教育プログラムを恒常的に自己点検・評価する組織を編成し、定期的かつ継続的に自己点検・評価する体制を構築することが必要である。(13.自己点検・評価)
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1:提言 改善報告審議結果 |
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自己点検・評価書 基礎資料 正誤票 |
評価報告書
総評
長崎大学 総評長崎大学薬学部は、「長崎に根づく伝統的文化を継承しつつ、豊かな心を育み、地球の平和を支える科学を創造することによって、社会の調和的発展に貢献する」という長崎大学の理念を受けて、「「ヒトの健康を目指して」の標語のもと、医薬品の創製、医療、健康・環境に関する基礎および応用の科学を教育、研究すること、並びに「くすり」の専門家として社会的使命を遂行し得る人材の養成を以て社会に貢献する」を薬学部の理念と定めている。薬学部は、薬学科(6年制)と薬科学科(4年制)から構成されている。薬学科は「医療薬学に関する高度の専門的知識及び技能・態度を修得させ、豊かな人格と高い倫理観を備えた薬学専門職者として社会に貢献しうる有為の人材を育成する」という教育研究上の目的に従って、アドミッション・ポリシー(入学者受け入れ方針)、カリキュラム・ポリシー(教育課程の編成・実施の方針)及びディプロマ・ポリシー(学位授与の方針)を設定し、教育に取り組んでいる。医療人として生命に関わる薬学専門家にふさわしい行動を身につけるための教育は1年次~4年次で、薬剤師としての倫理観、使命感、職業観を醸成するための教育は4年次~6年次で行われている。教養教育は、アクティブ・ラーニングを取り入れた全学モジュール科目、薬学領域の学修と強く関連する学部モジュール科目および語学教育を中心に充実した科目が配置されている。薬学専門教育に関しては、シラバスの記載も含めて一部に不備が認められるものの、おおむね薬学教育モデル・コアカリキュラムに準拠した内容になっている。実務実習は実務実習モデル・コアカリキュラムに準拠した教育目的に基づき、適切な方略に従って実施されている。卒業研究は5年次からの「医療薬学特別実習」に加えて、3年次後期から研究室に仮配属させることで、充実した教育を行っている。入学者選抜は入学者受け入れ方針に基づいて適切に行われている。進級判定がないため学生の在籍状況を資料から客観的に判断するのは困難であるものの、実質的な留年・休学・退学者は少なく、留年者や休学者への対応も適切になされている。ポートフォリオを利用した学生への履修指導や個別相談、経済的支援やキャリア支援、カウンセリングやハラスメント防止への体制も整っている。専任教員の配置やバランスは適切であり、リサーチ・- 2 -アドミニストレーターや下村脩博士ノーベル化学賞顕彰記念創薬研究教育センターの活動によって研究支援体制は充実している。施設・設備などの学習環境はほぼ良好であり、長崎県内の薬学系大学、薬剤師会、行政からなる長崎薬学コンソーシアムを結成し、長崎県における薬学教育の充実・発展に関した活動を行っている。自己点検・評価の組織としては薬学系評価委員会が組織され、薬学部の諸活動に対して自己点検・評価がなされており、平成 22 年には「自己評価 21」を実施している。以上のように、長崎大学薬学部の6年制薬学教育プログラムは本機構の評価水準におおむね適合していると判断できる。しかしながら、以下の諸問題については改善が必要である。(1)ヒューマニズム教育・医療倫理教育・コミュニケーション能力を醸成する教育を能動的参加型学習法に基づいて行う必要がある。(2)各回の授業内容への学習領域(知識・技能・態度)やSBO(Specific BehavioralObjective)の明示、大学独自科目の明示などシラバスの記載に不備が認められるので改善が必要である。(3)改訂・改訂前コアカリキュラム対応の科目において、6年次の「医療薬学総合演習」のみ、あるいは「医療薬学総合演習」と選択科目のみでカバーされているSBOが多数存在し、薬学教育モデル・コアカリキュラムに準拠しているとはいえないので、改善が必要である。(4)再履修にかかる「再試験」と考査にかかる「再試験」の区別が明確でないため、薬学部規程に定義した上で用いる必要がある。(5)6年制薬学教育プログラムを自己点検・評価し、その結果が教育研究活動の改善に活用される必要がある。長崎大学薬学部は、教養教育に多くの時間を割いており、また早期に研究室に配属されることで研究にも多くの時間を割いている。今後は今回提言された点を改善することにより、6年制薬学教育プログラムの更なる発展を期待する。
大学への提言
長崎大学 大学への提言1)長所1. 研究推進戦略本部および医歯薬学総合研究科に設置されたURAや下村脩博士ノーベル化学賞顕彰記念創薬研究教育センターの活動によって研究支援体制は充実している。(10.教員組織・職員組織)2. 長崎県内の薬学系大学、薬剤師会、行政の7団体からなる長崎薬学コンソーシアムを結成し、長崎県における薬学教育の充実・発展に関した活動を行っている。(12.社会との連携)2)助言1. 教育研究上の目的に「薬剤師の養成」を明記し、薬学科の目的を明確にするのが望ましい。(1.教育研究上の目的)2. 「教育研究上の目的」について定期的に検証するのが望ましい。(1.教育研究上の目的)3. 各授業科目とディプロマ・ポリシーとの関連を示したカリキュラム・マップを作成することが望ましい。(2.カリキュラム編成)4. ヒューマニズム教育・医療倫理教育を醸成する教育を体系的に行うことが望ましい。(3.医療人教育の基本的内容)5. 学部モジュール科目は薬学教育モデル・コアカリキュラムのSBOに対応した薬学専門教育科目であることから、教養教育科目ではなく薬学専門教育科目に分類するか、あるいは学部モジュール科目が薬学部の専門教育科目として位置づけられることを学生便覧に明記することが望ましい。(3.医療人教育の基本的内容)6. 一般目標、到達目標をシラバスに示す際の書式は統一する方が望ましい。(4.薬学専門教育の内容)7. 仮配属期間が1年半と長いため、授業科目に設定し教育を行うのが望ましい。(4.薬学専門教育の内容)8. 研究室仮配属方針は教授会決定ではなく、薬学部規程で規定するのが望ましい。(4.薬学専門教育の内容)9. 医療関係者・薬事関係者との交流体制の整備が6年制薬剤師教育へ直接的に関与して- 29 -いることが望ましい。(4.薬学専門教育の内容)10. 問題解決能力の醸成に向けた教育を体系的に実施することが望ましい。(6.問題解決能力の醸成のための教育)11. 実務実習の履修要件(資格)を規程として設定した上で、学生を適切に指導することが望ましい。(8.成績評価・進級・学士課程修了認定)12. 教育研究上の目的に基づいた6年間の教育プログラムを俯瞰したアウトカム評価のための指標を設定し、評価することが望ましい。(8.成績評価・進級・学士課程修了認定)13. 調剤実習室がある共用校舎にはエレベーターが設置されておらず、バリアフリーの面から設置するのが望ましい。(9.学生の支援)14. 教育研究体制や事務連絡体制の効率化を図る上で、坂本キャンパスへの集約が望ましい。(10.教員組織・職員組織)15. 教員間に授業担当時間数の隔たりあるので均等化を計ることが望まれる。(10.教員組織・職員組織)16. 自己点検・評価を行う組織に外部評価委員が含まれていることが望ましい。(13.自己点検・評価)3)改善すべき点1. 教育課程の編成および実施方針を明文化したカリキュラム・ポリシーを設定する必要がある。(2.カリキュラム編成)2. ヒューマニズム教育・医療倫理教育、コミュニケーション能力を醸成する教育を能動的参加学習法に基づいて行う必要がある。(3.医療人教育の基本的内容)3. ヒューマニズム教育・医療倫理教育、コミュニケーション能力を醸成する教育において、科目ごとに目標到達度を評価するための指標を設定し、それに基づいて適切に評価する必要がある。(3.医療人教育の基本的内容)4. ヒューマニズム教育・医療倫理教育、コミュニケーション能力を醸成する教育において、関連する科目を総合した目標達成度を評価するための指標を設定し、それに基づいて適切に評価する必要がある。(3.医療人教育の基本的内容)5. 「F-1:早期臨床体験」のうち、「地域の保健・福祉の体験に基づく討議」、「一次救命処置に関する知識・技能」が「薬学概論Ⅱ」の授業内容に網羅されていないので改- 30 -善が必要である。(3.医療人教育の基本的内容)6. 早期体験学習において、発表会、総合討論などの学習効果を高める工夫を行う必要がある。(3.医療人教育の基本的内容)7. シラバスの記載に以下の不備が認められので、改善が必要である。(4.薬学専門教育の内容)① 各回の授業内容の欄にSBOを示すことで、その日の授業を受けることでどのSBOを学習できるのかを示す必要がある。② シラバスの授業内容に到達目標の学習領域(知識・技能・態度)を明示する必要がある。③ 大学独自の薬学専門教育については、その科目あるいは科目の一部が大学独自であることをシラバスに明記する必要がある。8. 改訂・改訂前コアカリ対応の科目において、「医療薬学総合演習」のみ、あるいは「医療薬学総合演習」と選択科目のみで対応されているSBOが多数存在する。薬学教育モデル・コアカリキュラムに準拠しているとはいえないので、改善が必要である。(4.薬学専門教育の内容)9. 学習領域(技能・態度)に適した学習方法を用いるように改善する必要がある。(4.薬学専門教育の内容)10. 実習科目において、一部のSBOが実施されていないので改善が必要である。(4.薬学専門教育の内容)11. 「実務実習(事前実習)」の目標達成度を評価するための指標を設定し、それに基づいて適切に評価する必要がある。(5.実務実習)12. 学生の病院・薬局実習施設への配属決定の方法と基準は事前に学生に提示する必要がある。(5.実務実習)13. 「医療薬学特別実習」が始まる5年次に「医療実験計画法」と「科学英語」が演習科目として開講されている。これら演習科目は、独立した科目として評価するのであれば、統一した評価基準・指標を設定し、「医療薬学特別実習」との違いを事前に学生に説明したうえで評価する必要がある。(6.問題解決能力の醸成のための教育)14. 卒業研究を公正・適切に評価するために薬学科共通の指標を設定し、それに基づき複数教員(少なくとも1名は他研究室教員)で適切に評価する必要がある。(6.問題解決能力の醸成のための教育)15. 問題解決能力の醸成に向けた教育において、関連科目を総合してその達成度を評価す- 31 -るための指標を設定し、それに基づいて適切に評価することが必要である。(6.問題解決能力の醸成のための教育)16. 本試験後、成績確定までの間に行われる「救済試験」は、薬学部規程で規定した上で厳正に評価されるべきである。(8.成績評価・進級・学士課程修了認定)17. 再履修にかかる「再試験」と考査にかかる「再試験」の区別が明確でないので、薬学部規程に定義した上で用いる必要がある。(8.成績評価・進級・学士課程修了認定)18. 6年制薬学教育プログラムについて、適切な評価項目を定めて定期的に自己点検・評価する必要がある。(13.自己点検・評価)19. 6年制薬学教育の自己点検・評価の結果が教育研究活動の改善に活用される必要がある。(13.自己点検・評価)20. 6年制薬学教育の自己点検・評価結果をホームページなどで公表する必要がある。(13.自己点検・評価)
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1:提言 改善報告審議結果 |
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| 長崎国際大学 | 私 | 長崎県 | 第1期 |
2017年度 |
適 |
自己点検・評価書 基礎資料 正誤票 |
評価報告書
総評
長崎国際大学 総評(様式 17)薬学教育評 価評価報告書評価対象大学名 長崎国際大学薬学部(本評価実施年度)平成 29 年度(作成日)平成 30 年3月9日一般社団法人 薬学教育評価機構- 1 -Ⅰ.総合判定の結果長崎国際大学薬学部(6年制薬学教育プログラム)は、薬学教育評価機構が定める「薬学教育評価 評価基準」に適合していると認定する。認定の期間は2025年3月31日までとする。Ⅱ.総 評長崎国際大学薬学部薬学科は、大学の建学の理念である「人間尊重を基本理念に、より良い人間関係とホスピタリティの探求・実現並びに文化と健康を大切にする社会の建設に貢献する教育・研究」を実現することを目指し、「薬学に関する専門的知識・技能を修得し、医療薬学の分野で実践的に活動できる薬剤師を育成する」ことを目的とする6年制の薬学教育を行っている。カリキュラムは、薬学科の「教育課程の編成・実施の方針(カリキュラム・ポリシー)」に基づいて編成されているが、ヒューマニズム教育・医療倫理教育、教養教育、語学教育などの多くは長崎国際大学の全学共通科目として開講され、教育理念の「ホスピタリティ」を修得する「茶道文化」が必修科目として含まれている。薬学専門教育は、「薬学教育モデル・コアカリキュラム」に準拠しており、平成27年度からは改訂されたコアカリキュラムに対応する改訂も行われている。「実務実習」は、事前学習を含めてモデル・コアカリキュラムに準拠しており、薬学共用試験も厳正に実施されている。実務実習には薬学部全教員が担当教員として学生の指導に当たり、模擬患者は、長崎国際大学薬学部が設立したNPO法人で養成している。「卒業研究」は、5年次から6年次前期に行われ、卒業研究発表会と卒業論文により成果が報告され、主査と副査1名により評価される。卒業研究以外の問題解決能力の醸成に向けた教育は、グループ学習を取り入れた履修プログラムが低学年から高学年へ体系的に構成されている。入学者の選抜は、入学者受入方針(アドミッション・ポリシー)を定め、7種類の入学試験によって行い、一部の試験では面接や小論文を課して医療人・薬剤師としての適性の把握に努めている。学修成績の評価、進級判定、卒業判定は、関連する諸規程に基づいて厳正に実施されている。その結果として留年生が多くなっているが、それらに対しては、「薬学教育支援センター」が教育支援を行っている。学生への支援は、担任による勉学・生活指導、大学独自の奨学金による経済的支援、キャリアセンターによる進路支援が行われ、ハラスメント防止や障がい学生への配慮も十分である。さらに、「キャンパスライフ・- 2 -ヘルスサポートセンター」が、学生の心身の健康の保持・増進、学生生活における相談・支援を行っていることは評価できる。専任教員数は大学設置基準を満たしており、講師以上の専任教員は適切に配置されている。学習環境は十分整っており、実務実習事前学習のための実習室は充実している。また、社会との連携についても、「薬学研究センター」を設置して民間企業、医療機関等との共同研究・委託研究に取り組み、長崎大学、長崎県立大学との「多職種協働による在宅がん医療・緩和ケアを担う専門人材育成拠点」プロジェクトにも取り組んでいる。自己点検・評価では、「IRセンター」を開設するなど、大学として積極的に取り組んでおり、平成26年度に日本高等教育評価機構による機関別認証評価を受けている。以上のように、長崎国際大学薬学部薬学科の薬学教育プログラムは、本機構の評価基準におおむね適合していると判断される。しかし、以下に挙げる問題については改善を図ることが必要である。(1) 学則に掲げる「薬学科の目的」を、「長崎国際大学の理念」と「薬剤師養成教育に課せられた基本的な使命」および「薬学部に課せられた研究の使命」を踏まえた「薬学部の教育研究上の目的」に改訂することが必要である。(2) ヒューマニズム教育・医療倫理教育、コミュニケーション能力・自己表現能力の育成に関する教育、さらに問題解決能力の醸成を目指す教育のそれぞれについて、目標達成度を総合的に評価する体制を構築することが必要である。(3) 薬学専門科目において、到達目標の学習領域(知識・技能・態度)に適した学習方法を用いた授業が行われるよう、各科目の授業方法を再検討することが必要である。(4) 「卒業研究」が本来の目的を達成できるよう、まとまった研究時間を確保するための時間割などの見直しを行うと共に、学部全体での「卒業研究発表会」を開催することが必要である。(5) 基礎学力が不足すると思われる学生がやや多いので、入学者選抜の方法と体制を改善することが必要である。(6) 卒業の可否判定に直結する必修科目である「総合演習ⅢB」の合否を試験結果に基づく教授会審議で決定している制度は好ましくないので、早急に改めることが必要である。(7) 自己点検・評価の活動を、外部評価に対応するためではなく、薬学教育プログラム全体の教育研究活動の改善に向けた自主的な取組みに結びつけることができる体制を構築することが必要である。- 3 -長崎国際大学薬学部は、ホスピタリティの探求・実現を掲げ医療人としての薬剤師の育成に取り組んでいる。熱心な教育、充実した学生支援があるので、提言に挙げた点を改善することにより、さらなる発展を遂げることを期待する。Ⅲ.『中項目』ごとの概評1 教育研究上の目的本中項目は、おおむね適合水準に達しているが、「教育研究上の目的」の記述に懸念される点が認められる。長崎国際大学薬学部は、大学の建学の理念である「人間尊重を基本理念に、より良い人間関係とホスピタリティの探求・実現並びに文化と健康を大切にする社会の建設に貢献する教育・研究」を実現することを目指し、薬学部の教育研究上の目的を学則第3条の3で「薬学に関する専門的知識・技能を修得し、医療薬学の分野で実践的に活動できる薬剤師を育成する」と設定しているとしている。しかし、学則にある「学部の目的」(第3条の2)は全学部を包括したもの(内容は学部の設置目的)であり、「自己点検・評価書」で「薬学部の教育研究上の目的」としているものは、同条3「学科の目的」の(4)に対応するものであり、薬学部の「教育研究上の目的」は形の上からは定められていない。薬学部が薬学科のみで構成されていることから、「学科の目的」を「薬学部の教育研究上の目的」に相当すると考えるとしても、以下の問題点がある。すなわち、この「学科の目的」は、薬学教育の一般的な定義を述べているだけで、本評価の基準が求める「大学の理念ならびに薬剤師養成教育に課せられた基本的な使命に基づくもの」とは言えず、薬学部における研究に言及する記載もない。その一方で、『薬学部運営実務要諦 ―医療薬学のこれからを担う薬剤師の育成を目指して― 』には、「社会が求める質の高い薬剤師養成のための教育課程の配備」、「予防医学の観点からの薬剤師の新しい役割とその養成」、「高齢者医療、在宅医療の観点からの薬剤師の新しい役割とその養成」を目標として教育研究を行っているとの記載があり、学位授与の方針(ディプロマ・ポリシー)にも教育の目的に相当する内容が含まれている。これらの実態から判断すると、薬学部には「教育研究上の目的」に相当するものは確立されていると考えられるので、「長崎国際大学の理念」、「薬剤師養成教育に課せられた基本的な使命」、および「薬学部に課せられた研究の使命」を端的に表現する「教育研究上の目的」を策定して学則に明記するよう、早急に改善する必要がある。- 4 -上で指摘した問題点はあるが、「学部の目的」および「学科の目的」は学則に定められており、それらは「学生便覧」、「保護者会資料」に収載され、教職員、学生および保護者に周知されている。また、これらは、大学のホームページに掲載され、社会に対して公表されている。教育研究上の目的の検証は、ディプロマ・ポリシー、カリキュラム・ポリシー、およびアドミッション・ポリシーを毎年全学教育会議で検証することによって行っているとしている。しかし、3つのポリシーは「教育研究上の目的」に基づいて策定されるものであり、上記の説明は本末転倒であると言わざるを得ない。また、薬学部の「教育研究上の目的」の検証には薬学部の教育と研究に責任を負う薬学部教授会が主体的に関わることが望ましい。2 カリキュラム編成本中項目は、おおむね適合水準に達しているが、卒業研究と国家試験受験対策教育との時間配分に懸念される点が認められる。長崎国際大学薬学部薬学科はカリキュラム・ポリシーを以下の通りに設定している。・全学共通科目を通して、社会人・医療人・薬剤師として必要なホスピタリティの精神、基本的教養、及び「人間尊重」に基づく豊かな人間性を身につけます。・早期体験学習・臨床体験学習・ヒューマニズム教育等を通して、社会が求める医療人としての責任感、倫理観と豊かな人間性を修得します。・薬学教育専門科目を、順次性を持って学修することで、薬剤師に必要な知識と技能を効率よく修得します。・薬学実務実習を通して、幅広い薬剤師業務に必要な知識、技能、態度を修得します。・他学部と連携した高齢者医療・在宅介護に重点をおいた科目を通して、予防医学や地域医療に貢献できる薬剤師としての実践力を修得します。・薬学の専門知識と技能の融合を目的とした総合演習科目を通して、薬剤師としての実践力を修得します。・卒業研究を通して、深い専門性、研究する心と態度、問題発見・解決の能力、さらに後進の指導にあたる能力を修得します。カリキュラム・ポリシーについての検討は、薬学部教務委員会と薬学部教授会により行- 5 -われており、平成27年度から適用されているカリキュラム・ポリシーは、薬学部教授会、全学教授会の審議を経て決定されている。このように、カリキュラム・ポリシーは責任ある体制の下に設定されている。カリキュラム・ポリシーは「履修の手引」に記載され、学生向けのオリエンテーションで説明されている。また、教員に対しては、学部教授会で周知しているほか、薬学部FD委員会(FD:Faculty Development)主催の新任教員研修セミナーでも説明を行っている。カリキュラム・ポリシーは大学ホームページで公開し、広く社会に対し周知している。ただし、現在のホームページで確認できるカリキュラム・ポリシーは、平成29年度に改訂されたもので、薬学教育評価対象年度のものとは一部異なる。薬学部薬学科のカリキュラムは、平成18年度に設定された1次カリキュラムが平成24年度に改訂されて2次カリキュラムとなり、さらに平成27年度からは、改訂された薬学教育モデル・コアカリキュラムに準拠した3次カリキュラムが適用されている(基礎資料4)。しかし、薬学科のカリキュラムがカリキュラム・ポリシーに基づいて編成されていることについては、明確に説明されておらず、カリキュラム構成は、履修の手引きやシラバスに図式化されているものの、科目の設定やそれぞれの科目の配置とカリキュラム・ポリシーとの関係は説明されていない。薬学教育カリキュラムのうち、薬学共用試験あるいは薬剤師国家試験対策と推測される科目は、演習科目の「総合演習Ⅰ、Ⅱ、ⅢAおよびⅢB」である。これらの演習科目に配当されている単位数は合計8単位であり、卒業要件の192.5単位の4%である。しかし、演習計画一覧では、「総合演習Ⅰ」は115コマ、「総合演習Ⅱ」は74コマ、「総合演習ⅢA」は102コマ、「総合演習ⅢB」は60コマと設定されており、これら演習科目の合計コマ数は351コマ(12単位相当)となる。この実態に対しては、大学自身も「各総合演習においては、学生の学修レベルの向上を期待して、多くのコマ数を充てる結果となっている。」と自己点検・評価している。これによって、「卒業研究」の時間割上の設定が5、6年次の5限目や6限目に設定され、時間割上の学習時間配当が「卒業研究」より国家試験受験対策教育を重視したものになっていることから、学生に対して国家試験受験対策教育が卒業研究より重要であるという認識を与えることが懸念されるので、「卒業研究」の時間割上の配当を改善することが必要である。薬学教育カリキュラムの構築と必要に応じた変更については、2次カリキュラムおよび3次カリキュラムに関しては、薬学部教務委員会あるいは薬学部教務委員長を含む特別委員会にて原案が作成されて、薬学部教授会で審議され、全学教授会で決定されている。- 6 -3 医療人教育の基本的内容本中項目は、おおむね適合水準に達しているが、ヒューマニズム教育・医療倫理教育ならびにコミュニケーション能力および自己表現能力を育成するための教育に懸念される点が認められる。長崎国際大学薬学部における最新カリキュラムである3次カリキュラムでは、ヒューマニズム教育・医療倫理教育に対応する科目の多くが1年次の全学共通科目として開講されており、専門科目としての設定が少なく、授業内容も含めて薬学が必要とするこの領域の教育が十分とは言えない。また、2次カリキュラムでは2、3年次にこの領域に該当する科目が設定されていない。この様に、ヒューマニズム教育・医療倫理教育が、薬学教育が求めるものとして十分であるとは言い難いので、内容の充実を図ることが望まれる(基礎資料4)。医療全般を概観し、薬剤師としての倫理観、使命感、職業観を醸成する科目としている「教養セミナーA」、「教養セミナーB」、「生命倫理」、「治験コーディネート論」「臨床心理学」では、授業の一部に能動学習など効果的な学習方法を取り入れているとしているが、講義による教育が多く十分とは言えないので、学習方略の見直しが必要である。また、医療倫理教育科目と位置づけているにもかかわらず「治験コーディネート論」および「介護概論」は履修者がゼロであった (基礎資料1-6)。医療人として、患者や医療提供者の心理、立場、環境を理解し、相互の信頼関係を構築するために必要な教育に該当する科目としては、「在宅医療概論」、「総合基礎学習Ⅰ」、「介護概論」、「臨床心理学」などが挙げられているが、「総合基礎学習Ⅰ」以外は講義による授業であり、相互の信頼関係を構築するために必要な教育が効果的な学習方法を用いて行われているとは言えないので、学習方略の見直しが必要である。ヒューマニズム教育・医療倫理教育に対応するとしている上記の諸科目は、シラバスに評価方法、評価比率は明記されているが、評価指標は明確ではなく、「総合基礎学習Ⅰ」は、グループ学習を主な授業形態としているにもかかわらず評価が基礎学力確認試験となっているなど、評価方法が適切とは言えないものもある。また、ヒューマニズム教育・医療倫理教育の総合的な目標達成度の評価については、大学自身も「学修成果を総合した目標達成度の評価指標を策定する必要がある。」と指摘している(「自己点検・評価書」p12)ように、行われていない。ヒューマニズム・医療倫理教育、教養教育・語学教育、薬学専門教育の実施に向けた準- 7 -備教育、医療安全教育、生涯学習の意欲を醸成する教育を合わせた単位数は、2次カリキュラムで45.5単位、3次カリキュラムで51.5単位を必修としており、卒業要件(192.5単位)の1/5である38.5単位は上回っている(「自己点検・評価書」p13)。教養教育科目は、全学共通の科目として、人文、社会、自然科学の82科目が開講されており、大学が社会のニーズに応じているとしているものとしては「地域の理解と連携」、「在宅医療概論」および「学際連携研究」などが、グローバル化に対応する科目としては、「中国語」、「コリア語」、「フランス語」などがある。薬学科の学生は、これらの教養科目から30単位以上を修得することが卒業の要件になっている(基礎資料1-7)。しかし、教養教育科目の中には外国語科目や、薬学への接続教育となる化学、生物学、物理学、数学、統計学、コンピュータ演習なども含まれており、後述するようにこれらのかなりの科目が必修となっている。さらに、この大学が人間教育の柱としている「茶道文化」や導入教育と位置づける「教養セミナー」も必修となっており、教養教育科目として学生が選択できる幅はそれほど広くない。薬学教育と連携する教養教育科目としているものには、「基礎の化学」、「基礎の生物学」、「基礎の物理学」、「基礎の数学」があり、これらのうち3科目以上を1年次の選択必修科目とすることで、薬学の基礎となる物理系、化学系、生物系の専門科目の学習と関連付けて履修できるとしている。また、1年次必修科目の「統計学」は、3年次必修の学科専門科目「医療統計学」と関連する科目としている。以上のように、教養教育科目の多くが薬学専門教育への接続教育としての基礎教養科目として扱われており、いわゆる教養教育としての内容は充分ではない。また、カリキュラム編成上「教養教育科目」は、全学共通科目として設定されているため、上で指摘した必修科目を含めて、ほとんどが1年次に開講されており、薬学教育と連携するとしている「統計学」なども専門科目の「医療統計学」と関連付けた体系的な編成にはなっていない。医療人、薬剤師で欠くことのできないコミュニケーション能力を育成する教育として、「教養セミナーA」、「教養セミナーB」におけるSGD(Small Group Discussion)などによる基本スキルのトレーニング、「臨床体験学習」における相手の話を聞き、共感する態度の醸成を挙げている。「自己点検・評価書」(p16、表1、2)には、上記科目を含む約10科目のコミュニケーション教育科目が列挙されているが、これらの科目の多くがヒューマニズム・医療倫理教育とも重複し、4年次の「実務実習事前学習」がその半数程度を占めているなど、コミュニケーション能力の醸成教育に特化した専門科目は置かれていないので、コミュニケーション能力の醸成教育をさらに充実させることが望まれる。なお、- 8 -自己表現能力の養成を目指す教育については「薬学入門」でレポート作成を通して自分の考えや意見を適切に表現する能力を身につけ、「教養セミナーA、B」や2年次の「総合基礎学習Ⅰ」の一部である「臨床体験学習」、4年次の「実務実習事前学習」などのグループ討論で成果を発表するプレゼンテーションが行われているが十分とは言えない。以上のコミュニケーション能力および自己表現能力を育成する教育に関わる科目のシラバスには、到達目標、評価手段、方法、評価比率が記載され、それに基づく評価が行われているが、それら諸科目の成果を総合して、その目標達成度を評価することは行われていない。語学教育は、教養教育科目の「国際理解」として開講している「英語演習ⅠA・ⅠB~ⅣA・ⅣB」から「読む」、「書く」の要素を取り入れた授業を行う「A」と、「聞く」、「話す」の要素を取り入れた授業を行う「B」の双方から合計4単位を選択必修科目として履修し、「読む」、「書く」、「聞く」および「話す」の要素を学ぶようにしている(基礎資料5)。また、「英語演習ⅠA・ⅠB、ⅡA・ⅡB」ではネイティブ教員が配置されている。語学では他に、「中国語ⅠA・ⅠB・ⅡA・ⅡB」、「コリア語ⅠA・ⅠB・ⅡA・ⅡB」、「フランス語ⅠA・ⅠB・ⅡA・ⅡB」が選択科目として開講されているが、履修者は少ない。語学科目はセメスター制(A:前期、B:後期)で開講され、曜日に配慮した時間割編成となっており、「英語演習」は2年次まで履修できる時間割としている。また、英語に関しては、入学直後のプレイスメントテストによって、習熟度別の多クラス編成とし、履修の指導をオリエンテーションで実施している。医療現場に対応した語学力を育成する科目としては、薬学領域の研究に必要とされる専門分野特有の用語や表現を理解するための科目として「薬学英語」を開講している。この「薬学英語」では学習方法としてSGDも導入されている。「英語演習ⅠA・ⅠB~ⅣA・ⅣB」では医療現場に関連した内容を十分に取り入れており、医療の進歩に対応するために必要な語学力を身につけるための教育が行われていると言える。英語を中心とした1~3年次までの語学教育は、体系的に設定されている。薬学部では、推薦およびAO入試(AO:Admission Office)合格者を対象に「化学」、「物理」、「英語」の必須課題を大学から郵送し添削・指導を行っているほか、任意の外部通信教育の受講も勧めている。また、一般入試合格者には、予備校の通信教材を任意の受講として紹介している。入学直後には、理系科目の基礎学力テストを行い、その結果に基づき1年次の「基礎の化学」、「基礎の生物学」、「基礎の物理学」および「基礎の数- 9 -学」で、習熟度別クラスを開講している。定期試験では習熟度にかかわらず全クラスで同一問題としているが、レベルに応じた小テストの成績などを加味し、クラス間での評価の不公平感を除く努力を行っている。これらは、薬学専門教育への接続科目であり、4科目中3科目以上(6単位以上)が選択必修となっており、入学までの学修歴等を考慮した教育プログラムが準備されていると言える。早期体験学習は、1年次の「教養セミナーB」で実施し、全学生が病院薬剤部、保険薬局あるいは公的研究機関の各1施設を見学体験する。また、臨床体験学習は2年次の「総合基礎学習Ⅰ」で実施し、全学生がリハビリテーション病院での1日体験をするなど、薬剤師が活躍する現場を広く見学させている。早期体験学習の施設訪問後には、レポート提出やSGDおよびプロダクトの作成など、学習効果を高める工夫がなされている。薬害についての教育が、1年次必修科目の「薬学入門」および3年次選択科目(3次カリキュラムでは必修科目)の「医薬品情報論」で取り入れられている。また、4年次必修科目の「調剤学」では、調剤過誤とその防止対策について、「実務実習事前学習」では、薬剤師業務の中で起こりやすい事故事例とその原因、誤りを生じやすい投薬例、院内感染について学んでいる。「薬学入門」では薬害被害者を講師に招き、学生が薬害を肌で感じる機会が提供されている。また、国立病院機構の医療センター長を講師に迎え、医療安全における薬剤師の役割を考える機会を与えている。しかし、これらの機会だけでは十分とは言えず、医療問題に携わっている弁護士を講師に招くなど、学生が肌で感じる機会をさらに増やすことが望まれる。医薬品の安全使用については、必修科目の「薬物治療学Ⅰ」、「薬物治療学Ⅱ」、「病院薬学」および「医薬品安全性学」において、科学的な視点と客観的な判断力が養われるよう努めている。「薬学入門」や「実務実習事前学習」では、薬局薬剤師、病院薬剤師などが講師として参加している。また、「薬局経営学」(3年次必修科目)、「薬局管理学」(4年次選択科目)は、薬局開設者である薬剤師が講義を担当し、医療人としての社会的責任を果たす上で、医療の進歩や医療行政の変化に対応するために生涯学習が必要であることを聞く機会となっている。薬学部には生涯教育委員会が設置され、卒業生、地域の薬剤師並びに在学生を対象とした年1~2回の研修会が学内で実施されており、学生も参加しているが、参加人数の増加を図ることが望まれる。また、地域の薬剤師会主催の各種講習会に参加する機会があるとしているが、実態が確認できる資料がない。- 10 -4 薬学専門教育の内容本中項目は、おおむね適合水準に達しているが、シラバスの記載内容の一部に懸念される点が認められる。長崎国際大学薬学部薬学科の薬学専門教育カリキュラムは、平成26年度入学生までは、「薬学教育モデル・コアカリキュラム」および「実務実習モデル・コアカリキュラム」に準拠したものとなっており、すべての到達目標(SBOs:Specific BehavioralObjectives)が網羅されている(基礎資料3-1、基礎資料3-2)。また、平成27年度以降に入学した学生に対する薬学専門教育カリキュラムは、「平成25年度改訂版・薬学教育モデル・コアカリキュラム(新コアカリ)」に準拠するものに改訂されており、これもすべての到達目標が網羅されている(基礎資料3-3)。このカリキュラムによる教育は評価を実施した平成28年度には2年次までしか実施されていないが、3年次以降に開講が予定される科目の内容と新旧科目の対照表が「開講予定新規科目のシラバス」として示されており、新コアカリに準拠した教育を行うことが予定されていることが確認できた。長崎国際大学では、学習領域に「思考・判断」を加え、「知識・理解」(知識)、「技能・表現」(技能)、「関心・意欲・態度」(態度)と「思考・判断」の4領域としており、シラバスには、講義科目、演習科目、実習科目について記載できる範囲内で、4領域における学生の到達目標、評価方法・手段、評価比率を明記するとともに、学生に対して各科目の初回授業において当該授業と4領域の対応を説明するとしている。しかし、「技能」や「態度」の領域に関わる到達目標を講義科目に含めている例が多数みられ、それらの科目では多くの場合学習方法が「講義」のみになっている。「技能」や「態度」に関わる到達目標を達成するための学習を「講義」のみで行うことは不適切なので、授業科目に含まれている個々の到達目標に対する学習方略を再検討する必要がある。実験実習科目は、2年次前期から3年次後期に、必修科目として合計11単位(原則35時間で1単位)行っている。基礎系科目の授業では、基礎が臨床に繋がることを実感させるよう努めているとしており、「自己点検・評価書」に数科目の実例が記載されているが、シラバスの記載からは、そのような意図が明確に読み取れない。薬学関連の教養科目や薬学専門科目の授業担当者を見ると、「薬学入門」、「教養セミナーB」、「在宅医療概論」、「薬局経営学」、「薬局管理学」、「事前学習」において、学外からの人的資源の参加が確認でき、学生との交流体制が整備されていると言える。カリキュラムマップおよびカリキュラムツリーからは、薬学専門科目が科目間の関係を- 11 -配慮し、基礎から応用、臨床へと効果的に学修できるように配置されているとみることができる(基礎資料4)。しかし、シラバスやカリキュラムマップによる講義間や講義と演習・実習との関連性、連続性についての説明は、学生にとって必ずしも分かりやすい形になっているとは言えないので、授業科目の配置の意図を学生が正しく理解できる工夫が望まれる。大学独自の科目として、教育理念である「ホスピタリティ」の精神を修得する目的で、「茶道文化ⅠA」、「茶道文化ⅠB」、「ホスピタリティ概論」などが開講されている他、「在宅医療概論」、「地域の理解と連携」、「学際連携研究」等が設定されているとしている。しかし、これらの多くは全学共通科目として1年次に開講される科目であり、「教育理念」に基づく大学独自の科目ではあるが、本基準が求める「薬学部の教育研究上の目的に基づく大学独自の薬学専門教育」には当たらないので、大学独自の薬学専門教育に関わる科目を増やすことが望まれる。また、大学独自の薬学専門教育に関わる科目について、シラバスには独自科目であることが明記されていないので、学生に独自の科目であることが分かる記載にする必要がある。独自の薬学専門教育の開講時間は、時間割上での重複はないが、6年次に履修者のない科目が5つあり、受講生が5名以下の科目が2つある(基礎資料1-6)。この実態は、上級学年で開講している独自の専門教育科目(アドバンスト教育科目)がその役割を十分発揮していないことを示している。なお、大学独自の科目ではないが、「NICE(Nagasaki Intercollegiate Credit Exchange)キャンパス長崎」と呼ばれる長崎県内すべての大学および短期大学が参加した大学間単位互換制度で各大学が提供している特色ある授業科目を履修して、地域医療・在宅医療に関する専門教育を受けられるしくみは評価できる。5 実務実習本中項目は、適合水準に達している。長崎国際大学薬学部の「実務実習事前学習」は、実務実習モデル・コアカリキュラムの教育目標に準拠し、すべての到達目標を網羅しており(基礎資料3-2)、授業は5つのユニット(「調剤Ⅰ」、「調剤Ⅱ」、「生物薬剤」、「処方箋解析」、「総合実習」)から構成する合計151コマ(1コマ90分)と、基準のコマ数(122コマ)以上が確保されている(基礎資料6)。「実務実習事前学習」の講義・演習には講義室等を、実習には模擬薬局、模擬クリーンルームおよび模擬病室等を使用している。模擬薬局には薬局カウンター、調剤台、分包機、- 12 -全自動錠剤包装機、処方オーダリングシステムなど、模擬クリーンルームにはクリーンベンチ4台および安全キャビネット2台等が設置されている。また、模擬病室には模擬患者用ベッドやフィジカルアセスメント学習のためのシミュレーターを複数台設置しており、学習方法に適した場所、環境が用意されている。「実務実習事前学習」には、実務家教員5人(教授3人、准教授1人、講師1人)、臨床講師(非常勤)および模擬患者(SP:Simulated Patient)が関わる適切な体制が取られている。臨床講師は、この大学の薬学部が主催する講座を受講した勤務薬剤師(67%が認定実務実習指導薬剤師の有資格者)である。また、模擬患者は、長崎国際大学薬学部が設立しているNPOである 「ひびきあいネットワーク長崎」主催の模擬患者研修会の修了者である。「実務実習事前学習」は4年次の前・後期を通した約7か月間に行われており、実施時期は適切である(基礎資料6)。「実務実習事前学習」における個々の項目の目標到達度に対する評価方法は、原則として知識は筆記試験、技能・態度はチェックリスト又はルーブリック評価表を用いた実地試験で行っている。さらに、「実務実習事前学習」全体の総合的な目標達成度の評価を目的とする「総合的実地試験」を実施し、確認項目あるいは基準を定めた評価表を用いて評価している。また、実務実習直前に「実務実習事前学習」における目標達成度を学生が自己評価する目的で、実務実習開始1か月前の4月に九州・山口地区実務実習調整機構が作成した「実務実習形成的評価表」を用いた評価を実施している。薬学共用試験の実施方法、実施時期、合格者数および合格基準は、薬学共用試験センターの実施要領に基づいてホームページに公表されているが、受験者数は「自己点検・評価書」に記載されているがホームページには掲載されていない。CBT(Computer Based Testing)は、薬学共用試験センター発行の「薬学共用試験実施要項」、「薬学共用試験CBT実施の手引き/実施マニュアル」に準じて作成された「長崎国際大学薬学部平成28年度共用試験CBT本試験実施要領」に基づいて行われている。また、OSCE(Objective Structured Clinical Examination)は、薬学共用試験センター発行の「OSCE実施要項」、「薬学共用試験OSCE実施マニュアル」および「薬学共用試験OSCE運用メモ」に準じて作成された「長崎国際大学薬学部平成28年度OSCE実施要領」に基づいて実施されている。CBTについては、学内の9人の委員から成る「CBT実施委員会」が中心となって、「受験生講習会」、「監督者向けの講習会」、CBTの本試験・追再試験を実施している。- 13 -また、OSCEについては、「OSCE実施委員会」が、評価者およびスタッフへの説明会・練習会などOSCEに関するすべての事項に対応している。CBTには、コンピュータ試験に対応した3教室を使用し、受験生100~130人の試験を1日で実施している。また、CBT実施中はコンピュータやサーバーのトラブルに対処するため、大学のシステム担当職員が試験準備室に待機する対応を取っている。OSCEは、OSCEトライアルと平成20年度に実施された共用試験センターによるシミュレーションにおいて、課題に対応できる学内施設と設備が準備されていることが確認されている(基礎資料12)。また、「薬学共用試験センターOSCE実施委員会」およびモニターによる報告で、問題は指摘されていない。実務実習に関しては、教授会の下に置かれた「薬学実務実習運営委員会」が、実務実習の計画、運用、実習施設との調整、トラブル対応を担っている。また、「薬学実務実習運営委員会」で作成された、実務実習実施案などは教授会で協議され学部長が承認する責任体制が整備されている(「自己点検・評価書」p42 図1)。薬学科の学生は、実務実習直前の5年次を含む毎年4月に健康診断を受けている(受診率100%)。また、麻疹・風疹・水痘・ムンプスおよびB型肝炎の抗体検査が実施され、必要に応じてワクチン接種を実施させ確認している。また、健康診断・予防接種の結果は、実務実習開始時に施設に提供している。原則として、薬学部全教員が実務実習担当教員として施設訪問、担当学生の指導に当っている。実務実習施設への学生の配属は、地区調整機構の申し合わせ事項に基づいて行われており、「実務実習運営委員会」が、地区調整機構の実習受入施設に関する資料を基に病院実習施設の配属案を作成している。病院実習施設は、学生の居住地から公共交通機関の利用により、原則1時間以内で移動できる施設を選択している。一方、薬局実習施設の配属は、地区調整機関が学生の現住所および実家住所を基に調整し、調整結果を学生に開示して、公共交通機関で移動が可能か等交通手段を確認させている。遠隔地の実習でも訪問指導を行っているが、九州・沖縄地区以外の施設では、事前訪問における施設との相談によって、事前訪問以外は大学のWebシステムに含まれる「サイボウズ(実務実習)」による指導にとどめた例もあった。実務実習は、地区調整機構が「十分な設備を有する施設」でかつ、「5年以上の実務経験を持つ薬剤師が指導薬剤師として存在する」として教育能力を担保した施設を実習受け入れ施設としているが、学生から実習体制に不備があると訴えがあった場合、大学、薬剤師会または病院薬剤師会および受入施設の3者で協議し、対応している。- 14 -実務実習では、学習目標が記載されている「地区調整機構の形成的評価表」を利用しており、実務実習モデル・コアカリキュラムのSBOsおよびLSが網羅されている。さらに、実務実習の学習方法、時間数および場所等に関しては、学生担当教員による事前訪問において本学薬学部作成の「実務実習手順書(病院・薬局)」を提供し、それに沿った実習が行われていることを施設訪問の際に形成的評価表に基づいて確認している。実務実習の期間は、11週間としており、病欠、忌引き、災害等によって実習の進行が遅れた場合には、11週間の中で追加実習を実施する等により対応している。大学と実習受入施設との事前打ち合わせは、学生担当教員による事前施設訪問の際に行われ、訪問の結果は「事前施設訪問報告書」によって「実務実習運営委員会」と学部長に報告されている。実習期間中の実習指導は、担当教員による3回の施設を訪問によって行い、実習の進捗状況は「サイボウズ(実務実習)」を用いて把握している。実務実習における学生への守秘義務の説明は、実習前の学生説明会実施後に行い、各学生から「守秘義務誓約書」を提出させている。また、大学と受入施設間で作成する実務実習に関する「委受託契約書」にも守秘義務の遵守を明記している。実務実習の評価は、地区調整機構が提示する「形成的評価表」によって行っている。この「形成的評価表」は、評価項目(SBOs)と評価基準(6段階:0~6)で構成されており、事前訪問およびメールによって実習施設への説明がなされ、学生にも4月のオリエンテーションで説明されている。実務実習の評価は、「形成的評価表」、「統一総括評価表」、「学生用総括自己評価表」および「実務実習記録」、「成長報告書」を用いて、実習施設の指導者と連携をとりながら行っている。最終的な評価は、それらを総合して、病院、薬局ともに、施設点(45%)、担当教員評価点(45%)と出席・意欲評価(10%)として評価される。実習期間中は毎週末、担当教員および指導薬剤師が、「実務実習記録」に学生へのコメントを記載することによりフィードバックを行っている。また、担当教員の訪問時にも学生、指導薬剤師、学生担当教員間での2者面談あるいは3者面談を行い、フィードバックを実施している。実習終了後には、「学生アンケート」および「施設アンケート」により実習内容・状況・成果の情報を収集し、実務実習運営協議会、実務実習運営委員会、実務実習関連の説明会・反省会などで報告しているが、教員からの意見聴取は行われていない。また、トラブル事例に関しては、地区調整機構に随時報告している。実務実習の評価は、上述した個々の評価や記録の評価を積み上げることによって行われ- 15 -ており、実務実習全体の総合的な学習成果に対する基準を設けた評価は行われていない。6 問題解決能力の醸成のための教育本中項目は、おおむね適合水準に達しているが、「卒業研究」に取り組むことができる実質的な時間などに懸念される点が認められる。長崎国際大学薬学部の「卒業研究」は、5年次2単位、6年次4単位の必修科目として行われている。「卒業研究」は、5年次の4月に16時間(4時間×4週間)、11月から3月に56時間(4時間×14週間)の計72時間実施し、6年次の4月から9月に144時間(8時間×18週間)実施し、9月下旬以降を卒業論文作成に充てているとしている。「卒業研究」に充てている上記の時間数は、45時間の学習を1単位とする場合の4単位相当の時間数を満たしてはいる。しかし、5年次には「実務実習」による分断があり、6年次には「総合演習」のために時間割上の配当が1日3時間程度に限られることで、落ち着いて実質的な研究に継続して取り組むことができる時間が不足して、「薬学教育モデル・コアカリキュラム」のE1が求めている到達目標と「卒業研究」のシラバスの趣旨に叶う問題解決能力醸成のための教育が十分に行われていないことが懸念される。「卒業論文」は研究室ごとに一定の書式に従い作成されており、「卒業研究要旨集」も作成されている。「卒業論文」の評価項目には「研究成果の医療や薬学における位置づけがなされているか」が含まれ、それに関わる考察と記述が必須化されている。実際、要旨集の「目的」や「考察」には、創薬や疾患、医療との関連への言及がみられ、研究成果を薬学領域に関連付ける努力がなされている。「卒業研究発表会」は研究室単位で行われており、予め発表日を掲示し、公聴会形式で5月(中間発表会)と9月(卒業研究発表会)に実施されている。「卒業研究発表会」が研究室単位で行われている実態は、大学が『質疑応答やフィードバックを受け、それに基づいて「卒業論文」を完成させることで問題解決能力の修得、向上に結びつける』とする「卒業研究発表会」の教育研究上の意義に合致するものとは言い難い。「卒業研究発表会」は、広い範囲からの質疑を受けることで考察の幅を広げ、大学が目指す教育研究上の意義に合致するものとなるよう、研究室単位ではなく学部全体で行う形に改めることが必要である。「卒業研究発表会」における発表および「卒業論文」は、主査および副査1名がルーブリックを用いて評価しており、ルーブリックは、「プレゼンテーション」、「論文内容」、「論文構成①」、「論文構成②」および「薬学における位置づけ」の5つの項目から構成- 16 -されている。しかし主査は原則として主指導教員であり、副査も多くの場合同じ研究室の教員であるため、評価の客観性の担保が懸念される。副査を他の研究室の教員を含めた複数とするなどの改善が望まれる。問題解決能力の醸成に向けた教育として、講義2.14単位、実習31単位、卒業研究6単位が設定されており、低学年から高学年へ履修プログラムが体系的に構成されている。また、その基礎となる教育を1年次の「教養セミナーA」や「教養セミナーB」で取り入れるなど工夫がみられる。「教養セミナーB」のテーマ別学習、「生命倫理」のグループ討論・ディベート学習および「薬理学Ⅱ」の症例問題に対する治療法の推論学習などに問題解決能力の醸成に向けた教育の工夫がみられる。また、実習科目の「機能形態学実習」、「臨床生理学実習」、「薬理学実習」などでも、学習方法の一部としてグループ学習が取り入れられている。「教養セミナーB」では、全グループによる発表会を開催し、指標に基づき定量的な評価を実施している。「生命倫理」では、課題のテーマについての主張、ディベート前後で主張が変化した点の2点を記述したカードを提供させ、問題解決能力を客観的に評価している。しかし、問題解決能力の醸成を目指すとする実習科目において、問題解決能力を評価するための指標や評価項目が設定されていないので、これらを設定することが必要である。なお、「卒業研究」を含めた問題解決能力の醸成を目指す教育全体を通しての目標達成度の評価については「自己点検・評価書」に言及がなく、そのような評価に関わる指標の設定やそれに基づく評価は行われていない。問題解決型学習に充てられている単位数は卒業要件の1/10を超えている(講義科目2.11単位、実習科目44単位、卒業研究6単位)としている。しかし、実習科目では多くの時間が技能の学習に充てられていると考えられるので、大学が集計している実習科目の単位(44単位)の中で真の問題解決型学習に該当する時間数(単位数)はその一部に限られている。7 学生の受入本中項目は、おおむね適合水準に達しているが、入学試験における入学志願者の適性および能力の評価に懸念される点が認められる。長崎国際大学薬学部では、大学の教育理念に沿ったアドミッション・ポリシーを設定しているが、中項目1で指摘したように、薬学部薬学科の「教育研究上の目的」とは、必ずしも結び付いてはいない。- 17 -薬学部薬学科のアドミッション・ポリシーは、「入試募集委員会」と「自己点検・評価委員会」による共同案を、薬学部教授会で審議し、全学教授会での報告と学長による承認を経て設定されており、薬学教育モデル・コアカリキュラム改訂の際にも同様の体制で見直しが行われている。薬学部薬学科のアドミッション・ポリシーは、「入学試験インフォメーション」、「学生募集要項」、大学ホームページ等に明記して公表されている。また、入試相談会、オープンキャンパスおよび大学見学会等の機会にもアドミッション・ポリシーの周知に努めている。入学志願者の評価と受入の決定については、入試問題の作問者、校閲者やその実施体制に関する委員会規程があり、入試問題の作問者および校閲者の選出は、「作問委員会」で審議し決定している。また、「長崎国際大学入試・募集委員会」が、規程に基づき入学試験の方針・計画・実施および入学試験の採点・合格判定資料の作成を担当している。入学試験の採点から受入決定までの流れは、各学科から選出された専任教員(若干名)および事務局長から構成された「入試・募集委員会」が採点後、学部長、学科長などで検討された選考案が、「入試・募集委員会」、「全学教授会」で審議され、学長が合格者を決定している。したがって、薬学部が入学者の受け入れに関して責任を持つことができる体制にはなっていない。薬学部薬学科では、入学者選抜として7種類の入学試験を設定し、ほとんどの入学試験では基礎学力検査を実施しており、多様な人材を受け入れることが可能な入学者選抜を実施している。しかし、学力検査の無い「AO入学試験」や学力検査が1教科のみの「社会人入学試験」などでは、入学後の教育に求められる基礎学力が適切に評価できているか否かが懸念される。また、この数年間のストレート卒業率は50%程度と低く、平成24~28年度の1年次および2年次の約20%が留年している現状などから、入学試験で入学志願者の適性および能力が適確かつ客観的に評価されていないことが懸念されるので、入学者選抜の方法と基準を検討することが必要である。7種類の入学試験のうち、「一般学力入学試験」、「センター試験利用入学試験」以外では、面接が課せられている。また、「社会人入学試験」では小論文を課して医療人・薬剤師としての適性の把握に努めているが、これら入学試験による入学者数の定員に占める割合は多くない。最近6年間の入学定員の充足率は83~116%であり、入学者数は、おおむね定員の前後を推移している(基礎資料2-2、基礎資料7)。- 18 -8 成績評価・進級・学士課程修了認定本中項目は、おおむね適合水準に達しているが、卒業可否の判断方法に懸念される点が認められる。長崎国際大学薬学部では、各授業科目の試験などによる評点と評価(S,A,B,C,D,F)と上記の評価に対する説明(評価基準)を、「試験に関する規程」に定めている。授業への出席は定期試験等の受験要件としているが、成績評価には含めていない。個々の授業科目の評価に用いる評価方法と、複数の評価方法を用いる場合の評価比率(%)はシラバスに明記され、学生に周知している。各授業科目の成績は、担当教員がシラバスの記載に従って評価しており、専門科目について「定期試験記録表」を作成し、問題・答案等とともに保管している。定期試験、追試験(やむを得ない理由で定期試験を欠席した者を対象)および再試験(定期試験で不合格となった者を対象)の結果は、学内掲示版および担任の面談により学生に通知している。最終成績は前期および後期の終わりに、各科目の成績とGPA(Grade PointAverage)を含む「成績通知書」を保護者に郵送している。また、1~3年次のGPA席次表を学内で掲示している。1~5年次の進級基準は「長崎国際大学薬学部薬学科履修細則」に規定し、「履修の手引」に明記して、各学年のオリエンテーションで学生へ説明している。また、留年生の再履修についても、同履修細則に規定し、オリエンテーションで説明している。進級判定は、進級基準をもとに教務課が「進級判定資料」を作り、「全学教務委員会」が確認した後、薬学部教授会での審議によって行っている。留年生の指導は、「薬学教育支援センター」(専任教員3名、兼任教員12名)が主体で行っている。「薬学教育支援センター」は、留年生へのオリエンテーションや登学状況の確認を行い、学習の目標計画やポートフォリオを作成させ、定期試験後の個人面談等により指導に努めている。また、「薬学教育支援センター」の学習プログラムを受講させ、自習のスペースを優先的に利用させるなどの教育的配慮を行っている。留年生の履修に関する取扱いは「履修の手引」に明記しており、平成26年度以前の入学生が留年となった場合、科目数を制限して(5科目以下)上級年次配当科目の履修を許可していたが、平成27年度以降の入学生で留年した者に対しては、上位学年の科目を履修することを禁じ、未修得科目の再履修と併せて前年度にBおよびC評価で単位修得した学科専門科目(実習科目を除く)を再度受講することを推奨している。- 19 -長崎国際大学では、「全学学生委員会」で毎月学生の在籍状況を検証し、必要に応じ学部教授会で報告している。薬学部では、各学年での留年の原因を分析しており、2、3年次の留年生が多い理由を、「1次カリキュラムの緩い進級要件が原因で6年次の留年が多くなったことから、2次カリキュラムで進級要件を変更したことによる」と解釈している。また、平成27年度からの3次カリキュラムでは、留年生を対象にした「物理・数学演習」などの演習科目を配置することで、学修の定着・効率化および学力向上を目指している。さらに、「出席管理システム」を活用して留年や休学・退学に至る前の指導に努めている。休学や退学を考えている学生に対しては、担任が面談し、相談やアドバイスを行い離学防止に努めている。ディプロマ・ポリシーは、学部教授会および全学教授会による審議を経て平成24年に設定されている。下に引用する現在のディプロマ・ポリシーは、薬学教育モデル・コアカリキュラムの改訂に伴い「薬剤師として求められる10の基本的な資質」を念頭に検討し、学部教授会および全学教授会による審議を経て制定された。< 関心・意欲・態度>・高い倫理観と豊かな人間性を有し、医療人として責任を持った行動を取ることができる。・患者・生活者本位の視点を持ち、地域医療・保健に参画することができる。・医療の進歩に関心を払い、生涯にわたり学び続けることができる。< 思考・判断>・高度化・複雑化する医療や薬学に関する諸問題について、有用な科学的データを選択し、自ら論理的に思考・判断できる。< 技能・表現>・薬の専門家としての基礎的な科学力・研究能力を備えている。・薬の専門家として十分なコミュニケーション能力を備えている。・薬の専門家としてチーム医療に参画できる能力を備えている。・薬の専門家として安全で適切な薬物療法に責任を持ち、個々の患者や医師・看護師等に薬の情報を的確に提供することができる。・薬の専門家として後進の指導に当たる意欲と教育能力を備えている。< 知識・理解>・薬の専門家として高度化・複雑化する社会の医療ニーズに対応するために必要な知識- 20 -を備えている。ディプロマ・ポリシーは、FDおよびSD講習会(SD:Staff Development)で説明して周知を図っている。また、ディプロマ・ポリシーは、「履修の手引」を通じて学生および教職員に周知するとともに、大学ホームページ、「薬学部パンフレット」に掲載して、社会に公表している。学士課程の修了判定基準(卒業要件)は大学学則36条で規定され、「履修の手引」や「学生便覧」に収載して学生に周知されている。学士課程の修了判定(卒業判定)は、6年次後期科目である「総合演習ⅢB」の単位認定終了後に行われている。卒業判定は、教務課が作成した「卒業判定資料」を2月中旬の全学教務委員会で確認し、その資料に基づく学部教授会の審議を経て、全学教授会に報告され、学長の承認を受けて決定される。大学は「総合演習ⅢB」を「薬剤師としての資質が十分に備わっているかを判定する科目」と位置づけて卒業判定で重視しており、この位置づけと合否判定方法をシラバスに記載し、4月に行うオリエンテーションで学生に周知している。「総合演習ⅢB」の合否は、2回の随時試験の成績を教授会で審議した結果を受けて学長が決定している。また、「総合演習ⅢB」の単位認定に関わる評価基準には「(外部)模擬試験の成績を受験資格判定に用いる」という条件が付けられている。このような実態は、2回の試験の成績を教授会で審議して学生の国家試験への対応力を予測し、それに基づいて「総合演習ⅢB」の合否を決定していると判断される。必修科目である「総合演習ⅢB」の単位が不認定であるため卒業要件を充足できず、その理由によって卒業を不可とすることに規定上の問題はないが、その合否決定を上述した方法と手順によって行い、必修科目である「総合演習ⅢB」の単位未修得を理由に卒業不可とすることは、ディプロマ・ポリシーに基づく学士課程修了認定の趣旨にそぐわないと言わざるを得ない。また、最近5年間の卒業率は平均約70%である(基礎資料2-4)。これは、卒業に必要な学力が十分に身についていない学生が6年次に進級していることを意味しているので、大学はこの原因を分析し、それを解消するための改善策を講じることが望まれる。卒業判定で留年となった学生は、今後の教育方針・プログラムについての説明を受け、「薬学教育支援センター」の所属として、随時個別面談などの教育支援を受ける。また、秋季卒業の制度があるため、6年次留年生には、現役6年生とは別クラスで「総合演習ⅢB」を前期に履修させるなどの教育的配慮を行っている。長崎国際大学薬学部は、総合的な学習成果を評価する科目を6年次の「総合演習ⅢA、- 21 -ⅢB」および「卒業研究」と位置づけている。大学は、「総合演習ⅢA、ⅢB」は、6年間のすべての薬学教育を総合再編した内容で、学位授与にかなうか否かを評価する指標の一つとしているが、授業の位置づけや内容からは国家試験準備を主な目的とする演習科目であり、これらの科目で教育研究上の目的に基づいた教育の学習成果が評価できているとは言えない。大学は、総合的な学習成果を測定して評価する方法について現在検討中であるとしているので、それに合わせて、教育研究上の目的に基づいた教育における総合的な学習成果を適切に評価する体制を作ることが望まれる。9 学生の支援本中項目は、適合水準に達している。長崎国際大学薬学部では、新入生に対して入学時にオリエンテーションを実施し、薬学部における学生生活の全体像および教務関連の説明を行っている。その後は、後述する担任制による担任(1学年2~4人を入学時から4年間担当)が、学生の指導を行い保護者との連携を図っている。新入学生に対して、入学までの学修履歴・習熟度に応じたクラス編成を行うために、高校で履修した科目の「英語」、「化学」、「生物」又は「物理」、「数学」のプレイスメントテストを実施し、その成績に応じて関連科目を習熟度別に多クラス開講している。また、これらの科目についての説明と履修登録に関するガイダンスをオリエンテーションで行い、担任が個別に履修指導を行っている。上級学年における履修指導は、学年別オリエンテーションと、担任による個別の履修指導によって実施しており、それまでの履修状況をチェックしながら今後必要な修得単位数等を認識させ、担任が履修登録表を確認・押印後、教務課へ提出させている。また、実務実習のガイダンスは、4年次の2月に実務実習運営委員長が行っている。長崎国際大学は担任制を採用しており、1~4年次までの履修指導・学生相談には担任が対応している。5、6年次は、卒業研究配属研究室の教員が担任となって、学生の学修状況を把握している。なお、留年生の履修指導および学修相談には、「薬学教育支援センター」の専任教員および兼務教員が対応している。教員はオフィスアワーを設けており、その時間帯は学生からの学修相談に応じている。また、科目単位を修得済みの成績優秀な学生が、「ラーニング・アシスタント(LA)」として下級年次生又は同級生に対する学修支援を行っている。平成28年度は、29人のLAによる学修支援を延べ66人が受けており、この制度はアンケートの結果では好評である。- 22 -学生の経済的支援に関しては、大学の学生課が窓口となっている。外部機関の奨学金に関する情報は、「学生便覧」に記載するとともにホームページ等にも掲載して情報提供しており、受給者が多い「日本学生支援機構奨学金」については説明会も実施している。これらの他に、支給を薬学部生に限定した病院や薬局からの奨学金制度があり、薬学部内の掲示板で周知し、利用されている。大学独自の奨学金制度としては、「長崎国際大学同窓会特別奨励金」、「障がい学生に対する修学支援費」、「留学奨励金」などがある。また、熊本地震では被災学生等を対象に経済的支援を行った。この他の制度として成績優秀者対象の薬学部特待生制度がある。さらに、「薬学部学業奨励賞」など、成績上位者に図書券を授与する制度もあり、学生の経済的支援に関する体制が整備されている。長崎国際大学は、「キャンパスライフ・ヘルスサポートセンター」(CHサポートセンター:保健室、学生相談室および学生生活サポート室)を設置し、学生の心身の健康の保持・増進並びに学生生活における日常的な相談および支援を行っている。「保健室」は、養護教諭の資格を有する保健室長が、主として健康の保持・増進に係る業務を担当する。「学生相談室」には、専門のカウンセラーを配置し、学生の心理的支援等を行っている。毎年、全学生に対して心の健康調査を実施し、「NIUランチアワー」として居場所のない学生への対応を図っている。「学生生活サポート室」は、各学科の教員が担当し、「何でも相談室」の役割も果たしている。「CHサポートセンター」については、「キャンパスライフ・ヘルスサポートセンターだより」を年に3~4回発行するなど周知を図り、利用されている。学生定期健康診断を毎年実施しており、掲示板やWebポートフォリオへの掲示で学生に周知するとともに、教職員が受診を指導しており、薬学部の平成24年度以降の定期健康診断受診率は100%である。また、「熱中症対策講習会」、「AED講習会」、構内全面禁煙の実施など、学生の健康維持に関する支援体制を整備している。長崎国際大学では、「ハラスメントの防止及び対応に関する規程」および「ハラスメント防止ガイドライン」を制定している。大学には、「ハラスメント対策委員会」が設置されており、「ハラスメント外部諮問員会議」を設置して外部諮問員の意見を聴取するなどしてハラスメントの防止に努めている。さらに、教職員から選任された「ハラスメント相談員」が、教職員・学生等からの苦情・相談に対応している。この他、「ハラスメント相談員」に直接相談できない学生の相談に応じるため、「ハラスメント相談受付票」および「相談箱」を学内2カ所に設置し、「ハラスメント対策委員会」が週1回投函状況を確認- 23 -している。これらに加えて、パンフレット「STOP harassment ハラスメントのない大学にするために」の配布、ホームページ、学生便覧等によってハラスメントの防止に関する取組みを学生に周知している。障がい等のある入学志願者の事前相談について、「学生募集要項」に申請方法を説明しており、事前申請用紙は大学のホームページからダウンロードすることができる。平成28年度の入学試験では、入学志願者の特別措置に関して保護者を交えて入学後の対応について協議を行っている。障がいのある学生に対応する施設、設備の整備では、エレベーターの設置、点字ブロックを敷設する等、講義室、実習室移動経路のバリアフリーに配慮している。 薬学部では、聴覚障がい(ノート、コピーの提供など)や身体不自由(実習・データ取得補助、OSCE特別措置など)等、数人の身体障がいのある学生を受け入れ、薬剤師国家試験合格者も輩出している。障がいのある学生には、「障がい学生に対する修学支援費」が支給されているなど、施設・設備上および学修・生活上の支援体制の整備に努めている。長崎国際大学では、全学的な進路支援を担う事務組織として、「キャリアセンター」を置き、各学科の専任教員とキャリアセンター職員で「就職委員会」を組織している。また、薬学部では、9人の教員から成る「薬学部就職委員会」を組織し、薬学生の就職・進学に関する支援を「キャリアセンター」と協力して行っている。「薬学部就職委員会」は、5年生に対して「就職オリエンテーション」、自己分析、業界研究、面接試験対策の実施、学内外で行われる合同就職説明会の周知等を含めた「就職ガイダンス」を行っている。また、1~4年生対象の卒業後の進路を考えるセミナー、6年生対象の就職活動に関する各種学内手続きの周知等を行っている。5年生を対象に開催している「長崎国際大学薬学部就職説明会」には、病院や薬局等求人側から多数の参加がある。長崎国際大学には、学生の意見を収集するための全学組織・委員会として、「学生課」、「大学評価・IR室」、「自己点検・評価委員会」、「学生委員会」および「薬学部学生委員会」がある。学生の意見を教育や学生生活に反映するために収集する手段としては、「授業評価アンケート」、「在学生アンケート」(1年生調査・上級生調査)、「卒業生アンケート」、「保護者懇談会アンケート」、「学長カフェ」があり、それらから得られた意見を参考にして改善に努めている。また、薬学部では、「学生委員会」が学生からの意見を集約しており、これまでに図書館開館時間の延長、食堂棟1階への無線LANの設置、トイレ用擬音装置の設置等、学内環境の整備を行っている。- 24 -薬学部では、「長崎国際大学薬学部における実験の手引」を作成し、教員と学生に配付している。また、実験・実習授業が開始される2年次学生と教員を対象に安全管理教育を実施している。この他、薬学部では、「薬学部研究等倫理内規」、「薬学部動物実験指針」等を整備し、これに準拠して実験を行うことで学生の安全を確保している。実習科目では、各実習の事前説明時に安全に関する注意を周知している。実習は、教員当たりの学生数が30人以下のグループで実施しており、必要に応じて補助要員(TA:Teaching Assistant、SA:Student Assistant)(基礎資料8)を参加させるように努めている。実習・研究施設には、非常用シャワー、消火器、救急箱を設置している。なお、卒業研究配属学生に対する安全管理教育は、各研究室の教員が行っている。実習・研究用試薬の管理システムを導入し、実習用医薬品や危険物貯蔵庫には警備システム連動タグキーリーダーを設置している。さらに、「薬学部安全管理委員会」は、毒劇物・ガスボンベや廃棄物分別の調査を実施している。長崎国際大学では、学生に災害傷害保険および賠償責任保険に加入することを義務付けている。薬学部生対象の「学研災付帯学生生活総合保険」への加入は任意であるが、本任意保険に加入していない5年生には、実務実習期間中の実習施設での感染事故とそれに伴う疾病に対する保険への別途加入を義務付けている。防犯・交通安全についての講話、交通安全教室、防犯講習会、消火訓練をそれぞれ年1回実施している。薬学部では、事故や災害の発生時に的確に対応するために「長崎国際大学薬学部緊急連絡シート」を掲示し、事故や火災が発生した場合の対応について「長崎国際大学における実験の手引き(第4版)」に記載している。10 教員組織・職員組織本中項目は、適合水準に達している。長崎国際大学薬学部薬学科の専任教員数は49名であり、大学設置基準に定められる専任教員数(収容定員720名に対して30名)を充足しており、教授数21名、実務家教員数5名も設置基準を満たしている(基礎資料8)。この他、薬学部には6名の「専任助手」が置かれ、学内実習の補助、共用試験や実務実習の円滑な遂行への補助および研究上の補助を担当している。収容定員から算出した教員1名当たりの学生数は 14.7名となる。職位別の専任教員数と構成比率は、教授21名(学長1名を含む)(42.9%)、准教授13名(26.5%)、講師8名(16.3%)、助教7名(14.3%)であり、適切に構成されている。また、女性教員は6名(12.2%)である(基礎資料9)。- 25 -薬学部の研究室は、物理・化学系6研究室、生物系5研究室、衛生系5研究室、臨床系7研究室、および1センターにより構成され、それぞれの専門分野に教育研究実績を持つ教員が配置されているとしている。専任教員の大部分は、教育および研究指導を遂行する上で十分な教育と研究の実績を有している(基礎資料10、基礎資料15)が、基礎資料15に見られる研究実績が十分とは言えない一部の専任教員に対しては学部長が面接等で指導している。研究室に属する専任教員は、卒業研究指導、学会発表、受賞、特許など薬学領域の研究と教育に関する業績をあげており、「薬学教育支援センター」の専任教員は、薬学教育の研究や学修プログラムの立案、個別面談などきめ細かい指導を行っている。薬学部の主要な科目には、専任の教授又は准教授が配置され、その割合は90%を超えており(基礎資料10)、専任講師が単独で担当する科目は5科目、現職薬剤師が非常勤講師として担当している科目は3科目である。助教が担当する授業は学内で実施する実習科目に限られており、それらの単位認定は教授が行っている。専任教員の年齢構成は、70歳代(6%)、60歳代(20.4%)、50歳代(20.4%)、40歳代(26.5%)、30歳代(26.5%)であり、70歳代の教員が若干名含まれていることを除けば、年齢構成に著しい偏りはみられない(基礎資料9)。教員の採用および昇任の基準は、「長崎国際大学教員選考規程」、「教員の昇任審査に関する運用内規」および「教員資格審査委員会規程」に定められている。教員の採用および昇任は、学長の諮問機関である「人事委員会」で審議し、結果を学長に答申することになっている。「人事委員会」は各学部長、学長が指名した教員、および事務局長から構成され、構成員の中から学長に指名された委員が委員長となり会議を招集することになっている。「長崎国際大学教員選考規程」には、教授等職位にかなう資格基準として、専攻分野における知識・経験・業績並びに大学における教育を担当するにふさわしい教育上の能力の両面に関して適切に規定されている。教員の採用は原則公募となっており、薬学部教授会が作成した「科目担当者の採用案」を「人事委員会」が審議し、公募の実施を決定する。公募への応募者については、薬学部教授会で書類選考を行い、候補者を3名程度に絞り、面接および模擬授業等を含む二次選考を、理事長、学長、薬学部長、学科長、学長が指名した者、法人本部長および大学事務局長で行う。学長は、二次選考で内定した採用者について、教員資格審査委員会に諮って採用を決定している。教員の教育能力向上に向けた取組みとしては、個々の教員が、「授業評価アンケート」- 26 -や教員個人の諸活動に対する自己点検・評価報告書の結果を翌年度シラバスの作成および授業改善に活かしており、FDにおける教育能力の維持・向上に関する啓発、授業参観によるピアレビューを行っている。また、研究能力の向上については、個々の教員が研究活動を行っており、その成果を学会・研究会での発表や論文として発表しており(基礎資料15)、科学研究費をはじめとする競争的研究費の獲得においても一定の成果を得ている。研究成果については、個々の教員の学術論文、著書、学会報告などをまとめた「教員個人による諸活動について」と題する報告書を作成しており、社会に向けてはホームページの教員紹介ページで累積の全業績を公表している。しかし、直近年度まで業績が更新されている教員と更新されていないと思われる教員が混在するので、情報の更新状況を学部で点検し、最新の情報に更新しておくことが望ましい。実務系専任教員が常に新しい医療に対応するための臨床経験を積むことのできる研修制度は構築されていないので、制度の構築が望まれる。実験系研究室の総面積は約2,100㎡であり、配属学生(5、6年)1名当たりの平均面積は13.2㎡となる(基礎資料11、12)が、最も少ない研究室では7.14㎡となっている。また、非実験系の研究室の面積平均値は、1名当たり8.71㎡である(基礎資料11、12)。研究経費は、職位に応じて「分野別共同研究費」および「個人研究費」が配分されており、それ以外に、学長の指定するテーマに関する学内の教育改革および地域研究に取り組む教職員又は組織(学部等)を財政的に支援するための予算である「学長裁量経費」がある。科研費など外部からの研究資金を含めて潤沢ではないが適切な額であると判断できる。外部からの研究資金を獲得する体制としては、「科学研究費の説明会」を開催している以外は、整備されていない。各教員が年間に担当する授業の時間数の週平均は3.9時間であるが、実務家教員が担当する時間数は平均6.32時間と多くなっている(基礎資料10)。教員の教育研究能力の向上を図るための組織的な取組み(FD)は、「長崎国際大学における点検及び評価に関する規程」および「長崎国際大学自己点検・評価委員会規程」の下、「自己点検・評価委員会」主導で全学的に行われる体制が組織化されている。FD活動には、毎回8割を超える教員の出席があり、平成14年以来、計76回のFDが開催されてきた。薬学部では、「薬学部FD委員会」を設け、授業改善策等の提案、「薬学研究発表会」の開催、新任教員に対するFDなどを実施している。新任教員に対しては、毎年度、薬学部新任教員研修セミナーを開催し、大学および薬学部の3つのポリシーの説明や教務、学生支援、学部運営等の説明を行っている。- 27 -「授業評価アンケート」は、全科目ではなく各教員が1科目以上行うことになっている。アンケートの結果は、「自己点検・評価委員会」で集計し、各教員に対して全学平均と合わせてフィードバックしている。各教員は、これらの結果から「アクションプランシート」を作成し、翌年度の授業改善に努めている。さらに公開授業を教員全員が順番に行い、多くの教職員が参観して評価することで授業改善に役立てている。長崎国際大学の事務組織および事務分掌は、「長崎国際大学事務組織」によって定められており、「薬学部事務室」は事務室長、教務担当事務職員および会計担当事務職員の3人体制となっている(基礎資料8)。また、演習、実習、実験などの補助にあたる学生35人をSA、大学院生1人をTAとしている(基礎資料8)。しかし、薬用植物園、実験動物施設などは専任教員が担当しており、運営、管理を担当する専門要員は置かれていない(基礎資料8)。薬学部の事務職員は、教学の事務作業も担当し、薬学部教授会に同席している。しかし、事務職員などと教員が連携して資質向上を目指す取組みは行われていない。11 学習環境本中項目は、適合水準に達している。薬学部は、1学年(定員120人)全員を収容できる講義室を6室、「薬学教育支援センター」に大講義室(収容人員240人)を有している(基礎資料12)。すべての講義室には、大型ホワイトボード、プロジェクター、スクリーン等の視聴覚設備が設置されている。一方、小クラス編成の講義・演習には演習室(収容人員各25人)3室、講義室(収容人員56人)2室を使用し、「ラーニング・コモンズ」はグループ学習に対応する構造となっている(基礎資料12)。「教養セミナー」等の参加型少人数教育には、教員研究室(収容人員8人)41室および「薬学教育支援センター」を利用している(基礎資料12)。基礎の実習は3つの実習室(収容人員168人)で行っている(基礎資料12)。実習室には、実験台、視聴覚機器、排気装置付きフード、純水製造装置他、基本的な設備を有している。また、生物系実習室には、クリーンベンチ、安全キャビネット、細胞培養装置等を備えている。情報処理演習には全学共通の施設「メディアセンター」を使用しており、センターにはLANに接続されたPC187台が準備され、「コンピュータ基礎演習」や共用試験CBTの会場として利用している。動物実験施設は、SPF動物飼育室、SPF動物実験室等を備えている。放射線教育研究施設には、管理区域のRI実験室と監視区域の化学・物理系実習室を設けている。薬用- 28 -植物園は3カ所に分散しており、59種薬木類および草本性の薬用植物117種が育成されている。「実務実習事前学習」では、SGD形式の演習には「実務系実習室」を使用し、実習施設としては、「お薬相談室併設模擬薬局」、「模擬病室」、「模擬クリーンルーム」および「薬品情報室」が整備されている。「卒業研究」における1研究室あたりの配属学生数と研究室面積(基礎資料11)から、配属学生が同時に研究活動を行う場合でも1名あたりの実験スペースは最低7㎡が確保されており、6年生については、全研究室で個別デスクが確保されている。しかし、5年生については、大テーブルを共用する等で対応したり、5年生と6年生の同居時間を短くしたりするなど工夫している。研究室には基本的な機器機材が備えられており、継続的に充実化が図られている。共同利用実験室としては低温実験室、NMR室、MS室などが整備されている(基礎資料12)。これらの実験室では高度な測定機器が利用できるが、機器や設備は、開学から10年を経過して更新や修理が必要となり始めている。図書館の総面積は1,683㎡で、276席の閲覧席(116席はLAN接続可能)と、研究個室4室を有している。学内では、すべてのPCから図書館のホームページを通して蔵書検索(OPAC)が行える。また、コピー機や視聴覚資料(DVD、VHSビデオ等)を利用するためのAVコーナーも設置されている(基礎資料13)。図書館の蔵書は、和書62,435冊、洋書13,873冊、視聴覚資料が2,668点となっている(基礎資料14)。これらのうち、自然科学書に分類されるものは、和書17,386冊、洋書3,677冊、視聴覚資料883点である。購読している冊子体の和雑誌は257タイトル、洋雑誌は120タイトルであり、オンラインジャーナルは3,000タイトル以上が全文閲覧可能となっている。自習スペースとしては、図書館の閲覧席、教室、薬学研究棟の2つの演習室が利用可能であり、その他に教室棟2階と研究棟2階を結ぶ渡り廊下には、10組のデスクとロングチェアーが設置されており、日常の自習スペースとして機能している(基礎資料12)。なお、「ラーニング・コモンズ」は留年生が優先的に利用できるよう配慮されており、学習参考書・国家試験問題集等も開架閲覧可能になっている。図書館の開館時間は、授業開講期間が、平日9:00~21:00、土曜日9:00~18:00、定期試験期間および試験1週間前は、日曜日・祝日の9:00~18:00も開館し、休暇期間は平日9:00~17:00、土曜日9:00~13:00となっている。また、薬学棟の自習室と「薬学教育支援センター」は、施錠時刻の23:30まで利用することが可能であり、学生の自習時間の確保に配慮している。- 29 -12 社会との連携本中項目は、適合水準に達している。長崎国際大学薬学部は、「薬学研究センター」を開設して医療界や産業界から訪問研究員および特別研究生を受け入れる体制を整え、平成28年度には訪問研究員として18人を受け入れている。また、民間企業、医療機関等との共同研究・委託研究にも取り組んでおり、長崎大学、長崎県立大学との「多職種協働による在宅がん医療・緩和ケアを担う専門人材育成拠点」プロジェクトは高い評価を受けている。地域の関係団体や行政機関との連携では、「長崎薬学コンソーシアム」に参画し、長崎大学薬学部、地域の薬剤師会、病院薬剤師会等と実務実習実施に関する情報交換を行っている。特定非営利活動法人「ひびきあいネットワーク長崎」を設立し、薬剤師会との連携の下に模擬患者(SP)を養成している。また、「長崎国際大学薬学部薬剤師育成協力者養成講座」を開催し、「実務実習事前学習」における指導協力者およびOSCEにおける薬剤師協力者を養成し、臨床講師として委嘱することにより教育効果を高めている。さらに、「認定実務実習指導薬剤師養成ワークショップ」を大学で開催し、実務家教員をタスクフォースとして派遣して、薬剤師の資質向上に貢献している。他に長崎県環境審議会委員、佐世保市医療安全推進協議会委員などの公的委員に平成28年度は26人が就任している。薬剤師の資質向上を図る取組みとしては、長崎県薬剤師会の「実務実習委員会」および「生涯教育委員会」の委員、地域の薬剤師会などが主催する講演や薬剤師に対するフィジカルアセスメント研修会へ講師を派遣している。また、「長崎国際大学薬学部生涯教育セミナー」などを開催している。長崎国際大学薬学部では、薬学部教員が講師となって、地域住民を対象に公開講座を開設しており、佐世保市が主催する公開講座にも平成28年度は2人の薬学部教員を講師として派遣している。また、地域住民への在宅ケア・地域医療の推進を目指して「平成28年度長崎県民フォーラム」を開催(209人参加)した。この他、科学技術振興機構の事業「中高生の科学研究実践活動推進プログラム」において、長崎県内の高校生を対象に薬学関連の実習と講義を実施し、長崎、佐賀県下の高校生を対象に「高校生夏休み薬学研究体験」を開催した。平成28年度には、薬学科の神経薬理学所属の教員が、長崎県立佐世保西高校において生徒および教職員を対象に麻薬・覚せい剤などの薬物乱用の薬理と危険性について講演を行った。さらに、公衆衛生所属の教員が、夏休みや冬休みに、小・中学生を対象に科学教室- 30 -を開催している。長崎国際大学は、ホームページに英文、中文等によるトップページを開設しているが、薬学部独自の英文ホームページは開設されていない。長崎国際大学は11ヵ国、50大学との間で大学間協定を締結し、国際交流を行っている。薬学部独自の提携としては、タイのコーンケーン大学薬学部とタイのランジット大学薬学部との間で学術交流協定を締結し、交換留学生の受け入れ、共同研究および教育活動などを行っている。長崎国際大学には夏季に提携校への短期留学プログラムがあるが、薬学部学生は参加していない。また、教員留学規程による海外研修制度についても、薬学部教員の利用実績はない。他方、韓国からは12名の留学生が薬学部で学んでおり、中国、ケニア、ベトナム、インドからの訪問研究員の受け入れ実績もある。この他、教員は海外でのシンポジウム等に参加している。13 自己点検・評価本中項目は、おおむね適合水準に達しているが、自主的な薬学教育プログラムの点検・評価とそれに基づく改善への取組みに懸念される点が認められる。長崎国際大学の自己点検・評価に関わる活動は、全学委員会である「自己点検・評価委員会」が実施している。薬学部では、自己点検・評価を行う組織として「薬学教育第三者評価・実施検討委員会(薬学部自己点検評価委員会)」を設置している。「薬学部自己点検評価委員会」は、学部長を委員長とし、学科長、全学自己点検・評価委員会薬学部委員、薬学部各種委員会委員長および薬学事務室長から構成されており、外部委員は含まれていない。長崎国際大学は、規程により2年に一度自己点検・評価を実施しており、自己点検・評価の項目は、大学機関別認証評価の項目に準拠している。「薬学教育第三者評価・実施検討委員会(薬学部自己点検評価委員会)」は、全学での自己点検・評価において薬学部に関係する部分の取りまとめを行っているほか、薬学教育に関する「自己評価21」や「平成27年度薬学部自己点検・評価書」の作成に中心的な役割を果たしている。しかし、「薬学教育第三者評価・実施検討委員会(薬学部自己点検評価委員会)」がこれまでに取り組んだ点検・評価は、大学が実施する点検・評価の分担、ないしは外部評価に対応するものにとどまっており、薬学部が自主的に薬学教育プログラムの向上と発展を目的として恒常的な自己点検・評価を行っているとは言えない。- 31 -長崎国際大学は、平成26年度に行われた日本高等教育評価機構による「大学機関別認証評価の自己点検・評価書」をホームページ上で公開している。また、薬学部では「自己評価21」をホームページ上で公開しているが、それ以後には薬学部独自の薬学教育に関する自己点検・評価の結果を公開していない。長崎国際大学では、「授業評価アンケート」、「在学生アンケート」および「卒業生アンケート」を実施し、それらの結果から改善すべき点を学科や各種委員会で協議して教育の改善に努めている。また、長崎国際大学は、平成27年度から「大学IRコンソーシアム」に加盟し、大学に「IRセンター」を開設し、「在学生アンケート」などの結果を「IRセンター会議」において解析して問題点を抽出し、学部、学科に改善策を提案できる体制を整えている。「授業評価アンケート」は学期毎に1回実施し、学生の授業に対する評価と感想、要望を含めて、Web上で全教職員に公開しており、学生も授業評価結果と「アクションプランシート」を閲覧出来る。また、薬学部では授業公開を行い、その結果を教員の授業改善に活用している他、教育実践に顕著な成果をあげた教員を表彰する「ベストティーチャー賞」を創設しているとしており、研究活動についての自己点検・評価も行っている。しかし、上述したさまざまな取組みは、個々の教員の自己点検・評価による授業などの改善を図るもので、学部として薬学教育プログラム全体の改善を目指すものとは言えない。薬学部では「自己評価21」以後、本評価に対応する「平成27年度の薬学部自己点検・評価書」の作成までの間、薬学教育プログラムに対する学部としての総合的な点検・評価を行っておらず、自己点検・評価の結果を教育研究活動に反映する体制も整備されているとは言い難い。今後は、本評価の結果を生かして、学部として薬学教育全体の改善に取り組むことが必要である。Ⅳ.大学への提言1)長所1. 障がいのある学生に対して、学修補助、施設・設備の整備に加えて、「障がい学生に対する修学支援費」が支給されているなど、就学支援が充実している。(9.学生の支援)2. 大学教員・関係者が共同して教育もしくは研究を行う機関として「薬学研究センター」が設置され、他大学や民間等外部機関との共同研究等の推進、研究の交流支援、地域- 32 -社会における技術開発・教育の振興に貢献している。(12.社会との連携)2)助言1. 薬学部の「教育研究上の目的」の検証には薬学部の教育と研究に責任を負う薬学部教授会が主体的に関わることが望ましい。(1.教育研究上の目的)2. ヒューマニズム教育・医療倫理教育を主目的とする専門科目が少なく、教養教育科目は1年次でしか履修できないことから、ヒューマニズム教育・医療倫理教育が系統的に行われていないことが懸念されるので、専門科目を増やすなど上級学年まで継続するようカリキュラムを充実させることが望ましい。(3.医療人教育の基本的内容)3. コミュニケーション能力および自己表現能力を育成する教育を行う独立した科目がなく、これらの教育に充てる時間が不足していることが懸念されるので、これらの教育を専門に行う科目を増やすなど、カリキュラムを充実させることが望ましい。(3.医療人教育の基本的内容)4. 卒業生、地域の薬剤師並びに在学生を対象として実施している研修会への参加学生数を増やすことが望ましい。(3.医療人教育の基本的内容)5. シラバスやカリキュラムマップによる科目間の関連性、連続性の説明を、学生に分かりやすい形にしておくことが望ましい。(4.薬学専門教育の内容)6. 「卒業研究」の評価を行う主査と副査が学生の配属先の教員であるのは、厳正な評価を行う体制として好ましくないので、副査は所属研究室以外から任命することが望ましい。(6.問題解決能力の醸成のための教育)7. 入試関連の組織(入試・募集委員会、作問委員会)は、大学全体の組織であり、合否判定も入試・募集委員会、全学教授会で審議の後、学長が決定する体制である。入学志願者の評価と受け入れの決定に関して、薬学部として責任を持つことができる体制で行うことが望ましい。(7.学生の受入)8. 教育研究上の目的に基づいた教育における総合的な学習成果を適切に評価することが望ましい。(8.成績評価・進級・学士課程修了認定)9. ホームページに掲載されている研究業績、教育業績の更新状況を点検し、全教員の業績を最新のものとすることが望ましい。(10.教員組織・職員組織)10. 実務系専任教員が外部医療機関で研鑽する制度を設けることが望ましい。(10.教員組織・職員組織)11. 学生対象の短期留学プログラムや教員対象の留学・研修制度も設けられているが、何- 33 -れも利用実績がないので、利用を促すことが望ましい。(12.社会との連携)12. 薬学部の自己点検・評価を行う委員会には、外部委員を加えることが望ましい。(13.自己点検・評価)3)改善すべき点1. 学則第3条の3にある「薬学科の目的」は、薬学教育の一般的な定義を述べているだけで、本評価の基準が求める「教育研究上の目的」とは言えないので、「長崎国際大学の理念」、「薬剤師養成教育に課せられた基本的な使命」、および「薬学部に課せられた研究の使命」を端的に表現する「教育研究上の目的」を策定して学則に明記するよう、早急に改善することが必要である。(1.教育研究上の目的)2. 時間割上の学習時間配当が「卒業研究」より国家試験受験対策教育を重視したものになっていることから、学生に対して国家試験受験対策教育が卒業研究より重要であるという認識を与えることが懸念されるので、「卒業研究」の時間割上の配当を改善することが必要である。(2.カリキュラム編成)3. ヒューマニズム教育・医療倫理教育を行っている科目の多くが講義科目であり、目的に合った効果的な学習方法が用いられていると言えないので、学習方法の改善を図ることが必要である。(3.医療人教育の基本的内容)4. ヒューマニズム教育・医療倫理教育に対応する科目において、総合的な目標達成度を評価するための指標が設定されていないので、それらを設定してそれに基づく適切な評価を行うことが必要である。(3.医療人教育の基本的内容)5. コミュニケーション能力および自己表現能力の育成に対応する科目において、総合的な目標達成度を評価するための指標が設定されていないので、それらを設定してそれに基づく適切な評価を行うことが必要である。(3.医療人教育の基本的内容)6. 到達目標の学習領域(知識・技能・態度)と学習方法とが整合していない科目が散見されるので、各授業科目に含まれる到達目標を精査し、それぞれの到達目標の学習領域にあった学習方法による授業を行うように改善することが必要である。(4.薬学専門教育の内容)7. 大学独自の薬学専門教育を行う科目のシラバスに、大学独自科目であることが明記されていないので、学生に独自の教育であることが分かるように明示することが必要である。(4.薬学専門教育の内容)8. 「卒業研究」の時間がさまざまな理由で分断されているために、落ち着いて実質的な- 34 -研究に継続して取り組むことができる時間が不足し、「薬学教育モデル・コアカリキュラム」のE1が求めている到達目標とシラバスの趣旨に叶う教育が十分に行われていないことが懸念されるので、「卒業研究」の実施時期、実施時間、「総合演習」との時間配分などを検討し、「卒業研究」を充実したものにすることが必要である。(6.問題解決能力の醸成のための教育)9. 「卒業研究発表会」は、広い範囲からの質疑を受けることで考察の幅を広げ、大学が目指す教育研究上の意義に合致するものとなるよう、研究室単位ではなく学部全体で行う形に改めることが必要である。(6.問題解決能力の醸成のための教育)10. 問題解決能力の醸成を目指す教育全体としての目標達成度を評価するための指標の設定とそれに基づく評価が行われていないので、指標を設定し、それに基づく評価を行うことが必要である。(6.問題解決能力の醸成のための教育)11. 入学試験で入学志願者の適性および能力が適確かつ客観的に評価されていないことが懸念されるので、入学者選抜の方法と基準を検討し、入学者の基礎学力の改善を図ることが必要である。(7.学生の受入)12. 「総合演習ⅢB」の単位認定に関わる評価基準につけられている「(外部)模擬試験の成績を受験資格判定に用いる」という条件は早急に削除することが必要である。(8.成績評価・進級・学士課程修了認定)13. 必修科目である「総合演習ⅢB」の合否を、2回の試験の成績に基づく教授会での審議結果を受けて学長が決定することによって卒業の可否を決めていることは、ディプロマ・ポリシーに基づく学士課程修了認定の趣旨にそぐわないので、是正することが必要である。(8.成績評価・進級・学士課程修了認定)14. 「薬学教育第三者評価・実施検討委員会(薬学部自己点検評価委員会)」を、第三者評価への対応目的ではなく、薬学教育プログラムの向上と発展を目的に自己点検・評価を行うことができる組織に改善し、恒常的な点検・評価を行うことが必要である。(13.自己点検・評価)15. 個々の教員や委員会単位で行った自己点検・評価の結果を、それぞれに関わる個別の改善に生かすだけでなく、学部として行った薬学教育プログラム全般に対する自己点検・評価の結果を、学部の教育研究の改善に生かす取組みを行うことが必要である。(13.自己点検・評価)- 35 -Ⅴ.認定評価の結果について長崎国際大学薬学部(以下、貴学)薬学科は、平成27年度第一回全国薬科大学長・薬学部長会議総会において、平成29年度に薬学教育評価機構(以下、本機構)による「薬学教育評価」の対象となることが承認されました。これを受けて貴学は、平成28年度に本機構の「薬学教育評価 評価基準」(以下、「評価基準」)に基づく6年制薬学教育プログラムの自己点検・評価を実施し、その結果をまとめた「調書」(「自己点検・評価書」および「基礎資料」)と添付資料を添えて「薬学教育評価申請書」を本機構に提出しました。Ⅰ~Ⅳに記載した内容は、本機構が上記により貴学が提出した「調書」に基づいて行った第三者評価(以下、本評価)の結果をまとめたものです。1)評価の経過本評価は、本機構が実施する研修を修了した5名の評価実施員(薬学部の教員4名、現職の薬剤師1名)で構成する評価チームによるピア・レビューを基本にして行いました。まず、個々の評価実施員が「調書」に基づいて「評価基準」の達成状況を検証して所見を作成し、それらを評価チーム会議で検討して評価チームの所見をとりまとめる書面調査を行いました。評価チームは、書面調査の所見を整理した結果に貴学への質問事項などを加えた「評価チーム報告書案」を作成し、これを貴学に送付して、質問への回答と「評価チーム報告書案」に対する貴学の意見(第1回目のフィードバック)を求めました。評価チームは、貴学からの回答と追加された資料、並びに「評価チーム報告書案」に対する意見を検討して「評価チーム報告書案」の所見を修正し、その結果を踏まえて訪問調査を実施しました。訪問調査では、書面調査では十分に評価できなかった点を含めて貴学の6年制薬学教育プログラムの状況を確認することを目的に、「訪問時閲覧資料」の閲覧、貴学との意見交換、施設・設備見学と授業参観、並びに学生および若手教員との意見交換を行いました。訪問調査を終えた評価チームは、訪問調査で得た情報と書面調査の所見を総合的に検討し、「評価チーム報告書」を作成して評価委員会に提出しました。「評価チーム報告書」の提出を受けた評価委員会は、評価チームの主査を含めた拡大評価委員会を開いて、評価チームの判断を尊重しつつ、大学間での「評価結果」の偏りを抑えることを目指して「評価チーム報告書」の内容を検討し、その結果をもとに「評価報告書(委員会案)」を作成しました。次いで、評価委員会は「評価報告書(委員会案)」を貴学に送付し、事実誤認および誤解を生じる可能性がある表現などに対する「意見申立て」(第2回目のフィードバック)を受けました。- 36 -評価委員会は、申立てられた意見を検討し、その結果に基づいて「評価報告書(委員会案)」を修正するための拡大評価委員会を開催し、「評価報告書原案」を確定しました。本機構は「評価報告書原案」を、外部有識者を含む評価の最高意思決定機関である総合評価評議会において慎重に審議し、「評価報告書」を確定しました。本機構は、「評価報告書」を貴学に送付するとともに社会に公表し、文部科学省および厚生労働省に報告します。なお、評価の具体的な経過は「4)評価のスケジュール」に示します。2)「評価結果」の構成「評価結果」は、「Ⅰ.総合判定の結果」、「Ⅱ.総評」、「Ⅲ.『中項目』ごとの概評」、「Ⅳ.大学への提言」で構成されており、それらの意味は以下の通りとなっています。「Ⅰ.総合判定の結果」には、貴学の薬学教育プログラムが総合的に本機構の「評価基準」に適合しているか否かを記しています。「Ⅱ.総評」には、「Ⅰ.総合判定の結果」の根拠となった貴学の薬学教育プログラムの本機構の「評価基準」に対する達成状況を簡潔に記しています。「Ⅲ.中項目ごとの概評」には、「評価基準」を構成する 13 の『中項目』ごとに、それぞれの『中項目』に含まれる【基準】・【観点】に対する充足状況の概要を記しています。「Ⅳ.大学への提言」は、「評価結果」に関する本機構からの特記事項で、「1)長所」、「2)助言」、「3)改善すべき点」に分かれています。「1)長所」は、貴学の特色となる優れた制度・システムであり、教育研究上の実績が他大学の模範となると期待されるものです。「2)助言」は、「評価基準」を達成する最低要件は充たしているが、目標を達成するためには改善が望まれることを示すものです。「助言」の内容に対する改善の実施は貴学の判断に委ねますが、個々の「助言」への対応状況についての報告書の提出が必要です。「3)改善すべき点」は、「評価基準」が求める最低要件を充たしていないと判断された問題点で、貴学に対して「評価基準」を達成するための改善を義務づけるものです。「改善すべき点」については、早急に改善に取り組み、「評価基準」を達成したことを示す成果を「提言に対する改善報告書」として所定の期限内に本機構に提出することが必要です。本「評価結果」は、貴学の「自己点検・評価書」および「基礎資料」に記載された、評価対象年度である平成 28 年度における薬学教育プログラムを対象にしたものであるため、現時点ではすでに改善されているものが提言の指摘対象となっている場合があります。な- 37 -お、別途提出されている「調書」の誤字、脱字、数値の誤記などに関する「正誤表」は、本「評価報告書」、「調書」を本機構のホームページに公表する際に、合わせて公表します。3)提出資料一覧(調書) 自己点検・評価書 薬学教育評価 基礎資料(添付資料) NIU GUIDE BOOK2017 学生便覧 履修の手引 オリエンテーション資料 シラバス(全学共通) シラバス(学科専門・新カリ)3次カリ シラバス(学科専門・旧カリ)1・2次カリ シラバス(3次カリ開講予定新規科目)及びカリキュラム新旧対照表(3次カリ及び2次カリ科目間の読み替え表) 平成28年度時間割(前期・後期) 2017(平成29)年度学生募集要項 規程集 平成26年度第1回全学教育会議資料1「全学教育会議の発足について」 平成26年度第9回定例薬学部教授会資料6-2「H27カリキュラム3ポリシーについて」 平成26年度第2回全学教育会議資料2「長崎国際大学の3ポリシーについて」 平成26年度第12回全学教授会資料5「長崎国際大学ディプロマポリシー、カリキュラムポリシーの変更について」 平成23年度第9回薬学部教授会資料2-1「履修単位変更ならびに新カリキュラム編成に関する薬学部の」回答について」 平成26年度第9回定例薬学部教授会議事録P.4「新カリキュラム作成委員会からの協議事項」 ホームページ:目的と3つのポリシー- 38 -(http://www1.niu.ac.jp/about/policy/)(http://niupr.jp/exam/policy/) 平成27年度第7回定例薬学部教授会資料3-2「研究室配属における配属枠の決定方法について」 演習計画一覧 ホームページ:薬学部薬学科カリキュラム・シラバス(http://www1.niu.ac.jp/course/pharmacy/curriculum/) 薬学部運営実務要諦 2次及び3次カリキュラムツリー 事前訪問資料 施設訪問報告書 平成28年度第5回臨時薬学部教授会資料3「2016年長崎県環境保健センターの見学について」 平成28年度早期体験学習ガイドブック・スモールグループディスカッション(SGD)プロダクト 平成28年度早期体験学習レポート(病院・薬局・研究機関)「医療人育成のためのポートフォリオ2016」ハードコピー(一部分) 平成28年度早期体験学習振り返りSGD・プロダクト 平成28年度臨床体験学習カリキュラム・スケジュール 平成28年度臨床体験学習・評価表・レポート 平成28年度第6回臨時薬学部教授会資料2-1「総合基礎学習Ⅰ」の評価 長崎国際大学薬学部事前学習計画 各ユニット実習書 ユニットごとに指標を定めた評価表 平成28年度保護者懇談会資料 平成28年度薬学部新任教員研修セミナー実施報告書 平成28年度ボランティア体験学習ガイドブック・発表会スケジュール表・評価表・プロダクト 卒業論文評価シート 「医療人育成のためのポートフォリオ2015・2016」ハードコピー(レポート) 「平成28年度卒業研究中間発表会」評価シート 平成28年度卒業研究中間発表会評価データ- 39 - 入学前教育用送付問題・評価、送付時カバーレター 平成28年度各科目プレイスメントテスト問題 平成28年度プレイスメントテスト結果によるクラス分け 薬害に関する「薬学入門」講師・講義タイトル 非常勤講師出勤簿(事前学習臨床講師) 平成28年度学生の学会・論文発表リスト 生涯教育セミナー開催状況 「薬学入門」講師一覧表 非常勤講師発令通知書 「長崎国際大学薬学部薬剤師育成協力者養成講座」の開催実績等 NICEキャンパス長崎(http://nicecampus.nagasaki-chiikiedc.jp/) 「NICEキャンパス長崎」の受講状況等 薬剤師育成協力者養成講座開設のお知らせとプログラム 事前学習補助者名簿 平成28年度OSCE評価者依頼及び講習会案内と参加名簿 特定非営利活動法人ひびきあいネットワーク長崎定款 特定非営利活動法人ひびきあいネットワーク長崎 平成28年度事業報告と模擬患者(SP)名簿 総合実習試験評価表 学生自己評価表(生物薬剤・処方箋解析) 実務実習形成的評価表(病院・薬局) 平成28年度5年生実務実習前実力試験 平成28年度事前学習総括評価採点表 長崎国際大学薬学部平成28年度共用試験CBT本試験実施要領及び再試験実施要領 平成28年度長崎国際大学薬学部OSCE実施マニュアル及び追再試験実施マニュアル 「薬学共用試験の実施時期、合格者数等」ハードコピー 薬学部各種委員会 CBT受験生講習会 CBT監督者向け講習会 薬学部OSCE実施委員会及び組織図 評価者養成講習会、直前評価者講習会案内状と参加者リスト、模擬患者養成講習会案- 40 -内状と参加者リスト ステーション責任者会議議事録 ステーション管理者及びスタッフ会議議事録 事務スタッフ及び学生スタッフ説明会日程表と参加者リスト 実務実習先説明資料 平成28年度健康診断受診状況 ウィルス感染症に関する抗体価基準表 実務実習に関する申し合せ事項(平成22年5月13日) 実務実習説明会資料、実務実習施設と学生配属決定方法と基準について サイボウズ(実務実習) 第12回長崎薬学コンソーシアム会議次第及び会議議事要旨 長崎県薬剤師会定時総会開催案内 長崎国際大学実務実習手順書(病院) 長崎国際大学実務実習手順書(薬局) 施設訪問手順書 実務実習日誌フォーマット及びプロダクト(例) サイボウズ(実務実習)の実務実習記録 実務実習トラブル報告書 各施設への誓約書様式 地区調整機構誓約書様式 各指導薬剤師宛のメール文 統一総括評価表 成長報告書 学生用総括自己評価表 平成28年度実務実習に関する学生アンケート結果 平成28年度実務実習に関する施設アンケート結果 実務実習運営協議会議事録 「大村彼杵地区実務実習意見交換会」案内 鹿児島県病院薬剤師会実務実習関連会議(4月) 平成28年度実務実習学生説明会資料 実務実習運営委員会議事録- 41 - 担当教員用総括評価表 平成28年度総括評価採点表 平成27年度第5回臨時薬学部教授会資料5「4年生研究室配属(案)」 平成28年度 卒業研究中間発表会スケジュール表 平成28年度卒業論文作成要領 テーマ別学習概要H28 薬学部「卒業研究要旨集」 教養セミナー・基本スキルトレーニング概要 生命倫理「生命技術と生命倫理」講義内容とディベートの概要 薬理学実習・成績評価基準表 問題解決型学習関連講義一覧 薬理学Ⅱ 症例調べ学習課題例 平成28年度高校訪問・入学相談会・大学見学会(入試・募集センター) 平成28年度オープンキャンパス実施スケジュール(第1回~第4回) 平成28年度「高校生夏休み薬学研究体験」開催案内、「高校生夏休み薬学研究体験」実習書 小論文・課題論文の課題一覧(抜粋) プレイスメントテスト(化学)の平均値の経年変化 1年次成績のGPA平均値の経年変化 定期試験成績提出・面談スケジュール(前期分) サイボウズ「成績管理」ハードコピー 成績通知書 GPA席次表(平成27年度) 平成28年度1年生留年生成績・出席率一覧 薬学教育支援センター役割図 平成28年度薬学教育支援センター「出欠確認ボード」 ポートフォーリオの使用状況 定期試験後面談記録 平成28年度 留年生の「授業時間割・学習の目標計画」 FD実施一覧 学習プログラム- 42 - 学生指導記録 カリキュラム変遷と成績変化 6年次留年確定者への説明会開催案内 平成28年度学生名簿(4月1日現在) 平成28年度教務スケジュール 平成28年度オフィスアワー(薬学部) H28年度Learning Assistant制実績報告書 奨学金及びローンのご案内(http://www1.niu.ac.jp/life/scholarship/) 2016奨学金 説明会の掲示 平成28年10月現在 薬学部日本学生支援機構奨学金受給者数 平成28年熊本地震被災学生等への対応について(第1次裁定) 薬学部薬学科特待生推薦に関する申し合わせ 平成28年度薬学部特待生・減免奨学生在籍者数 薬学部学業奨励賞の運用に関する申し合わせ、荒川正幸教授奨励賞に関する申し合わせ、今泉貴世志奨励賞表彰内規 平成28年度発行キャンパスライフ・ヘルスサポートセンターだより 「心の健康調査」及び該当学生への渡し文書サンプル 平成28年度 NIUランチアワーのお知らせ キャンパスライフ・ヘルスサポートセンターについて 学生支援のFD・SD開催一覧 平成28年度前期の薬学部生のCHサポートセンター保健室利用状況 平成28年度学生定期健康診断日程表 熱中症対策講習会 (http://www1.niu.ac.jp/topics/life/2016/4198.html) 平成28年度各学科AED講習会実施報告書 AED設置場所(http://www1.niu.ac.jp/about/campusmap) 誓約書 STOP harassment ハラスメントのない大学にするために ハラスメントに関する相談(http://www1.niu.ac.jp/life/hotline/) STOP!ハラスメントカード ハラスメントFD研修開催一覧 障がい等のある入学志願者の事前相談申請書- 43 - 授業において配慮が必要な学生への対応についての説明会案内文書 配慮が必要な学生及び配慮すべき内容(訪問時に開示) 平成28年度就職ガイダンス資料 平成28年度ビーイング研修資料 平成28年度仕事の魅力発見セミナー資料 平成28年度薬学部就職オリエンテーション資料、就職登録カード(5年) 平成28年度薬学部就職説明会実施要領、参加事業所プロフィール集、出席者名簿 平成28年度薬学部就職ガイダンス資料 平成28年度薬学部卒業後の進路を考えるセミナー実施概要・出席者名簿 6年生へ 薬学部就職委員会からの伝達事項 就職登録カード(6年) 授業アンケート調査票 平成28年度1年生調査・上級生調査(在学生アンケート)調査票 大学IRコンソーシアム(http://www.irnw.jp/) 平成28年度卒業生アンケート調査票及び結果 平成28年度学長カフェ実施記録 長崎国際大学薬学部における実験の手引き(第4版) 平成28年度各実習のTA・SA数 静脈認証入室管理システム写真及び入室制限の掲示文書 長崎国際大学薬学部平成28年度安全管理調査結果、平成28年度毒劇物の管理状況とガスボンベに関する検査報告書 交通安全教室(http://www1. niu.ac.jp/topics/life/2016/4310.html) 平成28年度新入生対象学生課オリエンテーション資料(防犯講習会及び護身術の日程) 平成28年度消火・避難訓練(http://www1.niu.ac.jp/topics/general/2016/335.html) 緊急連絡!カード 見本 長崎国際大学薬学部緊急連絡シート 受賞者リスト 薬学部取得特許等一覧 大学院のマル合判定教員一覧 発表抄録 平成28年度カリキュラム(1~2年生) (3~6年生)担当者一覧- 44 - 平成28年度授業参観アンケート集 平成28年度薬学部薬学科研究分野別教員配置図及び予算 研究費獲得状況 薬学部薬学科研究室紹介(http://www1.niu.ac.jp/course/pharmacy/research/) 図書館ホームページ:論叢(http://library.niu.ac.jp/NiuDA/RNS/menu/ronsou.htm) 薬学部設立10周年記念誌、p.44-97 職位別平均時間数 科研費説明会日時等 長崎国際大学学術研究報告会資料 薬学研究発表会資料 平成27年度薬学部自己点検・評価書 SD実施一覧 実習室備品一覧 実験動物微生物検査成績書 検証実施証明書 動物実験に関する情報((http://www1.niu.ac.jp/about/disclosure/#id5083) 平成19年放射性同位元素等使用許可証 平成22年放射性同位元素等使用許可証 事前学習グループ分けの資料 卒業研究の配属資料 平成27年度薬学部共通機器一覧 図書館ホームページ:図書館を利用する(http://www.niu.ac.jp/library/guide) 図書館ホームページ:資料を探す:本・雑誌を探す:雑誌リスト(http://www.niu.ac.jp/library/search) 図書館資料(図書館委員による選書リスト(薬学科)) 図書館ホームページ:もっと図書館/イベント(http://www.niu.ac.jp/library/information#m1) 6・7号館の自学及びLA支援に使用する部屋についての取決め 薬学部薬学研究センター訪問研究員許可願受付簿 平成28年度薬学部受託・委託研究一覧 多職種協働による在宅がん医療・緩和ケアを担う専門人材育成拠点 年間活動報告書- 45 - 長崎薬学コンソーシアム規程 「第55回認定実務実習指導薬剤師養成ワークショップ in 九州・長崎」報告書 認定実務実習指導薬剤師養成ワークショップ in 九州への派遣状況 薬学部教員の受託委員一覧表 薬剤師研修会等への講師派遣状況 長崎国際大学公開講座案内 平成28年度佐世保まちなか大学案内 長崎国際大学教員による公開講座実施状況 長崎県民フォーラム開催案内 体験学習「薬学の世界を知る-くすりを創る、使う-」(http://www1.niu.ac.jp/society/ssp/) 薬物乱用防止に関する講演の依頼書 佐世保市少年科学館「星きらり」科学教室開催案内と講師依頼状 「地域の期待に応える実践活動」に関する資料 「大学間連携共同教育推進事業」中間結果評価一覧 薬品物理化学研究室の英文HP(http://210.191.85.3/~pharm1/lab/physchem/indexenglish.html) 交流大学概要 (http://www1.niu.ac.jp/international/) 長崎国際大学薬学部とコーンケーン大学薬学部との学術交流協定書 長崎国際大学薬学部とランジット大学薬学部との学術交流協定書 平成28年度 夏季短期留学 募集要項 平成28年度海外出張申請履歴 全学教育会議次第(平成27年度第4回・28年度第2回) 長崎国際大学自己点検・評価報告書一覧 平成26年度大学機関別認証評価 自己点検評価書[日本高等教育評価機構](http://www1.niu.ac.jp/about/disclosure/ 6534.html)HPのハードコピー 自己評価21(http://www1. niu.ac.jp/about/disclosure/ 3019.html)HPのハードコピー 平成29年度第1回IRセンター会議資料「平成28年度自己点検・評価委員会活動総括」 平成24~26年度在学生アンケート集計結果 平成26年度第7回定例薬学部教授会資料8「平成24~26年度在学生アンケートから抽出- 46 -された課題に対する改善策について」 大学IRコンソーシアム会員共通「一年生調査2015年」及び「上級生調査2015年」集計結果 平成28年度第10回IRセンター会議資料「2015年一年生・上級生調査」 平成28年度第9回定例薬学部教授会資料15「2015年一年生・上級生調査をもとにした解析結果(薬学部)」 平成28年度授業評価 ハイブリッドハードコピー manaba「大学からのお知らせ」ハードコピー 平成27(2015)年度ベストティーチャー賞候補者と選定基準 平成28年度第11回就職委員会議事録及び資料(薬学部就職率経年変化) 平成26年度第9回定例薬学部教授会議事録p.4 平成26年度第12回全学教授会議事録p.5 平成27年度第6回定例薬学部教授会議事録p.3 平成27年度第11回全学教授会議事録p.4 平成23年度第9回全学教務委員会議事録p.1 平成23年度第10回定例薬学部教授会議事録p.2 平成23年度第11回全学教授会議事録p.4 平成26年度第6回定例薬学部教授会議事録p.2 平成26年度第2回臨時薬学部教授会議事録p.2 平成26年度第9回全学教授会議事録p.10 「薬学入門」レポート 平成27年度第6回定例薬学部教授会議事録p.7 平成27年度第6回入試・募集委員会議事録p.1 平成20年度第10回薬学部薬学科会議議事録p.2長崎国際大学薬学部薬剤師育成協力者養成講座 平成28年度九州8大学病院薬局実習調整結果 委受託契約書 平成29年3月臨時学部教授会議事録 実務実習運営協議会、実務実習運営委員会 卒業論文 平成23年度第10回定例薬学部教授会議事録p.4 平成23年度第4回臨時薬学部教授会議事録p.2- 47 - 平成23年度第11回全学教授会議事録p.10 平成26年度第9回定例薬学部教授会議事録p.4 平成26年度第10回全学教授会議事録p.8-9 2017年度版(平成29年度)長崎国際大学入学試験マニュアル 2017(平成29)年度 長崎国際大学 推薦入学者選抜実施要領 2017(平成29)年度薬学部外国人留学生特別推薦入学者選抜実施要領 平成29年度長崎国際大学入学試験マニュアルp.22-30 平成27年度第4回教授会議事録p.5 保管問題・答案・定期試験成績記録表 平成28年度進級判定資料(教務課) 平成28年度第11回教務委員会議事録「進級判定」 平成28年度第11回定例薬学部教授会議事録「進級判定」 平成28年度第2回教務委員会議事録 平成28年度第1回定例薬学部教授会議事録p.3 平成27年度第9回定例薬学部教授会議事録.No.6-1,2 平成27年度第7回臨時薬学部教授会議事録.NO.1-1,2 平成27年度第6回定例薬学部教授会議事録p.3 平成27年度第11回全学教授会議事録p.4 平成28年度卒業判定資料(教務課) 平成28年度第2回臨時教務委員会議事録「卒業判定」 平成28年度第10回定例薬学部教授会議事録「卒業判定」 平成28年度第9回定例薬学部教授会議事録p.4「総合演習ⅢB 単位認定」 平成28年度第7回臨時薬学部教授会議事録p.1 平成27年度第11回定例薬学部教授会議事録 p.3(平成28年度薬学部特待生(1-4年)の推薦について) 平成27年度第10回臨時薬学部教授会議事録p2(平成28年度薬学部特待生・荒川賞・学業奨励賞(5年)の推薦について、平成27年度今泉貴世志奨励賞の推薦について 平成28年度第9回キャンパスライフ・ヘルスサポートセンター運営委員会議事録、p2 (平成28年度定期学生健康診断受診結果報告について) 平成28年度学生による授業評価アンケート集計結果 自己点検・評価報告書- 48 - 学生による授業アンケートに対する自己点検・評価報告書 長崎国際大学教員個人による諸活動について 自己点検・評価報告書 平成26年度第7回定例薬学部教授会議議事録p.3「在学生アンケートから抽出された課題についてのワーキンググループの設置について 入試問題 入学者を対象とする入試結果一覧表 授業リジュメ・授業で配布した資料・教材 健診受審記録 実習受入先・学生配属リスト 追再試験を含む定期試験問題 試験点数の分布表(ヒストグラム) 成績評価の根拠の分かる項目別配点表 教職員の研修(FD.SD)の実施に係る記録・資料 授業評価アクションプランシート4)評価のスケジュール貴学の薬学教育プログラム評価を以下のとおり実施しました。平成28年1月22日 日本薬学会長井記念館会議室において、貴学より担当者7名の出席のもと本評価説明会を実施平成29年3月13日 貴学より調書の草案の提出。機構事務局は内容を確認4月12日5月8日機構事務局より貴学へ草案の確認終了を通知貴学より「薬学教育評価申請書」の提出。機構は貴学へ受理を通知5月8日 貴学より評価資料(調書および添付資料)の提出。機構事務局は各評価実施員へ評価資料を送付、評価実施員は評価所見の作成開始~6月29日 評価実施員はWeb上の薬学教育評価管理システムに各人の評価所見を入力。主査はWeb上の各実施員の評価所見を基に「評価チーム報告書案」の素案を作成6月30日 評価チーム会議を開催し、Web上で共有した主査の素案を基に「評価チーム報告書案」を作成 7月31日 評価チームは「評価チーム報告書案」を機構事務局へ提出。機構事務局より貴学へ「評価チーム報告書案」を送付 8月21日 貴学より「評価チーム報告書案に対する確認および質問事項への回答」の提出。機構事務局はその回答を評価チームへ通知- 49 -9月7日 評価チーム会議を開催し、貴学からの「評価チーム報告書案に対する確認および質問事項への回答」を検討し、訪問時の調査項目を確認10月4日・5日 貴学への訪問調査実施10月14日 評価チーム会議を開催し、「評価チーム報告書」を作成11月21日 評価委員会委員長・副委員長会議を開催し、「評価チーム報告書」を検討11月26・27日 評価委員会(拡大)を開催し、「評価チーム報告書」を検討12月11日 評価委員会(拡大)を開催し、「評価報告書(委員会案)」を作成、承認平成30年1月4日 機構事務局より貴学へ「評価報告書(委員会案)」を送付1月22日 貴学より「意見申立書」を受理2月4日 評価委員会(拡大)を開催し、意見申立てに対する「回答書」および「評価報告書原案」を作成2月14日 機構事務局より貴学へ意見申立てに対する「回答書」を送付2月20日 「評価報告書原案」を総合評価評議会へ提出3月9日 総合評価評議会を開催し、「評価報告書」を決定3月15日 機構事務局より貴学へ「評価報告書」を送付
大学への提言
長崎国際大学 大学への提言1)長所1. 障がいのある学生に対して、学修補助、施設・設備の整備に加えて、「障がい学生に対する修学支援費」が支給されているなど、就学支援が充実している。(9.学生の支援)2. 大学教員・関係者が共同して教育もしくは研究を行う機関として「薬学研究センター」が設置され、他大学や民間等外部機関との共同研究等の推進、研究の交流支援、地域- 32 -社会における技術開発・教育の振興に貢献している。(12.社会との連携)2)助言1. 薬学部の「教育研究上の目的」の検証には薬学部の教育と研究に責任を負う薬学部教授会が主体的に関わることが望ましい。(1.教育研究上の目的)2. ヒューマニズム教育・医療倫理教育を主目的とする専門科目が少なく、教養教育科目は1年次でしか履修できないことから、ヒューマニズム教育・医療倫理教育が系統的に行われていないことが懸念されるので、専門科目を増やすなど上級学年まで継続するようカリキュラムを充実させることが望ましい。(3.医療人教育の基本的内容)3. コミュニケーション能力および自己表現能力を育成する教育を行う独立した科目がなく、これらの教育に充てる時間が不足していることが懸念されるので、これらの教育を専門に行う科目を増やすなど、カリキュラムを充実させることが望ましい。(3.医療人教育の基本的内容)4. 卒業生、地域の薬剤師並びに在学生を対象として実施している研修会への参加学生数を増やすことが望ましい。(3.医療人教育の基本的内容)5. シラバスやカリキュラムマップによる科目間の関連性、連続性の説明を、学生に分かりやすい形にしておくことが望ましい。(4.薬学専門教育の内容)6. 「卒業研究」の評価を行う主査と副査が学生の配属先の教員であるのは、厳正な評価を行う体制として好ましくないので、副査は所属研究室以外から任命することが望ましい。(6.問題解決能力の醸成のための教育)7. 入試関連の組織(入試・募集委員会、作問委員会)は、大学全体の組織であり、合否判定も入試・募集委員会、全学教授会で審議の後、学長が決定する体制である。入学志願者の評価と受け入れの決定に関して、薬学部として責任を持つことができる体制で行うことが望ましい。(7.学生の受入)8. 教育研究上の目的に基づいた教育における総合的な学習成果を適切に評価することが望ましい。(8.成績評価・進級・学士課程修了認定)9. ホームページに掲載されている研究業績、教育業績の更新状況を点検し、全教員の業績を最新のものとすることが望ましい。(10.教員組織・職員組織)10. 実務系専任教員が外部医療機関で研鑽する制度を設けることが望ましい。(10.教員組織・職員組織)11. 学生対象の短期留学プログラムや教員対象の留学・研修制度も設けられているが、何- 33 -れも利用実績がないので、利用を促すことが望ましい。(12.社会との連携)12. 薬学部の自己点検・評価を行う委員会には、外部委員を加えることが望ましい。(13.自己点検・評価)3)改善すべき点1. 学則第3条の3にある「薬学科の目的」は、薬学教育の一般的な定義を述べているだけで、本評価の基準が求める「教育研究上の目的」とは言えないので、「長崎国際大学の理念」、「薬剤師養成教育に課せられた基本的な使命」、および「薬学部に課せられた研究の使命」を端的に表現する「教育研究上の目的」を策定して学則に明記するよう、早急に改善することが必要である。(1.教育研究上の目的)2. 時間割上の学習時間配当が「卒業研究」より国家試験受験対策教育を重視したものになっていることから、学生に対して国家試験受験対策教育が卒業研究より重要であるという認識を与えることが懸念されるので、「卒業研究」の時間割上の配当を改善することが必要である。(2.カリキュラム編成)3. ヒューマニズム教育・医療倫理教育を行っている科目の多くが講義科目であり、目的に合った効果的な学習方法が用いられていると言えないので、学習方法の改善を図ることが必要である。(3.医療人教育の基本的内容)4. ヒューマニズム教育・医療倫理教育に対応する科目において、総合的な目標達成度を評価するための指標が設定されていないので、それらを設定してそれに基づく適切な評価を行うことが必要である。(3.医療人教育の基本的内容)5. コミュニケーション能力および自己表現能力の育成に対応する科目において、総合的な目標達成度を評価するための指標が設定されていないので、それらを設定してそれに基づく適切な評価を行うことが必要である。(3.医療人教育の基本的内容)6. 到達目標の学習領域(知識・技能・態度)と学習方法とが整合していない科目が散見されるので、各授業科目に含まれる到達目標を精査し、それぞれの到達目標の学習領域にあった学習方法による授業を行うように改善することが必要である。(4.薬学専門教育の内容)7. 大学独自の薬学専門教育を行う科目のシラバスに、大学独自科目であることが明記されていないので、学生に独自の教育であることが分かるように明示することが必要である。(4.薬学専門教育の内容)8. 「卒業研究」の時間がさまざまな理由で分断されているために、落ち着いて実質的な- 34 -研究に継続して取り組むことができる時間が不足し、「薬学教育モデル・コアカリキュラム」のE1が求めている到達目標とシラバスの趣旨に叶う教育が十分に行われていないことが懸念されるので、「卒業研究」の実施時期、実施時間、「総合演習」との時間配分などを検討し、「卒業研究」を充実したものにすることが必要である。(6.問題解決能力の醸成のための教育)9. 「卒業研究発表会」は、広い範囲からの質疑を受けることで考察の幅を広げ、大学が目指す教育研究上の意義に合致するものとなるよう、研究室単位ではなく学部全体で行う形に改めることが必要である。(6.問題解決能力の醸成のための教育)10. 問題解決能力の醸成を目指す教育全体としての目標達成度を評価するための指標の設定とそれに基づく評価が行われていないので、指標を設定し、それに基づく評価を行うことが必要である。(6.問題解決能力の醸成のための教育)11. 入学試験で入学志願者の適性および能力が適確かつ客観的に評価されていないことが懸念されるので、入学者選抜の方法と基準を検討し、入学者の基礎学力の改善を図ることが必要である。(7.学生の受入)12. 「総合演習ⅢB」の単位認定に関わる評価基準につけられている「(外部)模擬試験の成績を受験資格判定に用いる」という条件は早急に削除することが必要である。(8.成績評価・進級・学士課程修了認定)13. 必修科目である「総合演習ⅢB」の合否を、2回の試験の成績に基づく教授会での審議結果を受けて学長が決定することによって卒業の可否を決めていることは、ディプロマ・ポリシーに基づく学士課程修了認定の趣旨にそぐわないので、是正することが必要である。(8.成績評価・進級・学士課程修了認定)14. 「薬学教育第三者評価・実施検討委員会(薬学部自己点検評価委員会)」を、第三者評価への対応目的ではなく、薬学教育プログラムの向上と発展を目的に自己点検・評価を行うことができる組織に改善し、恒常的な点検・評価を行うことが必要である。(13.自己点検・評価)15. 個々の教員や委員会単位で行った自己点検・評価の結果を、それぞれに関わる個別の改善に生かすだけでなく、学部として行った薬学教育プログラム全般に対する自己点検・評価の結果を、学部の教育研究の改善に生かす取組みを行うことが必要である。(13.自己点検・評価)
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1:提言 改善報告審議結果 |
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| 日本大学 | 私 | 千葉県 | 第1期 |
2017年度 |
適 |
自己点検・評価書 基礎資料 正誤票 |
評価報告書
総評
日本大学 総評日本大学薬学部は、6年制の薬学科を設置し、「人類の保健、医療および福祉に貢献する新しい薬学を創造する」という薬学部の理念を踏まえた教育研究上の目的を掲げ、それを踏まえた入学者受入方針(アドミッション・ポリシー)、教育課程の編成・実施方針(カリキュラム・ポリシー)ならびに学位授与の方針(ディプロマ・ポリシー)を制定している。また、教育研究上の目的と3つの方針との整合性について継続して検証する体制も整えている。シラバスは記載内容の充実が図られ、旧カリキュラムならびに平成 27 年度から適用された新カリキュラムはいずれも、薬学教育モデル・コアカリキュラム、改訂薬学教育モデル・コアカリキュラムに準拠している。新カリキュラムでは科目編成を刷新し、医療における社会的ニーズを反映した大学独自の「特色教育科目」を配置しながら高度な薬剤師養成教育に取り組んでいる。医療人の基本としてのヒューマニズム教育・医療倫理教育、教養教育には1年次から4年次まで多彩な科目が置かれ、一部ではルーブリックを活用した授業も展開されている。また、語学教育では薬学英語入門から専門英語までをリレー的に修得させるための英語科目が1年次から4年次まで置かれ、準備教育や医療安全教育も適切に実施されている。実務実習については、充実した設備を有する実習室での事前学習と共用試験により学生の能力を保証し、地区調整機構との連携の下に実務実習モデル・コアカリキュラムに沿った内容で円滑に実施されている。学生は4年次後期から卒業研究に取り組み、実施期間としては 12 ヶ月以上が確保されている。また、卒業研究の評価は学部内で統一したルーブリックに従って適切に行われている。成績評価はシラバスに明記された基準によって行われ、進級判定は規程に基づいて厳格に実施されている。また、1~3年次学生に対しては学年末実力試験により学力到達度の測定が行われている。留年者に対してはリメディアル教育が実施されている。一方、学士- 2 -課程の修了認定は6年次後期の「総合講義」の試験結果を基に行われている。入学者の選抜はアドミッション・ポリシーに基づいて厳格に実施され、入学定員に対する入学者数は適正な範囲にある。学生への教育支援については、担任制度や新年度ガイダンスにより適切な履修指導が行われている。また、種々の奨学金制度を設けることで学生への経済的支援を推進するとともに、健康維持、ハラスメント、就職などに関わる支援体制もよく整備されている。また、学生の意見を教育や学習環境、生活環境の改善に反映させる制度も整えられている。専任教員数は大学設置基準を充足しており、職位の構成も適切である。教員の採用・昇任は学内審査基準に基づいて厳格に行われている。薬剤師としての臨床経験を有する教員は、継続して医療機関等での自己研鑽を重ね、また各教員はFD活動(FD:FacultyDevelopment)を通して資質向上に取り組んでいる。教育研究体制を支援する職員組織も整えられている。薬学部キャンパスの学習環境は充実しており、収容学生数に応じた講義・演習室、図書室、実習室、薬用植物園が整備されている。社会との連携については、地域の薬剤師会との連携や認定薬剤師研修制度により薬剤師の知識向上や生涯学習に寄与している。また、学生の海外短期研修等を通して国際交流にも活発に取り組んでいる。薬学部内に外部委員を含む「自己点検・評価委員会」を設置し、外部評価や全学評価に対応する体制を整えている。以上のように、日本大学薬学部薬学科の6年制薬学教育プログラムは、本機構の評価基準におおむね適合していると判断される。しかしながら、主な改善すべき点として、以下が挙げられる。(1) ヒューマニズム教育・医療倫理教育ならびにコミュニケーション能力および自己表現能力醸成のための教育における目標達成度を総合的に測定するための指標を設定し、目標達成度を適切に評価するよう改善する必要がある。(2) 問題解決能力の醸成に向けた教育における目標達成度の評価に関して、適切な指標を設定するなどさらに努力を続け、それに基づく総合的な評価を行う必要がある。(3) ストレートで卒業する学生の割合が低いこと等も含めて、入試区分と入学後の履修・成績、留年率、退学率、卒業率との関係を検証し、入学者選抜制度の見直しを図る必要がある。- 3 -(4) 学士課程修了認定が、主として薬剤師国家試験を意識した内容の「総合講義」の試験を用いて行われ、過年度も含め卒業率が低い状況が続いていることは、学士課程修了認定の方法や基準が適切ではないことを示しており、改善が必要である。(5) 自己点検・評価委員会が中心となり、教育研究活動のさらなる改善のためのPDCAサイクルを適切に機能させることが必要である。日本大学薬学部には、今回の評価における改善すべき点や助言に適切に対応することで6年制薬学教育プログラムをさらに発展させ、今後も大学の独自性を活かした教育研究が推進されることを期待する。
大学への提言
日本大学 大学への提言1)長所1. 卒業研究の評価が、平常態度評価基準、ポスター発表評価基準、卒業論文評価基準を基に学部内で統一された「卒業研究評価表」(ルーブリック/「所属研究室用」および「関連研究室用」の2種)に従って行われている点は評価できる。(6.問題解決能力の醸成のための教育)2. 1~3年次生を対象に学年末実力試験を実施して学力到達度を測定し、次年度以降の指導に役立てていることは評価できる。(8.成績評価・進級・学士課程修了認定)3. 薬剤師としての実務の経験を有する教員が、医療機関等で研鑽できる体制を整備していることは評価できる。(10.教員組織・職員組織)4. 授業評価等で指摘された問題点の改善策として、自己研鑽実施報告書および授業改善計画報告書を提出させ、学内イントラネット上で公開していることは評価できる。(10.教員組織・職員組織)- 39 -5. 図書館運営委員会が、本に接する楽しさを知ってもらうために「図書館運営委員会からのこの一冊」や「日本大学薬学部学生書店選書ツアー」を実施していることは評価できる。(11.学習環境)2)助言1. 知識領域の学習成果を総括し総合力を確実に定着させることを目的とする「分野別統合講義Ⅱ」と「医療系薬学演習講義Ⅰ」は、シラバスにはCBT対策科目と記載されているので、設置目的との整合性を取れるように記載内容を修正するのが望ましい。(2.カリキュラム編成)2. 6年次前期に業者による国家試験対策講座を実施するに当たっては、正規授業科目の時間割配置とのバランスを考慮した対応が望まれる。(2.カリキュラム編成)3. シラバスを見る限り、「法学入門」、「生命科学入門」、「哲学」、「早期体験実習」や「臨床医学概論」についてはヒューマニズム教育・医療倫理教育としての科目の位置づけが明確でなく、授業概要および目標にこれらの授業の位置づけを加えることが望まれる。(3.医療人教育の基本的内容)4. 日本大学薬学部における英語教育の総まとめと位置づけられる4年次開講の「英語Ⅴ」は履修者が極端に少ないので、履修者を増やす努力が望まれる。(3.医療人教育の基本的内容)5. 薬害や医療過誤、医療事故の当事者の話を聞く機会が少ないので、増やすことが望まれる。(3.医療人教育の基本的内容)6. 生涯学習の必要性に関する講義等が充分とは言えず、また薬剤師が生涯学習に参加する機会を設定しているが参加学生数が極めて少ないので、改善が望まれる。(3.医療人教育の基本的内容)7. 大学独自科目の履修者が少ないので、単位認定制度の変更および開講学年の再考も考慮した改善が望まれる。(4.薬学専門教育の内容)8. 問題解決型学習に充てられた単位数は、卒業研究を加味しても旧カリの卒業要件の1/10 には達していないので増やすことが望まれる。(6.問題解決能力の醸成のための教育)9. 6年間の学修成果の総合的な評価について、知識・技能・態度に関する適切な指標を設定し、それに基づいて評価することが望まれる。(8.成績評価・進級・学士課程修了認定)- 40 -10. 専任教員1名当たりの学生数は 21.2 名となっており、教育水準の向上や適切な学生指導を推進するためにも今後の教員数の増加が必要と判断されるので、改善が望まれる。(10.教員組織・職員組織)11. 研究室間の面積に差があり、教員にとっての面積が十分でないと見られる研究室があるので、改善が望まれる。(10.教員組織・職員組織)12. 実習担当等の授業負担が原因で長期留学制度がほとんど活かされていないので、教員増を図るなどの人員体制の整備が望まれる。(12.社会との連携)13. 薬学部自己点検・評価委員会は、組織図上、企画・広報委員会の下部委員会のように捉えられるので、薬学部内の独立した委員会との位置づけが明確ではなく、改善が望まれる。(13.自己点検・評価)14. 日本大学は大学基準協会が定める「大学基準」に係わる「点検・評価項目」に基づいた評価を行っているが、薬学部が6年制薬学教育プログラムを検証するための評価項目を設定して、自主的に自己点検・評価を行う体制は取られていないので改善が望まれる。(13.自己点検・評価)3)改善すべき点1. ヒューマニズム教育・医療倫理教育に該当する科目は多くが講義中心で、知識の修得を主とするものになっている。これらの科目では、態度教育が可能な方略を含めた教育内容に改善することが必要である。(3.医療人教育の基本的内容)2. ヒューマニズム教育・医療倫理教育における目標達成度を総合的に測定するための指標を設定し、目標達成度を適切に評価するよう改善する必要がある。(3.医療人教育の基本的内容)3. コミュニケーション能力および自己表現能力醸成のための教育における目標達成度を総合的に測定するための指標を設定し、適切に評価するよう改善する必要がある。(3.医療人教育の基本的内容)4. 旧カリでは、一部のSBOsに対応する授業科目が選択科目となっていたり、授業科目そのものがなかったりするので、何らかの形で全員が履修し、修得できるよう改善する必要がある。(4.薬学専門教育の内容)5. 4年次と6年次に、学生が集中的に卒業研究に取り組む時間が確保された時間割を編成する必要がある。(6.問題解決能力の醸成のための教育)6. 問題解決能力の醸成に向けた教育における目標達成度の評価に関して、適切な指標を- 41 -設定するなどさらに努力を続け、それに基づく総合的な評価を行う必要がある。(6.問題解決能力の醸成のための教育)7. ストレートで卒業する学生の割合が低いことから、入試区分と入学後の履修・成績、留年率、退学率、卒業率との関係を検証し、入学者選抜方法の見直しを図る必要がある。(7.学生の受入)8. 学士課程修了認定が、主として薬剤師国家試験を意識した内容の「総合講義」の試験を用いて行われ、過年度も含め卒業率が低い状況が続いていることは、学士課程修了認定の方法や基準が適切ではないことを示しており、改善が必要である。(8.成績評価・進級・学士課程修了認定)9. 事故や災害時の対策マニュアルを整備する必要がある。(9.学生の支援)10. 薬学部の自己点検・評価結果をホームページ上に公表することが必要である。(13.自己点検・評価)11. 自己点検・評価委員会が中心となり、教育研究活動のさらなる改善のためのPDCAサイクルを適切に機能させることが必要である。(13.自己点検・評価)
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評価報告書
総評
北海道科学大学 総評北海道薬科大学では、「地域社会の要請に応え、質の高い薬剤師を養成、輩出することによって北海道の医療の発展に貢献する」を「建学の精神」に掲げ、6年制薬学教育の根幹となる「目的」「教育理念」「教育目標」を定めるとともに、入学者受入れ方針(アドミッション・ポリシー)、教育課程の編成・実施の方針(カリキュラム・ポリシー)、学位授与の方針(ディプロマ・ポリシー)を設定している。教育カリキュラムはカリキュラム・ポリシーに基づいて編成されている。ヒューマニズム教育・医療倫理教育に関わる授業科目は体系的に配置されている。コミュニケーション能力・プレゼンテーション能力を育成する教育は、臨床系科目や実習・演習系科目を中心に行われている。語学教育については、「読む」「書く」「聞く」「話す」の要素を取り入れた授業科目が1年次から配置されている。また薬剤師が働く現場に接し、医療職を目指す動機づけを行うことを目的として、「早期体験実習」「防災・救急対応実習」「薬剤師実務体験実習」「介護福祉体験実習」が、入学後の早い時期に開講されている。さらには、地域医療への取組み、地域包括ケア・在宅医療・災害時における薬剤師の役割なども学修している。実務実習事前学習は、実務実習モデル・コアカリキュラムの教育目標と学習方法に準拠するとともに、大学独自の学修内容と方略を組み込んだものとして4年次前期から5年次前期まで行われ、薬学共用試験合格後の5年次前期に、より高度な薬物療法などを学修している。薬学共用試験は適正な体制の下で実施されている。実務実習は、実務実習モデル・コアカリキュラムの教育目標に準拠しており、実習施設と大学が連携し11週間実施している。卒業研究は4年次後期~6年次前期で行っているが、同期間には実務実習の他、複数の薬学専門科目や実習・演習科目が開講されている。入学者の選抜は多様な区分で実施されるが、全区分の学生募集要項において、出願資格に「入学後、たばこを吸わないことを確約できる者」と明記している。入学試験の合否判定は責任ある体制下で行われている。各授業科目の成績評価はS、A、B、C、Dの5段階の相対評価で行われ、S~Cを合格としている。進級基準や留年の取り扱い、学士課程- 2 -修了の判定基準や判定方法は適切である。修学支援のためクラス担任制がとられ、「学習相談室」も設置されている。また、心身の健康保持のため「医務室」が設置され、年度初めには健康管理のための定期健康診断が実施されている。ハラスメントの防止対策、身体に障がいをもつ学生の支援、就職活動の支援、安全教育、防災対策など、学生支援の環境は整っている。また、図書館、自習室、講義室、演習室、実験室、実務実習事前学習施設、卒業研究のための施設や設備など、学習環境も整備されている。専任教員は、教育上および研究上の優れた実績、あるいは優れた知識・経験および高度の技術・技能を有し、担当する専門分野に関する教育上の指導能力と高い見識があると認められる者が必要数配置されている。また、臨床系教員が研鑽できる体制・制度が整備されており、8名の臨床系教員が医療施設へ派遣されている。さらに複数の他大学、医療機関、薬系企業、行政機関との間で、教育、学術研究、生涯学習などに関する連携協定を締結し、医療および薬学の発展に貢献している。以上のように、北海道薬科大学薬学部薬学科の教育プログラムは、本機構の評価基準におおむね適合していると判断される。しかしながら、主な改善すべき点として、以下が挙げられる。(1)技能・態度のSBOs(Specific Behavioral Objectives)を含む授業科目でありながら、講義のみを行い、試験のみで成績を評価している科目については、授業方略や評価方法の改善が必要である。(2)「成績評価ガイドライン」による成績評価では、「D(不可)」の割合が 10%以下と定められているため、試験等の成績で修得レベルが授業科目の到達目標に達していないと科目担当者が判断する学生が合格してしまうことが懸念される。このような事態を防ぐため、「成績評価ガイドライン」の改善が必要である。(3)6年制薬学教育プログラムを対象とした大学独自の継続的な自己点検・評価を実施するとともに、自己点検・評価の結果を教育改善に結び付ける適切な体制を機能させる必要がある。以上の重要な改善すべき点に加え、その他の提言に示される改善すべき点や助言に関しても適切に対応し、6年制薬学教育のさらなる改善に努めることが望まれる。
大学への提言
北海道科学大学 大学への提言1)長所1. 臨床系教員が研鑽できる体制・制度が整備されており、多数の臨床系教員が医療施設へ派遣されている。(10.教員組織・職員組織)2. 自習室が整備され、平日・休日ともに7時~22時の長時間利用が可能である。(11.学習環境)3. 地域医療を学ぶ授業や実習を独自科目などとして開講し、地域医療に貢献する薬剤師の育成を積極的に進めていることは、地域包括ケアが進む時代を先取りする教育面での地域貢献として評価できる。(12.社会との連携)4. 「薬剤師アップトゥデート講座」および「病態・薬物治療フォローアップ講座」が、インターネットでの受講も可能となっている。(12.社会との連携)2)助言1. 教育研究上の目的に当たる「教育目標」などを定期的に検証することが望ましい。(1.教育研究上の目的)2. カリキュラム・ポリシーの学生への周知を徹底するために、教務部ガイダンスでも説明することが望ましい。(2.カリキュラム編成)3. 教職員に対して、FD等の機会を利用したカリキュラム・ポリシーの説明や周知を行うことが望ましい。(2.カリキュラム編成)4. ヒューマニズム教育・医療倫理教育に関わる科目の成績評価について、試験のみで成績評価を行っている科目がみられるので、目的に即した評価方法を用いるように改善することが望まれる。(3.医療人教育の基本的内容)5. ヒューマニズム教育・医療倫理教育に関わる科目の成績評価について、知識・技能・態度を評価する方法をシラバスに記載することが望まれる。(3.医療人教育の基本的内容)6. 「基礎数学」と「基礎物理学」については、基礎学力の違いを考慮した習熟度別の少- 41 -人数クラスの編成とすることが望ましい(3.医療人教育の基本的内容)。7. 医療安全教育については、授業科目数を増すとともに、弁護士や医療における安全管理者を講師とする授業科目を設けることが望ましい。(3.医療人教育の基本的内容)8. 学生全員が参加しての学内実務実習報告会が行われていないので、実施することが望ましい。(5.実務実習)9. 他の研究グループの教員を「卒業研究」の評価者に加えることが望ましい。(6.問題解決能力の醸成のための教育)10. 入学者の多数を占める一般入試および大学入試センター試験利用入試においても、アドミッション・ポリシーに準じた医療人としての適性を評価することが望ましい。(7.学生の受入)11. 学生への周知の観点からは、教務部ガイダンスにおいても卒業要件を説明することが望ましい。(8.成績評価・進級・学士課程修了認定)12. 身体に障がいを有する入学志願者に対する受験機会の提供に関しては、学生募集要項の「Q&A」への記載のみではなく、独立した項目を設けて分かり易く改善することが望ましい。(9.学生の支援)13. 教員の教育研究活動をホームページ等へ掲載して公開することが望ましい。(10.教員組織・職員組織)14. 点検・評価委員会は外部委員を含むことが望ましい。(13.自己点検・評価)3)改善すべき点1. 教育研究上の目的に当たる「教育目標」に、薬学あるいは薬剤師に関連する真理を探求する研究への言及がないので、それを追加するとともに、「教育目標」を「教育研究目標」とする必要がある。(1.教育研究上の目的)2. ヒューマニズム教育・医療倫理教育の授業科目の学習方法に関して、SGDなどの能動的な参加型学習法を拡充する必要がある。(3.医療人教育の基本的内容)3. ヒューマニズム教育・医療倫理教育に関わる教育の学習成果を総合した目標達成度の評価が実施されていないので、目標達成度を評価する指標を設定し、それに基づいた適切な評価を行う必要がある。(3.医療人教育の基本的内容)4. コミュニケーション能力や自己表現力の向上を目的とした教育の学習成果を総合した目標達成度の評価が実施されていないので、目標達成度を評価する指標を設定し、それに基づいた適切な評価を行う必要がある。(3.医療人教育の基本的内容)- 42 -5. 必修科目でカバーできていないSBOsについては、適切に対処する必要がある。(4.薬学専門教育の内容)6. 技能・態度のSBOsを含む授業科目でありながら、講義のみを行い、試験のみで成績を評価している科目については、授業方略や評価方法の改善が必要である。(4.薬学専門教育の内容)7. 実験実習などの実習・演習科目がカバーしていない技能に関するSBOsについては、実験実習時間(単位)の増加、補充実習・演習などによる対応が必要である。(4.薬学専門教育の内容)8. 実務実習事前学習全体としての目標達成度が評価されていないので、評価するための指標を設定し、適切に評価する必要がある。(5.実務実習)9. 問題解決能力の醸成に向けた教育の総合的な目標達成度を評価するための指標を設定し、それに基づいた適切な評価を行う必要がある。(6.問題解決能力の醸成のための教育)10. 毎年かなりの数の学生が退学や留年をしており、入学者選抜において、入学志願者の学力を適確に評価することが必要である。(7.学生の受入)11. 「成績評価ガイドライン」による成績評価では、「D(不可)」の割合が10%以下と定められているため、試験等の成績で修得レベルが授業科目の到達目標に達していないと科目担当者が判断する学生が合格してしまうことが懸念される。このような事態を防ぐため、「成績評価ガイドライン」の改善が必要である。(8.成績評価・進級・学士課程修了認定)12. 6年制薬学教育プログラムを対象とした大学独自の継続的な自己点検・評価のための適切な項目を設定し、実施する必要がある。(13.自己点検・評価)13. 6年制薬学教育プログラムに対する自主的かつ継続的な自己点検・評価の結果を教育改善に結び付ける適切な体制を構築し、教育改善のためのPDCAサイクルを機能させる必要がある。(13.自己点検・評価)
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評価報告書
総評
明治薬科大学 総評明治薬科大学薬学部薬学科(以下、薬学科)では、「ソフィア(純粋知)とフロネシス(実践知)を兼備えた人材を育成する。」という薬学部の教育理念の下、「社会の要請に応える医療の担い手としての質の高い薬剤師を養成すること」を「教育上の目的」とする6年制薬学教育を行っている。薬学科の教育課程は、教育上の目的に基づきカリキュラム・ポリシー(教育課程の編成・実施方針)を定め、さらに改訂薬学教育モデル・コアカリキュラムに示された「薬剤師として求められる基本的な資質」が身に付くように、6年間の教育を1、2年次の基礎教育と3年次以降4年間の専門教育に大別し、低学年から高学年にかけて系統的に編成されている。幅広い教養を学ぶための素養科目(教養科目)では「史学」、「文学」などの人文社会選択科目、医療人に必要な教養科目として「医療倫理」、「人間関係論」、「倫理哲学(選択)」、「臨床心理学(選択)」などが開講されている。語学教育としては、外国語必修科目としての英語科目に加え、外国語選択必修科目として「ドイツ語入門」、「ドイツ語基礎」などが開設されている。ヒューマニズム教育・医療倫理教育としては、「医療倫理」、「人間関係論」、「医療コミュニケーション学・演習」などが開設されている。薬学専門教育については、「薬学教育モデル・コアカリキュラム」に準拠し、低学年から高学年へ段階的に積み上げるカリキュラム編成となっている。大学独自の教育としては、2~3年次に必修科目として「体験学習(1単位)」が、5年次に選択必修科目として「コース実習・演習」(病院薬学、地域医療、臨床開発、健康薬学、伝統医療薬学、海外医療研修、薬学研究AとBの7つのコースから1つを選択)が設定されている。実務実習では、学内で事前学習として3年次前・後期の「生命科学実習Ⅳ」、「薬剤基礎実習」および「臨床薬学基礎実習」、な- 2 -らびに4年次前・後期の「事前実務実習」が「実務実習モデル・コアカリキュラム」に準拠して実施され、学外では提携病院を中心とした病院実習、調整機構を通しての薬局実習が大学と実習施設との連携の下に行われている。卒業研究は、4年次に「卒業研究Ⅰ」を、5~6年次に「卒業研究Ⅱ」を実施している。卒業論文は学生個人単位で作成され、口頭あるいはポスターでの発表が行われている。入学者選抜は、推薦入試(指定校制、公募制)、一般入試(A、B、C各方式)、および特別選抜(編入学、社会人、帰国子女)に区分して行われている。授業科目の成績評価は、授業担当教員によりS・A・B・C・Dの5段階で行われている。進級判定は、「教育課程及び履修方法等に関する規程第17条」に、修了判定は「明治薬科大学学部学則第38条」に基づき実施されている。学生の学業・生活支援として、アドバイザーなどが設けられ個別指導が行われている。健康相談体制としては、健康相談室(診察室、休憩室、カウンセリング室)が設置され、ハラスメント防止として、ハラスメント防止委員会と学生窓口が設置されている。奨学金等も大学独自のものを含めて整備されている。専任教員数は実務家教員を含めて設置基準を満たしており、専任教員の教育・研究上の業績・資質も適切である。教員の採用および承認は「明治薬科大学教員選考規程」に基づき実施されている。教員の教育研究能力の向上を図るための組織・体制として、財務部財務課の中に「産学連携・研究支援室」が設置され、公的研究費や財団助成金応募への支援が行われ、学内研究費も支給されている。教育と研究に必要な施設と設備も整備されている。以上のように、明治薬科大学薬学部薬学科は、本機構の基準を満たす6年制薬学教育を行っている。しかし、現状には以下に列挙するような問題点があるので、本評価の結果を参考にして改善を図る必要がある。(1)薬学科の研究上の目的を掲げ、学則上で規定する必要がある。(2)薬学共用試験や薬剤師国家試験を目的とした「薬学演習」および「総合医療薬学演習」の講義を国家試験予備校講師が担当しており、大学の授業科目であることを鑑み、大学教員が講義するよう改善が必要である。(3)ヒューマニズム教育・医療倫理教育、コミュニケーション能力および自己表現能力を身につけるための教育、実務実習事前学習、問題解決能力の醸成に向けた教育について目標達成度を評価するための指標を設定し、それに基づく適切な評価を行う必要がある。(4)薬学共用試験(CBT)の合格者に、必修科目である「薬学演習」の単位が試験なしで認められていることは問題であり、改善が必要である。- 3 -(5)卒業延期者に対して、後期科目である「総合医療薬学演習」などを次年度前期に特別に講義および試験を実施して単位認定を行い、9月卒業を認めていることは問題である。このような制度にする場合には「総合医療薬学演習」などを前期科目として設置するなどの改善が必要である。(6)教務関係の審議組織として教授会と教員会議が設けられているが、教員会議の規定が制定されていないにも関わらず、教員会議で進級や修了の判定を行っていることは問題であり、改善が必要である。(7)「自己点検・評価書」や添付資料に多くの誤記や齟齬が認められ、さらにその修正においても訂正を繰り返すなど、自己点検・評価が十分に行われているとは言えず、自己点検・評価体制の構築が必要である。これらの改善を早期に実施し、明治薬科大学薬学部薬学科の6年制薬学教育をさらに充実したものとすることを期待する。
大学への提言
明治薬科大学 大学への提言1)長所1. Cbox(講義収録/動画コンテンツ作成システム)および学習支援システムMY-CASTを利用し、講義収録ビデオを用いた自己評価および同僚教員によるピアレビューを実施し、教育改善が図られている。(10.教員組織・職員組織)2)助言1. ホームページに掲載されているディプロマ・ポリシーの中に教育目標として6の事項が掲げられているが、これらは大学の教育目標と整合性が取れておらず、大学の教育目標と学科の教育目標との関係性が不明確であり、再検討が期待される。(1.教育研究上の目的)2. カリキュラム・ポリシー周知のための教員へのFDが行われておらず、さらなる充実が期待される。(2.カリキュラム編成)3. 1~3年次に開講されている選択科目の「医療面接入門」は、1年間で約90人の受講生しか受けておらず、学生全員が受講できる科目設定が期待される。(3.医療人教育の基本的内容)4. 語学科目は充実しているが、多くが同時開講となっているため、複数の語学科目を選択することが難しくなっており、選択の幅を広げることが期待される。(3.医療人教育の基本的内容)5. 平成28年度版のシラバスに、到達目標は記されているが、SBOコードが明示されていない科目があり、記載が望まれる。(4.薬学専門教育の内容)6. 契約病院でのグループ実習において、契約書に実習内容が明記されていないケースが見受けられるため、緊密な連携による契約書の再検討が望まれる。(5.実務実習)7. 卒業研究評価のルーブリックを精査し、本評価方法を充実させることが期待される。(6.問題解決能力の醸成のための教育)8. 参加型授業の学習方法がシラバスに記載されていないものがあり、シラバスへの明記が期待される。(6.問題解決能力の醸成のための教育)9. 「薬学研究コースB演習・実習」など一部の科目では出席のみで成績が評価されており、小テストの導入などが望まれる。(8.成績評価・進級・学士課程修了認定)10. 6年間の学習成果を総合的に評価するための指標の設定と評価が望まれる。(8.成績評価・進級・学士課程修了認定)- 31 -11. 助教の比率が教授・准教授などに比べて少なく、職階別教員比率の是正が期待される。(10.教員組織・職員組織)12. 教員の年齢構成に高年齢層への偏りがやや認められるため、若手教員の採用が期待される。(10.教員組織・職員組織)13. 専任教員あたりの学生数が22.9名であり、教員の増員が期待される。(10.教員組織・職員組織)14. 教員の授業担当割合はおおむね均等であるが、講義担当回数が多い教員も認められるため、担当時間数の均等化が期待される。(10.教員組織・職員組織)15. 若手教員の研究能力向上を目指して「若手研究者講話」を開催し、研究面での活性化が図られているが、医療系の分野の講話がなく、充実が期待される。(10.教員組織・職員組織)16. 附属薬局にて定期的な研修を実施している実務家教員は2名のみであり、病院での勤務も含め、そのほかの教員の研修が期待される。(10.教員組織・職員組織)17. 英文ホームページの充実が期待される。(12.社会との連携)18. 教員の海外研修、長期留学のさらなる活性化が期待される。(12.社会との連携)19. 自己点検・評価委員会に外部委員を含めることが期待される。(13.自己点検・評価)3)改善すべき点1. 薬学科の研究上の目的を掲げ、学則上で規定する必要がある。(1.教育研究上の目的)2. 薬学共用試験や薬剤師国家試験を目的とした「薬学演習」および「総合医療薬学演習」の講義を国家試験予備校講師が担当しており、大学の授業科目であることを鑑み、大学教員が講義するよう改善が必要である。(2.カリキュラム編成)3. ヒューマニズム教育・医療倫理教育において、目標達成度を評価するための指標の設定と、それに基づく評価がなされておらず、改善が必要である。(3.医療人教育の基本的内容)4. 一部の編入生について、編入前の大学において早期体験や倫理教育などの科目を履修していない場合に編入後にこれら科目を履修させていないことは問題であり、改善が必要である。(3.医療人教育の基本的内容)5. コミュニケーション能力および自己表現能力を身につけるための教育において、目標達成度を評価するための指標の設定と、それに基づく評価がなされておらず、改善が必要である。(3.医療人教育の基本的内容)- 32 -6. シラバスに学習方法が記載されておらず、学習効果の向上のためにもシラバスへの明記が必要である。(4.薬学専門教育の内容)7. 実務実習事前学習の目標達成度を評価するための指標は設定されておらず、それに基づく評価もなされていないので、改善が必要である。(5.実務実習)8. 卒業研究Ⅰ・Ⅱの論文作成において、卒業研究執筆要領に記載されている所定の書式(要旨・本文・引用文献を原則とするなど)と異なることが実施されており、改善が必要である。(6.問題解決能力の醸成のための教育)9. 問題解決能力の醸成に向けた教育において、目標達成度を評価するための指標は設定されておらず、それに基づく評価もなされていないため、改善が求められる。(6.問題解決能力の醸成のための教育)10. 記載されているものや記載箇所により入学者受入方針(アドミッション・ポリシー)が異なっていることは問題であり、入試委員会で審議・検証し、大学運営協議会での審議を経て教授会で審議・承認すると定めている意思決定システムを機能させるよう、改善が必要である。(7.学生の受入)11. 再試験による成績評価は 79 点が上限とされているが、本試験の成績が 60 点以上 70点未満であり、さらに点数を積み上げたいとする学生には再試験受験資格がなく、再試験受験者と本試験合格者の間で不平等な成績判定となるため、改善が必要である。(8.成績評価・進級・学士課程修了認定)12. 薬学共用試験(CBT)の合格者に、必修科目である「薬学演習」の単位が試験なしで認められていることは問題であり、改善が必要である。(8.成績評価・進級・学士課程修了認定)13. 卒業延期者に対して、後期科目である「総合医療薬学演習」などの講義および試験を次年度前期に特別に実施して単位認定を行い、9月卒業を認めていることは問題である。このような制度にする場合には「総合医療薬学演習」などを前期科目として設置するなどの改善が必要である。(8.成績評価・進級・学士課程修了認定)14. 教務関係の審議組織として教授会と教員会議が設けられているが、教員会議の規程が制定されていないにも関わらず、教員会議で進級や修了の判定が行なわれていることは問題であり、教授会と教員会議の役割を明確とし、その上で教員会議の規程を制定する必要がある。(8.成績評価・進級・学士課程修了認定)15. 組織的な自己点検・評価については薬学教育評価機構による「自己評価21」と「大学基準協会による評価」しか行われておらず、定期的な自己点検活動が必要である。(1- 33 -3.自己点検・評価)16. 「自己点検・評価書」や添付資料に多くの誤記や齟齬が認められ、さらにその修正においても訂正を繰り返すなど、自己点検・評価が十分に行われているとは言えず、機能する体制の整備などの改善が必要である。(13.自己点検・評価)
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1:提言 改善報告審議結果 |
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適 |
自己点検・評価書 基礎資料 正誤票 |
評価報告書
総評
安田女子大学 総評安田女子大学薬学部薬学科は、大学の「建学の精神」と「目的」、および薬学部の「目的」を踏まえて、その「目的」を「大学および学部の目的に沿って、生命科学・薬学分野の学術を教授研究し、知的、道徳的および応用的能力の展開を図るとともに、専門的職業人として人間性・創造性豊かな薬剤師を養成する」と定め、6年制の薬学教育を行っている。カリキュラムは、薬学科の「目的」に基づく「カリキュラム・ポリシー」(教育課程の編成・実施方針)に従って構築され、共通教育科目として開講される教養教育・語学教育に、薬学教育モデル・コアカリキュラムに準拠した薬学専門教育を積み重ねるという構成となっている。共通教育科目で学ぶ教養科目と語学科目は主に1年次に学び、医療人教育の基礎となるヒューマニズム教育・医療倫理教育、コミュニケーション教育を1~4年次に、専門教育科目を2年次以上に学ぶという構成になっており、専門科目の講義と実習の関連、科目間の関連と学習の順次性にも配慮している。また、「実務実習」も、実務実習モデル・コアカリキュラムに準拠した内容で実施されており、大学と実習施設との連携も適切にとられている。「卒業研究」は、5年次の「実務実習」のない期間と6年次の 10 月までの期間で行われており、その成果は「卒業研究発表会」で発表され、「卒業発表要旨」と「卒業研究報告書」(卒業論文)として提出している。学生の受入れには、6種類に及ぶ多様な入学試験が用いられているが、入学後に基礎学力を把握して必要なフォローアップ教育を行っていることもあって、留年者、退学者、卒業延期者は比較的少なくなっており、6年制薬学教育の学習に必要となる入学者の基礎学力はほぼ適切に評価できている。授業科目の成績評価は、シラバスに示された方法と基準によって厳正に行われ、進級と学士課程の修了認定は、学則の規定に基づいて行われている。学生に対する履修をはじめとする大学生活全般に関する相談・指導には、1年~6年次- 2 -まで継続して指導するチューターの教員が対応している。また、学生への経済的、心身的な支援体制、ハラスメント対応、就職・進路支援体制なども整っている。専任教員数は大学設置基準を満たしており、多くの教員は、専門とする分野において研究・教育に優れた実績を有している。また、専任教員の教育負担、研究時間や研究経費は適切な範囲にある。専任教員の採用と昇任では、教育、研究能力等を「教員業績審査委員会」で評価している。講義・演習室、実習室、研究室などの施設は適切で、実務実習事前学習や研究に必要な諸設備は十分に整えられている。図書館には蔵書や電子ジャーナルなどの教育資源が整備されており、学生の自習室やラーニング・コモンズが整備されて、学生が使い易い学習環境となっている。社会との連携では、地域の薬剤師会をはじめ、医療に関わる団体との連携、さらには地域住民との交流も図られている。以上、安田女子大学薬学部薬学科の薬学教育プログラムは、本機構の評価基準におおむね適合していると判断される。しかし、以下のような問題点について、改善が必要である。(1) ヒューマニズム教育、医療倫理教育、コミュニケーション能力の醸成に関わる教育について、それぞれの総合的な目標達成度を評価するための指標を設定し、それに基づいて適切に評価することが必要である。(2) 改訂薬学教育モデル・コアカリキュラムの「早期臨床体験」の必須項目である「一次救命救急」に関する教育を「早期体験学習」で実施することが必要である。(3) 薬学専門の授業科目について、個々の到達目標の領域に適した学習方法をシラバスに明示し、それらの方法を用いた教育を行うことが必要である。(4) 「実務実習事前学習」の総合的な目標達成度を評価するための指標を設定し、それに基づいて適切に評価することが必要である。(5) 「卒業研究」には、十分な時間をかけて取り組むことが必要であることを時間割等に明記して学生に周知することと、成果を示すにふさわしい内容の「卒業論文」を作成することが必要である。(6) 「卒業研究」の成績評価の指標と基準を明確にし、指導教員のみが行っている評価を複数の教員で行うなど、より客観的な評価とすることが必要である。(7) 問題解決能力の醸成に関する教育を充実させると共に、その総合的な学習成果を評価する指標を設けて、問題解決能力の醸成に関する目標達成度を適切に評価することが必要である。- 3 -(8) 「ディプロマ・ポリシー」(学位授与の方針)を、学部、学科の目的に基づくものに改訂することが必要である。(9)専任教員の教育研究業績に対する薬学部としての点検・評価を行い、学部として研究業績が不十分だと判断する者があれば改善を促すことが必要である。(10)6年制薬学教育プログラム全体の改善を目指すPDCAサイクルによる恒常的な点検・評価の結果を、教育研究活動の改善に反映させることが必要である。安田女子大学薬学部薬学科は、本評価での改善すべき点、助言を踏まえ、積極的に改善に取り組み、薬学教育の更なる向上に努めることが望まれる。
大学への提言
安田女子大学 大学への提言1)長所1. 「オリエンテーション・セミナー」は、新入生と、教員、先輩・友人との人間関係を構築し、入学後の不安を解消することを目的とした2泊3日の合宿で、新入生の新しい学習環境への適応を促すものとして評価できる。(9.学生の支援)2. 実務家教員が、高齢者の残薬問題への啓発、「かかりつけ薬剤師」の利用を推奨する活動、市民団体の要望に沿った「健康サロン」など地域における保健衛生の保持・向上につながる支援活動を積極的に行っていることは評価できる。(12.社会との連携)2)助言1. 「安田女子大学各学部・学科の目的に関する内規」の薬学部と薬学科の「目的」を、「薬剤師として求められる基本的な資質」や医療をとりまく環境、薬剤師に対する社会のニーズを踏まえて再検討することが望まれる。(1.教育研究上の目的)2. 現行の「カリキュラム・ポリシー」を、改訂薬学教育モデル・コアカリキュラムに対応させて再検討することが望ましい。(2.カリキュラム編成)3. 医療過誤・医療事故防止に関わる授業をより充実させることが望ましい。(3.医療人教育の基本的内容)4. コミュニケーション教育をより充実させることが望ましい。(3.医療人教育の基本的内容)5. 教養科目として「共通教育科目」118科目が開講されていても、薬学部の学生は、指定科目として薬学部が指定、あるは推奨した選択科目を履修するため、社会科学分野の教養科目を履修する学生が少ない状況を改善することが望ましい。(3.医療人教育の基本的内容)6. 授業の中で、生涯学習に対する意欲を醸成するための教育を充実させることが望まし- 32 -い。(3.医療人教育の基本的内容)7. シラバスの記載内容を、大学長・学部長会議で合意された標準項目(「薬学教育評価ハンドブック(平成 28 年度版、p208))を参考にして充実させることが望ましい。(4.薬学専門教育の内容)8. 英語など、試験・レポート等の成績に平素の受講状況・受講態度を加味する科目については、受講状況・態度の評価比率を含めた評価基準をシラバスに明示することが望ましい。(8.成績評価・進級・学士課程修了認定)9. 教育研究上の目的に基づいた教育における総合的な学習成果を適切に評価することが望ましい。(8.成績評価・進級・学士課程修了認定)10. 専任教員1名あたりの学生数が 21 名とやや多くなっていることと、専任教員の年齢構成が高年齢に偏っていることから、若手教員の補充が望まれる。(10.教員組織・職員組織)11. 教員や学生当たりの研究室面積には、研究分野間でかなりの差がみられるので、研究スペースの相違を少なくするように配慮することが望まれる。(10.教員組織・職員組織)12. 実務家教員の授業担当時間が多くなっているので、授業負担の偏りの解消に配慮することが望まれる。(10.教員組織・職員組織)13. 薬剤師としての実務の経験を有する専任教員が、常に新しい医療に対応するために研鑽できる体制・制度の整備に努めることが望まれる。(10.教員組織・職員組織)14. 教員の新規採用時には、選考に教育能力を十分に反映させられるよう、模擬授業を含めるよう改善することが望まれる。(10.教員組織・職員組織)15. 英文によるホームページの内容をより拡大、充実させ、薬学部の教育研究活動を海外に広く発信することが望ましい。(12.社会との連携)16. 自己点検・評価を行う組織には、外部委員が含まれていることが望ましい。(13.自己点検・評価)3)改善すべき点1. 薬剤師としての倫理観、使命感、職業観を醸成する科目の授業においては、講義が主体になっているものが多いので、SGDなどの学習方法を効果的に用いることが必要である。(3.医療人教育の基本的内容)2. ヒューマニズム教育、医療倫理教育において、関連科目を総合して目標達成度を評価- 33 -するための指標を設定し、それに基づいて適切に評価することが必要である。(3.医療人教育の基本的内容)3. コミュニケーション能力の醸成に関わる教育において、関連科目を総合して目標達成度を評価するための指標を設定し、それに基づいて適切に評価することが必要である。(3.医療人教育の基本的内容)4. 「改訂薬学教育モデル・コアカリキュラム」の「早期臨床体験」に対応する科目である「早期体験学習」で必須の到達目標の一つである「一次救命救急」に関する教育が実施されていないので、実施することが必要である。(3.医療人教育の基本的内容)5. 各授業科目について、シラバスに到達目標の領域に適した学習方法を明示し、個々の到達目標に適した学習方法を用いた教育を行うことが必要である。(4.薬学専門教育の内容)6. 実務実習事前学習の総合的な目標達成度を評価するための指標を設定し、それに基づいて適切に評価する必要がある。(5.実務実習)7. 「卒業研究」には、十分な時間をかけて取り組むことが必要であることを時間割等に明記して学生に周知することが必要である。(6.問題解決能力の醸成のための教育)8. 「卒業研究」の成果を示すにふさわしい内容と形式の「卒業論文」を作成することが必要である。(6.問題解決能力の醸成のための教育)9. 「卒業研究Ⅰ、Ⅱ、Ⅲ」の成績評価は、「卒業研究発表会」を除いて、指導教員が単独で行っているので、明確な指標と基準を定めて複数の教員で評価するなど、より客観的な評価を行うことが必要である。(6.問題解決能力の醸成のための教育)10. 問題解決能力の醸成に関する教育を充実させると共に、その総合的な学習成果を評価する指標を設けて、問題解決能力の醸成に関する目標達成度を適切に評価することが必要である。(6.問題解決能力の醸成のための教育)11. 「ディプロマ・ポリシー」を学部、学科の目的に基づくものに改訂する必要がある。(8.成績評価・進級・学士課程修了認定)12. 専任教員の教育研究業績に対する薬学部としての点検・評価を行い、学部として研究業績が不十分だと判断する者があれば改善を促すことが必要である。(10.教員組織・職員組織)13. 薬学部として6年制薬学教育プログラム全体の改善を目指す点検・評価を恒常的に行う体制を構築し、実効性のある改善に結びつく自己点検・評価を行うことが必要である。(13.自己点検・評価)- 34 -14. 6年制薬学教育プログラム全体に対する恒常的な自己点検・評価で見出された問題点を学部で共有し、それらの改善を図ることで教育内容を向上・発展させる体制を整備することが必要である。(13.自己点検・評価)
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1:提言 改善報告審議結果 |
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| 立命館大学 | 私 | 京都府 | 第1期 |
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適 |
自己点検・評価書 基礎資料 正誤票 |
評価報告書
総評
立命館大学 総評立命館大学薬学部は、医薬品についての高度な専門知識、実務能力、医療人としての素養を有し、地域薬局や病院内で医療チームの一員として先導的な役割を果たす薬剤師、および研究マインドを持ち薬剤師として医療薬学分野の発展に貢献できる人材を養成することを、薬学科の教育研究上の目的としている。これは、医療を取り巻く環境、薬剤師に対する社会のニーズを適確に反映したものとなっている。薬学教育カリキュラムに関しては、平成20~26年度入学者向けの旧カリキュラムと、平成27年度以降入学者向けの新カリキュラムの2つのカリキュラムが設定・運用されている。医療人教育の基本的内容に関しては、総合大学であることの強みを生かし、教養教育センターから提供される社会のニーズに応じた幅広い教養教育科目を有効に取り入れつつ、学部の教学目標および薬学準備教育ガイドラインに適った科目構成をしている。実務実習事前学習は、4年次前期の「医療薬学実習1、2」、後期の「実務前実習」に加え、関連科目が3年次後期から4年次に開講され、実務実習モデル・コアカリキュラムに準拠して行われている。病院・薬局実務実習は、いずれも病院・薬局実務実習近畿地区調整機構より割り振られた認定実務実習指導薬剤師が在籍し、各都道府県病院薬剤師会および薬剤師会において実務実習要件の充足が確認された施設で行われている。問題解決能力醸成のための教育として、卒業研究が時期と期間を適切に設定して実施されており、薬学部主催で卒業研究発表会も実施している。学生の受入れに関しては、教育研究上の目的に基づいてアドミッション・ポリシーが設定され、入学者選抜に当たっては、入学後の学びに必要な基礎学力があるかどうかを、執行部会議および教授会で検討している。留年者数が多くないことなどから、入学試験における科目設定、配点、合格ライン設定は適切であると考えられる。成績評価は、定期試験、レポート試験、平常点評価の3項目からなるが、シラバスに項目ごとの配点割合が記述されていないものもある。平成26年度以前の入学生は3年次と5年次進級時に進級要件を規定している。一方、平成27年度以降の入学生には4年次進級時にも進級条件を課している。なお、薬学部の人材育成目的に基づいてディプロマ・ポリシ- 2 -ーが設定されている。学生への履修支援としては、「化学・け込み寺」、「オリター」、「エデュケーショナル・サポーター(ES)」、「ファーマアシスタント(Ph.A)」などの工夫を凝らした制度が設けられている。また、学生への経済的支援としては、立命館大学入試受験前予約採用型奨学金や立命館大学修学奨励奨学金などの大学独自の充実した奨学金制度が設けられている。専任教員は、教授、准教授、講師、助教を合わせて42名で、大学設置基準上必要な25名以上を上回っている。5名以上必要とされる実務家教員は、15名である。収容定員600名に対して、42名の薬学科教員1名当たりの学生数は、14.2名である。薬学部では、自己点検・評価を行う組織として薬学部自己評価推進委員会を設けており、平成26年度までの総括として、「薬学教育評価ハンドブック」に沿って初めて「自己点検・評価書」を作成している。また、薬学部では、「今年度教学総括・次年度計画概要」等に基づき、執行部会議や薬学部教務委員会で改善策を審議・検討している。以上のように、立命館大学薬学部の6年制薬学教育プログラムは、本機構の評価基準におおむね適合している。しかし、主な改善すべき点として以下の事項が挙げられる。(1)ヒューマニズム教育・医療倫理教育およびコミュニケーション能力と自己表現能力を身につけるための教育については、学習成果を総合した目標達成度評価を、指標を定めて適切に行う必要がある。(2)シラバスに履修年次、必修・選択科目の区別、一般目標(GIO:General InstructionalObjective)、大学独自科目等を明示するとともに、授業方法(講義、演習、実習など)、オフィスアワーを載せる必要がある。(3)専門科目において、選択科目のみが対応している薬学教育モデル・コアカリキュラムのSBOs(Specific Behavioral Objectives)がある。モデル・コアカリキュラムのSBOsは必修科目で対応する必要がある。(4)シラバスの記載項目と学生に配布される冊子「薬学教育モデル・コアカリキュラム」の巻頭に掲載されている対応表の不一致が散見されることに加え、薬学教育モデル・コアカリキュラムの項目番号の記載位置に統一性がなく、項目番号の記載のない科目も見られることなどから、両者において記載事項を一致させるとともに表記方法の統一が必要である。(5)FD(Faculty Development)フォーラムの出席率は半分またはそれ以下であり、取り組みが適切に実施されているとは言えない。従って、FD活動に、より積極的に取- 3 -り組む必要がある。立命館大学薬学部には、以上の改善すべき点に加え、その他の改善すべき点や助言に関しても適切に対応し、総合大学であることの強みを生かした薬学教育の推進を通して、さらに発展することを期待する。
大学への提言
立命館大学 大学への提言1)長所- 24 -1. バランスのとれた英語教育を行っており、薬学専門英語演習により、化学、生物医療系英語を学んでいる。(3.医療人教育の基本的内容)2. 「化学・生物駆け込み寺」、「オリター制度」、「ES制度」、「Ph.A制度」など薬学教育科目の学習成果が上げられるような工夫がなされている。(9.学生の支援)3. 立命館大学入試受験前予約採用型奨学金(入学前)や立命館大学修学奨励奨学金(入学後)などの大学独自の様々なタイプの奨学金制度が充実している。(9.学生の支援)4. 薬学部では、学部長、副学部長、学生主事、学生代表からなる学部五者懇談会を独自に開催し、学部運営への寄与を図っている。(9.学生の支援)5. 危険ドラッグ等薬物乱用防止キャンペーンの企画と実行に携わっていることは評価できる。(12.社会との連携)2)助言1. 大学の建学の精神「自由と清新」や教学理念「平和と民主主義」などをより踏まえた形で教育研究上の目的を設定することが望まれる。(1.教育研究上の目的)2. 教育研究上の目的の教職員への説明はホームページと学部則だけによるのではなく、年度ごとに全員に周知することが望まれる。(1.教育研究上の目的)3. カリキュラム・ポリシーについて、2年次以上の学生や教職員への案内はホームページと学修要覧だけなので、2年次以上の学生への周知や、FD研修会等による教職員への繰り返しの周知が望まれる。(2.カリキュラム編成)4. ヒューマニズム・倫理教育科目、PBL/SGDといった効果的な学習方法を用いた科目を増やすことが望ましい。(3.医療人教育の基本的内容)5. ヒューマニズム・倫理教育科目は、選択とすると全員が履修するとは限らないことから、重要な科目は必修にすることが望ましい。(3.医療人教育の基本的内容)6. シラバスに基礎と臨床の知見を相互に関連づける記述を含めることが望まれる。(4.薬学専門教育の内容)7. 学生が薬剤師以外の医療従事者や薬事関係者と交流する機会を増やすことが望まれる。(4.薬学専門教育の内容)8. 各科目の関連性が十分に理解できるカリキュラムマップに改善することが望まれる。(4.薬学専門教育の内容)9. 大学独自科目の履修者を増やす努力が望まれる。(4.薬学専門教育の内容)10. 大学独自の科目や内容の割合を、適切なレベルまで引き上げることが望まれる。(4.- 25 -薬学専門教育の内容)11. 「実務前実習」のシラバスの備考欄に到達目標(SBO)番号が羅列されているだけで、実習・講義内容との関連付けが分かりにくいので、改善が望まれる。(5.実務実習)12. 実務実習の時期が2、3期の学生に対して、直前に事前学習の知識と技能の到達度も確認することが望ましい。(5.実務実習)13. 実習終了後に、実習施設の指導者から実習内容、実習状況およびその成果に関する意見を聴取することが望ましい。(5.実務実習)14. 問題解決能力の醸成に関する科目において、学生が能動的に問題解決に取り組めるよう、シラバスに授業形態を記述することが望ましい。(6.問題解決能力の醸成のための教育)15. アドミッション・ポリシーの各項目が十分に確認される形で、入学者選抜を行うことが望まれる。(7.学生の受入)16. シラバスの平常点評価において、出席点が加味されている科目においては、その評価割合をできるだけ少なくすることが望ましい。(8.成績評価・進級・学士課程修了認定)17. ディプロマ・ポリシーの説明は、教職員に対して学修要覧による間接的なものである。FD等により確実に周知することが望ましい。(8.成績評価・進級・学士課程修了認定)18. 教育研究上の目的に基づいた教育における6年間の総合的な学習成果を測定するための指標を設定し、それに基づいて総合的な学習成果を測定することが望ましい。(8.成績評価・進級・学士課程修了認定)19. リメディアル科目を履修すべき学生の履修率が低いので、高めることが望まれる。(9.学生の支援)20. 実務家教員に対して、常に新しい医療に対応するために研鑽できる体制・制度を充実させることが望まれる。(10.教員組織・職員組織)21. 教員と職員が意見交換会などにより連携して資質向上を図る体制を構築することが望まれる。(10.教員組織・職員組織)22. 薬学部の英文ホームページを開設することが望ましい。(12.社会との連携)23. 薬学教育評価機構が求める自己点検・評価の内容に沿った自己点検・評価を毎年継続的に実施し、その結果をホームページでの公開することが望まれる。(13.自己点検・- 26 -評価)3)改善すべき点1. ヒューマニズム教育・医療倫理教育の各科目の評価について、客観的な指標と評価方法を設定する必要がある。(3.医療人教育の基本的内容)2. ヒューマニズム教育・医療倫理教育については、関連科目の学習成果を総合して目標達成度を評価するための適切な指標を設定し、評価を行うことが必要である。(3.医療人教育の基本的内容)3. コミュニケーション能力および自己表現能力を身につけるための各科目の評価について、客観的な指標と評価方法を設定する必要がある。(3.医療人教育の基本的内容)4. コミュニケーション能力および自己表現能力を身につけるための教育においては、関連科目の学習成果を総合して目標達成度を評価するための適切な指標を設定し、評価を行うことが必要である。(3.医療人教育の基本的内容)5. シラバスに履修年次、必修・選択科目の区別、一般目標(GIO)、大学独自科目等を明示するとともに、授業方法(講義、演習、実習など)、オフィスアワーを載せる必要がある。(4.薬学専門教育の内容)6. 専門科目において、選択科目のみが対応している薬学教育モデル・コアカリキュラムのSBOsがある。改訂モデル・コアカリキュラムのSBOsは必修科目で対応する必要がある。(4.薬学専門教育の内容)7. シラバスの記載項目と学生に配布される冊子「薬学教育モデル・コアカリキュラム(平成25年度改訂版)」の巻頭に掲載されている対応表の不一致が散見されることに加え、薬学教育モデル・コアカリキュラムの項目番号の記載位置に統一性がなく、項目番号の記載のない科目も見られることなどから、両者において記載事項を一致させるとともに表記方法の統一が必要である。(4.薬学専門教育の内容)8. 実務実習事前学習全体としての目標達成度を評価するための指標を設定し、それに基づいて適切に評価する必要がある。(5.実務実習)9. CBT委員会、OSCE委員会を組織しているが、委員会の開催実績はないので、両委員会を実効性のある組織として機能させる必要がある。(5.実務実習)10. 問題解決能力の醸成に向けた教育に関しては、関連科目を総合して目標達成度を評価するための指標を設定し、それに基づいて適切に評価するよう改善することが必要で- 27 -ある。(6.問題解決能力の醸成のための教育)11. シラバスの成績評価について、評価基準が明記されていない科目や複数の評価項目がある科目においては、基準を明記し、各項目について配点割合を示す必要がある。(8.成績評価・進級・学士課程修了認定)12. 自身の研究分野に精通することが、各教員の教育目標を達成するための基礎となるとの考えから最先端の研究活動に力を入れているが、アクティブラーニング手法の導入などの直接的な教育能力の維持・向上に取り組む必要がある。(10.教員組織・職員組織)13. 学部内に「薬学部FD委員会」を設置しているが、FDフォーラムの出席人数をみると、教員職員いずれも半数程度あるいはそれ以下の出席であり、取り組みが適切に実施されているとは言えない。従って、FD活動に、より積極的に取り組む必要がある。(10.教員組織・職員組織)
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1:提言 改善報告審議結果 |
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| 日本薬科大学 | 私 | 埼玉県 東京都 |
第1期 | 2013年度 | 継 |
自己点検・評価書 基礎資料 |
評価報告書
総評
日本薬科大学 総評日本薬科大学は、『個性の伸展による人生練磨』を建学の精神とし、薬剤師養成教育に 特化した4つの教育目的、すなわち、1)創造的医療人、2)時代の変化に適応できる医 療人、3)惻隠の心をもつ医療人、4)統合医療を実践できる医療人の育成を掲げ、それ らに基づき、学位授与の方針(ディプロマ・ポリシー)とその達成に向けた入学者受入方 針(アドミッション・ポリシー)と教育課程の編成・実施方針(カリキュラム・ポリシー) を定めて6年制薬学教育を行っている。 しかしながら、本機構の評価基準に基づいて教育プログラムの内容を評価すると、改善 を必要とするいくつもの重大な問題が見出される。すなわち、「卒業研究」、「学士課程 修了認定」に関わる問題としては、①「薬学総合演習Ⅱ」など国家試験準備を目的とする 授業時間を増やして「卒業研究」の実質的な時間を減らしていること、②卒業の可否をほ ぼ「薬学総合演習Ⅱ」の試験結果だけで判定し、この科目のみの単位未修得による多くの 卒業延期者を出していることなどがあり、それらの根底には薬剤師国家試験合格を目指す、 記憶中心の知識を重視した教育に偏重しているという問題がある。また、入学後から様々 な学力補強教育を行っているにもかかわらず、2年次までの退学者が 50 名を超え、6年 間の在籍で卒業する学生の割合(卒業率)が 50%に満たないという状況を生じていた。 2012(平成 24)年度以後、低学年での退学者数は改善される方向に向かってはいるもの の、上記の状況は入学者の選抜において入学志願者の適性および能力が適確かつ客観的に 評価されず、薬学教育に必要な学力を欠く学生を少なからず入学させていたという「学生 の受入」に関わる問題があることを示している。さらに、「教員組織」についても、①10 名以上の教授が規定の定年を過ぎている一方、②若い教員(特に助教、助手)の人数が少 ないという問題点がある。 以上の具体的に指摘できる問題点に加えて、「薬学専門教育の内容」とシラバスの記載 の対応に関する十分な検討がなく、その状況に対する自己点検・評価も不十分であったことで、薬学専門教育の薬学教育モデル・コアカリキュラムへの準拠に関わる説明が評価の 過程で変遷した。これは、日本薬科大学が薬学専門教育の内容、シラバスの内容、薬学教 育モデル・コアカリキュラムの相互関係を把握することの重要性を十分に理解していなか ったことを意味するものである。また、「専任教員の教育研究業績」に対する自己点検・ 評価が学部として包括的な形で行われていたことは、個々の専任教員の適格性評価に関わ る自己点検・評価の姿勢に問題があることを示している。 今回の評価で「改善すべき点」として指摘した諸問題を全教員で共有して、その重要性 を認識する必要がある。そして、全学を挙げて問題の改善に取り組み、それらを解消し、 優れた学習環境を生かして、6年制薬学教育に貢献することを期待している。
大学への提言
日本薬科大学 大学への提言1)助言
1)学部教授会が主体となり、教育研究上の目的ならびに薬学教育プログラムの向上に資 する自己点検・評価委員会を再構築し、薬学教育プログラムを定期的に検証すること が望まれる(1.教育研究上の目的)。 2)薬学科の完成年度までは、入学時に適用されるカリキュラムに対応した上級学年の教 育概要がわかる適当な資料を配布することが望ましい(2.カリキュラム編成)。 3)自然科学系の必修科目を除いた実質的な教養科目は人文系2科目、社会系3科目しか なく、科目数が著しく不足しているので、教養教育の人文科学、社会科学の科目数を 増やし選択の幅を広げることが望ましい(3.医療人教育の基本的内容)。 4)語学教育については、「読む」、「書く」の英語教育が中核となり、「聞く」、「話す」の英語教育は各1科目にしかなく、「聞く」、「話す」の教育内容を充実させ、「読む」「書 く」とのバランスを改善することが望ましい(3.医療人教育の基本的内容)。 5)「医療人教育の基本的内容」の対象科目の根拠としている表 3-1-1-1 では重複して収 載されている改組前後の科目数を単純に合計しており、実質的には卒業要件の 1/5 を越えることにはならない。これらの科目数を増すとともに、その内容もニーズにあ ったものへの変更を行い、内容の充実を図ることが望ましい(3.医療人教育の基本 的内容)。 6)日本薬科大学の教育研究目的に基づく、薬学教育モデル・コアカリキュラム以外の内 容を持った、独自の科目によるアドバンスト教育を行う体制を整えることが望ましい (4.薬学専門教育の内容)。 7)改組に伴うカリキュラムの変更で、旧課程で入学した留年生等が未修得科目の履修で 不利益を蒙らないよう、科目の読み替え制度を整備し、該当する学生に説明すること が望ましい(8.成績評価・進級・学士課程修了認定)。 2)改善すべき点 1)6年次の週日の午前中を使って行われる長時間の「薬学総合演習Ⅱ」、「卒業研究」の 一部として5年次の午前に組み込まれている演習プログラム(E2)によって「卒業 研究」の時間が不足している。この状況を改善するため、「薬学総合演習Ⅱ」と「卒 業研究(E2)」を整理してそれらに充てている時間数を抑制すること、正規の授業 科目と国家試験準備補習とを時間割表記でも明確に区別すること、「薬学総合演習」 の内容と評価基準をシラバスに明示すること、ならびに本来の「卒業研究」であるE 1の実質時間を延長する等、薬剤師国家試験の合格を目指す教育への偏重を是正する ことが必要である(2.カリキュラム編成)。 2)ヒューマニズム教育および医療倫理教育の一部(「ヒューマニズムⅡ」「医療倫理学」 「コミュニケーション学」)が、講義のみの授業と定期試験による評価となっており、 医療人として患者や医療提供者の立場を理解し信頼関係を構築する教育に必要な学 習方法となっていない。さらに、本機構が求める「目標達成度を評価するための指標 が設定され、それに基づいて適切に評価されていること」にも適合していない。これ らの科目については、学習方法の変更とそれに見合った評価方法の改善が必要である (3.医療人教育の基本的内容)。 3)相手の立場や意見を尊重した上で、自分の考えや意見を適切に表現するための基本的知識、技能および態度を修得する教育として列挙されている一連の科目群には、内容 の連続性がないので、改善する必要がある。さらに、それらについては、本機構の基 準である「目標達成度を評価するための指標が設定され、それに基づいて適切に評価 されていること」を実現する評価指標の設定とそれに基づく適切な評価の実施が必要 である(3.医療人教育の基本的内容)。 4)教育内容を学生に提示する基本文書であるシラバスの記載内容が、一部の科目で実際 の教育内容と異なっていることを自覚しながら改善できていないことや、薬学教育モ デル・コアカリキュラムへの準拠に関する教育内容の説明が評価の過程で変遷したこ とは、薬学教育モデル・コアカリキュラムやシラバスの意義を重視せず、学部の全教 員による取り組みが不足していたことを示している。6年制薬学教育を行う薬学部に 求められる基本的な義務であり改善が必要である(4.薬学専門教育の内容)。 5)事前学習の評価に関する指針において、個々の教育項目の内容を考慮せずに全項目の 評価を、知識:技能:態度=3:3:4の比率で行うよう指示していることは適切で ない。また、この指針には、態度の指標に服装を指定するなど、評価指標や評価の基 準に必ずしも適切とはいえないものが含まれている。事前学習の評価指針を、個々の 学習項目の教育内容と評価領域(知識、技能、態度)との対応を考慮し、それぞれの 項目に対して適切な評価指標と評価基準を示した内容のものに改善することが必要 である(5.実務実習)。 6)薬学共用試験の受験者数を、自己点検・評価書に記載することが必要である(5.実 務実習)。 7)「卒業研究」を「研究課題を通して、新しい発見に挑み、科学的根拠に基づいて問題 点を解決する能力を修得する」ことができる内容のものとするため、研究室において 教員の指導を受けて研究課題に取り組む実質的な期間を少なくとも1年間は保証で きるよう、5、6年次における卒業研究と国家試験準備教育の時間配分を調整し、改 善する必要がある(6.問題解決能力の醸成のための教育)。 8)「卒業研究」の具体的な内容(薬学教育における卒業研究の意義、研究の一般的な進 め方などの説明と評価方法と基準の説明)をシラバスに明記することが必要である (6.問題解決能力の醸成のための教育)。 9)卒業論文の一部が連名で作成されており、これらを個人ごとにする必要がある(6. 問題解決能力の醸成のための教育)。 10)「薬学総合実習(PBL)」以外で「問題解決能力の醸成に向けた教育」としている科目には内容上の系統性が見られず、授業の一部にPBLやSGDという学習方法を実 施している科目を集めたに過ぎない。さらに、それらの科目では、評価基準が求めて いる「目標達成度を評価するための指標の設定やそれに基づく適切な評価」がなされ ているとはいえない。これらの問題点を改善するため、問題解決能力の醸成を系統的 に行うことを目的とする科目を整備して教育の充実を図ることが必要である(6.問 題解決能力の醸成のための教育)。 11)徹底した学力補強教育に努めているにも関わらず、卒業率が 50%に届かず、低学年 での退学者が 50 名を超えている現状は、補強教育によっても薬学を学ぶために必要 な学力に到達させることができない学生を多数入学させていることに原因があると いわざるを得ない。これは、現行の「入学者選考委員会」が合格者を決定する制度で は、「入学志願者の適性および能力が適確かつ客観的に評価されていること」が実現 できていないことを意味する。この状況を改善するため、教育に携わる責任ある薬学 部教員の判断によって合格者の原案を決定するような入学者選抜制度とするなど、入 学志願者の適性および能力を適確かつ客観的に評価する体制への抜本的な改善が必 要である(7.学生の受入)。 12)受験生からの求めがあれば、当該者の入学試験成績を開示する制度を設けることが必 要である(7.学生の受入)。 13)選抜方法別に学生の退学率・進級率等を継続的に検証して評価する体制を構築し、一 層の改善を実現する必要がある(7.学生の受入)。 14)4年次および6年次に行われている「薬学総合演習」と「卒業研究」など一部の重要 な科目で、評価方法と基準がシラバスに示されていない。これらの科目は5年次への 進級や卒業の判断に重要な意味を持つことから、評価基準をシラバスに明示するよう 改善することが必要である(8.成績評価・進級・学士課程修了認定)。 15)訪問調査における試験問題の閲覧において、毎年ほぼ同一の問題が出題されていた科 目、定期試験と追再試験が同一問題で行われていた科目、再試験における点数の操作 などが見出されたので、試験問題の作成や試験の採点における公正で厳格な態度の重 要性を全教員に徹底することが必要である(8.成績評価・進級・学士課程修了認定)。 16)「薬学総合演習Ⅱ」のみの単位が未修得で在籍者の約 25%の卒業延期者を出している ことから、適切に設定された基準に基づく学士課程修了認定が行われているとはいえ ない。薬学教育モデル・コアカリキュラムに準拠した薬学専門科目を修得し、「卒業 研究」と「実務実習」を修了している学生の多数が、「薬学総合演習Ⅱ」の試験で不合格になり、卒業できないという事態を生じることがないよう、全教員で学力評価の 実態を点検し、根本的な改善を早急に行うことが必要である(8.成績評価・進級・ 学士課程修了認定)。 17)専任教員の年令構成が高齢に偏っており、若手の教員(特に助教)が著しく少ない。 この状態を解消するため、定年を過ぎた専任教員の後任人事を進め、若い教員を積極 的に採用することによって、専任教員の職位別比率および年齢構成の適正化を図るこ とが必要である(10.教員組織・職員組織)。 18)基礎資料 15 を縦覧すると、過去5年間において、日本薬科大学の基準(専門領域の 学会誌に年間1報以上掲載)に達していない教員が見いだされるため、改善が必要で ある(10.教員組織・職員組織)。 19)個々の教員に関する自己点検を行っておらず、教員が教育目標を達成するための基礎 となる研究活動を行っていることが確認されていない。また教員名簿には専門分野の 記載がない教員が教授(非常勤)を含めて 12 名掲載されている(「さいたまキャンパ ス教員名簿」)。薬学教育を主たる担当とする専任教員として必要とされる教育研究能 力を有する者が配置されていることは、教育における質保証の基本に関わる重要事項 である。これを実現するため、恒常的な自己点検・評価による、専任教員の教育研究 能力に対する客観的な検証と保証を早急に実行し、適格な教員を配置することが必要 である(10.教員組織・職員組織)。 20)大学の規定による定年である 65 歳を超えた専任教員が 10 名以上も在籍しており、改 善が必要である(10.教員組織・職員組織)。 21)自己点検・評価委員会の充実を図り、教育に係る諸項目を恒常的に点検・評価してそ の結果を薬学教育の改善に活用できる体制を早急に確立することが必要である。その 際には、一部の教員で報告書の作成を行うのではなく、学部執行部以外の教員を含め て自己点検・評価を行い、その過程で明らかになった問題点を全教員で共有する体制 を構築し、見いだされた問題点を改善する方策を考え、教育研究活動の改善に反映す ることが必要である(13.自己点検・評価)。 |
異議申立に対する回答書 |
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2017年度 |
適 |
再評価改善報告書 |
再評価報告書
総評
日本薬科大学 総評日本薬科大学薬学部薬学科は、『個性の伸展による人生練磨』を建学の精神に掲げ、学則において「広く知識を授けるとともに、深く薬学に関する学理と技術を教授研究し、豊かな人間性と確かな倫理観を兼ね備えた有能かつ創造的人材を育成することを目的としている。このことにより、薬学の深化、文化の向上、人類の福祉、地域社会の振興に貢献することを使命としている。」と定め、薬学科の教育研究上の目的に当たる教育目標を「創造的医療人、時代と地域社会に適応できる医療人、惻隠の心をもつ医療人、統合医療を実践できる医療人の育成を目標とする。」とし、これらに基づき、2013(平成25)年当時から学位授与の方針(ディプロマ・ポリシー)とその達成に向けた入学者受入方針(アドミッション・ポリシー)と教育課程の編成・実施方針(カリキュラム・ポリシー) を定めて
6年制薬学教育を行っているが、2013(平成25)年度の本評価時には「薬学専門教育の内容」、「問題解決能力の醸成のための教育」、「学生の受入」、「成績評価・進級・学士 課程修了認定」、「教員組織・職員組織」、「自己点検・評価」の6中項目が本機構の定める評価基準に達しておらず、評価継続となった。今回、「再評価改善報告書」に基づい て上記6中項目に関して再評価を行った。日本薬科大学薬学部薬学科では、本評価で指摘された諸問題を全教員で共有し改善に臨むために、教員連絡会を中心にFD研修会(FD:Faculty Development)を実施するなどの努力を行っている。「薬学専門教育の内容」に関しては、改定モデル・コアカリキュラムに準拠した教育内容にするべく改善を図り、シラバス等の改善にも努めた。「問題解決能力の醸成のための教育」に関しては、卒業研究に関して4年次から「卒業研究準備」の時間を設けるなどして、その充実を図った。「学生の受入」に関しては、薬学部教授会が入学者選考に、より関与する体制とし、指定校推薦の募集人員の削減、評定平均値を上げるなど具体的改善を試みている。また、教学IR委員会(IR:Institutional Research)を設置し、退学率、進学率などを集計し、年度ごとに比較検討すること等も行っているが、それら改善策の効果は即効的ではなく十分ではない。「成績評価・進級・学士課程修了認定」に関しては、成績評価方法、成績基準などをシラバスに明記し、科目ごとの成績ヒストグラムを全教員で共有するようにした。また、実質的な卒業試験につながると考えられた「薬学総合演習Ⅱ」の授業方法および成績評価方法(試験制度)を変更するなどの改善努力を行っている。しかし、入試制度の改善努力の効果が6年次の卒業試験結果に表れるまでには至っておらず、6年間で卒業する学生の割合の改善は不十分である。 「教員組織・職員組織」に関しては、若い教員の採用に努めており、教員の平均年齢は本評価時よりは低くなってきている。「自己点検・評価」に関しては、改善を要する事項を全学で共有すべき連絡会を設置し、FD研修会、教員の業績に関する自己申告を実施するなど全教員で改善に努めている。以上のように、日本薬科大学薬学部薬学科は、本評価において指摘された多くの問題点に対して真摯に向き合い、全学で改善に取り組んでおり、本評価における評価結果と併せて、本機構の定める「薬学教育 評価基準」におおむね適合水準に達していると判断できる。 しかし、以下のような更なる改善を必要とする問題点がある。(1)「薬学演習ⅢA、B」における正規時間内での外部補講(予備校の関与)について改善する必要がある。(2)卒業研究期間の正規時間内にシラバスに記載されていない長期にわたる組織的・継続的な補講、演習を実施しないよう改善する必要がある。(3) 入学者の基礎学力を担保できるように、入試制度の改善が必要である。(4)「薬学総合演習Ⅱ」の未修得のみによる卒業延期率については、十分な改善が窺えないので、各学年において進級基準に従って公正かつ厳格な判定を行うなど、教員の意識改革を含めた根本的な改善を早急に行うことが必要である。日本薬科大学薬学部薬学科には、本評価および再評価で指摘された改善すべき点、助言を踏まえ、指摘事項の改善に取り組み、薬学教育の更なる向上に努めることを期待する。
大学への提言
日本薬科大学 大学への提言1)助言
1. カリキュラムマップとシラバスの記載内容の整合性を精査することが望まれる。(4. 薬学専門教育の内容) 2. 「Syllabus 授業計画」の冊子は、学年ごとではなく冊子を通しての全目次を記載する など、学生の利便性を考慮したさらなる改善が望まれる。(4.薬学専門教育の内容) 3. 研究のもつ独特の意義、すなわち、自立性と独創性、客観的にとらえる観察眼、論理 的思考などがシラバスの到達目標に含まれることが望ましい。(6.問題解決能力の醸 成のための教育) 2)改善すべき点 1. 「薬学演習ⅢA、B」(3年次)における正規時間内での外部補講(予備校の関与)に ついて改善する必要がある。(4.薬学専門教育の内容) 2. 実質的に十分な研究活動ができるように、卒業研究の時間を更に確保するよう改善する 必要がある。(6.問題解決能力の醸成のための教育) 21 3. 卒業研究期間の正規時間内に、シラバスに記載されていない長期にわたる組織的・継続 的な補講、演習を実施しないよう改善する必要がある。(6.問題解決能力の醸成のた めの教育) 4. 問題解決能力醸成のための教育において、総合的目標達成度を評価するための指標を設 定し、それに基づいて適切に評価する必要がある。(6.問題解決能力の醸成のための 教育) 5. 入学者の基礎学力を担保できるように、入試制度の改善が必要である。(7.学生の 受入) 6. 「薬学総合演習Ⅱ」の未修得のみによる卒業延期率については、十分な改善が窺えない ので、各学年において進級基準に従って公正かつ厳格な判定を行うなど、教員の意識改 革を含めた根本的な改善を早急に行うことが必要である。(8.成績評価・進級・学士 課程修了認定) 7. 卒業延期者に単位未修得科目の再履修を義務付け、正規の試験に合格して卒業させる ように改善すべきである。(8.成績評価・進級・学士課程修了認定) 8. 教員の年齢構成の偏りは改善されていないので、人事制度の改善をする必要がある。(1 0.教員組織・職員組織) 9. PDCAサイクルによる一連の行動(改善)は、点検項目を定め、毎年チェックして更 なる改善を行うことが必要である。(13.自己点検・評価) |
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| 岩手医科大学 | 私 | 岩手県 | 第1期 | 2017年度 | 適 |
自己点検・評価書 基礎資料 正誤票 |
評価報告書
総評
岩手医科大学 総評岩手医科大学薬学部は、大学の理念「全人的地域総合医療の推進」と薬剤師養成教育に課された使命に基づいて「人材養成及び教育研究上の目的」を設定し、6年制薬学教育を行っている。ヒューマニズム、医療倫理、コミュニケーション教育科目は1年次から実施され、特に医歯薬学部合同での教育は、医療総合大学における本薬学部の特徴である。薬学専門教育は、おおむね薬学教育モデル・コアカリキュラムに準拠しており、独自の科目や教育内容を加えて学年進行に沿った教育を行っている。また、チーム基盤型学習(TBL:team-based learning)などのアクティブラーニングの手法を取り入れた講義を設定し、学習内容の定着につなげている。学生の問題解決能力は、4~6年次の卒業研究科目や、PBL(Problem Based Learning)を導入した講義、実習などで醸成を図っている。しかし、6年次のカリキュラムは薬剤師国家試験対策に偏重している。実務実習に関しては、3~4年次の実務実習事前学習はおおむね実務実習モデル・コアカリキュラムに準拠しており、実務実習での学生との面接、施設訪問などは、全教員協力のもと、施設の担当講座の教員が分担している。入学者選抜では、入学者受入方針(アドミッション・ポリシー)を掲げ、一般入学試験、推薦入学試験および大学入試センター試験利用入学試験により入学者を選抜している。学生の成績評価・進級・学士課程修了認定は学則に定められており、後述する問題点を除けば、おおむね適正に実施されている。また、留年生など成績不振学生への学習支援体制を整えている。しかし、ストレート在籍率は学年が進むごとに低下しており、1年次での退学者も目立つ。経済的支援として、大学独自の奨学金制度や東日本大震災被災学生に対する授業料等免除制度などを設けるほか、キャリア支援体制も充実させている。教員組織としては、教育・研究上の実績を有する専任教員が配置されているが、大学の定める薬学部の教員の定員数に対して各職階とも欠員がある。また、助教の占める割合- 2 -が高い。教員の研究環境および学生の学習環境は十分に整えられている。共同研究や、薬剤師の生涯教育などで社会と連携するほか、岩手県薬剤師会や病院薬剤師会などと「岩手県薬学・薬事関係者懇話会」を設立し、実務実習や学術的活動で協力している。自己点検・評価に関しては、岩手医科大学自己評価委員会に加え、薬学部自己評価委員会を設置している。また、本大学は、平成25年度に大学基準協会による認証評価を受けている。以上のように、岩手医科大学薬学部の薬学教育プログラムは、全体として本機構の評価基準におおむね適合しているが、以下の問題点について改善が必要である。(1)カリキュラムが国家試験対策に偏重しているので、教育課程の編成・実施の方針(カリキュラム・ポリシー)に沿った編成に改善すべきである。(2)問題解決能力醸成のために必須である卒業研究の実施期間は十分とは言えないので、改善すべきである。(3)実務基礎実習に合格し、共用試験が不合格で留年となる学生に、既に合格している実務基礎実習を再履修させるという規定は、単位認定の観点から適切ではないので、第4学年の進級規定を修正する必要がある。(4)「卒業研究」は5、6年次の通期科目として設定され、シラバスにも単年度ごとの「卒業研究の成績評価基準」は示されていないにもかかわらず、薬学部進級判定基準では、5年次に「卒業研究の成績評価基準に達した者を進級とする」と規定されており、現実のカリキュラムと整合しないので科目の見直し、あるいは進級規定の修正を行う必要がある。(5)国家試験対策科目「総合講義」に対応する「総合試験」を実質的な卒業試験とすることは、国家試験合格の可能性がある学生の選抜に利用していると判断されるので、改善すべきである。(6)公平かつ厳正な卒業判定を行うため、「総合試験」の明確な成績評価基準および合格基準を総合講義/演習のシラバス等に記載すべきである。(7)「自己点検・評価書」や基礎資料、添付資料に多くの誤記や齟齬があり、自己点検・評価が適正かつ厳格に行われていたとは言えないので、薬学部自己評価委員会を、責任ある自己点検・評価体制として機能させるとともに、その評価結果を教育研究活動にフィードバックし、6年制薬学教育プログラムの質の向上に努めることが必- 3 -要である。貴学には、問題点の改善に取り組むことで、医系総合大学の特色を活かし、地域に根差した薬剤師教育プログラムを展開されることを期待する。
大学への提言
岩手医科大学 大学への提言1)長所1. 学生の自習スペースとして、図書館以外に計662席を設け、そのうち542席は休日でも7~22時で利用が可能である。(11.学習環境)2. 岩手県薬学・薬事関係者懇話会の設立や、岩手県薬剤師会・病院薬剤師会と連携・協力して自由科目「被災地薬剤師から学び考える―地域におけるこれからの薬剤師のあり方」の授業が行われるなど、地域と連携・協力した教育体制が構築されている。(12.社会との連携)2)助言1. シラバスに「薬学部の教育研究上の目的」を含め、薬学部の3つのポリシーを記載することが望ましい。(1.教育研究上の目的)2. 「薬学部の教育研究上の目的」および3つのポリシーを薬学部ホームページの常に参照できる場所に掲載することが望ましい。(1.教育研究上の目的)3. シラバスに無い、単位外の「実践的薬学演習」や「総合演習」を、本来、シラバスに記載された正規科目を実施すべき時間帯に組み込むことは適切ではないので、改善することが望ましい。(2.カリキュラム編成)4. 1年次には選択必修の教養教育科目として人文科学、社会科学および自然科学22科目- 45 -を開講し、それを4グループに分けて各グループ1科目選択で、4科目の選択を求めている。しかし、同一グループの科目を重複して履修することは、時間割の制約上不可能であり、実質的に履修できる科目数は限られている。選択必修科目の履修について再考することが望まれる。(3.医療人教育の基本的内容)5. 実習科目に関連して実施される製薬工場見学はシラバスに記載がなく、ガイダンス資料に見学先、日程、注意事項などが記載されているのみであるので、シラバスに学習方針、教育成果、到達目標などを示すことが望まれる。(3.医療人教育の基本的内容)6. 卒業生や岩手県内の薬剤師を対象に卒後研修講座を開講しているが、学部学生の参加が少ないので、学部学生の参加を促すことが望ましい。(3.医療人教育の基本的内容)7. 各講義科目のシラバスを見る限り、科目内で基礎と臨床を関連付けた内容は見当たらないので、改善が望まれる。(4.薬学専門教育の内容)8. 大学独自の教育の一部が自由科目として設定されており、自由科目の受講者数は、「治療戦略概論」は94名であるが、「感染症対策薬学」29名、「実践チーム医療論(病棟実習)」25名、「処方解析演習/実践的薬学演習」19名、またこれら以外の科目については10名前後であるので、大学独自の教育を推進するためには受講者を増やすことが望まれる。(4.薬学専門教育の内容)9. 「調剤学」、「臨床薬学1」については、シラバスに事前学習科目であること、また該当する実務実習モデル・コアカリキュラムのSBOsが示されていないので、明示することが望まれる。(5.実務実習)10. OSCE終了後、実務実習Ⅰ期開始までおおむね4ヶ月間の開きがあるが、実習開始直前に調剤手技等のフォローアップや事前学習全体の到達度の確認は行われていないので、改善が望まれる。(5.実務実習)11. 処方解析の課題については、実務実習の学習の評価には加えていないが、実習施設訪問の面談時には、模擬処方せんではなく、実習施設で得た、生きた経験に基づいて、学生への形成的フィードバックを行うことが望ましい。(5.実務実習)12. 卒業論文の作成要項を整備することが望まれる。(6.問題解決能力の醸成のための教育)13. 学生の主体的な学びを促進するアクティブラーニングの教育手法を多数の科目で取り入れているが、真の意味で、問題解決能力の醸成を主眼としている科目が少なく、必- 46 -修の薬学専門科目で、問題解決型学習の教育手法を取り入れている実質的な単位数は、卒業研究科目を含めても卒業要件単位数の1/10に満たないので、充実させることが望まれる。(6.問題解決能力の醸成のための教育)14. 6年次留年生の「総合講義」については、正規6年次の「総合講義」29コマに対して、留年時には4月および5月の「総合講義」12回および総合講義補習授業8回の計20コマに出席することで、所定の履修時間の2/3以上に出席し、再履修したと判断している。しかし、実際には、学生が1日でも欠席すると、2/3以上の出席が満たされない可能性がある特別な措置であり、厳格に再履修が実施できる制度を整えることが望まれる。 (8.成績評価・進級・学士課程修了認定)15. 6年制薬学教育の総合的な学習成果の測定を、指標を設定し、それに基づいて行うことが望ましい。(8.成績評価・進級・学士課程修了認定)16. ハラスメント防止の取組みはキャンパスライフガイドやガイダンス資料に記載されていないので、学生に十分周知できるように、これらの資料を有効に活用することが望ましい。(9.学生の支援)17. 障がいを有する学生の受験に関しては、申し出や問い合わせに応じた個別対応がなされているようであるが、学生募集要項など、受験生への広報の中にも対応について記載されることが望ましい。(9.学生の支援)18. 消防訓練や避難訓練は、平成24年度に矢巾キャンパス内で学生を対象に実施しているが、25年度以降の実施は教職員のみを対象としているので、学生を交えた訓練を定期的に実施することが望ましい。(9.学生の支援)19. 准教授・講師の人数は、大学の定める薬学部の教員の定員数に対し約1/3が欠員であるので、早急に人事を進め、必要とする人数を確保することが望まれる。(10.教員組織・職員組織)20. 「岩手医科大学薬学部教員選考基準」には、研究業績の基準のみが明示されており、研究能力が重要視されていることが窺われるので、教育上の指導能力に関しても模擬講義や審査項目を加えるなど、明確な基準の設定が望まれる。(10.教員組織・職員組織)21. 大学間、薬学部間での海外の大学との交流協定・活動の実績はないので、今後改善が望まれる。(12.社会との連携)22. 教員が大学に籍を置いたまま国外留学した例がないので、海外研修制度を充実させ、積極的に活用することが望まれる。(12.社会との連携)- 47 -23. 大学および薬学部が主体となった、海外の医療系大学や医療施設での研修会などは実施されていないので、海外臨床研修プログラムなどを用意し、学生が広く世界を視野に入れた上で、薬学と医療を学ぶ機会を提供することが望ましい。(12.社会との連携)24. 薬学部自己評価委員会に学外の外部委員を加えることが望ましい。(13.自己点検・評価)25. 平成27年度薬学部自己点検・評価報告書および自己評価22が、薬学部のホームページから直接閲覧できることが望ましい。(13.自己点検・評価)3)改善すべき点1. 国家試験対策に偏重したカリキュラム編成となっているので、カリキュラム・ポリシーに沿った編成に改善すべきである。(2.カリキュラム編成)2. ヒューマニズム・医療倫理教育に関連する科目において、目標達成度を総合的に判定する指標を設定し、評価を行う必要がある。(3.医療人教育の基本的内容)3. コミュニケーション能力、自己表現能力を身につけるための科目において、目標達成度を総合的に判定する指標を設定し、評価を行う必要がある。(3.医療人教育の基本的内容)4. シラバスに、各科目の到達目標は示されているが、コアカリのSBOsとの対応について記載がなく、また、本薬学部のカリキュラムの構成とコアカリの関係が学生や社会から見て分かりにくいので、シラバスの授業内容にコアカリのSBOsを記載することが必要である。(4.薬学専門教育の内容)5. コアカリの各SBOsが示す知識、技能、態度にふさわしい学習方略で教育が行われていないところがあるので、改善すべきである。(4.薬学専門教育の内容)6. 実務実習事前学習全体に関して、目標達成度を評価するための指標を設定し、それに基づいて適切に評価する必要がある。(5.実務実習)7. 問題解決能力の醸成のために必須である卒業研究の実施期間は十分とは言えないので、改善すべきである。(6.問題解決能力の醸成のための教育)8. 5、6年次卒業研究全体の評価を公正・適確に行うために、学部共通で、研究中の態度、発表、卒業論文を含めた具体的な評価基準・評価方法を定め、また、シラバスに記載する必要がある。(6.問題解決能力の醸成のための教育)9. 問題解決能力の醸成に向けた個々の教育において、さらに、関連した科目を総合し- 48 -て、目標達成度を評価するための指標を設定し、評価を行う必要がある。(6.問題解決能力の醸成のための教育)10. 毎年の入学者のうち6年間の在学期間で卒業した者の割合(ストレート卒業率)が近年低下しており、これは大学が入学者に求めているモチベーションや学力と、入学生の実体が乖離してきた可能性を示している。したがって、入学生を選抜する方法について、検証、改善することが必要である。(7.学生の受入)11. 実務基礎実習に合格し、共用試験が不合格で留年となる学生に、既に合格している実務基礎実習を再履修させるという規定は、単位認定の観点から適切ではない。したがって、第4学年の進級規定を修正する必要がある。(8.成績評価・進級・学士課程修了認定)12. 薬学部進級判定基準には「第5学年(1)第5学年において実務実習(病院)、実務実習(薬局)に合格し、教育要項(シラバス)に定める所定の単位を取得し、卒業研究の成績評価基準に達した者を進級とする」と規定されているが、卒業研究は5、6年次の通期科目として設定されており、単年度ごとの「卒業研究の成績評価基準」は示されていない。したがって、この進級規定は、現実のカリキュラムと整合しないので科目の見直しあるいは進級規定の修正を行う必要がある。(8.成績評価・進級・学士課程修了認定)13. 国家試験対策科目「総合講義」に対応する「総合試験」を実質的な卒業試験とすることは、国家試験合格の可能性がある学生の選抜に利用していると判断されるので、改善すべきである。(8.成績評価・進級・学士課程修了認定)14. 「総合試験」については、「各学年年度始めガイダンス配布物 第6学年」には、成績の傾斜配分の割合および第5回試験の免除基準が示されているが、当該科目のシラバスには記載がない。また、「総合試験」のガイダンス資料には、「単位評価:総合試験+確認試験から判断」と記載されているが、この単位評価の詳細を示す資料などは作成されていない。したがって、公平かつ厳正な卒業判定を行うためにも、「総合講義」のシラバス等に明確な成績評価基準および合格基準を記載すべきである。(8.成績評価・進級・学士課程修了認定)15. 平成28年度の各専任教員の授業時間数や卒業研究での指導学生数に大きな差があるので、教員の負担をできるだけ均一とし、研究する時間が確保できるように、教員配置の見直し、あるいは採用などを行う必要がある。(10.教員組織・職員組織)16. 「自己点検・評価書」や基礎資料、添付資料に多くの誤記や齟齬が認められたことか- 49 -ら、自己点検・評価が適正かつ厳格に行われていたとは言えないので、平成28年度に編成された薬学部自己評価委員会を、責任ある自己点検・評価体制として機能させる必要がある。(13.自己点検・評価)17. 薬学部自己評価委員会を継続的に活動させ、適正かつ厳格な自己点検・評価の結果を教育研究活動にフィードバックすることで、本薬学部の3つのポリシーに整合した6年制薬学教育プログラムの質の向上に努めることが必要である。(13.自己点検・評価)
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1:提言 改善報告審議結果 |
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| 大阪医科薬科大学 | 私 | 大阪府 | 第1期 |
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自己点検・評価書 基礎資料 正誤票 |
評価報告書
総評
大阪医科薬科大学 総評大阪薬科大学は教育研究の根幹となる大学の目的および理念を明確に定めている。また教育研究上の目的として、薬学部では「豊かな教養と薬学及び生命科学の深奥なる知識を身に付けさせるとともに、高い人権意識と深い人間愛を併せ持つ人材を育成する」こと、6年制薬学科では「薬に対する幅広い知識を持つとともに、医療の担い手に相応しい、高い実践能力と倫理観、使命感を併せ持つ信頼される質の高い薬剤師の養成を目的とする」ことを掲げており、これに基づき、入学者受入方針(アドミッション・ポリシー)、教育課程の編成・実施の方針(カリキュラム・ポリシー)および学位授与の方針(ディプロマ・ポリシー)を設定している。薬学教育カリキュラムはカリキュラム・ポリシーに従って編成されている。国家試験準備に過度に偏った教育カリキュラムではないが、基礎領域を含む薬学専門科目の多くが、カリキュラム・ポリシーの異なる4年制学科との共通科目となっている。ヒューマニズム教育・医療倫理教育は、医療人として生命に関わる薬学専門家に相応しい行動を身につけるための教育を目的とし、計5科目が開講されている。教養教育科目は、人文・社会・自然のバランスを考慮して配置されており、外国語教育については4年次まで体系的に実施され、基礎学力向上のための入学前教育およびリメディアル教育も積極的に行われている。実務実習事前学習は、実務実習モデル・コアカリキュラムに沿って、1年間を通して連続的かつ体系的に実施されており、CBT(Computer Based Testing)およびOSCE(Objective Structured Clinical Examination)は、薬学共用試験センターから提示されたマニュアルに従って厳正に実施されている。実務実習は近畿地区調整機構が実習可能と認めた施設で行われており、11 週間の実習期間が確保されている。卒業研究は5~6年次に2つの必修科目として設定されている。卒業研究発表会が 10 月に開催されるため、実質的な卒業研究は6年次前期で終了している。入学者選抜はアドミッション・ポリシーに基づき8方式で行われている。合否判定の手順、入学定員に対する入学者数には問題はない。各授業科目の成績は原則A- 2 -~Dの4段階で表され、A~Cを合格としている。進級や留年の判定、卒業認定の方法は適切である。大阪薬科大学では、学生への教育・指導効果を上げるためアドバイザー教員制度を設けている。また経済的支援として、独自の奨学金制度などを整えている。さらには、ヘルスケアやメンタルケア、ハラスメント問題などへの対応、身体に障がいを有する者への対応、進路選択の支援、安全の管理など、学生の支援環境は充実している。一方、学習環境に関しては、図書館、自習室、講義室、演習室、実験室、実務実習事前学習施設、卒業研究のための施設や設備などが整備されている。専任教員については、教授が1名不足していたが、平成 28 年度に補充があり、教授不足は解消した。教員の採用および昇任に関しては、適切な規程に基づき、教育上の指導能力等を十分に考慮した選考が行われている。専任教員は、学会に所属して学術論文や著書の執筆を行うなど、教育研究に関する活動に積極的に取り組むとともに、その維持・向上に努めている。また授業評価アンケート、公開授業、FD(Faculty Development)講演会などのFD活動を通じて、授業の改善にも努めている。さらには、医学界や産業界との連携事業、地域の保健衛生の保持・向上活動にも幅広く参加している。以上のように、大阪薬科大学薬学部薬学科の教育プログラムは、本機構の評価基準におおむね適合していると判断される。しかしながら、主な改善すべき点として、以下が挙げられる。(1) 改訂前の薬学教育モデル・コアカリキュラムに準拠した教育となる2~6年次では、どの科目も対応していない、あるいは選択科目のみが対応しているSBOs(Specific Behavioral Objectives)が一部存在しており、卒業までに補完する必要がある。(2)技能に関するSBOsでありながら、講義のみを行い、試験のみで成績を評価している科目が散見されるので、学習方略および評価方法の点検・改善が必要である。(3)6年制薬学教育プログラムに対する自主的、かつ継続的な点検・評価を実施して、その結果を教育改善に生かす取り組みを行う体制を構築する必要がある。以上の重要な改善すべき点に加え、その他の提言に示される改善すべき点や助言に関しても適切に対応し、6年制薬学教育のさらなる改善に努めることが望まれる。
大学への提言
大阪医科薬科大学 大学への提言1)長所1. 出席不良の学生については、出席状況を保護者に書面で通知し、学長名で教育的指導のバックアップを要請している。(8.成績評価・進級・学士課程修了認定)2. キャリア支援として6種類もの取組みが実施されており、学生の主体的な進路選択を支援する体制が充実している。(9.学生の支援)3. 公開授業研究会や学生FD委員会など、授業改善のための活動に学生が参加可能な体制を整備している。(10.教員組織・職員組織)4. 医師会などの関係団体、および行政機関との連携を図り、協定を結ぶなど薬学の発展に貢献している。(12.社会との連携)2)助言1. 大学の理念は、中期計画ではなく、学則などに掲載することが望まれる。(1.教育研究上の目的)2. 現行の教育研究上の目的は、内容としては十分ではなく、薬剤師養成教育に課せられた研究も含めた基本的な使命(10の資質)を踏まえたものに改善することが望まれる。(1.教育研究上の目的)3. 自己点検・評価委員会が組織されているが、教育研究上の目的に関する定期的な検証を行うことが望まれる。(1.教育研究上の目的)- 40 -4. 高年次学生を対象としたカリキュラム・ポリシーに関する説明会の開催が望まれる。(2.カリキュラム編成)5. 教職員に対して、FD等を通してカリキュラム・ポリシーの周知徹底が望まれる。(2.カリキュラム編成)6. 各種媒体(「授業の内容」、「学生生活の手引」、大学ホームページに掲載されているカリキュラム・ポリシーの表現が異なっているので、統一することが望まれる。(2.カリキュラム編成)7. ヒューマニズム・医療倫理教育、およびコミュニケーション・プレゼンテーション教育に関する科目の設定、選択必修の別、各科目において能動的な参加型学習を増やすことなどを再検討することが望まれる。(3.医療人教育の基本的内容)8. 教養教育に関して、時間割上は1~2年次の各学期に1科目は選択できる。しかし、履修取得単位を増やすなど、全ての学生が幅広く学べるようにする工夫が望まれる。(3.医療人教育の基本的内容)9. 医療安全教育の一貫として、薬害、医療過誤、医療事故等の医療安全教育にあげられている科目の講義内容を目的に合うように充実させ、また弁護士や医療における安全管理者を特別講師として招聘することが望ましい。(3.医療人教育の基本的内容)10. 生涯学習の意欲醸成を目的とした教育カリキュラムを体系立てると共に、薬剤師の生涯教育として開催している公開教育講座に参加する学生数を増やす努力が望まれる。(3.医療人教育の基本的内容)11. 全ての科目について、基礎と臨床の知見を相互に関連付けるため、関連科目(基礎科目、発展科目など)をシラバスに記載することが望ましい。(4.薬学専門教育の内容)12. 患者、薬剤師、医師、製薬企業の研究者などとの交流体制に関しては、学外の人的資源を活用している専門科目が少なく、交流体制の充実が望まれる。(4.薬学専門教育の内容)13. 大学独自の薬学専門教育である「医工薬連環科学」については、大学独自の薬学専門教育であることをシラバスにも記載することが望ましい。(4.薬学専門教育の内容)14. 大学独自の薬学専門教育のさらなる充実が望まれる。(4.薬学専門教育の内容)15. 実務実習科目のシラバス等に個々の評価方法(実習記録、自己評価表、懇談内容、実習評価表)の寄与率を示すことが望ましい。(5.実務実習)16. 実務実習全体の成果に対する総合的な評価のための指標の設定、およびそれに基づいた評価を実施することが望まれる。(5.実務実習)- 41 -17. 「臨床導入学習2」では、点数評価と概略評価によって事前学習の学習到達度を総合的に測定しているが、知識、技能、態度をバランスよく評価する方法へと改善することが望まれる。(5.実務実習)18. 卒業論文の評価シートには、問題解決能力を評価する項目がなく、問題解決能力の向上を測定するための材料にはなっていない。問題解決能力の向上を測定する基準を設定することが望ましい。(6.問題解決能力の醸成のための教育)19. 問題解決能力の醸成に向けた教育に関して、卒業研究科目以外の科目が2.5単位と少なく、さらなる工夫および配置が望まれる。(6.問題解決能力の醸成のための教育)20. 現行のアドミッション・ポリシーは、教育目標および入学者に求める学力に関する内容は含んでいるが、大学が求める学生像についても、受験生に分かりやすい表現で示すことが望まれる。(7.学生の受入)21. アドミッション・ポリシーに従って、入学試験では化学を必須とすることが望ましい。(7.学生の受入)22. 指定校制推薦入学試験以外の入学試験は、筆記試験のみを採用しており、医療人としての適性を評価するための工夫が望まれる。(7.学生の受入)23. 各学年の在籍者数に対する留年者数の割合は、およそ10~20%であり少なくはない。また1~3年次の合計で毎年20名前後が退学している。これらの学生を減らすための対策を検討することが望ましい。(8.成績評価・進級・学士課程修了認定)24. 新入生だけではなく在学生に対しても、履修ガイダンスにおいてディプロマ・ポリシーを説明し、周知させることが望ましい。(8.成績評価・進級・学士課程修了認定)25. 卒業延期者が年々増加しているので、その原因を解析し、有効な対策を講じることが望ましい。(8.成績評価・進級・学士課程修了認定)26. 2年次以降の学生に対して、各年度始まりにガイダンスや説明会を実施することが望まれる。(9.学生の支援)27. 定期検診の全員受診を達成する努力が求められる。(9.学生の支援)28. 職位別の構成比率に関して、助教の比率が1.5%(1名)であり著しく低い。助教の増員などによって若手教員の比率を高め、年齢構成を改善することが望まれる。(10.教員組織・職員組織)29. 専任教員1名あたりの学生数が28.4名(助手を含めても23.3名)と多いため、専任教員の不足対策として、RA、TAおよびSAへの依存が高くなっている。教育水準の- 42 -向上のためには、さらなる教員増に務めることが望ましい。(10.教員組織・職員組織)30. 教員の研究実績を「大阪薬科大学報」やホームページ等で公表しているが、教育実績を含む、前記以外の活動実績を公表することが望ましい。(10.教員組織・職員組織)31. 薬剤師としての実務経験を有する専任教員の研鑽に関して、大学として研鑽体制・制度整備を行うことが望まれる。(10.教員組織・職員組織)32. FD(教員対象)に関しては、ワークショップ形式の研修会の開催が望まれる。(10.教員組織・職員組織)33. 授業評価アンケートを実施していない、あるいはアンケートの回収率が50%以下の授業科目も多いので、回収率を高めるよう努力することが望まれる。(10.教員組織・職員組織)34. 教員と職員が連携して資質向上を図ることを目的とした意見交換会などの開催が望まれる。(10.教員組織・職員組織)35. 自習をするための専用スペースの拡充が望まれる。(11.学習環境)36. 国際交流のための体制は整備されているが、実施例が少なく、国際交流のさらなる推進が望まれる。(12.社会との連携)37. 自己点検・評価委員会に事務職員(事務局長)は含まれているが、外部委員は含まれていないので改善が望まれる。(13.自己点検・評価)3)改善すべき点1. ヒューマニズム教育・医療倫理教育に関連した科目、およびコミュニケーション・プレゼンテーション教育に関連した科目の学習成果に関する総合的な目標達成度を評価する指標を設定し、それに基づいて適切に評価する必要がある。(3.医療人教育の基本的内容)2. 改訂前の薬学教育モデル・コアカリキュラムに準拠した教育となる2~6年次では、どの科目も対応していない、あるいは選択科目のみが対応しているSBOsが一部存在しているので、卒業までに補完することが必要である。(4.薬学専門教育の内容)3. 技能に関するSBOsでありながら、講義のみを行い、試験のみで成績を評価している科目が散見されるので、学習方略および評価方法の改善が必要である。(4.薬学専門教育の内容)- 43 -4. 実務実習事前学習全体としての目標達成度を評価するための指標を設定し、その指標に基づいた適切な評価を行う必要がある。(5.実務実習)5. 問題解決能力の醸成に向けた教育の全体について、目標達成度を評価するための指標を設定し、それに基づいて適切に評価する必要がある。(6.問題解決能力の醸成のための教育)6. シラバスに関して、成績評価方法(定期試験、小テスト、出席状況、レポートなど)は記載されているが、個々の評価方法の寄与率が記載されていないので、改善する必要がある。(8.成績評価・進級・学士課程修了認定)7. 6年制薬学教育プログラムに対する自主的、かつ継続的な点検・評価を実施して、その結果を教育改善に生かす取り組みを行う体制を構築する必要がある。(13.自己点検・評価)
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1:提言 改善報告審議結果 |
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| 金沢大学 | 国 | 石川県 | 第1期 |
2016年度 |
適 |
自己点検・評価書 基礎資料 正誤票 |
評価報告書
総評
金沢大学 総評金沢大学医薬保健学域薬学類(以下、薬学類)では、「薬学領域における基礎から専門までの知識・技術を修得するとともに豊かな人間性と高い倫理観を兼ね備えた、高度な専門職業人としての薬剤師及び次世代の医療薬学教育研究者を養成する」という「理念・目標」の下、「臨床現場における実践的な技能と態度、また薬物治療に起因する問題を同定・評価して解決する能力を身につけさせること」を「教育研究上の目的」とする6年制薬学教育を行っている。薬学類の教育内容は、6年制薬学教育として標準的なものである。すなわち、ヒューマニズム教育・医療倫理教育やコミュニケーション能力および自己表現能力を身につけるための教育、薬剤師として必要な語学力を培う英語教育、総合大学であることを生かした社会のニーズに応じた幅広い教養教育が行われており、薬学専門教育については、「薬学教育モデル・コアカリキュラム」の到達目標を網羅し、各分野で上級年次へ段階的に学習を積み上げるカリキュラム構成による教育が行われている。また、「東洋医学」、「臨床栄養学」、「病院実習Ⅱ」などの大学独自の専門科目も開講されている。実務実習では、「事前学習」、「病院・薬局実習」共に「実務実習モデル・コアカリキュラム」の教育目標や実施方法に沿って実施され、大学と実習施設とが連携したきめ細かな指導が行われている。また、卒業研究は「薬学研究Ⅰ~Ⅳ」の4科目で構成されており、口頭発表による卒業研究発表会を経て卒業論文を作成している。入学者の選抜は、国立大学に一般的な入試制度で行われており、入学後の教育に求められる基礎学力が適確に評価されている。授業科目の成績評価は、学則に基づいて担当教員が指定する基準によって行われている。学年ごとの進級判定制度はないが、3年次に学生の希望とGPA(Grade Point Average)による選抜を加味して学類配属が行われている。学生の勉学と学生生活を支援する体制は標準的なものが整備されており、健康管理やメンタルケアの体制も整っている。専任教員数は実務家教員を含めて基準を満たしており、専任教員の教育・研究上の業績、- 2 -職位や年齢の構成にも問題とすべき点はない。教員の教育負担と研究時間のバランスは適切で、研究経費については、外部資金を獲得するための全学をあげた様々な体制・制度が整備されている。教育と研究に必要な施設と設備も十分に整備されている。薬学系としての教育・研究活動を通じた医療界や公的機関、地域との連携による社会貢献に努めており、国外の多くの大学、公的機関との共同研究や国際交流も行われている。以上のように、金沢大学薬学類は、本機構の基準を満たす6年制薬学教育を行っている。しかし、現状には以下に列挙するような問題点があるので、本評価の結果を参考にして改善を図る必要がある。(1)ヒューマニズム教育・医療倫理教育やコミュニケーション能力および自己表現能力を身につけるための教育について目標達成度を評価するための指標を設定し、それに基づく適切な評価を行う必要がある。(2)「早期臨床体験」に対応する科目「医薬保健学基礎」は、座学が中心で薬剤師が活躍する現場への見学機会が少なく問題である。また、「早期臨床体験」が求めている「一次救命法」など見学体験以外の到達目標が網羅されていないので、改善が必要である。また、薬学教育モデル・コアカリキュラム(平成 25 年度改訂版)での一般目標である「患者、生活者の目線に立って・・・」、「地域の保健・福祉を見聞した具体的体験に・・・」と言う視点に欠けているので、改善が必要である。(3)大学独自の科目のシラバスに、独自科目であることを明記する必要がある。(4)実務実習事前学習と問題解決能力の醸成に向けた教育については、それぞれについて、教育の目標達成度を評価するための指標を設定し、それに基づいて適切に評価する必要がある。(5)「卒業研究Ⅰ~Ⅳ」の成績を適切に評価するための体系的な仕組みを構築する必要がある。(6)厳正な成績評価を行うため、科目担当者に委ねている「単位保留」と「再試験受験資格」の基準を規定によって定め、学生に周知する必要がある。(7)6年次の必修科目「総合薬学演習」を「教育研究上の目的」に基づいた教育の総合的な学習成果を評価する科目とするためには、適切な教育目標を定めると共に教育方法を見直し、達成度を評価するための適切な基準と方法を定め、それに基づいて厳正な成績評価を行うことが必要である。(8)6年制薬学教育プログラム全体について、定期的、恒常的に自己点検・評価を行い、- 3 -その結果を教育研究活動の改善に反映させる仕組みが不十分であるので、それを構築し教育の内部質保証のためのPDCAサイクルを回す必要がある。これらの改善を早期に実施され、金沢大学薬学類の6年制薬学教育が更に優れたものとなる事を期待するものである。
大学への提言
金沢大学 大学への提言1)助言1. 3年次に学類配属が行われることからも、「教育研究上の目的」の学生、職員への周知にさらに努めることが望まれる。(1.教育研究上の目的)2. 「教育研究上の目的」を、薬学系のホームページから容易にアクセスできる位置に掲載することが望まれる。(1.教育研究上の目的)3. シラバスで一部科目の一般目標に見られる「・・・薬剤師国家試験に対応できる・・・」、「・・・国家試験に占める比重が重い・・・」などの表現は、薬学専門科目の一般目標として不適切であるので、修正することが望ましい。(2.カリキュラム編成)4. カリキュラム・ポリシーが、薬学類の「教育研究上の目的」に基づいた内容とは言えないので、改訂することが望ましい。なお、改訂に際しては、「学位授与の方針」を反映した内容とすることにも留意する必要がある。(2.カリキュラム編成)5. 3年次配当の「コミュニケーション論」は、全員が履修しているとはいえ、選択科目となっており、重要な科目であるので必修にするのが望ましい。(3.医療人教育の基本的内容)6. 「健康権と医療」は、重要な科目であるにも関わらず履修者が少ないので、履修を増やすよう工夫することが望ましい。(3.医療人教育の基本的内容)7. 医薬品の安全使用について科学的な視点と客観的な判断力を養うため、SGD、総合討論などの学習効果を高める工夫と評価方法の工夫が求められる。(3.医療人教育の基本的内容)- 28 -8. ヒューマニズム教育科目の配当学年、学習方略などの態度教育の体系性を検討することが望ましい。(3.医療人教育の基本的内容)9. ヒューマニズム・医療倫理教育、コミュニケーション教育における科目の多くが講義、見学科目であるので、態度教育に適切な目標、方略および評価方法を設定し、それに基づく授業内容にすることが望ましい。(3.医療人教育の基本的内容)10. 研究室配属後の高学年での、学類主導による体系的な英語教育が望まれる。(3.医療人教育の基本的内容)11. 「早期臨床体験」に対応する科目「医薬保健学基礎」では、SGD、総合討論などを加えて、学習効果を高めるように工夫することが望ましい。(3.医療人教育の基本的内容)12. 全ての科目について、基礎と臨床の知見を相互に関連付けるため、関連科目(基礎科目、発展科目など)をシラバスに記載することが望ましい。(4.薬学専門教育の内容)13. 学習内容とモデル・コアカリキュラムの対応がわかるように、シラバスの学習内容にコアカリキュラムの到達目標を追記するなどの工夫が望まれる。(4.薬学専門教育の内容)14. 「事前学習」の指導の補助に6年生が必修科目「総合薬学演習」の授業の一環として参加していることについて、指導する学生の立場や教育的効果を慎重に検証することが望ましい。(5.実務実習)15. 実務実習の時期が2、3期の学生に対して、直前に事前学習の到達度を再確認する機会を設けることが望ましい。(5.実務実習)16. 病院実習、薬局実習共に、最終評価の評価項目に対する配点は決められているが、評価基準は決められていないので、作成することが望ましい。(5.実務実習)17. 卒業論文を作成する必要があることと、論文の体裁や必要な内容などの要領とを履修要項などで規定することが望ましい。(6.問題解決能力の醸成のための教育)18. アドミッション・ポリシーを「教育研究上の目的」に基づいて改訂することが望まれる。(7.学生の受入)19. 入学者選抜は、アドミッション・ポリシーへの適応性を評価できる要素を加味した方法で行うことが望まれる。(7.学生の受入)20. 学士課程の修了判定では、卒業要件単位の充足のみでなく、ディプロマ・ポリシーに掲げた資質についても評価するよう工夫することが望ましい。(8.成績評価・進級・- 29 -学士課程修了認定)21. 教育研究活動を纏めた冊子が隔年で発行されているが、教育研究活動は毎年Webサイトなどに掲載して開示することが望ましい。(10.教員組織・職員組織)22. 6年制薬学教育の恒常的な自己点検・評価を行う委員会を組織する際には、そこに外部委員を含めることが望ましい。(13.自己点検・評価)2)改善すべき点1. ヒューマニズム教育・医療倫理教育、コミュニケーション能力および自己表現能力を身につけるための教育において、目標達成度を評価するための指標を設定し、それに基づいて適切に評価する必要がある。(3.医療人教育の基本的内容)2. 「早期臨床体験」に対応する科目「医薬保健学基礎」は、座学が中心で薬剤師が活躍する現場への見学機会が少なく問題である。また、「早期臨床体験」が求めている「一次救命法」など見学体験以外の到達目標が網羅されていないので改善が必要である。このほか、薬学教育モデル・コアカリキュラム(平成25年度改訂版)での一般目標である「患者、生活者の目線に立って・・・」、「地域の保健・福祉を見聞した具体的体験に・・・」と言う視点に欠けているので改善の必要がある。(3.医療人教育の基本的内容)3. 大学独自の科目のシラバスに、独自科目であることを明記する必要がある。(4.薬学専門教育の内容)4. 実務実習事前学習全体についての目標達成度を評価するための指標を設定し、それに基づいて適切に評価する必要がある。(5.実務実習)5. 「卒業研究Ⅰ~Ⅳ」を適切に評価するための体系的な仕組みを構築する必要がある。(6.問題解決能力の醸成のための教育)6. 「問題解決能力の醸成に向けた教育」において、目標達成度を評価するための指標を設定し、それに基づいた適切な評価を行う必要がある。(6.問題解決能力の醸成のための教育)7. 厳正な成績評価を行うため、「単位保留」と「授業担当者から再試験受験資格を得る」基準を規定によって定め、学生に周知する必要がある。(8.成績評価・進級・学士課程修了認定)8. 6年次の必修科目「総合薬学演習」を「教育研究上の目的」に基づいた教育の総合的な学習成果を評価する科目とするためには、適切な教育目標を定めると共に教育方法- 30 -を見直し、達成度を評価するための適切な基準と方法を定め、それに基づいて厳正な成績評価を行うことが必要である。(8.成績評価・進級・学士課程修了認定)9. 6年制薬学教育プログラム全体について、恒常的な自己点検・評価を行う委員会を設置し、継続した自己点検・評価を行うことが必要である。(13.自己点検・評価)10. 6年制薬学教育プログラム全体の自己点検・評価のための項目を設定し、自己点検と点検結果の継続的な自己点検・評価を行い、その結果を外部に公表することが必要である。(13.自己点検・評価)11. 6年制薬学教育プログラム全体の自己点検・評価の結果を、教育研究活動に反映させ、教育研究活動の改善に反映させるための仕組みを構築することが必要である。(13.自己点検・評価)12. 6年制薬学教育プログラム全体の点検・評価と、その結果を活用して薬学教育を改善するため、教育の内部質保証のためのPDCAサイクルを回すことが必要である。(13.自己点検・評価)
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1:提言 改善報告審議結果 |
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| 大阪医科薬科大学 | 私 | 大阪府 | 第1期 | 2016年度 | 適 |
自己点検・評価書 基礎資料 正誤票 |
評価報告書
総評
大阪医科薬科大学 総評大阪薬科大学は教育研究の根幹となる大学の目的および理念を明確に定めている。また教育研究上の目的として、薬学部では「豊かな教養と薬学及び生命科学の深奥なる知識を身に付けさせるとともに、高い人権意識と深い人間愛を併せ持つ人材を育成する」こと、6年制薬学科では「薬に対する幅広い知識を持つとともに、医療の担い手に相応しい、高い実践能力と倫理観、使命感を併せ持つ信頼される質の高い薬剤師の養成を目的とする」ことを掲げており、これに基づき、入学者受入方針(アドミッション・ポリシー)、教育課程の編成・実施の方針(カリキュラム・ポリシー)および学位授与の方針(ディプロマ・ポリシー)を設定している。薬学教育カリキュラムはカリキュラム・ポリシーに従って編成されている。国家試験準備に過度に偏った教育カリキュラムではないが、基礎領域を含む薬学専門科目の多くが、カリキュラム・ポリシーの異なる4年制学科との共通科目となっている。ヒューマニズム教育・医療倫理教育は、医療人として生命に関わる薬学専門家に相応しい行動を身につけるための教育を目的とし、計5科目が開講されている。教養教育科目は、人文・社会・自然のバランスを考慮して配置されており、外国語教育については4年次まで体系的に実施され、基礎学力向上のための入学前教育およびリメディアル教育も積極的に行われている。実務実習事前学習は、実務実習モデル・コアカリキュラムに沿って、1年間を通して連続的かつ体系的に実施されており、CBT(Computer Based Testing)およびOSCE(Objective Structured Clinical Examination)は、薬学共用試験センターから提示されたマニュアルに従って厳正に実施されている。実務実習は近畿地区調整機構が実習可能と認めた施設で行われており、11 週間の実習期間が確保されている。卒業研究は5~6年次に2つの必修科目として設定されている。卒業研究発表会が 10 月に開催されるため、実質的な卒業研究は6年次前期で終了している。入学者選抜はアドミッション・ポリシーに基づき8方式で行われている。合否判定の手順、入学定員に対する入学者数には問題はない。各授業科目の成績は原則A- 2 -~Dの4段階で表され、A~Cを合格としている。進級や留年の判定、卒業認定の方法は適切である。大阪薬科大学では、学生への教育・指導効果を上げるためアドバイザー教員制度を設けている。また経済的支援として、独自の奨学金制度などを整えている。さらには、ヘルスケアやメンタルケア、ハラスメント問題などへの対応、身体に障がいを有する者への対応、進路選択の支援、安全の管理など、学生の支援環境は充実している。一方、学習環境に関しては、図書館、自習室、講義室、演習室、実験室、実務実習事前学習施設、卒業研究のための施設や設備などが整備されている。専任教員については、教授が1名不足していたが、平成 28 年度に補充があり、教授不足は解消した。教員の採用および昇任に関しては、適切な規程に基づき、教育上の指導能力等を十分に考慮した選考が行われている。専任教員は、学会に所属して学術論文や著書の執筆を行うなど、教育研究に関する活動に積極的に取り組むとともに、その維持・向上に努めている。また授業評価アンケート、公開授業、FD(Faculty Development)講演会などのFD活動を通じて、授業の改善にも努めている。さらには、医学界や産業界との連携事業、地域の保健衛生の保持・向上活動にも幅広く参加している。以上のように、大阪薬科大学薬学部薬学科の教育プログラムは、本機構の評価基準におおむね適合していると判断される。しかしながら、主な改善すべき点として、以下が挙げられる。(1) 改訂前の薬学教育モデル・コアカリキュラムに準拠した教育となる2~6年次では、どの科目も対応していない、あるいは選択科目のみが対応しているSBOs(Specific Behavioral Objectives)が一部存在しており、卒業までに補完する必要がある。(2)技能に関するSBOsでありながら、講義のみを行い、試験のみで成績を評価している科目が散見されるので、学習方略および評価方法の点検・改善が必要である。(3)6年制薬学教育プログラムに対する自主的、かつ継続的な点検・評価を実施して、その結果を教育改善に生かす取り組みを行う体制を構築する必要がある。以上の重要な改善すべき点に加え、その他の提言に示される改善すべき点や助言に関しても適切に対応し、6年制薬学教育のさらなる改善に努めることが望まれる。
大学への提言
大阪医科薬科大学 大学への提言1)長所1. 出席不良の学生については、出席状況を保護者に書面で通知し、学長名で教育的指導のバックアップを要請している。(8.成績評価・進級・学士課程修了認定)2. キャリア支援として6種類もの取組みが実施されており、学生の主体的な進路選択を支援する体制が充実している。(9.学生の支援)3. 公開授業研究会や学生FD委員会など、授業改善のための活動に学生が参加可能な体制を整備している。(10.教員組織・職員組織)4. 医師会などの関係団体、および行政機関との連携を図り、協定を結ぶなど薬学の発展に貢献している。(12.社会との連携)2)助言1. 大学の理念は、中期計画ではなく、学則などに掲載することが望まれる。(1.教育研究上の目的)2. 現行の教育研究上の目的は、内容としては十分ではなく、薬剤師養成教育に課せられた研究も含めた基本的な使命(10の資質)を踏まえたものに改善することが望まれる。(1.教育研究上の目的)3. 自己点検・評価委員会が組織されているが、教育研究上の目的に関する定期的な検証を行うことが望まれる。(1.教育研究上の目的)- 40 -4. 高年次学生を対象としたカリキュラム・ポリシーに関する説明会の開催が望まれる。(2.カリキュラム編成)5. 教職員に対して、FD等を通してカリキュラム・ポリシーの周知徹底が望まれる。(2.カリキュラム編成)6. 各種媒体(「授業の内容」、「学生生活の手引」、大学ホームページに掲載されているカリキュラム・ポリシーの表現が異なっているので、統一することが望まれる。(2.カリキュラム編成)7. ヒューマニズム・医療倫理教育、およびコミュニケーション・プレゼンテーション教育に関する科目の設定、選択必修の別、各科目において能動的な参加型学習を増やすことなどを再検討することが望まれる。(3.医療人教育の基本的内容)8. 教養教育に関して、時間割上は1~2年次の各学期に1科目は選択できる。しかし、履修取得単位を増やすなど、全ての学生が幅広く学べるようにする工夫が望まれる。(3.医療人教育の基本的内容)9. 医療安全教育の一貫として、薬害、医療過誤、医療事故等の医療安全教育にあげられている科目の講義内容を目的に合うように充実させ、また弁護士や医療における安全管理者を特別講師として招聘することが望ましい。(3.医療人教育の基本的内容)10. 生涯学習の意欲醸成を目的とした教育カリキュラムを体系立てると共に、薬剤師の生涯教育として開催している公開教育講座に参加する学生数を増やす努力が望まれる。(3.医療人教育の基本的内容)11. 全ての科目について、基礎と臨床の知見を相互に関連付けるため、関連科目(基礎科目、発展科目など)をシラバスに記載することが望ましい。(4.薬学専門教育の内容)12. 患者、薬剤師、医師、製薬企業の研究者などとの交流体制に関しては、学外の人的資源を活用している専門科目が少なく、交流体制の充実が望まれる。(4.薬学専門教育の内容)13. 大学独自の薬学専門教育である「医工薬連環科学」については、大学独自の薬学専門教育であることをシラバスにも記載することが望ましい。(4.薬学専門教育の内容)14. 大学独自の薬学専門教育のさらなる充実が望まれる。(4.薬学専門教育の内容)15. 実務実習科目のシラバス等に個々の評価方法(実習記録、自己評価表、懇談内容、実習評価表)の寄与率を示すことが望ましい。(5.実務実習)16. 実務実習全体の成果に対する総合的な評価のための指標の設定、およびそれに基づいた評価を実施することが望まれる。(5.実務実習)- 41 -17. 「臨床導入学習2」では、点数評価と概略評価によって事前学習の学習到達度を総合的に測定しているが、知識、技能、態度をバランスよく評価する方法へと改善することが望まれる。(5.実務実習)18. 卒業論文の評価シートには、問題解決能力を評価する項目がなく、問題解決能力の向上を測定するための材料にはなっていない。問題解決能力の向上を測定する基準を設定することが望ましい。(6.問題解決能力の醸成のための教育)19. 問題解決能力の醸成に向けた教育に関して、卒業研究科目以外の科目が2.5単位と少なく、さらなる工夫および配置が望まれる。(6.問題解決能力の醸成のための教育)20. 現行のアドミッション・ポリシーは、教育目標および入学者に求める学力に関する内容は含んでいるが、大学が求める学生像についても、受験生に分かりやすい表現で示すことが望まれる。(7.学生の受入)21. アドミッション・ポリシーに従って、入学試験では化学を必須とすることが望ましい。(7.学生の受入)22. 指定校制推薦入学試験以外の入学試験は、筆記試験のみを採用しており、医療人としての適性を評価するための工夫が望まれる。(7.学生の受入)23. 各学年の在籍者数に対する留年者数の割合は、およそ10~20%であり少なくはない。また1~3年次の合計で毎年20名前後が退学している。これらの学生を減らすための対策を検討することが望ましい。(8.成績評価・進級・学士課程修了認定)24. 新入生だけではなく在学生に対しても、履修ガイダンスにおいてディプロマ・ポリシーを説明し、周知させることが望ましい。(8.成績評価・進級・学士課程修了認定)25. 卒業延期者が年々増加しているので、その原因を解析し、有効な対策を講じることが望ましい。(8.成績評価・進級・学士課程修了認定)26. 2年次以降の学生に対して、各年度始まりにガイダンスや説明会を実施することが望まれる。(9.学生の支援)27. 定期検診の全員受診を達成する努力が求められる。(9.学生の支援)28. 職位別の構成比率に関して、助教の比率が1.5%(1名)であり著しく低い。助教の増員などによって若手教員の比率を高め、年齢構成を改善することが望まれる。(10.教員組織・職員組織)29. 専任教員1名あたりの学生数が28.4名(助手を含めても23.3名)と多いため、専任教員の不足対策として、RA、TAおよびSAへの依存が高くなっている。教育水準の- 42 -向上のためには、さらなる教員増に務めることが望ましい。(10.教員組織・職員組織)30. 教員の研究実績を「大阪薬科大学報」やホームページ等で公表しているが、教育実績を含む、前記以外の活動実績を公表することが望ましい。(10.教員組織・職員組織)31. 薬剤師としての実務経験を有する専任教員の研鑽に関して、大学として研鑽体制・制度整備を行うことが望まれる。(10.教員組織・職員組織)32. FD(教員対象)に関しては、ワークショップ形式の研修会の開催が望まれる。(10.教員組織・職員組織)33. 授業評価アンケートを実施していない、あるいはアンケートの回収率が50%以下の授業科目も多いので、回収率を高めるよう努力することが望まれる。(10.教員組織・職員組織)34. 教員と職員が連携して資質向上を図ることを目的とした意見交換会などの開催が望まれる。(10.教員組織・職員組織)35. 自習をするための専用スペースの拡充が望まれる。(11.学習環境)36. 国際交流のための体制は整備されているが、実施例が少なく、国際交流のさらなる推進が望まれる。(12.社会との連携)37. 自己点検・評価委員会に事務職員(事務局長)は含まれているが、外部委員は含まれていないので改善が望まれる。(13.自己点検・評価)3)改善すべき点1. ヒューマニズム教育・医療倫理教育に関連した科目、およびコミュニケーション・プレゼンテーション教育に関連した科目の学習成果に関する総合的な目標達成度を評価する指標を設定し、それに基づいて適切に評価する必要がある。(3.医療人教育の基本的内容)2. 改訂前の薬学教育モデル・コアカリキュラムに準拠した教育となる2~6年次では、どの科目も対応していない、あるいは選択科目のみが対応しているSBOsが一部存在しているので、卒業までに補完することが必要である。(4.薬学専門教育の内容)3. 技能に関するSBOsでありながら、講義のみを行い、試験のみで成績を評価している科目が散見されるので、学習方略および評価方法の改善が必要である。(4.薬学専門教育の内容)- 43 -4. 実務実習事前学習全体としての目標達成度を評価するための指標を設定し、その指標に基づいた適切な評価を行う必要がある。(5.実務実習)5. 問題解決能力の醸成に向けた教育の全体について、目標達成度を評価するための指標を設定し、それに基づいて適切に評価する必要がある。(6.問題解決能力の醸成のための教育)6. シラバスに関して、成績評価方法(定期試験、小テスト、出席状況、レポートなど)は記載されているが、個々の評価方法の寄与率が記載されていないので、改善する必要がある。(8.成績評価・進級・学士課程修了認定)7. 6年制薬学教育プログラムに対する自主的、かつ継続的な点検・評価を実施して、その結果を教育改善に生かす取り組みを行う体制を構築する必要がある。(13.自己点検・評価)
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| 第1期 |
2016年度 |
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1:提言 改善報告審議結果 |
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| 金沢大学 | 国 | 石川県 | 第1期 | 2016年度 | 適 |
自己点検・評価書 基礎資料 正誤票 |
評価報告書
総評
金沢大学 総評金沢大学医薬保健学域薬学類(以下、薬学類)では、「薬学領域における基礎から専門までの知識・技術を修得するとともに豊かな人間性と高い倫理観を兼ね備えた、高度な専門職業人としての薬剤師及び次世代の医療薬学教育研究者を養成する」という「理念・目標」の下、「臨床現場における実践的な技能と態度、また薬物治療に起因する問題を同定・評価して解決する能力を身につけさせること」を「教育研究上の目的」とする6年制薬学教育を行っている。薬学類の教育内容は、6年制薬学教育として標準的なものである。すなわち、ヒューマニズム教育・医療倫理教育やコミュニケーション能力および自己表現能力を身につけるための教育、薬剤師として必要な語学力を培う英語教育、総合大学であることを生かした社会のニーズに応じた幅広い教養教育が行われており、薬学専門教育については、「薬学教育モデル・コアカリキュラム」の到達目標を網羅し、各分野で上級年次へ段階的に学習を積み上げるカリキュラム構成による教育が行われている。また、「東洋医学」、「臨床栄養学」、「病院実習Ⅱ」などの大学独自の専門科目も開講されている。実務実習では、「事前学習」、「病院・薬局実習」共に「実務実習モデル・コアカリキュラム」の教育目標や実施方法に沿って実施され、大学と実習施設とが連携したきめ細かな指導が行われている。また、卒業研究は「薬学研究Ⅰ~Ⅳ」の4科目で構成されており、口頭発表による卒業研究発表会を経て卒業論文を作成している。入学者の選抜は、国立大学に一般的な入試制度で行われており、入学後の教育に求められる基礎学力が適確に評価されている。授業科目の成績評価は、学則に基づいて担当教員が指定する基準によって行われている。学年ごとの進級判定制度はないが、3年次に学生の希望とGPA(Grade Point Average)による選抜を加味して学類配属が行われている。学生の勉学と学生生活を支援する体制は標準的なものが整備されており、健康管理やメンタルケアの体制も整っている。専任教員数は実務家教員を含めて基準を満たしており、専任教員の教育・研究上の業績、- 2 -職位や年齢の構成にも問題とすべき点はない。教員の教育負担と研究時間のバランスは適切で、研究経費については、外部資金を獲得するための全学をあげた様々な体制・制度が整備されている。教育と研究に必要な施設と設備も十分に整備されている。薬学系としての教育・研究活動を通じた医療界や公的機関、地域との連携による社会貢献に努めており、国外の多くの大学、公的機関との共同研究や国際交流も行われている。以上のように、金沢大学薬学類は、本機構の基準を満たす6年制薬学教育を行っている。しかし、現状には以下に列挙するような問題点があるので、本評価の結果を参考にして改善を図る必要がある。(1)ヒューマニズム教育・医療倫理教育やコミュニケーション能力および自己表現能力を身につけるための教育について目標達成度を評価するための指標を設定し、それに基づく適切な評価を行う必要がある。(2)「早期臨床体験」に対応する科目「医薬保健学基礎」は、座学が中心で薬剤師が活躍する現場への見学機会が少なく問題である。また、「早期臨床体験」が求めている「一次救命法」など見学体験以外の到達目標が網羅されていないので、改善が必要である。また、薬学教育モデル・コアカリキュラム(平成 25 年度改訂版)での一般目標である「患者、生活者の目線に立って・・・」、「地域の保健・福祉を見聞した具体的体験に・・・」と言う視点に欠けているので、改善が必要である。(3)大学独自の科目のシラバスに、独自科目であることを明記する必要がある。(4)実務実習事前学習と問題解決能力の醸成に向けた教育については、それぞれについて、教育の目標達成度を評価するための指標を設定し、それに基づいて適切に評価する必要がある。(5)「卒業研究Ⅰ~Ⅳ」の成績を適切に評価するための体系的な仕組みを構築する必要がある。(6)厳正な成績評価を行うため、科目担当者に委ねている「単位保留」と「再試験受験資格」の基準を規定によって定め、学生に周知する必要がある。(7)6年次の必修科目「総合薬学演習」を「教育研究上の目的」に基づいた教育の総合的な学習成果を評価する科目とするためには、適切な教育目標を定めると共に教育方法を見直し、達成度を評価するための適切な基準と方法を定め、それに基づいて厳正な成績評価を行うことが必要である。(8)6年制薬学教育プログラム全体について、定期的、恒常的に自己点検・評価を行い、- 3 -その結果を教育研究活動の改善に反映させる仕組みが不十分であるので、それを構築し教育の内部質保証のためのPDCAサイクルを回す必要がある。これらの改善を早期に実施され、金沢大学薬学類の6年制薬学教育が更に優れたものとなる事を期待するものである。
大学への提言
金沢大学 大学への提言1)助言1. 3年次に学類配属が行われることからも、「教育研究上の目的」の学生、職員への周知にさらに努めることが望まれる。(1.教育研究上の目的)2. 「教育研究上の目的」を、薬学系のホームページから容易にアクセスできる位置に掲載することが望まれる。(1.教育研究上の目的)3. シラバスで一部科目の一般目標に見られる「・・・薬剤師国家試験に対応できる・・・」、「・・・国家試験に占める比重が重い・・・」などの表現は、薬学専門科目の一般目標として不適切であるので、修正することが望ましい。(2.カリキュラム編成)4. カリキュラム・ポリシーが、薬学類の「教育研究上の目的」に基づいた内容とは言えないので、改訂することが望ましい。なお、改訂に際しては、「学位授与の方針」を反映した内容とすることにも留意する必要がある。(2.カリキュラム編成)5. 3年次配当の「コミュニケーション論」は、全員が履修しているとはいえ、選択科目となっており、重要な科目であるので必修にするのが望ましい。(3.医療人教育の基本的内容)6. 「健康権と医療」は、重要な科目であるにも関わらず履修者が少ないので、履修を増やすよう工夫することが望ましい。(3.医療人教育の基本的内容)7. 医薬品の安全使用について科学的な視点と客観的な判断力を養うため、SGD、総合討論などの学習効果を高める工夫と評価方法の工夫が求められる。(3.医療人教育の基本的内容)- 28 -8. ヒューマニズム教育科目の配当学年、学習方略などの態度教育の体系性を検討することが望ましい。(3.医療人教育の基本的内容)9. ヒューマニズム・医療倫理教育、コミュニケーション教育における科目の多くが講義、見学科目であるので、態度教育に適切な目標、方略および評価方法を設定し、それに基づく授業内容にすることが望ましい。(3.医療人教育の基本的内容)10. 研究室配属後の高学年での、学類主導による体系的な英語教育が望まれる。(3.医療人教育の基本的内容)11. 「早期臨床体験」に対応する科目「医薬保健学基礎」では、SGD、総合討論などを加えて、学習効果を高めるように工夫することが望ましい。(3.医療人教育の基本的内容)12. 全ての科目について、基礎と臨床の知見を相互に関連付けるため、関連科目(基礎科目、発展科目など)をシラバスに記載することが望ましい。(4.薬学専門教育の内容)13. 学習内容とモデル・コアカリキュラムの対応がわかるように、シラバスの学習内容にコアカリキュラムの到達目標を追記するなどの工夫が望まれる。(4.薬学専門教育の内容)14. 「事前学習」の指導の補助に6年生が必修科目「総合薬学演習」の授業の一環として参加していることについて、指導する学生の立場や教育的効果を慎重に検証することが望ましい。(5.実務実習)15. 実務実習の時期が2、3期の学生に対して、直前に事前学習の到達度を再確認する機会を設けることが望ましい。(5.実務実習)16. 病院実習、薬局実習共に、最終評価の評価項目に対する配点は決められているが、評価基準は決められていないので、作成することが望ましい。(5.実務実習)17. 卒業論文を作成する必要があることと、論文の体裁や必要な内容などの要領とを履修要項などで規定することが望ましい。(6.問題解決能力の醸成のための教育)18. アドミッション・ポリシーを「教育研究上の目的」に基づいて改訂することが望まれる。(7.学生の受入)19. 入学者選抜は、アドミッション・ポリシーへの適応性を評価できる要素を加味した方法で行うことが望まれる。(7.学生の受入)20. 学士課程の修了判定では、卒業要件単位の充足のみでなく、ディプロマ・ポリシーに掲げた資質についても評価するよう工夫することが望ましい。(8.成績評価・進級・- 29 -学士課程修了認定)21. 教育研究活動を纏めた冊子が隔年で発行されているが、教育研究活動は毎年Webサイトなどに掲載して開示することが望ましい。(10.教員組織・職員組織)22. 6年制薬学教育の恒常的な自己点検・評価を行う委員会を組織する際には、そこに外部委員を含めることが望ましい。(13.自己点検・評価)2)改善すべき点1. ヒューマニズム教育・医療倫理教育、コミュニケーション能力および自己表現能力を身につけるための教育において、目標達成度を評価するための指標を設定し、それに基づいて適切に評価する必要がある。(3.医療人教育の基本的内容)2. 「早期臨床体験」に対応する科目「医薬保健学基礎」は、座学が中心で薬剤師が活躍する現場への見学機会が少なく問題である。また、「早期臨床体験」が求めている「一次救命法」など見学体験以外の到達目標が網羅されていないので改善が必要である。このほか、薬学教育モデル・コアカリキュラム(平成25年度改訂版)での一般目標である「患者、生活者の目線に立って・・・」、「地域の保健・福祉を見聞した具体的体験に・・・」と言う視点に欠けているので改善の必要がある。(3.医療人教育の基本的内容)3. 大学独自の科目のシラバスに、独自科目であることを明記する必要がある。(4.薬学専門教育の内容)4. 実務実習事前学習全体についての目標達成度を評価するための指標を設定し、それに基づいて適切に評価する必要がある。(5.実務実習)5. 「卒業研究Ⅰ~Ⅳ」を適切に評価するための体系的な仕組みを構築する必要がある。(6.問題解決能力の醸成のための教育)6. 「問題解決能力の醸成に向けた教育」において、目標達成度を評価するための指標を設定し、それに基づいた適切な評価を行う必要がある。(6.問題解決能力の醸成のための教育)7. 厳正な成績評価を行うため、「単位保留」と「授業担当者から再試験受験資格を得る」基準を規定によって定め、学生に周知する必要がある。(8.成績評価・進級・学士課程修了認定)8. 6年次の必修科目「総合薬学演習」を「教育研究上の目的」に基づいた教育の総合的な学習成果を評価する科目とするためには、適切な教育目標を定めると共に教育方法- 30 -を見直し、達成度を評価するための適切な基準と方法を定め、それに基づいて厳正な成績評価を行うことが必要である。(8.成績評価・進級・学士課程修了認定)9. 6年制薬学教育プログラム全体について、恒常的な自己点検・評価を行う委員会を設置し、継続した自己点検・評価を行うことが必要である。(13.自己点検・評価)10. 6年制薬学教育プログラム全体の自己点検・評価のための項目を設定し、自己点検と点検結果の継続的な自己点検・評価を行い、その結果を外部に公表することが必要である。(13.自己点検・評価)11. 6年制薬学教育プログラム全体の自己点検・評価の結果を、教育研究活動に反映させ、教育研究活動の改善に反映させるための仕組みを構築することが必要である。(13.自己点検・評価)12. 6年制薬学教育プログラム全体の点検・評価と、その結果を活用して薬学教育を改善するため、教育の内部質保証のためのPDCAサイクルを回すことが必要である。(13.自己点検・評価)
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2016年度 |
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1:提言 改善報告審議結果 |
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| 慶應義塾大学 | 私 | 東京都 | 第1期 | 2016年度 | 適 |
自己点検・評価書 基礎資料 正誤票 |
評価報告書
総評
慶應義塾大学 総評慶應義塾大学薬学部は、6年制薬学科と4年制薬科学科の2学科を設置しており、薬学 科では「科学の基盤をもち、医療人としての自覚のもと、高い臨床能力を発揮できる、人 に優しい薬剤師の育成」という教育研究上の目的の下に、入学者受入の方針(アドミッシ ョン・ポリシー)、教育課程の編成・実施の方針(カリキュラム・ポリシー)、学位授与の 方針(ディプロマ・ポリシー)を設定し、「医療を取り巻く環境、薬剤師に対する社会のニ ーズ」を反映した6年制薬学教育を行っている。 薬学科のカリキュラムは、カリキュラム・ポリシーに従って構築されており、それは新 旧両方の薬学教育モデル・コアカリキュラムに対応したものになっている。すなわち、ヒ ューマニズム教育・医療倫理教育、コミュニケーション教育は1年次から体系的に行われ ており、薬学、医学、看護学の医療系三学部の合同教育は、チーム医療と多職種連携につ いて共に学ぶ機会を提供する教育として評価できる。教養教育は総合大学の特色を活かし て効果的に行われ、語学教育は基礎的なコミュニケーション能力の向上から、医療現場や 医療の進歩・変革に対応できるより高い英語力の育成へと体系的に実施されている。薬学 専門科目では、基礎から専門性の高い領域へ、座学による知識の修得から実験実習へ、ま た、薬学基礎科目から臨床薬学科目へなど、科目間の関連と学習の順次性に配慮している。 さらに、大学独自の薬学専門教育として、社会のニーズを取り入れた多彩な選択科目、自 由科目、米国、タイ国での4~5週間の海外病院実習も行っている。実務実習では、事前 学習、病院・薬局実務実習共に実務実習モデル・コアカリキュラムに沿って実施されてい る。卒業研究は、臨床実践を深めるアドバンスト科目との組み合わせによる3タイプの選 択必修制になっており、研究室で研究に携わる期間は異なるが、いずれの場合も4年次1 月から6年次の 10 月までの間で、十分な時間を確保して行われており、その成果は、卒業 発表会でポスター発表され、卒業論文として提出される。 学生の受入れは、一般入学試験、指定校推薦による入学者選抜、帰国生対象入学試験、 外国人留学生対象入学試験、塾内進学制度と多様であるが、アドミッション・ポリシーに基づいて適切に行われており、入学者数と入学定員との乖離は小さい。 授業科目の成績評価方法と基準はシラバスに示され、進級判定は学則の規程に基づいて 行われている。学士課程の修了認定は、学則で規定した卒業要件に基づいて行われている。 学生に対する履修や生活に関する指導は、ガイダンスおよびアドバイザー(担任)制度 によって行われており、学生への経済的、心身的な支援体制、ハラスメント対応、就職・ 進路支援体制なども整っている。 専任教員は、各専門分野について研究・教育に優れた実績を有するものが配置されてお り、教員数も大学設置基準を十分満たしている。専任教員の授業科目への配当や職階や年 齢のバランスもおおむね適正である。教員の採用、昇進は、規程に基づいて適切なプロセ スを経て、教育、研究力等を十分に評価して、適切に実施されている。また、実務家教員 が、慶應義塾大学病院薬剤部で研鑽できる制度(OJT: On the Job Training)や、薬学 部附属薬局にて薬局薬剤師としての実務を行う体制も整備されている。職員組織も整って いる。 図書館、講義・演習室、実験室、実務実習事前学習、研究活動のための施設、設備も整 備されており、学習環境も整っている。 社会との連携では、地域の薬剤師会をはじめ、医薬界の関係団体および行政機関と連携 を図っている。また、薬剤師の資質向上を図るために、認定薬剤師研修機関として認証を 受け、慶應義塾大学薬学部認定薬剤師の認定を行っている。 以上のように、慶應義塾大学薬学部薬学科の薬学教育プログラムは、本機構の評価基準 におおむね適合していると判断される。しかし、以下のような問題点が挙げられ、改善が 必要である。 (1) ヒューマニズム教育・医療倫理教育、コミュニケーション能力を育成する教育、実 務実習事前学習、問題解決能力を醸成する教育で、目標達成度を測定する指標を設定 し、それに基づく適切な評価を行うよう改善することが必要である。 (2) 科目間で評価の公平性を保証するために、成績点と評価との対応を各科目の担当者 の裁量に委ねるのではなく点数と評価との対応を明確に規定することが必要である。 (3) 複数の評価項目がある科目では、個々の評価方法の最終成績に対する寄与率を明示 することが必要である。 (4) 卒業の可否判断に直結する6年次の必修科目である「総合薬学演習Ⅱ」については、 追再試験にあたる4次試験の合格基準が明示されていないので、あらかじめ明示することが必要である。 (5) 薬学部全体の教育研究活動を、6年制薬学教育の向上発展に結びつけて統合的に自 己点検・評価し、その結果を教育研究活動に反映する体制を整備して、恒常的、継続 的に教育研究活動の改善に取り組む必要がある。 慶應義塾大学薬学部薬学科は、本評価での改善すべき点、助言を踏まえ、積極的に改善 に取り組み、薬学教育の更なる向上に努めることが望まれる。
大学への提言
慶應義塾大学 大学への提言1)長所 1. 「医療系三学部合同教育の初期プログラム」は、非常に有効なものとして評価できる。 (3.医療人教育の基本的内容) 2. 3年次の「A(3)生命の大切さを知るために3(患者から学ぶ)」は、多様な患者に加 え、障がい者や薬害被害者の講演を中心とした特徴的な科目であり、方略レベルでの 独自性が評価できる。(3.医療人教育の基本的内容) 3. 5~6年次には卒業研究、アドバンスト病院実習などが設置され、学生個々の能力・ 意欲にあわせた一段高い目標を設定する機会が与えられている。(4.薬学専門教育 の内容) 4. 大学独自の薬学専門教育として選択必修科目「アドバンスト病院実習」、「アドバンス ト海外病院実習」、「Introduction to overseas clinical rotation」、「Case Study Practice」、などの意欲的な取り組みがなされている。(4.薬学専門教育の内容)5. 米国の4大学、タイの1大学と学部間協定を締結し、相互に学生の短期留学プログラ ムを実施し、国際交流の活性化のための活動が行われている。(12.社会との連携) 2)助言 1. 学生の生涯教育への参加は自主的であり、生涯学習に対する意欲を醸成するための教 育が体系的に行われることが望ましい。(3.医療人教育の基本的内容) 2. ヒューマニズム教育・医療倫理教育、コミュニケーション力に関わる個々の科目につ いて、目標到達度を評価するための指標を設定し、適切に評価することが望ましい。 (3.医療人教育の基本的内容) 3. 大学独自の科目は、シラバスの「対応するコア・カリの項目」欄を空白にしているだ けであり、学生が独自科目であることに気づきにくい。独自科目であることをシラバ スに積極的に明示することが望ましい。(4.薬学専門教育の内容) 4. 「卒業研究B」を履修している学生は、他の能動的学習法を行っている科目を加えて も問題解決能力の醸成を目指す教育の総単位数が18単位には満たないので、能動的学 習の充実が望まれる。(6.問題解決能力の醸成のための教育) 5. 視覚障がい者等に対する設備上の配慮を充実させること、建物のバリアフリー化をさ らに進めることなど、障がい者のための施設・整備をさらに進めることが望ましい。 (9.学生の支援) 6. 学生実習室および研究室における学生の安全を確保するために必要な設備のさらなる 充実が望ましい。(9.学生の支援) 7. 自己点検・評価を行う委員会には、外部委員を含めることが望ましい。(13.自己 点検・評価) 3)改善すべき点 1. ヒューマニズム教育・医療倫理教育およびコミュニケーション教育の学修成果を総合 して、それらの教育の目標達成度を評価する指標を設定し、それに基づいた適切な評 価を行う必要がある。(3.医療人教育の基本的内容) 2. 実務実習事前学習において、総合した事前実習全体としての目標達成度を評価するた めの指標は設定されておらず、指標を設定して適切に評価する必要がある。(5.実 務実習)3. 問題解決能力の醸成に向けた教育において、目標達成度を評価するための指標を設定 し、それに基づいて適切に評価することが必要である。(6.問題解決能力の醸成の ための教育) 4. 卒業研究の最終的な評価は指導教員だけで行っているので、評価の基準と客観性を保 証する仕組みを確立することが必要である。(6.問題解決能力の醸成のための教育) 5. 点数と評価との対応が各科目の担当者の裁量に委ねられており、科目間で評価の公平 性が保証されていないことが懸念されるので、点数と評価との対応を明確に規定する ことが必要である。(8.成績評価・進級・学士課程修了認定) 6. 演習、実習科目のシラバスに、合格基準を明記することが必要である。(8.成績評 価・進級・学士課程修了認定) 7. 複数の評価項目がある科目において、最終成績に対する個々の評価項目に適正な寄与 率を設定し、明示することが必要である。また、出席を評価項目に含める科目は授業 への参加が学習成果に直結するものに限定し、出席から学習成果を評価する指標を設 けることが必要である。(8.成績評価・進級・学士課程修了認定) 8. 「総合薬学演習Ⅱ」については、追再試験に当たる4次試験の合格基準をあらかじめ 明示しておくことが必要である。(8.成績評価・進級・学士課程修了認定) 9. 現状の「第三者評価委員会」は、名称、委員構成から外部機関による第三者評価への 対応を目的に組織されたものと判断され、学部の自己点検・評価組織として適切では ないので、この目的に合った名称と委員構成の組織を早急に構築することが必要であ る。(13.自己点検・評価) 10. 前項で提言した自己点検・評価体制を活用して、薬学部における教育研究の向上・発 展を目指す、恒常的な点検評価プログラム(教育研究の改善を目指すPDCAサイク ル)を稼働させることが必要である。(13.自己点検・評価)
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| 第1期 |
2016年度 |
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1:提言 改善報告審議結果 |
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| 神戸学院大学 | 私 | 兵庫県 | 第1期 | 2016年度 | 適 |
自己点検・評価書 基礎資料 正誤票 |
評価報告書
総評
神戸学院大学 総評神戸学院大学薬学部は、大学の建学の精神「真理愛好・個性尊重」のもと、教育研究上 の目的を設定している。 カリキュラムは、教育研究上の目的に基づいて策定したカリキュラム・ポリシー(教育 課程の編成・実施方針)を指針として、教養教育、ヒューマニズム・医療倫理教育、薬学 準備教育に対応する初年次の「共通教育科目」、「基礎教育科目」や「早期体験学習」に続 き、薬学教育モデル・コアカリキュラムに準拠した6つの専門科目群とその「演習実習」 科目、「総合薬学研究(卒業研究に相当)」を設定している。 実務実習モデル・コアカリキュラムの教育目標に関連した科目を3、4年次に、また、 実務実習事前学習を4年次に設定しているが、後述する問題点がある。実務実習について は、責任ある委員会組織の下、全教員が実習を指導する体制が整えられている。 問題解決能力の醸成のため、1年次「薬学への招待」、「演習実習ⅠA、ⅠB」、2年次「薬 学演習」に加え、卒業研究相当科目として「原著論文を読む」、「演習実習Ⅳ」、「総合薬学 研究Ⅰ、Ⅱ」を設定している。 入学者は、附属高校特別入試、指定校・公募制推薦入試、一般入試、大学センター試験 利用入試、学士編入試験などで選抜している。学生の成績評価・進級・学士課程修了認定 は、おおむね適正に実施されているが、後述する問題点がある。学生の支援については適 正に実施されており、留年生など成績不振者への学習指導の他、大学独自の奨学金制度な ど経済的支援も整えている。教員組織としては、十分な教育・研究上の実績を有する 53 名の専任教員が配置され、教員の研究環境および学生の学習環境も整えられている。しか し、事務職員体制は不十分である。近隣の病院や研究所、産業界との共同研究や、薬剤師 の生涯教育などで社会と連携している。自己点検・評価に関しては、全学的な自己点検評価委員会が設置され、2011 年には公益財団法人大学基準協会の認証評価に適合している。 また薬学部には自己点検評価小委員会が設置されている。 以上のように、神戸学院大学薬学部の薬学教育プログラムは、全体として本機構の評価 基準におおむね適合しているが、以下の重大な問題点について、適切に対応し、より優れ た薬学教育を展開されることを期待する。 (1)カリキュラム・ポリシーが、各学年で行う教育の一般的な概要を列挙したものとな っているので、「教育研究上の目的」および「学位授与の方針」(ディプロマ・ポリ シー)を反映したものに改善することが必要である。 (2)4年次および6年次で、共用試験、国家試験の対策講義に多くの時間が充てられ、 「薬学共用試験および薬剤師国家試験受験準備教育」に偏重した教育となっている ので、カリキュラムを見直すべきである。 (3)実務実習事前学習に相当する「病院・薬局に行く前に」のコマ数は、神戸学院大学 薬学部独自の教育目標を含めての 105 コマであるので、実務実習モデル・コアカリ キュラムで求められた教育目標に対する 122 コマを充足すべきである。 (4)卒業研究の一部である「原著論文を読む」を必須科目とするとともに、「演習実習Ⅳ」、 「総合薬学研究Ⅰ」、「総合薬学研究Ⅱ」などの卒業研究相当科目については、客観 的な成績評価の基準、評価尺度に基づく評価を行うなど、卒業研究として厳正な成 績評価を行うべきである。 (5)「薬学総合科目Ⅰ」は学外の国家試験予備校の講師が講義を担当し、成績評価に学外 の模擬試験を用いていることは不適切であるので改善する必要がある。 (6)「薬学総合科目Ⅱ」の成績が、薬学共用試験の結果を含めて判定されていることは不 適切であるので改善する必要がある。 (7)6年次の「薬学総合科目Ⅲ」を、講義実体のある科目に修正し、卒業試験として、 その講義内容の修得度を評価するための適正な試験を実施する必要がある。 (8)卒業留年生に対する卒業試験の内容、卒業判定基準について、前期卒業希望生と後 期卒業希望生の差異を解消するとともに、前年度の卒業認定での学力不足を担保す るための試験として適切なものに改めることが必要である。 (9)神戸学院大学薬学部の教育研究活動を総合的な観点から自己点検・評価し、その結 果を教育研究活動の改善に反映するための委員会組織を充実し、組織運営の改善を 図る必要がある。
大学への提言
神戸学院大学 大学への提言1)長所 1. 「海外の薬剤師に学ぶⅠ」は、実際に米国薬学研修を介して日本および米国の医療制 度の相違点を体験するものであり、有意義な科目と評価できる。(4.薬学専門教育の 内容) 2. 留年生などを対象として、再学修ノートのチェックと指導が行われる。(8.成績評価・ 進級・学士課程修了認定) 2)助言 1. 神戸学院大学学則第2条の7として設定されている「教育研究上の目的」と「本学6 年制薬学部教育に対する基本方針と教育・研究理念」の内容および文言を統一し、「教 育研究上の目的」を一本化することで、学生および社会からの理解が深まるように努めることが望まれる。(1.教育研究上の目的) 2. 学則をはじめとする大学必須の情報については、学生や社会に誤解を生まないよう、 常に更新することが望まれる。(1.教育研究上の目的) 3. 薬学部時間割(薬学部の独自科目に関する時間割)と共通教育時間割(共通教育に関 する時間割)を比べると、必修の薬学専門科目や演習と、教養科目の講義時間が重複 しており、教養科目の履修がかなり制限されているので、教養科目の履修時間を増や すことが望ましい。(3.医療人教育の基本的内容) 4. 医療安全教育においては、「演習実習ⅠB」と「病院・薬局に行く前に」以外の科目 でも、薬害、医療事故の被害者やその家族、弁護士や医療における安全管理者など、 外部の講演者による授業を行うことが望ましい。(3.医療人教育の基本的内容) 5. 薬学部、栄養学部、総合リハビリテーション学部の連携の下に行われている専門職連 携教育の受講者を増やす努力が求められる。(3.医療人教育の基本的内容) 6. 大学独自の内容を含む専門科目は、アドバンスト科目(授業の一部含む)として「海 外の薬剤師に学ぶⅠ、Ⅱ、Ⅲ、Ⅳ」、「バイオ医薬品とゲノム情報」、「保険調剤業務」 など8科目が開講されているが、特に「海外の薬剤師に学ぶⅡ、Ⅲ、Ⅳ」については 履修者が極端に少ないので、履修者が増えるようにシラバスや時間割を見直すことが 望ましい。(4.薬学専門教育の内容) 7. 「病院・薬局に行く前に」の成績評価について、技能の習得度や態度、演習実習の取 り組み、注意事項の順守を評価するための評価尺度は設定されておらず、適切な評価 は行われていない。また、技能や態度について、筆記試験での評価は不適切である。 したがって、技能や態度については、目標到達度を評価するための基準や評価尺度な どを用いた評価を実施することが望まれる。(5.実務実習) 8. 「演習実習ⅡA、ⅡB」、「演習実習ⅢA、ⅢB」の成績評価基準方法・基準について、 シラバスと実習テキストで、その内容が異なっているので、統一することが望まれる。 (6.問題解決能力の醸成のための教育) 9. 卒業研究の実体となる「総合薬学研究Ⅰ」、「総合薬学研究Ⅱ」については、現状のシ ラバス、時間割などからは、十分な学習成果を上げることは難しいと言わざるを得な いので、卒業研究相当科目の実施時間、実施状況を適切に反映したシラバスおよび時 間割を作成することが求められる。(6.問題解決能力の醸成のための教育) 10.アドミッション・ポリシーは一度作成したら頻繁に見直すものではないと述べられて いるが、アドミッション・ポリシーは機会あるごとに検証することが望ましい。(7.学生の受入) 11.プレイスメント・テストの結果を用いて、入学者選抜の適切性を検証することが望ま れる。(8.成績評価・進級・学士課程修了認定) 12.教員一人当たりの学生数は 29.2 名であり、教員の増員が望まれる。(10.教員組織・ 職員組織) 13.担当授業時間数は、できるだけ均等にすることが望まれる。(10.教員組織・職員 組織) 14.大学として薬学教育の実施に十分な薬学部事務組織を構築することが望まれる。(1 0.教員組織・職員組織) 15.大学全体の英語及び中国語のホームページを開設しているが、薬学部のオリジナルサ イトに対応する英文ホームページは見当たらず、薬学部の活動を広く発信していると は言い難い。薬学部の活動全般を発信する英文ホームページの開設が望まれる。(1 2.社会との連携) 16.自己点検・評価を行う委員会には、外部委員を含めることが望ましい。(13.自己 点検・評価) 3)改善すべき点 1. カリキュラム・ポリシーが、各学年で行う教育の一般的な概要を列挙したものとなっ ているので、「教育研究上の目的」及び「学位授与の方針」を反映したものに改善する ことが必要である。(2.カリキュラム編成) 2. 4年次「薬学総合科目Ⅰ」、「薬学総合科目Ⅱ」、6年次「薬学総合科目Ⅲ」および薬学 複合科目群で共用試験、国家試験の対策講義に多くの時間が充てられているので、「薬 学共用試験及び薬剤師国家試験受験準備教育」に偏重した教育とならないよう、カリ キュラムを見直すべきである。(2.カリキュラム編成) 3. 「薬学総合科目Ⅰ」の講義を学外の国家試験予備校の講師が担当していることは不適 切なので、改善が必要である。(2.カリキュラム編成) 4. 2年次の「薬学演習」、3年次「信頼関係の構築・調剤の基礎」など、同一科目で担当 教員が異なる場合、教員間で「授業の目的」、「到達目標」、「成績評価方法・基準」を 統一すべきである。特に2年次の「薬学演習」については、「授業の目的」を見直し、 その目的に応じた「成績評価方法・基準」を設定し、成績評価を適切に実施する必要 がある。(3.医療人教育の基本的内容)5. 「ヒューマニズム教育・医療倫理教育」、「コミュニケーション能力および自己表現能 力を身につけるための教育」では、各科目の到達度を評価するための指標を設定し、 それに基づいて、成績評価を適切に実施する必要がある。(3.医療人教育の基本的内 容) 6. 「ヒューマニズム教育・医療倫理教育」、「コミュニケーション能力および自己表現能 力を身につけるための教育」について、それぞれの科目を総合した目標達成度を評価 するための指標を設定し、それに基づいて適切に評価する必要がある。(3.医療人教 育の基本的内容) 7. 「薬学への招待」、「薬用植物と生薬」、「栄養と健康」、「化学物質の生体への影響」な ど、学習領域として技能を修得させることが到達目標とされている科目については、 実際に技能を習得することを目的に含めた上で学習方略を設定し、成績評価を実施す べきである。(4.薬学専門教育の内容) 8. 実務実習事前学習に相当する「病院・薬局に行く前に」は、実務実習モデル・コアカ リキュラムで求められた教育目標に対する122コマを充足するように改善すべきであ る。(5.実務実習) 9. 実務実習事前学習全体に関して、目標達成度を評価するための指標を設定し、それに 基づいて適切に評価する必要がある。(5.実務実習) 10.卒業研究の一部である「原著論文を読む」は、実態に合わせて必修科目に変更すべき である。(6.問題解決能力の醸成のための教育) 11.「原著論文を読む」、「演習実習Ⅳ」の授業時間を時間割に明示するとともに、これら の科目の成績評価の基準を設定し、卒業研究の一環として厳正な成績評価を行うよう 改善すべきである。(6.問題解決能力の醸成のための教育) 12.卒業研究相当科目の成績評価が厳正なものとなるよう、客観的な評価の基準と尺度に 基づく評価方法に改善すべきである。(6.問題解決能力の醸成のための教育) 13.問題解決能力の醸成に向けた教育において、総合的な問題解決能力の目標達成度を評 価するための指標を設定し、それに基づく評価を実施することが必要である。(6.問 題解決能力の醸成のための教育) 14.恒常的に留年者、休学者、退学者が非常に多い(特に1年次)。休学者と退学者、およ び留年者の人数の合計が入学定員の2割を超えている事実は、入学試験の形態にかか わらず、入学者の目標や学力と、大学が入学者に求めている学習や学力に乖離がある 可能性を示唆しており、入試制度の改善が必要である。(7.学生の受入)15.「薬学総合科目Ⅰ」の成績評価に国家試験予備校による模擬試験を用いることは極め て不適切である。(8.成績評価・進級・学士課程修了認定) 16.「薬学総合科目Ⅱ」については、シラバスに「成績は薬学共用試験OSCEの本試験 および再試験の成績を含めて総合的評価とする」示されており、その成績評価に「薬 学共用試験」の結果を利用していることは大学としての公正かつ厳格な成績評価およ び単位認定という観点から著しく不適切であるので、早急に改善する必要がある。(8. 成績評価・進級・学士課程修了認定) 17.大学の学則上で定められていない「追加試験」により、成績評価を行うなど不適切な 成績判定を改める必要がある。(8.成績評価・進級・学士課程修了認定) 18.「薬学総合科目Ⅲ」を、講義実体のある科目に修正し、卒業試験として、その講義内 容の修得度を評価するための適正な試験を実施する必要がある。(8.成績評価・進級・ 学士課程修了認定) 19.卒業試験合格基準に示されている、「教授会が認めた者」とあるが、公平、厳格な学士 課程の修了判定が行えるように改善する必要がある。(8.成績評価・進級・学士課程 修了認定) 20.卒業留年生に対する卒業試験の内容、卒業判定基準について、前期卒業希望生と後期 卒業希望生の差異を解消するとともに、前年度の卒業認定での学力不足を担保するた めの試験として適切なものに改めることが必要である。(8.成績評価・進級・学士課 程修了認定) 21.実務家教員は、教授はみなし教員1名のみであり、他は専任教員の講師が6名である ので、薬剤師養成教育の充実という観点から、職位のバランスを考慮した是正が必要 である。(10.教員組織・職員組織) 22.教員の教育・研究業績については、大学ホームページや印刷物などで毎年公表する必 要がある。(10.教員組織・職員組織) 23.神戸学院大学薬学部の教育研究活動を総合的な観点から自己点検・評価し、その結果 を教育研究活動の改善に反映するための委員会組織を充実し、組織運営の改善を図る 必要がある。(13.自己点検・評価)
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2016年度 |
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1:提言 改善報告審議結果 |
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| 神戸薬科大学 | 私 | 兵庫県 | 第1期 | 2016年度 | 適 |
自己点検・評価書 基礎資料 正誤票 |
評価報告書
総評
神戸薬科大学 総評神戸薬科大学薬学部薬学科は、大学の理念に基づいた教育研究上の目的を「教育基本法 及び学校教育法の規定するところに従い、高い教養と専門的能力を培うことによって、医 療人としての使命感と倫理観を十分に理解し、高度な薬学の知識を身につけた薬剤師並び に教育・研究者を育成すること、さらに医療と薬事衛生の向上に貢献することを目的とす る。」と学則第1条に規定している。その上で、学位授与の方針(ディプロマ・ポリシー)、 教育課程の編成・実施方針(カリキュラム・ポリシー)、入学者受入方針(アドミッショ ン・ポリシー)を大学の理念や教育研究上の目的に基づいて設定し、薬剤師養成教育に課 せられた基本的な使命を踏まえた6年制薬学教育を実践している。 自己点検時に実施されていた3つのカリキュラムは、責任ある体制で設定された同一の カリキュラム・ポリシーに基づいて、基礎教育科目、教養教育科目および専門教育科目で 構成されている。薬学専門教育は、いずれも薬学教育モデル・コアカリキュラムに準拠し ている。 基礎教育科目には、薬学専門教育の実施に向けた準備教育としての化学、生物、物理、 数学の内容が設定され、一部の授業は能力別クラスで行われている。また、補講によるリ メディアル教育も行われている。教養教育科目には多様な選択科目が設定されており、8 単位以上の修得が2年次から3年次への進級要件となっている。また、必修の教養教育科 目である2年次の「総合文化演習」は 13 コースから1コースを選択する特徴的な科目であ る。語学教育においては、特に英語教育に力を入れており、少人数クラスで一般英語から 専門英語へと段階的に学習できる体系となっている。さらに、アメリカでの「海外薬学研 修」も4、5年次の選択の専門教育科目として単位化(1単位)されている。選択の専門 教育科目である1年次の「初期体験臨床実習」と5年次の「IPW演習」(IPW: Interprofessional Work)は神戸大学医学部との連携科目であり、チーム医療における多 職種間医療人協働の重要性を学ぶ特徴的な教育プログラムとなっている。実験実習は全領 域に渡って必修科目として十分に行われており、問題解決能力の醸成に係る教育は卒業研究も含めて単位上は十分に設定されている。国家試験の受験準備教育に相当する「薬学演 習」を履修している学生は6年次の卒業研究時間が少なくなっているが、全体としては薬 学共用試験や薬剤師国家試験の合格のみを目指した教育に過度に偏ったカリキュラムには なっていない。 実務実習に向けた事前学習のための設備は良く整備されており、実務実習は、薬学臨床 教育センターおよび実務実習運営委員が中心となって、主に近畿地区調整機構との連携に より適正に行われている。他地区の調整機構を介したふるさと実習も認めている。 学生の受入はアドミッション・ポリシーに基づいた入学試験により厳正に行われている。 入学後は、薬学基礎教育センターおよび学生支援センターによる履修指導・学習支援、多 様な学内奨学金制度、学生の健康維持に関する様々な取り組みにより、きめ細やかな修学 支援が行なわれている。キャンパス内の学習環境には現状でも大きな問題はないが、古い 建物の改築などのキャンパス整備が順次進行中である。 教員の採用および昇進は内規と選考基準に基づいて厳正に行われており、十分な教育・ 研究能力を有する専任教員が配置され、他大学等との共同研究も熱心に行われている。ま た、必要に応じて学外の様々な人的資源も活用している。 薬剤師認定制度認証機構から「生涯研修プロバイダー」の認証を受け、活発な卒後研修を 実施しており、学内に設立されたエクステンションセンターが主催する研修講座を学生も 無料で受講できるようにしている。 以上のように、神戸薬科大学薬学部薬学科の教育プログラムは、本機構の評価基準に おおむね適合しているが、特に以下のような問題点について、さらなる改善が必要である。 (1)6年次必修科目の「薬学演習」および卒業延期生の卒業認定に関わる正規教育に予 備校の講師が大きく関与している。 (2)一部の学生については、受験準備教育に相当する「薬学演習」との組合せにより6 年次の卒業研究の時間数が少なくなっている。 (3)シラバスにおいて、「学習方略(授業方法)」および「大学独自の薬学専門教育」が 明示されていない。 (4)卒業研究の評価のための統一的な指標が具体的に設定されていない。 (5)教育研究プログラムの恒常的な自己点検・評価と、それに基づく改善が不十分であ る。 神戸薬科大学薬学部薬学科には、今回の評価における提言を踏まえ、薬科単科大学とし ての特色を活かした薬学教育の推進を通してさらに発展することを期待する。
大学への提言
神戸薬科大学 大学への提言1)長所 1. アメリカでの「海外薬学研修」が4年次と5年次に共通の選択科目として単位化(1 単位)されていることは、大学独自の専門教育として優れた取り組みである。(4.薬 学専門教育の内容) 2. 薬学基礎教育センターおよび学生支援センターによる履修指導・学習支援、多様な学 内奨学金制度、学生の健康維持に関する様々な取り組みにより、学生に対するきめ細 やかな修学支援が行なわれている。(9.学生の支援)2)助言 1. 「教育研究上の目的」について、学則内の記載に加えて独立した形式で、シラバス、 学生の手引き、キャンパスガイド、ホームページなどに明示し、教職員や社会へ適切 に周知・公表することが望ましい。(1.教育研究上の目的) 2. 「教育目標」に、医療人としての活動に必要なコミュニケーション能力の修得を設定 することが望ましい。(1.教育研究上の目的) 3. 「教育研究上の目的」を検証する体制を確立し、定期的に検証することが望ましい。 (1.教育研究上の目的) 4. 平成27年度のシラバスには、カリキュラム3の「薬学教育モデル・コアカリキュラム 関連図」のみが掲載されている。カリキュラム・マップも掲載することが望ましい。 (2.カリキュラム編成) 5. カリキュラム1と2のカリキュラム・マップも作成することが望ましい。(2.カリ キュラム編成) 6. ディプロマ・ポリシーの改訂に伴うカリキュラム・ポリシーの改訂を早急に行うこと が望まれる。(2.カリキュラム編成) 7. 実務実習全体の総合的な学習成果を評価するための指標を設定し、それに基づいて適 切に評価することが望ましい。(5.実務実習) 8. 問題解決能力の醸成に関する科目の体系性を点検・検討することが望ましい。(6.問 題解決能力の醸成のための教育) 9. 指定校制推薦入学試験以外の入学試験において、面接等で医療人としての適性を評価 する工夫が望まれる。(7.学生の受入) 10. 指定校制推薦入学試験において、基礎学力を適確に評価することが望まれる。(7.学 生の受入) 11. レポートや課題、受講態度等の評価基準をシラバスに可能な限り示すことが望まれ る。(8.成績評価・進級・学士課程修了認定) 12. 古い建物についてもバリアフリー化が望まれる。(9.学生の支援) 13. 実験実習における指導者一人当たりの学生数は25~30名であり、実習の安全性の観点 から指導者の増員が望まれる。(9.学生の支援) 14. 専任教員一名あたりの学生数について、さらなる改善が望まれる。(10.教員組織・ 職員組織) 15. 授業評価アンケートを毎年行うとともに、回収率を高める工夫が望まれる。(10.教員組織・職員組織) 16. 実務経験を有する教員の定期的な臨床研修を十分に実施するための環境整備が望まれ る。(10.教員組織・職員組織) 17. 専任教員の構成について、准教授と講師の人数バランスの改善が望まれる。(10.教 員組織・職員組織) 18. 各研究室に3学年の学生が配属されて学生の研究スペースが狭いことが問題となって いるので、改善が望まれる。(11.学習環境) 19. 教員の1年以上の海外研修が可能となるような環境整備が望まれる。(12.社会との 連携) 20. 医療界や産業界と連携した活動の推進が望まれる。(12.社会との連携) 3)改善すべき点 1. 単位が付与された正規科目である「薬学演習」の授業のすべてを予備校講師が担当す ることは極めて不適切であり、改善する必要がある。(2.カリキュラム編成) 2. 早期臨床体験において、地域の保健・福祉を見聞する体験学習を実施する必要がある。 (3.医療人教育の基本的内容) 3. ヒューマニズム教育・医療倫理教育、コミュニケーション能力および自己表現能力を 身につける教育において、目標達成度を評価するための指標を設定し、それに基づい て適切に評価する必要がある。(3.医療人教育の基本的内容) 4. 学習方略をすべての科目のシラバスに記載する必要がある。(4.薬学専門教育の内容) 5. 大学独自の薬学専門教育の内容を周知させるために、それをシラバスで容易に確認で きるように工夫する必要がある。(4.薬学専門教育の内容) 6. 実務実習事前学習全体としての目標達成度を評価するための指標を設定し、それに基 づいて学習成果を適切に評価する必要がある。(5.実務実習) 7. 一部の学生については、受験準備教育に相当する「薬学演習」との組合せにより6年 次の卒業研究の時間数が少なくなっているので、改善する必要がある。(6.問題解 決能力の醸成のための教育) 8. 卒業研究の評価のための統一的な指標を具体的に設定し、それに基づいて評価する必 要がある。(6.問題解決能力の醸成のための教育) 9. 問題解決能力の醸成において、目標達成度を評価するための指標を設定し、それに基 づいて適切に評価する必要がある。(6.問題解決能力の醸成のための教育)10. 卒業延期生の卒業認定に関わる科目(「総合薬学講座」)のかなりの部分を予備校に依 頼していることは不適切であり、改善する必要がある。(8.成績評価・進級・学士課 程修了認定) 11. 教育研究プログラムの恒常的な自己点検・評価と、それに基づく改善が不十分である ので改善する必要がある。(13.自己点検・評価)
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| 第1期 |
2016年度 |
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1:提言 改善報告審議結果 |
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| 静岡県立大学 | 公 | 静岡県 | 第1期 | 2016年度 | 適 |
自己点検・評価書 基礎資料 正誤票 |
評価報告書
総評
静岡県立大学 総評静岡県立大学薬学部は、6年制の薬学科と4年制の薬科学科の2学科を設置し、一括入 試後、3年次後期に分科が行われる。薬学部の教育研究上の目的は、「医療の進歩に対応で きる専門的な知識・技術を有し、高い資質を身に付けた薬剤師を養成し、および医薬品に 関連する基礎知識・技術を習得し、創薬・育薬を総合的に理解できる人材を養成する」と 規定され、この目的に基づき、入学者受入方針(アドミッション・ポリシー)、教育課程の 編成・実施の方針(カリキュラム・ポリシー)、学位授与の方針(ディプロマ・ポリシー) が設定されている。 薬学科における基本教育として、多彩な「教養科目」や、静岡特有の歴史・文化、防災 医療システムや地域産業を取り扱う「しずおか学」が設定されている。また、薬学部の語 学教育のために専任講師が雇用されているなど、社会のグローバル化に対応した英語教育 が充実している。さらに、「静岡救命連携演習」は東海地震等での緊急対応に向けた大学独 自のプログラムであり、チーム医療に貢献する取り組みとしても優れている。相手の話を 傾聴し、共感するなど、コミュニケーションの基本的能力を身につけるための教育も行わ れている。薬学専門教育も薬学教育モデル・コアカリキュラムの教育目標に準拠して実施 されている。カリキュラム編成は国家試験や共用試験対策に過度に偏重することなく、4 年次からの研究室での卒業研究「総合薬学研究」も期間が十分確保されている。問題解決 能力醸成に向けた科目については、「総合薬学研究」と併せて合計単位数が卒業要件単位数 の1/10 以上となっている。実務実習事前学習は実務実習モデル・コアカリキュラムに準拠して4年生後期を中心に 実施されている。実務実習も適切に実施されており、Ⅰ期とⅡ期で行われているため、事 前学習からの連続性も保たれている。 入学者の選抜は、一般入試、推薦入試、帰国子女ならびに私費留学生入試により行われ、 基礎学力が的確に評価されている。修学状況は良好であり、入学時に薬学教育を受けるの に必要な基礎学力がある学生を入学させていると言える。さらに、推薦入試においては面 接で薬学を志す者としての資質を評価するなど、医療人としての適性を評価している。定 員数からの大きな乖離はない。 進級判定の審議は、薬学部履修細則に基づいて、公正かつ厳格に行われており、卒業要 件も適切に設定されている。 アドバイザー(担任)制度が設定され、学生の履修指導が行われている。学生の経済的 支援や健康維持に関する体制は整備され、ハラスメント対策も充実していると言える。キ ャリア支援体制や学生の意見を収集し反映するための体制もおおむね整っている。実習等 での安全への配慮としては、「安全実験マニュアル」が配付され、安全教育が行われている。 防災マニュアルは学生および教職員に周知され、地震および火災避難訓練が毎年実施され ている。身体に障がいのある者に対しては、学修・生活上の支援のために学生部学生室に 学生相談窓口を設け、意見を聞く体制をとっており、施設・設備上の支援が行われている。 専任教員は各専門分野において、研究・教育に優れた実績を有するものが配置されてお り、教員数も大学設置基準を十分満たしている。実務家教員も 10 名配置され基準を大幅に 上回っている。また、教員1名当たりの学生数は、約 8.7 名となっており、きめ細かく指 導ができる適切な教員数となっている。研究環境や学習環境にも大きな問題はない。 社会との連携として、実務実習の指導拠点ともなっている、静岡県立総合病院内に開設 した薬学教育・研究センターとの病院臨床共同研究や、創薬探索センターによる産業界と の連携、同窓会組織との連携による卒後教育講座などが実施されている。 以上のように、静岡県立大学薬学部薬学科の薬学教育プログラムは、本機構の評価基準 におおむね適合していると判断される。しかしながら、主な改善すべき点として、以下が 挙げられる。 (1)6年制薬学科の「教育研究上の目的」を、4年制薬科学科のものと区別して学則等に 明記し、広く公表する必要がある。 (2)シラバスには、授業方略が記載されていない科目や、評価方法・基準が不適切なもの が散見されるため、改善する必要がある。(3)薬科学科と区別した薬学科のディプロマ・ポリシーが定められていないので、改善す る必要がある。 (4)成績評価の公正化や厳格化を図るために、成績評価の基準・方法に関して、統一した 学部内での内規あるいは申し合わせを明文化する必要がある。また、各科目の成績評 価方法・基準をシラバスに明確に記載する必要がある。 (5)「実務事前実習」のシラバスには、共用試験OSCEの結果を単位認定に用いるとの 記載があり、改善すべきである。 (6)6年制薬学教育プログラムを自己点検・評価するために、薬学部内に定期的に検証す る組織や規程を早急に整備して、内部質保証を図る必要がある。 以上の重要な問題点に加えて、その他の指摘についても適切に対応することで、より優 れた薬学教育が展開されることを期待する。
大学への提言
静岡県立大学 大学への提言1)長所 1. 教養科目としての「しずおか学」および医療人養成教育としての「静岡救命連携演習」 は、大学が掲げている、「病院・薬局などの医療現場で活躍し多職種連携に貢献できる 人材だけでなく、県民や国民の安心・安全のために薬務行政・保健衛生に従事する人 材や企業等において研究開発に携わる人材を育成」にも合致しており、特色ある優れ たプログラムとして評価できる。(3.医療人教育の基本的内容) 2)助言 1. 「教育研究上の目的」は、学生だけでなく、教職員にも周知徹底することが望ましい。 (1.教育研究上の目的) 2. 「教育研究上の目的」を点検・評価して、取りまとめる組織体制を整備し、定期的に 検証することが望まれる。(1.教育研究上の目的) 3. 6年制薬学科のカリキュラム・ポリシーに「教育研究上の目的」に相当するものが含 まれており、両者を区別して記載することが望まれる。(2.カリキュラム編成) 4. 薬学教育カリキュラムのどの科目が、ディプロマ・ポリシーのどの項目に対応してい るのか明記されたカリキュラム・マップにすることが望まれる。 (2.カリキュラム 編成) 5. カリキュラム・ポリシーを責任ある組織体制で、定期的に点検・評価し、検証するこ とが望まれる。(2.カリキュラム編成) 6. 医療人教育を、全学年を通して体系的に行うことが望ましい。(3.医療人教育の基 本的内容) 7. 薬害、医療過誤、医療事故等の被害者やその家族、弁護士、医療における安全管理者 を講師とする科目を開講することが望まれる。(3.医療人教育の基本的内容) 8. 医療人教育に関する科目のシラバスに、学習方法を明記することが望ましい。(3. 医療人教育の基本的内容) 9. 模擬患者、模擬医師として、外部協力者やSPが実務実習事前学習の指導体制に加わ ることが望ましい。(5.実務実習)10. 問題解決能力の醸成のための教育に関し、卒業研究以外の科目においてもそれぞれの 目標到達度を評価する指標の設定とそれに基づく適切な評価を行うことが望まれる。 (6.問題解決能力の醸成のための教育) 11. 遺伝子組み換え実験、放射性物質取り扱い実験に関する災害対策マニュアルを作成す ることが望ましい。(9.学生の支援) 12. 3年次後期の分科において、振り分けがスムーズに行われているのか、学生の満足度 を調査・検証することが望ましい。(9.学生の支援) 13. 事務職員が大学共通部署に配属されており、薬学部専任の事務職員が3名と少なく、 増員することが望ましい。(10.教員組織・職員組織) 14. 実務家教員の授業時間は演習・実習を中心に週25時間以上であり、負担を軽減すること が望ましい。(10.教員組織・職員組織) 15. 薬学部専用で利用できる情報処理室のパソコンの台数が44台と限られており、CBT 試験が薬学部棟内で実施できるように、パソコン台数を増やすことが望まれる。(1 1.学習環境) 16. 老朽化した共同機器の更新を検討することが望まれる。(11.学習環境) 17. 講義によっては学生一人当たりのスペースが十分でない場合もあり、ゆとりのある講 義室の確保が望ましい。(11.学習環境) 18. 自己点検・評価を行う委員会の構築にあたっては、外部委員を含めることが望ましい。 (13.自己点検・評価) 3)改善すべき点 1. 6年制薬学科の「教育研究上の目的」を、4年制薬科学科のものと区別して学則等に 明記し、広く公表する必要がある。(1.教育研究上の目的) 2. ヒューマニズム教育・医療倫理教育およびコミュニケーション教育の関連科目の学習 成果を総合した目標達成度評価の指標を定めて、それに基づいて適切に評価する必要 がある。(3.医療人教育の基本的内容) 3. シラバスの記載について、以下のような点を改善すべきである。(4.薬学専門教育 の内容) ① 授業方略が記載されていない科目や、評価方法・基準(試験、レポート等 の寄与率の不記載。「出席点」の記載。「再試験」の実施の有無の不記載。) が不適切なものが散見される。② 複数の科目において同じ到達目標(SBOs)が挙げられているものがあ る。到達目標(SBOs)は、薬学専門教育の各ユニットの一般目標(G IO)に関連性の高い科目にしぼって記載する必要がある。 ③ 専門科目単位の30%程度を大学独自科目として開講し、それらの内容の独 自性をシラバス等に明記する必要がある。 4. 実務実習事前学習の成果全体についての目標達成度を評価するための指標が設定され ておらず、それに基づく評価も行われていないため、評価方法については改善が必要 である。 (5.実務実習) 5. 「総合薬学研究」において学部共通の適切な評価法や評価基準を定めて評価する必要 がある。(6.問題解決能力の醸成のための教育) 6. 問題解決能力の醸成のための教育の目標達成度を総合的に評価する指標の設定と適切 な評価を行う必要がある。(6.問題解決能力の醸成のための教育) 7. 薬科学科と区別した薬学科のディプロマ・ポリシーが定められていないのは改善する 必要がある。(8.成績評価・進級・学士課程修了認定) 8. 成績評価の公正化や厳格化を図るために、成績評価の基準・方法に関して、統一した 学部内での内規あるいは申し合わせを明文化する必要がある。また、各科目の成績評 価方法・基準はシラバスに明確に記載することが必要である。(8.成績評価・進級・ 学士課程修了認定) 9. 「実務事前実習」のシラバスの成績評価方法に「④客観的臨床能力評価試験(OSC E)での最終評価」と記載されているが、共用試験OSCEの結果を「実務事前実習」 の単位認定に用いていることになり、改善すべきである。(8.成績評価・進級・学 士課程修了認定) 10. 6年制薬学教育プログラムを自己点検・評価するために、薬学部内に定期的に検証す る組織や規程を早急に整備して、内部質保証を図る必要がある。(13.自己点検・ 評価) 11. 自己点検・評価・改善などのPDCAサイクルを機能的に回していく必要がある。(1 3.自己点検・評価)
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2016年度 |
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1:提言 改善報告審議結果 |
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| 新潟薬科大学 | 私 | 新潟県 | 第1期 | 2016年度 | 適 |
自己点検・評価書 基礎資料 正誤票 |
評価報告書
総評
新潟薬科大学 総評新潟薬科大学薬学部では、大学の理念「生命の尊厳に基づき、薬学及び生命科学両分野 を連携させた教育と研究を通して、人々の健康の増進、環境の保全、国際交流や地域社会 の発展に貢献する高い専門性と豊かな人間性を有する有為な人材の育成とともに、社会の 進歩と文化の高揚に有益な研究成果の創出を理念とする」に基づき、教育研究上の目的を 「国民に信頼され、医療に貢献できる高度な薬学を修め、医療人たる崇高な倫理観と豊か な人間性をもち、地域における人々の健康増進や公衆衛生の向上に貢献するとともに医療 の進展に資する研究心を有する薬剤師を育成する」としている。この目的のもと、学位授 与方針(ディプロマ・ポリシー)、教育課程の編成・実施方針(カリキュラム・ポリシー) および入学者受入方針(アドミッション・ポリシー)を「改訂薬学教育モデル・コアカリ キュラム」(以下、改訂コアカリ)および「薬剤師として求められる基本的な資質」に照ら して制定している。 これらを踏まえ、薬学科の教育課程は、教養教育、語学教育、薬学専門教育、実習およ び演習、卒業研究から構成されている。特に新潟の地域性、地域医療を意識したボランテ ィア活動や住民を対象とした調査などを通して、実践的に地域医療教育やコミュニケーシ ョン教育に取り組んでいることは評価できる。教養教育は、自然科学系、体育、人文社会 系などに区分され設定されている。語学教育は、新潟の地域を意識し、近隣諸国の語学を 修得できる機会を提供している点は評価できる。また、学生がWeb上から利用できるテ ィーチング・ポートフォリオ、自己学習支援システムとして各科目の授業資料や理解度の 形成的評価が確認できるラーニング・ポートフォリオとして、Cyber-NUPALSを独自 に開発・運用しており、利便性のある有効なシステムとして評価できる。 医療人の基本としてのヒューマニズムやコミュニケーション教育については、1年次に 学んだ結果が、4年次の「事前学習」および「実務実習」において実践されている。 学習環境については、講義・演習室、図書室、実務実習事前学習施設・設備、研究用の 施設・設備などが整備されており、適切である。学生への教育支援については、各学年の最初に新年度ガイダンスを実施し、適切な履修指導が行われている。学生への経済支援と しては、授業料の減免、各種奨学金等の経済的支援などを行っており、情報提供の窓口も 事務部学生支援課で集中的に行い、ホームページや便覧にも掲載しており、十分に機能し ている。健康管理、メンタルヘルス、ハラスメント防止、障がい学生支援、バリアフリー 対策、キャリアサポートなどの支援も十分に行われている。学生の意見を教育や学生生活 に反映させるための体制も整えられており、学習環境の改善に活かされている。 しかし、主な改善すべき点として以下があげられる。 (1)6年次のカリキュラム編成が国家試験準備教育のために過密となり、卒業研究や大 学独自科目の履修が圧迫されているので、改善すべきである。 (2)入学後の学力補完教育にもかかわらず、毎年1年次の退学者と留年者が合計20~30 名である現状は、補完教育によっても薬学を学ぶために必要な基礎学力に到達させる ことができない学生を入学させている可能性が高く、入試制度の改善が必要である。 (3)国家試験対策科目と見なされる「薬学総括演習Ⅱ(6年次通年 必修:11単位)」が 未修得であるために平成27年度は在籍者の約30%が6年次留年となる現状を改善する ことが必要である。 (4)教員の教育研究の能力の向上を図るためにFD(Faculty Development)活動の活性 化を図る必要がある。 (5)薬学部が主管する6年制薬学教育プログラムに対する自己点検・評価を行うための 項目を設定し、評価を継続的に実施することが必要である。 新潟薬科大学薬学部は、地域に密着した教育研究体制を構築し、教育・研究への真摯な 姿勢と活動が認められ、薬剤師教育の発展の一翼を担うものとして期待できる。 今後は、今回の評価における「改善すべき点」として指摘した諸問題を全教員で共有し、 改善に取り組むことによって、「命を守るプロフェッショナル」としての薬剤師を輩出する 教育に対し、さらなる発展を目指して邁進されることを期待する。
大学への提言
新潟薬科大学 大学への提言1)長所 1. 教育研究上の目的にある「地域における人々の健康増進や公衆衛生の向上に貢献する」 に基づき、様々なボランティア活動を必修として実践的に地域医療教育やコミュニケ ーション教育に取り組んでいる。(3.医療人教育の基本的内容) 2. 学生がWeb上から利用できるティーチング・ポートフォリオ、自己学習支援システ ムとして各科目の授業資料や理解度の形成的評価が確認できるラーニング・ポートフ ォリオなど、Cyber-NUPALSを独自に開発・運用しており、これらは有用なシス テムとして評価できる。(4.薬学専門教育の内容) 3. 卒業研究の評価に学部共通のルーブリック評価を用いた評価基準が明確に示され、公 正かつ厳格に評価が行われている。(6.問題解決能力の醸成のための教育)2)助言 1. 学生便覧やホームページ上に薬学部の教育研究上の目的が記載されているが、表記に ばらつきが見られるので、統一することが望まれる。(1.教育研究上の目的) 2. 医療安全教育において、患者や薬害被害者だけでなく、現場の医師、薬剤師、弁護士 などの人的資源の採用が望まれる。(3.医療人教育の基本的内容) 3. 「メディカル・スタッフと共に学ぶ」は医療における多職種連携を学ぶために必要な ので、履修者を増やす努力が望まれる。(3.医療人教育の基本的内容) 4. 旧カリキュラムにおいて、コミュニケーションの基本的能力を身に付けるための科目 の学習方略・評価に問題があるので、改善が望まれる。(3.医療人教育の基本的内容) 5. 実務実習の総合的な学習成果を適切な指標に基づいて評価することが望ましい。(5. 実務実習) 6. 医療人としての資質の評価項目としては、病院のみの聴取となっているので、薬局も 同様に聴取できるように統一することが望ましい。(5.実務実習) 7. 学生実習や卒業研究等の担当教員・指導教員の数が十分ではないため、教員等を増や す等の補填を検討することが望ましい。(9.学生の支援) 8. 学生の事務手続きの利便性を図るために、事務窓口の受付時間を延長するなどの配慮 が望まれる。(9.学生の支援) 9. 学生数1,080名に対する助教以上の教員は40名、助手を含め50名なので、専任教員1名 当たりの学生数は、助教以上で27名、助手を含めた場合でも21.6名となり、教員数が 十分な数ではないので、増員が望まれる。(10.教員組織・職員組織) 10. 「実務実習」が教員担当の授業科目として認識されていないので是正が望まれる。(1 0.教員組織・職員組織) 11. 学生による授業評価アンケートの回収率を上昇させる工夫が望まれる。(10.教員組 織・職員組織) 12. 静寂が保たれる学生自習室および少人数グループ用の自習室の充実が望まれる。(1 1.学習環境) 13. 国際交流活動に参加を希望する学生数は減少傾向であるので活性化することが望まれ る。(12.社会との連携) 14. 若い教員の海外研修や留学の推進を図ることが望まれる。(12.社会との連携) 15. 現在公開しているホームページは一部を除き全て日本語表記のみなので、英文による 情報発信が望まれる。(12.社会との連携)16. 6年制薬学教育の恒常的な自己点検・評価を行う委員会を組織する際には、外部委員 を含めることが望ましい。(13.自己点検・評価) 3)改善すべき点 1. 6年次のカリキュラム編成が国家試験準備教育のために過密となり、卒業研究や大 学独自の科目の履修が圧迫されているので、改善すべきである。(2.カリキュラム 編成) 2. ヒューマニズム教育・医療倫理教育およびコミュニケーション能力・自己表現能力を 身に付けるための教育について、それぞれの各科目を総合した目標達成度を評価す るための指標を設定し、それに基づいて適切に評価する必要がある。(3.医療人教 育の基本的内容) 3. 問題解決能力醸成に関する科目を総合して、目標達成度を評価するため、指標を設定 し、それに基づいて適切に評価することが必要である。(6.問題解決能力の醸成の ための教育) 4. 5年次の実務実習や6年次のスケジュール表からみても「卒業研究Ⅱ」に十分な時 間が確保されているとは言えず、改善すべきである。(6.問題解決能力の醸成の ための教育) 5. 入学後の学力補完教育にもかかわらず、毎年1年次の退学者と留年者が合計20~30 名であるという現状は、補完教育を充分に行っても、薬学を学ぶために必要な基礎 学力まで到達させることができない学生を入学させている可能性が高く、入試制度 の改善が必要である。(7.学生の受入) 6. 平成27年度の卒業判定において、国家試験対策科目である「薬学総括演習Ⅱ(6年次 通年 必修:11単位)」が未修得であるために在籍者の29.5%が6年次留年となる現状 を改善する必要がある。(8.成績評価・進級・学士課程修了認定) 7. 6年次留年生の単位認定にかかる通年科目の「薬学総括演習Ⅱ」(11単位)の履修に おいて、一部で教員以外の者が授業を担当していることは問題であり、改善が必要で ある。(8.成績評価・進級・学士課程修了認定) 8. 定期試験と再々試験の問題が全く同じである科目が確認された。当該成績評価の方 法・基準に従って成績評価を公正かつ厳格に行うことの重要性を教員に徹底する必 要がある。(8.成績評価・進級・学士課程修了認定) 9. 教員の教育研究能力の向上を図るためにFD活動の活性化を図る必要がある。(10.教員組織・職員組織) 10. 5年間の教育・研究実績として著書・論文の数が少ない、あるいは全く無い教員も認 められ、教育目標を達成するための基礎となる研究活動を全教員が行うよう改善す ることが必要である。(10.教員組織・職員組織) 11. 薬学部が主管する6年制薬学教育プログラムに対する自己点検・評価を行うための 項目を設定し、継続的に実施することが必要である。(13.自己点検・評価)
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| 第1期 |
2016年度 |
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1:提言 改善報告審議結果 |
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| 姫路獨協大学 | 私 | 兵庫県 | 第1期 | 2016年度 | 継 |
自己点検・評価書 基礎資料 正誤票 |
評価報告書
総評
姫路獨協大学 総評姫路獨協大学薬学部医療薬学科は「人間性豊かな幅広い教養、問題発見・解決の能力及び論理的思考力、医療事故及び薬害を防ぐ安全管理能力、並びに先端医療科学に対応できる能力を修得し、医療機関、企業及び公共機関等において活躍できる豊かなコミュニケーション能力を備え、生涯にわたり学び続ける意思及び能力を身につけた幅広い視野を持つ高い資質の薬剤師を養成すること」を教育上の目的として掲げ、教育課程の編成・実施方針(カリキュラム・ポリシー)、入学者受入方針(アドミッション・ポリシー)を制定し、6年制薬学教育を行っている。
初年次教育として、「入学前教育の充実」、「入学時点の学力判定及び担任教員による学習指導」などを準備する、「数学」など基礎科目の入学後学力判定試験を実施しその結果を学習指導へ活用するなど、多様な入学生への対応に努めている。また、専門教育においては、アドバンスト教育として4年次の「医療遺伝学」、6年次の「再生医学」、「新薬論」が選択科目として設定されている。実務実習事前学習は適切な指導者のもとで実施され、「リスクマネージメント」、「フィジカルアセスメント」、「処方解析」などの実践的教育も実施されている。薬学共用試験(CBT:Computer Based TestingおよびOSCE:Objective Structured Clinical Examination)の合格判定は、薬学共用試験センターの提示する合格基準に従って実施されている。さらに実務実習は、一般社団法人薬学教育協議会病院・薬局実務実習近畿地区調整機構(以下、近畿地区調整機構)を介して選定された実習施設において実務実習モデル・コアカリキュラムに準拠して行われている。 入学試験は多様な方式で行なわれている。入学者数については、発足当時の入学定員数120名を平成25年度より100名に変更し、平成23年度に49名であった入学生が27年度には101名へと徐々に増加しているが、入学定員充足率は0.41から1.29と変動が大きくなっている。 学生の経済的支援として、大学独自の姫路獨協大学奨学金、姫路獨協大学特別学業支援奨学金、緊急支援奨学金、遠隔地予約奨学金、経済困窮者への授業料等の減免制度を設けている。学習環境としては、講義室(学部専用1室を除く)、演習室、および学生自習室が全学共用施設として整備されている。社会との連携については、姫路薬剤師会、兵庫県病院薬剤師会西播支部との連携により、地域の薬剤師の資質向上に努めている。 しかし、本機構の評価基準に照らして教育プログラムの内容を評価すると、改善を必要とする重大な問題が見出される。改善を必要とする主な問題点は下記のとおりである。 (1)薬学教育カリキュラムが薬学共用試験や薬剤師国家試験合格の対策に偏っていることが懸念される。問題解決能力の醸成のための教育における卒業研究の実質的な期間は約半年である。これは国家試験対策に相当する科目が6年次前期に配当されていることで、卒業研究の実施期間が圧迫されているためと推察される。また、6年次の講義が国家試験受験予備校に依頼して実施されており、問題がある。さらに、現行のカリキュラムにおいては、教育内容が階層的なカリキュラムでの順次性と一致していない科目配置が認められる、改訂新カリキュラムの6年次において専門分野の選択科目をまったく履修しなくても卒業が可能である、在学中に卒業要件単位数を変更しているなどの問題があり、6年一貫教育の再構築が必要である。 (2)留年率と退学率が恒常的に高く、入学システムが入学後の教育に求められる基礎学力を適確に評価しているとは言えない。 (3)6年次後期の「卒業研究Ⅱ」における試験(卒業研究Ⅱ試験)が実質的な卒業要件となっており、さらに「卒業研究Ⅱ」の合否判定の際に、国家試験受験予備校による薬剤師国家試験模擬試験結果との相関を考慮し当該試験の合否判定がなされており、適正な卒業判定とは言えない。 (4)平成28年度前期の段階で、教員数が大学設置基準を満たしておらず、進行中の教授等の公募を早急に完了させ、専任教員の不足を解消する必要がある。 (5)姫路獨協大学薬学部の教育プログラムは多くの問題を改善することなく抱え続けており、自己点検・評価の体制が整備され、その結果が教育研究活動の改善等に活用されているとは言えない。教育プログラムの改善のために、自己点検・評価のための常置委員会の設置、規定の作成など、評価体制の整備と定期的な自己点検・評価の実施が必要である。 上記の問題点に加えて、学部の理念および研究上の目的が設定されていない、薬学教育モデル・コアカリキュラムの一部項目が選択科目となっている、シラバスの記載に不備が認められる科目が多数存在する、教育プログラムの定期的な自己点検・評価が実施されていないなどの多くの問題点が認められる。 今回の評価において「改善すべき点」として指摘した諸問題を教職員で共有し、改善に取り組み、姫路獨協大学薬学部としての6年制薬学教育を構築し実施することを期待する。
大学への提言
姫路獨協大学 大学への提言1)助言1. 「教育上の目的」の学生および教職員への周知が「履修の手引き」の配布にとどまっており、さらなる充実が望まれる。(1.教育研究上の目的)2. 「教育上の目的」が、手引き、学則、ホームページで「特徴」、「目的」、「教育目的」の様に表現が統一されておらず、「教育上の目的」に統一することが望ましい。(1.教育研究上の目的)3. 教育上の目的は、「全学自己評価委員会」、その部局内組織の「薬学部自己評価委員会」により定期的に検証するよう努められているが、これまでに再検討の実績はないので、定期的な検証が望まれる。(1.教育研究上の目的)4. 薬学部自己評価委員会の規定がなく、整備が求められる。(1.教育研究上の目的)5. カリキュラム・ポリシーの学生および教職員への周知については、「履修の手引き」にとどまっており、学生および教職員の認知率が高いとはいえず、周知方法のさらなる充実が望まれる。(2.カリキュラム編成)6. ディプロマ・ポリシーを意識したカリキュラム・マップにすることが望ましい。(2.カリキュラム編成)7. 準備教育の受講は主に学生の主体性に任されており、その後の留年者数の多さを勘案すると、さらなる充実が求められる。(3.医療人教育の基本的内容)8. 改訂新カリキュラムでは2年次以降での「早期体験学習」の実施が確認できず、さらなる充実が求められる。(3.医療人教育の基本的内容)9. 薬害等の防止に該当する科目に「薬物副作用論」、「安全管理」があるが、両科目とも選択科目であり(旧カリキュラムでは必修、改訂新カリキュラムでは選択)、履修しなくても卒業が可能であり、教育上の目的に鑑み、必修化が望ましい。(3.医療人教育の基本的内容)10. ヒューマニズム教育・医療倫理教育に対応する科目の技能・態度の評価方法に明確な評価指標がないなどの問題があり、評価方法の適正化が望まれる。(3.医療人教育の基本的内容)11. 大学独自の科目として開設されている4年次の「医療遺伝学」、6年次の「再生医学」、「新薬論」などは選択科目となっており、受講者数も少ないものもあり、問題である。現在の科目を必修化する、科目数を増やして選択必修化するなど、大学独自の専門教育のさらなる充実が望まれる。(4.薬学専門教育の内容)12. 基礎と臨床の関連付けをシラバスに明記することが望まれる。(4.薬学専門教育の内容)13. 実務実習事前学習の教員負担の均等化が求められる。(5.実務実習)14. 「実務実習委員会」が組織されているが、責任の所在については明確ではなく(委員長は誰か、各委員の担当は、など)、規則の制定などが求められる。(5.実務実習)15. 実務実習の総合的な学習成果を評価するための指標を設定し、それに基づく評価を適切に行うことが望まれる。(5.実務実習)16. 卒業研究発表会は、6年次の10月までに複数の研究室が合同で開催しているが、一部、単独の研究室で行っているところがあり、薬学部全体での実施が望まれる。また、発表時間は統一されておらず、統一することが望ましい。(6.問題解決能力の醸成のための教育)17. 「卒業研究Ⅰ」、「卒業研究Ⅱ」、「物理・化学系統合演習(PBL)」などについて、シラバスに記載されている評価方法と実態がかけ離れているため、シラバスの整備が求められる。(6.問題解決能力の醸成のための教育)18. 正味時間では、問題解決型学習の実施時間数が18単位を満たしておらず、さらなる充実が期待される。(6.問題解決能力の醸成のための教育)19. 平成28年度に24%の定員割れがあったため、29年度以降の入学試験での是正が期待される。(7.学生の受入)20. 入学者数の変動が大きく(充足率/平成23年度:0.41、平成24年度:0.61、平成25年度:0.80、平成26年度:1.29、平成27年度:1.01、平成28年度:0.76(基礎資料7))、学年による教育の質の差異を避けるためにも、安定した入学者数の確保が望まれる。(7.学生の受入)21. 前年度に不合格となった科目については再履修が原則であるが、当該年次の必修科目の開講時間と重なった場合には、再履修することなく再試験として受験できる仕組みとなっており、修正が望まれる。(8.成績評価・進級・学士課程修了認定)22. ハラスメント防止講習会への薬学部教員の参加率が23.3%と低く、全員参加などのさらなる活動が望まれる。(9.学生の支援)23. 平成22年度以降、「学生満足度調査」を実施しておらず、定期的な調査が期待される。(9.学生の支援)24. すべての実験実習担当教員の数が2~3名であるために指導者1人あたりの学生数が30~45名(在籍学生数での平均)となっている。この教員数は安全性の面で非常に問題であるため、担当教員の増員が望まれる。(9.学生の支援)25. 事故や災害の安全対策について、現場任せではなく学部として取り組むことが望まれる。(9.学生の支援)26. 事故や災害の発生時や被害防止のためのマニュアル整備は不十分であり、充実が望まれる。(9.学生の支援)27. 専任教員1名に対する学生数は22名となっており、専任教員数の増などのさらなる努力が期待される。(10.教員組織・職員組織)28. 准教授以下の若手教員の増員が望まれる。(10.教員組織・職員組織)29. 教員によっては教育・研究等活動の情報を更新していない者がおり、定期的な更新が望まれる。(10.教員組織・職員組織)30. 実務家教員の研鑽の場として、薬剤師会・病院薬剤師会・姫路獨協大学薬学部の共催による「西播・姫路医療セミナー」を開催しているが、その他の取り組みについては一部教員のみとなっており、学部としての体制構築が期待される。(10.教員組織・職員組織)31. 学生自習室が共用で2室しかないため学生の自習スペースが少なく、薬学生の自習スペースの拡充が望ましい。(11.学習環境)32. 英文による薬学部の情報発信(ホームページ)が行われておらず、さらなる充実が期待される。(12.社会との連携)33. 教員の海外研修(留学)実績がなく、さらなる充実が期待される。(12.社会との連携)34. 定期的な自己点検・評価を行う委員会を設置する際には、外部委員を含めることが望ましい。(13.自己点検・評価)3)改善すべき点1. 学部の理念が設定されていないため、改善が必要である。(1.教育研究上の目的)2. 研究上の目的が設定されておらず、改善が必要である。(1.教育研究上の目的)3. 現行のカリキュラムにおいては、教育内容が階層的なカリキュラムでの順次性と一致していない科目配置が認められる、改訂新カリキュラムの6年次において専門分野の選択科目をまったく履修しなくても卒業が可能であるなどの問題があり、6年一貫教育の再構築が必要である。(2.カリキュラム編成)4. 平成27年度のカリキュラム変更に伴い在学生の卒業要件単位数を変更していることは、ディプロマ・ポリシーや履修基準(卒業要件単位数含む)が入学時に提示したものから変更できない、一種の学生との契約書であるという大学教育の根本的な原則が理解できていないことを示しており、今後は入学時に提示された卒業要件単位数を変更しないことが求められる。(2.カリキュラム編成)5. 6年次の講義が国家試験受験予備校に依頼して実施されており、改善が必要である。(2.カリキュラム編成)6. カリキュラム・ポリシーの策定ならびにカリキュラムの見直しと改訂は学部教育の根幹をなすものであるが、これらを検討する委員会組織や規定、議事録が確立されておらず、常置委員会の設置や委員会の整理、委員会規定の制定などの改善が求められる。(2.カリキュラム編成)7. 姫路獨協大学薬学部の薬学教育カリキュラムは薬学共用試験や薬剤師国家試験の合格のみを目指した教育に過度に偏っており、改善が必要である。(2.カリキュラム編成)8. ヒューマニズム教育・医療倫理教育について、目標達成度を評価するための指標は設定されておらず、それに基づいての適切な評価もなされていないため、改善が必要である。(3.医療人教育の基本的内容)9. コミュニケーション能力および自己表現能力を身につけるための教育において、授業科目ごとに成績評価はなされているが、これらの能力の目標達成度を評価するための指標の設定と評価はなされておらず、改善が求められる。(3.医療人教育の基本的内容)10. シラバスの記載について下記の問題があり、改善が必要である。・詳細のわからないシラバスがある。・ほとんどの科目に一般目標と到達目標は明示されているが、書式が統一されておらずわかりにくい。・どの科目が大学独自であるかが判別できない。・モデル・コアカリキュラムの記載について教員間での差異がある。・一部科目においてはシラバスの記載とモデル・コアカリキュラムの目標との対応が不明瞭である。・方略やオフィスアワーに関する記載に問題のある科目が散見される。・科目によっては複数の評価方法を用いる際の寄与率が記載されていないものがある。・基礎と臨床の関連付けについて明示されていない。(4.薬学専門教育の内容)11. モデル・コアカリキュラムの一部項目が選択科目となっており、改善が必要である。(4.薬学専門教育の内容)12. 実務実習事前学習の目標達成度を評価するための指標が設定されておらず、それに基づく評価もなされていないため、改善が必要である。(5.実務実習)13. 実務実習の成績評価方法を設定し、シラバスに具体的に記載する必要がある。(5.実務実習)14. 全員が卒業研究に取り組むことができる時間が、4年次の約1ヶ月、5年次の実務実習以外の期間(約3ヶ月)、6年次前期の11%(37時間/330時間)に留まっており、問題解決能力醸成のために十分な卒業研究時間の確保が必要である。(6.問題解決能力の醸成のための教育)15. 卒業論文や発表会などを通して卒業研究を評価するために、学部共通の評価指標を設定し、評価する必要がある。(6.問題解決能力の醸成のための教育)16. 卒業論文が枚数制限されているために十分な内容とは言えず、問題解決能力の醸成のためには卒業論文のさらなる充実が必要である。(6.問題解決能力の醸成のための教育)17. 問題解決能力醸成に向けた教育において、目標達成度を評価するための指標の設定と、それに基づく適切な評価がなされておらず、改善が必要である。(6.問題解決能力の醸成のための教育)18. 総在籍者に占める留年者、退学者の割合は、9.3~27.0%と高く、さらにストレート卒業率も33.3~43.3%と低く、入学後の教育に求められる基礎学力が適確に評価されているとは言えず、学生の受入れについての改善が必要である。(7.学生の受入)19. 単位未修得の科目が4科目以上の場合の進級不可に加えて、実質的には演習科目の場合は1科目の結果で進級不可になるが、これら演習科目の単位認定についてシラバスの評価方法・基準の欄が「定期試験と課題レポートで総合的に評価する」など不明瞭な記載となっており、改善が必要である。(8.成績評価・進級・学士課程修了認定)20. 6年次後期の必修科目である「卒業研究Ⅱ」で学科試験を行い、その合否によって実質的には学士課程の修了認定が行われており、学士課程の修了認定が厳格に行われているとは言えないので、が実質的な卒業要件となっており、改善が必要である。(8.成績評価・進級・学士課程修了認定)21. 「卒業研究Ⅱ」の合否判定の際に、国家試験受験予備校による薬剤師国家試験模擬試験結果との相関を考慮し当該試験の合否判定がなされており、改善が必要である。(8.成績評価・進級・学士課程修了認定)22. 平成27年度までは卒業留年者への対応は、外部受託先施設(国家試験受験予備校)に任せており、問題であるので、改善が必要である。(8.成績評価・進級・学士課程修了認定)23. 平成28年度前期の段階で、教員数が大学設置基準を満たしておらず、さらに教授数も半数を満たしておらず、早急に教授等の公募と選考を完了させて、専任教員の不足を解消する必要がある。(10.教員組織・職員組織)24. 最近6年間あるいは数年の研究業績がない教員がおり、研究時間の確保など教育研究の向上を目指した取り組みが必要である。(10.教員組織・職員組織)25. 教育プログラムの改善のために、自己点検・評価の常置委員会の設置、規定の作成など、評価体制の整備と定期的な自己点検・評価の実施が必要である。(13.自己点検・評価)
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| 第1期 |
2016年度 |
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1:提言 改善報告審議結果 2021 /1/22 |
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| 星薬科大学 | 私 | 東京都 | 第1期 | 2016年度 | 適 |
自己点検・評価書 基礎資料 正誤票 |
評価報告書
総評
星薬科大学 総評星薬科大学薬学部は、建学の精神に基づき、教育研究上の目的を「薬学に関する学理及 び応用を教授、研究し人格の陶冶を図り、医療、福祉及び環境衛生の向上に寄与するとと もに、文化の創造と発展に貢献すること」と学則に定めている。そして、薬剤師養成を目 的とする薬学科の教育研究上の目的を「臨床現場において高度な専門性を発揮できる薬剤 師の養成を目指すものとする」としている。 教育課程はカリキュラム・ポリシー(教育課程の編成・実施方針)に基づいて編成され ており、教養科目および基礎教育から臨床教育にいたる科目が適切に配置され、「臨床現場 において高度な専門性を発揮できる薬剤師を養成する」ための教育が体系的に行われてい る。医療人としての薬剤師に求められるヒューマニズムやコミュニケーション能力の醸成 のための教育も適切な方略により行われている。大学独自の薬学専門教育については、多 くの科目が配置されており、多岐にわたる学生の進路に対応している。 実務実習事前学習は、実務実習モデル・コアカリキュラムに準拠し、適切な指導体制の 下に行われている。実務実習を円滑に行うために、実務実習委員会が組織され、助手以上 のすべての専任教員が実務実習に参画している。実務実習には、独自契約施設と関東地区 調整機構の指定施設を使用している。「実務実習」開始前の Post OSCE(OSCE: Objective Structured Clinical Examination)と「実務実習」修了後の Advanced OSC E は、まだ試行段階ではあるが、注目すべき取り組みであり、今後のさらなる発展を期待 したい。 4年次から、講義・基礎実習・演習・実務実習以外の時間を「医療薬学特別実習」とし て、6年次前期まで2年半の間、卒業研究を実施している。6年次の5~6月に発表会が 実施され、最終的に7月までに論文を仕上げている。さらに研鑽を深めることを希望する 学生はその後「アドバンスト特別実習」を選択できる。 薬学教育モデル・コアカリキュラムの改訂に伴い平成27年度より運用が始まった新しい カリキュラムでは、大幅な改訂が行われている。この中では基礎実習の単位数が減っている一方、学科目[薬学研究]を設けており、1年次から4年次まで多くの科目を配置して、 問題解決能力醸成に重きを置いた教育プログラムが実施されつつある。 シラバスには、各科目における学習方略、成績評価の項目毎の評価割合ならびに取り扱 っている到達目標を確実に記載すること、および大学独自科目や問題解決能力醸成に関わ る科目であることを表示することが望まれる。 入学試験はアドミッション・ポリシー(入学者受入方針)に基づいて適正に実施され、 入学者数と入学定員との間には大きな乖離はない。学生の成績評価・進級・学士課程修了 認定はおおむね適切に行われている。学生の支援については、修学支援、奨学金制度、ヘ ルス・メンタルケア、ハラスメント防止、就職支援などの体制が整備されている。 専任教員数は実務家教員を含めて大学設置基準を上回っており、専任教員の職位と年齢 構成も比較的バランス良く配置されている。専任教員数に対する学生数比率も適切な範囲 にある。若手教員が海外留学できる制度も整備されている。教育研究上の目的に沿った教 育を実施するための施設・設備などの学習・研究環境は良好であり、卒後教育や薬剤師会 等との連携により、薬学の発展に努めている。学生の「海外実務実習」や海外の大学との 交流など、積極的な国際活動も行われている。 平成 21 年度以来薬学教育評価機構の基準に基づく自己点検・評価を行っており、その 結果は教育研究活動の改善に反映されている。 以上より、星薬科大学薬学部薬学科は、本機構の評価基準に全体としては適合している と結論できる。 しかし、ヒューマニズム教育・医療倫理教育、コミュニケーション能力および自己表現 能力を身につけるための教育、実務実習事前学習、および問題解決能力の醸成に向けた教 育において、それぞれ目標達成度を評価するための指標を設定し、それに基づいて適切に 評価する点においては本機構の評価基準に達していないため、改善が必要である。 終わりに、星薬科大学薬学部薬学科では、医療界、他大学、産業界との交流・連携を積 極的に行おうとしている。熱心な教員の教育姿勢があるので、改善すべき点および助言を 踏まえ、より一層、 組織的に医療人としての薬剤師の育成に取りくみ、さらに向上発展す ることを期待する。
大学への提言
星薬科大学 大学への提言1)長所 1. 海外の多数の大学と学術交流を行い、海外拠点を設けているなど、積極的に国際活動 が行われている。(12.社会との連携) 2)助言 1. 新旧ともに5項目のカリキュラム・ポリシーに対応したカリキュラムが構成されてい るが、いずれの項目にどの科目が対応しているかは、修学の手引きを詳細に読み込まないと判明しないため、科目とカリキュラム・ポリシーとの関係を明確化することが 望まれる。(2.カリキュラム編成) 2. 薬剤師としての倫理観、使命感、職業観を学ぶ科目やコミュニケーション力の基本を 学ぶ必須科目の中には、シラバスからは学習方略が読み取りづらい科目があるので、 全ての科目において態度を学ぶ学習方略を明示することが望まれる。(3.医療人教 育の基本的内容) 3. 薬害被害者もしくは関係者による講演が、新カリキュラム1年次の「薬学の心構えI」 で行われているが、シラバスにそのことを記載しておくことが望ましい。(4.薬学 専門教育の内容) 4. シラバスの成績評価の方法に、項目ごとの評価割合を記載していない科目が見受けら れるので改善が望ましい。(4.薬学専門教育の内容) 5. シラバスには取り扱っているSBOsをもれなく記載することが望ましい。(4.薬 学専門教育の内容) 6. 大学独自の薬学専門教育であることを、シラバス等に明示することが望ましい。(4. 薬学専門教育の内容) 7. 問題解決能力醸成に重きを置いたとしている科目については、シラバスにその旨を明 記することが望まれる。(6.問題解決能力の醸成のための教育) 8. 問題解決型学習を行う科目が体系的に配置されていることは分かりにくいため、カリ キュラムマップ等により学生が理解できるように示すことが望まれる。(6.問題解 決能力の醸成のための教育) 9. 自己点検・評価は、毎年実施し、公表することが望ましい。(13.自己点検・評価) 3)改善すべき点 1. ヒューマニズム教育・医療倫理教育において、目標達成度を評価するための指標を設 定し、それに基づいて適切に評価する必要がある。(3.医療人教育の基本的内容) 2. コミュニケーション能力及び自己表現能力を身につけるための教育において、目標達 成度を評価するための指標を設定し、それに基づいて適切に評価することが必要であ る。(3.医療人教育の基本的内容) 3. 事前実習の評価対象として、筆記試験、口頭試験、実技試験、SGDプロダクトが設 定されており、実習の内容が反映されていると思われるが、総合的な評価の指標が設定されていないため、目標達成度を評価するための指標を設定し、それに基づいて適 切に評価することが必要である。(5.実務実習) 4. 問題解決能力の醸成に向けた教育において、目標達成度を評価するための指標が設定 され、それに基づいて適切に評価されることが必要である。(6.問題解決能力の醸 成のための教育) 5. 平均点・薬剤師国家試験の合格率を勘案して「総合薬学演習Ⅱ」の再試験の合格最低 点を設定していることは、単位認定の厳格性、公正性の観点から改善する必要がある。 (8.成績評価・進級・学士課程修了認定)
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| 第1期 |
2016年度 |
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1:提言 改善報告審議結果 |
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| 北海道医療大学 | 私 | 北海道 | 第1期 | 2016年度 | 適 |
自己点検・評価書 基礎資料 正誤票 |
評価報告書
総評
北海道医療大学 総評北海道医療大学は、「生命の尊重と個人の尊厳を基本として、保健と医療と福祉の連 携・統合をめざす創造的な教育を推進し、確かな知識・技術と幅広く深い教養を身につ けた人間性豊かな専門職業人を育成することによって、地域社会ならびに国際社会に貢 献する」という大学としての教育理念の下で、薬学部の「教育研究上の目的」を「専門 職能人としての豊かな人間性を備え、医薬品に対する基礎と応用の科学の修得により、 科学的根拠に基づいた医療および健康の維持・増進に従事し、地域・国際社会に貢献で きる薬剤師を養成する」と定め、6年制薬学教育を行っている。 薬学部では、「全学教育科目と専門教育科目からなる学士課程教育を組む」という大学 のカリキュラム・ポリシー(教育課程の編成・実施方針)の下に、薬学教育モデル・コア カリキュラムに従って各学年で行われる一般的な教育の概要を列挙した6項目の薬学部の カリキュラム・ポリシーを定めている。これらのカリキュラム・ポリシーに基づいて、薬 学部のカリキュラムは「全学教育科目」と「薬学部専門教育」で構成されている。「薬学 部専門教育」のカリキュラムは、6年制の薬学教育として一般的なものであるが、「モチ ベーションを高め自立的な学習態度を養う教育」を行うことを目的にして、学生が入学時 から「自己評価シート(学修ポートフォリオ)」を作成し、自身の目標達成度や成果、反 省点などを振り返り、自主的・自律的な学習態度と学習意欲の向上が図られている。 実務実習は、実務実習モデル・コアカリキュラムに準拠した137コマの事前学習を終え、 薬学共用試験に合格した学生を対象に行っており、実習施設は地区調整機構との調整を経 て決定している。実務実習における学生の指導や施設の訪問には、実務家教員の他「施設 担当教員」、「学生担任教員」などとして全教員が関与している。卒業研究は、「総合薬学研究」として行われ、4年次から研究室に配属しているが、実 質的な卒業研究は5、6年次に行われている。学生は所属する研究室の指導教員の指導を 受けて「実験研究」と「調査研究」のいずれかを選択して研究を行い、6年次前期の「総 合薬学研究発表会」を経て卒業論文を作成しており、指導教員がそれらに基づいて評価し ている。 入学生は大学のアドミッション・ポリシー(入学者受入方針)に基づいて募集しており、 多くの大学が行っている推薦入試、一般入試、センター試験入試以外に、AO(Admission Office)入試や編入学試験など多様な方法で実施している。AO入試では、受験生の高校 時代の様々な活動、志望理由書、志願者評価書および高校の調査書から医療人としての適 性を評価する工夫がなされている。 成績評価は、成績評価方法と基準をシラバスに明記し、それに従って厳正に行われてい る。進級基準は薬学部履修規程で定め、「学生便覧」に記載し各学年の教務ガイダンスで 周知している。薬学部では、教育研究上の目的に基づく6項目の学位授与の方針を定め、 卒業にはそれらを満たすことを求めているが、「総合薬学研究」の単位認定には卒業試験 に合格することが必要であり、「卒業試験」の合否判定が事実上の卒業判定となっている。 学生の勉学と学生生活をサポートするための体制や制度は整えられており、学生の代表 が意見を集約し、教員と一体となってより良い大学作りを目指す企画立案・実施を行う「S CP(Student Campus President:学生キャンパス副学長)制度」も設けられている。 北海道医療大学薬学部の専任教員数は68名(内実務家教員10名)で、大学設置基準の専 任教員数を満たしており、教授、准教授、講師、助教の比率は適切である。専任教員の教 育研究業績は学部全体としては基準を満たしており、授業科目の担当状況、研究条件など もおおむね適切である。教員の採用と昇任は大学と学部の規程に基づいて行われており、 規程の選考基準も適切である。 講義室、少人数教育に対応する教室、他学部と共用の演習室などの教室は十分に整えら れ、情報処理演習、動物実験センター、アイソトープ研究センター、薬学部附属薬用植物 園など必要な附属施設も整備され、実務実習事前学習を実施するための適切な規模の施 設・設備も整備されている。 北海道医療大学には、全学的な自己点検・評価に対応する「点検評価全学審議会」が設 置されており、薬学部にはその下部組織として「薬学部評価委員会」が置かれ、毎年行わ れている全学的な自己点検・評価の結果は自己点検・評価データ集「MESSAGE」と して公表している。以上、北海道医療大学薬学部の6年制薬学教育プログラムは、本機構の評価基準におお むね適合している。しかし、以下の主な改善を必要とする重大な問題点がある。 (1)6年次の時間割で国家試験準備教育に充てられている時間数が卒業研究の時間数よ り多くなっており、4年次においても薬学共用試験への準備と判断される演習が長時 間行われているなど、特定の学年の教育が受験準備に対する偏重していることは好ま しくないので改善することが必要である。 (2)ヒューマニズム教育・医療倫理教育、コミュニケーション能力を育成する教育、実 務実習事前学習、問題解決能力を醸成する教育で、目標達成度を測定する指標を設定 し、それに基づく適切な評価を行うよう改善することが必要である。 (3)留年すると実習科目を除く当該学年の薬学専門科目を、単位取得済みであっても再 履修することを義務付ける履修規程第30条、卒業研究に相当する必修科目である「総 合薬学研究」の単位認定要件に研究内容とは無関係な「卒業試験」に合格することを 含める履修規程第37条は、不適切な規定であるので改訂することが必要である。 (4)大学全体としての自己点検・評価とそれに基づく改善への取り組みは行われている が、本評価の評価基準が求めている薬学部としての薬学教育プログラムに対する恒常 的な自己点検・評価とそれに基づく向上発展を目指す取り組みが行われていないので、 早急に着手することが必要である。 北海道医療大学薬学部には、本評価で指摘されたこれらの改善を要する点を踏まえ、積 極的に改革を進めることにより、これまで以上に社会から信頼され、期待されるよう更な る薬学教育の向上に努めることが望まれる。
大学への提言
北海道医療大学 大学への提言1)長所 1. 「モチベーションを高め自立的な学習態度を養う教育」として、学生が入学時から自 分自身の学習目標などに関する「自己評価シート(学修ポートフォリオ)」を作成し、 各年度・学期始めに担任教員との面談を通して、学生自身が目標達成度や成果、反省 点などを振り返り、自主的・自律的な学習態度と学習意欲の向上を図っていることは 評価できる。(2.カリキュラム編成) 2. 医療基盤科目の「個体差健康科学/多職種連携入門(1年次)」では、全学合同でPBL 形式により、他学部学生と協同でお互いの職種について相互理解を深め、地域医療・ 福祉の連携について議論しており、大学の特徴を生かしたよい試みとして評価できる。 (3.医療人教育の基本的内容) 3. 学生の意見を収集するための組織や委員会として、担任制を補完する「SCP(Student Campus President:学生キャンパス副学長)制度」が設けられている。この制度は学生 の代表が学生の意見を集約し、教員と一体となってより良い大学作りを目指して各種 プロジェクトの企画立案・実施を行う独自の取り組みであり評価できる。(9.学生 の支援) 4. 参加型学習のための少人数教育ができる教室が豊富に確保され、授業だけでなく、学 生の自主的学習活動にも有効に利用されていることは評価できる。(11.学習環境) 5. 情報処理演習室は、能動的なグループ学習への活用を目指して端末と机の配置をグル ープ討論に適した配置とすることができるなど、自由度が高く多角的に利用できる斬 新な設備と設計が採用されていることは、新しい試みとして評価できる。(11.学 習環境) 2)助言 1. 「学生便覧」、「薬学教育シラバス」、自己点検・評価データ集「MESSAGE」 などに掲載されている教育の理念・目的に関わる項目には、「大学の教育理念」、「大 学の教育目標」、「薬学部の教育研究上の目的」、「薬学部の教育理念」、「薬学部 の教育目標」などがあり、学則の「薬学部の教育研究上の目的」が、学生、教職員、社会に正しく周知されていない恐れがあるので、それらの内容を学則の趣旨と一致さ せることが望ましい。(1.教育研究上の目的) 2. 薬学部のカリキュラム・ポリシーは、薬学教育モデル・コアカリキュラムに従って各 学年で行う教育の一般的な概要を列挙したものであるので、薬学部の「教育研究上の 目的」を反映したものに改善することが望まれる。(2.カリキュラム編成) 3. 大学のカリキュラム・ポリシーに謳われている「全学教育科目」として幅広い教養科 目が開講されているにもかかわらず、薬学部の学生の履修科目が一部に偏っているの で、より幅広く履修するよう指導することが望ましい。(3.医療人教育の基本的内 容) 4. ヒューマニズム教育・医療倫理教育に関わる科目ではワークショップなどの学習方法 を取り入れているとしているが、それらの多くは講義科目で、到達目標の多くが「・・・ を説明できる」、「・・概説できる」など知識の修得を主とするものになっている。 それらの科目について、態度教育を重視する目標・方略・評価を持った教育内容に改 善することが望まれる。(3.医療人教育の基本的内容) 5. 「薬学基礎研究Ⅰ~Ⅲ」は、低学年から研究に取り組むユニークな科目であるが、履 修者が少ないので、受講者を増やすことが望ましい。(4.薬学専門教育の内容) 6. 「自己点検・評価書」で大学独自の授業科目としているものには大学独自の科目とし てふさわしくないもの(国家試験準備など)が含まれているので、大学独自の科目を 充実させることが望ましい。(4.薬学専門教育の内容) 7. 「事前学習」の個々の科目における「態度」の評価項目ならびに「態度」と「日誌」 に関する評価基準の設定が適切でないので、適切な基準を設定して評価を行うことが 望まれる。(5.実務実習) 8. 実務実習モデル・コアカリキュラムに準拠して行われている学習の方法において、技 能に関わる一部の項目(D1-(2)-8、 D1-(3)-3、 D1-(4)-14、15、18、20) に、講義のみで対応していることは問題であり、改善することが望まれる。(5.実 務実習) 9. 「総合薬学研究論文集」には、医療、薬学における位置付けが明確に記載されていな いものがあったので、それらを記載するよう指導することが望ましい。(6.問題解 決能力の醸成のための教育) 10. 「総合薬学研究評価表」には問題解決能力を測定できる具体的な項目が設定されてい ないので、評価表を改善することが望ましい。(6.問題解決能力の醸成のための教育) 11. 入学試験で理科(特に化学)を選択しなくても良いという制度は、入学後の教育に必 要とする基礎学力のない者を入学させてしまう懸念があるので、入学試験科目を改善 することが望ましい。(7.学生の受入) 12. 「調剤学Ⅰ」など一部の科目で技能の到達目標を定期試験で評価していることは好ま しくないので改善することが望ましい。(8.成績評価・進級・学士課程修了認定) 13. 学位授与の方針(ディプロマ・ポリシー)の説明は、学生には1年次のガイダンスで、 教員には新任時のFDで説明しているだけなので、その後も説明の機会を設けて、周 知を徹底するよう改善することが望ましい。(8.成績評価・進級・学士課程修了認 定) 14. 各実習における担当教員数は5〜10名であるが、基礎科目の実習では、指導者1名当 たり学生約30名(学生160名/教員5~6名)となり、教育の安全性を保つ体制が整備 されているとは言い難いので、改善が望まれる。(9.学生の支援) 15. 実務家教員に対する公的な研修制度が設置されていないので、そのような制度を設け ることが望ましい。(10.教員組織・職員組織) 16. 教員の研究業績はホームページで公表されているが、10年近く内容が更新されていな い教員もいるので、教員の研究業績の公開状況を学部が点検して内容の更新を行うこ とが望ましい。(10.教員組織・職員組織) 17. 卒業研究の学生が研究と勉学に使用できる研究室のスペースを拡大することが望まし い。(11.学習環境) 18. 薬学部棟の冬期暖房の運転時間が18時までと制限されていることは、学生の研究活動 や勉学に支障をきたすので、改善することが望ましい。(11.学習環境) 19. 英文によるホームページに研究内容を掲載することが望ましい。(12.社会との連 携) 20. 「薬学教育評価委員会」を、外部委員を含む恒常的な組織とすることが望ましい。(1 3.自己点検・評価) 3)改善すべき点 1. 6年次の教育において、国家試験準備教育に相当する講義・演習科目に充てられてい る時間割上の時間数が卒業研究の時間割上の時間数より多くなっている。また、4年 次においても内容的に薬学共用試験への準備と判断される必修科目がおかれている。このように、特定の学年の教育が受験準備に偏重していることは好ましくないので改 善することが必要である。(2.カリキュラム編成) 2. ヒューマニズム教育・医療倫理教育、およびコミュニケーション能力を育成する教育 において、総合的な目標達成度を測定するための指標の設定と、それに基づく評価が 行われていないので、目標達成度に対する総合的な評価方法を定め、それに基づいて 適切に評価することが必要である。(3.医療人教育の基本的内容) 3. 実験実習においてはSGDを取り入れることで、実験の意義や結果の考察について、 より理解が深められるよう工夫されているとしているが、シラバスにはそれが明示さ れていない。それらを明示するようシラバスを改善することが必要である。(4.薬 学専門教育の内容) 4. 授業にPBLやSGDが取り入れられているのにシラバスの授業方法には講義としか 表示されていない科目があるので、シラバスの授業方法の記載を実態に合わせるよう 改善することが必要である。(4.薬学専門教育の内容) 5. 実務実習事前学習全体を総合した目標達成度を評価するための指標を設定し、それに 基づいて評価を行うよう改善することが必要である。(5.実務実習) 6. 「総合薬学研究」の実施期間が十分ではなく、6年次の時間割で「総合薬学研究」に 割り当てている時間数が国家試験準備教育と考えられる科目に充てられた時間数より 少ないなど、卒業研究が十分行なわれているとは言えないので、改善することが必要 である。(6.問題解決能力の醸成のための教育) 7. 「総合薬学研究」のシラバスにおいて、対応する薬学教育モデル・コアカリキュラム の到達目標が「A(2)」のみで、「E 卒業実習教育(E1総合薬学研究)」が含まれ ていないことは不適切なので、改善することが必要である。(6.問題解決能力の醸 成のための教育) 8. 問題解決能力の醸成に向けた教育について、総合的な目標達成度を評価するための指 標が設定されておらず、それに基づく適切な評価が行われていないので、改善するこ とが必要である。(6.問題解決能力の醸成のための教育) 9. アドミッション・ポリシーが大学にしかなく、薬学部の入学者受入れ方針が示されて いないことは適切ではないので、早急に改善することが必要である。(7.学生の受 入) 10. 平成27年度の卒業判定において、「卒業試験」の不合格のみの理由で卒業延期となっ た学生が54名(6年次在籍者169名の32%)であった。これは、卒業の可否判断に国家試験の合否の見込みを重視したためと考えられ、学士課程の修了認定として不適切で あるので、早急な見直しを図ることが必要である。(8.成績評価・進級・学士課程 修了認定) 11. 2年次および3年次の留年率ならびに卒業延期率が高く、また増加傾向にあることが 自己点検・評価によって問題と認識されているので、その原因について十分な解析を 行い、改善策を実施することが必要である。(8.成績評価・進級・学士課程修了認 定) 12. 「総合薬学研究」の単位認定要件に、研究内容とは無関係で薬剤師国家試験に酷似し た問題を用いる「卒業試験」の合格を含める履修規程第37条の規定は、不適切である ので廃止することが必要である。(8.成績評価・進級・学士課程修了認定) 13. 留年生に対して、留年した学年の全必修科目(実習、全学教育科目を除く)を再履修 するよう定めた履修規程第30条は、修得済みの単位を取り消すことを意味するもので、 単位制の趣旨に抵触するため、改訂することが必要である。(8.成績評価・進級・ 学士課程修了認定) 14. 多くの卒業延期者を出し、それらに対する「特別講義」を予備校講師に委ねているこ とは適切ではないので、改善することが必要である。(8.成績評価・進級・学士課 程修了認定) 15. 基礎資料15には教育研究活動が活発であるとは言えない専任教員も見出される。専任 教員の教育・研究能力の維持と向上を図るため、個々の教員の研究業績を学部として 点検・評価する体制を整備して、改善を図ることが必要である。(10.教員組織・ 職員組織) 16. 現状の自己点検・評価とそれに基づく改善への取り組みは全学的な観点からの改善指 示であるので、本評価の評価基準が求めている薬学教育プログラムに対する恒常的な 自己点検・評価とそれに基づく向上発展を目指す取り組みに着手することが必要であ る。(13.自己点検・評価)
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| 第1期 |
2016年度 |
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1:提言 改善報告審議結果 |
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| 武庫川女子大学 | 私 | 兵庫県 | 第1期 | 2016年度 | 適 |
自己点検・評価書 基礎資料 正誤票 |
評価報告書
総評
武庫川女子大学 総評武庫川女子大学は、「高い知性、善美な情操、高雅な徳性を兼ね備えた有為な女性の育成」 という「立学の精神」、「学院教育綱領」を教育理念として掲げ、教育目標としている。6年 制の薬学科の教育目的は「薬剤師として高度な臨床能力と実践能力を有し、医療人としての 使命感を持ち、病院・薬局などの医療機関をはじめ、薬の専門家としてあらゆる場面で活躍 できる有為な女性を養成することを目的とする。」である。この「教育研究上の目的」に従っ て、アドミッション・ポリシー(入学者受入方針)、カリキュラム・ポリシー(教育課程の編 成・実施の方針)およびディプロマ・ポリシー(学位授与の方針)が設定され、大学のホー ムページや履修便覧に記載、公表されている。 医療人としての薬剤師養成の薬学教育カリキュラムは、薬学教育モデル・コアカリキュラ ムにほぼ準拠している。平成27年度は、1年次生が改訂モデル・コアカリキュラム対応(新 カリキュラム)で、2~6年次生は従来のモデル・コアカリキュラム対応(旧カリキュラム) に対応したカリキュラム編成となっている。開講科目はイントロダクション、物理系薬学、 化学系薬学、生物系薬学、健康と環境、医療薬学、実習・演習科目、ヒューマニズム、外国語・ 情報科目の9つの領域に分類されている。各科目の関連図がホームページに公開されている が、各科目間の関連性が明確に示されていないので、科目間関連図等を作成することが望ま れる。 総合大学であるため共通教育科目として、全学の学生に社会のニーズに応じた多様で幅広い科目が提供されている。基礎教育科目、ジェンダー科目、キャリアデザイン科目、言語・ 情報科目、健康・スポーツ科目から成り立つ250科目を開講し、薬学科の学生も多くの科目を 受講している。また、語学教育にも力を入れており、薬学領域の英語の「読む・書く・聞く」 力を付ける1年次の「基礎英語」を始めとし、4、5年次に臨床現場の最前線の文献を理解 する力を身に付ける「発展英語Ⅰ&Ⅱ」まで、体系的に開講されている。 毎年20名の学生が約1か月滞在する「アメリカ留学プログラム」を実施していることは高 く評価できる。学習者参加型の教育科目、問題解決型の教育科目、ヒューマニズム・医療倫 理教育科目、コミュニケーション科目はバランスよく体系的に配置されているが、態度教育 の評価方法については、これからの対応が待たれる。 学習環境は良好で、講義室、実習室、PBL(Problem Based Learning)/SGD(Small Group Discussion)を実施する教室、コンピュータ室など充分な広さであり、整備されてい る。また、学部に隣接する臨床薬学教育センターには、調剤室、模擬薬局、製剤室、モデル 病室、医薬品情報室、無菌製剤室等が完備している。 以上のように、武庫川女子大学薬学部薬学科の薬学教育プログラムは本機構の評価基準に おおむね適合しているが、以下のような重要な改善すべき問題点がある。 (1)薬剤師国家試験の準備教育である「総合演習Ⅱ」の科目単位数当たりの授業時間が学 則の規定に比べ極端に多くなっており、「卒業研究Ⅱ」実施時間が圧迫されているので、 時間割編成の改善が必要である。 (2)薬剤師養成教育に必須であるコミュニケーション能力醸成のための教育を必修専門科 目として設定し、適正な学習方略および評価方法を用いて実施するように改善が必要で ある。 (3)旧カリキュラムにおいて、薬学教育モデル・コアカリキュラムで要求しているSBO s(Specific Behavioral Objectives)の一部が包含されていないなどモデル・コアカ リキュラムに準拠していないので改善すべきである。また、選択科目のみが対応してい るSBOsが一部存在しているので、卒業までに補完できるようにすることが必要であ る。 (4)卒業論文や発表会などを通して卒業研究を評価するために、学科共通の目標達成度評 価の指標を設定し、公正・厳格に評価するように改善が必要である。 (5)平成25年度以降の休学者、留年者、退学者の人数が増加しているという事実は、入学 者選抜において、基礎学力が適確に担保されていないことを示しており、改善が必要で ある。(6)「卒業研究Ⅱ」に実質上の卒業試験である「卒業研究Ⅱ試験」を課して、学士課程修了 条件とする制度を早急に改善する必要がある。 (7)薬学共用試験の合格を「プレファーマシー実習Ⅱ、Ⅲ」、「総合演習I」の単位認定の 条件とする制度を早急に改善する必要がある。 武庫川女子大学薬学部薬学科は、女性薬剤師の養成としての特徴ある教育プログラムを構 築しており、薬剤師教育に熱心に取り組む姿勢がうかがえる。今後はさらにその特徴を伸ば し、また指摘された改善すべき点や助言を踏まえ、より一層の改善・改革を進めることで6 年制薬学教育の更なる発展を期待する。
大学への提言
武庫川女子大学 大学への提言1)長所 1. 学生が学ぶ機会として国際交流を行い、毎年20名の学生が約1か月滞在して「アメリカ 留学プログラム」が実施されている。(12.社会との連携) 2)助言 1. 「教育目的」の掲載が大学のホームページだけであり、薬学部のホームページには掲載 がないため、薬学部ホームページへの掲載が望まれる。(1.教育研究上の目的)2. 「教育目的」について教職員や学生に周知徹底を図ることが望まれる。(1.教育研究 上の目的) 3. 「教育研究上の目的」に対する検証を定期的に行うことが望まれる。(1.教育研究上 の目的) 4. 領域ごとに科目の分類が明示され、学習内容の順次性が理解しやすいカリキュラム・ツ リー(科目関連図)を新旧カリキュラムに対応して、作成することが望まれる。(2. カリキュラム編成) 5. カリキュラム・ポリシーは、履修便覧や武庫川女子大学のホームページ(大学情報の公 表)に掲載されているが、薬学部のホームページ等にも掲載することが望ましい。(2. カリキュラム編成) 6. カリキュラム・ポリシーは、「教育研究上の目的」およびディプロマ・ポリシーを踏ま えたものにすることが望ましい。(2.カリキュラム編成) 7. 早期体験学習は新入生の学習の意欲の向上に重要な科目であることを考慮すると「早期 体験学習IおよびⅡ」の教育内容は、改訂コアカリキュラムの「F薬学臨床①早期臨床 体験」に準じた内容にすることが望まれる。(3.医療人教育の基本的内容) 8. 医療安全教育の分野では薬剤師以外の人的資源(弁護士、医師、行政等)を活用した積 極的な取り組みが望まれる。(3.医療人教育の基本的内容) 9. 生涯学習意欲の醸成に対しての取り組みを積極的に行い、在校生も参加できる生涯教育 に関する科目を充実させることが望ましい。(3.医療人教育の基本的内容) 10. シラバスの到達目標が抽象的であるので、モデル・コアカリキュラムの到達目標、学習 領域(知識・技能・態度)を記載し、学習領域に適した評価方法で評価することが望ま れる。(4.薬学専門教育の内容) 11. 実務実習の総合的な学習成果を適切な指標に基づいて評価することが望ましい。(5. 実務実習) 12. 問題解決型学習の単位数を卒業単位数の10%程度まで増やすよう努力をすることが望ま れる。(6.問題解決能力の醸成のための教育) 13. 指定校推薦入試において、調査書の評定値および履修要件に基準を設け、志願理由書や 薬学科教員による面接試験を実施し、医療人としての目的意識や適性を評価しているが、 アドミッション・ポリシーに準拠した入学試験制度の確立に向けて一層の工夫が望まれ る。(7.学生の受入) 14. 学位授与の方針をFD(対教員)や履修ガイダンス(対学生)等においても説明することが望まれる。(8.成績評価・進級・学士課程修了認定) 15. 薬学部別館(臨床薬学教育センター)もバリアフリー化を実施することが望まれる。(9. 学生の支援) 16. 教員の授業時間は5.4~35.3時間であり、教員間に偏りが見られる。研究時間の確保を考 慮すると35.3時間の担当時間は多すぎるので、改善が望まれる。(10.教員組織・職 員組織) 17. 教授の半数が60歳代であり、年齢構成にやや偏りが見られるので改善が望まれる。 (10.教員組織・職員組織) 18. 専任教員1人あたりの学生数が26名であるので、増員することが望まれる。(10.教 員組織・職員組織) 19. 助教の再任は実質的には閉ざされているので、人材育成の観点から、助教の再任制度に ついて改善することが望まれる。(10.教員組織・職員組織) 20. 地域住民に対する公開講座等を開催するよう努めることが望ましい。(12.社会との 連携) 21. 人材育成の面からも積極的に教職員の海外留学等を推進することが望ましい。(12. 社会との連携) 22. 薬学部のホームページの英語版を作成することが望まれる。(12.社会との連携) 23. 薬学部自己評価委員会の構成要員は学部内教職員のみであるので、外部委員の参画を求 め、より客観性のある体制の構築が望まれる。(13.自己点検・評価) 3)改善すべき点 1. 薬学部および薬学科の「教育研究上の目的」は「教育目的」として制定されているが、 その内容には「研究上の目的」が入っていないので、加えて制定することが必要である。 (1.教育研究上の目的) 2. 薬学共用試験・薬剤師国家試験の準備教育に偏ったカリキュラム編成・運用について以 下の点を改善することが望まれる。 ・「総合演習Ⅱ」の科目単位数当たりの授業時間が、学則の規定に比べ極端に多くなって おり、「卒業研究Ⅱ」の実質実施時間が圧迫されているので、カリキュラム編成の改善 が必要である。 ・予備校の講師を正規科目担当講師としないように改善する必要がある。 ・大学独自科目の一部を国家試験対策科目としないように改善する必要がある。(2.カリキュラム編成) 3. 薬剤師養成教育に必須であるコミュニケーション能力醸成のための教育を必修専門科 目として設定し、適正な学習方略および評価方法を用いて実施するように改善する必要 がある。(3.医療人教育の基本的内容) 4. ヒューマニズム教育・医療倫理教育について、目標達成度を評価するための指標は設定 されておらず、それに基づいての適切な評価もなされていないため、改善が必要である。 (3.医療人教育の基本的内容) 5. コミュニケーション能力および自己表現能力を身につけるための教育において、授業科 目ごとに成績評価はなされているが、これらの能力の目標達成度を評価するための指標 の設定と評価はなされておらず、改善が必要である。(3.医療人教育の基本的内容) 6. 医療の過誤、医療事故を防止するためのチーム医療についての教育が選択科目(5年次 「地域で活動する薬剤師」、6年次「薬物の適正使用と医療倫理」)として開講されて いるが、必修科目として開講するよう改善する必要がある。(3.医療人教育の基本的 内容) 7. 旧カリキュラムにおいて、薬学教育モデル・コアカリキュラムで要求しているSBOs の一部が包含されていないなどモデル・コアカリキュラムに準拠していないので改善す る必要がある。また、選択科目のみが対応しているSBOsが一部存在しているので、 卒業までに補完できるようにすることが必要である。(4.薬学専門教育の内容) 8. 大学独自の科目をシラバス上に明示するように改善が必要である。(4.薬学専門教育 の内容) 9. 事前学習の目標達成度を評価するための指標を設定し、指標に基づいて適切に評価する ように改善する必要がある。(5.実務実習) 10. 卒業論文や発表会などを通して卒業研究を評価するために、学科共通の目標達成度評価 の指標を設定し、公正・厳格に評価するように改善する必要がある。(6.問題解決能 力の醸成のための教育) 11. 卒業論文の作成に関して以下の問題点があるので改善する必要がある。 ・一つの課題で共同研究を行った学生であっても各自がオリジナルの卒業論文を提出す るように改善すべきである。 ・卒業論文は要旨ではなく、卒業論文にふさわしい内容に改善する必要がある。 (6.問題解決能力の醸成のための教育) 12. 卒業研究以外の問題解決能力醸成に向けた教育において、各科目を総合した達成度を評価するために指標を設けて、評価するように改善する必要がある。(6.問題解決能力 の醸成のための教育) 13. 平成 25 年度以降の休学者、留年者、退学者の人数が増加しているという事実は、入学 者選抜において、基礎学力が適確に担保されていないことを示しており、改善が必要で ある。(7.学生の受入) 14. 薬学共用試験の合格を「プレファーマシー実習Ⅱ、Ⅲ」、「総合演習I」の単位認定の 条件とする制度を早急に改善する必要がある。(8.成績評価・進級・学士課程修了認 定) 15. 「卒業研究Ⅱ」に実質上の卒業試験である「卒業研究Ⅱ試験」を課し、学士課程修了条 件とする制度を早急に改善する必要がある。(8.成績評価・進級・学士課程修了認定) 16. 予備校の模擬試験を正規の試験の一部として使用しないように改善する必要がある。 (8.成績評価・進級・学士課程修了認定) 17. 「卒業研究Ⅱ」に関する内規および「卒業研究Ⅱ試験」の成績による採点未着科目の救 済措置等に関する内規を改善する必要がある。(8.成績評価・進級・学士課程修了認 定) 18. 卒業延期となった学生の教育の一部を予備校で行っていることは問題であり、改善すべ きである。(8.成績評価・進級・学士課程修了認定) 19. 卒業延期の学生に対して、「卒業研究Ⅱ」の継続履修が行われているように取り扱うこ とを廃止するように改善する必要がある。(8.成績評価・進級・学士課程修了認定) 20. 5年間教育・研究実績として著書・論文の数が少ない、あるいは全く無い教員も認めら れる。教育目標を達成するための基礎となる研究活動を大学が自己点検・評価すること によって、全教員が教育・研究の業績を上げるように改善する必要がある。(10.教 員組織・職員組織) 21. 薬学部自己評価委員会が、6年制薬学教育プログラムを毎年継続的に自己点検・評価を 実施するように改善し、その記録を残すことが必要である。(13.自己点検・評価) 22. 自己点検・評価の結果を教育研究の改善に反映させることが必要である。(13.自己 点検・評価)
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| 第1期 |
2016年度 |
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1:提言 改善報告審議結果 |
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| 神戸学院大学 | 私 | 兵庫県 | 第1期 | 2016年度 | 適 |
自己点検・評価書 基礎資料 正誤票 |
評価報告書
総評
神戸学院大学 総評神戸学院大学薬学部は、大学の建学の精神「真理愛好・個性尊重」のもと、教育研究上 の目的を設定している。 カリキュラムは、教育研究上の目的に基づいて策定したカリキュラム・ポリシー(教育 課程の編成・実施方針)を指針として、教養教育、ヒューマニズム・医療倫理教育、薬学 準備教育に対応する初年次の「共通教育科目」、「基礎教育科目」や「早期体験学習」に続 き、薬学教育モデル・コアカリキュラムに準拠した6つの専門科目群とその「演習実習」 科目、「総合薬学研究(卒業研究に相当)」を設定している。 実務実習モデル・コアカリキュラムの教育目標に関連した科目を3、4年次に、また、 実務実習事前学習を4年次に設定しているが、後述する問題点がある。実務実習について は、責任ある委員会組織の下、全教員が実習を指導する体制が整えられている。 問題解決能力の醸成のため、1年次「薬学への招待」、「演習実習ⅠA、ⅠB」、2年次「薬 学演習」に加え、卒業研究相当科目として「原著論文を読む」、「演習実習Ⅳ」、「総合薬学 研究Ⅰ、Ⅱ」を設定している。 入学者は、附属高校特別入試、指定校・公募制推薦入試、一般入試、大学センター試験 利用入試、学士編入試験などで選抜している。学生の成績評価・進級・学士課程修了認定 は、おおむね適正に実施されているが、後述する問題点がある。学生の支援については適 正に実施されており、留年生など成績不振者への学習指導の他、大学独自の奨学金制度な ど経済的支援も整えている。教員組織としては、十分な教育・研究上の実績を有する 53 名の専任教員が配置され、教員の研究環境および学生の学習環境も整えられている。しか し、事務職員体制は不十分である。近隣の病院や研究所、産業界との共同研究や、薬剤師 の生涯教育などで社会と連携している。自己点検・評価に関しては、全学的な自己点検評価委員会が設置され、2011 年には公益財団法人大学基準協会の認証評価に適合している。 また薬学部には自己点検評価小委員会が設置されている。 以上のように、神戸学院大学薬学部の薬学教育プログラムは、全体として本機構の評価 基準におおむね適合しているが、以下の重大な問題点について、適切に対応し、より優れ た薬学教育を展開されることを期待する。 (1)カリキュラム・ポリシーが、各学年で行う教育の一般的な概要を列挙したものとな っているので、「教育研究上の目的」および「学位授与の方針」(ディプロマ・ポリ シー)を反映したものに改善することが必要である。 (2)4年次および6年次で、共用試験、国家試験の対策講義に多くの時間が充てられ、 「薬学共用試験および薬剤師国家試験受験準備教育」に偏重した教育となっている ので、カリキュラムを見直すべきである。 (3)実務実習事前学習に相当する「病院・薬局に行く前に」のコマ数は、神戸学院大学 薬学部独自の教育目標を含めての 105 コマであるので、実務実習モデル・コアカリ キュラムで求められた教育目標に対する 122 コマを充足すべきである。 (4)卒業研究の一部である「原著論文を読む」を必須科目とするとともに、「演習実習Ⅳ」、 「総合薬学研究Ⅰ」、「総合薬学研究Ⅱ」などの卒業研究相当科目については、客観 的な成績評価の基準、評価尺度に基づく評価を行うなど、卒業研究として厳正な成 績評価を行うべきである。 (5)「薬学総合科目Ⅰ」は学外の国家試験予備校の講師が講義を担当し、成績評価に学外 の模擬試験を用いていることは不適切であるので改善する必要がある。 (6)「薬学総合科目Ⅱ」の成績が、薬学共用試験の結果を含めて判定されていることは不 適切であるので改善する必要がある。 (7)6年次の「薬学総合科目Ⅲ」を、講義実体のある科目に修正し、卒業試験として、 その講義内容の修得度を評価するための適正な試験を実施する必要がある。 (8)卒業留年生に対する卒業試験の内容、卒業判定基準について、前期卒業希望生と後 期卒業希望生の差異を解消するとともに、前年度の卒業認定での学力不足を担保す るための試験として適切なものに改めることが必要である。 (9)神戸学院大学薬学部の教育研究活動を総合的な観点から自己点検・評価し、その結 果を教育研究活動の改善に反映するための委員会組織を充実し、組織運営の改善を 図る必要がある。
大学への提言
神戸学院大学 大学への提言1)長所 1. 「海外の薬剤師に学ぶⅠ」は、実際に米国薬学研修を介して日本および米国の医療制 度の相違点を体験するものであり、有意義な科目と評価できる。(4.薬学専門教育の 内容) 2. 留年生などを対象として、再学修ノートのチェックと指導が行われる。(8.成績評価・ 進級・学士課程修了認定) 2)助言 1. 神戸学院大学学則第2条の7として設定されている「教育研究上の目的」と「本学6 年制薬学部教育に対する基本方針と教育・研究理念」の内容および文言を統一し、「教 育研究上の目的」を一本化することで、学生および社会からの理解が深まるように努めることが望まれる。(1.教育研究上の目的) 2. 学則をはじめとする大学必須の情報については、学生や社会に誤解を生まないよう、 常に更新することが望まれる。(1.教育研究上の目的) 3. 薬学部時間割(薬学部の独自科目に関する時間割)と共通教育時間割(共通教育に関 する時間割)を比べると、必修の薬学専門科目や演習と、教養科目の講義時間が重複 しており、教養科目の履修がかなり制限されているので、教養科目の履修時間を増や すことが望ましい。(3.医療人教育の基本的内容) 4. 医療安全教育においては、「演習実習ⅠB」と「病院・薬局に行く前に」以外の科目 でも、薬害、医療事故の被害者やその家族、弁護士や医療における安全管理者など、 外部の講演者による授業を行うことが望ましい。(3.医療人教育の基本的内容) 5. 薬学部、栄養学部、総合リハビリテーション学部の連携の下に行われている専門職連 携教育の受講者を増やす努力が求められる。(3.医療人教育の基本的内容) 6. 大学独自の内容を含む専門科目は、アドバンスト科目(授業の一部含む)として「海 外の薬剤師に学ぶⅠ、Ⅱ、Ⅲ、Ⅳ」、「バイオ医薬品とゲノム情報」、「保険調剤業務」 など8科目が開講されているが、特に「海外の薬剤師に学ぶⅡ、Ⅲ、Ⅳ」については 履修者が極端に少ないので、履修者が増えるようにシラバスや時間割を見直すことが 望ましい。(4.薬学専門教育の内容) 7. 「病院・薬局に行く前に」の成績評価について、技能の習得度や態度、演習実習の取 り組み、注意事項の順守を評価するための評価尺度は設定されておらず、適切な評価 は行われていない。また、技能や態度について、筆記試験での評価は不適切である。 したがって、技能や態度については、目標到達度を評価するための基準や評価尺度な どを用いた評価を実施することが望まれる。(5.実務実習) 8. 「演習実習ⅡA、ⅡB」、「演習実習ⅢA、ⅢB」の成績評価基準方法・基準について、 シラバスと実習テキストで、その内容が異なっているので、統一することが望まれる。 (6.問題解決能力の醸成のための教育) 9. 卒業研究の実体となる「総合薬学研究Ⅰ」、「総合薬学研究Ⅱ」については、現状のシ ラバス、時間割などからは、十分な学習成果を上げることは難しいと言わざるを得な いので、卒業研究相当科目の実施時間、実施状況を適切に反映したシラバスおよび時 間割を作成することが求められる。(6.問題解決能力の醸成のための教育) 10.アドミッション・ポリシーは一度作成したら頻繁に見直すものではないと述べられて いるが、アドミッション・ポリシーは機会あるごとに検証することが望ましい。(7.学生の受入) 11.プレイスメント・テストの結果を用いて、入学者選抜の適切性を検証することが望ま れる。(8.成績評価・進級・学士課程修了認定) 12.教員一人当たりの学生数は 29.2 名であり、教員の増員が望まれる。(10.教員組織・ 職員組織) 13.担当授業時間数は、できるだけ均等にすることが望まれる。(10.教員組織・職員 組織) 14.大学として薬学教育の実施に十分な薬学部事務組織を構築することが望まれる。(1 0.教員組織・職員組織) 15.大学全体の英語及び中国語のホームページを開設しているが、薬学部のオリジナルサ イトに対応する英文ホームページは見当たらず、薬学部の活動を広く発信していると は言い難い。薬学部の活動全般を発信する英文ホームページの開設が望まれる。(1 2.社会との連携) 16.自己点検・評価を行う委員会には、外部委員を含めることが望ましい。(13.自己 点検・評価) 3)改善すべき点 1. カリキュラム・ポリシーが、各学年で行う教育の一般的な概要を列挙したものとなっ ているので、「教育研究上の目的」及び「学位授与の方針」を反映したものに改善する ことが必要である。(2.カリキュラム編成) 2. 4年次「薬学総合科目Ⅰ」、「薬学総合科目Ⅱ」、6年次「薬学総合科目Ⅲ」および薬学 複合科目群で共用試験、国家試験の対策講義に多くの時間が充てられているので、「薬 学共用試験及び薬剤師国家試験受験準備教育」に偏重した教育とならないよう、カリ キュラムを見直すべきである。(2.カリキュラム編成) 3. 「薬学総合科目Ⅰ」の講義を学外の国家試験予備校の講師が担当していることは不適 切なので、改善が必要である。(2.カリキュラム編成) 4. 2年次の「薬学演習」、3年次「信頼関係の構築・調剤の基礎」など、同一科目で担当 教員が異なる場合、教員間で「授業の目的」、「到達目標」、「成績評価方法・基準」を 統一すべきである。特に2年次の「薬学演習」については、「授業の目的」を見直し、 その目的に応じた「成績評価方法・基準」を設定し、成績評価を適切に実施する必要 がある。(3.医療人教育の基本的内容)5. 「ヒューマニズム教育・医療倫理教育」、「コミュニケーション能力および自己表現能 力を身につけるための教育」では、各科目の到達度を評価するための指標を設定し、 それに基づいて、成績評価を適切に実施する必要がある。(3.医療人教育の基本的内 容) 6. 「ヒューマニズム教育・医療倫理教育」、「コミュニケーション能力および自己表現能 力を身につけるための教育」について、それぞれの科目を総合した目標達成度を評価 するための指標を設定し、それに基づいて適切に評価する必要がある。(3.医療人教 育の基本的内容) 7. 「薬学への招待」、「薬用植物と生薬」、「栄養と健康」、「化学物質の生体への影響」な ど、学習領域として技能を修得させることが到達目標とされている科目については、 実際に技能を習得することを目的に含めた上で学習方略を設定し、成績評価を実施す べきである。(4.薬学専門教育の内容) 8. 実務実習事前学習に相当する「病院・薬局に行く前に」は、実務実習モデル・コアカ リキュラムで求められた教育目標に対する122コマを充足するように改善すべきであ る。(5.実務実習) 9. 実務実習事前学習全体に関して、目標達成度を評価するための指標を設定し、それに 基づいて適切に評価する必要がある。(5.実務実習) 10.卒業研究の一部である「原著論文を読む」は、実態に合わせて必修科目に変更すべき である。(6.問題解決能力の醸成のための教育) 11.「原著論文を読む」、「演習実習Ⅳ」の授業時間を時間割に明示するとともに、これら の科目の成績評価の基準を設定し、卒業研究の一環として厳正な成績評価を行うよう 改善すべきである。(6.問題解決能力の醸成のための教育) 12.卒業研究相当科目の成績評価が厳正なものとなるよう、客観的な評価の基準と尺度に 基づく評価方法に改善すべきである。(6.問題解決能力の醸成のための教育) 13.問題解決能力の醸成に向けた教育において、総合的な問題解決能力の目標達成度を評 価するための指標を設定し、それに基づく評価を実施することが必要である。(6.問 題解決能力の醸成のための教育) 14.恒常的に留年者、休学者、退学者が非常に多い(特に1年次)。休学者と退学者、およ び留年者の人数の合計が入学定員の2割を超えている事実は、入学試験の形態にかか わらず、入学者の目標や学力と、大学が入学者に求めている学習や学力に乖離がある 可能性を示唆しており、入試制度の改善が必要である。(7.学生の受入)15.「薬学総合科目Ⅰ」の成績評価に国家試験予備校による模擬試験を用いることは極め て不適切である。(8.成績評価・進級・学士課程修了認定) 16.「薬学総合科目Ⅱ」については、シラバスに「成績は薬学共用試験OSCEの本試験 および再試験の成績を含めて総合的評価とする」示されており、その成績評価に「薬 学共用試験」の結果を利用していることは大学としての公正かつ厳格な成績評価およ び単位認定という観点から著しく不適切であるので、早急に改善する必要がある。(8. 成績評価・進級・学士課程修了認定) 17.大学の学則上で定められていない「追加試験」により、成績評価を行うなど不適切な 成績判定を改める必要がある。(8.成績評価・進級・学士課程修了認定) 18.「薬学総合科目Ⅲ」を、講義実体のある科目に修正し、卒業試験として、その講義内 容の修得度を評価するための適正な試験を実施する必要がある。(8.成績評価・進級・ 学士課程修了認定) 19.卒業試験合格基準に示されている、「教授会が認めた者」とあるが、公平、厳格な学士 課程の修了判定が行えるように改善する必要がある。(8.成績評価・進級・学士課程 修了認定) 20.卒業留年生に対する卒業試験の内容、卒業判定基準について、前期卒業希望生と後期 卒業希望生の差異を解消するとともに、前年度の卒業認定での学力不足を担保するた めの試験として適切なものに改めることが必要である。(8.成績評価・進級・学士課 程修了認定) 21.実務家教員は、教授はみなし教員1名のみであり、他は専任教員の講師が6名である ので、薬剤師養成教育の充実という観点から、職位のバランスを考慮した是正が必要 である。(10.教員組織・職員組織) 22.教員の教育・研究業績については、大学ホームページや印刷物などで毎年公表する必 要がある。(10.教員組織・職員組織) 23.神戸学院大学薬学部の教育研究活動を総合的な観点から自己点検・評価し、その結果 を教育研究活動の改善に反映するための委員会組織を充実し、組織運営の改善を図る 必要がある。(13.自己点検・評価)
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3:但し書き 改善報告審議結果 |
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| 静岡県立大学 | 公 | 静岡県 | 第1期 | 2016年度 | 適 |
自己点検・評価書 基礎資料 正誤票 |
評価報告書
総評
静岡県立大学 総評静岡県立大学薬学部は、6年制の薬学科と4年制の薬科学科の2学科を設置し、一括入 試後、3年次後期に分科が行われる。薬学部の教育研究上の目的は、「医療の進歩に対応で きる専門的な知識・技術を有し、高い資質を身に付けた薬剤師を養成し、および医薬品に 関連する基礎知識・技術を習得し、創薬・育薬を総合的に理解できる人材を養成する」と 規定され、この目的に基づき、入学者受入方針(アドミッション・ポリシー)、教育課程の 編成・実施の方針(カリキュラム・ポリシー)、学位授与の方針(ディプロマ・ポリシー) が設定されている。 薬学科における基本教育として、多彩な「教養科目」や、静岡特有の歴史・文化、防災 医療システムや地域産業を取り扱う「しずおか学」が設定されている。また、薬学部の語 学教育のために専任講師が雇用されているなど、社会のグローバル化に対応した英語教育 が充実している。さらに、「静岡救命連携演習」は東海地震等での緊急対応に向けた大学独 自のプログラムであり、チーム医療に貢献する取り組みとしても優れている。相手の話を 傾聴し、共感するなど、コミュニケーションの基本的能力を身につけるための教育も行わ れている。薬学専門教育も薬学教育モデル・コアカリキュラムの教育目標に準拠して実施 されている。カリキュラム編成は国家試験や共用試験対策に過度に偏重することなく、4 年次からの研究室での卒業研究「総合薬学研究」も期間が十分確保されている。問題解決 能力醸成に向けた科目については、「総合薬学研究」と併せて合計単位数が卒業要件単位数 の1/10 以上となっている。実務実習事前学習は実務実習モデル・コアカリキュラムに準拠して4年生後期を中心に 実施されている。実務実習も適切に実施されており、Ⅰ期とⅡ期で行われているため、事 前学習からの連続性も保たれている。 入学者の選抜は、一般入試、推薦入試、帰国子女ならびに私費留学生入試により行われ、 基礎学力が的確に評価されている。修学状況は良好であり、入学時に薬学教育を受けるの に必要な基礎学力がある学生を入学させていると言える。さらに、推薦入試においては面 接で薬学を志す者としての資質を評価するなど、医療人としての適性を評価している。定 員数からの大きな乖離はない。 進級判定の審議は、薬学部履修細則に基づいて、公正かつ厳格に行われており、卒業要 件も適切に設定されている。 アドバイザー(担任)制度が設定され、学生の履修指導が行われている。学生の経済的 支援や健康維持に関する体制は整備され、ハラスメント対策も充実していると言える。キ ャリア支援体制や学生の意見を収集し反映するための体制もおおむね整っている。実習等 での安全への配慮としては、「安全実験マニュアル」が配付され、安全教育が行われている。 防災マニュアルは学生および教職員に周知され、地震および火災避難訓練が毎年実施され ている。身体に障がいのある者に対しては、学修・生活上の支援のために学生部学生室に 学生相談窓口を設け、意見を聞く体制をとっており、施設・設備上の支援が行われている。 専任教員は各専門分野において、研究・教育に優れた実績を有するものが配置されてお り、教員数も大学設置基準を十分満たしている。実務家教員も 10 名配置され基準を大幅に 上回っている。また、教員1名当たりの学生数は、約 8.7 名となっており、きめ細かく指 導ができる適切な教員数となっている。研究環境や学習環境にも大きな問題はない。 社会との連携として、実務実習の指導拠点ともなっている、静岡県立総合病院内に開設 した薬学教育・研究センターとの病院臨床共同研究や、創薬探索センターによる産業界と の連携、同窓会組織との連携による卒後教育講座などが実施されている。 以上のように、静岡県立大学薬学部薬学科の薬学教育プログラムは、本機構の評価基準 におおむね適合していると判断される。しかしながら、主な改善すべき点として、以下が 挙げられる。 (1)6年制薬学科の「教育研究上の目的」を、4年制薬科学科のものと区別して学則等に 明記し、広く公表する必要がある。 (2)シラバスには、授業方略が記載されていない科目や、評価方法・基準が不適切なもの が散見されるため、改善する必要がある。(3)薬科学科と区別した薬学科のディプロマ・ポリシーが定められていないので、改善す る必要がある。 (4)成績評価の公正化や厳格化を図るために、成績評価の基準・方法に関して、統一した 学部内での内規あるいは申し合わせを明文化する必要がある。また、各科目の成績評 価方法・基準をシラバスに明確に記載する必要がある。 (5)「実務事前実習」のシラバスには、共用試験OSCEの結果を単位認定に用いるとの 記載があり、改善すべきである。 (6)6年制薬学教育プログラムを自己点検・評価するために、薬学部内に定期的に検証す る組織や規程を早急に整備して、内部質保証を図る必要がある。 以上の重要な問題点に加えて、その他の指摘についても適切に対応することで、より優 れた薬学教育が展開されることを期待する。
大学への提言
静岡県立大学 大学への提言1)長所 1. 教養科目としての「しずおか学」および医療人養成教育としての「静岡救命連携演習」 は、大学が掲げている、「病院・薬局などの医療現場で活躍し多職種連携に貢献できる 人材だけでなく、県民や国民の安心・安全のために薬務行政・保健衛生に従事する人 材や企業等において研究開発に携わる人材を育成」にも合致しており、特色ある優れ たプログラムとして評価できる。(3.医療人教育の基本的内容) 2)助言 1. 「教育研究上の目的」は、学生だけでなく、教職員にも周知徹底することが望ましい。 (1.教育研究上の目的) 2. 「教育研究上の目的」を点検・評価して、取りまとめる組織体制を整備し、定期的に 検証することが望まれる。(1.教育研究上の目的) 3. 6年制薬学科のカリキュラム・ポリシーに「教育研究上の目的」に相当するものが含 まれており、両者を区別して記載することが望まれる。(2.カリキュラム編成) 4. 薬学教育カリキュラムのどの科目が、ディプロマ・ポリシーのどの項目に対応してい るのか明記されたカリキュラム・マップにすることが望まれる。 (2.カリキュラム 編成) 5. カリキュラム・ポリシーを責任ある組織体制で、定期的に点検・評価し、検証するこ とが望まれる。(2.カリキュラム編成) 6. 医療人教育を、全学年を通して体系的に行うことが望ましい。(3.医療人教育の基 本的内容) 7. 薬害、医療過誤、医療事故等の被害者やその家族、弁護士、医療における安全管理者 を講師とする科目を開講することが望まれる。(3.医療人教育の基本的内容) 8. 医療人教育に関する科目のシラバスに、学習方法を明記することが望ましい。(3. 医療人教育の基本的内容) 9. 模擬患者、模擬医師として、外部協力者やSPが実務実習事前学習の指導体制に加わ ることが望ましい。(5.実務実習)10. 問題解決能力の醸成のための教育に関し、卒業研究以外の科目においてもそれぞれの 目標到達度を評価する指標の設定とそれに基づく適切な評価を行うことが望まれる。 (6.問題解決能力の醸成のための教育) 11. 遺伝子組み換え実験、放射性物質取り扱い実験に関する災害対策マニュアルを作成す ることが望ましい。(9.学生の支援) 12. 3年次後期の分科において、振り分けがスムーズに行われているのか、学生の満足度 を調査・検証することが望ましい。(9.学生の支援) 13. 事務職員が大学共通部署に配属されており、薬学部専任の事務職員が3名と少なく、 増員することが望ましい。(10.教員組織・職員組織) 14. 実務家教員の授業時間は演習・実習を中心に週25時間以上であり、負担を軽減すること が望ましい。(10.教員組織・職員組織) 15. 薬学部専用で利用できる情報処理室のパソコンの台数が44台と限られており、CBT 試験が薬学部棟内で実施できるように、パソコン台数を増やすことが望まれる。(1 1.学習環境) 16. 老朽化した共同機器の更新を検討することが望まれる。(11.学習環境) 17. 講義によっては学生一人当たりのスペースが十分でない場合もあり、ゆとりのある講 義室の確保が望ましい。(11.学習環境) 18. 自己点検・評価を行う委員会の構築にあたっては、外部委員を含めることが望ましい。 (13.自己点検・評価) 3)改善すべき点 1. 6年制薬学科の「教育研究上の目的」を、4年制薬科学科のものと区別して学則等に 明記し、広く公表する必要がある。(1.教育研究上の目的) 2. ヒューマニズム教育・医療倫理教育およびコミュニケーション教育の関連科目の学習 成果を総合した目標達成度評価の指標を定めて、それに基づいて適切に評価する必要 がある。(3.医療人教育の基本的内容) 3. シラバスの記載について、以下のような点を改善すべきである。(4.薬学専門教育 の内容) ① 授業方略が記載されていない科目や、評価方法・基準(試験、レポート等 の寄与率の不記載。「出席点」の記載。「再試験」の実施の有無の不記載。) が不適切なものが散見される。② 複数の科目において同じ到達目標(SBOs)が挙げられているものがあ る。到達目標(SBOs)は、薬学専門教育の各ユニットの一般目標(G IO)に関連性の高い科目にしぼって記載する必要がある。 ③ 専門科目単位の30%程度を大学独自科目として開講し、それらの内容の独 自性をシラバス等に明記する必要がある。 4. 実務実習事前学習の成果全体についての目標達成度を評価するための指標が設定され ておらず、それに基づく評価も行われていないため、評価方法については改善が必要 である。 (5.実務実習) 5. 「総合薬学研究」において学部共通の適切な評価法や評価基準を定めて評価する必要 がある。(6.問題解決能力の醸成のための教育) 6. 問題解決能力の醸成のための教育の目標達成度を総合的に評価する指標の設定と適切 な評価を行う必要がある。(6.問題解決能力の醸成のための教育) 7. 薬科学科と区別した薬学科のディプロマ・ポリシーが定められていないのは改善する 必要がある。(8.成績評価・進級・学士課程修了認定) 8. 成績評価の公正化や厳格化を図るために、成績評価の基準・方法に関して、統一した 学部内での内規あるいは申し合わせを明文化する必要がある。また、各科目の成績評 価方法・基準はシラバスに明確に記載することが必要である。(8.成績評価・進級・ 学士課程修了認定) 9. 「実務事前実習」のシラバスの成績評価方法に「④客観的臨床能力評価試験(OSC E)での最終評価」と記載されているが、共用試験OSCEの結果を「実務事前実習」 の単位認定に用いていることになり、改善すべきである。(8.成績評価・進級・学 士課程修了認定) 10. 6年制薬学教育プログラムを自己点検・評価するために、薬学部内に定期的に検証す る組織や規程を早急に整備して、内部質保証を図る必要がある。(13.自己点検・ 評価) 11. 自己点検・評価・改善などのPDCAサイクルを機能的に回していく必要がある。(1 3.自己点検・評価)
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| 北海道医療大学 | 私 | 北海道 | 第1期 | 2016年度 | 適 |
自己点検・評価書 基礎資料 正誤票 |
評価報告書
総評
北海道医療大学 総評北海道医療大学は、「生命の尊重と個人の尊厳を基本として、保健と医療と福祉の連 携・統合をめざす創造的な教育を推進し、確かな知識・技術と幅広く深い教養を身につ けた人間性豊かな専門職業人を育成することによって、地域社会ならびに国際社会に貢 献する」という大学としての教育理念の下で、薬学部の「教育研究上の目的」を「専門 職能人としての豊かな人間性を備え、医薬品に対する基礎と応用の科学の修得により、 科学的根拠に基づいた医療および健康の維持・増進に従事し、地域・国際社会に貢献で きる薬剤師を養成する」と定め、6年制薬学教育を行っている。 薬学部では、「全学教育科目と専門教育科目からなる学士課程教育を組む」という大学 のカリキュラム・ポリシー(教育課程の編成・実施方針)の下に、薬学教育モデル・コア カリキュラムに従って各学年で行われる一般的な教育の概要を列挙した6項目の薬学部の カリキュラム・ポリシーを定めている。これらのカリキュラム・ポリシーに基づいて、薬 学部のカリキュラムは「全学教育科目」と「薬学部専門教育」で構成されている。「薬学 部専門教育」のカリキュラムは、6年制の薬学教育として一般的なものであるが、「モチ ベーションを高め自立的な学習態度を養う教育」を行うことを目的にして、学生が入学時 から「自己評価シート(学修ポートフォリオ)」を作成し、自身の目標達成度や成果、反 省点などを振り返り、自主的・自律的な学習態度と学習意欲の向上が図られている。 実務実習は、実務実習モデル・コアカリキュラムに準拠した137コマの事前学習を終え、 薬学共用試験に合格した学生を対象に行っており、実習施設は地区調整機構との調整を経 て決定している。実務実習における学生の指導や施設の訪問には、実務家教員の他「施設 担当教員」、「学生担任教員」などとして全教員が関与している。卒業研究は、「総合薬学研究」として行われ、4年次から研究室に配属しているが、実 質的な卒業研究は5、6年次に行われている。学生は所属する研究室の指導教員の指導を 受けて「実験研究」と「調査研究」のいずれかを選択して研究を行い、6年次前期の「総 合薬学研究発表会」を経て卒業論文を作成しており、指導教員がそれらに基づいて評価し ている。 入学生は大学のアドミッション・ポリシー(入学者受入方針)に基づいて募集しており、 多くの大学が行っている推薦入試、一般入試、センター試験入試以外に、AO(Admission Office)入試や編入学試験など多様な方法で実施している。AO入試では、受験生の高校 時代の様々な活動、志望理由書、志願者評価書および高校の調査書から医療人としての適 性を評価する工夫がなされている。 成績評価は、成績評価方法と基準をシラバスに明記し、それに従って厳正に行われてい る。進級基準は薬学部履修規程で定め、「学生便覧」に記載し各学年の教務ガイダンスで 周知している。薬学部では、教育研究上の目的に基づく6項目の学位授与の方針を定め、 卒業にはそれらを満たすことを求めているが、「総合薬学研究」の単位認定には卒業試験 に合格することが必要であり、「卒業試験」の合否判定が事実上の卒業判定となっている。 学生の勉学と学生生活をサポートするための体制や制度は整えられており、学生の代表 が意見を集約し、教員と一体となってより良い大学作りを目指す企画立案・実施を行う「S CP(Student Campus President:学生キャンパス副学長)制度」も設けられている。 北海道医療大学薬学部の専任教員数は68名(内実務家教員10名)で、大学設置基準の専 任教員数を満たしており、教授、准教授、講師、助教の比率は適切である。専任教員の教 育研究業績は学部全体としては基準を満たしており、授業科目の担当状況、研究条件など もおおむね適切である。教員の採用と昇任は大学と学部の規程に基づいて行われており、 規程の選考基準も適切である。 講義室、少人数教育に対応する教室、他学部と共用の演習室などの教室は十分に整えら れ、情報処理演習、動物実験センター、アイソトープ研究センター、薬学部附属薬用植物 園など必要な附属施設も整備され、実務実習事前学習を実施するための適切な規模の施 設・設備も整備されている。 北海道医療大学には、全学的な自己点検・評価に対応する「点検評価全学審議会」が設 置されており、薬学部にはその下部組織として「薬学部評価委員会」が置かれ、毎年行わ れている全学的な自己点検・評価の結果は自己点検・評価データ集「MESSAGE」と して公表している。以上、北海道医療大学薬学部の6年制薬学教育プログラムは、本機構の評価基準におお むね適合している。しかし、以下の主な改善を必要とする重大な問題点がある。 (1)6年次の時間割で国家試験準備教育に充てられている時間数が卒業研究の時間数よ り多くなっており、4年次においても薬学共用試験への準備と判断される演習が長時 間行われているなど、特定の学年の教育が受験準備に対する偏重していることは好ま しくないので改善することが必要である。 (2)ヒューマニズム教育・医療倫理教育、コミュニケーション能力を育成する教育、実 務実習事前学習、問題解決能力を醸成する教育で、目標達成度を測定する指標を設定 し、それに基づく適切な評価を行うよう改善することが必要である。 (3)留年すると実習科目を除く当該学年の薬学専門科目を、単位取得済みであっても再 履修することを義務付ける履修規程第30条、卒業研究に相当する必修科目である「総 合薬学研究」の単位認定要件に研究内容とは無関係な「卒業試験」に合格することを 含める履修規程第37条は、不適切な規定であるので改訂することが必要である。 (4)大学全体としての自己点検・評価とそれに基づく改善への取り組みは行われている が、本評価の評価基準が求めている薬学部としての薬学教育プログラムに対する恒常 的な自己点検・評価とそれに基づく向上発展を目指す取り組みが行われていないので、 早急に着手することが必要である。 北海道医療大学薬学部には、本評価で指摘されたこれらの改善を要する点を踏まえ、積 極的に改革を進めることにより、これまで以上に社会から信頼され、期待されるよう更な る薬学教育の向上に努めることが望まれる。
大学への提言
北海道医療大学 大学への提言1)長所 1. 「モチベーションを高め自立的な学習態度を養う教育」として、学生が入学時から自 分自身の学習目標などに関する「自己評価シート(学修ポートフォリオ)」を作成し、 各年度・学期始めに担任教員との面談を通して、学生自身が目標達成度や成果、反省 点などを振り返り、自主的・自律的な学習態度と学習意欲の向上を図っていることは 評価できる。(2.カリキュラム編成) 2. 医療基盤科目の「個体差健康科学/多職種連携入門(1年次)」では、全学合同でPBL 形式により、他学部学生と協同でお互いの職種について相互理解を深め、地域医療・ 福祉の連携について議論しており、大学の特徴を生かしたよい試みとして評価できる。 (3.医療人教育の基本的内容) 3. 学生の意見を収集するための組織や委員会として、担任制を補完する「SCP(Student Campus President:学生キャンパス副学長)制度」が設けられている。この制度は学生 の代表が学生の意見を集約し、教員と一体となってより良い大学作りを目指して各種 プロジェクトの企画立案・実施を行う独自の取り組みであり評価できる。(9.学生 の支援) 4. 参加型学習のための少人数教育ができる教室が豊富に確保され、授業だけでなく、学 生の自主的学習活動にも有効に利用されていることは評価できる。(11.学習環境) 5. 情報処理演習室は、能動的なグループ学習への活用を目指して端末と机の配置をグル ープ討論に適した配置とすることができるなど、自由度が高く多角的に利用できる斬 新な設備と設計が採用されていることは、新しい試みとして評価できる。(11.学 習環境) 2)助言 1. 「学生便覧」、「薬学教育シラバス」、自己点検・評価データ集「MESSAGE」 などに掲載されている教育の理念・目的に関わる項目には、「大学の教育理念」、「大 学の教育目標」、「薬学部の教育研究上の目的」、「薬学部の教育理念」、「薬学部 の教育目標」などがあり、学則の「薬学部の教育研究上の目的」が、学生、教職員、社会に正しく周知されていない恐れがあるので、それらの内容を学則の趣旨と一致さ せることが望ましい。(1.教育研究上の目的) 2. 薬学部のカリキュラム・ポリシーは、薬学教育モデル・コアカリキュラムに従って各 学年で行う教育の一般的な概要を列挙したものであるので、薬学部の「教育研究上の 目的」を反映したものに改善することが望まれる。(2.カリキュラム編成) 3. 大学のカリキュラム・ポリシーに謳われている「全学教育科目」として幅広い教養科 目が開講されているにもかかわらず、薬学部の学生の履修科目が一部に偏っているの で、より幅広く履修するよう指導することが望ましい。(3.医療人教育の基本的内 容) 4. ヒューマニズム教育・医療倫理教育に関わる科目ではワークショップなどの学習方法 を取り入れているとしているが、それらの多くは講義科目で、到達目標の多くが「・・・ を説明できる」、「・・概説できる」など知識の修得を主とするものになっている。 それらの科目について、態度教育を重視する目標・方略・評価を持った教育内容に改 善することが望まれる。(3.医療人教育の基本的内容) 5. 「薬学基礎研究Ⅰ~Ⅲ」は、低学年から研究に取り組むユニークな科目であるが、履 修者が少ないので、受講者を増やすことが望ましい。(4.薬学専門教育の内容) 6. 「自己点検・評価書」で大学独自の授業科目としているものには大学独自の科目とし てふさわしくないもの(国家試験準備など)が含まれているので、大学独自の科目を 充実させることが望ましい。(4.薬学専門教育の内容) 7. 「事前学習」の個々の科目における「態度」の評価項目ならびに「態度」と「日誌」 に関する評価基準の設定が適切でないので、適切な基準を設定して評価を行うことが 望まれる。(5.実務実習) 8. 実務実習モデル・コアカリキュラムに準拠して行われている学習の方法において、技 能に関わる一部の項目(D1-(2)-8、 D1-(3)-3、 D1-(4)-14、15、18、20) に、講義のみで対応していることは問題であり、改善することが望まれる。(5.実 務実習) 9. 「総合薬学研究論文集」には、医療、薬学における位置付けが明確に記載されていな いものがあったので、それらを記載するよう指導することが望ましい。(6.問題解 決能力の醸成のための教育) 10. 「総合薬学研究評価表」には問題解決能力を測定できる具体的な項目が設定されてい ないので、評価表を改善することが望ましい。(6.問題解決能力の醸成のための教育) 11. 入学試験で理科(特に化学)を選択しなくても良いという制度は、入学後の教育に必 要とする基礎学力のない者を入学させてしまう懸念があるので、入学試験科目を改善 することが望ましい。(7.学生の受入) 12. 「調剤学Ⅰ」など一部の科目で技能の到達目標を定期試験で評価していることは好ま しくないので改善することが望ましい。(8.成績評価・進級・学士課程修了認定) 13. 学位授与の方針(ディプロマ・ポリシー)の説明は、学生には1年次のガイダンスで、 教員には新任時のFDで説明しているだけなので、その後も説明の機会を設けて、周 知を徹底するよう改善することが望ましい。(8.成績評価・進級・学士課程修了認 定) 14. 各実習における担当教員数は5〜10名であるが、基礎科目の実習では、指導者1名当 たり学生約30名(学生160名/教員5~6名)となり、教育の安全性を保つ体制が整備 されているとは言い難いので、改善が望まれる。(9.学生の支援) 15. 実務家教員に対する公的な研修制度が設置されていないので、そのような制度を設け ることが望ましい。(10.教員組織・職員組織) 16. 教員の研究業績はホームページで公表されているが、10年近く内容が更新されていな い教員もいるので、教員の研究業績の公開状況を学部が点検して内容の更新を行うこ とが望ましい。(10.教員組織・職員組織) 17. 卒業研究の学生が研究と勉学に使用できる研究室のスペースを拡大することが望まし い。(11.学習環境) 18. 薬学部棟の冬期暖房の運転時間が18時までと制限されていることは、学生の研究活動 や勉学に支障をきたすので、改善することが望ましい。(11.学習環境) 19. 英文によるホームページに研究内容を掲載することが望ましい。(12.社会との連 携) 20. 「薬学教育評価委員会」を、外部委員を含む恒常的な組織とすることが望ましい。(1 3.自己点検・評価) 3)改善すべき点 1. 6年次の教育において、国家試験準備教育に相当する講義・演習科目に充てられてい る時間割上の時間数が卒業研究の時間割上の時間数より多くなっている。また、4年 次においても内容的に薬学共用試験への準備と判断される必修科目がおかれている。このように、特定の学年の教育が受験準備に偏重していることは好ましくないので改 善することが必要である。(2.カリキュラム編成) 2. ヒューマニズム教育・医療倫理教育、およびコミュニケーション能力を育成する教育 において、総合的な目標達成度を測定するための指標の設定と、それに基づく評価が 行われていないので、目標達成度に対する総合的な評価方法を定め、それに基づいて 適切に評価することが必要である。(3.医療人教育の基本的内容) 3. 実験実習においてはSGDを取り入れることで、実験の意義や結果の考察について、 より理解が深められるよう工夫されているとしているが、シラバスにはそれが明示さ れていない。それらを明示するようシラバスを改善することが必要である。(4.薬 学専門教育の内容) 4. 授業にPBLやSGDが取り入れられているのにシラバスの授業方法には講義としか 表示されていない科目があるので、シラバスの授業方法の記載を実態に合わせるよう 改善することが必要である。(4.薬学専門教育の内容) 5. 実務実習事前学習全体を総合した目標達成度を評価するための指標を設定し、それに 基づいて評価を行うよう改善することが必要である。(5.実務実習) 6. 「総合薬学研究」の実施期間が十分ではなく、6年次の時間割で「総合薬学研究」に 割り当てている時間数が国家試験準備教育と考えられる科目に充てられた時間数より 少ないなど、卒業研究が十分行なわれているとは言えないので、改善することが必要 である。(6.問題解決能力の醸成のための教育) 7. 「総合薬学研究」のシラバスにおいて、対応する薬学教育モデル・コアカリキュラム の到達目標が「A(2)」のみで、「E 卒業実習教育(E1総合薬学研究)」が含まれ ていないことは不適切なので、改善することが必要である。(6.問題解決能力の醸 成のための教育) 8. 問題解決能力の醸成に向けた教育について、総合的な目標達成度を評価するための指 標が設定されておらず、それに基づく適切な評価が行われていないので、改善するこ とが必要である。(6.問題解決能力の醸成のための教育) 9. アドミッション・ポリシーが大学にしかなく、薬学部の入学者受入れ方針が示されて いないことは適切ではないので、早急に改善することが必要である。(7.学生の受 入) 10. 平成27年度の卒業判定において、「卒業試験」の不合格のみの理由で卒業延期となっ た学生が54名(6年次在籍者169名の32%)であった。これは、卒業の可否判断に国家試験の合否の見込みを重視したためと考えられ、学士課程の修了認定として不適切で あるので、早急な見直しを図ることが必要である。(8.成績評価・進級・学士課程 修了認定) 11. 2年次および3年次の留年率ならびに卒業延期率が高く、また増加傾向にあることが 自己点検・評価によって問題と認識されているので、その原因について十分な解析を 行い、改善策を実施することが必要である。(8.成績評価・進級・学士課程修了認 定) 12. 「総合薬学研究」の単位認定要件に、研究内容とは無関係で薬剤師国家試験に酷似し た問題を用いる「卒業試験」の合格を含める履修規程第37条の規定は、不適切である ので廃止することが必要である。(8.成績評価・進級・学士課程修了認定) 13. 留年生に対して、留年した学年の全必修科目(実習、全学教育科目を除く)を再履修 するよう定めた履修規程第30条は、修得済みの単位を取り消すことを意味するもので、 単位制の趣旨に抵触するため、改訂することが必要である。(8.成績評価・進級・ 学士課程修了認定) 14. 多くの卒業延期者を出し、それらに対する「特別講義」を予備校講師に委ねているこ とは適切ではないので、改善することが必要である。(8.成績評価・進級・学士課 程修了認定) 15. 基礎資料15には教育研究活動が活発であるとは言えない専任教員も見出される。専任 教員の教育・研究能力の維持と向上を図るため、個々の教員の研究業績を学部として 点検・評価する体制を整備して、改善を図ることが必要である。(10.教員組織・ 職員組織) 16. 現状の自己点検・評価とそれに基づく改善への取り組みは全学的な観点からの改善指 示であるので、本評価の評価基準が求めている薬学教育プログラムに対する恒常的な 自己点検・評価とそれに基づく向上発展を目指す取り組みに着手することが必要であ る。(13.自己点検・評価)
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| 第1期 |
2016年度 |
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3:但し書き 改善報告審議結果 |
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| 武庫川女子大学 | 私 | 兵庫県 | 第1期 | 2016年度 | 適 |
自己点検・評価書 基礎資料 正誤票 |
評価報告書
総評
武庫川女子大学 総評武庫川女子大学は、「高い知性、善美な情操、高雅な徳性を兼ね備えた有為な女性の育成」 という「立学の精神」、「学院教育綱領」を教育理念として掲げ、教育目標としている。6年 制の薬学科の教育目的は「薬剤師として高度な臨床能力と実践能力を有し、医療人としての 使命感を持ち、病院・薬局などの医療機関をはじめ、薬の専門家としてあらゆる場面で活躍 できる有為な女性を養成することを目的とする。」である。この「教育研究上の目的」に従っ て、アドミッション・ポリシー(入学者受入方針)、カリキュラム・ポリシー(教育課程の編 成・実施の方針)およびディプロマ・ポリシー(学位授与の方針)が設定され、大学のホー ムページや履修便覧に記載、公表されている。 医療人としての薬剤師養成の薬学教育カリキュラムは、薬学教育モデル・コアカリキュラ ムにほぼ準拠している。平成27年度は、1年次生が改訂モデル・コアカリキュラム対応(新 カリキュラム)で、2~6年次生は従来のモデル・コアカリキュラム対応(旧カリキュラム) に対応したカリキュラム編成となっている。開講科目はイントロダクション、物理系薬学、 化学系薬学、生物系薬学、健康と環境、医療薬学、実習・演習科目、ヒューマニズム、外国語・ 情報科目の9つの領域に分類されている。各科目の関連図がホームページに公開されている が、各科目間の関連性が明確に示されていないので、科目間関連図等を作成することが望ま れる。 総合大学であるため共通教育科目として、全学の学生に社会のニーズに応じた多様で幅広い科目が提供されている。基礎教育科目、ジェンダー科目、キャリアデザイン科目、言語・ 情報科目、健康・スポーツ科目から成り立つ250科目を開講し、薬学科の学生も多くの科目を 受講している。また、語学教育にも力を入れており、薬学領域の英語の「読む・書く・聞く」 力を付ける1年次の「基礎英語」を始めとし、4、5年次に臨床現場の最前線の文献を理解 する力を身に付ける「発展英語Ⅰ&Ⅱ」まで、体系的に開講されている。 毎年20名の学生が約1か月滞在する「アメリカ留学プログラム」を実施していることは高 く評価できる。学習者参加型の教育科目、問題解決型の教育科目、ヒューマニズム・医療倫 理教育科目、コミュニケーション科目はバランスよく体系的に配置されているが、態度教育 の評価方法については、これからの対応が待たれる。 学習環境は良好で、講義室、実習室、PBL(Problem Based Learning)/SGD(Small Group Discussion)を実施する教室、コンピュータ室など充分な広さであり、整備されてい る。また、学部に隣接する臨床薬学教育センターには、調剤室、模擬薬局、製剤室、モデル 病室、医薬品情報室、無菌製剤室等が完備している。 以上のように、武庫川女子大学薬学部薬学科の薬学教育プログラムは本機構の評価基準に おおむね適合しているが、以下のような重要な改善すべき問題点がある。 (1)薬剤師国家試験の準備教育である「総合演習Ⅱ」の科目単位数当たりの授業時間が学 則の規定に比べ極端に多くなっており、「卒業研究Ⅱ」実施時間が圧迫されているので、 時間割編成の改善が必要である。 (2)薬剤師養成教育に必須であるコミュニケーション能力醸成のための教育を必修専門科 目として設定し、適正な学習方略および評価方法を用いて実施するように改善が必要で ある。 (3)旧カリキュラムにおいて、薬学教育モデル・コアカリキュラムで要求しているSBO s(Specific Behavioral Objectives)の一部が包含されていないなどモデル・コアカ リキュラムに準拠していないので改善すべきである。また、選択科目のみが対応してい るSBOsが一部存在しているので、卒業までに補完できるようにすることが必要であ る。 (4)卒業論文や発表会などを通して卒業研究を評価するために、学科共通の目標達成度評 価の指標を設定し、公正・厳格に評価するように改善が必要である。 (5)平成25年度以降の休学者、留年者、退学者の人数が増加しているという事実は、入学 者選抜において、基礎学力が適確に担保されていないことを示しており、改善が必要で ある。(6)「卒業研究Ⅱ」に実質上の卒業試験である「卒業研究Ⅱ試験」を課して、学士課程修了 条件とする制度を早急に改善する必要がある。 (7)薬学共用試験の合格を「プレファーマシー実習Ⅱ、Ⅲ」、「総合演習I」の単位認定の 条件とする制度を早急に改善する必要がある。 武庫川女子大学薬学部薬学科は、女性薬剤師の養成としての特徴ある教育プログラムを構 築しており、薬剤師教育に熱心に取り組む姿勢がうかがえる。今後はさらにその特徴を伸ば し、また指摘された改善すべき点や助言を踏まえ、より一層の改善・改革を進めることで6 年制薬学教育の更なる発展を期待する。
大学への提言
武庫川女子大学 大学への提言1)長所 1. 学生が学ぶ機会として国際交流を行い、毎年20名の学生が約1か月滞在して「アメリカ 留学プログラム」が実施されている。(12.社会との連携) 2)助言 1. 「教育目的」の掲載が大学のホームページだけであり、薬学部のホームページには掲載 がないため、薬学部ホームページへの掲載が望まれる。(1.教育研究上の目的)2. 「教育目的」について教職員や学生に周知徹底を図ることが望まれる。(1.教育研究 上の目的) 3. 「教育研究上の目的」に対する検証を定期的に行うことが望まれる。(1.教育研究上 の目的) 4. 領域ごとに科目の分類が明示され、学習内容の順次性が理解しやすいカリキュラム・ツ リー(科目関連図)を新旧カリキュラムに対応して、作成することが望まれる。(2. カリキュラム編成) 5. カリキュラム・ポリシーは、履修便覧や武庫川女子大学のホームページ(大学情報の公 表)に掲載されているが、薬学部のホームページ等にも掲載することが望ましい。(2. カリキュラム編成) 6. カリキュラム・ポリシーは、「教育研究上の目的」およびディプロマ・ポリシーを踏ま えたものにすることが望ましい。(2.カリキュラム編成) 7. 早期体験学習は新入生の学習の意欲の向上に重要な科目であることを考慮すると「早期 体験学習IおよびⅡ」の教育内容は、改訂コアカリキュラムの「F薬学臨床①早期臨床 体験」に準じた内容にすることが望まれる。(3.医療人教育の基本的内容) 8. 医療安全教育の分野では薬剤師以外の人的資源(弁護士、医師、行政等)を活用した積 極的な取り組みが望まれる。(3.医療人教育の基本的内容) 9. 生涯学習意欲の醸成に対しての取り組みを積極的に行い、在校生も参加できる生涯教育 に関する科目を充実させることが望ましい。(3.医療人教育の基本的内容) 10. シラバスの到達目標が抽象的であるので、モデル・コアカリキュラムの到達目標、学習 領域(知識・技能・態度)を記載し、学習領域に適した評価方法で評価することが望ま れる。(4.薬学専門教育の内容) 11. 実務実習の総合的な学習成果を適切な指標に基づいて評価することが望ましい。(5. 実務実習) 12. 問題解決型学習の単位数を卒業単位数の10%程度まで増やすよう努力をすることが望ま れる。(6.問題解決能力の醸成のための教育) 13. 指定校推薦入試において、調査書の評定値および履修要件に基準を設け、志願理由書や 薬学科教員による面接試験を実施し、医療人としての目的意識や適性を評価しているが、 アドミッション・ポリシーに準拠した入学試験制度の確立に向けて一層の工夫が望まれ る。(7.学生の受入) 14. 学位授与の方針をFD(対教員)や履修ガイダンス(対学生)等においても説明することが望まれる。(8.成績評価・進級・学士課程修了認定) 15. 薬学部別館(臨床薬学教育センター)もバリアフリー化を実施することが望まれる。(9. 学生の支援) 16. 教員の授業時間は5.4~35.3時間であり、教員間に偏りが見られる。研究時間の確保を考 慮すると35.3時間の担当時間は多すぎるので、改善が望まれる。(10.教員組織・職 員組織) 17. 教授の半数が60歳代であり、年齢構成にやや偏りが見られるので改善が望まれる。 (10.教員組織・職員組織) 18. 専任教員1人あたりの学生数が26名であるので、増員することが望まれる。(10.教 員組織・職員組織) 19. 助教の再任は実質的には閉ざされているので、人材育成の観点から、助教の再任制度に ついて改善することが望まれる。(10.教員組織・職員組織) 20. 地域住民に対する公開講座等を開催するよう努めることが望ましい。(12.社会との 連携) 21. 人材育成の面からも積極的に教職員の海外留学等を推進することが望ましい。(12. 社会との連携) 22. 薬学部のホームページの英語版を作成することが望まれる。(12.社会との連携) 23. 薬学部自己評価委員会の構成要員は学部内教職員のみであるので、外部委員の参画を求 め、より客観性のある体制の構築が望まれる。(13.自己点検・評価) 3)改善すべき点 1. 薬学部および薬学科の「教育研究上の目的」は「教育目的」として制定されているが、 その内容には「研究上の目的」が入っていないので、加えて制定することが必要である。 (1.教育研究上の目的) 2. 薬学共用試験・薬剤師国家試験の準備教育に偏ったカリキュラム編成・運用について以 下の点を改善することが望まれる。 ・「総合演習Ⅱ」の科目単位数当たりの授業時間が、学則の規定に比べ極端に多くなって おり、「卒業研究Ⅱ」の実質実施時間が圧迫されているので、カリキュラム編成の改善 が必要である。 ・予備校の講師を正規科目担当講師としないように改善する必要がある。 ・大学独自科目の一部を国家試験対策科目としないように改善する必要がある。(2.カリキュラム編成) 3. 薬剤師養成教育に必須であるコミュニケーション能力醸成のための教育を必修専門科 目として設定し、適正な学習方略および評価方法を用いて実施するように改善する必要 がある。(3.医療人教育の基本的内容) 4. ヒューマニズム教育・医療倫理教育について、目標達成度を評価するための指標は設定 されておらず、それに基づいての適切な評価もなされていないため、改善が必要である。 (3.医療人教育の基本的内容) 5. コミュニケーション能力および自己表現能力を身につけるための教育において、授業科 目ごとに成績評価はなされているが、これらの能力の目標達成度を評価するための指標 の設定と評価はなされておらず、改善が必要である。(3.医療人教育の基本的内容) 6. 医療の過誤、医療事故を防止するためのチーム医療についての教育が選択科目(5年次 「地域で活動する薬剤師」、6年次「薬物の適正使用と医療倫理」)として開講されて いるが、必修科目として開講するよう改善する必要がある。(3.医療人教育の基本的 内容) 7. 旧カリキュラムにおいて、薬学教育モデル・コアカリキュラムで要求しているSBOs の一部が包含されていないなどモデル・コアカリキュラムに準拠していないので改善す る必要がある。また、選択科目のみが対応しているSBOsが一部存在しているので、 卒業までに補完できるようにすることが必要である。(4.薬学専門教育の内容) 8. 大学独自の科目をシラバス上に明示するように改善が必要である。(4.薬学専門教育 の内容) 9. 事前学習の目標達成度を評価するための指標を設定し、指標に基づいて適切に評価する ように改善する必要がある。(5.実務実習) 10. 卒業論文や発表会などを通して卒業研究を評価するために、学科共通の目標達成度評価 の指標を設定し、公正・厳格に評価するように改善する必要がある。(6.問題解決能 力の醸成のための教育) 11. 卒業論文の作成に関して以下の問題点があるので改善する必要がある。 ・一つの課題で共同研究を行った学生であっても各自がオリジナルの卒業論文を提出す るように改善すべきである。 ・卒業論文は要旨ではなく、卒業論文にふさわしい内容に改善する必要がある。 (6.問題解決能力の醸成のための教育) 12. 卒業研究以外の問題解決能力醸成に向けた教育において、各科目を総合した達成度を評価するために指標を設けて、評価するように改善する必要がある。(6.問題解決能力 の醸成のための教育) 13. 平成 25 年度以降の休学者、留年者、退学者の人数が増加しているという事実は、入学 者選抜において、基礎学力が適確に担保されていないことを示しており、改善が必要で ある。(7.学生の受入) 14. 薬学共用試験の合格を「プレファーマシー実習Ⅱ、Ⅲ」、「総合演習I」の単位認定の 条件とする制度を早急に改善する必要がある。(8.成績評価・進級・学士課程修了認 定) 15. 「卒業研究Ⅱ」に実質上の卒業試験である「卒業研究Ⅱ試験」を課し、学士課程修了条 件とする制度を早急に改善する必要がある。(8.成績評価・進級・学士課程修了認定) 16. 予備校の模擬試験を正規の試験の一部として使用しないように改善する必要がある。 (8.成績評価・進級・学士課程修了認定) 17. 「卒業研究Ⅱ」に関する内規および「卒業研究Ⅱ試験」の成績による採点未着科目の救 済措置等に関する内規を改善する必要がある。(8.成績評価・進級・学士課程修了認 定) 18. 卒業延期となった学生の教育の一部を予備校で行っていることは問題であり、改善すべ きである。(8.成績評価・進級・学士課程修了認定) 19. 卒業延期の学生に対して、「卒業研究Ⅱ」の継続履修が行われているように取り扱うこ とを廃止するように改善する必要がある。(8.成績評価・進級・学士課程修了認定) 20. 5年間教育・研究実績として著書・論文の数が少ない、あるいは全く無い教員も認めら れる。教育目標を達成するための基礎となる研究活動を大学が自己点検・評価すること によって、全教員が教育・研究の業績を上げるように改善する必要がある。(10.教 員組織・職員組織) 21. 薬学部自己評価委員会が、6年制薬学教育プログラムを毎年継続的に自己点検・評価を 実施するように改善し、その記録を残すことが必要である。(13.自己点検・評価) 22. 自己点検・評価の結果を教育研究の改善に反映させることが必要である。(13.自己 点検・評価)
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| 第1期 |
2016年度 |
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3:但し書き 改善報告審議結果 |
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| 慶應義塾大学 | 私 | 東京都 | 第1期 |
2016年度 |
適 |
自己点検・評価書 基礎資料 正誤票 |
評価報告書
総評
慶應義塾大学 総評慶應義塾大学薬学部は、6年制薬学科と4年制薬科学科の2学科を設置しており、薬学 科では「科学の基盤をもち、医療人としての自覚のもと、高い臨床能力を発揮できる、人 に優しい薬剤師の育成」という教育研究上の目的の下に、入学者受入の方針(アドミッシ ョン・ポリシー)、教育課程の編成・実施の方針(カリキュラム・ポリシー)、学位授与の 方針(ディプロマ・ポリシー)を設定し、「医療を取り巻く環境、薬剤師に対する社会のニ ーズ」を反映した6年制薬学教育を行っている。 薬学科のカリキュラムは、カリキュラム・ポリシーに従って構築されており、それは新 旧両方の薬学教育モデル・コアカリキュラムに対応したものになっている。すなわち、ヒ ューマニズム教育・医療倫理教育、コミュニケーション教育は1年次から体系的に行われ ており、薬学、医学、看護学の医療系三学部の合同教育は、チーム医療と多職種連携につ いて共に学ぶ機会を提供する教育として評価できる。教養教育は総合大学の特色を活かし て効果的に行われ、語学教育は基礎的なコミュニケーション能力の向上から、医療現場や 医療の進歩・変革に対応できるより高い英語力の育成へと体系的に実施されている。薬学 専門科目では、基礎から専門性の高い領域へ、座学による知識の修得から実験実習へ、ま た、薬学基礎科目から臨床薬学科目へなど、科目間の関連と学習の順次性に配慮している。 さらに、大学独自の薬学専門教育として、社会のニーズを取り入れた多彩な選択科目、自 由科目、米国、タイ国での4~5週間の海外病院実習も行っている。実務実習では、事前 学習、病院・薬局実務実習共に実務実習モデル・コアカリキュラムに沿って実施されてい る。卒業研究は、臨床実践を深めるアドバンスト科目との組み合わせによる3タイプの選 択必修制になっており、研究室で研究に携わる期間は異なるが、いずれの場合も4年次1 月から6年次の 10 月までの間で、十分な時間を確保して行われており、その成果は、卒業 発表会でポスター発表され、卒業論文として提出される。 学生の受入れは、一般入学試験、指定校推薦による入学者選抜、帰国生対象入学試験、 外国人留学生対象入学試験、塾内進学制度と多様であるが、アドミッション・ポリシーに基づいて適切に行われており、入学者数と入学定員との乖離は小さい。 授業科目の成績評価方法と基準はシラバスに示され、進級判定は学則の規程に基づいて 行われている。学士課程の修了認定は、学則で規定した卒業要件に基づいて行われている。 学生に対する履修や生活に関する指導は、ガイダンスおよびアドバイザー(担任)制度 によって行われており、学生への経済的、心身的な支援体制、ハラスメント対応、就職・ 進路支援体制なども整っている。 専任教員は、各専門分野について研究・教育に優れた実績を有するものが配置されてお り、教員数も大学設置基準を十分満たしている。専任教員の授業科目への配当や職階や年 齢のバランスもおおむね適正である。教員の採用、昇進は、規程に基づいて適切なプロセ スを経て、教育、研究力等を十分に評価して、適切に実施されている。また、実務家教員 が、慶應義塾大学病院薬剤部で研鑽できる制度(OJT: On the Job Training)や、薬学 部附属薬局にて薬局薬剤師としての実務を行う体制も整備されている。職員組織も整って いる。 図書館、講義・演習室、実験室、実務実習事前学習、研究活動のための施設、設備も整 備されており、学習環境も整っている。 社会との連携では、地域の薬剤師会をはじめ、医薬界の関係団体および行政機関と連携 を図っている。また、薬剤師の資質向上を図るために、認定薬剤師研修機関として認証を 受け、慶應義塾大学薬学部認定薬剤師の認定を行っている。 以上のように、慶應義塾大学薬学部薬学科の薬学教育プログラムは、本機構の評価基準 におおむね適合していると判断される。しかし、以下のような問題点が挙げられ、改善が 必要である。 (1) ヒューマニズム教育・医療倫理教育、コミュニケーション能力を育成する教育、実 務実習事前学習、問題解決能力を醸成する教育で、目標達成度を測定する指標を設定 し、それに基づく適切な評価を行うよう改善することが必要である。 (2) 科目間で評価の公平性を保証するために、成績点と評価との対応を各科目の担当者 の裁量に委ねるのではなく点数と評価との対応を明確に規定することが必要である。 (3) 複数の評価項目がある科目では、個々の評価方法の最終成績に対する寄与率を明示 することが必要である。 (4) 卒業の可否判断に直結する6年次の必修科目である「総合薬学演習Ⅱ」については、 追再試験にあたる4次試験の合格基準が明示されていないので、あらかじめ明示することが必要である。 (5) 薬学部全体の教育研究活動を、6年制薬学教育の向上発展に結びつけて統合的に自 己点検・評価し、その結果を教育研究活動に反映する体制を整備して、恒常的、継続 的に教育研究活動の改善に取り組む必要がある。 慶應義塾大学薬学部薬学科は、本評価での改善すべき点、助言を踏まえ、積極的に改善 に取り組み、薬学教育の更なる向上に努めることが望まれる。
大学への提言
慶應義塾大学 大学への提言1)長所 1. 「医療系三学部合同教育の初期プログラム」は、非常に有効なものとして評価できる。 (3.医療人教育の基本的内容) 2. 3年次の「A(3)生命の大切さを知るために3(患者から学ぶ)」は、多様な患者に加 え、障がい者や薬害被害者の講演を中心とした特徴的な科目であり、方略レベルでの 独自性が評価できる。(3.医療人教育の基本的内容) 3. 5~6年次には卒業研究、アドバンスト病院実習などが設置され、学生個々の能力・ 意欲にあわせた一段高い目標を設定する機会が与えられている。(4.薬学専門教育 の内容) 4. 大学独自の薬学専門教育として選択必修科目「アドバンスト病院実習」、「アドバンス ト海外病院実習」、「Introduction to overseas clinical rotation」、「Case Study Practice」、などの意欲的な取り組みがなされている。(4.薬学専門教育の内容)5. 米国の4大学、タイの1大学と学部間協定を締結し、相互に学生の短期留学プログラ ムを実施し、国際交流の活性化のための活動が行われている。(12.社会との連携) 2)助言 1. 学生の生涯教育への参加は自主的であり、生涯学習に対する意欲を醸成するための教 育が体系的に行われることが望ましい。(3.医療人教育の基本的内容) 2. ヒューマニズム教育・医療倫理教育、コミュニケーション力に関わる個々の科目につ いて、目標到達度を評価するための指標を設定し、適切に評価することが望ましい。 (3.医療人教育の基本的内容) 3. 大学独自の科目は、シラバスの「対応するコア・カリの項目」欄を空白にしているだ けであり、学生が独自科目であることに気づきにくい。独自科目であることをシラバ スに積極的に明示することが望ましい。(4.薬学専門教育の内容) 4. 「卒業研究B」を履修している学生は、他の能動的学習法を行っている科目を加えて も問題解決能力の醸成を目指す教育の総単位数が18単位には満たないので、能動的学 習の充実が望まれる。(6.問題解決能力の醸成のための教育) 5. 視覚障がい者等に対する設備上の配慮を充実させること、建物のバリアフリー化をさ らに進めることなど、障がい者のための施設・整備をさらに進めることが望ましい。 (9.学生の支援) 6. 学生実習室および研究室における学生の安全を確保するために必要な設備のさらなる 充実が望ましい。(9.学生の支援) 7. 自己点検・評価を行う委員会には、外部委員を含めることが望ましい。(13.自己 点検・評価) 3)改善すべき点 1. ヒューマニズム教育・医療倫理教育およびコミュニケーション教育の学修成果を総合 して、それらの教育の目標達成度を評価する指標を設定し、それに基づいた適切な評 価を行う必要がある。(3.医療人教育の基本的内容) 2. 実務実習事前学習において、総合した事前実習全体としての目標達成度を評価するた めの指標は設定されておらず、指標を設定して適切に評価する必要がある。(5.実 務実習)3. 問題解決能力の醸成に向けた教育において、目標達成度を評価するための指標を設定 し、それに基づいて適切に評価することが必要である。(6.問題解決能力の醸成の ための教育) 4. 卒業研究の最終的な評価は指導教員だけで行っているので、評価の基準と客観性を保 証する仕組みを確立することが必要である。(6.問題解決能力の醸成のための教育) 5. 点数と評価との対応が各科目の担当者の裁量に委ねられており、科目間で評価の公平 性が保証されていないことが懸念されるので、点数と評価との対応を明確に規定する ことが必要である。(8.成績評価・進級・学士課程修了認定) 6. 演習、実習科目のシラバスに、合格基準を明記することが必要である。(8.成績評 価・進級・学士課程修了認定) 7. 複数の評価項目がある科目において、最終成績に対する個々の評価項目に適正な寄与 率を設定し、明示することが必要である。また、出席を評価項目に含める科目は授業 への参加が学習成果に直結するものに限定し、出席から学習成果を評価する指標を設 けることが必要である。(8.成績評価・進級・学士課程修了認定) 8. 「総合薬学演習Ⅱ」については、追再試験に当たる4次試験の合格基準をあらかじめ 明示しておくことが必要である。(8.成績評価・進級・学士課程修了認定) 9. 現状の「第三者評価委員会」は、名称、委員構成から外部機関による第三者評価への 対応を目的に組織されたものと判断され、学部の自己点検・評価組織として適切では ないので、この目的に合った名称と委員構成の組織を早急に構築することが必要であ る。(13.自己点検・評価) 10. 前項で提言した自己点検・評価体制を活用して、薬学部における教育研究の向上・発 展を目指す、恒常的な点検評価プログラム(教育研究の改善を目指すPDCAサイク ル)を稼働させることが必要である。(13.自己点検・評価)
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1:提言 改善報告審議結果 |
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| 神戸学院大学 | 私 | 兵庫県 | 第1期 |
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適 |
自己点検・評価書 基礎資料 正誤票 |
評価報告書
総評
神戸学院大学 総評神戸学院大学薬学部は、大学の建学の精神「真理愛好・個性尊重」のもと、教育研究上 の目的を設定している。 カリキュラムは、教育研究上の目的に基づいて策定したカリキュラム・ポリシー(教育 課程の編成・実施方針)を指針として、教養教育、ヒューマニズム・医療倫理教育、薬学 準備教育に対応する初年次の「共通教育科目」、「基礎教育科目」や「早期体験学習」に続 き、薬学教育モデル・コアカリキュラムに準拠した6つの専門科目群とその「演習実習」 科目、「総合薬学研究(卒業研究に相当)」を設定している。 実務実習モデル・コアカリキュラムの教育目標に関連した科目を3、4年次に、また、 実務実習事前学習を4年次に設定しているが、後述する問題点がある。実務実習について は、責任ある委員会組織の下、全教員が実習を指導する体制が整えられている。 問題解決能力の醸成のため、1年次「薬学への招待」、「演習実習ⅠA、ⅠB」、2年次「薬 学演習」に加え、卒業研究相当科目として「原著論文を読む」、「演習実習Ⅳ」、「総合薬学 研究Ⅰ、Ⅱ」を設定している。 入学者は、附属高校特別入試、指定校・公募制推薦入試、一般入試、大学センター試験 利用入試、学士編入試験などで選抜している。学生の成績評価・進級・学士課程修了認定 は、おおむね適正に実施されているが、後述する問題点がある。学生の支援については適 正に実施されており、留年生など成績不振者への学習指導の他、大学独自の奨学金制度な ど経済的支援も整えている。教員組織としては、十分な教育・研究上の実績を有する 53 名の専任教員が配置され、教員の研究環境および学生の学習環境も整えられている。しか し、事務職員体制は不十分である。近隣の病院や研究所、産業界との共同研究や、薬剤師 の生涯教育などで社会と連携している。自己点検・評価に関しては、全学的な自己点検評価委員会が設置され、2011 年には公益財団法人大学基準協会の認証評価に適合している。 また薬学部には自己点検評価小委員会が設置されている。 以上のように、神戸学院大学薬学部の薬学教育プログラムは、全体として本機構の評価 基準におおむね適合しているが、以下の重大な問題点について、適切に対応し、より優れ た薬学教育を展開されることを期待する。 (1)カリキュラム・ポリシーが、各学年で行う教育の一般的な概要を列挙したものとな っているので、「教育研究上の目的」および「学位授与の方針」(ディプロマ・ポリ シー)を反映したものに改善することが必要である。 (2)4年次および6年次で、共用試験、国家試験の対策講義に多くの時間が充てられ、 「薬学共用試験および薬剤師国家試験受験準備教育」に偏重した教育となっている ので、カリキュラムを見直すべきである。 (3)実務実習事前学習に相当する「病院・薬局に行く前に」のコマ数は、神戸学院大学 薬学部独自の教育目標を含めての 105 コマであるので、実務実習モデル・コアカリ キュラムで求められた教育目標に対する 122 コマを充足すべきである。 (4)卒業研究の一部である「原著論文を読む」を必須科目とするとともに、「演習実習Ⅳ」、 「総合薬学研究Ⅰ」、「総合薬学研究Ⅱ」などの卒業研究相当科目については、客観 的な成績評価の基準、評価尺度に基づく評価を行うなど、卒業研究として厳正な成 績評価を行うべきである。 (5)「薬学総合科目Ⅰ」は学外の国家試験予備校の講師が講義を担当し、成績評価に学外 の模擬試験を用いていることは不適切であるので改善する必要がある。 (6)「薬学総合科目Ⅱ」の成績が、薬学共用試験の結果を含めて判定されていることは不 適切であるので改善する必要がある。 (7)6年次の「薬学総合科目Ⅲ」を、講義実体のある科目に修正し、卒業試験として、 その講義内容の修得度を評価するための適正な試験を実施する必要がある。 (8)卒業留年生に対する卒業試験の内容、卒業判定基準について、前期卒業希望生と後 期卒業希望生の差異を解消するとともに、前年度の卒業認定での学力不足を担保す るための試験として適切なものに改めることが必要である。 (9)神戸学院大学薬学部の教育研究活動を総合的な観点から自己点検・評価し、その結 果を教育研究活動の改善に反映するための委員会組織を充実し、組織運営の改善を 図る必要がある。
大学への提言
神戸学院大学 大学への提言1)長所 1. 「海外の薬剤師に学ぶⅠ」は、実際に米国薬学研修を介して日本および米国の医療制 度の相違点を体験するものであり、有意義な科目と評価できる。(4.薬学専門教育の 内容) 2. 留年生などを対象として、再学修ノートのチェックと指導が行われる。(8.成績評価・ 進級・学士課程修了認定) 2)助言 1. 神戸学院大学学則第2条の7として設定されている「教育研究上の目的」と「本学6 年制薬学部教育に対する基本方針と教育・研究理念」の内容および文言を統一し、「教 育研究上の目的」を一本化することで、学生および社会からの理解が深まるように努めることが望まれる。(1.教育研究上の目的) 2. 学則をはじめとする大学必須の情報については、学生や社会に誤解を生まないよう、 常に更新することが望まれる。(1.教育研究上の目的) 3. 薬学部時間割(薬学部の独自科目に関する時間割)と共通教育時間割(共通教育に関 する時間割)を比べると、必修の薬学専門科目や演習と、教養科目の講義時間が重複 しており、教養科目の履修がかなり制限されているので、教養科目の履修時間を増や すことが望ましい。(3.医療人教育の基本的内容) 4. 医療安全教育においては、「演習実習ⅠB」と「病院・薬局に行く前に」以外の科目 でも、薬害、医療事故の被害者やその家族、弁護士や医療における安全管理者など、 外部の講演者による授業を行うことが望ましい。(3.医療人教育の基本的内容) 5. 薬学部、栄養学部、総合リハビリテーション学部の連携の下に行われている専門職連 携教育の受講者を増やす努力が求められる。(3.医療人教育の基本的内容) 6. 大学独自の内容を含む専門科目は、アドバンスト科目(授業の一部含む)として「海 外の薬剤師に学ぶⅠ、Ⅱ、Ⅲ、Ⅳ」、「バイオ医薬品とゲノム情報」、「保険調剤業務」 など8科目が開講されているが、特に「海外の薬剤師に学ぶⅡ、Ⅲ、Ⅳ」については 履修者が極端に少ないので、履修者が増えるようにシラバスや時間割を見直すことが 望ましい。(4.薬学専門教育の内容) 7. 「病院・薬局に行く前に」の成績評価について、技能の習得度や態度、演習実習の取 り組み、注意事項の順守を評価するための評価尺度は設定されておらず、適切な評価 は行われていない。また、技能や態度について、筆記試験での評価は不適切である。 したがって、技能や態度については、目標到達度を評価するための基準や評価尺度な どを用いた評価を実施することが望まれる。(5.実務実習) 8. 「演習実習ⅡA、ⅡB」、「演習実習ⅢA、ⅢB」の成績評価基準方法・基準について、 シラバスと実習テキストで、その内容が異なっているので、統一することが望まれる。 (6.問題解決能力の醸成のための教育) 9. 卒業研究の実体となる「総合薬学研究Ⅰ」、「総合薬学研究Ⅱ」については、現状のシ ラバス、時間割などからは、十分な学習成果を上げることは難しいと言わざるを得な いので、卒業研究相当科目の実施時間、実施状況を適切に反映したシラバスおよび時 間割を作成することが求められる。(6.問題解決能力の醸成のための教育) 10.アドミッション・ポリシーは一度作成したら頻繁に見直すものではないと述べられて いるが、アドミッション・ポリシーは機会あるごとに検証することが望ましい。(7.学生の受入) 11.プレイスメント・テストの結果を用いて、入学者選抜の適切性を検証することが望ま れる。(8.成績評価・進級・学士課程修了認定) 12.教員一人当たりの学生数は 29.2 名であり、教員の増員が望まれる。(10.教員組織・ 職員組織) 13.担当授業時間数は、できるだけ均等にすることが望まれる。(10.教員組織・職員 組織) 14.大学として薬学教育の実施に十分な薬学部事務組織を構築することが望まれる。(1 0.教員組織・職員組織) 15.大学全体の英語及び中国語のホームページを開設しているが、薬学部のオリジナルサ イトに対応する英文ホームページは見当たらず、薬学部の活動を広く発信していると は言い難い。薬学部の活動全般を発信する英文ホームページの開設が望まれる。(1 2.社会との連携) 16.自己点検・評価を行う委員会には、外部委員を含めることが望ましい。(13.自己 点検・評価) 3)改善すべき点 1. カリキュラム・ポリシーが、各学年で行う教育の一般的な概要を列挙したものとなっ ているので、「教育研究上の目的」及び「学位授与の方針」を反映したものに改善する ことが必要である。(2.カリキュラム編成) 2. 4年次「薬学総合科目Ⅰ」、「薬学総合科目Ⅱ」、6年次「薬学総合科目Ⅲ」および薬学 複合科目群で共用試験、国家試験の対策講義に多くの時間が充てられているので、「薬 学共用試験及び薬剤師国家試験受験準備教育」に偏重した教育とならないよう、カリ キュラムを見直すべきである。(2.カリキュラム編成) 3. 「薬学総合科目Ⅰ」の講義を学外の国家試験予備校の講師が担当していることは不適 切なので、改善が必要である。(2.カリキュラム編成) 4. 2年次の「薬学演習」、3年次「信頼関係の構築・調剤の基礎」など、同一科目で担当 教員が異なる場合、教員間で「授業の目的」、「到達目標」、「成績評価方法・基準」を 統一すべきである。特に2年次の「薬学演習」については、「授業の目的」を見直し、 その目的に応じた「成績評価方法・基準」を設定し、成績評価を適切に実施する必要 がある。(3.医療人教育の基本的内容)5. 「ヒューマニズム教育・医療倫理教育」、「コミュニケーション能力および自己表現能 力を身につけるための教育」では、各科目の到達度を評価するための指標を設定し、 それに基づいて、成績評価を適切に実施する必要がある。(3.医療人教育の基本的内 容) 6. 「ヒューマニズム教育・医療倫理教育」、「コミュニケーション能力および自己表現能 力を身につけるための教育」について、それぞれの科目を総合した目標達成度を評価 するための指標を設定し、それに基づいて適切に評価する必要がある。(3.医療人教 育の基本的内容) 7. 「薬学への招待」、「薬用植物と生薬」、「栄養と健康」、「化学物質の生体への影響」な ど、学習領域として技能を修得させることが到達目標とされている科目については、 実際に技能を習得することを目的に含めた上で学習方略を設定し、成績評価を実施す べきである。(4.薬学専門教育の内容) 8. 実務実習事前学習に相当する「病院・薬局に行く前に」は、実務実習モデル・コアカ リキュラムで求められた教育目標に対する122コマを充足するように改善すべきであ る。(5.実務実習) 9. 実務実習事前学習全体に関して、目標達成度を評価するための指標を設定し、それに 基づいて適切に評価する必要がある。(5.実務実習) 10.卒業研究の一部である「原著論文を読む」は、実態に合わせて必修科目に変更すべき である。(6.問題解決能力の醸成のための教育) 11.「原著論文を読む」、「演習実習Ⅳ」の授業時間を時間割に明示するとともに、これら の科目の成績評価の基準を設定し、卒業研究の一環として厳正な成績評価を行うよう 改善すべきである。(6.問題解決能力の醸成のための教育) 12.卒業研究相当科目の成績評価が厳正なものとなるよう、客観的な評価の基準と尺度に 基づく評価方法に改善すべきである。(6.問題解決能力の醸成のための教育) 13.問題解決能力の醸成に向けた教育において、総合的な問題解決能力の目標達成度を評 価するための指標を設定し、それに基づく評価を実施することが必要である。(6.問 題解決能力の醸成のための教育) 14.恒常的に留年者、休学者、退学者が非常に多い(特に1年次)。休学者と退学者、およ び留年者の人数の合計が入学定員の2割を超えている事実は、入学試験の形態にかか わらず、入学者の目標や学力と、大学が入学者に求めている学習や学力に乖離がある 可能性を示唆しており、入試制度の改善が必要である。(7.学生の受入)15.「薬学総合科目Ⅰ」の成績評価に国家試験予備校による模擬試験を用いることは極め て不適切である。(8.成績評価・進級・学士課程修了認定) 16.「薬学総合科目Ⅱ」については、シラバスに「成績は薬学共用試験OSCEの本試験 および再試験の成績を含めて総合的評価とする」示されており、その成績評価に「薬 学共用試験」の結果を利用していることは大学としての公正かつ厳格な成績評価およ び単位認定という観点から著しく不適切であるので、早急に改善する必要がある。(8. 成績評価・進級・学士課程修了認定) 17.大学の学則上で定められていない「追加試験」により、成績評価を行うなど不適切な 成績判定を改める必要がある。(8.成績評価・進級・学士課程修了認定) 18.「薬学総合科目Ⅲ」を、講義実体のある科目に修正し、卒業試験として、その講義内 容の修得度を評価するための適正な試験を実施する必要がある。(8.成績評価・進級・ 学士課程修了認定) 19.卒業試験合格基準に示されている、「教授会が認めた者」とあるが、公平、厳格な学士 課程の修了判定が行えるように改善する必要がある。(8.成績評価・進級・学士課程 修了認定) 20.卒業留年生に対する卒業試験の内容、卒業判定基準について、前期卒業希望生と後期 卒業希望生の差異を解消するとともに、前年度の卒業認定での学力不足を担保するた めの試験として適切なものに改めることが必要である。(8.成績評価・進級・学士課 程修了認定) 21.実務家教員は、教授はみなし教員1名のみであり、他は専任教員の講師が6名である ので、薬剤師養成教育の充実という観点から、職位のバランスを考慮した是正が必要 である。(10.教員組織・職員組織) 22.教員の教育・研究業績については、大学ホームページや印刷物などで毎年公表する必 要がある。(10.教員組織・職員組織) 23.神戸学院大学薬学部の教育研究活動を総合的な観点から自己点検・評価し、その結果 を教育研究活動の改善に反映するための委員会組織を充実し、組織運営の改善を図る 必要がある。(13.自己点検・評価)
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1:提言 改善報告審議結果 |
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3:但し書き 改善報告審議結果 |
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| 神戸薬科大学 | 私 | 兵庫県 | 第1期 |
2016年度 |
適 |
自己点検・評価書 基礎資料 正誤票 |
評価報告書
総評
神戸薬科大学 総評神戸薬科大学薬学部薬学科は、大学の理念に基づいた教育研究上の目的を「教育基本法 及び学校教育法の規定するところに従い、高い教養と専門的能力を培うことによって、医 療人としての使命感と倫理観を十分に理解し、高度な薬学の知識を身につけた薬剤師並び に教育・研究者を育成すること、さらに医療と薬事衛生の向上に貢献することを目的とす る。」と学則第1条に規定している。その上で、学位授与の方針(ディプロマ・ポリシー)、 教育課程の編成・実施方針(カリキュラム・ポリシー)、入学者受入方針(アドミッショ ン・ポリシー)を大学の理念や教育研究上の目的に基づいて設定し、薬剤師養成教育に課 せられた基本的な使命を踏まえた6年制薬学教育を実践している。 自己点検時に実施されていた3つのカリキュラムは、責任ある体制で設定された同一の カリキュラム・ポリシーに基づいて、基礎教育科目、教養教育科目および専門教育科目で 構成されている。薬学専門教育は、いずれも薬学教育モデル・コアカリキュラムに準拠し ている。 基礎教育科目には、薬学専門教育の実施に向けた準備教育としての化学、生物、物理、 数学の内容が設定され、一部の授業は能力別クラスで行われている。また、補講によるリ メディアル教育も行われている。教養教育科目には多様な選択科目が設定されており、8 単位以上の修得が2年次から3年次への進級要件となっている。また、必修の教養教育科 目である2年次の「総合文化演習」は 13 コースから1コースを選択する特徴的な科目であ る。語学教育においては、特に英語教育に力を入れており、少人数クラスで一般英語から 専門英語へと段階的に学習できる体系となっている。さらに、アメリカでの「海外薬学研 修」も4、5年次の選択の専門教育科目として単位化(1単位)されている。選択の専門 教育科目である1年次の「初期体験臨床実習」と5年次の「IPW演習」(IPW: Interprofessional Work)は神戸大学医学部との連携科目であり、チーム医療における多 職種間医療人協働の重要性を学ぶ特徴的な教育プログラムとなっている。実験実習は全領 域に渡って必修科目として十分に行われており、問題解決能力の醸成に係る教育は卒業研究も含めて単位上は十分に設定されている。国家試験の受験準備教育に相当する「薬学演 習」を履修している学生は6年次の卒業研究時間が少なくなっているが、全体としては薬 学共用試験や薬剤師国家試験の合格のみを目指した教育に過度に偏ったカリキュラムには なっていない。 実務実習に向けた事前学習のための設備は良く整備されており、実務実習は、薬学臨床 教育センターおよび実務実習運営委員が中心となって、主に近畿地区調整機構との連携に より適正に行われている。他地区の調整機構を介したふるさと実習も認めている。 学生の受入はアドミッション・ポリシーに基づいた入学試験により厳正に行われている。 入学後は、薬学基礎教育センターおよび学生支援センターによる履修指導・学習支援、多 様な学内奨学金制度、学生の健康維持に関する様々な取り組みにより、きめ細やかな修学 支援が行なわれている。キャンパス内の学習環境には現状でも大きな問題はないが、古い 建物の改築などのキャンパス整備が順次進行中である。 教員の採用および昇進は内規と選考基準に基づいて厳正に行われており、十分な教育・ 研究能力を有する専任教員が配置され、他大学等との共同研究も熱心に行われている。ま た、必要に応じて学外の様々な人的資源も活用している。 薬剤師認定制度認証機構から「生涯研修プロバイダー」の認証を受け、活発な卒後研修を 実施しており、学内に設立されたエクステンションセンターが主催する研修講座を学生も 無料で受講できるようにしている。 以上のように、神戸薬科大学薬学部薬学科の教育プログラムは、本機構の評価基準に おおむね適合しているが、特に以下のような問題点について、さらなる改善が必要である。 (1)6年次必修科目の「薬学演習」および卒業延期生の卒業認定に関わる正規教育に予 備校の講師が大きく関与している。 (2)一部の学生については、受験準備教育に相当する「薬学演習」との組合せにより6 年次の卒業研究の時間数が少なくなっている。 (3)シラバスにおいて、「学習方略(授業方法)」および「大学独自の薬学専門教育」が 明示されていない。 (4)卒業研究の評価のための統一的な指標が具体的に設定されていない。 (5)教育研究プログラムの恒常的な自己点検・評価と、それに基づく改善が不十分であ る。 神戸薬科大学薬学部薬学科には、今回の評価における提言を踏まえ、薬科単科大学とし ての特色を活かした薬学教育の推進を通してさらに発展することを期待する。
大学への提言
神戸薬科大学 大学への提言1)長所 1. アメリカでの「海外薬学研修」が4年次と5年次に共通の選択科目として単位化(1 単位)されていることは、大学独自の専門教育として優れた取り組みである。(4.薬 学専門教育の内容) 2. 薬学基礎教育センターおよび学生支援センターによる履修指導・学習支援、多様な学 内奨学金制度、学生の健康維持に関する様々な取り組みにより、学生に対するきめ細 やかな修学支援が行なわれている。(9.学生の支援)2)助言 1. 「教育研究上の目的」について、学則内の記載に加えて独立した形式で、シラバス、 学生の手引き、キャンパスガイド、ホームページなどに明示し、教職員や社会へ適切 に周知・公表することが望ましい。(1.教育研究上の目的) 2. 「教育目標」に、医療人としての活動に必要なコミュニケーション能力の修得を設定 することが望ましい。(1.教育研究上の目的) 3. 「教育研究上の目的」を検証する体制を確立し、定期的に検証することが望ましい。 (1.教育研究上の目的) 4. 平成27年度のシラバスには、カリキュラム3の「薬学教育モデル・コアカリキュラム 関連図」のみが掲載されている。カリキュラム・マップも掲載することが望ましい。 (2.カリキュラム編成) 5. カリキュラム1と2のカリキュラム・マップも作成することが望ましい。(2.カリ キュラム編成) 6. ディプロマ・ポリシーの改訂に伴うカリキュラム・ポリシーの改訂を早急に行うこと が望まれる。(2.カリキュラム編成) 7. 実務実習全体の総合的な学習成果を評価するための指標を設定し、それに基づいて適 切に評価することが望ましい。(5.実務実習) 8. 問題解決能力の醸成に関する科目の体系性を点検・検討することが望ましい。(6.問 題解決能力の醸成のための教育) 9. 指定校制推薦入学試験以外の入学試験において、面接等で医療人としての適性を評価 する工夫が望まれる。(7.学生の受入) 10. 指定校制推薦入学試験において、基礎学力を適確に評価することが望まれる。(7.学 生の受入) 11. レポートや課題、受講態度等の評価基準をシラバスに可能な限り示すことが望まれ る。(8.成績評価・進級・学士課程修了認定) 12. 古い建物についてもバリアフリー化が望まれる。(9.学生の支援) 13. 実験実習における指導者一人当たりの学生数は25~30名であり、実習の安全性の観点 から指導者の増員が望まれる。(9.学生の支援) 14. 専任教員一名あたりの学生数について、さらなる改善が望まれる。(10.教員組織・ 職員組織) 15. 授業評価アンケートを毎年行うとともに、回収率を高める工夫が望まれる。(10.教員組織・職員組織) 16. 実務経験を有する教員の定期的な臨床研修を十分に実施するための環境整備が望まれ る。(10.教員組織・職員組織) 17. 専任教員の構成について、准教授と講師の人数バランスの改善が望まれる。(10.教 員組織・職員組織) 18. 各研究室に3学年の学生が配属されて学生の研究スペースが狭いことが問題となって いるので、改善が望まれる。(11.学習環境) 19. 教員の1年以上の海外研修が可能となるような環境整備が望まれる。(12.社会との 連携) 20. 医療界や産業界と連携した活動の推進が望まれる。(12.社会との連携) 3)改善すべき点 1. 単位が付与された正規科目である「薬学演習」の授業のすべてを予備校講師が担当す ることは極めて不適切であり、改善する必要がある。(2.カリキュラム編成) 2. 早期臨床体験において、地域の保健・福祉を見聞する体験学習を実施する必要がある。 (3.医療人教育の基本的内容) 3. ヒューマニズム教育・医療倫理教育、コミュニケーション能力および自己表現能力を 身につける教育において、目標達成度を評価するための指標を設定し、それに基づい て適切に評価する必要がある。(3.医療人教育の基本的内容) 4. 学習方略をすべての科目のシラバスに記載する必要がある。(4.薬学専門教育の内容) 5. 大学独自の薬学専門教育の内容を周知させるために、それをシラバスで容易に確認で きるように工夫する必要がある。(4.薬学専門教育の内容) 6. 実務実習事前学習全体としての目標達成度を評価するための指標を設定し、それに基 づいて学習成果を適切に評価する必要がある。(5.実務実習) 7. 一部の学生については、受験準備教育に相当する「薬学演習」との組合せにより6年 次の卒業研究の時間数が少なくなっているので、改善する必要がある。(6.問題解 決能力の醸成のための教育) 8. 卒業研究の評価のための統一的な指標を具体的に設定し、それに基づいて評価する必 要がある。(6.問題解決能力の醸成のための教育) 9. 問題解決能力の醸成において、目標達成度を評価するための指標を設定し、それに基 づいて適切に評価する必要がある。(6.問題解決能力の醸成のための教育)10. 卒業延期生の卒業認定に関わる科目(「総合薬学講座」)のかなりの部分を予備校に依 頼していることは不適切であり、改善する必要がある。(8.成績評価・進級・学士課 程修了認定) 11. 教育研究プログラムの恒常的な自己点検・評価と、それに基づく改善が不十分である ので改善する必要がある。(13.自己点検・評価)
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1:提言 改善報告審議結果 |
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| 静岡県立大学 | 公 | 静岡県 | 第1期 |
2016年度 |
適 |
自己点検・評価書 基礎資料 正誤票 |
評価報告書
総評
静岡県立大学 総評静岡県立大学薬学部は、6年制の薬学科と4年制の薬科学科の2学科を設置し、一括入 試後、3年次後期に分科が行われる。薬学部の教育研究上の目的は、「医療の進歩に対応で きる専門的な知識・技術を有し、高い資質を身に付けた薬剤師を養成し、および医薬品に 関連する基礎知識・技術を習得し、創薬・育薬を総合的に理解できる人材を養成する」と 規定され、この目的に基づき、入学者受入方針(アドミッション・ポリシー)、教育課程の 編成・実施の方針(カリキュラム・ポリシー)、学位授与の方針(ディプロマ・ポリシー) が設定されている。 薬学科における基本教育として、多彩な「教養科目」や、静岡特有の歴史・文化、防災 医療システムや地域産業を取り扱う「しずおか学」が設定されている。また、薬学部の語 学教育のために専任講師が雇用されているなど、社会のグローバル化に対応した英語教育 が充実している。さらに、「静岡救命連携演習」は東海地震等での緊急対応に向けた大学独 自のプログラムであり、チーム医療に貢献する取り組みとしても優れている。相手の話を 傾聴し、共感するなど、コミュニケーションの基本的能力を身につけるための教育も行わ れている。薬学専門教育も薬学教育モデル・コアカリキュラムの教育目標に準拠して実施 されている。カリキュラム編成は国家試験や共用試験対策に過度に偏重することなく、4 年次からの研究室での卒業研究「総合薬学研究」も期間が十分確保されている。問題解決 能力醸成に向けた科目については、「総合薬学研究」と併せて合計単位数が卒業要件単位数 の1/10 以上となっている。実務実習事前学習は実務実習モデル・コアカリキュラムに準拠して4年生後期を中心に 実施されている。実務実習も適切に実施されており、Ⅰ期とⅡ期で行われているため、事 前学習からの連続性も保たれている。 入学者の選抜は、一般入試、推薦入試、帰国子女ならびに私費留学生入試により行われ、 基礎学力が的確に評価されている。修学状況は良好であり、入学時に薬学教育を受けるの に必要な基礎学力がある学生を入学させていると言える。さらに、推薦入試においては面 接で薬学を志す者としての資質を評価するなど、医療人としての適性を評価している。定 員数からの大きな乖離はない。 進級判定の審議は、薬学部履修細則に基づいて、公正かつ厳格に行われており、卒業要 件も適切に設定されている。 アドバイザー(担任)制度が設定され、学生の履修指導が行われている。学生の経済的 支援や健康維持に関する体制は整備され、ハラスメント対策も充実していると言える。キ ャリア支援体制や学生の意見を収集し反映するための体制もおおむね整っている。実習等 での安全への配慮としては、「安全実験マニュアル」が配付され、安全教育が行われている。 防災マニュアルは学生および教職員に周知され、地震および火災避難訓練が毎年実施され ている。身体に障がいのある者に対しては、学修・生活上の支援のために学生部学生室に 学生相談窓口を設け、意見を聞く体制をとっており、施設・設備上の支援が行われている。 専任教員は各専門分野において、研究・教育に優れた実績を有するものが配置されてお り、教員数も大学設置基準を十分満たしている。実務家教員も 10 名配置され基準を大幅に 上回っている。また、教員1名当たりの学生数は、約 8.7 名となっており、きめ細かく指 導ができる適切な教員数となっている。研究環境や学習環境にも大きな問題はない。 社会との連携として、実務実習の指導拠点ともなっている、静岡県立総合病院内に開設 した薬学教育・研究センターとの病院臨床共同研究や、創薬探索センターによる産業界と の連携、同窓会組織との連携による卒後教育講座などが実施されている。 以上のように、静岡県立大学薬学部薬学科の薬学教育プログラムは、本機構の評価基準 におおむね適合していると判断される。しかしながら、主な改善すべき点として、以下が 挙げられる。 (1)6年制薬学科の「教育研究上の目的」を、4年制薬科学科のものと区別して学則等に 明記し、広く公表する必要がある。 (2)シラバスには、授業方略が記載されていない科目や、評価方法・基準が不適切なもの が散見されるため、改善する必要がある。(3)薬科学科と区別した薬学科のディプロマ・ポリシーが定められていないので、改善す る必要がある。 (4)成績評価の公正化や厳格化を図るために、成績評価の基準・方法に関して、統一した 学部内での内規あるいは申し合わせを明文化する必要がある。また、各科目の成績評 価方法・基準をシラバスに明確に記載する必要がある。 (5)「実務事前実習」のシラバスには、共用試験OSCEの結果を単位認定に用いるとの 記載があり、改善すべきである。 (6)6年制薬学教育プログラムを自己点検・評価するために、薬学部内に定期的に検証す る組織や規程を早急に整備して、内部質保証を図る必要がある。 以上の重要な問題点に加えて、その他の指摘についても適切に対応することで、より優 れた薬学教育が展開されることを期待する。
大学への提言
静岡県立大学 大学への提言1)長所 1. 教養科目としての「しずおか学」および医療人養成教育としての「静岡救命連携演習」 は、大学が掲げている、「病院・薬局などの医療現場で活躍し多職種連携に貢献できる 人材だけでなく、県民や国民の安心・安全のために薬務行政・保健衛生に従事する人 材や企業等において研究開発に携わる人材を育成」にも合致しており、特色ある優れ たプログラムとして評価できる。(3.医療人教育の基本的内容) 2)助言 1. 「教育研究上の目的」は、学生だけでなく、教職員にも周知徹底することが望ましい。 (1.教育研究上の目的) 2. 「教育研究上の目的」を点検・評価して、取りまとめる組織体制を整備し、定期的に 検証することが望まれる。(1.教育研究上の目的) 3. 6年制薬学科のカリキュラム・ポリシーに「教育研究上の目的」に相当するものが含 まれており、両者を区別して記載することが望まれる。(2.カリキュラム編成) 4. 薬学教育カリキュラムのどの科目が、ディプロマ・ポリシーのどの項目に対応してい るのか明記されたカリキュラム・マップにすることが望まれる。 (2.カリキュラム 編成) 5. カリキュラム・ポリシーを責任ある組織体制で、定期的に点検・評価し、検証するこ とが望まれる。(2.カリキュラム編成) 6. 医療人教育を、全学年を通して体系的に行うことが望ましい。(3.医療人教育の基 本的内容) 7. 薬害、医療過誤、医療事故等の被害者やその家族、弁護士、医療における安全管理者 を講師とする科目を開講することが望まれる。(3.医療人教育の基本的内容) 8. 医療人教育に関する科目のシラバスに、学習方法を明記することが望ましい。(3. 医療人教育の基本的内容) 9. 模擬患者、模擬医師として、外部協力者やSPが実務実習事前学習の指導体制に加わ ることが望ましい。(5.実務実習)10. 問題解決能力の醸成のための教育に関し、卒業研究以外の科目においてもそれぞれの 目標到達度を評価する指標の設定とそれに基づく適切な評価を行うことが望まれる。 (6.問題解決能力の醸成のための教育) 11. 遺伝子組み換え実験、放射性物質取り扱い実験に関する災害対策マニュアルを作成す ることが望ましい。(9.学生の支援) 12. 3年次後期の分科において、振り分けがスムーズに行われているのか、学生の満足度 を調査・検証することが望ましい。(9.学生の支援) 13. 事務職員が大学共通部署に配属されており、薬学部専任の事務職員が3名と少なく、 増員することが望ましい。(10.教員組織・職員組織) 14. 実務家教員の授業時間は演習・実習を中心に週25時間以上であり、負担を軽減すること が望ましい。(10.教員組織・職員組織) 15. 薬学部専用で利用できる情報処理室のパソコンの台数が44台と限られており、CBT 試験が薬学部棟内で実施できるように、パソコン台数を増やすことが望まれる。(1 1.学習環境) 16. 老朽化した共同機器の更新を検討することが望まれる。(11.学習環境) 17. 講義によっては学生一人当たりのスペースが十分でない場合もあり、ゆとりのある講 義室の確保が望ましい。(11.学習環境) 18. 自己点検・評価を行う委員会の構築にあたっては、外部委員を含めることが望ましい。 (13.自己点検・評価) 3)改善すべき点 1. 6年制薬学科の「教育研究上の目的」を、4年制薬科学科のものと区別して学則等に 明記し、広く公表する必要がある。(1.教育研究上の目的) 2. ヒューマニズム教育・医療倫理教育およびコミュニケーション教育の関連科目の学習 成果を総合した目標達成度評価の指標を定めて、それに基づいて適切に評価する必要 がある。(3.医療人教育の基本的内容) 3. シラバスの記載について、以下のような点を改善すべきである。(4.薬学専門教育 の内容) ① 授業方略が記載されていない科目や、評価方法・基準(試験、レポート等 の寄与率の不記載。「出席点」の記載。「再試験」の実施の有無の不記載。) が不適切なものが散見される。② 複数の科目において同じ到達目標(SBOs)が挙げられているものがあ る。到達目標(SBOs)は、薬学専門教育の各ユニットの一般目標(G IO)に関連性の高い科目にしぼって記載する必要がある。 ③ 専門科目単位の30%程度を大学独自科目として開講し、それらの内容の独 自性をシラバス等に明記する必要がある。 4. 実務実習事前学習の成果全体についての目標達成度を評価するための指標が設定され ておらず、それに基づく評価も行われていないため、評価方法については改善が必要 である。 (5.実務実習) 5. 「総合薬学研究」において学部共通の適切な評価法や評価基準を定めて評価する必要 がある。(6.問題解決能力の醸成のための教育) 6. 問題解決能力の醸成のための教育の目標達成度を総合的に評価する指標の設定と適切 な評価を行う必要がある。(6.問題解決能力の醸成のための教育) 7. 薬科学科と区別した薬学科のディプロマ・ポリシーが定められていないのは改善する 必要がある。(8.成績評価・進級・学士課程修了認定) 8. 成績評価の公正化や厳格化を図るために、成績評価の基準・方法に関して、統一した 学部内での内規あるいは申し合わせを明文化する必要がある。また、各科目の成績評 価方法・基準はシラバスに明確に記載することが必要である。(8.成績評価・進級・ 学士課程修了認定) 9. 「実務事前実習」のシラバスの成績評価方法に「④客観的臨床能力評価試験(OSC E)での最終評価」と記載されているが、共用試験OSCEの結果を「実務事前実習」 の単位認定に用いていることになり、改善すべきである。(8.成績評価・進級・学 士課程修了認定) 10. 6年制薬学教育プログラムを自己点検・評価するために、薬学部内に定期的に検証す る組織や規程を早急に整備して、内部質保証を図る必要がある。(13.自己点検・ 評価) 11. 自己点検・評価・改善などのPDCAサイクルを機能的に回していく必要がある。(1 3.自己点検・評価)
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1:提言 改善報告審議結果 |
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3:但し書き 改善報告審議結果 |
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| 新潟薬科大学 | 私 | 新潟県 | 第1期 |
2016年度 |
適 |
自己点検・評価書 基礎資料 正誤票 |
評価報告書
総評
新潟薬科大学 総評新潟薬科大学薬学部では、大学の理念「生命の尊厳に基づき、薬学及び生命科学両分野 を連携させた教育と研究を通して、人々の健康の増進、環境の保全、国際交流や地域社会 の発展に貢献する高い専門性と豊かな人間性を有する有為な人材の育成とともに、社会の 進歩と文化の高揚に有益な研究成果の創出を理念とする」に基づき、教育研究上の目的を 「国民に信頼され、医療に貢献できる高度な薬学を修め、医療人たる崇高な倫理観と豊か な人間性をもち、地域における人々の健康増進や公衆衛生の向上に貢献するとともに医療 の進展に資する研究心を有する薬剤師を育成する」としている。この目的のもと、学位授 与方針(ディプロマ・ポリシー)、教育課程の編成・実施方針(カリキュラム・ポリシー) および入学者受入方針(アドミッション・ポリシー)を「改訂薬学教育モデル・コアカリ キュラム」(以下、改訂コアカリ)および「薬剤師として求められる基本的な資質」に照ら して制定している。 これらを踏まえ、薬学科の教育課程は、教養教育、語学教育、薬学専門教育、実習およ び演習、卒業研究から構成されている。特に新潟の地域性、地域医療を意識したボランテ ィア活動や住民を対象とした調査などを通して、実践的に地域医療教育やコミュニケーシ ョン教育に取り組んでいることは評価できる。教養教育は、自然科学系、体育、人文社会 系などに区分され設定されている。語学教育は、新潟の地域を意識し、近隣諸国の語学を 修得できる機会を提供している点は評価できる。また、学生がWeb上から利用できるテ ィーチング・ポートフォリオ、自己学習支援システムとして各科目の授業資料や理解度の 形成的評価が確認できるラーニング・ポートフォリオとして、Cyber-NUPALSを独自 に開発・運用しており、利便性のある有効なシステムとして評価できる。 医療人の基本としてのヒューマニズムやコミュニケーション教育については、1年次に 学んだ結果が、4年次の「事前学習」および「実務実習」において実践されている。 学習環境については、講義・演習室、図書室、実務実習事前学習施設・設備、研究用の 施設・設備などが整備されており、適切である。学生への教育支援については、各学年の最初に新年度ガイダンスを実施し、適切な履修指導が行われている。学生への経済支援と しては、授業料の減免、各種奨学金等の経済的支援などを行っており、情報提供の窓口も 事務部学生支援課で集中的に行い、ホームページや便覧にも掲載しており、十分に機能し ている。健康管理、メンタルヘルス、ハラスメント防止、障がい学生支援、バリアフリー 対策、キャリアサポートなどの支援も十分に行われている。学生の意見を教育や学生生活 に反映させるための体制も整えられており、学習環境の改善に活かされている。 しかし、主な改善すべき点として以下があげられる。 (1)6年次のカリキュラム編成が国家試験準備教育のために過密となり、卒業研究や大 学独自科目の履修が圧迫されているので、改善すべきである。 (2)入学後の学力補完教育にもかかわらず、毎年1年次の退学者と留年者が合計20~30 名である現状は、補完教育によっても薬学を学ぶために必要な基礎学力に到達させる ことができない学生を入学させている可能性が高く、入試制度の改善が必要である。 (3)国家試験対策科目と見なされる「薬学総括演習Ⅱ(6年次通年 必修:11単位)」が 未修得であるために平成27年度は在籍者の約30%が6年次留年となる現状を改善する ことが必要である。 (4)教員の教育研究の能力の向上を図るためにFD(Faculty Development)活動の活性 化を図る必要がある。 (5)薬学部が主管する6年制薬学教育プログラムに対する自己点検・評価を行うための 項目を設定し、評価を継続的に実施することが必要である。 新潟薬科大学薬学部は、地域に密着した教育研究体制を構築し、教育・研究への真摯な 姿勢と活動が認められ、薬剤師教育の発展の一翼を担うものとして期待できる。 今後は、今回の評価における「改善すべき点」として指摘した諸問題を全教員で共有し、 改善に取り組むことによって、「命を守るプロフェッショナル」としての薬剤師を輩出する 教育に対し、さらなる発展を目指して邁進されることを期待する。
大学への提言
新潟薬科大学 大学への提言1)長所 1. 教育研究上の目的にある「地域における人々の健康増進や公衆衛生の向上に貢献する」 に基づき、様々なボランティア活動を必修として実践的に地域医療教育やコミュニケ ーション教育に取り組んでいる。(3.医療人教育の基本的内容) 2. 学生がWeb上から利用できるティーチング・ポートフォリオ、自己学習支援システ ムとして各科目の授業資料や理解度の形成的評価が確認できるラーニング・ポートフ ォリオなど、Cyber-NUPALSを独自に開発・運用しており、これらは有用なシス テムとして評価できる。(4.薬学専門教育の内容) 3. 卒業研究の評価に学部共通のルーブリック評価を用いた評価基準が明確に示され、公 正かつ厳格に評価が行われている。(6.問題解決能力の醸成のための教育)2)助言 1. 学生便覧やホームページ上に薬学部の教育研究上の目的が記載されているが、表記に ばらつきが見られるので、統一することが望まれる。(1.教育研究上の目的) 2. 医療安全教育において、患者や薬害被害者だけでなく、現場の医師、薬剤師、弁護士 などの人的資源の採用が望まれる。(3.医療人教育の基本的内容) 3. 「メディカル・スタッフと共に学ぶ」は医療における多職種連携を学ぶために必要な ので、履修者を増やす努力が望まれる。(3.医療人教育の基本的内容) 4. 旧カリキュラムにおいて、コミュニケーションの基本的能力を身に付けるための科目 の学習方略・評価に問題があるので、改善が望まれる。(3.医療人教育の基本的内容) 5. 実務実習の総合的な学習成果を適切な指標に基づいて評価することが望ましい。(5. 実務実習) 6. 医療人としての資質の評価項目としては、病院のみの聴取となっているので、薬局も 同様に聴取できるように統一することが望ましい。(5.実務実習) 7. 学生実習や卒業研究等の担当教員・指導教員の数が十分ではないため、教員等を増や す等の補填を検討することが望ましい。(9.学生の支援) 8. 学生の事務手続きの利便性を図るために、事務窓口の受付時間を延長するなどの配慮 が望まれる。(9.学生の支援) 9. 学生数1,080名に対する助教以上の教員は40名、助手を含め50名なので、専任教員1名 当たりの学生数は、助教以上で27名、助手を含めた場合でも21.6名となり、教員数が 十分な数ではないので、増員が望まれる。(10.教員組織・職員組織) 10. 「実務実習」が教員担当の授業科目として認識されていないので是正が望まれる。(1 0.教員組織・職員組織) 11. 学生による授業評価アンケートの回収率を上昇させる工夫が望まれる。(10.教員組 織・職員組織) 12. 静寂が保たれる学生自習室および少人数グループ用の自習室の充実が望まれる。(1 1.学習環境) 13. 国際交流活動に参加を希望する学生数は減少傾向であるので活性化することが望まれ る。(12.社会との連携) 14. 若い教員の海外研修や留学の推進を図ることが望まれる。(12.社会との連携) 15. 現在公開しているホームページは一部を除き全て日本語表記のみなので、英文による 情報発信が望まれる。(12.社会との連携)16. 6年制薬学教育の恒常的な自己点検・評価を行う委員会を組織する際には、外部委員 を含めることが望ましい。(13.自己点検・評価) 3)改善すべき点 1. 6年次のカリキュラム編成が国家試験準備教育のために過密となり、卒業研究や大 学独自の科目の履修が圧迫されているので、改善すべきである。(2.カリキュラム 編成) 2. ヒューマニズム教育・医療倫理教育およびコミュニケーション能力・自己表現能力を 身に付けるための教育について、それぞれの各科目を総合した目標達成度を評価す るための指標を設定し、それに基づいて適切に評価する必要がある。(3.医療人教 育の基本的内容) 3. 問題解決能力醸成に関する科目を総合して、目標達成度を評価するため、指標を設定 し、それに基づいて適切に評価することが必要である。(6.問題解決能力の醸成の ための教育) 4. 5年次の実務実習や6年次のスケジュール表からみても「卒業研究Ⅱ」に十分な時 間が確保されているとは言えず、改善すべきである。(6.問題解決能力の醸成の ための教育) 5. 入学後の学力補完教育にもかかわらず、毎年1年次の退学者と留年者が合計20~30 名であるという現状は、補完教育を充分に行っても、薬学を学ぶために必要な基礎 学力まで到達させることができない学生を入学させている可能性が高く、入試制度 の改善が必要である。(7.学生の受入) 6. 平成27年度の卒業判定において、国家試験対策科目である「薬学総括演習Ⅱ(6年次 通年 必修:11単位)」が未修得であるために在籍者の29.5%が6年次留年となる現状 を改善する必要がある。(8.成績評価・進級・学士課程修了認定) 7. 6年次留年生の単位認定にかかる通年科目の「薬学総括演習Ⅱ」(11単位)の履修に おいて、一部で教員以外の者が授業を担当していることは問題であり、改善が必要で ある。(8.成績評価・進級・学士課程修了認定) 8. 定期試験と再々試験の問題が全く同じである科目が確認された。当該成績評価の方 法・基準に従って成績評価を公正かつ厳格に行うことの重要性を教員に徹底する必 要がある。(8.成績評価・進級・学士課程修了認定) 9. 教員の教育研究能力の向上を図るためにFD活動の活性化を図る必要がある。(10.教員組織・職員組織) 10. 5年間の教育・研究実績として著書・論文の数が少ない、あるいは全く無い教員も認 められ、教育目標を達成するための基礎となる研究活動を全教員が行うよう改善す ることが必要である。(10.教員組織・職員組織) 11. 薬学部が主管する6年制薬学教育プログラムに対する自己点検・評価を行うための 項目を設定し、継続的に実施することが必要である。(13.自己点検・評価)
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1:提言 改善報告審議結果 |
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| 星薬科大学 | 私 | 東京都 | 第1期 |
2016年度 |
適 |
自己点検・評価書 基礎資料 正誤票 |
評価報告書
総評
星薬科大学 総評星薬科大学薬学部は、建学の精神に基づき、教育研究上の目的を「薬学に関する学理及 び応用を教授、研究し人格の陶冶を図り、医療、福祉及び環境衛生の向上に寄与するとと もに、文化の創造と発展に貢献すること」と学則に定めている。そして、薬剤師養成を目 的とする薬学科の教育研究上の目的を「臨床現場において高度な専門性を発揮できる薬剤 師の養成を目指すものとする」としている。 教育課程はカリキュラム・ポリシー(教育課程の編成・実施方針)に基づいて編成され ており、教養科目および基礎教育から臨床教育にいたる科目が適切に配置され、「臨床現場 において高度な専門性を発揮できる薬剤師を養成する」ための教育が体系的に行われてい る。医療人としての薬剤師に求められるヒューマニズムやコミュニケーション能力の醸成 のための教育も適切な方略により行われている。大学独自の薬学専門教育については、多 くの科目が配置されており、多岐にわたる学生の進路に対応している。 実務実習事前学習は、実務実習モデル・コアカリキュラムに準拠し、適切な指導体制の 下に行われている。実務実習を円滑に行うために、実務実習委員会が組織され、助手以上 のすべての専任教員が実務実習に参画している。実務実習には、独自契約施設と関東地区 調整機構の指定施設を使用している。「実務実習」開始前の Post OSCE(OSCE: Objective Structured Clinical Examination)と「実務実習」修了後の Advanced OSC E は、まだ試行段階ではあるが、注目すべき取り組みであり、今後のさらなる発展を期待 したい。 4年次から、講義・基礎実習・演習・実務実習以外の時間を「医療薬学特別実習」とし て、6年次前期まで2年半の間、卒業研究を実施している。6年次の5~6月に発表会が 実施され、最終的に7月までに論文を仕上げている。さらに研鑽を深めることを希望する 学生はその後「アドバンスト特別実習」を選択できる。 薬学教育モデル・コアカリキュラムの改訂に伴い平成27年度より運用が始まった新しい カリキュラムでは、大幅な改訂が行われている。この中では基礎実習の単位数が減っている一方、学科目[薬学研究]を設けており、1年次から4年次まで多くの科目を配置して、 問題解決能力醸成に重きを置いた教育プログラムが実施されつつある。 シラバスには、各科目における学習方略、成績評価の項目毎の評価割合ならびに取り扱 っている到達目標を確実に記載すること、および大学独自科目や問題解決能力醸成に関わ る科目であることを表示することが望まれる。 入学試験はアドミッション・ポリシー(入学者受入方針)に基づいて適正に実施され、 入学者数と入学定員との間には大きな乖離はない。学生の成績評価・進級・学士課程修了 認定はおおむね適切に行われている。学生の支援については、修学支援、奨学金制度、ヘ ルス・メンタルケア、ハラスメント防止、就職支援などの体制が整備されている。 専任教員数は実務家教員を含めて大学設置基準を上回っており、専任教員の職位と年齢 構成も比較的バランス良く配置されている。専任教員数に対する学生数比率も適切な範囲 にある。若手教員が海外留学できる制度も整備されている。教育研究上の目的に沿った教 育を実施するための施設・設備などの学習・研究環境は良好であり、卒後教育や薬剤師会 等との連携により、薬学の発展に努めている。学生の「海外実務実習」や海外の大学との 交流など、積極的な国際活動も行われている。 平成 21 年度以来薬学教育評価機構の基準に基づく自己点検・評価を行っており、その 結果は教育研究活動の改善に反映されている。 以上より、星薬科大学薬学部薬学科は、本機構の評価基準に全体としては適合している と結論できる。 しかし、ヒューマニズム教育・医療倫理教育、コミュニケーション能力および自己表現 能力を身につけるための教育、実務実習事前学習、および問題解決能力の醸成に向けた教 育において、それぞれ目標達成度を評価するための指標を設定し、それに基づいて適切に 評価する点においては本機構の評価基準に達していないため、改善が必要である。 終わりに、星薬科大学薬学部薬学科では、医療界、他大学、産業界との交流・連携を積 極的に行おうとしている。熱心な教員の教育姿勢があるので、改善すべき点および助言を 踏まえ、より一層、 組織的に医療人としての薬剤師の育成に取りくみ、さらに向上発展す ることを期待する。
大学への提言
星薬科大学 大学への提言1)長所 1. 海外の多数の大学と学術交流を行い、海外拠点を設けているなど、積極的に国際活動 が行われている。(12.社会との連携) 2)助言 1. 新旧ともに5項目のカリキュラム・ポリシーに対応したカリキュラムが構成されてい るが、いずれの項目にどの科目が対応しているかは、修学の手引きを詳細に読み込まないと判明しないため、科目とカリキュラム・ポリシーとの関係を明確化することが 望まれる。(2.カリキュラム編成) 2. 薬剤師としての倫理観、使命感、職業観を学ぶ科目やコミュニケーション力の基本を 学ぶ必須科目の中には、シラバスからは学習方略が読み取りづらい科目があるので、 全ての科目において態度を学ぶ学習方略を明示することが望まれる。(3.医療人教 育の基本的内容) 3. 薬害被害者もしくは関係者による講演が、新カリキュラム1年次の「薬学の心構えI」 で行われているが、シラバスにそのことを記載しておくことが望ましい。(4.薬学 専門教育の内容) 4. シラバスの成績評価の方法に、項目ごとの評価割合を記載していない科目が見受けら れるので改善が望ましい。(4.薬学専門教育の内容) 5. シラバスには取り扱っているSBOsをもれなく記載することが望ましい。(4.薬 学専門教育の内容) 6. 大学独自の薬学専門教育であることを、シラバス等に明示することが望ましい。(4. 薬学専門教育の内容) 7. 問題解決能力醸成に重きを置いたとしている科目については、シラバスにその旨を明 記することが望まれる。(6.問題解決能力の醸成のための教育) 8. 問題解決型学習を行う科目が体系的に配置されていることは分かりにくいため、カリ キュラムマップ等により学生が理解できるように示すことが望まれる。(6.問題解 決能力の醸成のための教育) 9. 自己点検・評価は、毎年実施し、公表することが望ましい。(13.自己点検・評価) 3)改善すべき点 1. ヒューマニズム教育・医療倫理教育において、目標達成度を評価するための指標を設 定し、それに基づいて適切に評価する必要がある。(3.医療人教育の基本的内容) 2. コミュニケーション能力及び自己表現能力を身につけるための教育において、目標達 成度を評価するための指標を設定し、それに基づいて適切に評価することが必要であ る。(3.医療人教育の基本的内容) 3. 事前実習の評価対象として、筆記試験、口頭試験、実技試験、SGDプロダクトが設 定されており、実習の内容が反映されていると思われるが、総合的な評価の指標が設定されていないため、目標達成度を評価するための指標を設定し、それに基づいて適 切に評価することが必要である。(5.実務実習) 4. 問題解決能力の醸成に向けた教育において、目標達成度を評価するための指標が設定 され、それに基づいて適切に評価されることが必要である。(6.問題解決能力の醸 成のための教育) 5. 平均点・薬剤師国家試験の合格率を勘案して「総合薬学演習Ⅱ」の再試験の合格最低 点を設定していることは、単位認定の厳格性、公正性の観点から改善する必要がある。 (8.成績評価・進級・学士課程修了認定)
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1:提言 改善報告審議結果 |
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| 北海道医療大学 | 私 | 北海道 | 第1期 |
2016年度 |
適 |
自己点検・評価書 基礎資料 正誤票 |
評価報告書
総評
北海道医療大学 総評北海道医療大学は、「生命の尊重と個人の尊厳を基本として、保健と医療と福祉の連 携・統合をめざす創造的な教育を推進し、確かな知識・技術と幅広く深い教養を身につ けた人間性豊かな専門職業人を育成することによって、地域社会ならびに国際社会に貢 献する」という大学としての教育理念の下で、薬学部の「教育研究上の目的」を「専門 職能人としての豊かな人間性を備え、医薬品に対する基礎と応用の科学の修得により、 科学的根拠に基づいた医療および健康の維持・増進に従事し、地域・国際社会に貢献で きる薬剤師を養成する」と定め、6年制薬学教育を行っている。 薬学部では、「全学教育科目と専門教育科目からなる学士課程教育を組む」という大学 のカリキュラム・ポリシー(教育課程の編成・実施方針)の下に、薬学教育モデル・コア カリキュラムに従って各学年で行われる一般的な教育の概要を列挙した6項目の薬学部の カリキュラム・ポリシーを定めている。これらのカリキュラム・ポリシーに基づいて、薬 学部のカリキュラムは「全学教育科目」と「薬学部専門教育」で構成されている。「薬学 部専門教育」のカリキュラムは、6年制の薬学教育として一般的なものであるが、「モチ ベーションを高め自立的な学習態度を養う教育」を行うことを目的にして、学生が入学時 から「自己評価シート(学修ポートフォリオ)」を作成し、自身の目標達成度や成果、反 省点などを振り返り、自主的・自律的な学習態度と学習意欲の向上が図られている。 実務実習は、実務実習モデル・コアカリキュラムに準拠した137コマの事前学習を終え、 薬学共用試験に合格した学生を対象に行っており、実習施設は地区調整機構との調整を経 て決定している。実務実習における学生の指導や施設の訪問には、実務家教員の他「施設 担当教員」、「学生担任教員」などとして全教員が関与している。卒業研究は、「総合薬学研究」として行われ、4年次から研究室に配属しているが、実 質的な卒業研究は5、6年次に行われている。学生は所属する研究室の指導教員の指導を 受けて「実験研究」と「調査研究」のいずれかを選択して研究を行い、6年次前期の「総 合薬学研究発表会」を経て卒業論文を作成しており、指導教員がそれらに基づいて評価し ている。 入学生は大学のアドミッション・ポリシー(入学者受入方針)に基づいて募集しており、 多くの大学が行っている推薦入試、一般入試、センター試験入試以外に、AO(Admission Office)入試や編入学試験など多様な方法で実施している。AO入試では、受験生の高校 時代の様々な活動、志望理由書、志願者評価書および高校の調査書から医療人としての適 性を評価する工夫がなされている。 成績評価は、成績評価方法と基準をシラバスに明記し、それに従って厳正に行われてい る。進級基準は薬学部履修規程で定め、「学生便覧」に記載し各学年の教務ガイダンスで 周知している。薬学部では、教育研究上の目的に基づく6項目の学位授与の方針を定め、 卒業にはそれらを満たすことを求めているが、「総合薬学研究」の単位認定には卒業試験 に合格することが必要であり、「卒業試験」の合否判定が事実上の卒業判定となっている。 学生の勉学と学生生活をサポートするための体制や制度は整えられており、学生の代表 が意見を集約し、教員と一体となってより良い大学作りを目指す企画立案・実施を行う「S CP(Student Campus President:学生キャンパス副学長)制度」も設けられている。 北海道医療大学薬学部の専任教員数は68名(内実務家教員10名)で、大学設置基準の専 任教員数を満たしており、教授、准教授、講師、助教の比率は適切である。専任教員の教 育研究業績は学部全体としては基準を満たしており、授業科目の担当状況、研究条件など もおおむね適切である。教員の採用と昇任は大学と学部の規程に基づいて行われており、 規程の選考基準も適切である。 講義室、少人数教育に対応する教室、他学部と共用の演習室などの教室は十分に整えら れ、情報処理演習、動物実験センター、アイソトープ研究センター、薬学部附属薬用植物 園など必要な附属施設も整備され、実務実習事前学習を実施するための適切な規模の施 設・設備も整備されている。 北海道医療大学には、全学的な自己点検・評価に対応する「点検評価全学審議会」が設 置されており、薬学部にはその下部組織として「薬学部評価委員会」が置かれ、毎年行わ れている全学的な自己点検・評価の結果は自己点検・評価データ集「MESSAGE」と して公表している。以上、北海道医療大学薬学部の6年制薬学教育プログラムは、本機構の評価基準におお むね適合している。しかし、以下の主な改善を必要とする重大な問題点がある。 (1)6年次の時間割で国家試験準備教育に充てられている時間数が卒業研究の時間数よ り多くなっており、4年次においても薬学共用試験への準備と判断される演習が長時 間行われているなど、特定の学年の教育が受験準備に対する偏重していることは好ま しくないので改善することが必要である。 (2)ヒューマニズム教育・医療倫理教育、コミュニケーション能力を育成する教育、実 務実習事前学習、問題解決能力を醸成する教育で、目標達成度を測定する指標を設定 し、それに基づく適切な評価を行うよう改善することが必要である。 (3)留年すると実習科目を除く当該学年の薬学専門科目を、単位取得済みであっても再 履修することを義務付ける履修規程第30条、卒業研究に相当する必修科目である「総 合薬学研究」の単位認定要件に研究内容とは無関係な「卒業試験」に合格することを 含める履修規程第37条は、不適切な規定であるので改訂することが必要である。 (4)大学全体としての自己点検・評価とそれに基づく改善への取り組みは行われている が、本評価の評価基準が求めている薬学部としての薬学教育プログラムに対する恒常 的な自己点検・評価とそれに基づく向上発展を目指す取り組みが行われていないので、 早急に着手することが必要である。 北海道医療大学薬学部には、本評価で指摘されたこれらの改善を要する点を踏まえ、積 極的に改革を進めることにより、これまで以上に社会から信頼され、期待されるよう更な る薬学教育の向上に努めることが望まれる。
大学への提言
北海道医療大学 大学への提言1)長所 1. 「モチベーションを高め自立的な学習態度を養う教育」として、学生が入学時から自 分自身の学習目標などに関する「自己評価シート(学修ポートフォリオ)」を作成し、 各年度・学期始めに担任教員との面談を通して、学生自身が目標達成度や成果、反省 点などを振り返り、自主的・自律的な学習態度と学習意欲の向上を図っていることは 評価できる。(2.カリキュラム編成) 2. 医療基盤科目の「個体差健康科学/多職種連携入門(1年次)」では、全学合同でPBL 形式により、他学部学生と協同でお互いの職種について相互理解を深め、地域医療・ 福祉の連携について議論しており、大学の特徴を生かしたよい試みとして評価できる。 (3.医療人教育の基本的内容) 3. 学生の意見を収集するための組織や委員会として、担任制を補完する「SCP(Student Campus President:学生キャンパス副学長)制度」が設けられている。この制度は学生 の代表が学生の意見を集約し、教員と一体となってより良い大学作りを目指して各種 プロジェクトの企画立案・実施を行う独自の取り組みであり評価できる。(9.学生 の支援) 4. 参加型学習のための少人数教育ができる教室が豊富に確保され、授業だけでなく、学 生の自主的学習活動にも有効に利用されていることは評価できる。(11.学習環境) 5. 情報処理演習室は、能動的なグループ学習への活用を目指して端末と机の配置をグル ープ討論に適した配置とすることができるなど、自由度が高く多角的に利用できる斬 新な設備と設計が採用されていることは、新しい試みとして評価できる。(11.学 習環境) 2)助言 1. 「学生便覧」、「薬学教育シラバス」、自己点検・評価データ集「MESSAGE」 などに掲載されている教育の理念・目的に関わる項目には、「大学の教育理念」、「大 学の教育目標」、「薬学部の教育研究上の目的」、「薬学部の教育理念」、「薬学部 の教育目標」などがあり、学則の「薬学部の教育研究上の目的」が、学生、教職員、社会に正しく周知されていない恐れがあるので、それらの内容を学則の趣旨と一致さ せることが望ましい。(1.教育研究上の目的) 2. 薬学部のカリキュラム・ポリシーは、薬学教育モデル・コアカリキュラムに従って各 学年で行う教育の一般的な概要を列挙したものであるので、薬学部の「教育研究上の 目的」を反映したものに改善することが望まれる。(2.カリキュラム編成) 3. 大学のカリキュラム・ポリシーに謳われている「全学教育科目」として幅広い教養科 目が開講されているにもかかわらず、薬学部の学生の履修科目が一部に偏っているの で、より幅広く履修するよう指導することが望ましい。(3.医療人教育の基本的内 容) 4. ヒューマニズム教育・医療倫理教育に関わる科目ではワークショップなどの学習方法 を取り入れているとしているが、それらの多くは講義科目で、到達目標の多くが「・・・ を説明できる」、「・・概説できる」など知識の修得を主とするものになっている。 それらの科目について、態度教育を重視する目標・方略・評価を持った教育内容に改 善することが望まれる。(3.医療人教育の基本的内容) 5. 「薬学基礎研究Ⅰ~Ⅲ」は、低学年から研究に取り組むユニークな科目であるが、履 修者が少ないので、受講者を増やすことが望ましい。(4.薬学専門教育の内容) 6. 「自己点検・評価書」で大学独自の授業科目としているものには大学独自の科目とし てふさわしくないもの(国家試験準備など)が含まれているので、大学独自の科目を 充実させることが望ましい。(4.薬学専門教育の内容) 7. 「事前学習」の個々の科目における「態度」の評価項目ならびに「態度」と「日誌」 に関する評価基準の設定が適切でないので、適切な基準を設定して評価を行うことが 望まれる。(5.実務実習) 8. 実務実習モデル・コアカリキュラムに準拠して行われている学習の方法において、技 能に関わる一部の項目(D1-(2)-8、 D1-(3)-3、 D1-(4)-14、15、18、20) に、講義のみで対応していることは問題であり、改善することが望まれる。(5.実 務実習) 9. 「総合薬学研究論文集」には、医療、薬学における位置付けが明確に記載されていな いものがあったので、それらを記載するよう指導することが望ましい。(6.問題解 決能力の醸成のための教育) 10. 「総合薬学研究評価表」には問題解決能力を測定できる具体的な項目が設定されてい ないので、評価表を改善することが望ましい。(6.問題解決能力の醸成のための教育) 11. 入学試験で理科(特に化学)を選択しなくても良いという制度は、入学後の教育に必 要とする基礎学力のない者を入学させてしまう懸念があるので、入学試験科目を改善 することが望ましい。(7.学生の受入) 12. 「調剤学Ⅰ」など一部の科目で技能の到達目標を定期試験で評価していることは好ま しくないので改善することが望ましい。(8.成績評価・進級・学士課程修了認定) 13. 学位授与の方針(ディプロマ・ポリシー)の説明は、学生には1年次のガイダンスで、 教員には新任時のFDで説明しているだけなので、その後も説明の機会を設けて、周 知を徹底するよう改善することが望ましい。(8.成績評価・進級・学士課程修了認 定) 14. 各実習における担当教員数は5〜10名であるが、基礎科目の実習では、指導者1名当 たり学生約30名(学生160名/教員5~6名)となり、教育の安全性を保つ体制が整備 されているとは言い難いので、改善が望まれる。(9.学生の支援) 15. 実務家教員に対する公的な研修制度が設置されていないので、そのような制度を設け ることが望ましい。(10.教員組織・職員組織) 16. 教員の研究業績はホームページで公表されているが、10年近く内容が更新されていな い教員もいるので、教員の研究業績の公開状況を学部が点検して内容の更新を行うこ とが望ましい。(10.教員組織・職員組織) 17. 卒業研究の学生が研究と勉学に使用できる研究室のスペースを拡大することが望まし い。(11.学習環境) 18. 薬学部棟の冬期暖房の運転時間が18時までと制限されていることは、学生の研究活動 や勉学に支障をきたすので、改善することが望ましい。(11.学習環境) 19. 英文によるホームページに研究内容を掲載することが望ましい。(12.社会との連 携) 20. 「薬学教育評価委員会」を、外部委員を含む恒常的な組織とすることが望ましい。(1 3.自己点検・評価) 3)改善すべき点 1. 6年次の教育において、国家試験準備教育に相当する講義・演習科目に充てられてい る時間割上の時間数が卒業研究の時間割上の時間数より多くなっている。また、4年 次においても内容的に薬学共用試験への準備と判断される必修科目がおかれている。このように、特定の学年の教育が受験準備に偏重していることは好ましくないので改 善することが必要である。(2.カリキュラム編成) 2. ヒューマニズム教育・医療倫理教育、およびコミュニケーション能力を育成する教育 において、総合的な目標達成度を測定するための指標の設定と、それに基づく評価が 行われていないので、目標達成度に対する総合的な評価方法を定め、それに基づいて 適切に評価することが必要である。(3.医療人教育の基本的内容) 3. 実験実習においてはSGDを取り入れることで、実験の意義や結果の考察について、 より理解が深められるよう工夫されているとしているが、シラバスにはそれが明示さ れていない。それらを明示するようシラバスを改善することが必要である。(4.薬 学専門教育の内容) 4. 授業にPBLやSGDが取り入れられているのにシラバスの授業方法には講義としか 表示されていない科目があるので、シラバスの授業方法の記載を実態に合わせるよう 改善することが必要である。(4.薬学専門教育の内容) 5. 実務実習事前学習全体を総合した目標達成度を評価するための指標を設定し、それに 基づいて評価を行うよう改善することが必要である。(5.実務実習) 6. 「総合薬学研究」の実施期間が十分ではなく、6年次の時間割で「総合薬学研究」に 割り当てている時間数が国家試験準備教育と考えられる科目に充てられた時間数より 少ないなど、卒業研究が十分行なわれているとは言えないので、改善することが必要 である。(6.問題解決能力の醸成のための教育) 7. 「総合薬学研究」のシラバスにおいて、対応する薬学教育モデル・コアカリキュラム の到達目標が「A(2)」のみで、「E 卒業実習教育(E1総合薬学研究)」が含まれ ていないことは不適切なので、改善することが必要である。(6.問題解決能力の醸 成のための教育) 8. 問題解決能力の醸成に向けた教育について、総合的な目標達成度を評価するための指 標が設定されておらず、それに基づく適切な評価が行われていないので、改善するこ とが必要である。(6.問題解決能力の醸成のための教育) 9. アドミッション・ポリシーが大学にしかなく、薬学部の入学者受入れ方針が示されて いないことは適切ではないので、早急に改善することが必要である。(7.学生の受 入) 10. 平成27年度の卒業判定において、「卒業試験」の不合格のみの理由で卒業延期となっ た学生が54名(6年次在籍者169名の32%)であった。これは、卒業の可否判断に国家試験の合否の見込みを重視したためと考えられ、学士課程の修了認定として不適切で あるので、早急な見直しを図ることが必要である。(8.成績評価・進級・学士課程 修了認定) 11. 2年次および3年次の留年率ならびに卒業延期率が高く、また増加傾向にあることが 自己点検・評価によって問題と認識されているので、その原因について十分な解析を 行い、改善策を実施することが必要である。(8.成績評価・進級・学士課程修了認 定) 12. 「総合薬学研究」の単位認定要件に、研究内容とは無関係で薬剤師国家試験に酷似し た問題を用いる「卒業試験」の合格を含める履修規程第37条の規定は、不適切である ので廃止することが必要である。(8.成績評価・進級・学士課程修了認定) 13. 留年生に対して、留年した学年の全必修科目(実習、全学教育科目を除く)を再履修 するよう定めた履修規程第30条は、修得済みの単位を取り消すことを意味するもので、 単位制の趣旨に抵触するため、改訂することが必要である。(8.成績評価・進級・ 学士課程修了認定) 14. 多くの卒業延期者を出し、それらに対する「特別講義」を予備校講師に委ねているこ とは適切ではないので、改善することが必要である。(8.成績評価・進級・学士課 程修了認定) 15. 基礎資料15には教育研究活動が活発であるとは言えない専任教員も見出される。専任 教員の教育・研究能力の維持と向上を図るため、個々の教員の研究業績を学部として 点検・評価する体制を整備して、改善を図ることが必要である。(10.教員組織・ 職員組織) 16. 現状の自己点検・評価とそれに基づく改善への取り組みは全学的な観点からの改善指 示であるので、本評価の評価基準が求めている薬学教育プログラムに対する恒常的な 自己点検・評価とそれに基づく向上発展を目指す取り組みに着手することが必要であ る。(13.自己点検・評価)
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1:提言 改善報告審議結果 |
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3:但し書き 改善報告審議結果 |
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| 武庫川女子大学 | 私 | 兵庫県 | 第1期 |
2016年度 |
適 |
自己点検・評価書 基礎資料 正誤票 |
評価報告書
総評
武庫川女子大学 総評武庫川女子大学は、「高い知性、善美な情操、高雅な徳性を兼ね備えた有為な女性の育成」 という「立学の精神」、「学院教育綱領」を教育理念として掲げ、教育目標としている。6年 制の薬学科の教育目的は「薬剤師として高度な臨床能力と実践能力を有し、医療人としての 使命感を持ち、病院・薬局などの医療機関をはじめ、薬の専門家としてあらゆる場面で活躍 できる有為な女性を養成することを目的とする。」である。この「教育研究上の目的」に従っ て、アドミッション・ポリシー(入学者受入方針)、カリキュラム・ポリシー(教育課程の編 成・実施の方針)およびディプロマ・ポリシー(学位授与の方針)が設定され、大学のホー ムページや履修便覧に記載、公表されている。 医療人としての薬剤師養成の薬学教育カリキュラムは、薬学教育モデル・コアカリキュラ ムにほぼ準拠している。平成27年度は、1年次生が改訂モデル・コアカリキュラム対応(新 カリキュラム)で、2~6年次生は従来のモデル・コアカリキュラム対応(旧カリキュラム) に対応したカリキュラム編成となっている。開講科目はイントロダクション、物理系薬学、 化学系薬学、生物系薬学、健康と環境、医療薬学、実習・演習科目、ヒューマニズム、外国語・ 情報科目の9つの領域に分類されている。各科目の関連図がホームページに公開されている が、各科目間の関連性が明確に示されていないので、科目間関連図等を作成することが望ま れる。 総合大学であるため共通教育科目として、全学の学生に社会のニーズに応じた多様で幅広い科目が提供されている。基礎教育科目、ジェンダー科目、キャリアデザイン科目、言語・ 情報科目、健康・スポーツ科目から成り立つ250科目を開講し、薬学科の学生も多くの科目を 受講している。また、語学教育にも力を入れており、薬学領域の英語の「読む・書く・聞く」 力を付ける1年次の「基礎英語」を始めとし、4、5年次に臨床現場の最前線の文献を理解 する力を身に付ける「発展英語Ⅰ&Ⅱ」まで、体系的に開講されている。 毎年20名の学生が約1か月滞在する「アメリカ留学プログラム」を実施していることは高 く評価できる。学習者参加型の教育科目、問題解決型の教育科目、ヒューマニズム・医療倫 理教育科目、コミュニケーション科目はバランスよく体系的に配置されているが、態度教育 の評価方法については、これからの対応が待たれる。 学習環境は良好で、講義室、実習室、PBL(Problem Based Learning)/SGD(Small Group Discussion)を実施する教室、コンピュータ室など充分な広さであり、整備されてい る。また、学部に隣接する臨床薬学教育センターには、調剤室、模擬薬局、製剤室、モデル 病室、医薬品情報室、無菌製剤室等が完備している。 以上のように、武庫川女子大学薬学部薬学科の薬学教育プログラムは本機構の評価基準に おおむね適合しているが、以下のような重要な改善すべき問題点がある。 (1)薬剤師国家試験の準備教育である「総合演習Ⅱ」の科目単位数当たりの授業時間が学 則の規定に比べ極端に多くなっており、「卒業研究Ⅱ」実施時間が圧迫されているので、 時間割編成の改善が必要である。 (2)薬剤師養成教育に必須であるコミュニケーション能力醸成のための教育を必修専門科 目として設定し、適正な学習方略および評価方法を用いて実施するように改善が必要で ある。 (3)旧カリキュラムにおいて、薬学教育モデル・コアカリキュラムで要求しているSBO s(Specific Behavioral Objectives)の一部が包含されていないなどモデル・コアカ リキュラムに準拠していないので改善すべきである。また、選択科目のみが対応してい るSBOsが一部存在しているので、卒業までに補完できるようにすることが必要であ る。 (4)卒業論文や発表会などを通して卒業研究を評価するために、学科共通の目標達成度評 価の指標を設定し、公正・厳格に評価するように改善が必要である。 (5)平成25年度以降の休学者、留年者、退学者の人数が増加しているという事実は、入学 者選抜において、基礎学力が適確に担保されていないことを示しており、改善が必要で ある。(6)「卒業研究Ⅱ」に実質上の卒業試験である「卒業研究Ⅱ試験」を課して、学士課程修了 条件とする制度を早急に改善する必要がある。 (7)薬学共用試験の合格を「プレファーマシー実習Ⅱ、Ⅲ」、「総合演習I」の単位認定の 条件とする制度を早急に改善する必要がある。 武庫川女子大学薬学部薬学科は、女性薬剤師の養成としての特徴ある教育プログラムを構 築しており、薬剤師教育に熱心に取り組む姿勢がうかがえる。今後はさらにその特徴を伸ば し、また指摘された改善すべき点や助言を踏まえ、より一層の改善・改革を進めることで6 年制薬学教育の更なる発展を期待する。
大学への提言
武庫川女子大学 大学への提言1)長所 1. 学生が学ぶ機会として国際交流を行い、毎年20名の学生が約1か月滞在して「アメリカ 留学プログラム」が実施されている。(12.社会との連携) 2)助言 1. 「教育目的」の掲載が大学のホームページだけであり、薬学部のホームページには掲載 がないため、薬学部ホームページへの掲載が望まれる。(1.教育研究上の目的)2. 「教育目的」について教職員や学生に周知徹底を図ることが望まれる。(1.教育研究 上の目的) 3. 「教育研究上の目的」に対する検証を定期的に行うことが望まれる。(1.教育研究上 の目的) 4. 領域ごとに科目の分類が明示され、学習内容の順次性が理解しやすいカリキュラム・ツ リー(科目関連図)を新旧カリキュラムに対応して、作成することが望まれる。(2. カリキュラム編成) 5. カリキュラム・ポリシーは、履修便覧や武庫川女子大学のホームページ(大学情報の公 表)に掲載されているが、薬学部のホームページ等にも掲載することが望ましい。(2. カリキュラム編成) 6. カリキュラム・ポリシーは、「教育研究上の目的」およびディプロマ・ポリシーを踏ま えたものにすることが望ましい。(2.カリキュラム編成) 7. 早期体験学習は新入生の学習の意欲の向上に重要な科目であることを考慮すると「早期 体験学習IおよびⅡ」の教育内容は、改訂コアカリキュラムの「F薬学臨床①早期臨床 体験」に準じた内容にすることが望まれる。(3.医療人教育の基本的内容) 8. 医療安全教育の分野では薬剤師以外の人的資源(弁護士、医師、行政等)を活用した積 極的な取り組みが望まれる。(3.医療人教育の基本的内容) 9. 生涯学習意欲の醸成に対しての取り組みを積極的に行い、在校生も参加できる生涯教育 に関する科目を充実させることが望ましい。(3.医療人教育の基本的内容) 10. シラバスの到達目標が抽象的であるので、モデル・コアカリキュラムの到達目標、学習 領域(知識・技能・態度)を記載し、学習領域に適した評価方法で評価することが望ま れる。(4.薬学専門教育の内容) 11. 実務実習の総合的な学習成果を適切な指標に基づいて評価することが望ましい。(5. 実務実習) 12. 問題解決型学習の単位数を卒業単位数の10%程度まで増やすよう努力をすることが望ま れる。(6.問題解決能力の醸成のための教育) 13. 指定校推薦入試において、調査書の評定値および履修要件に基準を設け、志願理由書や 薬学科教員による面接試験を実施し、医療人としての目的意識や適性を評価しているが、 アドミッション・ポリシーに準拠した入学試験制度の確立に向けて一層の工夫が望まれ る。(7.学生の受入) 14. 学位授与の方針をFD(対教員)や履修ガイダンス(対学生)等においても説明することが望まれる。(8.成績評価・進級・学士課程修了認定) 15. 薬学部別館(臨床薬学教育センター)もバリアフリー化を実施することが望まれる。(9. 学生の支援) 16. 教員の授業時間は5.4~35.3時間であり、教員間に偏りが見られる。研究時間の確保を考 慮すると35.3時間の担当時間は多すぎるので、改善が望まれる。(10.教員組織・職 員組織) 17. 教授の半数が60歳代であり、年齢構成にやや偏りが見られるので改善が望まれる。 (10.教員組織・職員組織) 18. 専任教員1人あたりの学生数が26名であるので、増員することが望まれる。(10.教 員組織・職員組織) 19. 助教の再任は実質的には閉ざされているので、人材育成の観点から、助教の再任制度に ついて改善することが望まれる。(10.教員組織・職員組織) 20. 地域住民に対する公開講座等を開催するよう努めることが望ましい。(12.社会との 連携) 21. 人材育成の面からも積極的に教職員の海外留学等を推進することが望ましい。(12. 社会との連携) 22. 薬学部のホームページの英語版を作成することが望まれる。(12.社会との連携) 23. 薬学部自己評価委員会の構成要員は学部内教職員のみであるので、外部委員の参画を求 め、より客観性のある体制の構築が望まれる。(13.自己点検・評価) 3)改善すべき点 1. 薬学部および薬学科の「教育研究上の目的」は「教育目的」として制定されているが、 その内容には「研究上の目的」が入っていないので、加えて制定することが必要である。 (1.教育研究上の目的) 2. 薬学共用試験・薬剤師国家試験の準備教育に偏ったカリキュラム編成・運用について以 下の点を改善することが望まれる。 ・「総合演習Ⅱ」の科目単位数当たりの授業時間が、学則の規定に比べ極端に多くなって おり、「卒業研究Ⅱ」の実質実施時間が圧迫されているので、カリキュラム編成の改善 が必要である。 ・予備校の講師を正規科目担当講師としないように改善する必要がある。 ・大学独自科目の一部を国家試験対策科目としないように改善する必要がある。(2.カリキュラム編成) 3. 薬剤師養成教育に必須であるコミュニケーション能力醸成のための教育を必修専門科 目として設定し、適正な学習方略および評価方法を用いて実施するように改善する必要 がある。(3.医療人教育の基本的内容) 4. ヒューマニズム教育・医療倫理教育について、目標達成度を評価するための指標は設定 されておらず、それに基づいての適切な評価もなされていないため、改善が必要である。 (3.医療人教育の基本的内容) 5. コミュニケーション能力および自己表現能力を身につけるための教育において、授業科 目ごとに成績評価はなされているが、これらの能力の目標達成度を評価するための指標 の設定と評価はなされておらず、改善が必要である。(3.医療人教育の基本的内容) 6. 医療の過誤、医療事故を防止するためのチーム医療についての教育が選択科目(5年次 「地域で活動する薬剤師」、6年次「薬物の適正使用と医療倫理」)として開講されて いるが、必修科目として開講するよう改善する必要がある。(3.医療人教育の基本的 内容) 7. 旧カリキュラムにおいて、薬学教育モデル・コアカリキュラムで要求しているSBOs の一部が包含されていないなどモデル・コアカリキュラムに準拠していないので改善す る必要がある。また、選択科目のみが対応しているSBOsが一部存在しているので、 卒業までに補完できるようにすることが必要である。(4.薬学専門教育の内容) 8. 大学独自の科目をシラバス上に明示するように改善が必要である。(4.薬学専門教育 の内容) 9. 事前学習の目標達成度を評価するための指標を設定し、指標に基づいて適切に評価する ように改善する必要がある。(5.実務実習) 10. 卒業論文や発表会などを通して卒業研究を評価するために、学科共通の目標達成度評価 の指標を設定し、公正・厳格に評価するように改善する必要がある。(6.問題解決能 力の醸成のための教育) 11. 卒業論文の作成に関して以下の問題点があるので改善する必要がある。 ・一つの課題で共同研究を行った学生であっても各自がオリジナルの卒業論文を提出す るように改善すべきである。 ・卒業論文は要旨ではなく、卒業論文にふさわしい内容に改善する必要がある。 (6.問題解決能力の醸成のための教育) 12. 卒業研究以外の問題解決能力醸成に向けた教育において、各科目を総合した達成度を評価するために指標を設けて、評価するように改善する必要がある。(6.問題解決能力 の醸成のための教育) 13. 平成 25 年度以降の休学者、留年者、退学者の人数が増加しているという事実は、入学 者選抜において、基礎学力が適確に担保されていないことを示しており、改善が必要で ある。(7.学生の受入) 14. 薬学共用試験の合格を「プレファーマシー実習Ⅱ、Ⅲ」、「総合演習I」の単位認定の 条件とする制度を早急に改善する必要がある。(8.成績評価・進級・学士課程修了認 定) 15. 「卒業研究Ⅱ」に実質上の卒業試験である「卒業研究Ⅱ試験」を課し、学士課程修了条 件とする制度を早急に改善する必要がある。(8.成績評価・進級・学士課程修了認定) 16. 予備校の模擬試験を正規の試験の一部として使用しないように改善する必要がある。 (8.成績評価・進級・学士課程修了認定) 17. 「卒業研究Ⅱ」に関する内規および「卒業研究Ⅱ試験」の成績による採点未着科目の救 済措置等に関する内規を改善する必要がある。(8.成績評価・進級・学士課程修了認 定) 18. 卒業延期となった学生の教育の一部を予備校で行っていることは問題であり、改善すべ きである。(8.成績評価・進級・学士課程修了認定) 19. 卒業延期の学生に対して、「卒業研究Ⅱ」の継続履修が行われているように取り扱うこ とを廃止するように改善する必要がある。(8.成績評価・進級・学士課程修了認定) 20. 5年間教育・研究実績として著書・論文の数が少ない、あるいは全く無い教員も認めら れる。教育目標を達成するための基礎となる研究活動を大学が自己点検・評価すること によって、全教員が教育・研究の業績を上げるように改善する必要がある。(10.教 員組織・職員組織) 21. 薬学部自己評価委員会が、6年制薬学教育プログラムを毎年継続的に自己点検・評価を 実施するように改善し、その記録を残すことが必要である。(13.自己点検・評価) 22. 自己点検・評価の結果を教育研究の改善に反映させることが必要である。(13.自己 点検・評価)
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1:提言 改善報告審議結果 |
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3:但し書き 改善報告審議結果 |
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| 姫路獨協大学 | 私 | 兵庫県 | 第1期 |
2016年度 |
継 |
自己点検・評価書 基礎資料 正誤票 |
評価報告書
総評
姫路獨協大学 総評姫路獨協大学薬学部医療薬学科は「人間性豊かな幅広い教養、問題発見・解決の能力及び論理的思考力、医療事故及び薬害を防ぐ安全管理能力、並びに先端医療科学に対応できる能力を修得し、医療機関、企業及び公共機関等において活躍できる豊かなコミュニケーション能力を備え、生涯にわたり学び続ける意思及び能力を身につけた幅広い視野を持つ高い資質の薬剤師を養成すること」を教育上の目的として掲げ、教育課程の編成・実施方針(カリキュラム・ポリシー)、入学者受入方針(アドミッション・ポリシー)を制定し、6年制薬学教育を行っている。
初年次教育として、「入学前教育の充実」、「入学時点の学力判定及び担任教員による学習指導」などを準備する、「数学」など基礎科目の入学後学力判定試験を実施しその結果を学習指導へ活用するなど、多様な入学生への対応に努めている。また、専門教育においては、アドバンスト教育として4年次の「医療遺伝学」、6年次の「再生医学」、「新薬論」が選択科目として設定されている。実務実習事前学習は適切な指導者のもとで実施され、「リスクマネージメント」、「フィジカルアセスメント」、「処方解析」などの実践的教育も実施されている。薬学共用試験(CBT:Computer Based TestingおよびOSCE:Objective Structured Clinical Examination)の合格判定は、薬学共用試験センターの提示する合格基準に従って実施されている。さらに実務実習は、一般社団法人薬学教育協議会病院・薬局実務実習近畿地区調整機構(以下、近畿地区調整機構)を介して選定された実習施設において実務実習モデル・コアカリキュラムに準拠して行われている。 入学試験は多様な方式で行なわれている。入学者数については、発足当時の入学定員数120名を平成25年度より100名に変更し、平成23年度に49名であった入学生が27年度には101名へと徐々に増加しているが、入学定員充足率は0.41から1.29と変動が大きくなっている。 学生の経済的支援として、大学独自の姫路獨協大学奨学金、姫路獨協大学特別学業支援奨学金、緊急支援奨学金、遠隔地予約奨学金、経済困窮者への授業料等の減免制度を設けている。学習環境としては、講義室(学部専用1室を除く)、演習室、および学生自習室が全学共用施設として整備されている。社会との連携については、姫路薬剤師会、兵庫県病院薬剤師会西播支部との連携により、地域の薬剤師の資質向上に努めている。 しかし、本機構の評価基準に照らして教育プログラムの内容を評価すると、改善を必要とする重大な問題が見出される。改善を必要とする主な問題点は下記のとおりである。 (1)薬学教育カリキュラムが薬学共用試験や薬剤師国家試験合格の対策に偏っていることが懸念される。問題解決能力の醸成のための教育における卒業研究の実質的な期間は約半年である。これは国家試験対策に相当する科目が6年次前期に配当されていることで、卒業研究の実施期間が圧迫されているためと推察される。また、6年次の講義が国家試験受験予備校に依頼して実施されており、問題がある。さらに、現行のカリキュラムにおいては、教育内容が階層的なカリキュラムでの順次性と一致していない科目配置が認められる、改訂新カリキュラムの6年次において専門分野の選択科目をまったく履修しなくても卒業が可能である、在学中に卒業要件単位数を変更しているなどの問題があり、6年一貫教育の再構築が必要である。 (2)留年率と退学率が恒常的に高く、入学システムが入学後の教育に求められる基礎学力を適確に評価しているとは言えない。 (3)6年次後期の「卒業研究Ⅱ」における試験(卒業研究Ⅱ試験)が実質的な卒業要件となっており、さらに「卒業研究Ⅱ」の合否判定の際に、国家試験受験予備校による薬剤師国家試験模擬試験結果との相関を考慮し当該試験の合否判定がなされており、適正な卒業判定とは言えない。 (4)平成28年度前期の段階で、教員数が大学設置基準を満たしておらず、進行中の教授等の公募を早急に完了させ、専任教員の不足を解消する必要がある。 (5)姫路獨協大学薬学部の教育プログラムは多くの問題を改善することなく抱え続けており、自己点検・評価の体制が整備され、その結果が教育研究活動の改善等に活用されているとは言えない。教育プログラムの改善のために、自己点検・評価のための常置委員会の設置、規定の作成など、評価体制の整備と定期的な自己点検・評価の実施が必要である。 上記の問題点に加えて、学部の理念および研究上の目的が設定されていない、薬学教育モデル・コアカリキュラムの一部項目が選択科目となっている、シラバスの記載に不備が認められる科目が多数存在する、教育プログラムの定期的な自己点検・評価が実施されていないなどの多くの問題点が認められる。 今回の評価において「改善すべき点」として指摘した諸問題を教職員で共有し、改善に取り組み、姫路獨協大学薬学部としての6年制薬学教育を構築し実施することを期待する。
大学への提言
姫路獨協大学 大学への提言1)助言1. 「教育上の目的」の学生および教職員への周知が「履修の手引き」の配布にとどまっており、さらなる充実が望まれる。(1.教育研究上の目的)2. 「教育上の目的」が、手引き、学則、ホームページで「特徴」、「目的」、「教育目的」の様に表現が統一されておらず、「教育上の目的」に統一することが望ましい。(1.教育研究上の目的)3. 教育上の目的は、「全学自己評価委員会」、その部局内組織の「薬学部自己評価委員会」により定期的に検証するよう努められているが、これまでに再検討の実績はないので、定期的な検証が望まれる。(1.教育研究上の目的)4. 薬学部自己評価委員会の規定がなく、整備が求められる。(1.教育研究上の目的)5. カリキュラム・ポリシーの学生および教職員への周知については、「履修の手引き」にとどまっており、学生および教職員の認知率が高いとはいえず、周知方法のさらなる充実が望まれる。(2.カリキュラム編成)6. ディプロマ・ポリシーを意識したカリキュラム・マップにすることが望ましい。(2.カリキュラム編成)7. 準備教育の受講は主に学生の主体性に任されており、その後の留年者数の多さを勘案すると、さらなる充実が求められる。(3.医療人教育の基本的内容)8. 改訂新カリキュラムでは2年次以降での「早期体験学習」の実施が確認できず、さらなる充実が求められる。(3.医療人教育の基本的内容)9. 薬害等の防止に該当する科目に「薬物副作用論」、「安全管理」があるが、両科目とも選択科目であり(旧カリキュラムでは必修、改訂新カリキュラムでは選択)、履修しなくても卒業が可能であり、教育上の目的に鑑み、必修化が望ましい。(3.医療人教育の基本的内容)10. ヒューマニズム教育・医療倫理教育に対応する科目の技能・態度の評価方法に明確な評価指標がないなどの問題があり、評価方法の適正化が望まれる。(3.医療人教育の基本的内容)11. 大学独自の科目として開設されている4年次の「医療遺伝学」、6年次の「再生医学」、「新薬論」などは選択科目となっており、受講者数も少ないものもあり、問題である。現在の科目を必修化する、科目数を増やして選択必修化するなど、大学独自の専門教育のさらなる充実が望まれる。(4.薬学専門教育の内容)12. 基礎と臨床の関連付けをシラバスに明記することが望まれる。(4.薬学専門教育の内容)13. 実務実習事前学習の教員負担の均等化が求められる。(5.実務実習)14. 「実務実習委員会」が組織されているが、責任の所在については明確ではなく(委員長は誰か、各委員の担当は、など)、規則の制定などが求められる。(5.実務実習)15. 実務実習の総合的な学習成果を評価するための指標を設定し、それに基づく評価を適切に行うことが望まれる。(5.実務実習)16. 卒業研究発表会は、6年次の10月までに複数の研究室が合同で開催しているが、一部、単独の研究室で行っているところがあり、薬学部全体での実施が望まれる。また、発表時間は統一されておらず、統一することが望ましい。(6.問題解決能力の醸成のための教育)17. 「卒業研究Ⅰ」、「卒業研究Ⅱ」、「物理・化学系統合演習(PBL)」などについて、シラバスに記載されている評価方法と実態がかけ離れているため、シラバスの整備が求められる。(6.問題解決能力の醸成のための教育)18. 正味時間では、問題解決型学習の実施時間数が18単位を満たしておらず、さらなる充実が期待される。(6.問題解決能力の醸成のための教育)19. 平成28年度に24%の定員割れがあったため、29年度以降の入学試験での是正が期待される。(7.学生の受入)20. 入学者数の変動が大きく(充足率/平成23年度:0.41、平成24年度:0.61、平成25年度:0.80、平成26年度:1.29、平成27年度:1.01、平成28年度:0.76(基礎資料7))、学年による教育の質の差異を避けるためにも、安定した入学者数の確保が望まれる。(7.学生の受入)21. 前年度に不合格となった科目については再履修が原則であるが、当該年次の必修科目の開講時間と重なった場合には、再履修することなく再試験として受験できる仕組みとなっており、修正が望まれる。(8.成績評価・進級・学士課程修了認定)22. ハラスメント防止講習会への薬学部教員の参加率が23.3%と低く、全員参加などのさらなる活動が望まれる。(9.学生の支援)23. 平成22年度以降、「学生満足度調査」を実施しておらず、定期的な調査が期待される。(9.学生の支援)24. すべての実験実習担当教員の数が2~3名であるために指導者1人あたりの学生数が30~45名(在籍学生数での平均)となっている。この教員数は安全性の面で非常に問題であるため、担当教員の増員が望まれる。(9.学生の支援)25. 事故や災害の安全対策について、現場任せではなく学部として取り組むことが望まれる。(9.学生の支援)26. 事故や災害の発生時や被害防止のためのマニュアル整備は不十分であり、充実が望まれる。(9.学生の支援)27. 専任教員1名に対する学生数は22名となっており、専任教員数の増などのさらなる努力が期待される。(10.教員組織・職員組織)28. 准教授以下の若手教員の増員が望まれる。(10.教員組織・職員組織)29. 教員によっては教育・研究等活動の情報を更新していない者がおり、定期的な更新が望まれる。(10.教員組織・職員組織)30. 実務家教員の研鑽の場として、薬剤師会・病院薬剤師会・姫路獨協大学薬学部の共催による「西播・姫路医療セミナー」を開催しているが、その他の取り組みについては一部教員のみとなっており、学部としての体制構築が期待される。(10.教員組織・職員組織)31. 学生自習室が共用で2室しかないため学生の自習スペースが少なく、薬学生の自習スペースの拡充が望ましい。(11.学習環境)32. 英文による薬学部の情報発信(ホームページ)が行われておらず、さらなる充実が期待される。(12.社会との連携)33. 教員の海外研修(留学)実績がなく、さらなる充実が期待される。(12.社会との連携)34. 定期的な自己点検・評価を行う委員会を設置する際には、外部委員を含めることが望ましい。(13.自己点検・評価)3)改善すべき点1. 学部の理念が設定されていないため、改善が必要である。(1.教育研究上の目的)2. 研究上の目的が設定されておらず、改善が必要である。(1.教育研究上の目的)3. 現行のカリキュラムにおいては、教育内容が階層的なカリキュラムでの順次性と一致していない科目配置が認められる、改訂新カリキュラムの6年次において専門分野の選択科目をまったく履修しなくても卒業が可能であるなどの問題があり、6年一貫教育の再構築が必要である。(2.カリキュラム編成)4. 平成27年度のカリキュラム変更に伴い在学生の卒業要件単位数を変更していることは、ディプロマ・ポリシーや履修基準(卒業要件単位数含む)が入学時に提示したものから変更できない、一種の学生との契約書であるという大学教育の根本的な原則が理解できていないことを示しており、今後は入学時に提示された卒業要件単位数を変更しないことが求められる。(2.カリキュラム編成)5. 6年次の講義が国家試験受験予備校に依頼して実施されており、改善が必要である。(2.カリキュラム編成)6. カリキュラム・ポリシーの策定ならびにカリキュラムの見直しと改訂は学部教育の根幹をなすものであるが、これらを検討する委員会組織や規定、議事録が確立されておらず、常置委員会の設置や委員会の整理、委員会規定の制定などの改善が求められる。(2.カリキュラム編成)7. 姫路獨協大学薬学部の薬学教育カリキュラムは薬学共用試験や薬剤師国家試験の合格のみを目指した教育に過度に偏っており、改善が必要である。(2.カリキュラム編成)8. ヒューマニズム教育・医療倫理教育について、目標達成度を評価するための指標は設定されておらず、それに基づいての適切な評価もなされていないため、改善が必要である。(3.医療人教育の基本的内容)9. コミュニケーション能力および自己表現能力を身につけるための教育において、授業科目ごとに成績評価はなされているが、これらの能力の目標達成度を評価するための指標の設定と評価はなされておらず、改善が求められる。(3.医療人教育の基本的内容)10. シラバスの記載について下記の問題があり、改善が必要である。・詳細のわからないシラバスがある。・ほとんどの科目に一般目標と到達目標は明示されているが、書式が統一されておらずわかりにくい。・どの科目が大学独自であるかが判別できない。・モデル・コアカリキュラムの記載について教員間での差異がある。・一部科目においてはシラバスの記載とモデル・コアカリキュラムの目標との対応が不明瞭である。・方略やオフィスアワーに関する記載に問題のある科目が散見される。・科目によっては複数の評価方法を用いる際の寄与率が記載されていないものがある。・基礎と臨床の関連付けについて明示されていない。(4.薬学専門教育の内容)11. モデル・コアカリキュラムの一部項目が選択科目となっており、改善が必要である。(4.薬学専門教育の内容)12. 実務実習事前学習の目標達成度を評価するための指標が設定されておらず、それに基づく評価もなされていないため、改善が必要である。(5.実務実習)13. 実務実習の成績評価方法を設定し、シラバスに具体的に記載する必要がある。(5.実務実習)14. 全員が卒業研究に取り組むことができる時間が、4年次の約1ヶ月、5年次の実務実習以外の期間(約3ヶ月)、6年次前期の11%(37時間/330時間)に留まっており、問題解決能力醸成のために十分な卒業研究時間の確保が必要である。(6.問題解決能力の醸成のための教育)15. 卒業論文や発表会などを通して卒業研究を評価するために、学部共通の評価指標を設定し、評価する必要がある。(6.問題解決能力の醸成のための教育)16. 卒業論文が枚数制限されているために十分な内容とは言えず、問題解決能力の醸成のためには卒業論文のさらなる充実が必要である。(6.問題解決能力の醸成のための教育)17. 問題解決能力醸成に向けた教育において、目標達成度を評価するための指標の設定と、それに基づく適切な評価がなされておらず、改善が必要である。(6.問題解決能力の醸成のための教育)18. 総在籍者に占める留年者、退学者の割合は、9.3~27.0%と高く、さらにストレート卒業率も33.3~43.3%と低く、入学後の教育に求められる基礎学力が適確に評価されているとは言えず、学生の受入れについての改善が必要である。(7.学生の受入)19. 単位未修得の科目が4科目以上の場合の進級不可に加えて、実質的には演習科目の場合は1科目の結果で進級不可になるが、これら演習科目の単位認定についてシラバスの評価方法・基準の欄が「定期試験と課題レポートで総合的に評価する」など不明瞭な記載となっており、改善が必要である。(8.成績評価・進級・学士課程修了認定)20. 6年次後期の必修科目である「卒業研究Ⅱ」で学科試験を行い、その合否によって実質的には学士課程の修了認定が行われており、学士課程の修了認定が厳格に行われているとは言えないので、が実質的な卒業要件となっており、改善が必要である。(8.成績評価・進級・学士課程修了認定)21. 「卒業研究Ⅱ」の合否判定の際に、国家試験受験予備校による薬剤師国家試験模擬試験結果との相関を考慮し当該試験の合否判定がなされており、改善が必要である。(8.成績評価・進級・学士課程修了認定)22. 平成27年度までは卒業留年者への対応は、外部受託先施設(国家試験受験予備校)に任せており、問題であるので、改善が必要である。(8.成績評価・進級・学士課程修了認定)23. 平成28年度前期の段階で、教員数が大学設置基準を満たしておらず、さらに教授数も半数を満たしておらず、早急に教授等の公募と選考を完了させて、専任教員の不足を解消する必要がある。(10.教員組織・職員組織)24. 最近6年間あるいは数年の研究業績がない教員がおり、研究時間の確保など教育研究の向上を目指した取り組みが必要である。(10.教員組織・職員組織)25. 教育プログラムの改善のために、自己点検・評価の常置委員会の設置、規定の作成など、評価体制の整備と定期的な自己点検・評価の実施が必要である。(13.自己点検・評価)
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1:提言 改善報告審議結果 2021 /1/22 |
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再評価改善報告書 基礎資料 正誤票 |
再評価報告書
総評
姫路獨協大学 総評姫路獨協大学薬学部は、教育研究上の目的を「薬学部は、薬の専門家としての実践的能力、高い倫理観と豊かな人間性を備え、人々の健康保持・増進と福祉の向上に貢献し、薬物治療の進展に資する研究心をもった薬剤師を育成することを目的とする。」と定め、これに基づき学位授与の方針(ディプロマ・ポリシー)、その達成に向けた教育課程の編成・実施の方針(カリキュラム・ポリシー)、入学者受入方針(アドミッション・ポリシー)を定めて6年制薬学教育を行っている。姫路獨協大学薬学部の教育プログラムは、2016(平成28)年度に行った本評価において、「カリキュラム編成」、「問題解決能力の醸成のための教育」、「成績評価・進級・学士課程修了認定」、「教員組織・職員組織」、「自己点検・評価」に重大な問題点が見出され評価継続となったため、それらの問題点に対する改善結果について再評価を行った。姫路獨協大学薬学部では、2017(平成29)年度に教育目的について改めて協議し、教育研究上の目的の改定を行った。新しい教育研究上の目的に基づき、2017(平成29)年度に教育課程の編成・実施の方針(カリキュラム・ポリシー)も協議・改定され、カリキュラムの再編が行われた。また、これらを見直すために薬学部教育改善実施(FD)委員会が設置され、2年に1回見直すことも委員会規定に明記されており、改善に向けての体制が整備された。しかしながら、ディプロマ・ポリシーとカリキュラム・ポリシーの関連性が明確でない部分が認められるため、さらなる充実が求められる。- 2 -2017(平成29)年度に改定されたカリキュラム・ポリシーに基づいて新カリキュラムが編成された。しかしながら、「地域の薬剤師活動を学ぶ」以外の科目については、一部科目名の変更はあるものの学年の変更はほとんどなく、2017(平成29)年度以前のカリキュラム配置から大きな変更は認められない。これらのことから、カリキュラム・ポリシーを再検討してカリキュラムを抜本的に見直し、階層的、順次的構成へと改めることが求められる。旧カリキュラムについては、2016(平成28)年度の薬学教育評価機構の評価での指摘事項に基づいて見直しが行われ、4年次の「薬学応用演習Ⅱ」と「薬学応用演習Ⅲ」はCBT(Computer Based Testing)対策として、6年次の「薬学総合演習Ⅱ」と「薬学総合演習Ⅲ」は薬剤師国家試験対策としての意味合いが強い科目となっているが、一方、「薬学応用演習Ⅰ」、「薬学総合演習Ⅰ」、「医療薬学系統合演習」などはPBL(Problem BasedLearning)やグループ学習を組み入れた教育編成とするなどの変更が行われ、薬学共用試験や薬剤師国家試験の合格のみを目指した教育に過度に偏っていた状況は改善された。2016(平成28)年度の薬学教育評価機構の評価での指摘事項に基づいてカリキュラムが改編され、5年次前期から6年次11月末までの期間の実務実習を除く、合計7.5ヶ月が卒業研究に当てられるようになった。また、2016(平成28)年の薬学教育評価での指摘を受け、薬学部が主催して6年生全員が同一日に発表する卒業研究発表会が、10月に実施されようになった。卒業論文についても、指導教員を含めた2名の教員による査読と指導が行われている。新カリキュラムにおける問題解決型学習の実質的な単位数としては、各学年に配置した「統合演習(PBL)」7単位(1単位x7)、「卒業研究Ⅰ」2単位、「卒業研究Ⅱ」4単位、「薬学総合演習A」0.5単位、各学年に配置されている学生実習の合計3.25単位(実質の時間をグループによる考察とレポートの配点で1単位の1/4と計算、0.25単位x13)の、合計16.75単位に留まっており、さらなる充実が求められる。また、シラバスに学習方法を記載する項目がなく、改善が必要である。成績評価については、一部の科目で評価項目の比率が示されていないなどの不備が散見される、「出席」を評価基準としている科目があるなど、改善が必要である。学生への成績通知については、2016 (平成28)年度の本評価時には掲示板での通知であったが、メールによる通知方法へと変更された。留年生などに対する学習指導も個別面談を行うなど、改善が認められる。しかしながら、評価実施年度におけるストレート在籍率は4年次で既に6割を切っており、留年者・休学者・退学者もいまだに多く、さらなる努力が期待され- 3 -る。姫路獨協大学薬学部の教員在籍状況は、助教以上の専任教員が28名(訪問調査時には29名)、そのうち教授が14名であり、設置基準上必要な専任教員数を満たしている。しかしながら、大学設置基準に定められている専任教員数を大幅に超えるにはいたっていない。専任教員における実務家教員数は5名(教授:3名、准教授:1名、講師:1名)と、設置基準上必要な実務家教員数が満たされている。姫路獨協大学薬学部には、16の研究室があり、各研究室には補助的役割の助手を含めて2〜3名の教員が配置され、必要な施設・設備が整備されている。研究室への配属は4年次後期に決定され、1学年の配属定員数は1研究室あたり2〜9名となっており、1研究室あたりの面積は110 m2である。薬学部内には、共同研究機器室、学生実習室、薬用植物園が整備されている。また各研究室にはネットワーク環境が整備されており、電子ジャーナルを活用できる環境が整えられている。しかしながら、動物飼育や薬用植物の管理については保守管理に関わる薬学部専任職員が配置されていないため、円滑な運用のためにも施設専任事務職員の配置が望ましい。姫路獨協大学薬学部では、2016(平成28)年度の薬学教育評価機構による評価での指摘を受け、2017(平成29)年度に、自己点検・評価の常置委員会として、薬学部教育改善実施(FD)委員会が設置された。本委員会委員の構成は、学部長(委員長)、教務委員、基礎薬学の教員から3名以上、臨床系薬学の教員のうちから2名以上、教務課の職員、その他委員会が必要と認めた者とされており、さらに2019(平成31/令和1)年度に規定を改定し、外部委員1名が含まれることとなった。委員会は原則月1回開催されている。しかしながら、カリキュラムの見直し、実務実習など個々に対する改善策は立案されたが、教育活動全般を見直すまでには至っていない。また、「再評価報告書」ならびに「基礎資料」等にも間違いが散見される。これらの原因として、薬学部教育改善実施(FD)委員会委員の人数が限られていること、さらに、自己・点検とFD活動を行う組織が同一であるため、仮に改善が必要な問題が生じた場合でも、自らの組織で提案した活動を否定することは容易ではないことなどが考えられることから、PDCAサイクルのCとAを薬学部教育改善実施(FD)委員会単独で担当することには無理があり、別な組織を設けて役割分担をするなど、改善が必要である。以上のように、姫路獨協大学薬学部は、本評価において指摘された多くの問題点に対して真摯に改善に取り組んでおり、本評価において適合と判断されていた諸項目を合わせて、本機構の定める「薬学教育評価 評価基準」に適合していると判断できる。- 4 -姫路獨協大学薬学部には、再評価で指摘された改善すべき点と助言、および本評価の提言への対応が十分にはなされていない問題点の改善に取り組み、薬学教育のさらなる向上に努めることを期待する。
大学への提言
姫路獨協大学 大学への提言 1)助言
1. 教育研究上の目的にある「豊かな人間性」に相当する内容が、学位授与の方針(ディプロマ・ポリシー)と教育課程の編成・実施の方針(カリキュラム・ポリシー)の関連性が明確でない部分が認められるため、ディプロマ・ポリシーとカリキュラム・ポリシーとの整合性のさらなる充実が望まれる。(2.カリキュラム編成)2. カリキュラム・ポリシーを再検討してカリキュラムを見直し、階層的、順次的構成へと改めることが望まれる。(2.カリキュラム編成)3. 卒業研究に充てられている実質的な時間数は合計7.5ヶ月に留まっており、未だ問題解決能力醸成のために十分な卒業研究時間の確保ができているとは言えず、さらなる充実が望まれる。(6.問題解決能力の醸成のための教育)4. 新カリキュラムにおける問題解決型学習の実質的な単位数としては16.75単位に留まっており、さらなる充実が望まれる。(6.問題解決能力の醸成のための教育)5. 再評価実施年度(2020年度)におけるストレート在籍率は4年次ですでに6割を切っており、留年者・休学者・退学者も未だに多く、さらなる努力が望まれる。(8.成績評価・進級・学士課程修了認定)6. 総合的な学習成果の測定の指標を設定し評価することが望まれる。(8.成績評価・進級・学士課程修了認定)7. 専任教員1人あたりの学生数は、在籍数ベースでは15.8名であるが定員ベースでは21名であり、教員数のさらなる増加が望まれる。(10.教員組織・職員組織)8. ホームページでの公表に関して、一部の教員で情報が更新されていない、一部の教員は公表のリンクがされていないなどの問題も散見されるため、ホームページの更新などさらなる充実が望まれる。(10.教員組織・職員組織)9. 実務家教員が常に医療に対応するために、病院など現場で研鑽できる制度の構築が望まれる。(10.教員組織・職員組織)10. 教員の週当たりの平均授業時間において7時間を超えている教員が見受けられ、特に講師、助教といった若手教員の負担が大きくなっているため、研究時間を確保する上- 33 -でも教員を増員して授業負担の改善を図ることが望まれる。(10.教員組織・職員組織)11. 薬学部には、共用試験、病院薬局実務実習、薬学教育第三者評価などの運営に関連する多くの事務作業があるため、円滑な運用のためにも学部専任事務職員の配置が望まれる。(10.教員組織・職員組織)12. 共同利用研究施設の運営に関して、図書館についての記載はあるが、動物飼育、薬用植物の管理については保守管理に関わる薬学部専任職員の配置が認められず、円滑な運用のためにも施設専任事務職員の配置が望まれる。(10.教員組織・職員組織)13. 薬学教育カリキュラムの自己点検・評価については、2016(平成28)年度の薬学教育評価機構による評価での指摘を受けた項目を中心とした見直しに留まっており、今後は、大学独自の評価項目も加え、教育プログラム全体を定期的に自己点検・評価することが望まれる。(13.自己点検・評価) 2)改善すべき点 1. シラバスの開講年次(実態)とカリキュラム・マップとの齟齬が一部認められるため、シラバス等の見直しが必要である。(2.カリキュラム編成)2. 問題解決能力の醸成に関わる総合的な目標達成度の評価の指標の設定と評価は行われておらず、改善が必要である。(6.問題解決能力の醸成のための教育)3. 新旧カリキュラム共にシラバスに学習方法の項目がなく、一部の科目の評価方法において「グループ学習等における貢献度、課題発表」などと記載されるに留まっており、シラバスに学習方法の項目を加えるなど、改善が必要である。(6.問題解決能力の醸成のための教育)4. シラバスには各科目の成績評価の評価項目として定期試験、小テスト、レポートなどが記載され、評価方法による成績の比率についても明記されているが、「医療薬学系統合演習(PBL)」、「ドイツ語」、「アジアの歴史」、「一般医薬品入門」など記載のない科目も見受けられるため、全科目でシラバスを再確認し、適宜修正することが必要である。(8.成績評価・進級・学士課程修了認定)5. 「出席」を成績評価の基準とし、さらに総合点に占める割合が高い科目もあり、改善が必要である。(8.成績評価・進級・学士課程修了認定)- 34 -6. 学部が行っている自己評価の結果が薬学部のホームページに公開されているが、FD活動および議事録のみとなっており、自己点検評価書の掲載などの改善が必要である。(13.自己点検・評価)7. カリキュラムの見直し、実務実習など個々に対する改善策は立案されたが、教育研究活動全般を見直すまでには至っておらず、さらに、「再評価報告書」ならびに「基礎資料」等にも間違いが散見される。これらの原因として、FD委員の人数が限られていること、さらに、自己・点検とFD活動を行う組織が同一であるため、仮に改善に問題が生じた場合でも、自らの組織で提案した活動を否定することは容易ではないことなどが考えられることから、PDCAサイクルのCとAを薬学部教育改善実施(FD)委員会単独で担当することには無理があり、別な組織を設けて役割分担をするなど、改善が必要である。(13.自己点検・評価) |
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| 近畿大学 | 私 | 大阪府 | 第1期 |
2015年度 |
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自己点検・評価書 基礎資料 正誤票 |
評価報告書
総評
近畿大学 総評近畿大学薬学部医療薬学科は、「高度・多様化する医療において活躍できる人材、すなわち薬に関する幅広く高度な専門知識と優れた臨床能力を有する指導的薬剤師、および薬剤師の資質を活かして薬学研究の発展に貢献できるリサーチマインドを有する人材の養成」を教育研究上の目的としており、この目的に沿って、6年制薬学教育の入学者受入方針(アドミッション・ポリシー)、教育課程の編成・実施方針(カリキュラム・ポリシー)および学位授与の方針(ディプロマ・ポリシー)を制定している。このカリキュラム・ポリシーに基づき、教養教育・語学教育・専門基礎教育・専門教育・課題研究・演習から構成される6年制薬学教育カリキュラムが構築され、実施されている。ヒューマニズム教育・医療倫理教育は1年次から上級年次まで体系的に導入されており、その中には、生命倫理観および薬剤師としての使命感および職業観を醸成するための「早期体験学習」(1年次通年)や学生参加型のプログラムとして、コミュニケーション能力や問題解決能力の養成に資する「基礎ゼミ」、TBL(Team Based Learning)やPBL(Problem Based Learning)を通じて医学部学生との間でヒューマニズム等に関する意見を交わす「医薬連携教育プログラム」など、特色ある科目が認められる。語学科目としては、選択可能な幅広い初修外国語科目(英語の他、中国語、フランス語、ドイツ語)が開講されているほか、「読む」、「書く」、「聞く」、「話す」の要素を取り入れた発展的科目も用意されている。また、「基礎生物英語」や「基礎化学英語」などの専門英語科目も開講され、充実した語学教育が行われている。薬学専門教育は、6年制薬学教育モデル・コアカリキュラムに基づいて、年次が上がるに従い基礎薬学系科目から臨床系科目へと積み上がるように組み立てられており、各科目の到達目標の学習領域(知識・技能・態度)に適した学習方法を用いた教育が行われている。「実務実習事前学習」および「病院・薬局実習」も、実務実習モデル・コアカリキュラムに掲げられている教育目標や実施方法等に沿って適切に実施されている。「実務実習事前学習」の評価には、目標達成度を評価するための指標が設定され、対象領域(知識・技能・- 2 -態度)に適した指標と基準が設定され評価が実施されている。卒業研究は、「総合薬学研究1・2・3」の必修科目(3年次後期から6年次前期)として行われ、卒業研究発表会が設定され卒業論文が提出されており、適切に実施されている。卒業研究の期間には必修科目が複数設定されており、学生に大きな負担がかからないよう配慮が必要であるが、十分な研究時間が設定され、充実した内容の研究が行われている。学生の受入れは、アドミッション・ポリシーに基づき適切に行われ、ディプロマ・ポリシーに基づいた適切な学士課程修了認定が行われている。また、施設・設備も充実しており、学生の健康維持に関する支援や経済的支援には、特色ある取り組みが行われている。しかし、以下のような問題点が挙げられ、改善が必要である。1)4年次の「総合演習1」、6年次の「総合薬学演習2」と「総合演習2」に関しては、試験の成績に基づいてクラス分けを行い、必修科目であるにも関わらずクラスによって講義や演習への出席免除を行っている。2)医療倫理観、ヒューマニズム、医療コミュニケーションなどのキーワードを含み、医療人としての態度とその基盤となる知識、技能を学ぶ「薬学概論」(1年次)、「早期体験学習」(1年次)、「生命倫理」(4年次)、「コミュニティファーマシー」(4年次)などの科目があり、教育が体系的に行われ、かつ能動的参加型学習法を取り入れているが、この中で必修科目なのは「生命倫理」だけである。「早期体験学習」(1年次)を含む他の3科目は必修科目とする必要がある。3)学部全体の教育研究活動を統合的に自己点検・評価し、恒常的、継続的に教育研究活動の改善に取り組むためのPDCAサイクルを機能させて、常に改善に努める体制を整備する必要がある。近畿大学薬学部医療薬学科は、自己点検・評価体制の抜本的な見直しをはじめとする改善すべき点および助言を踏まえ、積極的に改革を進めることにより、薬学教育の更なる向上に努めることが望まれる。
大学への提言
近畿大学 大学への提言1)長所1.「医薬連携教育プログラム」や「早期体験学習」は医学部との連携で行われており、附属病院での体験型学習を通して、患者ケアやチーム医療、多職種連携を早期から薬学生に意識づける上で効果的であり、長所と見なすことができる。(3.医療人教育の基本的内容)2.近畿大学学園学生健保共済会では、全ての学生に、保険医療機関で保険証を使用して受診した際に窓口で支払う自己負担額を全額給付する制度を設けている。(9.学生の支援)3.中央図書館のホームページを基軸とした電子図書館サービスを提供し電子ジャーナル、25種のデータベース提供、教育研究成果の発信などが充実している。また、教育用端末を数か所設置し、自由に電子図書館サービスを学外からも利用できるようになっているのは長所である。(11.学習環境)2)助言1.教育研究上の目的を検証するシステムを利用して、定期的に検証することが望まれる。(1.教育研究上の目的)2.6年次に開講されている選択科目 (4.5単 位、「 臨 床 薬 物 動 態 学」、「 医 療 ・ 薬 事関係法規 2」、「 が ん 治 療 学 医 薬 看 連携 講 義 」 )は 、 受 講 実 績を 見 る と ほ ぼ 全 員が 受 講 し て おり 、履 修 要 項 の 規 定 から 実 質 的 に ほ ぼ 必 修 科目 な の で 、必 修 科 目と す る こ と が望 ま れ る 。( 2 . カ リ キュ ラ ム 編 成 )3.「課題設定・問題解決科目群(5科目)」に物理と数学が「基礎物理化学」と「基礎数学」として配置され、この科目群からは、他の科目群(11科目)と合わせて2年次までに12単位が必要とされており、物理と数学・統計学の履修が軽視されているように見受けられるので、考慮が望まれる。(3.医療人教育の基本的内容)4.語学教育に多彩な科目が導入されているが、発展英語科目と臨床薬学英語については選択科目であり、履修者が極めて少ないので、履修者を増やす工夫が望まれる。(3.医療人教育の基本的内容)5.どの科目がヒューマニズム教育・医療倫理教育に対応する科目か分かりづらいので、シラバス等を改良することが望ましい。(3.医療人教育の基本的内容)6.「臨床薬学」、「調剤学」、「総合薬学演習1A」の学習方法は、座学、レポート提出など- 30 -で、必ずしも効果的ではないため、PBLなどの工夫が望まれる。(3.医療人教育の基本的内容)7.シラバスに掲載されているカリキュラムツリーは細かすぎて学生が理解するのは困難と思われる。もう少し分かりやすい形での提示が望まれる。(4.薬学専門教育の内容)8.大学独自の薬学専門教育について、総合大学としての特徴ある科目である「医薬連携教育プログラム」や「がん治療学医薬看連携講義」などは大学独自の科目と考えられる。その他にも、医学部教員や同附属病院医療スタッフを講師陣とした科目や最新の医療薬学分野科目が開講されており、大学独自の教科と言える。優れた科目なので、学生へ周知する工夫が望まれる。(4.薬学専門教育の内容)9.実務実習実施委員会の構成員や薬局実務実習主担当教員のメンバーから判断して、実務実習の指導に専任教員全員が参画しているとは言えないので、実施委員会に基礎系教員なども加えて、実務実習を学部全体で支援する体制を作ることが望まれる。(5.実務実習)10.実務実習をⅡ期以降に開始する学生に対して、「実践病態と治療」(集中講義)を実務実習開始直前に実施して知識や到達度の確認を行っているが、講義で行われており、技能・態度の再確認を求めるための科目を導入することが望まれる。(5.実務実習)11.配属教室の教員が副担当となっているとはいえ、特任教員数名で薬局実務実習の主担当を担っているのは問題であり、学部教員全員で、円滑できめ細かい実務実習の指導体制の構築が望まれる。(5.実務実習)12.実務実習報告会を学部全体で開催し、全員が発表するようにすることが望まれる。(5.実務実習)13. 卒業研究成果の医療や薬学における位置づけがどのように考察されているかなど、卒業研究を評価するための明確な評価基準を作成することが望まれる。(6.問題解決能力の醸成のための教育)14. 問題解決型学習に関連する科目の中には選択科目となっているものもあるので、問題解決型学習を全学生が18単位以上履修するように改めることが望まれる。(6.問題解決能力の醸成のための教育)15.卒業研究の発表形式が、薬学共用試験と4年終了時の成績により異なっていることは好ましくないので、改善することが望まれる。(6.問題解決能力の醸成のための教育)16. 6年前期には卒業研究は実質行われていないが、実務実習を修了したうえで、実務実習の成果を基に卒業研究を行いそれらを纏めることが重要であるので、そのための期- 31 -間を設定することが望まれる。(6.問題解決能力の醸成のための教育)17.問題解決能力醸成のための教育科目は、選択科目である「早期体験学習」と「薬学統計学」を含め、18.5単位となっているので、全学生が18単以上履修するように改めることが望まれる。(6.問題解決能力の醸成のための教育)18.留年率(各学年の留年の状況(13〜40名))は在籍学生の1割以上である。これらの原因の一つとして考えられる入学者の選抜方法の見直しが望まれる。(7.学生の受入)19.薬学部全体の定期健康診断受診率は88.7%であるが、2年次の受診率が8割を切っている。この点については原因を明らかにした上で受診率を上げるための適切な対策が望まれる。(9.学生の支援)20.教授と准教授の割合が高く、助教の割合が低いのは、専任教員1名に対する学生数が多い原因にもなっている(医療薬学科の学生定員900名として、教員1人当たりの学生数は25名であり、在籍学生数1003名で換算すると28名)。学生実習などにおける教育・指導上も問題であり、助教の増員が望まれる。(10.教員組織・職員組織)21.実務家教員の実務遂行能力の維持向上のために、医療の現場で実務に定期的に従事する体制・制度の整備が望まれる。(10.教員組織・職員組織)22.臨床系教員(臨床薬学部門)の授業時間が、基礎系の教員よりも多くなっており、負担が一部の教員に偏っているので、改善が望まれる。(10.教員組織・職員組織)23.大学の英文ホームページとともに、薬学部の英文ホームページも開設されているが、限られた内容にとどまっているので、内容のより充実が望まれる。(12.社会との連携)24.海外留学の制度が整備されているが、利用する教員が少ないので、今後、多くの教員が利用することが望まれる。(12.社会との連携)25.「薬学部自己点検評価委員会」に外部委員を含むことが望まれる 。(13.自己点検・評価)3)改善すべき点1.4年次の「総合演習1」、6年次の「総合薬学演習2」と「総合演習2」に関しては、試験の成績に基づいてクラス分けを行い、必修科目であるにも関わらずクラスによって講義や演習への出席免除を行っており、早急に改善する必要がある。(2.カリキュラム編成)2.カリキュラム・ポリシーに対応する主な科目、例えば、カリキュラム・ポリシー3)- 32 -に対応する「早期体験学習」、「解剖組織学」、カリキュラム・ポリシー4)に対応する「病態生理学1 ・2 」、「分子ゲノム薬科学」、「ゲノム医療とゲノム創薬」、カリキュラム・ポリシー5)に対応する「コミュニティファーマシー」、カリキュラム・ポリシー7)に対応する「臨床医学概論」、「がん治療学医薬看連携講義」などは、選択科目となっている。これらの科目を履修せずに卒業する学生がいる可能性があり、カリキュラム・ポリシーが活かされない可能性があるので、選択科目の設定を早急に検討する必要がある。(2.カリキュラム編成)3.医療倫理観、ヒューマニズム、医療コミュニケーションなどのキーワードを含み、医療人としての態度とその基盤となる知識、技能を学ぶ「薬学概論」(1年次)、「早期体験学習」(1年次)、「生命倫理」(4年次)、「コミュニティファーマシー」(4年次)などの科目があり、教育が体系的に行われ、かつ能動的参加型学習法を取り入れているが、この中で必修科目なのは「生命倫理」だけである。「早期体験学習」(1年次)を含む他の3科目は必修科目とする必要がある。(3.医療人教育の基本的内容)4.コミュニケーション能力およびヒューマニズム教育・医療倫理教育全体における評価について、目標達成度を評価するための指標を設定し評価することが必要である。(3.医療人教育の基本的内容)5. 「総合薬学研究1〜3」について、それぞれに評価基準を設定し、客観的かつ公平な評価を行う必要がある。(6.問題解決能力の醸成のための教育)6. 問題解決能力の醸成に向けた教育において、目標達成度を評価するための指標を設定し、それに基づいて適切な評価を行う必要がある。(6.問題解決能力の醸成のための教育)7.薬学部履修要項の「総合演習2」についての記載内容にある、「12月から2月にかけて最終の判定試験を行い、その合否によって単位認定を行います。単位が認定されなかった学生は卒業延期となりますのでご注意ください。」という記述は、「総合演習2」の試験が卒業を決定する、いわゆる「卒業試験」であると読める。「総合演習2」は、必修科目の一つに過ぎず、他の必修科目の不合格でも卒業要件を欠くことになるので、このように記述するのは不適切で、改善すべきである。(8.成績評価・進級・学士課程修了認定)8. 学部全体の教育研究活動を統合的に自己点検・評価し、恒常的、継続的に教育研究活動の改善に取り組むためのPDCAサイクルを機能させて、常に改善に努める体制を整備する必要がある。(13.自己点検・評価)
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1:提言 改善報告審議結果 |
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| 昭和薬科大学 | 私 | 東京都 | 第1期 |
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自己点検・評価書 基礎資料 正誤票 |
評価報告書
総評
昭和薬科大学 総評昭和薬科大学は、建学理念に基づいた「教育研究上の目的」を学則に明記し、それに基づく3つのポリシーを定め、6年制薬学教育を行っている。教養科目は薬学準備教育ガイドラインを参考に適切に設定されている。リメディアル教育は、入学前教育から開始され、専門教育を効果的に履修させるための準備が適切になされている。薬学専門教育の構成・内容は、基本的には薬学教育モデル・コアカリキュラムに準拠している。ヒューマニズム、医療倫理、コミュニケーション教育では、対応科目を各学年で開講し、体系的な教育が実施されている。実務実習事前学習は、実務実習モデル・コアカリキュラムに基づき、2年次後期から入門基礎編となる科目の授業が行われ、3年次前期で講義中心の導入編へ進み、3年次後期からは実務中心の科目に移行している。6年次には、「6年間の集大成としての知識に関わる総合学習を行う」ことを目的とする「最終総合演習」が行われている。実務実習施設への配属には、学生の希望や居住地を考慮した決定法が取り入れられ、薬局は調整機構を通じ、病院は大学の判断により適切な規模の病院を選定している。卒業研究は、4年次から6年次前期の期間を用いて、総合薬学、臨床薬学、情報薬学の3コースに分けて実施されており、教養教育担当部門を含むすべての研究室において、それぞれの特徴にあった研究が行われている。入学者の選抜は、十分な基礎学力を有する多様な学生を確保する観点から、5つの形式で実施されている。学生の経済的、身体的、精神的なサポート体制は整っている。特に、経済的支援体制としては、大学独自の奨学金制度があり、また、地方出身者の生活費を軽減するために女子寮が設けられている。薬学共用試験はCBT(Computer Based Testing)、OSCE(Objective StructuredClinical Examination)共に、薬学共用試験センターの「共用試験実施要項」に基づいて実施されている。専任教員数は、大学設置基準を満たしており、個々の教員の資格や教育研究業績などは基準を満たしている。- 2 -教育研究に必要な施設、設備、図書などの学習環境は、十分に整えられている。とくに、参加型学習のための少人数教育ができる教室はよく整備されている。自己点検・評価項目の点検・評価結果は、公表されているが、個々の教員に対するフィードバックは5年に1度である。以上のように、昭和薬科大学薬学部薬学科の教育プログラムは、本機構の評価基準におおむね適合している。しかし、以下の二つの重大な点を含む諸問題について、早急に改善を図る必要がある。1)「最終総合演習」は、カリキュラム・ポリシーの項目Ⅷを実現する必修科目であるにもかかわらず、すべての授業を国家試験対策予備校に委託していることは重大な問題であり、専任教員が担当し、大学が責任を持って実施するように改善する必要がある。2)国家試験対策予備校に授業を委託している「最終総合演習」を必修科目とし、その不合格だけで卒業できない学生が相当数いることは、重大な問題であり改善が必要である。昭和薬科大学には、本評価で指摘された問題点の改善に取り組み、薬科単科大学としての特色を活かした薬学教育を推進されるよう期待する。
大学への提言
昭和薬科大学 大学への提言1)助言1.「教育研究上の目的」の記述が「自己点検・評価書」の大学概要・基準1・学生便覧の3つの間で異なっているので、統一を図ることが望まれる。(1.教育研究上の目的)2.「教育研究上の目的」に関する記載について、ホームページ上でのアクセスを容易にすることが望まれる。(1.教育研究上の目的)3.「教育研究上の目的」の定期的な検証を行う体制を整え、これを実施することが望まれる。(1.教育研究上の目的)4.記載されているカリキュラム・ポリシーは、カリキュラムの構成は示しているがディプロマ・ポリシーを達成するための方針としてはやや不十分であり、改善が望まれる。(2.カリキュラム編成)5.学生便覧、薬学部パンフレット(資料1)およびホームページに記載されているカリキュラム・ポリシーの表現は統一することが望まれる。(2.カリキュラム編成)6.カリキュラム・マップを学生にわかりやすいものにすることが望まれる。(2.カリキュラム編成)7.学生が自分の学習内容を常に把握出来るように、各科目の内容と薬学教育モデル・コアカリキュラムとの対応をシラバスに記載し、学生に提示することが望まれる。(2.カリキュラム編成)8.早期体験学習が病院・薬局のみであり、多様な職種(公的研究機関、企業等)への見学を実施することが望ましい。また、早期体験の成果についてはSGDにて共有しているが、全体発表は行われておらず、評価基準も明確に示すことが望まれる。(3.医療人教育の基本的内容)9.教養科目、語学科目の多くが必修科目になっており、選択の幅を広げることが望まれる。(3.医療人教育の基本的内容)10.英語教育について、5年次、6年次に特徴的な英語力を学ぶ科目がありながら、受講者は5年次「医薬開発特論Ⅱ」が4名、6年次「実用薬学英語」が34人と少なく、受講者を増やす努力が望まれる。(3.医療人教育の基本的内容)- 25 -11.公開教育講座への、学生の参加を促すことが望まれる。(3.医療人教育の基本的内容)12.大学独自科目の開設状況を点検し、いずれのコースにおいても選択できる科目を増設することが望ましい。(4.薬学専門教育の内容)13.1年次~4年次までは時間割が固定されているので、学生が選択できる科目の配置が望まれる(教養科目を除く)。(4.薬学専門教育の内容)14.4年次からの3コース制について、具体的な目的を策定し、学生便覧等で明確に示すことが望まれる。(4.薬学専門教育の内容)15.シラバス、便覧、時間割、ホームページに記載されている科目名を統一し、シラバスへの選択・必修の記載が望まれる。(4.薬学専門教育の内容)16.6年次の選択科目のみでカバーされているSBOsがわずかながら見受けられ (新興感染症など)、履修しないで終了する可能性があり、改善が望まれる。(4.薬学専門教育の内容)17.実習全体の単位数は9単位と少ないので、単位数を増やすことが望まれる。(4.薬学専門教育の内容)18.実務実習事前実習Ⅰ評価表では、点数の半分以上が共通項目(身だしなみ)などであり、技能の習得結果などを正確に反映したものにすることが望まれる。(5.実務実習)19.問題解決能力の育成に関する単位が基準18単位以上になるようカリキュラムを見直すことが望ましい。(6.問題解決能力の醸成のための教育)20.様々な教員が指導し作成された卒業論文が、6年制薬学教育として求めるられる卒業研究基準に達しているかどうかを評価できる体制を整えることが望まれる。(6.問題解決能力の醸成のための教育)21.推薦入試の面接において、医療人として必要なコミュニケーション能力の資質を確認しているが、他の入試制度でも面接などその適性を評価する方法の導入を検討することが望まれる。(7.学生の受入)22.「薬学への招待」において、学術的な文書の読み書き能力の鍛錬であるアカデミック・リテラシー講義を開講し、大学生としての自覚を促す導入教育やスタディ・スキルの考え方と実践、ライフ・デザインの考え方と実践を指導しているとあるが、好ましい取り組みなので授業回数を現状の4回より増やすことが望まれる。(9.学生の支援)23.実験・実習での安全教育を実習単位ではなく、大学全体として行うことが望まれる。(9.学生の支援)24.学生生活に対する学生の意見に対し、対応体制を十分にとることが望ましい。(9.学- 26 -生の支援)25.教員の増員をはかり、教員一人あたりの学生数を改善することが望まれる。(10.教員組織・職員組織)26.教員の採用の選考基準に、模擬講義を採用するなど教育力の評価を加えることが望ましい。(10.教員組織・職員組織)27.教員の採用の選考基準に、社会貢献に関わる業績を入れることが望ましい。(10.教員組織・職員組織)28.実務家教員が7名であり、これが実務家教員と非実務家教員の講義時間の格差につながっていることから、実務家教員の増員が望まれる。(10.教員組織・職員組織)29.教員の評価結果に関するフィードバックは毎年実施することが望ましい。(10.教員組織・職員組織)30.教員の長期海外出張制度の利用を促進することが望ましい。(12.社会との連携)31.自己点検評価委員会に外部委員を委嘱出来るようにすることが望ましい。(13.自己点検・評価)2)改善すべき点1.「最終総合演習」は、カリキュラム・ポリシーの項目Ⅷを実現する必修科目であるにもかかわらず、すべての授業を国家試験対策予備校に委託していることは重大な問題であり、専任教員が担当し、大学が責任を持って実施するよう早急に改善する必要がある。(2.カリキュラム編成)2.観点3-1-1-4(ヒューマニズム教育・医療倫理教育)、3-2-2-4(コミュニケーション能力および自己表現能力)に関し、目標達成度を評価するための指標を定め、評価する必要がある。(3.医療人教育の基本的内容)3.事前学習の目標達成度を評価するための指標を策定し、それに基づいて適切に評価することが必要である。(5.実務実習)4.共用試験の受験者数を「自己点検・評価書」に記載することが必要である。(5.実務実習)5.卒業研究の評価に関して、評価項目並びに評価基準を明示する必要がある。また、指導教員以外の教員の評価点配分を見直し、より、客観的な評価を実施する必要がある。(6.問題解決能力の醸成のための教育)6.問題解決能力の醸成に向けた教育について、目標達成度を評価するための指標を設定- 27 -し、それに基づいて適切に評価する必要がある。(6.問題解決能力の醸成のための教育)7.国家試験対策予備校に授業を委託している「最終総合演習」を必修科目とし、その不合格だけで卒業できない学生が相当数いることは、卒業の可否の判断に国家試験の合格予測を重視していることを意味しており、重大な問題であり改善が必要である。(8.成績評価・進級・学士課程修了認定)8.自己点検・評価の結果を十分に検証し、検証結果を教育研究活動の改善に十分に活用する必要がある。(13.自己点検・評価)
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1:提言 改善報告審議結果 |
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自己点検・評価書 基礎資料 正誤票 |
評価報告書
総評
摂南大学 総評摂南大学薬学部は、教育研究上の目的を「高い倫理観、心豊かな人間性、実践的能力を備え、わが国の医療の進化、健康・福祉の増進、生活環境の保全に貢献する薬剤師を養成することを目的とする」と学則に規定しており、薬剤師養成に課せられた使命などに関する情報を収集し、教育研究上の目的ならびに3つのポリシーを検証している。教育課程の編成・実施の方針(カリキュラム・ポリシー)は教育研究上の目的に基づき、ディプロマ・ポリシー(学位授与方針)への到達を目指して、学習成果基盤型教育を掲げて設定されている。ヒューマニズム・医療倫理教育では、科目ごとにパフォーマンス評価を行っている。また、教養教育では選択性を考慮し、科目の重複開講を避ける配慮がなされている。語学教育に関しては、基礎的な科目、医療英語のほか4年次以降の実習、卒業研究等でも体系的に学ぶようになっている。薬学準備教育として、「リメディアル」コースを設定し1年生全員が履修するようにしている。医療安全教育や生涯教育では、外部講師による講演等を実施し、学生が科学的視点を養い、生涯研修の必要性を学ぶようにしている。薬学専門教育は、モデル・コアカリキュラムに準拠している。学習方略のうち、人的資源として薬剤師、患者など学生が医療現場の人たちと多く接する機会が設定されている。また、大学独自の教育プログラムである「キャリア形成」コース等では、段階的にパフォーマンスレベルが向上するように科目の順次性が考慮されている。実務実習は、モデル・コアカリキュラムに準拠しており、共用試験も厳正に実施されている。実務実習の指導には、ほとんどの教員が参加し、実習施設の配属も公正に行われている。また、実務実習の総合的な学習成果をアドバンストOSCE(Objective StructuredClinical Examination)で測定する試みを行っている。卒業研究では発表会が実施され、成績評価は、主査と副査によりなされている。参加型学習として多くの問題解決型学習やチーム基盤型学習を取り入れ、問題解決能力の醸成に努めており、ここでもルーブリックを用いる評価が行われ、ディプロマ・ポリシーへの到達度が測定されていることは評価できる。- 2 -アドミッション・ポリシー(入学者受入方針)は、8つの素養を求める形で設定されている。入学者選抜は8つの区分で適正に行われ、その一部では面接試験を導入している。成績評価は、履修規定の成績評価基準に基づき適切に実施されている。特に技能・態度の領域では、パフォーマンス評価を行うためにルーブリックを多く取り入れている。また、学士課程修了認定でも、パフォーマンス評価の導入を試みている。担任制度を通して学習指導に当たり、経済的支援として独自の奨学金を設定している。また、学生のメンタル・ヘルスケアやハラスメント防止に努め、身体に障がいのある学生に対しては、ソフトとハードの両面において配慮がなされている。進路支援体制については、CDA(Career Development Adviser)の資格を有する教員・事務職員を配置するなどの努力がなされている。教員数は大学設置基準を満たしており、講師以上の専任教員は適切に配置されている。戦略的イノベーション創造プログラムなど学部を超えた全学的研究活動や活発なFD(Faculty Development)活動は評価できる。教室等の学習環境に関しては良好であり、とくに少人数教育のための演習室が多く設置され問題解決型学習等に活用されている。医療機関・企業などとの共同研究や地域の医療関係団体との連携が図られている他、海外の研究所、大学などと学術交流や学術提携をし、国際交流に努めている。自己点検・評価では、外部委員を入れた委員会を設置し、自己点検・評価を実施し、その結果を公表している。また、評価結果に対して改善に向けた努力がなされている。以上のように、摂南大学薬学部薬学科の教育プログラムは、本機構の評価基準におおむね適合していると判断される。しかし、概評および大学への提言で詳細を記載している以下に挙げる諸問題については改善を図ることが必要である。1. シラバス上の教育(到達)目標の学習領域と学習方略の組み合わせ2. コミュニケーション教育、医療倫理教育、医療安全教育などの更なる充実と可視化3. 薬学専門教育科目における必修と選択の区分4. 実務実習事前学習の科目ごとの評価はなされているが、事前学習としての総合的な目標達成度評価の実施5. 留年生を減少させる対策(6年間でのストレート卒業率の向上)摂南大学薬学部は、全学年を通して、パフォーマンス評価を随所に取り入れ、学習成果基盤型教育を目指しているが、それらの成果についてはまだ明確には認められない。今後- 3 -はそれらが実績として、学習成果基盤型教育の成果が学生に反映されることが望まれる。また、提言に挙げられた点を検討改善することにより、更なる発展を期待する。
大学への提言
摂南大学 大学への提言1)長所1.卒業目標マトリックスにより修得レベルを可視化し、全学年を通して、講義、SGD、体験型学習等を組み合わせ、更には様々なルーブリック表によるパフォーマンス評価を取り入れ、高い学習効果が得られるよう、学習成果基盤型教育を目指した教育プログラムを編成し、ディプロマ・ポリシーの8つの資質への到達を目指している。(2.カリキュラム編成)2.実習後のパフォーマンス評価のため、アドバンストOSCEを行っている。(5.実務実習)2)助言1.「教育研究上の目的」を広く周知させるために、大学案内にも掲載することが望まれる。(1.教育研究上の目的)2. カリキュラム・ポリシーを広く周知させるために、大学案内にも掲載することが望まれる。(2.カリキュラム編成)3.シラバス上の教育(到達)目標の学習領域と学習方略が合致するように見直しが望まれる。(3.医療人教育の基本的内容)4.臨床現場で役立つコミュニケーションを学ぶために、チーム医療を意識した実践的な能力を養うためのカリキュラムの検討が望まれる。(3.医療人教育の基本的内容)5.生涯教育の重要性を認識させ、卒後教育への学生の参加を増やす努力が望まれる。(3.医療人教育の基本的内容)6.医療安全教育に関しては様々な科目において実施しているとしているが、医療安全教- 23 -育に特化した科目を設定し、更に充実することが望まれる。(3.医療人教育の基本的内容)7.早期体験学習における見学先を製薬企業、行政など、より幅広く取り入れることが望まれる。(3.医療人教育の基本的内容)8.一部の科目で到達目標の学習領域に合致していない学習方略が見られるので、改善が望まれる。(4.薬学専門教育の内容)9.実務実習の開始時期と事前学習の終了時期が離れる場合には、再実習により到達度を再評価することが望ましい。(5.実務実習)10.「特別研究Ⅰ」と「特別研究Ⅱ」のSBOの内容及び評価方法について誤解を招かないような表現、また実施時期などを正確に記載することが望まれる。(6.問題解決能力の醸成のための教育)11.リメディアル教育を十分行っているにも拘らず、各学年の留年者が50名近くいることから、その原因の一つとして考えられる入学試験制度の検討が望まれる。(7.学生の受入)12.本試験と再試験で同じ問題が出題され、これが2年に亘って見られる科目があったので、試験問題の出題方式(客観試験、同じ問題)などをチェックする制度の検討が望まれる。(8.成績評価・進級・学士課程修了認定)13.災害時のことを想定した全学的な避難訓練を実施することが望ましい。(9.学生の支援)14.教員1人あたりの学生数は19.6人であるので、本評価の基準で期待する10名以内を目指す努力が望まれる。(10.教員組織・職員組織)3)改善すべき点1.ディプロマ・ポリシーを目指すのに欠かすことのできない科目は必修科目とする必要がある。(2.カリキュラム編成)2.実務実習事前学習の総合的な目標達成度を評価するための指標を設定し、評価する必要がある。(5.実務実習)3.共用試験の受験者数を、「自己点検・評価書」に掲載し公表する必要がある。(5.実務実習)4.卒業研究に相当する「特別研究Ⅰ」と「特別研究Ⅱ」は必須科目であり、卒業論文および卒論発表が義務づけられているので、国家試験後に発表会を開催することを特例- 24 -として認めることはディプロマ・ポリシーに反するので改善が必要である。(6.問題解決能力の醸成のための教育)5.卒業率(6年間で卒業する学生の比率)が年々低下傾向にあり、成績下位学生への対応を改善する必要がある。(8.成績評価・進級・学士課程修了認定)
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1:提言 改善報告審議結果 |
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| 崇城大学 | 私 | 熊本県 | 第1期 |
2015年度 |
適 |
自己点検・評価書 基礎資料 正誤票 |
評価報告書
総評
崇城大学 総評崇城大学薬学部は、『薬学の基礎学力と倫理観をしっかり身につけて、問題解決能力や国際化・情報化への対応能力を育み、医療、保健、創薬など、いずれの方向に進んでも患者志向の薬の専門家として貢献できる高い資質と人間性豊かな薬剤師を養成する。特に医療現場で活躍できる実践能力の高い薬剤師を養成する。』を教育研究上の目的とし、これに基づくアドミッション・ポリシー、カリキュラム・ポリシー、および、ディプロマ・ポリシーを定めて6年制薬学教育に取り組んでいる。教育課程は、 カリキュラム・ポリシーに基づいて、総合教育(人間科学、外国語)科目、専門基礎科目、薬学専門科目より構成されている。教養教育は、総合大学の特色を生かした多数の科目が全学部生を対象にして開講されており、薬学部では、薬学準備教育ガイドラインに準拠した科目を最低4科目(8単位)履修するよう定め、学生の履修が容易になるように時間割上で配慮している。語学教育では、1学年を5クラスに分ける少人数教育で行っており、外国人英語教員の直接指導により「聞く」、「話す」についても十分に配慮した教育がなされている。また、「早期体験学習」で病院、薬局以外に小児福祉施設、老人介護施設などを実習先に加えている。薬学専門教育では、薬学教育モデル・コアカリキュラムに準拠した専門基礎知識を学んで5年次からの実務実習に備えるプログラムとなっている。主体的な学習態度、問題発見・問題解決能力の醸成に重点を置いたプログラムとしては、5、6年次の「卒業論文実習」など最低限必要な科目を置いている。参加型実務実習については、実務実習事前学習と共用試験により実務実習を行う能力を担保した上で、九州・山口地区調整機構と大学の実務実習委員会の連携により、熊本県内・外の病院、保険薬局において、モデル・コアカリキュラムに沿った内容で行っている。薬学部の専任教員数は、実務家教員を含めて、大学設置基準を上回っており、専任教員数に対する学生数比率も適切な範囲にあるが、若手教員の割合がやや少ない。若手教員が海外留学できる制度も活用されており、施設・設備などの学習・研究環境はほぼ良好であり、卒後教育や地域医療への貢献も行っている。- 2 -以上より、崇城大学薬学部は、本機構の評価基準に全体としては適合していると結論できる。しかし、本機構の評価基準に達していないため改善が必要である主な問題として、以下の諸点がある。1. 「教育課程の編成・実施の方針」とそれに基づいてカリキュラムを構築することの重要性を十分に理解した、責任あるカリキュラムの検討体制を早急に確立することが必要である。2. 6年次後期の必修科目である「総合薬学演習Ⅲ」の大部分を薬剤師国家試験予備校に委託していることは不適切であるので、早急に改める必要がある。3. コミュニケーションの基本的能力を修得するための科目を増やすと共に、「ヒューマニズム教育・医療倫理教育」と「コミュニケーション能力と自己表現能力を身につけるための教育」において、目標達成度を総合的に評価するための指標を設定し、それに基づいた適切な評価を行うことが必要である。4. 学力の不足する入学者が増えていることが懸念されるので、合格ラインの設定を見直すなど、入学者の選抜方法の改善について検討することが必要である。5. 進級判定基準が規程に定められていないので、学則第 10 条に遵って下位規程で規定し、それを学生に周知するよう早急に改善することが必要である。6. 薬剤師国家試験準備を目的とする科目である「総合薬学演習Ⅲ」の不合格によって、6年次在籍者の約 25%が卒業延期となっている現状は早急に改善する必要がある。7. 「薬学部評価委員会」の活動を、外部評価に対応するためではなく、自己点検・評価の結果を全教員が共有し、学部として教育研究活動の改善に向けた自主的な取り組みに結びつけることができる体制を構築することが必要である。崇城大学薬学部は、改善すべき点及び助言を踏まえ、より一層、 組織的に医療人としての薬剤師の育成に取り組み、さらに向上発展することを期待する。
大学への提言
崇城大学 大学への提言1)助言1. 学則に規定されている「薬学部の目的」とホームページ、ならびに「自己点検・評価書」の「まえがき」に記載されている「理念」と「教育研究上の目的」の表現を統一することが望ましい。(1.教育研究上の目的)2. 「教育研究上の目的」を「学生便覧」などの印刷物に収載すると共に、学生ならびに教職員への周知に更に努めることが望ましい。(1.教育研究上の目的)3. 「学生便覧」に学生に対する履修上の指針となるカリキュラム・マップを収載することが望ましい。(2.カリキュラム編成)4. カリキュラム・ポリシーの1.と3.に対応する内容と授業方法の科目を拡充発展させることが望ましい。(2.カリキュラム編成)5. コミュニケーションの基本的能力を修得する科目が不足しているので、該当する科目- 26 -を増やすことが望ましい。(3.医療人教育の基本的内容)6. 薬学専門の外国語科目には不十分な点が見られるので、改善することが望ましい。(3.医療人教育の基本的内容)7. 薬学準備教育が必修科目のみで構成されている。しかし、入学者の学習履歴が一様ではないことを認識し、それらの不足部分を補う教育プログラムにも配慮することが望ましい。(3.医療人教育の基本的内容)8. 「早期体験学習」は、「薬剤師の活躍する現場などを広く見学させる」という【観点3−3−2−1】の趣旨に合うよう、個々の学生が行政機関や企業を含めた複数の見学先を訪問できる形に改善することが望ましい。(3.医療人教育の基本的内容)9. 大学独自の専門科目が17科目開講されており、時間割上も自由に受講できるようになっているが、履修者が少なく、特に6年次の履修者は皆無に近い状況である。これらの科目の履修者を増やすよう努力することが望ましい。(4.薬学専門教育の内容)10. 「知識領域の授業でも対話形式を学習方法に取り入れていること」を特徴として自己評価しているので、シラバスの【授業方法】欄にこの特徴を明記することが望ましい。(4.薬学専門教育の内容)11. シラバスに記載する実習回数の表記を統一することが望ましい。(4.薬学専門教育の内容)12. 指導教員による施設訪問は1回が原則となっており、中間発表会で全学生の実習進捗状況を把握する体制をとっているが、大学による実務実習の指導体制が十分であるとは言えないので改善することが望ましい。(5.実務実習)13. 病院・薬局実習の総合的な学習成果に対する評価方法と基準は、各々の項目で異なっており、総合的な学習成果の評価にはなっていないので、それらを総合した評価を行うよう改善することが望ましい。(5.実務実習)14. 6年次の現状の時間割では、学生が卒業研究より国家試験準備教育を重要だと感じ、卒業研究を相対的に軽視する状況を生じることが懸念されるので、学生が十分な時間をかけて卒業研究に集中できるような時間割とすることが望ましい。(6. 問題解決能力の醸成のための教育)15. 問題解決能力を醸成するための科目については、当該科目がそのような目的を持つことがシラバスの内容から分かるよう、シラバスにはこの目的を達成するための学習方法に関する工夫を説明しておくことが望ましい。(6. 問題解決能力の醸成のための教育)- 27 -16. 大学の方針として入試で3教科を課すことで入学者の学力を担保することを目指すのであれば、すべての入試において3科目の学力試験を行うようにすることが望ましい。(7.学生の受入れ)17. 複数の評価方法を用いる科目では、シラバスの成績評価方法欄に、最終成績に対するそれぞれの方法による評価の寄与率を明記することが望まれる。(8.成績評価・進級・学士課程修了認定)18. 薬学準備教育科目を必修科目として開講していることは、入学までの学修履歴に応じた履修指導を行っていることにはならないので、入学前の学修履歴を把握し、それぞれに応じた学習ができる指導体制を設けることが望ましい。(9.学生の支援)19. 薬学部キャンパスには看護職員あるいはカウンセラーが週3日待機しているが、常時待機することが望ましい。(9.学生の支援)20. 健康診断は全学年で実施することが望ましい。(9.学生の支援)21. 助教+助手が7名であり、卒業研究を行っている研究室の過半数で助教、助手が不在であるという状況は、研究室における学生の指導と安全の確保に対する懸念があると言わざるを得ないので、これらの教員の増員が望まれる。(10.教員組織・職員組織)22. 薬剤師として実務の経験を有する専任教員が、常に新しい医療に対応するために研鑽できる体制・制度の早急なる整備が望まれる。(10.教員組織・職員組織)23. 研究経費の総額が不足気味でありその配分方法にも問題点があるので、それらの改善を図ることが望まれる。(10.教員組織・職員組織)24. 薬学部独自のFD活動を充実させることが望まれる。(10.教員組織・職員組織)25. 少人数教育に適した教室および自習室の不足の解消が望まれる。(11.学習環境)26. 薬学部棟の大講義室は収容人数に対しては狭く学習机が過密であり、収容人数を減じて学習机の過密を緩和することが望まれる。(11.学習環境)27. 学部開設時に整備した研究教育機器類が経年劣化しているので、更新に配慮することが望まれる。(11.学習環境)28. 卒後教育研修事業や地域住民を対象にした公開講座等は、一部の教員の活動によっているが、それらは薬学部全体の事業として取り組むことが望まれる。(12.社会との連携)29. 英文ホームページの内容に薬学部の活動全般の紹介を含めることが望まれる。(12.社会との連携)30. 「自己評価21」の結果は学部ホームページに公表しているが、平成22~25年度に行- 28 -った自己点検・評価の結果は、印刷物を学内の部局に配布しているだけで公開していないので、公開することが望ましい。(13.自己点検・評価)2)改善すべき点1. カリキュラム・ポリシーとカリキュラムについて、年度の対応を考慮しない自己点検・評価が行われていることは、「教育課程の編成・実施の方針(カリキュラム・ポリシー)」の設定とそれに基づくカリキュラムを構築が、それら相互間の関連づけの重要性を理解することなく行われていたことを意味する。この現状を改善するために、「教育課程の編成・実施の方針」とカリキュラムをそれに基づいて構築することの重要性を理解した責任ある体制を早急に確立することが必要である。(2. カリキュラム編成)2. カリキュラム・ポリシーを冊子体として配布している「学生便覧」に収載して、学生に周知することが必要である。(2. カリキュラム編成)3. 必修科目である「総合薬学演習Ⅲ」における演習授業の大部分を薬剤師国家試験予備校講師に委託していることは、大学教育として不適切であり、早急に改める必要がある。(2. カリキュラム編成)4. 「総合薬学演習Ⅱ」で業者が作成した問題による自己学習だけを実施し、その成果を試験で評価していることは好ましい指導方法ではないので、専任教員による適切な指導を行った後に自己学習を行う形に改善する必要がある。(2. カリキュラム編成)5. 「ヒューマニズム教育・医療倫理教育」と「コミュニケーション能力と自己表現能力を身につけるための教育」において、目標達成度を総合的に評価するための指標を設定し、それに基づいた適切な評価を行うことが必要である。(3.医療人教育の基本的内容)6. シラバスには、個々の科目に対応する薬学教育モデル・コアカリキュラムの到達目標が記載されているが、それらと授業の内容、計画との関連づけがなされていない。これでは、学生が授業を受けることによってどの目標が達成できたかを的確に把握することができない。授業内容と到達目標の関連が容易に理解できるようシラバスを改善することが必要である。(4.薬学専門教育の内容)7. 実務実習事前学習の目標達成度を評価するための指標を設定し、それに基づいて適切に評価を行うことが必要である。(5.実務実習)8. 実務実習事前学習のシラバスに記載されている到達目標の表現がモデル・コアカリキュラムのそれらと異なる上、項目の実施順序もモデル・コアカリキュラムとは異なっ- 29 -ている。この現状は、学生がシラバスによってコアカリキュラムの到達目標を確認することを困難にするものなので、改善が必要である。(5.実務実習)9. 「卒業論文」の最終評価は各指導教員が行う事になっている。学部の共通の指標があるとはいえ、指導教員が個人で評価することは評価の公平性が懸念される。「研究室単位で行われる最終発表会」での質疑応答、「卒業論文」の内容の評価に予備審査を担当した2名の教員を評価者に加えるなどの方法で、公平性が保証される評価体制に改善することが必要である。(6. 問題解決能力の醸成のための教育)10. 問題解決能力の醸成に向けた教育の評価は科目毎に定められた方法と基準によって独立して行われており、問題解決能力の目標達成度を評価するための指標を設定して、それに基づく評価は行われていないので、適切な評価方法を定め、それに基づく評価を行うよう改善することが必要である。(6. 問題解決能力の醸成のための教育)11. 入試形態によらず、留年者数が増える傾向にある。これは、入試問題の改善だけで解消できない理由で薬学教育に必要な学力が不足する入学生が増加している可能性が高いことを示唆しているので、合格ラインの設定を見直すなど、入学者の選抜方法の改善が必要である。(7.学生の受入れ)12. 進級基準を担任名の配布資料のみで通知していることは不適当である。進級判定基準を学則第10条に遵って下位規程で規定し、それを学生に周知するよう早急に改善することが必要である。(8.成績評価・進級・学士課程修了認定)13. 薬剤師国家試験準備を目的とする科目である「総合薬学演習Ⅲ」の未修得によって、6年次在籍者の約25%(128名中33名)が卒業延期となっている平成26年度のような状況は好ましくないので、早急に改善する必要がある。(8.成績評価・進級・学士課程修了認定)14. 学士課程修了判定により留年となった学生に対する教育指導体制が不十分で、機能を発揮していないので、そのための教育プログラムを構築することが必要である。(8.成績評価・進級・学士課程修了認定)15. 公開されている教員の教育研究業績を全教員が毎年更新することを確実に行い、教員の教育研究活動に対する学部としての点検評価を十分に行う体制を早急に確立することが必要である。(10.教員組織・職員組織)16. 薬学部キャンパスの事務員が庶務課学部支援係の薬学専任職員2名のみであるという現状は、学部の教育研究活動に様々な支障をきたしていることが懸念される。薬学部専任の事務職員を増員し、現状を早急に改善することが必要である。(10.教員組織・- 30 -職員組織)17. 「薬学部評価委員会」は、外部評価への対応とそれに準じた自己点検・評価だけではなく、自らが設定する評価項目に基づいて薬学部の教育研究プログラムを恒常的に点検・評価し、その結果を積極的に公表することが必要である。(13.自己点検・評価)18. 「薬学部評価委員会」の活動を、外部評価に対応するためではなく、自己点検・評価の結果を全教員が共有し、学部として教育研究活動の改善に向けた自主的な取り組みに結びつけることができる体制を構築することが必要である。(13.自己点検・評価)
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1:提言 改善報告審議結果 |
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自己点検・評価書 基礎資料 正誤票 |
評価報告書
総評
千葉大学 総評千葉大学薬学部は、6年制薬学科と4年制薬科学科の2学科を設置しているが、学科の振り分けは3年次に行われる。薬学部の教育研究上の目的は、「本学部は、薬学および関連する分野の学識を深化させ、薬学職業人としての活動を行うために必要な専門的知識、研究能力およびその基礎となる豊かな学識を養うと共に、全人的視野に立つ医療従事者、薬学的知識を持つ専門家を育成することを目的とする」と規定されている。これに基づき、入学者受入れの方針(アドミッション・ポリシー)、教育課程編成・実施の方針(カリキュラム・ポリシー)および学位授与の方針(ディプロマ・ポリシー)を薬学部について設定している。しかし、薬学科に関するものは、独立して設定されていない。薬学科における基本教育は良好に実施されている。教養教育・語学教育は、総合大学の特色を生かした共通教育として1年次から体系的に実施されている。医学・看護学・薬学の連携による亥鼻IPEプログラムで1〜4年次に開講される「チーム医療Ⅰ~Ⅳ」は、ヒューマニズム教育・医療倫理教育などの中核となっている。平成 26 年度からは、「薬学教育モデル・コアカリキュラム-平成 25 年度改訂版-」に対応した薬学専門教育が実施されている。病院実務実習は、医学部附属病院薬剤部で行われている。卒業研究は4年次からの6セメスターの必修科目となっており、充実している。卒業研究の成果は、学部主催の卒業論文発表会で口頭発表を行うとともに、卒業論文にまとめている。入学者選抜は入学者受入れの方針に基づいて行われており、留年・休学・退学者は少なく、基礎学力や医療人としての適性が的確に評価されている。合否判定の手順、入学定員に対する入学者数にも問題はない。各科目の成績評価、進級や留年の判定、および卒業認定の方法は適切である。学生への履修指導や学習相談、授業料免除や奨学金などの経済的支援、メンタルケアやハラスメント問題などへの対応、障がいを有する学生への対応、就職支援、安全管理など、学生の支援環境は充実している。また、学習環境も図書館、講義・演習室、実験室、実務実習事前学習あるいは研究活動のための施設や設備などが十分に整備されており、適切である。- 2 -専任教員数は大学設置基準を上回り、教員1名あたりの学生数も良好である。また専任教員の年齢構成に著しい偏りはなく、実務家教員も5名配置されている。教員には任期制が適用されており、5年毎に教育および研究に対する取組が評価される。教員は、医学界や産業界と積極的に連携しており、さらに地域の保健衛生の保持・向上にも貢献している。自己点検・評価の組織として第三者評価委員会が設置されており、平成 22 年度には「自己評価 21」、平成 25 年には「千葉大学薬学部の薬学教育カリキュラムに対する外部評価」を実施している。しかし、主な改善すべき点として、以下があげられる。(1)教育理念、人材養成および教育研究上の目的を学部・学科ごとに整理・設定し、薬学部規程などに明示・公表する必要がある。(2)薬学科のカリキュラム・ポリシー、およびディプロマ・ポリシーを設定する必要がある。(3)現行の教育カリキュラムでは、SBOs(Specific Behavioral Objectives)の一部が網羅されていない、あるいは選択科目に割り当てられているため、改善の必要がある。また、SBOsの学習領域にあった方略で学習するように改善が必要である。(4)病院実務実習の実習期間を標準の 11 週間とする必要がある。(5)6年制薬学教育プログラムを自ら点検・評価し、その結果を教育研究活動に反映する体制を整備し、機能させる必要がある。以上の重要な問題点に加えて、その他の指摘についてもPDCAサイクルによる内部質保証システムを十分に機能させ、臨床に係る実践能力を培う薬学専門教育のさらなる改革・改善に努めることが望まれる。
大学への提言
千葉大学 大学への提言1)長所1.「チーム医療Ⅰ~Ⅳ」は、教室での講義を最小限にして、実際の患者・サービス利用者や医療専門職と向き合う演習や実習を通じて医療現場を実体験させるなど特色ある科目である。プログラム開始から既に8年が経過して、医学・看護学・薬学の教員の連携体制も十分整備されており、優れた取り組みとして高く評価できる。(2.カリキュラム編成)- 27 -2)助言1.教育研究上の目的を自己点検・評価してとりまとめる組織体制の下に、定期的な検証がなされることが望まれる。(1.教育研究上の目的)2.FD(教員対象)やガイダンス(学生対象)などを通じて、カリキュラム・ポリシーを教員や学生に周知し、さらなる共有化を図ることが望まれる。(2.カリキュラム編成)3.「チーム医療Ⅰ、Ⅱ」については、6年制薬学科と4年制薬科学科で共に選択科目となっているが、薬学科にとっては重要な科目なので必修とすることが望まれる。 (2.カリキュラム編成)4. 科目関連図であるカリキュラム・ツリーではなく、カリキュラム・マップを作成し、教育カリキュラムとディプロマ・ポリシーとの関連がわかるように示すことが望まれる。(2.カリキュラム編成)5.カリキュラム・ポリシーの定期的な検証が行われていないので、検証を行うことが望まれる。(2.カリキュラム編成)6.ヒューマニズム教育、医療倫理教育、コミュニケーション教育に関するものが、「チーム医療Ⅰ~Ⅳ」(各学年1単位)など、特定の科目に集中して担われているため単位数が少ないので改善が望まれる。(3.医療人教育の基本的内容)7.医療現場で薬剤師に必要とされる語学力を身につけるための教育として、薬学科独自の医療薬学英語教育を実施することが望ましい。(3.医療人教育の基本的内容)8.薬害や医療過誤、医療事故を主な内容とする科目を開設することが望まれる。(3.医療人教育の基本的内容)9.全ての科目について、基礎と臨床の知見を相互に関連付けるため、関連科目(基礎科目、発展科目など)をシラバスに記載することが望ましい。(4.薬学専門教育の内容)10.「千葉大学薬学部薬学教育モデル・コアカリキュラム対応シラバス補助資料」の内容は、シラバスに含めるのが望ましい。(4.薬学専門教育の内容)11.実習の単位数が実習によって異なるので、時間数に見合う単位数を設定することが望まれる。(4.薬学専門教育の内容)12.カリキュラム・マップにおいて、演習系、講義系、実習の括りが示されているのみなので、当該科目と他の科目との関連性を明示したものに修正することが望まれる。 (4.薬学専門教育の内容)- 28 -13.シラバスや履修案内に、実務実習を履修するための要件を明確に記載することが望ましい。(5.実務実習)14.学生の理解のために、事前実務実習書への一般目標および到達目標の記載が望まれる。(5.実務実習)15.カリキュラム・ポリシー(教育課程編成・実施の方針)において、卒業研究の意義付けを明確に記載することが望まれる。(6.問題解決能力の醸成のための教育)16.「総合薬学演習」と「薬剤師と地域医療」の評価方法に関して、授業態度のみと記載されているが、どのように評価するのか実態を明確に記載することが望まれる。 (6.問題解決能力の醸成のための教育)17.卒業論文作成の方針を設定し、学生に周知することが望まれる。(6.問題解決能力の醸成のための教育)18. 6年制薬学科と4年制薬科学科では人材育成の目的が異なるため、学科ごとのアドミッション・ポリシーを設定することが望ましい。(7.学生の受入)19.推薦入試について、配点や合格者の平均点などを開示することが望ましい。 (7.学生の受入)20.ディプロマ・ポリシーを履修案内やシラバスに掲載することが望ましい。(8.成績評価・進級・学士課程修了認定)21.ディプロマ・ポリシーについて、FD研修会(教員対象)や履修ガイダンス(学生対象)で説明することが望ましい。(8.成績評価・進級・学士課程修了認定)22.6年制薬学科の教育プログラムの総合的な学習成果の評価に関しては、大学独自の指標を設定し、それに基づいた適切な評価を行うことが望ましい。 (8.成績評価・進級・学士課程修了認定)23.大学あるいは薬学部独自の経済的支援制度(奨学金制度など)を設けることが望ましい。(9.学生の支援)24.施設のバリアフリー化や視聴覚設備の充実など、学生に配慮した施設・設備の改善を図ることが望まれる。(9.学生の支援)25.一部教員への授業負担の偏りを是正することが望ましい。(10.教員組織・職員組織)26.教員の教育研究活動に関して、研究実績に加え、教育実績をホームページなどで公表することが望ましい。(10.教員組織・職員組織)27.実務家教員の研鑽体制について、学部・学科としての体制を整えることが望ましい。 (10.教員組織・職員組織)- 29 -28.教員による相互の授業参観や試験問題の適切性の相互評価など、教員の教育の質向上を図るための取り組みをさらに追加することが望ましい。(10.教員組織・職員組織)29.実習室に緊急用シャワーの設置が望ましい。(11.学習環境)30.教員のための長期海外出張制度を整備し、その利用を促進することが望ましい。 (12.社会との連携)31.自己点検・評価のための組織である第三者評価委員会(平成27年度から薬学教育自己点検委員会)に外部委員および事務系職員を加えることが望ましい。(13.自己点検・評価)3)改善すべき点1.教育理念、人材養成および教育研究上の目的を学部・学科ごとに整理・設定し、薬学部規程などに明示・公表する必要がある。(1.教育研究上の目的)2.薬学部のホームページに掲載されているカリキュラム・ポリシーは、大学ホームページに掲載の薬学部教育課程編成・実施の方針と本来同じものである。両者の内容を同じ表記にする必要がある。(2.カリキュラム編成)3.6年制と4年制の教育においては、それぞれの人材育成の目的が異なるので、各学科で独自のカリキュラム・ポリシーを設定する必要がある。その上で、カリキュラムを構築する必要がある。(2.カリキュラム編成)4.ヒューマニズム教育・医療倫理教育およびコミュニケーション教育に関わる目標到達度を総合的に評価するための指標を設定し、適切に評価する必要がある。(3.医療人教育の基本的内容)5.全ての科目について、一般目標および学習到達目標を設定し、シラバスに記載する必要がある。(4.薬学専門教育の内容)6.「特別実習Ⅰ~Ⅲ」について、早急にシラバスを作成する必要がある。 (4.薬学専門教育の内容)7.現行のカリキュラムが改訂コアカリキュラムに準拠しておらず、SBOsの一部が網羅されていないため、早急に改善する必要がある。 (4.薬学専門教育の内容)8.必修科目とすべきSBOsを選択科目としているので、必修科目として学習できるように改善すべきである。 (4.薬学専門教育の内容)9.各SBOの学習領域(知識・技能・態度)に関して、不適切な学習方法を採用している一部の科目については、学習領域にあった方略で学習するように見直す必要がある。- 30 - (4.薬学専門教育の内容)10.病院実務実習の実習期間については、【観点5-3-4-3】に定められている標準期間の11週間とする必要がある。(5.実務実習)11.「事前実務実習」、「病院実習」および「薬局実習」のシラバスに、授業内容の詳細を記載する必要がある。(5.実務実習)12.実務実習事前学習の目標達成度を評価するための指標を学生に示し、それに基づいて適切に評価する必要がある。(5.実務実習)13.卒業研究に相当する「特別実習Ⅰ~Ⅲ」の審査結果報告の内容が不十分であり、学科内で共通の指標を設定し、公平に評価することが必要である。特に、研究成果が見え難い卒業研究の途中段階である「特別研究Ⅰ、Ⅱ」は、評価が指導教員の裁量に強く依存することが無いように客観的かつ公平な指標の設定が必要である。(6.問題能力醸成のための教育)14.卒業研究を除く問題解決能力の醸成に向けた教育においては、目標達成度を評価するための指標を設定し、それに基づいて適切に評価する必要がある。 (6.問題能力醸成のための教育)15.薬学部のディプロマ・ポリシーに加え、人材育成の目的の異なる6年制薬学科および4年制薬科学科に関するディプロマ・ポリシーを個々に策定する必要がある。 (8.成績評価・進級・学士課程修了認定)16.FD研修会を主催する学部の組織や体制を整備する必要がある。 (10.教員組織・職員組織)17.定期的に薬学教育プログラムの自己点検・評価を行い、その結果を教育研究活動の改善に積極的に反映させる必要がある。(13.自己点検・評価)
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1:提言 改善報告審議結果 |
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自己点検・評価書 基礎資料 正誤票 |
評価報告書
総評
東京薬科大学 総評東京薬科大学の理念・目的は、「東京薬科大学学部学則」において、「本学は教育基本法及び学校教育法の主旨に従い、ヒューマニズムの精神に基づいて、視野の広い、心豊かな人材を育成し、薬学並びに生命科学の領域における教育と研究を通じて、人類の福祉と世界の平和に貢献することを目的とする。」と定められている。薬学部の教育研究上の目的は、「医療を担う薬学人に相応しい充分な知識と技術、及び人類の福祉に貢献できる豊かな人間性と広い視野を持つ人材の育成を目的とする。」と定められており、大学の理念・目的に基づいて設定されている。また、薬学6年制への移行にともない、医療薬学科、医療薬物薬学科、および医療衛生薬学科の3学科制とし、各々の学科の教育研究上の目的は学則で定められている。薬学教育カリキュラムは、カリキュラム・ポリシー(教育課程の編成・実施方針)に基づいて編成されており、教養科目および基礎教育から臨床教育にいたる科目が配置され、医療人として生命に関わる薬学専門家にふさわしい行動を身に付けるための教育が体系的に行われている。大学独自の薬学専門教育については多くの科目が配置されており、特に少人数クラスの「ゼミナール」では、問題解決能力、プレゼンテーション能力、コミュニケーション能力の醸成が図られている。実務実習事前学習は、実務実習モデル・コアカリキュラムに準拠し、適切な指導体制の下に行われている。実務実習の指導体制については、実習施設ごとに担当する教室が決められており、薬学部の全教員が何らかの形で実務実習の指導に参画することで、施設との緊密な連携体制が構築されている。担当教室の教員は、実習期間中に原則として3回の訪問を行い、実習施設との情報交換と学生の指導にあたっている。 卒業研究としての「課題研究」は 14 単位が配当され、実験研究コースと調査研究コー- 2 -スの2コース制で実施されている。実施期間は4年次~6年次9月までの2年半となっている。入学試験はアドミッション・ポリシー(入学者受入方針)に基づいて適正に実施され、入学者数と入学定員との間には大きな乖離はない。学生の成績評価・進級・学士課程修了認定についてはおおむね適切に行われている。学生の支援については、修学支援、奨学金制度、ヘルス・メンタルケア、ハラスメント防止、キャリア支援などの体制が整備されている。専任教員の職位と年齢構成については、比較的バランスよく構成されている。教育研究上の目的に沿った教育を実施するための施設・設備は整備されており、また、薬剤師会などと連携し、薬学の発展に努めている。平成21年以来、自己点検・評価を毎年行うことにより多数の課題を、自己評価委員会、自己評価実施委員会および自己評価実施検討委員会(薬学部)で可視化することができている。以上のように、東京薬科大学薬学部の教育プログラムは本機構の評価基準におおむね適合していると判断できる。しかしながら、以下の諸問題については改善を図る必要がある。1)「課題研究」の調査研究コースにおいて国家試験対策科目である「4P80 演習」が5年次(3単位)および6年次(3単位)に実施されていることは、卒業研究であるこのコースの教育が国家試験準備を重視したものとなっていることを示しており、改善が必要である。2)コミュニケーション能力および自己表現能力を身につけるための教育において、目標達成度を評価するための指標の設定と、それに基づいた適切な評価が行われておらず、今後の更なる改善が必要である。3)卒業研究に割り当てられた単位数に「課題研究」の実験研究コース(14単位)と調査研究コース(8単位)で差がある。問題解決能力醸成を目的とする卒業研究の単位数にコース間で差があることは問題であり、改善が必要である。4)問題解決能力の醸成に向けた教育全体において、目標達成度を総合的に評価する指標を設定し、適切に評価する必要がある。5)成績評価の基準が「履修規程」などに規定されておらず、基準が科目によって異なることは評価の厳正さを損なうので、改善する必要がある。6)「共用試験に合格した者が事前実務学習(実務実習事前学習Ⅱ)を受講出来る」とすることは、「共用試験」の合格を「実務実習事前学習Ⅱ」の単位認定要件にしていることになり、不適切であり、早急に改善する必要がある。- 3 -東京薬科大学薬学部は、特色ある教育プログラムと優れた教員および設備を有し、教育への熱心な取り組みがうかがえる。本評価で指摘された問題点の改善に取り組み、さらに発展することを期待する。
大学への提言
東京薬科大学 大学への提言1)長所1.「薬学入門」、「薬学入門演習Ⅰ」、「薬学入門演習Ⅱ」については、ポートフォリオを作成させ、評価基準を示して自己評価ならびに教員による評価が行われていること。(3.医療人教育の基本的内容)2.早期体験学習報告会での学生全員と教員との総合討論、および投票形式による発表評- 27 -価が行われていること。(3.医療人教育の基本的内容)3.全教員を対象とした「臨床研修留学規程」が策定されており、臨床現場での研修活動を支援する制度やUCSFなどでの研修制度が整備されていること。(10.教員組織・職員組織)2)助言1.学則にある教育研究上の目的は「授業計画」(シラバス冊子)などにも明確に収載されることが望ましい。(1.教育研究上の目的)2.カリキュラムマップおよびラーニングマップを、学生への周知のために、「授業計画」などに収載することが望まれる。(2.カリキュラム編成)3.「コミュニケーション論」(1年次)は薬剤師教育に必須であるので、必修科目とすることが望まれる。(3.医療人教育の基本的内容)4.早期体験学習は1人1施設の見学にとどまっているので、増やすことが望ましい。(3.医療人教育の基本的内容)5.「インターンシップ」や「キャリア育成講座」は、多くの学生が履修できるように努めることが望ましい。(3.医療人教育の基本的内容)6.卒後・生涯教育講座に学生の出席を認めているが、参加者は僅かであり、増やすことが望ましい。(3.医療人教育の基本的内容)7.カリキュラムマップを、基礎と臨床の関連を理解できるように作り直すことが望ましい。(4.薬学専門教育の内容)8.基礎資料3において、C領域のすべてのSBOsにアドバンス演習が対応していることになっているが、演習科目は技能に関するSBOsに対応していないと思われるので、除外することが望まれる。また、「医療倫理」に充てられている態度に関するSBOsはこの科目の方略には対応していないので、除外することが望まれる。(4.薬学専門教育の内容)9.「授業計画」において成績評価方法における形成的評価および総括的評価や準備学習の記載が統一されていないので、統一が望まれる。(4.薬学専門教育の内容)10.大学独自の科目あるいは独自の内容を含む科目をシラバスに明示することが望まれる。(4.薬学専門教育の内容)11.実習指導者は日本薬剤師研修センターが認める認定実務実習指導薬剤師であることが原則であるので、認定薬剤師の確保に努めることが望まれる。(5.実務実習)- 28 -12.教室、研究室、センターなどに配属された学生の数は、教員一人あたり平均9名であり、ほとんどの配属先では平均的な学生数となっているが、教員一人あたりの学生数が15名を超えているところもあり、指導の実態に対する点検・評価が望まれる。(6.問題解決能力の醸成のための教育)13.口頭発表会は公開で実施されているが、所属研究室が主となって行われているため、学部が主となり、学部全体での発表会にすることが望ましい。(6.問題解決能力の醸成のための教育)14.参加型プログラムを実施している科目の特徴をシラバスに明示することが望ましい。(6.問題解決能力の醸成のための教育)15.全ての基礎実習のシラバスにSGDを実施していることを記載することが望まれる。(6.問題解決能力の醸成のための教育)16.医療人としての適性を評価するための面接は、総募集人員の約半数を占める一般入試では実施されておらず、今後、「適性検査」の導入を含めての対応が望まれる。(7.学生の受入)17.平成25年度と26年度には適正な入学者を確保することができなかったことから、綿密に入学者数の予測を立てて合格者が決定されることが望ましい。(7.学生の受入)18.「授業計画」の成績評価方法に「パフォーマンス」の項目を設け、多面的な評価を教員・学生に意識させているとあるが、「授業計画」にパフォーマンス評価項目が記載されているのはごく一部の科目であり、すべての科目に記載することが望まれる。(8.成績評価・進級・学士課程修了認定)19.一部の科目では追再試験が本試験とほぼ同一の問題で行われているので、問題の変更が望まれる。(8.成績評価・進級・学士課程修了認定)20.学費減免型の特別奨学生制度の1年次生の対象者は、一般入試B方式合格者に限られているが、他の方式も含めて公平性をもたせることが望ましい。(9.学生の支援)21.学部の基礎実験では、学生約150名に対し、教員およびTAが6〜11名で指導とあるが、安全確保のため指導者1名あたりの学生数を可能な限り少なくすることが望まれる。(9.学生の支援)22.平成26年度は、教職員を主とする消防訓練が実施されているが、これは全学生を対象に毎年実施されることが望ましい。(9.学生の支援)23.教員学生比率(20.0)の改善のために教員の増員が望まれる。(10.教員組織・職員組織)- 29 -24.ホームページ上に教員の業績が開示されることになっているが、開示していない教員があり、また業績が更新されていない場合があるので、全教員について新しい業績を開示することが望まれる。(10.教員組織・職員組織)25.個々の教員で講義、実習、演習に関わる時間数に大きな差(最大16.6、最少0.8)があることから、これらの時間数の差を少なくすることが望ましい。(10.教員組織・職員組織)26.配属学生1名あたりの研究室の広さの差を少なくすることが望まれる。(11.学習環境)27.国際学会への参加者は比較的多いが長期出張者は僅かであり、増加が望まれる。(12.社会との連携)28.自己評価委員会には4名の外部委員が含まれており、草案の査読の結果を委員会に示し、改善につなげているとされているが、外部委員は委員会における審議にも恒常的に参加することが望ましい。(13.自己点検・評価)29.自己評価委員会のメンバーは教授で占められており、若手の准教授などの参画が望まれる。(13.自己点検・評価)3)改善すべき点1.「課題研究」の調査研究コースにおいて国家試験対策科目が5年次(3単位)および6年次(3単位)に実施されていることは、卒業研究である調査研究コースの教育が国家試験準備を重視したものとなっていることを示しており、改善が必要である。(2.カリキュラム編成)2.コミュニケーション能力および自己表現能力を身につけるための教育において、目標達成度を評価するための指標の設定と、それに基づいた適切な評価が行われておらず、今後の更なる改善が必要である。(3.医療人教育の基本的内容)3.卒業論文の評価が学生と同じ教室に所属する主および副指導教員により行われていることから、評価の客観性に問題があるので、改善する必要がある。(6.問題解決能力の醸成のための教育)4.問題解決能力の醸成に向けた教育全体において、目標達成度を総合的に評価する指標を設定し、適切に評価する必要がある。(6.問題解決能力の醸成のための教育)5.「課題研究」の実験研究コースでは14単位全てが卒業研究に充てられるのに対して調査研究コースでは国家試験対策科目(6単位)が含まれているため、臨床関連の講義お- 30 -よび「PBLT」を含めても卒業研究の単位は8単位である。問題解決能力醸成を目的とする卒業研究の単位数が両コース間で差があることは問題であり、改善が必要である。(6.問題解決能力の醸成のための教育)6.成績評価の基準が「履修規程」などに規定されておらず、基準が科目によって異なることは評価の厳正さを損なうので、改善する必要がある。(8.成績評価・進級・学士課程修了認定)7.成績評価において、科目内で筆記試験、レポート点など複数の評価方法を用いる場合、評価方法ごとの最終成績に与える寄与率をシラバスに記載する必要がある。(8.成績評価・進級・学士課程修了認定)8.「共用試験に合格した者が事前実務学習(実務実習事前学習Ⅱ)を受講出来る」とすることは、「共用試験」の合格を「実務実習事前学習Ⅱ」の単位認定要件にしていることになり、不適切であり、早急に改善する必要がある。(8.成績評価・進級・学士課程修了認定)9.自己点検・評価の結果を教育研究活動に反映させる体制が強化・改善される必要がある。(13.自己点検・評価)
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1:提言 改善報告審議結果 |
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3:但し書き 改善報告審議結果 2017/5/26 |
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| 東京理科大学 | 私 | 東京都 | 第1期 |
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適 |
自己点検・評価書 基礎資料 正誤票 |
評価報告書
総評
東京理科大学 総評東京理科大学の建学の精神は「理学の普及を以て国運発展の基礎とする」であり、「自然・人間・社会とこれらの調和的発展のための科学と技術の創造」を教育研究理念としている。この理念に基づいて、東京理科大学の教育・研究目的を「一般教養とともに理学、薬学及び工学の原理及びその応用を教授研究し、人格高く、かつ、応用力に富む有為の人物を育成して、文化の進展に寄与すること」として学則に定めている。6年制薬学科の教育研究上の目的は、「医薬品の作用機序、安定性等の薬剤師の職能の基盤となる専門的知識及び関連する技能、態度を習得し、ヒューマニティと高度化する医療に適切に対応できる研究心を兼ね備えた薬剤師の育成」と学則に規定されている。この教育研究上の目的に従って、アドミッション・ポリシー(入学者受入方針)、カリキュラム・ポリシー(教育課程の編成・実施の方針)及びディプロマ・ポリシー(学位授与の方針)が設定され、ホームページ、学修簿及び薬学部パンフレットに記載、公表されている。医療人としての薬剤師養成の薬学教育カリキュラムは、基本的に薬学教育モデル・コアカリキュラムにほぼ準拠している。学習者参加型の教育科目、問題解決型の教育科目、ヒューマニズム・医療倫理教育の科目もバランスよく配置されているが、開講科目が多く、過密なカリキュラムとなっているので、選択科目の受講率が低い傾向にある。その中で「最新薬剤師業務」の中の「ケア・コロキウム」は医療人養成を目的とした他大学との協力授業であり、特色あるInterprofessional Education(IPE)として評価できる。学生の受入は入学者受入方針に基づいて行われ、成績評価、進級はおおむね公平・厳密に行われている。専任教員は大学設置基準を満たしており、教育・研究環境は充実している。- 2 -以上のように、東京理科大学薬学部薬学科の薬学教育プログラムは本機構の評価基準におおむね適合しているが、以下のような重要な問題点がある。1. 「特別講義1」(選択)の成績評価が、外部試験であるCBTの成績(正答率)を活用して行われている現状は、大学に求められている公正かつ厳格な成績評価の観点からは不適切であり、改善する必要がある。2. 6年間の教育を総合的に判断する科目(必修)としての「特別講義2」の成績判定では合格基準を定め、それに基づいた判定を行っているが、再試験ではそれを下回る基準で判定が行われている。このことは、公平かつ厳格な評価の観点からは問題があり、改善する必要がある。3. ヒューマニズム教育・医療倫理教育や、コミュニケーション能力および自己表現能力醸成教育のための科目の多くが選択科目として開講されているが、6年制薬学教育の中でも重要な科目なので、全学生が履修できるように必修化することが求められる。4. ヒューマニズム教育・医療倫理教育、コミュニケーション能力および自己表現能力醸成教育、実務実習事前学習、問題解決能力の醸成に向けた教育に関し、これらの目標達成度を評価するための指標を設定し、それに基づき適切に評価するよう改善が求められる。東京理科大学薬学部は、筑波大学医学部・看護学部との医療連携を基にした特色ある教育プログラムを構築しており、チーム医療に貢献できる薬剤師の養成など、薬剤師教育に熱心に取り組む姿勢がうかがえる。今後はさらにその特徴を伸ばし、また指摘された改善すべき点や助言を踏まえ、より一層の改善・改革を進めることで6年制薬学教育の更なる発展を期待する。
大学への提言
東京理科大学 大学への提言1)長所1. 「最新薬剤師業務」の中の「ケア・コロキウム」は筑波大学の医学・看護学・医療科学部と連携して行っており、特色あるIPEとして評価される。(3.医療人教育の基本的内容)2)助言1. 薬学部薬学科の教育研究上の目的について、定期的な検証が望まれる。(1.教育研究上の目的)2. カリキュラム・ポリシーを学生に十分に周知するために、ガイダンス資料やカリキュラム・マップ等の資料を配布するなどの工夫が望まれる。(2.カリキュラム編成)3. カリキュラム・ポリシーに記載されている「ヒューマニティと研究心にあふれる高度な薬剤師の育成」を具現化するための科目が、全学年を通して接続性を考慮して開講されていないなど、カリキュラム・ポリシーの精神がカリキュラムに必ずしも反映されているとは言えないので、改善が望まれる。(2.カリキュラム編成)4. 「特別講義1」(選択専門科目)で行われている「自己学習システム」を利用した試験の成績を基に成績下位の学生を受講させることは好ましくないので、改善が望まれる。(2.カリキュラム編成)5. 「特別講義2」の単位数に関し、実際の授業コマ数に対応するように整合性を図ることが望まれる。(2.カリキュラム編成)6. 薬学教育モデル・コアカリキュラムのSBOsのうち、態度領域の一部が実施されていないことは問題であるので、改善が望まれる。(3.医療人教育の基本的内容)7. 英語教育は実質的には1年次、2年次の2年間であり、医療現場で必要とされる英語教育を充実させるためには、高学年においても英語を学べる体系化されたカリキュラム編成を行うことが望まれる。(3.医療人教育の基本的内容)8. シラバスの表記[到達目標、授業計画、評価方法]を統一し、履修する学生に分かりやすく記載することが望まれる。(4.薬学専門教育の内容)9. 実務実習事前学習として、122コマを確保することが望まれる。また、実務実習事前学習は「医療薬学実習」と「調剤学1、2」で構成されていることをシラバス等に記載し、周知することが望まれる。(5.実務実習)- 21 -10. 教員の実務実習施設への事前打ち合わせ、実習期間中の訪問を電話のみで済ますことなく、教授会で決定したとおりに徹底されることが望まれる。(5.実務実習)11. 科目関連図に「薬学総合研究」(卒業研究)を加えることが望まれる。(6.問題解決能力の醸成のための教育)12. 「卒業論文」と「卒業論文要旨」の位置づけを明確にすることが望まれる。(6.問題解決能力の醸成のための教育)13. 試験の答案の保存、学生への答案用紙・成績のフィードバック、成績の分布の作成等について教員全体に周知することが望まれる。(8.成績評価・進級・学士課程修了認定)14. ホームページに記載されているディプロマ・ポリシーは学修簿に記載された内容と異なっていたので、ホームページの維持・管理には十分な注意を払うほか、ポリシーの定期的な検証が望まれる。(8.成績評価・進級・学士課程修了認定)15. ディプロマ・ポリシーに基づいた総合的な学習成果を測定するための指標を設定し、それを基に評価することが望まれる。(8.成績評価・進級・学士課程修了認定)16. 薬学科のFD活動の充実を図ることが望まれる。(10.教員組織・職員組織)17. 教員の長期海外出張制度の充実を図ることが望まれる。(12.社会との連携)18. 自己点検・評価実施委員会に外部の委員も加えることが望まれる。(13.自己点検・評価)3)改善すべき点1. 模擬試験(外部の試験の導入)、秋季講習会、直前ゼミ(外部講師によるゼミ)の開講を正規の授業である「特別講義2」と一体化して案内しないように改善する必要がある。(2.カリキュラム編成)2. ヒューマニズム教育・医療倫理教育や、コミュニケーション能力および自己表現能力醸成教育のための科目の多くが選択科目として開講されているが、必修化するよう改善する必要がある。(3.医療人教育の基本的内容)3. ヒューマニズム教育・医療倫理教育や、コミュニケーション能力および自己表現能力醸成教育の目標達成度を評価するための指標を設定し、それに基づいて適切に評価するように改善する必要がある。(3.医療人教育の基本的内容)4. 全学生が薬学教育モデル・コアカリキュラムのSBOsに準拠した科目を履修できるように改善する必要がある。(4.薬学専門教育の内容)- 22 -5. 大学独自のSBOsがモデル・コアカリキュラムのSBOsと判別ができるようにシラバスの記載を改善する必要がある。(4.薬学専門教育の内容)6. 実務実習事前学習の到達目標は実務実習モデル・コアカリキュラムに準拠して実施するように改善する必要がある。(5.実務実習)7. 実務実習事前学習全体の目標達成度を評価する指標を設定し、それに基づく評価をする必要がある。(5.実務実習)8. 「薬学総合研究」の最終評価は所属研究室の指導教員に任されているが、学科として統一した基準の下で評価するよう改善する必要がある。(6.問題解決能力の醸成のための教育)9. 問題解決能力の醸成に向けた教育において、目標達成度を評価するための指標を設定し、その指標に基づいて評価を行うよう改善する必要がある。(6.問題解決能力の醸成のための教育)10.「特別講義1」(選択)の成績評価がCBTの成績(正答率)を活用して行われている現状は、CBTに不合格の学生は同時に「特別講義1」も不合格になるので、早急に改善する必要がある。(8.成績評価・進級・学士課程修了認定)11.「特別講義2」の成績判定では65%を合格基準と定めているが、再試験ではそれを下回る基準で判定が行われている。このように、必ずしも公平かつ厳格に評価が実施されていないので、改善する必要がある。(8.成績評価・進級・学士課程修了認定)12. 薬学教育プログラムの改善に関する点検項目を決定し、定期的、恒常的に検証して、PDCAサイクルを介して教育研究活動を改善する体系的なシステムを構築する必要がある。(13.自己点検・評価)
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1:提言 改善報告審議結果 |
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3:但し書き 改善報告審議結果 2017/5/26 |
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| 東北医科薬科大学 | 私 | 宮城県 | 第1期 |
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適 |
自己点検・評価書 基礎資料 正誤票 |
評価報告書
総評
東北医科薬科大学 総評東北薬科大学は、建学の精神「われら真理の扉をひらかむ」のもと、教育目的「薬学に関する高度の専門知識を修得させ、社会に貢献できる薬剤師の養成を主たる目的とする。」に基づいて、学位授与の方針、教育課程の編成・実施の方針、入学者受入方針を制定し、6年制薬学教育を実践している。カリキュラムは、医療人として心豊かな人間性を育み、薬剤師に必要な知識・技術を修得し、医療現場で活躍できる人材を養成することを目的に編成され、入学早期から、教養教育、コミュニケーション教育を介して医療人を目指して学ぶ自覚を養っている。薬学専門科目は、薬学教育モデル・コアカリキュラムに準拠しており、低学年から演習科目を多く取り入れ、学年進行に従って高度で専門的な知識・技術を修得させている。また、高学年では、PBL(Problem Based Learning 問題解決型学習)授業を取り入れた医療系科目や実務実習、卒業研究を通じて、医療人に必要な知識・技能・態度と倫理観、医療現場で活躍できる総合的な実践能力を修得させている。実務実習に関しては、3年次から4年次にかけて実務実習事前学習に相当する科目を配置し、5年次の実務実習は、全教員が施設訪問を行い、学生の実習実施状況や出席状況を確認するなど、おおむね基準に適合した体制で進められている。問題解決能力の醸成を目的とした科目としては、5年次に「処方解析Ⅰ~Ⅳ」「症例解析Ⅰ~Ⅳ」「処方実務演習Ⅰ~Ⅱ」を、5、6年次に「卒業研究」を設定している。- 2 -入学者の選抜は、一般試験、指定校制および公募制推薦試験により行われている。学生の成績評価・進級・学士課程修了認定は、後述する問題点を除けば、おおむね適正に実施されている。学生の支援も適正に実施されており、薬学教育センター学習支援部による留年生など成績不振者への学習指導のほか、大学独自の奨学金制度、震災被災学生への救済制度など経済的支援も整えている。教員組織としては、十分な教育・研究上の実績を有する85名の専任教員が配置され、教員の研究環境および学生の学習環境も十分に整えられている。社会との連携は、共同研究や、薬剤師の生涯教育などを介して実施されている。自己点検・評価に関しては、対応する委員会が設置され、日本高等教育評価機構の認証評価の結果がホームページで公表されている。以上のように、東北薬科大学の薬学教育プログラムは、全体として本機構の評価基準におおむね適合しているが、以下の重大な問題点について、改善が必要である。1. 6年次演習科目の15科目7.5単位の科目名を、「教授要目」に記載されている授業計画・講義内容と整合性が取れるように修正すべきである。2. 卒業研究の成績評価については、ルーブリック評価など客観的な評価方法を利用し、かつ複数の教員が、成績評価・単位認定に関わるように、改善すべきである。3. 4年次の薬学統合講義科目および「実務模擬実習」の単位の認定について、共用試験の結果を含めた判定は、大学としての公正かつ厳格な成績評価および単位認定という観点から不適切であり、改善する必要がある。4. 6年次後期の演習科目のみが未修得で、卒業留年となった学生に対する演習科目の再履修については、「再履修」の評価としての厳格性を確保するため、講義内容と講義時間、また卒業試験(薬学総合演習試験)の実施方法および判定基準を、6年次正規履修時と同一にする必要がある。また、予備校などの外部講師による講義の受講状況を「卒業試験」受験資格などとしているなど不適切な対応を改善する必要がある。東北薬科大学薬学部には、本評価で指摘された「改善すべき点」、「助言」に適切に対応することで、より優れた薬学教育を展開されることを期待する。
大学への提言
東北医科薬科大学 大学への提言1)助言1. 教育研究上の目的を学生便覧に、分かりやすく掲載することが望まれる。(1.教育研究上の目的)2. 基礎資料4のカリキュラムマップに記された各科目に対応する「ディプロマ・ポリシー」の文言を、学生に理解しやすいように統一的文言で表記することが望まれる。(2.カリキュラム編成)3. ヒューマニズム教育・医療倫理教育に関わるこれら科目の評価は、科目ごとに筆記試験、レポート、SGDでの発表などで行われており、その方法はシラバスに掲載されている。しかし、評価方法の記載内容としては、1年次の「薬学早期体験学習」の「総- 32 -合的に評価する」、4年次の「地域医療Ⅰ」の「主に定期試験によって評価する」などのように、評価対象、評価方法が明確でないものが散見されるので、明確に示すことが望まれる。(3.医療人教育の基本的内容)4. 1〜2 年次に教養教育科目として開講されている「哲学」「論理学」「こころの科学」「文章の表現」「社会の仕組」「現代の社会」「倫理学」「総合文化研究」については、すべて必修科目であり、選択科目が用意されていないのは問題である。他の分野の科目も加えて、社会のニーズや学生のニーズに応じて選択科目として履修できるように設定することが望まれる。(3.医療人教育の基本的内容)5. 薬害や医療事故に関する教育は十分に行われていると考えられるが、大部分が講義(座学)であり、評価方法も定期試験によるものが大半なので、科目によっては工夫が望まれる。(3.医療人教育の基本的内容)6. 「早期体験学習」の成績評価方法について、「教授要目」には、総合的に評価すると記載されているが、「2014 年度薬学早期体験学習プリント」には全日程出席すると 80 点と記載があり、整合性を取ることが望まれる。(3.医療人教育の基本的内容)7. 「英会話」は「聞く」と「書く」が中心で、「話す」要素は少ないので、これに該当する科目を増やすことが望まれる。(3.医療人教育の基本的内容)8. 態度教育の適切な方略をシラバスに明記することが望まれる。(4.薬学専門教育の内容)9. 実務実習におけるトラブル対応の体制を明確にすることが望まれる。(5.実務実習)10. SGDによる学習を採用している科目にあっても、評価が定期試験のみによって行われている科目があるので、SGDの成果などを評価に生かすことが望まれる。(6.問題解決能力の醸成のための教育)11.5年次の「症例解析Ⅰ~Ⅳ」「処方解析Ⅰ~Ⅳ」「処方実務演習Ⅰ~Ⅱ」と「卒業研究」について、両科目の学習効果が確保できるように実施時期、期間を再考することが望まれる。(6.問題解決能力の醸成のための教育)12. 6年次の「基礎学力演習」は、成績下位学生のみの受講ではあるが、週5日間のうち4日間の午前中に設定されており、十分な卒業研究の実施の観点から配慮が望まれる。(6.問題解決能力の醸成のための教育)13. パワーポイントで作成した資料などを卒業論文としている例があるので、学部全体で卒業論文の項目や形式を統一することが望まれる。(6.問題解決能力の醸成のための教育)- 33 -14. 卒業研究を学生便覧に記載し、履修期間および時間帯等、単位の根拠を明示することにより学生に周知することが望まれる。(6.問題解決能力の醸成のための教育)15. 卒業試験に該当する薬学総合演習試験は、正答率や識別指数を用いて出題された問題の妥当性を考慮した上で採点し、学生に周知した合格判定基準に従って適正に合否判定されているのにもかかわらず、「平成 26 年度 6年次後期薬学総合演習試験判定基準及び受験資格について」などの申し合わせ事項が、「合格判定は、原則として判定基準に照らして行うが、問題の難易度等を勘案し、最終的に教授会で決定する」と、卒業判定の厳格性が疑われかねない表現となっているので、実態に応じた表現に修正することが望まれる。 (8.成績評価・進級・学士課程修了認定)16. 科目によっては、複数の視点から評価する場合の点数の配分が示されていないものがあるので、点数配分を明示するよう改善が望ましい。(8.成績評価・進級・学士課程修了認定)17. 5年次「処方解析Ⅰ~Ⅳ」「症例解析Ⅰ~Ⅳ」の評価では、出席基礎点の割合が 100点満点中 75 点と高く、提出物や講義での積極性が評価に十分反映されているとは言い難いので、出席点の比率を検討することが望ましい。(8.成績評価・進級・学士課程修了認定)18. 危機管理マニュアルおよびハラスメント防止に関するリーフレットの学生編を、ホームページに掲載することが望ましい。(9.学生への支援)19. 教員1名あたりの学生数が 20.2 名と多く、教員の増員が望まれる。(10.教員組織・職員組織)20. 教授の 46%が 60 代(定年 65 歳)であり、年齢分布への配慮が望まれる。(10.教員組織・職員組織)21. 人事規定には、客観的な基準がほとんど示されておらず、規定としてあいまいな点が多いので、適正な規定を設定し、明文化することが望まれる。(10.教員組織・職員組織)22. 授業担当時間数が教員間で差が大きく、1 週間で 14.1 時間は過多な負担と言えるので、改善が望まれる。(10.教員組織・職員組織)23. 自己点検・評価委員会に外部委員を加えることが望まれる。(13.自己点検・評価)2)改善すべき点- 34 -1. 教育研究上の目的に関して、教育については学則に規定されているが、研究についての記載がないので、学則に教育研究上の目的として策定・記載することが必要である。(1.教育研究上の目的)2. 実質的に、薬剤師国家試験対策に相当する6年次の演習科目については、15 科目 7.5単位の演習科目名と、「教授要目」に記載されている授業計画・講義内容の項目(薬と生体、健康と環境、薬の効くプロセス、薬物療法、薬の体内動態と製剤化、薬剤師の責任と義務、薬剤師業務、まとめ)が乖離しているので、整合性のある科目名に修正すべきである。(2.カリキュラム編成)3. ヒューマニズム教育・医療倫理教育およびコミュニケーション教育の目標達成度評価をするための指標を定め、適切に評価する必要がある。(3.医療人教育の基本的内容)4. 実務実習事前学習に関して、目標達成度を評価するための指標を設定し、それに基づいて適切に評価する必要がある。(5.実務実習)5. 共用試験の受験者数を「自己点検・評価書」に記載することが必要である。(5.実務実習)6. 卒業研究の成績評価については、卒業研究のGIOと到達目標が明文化されているものの、具体的な評価基準がなく、研究室の教員の主観のみによって行われていると判断され、公平性に懸念される点があるので、ルーブリック評価など客観的な評価方法を利用し、かつ複数の教員が、成績評価・単位認定に関わるように、改善すべきである。(6.問題解決能力の醸成のための教育)7. 問題解決能力の醸成に向けた教育において、目標達成度を評価するための指標を設定し、それに基づいて適切に評価する必要がある。(6.問題解決能力の醸成のための教育)8. 留年者、退学者数が多いことは、薬学教育に必要な学力が不足する学生が入学している可能性が高いことを示唆しているので、選抜方法の見直しなどの改善が必要である。(7.学生の受入)9. 4年次の薬学統合講義科目および「実務模擬実習」の単位の認定について、共用試験の結果を含めて判定していることは、大学としての公正かつ厳格な成績評価および単位認定という観点から不適切であり、早急に改善する必要がある。(8.成績評価・進級・学士課程修了認定)10. 6年次後期の演習科目のみが未修得で留年となった 6年次留年生には、未修得の6年次後期演習科目を再履修させ、その成果を7月に実施する卒業試験で評価、判定する- 35 -としている。したがって、「再履修」の評価としての厳格性を確保するため、6年次留年生に対する演習科目の講義内容と講義時間、また卒業試験(薬学総合演習試験)の実施方法および判定基準を、6年次正規履修時と同一にする必要がある。特に、80 コマの授業が用意されている「基礎学力演習」が、薬剤師国家試験予備校など、学外業者により実施されるものであれば、大学教育として不適切であり、また、この講義への 2/3 以上の出席が「卒業試験の受験資格」となることは問題である。したがって、現状の制度では、再履修の評価としての厳格性が確保できないことが懸念され、講義内容、並びに卒業試験の実施、評価方法の早急な見直しが必要である。(8.成績評価・進級・学士課程修了認定)11. 6年次に実施される学外業者の作成した国家試験対策模擬試験の受験を、実質上の卒業試験である薬学総合演習試験の受験資格としていることは、「学士課程修了の認定が、公正かつ厳格におこなわれていること」とする【基準 8-3-1】にそぐわないので、受験資格の早急な改善が必要である。(8.成績評価・進級・学士課程修了認定)12. 全学的に実施された自己点検・評価の結果を教育研究活動の改善に反映できるよう、委員会運営の改善が必要である。(13.自己点検・評価)
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1:提言 改善報告審議結果 |
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3:但し書き 改善報告審議結果 2017/5/26 |
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| 名古屋市立大学 | 公 | 愛知県 | 第1期 |
2015年度 |
適 |
自己点検・評価書 基礎資料 正誤票 |
評価報告書
総評
名古屋市立大学 総評名古屋市立大学薬学部は、6年制の薬学科と4年制の生命薬科学科による二学科制の薬学教育を行っている。薬学科の教育研究上の目的は、薬学部全体の理念のもと、「医薬品と薬物療法に関わる医療科学を総合的に修得し、薬剤師をはじめ、医療に関わる様々な分野で薬の専門家として貢献できる人材の育成」と定められている。ヒューマニズム教育・医療倫理教育は、「コミュニティ・ヘルスケア卒前教育プログラム」を中心に行われている。このプログラムは、この大学の医学部、看護学部および名古屋学院大学と連携した体系的な医療人養成教育(なごやかモデル)の一環として平成25年度入学生から開始された多職種連携型の特色ある教育プログラムであり、さらに発展することが期待されている。教養教育科目は全学を対象として幅広く設定されており、英語に関する教育は入学時から卒業時まで体系的に計画されている。薬学専門教育の実施に向けた準備教育については、入学直後の「プレースメントテスト」で数学・化学・物理・生物の学力を把握し、初年次教育の内容やレベルの調整に活用している。医療安全教育と生涯学習の意欲醸成のための教育については、学習機会が十分に設定されている。薬学専門科目は、薬学教育モデル・コアカリキュラムの到達目標の全てを網羅している。専門科目の学習方略は適切であり、実験実習科目は十分に行われている。実務実習事前学習は適切な指導体制と内容で実施されており、薬学共用試験の実施には問題がない。また、病院と薬局での実務実習は、適切な体制で実施・評価が行われている。卒業研究は4年次から6年次の11月まで行われ、卒業論文に該当する「研究成果報告書」の提出と6年次11月のポスター発表形式の「卒業研究発表会」が行われている。また、卒業研究以外の問題解決型学習も選択科目として行われている。入学試験は、薬学科の「人材養成の目標」に合致したアドミッション・ポリシーに基づいて実施されている。授業科目の成績評価は、おおむね適正に行われており、成績評価にはGPA(Grade PointAverage)制度も導入され、個別学修指導に活用されている。進級判定は2年次への進級- 2 -に限って行われている。学士課程の修了認定には特に問題はない。学生の修学上の指導や相談への対応は、入学時に割り当てられたチューターと4年次からの配属研究室の教員が担当している。チューター制度はよく機能しており、学生への修学支援、安心・安全対策にも問題はない。また、学習環境はよく整備されている。薬学科の専任教員には、専門分野についての知識・経験と技術・技能が十分な教員が配置されており、専任教員数と学生数との比率は適正である。研究環境に大きな問題はなく、教員の教育研究活動は活発で、教員業績評価が定期的に行われている。また、地域と連携・協力した学生教育や生涯教育、海外の協定大学との交流など、外部対応は良好である。自己点検・評価は定期的に行われており、その結果はホームページ上に公開されている。以上のように、名古屋市立大学薬学部薬学科の教育プログラムは、本機構の評価基準におおむね適合していると判断される。しかしながら、以下の諸問題については早急に改善を図ることが必要である。1)「ヒューマニズム教育・医療倫理教育」、「コミュニケーション能力と自己表現能力を身につけるための教育」、「実務実習事前学習」、「問題解決能力の醸成教育に向けた教育」において、それぞれの目標達成度を総合的に評価するための指標を設定し、それに基づいた適切な評価を行うことが必要である。2)卒業研究実習の評価において、「研究成果報告書等の総合評価」を指導教員の裁量に任すことなく、「卒業論文」の評価に基準を設けて複数の教員で行い、卒業論文発表会における発表・質疑応答結果に評価基準を設けることなど、問題解決能力の向上を評価するための適切な指標や基準を設定することが必要である。3)全ての科目のシラバスに「成績判定基準」を定量的な数値で明示するよう、早急に改善することが必要である。4)作成されている「自己点検・評価書」の記載内容は現状の説明に留まっているので、自己点検・評価の意義を全教員が再認識し、その結果を教育研究活動の改善に反映できる体制を構築することが必要である。名古屋市立大学薬学部薬学科は、今回の評価による提言を活かし、さらに発展することを期待する
大学への提言
名古屋市立大学 大学への提言1)長所1. 名古屋市立大学の医学部、看護学部および名古屋学院大学と連携した地域参加型学習(なごやかモデル)の一環である「コミュニティ・ヘルスケア卒前教育プログラム」は、多職種が連携した体系的な医療人養成教育プログラムとして優れている。(3.医療人教育の基本的内容)2. チューター教員と学生の懇談会である「チューター会」を定期的に開催し、その内容を報告書にまとめ、全教員で共有していることは優れた取り組みであり、これによって学生の「大学満足度調査」における『相談をしやすい先生が多い』という点に関する満足度が顕著に向上している。(9.学生の支援)2)助言1. 「薬学部パンフレット」の「理念・目的」は一部の文言がホームページの記載と一致していないので、統一することが望ましい。(1.教育研究上の目的)2. 「教育研究上の目的」を定期的に検証するための責任ある組織体制の整備が望ましい。(1.教育研究上の目的)3. ディプロマ・ポリシーが求める学習成果と履修科目との関連を学生が理解できるように、カリキュラム・マップを履修要項に収載することが望ましい。(2.カリキュラム編成)4. ヒューマニズム教育・医療倫理教育とコミュニケーションの基本的能力を身につけるための基礎的な教育の充実を図ることが望ましい。(3.医療人教育の基本的内容)5. 教養科目の履修機会が1年次に集中しており、教養科目の履修機会が十分とは言えないので、少なくとも2年次までは自由に履修できるような時間割上の配慮が望ましい。(3.医療人教育の基本的内容)6. 「医薬看連携地域参加型学習」と「コミュニティ・ヘルスケア論・実習」は、医療人養成教育として優れたプログラムであるので、必修科目にすることが望ましい。(3.医療人教育の基本的内容)7. 薬剤師生涯学習に参加する学生は少数であるので、積極的な参加者を増す努力が望まれる。(3.医療人教育の基本的内容)8. シラバスに記載されている「授業計画」には、授業内容と薬学教育モデル・コアカリキュラムの到達目標との関係が明記されておらず、「学習到達目標」も薬学教育モデ- 28 -ル・コアカリキュラムの到達目標と対応してはいない。シラバスの「授業計画」に授業内容と薬学教育モデル・コアカリキュラムの到達目標との関係を明記するよう改善することが望ましい。(4.薬学専門教育の内容)9. 4年次の「薬学演習Ⅰ」と6年次の「薬学演習Ⅱ」は、それぞれCBT対策、国家試験対策であり、大学独自の薬学専門教育ではないので、ホームページなどの一覧表から除外することが望ましい。(4.薬学専門教育の内容)10. 実務実習事前学習の終了から実務実習の開始までの期間が最短でも5ヵ月離れている。実務実習直前に事前学習の到達度を再確認することが望ましい。(5.実務実習)11. 「卒業研究実習」以外は全てが選択科目となっている問題解決型学習対応科目について、改善計画として示されている『一部の選択科目を必修科目へ移行させ、必修科目の割合を大きくする』ことを実践して「医薬看連携地域参加型学習」、「基礎薬学演習」を必修化するなど、問題解決型学習の充実が望ましい。(6.問題解決能力の醸成のための教育)12. 推薦入試Aにおいては小論文と面接試験を行い、人物・意欲を重視して選抜しているが、他の入試制度においても、面接などにより医療人としての適性を評価する工夫が望ましい。(7.学生の受入)13. 学位授与の方針が学生と教職員に徹底できるよう、「履修要項」に収載し、履修ガイダンスやFDで繰り返し説明することが望ましい。(8.成績評価・進級・学士課程修了認定)14. 科目の成績評価に「出席点」を含めている科目が多数みられ、評価に占める割合は一律ではない。成績評価に出席点を加味することはできるだけ無くし、加味する場合は、その理由と評価基準を明示することが望ましい。(8.成績評価・進級・学士課程修了認定)15. 2年生と3年生について、定期健康診断の受診率を改善することが望ましい。(9.学生の支援)16. 新設された2分野( 医薬品安全性評価学分野と薬物送達学分野)は、専任教員がそれぞれ1名と2名であるので、補充することが望ましい。(10.教員組織・職員組織)17. 直近6年間の研究業績には教員間のばらつきがみられるので、研究業績が著しく少ない一部の教員に対しては改善に向けた指導を行うことが望ましい。(10.教員組織・職員組織)18. 研究機器・設備について、特に大型の共通機器の老朽化が進んでいるので、それらの- 29 -更新が望ましい。(10.教員組織・職員組織)19. 教務・FD委員会主催の研究授業への参加者は現在30%程度であるので、参加率向上に向けた対策をとることが望ましい。(10.教員組織・職員組織)20. 薬学部の「自己評価・第三者評価等検討委員会」には、外部委員を加えることが望ましい。(13.自己点検・評価)3)改善すべき点1. 「ヒューマニズム教育・医療倫理教育」と「コミュニケーション能力と自己表現能力を身につけるための教育」において、それぞれの目標達成度を総合的に評価するための指標を設定し、それらに基づいた適切な評価を行うことが必要である。(3.医療人教育の基本的内容)2. 実務実習事前学習の目標達成度評価のための適切な指標を設定し、それに基づいて評価する必要がある。(5.実務実習)3. 「研究成果報告書」等の総合評価が指導教員の裁量に任されており、「卒業研究実習」による問題解決能力の向上が適切に評価されていると結論づけることができない。「研究成果報告書」の評価に基準を設けて複数の教員で行い、卒業論文発表会における発表・質疑応答結果に評価基準を設けることなど、「卒業研究実習」による問題解決能力の向上を評価するための適切な指標や基準を設定することが必要である。(6.問題解決能力の醸成のための教育)4. 問題解決能力の醸成に向けた教育科目において、目標達成度を評価するための指標を設定し、それに基づいて適切に評価を行うことが必要である。(6.問題解決能力の醸成のための教育)5. シラバスに「成績判定基準」が定量的な数値で示されていない科目が少なからず存在する。評価の厳正さを高めるため、全ての科目について、「成績判定基準」を定量的な数値で明示するよう、早急に改善する必要がある。(8.成績評価・進級・学士課程修了認定)6. 作成されている「自己点検・評価書」の記載内容は現状の説明に留まっているので、自己点検・評価の意義を全教員が再認識し、その結果を教育研究活動の改善に反映できる体制作りが必要である。(13.自己点検・評価)
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1:提言 改善報告審議結果 |
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| 兵庫医科大学 | 私 | 兵庫県 | 第1期 |
2015年度 |
適 |
自己点検・評価書 基礎資料 正誤票 |
評価報告書
総評
兵庫医科大学 総評兵庫医療大学薬学部は、大学の教育理念を踏まえた学部の教育理念と教育目的、教育目標を掲げ、ディプロマ、カリキュラム、アドミッションの3つのポリシー(学位授与方針、教育課程の編成・実施方針、入学者受入方針)を定めて、社会的ニーズを反映した6年制薬学教育を行っている。看護学部/リハビリテーション学部と連携して行う3学部合同プログラムや、兵庫医科大学医学部と共に行う4学部合同プログラムは、チーム医療の実践を体感・学習できる教育プログラムであり、1年次から体系的に実施されていることは兵庫医療大学の特色である。さらに、英語教育は1年次から4年次まで体系的なプログラムを構築・実施し、医療英語を学習する興味深い取組みも行っている。「実務実習事前学習」と薬学共用試験により実務実習の能力を担保された学生は、指導薬剤師の指導のもと病院/薬局実習を行っている。5年次の「研究実習」と6年次の「研究研修」/「チーム医療研修」の組合せによって卒業研究が行われており、一部にルーブリック評価表をもちいて卒業論文や卒業研究発表会の評価を行っている。問題解決能力の醸成に向けた教育に関しては、医療に関する問題の解決に他学部学生と協働して取組む能力の涵養に努めている。さらに、担任制度、アドバイザー制度、長期密着型ゼミナール、教育支援室など多面的な修学支援制度を設けているほか、入学後の成績不良学生に対しても手厚く学習支援を行っており、自習室やグループ学習室、カンファレンス室などの学習ハード面の充実とあわせて、学生にとっては学習しやすい環境が整備されている。しかし、本機構の評価基準に照らすと、以下の改善すべき重要な問題点が指摘される。1.ヒューマニズム教育・医療倫理教育、コミュニケーション能力および自己表現能力を- 2 -身に付けるための教育の成果について、総合的な目標到達度を評価するための指標を設定し、評価が行われていないことは問題である。2.「研究活動に参加する際に基盤となる薬学に関する体系的・包括的な学識を、演習を通じて確固たるものとする」(シラバス)として卒業研究に対応する6年次の「研究研修」/「チーム医療研修」(必修)の5月以降の時間を演習に割り当て、その内容を国家試験対策としている。すなわち、6年次のカリキュラム編成が薬剤師国家試験の受験準備教育に著しく偏重したものとなっている。また、この演習授業の過半数に薬剤師国家試験予備校の講師を充てていることは、この演習が必修科目である「研究研修」/「チーム医療研修」に含まれているものであることから極めて重大な問題点である。3.「実務実習事前学習」の成績評価では知識領域の評価が50%であり、実習自体の評価が25%であることは問題である。さらに実習における技能・態度領域の目標達成度を評価するための指標を設定し、評価が行われていないことも改善すべき問題点である。4.卒業研究科目である「研究研修」/「チーム医療研修」の成績評価を研究とは直接関連しない「演習総合試験」の合格を必要条件としていることは不適切である。その上、この試験の多くに薬剤師国家試験予備校の模擬試験を流用し、合格基準をシラバスなどに明示せずに不合格としていることは、基準に従って学士課程の修了判定が公正かつ厳格に行われているとは言えず、重大な問題点である。5.「演習総合試験」が不合格で卒業できず、「研究研修」/「チーム医療研修」が継続履修となった卒業延期者の継続履修を薬剤師国家試験予備校の講習会への参加で代替にしている点、さらに、薬剤師国家試験予備校の講習会への出席状況を秋季修了判定に加味している点は、卒業延期者の教育を大学が放棄していることになる重大な問題である。6.6年制薬学教育プログラムを自ら点検・評価し、その結果を教育研究活動に反映する体制を整備し、機能させる必要がある。以上の重要な問題点については早急に改善する必要がある。それら以外の問題点についても今回の評価結果に基づいて改善に向けた取組みを進め、6年制薬学教育の向上に努めることが望まれる。
大学への提言
兵庫医科大学 大学への提言1)長所1.チーム医療学習として、3学部合同プログラムや、兵庫医科大学医学部と共に行う4学部合同プログラムを実施していることは、評価できる。(3.医療人教育の基本的内容)2.担任制度、アドバイザー制度、長期密着型ゼミナール、教育支援室など多面的な修学 支援制度を設けていることは、評価できる。(9.学生の支援)3.自習室として使用できる施設が整備されており、また、図書室・資料閲覧室には十分な閲覧座席数が確保されているほかグループ学習室が備えられている。自習室の利用時間が試験に配慮しており、さらに、年末年始を除き毎日開館していることは、評価できる。(11.学習環境)2)助言1.学則第1条の2に記述された(学部の目的)と教務便覧やホームページに記述された 教育目的は一部異なる表現で記述されているので、統一することが望ましい。(1.教育研究上の目的)2.教育研究上の目的について、定期的に検証することが望ましい。(1.教育研究上の目的)3.平成26年度のシラバスの電子化に伴い、在学生はホームページ上でしかカリキュラム・ポリシーを見ることができなくなったので、配布物等を通して周知されることが望まれる。(2.カリキュラム編成)4.卒業要件に含まれる人文社会系科目の選択科目数が少ないので、開講科目を増やすと同時に複数学年にわたって受講できるような工夫が望まれる。(3.医療人教育の基本的内容)5.英語教育のプログラムは評価できるが、「科学英語」の履修者は9名、「応用英語」の- 32 -履修者は1名と極めて少ないので、履修者を増やす努力が望まれる。(3.医療人教育の基本的内容)6.薬害、医療過誤、医療事故等の被害者やその家族、弁護士、医療における安全管理者等を講師とする科目がないので、学生が肌で感じる機会を提供することが望まれる。 (3.医療人教育の基本的内容)7.薬剤師が活躍する現場は医療機関だけではないことから、早期体験学習において、病院や薬局以外の企業や保健所などの広範な現場が見られるような取組みが行われることが望まれる。(3.医療人教育の基本的内容)8.医療の進歩に対応するために生涯学習が必要であることを、教員だけでなく、医療現場で活躍する薬剤師などからも聞く機会を直接的に設け、生涯学習に対する意欲を醸成するための教育を体系的に行うことが望まれる。(3.医療人教育の基本的内容)9.シラバスに記載されている到達目標からは、薬学教育モデル・コアカリキュラムの到達目標との対応の確認が難しいものが多いので、学生にとって分かりやすいものとすることが望まれる。(4.薬学専門教育の内容)10.「日本薬局方収載の代表的な医薬品の容量分析を実施できる(技能)」が「分析化学Ⅰ」という講義で行われていたり、「高齢化と少子化によりもたらされる問題点を列挙し、討議する(知識・態度)」が「公衆衛生学」という講義で行われていたりと、SBOsに適した学習方法が用いられていないものが幾つか見られるので、学習方法を見直すことが望まれる。(4.薬学専門教育の内容)11.実務実習全般の総合的な学習成果を適切な指標に基づいて評価することが望ましい。(5.実務実習)12.シラバスや「実務実習のしおり」に実務実習の成績評価方法を具体的に記述することが望ましい。(5.実務実習)13.実務実習の成績評価表では出席・実習態度が50%を占めているので、実習を通した学習成果に関する評価の重みを増やすことが望まれる。(5.実務実習)14.面接試験など、医療人としての適性を直接的に評価するための工夫がなされることが望ましい。(7.学生の受入)15.年度初めに開催するガイダンス・オリエンテーション等で卒業要件を学生に周知することが望まれる。(8.成績評価・進級・学士課程修了認定)16.仮進級が実施される基準がわかりにくいので、「兵庫医療大学教務に関する規程」に明記し、学生にとってわかりやすくすることが望まれる。(8.成績評価・進級・学士課- 33 -程修了認定)17.各科目の評価は1回の定期試験の結果で行われ、再試験の実施の可否は教員の裁量によって決められることが、シラバスの成績評価方法の欄に記述されている。教員によって対応が異なることは、評価の公平性に係る問題であり、改善が望まれる。(8.成績評価・進級・学士課程修了認定)18.教育研究上の目的に基づいた教育に対する総合的な学習成果について、指標を定めて評価することが望ましい。(8.成績評価・進級・学士課程修了認定)19.学生生活実態調査アンケートの回収率が50%程度を超えるように、何らかの方策を実施することが望ましい。(9.学生の支援)20.ハラスメントに関する広報は新入生ガイダンスだけでなく、各学年のガイダンスにおいて繰り返し学生に広報することが望ましい。(9.学生の支援)21.学生生活実態調査アンケート結果の分析を学生生活の質向上に結びつける体制を整備することが望まれる。(9.学生の支援)22.専任教員1名当たりの学生数は21.4名であり、教育上あるいは安全上からも教員の増員が望まれる。(10.教員組織・職員組織)23.専任教員の担当科目時間数に関して週あたり1.1時間から11時間の幅があることから、この格差を無くすことが望まれる。(10.教員組織・職員組織)24.留学生の受入・学生の海外研修・教員の海外留学等を行う体制および規程の整備が望まれる。(12.社会との連携)25.自己点検・評価委員会に外部委員を入れることが望ましい。(13.自己点検・評価)3)改善すべき点1.教育研究上の目的に、「研究を通して~」などの文言を入れて表記し、学則等に明示する必要がある。(1.教育研究上の目的)2.卒業研究である「研究研修」/「チーム医療研修」のシラバスには、「研究活動に参加する際に基盤となる薬学に関する体系的・包括的な学識を、演習を通じて確固たるものとする。」と明記されているが、5月~12月まで開講している演習は、事実上国家試験対策である。これは、6年次の卒業研究に充てるべき時間を国家試験準備教育に充てていることで、6年次のカリキュラム編成が国家試験準備教育に過度に偏重していると言わざる得ないので、早急に改善すべきである。(2.カリキュラム編成)3.卒業研究の期間が5年次、6年次をあわせても1年に満たないことは、問題解決能力- 34 -醸成のための時間が足りないことを意味しており、卒論研究の時間を充分にとることが必要である。(2.カリキュラム編成)4.国家試験予備校講師が「卒業要件単位の対象となる(必修)科目」の演習授業の多くを担当していることは、重大な問題であり、自大学の教員が担当するように、早急に改善すべきである。(2.カリキュラム編成)5.ヒューマニズム教育・医療倫理教育およびコミュニケーション能力を身につけるための教育の総合的な目標達成度を評価するための指標を設定し、これに基づいて評価を行うことが必要である。(3.医療人教育の基本的内容)6.シラバスに記述された到達目標からは、薬学教育モデル・コアカリキュラムに記述された到達目標と対応していることが確認できない科目がある。これらを是正し、6年制薬学教育に必要な多くの到達目標を必修科目として教育する必要がある。(4.薬学専門教育の内容)7.大学独自と位置付けられている薬学教育モデル・コアカリキュラム以外の科目の開講が少ないので、独自の専門教育内容を増やすことが必要である。(4.薬学専門教育の内容)8.「実務実習事前学習」の成績評価方法において、実習評価が25%で、50%が単位認定 試験・中間試験・科目別学力試験・総合学力試験等の知識領域のみの評価としている ことは問題であり、適切な評価割合に改善する必要がある。(5.実務実習)9.「実務実習事前学習」の技能・態度領域の目標到達度を評価するための指標を設定し、それに基づいて評価を行うことが必要である。(5.実務実習)10.「研究実習」の成績評価は研究指導教員のみで行われており、評価に関して十分な客観性があるとはいえないので、改善が必要である。(6.問題解決能力の醸成のための教育)11.問題解決能力の醸成に向けた教育において総合的な目標達成度を評価するための指標を設定し、それに基づいた評価を実施する必要がある。(6.問題解決能力の醸成のための教育)12.入学後の成績不良者に対する対策を手厚く行っているにも関わらず、低学年次留年率・退学率が高く、さらに、6年間の在籍で卒業できる割合が約55%である。この状況は、入学者選抜において、入学志願者の能力が的確に評価されていないことを示しているので、改善すべきである。(7.学生の受入)13.各科目のシラバスに記載されている「成績の評価方法」において複数の評価方法を用- 35 -いる場合(筆記試験、レポート、出席点、など)、最終結果に対する寄与率を示す必要がある。公平な評価のために、評価方法ごとに成績評価の具体的方法とその比率をシラバス等に明示する必要がある。(8.成績評価・進級・学士課程修了認定)14.卒業研究科目である「研究研修」/「チーム医療研修」(必修)の単位を、研究とは直接的な関連があるとは思えない国家試験準備科目である「演習総合試験」の成績で評価している点は重大な問題であり、早急に改善すべきである。(8.成績評価・進級・学士課程修了認定)15.6年次の卒業判定となる試験として「演習総合試験」が複数回実施されているが、それに薬剤師国家試験予備校が主催する模擬試験を流用していることは、学士課程の修了が基準に従って公正かつ厳格に行われているとは言えないので、早急に改善すべきである。(8.成績評価・進級・学士課程修了認定)16.「演習総合試験」の合格基準をシラバスなどで明示せずに試験を実施し、不合格者を留年・卒業延期としていることは大きな問題であり、早急に改善すべきである。(8.成績評価・進級・学士課程修了認定)17.教務に関する規程では、留年者に関しては不合格の必修科目は再履修することになっているのにもかかわらず、6年次留年生は大学ではなく、薬剤師国家試験予備校の講習会への参加で代替えにしている点、さらに、薬剤師国家試験予備校の講習会への出席状況を秋季修了判定に加味している点は大きな問題であり、早急に改善すべきである。(8.成績評価・進級・学士課程修了認定)18.大学ホームページの「情報の公表」の「研究業績DB」において、最近5年間におけ る教育研究上の業績が更新あるいは開示されていない教員が複数名確認される。この件について大学は自己点検していないので、改善する必要がある。(10.教員組織・職員組織)19.薬学部として6年制薬学教育プログラムの自己点検・評価を組織的かつ定期的に実施し、その結果を教育研究活動に反映する体制を整備し、機能させる必要がある。(13.自己点検・評価) 1)長所1.チーム医療学習として、3学部合同プログラムや、兵庫医科大学医学部と共に行う4学部合同プログラムを実施していることは、評価できる。(3.医療人教育の基本的内容)2.担任制度、アドバイザー制度、長期密着型ゼミナール、教育支援室など多面的な修学 支援制度を設けていることは、評価できる。(9.学生の支援)3.自習室として使用できる施設が整備されており、また、図書室・資料閲覧室には十分な閲覧座席数が確保されているほかグループ学習室が備えられている。自習室の利用時間が試験に配慮しており、さらに、年末年始を除き毎日開館していることは、評価できる。(11.学習環境)2)助言1.学則第1条の2に記述された(学部の目的)と教務便覧やホームページに記述された 教育目的は一部異なる表現で記述されているので、統一することが望ましい。(1.教育研究上の目的)2.教育研究上の目的について、定期的に検証することが望ましい。(1.教育研究上の目的)3.平成26年度のシラバスの電子化に伴い、在学生はホームページ上でしかカリキュラム・ポリシーを見ることができなくなったので、配布物等を通して周知されることが望まれる。(2.カリキュラム編成)4.卒業要件に含まれる人文社会系科目の選択科目数が少ないので、開講科目を増やすと同時に複数学年にわたって受講できるような工夫が望まれる。(3.医療人教育の基本的内容)5.英語教育のプログラムは評価できるが、「科学英語」の履修者は9名、「応用英語」の- 32 -履修者は1名と極めて少ないので、履修者を増やす努力が望まれる。(3.医療人教育の基本的内容)6.薬害、医療過誤、医療事故等の被害者やその家族、弁護士、医療における安全管理者等を講師とする科目がないので、学生が肌で感じる機会を提供することが望まれる。 (3.医療人教育の基本的内容)7.薬剤師が活躍する現場は医療機関だけではないことから、早期体験学習において、病院や薬局以外の企業や保健所などの広範な現場が見られるような取組みが行われることが望まれる。(3.医療人教育の基本的内容)8.医療の進歩に対応するために生涯学習が必要であることを、教員だけでなく、医療現場で活躍する薬剤師などからも聞く機会を直接的に設け、生涯学習に対する意欲を醸成するための教育を体系的に行うことが望まれる。(3.医療人教育の基本的内容)9.シラバスに記載されている到達目標からは、薬学教育モデル・コアカリキュラムの到達目標との対応の確認が難しいものが多いので、学生にとって分かりやすいものとすることが望まれる。(4.薬学専門教育の内容)10.「日本薬局方収載の代表的な医薬品の容量分析を実施できる(技能)」が「分析化学Ⅰ」という講義で行われていたり、「高齢化と少子化によりもたらされる問題点を列挙し、討議する(知識・態度)」が「公衆衛生学」という講義で行われていたりと、SBOsに適した学習方法が用いられていないものが幾つか見られるので、学習方法を見直すことが望まれる。(4.薬学専門教育の内容)11.実務実習全般の総合的な学習成果を適切な指標に基づいて評価することが望ましい。(5.実務実習)12.シラバスや「実務実習のしおり」に実務実習の成績評価方法を具体的に記述することが望ましい。(5.実務実習)13.実務実習の成績評価表では出席・実習態度が50%を占めているので、実習を通した学習成果に関する評価の重みを増やすことが望まれる。(5.実務実習)14.面接試験など、医療人としての適性を直接的に評価するための工夫がなされることが望ましい。(7.学生の受入)15.年度初めに開催するガイダンス・オリエンテーション等で卒業要件を学生に周知することが望まれる。(8.成績評価・進級・学士課程修了認定)16.仮進級が実施される基準がわかりにくいので、「兵庫医療大学教務に関する規程」に明記し、学生にとってわかりやすくすることが望まれる。(8.成績評価・進級・学士課- 33 -程修了認定)17.各科目の評価は1回の定期試験の結果で行われ、再試験の実施の可否は教員の裁量によって決められることが、シラバスの成績評価方法の欄に記述されている。教員によって対応が異なることは、評価の公平性に係る問題であり、改善が望まれる。(8.成績評価・進級・学士課程修了認定)18.教育研究上の目的に基づいた教育に対する総合的な学習成果について、指標を定めて評価することが望ましい。(8.成績評価・進級・学士課程修了認定)19.学生生活実態調査アンケートの回収率が50%程度を超えるように、何らかの方策を実施することが望ましい。(9.学生の支援)20.ハラスメントに関する広報は新入生ガイダンスだけでなく、各学年のガイダンスにおいて繰り返し学生に広報することが望ましい。(9.学生の支援)21.学生生活実態調査アンケート結果の分析を学生生活の質向上に結びつける体制を整備することが望まれる。(9.学生の支援)22.専任教員1名当たりの学生数は21.4名であり、教育上あるいは安全上からも教員の増員が望まれる。(10.教員組織・職員組織)23.専任教員の担当科目時間数に関して週あたり1.1時間から11時間の幅があることから、この格差を無くすことが望まれる。(10.教員組織・職員組織)24.留学生の受入・学生の海外研修・教員の海外留学等を行う体制および規程の整備が望まれる。(12.社会との連携)25.自己点検・評価委員会に外部委員を入れることが望ましい。(13.自己点検・評価)3)改善すべき点1.教育研究上の目的に、「研究を通して~」などの文言を入れて表記し、学則等に明示する必要がある。(1.教育研究上の目的)2.卒業研究である「研究研修」/「チーム医療研修」のシラバスには、「研究活動に参加する際に基盤となる薬学に関する体系的・包括的な学識を、演習を通じて確固たるものとする。」と明記されているが、5月~12月まで開講している演習は、事実上国家試験対策である。これは、6年次の卒業研究に充てるべき時間を国家試験準備教育に充てていることで、6年次のカリキュラム編成が国家試験準備教育に過度に偏重していると言わざる得ないので、早急に改善すべきである。(2.カリキュラム編成)3.卒業研究の期間が5年次、6年次をあわせても1年に満たないことは、問題解決能力- 34 -醸成のための時間が足りないことを意味しており、卒論研究の時間を充分にとることが必要である。(2.カリキュラム編成)4.国家試験予備校講師が「卒業要件単位の対象となる(必修)科目」の演習授業の多くを担当していることは、重大な問題であり、自大学の教員が担当するように、早急に改善すべきである。(2.カリキュラム編成)5.ヒューマニズム教育・医療倫理教育およびコミュニケーション能力を身につけるための教育の総合的な目標達成度を評価するための指標を設定し、これに基づいて評価を行うことが必要である。(3.医療人教育の基本的内容)6.シラバスに記述された到達目標からは、薬学教育モデル・コアカリキュラムに記述された到達目標と対応していることが確認できない科目がある。これらを是正し、6年制薬学教育に必要な多くの到達目標を必修科目として教育する必要がある。(4.薬学専門教育の内容)7.大学独自と位置付けられている薬学教育モデル・コアカリキュラム以外の科目の開講が少ないので、独自の専門教育内容を増やすことが必要である。(4.薬学専門教育の内容)8.「実務実習事前学習」の成績評価方法において、実習評価が25%で、50%が単位認定 試験・中間試験・科目別学力試験・総合学力試験等の知識領域のみの評価としている ことは問題であり、適切な評価割合に改善する必要がある。(5.実務実習)9.「実務実習事前学習」の技能・態度領域の目標到達度を評価するための指標を設定し、それに基づいて評価を行うことが必要である。(5.実務実習)10.「研究実習」の成績評価は研究指導教員のみで行われており、評価に関して十分な客観性があるとはいえないので、改善が必要である。(6.問題解決能力の醸成のための教育)11.問題解決能力の醸成に向けた教育において総合的な目標達成度を評価するための指標を設定し、それに基づいた評価を実施する必要がある。(6.問題解決能力の醸成のための教育)12.入学後の成績不良者に対する対策を手厚く行っているにも関わらず、低学年次留年率・退学率が高く、さらに、6年間の在籍で卒業できる割合が約55%である。この状況は、入学者選抜において、入学志願者の能力が的確に評価されていないことを示しているので、改善すべきである。(7.学生の受入)13.各科目のシラバスに記載されている「成績の評価方法」において複数の評価方法を用- 35 -いる場合(筆記試験、レポート、出席点、など)、最終結果に対する寄与率を示す必要がある。公平な評価のために、評価方法ごとに成績評価の具体的方法とその比率をシラバス等に明示する必要がある。(8.成績評価・進級・学士課程修了認定)14.卒業研究科目である「研究研修」/「チーム医療研修」(必修)の単位を、研究とは直接的な関連があるとは思えない国家試験準備科目である「演習総合試験」の成績で評価している点は重大な問題であり、早急に改善すべきである。(8.成績評価・進級・学士課程修了認定)15.6年次の卒業判定となる試験として「演習総合試験」が複数回実施されているが、それに薬剤師国家試験予備校が主催する模擬試験を流用していることは、学士課程の修了が基準に従って公正かつ厳格に行われているとは言えないので、早急に改善すべきである。(8.成績評価・進級・学士課程修了認定)16.「演習総合試験」の合格基準をシラバスなどで明示せずに試験を実施し、不合格者を留年・卒業延期としていることは大きな問題であり、早急に改善すべきである。(8.成績評価・進級・学士課程修了認定)17.教務に関する規程では、留年者に関しては不合格の必修科目は再履修することになっているのにもかかわらず、6年次留年生は大学ではなく、薬剤師国家試験予備校の講習会への参加で代替えにしている点、さらに、薬剤師国家試験予備校の講習会への出席状況を秋季修了判定に加味している点は大きな問題であり、早急に改善すべきである。(8.成績評価・進級・学士課程修了認定)18.大学ホームページの「情報の公表」の「研究業績DB」において、最近5年間におけ る教育研究上の業績が更新あるいは開示されていない教員が複数名確認される。この件について大学は自己点検していないので、改善する必要がある。(10.教員組織・職員組織)19.薬学部として6年制薬学教育プログラムの自己点検・評価を組織的かつ定期的に実施し、その結果を教育研究活動に反映する体制を整備し、機能させる必要がある。(13.自己点検・評価)
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1:提言 改善報告審議結果 |
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3:但し書き 改善報告審議結果 2017/5/26 |
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| 摂南大学 | 私 | 大阪府 | 第1期 | 2015年度 | 適 |
自己点検・評価書 基礎資料 正誤票 |
評価報告書
総評
摂南大学 総評摂南大学薬学部は、教育研究上の目的を「高い倫理観、心豊かな人間性、実践的能力を備え、わが国の医療の進化、健康・福祉の増進、生活環境の保全に貢献する薬剤師を養成することを目的とする」と学則に規定しており、薬剤師養成に課せられた使命などに関する情報を収集し、教育研究上の目的ならびに3つのポリシーを検証している。教育課程の編成・実施の方針(カリキュラム・ポリシー)は教育研究上の目的に基づき、ディプロマ・ポリシー(学位授与方針)への到達を目指して、学習成果基盤型教育を掲げて設定されている。ヒューマニズム・医療倫理教育では、科目ごとにパフォーマンス評価を行っている。また、教養教育では選択性を考慮し、科目の重複開講を避ける配慮がなされている。語学教育に関しては、基礎的な科目、医療英語のほか4年次以降の実習、卒業研究等でも体系的に学ぶようになっている。薬学準備教育として、「リメディアル」コースを設定し1年生全員が履修するようにしている。医療安全教育や生涯教育では、外部講師による講演等を実施し、学生が科学的視点を養い、生涯研修の必要性を学ぶようにしている。薬学専門教育は、モデル・コアカリキュラムに準拠している。学習方略のうち、人的資源として薬剤師、患者など学生が医療現場の人たちと多く接する機会が設定されている。また、大学独自の教育プログラムである「キャリア形成」コース等では、段階的にパフォーマンスレベルが向上するように科目の順次性が考慮されている。実務実習は、モデル・コアカリキュラムに準拠しており、共用試験も厳正に実施されている。実務実習の指導には、ほとんどの教員が参加し、実習施設の配属も公正に行われている。また、実務実習の総合的な学習成果をアドバンストOSCE(Objective StructuredClinical Examination)で測定する試みを行っている。卒業研究では発表会が実施され、成績評価は、主査と副査によりなされている。参加型学習として多くの問題解決型学習やチーム基盤型学習を取り入れ、問題解決能力の醸成に努めており、ここでもルーブリックを用いる評価が行われ、ディプロマ・ポリシーへの到達度が測定されていることは評価できる。- 2 -アドミッション・ポリシー(入学者受入方針)は、8つの素養を求める形で設定されている。入学者選抜は8つの区分で適正に行われ、その一部では面接試験を導入している。成績評価は、履修規定の成績評価基準に基づき適切に実施されている。特に技能・態度の領域では、パフォーマンス評価を行うためにルーブリックを多く取り入れている。また、学士課程修了認定でも、パフォーマンス評価の導入を試みている。担任制度を通して学習指導に当たり、経済的支援として独自の奨学金を設定している。また、学生のメンタル・ヘルスケアやハラスメント防止に努め、身体に障がいのある学生に対しては、ソフトとハードの両面において配慮がなされている。進路支援体制については、CDA(Career Development Adviser)の資格を有する教員・事務職員を配置するなどの努力がなされている。教員数は大学設置基準を満たしており、講師以上の専任教員は適切に配置されている。戦略的イノベーション創造プログラムなど学部を超えた全学的研究活動や活発なFD(Faculty Development)活動は評価できる。教室等の学習環境に関しては良好であり、とくに少人数教育のための演習室が多く設置され問題解決型学習等に活用されている。医療機関・企業などとの共同研究や地域の医療関係団体との連携が図られている他、海外の研究所、大学などと学術交流や学術提携をし、国際交流に努めている。自己点検・評価では、外部委員を入れた委員会を設置し、自己点検・評価を実施し、その結果を公表している。また、評価結果に対して改善に向けた努力がなされている。以上のように、摂南大学薬学部薬学科の教育プログラムは、本機構の評価基準におおむね適合していると判断される。しかし、概評および大学への提言で詳細を記載している以下に挙げる諸問題については改善を図ることが必要である。1. シラバス上の教育(到達)目標の学習領域と学習方略の組み合わせ2. コミュニケーション教育、医療倫理教育、医療安全教育などの更なる充実と可視化3. 薬学専門教育科目における必修と選択の区分4. 実務実習事前学習の科目ごとの評価はなされているが、事前学習としての総合的な目標達成度評価の実施5. 留年生を減少させる対策(6年間でのストレート卒業率の向上)摂南大学薬学部は、全学年を通して、パフォーマンス評価を随所に取り入れ、学習成果基盤型教育を目指しているが、それらの成果についてはまだ明確には認められない。今後- 3 -はそれらが実績として、学習成果基盤型教育の成果が学生に反映されることが望まれる。また、提言に挙げられた点を検討改善することにより、更なる発展を期待する。
大学への提言
摂南大学 大学への提言1)長所1.卒業目標マトリックスにより修得レベルを可視化し、全学年を通して、講義、SGD、体験型学習等を組み合わせ、更には様々なルーブリック表によるパフォーマンス評価を取り入れ、高い学習効果が得られるよう、学習成果基盤型教育を目指した教育プログラムを編成し、ディプロマ・ポリシーの8つの資質への到達を目指している。(2.カリキュラム編成)2.実習後のパフォーマンス評価のため、アドバンストOSCEを行っている。(5.実務実習)2)助言1.「教育研究上の目的」を広く周知させるために、大学案内にも掲載することが望まれる。(1.教育研究上の目的)2. カリキュラム・ポリシーを広く周知させるために、大学案内にも掲載することが望まれる。(2.カリキュラム編成)3.シラバス上の教育(到達)目標の学習領域と学習方略が合致するように見直しが望まれる。(3.医療人教育の基本的内容)4.臨床現場で役立つコミュニケーションを学ぶために、チーム医療を意識した実践的な能力を養うためのカリキュラムの検討が望まれる。(3.医療人教育の基本的内容)5.生涯教育の重要性を認識させ、卒後教育への学生の参加を増やす努力が望まれる。(3.医療人教育の基本的内容)6.医療安全教育に関しては様々な科目において実施しているとしているが、医療安全教- 23 -育に特化した科目を設定し、更に充実することが望まれる。(3.医療人教育の基本的内容)7.早期体験学習における見学先を製薬企業、行政など、より幅広く取り入れることが望まれる。(3.医療人教育の基本的内容)8.一部の科目で到達目標の学習領域に合致していない学習方略が見られるので、改善が望まれる。(4.薬学専門教育の内容)9.実務実習の開始時期と事前学習の終了時期が離れる場合には、再実習により到達度を再評価することが望ましい。(5.実務実習)10.「特別研究Ⅰ」と「特別研究Ⅱ」のSBOの内容及び評価方法について誤解を招かないような表現、また実施時期などを正確に記載することが望まれる。(6.問題解決能力の醸成のための教育)11.リメディアル教育を十分行っているにも拘らず、各学年の留年者が50名近くいることから、その原因の一つとして考えられる入学試験制度の検討が望まれる。(7.学生の受入)12.本試験と再試験で同じ問題が出題され、これが2年に亘って見られる科目があったので、試験問題の出題方式(客観試験、同じ問題)などをチェックする制度の検討が望まれる。(8.成績評価・進級・学士課程修了認定)13.災害時のことを想定した全学的な避難訓練を実施することが望ましい。(9.学生の支援)14.教員1人あたりの学生数は19.6人であるので、本評価の基準で期待する10名以内を目指す努力が望まれる。(10.教員組織・職員組織)3)改善すべき点1.ディプロマ・ポリシーを目指すのに欠かすことのできない科目は必修科目とする必要がある。(2.カリキュラム編成)2.実務実習事前学習の総合的な目標達成度を評価するための指標を設定し、評価する必要がある。(5.実務実習)3.共用試験の受験者数を、「自己点検・評価書」に掲載し公表する必要がある。(5.実務実習)4.卒業研究に相当する「特別研究Ⅰ」と「特別研究Ⅱ」は必須科目であり、卒業論文および卒論発表が義務づけられているので、国家試験後に発表会を開催することを特例- 24 -として認めることはディプロマ・ポリシーに反するので改善が必要である。(6.問題解決能力の醸成のための教育)5.卒業率(6年間で卒業する学生の比率)が年々低下傾向にあり、成績下位学生への対応を改善する必要がある。(8.成績評価・進級・学士課程修了認定)
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| 第1期 |
2015年度 |
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1:提言 改善報告審議結果 |
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| 崇城大学 | 私 | 熊本県 | 第1期 | 2015年度 | 適 |
自己点検・評価書 基礎資料 正誤票 |
評価報告書
総評
崇城大学 総評崇城大学薬学部は、『薬学の基礎学力と倫理観をしっかり身につけて、問題解決能力や国際化・情報化への対応能力を育み、医療、保健、創薬など、いずれの方向に進んでも患者志向の薬の専門家として貢献できる高い資質と人間性豊かな薬剤師を養成する。特に医療現場で活躍できる実践能力の高い薬剤師を養成する。』を教育研究上の目的とし、これに基づくアドミッション・ポリシー、カリキュラム・ポリシー、および、ディプロマ・ポリシーを定めて6年制薬学教育に取り組んでいる。教育課程は、 カリキュラム・ポリシーに基づいて、総合教育(人間科学、外国語)科目、専門基礎科目、薬学専門科目より構成されている。教養教育は、総合大学の特色を生かした多数の科目が全学部生を対象にして開講されており、薬学部では、薬学準備教育ガイドラインに準拠した科目を最低4科目(8単位)履修するよう定め、学生の履修が容易になるように時間割上で配慮している。語学教育では、1学年を5クラスに分ける少人数教育で行っており、外国人英語教員の直接指導により「聞く」、「話す」についても十分に配慮した教育がなされている。また、「早期体験学習」で病院、薬局以外に小児福祉施設、老人介護施設などを実習先に加えている。薬学専門教育では、薬学教育モデル・コアカリキュラムに準拠した専門基礎知識を学んで5年次からの実務実習に備えるプログラムとなっている。主体的な学習態度、問題発見・問題解決能力の醸成に重点を置いたプログラムとしては、5、6年次の「卒業論文実習」など最低限必要な科目を置いている。参加型実務実習については、実務実習事前学習と共用試験により実務実習を行う能力を担保した上で、九州・山口地区調整機構と大学の実務実習委員会の連携により、熊本県内・外の病院、保険薬局において、モデル・コアカリキュラムに沿った内容で行っている。薬学部の専任教員数は、実務家教員を含めて、大学設置基準を上回っており、専任教員数に対する学生数比率も適切な範囲にあるが、若手教員の割合がやや少ない。若手教員が海外留学できる制度も活用されており、施設・設備などの学習・研究環境はほぼ良好であり、卒後教育や地域医療への貢献も行っている。- 2 -以上より、崇城大学薬学部は、本機構の評価基準に全体としては適合していると結論できる。しかし、本機構の評価基準に達していないため改善が必要である主な問題として、以下の諸点がある。1. 「教育課程の編成・実施の方針」とそれに基づいてカリキュラムを構築することの重要性を十分に理解した、責任あるカリキュラムの検討体制を早急に確立することが必要である。2. 6年次後期の必修科目である「総合薬学演習Ⅲ」の大部分を薬剤師国家試験予備校に委託していることは不適切であるので、早急に改める必要がある。3. コミュニケーションの基本的能力を修得するための科目を増やすと共に、「ヒューマニズム教育・医療倫理教育」と「コミュニケーション能力と自己表現能力を身につけるための教育」において、目標達成度を総合的に評価するための指標を設定し、それに基づいた適切な評価を行うことが必要である。4. 学力の不足する入学者が増えていることが懸念されるので、合格ラインの設定を見直すなど、入学者の選抜方法の改善について検討することが必要である。5. 進級判定基準が規程に定められていないので、学則第 10 条に遵って下位規程で規定し、それを学生に周知するよう早急に改善することが必要である。6. 薬剤師国家試験準備を目的とする科目である「総合薬学演習Ⅲ」の不合格によって、6年次在籍者の約 25%が卒業延期となっている現状は早急に改善する必要がある。7. 「薬学部評価委員会」の活動を、外部評価に対応するためではなく、自己点検・評価の結果を全教員が共有し、学部として教育研究活動の改善に向けた自主的な取り組みに結びつけることができる体制を構築することが必要である。崇城大学薬学部は、改善すべき点及び助言を踏まえ、より一層、 組織的に医療人としての薬剤師の育成に取り組み、さらに向上発展することを期待する。
大学への提言
崇城大学 大学への提言1)助言1. 学則に規定されている「薬学部の目的」とホームページ、ならびに「自己点検・評価書」の「まえがき」に記載されている「理念」と「教育研究上の目的」の表現を統一することが望ましい。(1.教育研究上の目的)2. 「教育研究上の目的」を「学生便覧」などの印刷物に収載すると共に、学生ならびに教職員への周知に更に努めることが望ましい。(1.教育研究上の目的)3. 「学生便覧」に学生に対する履修上の指針となるカリキュラム・マップを収載することが望ましい。(2.カリキュラム編成)4. カリキュラム・ポリシーの1.と3.に対応する内容と授業方法の科目を拡充発展させることが望ましい。(2.カリキュラム編成)5. コミュニケーションの基本的能力を修得する科目が不足しているので、該当する科目- 26 -を増やすことが望ましい。(3.医療人教育の基本的内容)6. 薬学専門の外国語科目には不十分な点が見られるので、改善することが望ましい。(3.医療人教育の基本的内容)7. 薬学準備教育が必修科目のみで構成されている。しかし、入学者の学習履歴が一様ではないことを認識し、それらの不足部分を補う教育プログラムにも配慮することが望ましい。(3.医療人教育の基本的内容)8. 「早期体験学習」は、「薬剤師の活躍する現場などを広く見学させる」という【観点3−3−2−1】の趣旨に合うよう、個々の学生が行政機関や企業を含めた複数の見学先を訪問できる形に改善することが望ましい。(3.医療人教育の基本的内容)9. 大学独自の専門科目が17科目開講されており、時間割上も自由に受講できるようになっているが、履修者が少なく、特に6年次の履修者は皆無に近い状況である。これらの科目の履修者を増やすよう努力することが望ましい。(4.薬学専門教育の内容)10. 「知識領域の授業でも対話形式を学習方法に取り入れていること」を特徴として自己評価しているので、シラバスの【授業方法】欄にこの特徴を明記することが望ましい。(4.薬学専門教育の内容)11. シラバスに記載する実習回数の表記を統一することが望ましい。(4.薬学専門教育の内容)12. 指導教員による施設訪問は1回が原則となっており、中間発表会で全学生の実習進捗状況を把握する体制をとっているが、大学による実務実習の指導体制が十分であるとは言えないので改善することが望ましい。(5.実務実習)13. 病院・薬局実習の総合的な学習成果に対する評価方法と基準は、各々の項目で異なっており、総合的な学習成果の評価にはなっていないので、それらを総合した評価を行うよう改善することが望ましい。(5.実務実習)14. 6年次の現状の時間割では、学生が卒業研究より国家試験準備教育を重要だと感じ、卒業研究を相対的に軽視する状況を生じることが懸念されるので、学生が十分な時間をかけて卒業研究に集中できるような時間割とすることが望ましい。(6. 問題解決能力の醸成のための教育)15. 問題解決能力を醸成するための科目については、当該科目がそのような目的を持つことがシラバスの内容から分かるよう、シラバスにはこの目的を達成するための学習方法に関する工夫を説明しておくことが望ましい。(6. 問題解決能力の醸成のための教育)- 27 -16. 大学の方針として入試で3教科を課すことで入学者の学力を担保することを目指すのであれば、すべての入試において3科目の学力試験を行うようにすることが望ましい。(7.学生の受入れ)17. 複数の評価方法を用いる科目では、シラバスの成績評価方法欄に、最終成績に対するそれぞれの方法による評価の寄与率を明記することが望まれる。(8.成績評価・進級・学士課程修了認定)18. 薬学準備教育科目を必修科目として開講していることは、入学までの学修履歴に応じた履修指導を行っていることにはならないので、入学前の学修履歴を把握し、それぞれに応じた学習ができる指導体制を設けることが望ましい。(9.学生の支援)19. 薬学部キャンパスには看護職員あるいはカウンセラーが週3日待機しているが、常時待機することが望ましい。(9.学生の支援)20. 健康診断は全学年で実施することが望ましい。(9.学生の支援)21. 助教+助手が7名であり、卒業研究を行っている研究室の過半数で助教、助手が不在であるという状況は、研究室における学生の指導と安全の確保に対する懸念があると言わざるを得ないので、これらの教員の増員が望まれる。(10.教員組織・職員組織)22. 薬剤師として実務の経験を有する専任教員が、常に新しい医療に対応するために研鑽できる体制・制度の早急なる整備が望まれる。(10.教員組織・職員組織)23. 研究経費の総額が不足気味でありその配分方法にも問題点があるので、それらの改善を図ることが望まれる。(10.教員組織・職員組織)24. 薬学部独自のFD活動を充実させることが望まれる。(10.教員組織・職員組織)25. 少人数教育に適した教室および自習室の不足の解消が望まれる。(11.学習環境)26. 薬学部棟の大講義室は収容人数に対しては狭く学習机が過密であり、収容人数を減じて学習机の過密を緩和することが望まれる。(11.学習環境)27. 学部開設時に整備した研究教育機器類が経年劣化しているので、更新に配慮することが望まれる。(11.学習環境)28. 卒後教育研修事業や地域住民を対象にした公開講座等は、一部の教員の活動によっているが、それらは薬学部全体の事業として取り組むことが望まれる。(12.社会との連携)29. 英文ホームページの内容に薬学部の活動全般の紹介を含めることが望まれる。(12.社会との連携)30. 「自己評価21」の結果は学部ホームページに公表しているが、平成22~25年度に行- 28 -った自己点検・評価の結果は、印刷物を学内の部局に配布しているだけで公開していないので、公開することが望ましい。(13.自己点検・評価)2)改善すべき点1. カリキュラム・ポリシーとカリキュラムについて、年度の対応を考慮しない自己点検・評価が行われていることは、「教育課程の編成・実施の方針(カリキュラム・ポリシー)」の設定とそれに基づくカリキュラムを構築が、それら相互間の関連づけの重要性を理解することなく行われていたことを意味する。この現状を改善するために、「教育課程の編成・実施の方針」とカリキュラムをそれに基づいて構築することの重要性を理解した責任ある体制を早急に確立することが必要である。(2. カリキュラム編成)2. カリキュラム・ポリシーを冊子体として配布している「学生便覧」に収載して、学生に周知することが必要である。(2. カリキュラム編成)3. 必修科目である「総合薬学演習Ⅲ」における演習授業の大部分を薬剤師国家試験予備校講師に委託していることは、大学教育として不適切であり、早急に改める必要がある。(2. カリキュラム編成)4. 「総合薬学演習Ⅱ」で業者が作成した問題による自己学習だけを実施し、その成果を試験で評価していることは好ましい指導方法ではないので、専任教員による適切な指導を行った後に自己学習を行う形に改善する必要がある。(2. カリキュラム編成)5. 「ヒューマニズム教育・医療倫理教育」と「コミュニケーション能力と自己表現能力を身につけるための教育」において、目標達成度を総合的に評価するための指標を設定し、それに基づいた適切な評価を行うことが必要である。(3.医療人教育の基本的内容)6. シラバスには、個々の科目に対応する薬学教育モデル・コアカリキュラムの到達目標が記載されているが、それらと授業の内容、計画との関連づけがなされていない。これでは、学生が授業を受けることによってどの目標が達成できたかを的確に把握することができない。授業内容と到達目標の関連が容易に理解できるようシラバスを改善することが必要である。(4.薬学専門教育の内容)7. 実務実習事前学習の目標達成度を評価するための指標を設定し、それに基づいて適切に評価を行うことが必要である。(5.実務実習)8. 実務実習事前学習のシラバスに記載されている到達目標の表現がモデル・コアカリキュラムのそれらと異なる上、項目の実施順序もモデル・コアカリキュラムとは異なっ- 29 -ている。この現状は、学生がシラバスによってコアカリキュラムの到達目標を確認することを困難にするものなので、改善が必要である。(5.実務実習)9. 「卒業論文」の最終評価は各指導教員が行う事になっている。学部の共通の指標があるとはいえ、指導教員が個人で評価することは評価の公平性が懸念される。「研究室単位で行われる最終発表会」での質疑応答、「卒業論文」の内容の評価に予備審査を担当した2名の教員を評価者に加えるなどの方法で、公平性が保証される評価体制に改善することが必要である。(6. 問題解決能力の醸成のための教育)10. 問題解決能力の醸成に向けた教育の評価は科目毎に定められた方法と基準によって独立して行われており、問題解決能力の目標達成度を評価するための指標を設定して、それに基づく評価は行われていないので、適切な評価方法を定め、それに基づく評価を行うよう改善することが必要である。(6. 問題解決能力の醸成のための教育)11. 入試形態によらず、留年者数が増える傾向にある。これは、入試問題の改善だけで解消できない理由で薬学教育に必要な学力が不足する入学生が増加している可能性が高いことを示唆しているので、合格ラインの設定を見直すなど、入学者の選抜方法の改善が必要である。(7.学生の受入れ)12. 進級基準を担任名の配布資料のみで通知していることは不適当である。進級判定基準を学則第10条に遵って下位規程で規定し、それを学生に周知するよう早急に改善することが必要である。(8.成績評価・進級・学士課程修了認定)13. 薬剤師国家試験準備を目的とする科目である「総合薬学演習Ⅲ」の未修得によって、6年次在籍者の約25%(128名中33名)が卒業延期となっている平成26年度のような状況は好ましくないので、早急に改善する必要がある。(8.成績評価・進級・学士課程修了認定)14. 学士課程修了判定により留年となった学生に対する教育指導体制が不十分で、機能を発揮していないので、そのための教育プログラムを構築することが必要である。(8.成績評価・進級・学士課程修了認定)15. 公開されている教員の教育研究業績を全教員が毎年更新することを確実に行い、教員の教育研究活動に対する学部としての点検評価を十分に行う体制を早急に確立することが必要である。(10.教員組織・職員組織)16. 薬学部キャンパスの事務員が庶務課学部支援係の薬学専任職員2名のみであるという現状は、学部の教育研究活動に様々な支障をきたしていることが懸念される。薬学部専任の事務職員を増員し、現状を早急に改善することが必要である。(10.教員組織・- 30 -職員組織)17. 「薬学部評価委員会」は、外部評価への対応とそれに準じた自己点検・評価だけではなく、自らが設定する評価項目に基づいて薬学部の教育研究プログラムを恒常的に点検・評価し、その結果を積極的に公表することが必要である。(13.自己点検・評価)18. 「薬学部評価委員会」の活動を、外部評価に対応するためではなく、自己点検・評価の結果を全教員が共有し、学部として教育研究活動の改善に向けた自主的な取り組みに結びつけることができる体制を構築することが必要である。(13.自己点検・評価)
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2015年度 |
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1:提言 改善報告審議結果 |
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| 千葉大学 | 国 | 千葉県 | 第1期 | 2015年度 | 適 |
自己点検・評価書 基礎資料 正誤票 |
評価報告書
総評
千葉大学 総評千葉大学薬学部は、6年制薬学科と4年制薬科学科の2学科を設置しているが、学科の振り分けは3年次に行われる。薬学部の教育研究上の目的は、「本学部は、薬学および関連する分野の学識を深化させ、薬学職業人としての活動を行うために必要な専門的知識、研究能力およびその基礎となる豊かな学識を養うと共に、全人的視野に立つ医療従事者、薬学的知識を持つ専門家を育成することを目的とする」と規定されている。これに基づき、入学者受入れの方針(アドミッション・ポリシー)、教育課程編成・実施の方針(カリキュラム・ポリシー)および学位授与の方針(ディプロマ・ポリシー)を薬学部について設定している。しかし、薬学科に関するものは、独立して設定されていない。薬学科における基本教育は良好に実施されている。教養教育・語学教育は、総合大学の特色を生かした共通教育として1年次から体系的に実施されている。医学・看護学・薬学の連携による亥鼻IPEプログラムで1〜4年次に開講される「チーム医療Ⅰ~Ⅳ」は、ヒューマニズム教育・医療倫理教育などの中核となっている。平成 26 年度からは、「薬学教育モデル・コアカリキュラム-平成 25 年度改訂版-」に対応した薬学専門教育が実施されている。病院実務実習は、医学部附属病院薬剤部で行われている。卒業研究は4年次からの6セメスターの必修科目となっており、充実している。卒業研究の成果は、学部主催の卒業論文発表会で口頭発表を行うとともに、卒業論文にまとめている。入学者選抜は入学者受入れの方針に基づいて行われており、留年・休学・退学者は少なく、基礎学力や医療人としての適性が的確に評価されている。合否判定の手順、入学定員に対する入学者数にも問題はない。各科目の成績評価、進級や留年の判定、および卒業認定の方法は適切である。学生への履修指導や学習相談、授業料免除や奨学金などの経済的支援、メンタルケアやハラスメント問題などへの対応、障がいを有する学生への対応、就職支援、安全管理など、学生の支援環境は充実している。また、学習環境も図書館、講義・演習室、実験室、実務実習事前学習あるいは研究活動のための施設や設備などが十分に整備されており、適切である。- 2 -専任教員数は大学設置基準を上回り、教員1名あたりの学生数も良好である。また専任教員の年齢構成に著しい偏りはなく、実務家教員も5名配置されている。教員には任期制が適用されており、5年毎に教育および研究に対する取組が評価される。教員は、医学界や産業界と積極的に連携しており、さらに地域の保健衛生の保持・向上にも貢献している。自己点検・評価の組織として第三者評価委員会が設置されており、平成 22 年度には「自己評価 21」、平成 25 年には「千葉大学薬学部の薬学教育カリキュラムに対する外部評価」を実施している。しかし、主な改善すべき点として、以下があげられる。(1)教育理念、人材養成および教育研究上の目的を学部・学科ごとに整理・設定し、薬学部規程などに明示・公表する必要がある。(2)薬学科のカリキュラム・ポリシー、およびディプロマ・ポリシーを設定する必要がある。(3)現行の教育カリキュラムでは、SBOs(Specific Behavioral Objectives)の一部が網羅されていない、あるいは選択科目に割り当てられているため、改善の必要がある。また、SBOsの学習領域にあった方略で学習するように改善が必要である。(4)病院実務実習の実習期間を標準の 11 週間とする必要がある。(5)6年制薬学教育プログラムを自ら点検・評価し、その結果を教育研究活動に反映する体制を整備し、機能させる必要がある。以上の重要な問題点に加えて、その他の指摘についてもPDCAサイクルによる内部質保証システムを十分に機能させ、臨床に係る実践能力を培う薬学専門教育のさらなる改革・改善に努めることが望まれる。
大学への提言
千葉大学 大学への提言1)長所1.「チーム医療Ⅰ~Ⅳ」は、教室での講義を最小限にして、実際の患者・サービス利用者や医療専門職と向き合う演習や実習を通じて医療現場を実体験させるなど特色ある科目である。プログラム開始から既に8年が経過して、医学・看護学・薬学の教員の連携体制も十分整備されており、優れた取り組みとして高く評価できる。(2.カリキュラム編成)- 27 -2)助言1.教育研究上の目的を自己点検・評価してとりまとめる組織体制の下に、定期的な検証がなされることが望まれる。(1.教育研究上の目的)2.FD(教員対象)やガイダンス(学生対象)などを通じて、カリキュラム・ポリシーを教員や学生に周知し、さらなる共有化を図ることが望まれる。(2.カリキュラム編成)3.「チーム医療Ⅰ、Ⅱ」については、6年制薬学科と4年制薬科学科で共に選択科目となっているが、薬学科にとっては重要な科目なので必修とすることが望まれる。 (2.カリキュラム編成)4. 科目関連図であるカリキュラム・ツリーではなく、カリキュラム・マップを作成し、教育カリキュラムとディプロマ・ポリシーとの関連がわかるように示すことが望まれる。(2.カリキュラム編成)5.カリキュラム・ポリシーの定期的な検証が行われていないので、検証を行うことが望まれる。(2.カリキュラム編成)6.ヒューマニズム教育、医療倫理教育、コミュニケーション教育に関するものが、「チーム医療Ⅰ~Ⅳ」(各学年1単位)など、特定の科目に集中して担われているため単位数が少ないので改善が望まれる。(3.医療人教育の基本的内容)7.医療現場で薬剤師に必要とされる語学力を身につけるための教育として、薬学科独自の医療薬学英語教育を実施することが望ましい。(3.医療人教育の基本的内容)8.薬害や医療過誤、医療事故を主な内容とする科目を開設することが望まれる。(3.医療人教育の基本的内容)9.全ての科目について、基礎と臨床の知見を相互に関連付けるため、関連科目(基礎科目、発展科目など)をシラバスに記載することが望ましい。(4.薬学専門教育の内容)10.「千葉大学薬学部薬学教育モデル・コアカリキュラム対応シラバス補助資料」の内容は、シラバスに含めるのが望ましい。(4.薬学専門教育の内容)11.実習の単位数が実習によって異なるので、時間数に見合う単位数を設定することが望まれる。(4.薬学専門教育の内容)12.カリキュラム・マップにおいて、演習系、講義系、実習の括りが示されているのみなので、当該科目と他の科目との関連性を明示したものに修正することが望まれる。 (4.薬学専門教育の内容)- 28 -13.シラバスや履修案内に、実務実習を履修するための要件を明確に記載することが望ましい。(5.実務実習)14.学生の理解のために、事前実務実習書への一般目標および到達目標の記載が望まれる。(5.実務実習)15.カリキュラム・ポリシー(教育課程編成・実施の方針)において、卒業研究の意義付けを明確に記載することが望まれる。(6.問題解決能力の醸成のための教育)16.「総合薬学演習」と「薬剤師と地域医療」の評価方法に関して、授業態度のみと記載されているが、どのように評価するのか実態を明確に記載することが望まれる。 (6.問題解決能力の醸成のための教育)17.卒業論文作成の方針を設定し、学生に周知することが望まれる。(6.問題解決能力の醸成のための教育)18. 6年制薬学科と4年制薬科学科では人材育成の目的が異なるため、学科ごとのアドミッション・ポリシーを設定することが望ましい。(7.学生の受入)19.推薦入試について、配点や合格者の平均点などを開示することが望ましい。 (7.学生の受入)20.ディプロマ・ポリシーを履修案内やシラバスに掲載することが望ましい。(8.成績評価・進級・学士課程修了認定)21.ディプロマ・ポリシーについて、FD研修会(教員対象)や履修ガイダンス(学生対象)で説明することが望ましい。(8.成績評価・進級・学士課程修了認定)22.6年制薬学科の教育プログラムの総合的な学習成果の評価に関しては、大学独自の指標を設定し、それに基づいた適切な評価を行うことが望ましい。 (8.成績評価・進級・学士課程修了認定)23.大学あるいは薬学部独自の経済的支援制度(奨学金制度など)を設けることが望ましい。(9.学生の支援)24.施設のバリアフリー化や視聴覚設備の充実など、学生に配慮した施設・設備の改善を図ることが望まれる。(9.学生の支援)25.一部教員への授業負担の偏りを是正することが望ましい。(10.教員組織・職員組織)26.教員の教育研究活動に関して、研究実績に加え、教育実績をホームページなどで公表することが望ましい。(10.教員組織・職員組織)27.実務家教員の研鑽体制について、学部・学科としての体制を整えることが望ましい。 (10.教員組織・職員組織)- 29 -28.教員による相互の授業参観や試験問題の適切性の相互評価など、教員の教育の質向上を図るための取り組みをさらに追加することが望ましい。(10.教員組織・職員組織)29.実習室に緊急用シャワーの設置が望ましい。(11.学習環境)30.教員のための長期海外出張制度を整備し、その利用を促進することが望ましい。 (12.社会との連携)31.自己点検・評価のための組織である第三者評価委員会(平成27年度から薬学教育自己点検委員会)に外部委員および事務系職員を加えることが望ましい。(13.自己点検・評価)3)改善すべき点1.教育理念、人材養成および教育研究上の目的を学部・学科ごとに整理・設定し、薬学部規程などに明示・公表する必要がある。(1.教育研究上の目的)2.薬学部のホームページに掲載されているカリキュラム・ポリシーは、大学ホームページに掲載の薬学部教育課程編成・実施の方針と本来同じものである。両者の内容を同じ表記にする必要がある。(2.カリキュラム編成)3.6年制と4年制の教育においては、それぞれの人材育成の目的が異なるので、各学科で独自のカリキュラム・ポリシーを設定する必要がある。その上で、カリキュラムを構築する必要がある。(2.カリキュラム編成)4.ヒューマニズム教育・医療倫理教育およびコミュニケーション教育に関わる目標到達度を総合的に評価するための指標を設定し、適切に評価する必要がある。(3.医療人教育の基本的内容)5.全ての科目について、一般目標および学習到達目標を設定し、シラバスに記載する必要がある。(4.薬学専門教育の内容)6.「特別実習Ⅰ~Ⅲ」について、早急にシラバスを作成する必要がある。 (4.薬学専門教育の内容)7.現行のカリキュラムが改訂コアカリキュラムに準拠しておらず、SBOsの一部が網羅されていないため、早急に改善する必要がある。 (4.薬学専門教育の内容)8.必修科目とすべきSBOsを選択科目としているので、必修科目として学習できるように改善すべきである。 (4.薬学専門教育の内容)9.各SBOの学習領域(知識・技能・態度)に関して、不適切な学習方法を採用している一部の科目については、学習領域にあった方略で学習するように見直す必要がある。- 30 - (4.薬学専門教育の内容)10.病院実務実習の実習期間については、【観点5-3-4-3】に定められている標準期間の11週間とする必要がある。(5.実務実習)11.「事前実務実習」、「病院実習」および「薬局実習」のシラバスに、授業内容の詳細を記載する必要がある。(5.実務実習)12.実務実習事前学習の目標達成度を評価するための指標を学生に示し、それに基づいて適切に評価する必要がある。(5.実務実習)13.卒業研究に相当する「特別実習Ⅰ~Ⅲ」の審査結果報告の内容が不十分であり、学科内で共通の指標を設定し、公平に評価することが必要である。特に、研究成果が見え難い卒業研究の途中段階である「特別研究Ⅰ、Ⅱ」は、評価が指導教員の裁量に強く依存することが無いように客観的かつ公平な指標の設定が必要である。(6.問題能力醸成のための教育)14.卒業研究を除く問題解決能力の醸成に向けた教育においては、目標達成度を評価するための指標を設定し、それに基づいて適切に評価する必要がある。 (6.問題能力醸成のための教育)15.薬学部のディプロマ・ポリシーに加え、人材育成の目的の異なる6年制薬学科および4年制薬科学科に関するディプロマ・ポリシーを個々に策定する必要がある。 (8.成績評価・進級・学士課程修了認定)16.FD研修会を主催する学部の組織や体制を整備する必要がある。 (10.教員組織・職員組織)17.定期的に薬学教育プログラムの自己点検・評価を行い、その結果を教育研究活動の改善に積極的に反映させる必要がある。(13.自己点検・評価)
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2015年度 |
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1:提言 改善報告審議結果 |
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| 東京薬科大学 | 私 | 東京都 | 第1期 | 2015年度 | 適 |
自己点検・評価書 基礎資料 正誤票 |
評価報告書
総評
東京薬科大学 総評東京薬科大学の理念・目的は、「東京薬科大学学部学則」において、「本学は教育基本法及び学校教育法の主旨に従い、ヒューマニズムの精神に基づいて、視野の広い、心豊かな人材を育成し、薬学並びに生命科学の領域における教育と研究を通じて、人類の福祉と世界の平和に貢献することを目的とする。」と定められている。薬学部の教育研究上の目的は、「医療を担う薬学人に相応しい充分な知識と技術、及び人類の福祉に貢献できる豊かな人間性と広い視野を持つ人材の育成を目的とする。」と定められており、大学の理念・目的に基づいて設定されている。また、薬学6年制への移行にともない、医療薬学科、医療薬物薬学科、および医療衛生薬学科の3学科制とし、各々の学科の教育研究上の目的は学則で定められている。薬学教育カリキュラムは、カリキュラム・ポリシー(教育課程の編成・実施方針)に基づいて編成されており、教養科目および基礎教育から臨床教育にいたる科目が配置され、医療人として生命に関わる薬学専門家にふさわしい行動を身に付けるための教育が体系的に行われている。大学独自の薬学専門教育については多くの科目が配置されており、特に少人数クラスの「ゼミナール」では、問題解決能力、プレゼンテーション能力、コミュニケーション能力の醸成が図られている。実務実習事前学習は、実務実習モデル・コアカリキュラムに準拠し、適切な指導体制の下に行われている。実務実習の指導体制については、実習施設ごとに担当する教室が決められており、薬学部の全教員が何らかの形で実務実習の指導に参画することで、施設との緊密な連携体制が構築されている。担当教室の教員は、実習期間中に原則として3回の訪問を行い、実習施設との情報交換と学生の指導にあたっている。 卒業研究としての「課題研究」は 14 単位が配当され、実験研究コースと調査研究コー- 2 -スの2コース制で実施されている。実施期間は4年次~6年次9月までの2年半となっている。入学試験はアドミッション・ポリシー(入学者受入方針)に基づいて適正に実施され、入学者数と入学定員との間には大きな乖離はない。学生の成績評価・進級・学士課程修了認定についてはおおむね適切に行われている。学生の支援については、修学支援、奨学金制度、ヘルス・メンタルケア、ハラスメント防止、キャリア支援などの体制が整備されている。専任教員の職位と年齢構成については、比較的バランスよく構成されている。教育研究上の目的に沿った教育を実施するための施設・設備は整備されており、また、薬剤師会などと連携し、薬学の発展に努めている。平成21年以来、自己点検・評価を毎年行うことにより多数の課題を、自己評価委員会、自己評価実施委員会および自己評価実施検討委員会(薬学部)で可視化することができている。以上のように、東京薬科大学薬学部の教育プログラムは本機構の評価基準におおむね適合していると判断できる。しかしながら、以下の諸問題については改善を図る必要がある。1)「課題研究」の調査研究コースにおいて国家試験対策科目である「4P80 演習」が5年次(3単位)および6年次(3単位)に実施されていることは、卒業研究であるこのコースの教育が国家試験準備を重視したものとなっていることを示しており、改善が必要である。2)コミュニケーション能力および自己表現能力を身につけるための教育において、目標達成度を評価するための指標の設定と、それに基づいた適切な評価が行われておらず、今後の更なる改善が必要である。3)卒業研究に割り当てられた単位数に「課題研究」の実験研究コース(14単位)と調査研究コース(8単位)で差がある。問題解決能力醸成を目的とする卒業研究の単位数にコース間で差があることは問題であり、改善が必要である。4)問題解決能力の醸成に向けた教育全体において、目標達成度を総合的に評価する指標を設定し、適切に評価する必要がある。5)成績評価の基準が「履修規程」などに規定されておらず、基準が科目によって異なることは評価の厳正さを損なうので、改善する必要がある。6)「共用試験に合格した者が事前実務学習(実務実習事前学習Ⅱ)を受講出来る」とすることは、「共用試験」の合格を「実務実習事前学習Ⅱ」の単位認定要件にしていることになり、不適切であり、早急に改善する必要がある。- 3 -東京薬科大学薬学部は、特色ある教育プログラムと優れた教員および設備を有し、教育への熱心な取り組みがうかがえる。本評価で指摘された問題点の改善に取り組み、さらに発展することを期待する。
大学への提言
東京薬科大学 大学への提言1)長所1.「薬学入門」、「薬学入門演習Ⅰ」、「薬学入門演習Ⅱ」については、ポートフォリオを作成させ、評価基準を示して自己評価ならびに教員による評価が行われていること。(3.医療人教育の基本的内容)2.早期体験学習報告会での学生全員と教員との総合討論、および投票形式による発表評- 27 -価が行われていること。(3.医療人教育の基本的内容)3.全教員を対象とした「臨床研修留学規程」が策定されており、臨床現場での研修活動を支援する制度やUCSFなどでの研修制度が整備されていること。(10.教員組織・職員組織)2)助言1.学則にある教育研究上の目的は「授業計画」(シラバス冊子)などにも明確に収載されることが望ましい。(1.教育研究上の目的)2.カリキュラムマップおよびラーニングマップを、学生への周知のために、「授業計画」などに収載することが望まれる。(2.カリキュラム編成)3.「コミュニケーション論」(1年次)は薬剤師教育に必須であるので、必修科目とすることが望まれる。(3.医療人教育の基本的内容)4.早期体験学習は1人1施設の見学にとどまっているので、増やすことが望ましい。(3.医療人教育の基本的内容)5.「インターンシップ」や「キャリア育成講座」は、多くの学生が履修できるように努めることが望ましい。(3.医療人教育の基本的内容)6.卒後・生涯教育講座に学生の出席を認めているが、参加者は僅かであり、増やすことが望ましい。(3.医療人教育の基本的内容)7.カリキュラムマップを、基礎と臨床の関連を理解できるように作り直すことが望ましい。(4.薬学専門教育の内容)8.基礎資料3において、C領域のすべてのSBOsにアドバンス演習が対応していることになっているが、演習科目は技能に関するSBOsに対応していないと思われるので、除外することが望まれる。また、「医療倫理」に充てられている態度に関するSBOsはこの科目の方略には対応していないので、除外することが望まれる。(4.薬学専門教育の内容)9.「授業計画」において成績評価方法における形成的評価および総括的評価や準備学習の記載が統一されていないので、統一が望まれる。(4.薬学専門教育の内容)10.大学独自の科目あるいは独自の内容を含む科目をシラバスに明示することが望まれる。(4.薬学専門教育の内容)11.実習指導者は日本薬剤師研修センターが認める認定実務実習指導薬剤師であることが原則であるので、認定薬剤師の確保に努めることが望まれる。(5.実務実習)- 28 -12.教室、研究室、センターなどに配属された学生の数は、教員一人あたり平均9名であり、ほとんどの配属先では平均的な学生数となっているが、教員一人あたりの学生数が15名を超えているところもあり、指導の実態に対する点検・評価が望まれる。(6.問題解決能力の醸成のための教育)13.口頭発表会は公開で実施されているが、所属研究室が主となって行われているため、学部が主となり、学部全体での発表会にすることが望ましい。(6.問題解決能力の醸成のための教育)14.参加型プログラムを実施している科目の特徴をシラバスに明示することが望ましい。(6.問題解決能力の醸成のための教育)15.全ての基礎実習のシラバスにSGDを実施していることを記載することが望まれる。(6.問題解決能力の醸成のための教育)16.医療人としての適性を評価するための面接は、総募集人員の約半数を占める一般入試では実施されておらず、今後、「適性検査」の導入を含めての対応が望まれる。(7.学生の受入)17.平成25年度と26年度には適正な入学者を確保することができなかったことから、綿密に入学者数の予測を立てて合格者が決定されることが望ましい。(7.学生の受入)18.「授業計画」の成績評価方法に「パフォーマンス」の項目を設け、多面的な評価を教員・学生に意識させているとあるが、「授業計画」にパフォーマンス評価項目が記載されているのはごく一部の科目であり、すべての科目に記載することが望まれる。(8.成績評価・進級・学士課程修了認定)19.一部の科目では追再試験が本試験とほぼ同一の問題で行われているので、問題の変更が望まれる。(8.成績評価・進級・学士課程修了認定)20.学費減免型の特別奨学生制度の1年次生の対象者は、一般入試B方式合格者に限られているが、他の方式も含めて公平性をもたせることが望ましい。(9.学生の支援)21.学部の基礎実験では、学生約150名に対し、教員およびTAが6〜11名で指導とあるが、安全確保のため指導者1名あたりの学生数を可能な限り少なくすることが望まれる。(9.学生の支援)22.平成26年度は、教職員を主とする消防訓練が実施されているが、これは全学生を対象に毎年実施されることが望ましい。(9.学生の支援)23.教員学生比率(20.0)の改善のために教員の増員が望まれる。(10.教員組織・職員組織)- 29 -24.ホームページ上に教員の業績が開示されることになっているが、開示していない教員があり、また業績が更新されていない場合があるので、全教員について新しい業績を開示することが望まれる。(10.教員組織・職員組織)25.個々の教員で講義、実習、演習に関わる時間数に大きな差(最大16.6、最少0.8)があることから、これらの時間数の差を少なくすることが望ましい。(10.教員組織・職員組織)26.配属学生1名あたりの研究室の広さの差を少なくすることが望まれる。(11.学習環境)27.国際学会への参加者は比較的多いが長期出張者は僅かであり、増加が望まれる。(12.社会との連携)28.自己評価委員会には4名の外部委員が含まれており、草案の査読の結果を委員会に示し、改善につなげているとされているが、外部委員は委員会における審議にも恒常的に参加することが望ましい。(13.自己点検・評価)29.自己評価委員会のメンバーは教授で占められており、若手の准教授などの参画が望まれる。(13.自己点検・評価)3)改善すべき点1.「課題研究」の調査研究コースにおいて国家試験対策科目が5年次(3単位)および6年次(3単位)に実施されていることは、卒業研究である調査研究コースの教育が国家試験準備を重視したものとなっていることを示しており、改善が必要である。(2.カリキュラム編成)2.コミュニケーション能力および自己表現能力を身につけるための教育において、目標達成度を評価するための指標の設定と、それに基づいた適切な評価が行われておらず、今後の更なる改善が必要である。(3.医療人教育の基本的内容)3.卒業論文の評価が学生と同じ教室に所属する主および副指導教員により行われていることから、評価の客観性に問題があるので、改善する必要がある。(6.問題解決能力の醸成のための教育)4.問題解決能力の醸成に向けた教育全体において、目標達成度を総合的に評価する指標を設定し、適切に評価する必要がある。(6.問題解決能力の醸成のための教育)5.「課題研究」の実験研究コースでは14単位全てが卒業研究に充てられるのに対して調査研究コースでは国家試験対策科目(6単位)が含まれているため、臨床関連の講義お- 30 -よび「PBLT」を含めても卒業研究の単位は8単位である。問題解決能力醸成を目的とする卒業研究の単位数が両コース間で差があることは問題であり、改善が必要である。(6.問題解決能力の醸成のための教育)6.成績評価の基準が「履修規程」などに規定されておらず、基準が科目によって異なることは評価の厳正さを損なうので、改善する必要がある。(8.成績評価・進級・学士課程修了認定)7.成績評価において、科目内で筆記試験、レポート点など複数の評価方法を用いる場合、評価方法ごとの最終成績に与える寄与率をシラバスに記載する必要がある。(8.成績評価・進級・学士課程修了認定)8.「共用試験に合格した者が事前実務学習(実務実習事前学習Ⅱ)を受講出来る」とすることは、「共用試験」の合格を「実務実習事前学習Ⅱ」の単位認定要件にしていることになり、不適切であり、早急に改善する必要がある。(8.成績評価・進級・学士課程修了認定)9.自己点検・評価の結果を教育研究活動に反映させる体制が強化・改善される必要がある。(13.自己点検・評価)
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| 第1期 |
2015年度 |
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1:提言 改善報告審議結果 |
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| 東京理科大学 | 私 | 東京都 | 第1期 | 2015年度 | 適 |
自己点検・評価書 基礎資料 正誤票 |
評価報告書
総評
東京理科大学 総評東京理科大学の建学の精神は「理学の普及を以て国運発展の基礎とする」であり、「自然・人間・社会とこれらの調和的発展のための科学と技術の創造」を教育研究理念としている。この理念に基づいて、東京理科大学の教育・研究目的を「一般教養とともに理学、薬学及び工学の原理及びその応用を教授研究し、人格高く、かつ、応用力に富む有為の人物を育成して、文化の進展に寄与すること」として学則に定めている。6年制薬学科の教育研究上の目的は、「医薬品の作用機序、安定性等の薬剤師の職能の基盤となる専門的知識及び関連する技能、態度を習得し、ヒューマニティと高度化する医療に適切に対応できる研究心を兼ね備えた薬剤師の育成」と学則に規定されている。この教育研究上の目的に従って、アドミッション・ポリシー(入学者受入方針)、カリキュラム・ポリシー(教育課程の編成・実施の方針)及びディプロマ・ポリシー(学位授与の方針)が設定され、ホームページ、学修簿及び薬学部パンフレットに記載、公表されている。医療人としての薬剤師養成の薬学教育カリキュラムは、基本的に薬学教育モデル・コアカリキュラムにほぼ準拠している。学習者参加型の教育科目、問題解決型の教育科目、ヒューマニズム・医療倫理教育の科目もバランスよく配置されているが、開講科目が多く、過密なカリキュラムとなっているので、選択科目の受講率が低い傾向にある。その中で「最新薬剤師業務」の中の「ケア・コロキウム」は医療人養成を目的とした他大学との協力授業であり、特色あるInterprofessional Education(IPE)として評価できる。学生の受入は入学者受入方針に基づいて行われ、成績評価、進級はおおむね公平・厳密に行われている。専任教員は大学設置基準を満たしており、教育・研究環境は充実している。- 2 -以上のように、東京理科大学薬学部薬学科の薬学教育プログラムは本機構の評価基準におおむね適合しているが、以下のような重要な問題点がある。1. 「特別講義1」(選択)の成績評価が、外部試験であるCBTの成績(正答率)を活用して行われている現状は、大学に求められている公正かつ厳格な成績評価の観点からは不適切であり、改善する必要がある。2. 6年間の教育を総合的に判断する科目(必修)としての「特別講義2」の成績判定では合格基準を定め、それに基づいた判定を行っているが、再試験ではそれを下回る基準で判定が行われている。このことは、公平かつ厳格な評価の観点からは問題があり、改善する必要がある。3. ヒューマニズム教育・医療倫理教育や、コミュニケーション能力および自己表現能力醸成教育のための科目の多くが選択科目として開講されているが、6年制薬学教育の中でも重要な科目なので、全学生が履修できるように必修化することが求められる。4. ヒューマニズム教育・医療倫理教育、コミュニケーション能力および自己表現能力醸成教育、実務実習事前学習、問題解決能力の醸成に向けた教育に関し、これらの目標達成度を評価するための指標を設定し、それに基づき適切に評価するよう改善が求められる。東京理科大学薬学部は、筑波大学医学部・看護学部との医療連携を基にした特色ある教育プログラムを構築しており、チーム医療に貢献できる薬剤師の養成など、薬剤師教育に熱心に取り組む姿勢がうかがえる。今後はさらにその特徴を伸ばし、また指摘された改善すべき点や助言を踏まえ、より一層の改善・改革を進めることで6年制薬学教育の更なる発展を期待する。
大学への提言
東京理科大学 大学への提言1)長所1. 「最新薬剤師業務」の中の「ケア・コロキウム」は筑波大学の医学・看護学・医療科学部と連携して行っており、特色あるIPEとして評価される。(3.医療人教育の基本的内容)2)助言1. 薬学部薬学科の教育研究上の目的について、定期的な検証が望まれる。(1.教育研究上の目的)2. カリキュラム・ポリシーを学生に十分に周知するために、ガイダンス資料やカリキュラム・マップ等の資料を配布するなどの工夫が望まれる。(2.カリキュラム編成)3. カリキュラム・ポリシーに記載されている「ヒューマニティと研究心にあふれる高度な薬剤師の育成」を具現化するための科目が、全学年を通して接続性を考慮して開講されていないなど、カリキュラム・ポリシーの精神がカリキュラムに必ずしも反映されているとは言えないので、改善が望まれる。(2.カリキュラム編成)4. 「特別講義1」(選択専門科目)で行われている「自己学習システム」を利用した試験の成績を基に成績下位の学生を受講させることは好ましくないので、改善が望まれる。(2.カリキュラム編成)5. 「特別講義2」の単位数に関し、実際の授業コマ数に対応するように整合性を図ることが望まれる。(2.カリキュラム編成)6. 薬学教育モデル・コアカリキュラムのSBOsのうち、態度領域の一部が実施されていないことは問題であるので、改善が望まれる。(3.医療人教育の基本的内容)7. 英語教育は実質的には1年次、2年次の2年間であり、医療現場で必要とされる英語教育を充実させるためには、高学年においても英語を学べる体系化されたカリキュラム編成を行うことが望まれる。(3.医療人教育の基本的内容)8. シラバスの表記[到達目標、授業計画、評価方法]を統一し、履修する学生に分かりやすく記載することが望まれる。(4.薬学専門教育の内容)9. 実務実習事前学習として、122コマを確保することが望まれる。また、実務実習事前学習は「医療薬学実習」と「調剤学1、2」で構成されていることをシラバス等に記載し、周知することが望まれる。(5.実務実習)- 21 -10. 教員の実務実習施設への事前打ち合わせ、実習期間中の訪問を電話のみで済ますことなく、教授会で決定したとおりに徹底されることが望まれる。(5.実務実習)11. 科目関連図に「薬学総合研究」(卒業研究)を加えることが望まれる。(6.問題解決能力の醸成のための教育)12. 「卒業論文」と「卒業論文要旨」の位置づけを明確にすることが望まれる。(6.問題解決能力の醸成のための教育)13. 試験の答案の保存、学生への答案用紙・成績のフィードバック、成績の分布の作成等について教員全体に周知することが望まれる。(8.成績評価・進級・学士課程修了認定)14. ホームページに記載されているディプロマ・ポリシーは学修簿に記載された内容と異なっていたので、ホームページの維持・管理には十分な注意を払うほか、ポリシーの定期的な検証が望まれる。(8.成績評価・進級・学士課程修了認定)15. ディプロマ・ポリシーに基づいた総合的な学習成果を測定するための指標を設定し、それを基に評価することが望まれる。(8.成績評価・進級・学士課程修了認定)16. 薬学科のFD活動の充実を図ることが望まれる。(10.教員組織・職員組織)17. 教員の長期海外出張制度の充実を図ることが望まれる。(12.社会との連携)18. 自己点検・評価実施委員会に外部の委員も加えることが望まれる。(13.自己点検・評価)3)改善すべき点1. 模擬試験(外部の試験の導入)、秋季講習会、直前ゼミ(外部講師によるゼミ)の開講を正規の授業である「特別講義2」と一体化して案内しないように改善する必要がある。(2.カリキュラム編成)2. ヒューマニズム教育・医療倫理教育や、コミュニケーション能力および自己表現能力醸成教育のための科目の多くが選択科目として開講されているが、必修化するよう改善する必要がある。(3.医療人教育の基本的内容)3. ヒューマニズム教育・医療倫理教育や、コミュニケーション能力および自己表現能力醸成教育の目標達成度を評価するための指標を設定し、それに基づいて適切に評価するように改善する必要がある。(3.医療人教育の基本的内容)4. 全学生が薬学教育モデル・コアカリキュラムのSBOsに準拠した科目を履修できるように改善する必要がある。(4.薬学専門教育の内容)- 22 -5. 大学独自のSBOsがモデル・コアカリキュラムのSBOsと判別ができるようにシラバスの記載を改善する必要がある。(4.薬学専門教育の内容)6. 実務実習事前学習の到達目標は実務実習モデル・コアカリキュラムに準拠して実施するように改善する必要がある。(5.実務実習)7. 実務実習事前学習全体の目標達成度を評価する指標を設定し、それに基づく評価をする必要がある。(5.実務実習)8. 「薬学総合研究」の最終評価は所属研究室の指導教員に任されているが、学科として統一した基準の下で評価するよう改善する必要がある。(6.問題解決能力の醸成のための教育)9. 問題解決能力の醸成に向けた教育において、目標達成度を評価するための指標を設定し、その指標に基づいて評価を行うよう改善する必要がある。(6.問題解決能力の醸成のための教育)10.「特別講義1」(選択)の成績評価がCBTの成績(正答率)を活用して行われている現状は、CBTに不合格の学生は同時に「特別講義1」も不合格になるので、早急に改善する必要がある。(8.成績評価・進級・学士課程修了認定)11.「特別講義2」の成績判定では65%を合格基準と定めているが、再試験ではそれを下回る基準で判定が行われている。このように、必ずしも公平かつ厳格に評価が実施されていないので、改善する必要がある。(8.成績評価・進級・学士課程修了認定)12. 薬学教育プログラムの改善に関する点検項目を決定し、定期的、恒常的に検証して、PDCAサイクルを介して教育研究活動を改善する体系的なシステムを構築する必要がある。(13.自己点検・評価)
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| 第1期 |
2015年度 |
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1:提言 改善報告審議結果 |
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| 東北医科薬科大学 | 私 | 宮城県 | 第1期 | 2015年度 | 適 |
自己点検・評価書 基礎資料 正誤票 |
評価報告書
総評
東北医科薬科大学 総評東北薬科大学は、建学の精神「われら真理の扉をひらかむ」のもと、教育目的「薬学に関する高度の専門知識を修得させ、社会に貢献できる薬剤師の養成を主たる目的とする。」に基づいて、学位授与の方針、教育課程の編成・実施の方針、入学者受入方針を制定し、6年制薬学教育を実践している。カリキュラムは、医療人として心豊かな人間性を育み、薬剤師に必要な知識・技術を修得し、医療現場で活躍できる人材を養成することを目的に編成され、入学早期から、教養教育、コミュニケーション教育を介して医療人を目指して学ぶ自覚を養っている。薬学専門科目は、薬学教育モデル・コアカリキュラムに準拠しており、低学年から演習科目を多く取り入れ、学年進行に従って高度で専門的な知識・技術を修得させている。また、高学年では、PBL(Problem Based Learning 問題解決型学習)授業を取り入れた医療系科目や実務実習、卒業研究を通じて、医療人に必要な知識・技能・態度と倫理観、医療現場で活躍できる総合的な実践能力を修得させている。実務実習に関しては、3年次から4年次にかけて実務実習事前学習に相当する科目を配置し、5年次の実務実習は、全教員が施設訪問を行い、学生の実習実施状況や出席状況を確認するなど、おおむね基準に適合した体制で進められている。問題解決能力の醸成を目的とした科目としては、5年次に「処方解析Ⅰ~Ⅳ」「症例解析Ⅰ~Ⅳ」「処方実務演習Ⅰ~Ⅱ」を、5、6年次に「卒業研究」を設定している。- 2 -入学者の選抜は、一般試験、指定校制および公募制推薦試験により行われている。学生の成績評価・進級・学士課程修了認定は、後述する問題点を除けば、おおむね適正に実施されている。学生の支援も適正に実施されており、薬学教育センター学習支援部による留年生など成績不振者への学習指導のほか、大学独自の奨学金制度、震災被災学生への救済制度など経済的支援も整えている。教員組織としては、十分な教育・研究上の実績を有する85名の専任教員が配置され、教員の研究環境および学生の学習環境も十分に整えられている。社会との連携は、共同研究や、薬剤師の生涯教育などを介して実施されている。自己点検・評価に関しては、対応する委員会が設置され、日本高等教育評価機構の認証評価の結果がホームページで公表されている。以上のように、東北薬科大学の薬学教育プログラムは、全体として本機構の評価基準におおむね適合しているが、以下の重大な問題点について、改善が必要である。1. 6年次演習科目の15科目7.5単位の科目名を、「教授要目」に記載されている授業計画・講義内容と整合性が取れるように修正すべきである。2. 卒業研究の成績評価については、ルーブリック評価など客観的な評価方法を利用し、かつ複数の教員が、成績評価・単位認定に関わるように、改善すべきである。3. 4年次の薬学統合講義科目および「実務模擬実習」の単位の認定について、共用試験の結果を含めた判定は、大学としての公正かつ厳格な成績評価および単位認定という観点から不適切であり、改善する必要がある。4. 6年次後期の演習科目のみが未修得で、卒業留年となった学生に対する演習科目の再履修については、「再履修」の評価としての厳格性を確保するため、講義内容と講義時間、また卒業試験(薬学総合演習試験)の実施方法および判定基準を、6年次正規履修時と同一にする必要がある。また、予備校などの外部講師による講義の受講状況を「卒業試験」受験資格などとしているなど不適切な対応を改善する必要がある。東北薬科大学薬学部には、本評価で指摘された「改善すべき点」、「助言」に適切に対応することで、より優れた薬学教育を展開されることを期待する。
大学への提言
東北医科薬科大学 大学への提言1)助言1. 教育研究上の目的を学生便覧に、分かりやすく掲載することが望まれる。(1.教育研究上の目的)2. 基礎資料4のカリキュラムマップに記された各科目に対応する「ディプロマ・ポリシー」の文言を、学生に理解しやすいように統一的文言で表記することが望まれる。(2.カリキュラム編成)3. ヒューマニズム教育・医療倫理教育に関わるこれら科目の評価は、科目ごとに筆記試験、レポート、SGDでの発表などで行われており、その方法はシラバスに掲載されている。しかし、評価方法の記載内容としては、1年次の「薬学早期体験学習」の「総- 32 -合的に評価する」、4年次の「地域医療Ⅰ」の「主に定期試験によって評価する」などのように、評価対象、評価方法が明確でないものが散見されるので、明確に示すことが望まれる。(3.医療人教育の基本的内容)4. 1〜2 年次に教養教育科目として開講されている「哲学」「論理学」「こころの科学」「文章の表現」「社会の仕組」「現代の社会」「倫理学」「総合文化研究」については、すべて必修科目であり、選択科目が用意されていないのは問題である。他の分野の科目も加えて、社会のニーズや学生のニーズに応じて選択科目として履修できるように設定することが望まれる。(3.医療人教育の基本的内容)5. 薬害や医療事故に関する教育は十分に行われていると考えられるが、大部分が講義(座学)であり、評価方法も定期試験によるものが大半なので、科目によっては工夫が望まれる。(3.医療人教育の基本的内容)6. 「早期体験学習」の成績評価方法について、「教授要目」には、総合的に評価すると記載されているが、「2014 年度薬学早期体験学習プリント」には全日程出席すると 80 点と記載があり、整合性を取ることが望まれる。(3.医療人教育の基本的内容)7. 「英会話」は「聞く」と「書く」が中心で、「話す」要素は少ないので、これに該当する科目を増やすことが望まれる。(3.医療人教育の基本的内容)8. 態度教育の適切な方略をシラバスに明記することが望まれる。(4.薬学専門教育の内容)9. 実務実習におけるトラブル対応の体制を明確にすることが望まれる。(5.実務実習)10. SGDによる学習を採用している科目にあっても、評価が定期試験のみによって行われている科目があるので、SGDの成果などを評価に生かすことが望まれる。(6.問題解決能力の醸成のための教育)11.5年次の「症例解析Ⅰ~Ⅳ」「処方解析Ⅰ~Ⅳ」「処方実務演習Ⅰ~Ⅱ」と「卒業研究」について、両科目の学習効果が確保できるように実施時期、期間を再考することが望まれる。(6.問題解決能力の醸成のための教育)12. 6年次の「基礎学力演習」は、成績下位学生のみの受講ではあるが、週5日間のうち4日間の午前中に設定されており、十分な卒業研究の実施の観点から配慮が望まれる。(6.問題解決能力の醸成のための教育)13. パワーポイントで作成した資料などを卒業論文としている例があるので、学部全体で卒業論文の項目や形式を統一することが望まれる。(6.問題解決能力の醸成のための教育)- 33 -14. 卒業研究を学生便覧に記載し、履修期間および時間帯等、単位の根拠を明示することにより学生に周知することが望まれる。(6.問題解決能力の醸成のための教育)15. 卒業試験に該当する薬学総合演習試験は、正答率や識別指数を用いて出題された問題の妥当性を考慮した上で採点し、学生に周知した合格判定基準に従って適正に合否判定されているのにもかかわらず、「平成 26 年度 6年次後期薬学総合演習試験判定基準及び受験資格について」などの申し合わせ事項が、「合格判定は、原則として判定基準に照らして行うが、問題の難易度等を勘案し、最終的に教授会で決定する」と、卒業判定の厳格性が疑われかねない表現となっているので、実態に応じた表現に修正することが望まれる。 (8.成績評価・進級・学士課程修了認定)16. 科目によっては、複数の視点から評価する場合の点数の配分が示されていないものがあるので、点数配分を明示するよう改善が望ましい。(8.成績評価・進級・学士課程修了認定)17. 5年次「処方解析Ⅰ~Ⅳ」「症例解析Ⅰ~Ⅳ」の評価では、出席基礎点の割合が 100点満点中 75 点と高く、提出物や講義での積極性が評価に十分反映されているとは言い難いので、出席点の比率を検討することが望ましい。(8.成績評価・進級・学士課程修了認定)18. 危機管理マニュアルおよびハラスメント防止に関するリーフレットの学生編を、ホームページに掲載することが望ましい。(9.学生への支援)19. 教員1名あたりの学生数が 20.2 名と多く、教員の増員が望まれる。(10.教員組織・職員組織)20. 教授の 46%が 60 代(定年 65 歳)であり、年齢分布への配慮が望まれる。(10.教員組織・職員組織)21. 人事規定には、客観的な基準がほとんど示されておらず、規定としてあいまいな点が多いので、適正な規定を設定し、明文化することが望まれる。(10.教員組織・職員組織)22. 授業担当時間数が教員間で差が大きく、1 週間で 14.1 時間は過多な負担と言えるので、改善が望まれる。(10.教員組織・職員組織)23. 自己点検・評価委員会に外部委員を加えることが望まれる。(13.自己点検・評価)2)改善すべき点- 34 -1. 教育研究上の目的に関して、教育については学則に規定されているが、研究についての記載がないので、学則に教育研究上の目的として策定・記載することが必要である。(1.教育研究上の目的)2. 実質的に、薬剤師国家試験対策に相当する6年次の演習科目については、15 科目 7.5単位の演習科目名と、「教授要目」に記載されている授業計画・講義内容の項目(薬と生体、健康と環境、薬の効くプロセス、薬物療法、薬の体内動態と製剤化、薬剤師の責任と義務、薬剤師業務、まとめ)が乖離しているので、整合性のある科目名に修正すべきである。(2.カリキュラム編成)3. ヒューマニズム教育・医療倫理教育およびコミュニケーション教育の目標達成度評価をするための指標を定め、適切に評価する必要がある。(3.医療人教育の基本的内容)4. 実務実習事前学習に関して、目標達成度を評価するための指標を設定し、それに基づいて適切に評価する必要がある。(5.実務実習)5. 共用試験の受験者数を「自己点検・評価書」に記載することが必要である。(5.実務実習)6. 卒業研究の成績評価については、卒業研究のGIOと到達目標が明文化されているものの、具体的な評価基準がなく、研究室の教員の主観のみによって行われていると判断され、公平性に懸念される点があるので、ルーブリック評価など客観的な評価方法を利用し、かつ複数の教員が、成績評価・単位認定に関わるように、改善すべきである。(6.問題解決能力の醸成のための教育)7. 問題解決能力の醸成に向けた教育において、目標達成度を評価するための指標を設定し、それに基づいて適切に評価する必要がある。(6.問題解決能力の醸成のための教育)8. 留年者、退学者数が多いことは、薬学教育に必要な学力が不足する学生が入学している可能性が高いことを示唆しているので、選抜方法の見直しなどの改善が必要である。(7.学生の受入)9. 4年次の薬学統合講義科目および「実務模擬実習」の単位の認定について、共用試験の結果を含めて判定していることは、大学としての公正かつ厳格な成績評価および単位認定という観点から不適切であり、早急に改善する必要がある。(8.成績評価・進級・学士課程修了認定)10. 6年次後期の演習科目のみが未修得で留年となった 6年次留年生には、未修得の6年次後期演習科目を再履修させ、その成果を7月に実施する卒業試験で評価、判定する- 35 -としている。したがって、「再履修」の評価としての厳格性を確保するため、6年次留年生に対する演習科目の講義内容と講義時間、また卒業試験(薬学総合演習試験)の実施方法および判定基準を、6年次正規履修時と同一にする必要がある。特に、80 コマの授業が用意されている「基礎学力演習」が、薬剤師国家試験予備校など、学外業者により実施されるものであれば、大学教育として不適切であり、また、この講義への 2/3 以上の出席が「卒業試験の受験資格」となることは問題である。したがって、現状の制度では、再履修の評価としての厳格性が確保できないことが懸念され、講義内容、並びに卒業試験の実施、評価方法の早急な見直しが必要である。(8.成績評価・進級・学士課程修了認定)11. 6年次に実施される学外業者の作成した国家試験対策模擬試験の受験を、実質上の卒業試験である薬学総合演習試験の受験資格としていることは、「学士課程修了の認定が、公正かつ厳格におこなわれていること」とする【基準 8-3-1】にそぐわないので、受験資格の早急な改善が必要である。(8.成績評価・進級・学士課程修了認定)12. 全学的に実施された自己点検・評価の結果を教育研究活動の改善に反映できるよう、委員会運営の改善が必要である。(13.自己点検・評価)
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| 名古屋市立大学 | 公 | 愛知県 | 第1期 | 2015年度 | 適 |
自己点検・評価書 基礎資料 正誤票 |
評価報告書
総評
名古屋市立大学 総評名古屋市立大学薬学部は、6年制の薬学科と4年制の生命薬科学科による二学科制の薬学教育を行っている。薬学科の教育研究上の目的は、薬学部全体の理念のもと、「医薬品と薬物療法に関わる医療科学を総合的に修得し、薬剤師をはじめ、医療に関わる様々な分野で薬の専門家として貢献できる人材の育成」と定められている。ヒューマニズム教育・医療倫理教育は、「コミュニティ・ヘルスケア卒前教育プログラム」を中心に行われている。このプログラムは、この大学の医学部、看護学部および名古屋学院大学と連携した体系的な医療人養成教育(なごやかモデル)の一環として平成25年度入学生から開始された多職種連携型の特色ある教育プログラムであり、さらに発展することが期待されている。教養教育科目は全学を対象として幅広く設定されており、英語に関する教育は入学時から卒業時まで体系的に計画されている。薬学専門教育の実施に向けた準備教育については、入学直後の「プレースメントテスト」で数学・化学・物理・生物の学力を把握し、初年次教育の内容やレベルの調整に活用している。医療安全教育と生涯学習の意欲醸成のための教育については、学習機会が十分に設定されている。薬学専門科目は、薬学教育モデル・コアカリキュラムの到達目標の全てを網羅している。専門科目の学習方略は適切であり、実験実習科目は十分に行われている。実務実習事前学習は適切な指導体制と内容で実施されており、薬学共用試験の実施には問題がない。また、病院と薬局での実務実習は、適切な体制で実施・評価が行われている。卒業研究は4年次から6年次の11月まで行われ、卒業論文に該当する「研究成果報告書」の提出と6年次11月のポスター発表形式の「卒業研究発表会」が行われている。また、卒業研究以外の問題解決型学習も選択科目として行われている。入学試験は、薬学科の「人材養成の目標」に合致したアドミッション・ポリシーに基づいて実施されている。授業科目の成績評価は、おおむね適正に行われており、成績評価にはGPA(Grade PointAverage)制度も導入され、個別学修指導に活用されている。進級判定は2年次への進級- 2 -に限って行われている。学士課程の修了認定には特に問題はない。学生の修学上の指導や相談への対応は、入学時に割り当てられたチューターと4年次からの配属研究室の教員が担当している。チューター制度はよく機能しており、学生への修学支援、安心・安全対策にも問題はない。また、学習環境はよく整備されている。薬学科の専任教員には、専門分野についての知識・経験と技術・技能が十分な教員が配置されており、専任教員数と学生数との比率は適正である。研究環境に大きな問題はなく、教員の教育研究活動は活発で、教員業績評価が定期的に行われている。また、地域と連携・協力した学生教育や生涯教育、海外の協定大学との交流など、外部対応は良好である。自己点検・評価は定期的に行われており、その結果はホームページ上に公開されている。以上のように、名古屋市立大学薬学部薬学科の教育プログラムは、本機構の評価基準におおむね適合していると判断される。しかしながら、以下の諸問題については早急に改善を図ることが必要である。1)「ヒューマニズム教育・医療倫理教育」、「コミュニケーション能力と自己表現能力を身につけるための教育」、「実務実習事前学習」、「問題解決能力の醸成教育に向けた教育」において、それぞれの目標達成度を総合的に評価するための指標を設定し、それに基づいた適切な評価を行うことが必要である。2)卒業研究実習の評価において、「研究成果報告書等の総合評価」を指導教員の裁量に任すことなく、「卒業論文」の評価に基準を設けて複数の教員で行い、卒業論文発表会における発表・質疑応答結果に評価基準を設けることなど、問題解決能力の向上を評価するための適切な指標や基準を設定することが必要である。3)全ての科目のシラバスに「成績判定基準」を定量的な数値で明示するよう、早急に改善することが必要である。4)作成されている「自己点検・評価書」の記載内容は現状の説明に留まっているので、自己点検・評価の意義を全教員が再認識し、その結果を教育研究活動の改善に反映できる体制を構築することが必要である。名古屋市立大学薬学部薬学科は、今回の評価による提言を活かし、さらに発展することを期待する
大学への提言
名古屋市立大学 大学への提言1)長所1. 名古屋市立大学の医学部、看護学部および名古屋学院大学と連携した地域参加型学習(なごやかモデル)の一環である「コミュニティ・ヘルスケア卒前教育プログラム」は、多職種が連携した体系的な医療人養成教育プログラムとして優れている。(3.医療人教育の基本的内容)2. チューター教員と学生の懇談会である「チューター会」を定期的に開催し、その内容を報告書にまとめ、全教員で共有していることは優れた取り組みであり、これによって学生の「大学満足度調査」における『相談をしやすい先生が多い』という点に関する満足度が顕著に向上している。(9.学生の支援)2)助言1. 「薬学部パンフレット」の「理念・目的」は一部の文言がホームページの記載と一致していないので、統一することが望ましい。(1.教育研究上の目的)2. 「教育研究上の目的」を定期的に検証するための責任ある組織体制の整備が望ましい。(1.教育研究上の目的)3. ディプロマ・ポリシーが求める学習成果と履修科目との関連を学生が理解できるように、カリキュラム・マップを履修要項に収載することが望ましい。(2.カリキュラム編成)4. ヒューマニズム教育・医療倫理教育とコミュニケーションの基本的能力を身につけるための基礎的な教育の充実を図ることが望ましい。(3.医療人教育の基本的内容)5. 教養科目の履修機会が1年次に集中しており、教養科目の履修機会が十分とは言えないので、少なくとも2年次までは自由に履修できるような時間割上の配慮が望ましい。(3.医療人教育の基本的内容)6. 「医薬看連携地域参加型学習」と「コミュニティ・ヘルスケア論・実習」は、医療人養成教育として優れたプログラムであるので、必修科目にすることが望ましい。(3.医療人教育の基本的内容)7. 薬剤師生涯学習に参加する学生は少数であるので、積極的な参加者を増す努力が望まれる。(3.医療人教育の基本的内容)8. シラバスに記載されている「授業計画」には、授業内容と薬学教育モデル・コアカリキュラムの到達目標との関係が明記されておらず、「学習到達目標」も薬学教育モデ- 28 -ル・コアカリキュラムの到達目標と対応してはいない。シラバスの「授業計画」に授業内容と薬学教育モデル・コアカリキュラムの到達目標との関係を明記するよう改善することが望ましい。(4.薬学専門教育の内容)9. 4年次の「薬学演習Ⅰ」と6年次の「薬学演習Ⅱ」は、それぞれCBT対策、国家試験対策であり、大学独自の薬学専門教育ではないので、ホームページなどの一覧表から除外することが望ましい。(4.薬学専門教育の内容)10. 実務実習事前学習の終了から実務実習の開始までの期間が最短でも5ヵ月離れている。実務実習直前に事前学習の到達度を再確認することが望ましい。(5.実務実習)11. 「卒業研究実習」以外は全てが選択科目となっている問題解決型学習対応科目について、改善計画として示されている『一部の選択科目を必修科目へ移行させ、必修科目の割合を大きくする』ことを実践して「医薬看連携地域参加型学習」、「基礎薬学演習」を必修化するなど、問題解決型学習の充実が望ましい。(6.問題解決能力の醸成のための教育)12. 推薦入試Aにおいては小論文と面接試験を行い、人物・意欲を重視して選抜しているが、他の入試制度においても、面接などにより医療人としての適性を評価する工夫が望ましい。(7.学生の受入)13. 学位授与の方針が学生と教職員に徹底できるよう、「履修要項」に収載し、履修ガイダンスやFDで繰り返し説明することが望ましい。(8.成績評価・進級・学士課程修了認定)14. 科目の成績評価に「出席点」を含めている科目が多数みられ、評価に占める割合は一律ではない。成績評価に出席点を加味することはできるだけ無くし、加味する場合は、その理由と評価基準を明示することが望ましい。(8.成績評価・進級・学士課程修了認定)15. 2年生と3年生について、定期健康診断の受診率を改善することが望ましい。(9.学生の支援)16. 新設された2分野( 医薬品安全性評価学分野と薬物送達学分野)は、専任教員がそれぞれ1名と2名であるので、補充することが望ましい。(10.教員組織・職員組織)17. 直近6年間の研究業績には教員間のばらつきがみられるので、研究業績が著しく少ない一部の教員に対しては改善に向けた指導を行うことが望ましい。(10.教員組織・職員組織)18. 研究機器・設備について、特に大型の共通機器の老朽化が進んでいるので、それらの- 29 -更新が望ましい。(10.教員組織・職員組織)19. 教務・FD委員会主催の研究授業への参加者は現在30%程度であるので、参加率向上に向けた対策をとることが望ましい。(10.教員組織・職員組織)20. 薬学部の「自己評価・第三者評価等検討委員会」には、外部委員を加えることが望ましい。(13.自己点検・評価)3)改善すべき点1. 「ヒューマニズム教育・医療倫理教育」と「コミュニケーション能力と自己表現能力を身につけるための教育」において、それぞれの目標達成度を総合的に評価するための指標を設定し、それらに基づいた適切な評価を行うことが必要である。(3.医療人教育の基本的内容)2. 実務実習事前学習の目標達成度評価のための適切な指標を設定し、それに基づいて評価する必要がある。(5.実務実習)3. 「研究成果報告書」等の総合評価が指導教員の裁量に任されており、「卒業研究実習」による問題解決能力の向上が適切に評価されていると結論づけることができない。「研究成果報告書」の評価に基準を設けて複数の教員で行い、卒業論文発表会における発表・質疑応答結果に評価基準を設けることなど、「卒業研究実習」による問題解決能力の向上を評価するための適切な指標や基準を設定することが必要である。(6.問題解決能力の醸成のための教育)4. 問題解決能力の醸成に向けた教育科目において、目標達成度を評価するための指標を設定し、それに基づいて適切に評価を行うことが必要である。(6.問題解決能力の醸成のための教育)5. シラバスに「成績判定基準」が定量的な数値で示されていない科目が少なからず存在する。評価の厳正さを高めるため、全ての科目について、「成績判定基準」を定量的な数値で明示するよう、早急に改善する必要がある。(8.成績評価・進級・学士課程修了認定)6. 作成されている「自己点検・評価書」の記載内容は現状の説明に留まっているので、自己点検・評価の意義を全教員が再認識し、その結果を教育研究活動の改善に反映できる体制作りが必要である。(13.自己点検・評価)
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1:提言 改善報告審議結果 |
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| 兵庫医科大学 | 私 | 兵庫県 | 第1期 | 2015年度 | 適 |
自己点検・評価書 基礎資料 正誤票 |
評価報告書
総評
兵庫医科大学 総評兵庫医療大学薬学部は、大学の教育理念を踏まえた学部の教育理念と教育目的、教育目標を掲げ、ディプロマ、カリキュラム、アドミッションの3つのポリシー(学位授与方針、教育課程の編成・実施方針、入学者受入方針)を定めて、社会的ニーズを反映した6年制薬学教育を行っている。看護学部/リハビリテーション学部と連携して行う3学部合同プログラムや、兵庫医科大学医学部と共に行う4学部合同プログラムは、チーム医療の実践を体感・学習できる教育プログラムであり、1年次から体系的に実施されていることは兵庫医療大学の特色である。さらに、英語教育は1年次から4年次まで体系的なプログラムを構築・実施し、医療英語を学習する興味深い取組みも行っている。「実務実習事前学習」と薬学共用試験により実務実習の能力を担保された学生は、指導薬剤師の指導のもと病院/薬局実習を行っている。5年次の「研究実習」と6年次の「研究研修」/「チーム医療研修」の組合せによって卒業研究が行われており、一部にルーブリック評価表をもちいて卒業論文や卒業研究発表会の評価を行っている。問題解決能力の醸成に向けた教育に関しては、医療に関する問題の解決に他学部学生と協働して取組む能力の涵養に努めている。さらに、担任制度、アドバイザー制度、長期密着型ゼミナール、教育支援室など多面的な修学支援制度を設けているほか、入学後の成績不良学生に対しても手厚く学習支援を行っており、自習室やグループ学習室、カンファレンス室などの学習ハード面の充実とあわせて、学生にとっては学習しやすい環境が整備されている。しかし、本機構の評価基準に照らすと、以下の改善すべき重要な問題点が指摘される。1.ヒューマニズム教育・医療倫理教育、コミュニケーション能力および自己表現能力を- 2 -身に付けるための教育の成果について、総合的な目標到達度を評価するための指標を設定し、評価が行われていないことは問題である。2.「研究活動に参加する際に基盤となる薬学に関する体系的・包括的な学識を、演習を通じて確固たるものとする」(シラバス)として卒業研究に対応する6年次の「研究研修」/「チーム医療研修」(必修)の5月以降の時間を演習に割り当て、その内容を国家試験対策としている。すなわち、6年次のカリキュラム編成が薬剤師国家試験の受験準備教育に著しく偏重したものとなっている。また、この演習授業の過半数に薬剤師国家試験予備校の講師を充てていることは、この演習が必修科目である「研究研修」/「チーム医療研修」に含まれているものであることから極めて重大な問題点である。3.「実務実習事前学習」の成績評価では知識領域の評価が50%であり、実習自体の評価が25%であることは問題である。さらに実習における技能・態度領域の目標達成度を評価するための指標を設定し、評価が行われていないことも改善すべき問題点である。4.卒業研究科目である「研究研修」/「チーム医療研修」の成績評価を研究とは直接関連しない「演習総合試験」の合格を必要条件としていることは不適切である。その上、この試験の多くに薬剤師国家試験予備校の模擬試験を流用し、合格基準をシラバスなどに明示せずに不合格としていることは、基準に従って学士課程の修了判定が公正かつ厳格に行われているとは言えず、重大な問題点である。5.「演習総合試験」が不合格で卒業できず、「研究研修」/「チーム医療研修」が継続履修となった卒業延期者の継続履修を薬剤師国家試験予備校の講習会への参加で代替にしている点、さらに、薬剤師国家試験予備校の講習会への出席状況を秋季修了判定に加味している点は、卒業延期者の教育を大学が放棄していることになる重大な問題である。6.6年制薬学教育プログラムを自ら点検・評価し、その結果を教育研究活動に反映する体制を整備し、機能させる必要がある。以上の重要な問題点については早急に改善する必要がある。それら以外の問題点についても今回の評価結果に基づいて改善に向けた取組みを進め、6年制薬学教育の向上に努めることが望まれる。
大学への提言
兵庫医科大学 大学への提言1)長所1.チーム医療学習として、3学部合同プログラムや、兵庫医科大学医学部と共に行う4学部合同プログラムを実施していることは、評価できる。(3.医療人教育の基本的内容)2.担任制度、アドバイザー制度、長期密着型ゼミナール、教育支援室など多面的な修学 支援制度を設けていることは、評価できる。(9.学生の支援)3.自習室として使用できる施設が整備されており、また、図書室・資料閲覧室には十分な閲覧座席数が確保されているほかグループ学習室が備えられている。自習室の利用時間が試験に配慮しており、さらに、年末年始を除き毎日開館していることは、評価できる。(11.学習環境)2)助言1.学則第1条の2に記述された(学部の目的)と教務便覧やホームページに記述された 教育目的は一部異なる表現で記述されているので、統一することが望ましい。(1.教育研究上の目的)2.教育研究上の目的について、定期的に検証することが望ましい。(1.教育研究上の目的)3.平成26年度のシラバスの電子化に伴い、在学生はホームページ上でしかカリキュラム・ポリシーを見ることができなくなったので、配布物等を通して周知されることが望まれる。(2.カリキュラム編成)4.卒業要件に含まれる人文社会系科目の選択科目数が少ないので、開講科目を増やすと同時に複数学年にわたって受講できるような工夫が望まれる。(3.医療人教育の基本的内容)5.英語教育のプログラムは評価できるが、「科学英語」の履修者は9名、「応用英語」の- 32 -履修者は1名と極めて少ないので、履修者を増やす努力が望まれる。(3.医療人教育の基本的内容)6.薬害、医療過誤、医療事故等の被害者やその家族、弁護士、医療における安全管理者等を講師とする科目がないので、学生が肌で感じる機会を提供することが望まれる。 (3.医療人教育の基本的内容)7.薬剤師が活躍する現場は医療機関だけではないことから、早期体験学習において、病院や薬局以外の企業や保健所などの広範な現場が見られるような取組みが行われることが望まれる。(3.医療人教育の基本的内容)8.医療の進歩に対応するために生涯学習が必要であることを、教員だけでなく、医療現場で活躍する薬剤師などからも聞く機会を直接的に設け、生涯学習に対する意欲を醸成するための教育を体系的に行うことが望まれる。(3.医療人教育の基本的内容)9.シラバスに記載されている到達目標からは、薬学教育モデル・コアカリキュラムの到達目標との対応の確認が難しいものが多いので、学生にとって分かりやすいものとすることが望まれる。(4.薬学専門教育の内容)10.「日本薬局方収載の代表的な医薬品の容量分析を実施できる(技能)」が「分析化学Ⅰ」という講義で行われていたり、「高齢化と少子化によりもたらされる問題点を列挙し、討議する(知識・態度)」が「公衆衛生学」という講義で行われていたりと、SBOsに適した学習方法が用いられていないものが幾つか見られるので、学習方法を見直すことが望まれる。(4.薬学専門教育の内容)11.実務実習全般の総合的な学習成果を適切な指標に基づいて評価することが望ましい。(5.実務実習)12.シラバスや「実務実習のしおり」に実務実習の成績評価方法を具体的に記述することが望ましい。(5.実務実習)13.実務実習の成績評価表では出席・実習態度が50%を占めているので、実習を通した学習成果に関する評価の重みを増やすことが望まれる。(5.実務実習)14.面接試験など、医療人としての適性を直接的に評価するための工夫がなされることが望ましい。(7.学生の受入)15.年度初めに開催するガイダンス・オリエンテーション等で卒業要件を学生に周知することが望まれる。(8.成績評価・進級・学士課程修了認定)16.仮進級が実施される基準がわかりにくいので、「兵庫医療大学教務に関する規程」に明記し、学生にとってわかりやすくすることが望まれる。(8.成績評価・進級・学士課- 33 -程修了認定)17.各科目の評価は1回の定期試験の結果で行われ、再試験の実施の可否は教員の裁量によって決められることが、シラバスの成績評価方法の欄に記述されている。教員によって対応が異なることは、評価の公平性に係る問題であり、改善が望まれる。(8.成績評価・進級・学士課程修了認定)18.教育研究上の目的に基づいた教育に対する総合的な学習成果について、指標を定めて評価することが望ましい。(8.成績評価・進級・学士課程修了認定)19.学生生活実態調査アンケートの回収率が50%程度を超えるように、何らかの方策を実施することが望ましい。(9.学生の支援)20.ハラスメントに関する広報は新入生ガイダンスだけでなく、各学年のガイダンスにおいて繰り返し学生に広報することが望ましい。(9.学生の支援)21.学生生活実態調査アンケート結果の分析を学生生活の質向上に結びつける体制を整備することが望まれる。(9.学生の支援)22.専任教員1名当たりの学生数は21.4名であり、教育上あるいは安全上からも教員の増員が望まれる。(10.教員組織・職員組織)23.専任教員の担当科目時間数に関して週あたり1.1時間から11時間の幅があることから、この格差を無くすことが望まれる。(10.教員組織・職員組織)24.留学生の受入・学生の海外研修・教員の海外留学等を行う体制および規程の整備が望まれる。(12.社会との連携)25.自己点検・評価委員会に外部委員を入れることが望ましい。(13.自己点検・評価)3)改善すべき点1.教育研究上の目的に、「研究を通して~」などの文言を入れて表記し、学則等に明示する必要がある。(1.教育研究上の目的)2.卒業研究である「研究研修」/「チーム医療研修」のシラバスには、「研究活動に参加する際に基盤となる薬学に関する体系的・包括的な学識を、演習を通じて確固たるものとする。」と明記されているが、5月~12月まで開講している演習は、事実上国家試験対策である。これは、6年次の卒業研究に充てるべき時間を国家試験準備教育に充てていることで、6年次のカリキュラム編成が国家試験準備教育に過度に偏重していると言わざる得ないので、早急に改善すべきである。(2.カリキュラム編成)3.卒業研究の期間が5年次、6年次をあわせても1年に満たないことは、問題解決能力- 34 -醸成のための時間が足りないことを意味しており、卒論研究の時間を充分にとることが必要である。(2.カリキュラム編成)4.国家試験予備校講師が「卒業要件単位の対象となる(必修)科目」の演習授業の多くを担当していることは、重大な問題であり、自大学の教員が担当するように、早急に改善すべきである。(2.カリキュラム編成)5.ヒューマニズム教育・医療倫理教育およびコミュニケーション能力を身につけるための教育の総合的な目標達成度を評価するための指標を設定し、これに基づいて評価を行うことが必要である。(3.医療人教育の基本的内容)6.シラバスに記述された到達目標からは、薬学教育モデル・コアカリキュラムに記述された到達目標と対応していることが確認できない科目がある。これらを是正し、6年制薬学教育に必要な多くの到達目標を必修科目として教育する必要がある。(4.薬学専門教育の内容)7.大学独自と位置付けられている薬学教育モデル・コアカリキュラム以外の科目の開講が少ないので、独自の専門教育内容を増やすことが必要である。(4.薬学専門教育の内容)8.「実務実習事前学習」の成績評価方法において、実習評価が25%で、50%が単位認定 試験・中間試験・科目別学力試験・総合学力試験等の知識領域のみの評価としている ことは問題であり、適切な評価割合に改善する必要がある。(5.実務実習)9.「実務実習事前学習」の技能・態度領域の目標到達度を評価するための指標を設定し、それに基づいて評価を行うことが必要である。(5.実務実習)10.「研究実習」の成績評価は研究指導教員のみで行われており、評価に関して十分な客観性があるとはいえないので、改善が必要である。(6.問題解決能力の醸成のための教育)11.問題解決能力の醸成に向けた教育において総合的な目標達成度を評価するための指標を設定し、それに基づいた評価を実施する必要がある。(6.問題解決能力の醸成のための教育)12.入学後の成績不良者に対する対策を手厚く行っているにも関わらず、低学年次留年率・退学率が高く、さらに、6年間の在籍で卒業できる割合が約55%である。この状況は、入学者選抜において、入学志願者の能力が的確に評価されていないことを示しているので、改善すべきである。(7.学生の受入)13.各科目のシラバスに記載されている「成績の評価方法」において複数の評価方法を用- 35 -いる場合(筆記試験、レポート、出席点、など)、最終結果に対する寄与率を示す必要がある。公平な評価のために、評価方法ごとに成績評価の具体的方法とその比率をシラバス等に明示する必要がある。(8.成績評価・進級・学士課程修了認定)14.卒業研究科目である「研究研修」/「チーム医療研修」(必修)の単位を、研究とは直接的な関連があるとは思えない国家試験準備科目である「演習総合試験」の成績で評価している点は重大な問題であり、早急に改善すべきである。(8.成績評価・進級・学士課程修了認定)15.6年次の卒業判定となる試験として「演習総合試験」が複数回実施されているが、それに薬剤師国家試験予備校が主催する模擬試験を流用していることは、学士課程の修了が基準に従って公正かつ厳格に行われているとは言えないので、早急に改善すべきである。(8.成績評価・進級・学士課程修了認定)16.「演習総合試験」の合格基準をシラバスなどで明示せずに試験を実施し、不合格者を留年・卒業延期としていることは大きな問題であり、早急に改善すべきである。(8.成績評価・進級・学士課程修了認定)17.教務に関する規程では、留年者に関しては不合格の必修科目は再履修することになっているのにもかかわらず、6年次留年生は大学ではなく、薬剤師国家試験予備校の講習会への参加で代替えにしている点、さらに、薬剤師国家試験予備校の講習会への出席状況を秋季修了判定に加味している点は大きな問題であり、早急に改善すべきである。(8.成績評価・進級・学士課程修了認定)18.大学ホームページの「情報の公表」の「研究業績DB」において、最近5年間におけ る教育研究上の業績が更新あるいは開示されていない教員が複数名確認される。この件について大学は自己点検していないので、改善する必要がある。(10.教員組織・職員組織)19.薬学部として6年制薬学教育プログラムの自己点検・評価を組織的かつ定期的に実施し、その結果を教育研究活動に反映する体制を整備し、機能させる必要がある。(13.自己点検・評価) 1)長所1.チーム医療学習として、3学部合同プログラムや、兵庫医科大学医学部と共に行う4学部合同プログラムを実施していることは、評価できる。(3.医療人教育の基本的内容)2.担任制度、アドバイザー制度、長期密着型ゼミナール、教育支援室など多面的な修学 支援制度を設けていることは、評価できる。(9.学生の支援)3.自習室として使用できる施設が整備されており、また、図書室・資料閲覧室には十分な閲覧座席数が確保されているほかグループ学習室が備えられている。自習室の利用時間が試験に配慮しており、さらに、年末年始を除き毎日開館していることは、評価できる。(11.学習環境)2)助言1.学則第1条の2に記述された(学部の目的)と教務便覧やホームページに記述された 教育目的は一部異なる表現で記述されているので、統一することが望ましい。(1.教育研究上の目的)2.教育研究上の目的について、定期的に検証することが望ましい。(1.教育研究上の目的)3.平成26年度のシラバスの電子化に伴い、在学生はホームページ上でしかカリキュラム・ポリシーを見ることができなくなったので、配布物等を通して周知されることが望まれる。(2.カリキュラム編成)4.卒業要件に含まれる人文社会系科目の選択科目数が少ないので、開講科目を増やすと同時に複数学年にわたって受講できるような工夫が望まれる。(3.医療人教育の基本的内容)5.英語教育のプログラムは評価できるが、「科学英語」の履修者は9名、「応用英語」の- 32 -履修者は1名と極めて少ないので、履修者を増やす努力が望まれる。(3.医療人教育の基本的内容)6.薬害、医療過誤、医療事故等の被害者やその家族、弁護士、医療における安全管理者等を講師とする科目がないので、学生が肌で感じる機会を提供することが望まれる。 (3.医療人教育の基本的内容)7.薬剤師が活躍する現場は医療機関だけではないことから、早期体験学習において、病院や薬局以外の企業や保健所などの広範な現場が見られるような取組みが行われることが望まれる。(3.医療人教育の基本的内容)8.医療の進歩に対応するために生涯学習が必要であることを、教員だけでなく、医療現場で活躍する薬剤師などからも聞く機会を直接的に設け、生涯学習に対する意欲を醸成するための教育を体系的に行うことが望まれる。(3.医療人教育の基本的内容)9.シラバスに記載されている到達目標からは、薬学教育モデル・コアカリキュラムの到達目標との対応の確認が難しいものが多いので、学生にとって分かりやすいものとすることが望まれる。(4.薬学専門教育の内容)10.「日本薬局方収載の代表的な医薬品の容量分析を実施できる(技能)」が「分析化学Ⅰ」という講義で行われていたり、「高齢化と少子化によりもたらされる問題点を列挙し、討議する(知識・態度)」が「公衆衛生学」という講義で行われていたりと、SBOsに適した学習方法が用いられていないものが幾つか見られるので、学習方法を見直すことが望まれる。(4.薬学専門教育の内容)11.実務実習全般の総合的な学習成果を適切な指標に基づいて評価することが望ましい。(5.実務実習)12.シラバスや「実務実習のしおり」に実務実習の成績評価方法を具体的に記述することが望ましい。(5.実務実習)13.実務実習の成績評価表では出席・実習態度が50%を占めているので、実習を通した学習成果に関する評価の重みを増やすことが望まれる。(5.実務実習)14.面接試験など、医療人としての適性を直接的に評価するための工夫がなされることが望ましい。(7.学生の受入)15.年度初めに開催するガイダンス・オリエンテーション等で卒業要件を学生に周知することが望まれる。(8.成績評価・進級・学士課程修了認定)16.仮進級が実施される基準がわかりにくいので、「兵庫医療大学教務に関する規程」に明記し、学生にとってわかりやすくすることが望まれる。(8.成績評価・進級・学士課- 33 -程修了認定)17.各科目の評価は1回の定期試験の結果で行われ、再試験の実施の可否は教員の裁量によって決められることが、シラバスの成績評価方法の欄に記述されている。教員によって対応が異なることは、評価の公平性に係る問題であり、改善が望まれる。(8.成績評価・進級・学士課程修了認定)18.教育研究上の目的に基づいた教育に対する総合的な学習成果について、指標を定めて評価することが望ましい。(8.成績評価・進級・学士課程修了認定)19.学生生活実態調査アンケートの回収率が50%程度を超えるように、何らかの方策を実施することが望ましい。(9.学生の支援)20.ハラスメントに関する広報は新入生ガイダンスだけでなく、各学年のガイダンスにおいて繰り返し学生に広報することが望ましい。(9.学生の支援)21.学生生活実態調査アンケート結果の分析を学生生活の質向上に結びつける体制を整備することが望まれる。(9.学生の支援)22.専任教員1名当たりの学生数は21.4名であり、教育上あるいは安全上からも教員の増員が望まれる。(10.教員組織・職員組織)23.専任教員の担当科目時間数に関して週あたり1.1時間から11時間の幅があることから、この格差を無くすことが望まれる。(10.教員組織・職員組織)24.留学生の受入・学生の海外研修・教員の海外留学等を行う体制および規程の整備が望まれる。(12.社会との連携)25.自己点検・評価委員会に外部委員を入れることが望ましい。(13.自己点検・評価)3)改善すべき点1.教育研究上の目的に、「研究を通して~」などの文言を入れて表記し、学則等に明示する必要がある。(1.教育研究上の目的)2.卒業研究である「研究研修」/「チーム医療研修」のシラバスには、「研究活動に参加する際に基盤となる薬学に関する体系的・包括的な学識を、演習を通じて確固たるものとする。」と明記されているが、5月~12月まで開講している演習は、事実上国家試験対策である。これは、6年次の卒業研究に充てるべき時間を国家試験準備教育に充てていることで、6年次のカリキュラム編成が国家試験準備教育に過度に偏重していると言わざる得ないので、早急に改善すべきである。(2.カリキュラム編成)3.卒業研究の期間が5年次、6年次をあわせても1年に満たないことは、問題解決能力- 34 -醸成のための時間が足りないことを意味しており、卒論研究の時間を充分にとることが必要である。(2.カリキュラム編成)4.国家試験予備校講師が「卒業要件単位の対象となる(必修)科目」の演習授業の多くを担当していることは、重大な問題であり、自大学の教員が担当するように、早急に改善すべきである。(2.カリキュラム編成)5.ヒューマニズム教育・医療倫理教育およびコミュニケーション能力を身につけるための教育の総合的な目標達成度を評価するための指標を設定し、これに基づいて評価を行うことが必要である。(3.医療人教育の基本的内容)6.シラバスに記述された到達目標からは、薬学教育モデル・コアカリキュラムに記述された到達目標と対応していることが確認できない科目がある。これらを是正し、6年制薬学教育に必要な多くの到達目標を必修科目として教育する必要がある。(4.薬学専門教育の内容)7.大学独自と位置付けられている薬学教育モデル・コアカリキュラム以外の科目の開講が少ないので、独自の専門教育内容を増やすことが必要である。(4.薬学専門教育の内容)8.「実務実習事前学習」の成績評価方法において、実習評価が25%で、50%が単位認定 試験・中間試験・科目別学力試験・総合学力試験等の知識領域のみの評価としている ことは問題であり、適切な評価割合に改善する必要がある。(5.実務実習)9.「実務実習事前学習」の技能・態度領域の目標到達度を評価するための指標を設定し、それに基づいて評価を行うことが必要である。(5.実務実習)10.「研究実習」の成績評価は研究指導教員のみで行われており、評価に関して十分な客観性があるとはいえないので、改善が必要である。(6.問題解決能力の醸成のための教育)11.問題解決能力の醸成に向けた教育において総合的な目標達成度を評価するための指標を設定し、それに基づいた評価を実施する必要がある。(6.問題解決能力の醸成のための教育)12.入学後の成績不良者に対する対策を手厚く行っているにも関わらず、低学年次留年率・退学率が高く、さらに、6年間の在籍で卒業できる割合が約55%である。この状況は、入学者選抜において、入学志願者の能力が的確に評価されていないことを示しているので、改善すべきである。(7.学生の受入)13.各科目のシラバスに記載されている「成績の評価方法」において複数の評価方法を用- 35 -いる場合(筆記試験、レポート、出席点、など)、最終結果に対する寄与率を示す必要がある。公平な評価のために、評価方法ごとに成績評価の具体的方法とその比率をシラバス等に明示する必要がある。(8.成績評価・進級・学士課程修了認定)14.卒業研究科目である「研究研修」/「チーム医療研修」(必修)の単位を、研究とは直接的な関連があるとは思えない国家試験準備科目である「演習総合試験」の成績で評価している点は重大な問題であり、早急に改善すべきである。(8.成績評価・進級・学士課程修了認定)15.6年次の卒業判定となる試験として「演習総合試験」が複数回実施されているが、それに薬剤師国家試験予備校が主催する模擬試験を流用していることは、学士課程の修了が基準に従って公正かつ厳格に行われているとは言えないので、早急に改善すべきである。(8.成績評価・進級・学士課程修了認定)16.「演習総合試験」の合格基準をシラバスなどで明示せずに試験を実施し、不合格者を留年・卒業延期としていることは大きな問題であり、早急に改善すべきである。(8.成績評価・進級・学士課程修了認定)17.教務に関する規程では、留年者に関しては不合格の必修科目は再履修することになっているのにもかかわらず、6年次留年生は大学ではなく、薬剤師国家試験予備校の講習会への参加で代替えにしている点、さらに、薬剤師国家試験予備校の講習会への出席状況を秋季修了判定に加味している点は大きな問題であり、早急に改善すべきである。(8.成績評価・進級・学士課程修了認定)18.大学ホームページの「情報の公表」の「研究業績DB」において、最近5年間におけ る教育研究上の業績が更新あるいは開示されていない教員が複数名確認される。この件について大学は自己点検していないので、改善する必要がある。(10.教員組織・職員組織)19.薬学部として6年制薬学教育プログラムの自己点検・評価を組織的かつ定期的に実施し、その結果を教育研究活動に反映する体制を整備し、機能させる必要がある。(13.自己点検・評価)
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| 第1期 |
2015年度 |
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1:提言 改善報告審議結果 |
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| 北陸大学 | 私 | 石川県 | 第1期 | 2015年度 | 継 |
自己点検・評価書 基礎資料 正誤票 |
評価報告書
総評
北陸大学 総評北陸大学薬学部薬学科は「医療人としての倫理観、使命感、責任感及び高度な薬学の知 識・技能を身に付け、臨床の現場で実践的な能力を発揮できる薬剤師を養成する。」を人 材養成の目的として掲げ、教育課程の編成・実施方針(カリキュラム・ポリシー)、入学 者受入方針(アドミッション・ポリシー)を制定し、6年制薬学教育を行っている。 教育課程は、教育課程の編成・実施方針に沿って低学年から高学年まで教養教育も含め 段階的に編成されている。特に低学年では能力別クラス編成の実施、補充教育の実施など、 入学者の基礎学力不足への対応にも努めている。また、専門教育においては、アドバンス ト教育として「高度医療薬剤師演習」、「東洋医薬学演習」、及び「健康医療薬学演習」 が選択コースとして設定され、「和漢薬学」、「鍼灸学」、「漢方(中医)処方学」など も選択科目として開講されている。実務実習事前学習は適切な指導者のもとで実施され、 薬学共用試験本試験終了後の1月下旬に総合復習学習も行っている。実務実習の配属は北 陸地区調整機構を介して行われ、病院実習は金沢医科大学病院を中心に、薬局実習は金沢 市ならびに高岡市周辺を中心に北陸三県の保険薬局で行われている。また、通学が困難な 地域で実習を受ける学生のための宿泊施設として、大学の山中町セミナーハウスが利用さ れている。 入学試験は多様な方式で行われている。入学者数は、平成20年から24年までは平均充足 率が54.3%と極めて低い状態が続き、指定校推薦選抜の見直しと学費減免制度の導入によ り回復傾向を見せているが、現時点でも入学者が入学定員を下回っている。 学習環境は、古い建物でのバリアフリー化に遅れが認められるが全般的には良好であり、 学生支援体制も整っている。社会との連携については、地域の薬剤師の資質向上と保健衛 生の保持・向上に努めている。 しかし、本機構の評価基準に照らして教育プログラムの内容を評価すると、多くの問題 が見出される。改善を必要とする重大な問題点は下記のとおりである。1)カリキュラムが薬学共用試験ならびに薬剤師国家試験の合格対策に偏っていることが 懸念される。すなわち、国家試験受験対策を目的とする学習に、5年次の実務実習の行わ れていない時期と6年次における多くの時間が充てられていることで、卒業研究の実施期 間が圧迫されており、成績の評価方法にも問題があるため、問題解決型学習が体系的、効 果的に実施されていない。さらに、4年次後期の大半を薬学共用試験のCBT(Computer Based Testing)対策に充てていることが2、3年次の過密カリキュラムの原因となり、当 該学年で留年者が増す一因になっている。 2)「実務事前学習」の成績評価において、薬学共用試験センターによる共用試験(CB T、OSCE(Objective Structured Clinical Examination))の成績が一定の基準を下 回った場合に、この科目を不可とすることは適切ではない。 3)留年率と退学率が恒常的に高く、入学定員ならびに基礎学力の確認を含めた入学シス テムが適切に機能しているとは言えない。 4)「総合薬学演習」の単位認定試験の合否が実質的な卒業判定基準となっている。また、 平成26年度は一部学生に対して国家試験終了後の3月末での卒業認定が実施されている。 さらに、最終学年で留年となった学生には、前年度未修得となった必修科目である「総合 薬学演習」の再履修が義務づけられているはずであるが、当該学生は留年した年次の8月 に実施する再試験を受験して単位を取得し、その後10月から休学して国家試験予備校に通 い、2月に復学して卒業認定を受けている。これらのことは国家試験合格率の向上を目指 したものであると言わざるを得ない。 上記の諸問題点に加えて、シラバスの記載に不備が認められる科目が多数存在する。ま た、薬学専門教育が講義に偏り到達目標の学習領域に合致した学習方略が設定されていな い科目が多数存在するほか、シラバスに記載されている評価方法と実際の評価との不整合 が多く認められる。さらに、入学者の選抜について教育に責任を持つ薬学部教授会での審 議がなされていない、などの多くの問題点が認められる。 今回の評価における大学への提言の「改善すべき点」として指摘した諸問題を教職員で 共有し、改善に取り組み、北陸大学として特色のある6年制薬学教育を構築し実施するこ とを期待して止まない。
大学への提言
北陸大学 大学への提言1)助言 1.薬学部の人材養成の目的ならびに教育方針・目標に関する定期的な検証がなされてい ないため、学部としての検証体制の確立と定期的な実施が望まれる。(1.教育研究 上の目的) 2.医療系科目の多くが2年次及び3年次に集中して開講されているために学生への過 度な負担が生じ、当該学年での留年生が多い一因にもなっていると考えられ、カリキ ュラムの点検評価と適切な変更が望まれる。(2.カリキュラム編成) 3.教養教育と薬学教育との関連性が学生に分かるカリキュラムマップの作成が望まれる。 (3.医療人教育の基本的内容) 4.医療人教育に関わる科目が講義中心であり、能動的参加型学習等が少ないので、能動 的参加型学習の充実が期待される。(3.医療人教育の基本的内容) 5.「リベラルアーツⅠ(医療人)」は、医療人とは何かといった重要な内容を含むにも かかわらず選択科目として設定されているため、必修科目とすることが望ましい。(3. 医療人教育の基本的内容) 6.以下の科目における態度教育の成績評価の方法について修正が望まれる。(3.医療 人教育の基本的内容) ① 「人間学I(生と死)」は、13項目ある評価項目のすべてを理解することを目標 にはしておらず、評価の指標が不明瞭である。 ② 「人間学II(心理)」は、出席と定期試験により評価されており、コミュニケー ション等の技術・態度の修得を目標とした適切な評価方法が導入されていない。 7.シラバスなどに以下の不備があるので、修正が望まれる。(4.薬学専門教育の内容)① 「薬学入門Ⅰ」、「薬学入門Ⅱ」は、シラバスから判断すると薬剤師の知識に関 する教育が主な内容と思われ、ヒューマニズム教育・医療倫理教育の内容がどの 程度教授されているのか不明である。 ② フレッシュマンセミナーのスケジュールからは、少人数制のプログラムであるこ とやコミュニケーションの機会を設けていることが確認できない。 ③ 「病態解析系実習」のシラバスからはSGDであることが確認できない。 ④ 「医療英語」のシラバスの授業計画からはプレゼンテーション力を養う教育が行 われていると判断できない。 ⑤ 「科学英語の基礎Ⅰ・Ⅱ」のシラバスから、4要素のバランスを配慮した時間割 編成となっていることが確認できない。 ⑥ 「日本近現代史」のシラバスがない。 ⑦ 「臨床体験学習」、「人体解剖学習」のシラバスと学年別授業科目への記載がない。 ⑧ 「薬学基礎ゼミⅠ」がシラバスならびに履修基準表に記載されていない。 ⑨ 「基礎演習」のシラバスにおける評価方法が適切でない。 8.専門教育における現職の薬剤師などとの交流体制の整備と、現職の薬剤師などによる 講義の実施が望まれる。(4.薬学専門教育の内容) 9.生化学系実習と衛生環境系実習のシラバスでは、知識のみを評価方法としているが、 実習科目として適正な評価方法とすることが望まれる。(4.薬学専門教育の内容) 10.学生に配布されているカリキュラムマップは簡易型であり、シラバスにおける到達目 標の整理なども不十分で、カリキュラムの体系性が分かりにくいので、分かりやすい 形に整備することが望まれる。(4.薬学専門教育の内容) 11.薬学教育モデル・コアカリキュラムに対応させた科目設定とするため、以下の修正が 望まれる。(4.薬学専門教育の内容) ① 技能のSBOs項目であるC7−(1)—2−4(技能)が「薬用植物学」の講義に 記載され、C9−(6)—2−7(技能)が「遺伝子工学」の講義に記載されており、 行動目標に対応した科目での実施が望まれる。 ② 基礎資料3-1においては、C10−(2)-4−1、−3、−4は「生体防御学」が該 当科目に記載されているが、「生体防御学」のシラバスにはこれらのSBOsは 記載されておらず、修正が望まれる。 ③ 知識・技能のSBOs項目を含むC12−(1)-2-2が、「衛生化学Ⅱ」の講義に 記載されており、行動目標に対応した科目での実施が望まれる④ 知識・技能のSBOs項目であるC14−(2)-1−2(知識・技能)が、「薬物治 療学Ⅰ」の講義に記載されており、行動目標に対応した科目での実施が望まれる。 ⑤ 「物理化学系実習」、「分析化学系実習」は、実習科目であるにもかかわらず、シ ラバス上では、あたかも約半分の時間を講義に費やしているように誤解を招く表 現になっているので、実態に即した記載への改訂が望まれる。 12.実務実習の開始時期と実務実習事前学習の終了時期が離れる場合の実務実習直前での 到達度を確認する体制を整備することが望まれる。(5.実務実習) 13.問題解決型学習について、実質的時間数から換算した単位数としては卒業要件単位の 1/10 を超えていないので、充実が望まれる。(6.問題解決能力の醸成のための教育) 14.1年次の「薬学基礎実習」を除き、多くの実習系科目のシラバスにはプレゼンテー ションやディスカッションの記載がないので、明記することが望ましい。(6.問題 解決能力の醸成のための教育) 15. 基礎学力が不足している学生が入学している可能性があり、全ての選抜方法で基礎学 力を担保するなどの方策が求められる。(7.学生の受入) 16. 学生に対するハラスメントの注意喚起は学生便覧への「ハラスメント」や「迷惑行為」 の掲示に留まり、教員や外部講師による教育はなされておらず、学生への教育体制の 構築が望まれる。(9.学生の支援) 17.古い建物はバリアフリー化されておらず、対応が望まれる。(9.学生の支援) 18.学生生活については、情報を収集するシステムが構築されておらず、構築が望まれる。 (9.学生の支援) 19.収容定員を基準にした専任教員一人当たりの学生数は 28.2 名であるので、この数を減 らす取り組みが期待される。 (10.教員組織・職員組織) 20.外部資金の獲得件数ならびに金額を増すための取り組みの推進が期待される。(10. 教員組織・職員組織) 21. 卒業研究室の配属において学生数の極端な偏りが発生しているので、卒業研究指導の 教育効果の観点から、配属学生数を適正化することが望ましい。(10.教員組織・ 職員組織) 22.学部ホームページに掲載されている教員の教育・研究業績を毎年更新していない教員 が見られるので、定期的な更新が望まれる。(10.教員組織・職員組織) 23. 収容定員に比して情報処理教育のための施設と設備が不足しているので、それらの充実が期待される。(11.学習環境) 24. 長期海外出張制度を利用した教員の海外研修の促進が望まれる。(12.社会との連 携) 25.全学的な自己点検・評価委員会ならびに薬学部の自己点検・評価プロジェクトチーム への外部委員の参加が期待される。(13.自己点検・評価) 2)改善すべき点 1.薬学部の「理念」を明示し、「教育研究上の目的」がこれを踏まえたものであること が明らかになるように改善する必要がある(1.教育研究上の目的) 2.4年次後期の大半を薬学共用試験CBT対策に充てる偏った教育がなされることが2、 3年次の過密カリキュラムの原因となっているので、早急に改善が必要である。(2. カリキュラム編成) 3.薬剤師国家試験対策教育である「事前総合薬学演習」と「総合薬学演習」が5年次の 臨床実習のない期間と6年次に置かれ、6年次の土曜日にはさらに国家試験補習も実 施される。これは5、6年次の多くの時間を国家試験の準備教育に充てる偏った教育 になっていることを意味しており、卒業研究など本来の教育内容に割り当てる時間を 早急に増やすことが必要である。(2.カリキュラム編成) 4.ヒューマニズム教育・医療倫理教育ならびにコミュニケーション能力・自己表現能力 を身に付けるための教育において、最終的な目標達成度を評価する指標の設定とそれ に基づく評価が行われていないため、それらの実施が必要である。(3.医療人教育 の基本的内容) 5.薬学専門教育が講義に偏っているので、演習など到達目標の学習領域に合致した学習 方略の設定と科目編成の再構築が必要である。(4.薬学専門教育の内容) 6.「実務事前学習」の目標達成度を総合的に評価するための指標の設定と、それに基づ く評価も行われていないので、実施に向けた改善が必要である。(5.実務実習) 7.「実務事前学習」の成績評価を、薬学共用試験の成績が一定の基準を下回った場合に 「不可」とする制度は適切ではないので、早急に廃止することが必要である。(5. 実務実習) 8.学生が卒業研究に相当する「総合薬学研究」に取り組むことができる時間が実質的に 約半年しかないので、十分な時間を与えるよう改善が必要である。(6.問題解決能 力の醸成のための教育)9.「総合薬学研究」の成績評価の基準が具体性に欠けているため、評価結果に教員間で の差異が生じているので、成績評価の平等性ならびに厳格性を担保するために、早急 に具体的かつ統一的な評価指標の設定が必要である。(6.問題解決能力の醸成のた めの教育) 10.問題解決能力の醸成に向けた教育において、個々の科目に成績評価の基準は設定され ているが、それらを総合した目標達成度を評価するための指標の設定と、それに基づ く評価はなされていないので、改善が必要である。(6.問題解決能力の醸成のため の教育) 11.知識のみを評価方法としている実験実習科目が散見されるなど、科目によっては問題 解決能力の評価に対応する成績の評価方法に問題があるので、改善が必要である。(6. 問題解決能力の醸成のための教育) 12. 入学者の選抜について、教育に責任を持つ薬学部教授会での審議がなされていないの で、早急に改善が必要である。(7.学生の受入) 13.シラバスに記載されている評価方法と実際の評価との不一致が多くの科目で認められ るため、早急に改善が必要である。(8.成績評価・進級・学士課程修了認定) 14.留年率と退学率が恒常的に高いため、入学定員ならびに基礎学力の確認を含めた入学 者選抜システムの抜本的な改善が必要である。(8.成績評価・進級・学士課程修了 認定) 15.薬剤師国家試験準備を目的とする「総合薬学演習」の不合格だけの理由で、多くの卒 業延期者(平成26年度では6年次在籍者(157名)のうち48%に相当する76名)が出て いることは、「総合薬学演習」の合否が実質的な卒業判定基準となっていることを意 味しており、好ましいことではないので早急に改善が必要である。(8.成績評価・ 進級・学士課程修了認定) 16.最終学年で留年となった学生に対する履修管理体制が適切ではないので、改善が必要 である。(8.成績評価・進級・学士課程修了認定) 17.平成26年度は、一部の学生についてではあるが、国家試験終了後の3月末での卒業認 定が実施されており、好ましいことではないので、早急に改善が必要である。(8. 成績評価・進級・学士課程修了認定) 18.校医が修学の困難さを判断して助言する制度は、障がいを持つ志願者の受験の可否判 断に大学関係者が関わることになり、好ましくないので、改善が必要である。 (9.学生の支援)19.研究活動の低下が懸念される教員が少なくないので、研究時間の確保などの改善が必 要である。(10.教員組織・職員組織) 20.「北陸大学自己点検・評価規定」に定められた自己点検項目に基づく独自の自己点検・ 評価を定期的かつ継続的に実施する必要がある。(13.自己点検・評価)
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| 第1期 |
2015年度 |
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1:提言 改善報告審議結果 |
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| 近畿大学 | 私 | 大阪府 | 第1期 | 2015年度 | 適 |
自己点検・評価書 基礎資料 正誤票 |
評価報告書
総評
近畿大学 総評近畿大学薬学部医療薬学科は、「高度・多様化する医療において活躍できる人材、すなわち薬に関する幅広く高度な専門知識と優れた臨床能力を有する指導的薬剤師、および薬剤師の資質を活かして薬学研究の発展に貢献できるリサーチマインドを有する人材の養成」を教育研究上の目的としており、この目的に沿って、6年制薬学教育の入学者受入方針(アドミッション・ポリシー)、教育課程の編成・実施方針(カリキュラム・ポリシー)および学位授与の方針(ディプロマ・ポリシー)を制定している。このカリキュラム・ポリシーに基づき、教養教育・語学教育・専門基礎教育・専門教育・課題研究・演習から構成される6年制薬学教育カリキュラムが構築され、実施されている。ヒューマニズム教育・医療倫理教育は1年次から上級年次まで体系的に導入されており、その中には、生命倫理観および薬剤師としての使命感および職業観を醸成するための「早期体験学習」(1年次通年)や学生参加型のプログラムとして、コミュニケーション能力や問題解決能力の養成に資する「基礎ゼミ」、TBL(Team Based Learning)やPBL(Problem Based Learning)を通じて医学部学生との間でヒューマニズム等に関する意見を交わす「医薬連携教育プログラム」など、特色ある科目が認められる。語学科目としては、選択可能な幅広い初修外国語科目(英語の他、中国語、フランス語、ドイツ語)が開講されているほか、「読む」、「書く」、「聞く」、「話す」の要素を取り入れた発展的科目も用意されている。また、「基礎生物英語」や「基礎化学英語」などの専門英語科目も開講され、充実した語学教育が行われている。薬学専門教育は、6年制薬学教育モデル・コアカリキュラムに基づいて、年次が上がるに従い基礎薬学系科目から臨床系科目へと積み上がるように組み立てられており、各科目の到達目標の学習領域(知識・技能・態度)に適した学習方法を用いた教育が行われている。「実務実習事前学習」および「病院・薬局実習」も、実務実習モデル・コアカリキュラムに掲げられている教育目標や実施方法等に沿って適切に実施されている。「実務実習事前学習」の評価には、目標達成度を評価するための指標が設定され、対象領域(知識・技能・- 2 -態度)に適した指標と基準が設定され評価が実施されている。卒業研究は、「総合薬学研究1・2・3」の必修科目(3年次後期から6年次前期)として行われ、卒業研究発表会が設定され卒業論文が提出されており、適切に実施されている。卒業研究の期間には必修科目が複数設定されており、学生に大きな負担がかからないよう配慮が必要であるが、十分な研究時間が設定され、充実した内容の研究が行われている。学生の受入れは、アドミッション・ポリシーに基づき適切に行われ、ディプロマ・ポリシーに基づいた適切な学士課程修了認定が行われている。また、施設・設備も充実しており、学生の健康維持に関する支援や経済的支援には、特色ある取り組みが行われている。しかし、以下のような問題点が挙げられ、改善が必要である。1)4年次の「総合演習1」、6年次の「総合薬学演習2」と「総合演習2」に関しては、試験の成績に基づいてクラス分けを行い、必修科目であるにも関わらずクラスによって講義や演習への出席免除を行っている。2)医療倫理観、ヒューマニズム、医療コミュニケーションなどのキーワードを含み、医療人としての態度とその基盤となる知識、技能を学ぶ「薬学概論」(1年次)、「早期体験学習」(1年次)、「生命倫理」(4年次)、「コミュニティファーマシー」(4年次)などの科目があり、教育が体系的に行われ、かつ能動的参加型学習法を取り入れているが、この中で必修科目なのは「生命倫理」だけである。「早期体験学習」(1年次)を含む他の3科目は必修科目とする必要がある。3)学部全体の教育研究活動を統合的に自己点検・評価し、恒常的、継続的に教育研究活動の改善に取り組むためのPDCAサイクルを機能させて、常に改善に努める体制を整備する必要がある。近畿大学薬学部医療薬学科は、自己点検・評価体制の抜本的な見直しをはじめとする改善すべき点および助言を踏まえ、積極的に改革を進めることにより、薬学教育の更なる向上に努めることが望まれる。
大学への提言
近畿大学 大学への提言1)長所1.「医薬連携教育プログラム」や「早期体験学習」は医学部との連携で行われており、附属病院での体験型学習を通して、患者ケアやチーム医療、多職種連携を早期から薬学生に意識づける上で効果的であり、長所と見なすことができる。(3.医療人教育の基本的内容)2.近畿大学学園学生健保共済会では、全ての学生に、保険医療機関で保険証を使用して受診した際に窓口で支払う自己負担額を全額給付する制度を設けている。(9.学生の支援)3.中央図書館のホームページを基軸とした電子図書館サービスを提供し電子ジャーナル、25種のデータベース提供、教育研究成果の発信などが充実している。また、教育用端末を数か所設置し、自由に電子図書館サービスを学外からも利用できるようになっているのは長所である。(11.学習環境)2)助言1.教育研究上の目的を検証するシステムを利用して、定期的に検証することが望まれる。(1.教育研究上の目的)2.6年次に開講されている選択科目 (4.5単 位、「 臨 床 薬 物 動 態 学」、「 医 療 ・ 薬 事関係法規 2」、「 が ん 治 療 学 医 薬 看 連携 講 義 」 )は 、 受 講 実 績を 見 る と ほ ぼ 全 員が 受 講 し て おり 、履 修 要 項 の 規 定 から 実 質 的 に ほ ぼ 必 修 科目 な の で 、必 修 科 目と す る こ と が望 ま れ る 。( 2 . カ リ キュ ラ ム 編 成 )3.「課題設定・問題解決科目群(5科目)」に物理と数学が「基礎物理化学」と「基礎数学」として配置され、この科目群からは、他の科目群(11科目)と合わせて2年次までに12単位が必要とされており、物理と数学・統計学の履修が軽視されているように見受けられるので、考慮が望まれる。(3.医療人教育の基本的内容)4.語学教育に多彩な科目が導入されているが、発展英語科目と臨床薬学英語については選択科目であり、履修者が極めて少ないので、履修者を増やす工夫が望まれる。(3.医療人教育の基本的内容)5.どの科目がヒューマニズム教育・医療倫理教育に対応する科目か分かりづらいので、シラバス等を改良することが望ましい。(3.医療人教育の基本的内容)6.「臨床薬学」、「調剤学」、「総合薬学演習1A」の学習方法は、座学、レポート提出など- 30 -で、必ずしも効果的ではないため、PBLなどの工夫が望まれる。(3.医療人教育の基本的内容)7.シラバスに掲載されているカリキュラムツリーは細かすぎて学生が理解するのは困難と思われる。もう少し分かりやすい形での提示が望まれる。(4.薬学専門教育の内容)8.大学独自の薬学専門教育について、総合大学としての特徴ある科目である「医薬連携教育プログラム」や「がん治療学医薬看連携講義」などは大学独自の科目と考えられる。その他にも、医学部教員や同附属病院医療スタッフを講師陣とした科目や最新の医療薬学分野科目が開講されており、大学独自の教科と言える。優れた科目なので、学生へ周知する工夫が望まれる。(4.薬学専門教育の内容)9.実務実習実施委員会の構成員や薬局実務実習主担当教員のメンバーから判断して、実務実習の指導に専任教員全員が参画しているとは言えないので、実施委員会に基礎系教員なども加えて、実務実習を学部全体で支援する体制を作ることが望まれる。(5.実務実習)10.実務実習をⅡ期以降に開始する学生に対して、「実践病態と治療」(集中講義)を実務実習開始直前に実施して知識や到達度の確認を行っているが、講義で行われており、技能・態度の再確認を求めるための科目を導入することが望まれる。(5.実務実習)11.配属教室の教員が副担当となっているとはいえ、特任教員数名で薬局実務実習の主担当を担っているのは問題であり、学部教員全員で、円滑できめ細かい実務実習の指導体制の構築が望まれる。(5.実務実習)12.実務実習報告会を学部全体で開催し、全員が発表するようにすることが望まれる。(5.実務実習)13. 卒業研究成果の医療や薬学における位置づけがどのように考察されているかなど、卒業研究を評価するための明確な評価基準を作成することが望まれる。(6.問題解決能力の醸成のための教育)14. 問題解決型学習に関連する科目の中には選択科目となっているものもあるので、問題解決型学習を全学生が18単位以上履修するように改めることが望まれる。(6.問題解決能力の醸成のための教育)15.卒業研究の発表形式が、薬学共用試験と4年終了時の成績により異なっていることは好ましくないので、改善することが望まれる。(6.問題解決能力の醸成のための教育)16. 6年前期には卒業研究は実質行われていないが、実務実習を修了したうえで、実務実習の成果を基に卒業研究を行いそれらを纏めることが重要であるので、そのための期- 31 -間を設定することが望まれる。(6.問題解決能力の醸成のための教育)17.問題解決能力醸成のための教育科目は、選択科目である「早期体験学習」と「薬学統計学」を含め、18.5単位となっているので、全学生が18単以上履修するように改めることが望まれる。(6.問題解決能力の醸成のための教育)18.留年率(各学年の留年の状況(13〜40名))は在籍学生の1割以上である。これらの原因の一つとして考えられる入学者の選抜方法の見直しが望まれる。(7.学生の受入)19.薬学部全体の定期健康診断受診率は88.7%であるが、2年次の受診率が8割を切っている。この点については原因を明らかにした上で受診率を上げるための適切な対策が望まれる。(9.学生の支援)20.教授と准教授の割合が高く、助教の割合が低いのは、専任教員1名に対する学生数が多い原因にもなっている(医療薬学科の学生定員900名として、教員1人当たりの学生数は25名であり、在籍学生数1003名で換算すると28名)。学生実習などにおける教育・指導上も問題であり、助教の増員が望まれる。(10.教員組織・職員組織)21.実務家教員の実務遂行能力の維持向上のために、医療の現場で実務に定期的に従事する体制・制度の整備が望まれる。(10.教員組織・職員組織)22.臨床系教員(臨床薬学部門)の授業時間が、基礎系の教員よりも多くなっており、負担が一部の教員に偏っているので、改善が望まれる。(10.教員組織・職員組織)23.大学の英文ホームページとともに、薬学部の英文ホームページも開設されているが、限られた内容にとどまっているので、内容のより充実が望まれる。(12.社会との連携)24.海外留学の制度が整備されているが、利用する教員が少ないので、今後、多くの教員が利用することが望まれる。(12.社会との連携)25.「薬学部自己点検評価委員会」に外部委員を含むことが望まれる 。(13.自己点検・評価)3)改善すべき点1.4年次の「総合演習1」、6年次の「総合薬学演習2」と「総合演習2」に関しては、試験の成績に基づいてクラス分けを行い、必修科目であるにも関わらずクラスによって講義や演習への出席免除を行っており、早急に改善する必要がある。(2.カリキュラム編成)2.カリキュラム・ポリシーに対応する主な科目、例えば、カリキュラム・ポリシー3)- 32 -に対応する「早期体験学習」、「解剖組織学」、カリキュラム・ポリシー4)に対応する「病態生理学1 ・2 」、「分子ゲノム薬科学」、「ゲノム医療とゲノム創薬」、カリキュラム・ポリシー5)に対応する「コミュニティファーマシー」、カリキュラム・ポリシー7)に対応する「臨床医学概論」、「がん治療学医薬看連携講義」などは、選択科目となっている。これらの科目を履修せずに卒業する学生がいる可能性があり、カリキュラム・ポリシーが活かされない可能性があるので、選択科目の設定を早急に検討する必要がある。(2.カリキュラム編成)3.医療倫理観、ヒューマニズム、医療コミュニケーションなどのキーワードを含み、医療人としての態度とその基盤となる知識、技能を学ぶ「薬学概論」(1年次)、「早期体験学習」(1年次)、「生命倫理」(4年次)、「コミュニティファーマシー」(4年次)などの科目があり、教育が体系的に行われ、かつ能動的参加型学習法を取り入れているが、この中で必修科目なのは「生命倫理」だけである。「早期体験学習」(1年次)を含む他の3科目は必修科目とする必要がある。(3.医療人教育の基本的内容)4.コミュニケーション能力およびヒューマニズム教育・医療倫理教育全体における評価について、目標達成度を評価するための指標を設定し評価することが必要である。(3.医療人教育の基本的内容)5. 「総合薬学研究1〜3」について、それぞれに評価基準を設定し、客観的かつ公平な評価を行う必要がある。(6.問題解決能力の醸成のための教育)6. 問題解決能力の醸成に向けた教育において、目標達成度を評価するための指標を設定し、それに基づいて適切な評価を行う必要がある。(6.問題解決能力の醸成のための教育)7.薬学部履修要項の「総合演習2」についての記載内容にある、「12月から2月にかけて最終の判定試験を行い、その合否によって単位認定を行います。単位が認定されなかった学生は卒業延期となりますのでご注意ください。」という記述は、「総合演習2」の試験が卒業を決定する、いわゆる「卒業試験」であると読める。「総合演習2」は、必修科目の一つに過ぎず、他の必修科目の不合格でも卒業要件を欠くことになるので、このように記述するのは不適切で、改善すべきである。(8.成績評価・進級・学士課程修了認定)8. 学部全体の教育研究活動を統合的に自己点検・評価し、恒常的、継続的に教育研究活動の改善に取り組むためのPDCAサイクルを機能させて、常に改善に努める体制を整備する必要がある。(13.自己点検・評価)
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| 第1期 |
2015年度 |
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1:提言 改善報告審議結果 |
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| 昭和薬科大学 | 私 | 東京都 | 第1期 | 2015年度 | 適 |
自己点検・評価書 基礎資料 正誤票 |
評価報告書
総評
昭和薬科大学 総評昭和薬科大学は、建学理念に基づいた「教育研究上の目的」を学則に明記し、それに基づく3つのポリシーを定め、6年制薬学教育を行っている。教養科目は薬学準備教育ガイドラインを参考に適切に設定されている。リメディアル教育は、入学前教育から開始され、専門教育を効果的に履修させるための準備が適切になされている。薬学専門教育の構成・内容は、基本的には薬学教育モデル・コアカリキュラムに準拠している。ヒューマニズム、医療倫理、コミュニケーション教育では、対応科目を各学年で開講し、体系的な教育が実施されている。実務実習事前学習は、実務実習モデル・コアカリキュラムに基づき、2年次後期から入門基礎編となる科目の授業が行われ、3年次前期で講義中心の導入編へ進み、3年次後期からは実務中心の科目に移行している。6年次には、「6年間の集大成としての知識に関わる総合学習を行う」ことを目的とする「最終総合演習」が行われている。実務実習施設への配属には、学生の希望や居住地を考慮した決定法が取り入れられ、薬局は調整機構を通じ、病院は大学の判断により適切な規模の病院を選定している。卒業研究は、4年次から6年次前期の期間を用いて、総合薬学、臨床薬学、情報薬学の3コースに分けて実施されており、教養教育担当部門を含むすべての研究室において、それぞれの特徴にあった研究が行われている。入学者の選抜は、十分な基礎学力を有する多様な学生を確保する観点から、5つの形式で実施されている。学生の経済的、身体的、精神的なサポート体制は整っている。特に、経済的支援体制としては、大学独自の奨学金制度があり、また、地方出身者の生活費を軽減するために女子寮が設けられている。薬学共用試験はCBT(Computer Based Testing)、OSCE(Objective StructuredClinical Examination)共に、薬学共用試験センターの「共用試験実施要項」に基づいて実施されている。専任教員数は、大学設置基準を満たしており、個々の教員の資格や教育研究業績などは基準を満たしている。- 2 -教育研究に必要な施設、設備、図書などの学習環境は、十分に整えられている。とくに、参加型学習のための少人数教育ができる教室はよく整備されている。自己点検・評価項目の点検・評価結果は、公表されているが、個々の教員に対するフィードバックは5年に1度である。以上のように、昭和薬科大学薬学部薬学科の教育プログラムは、本機構の評価基準におおむね適合している。しかし、以下の二つの重大な点を含む諸問題について、早急に改善を図る必要がある。1)「最終総合演習」は、カリキュラム・ポリシーの項目Ⅷを実現する必修科目であるにもかかわらず、すべての授業を国家試験対策予備校に委託していることは重大な問題であり、専任教員が担当し、大学が責任を持って実施するように改善する必要がある。2)国家試験対策予備校に授業を委託している「最終総合演習」を必修科目とし、その不合格だけで卒業できない学生が相当数いることは、重大な問題であり改善が必要である。昭和薬科大学には、本評価で指摘された問題点の改善に取り組み、薬科単科大学としての特色を活かした薬学教育を推進されるよう期待する。
大学への提言
昭和薬科大学 大学への提言1)助言1.「教育研究上の目的」の記述が「自己点検・評価書」の大学概要・基準1・学生便覧の3つの間で異なっているので、統一を図ることが望まれる。(1.教育研究上の目的)2.「教育研究上の目的」に関する記載について、ホームページ上でのアクセスを容易にすることが望まれる。(1.教育研究上の目的)3.「教育研究上の目的」の定期的な検証を行う体制を整え、これを実施することが望まれる。(1.教育研究上の目的)4.記載されているカリキュラム・ポリシーは、カリキュラムの構成は示しているがディプロマ・ポリシーを達成するための方針としてはやや不十分であり、改善が望まれる。(2.カリキュラム編成)5.学生便覧、薬学部パンフレット(資料1)およびホームページに記載されているカリキュラム・ポリシーの表現は統一することが望まれる。(2.カリキュラム編成)6.カリキュラム・マップを学生にわかりやすいものにすることが望まれる。(2.カリキュラム編成)7.学生が自分の学習内容を常に把握出来るように、各科目の内容と薬学教育モデル・コアカリキュラムとの対応をシラバスに記載し、学生に提示することが望まれる。(2.カリキュラム編成)8.早期体験学習が病院・薬局のみであり、多様な職種(公的研究機関、企業等)への見学を実施することが望ましい。また、早期体験の成果についてはSGDにて共有しているが、全体発表は行われておらず、評価基準も明確に示すことが望まれる。(3.医療人教育の基本的内容)9.教養科目、語学科目の多くが必修科目になっており、選択の幅を広げることが望まれる。(3.医療人教育の基本的内容)10.英語教育について、5年次、6年次に特徴的な英語力を学ぶ科目がありながら、受講者は5年次「医薬開発特論Ⅱ」が4名、6年次「実用薬学英語」が34人と少なく、受講者を増やす努力が望まれる。(3.医療人教育の基本的内容)- 25 -11.公開教育講座への、学生の参加を促すことが望まれる。(3.医療人教育の基本的内容)12.大学独自科目の開設状況を点検し、いずれのコースにおいても選択できる科目を増設することが望ましい。(4.薬学専門教育の内容)13.1年次~4年次までは時間割が固定されているので、学生が選択できる科目の配置が望まれる(教養科目を除く)。(4.薬学専門教育の内容)14.4年次からの3コース制について、具体的な目的を策定し、学生便覧等で明確に示すことが望まれる。(4.薬学専門教育の内容)15.シラバス、便覧、時間割、ホームページに記載されている科目名を統一し、シラバスへの選択・必修の記載が望まれる。(4.薬学専門教育の内容)16.6年次の選択科目のみでカバーされているSBOsがわずかながら見受けられ (新興感染症など)、履修しないで終了する可能性があり、改善が望まれる。(4.薬学専門教育の内容)17.実習全体の単位数は9単位と少ないので、単位数を増やすことが望まれる。(4.薬学専門教育の内容)18.実務実習事前実習Ⅰ評価表では、点数の半分以上が共通項目(身だしなみ)などであり、技能の習得結果などを正確に反映したものにすることが望まれる。(5.実務実習)19.問題解決能力の育成に関する単位が基準18単位以上になるようカリキュラムを見直すことが望ましい。(6.問題解決能力の醸成のための教育)20.様々な教員が指導し作成された卒業論文が、6年制薬学教育として求めるられる卒業研究基準に達しているかどうかを評価できる体制を整えることが望まれる。(6.問題解決能力の醸成のための教育)21.推薦入試の面接において、医療人として必要なコミュニケーション能力の資質を確認しているが、他の入試制度でも面接などその適性を評価する方法の導入を検討することが望まれる。(7.学生の受入)22.「薬学への招待」において、学術的な文書の読み書き能力の鍛錬であるアカデミック・リテラシー講義を開講し、大学生としての自覚を促す導入教育やスタディ・スキルの考え方と実践、ライフ・デザインの考え方と実践を指導しているとあるが、好ましい取り組みなので授業回数を現状の4回より増やすことが望まれる。(9.学生の支援)23.実験・実習での安全教育を実習単位ではなく、大学全体として行うことが望まれる。(9.学生の支援)24.学生生活に対する学生の意見に対し、対応体制を十分にとることが望ましい。(9.学- 26 -生の支援)25.教員の増員をはかり、教員一人あたりの学生数を改善することが望まれる。(10.教員組織・職員組織)26.教員の採用の選考基準に、模擬講義を採用するなど教育力の評価を加えることが望ましい。(10.教員組織・職員組織)27.教員の採用の選考基準に、社会貢献に関わる業績を入れることが望ましい。(10.教員組織・職員組織)28.実務家教員が7名であり、これが実務家教員と非実務家教員の講義時間の格差につながっていることから、実務家教員の増員が望まれる。(10.教員組織・職員組織)29.教員の評価結果に関するフィードバックは毎年実施することが望ましい。(10.教員組織・職員組織)30.教員の長期海外出張制度の利用を促進することが望ましい。(12.社会との連携)31.自己点検評価委員会に外部委員を委嘱出来るようにすることが望ましい。(13.自己点検・評価)2)改善すべき点1.「最終総合演習」は、カリキュラム・ポリシーの項目Ⅷを実現する必修科目であるにもかかわらず、すべての授業を国家試験対策予備校に委託していることは重大な問題であり、専任教員が担当し、大学が責任を持って実施するよう早急に改善する必要がある。(2.カリキュラム編成)2.観点3-1-1-4(ヒューマニズム教育・医療倫理教育)、3-2-2-4(コミュニケーション能力および自己表現能力)に関し、目標達成度を評価するための指標を定め、評価する必要がある。(3.医療人教育の基本的内容)3.事前学習の目標達成度を評価するための指標を策定し、それに基づいて適切に評価することが必要である。(5.実務実習)4.共用試験の受験者数を「自己点検・評価書」に記載することが必要である。(5.実務実習)5.卒業研究の評価に関して、評価項目並びに評価基準を明示する必要がある。また、指導教員以外の教員の評価点配分を見直し、より、客観的な評価を実施する必要がある。(6.問題解決能力の醸成のための教育)6.問題解決能力の醸成に向けた教育について、目標達成度を評価するための指標を設定- 27 -し、それに基づいて適切に評価する必要がある。(6.問題解決能力の醸成のための教育)7.国家試験対策予備校に授業を委託している「最終総合演習」を必修科目とし、その不合格だけで卒業できない学生が相当数いることは、卒業の可否の判断に国家試験の合格予測を重視していることを意味しており、重大な問題であり改善が必要である。(8.成績評価・進級・学士課程修了認定)8.自己点検・評価の結果を十分に検証し、検証結果を教育研究活動の改善に十分に活用する必要がある。(13.自己点検・評価)
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2015年度 |
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1:提言 改善報告審議結果 |
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2015年度 |
継 |
自己点検・評価書 基礎資料 正誤票 |
評価報告書
総評
北陸大学 総評北陸大学薬学部薬学科は「医療人としての倫理観、使命感、責任感及び高度な薬学の知 識・技能を身に付け、臨床の現場で実践的な能力を発揮できる薬剤師を養成する。」を人 材養成の目的として掲げ、教育課程の編成・実施方針(カリキュラム・ポリシー)、入学 者受入方針(アドミッション・ポリシー)を制定し、6年制薬学教育を行っている。 教育課程は、教育課程の編成・実施方針に沿って低学年から高学年まで教養教育も含め 段階的に編成されている。特に低学年では能力別クラス編成の実施、補充教育の実施など、 入学者の基礎学力不足への対応にも努めている。また、専門教育においては、アドバンス ト教育として「高度医療薬剤師演習」、「東洋医薬学演習」、及び「健康医療薬学演習」 が選択コースとして設定され、「和漢薬学」、「鍼灸学」、「漢方(中医)処方学」など も選択科目として開講されている。実務実習事前学習は適切な指導者のもとで実施され、 薬学共用試験本試験終了後の1月下旬に総合復習学習も行っている。実務実習の配属は北 陸地区調整機構を介して行われ、病院実習は金沢医科大学病院を中心に、薬局実習は金沢 市ならびに高岡市周辺を中心に北陸三県の保険薬局で行われている。また、通学が困難な 地域で実習を受ける学生のための宿泊施設として、大学の山中町セミナーハウスが利用さ れている。 入学試験は多様な方式で行われている。入学者数は、平成20年から24年までは平均充足 率が54.3%と極めて低い状態が続き、指定校推薦選抜の見直しと学費減免制度の導入によ り回復傾向を見せているが、現時点でも入学者が入学定員を下回っている。 学習環境は、古い建物でのバリアフリー化に遅れが認められるが全般的には良好であり、 学生支援体制も整っている。社会との連携については、地域の薬剤師の資質向上と保健衛 生の保持・向上に努めている。 しかし、本機構の評価基準に照らして教育プログラムの内容を評価すると、多くの問題 が見出される。改善を必要とする重大な問題点は下記のとおりである。1)カリキュラムが薬学共用試験ならびに薬剤師国家試験の合格対策に偏っていることが 懸念される。すなわち、国家試験受験対策を目的とする学習に、5年次の実務実習の行わ れていない時期と6年次における多くの時間が充てられていることで、卒業研究の実施期 間が圧迫されており、成績の評価方法にも問題があるため、問題解決型学習が体系的、効 果的に実施されていない。さらに、4年次後期の大半を薬学共用試験のCBT(Computer Based Testing)対策に充てていることが2、3年次の過密カリキュラムの原因となり、当 該学年で留年者が増す一因になっている。 2)「実務事前学習」の成績評価において、薬学共用試験センターによる共用試験(CB T、OSCE(Objective Structured Clinical Examination))の成績が一定の基準を下 回った場合に、この科目を不可とすることは適切ではない。 3)留年率と退学率が恒常的に高く、入学定員ならびに基礎学力の確認を含めた入学シス テムが適切に機能しているとは言えない。 4)「総合薬学演習」の単位認定試験の合否が実質的な卒業判定基準となっている。また、 平成26年度は一部学生に対して国家試験終了後の3月末での卒業認定が実施されている。 さらに、最終学年で留年となった学生には、前年度未修得となった必修科目である「総合 薬学演習」の再履修が義務づけられているはずであるが、当該学生は留年した年次の8月 に実施する再試験を受験して単位を取得し、その後10月から休学して国家試験予備校に通 い、2月に復学して卒業認定を受けている。これらのことは国家試験合格率の向上を目指 したものであると言わざるを得ない。 上記の諸問題点に加えて、シラバスの記載に不備が認められる科目が多数存在する。ま た、薬学専門教育が講義に偏り到達目標の学習領域に合致した学習方略が設定されていな い科目が多数存在するほか、シラバスに記載されている評価方法と実際の評価との不整合 が多く認められる。さらに、入学者の選抜について教育に責任を持つ薬学部教授会での審 議がなされていない、などの多くの問題点が認められる。 今回の評価における大学への提言の「改善すべき点」として指摘した諸問題を教職員で 共有し、改善に取り組み、北陸大学として特色のある6年制薬学教育を構築し実施するこ とを期待して止まない。
大学への提言
北陸大学 大学への提言1)助言 1.薬学部の人材養成の目的ならびに教育方針・目標に関する定期的な検証がなされてい ないため、学部としての検証体制の確立と定期的な実施が望まれる。(1.教育研究 上の目的) 2.医療系科目の多くが2年次及び3年次に集中して開講されているために学生への過 度な負担が生じ、当該学年での留年生が多い一因にもなっていると考えられ、カリキ ュラムの点検評価と適切な変更が望まれる。(2.カリキュラム編成) 3.教養教育と薬学教育との関連性が学生に分かるカリキュラムマップの作成が望まれる。 (3.医療人教育の基本的内容) 4.医療人教育に関わる科目が講義中心であり、能動的参加型学習等が少ないので、能動 的参加型学習の充実が期待される。(3.医療人教育の基本的内容) 5.「リベラルアーツⅠ(医療人)」は、医療人とは何かといった重要な内容を含むにも かかわらず選択科目として設定されているため、必修科目とすることが望ましい。(3. 医療人教育の基本的内容) 6.以下の科目における態度教育の成績評価の方法について修正が望まれる。(3.医療 人教育の基本的内容) ① 「人間学I(生と死)」は、13項目ある評価項目のすべてを理解することを目標 にはしておらず、評価の指標が不明瞭である。 ② 「人間学II(心理)」は、出席と定期試験により評価されており、コミュニケー ション等の技術・態度の修得を目標とした適切な評価方法が導入されていない。 7.シラバスなどに以下の不備があるので、修正が望まれる。(4.薬学専門教育の内容)① 「薬学入門Ⅰ」、「薬学入門Ⅱ」は、シラバスから判断すると薬剤師の知識に関 する教育が主な内容と思われ、ヒューマニズム教育・医療倫理教育の内容がどの 程度教授されているのか不明である。 ② フレッシュマンセミナーのスケジュールからは、少人数制のプログラムであるこ とやコミュニケーションの機会を設けていることが確認できない。 ③ 「病態解析系実習」のシラバスからはSGDであることが確認できない。 ④ 「医療英語」のシラバスの授業計画からはプレゼンテーション力を養う教育が行 われていると判断できない。 ⑤ 「科学英語の基礎Ⅰ・Ⅱ」のシラバスから、4要素のバランスを配慮した時間割 編成となっていることが確認できない。 ⑥ 「日本近現代史」のシラバスがない。 ⑦ 「臨床体験学習」、「人体解剖学習」のシラバスと学年別授業科目への記載がない。 ⑧ 「薬学基礎ゼミⅠ」がシラバスならびに履修基準表に記載されていない。 ⑨ 「基礎演習」のシラバスにおける評価方法が適切でない。 8.専門教育における現職の薬剤師などとの交流体制の整備と、現職の薬剤師などによる 講義の実施が望まれる。(4.薬学専門教育の内容) 9.生化学系実習と衛生環境系実習のシラバスでは、知識のみを評価方法としているが、 実習科目として適正な評価方法とすることが望まれる。(4.薬学専門教育の内容) 10.学生に配布されているカリキュラムマップは簡易型であり、シラバスにおける到達目 標の整理なども不十分で、カリキュラムの体系性が分かりにくいので、分かりやすい 形に整備することが望まれる。(4.薬学専門教育の内容) 11.薬学教育モデル・コアカリキュラムに対応させた科目設定とするため、以下の修正が 望まれる。(4.薬学専門教育の内容) ① 技能のSBOs項目であるC7−(1)—2−4(技能)が「薬用植物学」の講義に 記載され、C9−(6)—2−7(技能)が「遺伝子工学」の講義に記載されており、 行動目標に対応した科目での実施が望まれる。 ② 基礎資料3-1においては、C10−(2)-4−1、−3、−4は「生体防御学」が該 当科目に記載されているが、「生体防御学」のシラバスにはこれらのSBOsは 記載されておらず、修正が望まれる。 ③ 知識・技能のSBOs項目を含むC12−(1)-2-2が、「衛生化学Ⅱ」の講義に 記載されており、行動目標に対応した科目での実施が望まれる④ 知識・技能のSBOs項目であるC14−(2)-1−2(知識・技能)が、「薬物治 療学Ⅰ」の講義に記載されており、行動目標に対応した科目での実施が望まれる。 ⑤ 「物理化学系実習」、「分析化学系実習」は、実習科目であるにもかかわらず、シ ラバス上では、あたかも約半分の時間を講義に費やしているように誤解を招く表 現になっているので、実態に即した記載への改訂が望まれる。 12.実務実習の開始時期と実務実習事前学習の終了時期が離れる場合の実務実習直前での 到達度を確認する体制を整備することが望まれる。(5.実務実習) 13.問題解決型学習について、実質的時間数から換算した単位数としては卒業要件単位の 1/10 を超えていないので、充実が望まれる。(6.問題解決能力の醸成のための教育) 14.1年次の「薬学基礎実習」を除き、多くの実習系科目のシラバスにはプレゼンテー ションやディスカッションの記載がないので、明記することが望ましい。(6.問題 解決能力の醸成のための教育) 15. 基礎学力が不足している学生が入学している可能性があり、全ての選抜方法で基礎学 力を担保するなどの方策が求められる。(7.学生の受入) 16. 学生に対するハラスメントの注意喚起は学生便覧への「ハラスメント」や「迷惑行為」 の掲示に留まり、教員や外部講師による教育はなされておらず、学生への教育体制の 構築が望まれる。(9.学生の支援) 17.古い建物はバリアフリー化されておらず、対応が望まれる。(9.学生の支援) 18.学生生活については、情報を収集するシステムが構築されておらず、構築が望まれる。 (9.学生の支援) 19.収容定員を基準にした専任教員一人当たりの学生数は 28.2 名であるので、この数を減 らす取り組みが期待される。 (10.教員組織・職員組織) 20.外部資金の獲得件数ならびに金額を増すための取り組みの推進が期待される。(10. 教員組織・職員組織) 21. 卒業研究室の配属において学生数の極端な偏りが発生しているので、卒業研究指導の 教育効果の観点から、配属学生数を適正化することが望ましい。(10.教員組織・ 職員組織) 22.学部ホームページに掲載されている教員の教育・研究業績を毎年更新していない教員 が見られるので、定期的な更新が望まれる。(10.教員組織・職員組織) 23. 収容定員に比して情報処理教育のための施設と設備が不足しているので、それらの充実が期待される。(11.学習環境) 24. 長期海外出張制度を利用した教員の海外研修の促進が望まれる。(12.社会との連 携) 25.全学的な自己点検・評価委員会ならびに薬学部の自己点検・評価プロジェクトチーム への外部委員の参加が期待される。(13.自己点検・評価) 2)改善すべき点 1.薬学部の「理念」を明示し、「教育研究上の目的」がこれを踏まえたものであること が明らかになるように改善する必要がある(1.教育研究上の目的) 2.4年次後期の大半を薬学共用試験CBT対策に充てる偏った教育がなされることが2、 3年次の過密カリキュラムの原因となっているので、早急に改善が必要である。(2. カリキュラム編成) 3.薬剤師国家試験対策教育である「事前総合薬学演習」と「総合薬学演習」が5年次の 臨床実習のない期間と6年次に置かれ、6年次の土曜日にはさらに国家試験補習も実 施される。これは5、6年次の多くの時間を国家試験の準備教育に充てる偏った教育 になっていることを意味しており、卒業研究など本来の教育内容に割り当てる時間を 早急に増やすことが必要である。(2.カリキュラム編成) 4.ヒューマニズム教育・医療倫理教育ならびにコミュニケーション能力・自己表現能力 を身に付けるための教育において、最終的な目標達成度を評価する指標の設定とそれ に基づく評価が行われていないため、それらの実施が必要である。(3.医療人教育 の基本的内容) 5.薬学専門教育が講義に偏っているので、演習など到達目標の学習領域に合致した学習 方略の設定と科目編成の再構築が必要である。(4.薬学専門教育の内容) 6.「実務事前学習」の目標達成度を総合的に評価するための指標の設定と、それに基づ く評価も行われていないので、実施に向けた改善が必要である。(5.実務実習) 7.「実務事前学習」の成績評価を、薬学共用試験の成績が一定の基準を下回った場合に 「不可」とする制度は適切ではないので、早急に廃止することが必要である。(5. 実務実習) 8.学生が卒業研究に相当する「総合薬学研究」に取り組むことができる時間が実質的に 約半年しかないので、十分な時間を与えるよう改善が必要である。(6.問題解決能 力の醸成のための教育)9.「総合薬学研究」の成績評価の基準が具体性に欠けているため、評価結果に教員間で の差異が生じているので、成績評価の平等性ならびに厳格性を担保するために、早急 に具体的かつ統一的な評価指標の設定が必要である。(6.問題解決能力の醸成のた めの教育) 10.問題解決能力の醸成に向けた教育において、個々の科目に成績評価の基準は設定され ているが、それらを総合した目標達成度を評価するための指標の設定と、それに基づ く評価はなされていないので、改善が必要である。(6.問題解決能力の醸成のため の教育) 11.知識のみを評価方法としている実験実習科目が散見されるなど、科目によっては問題 解決能力の評価に対応する成績の評価方法に問題があるので、改善が必要である。(6. 問題解決能力の醸成のための教育) 12. 入学者の選抜について、教育に責任を持つ薬学部教授会での審議がなされていないの で、早急に改善が必要である。(7.学生の受入) 13.シラバスに記載されている評価方法と実際の評価との不一致が多くの科目で認められ るため、早急に改善が必要である。(8.成績評価・進級・学士課程修了認定) 14.留年率と退学率が恒常的に高いため、入学定員ならびに基礎学力の確認を含めた入学 者選抜システムの抜本的な改善が必要である。(8.成績評価・進級・学士課程修了 認定) 15.薬剤師国家試験準備を目的とする「総合薬学演習」の不合格だけの理由で、多くの卒 業延期者(平成26年度では6年次在籍者(157名)のうち48%に相当する76名)が出て いることは、「総合薬学演習」の合否が実質的な卒業判定基準となっていることを意 味しており、好ましいことではないので早急に改善が必要である。(8.成績評価・ 進級・学士課程修了認定) 16.最終学年で留年となった学生に対する履修管理体制が適切ではないので、改善が必要 である。(8.成績評価・進級・学士課程修了認定) 17.平成26年度は、一部の学生についてではあるが、国家試験終了後の3月末での卒業認 定が実施されており、好ましいことではないので、早急に改善が必要である。(8. 成績評価・進級・学士課程修了認定) 18.校医が修学の困難さを判断して助言する制度は、障がいを持つ志願者の受験の可否判 断に大学関係者が関わることになり、好ましくないので、改善が必要である。 (9.学生の支援)19.研究活動の低下が懸念される教員が少なくないので、研究時間の確保などの改善が必 要である。(10.教員組織・職員組織) 20.「北陸大学自己点検・評価規定」に定められた自己点検項目に基づく独自の自己点検・ 評価を定期的かつ継続的に実施する必要がある。(13.自己点検・評価)
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1:提言 改善報告審議結果 |
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再評価改善報告書 基礎資料 正誤票 |
再評価報告書
総評
北陸大学 総評北陸大学薬学部薬学科は、教育研究上の目的を「人材養成の目的」とし、「医療人としての倫理観、使命感、責任感及び高度な薬学の知識・技能を身に付け、臨床の現場で実践的な能力を発揮できる薬剤師を養成する。」を教育研究上の目的として定め、これに基づき学位授与の方針(ディプロマ・ポリシー)とその達成に向けた教育課程の編成・実施の方針(カリキュラム・ポリシー)と入学者受入方針(アドミッション・ポリシー)を定めて6年制薬学教育を行っている。北陸大学薬学部薬学科の教育プログラムは、2015(平成27)年度に行った本評価において、「カリキュラム編成」、「実務実習」、「問題解決能力の醸成のための教育」、「学生の受入」、「成績評価・進級・学士課程修了認定」に重大な問題点が見出され評価継続となったため、それらの問題点に対する改善結果について再評価を行った。「カリキュラム編成」に関しては、薬学共用試験CBT(Computer Based Testing)対策としての4年次後期の「基礎知識学習」が 2018(平成 30)年度より廃止され、同時に「総合演習 IV」に問題発見・解決能力を身につけることを目的としたTBL(Team-BasedLearning)、PBL(Problem-Based Learning)を取り入れるなど、考える力を育成する科目へと変更された。また、国家試験対策としての5年次「事前総合薬学演習」を 2016(平成 28)年度から廃止し、さらに 2017(平成 29)年度からは、それまで6年次前期に時期を早めて行っていた「総合薬学演習」をカリキュラムどおり6年次後期のみの開講とする- 2 -こととした。これらの対応により、6年次前期を卒業研究に充てられるようにし、卒業研究の発表日(「総合薬学研究発表会」)も従来の6月から8月初旬に設定することにより、課題解決型に向けた卒業研究の拡充が図られた。これらにより、北陸大学薬学部のカリキュラムは、薬学共用試験CBTや国家試験の対策に偏った教育から脱却し、カリキュラムは、カリキュラム・ポリシーに基づいた教育が構築されている。「実務実習」に関しては、薬学共用試験の成績が一定水準を下回った場合に「実務事前学習」の成績評価を「不可」とすることが行われていたが、2015(平成 27)年度より本制度は廃止され、本評価で問題点として指摘された重大な問題点が解消された。「問題解決能力の醸成のための教育」に関しては、2015(平成 27)年度の評価機構による評価の際に指摘された5年次の「事前総合薬学演習」が 2016(平成 28)年度に廃止され、さらに 2017(平成 29)年度からは、それまで6年次前期に時期を早めて行われていた「総合薬学演習」がカリキュラムどおりの6年次後期のみの開講となり、これらに伴い、卒業研究に4年次の3月から6年次の7月までの 10 か月間が充てられるようになった。卒業研究にあたる「総合薬学研究」の評価も改善が図られ、個別評価項目として「出席」、「研究姿勢」、「研究内容」、「プレゼンテーション能力」、「総合評価」、「概評」について統一的なルーブリックが作成され、その指標を全研究室主宰教員が用いて評価することとなり、これにより、成績評価の平等性ならびに厳格性が担保され、適切な評価が行われるようになった。6年次の「総合薬学演習」の評価についても改善が図られ、「基本的な資質としての知識」、「課題解決能力」、「プレゼンテーション能力」などについて、ルーブリック、チェックリストを用い、学部教育で培われた学生個々の資質・能力(コンピテンス)を総合的に評価する方法に変更された。「学生の受入」に関しては、入学者の選抜について 2015(平成 27)年度の評価機構による評価の際に指摘された事項を参考に改善が図られ、2019(平成 31)年度入学者選抜から、入学者選抜が薬学部教授会の審議事項となり、その結果を基にアドミッション委員会にて審議され、そこで作られた原案を基に全学教授会で最終的に決定されることとなった。さらに、入学定員充足率についても、2015(平成 27)年度に 306 名であった入学定員を 2020年度に 160 名(2021 年度からは 125 名)へと漸次削減させたことにより、未だ入学定員との乖離は大きいとはいえ、改善に向かっている。「成績評価・進級・学士課程修了認定」に関しては、卒業留年となった学生については、再履修を行わずに年度途中で単位を付与する制度を撤廃し、低学年次留年生と同様に該当科目の再履修が義務づけられることとなった。卒業留年が確定した学生への対応も、担任- 3 -教員、薬学部長および教務委員長が個別かつ迅速に面談し、学修状況のみならず精神面などの状況把握に努めることに変更された。また、保護者への対応も、電話および文書で卒業留年に至るまでの経緯などを十分に説明し、必要に応じて個別面談等が実施される制度に改善された。さらに、国家試験終了後の3月末での卒業認定も 2017(平成 29)年度以降は廃止された。2015(平成 27)年度評価時の「学力不足による留年が退学につながるケースが多い」との指摘については、対応策の一つとして、2018(平成 30)年4月から、学生の学習支援に加え、FD(Faculty Development)の開催、教学IR(Institutional Research)等を任務とする薬学教育研究センターを設置して対応にあたることとなった。2016(平成28)年9月からは、薬学部教授会の下に、薬学部生の退学・留年削減を目的とした「薬学部退学・留年防止委員会」が設置され、同委員会で、学生の在籍状況(留年・休学・退学など)の分析と対応策の検討が行われている。このように、再評価によって本評価で評価継続の理由となった重要な問題点についての改善が行われていることが確認された。また、再評価の対象とはならなかった中項目に関しても、本評価における提言への対応がなされ、薬学部薬学科の教育研究目的および3つのポリシーに基づき、カリキュラムの検証と改善を図り、必要に応じた変更を速やかに行う体制を整備されるなど、改善が進められている。以上のように、北陸大学薬学部薬学科は、本評価において指摘された多くの問題点に対して真摯に改善に取り組んでおり、本評価において適合と判断されていた諸項目を合わせて、本機構の定める「薬学教育評価 評価基準」に適合していると判断できる。北陸大学薬学部薬学科には、再評価で指摘された改善すべき点と助言、および本評価の提言への対応が十分にはなされていない問題点の改善に取り組み、薬学教育のさらなる向上に努めることを期待する。
大学への提言
北陸大学 大学への提言1)助言1. 実務実習の「総合的な学習成果」の評価指標として設定されているものは科目の成績評価基準であるため、実務実習の「総合的な学習成果」の評価指標の設定とそれに基づく評価を実施することが望ましい。(5.実務実習)2. 「総合薬学研究」の成績評価のための観点と指標(卒業研究のためのルーブリック表)が設定されているが、観点に研究成果の医療や薬学における位置づけの考察に関する内容を加えることが望ましい。(6.問題解決能力の醸成のための教育)3. 入学定員充足率は改善傾向にあるが、未だ入学定員との乖離は大きく、さらなる努力が望ましい。(7.学生の受入)4. 留年率と退学率は高く、薬学部退学・留年防止委員会や薬学教育研究センターが設置され改善が図られているが、これら委員会による入学選抜および学生教育体制のさらなる改革が期待される。(8.成績評価・進級・学士課程修了認定)5. 総合的な学習成果の評価指標の設定とそれに基づく評価がなされていないため、さらなる検討が期待される。(8.成績評価・進級・学士課程修了認定)2)改善すべき点1. 実務実習事前学習の目標達成度を総合的に評価するための指標が設定されておらず、目標達成度の総合的な評価もなされていないため、改善が必要である。(5.実務実習)2. 「総合薬学研究」の評価は全て研究室主宰教員のみが行い、複数の教員による評価が行われていないため、複数の教員による卒業論文の評価が必要である。(6.問題解決能力の醸成のための教育)
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| 東京薬科大学 | 私 | 東京都 | 第1期 | 2015年度 | 適 |
自己点検・評価書 基礎資料 正誤票 |
評価報告書
総評
東京薬科大学 総評東京薬科大学の理念・目的は、「東京薬科大学学部学則」において、「本学は教育基本法及び学校教育法の主旨に従い、ヒューマニズムの精神に基づいて、視野の広い、心豊かな人材を育成し、薬学並びに生命科学の領域における教育と研究を通じて、人類の福祉と世界の平和に貢献することを目的とする。」と定められている。薬学部の教育研究上の目的は、「医療を担う薬学人に相応しい充分な知識と技術、及び人類の福祉に貢献できる豊かな人間性と広い視野を持つ人材の育成を目的とする。」と定められており、大学の理念・目的に基づいて設定されている。また、薬学6年制への移行にともない、医療薬学科、医療薬物薬学科、および医療衛生薬学科の3学科制とし、各々の学科の教育研究上の目的は学則で定められている。薬学教育カリキュラムは、カリキュラム・ポリシー(教育課程の編成・実施方針)に基づいて編成されており、教養科目および基礎教育から臨床教育にいたる科目が配置され、医療人として生命に関わる薬学専門家にふさわしい行動を身に付けるための教育が体系的に行われている。大学独自の薬学専門教育については多くの科目が配置されており、特に少人数クラスの「ゼミナール」では、問題解決能力、プレゼンテーション能力、コミュニケーション能力の醸成が図られている。実務実習事前学習は、実務実習モデル・コアカリキュラムに準拠し、適切な指導体制の下に行われている。実務実習の指導体制については、実習施設ごとに担当する教室が決められており、薬学部の全教員が何らかの形で実務実習の指導に参画することで、施設との緊密な連携体制が構築されている。担当教室の教員は、実習期間中に原則として3回の訪問を行い、実習施設との情報交換と学生の指導にあたっている。 卒業研究としての「課題研究」は 14 単位が配当され、実験研究コースと調査研究コー- 2 -スの2コース制で実施されている。実施期間は4年次~6年次9月までの2年半となっている。入学試験はアドミッション・ポリシー(入学者受入方針)に基づいて適正に実施され、入学者数と入学定員との間には大きな乖離はない。学生の成績評価・進級・学士課程修了認定についてはおおむね適切に行われている。学生の支援については、修学支援、奨学金制度、ヘルス・メンタルケア、ハラスメント防止、キャリア支援などの体制が整備されている。専任教員の職位と年齢構成については、比較的バランスよく構成されている。教育研究上の目的に沿った教育を実施するための施設・設備は整備されており、また、薬剤師会などと連携し、薬学の発展に努めている。平成21年以来、自己点検・評価を毎年行うことにより多数の課題を、自己評価委員会、自己評価実施委員会および自己評価実施検討委員会(薬学部)で可視化することができている。以上のように、東京薬科大学薬学部の教育プログラムは本機構の評価基準におおむね適合していると判断できる。しかしながら、以下の諸問題については改善を図る必要がある。1)「課題研究」の調査研究コースにおいて国家試験対策科目である「4P80 演習」が5年次(3単位)および6年次(3単位)に実施されていることは、卒業研究であるこのコースの教育が国家試験準備を重視したものとなっていることを示しており、改善が必要である。2)コミュニケーション能力および自己表現能力を身につけるための教育において、目標達成度を評価するための指標の設定と、それに基づいた適切な評価が行われておらず、今後の更なる改善が必要である。3)卒業研究に割り当てられた単位数に「課題研究」の実験研究コース(14単位)と調査研究コース(8単位)で差がある。問題解決能力醸成を目的とする卒業研究の単位数にコース間で差があることは問題であり、改善が必要である。4)問題解決能力の醸成に向けた教育全体において、目標達成度を総合的に評価する指標を設定し、適切に評価する必要がある。5)成績評価の基準が「履修規程」などに規定されておらず、基準が科目によって異なることは評価の厳正さを損なうので、改善する必要がある。6)「共用試験に合格した者が事前実務学習(実務実習事前学習Ⅱ)を受講出来る」とすることは、「共用試験」の合格を「実務実習事前学習Ⅱ」の単位認定要件にしていることになり、不適切であり、早急に改善する必要がある。- 3 -東京薬科大学薬学部は、特色ある教育プログラムと優れた教員および設備を有し、教育への熱心な取り組みがうかがえる。本評価で指摘された問題点の改善に取り組み、さらに発展することを期待する。
大学への提言
東京薬科大学 大学への提言1)長所1.「薬学入門」、「薬学入門演習Ⅰ」、「薬学入門演習Ⅱ」については、ポートフォリオを作成させ、評価基準を示して自己評価ならびに教員による評価が行われていること。(3.医療人教育の基本的内容)2.早期体験学習報告会での学生全員と教員との総合討論、および投票形式による発表評- 27 -価が行われていること。(3.医療人教育の基本的内容)3.全教員を対象とした「臨床研修留学規程」が策定されており、臨床現場での研修活動を支援する制度やUCSFなどでの研修制度が整備されていること。(10.教員組織・職員組織)2)助言1.学則にある教育研究上の目的は「授業計画」(シラバス冊子)などにも明確に収載されることが望ましい。(1.教育研究上の目的)2.カリキュラムマップおよびラーニングマップを、学生への周知のために、「授業計画」などに収載することが望まれる。(2.カリキュラム編成)3.「コミュニケーション論」(1年次)は薬剤師教育に必須であるので、必修科目とすることが望まれる。(3.医療人教育の基本的内容)4.早期体験学習は1人1施設の見学にとどまっているので、増やすことが望ましい。(3.医療人教育の基本的内容)5.「インターンシップ」や「キャリア育成講座」は、多くの学生が履修できるように努めることが望ましい。(3.医療人教育の基本的内容)6.卒後・生涯教育講座に学生の出席を認めているが、参加者は僅かであり、増やすことが望ましい。(3.医療人教育の基本的内容)7.カリキュラムマップを、基礎と臨床の関連を理解できるように作り直すことが望ましい。(4.薬学専門教育の内容)8.基礎資料3において、C領域のすべてのSBOsにアドバンス演習が対応していることになっているが、演習科目は技能に関するSBOsに対応していないと思われるので、除外することが望まれる。また、「医療倫理」に充てられている態度に関するSBOsはこの科目の方略には対応していないので、除外することが望まれる。(4.薬学専門教育の内容)9.「授業計画」において成績評価方法における形成的評価および総括的評価や準備学習の記載が統一されていないので、統一が望まれる。(4.薬学専門教育の内容)10.大学独自の科目あるいは独自の内容を含む科目をシラバスに明示することが望まれる。(4.薬学専門教育の内容)11.実習指導者は日本薬剤師研修センターが認める認定実務実習指導薬剤師であることが原則であるので、認定薬剤師の確保に努めることが望まれる。(5.実務実習)- 28 -12.教室、研究室、センターなどに配属された学生の数は、教員一人あたり平均9名であり、ほとんどの配属先では平均的な学生数となっているが、教員一人あたりの学生数が15名を超えているところもあり、指導の実態に対する点検・評価が望まれる。(6.問題解決能力の醸成のための教育)13.口頭発表会は公開で実施されているが、所属研究室が主となって行われているため、学部が主となり、学部全体での発表会にすることが望ましい。(6.問題解決能力の醸成のための教育)14.参加型プログラムを実施している科目の特徴をシラバスに明示することが望ましい。(6.問題解決能力の醸成のための教育)15.全ての基礎実習のシラバスにSGDを実施していることを記載することが望まれる。(6.問題解決能力の醸成のための教育)16.医療人としての適性を評価するための面接は、総募集人員の約半数を占める一般入試では実施されておらず、今後、「適性検査」の導入を含めての対応が望まれる。(7.学生の受入)17.平成25年度と26年度には適正な入学者を確保することができなかったことから、綿密に入学者数の予測を立てて合格者が決定されることが望ましい。(7.学生の受入)18.「授業計画」の成績評価方法に「パフォーマンス」の項目を設け、多面的な評価を教員・学生に意識させているとあるが、「授業計画」にパフォーマンス評価項目が記載されているのはごく一部の科目であり、すべての科目に記載することが望まれる。(8.成績評価・進級・学士課程修了認定)19.一部の科目では追再試験が本試験とほぼ同一の問題で行われているので、問題の変更が望まれる。(8.成績評価・進級・学士課程修了認定)20.学費減免型の特別奨学生制度の1年次生の対象者は、一般入試B方式合格者に限られているが、他の方式も含めて公平性をもたせることが望ましい。(9.学生の支援)21.学部の基礎実験では、学生約150名に対し、教員およびTAが6〜11名で指導とあるが、安全確保のため指導者1名あたりの学生数を可能な限り少なくすることが望まれる。(9.学生の支援)22.平成26年度は、教職員を主とする消防訓練が実施されているが、これは全学生を対象に毎年実施されることが望ましい。(9.学生の支援)23.教員学生比率(20.0)の改善のために教員の増員が望まれる。(10.教員組織・職員組織)- 29 -24.ホームページ上に教員の業績が開示されることになっているが、開示していない教員があり、また業績が更新されていない場合があるので、全教員について新しい業績を開示することが望まれる。(10.教員組織・職員組織)25.個々の教員で講義、実習、演習に関わる時間数に大きな差(最大16.6、最少0.8)があることから、これらの時間数の差を少なくすることが望ましい。(10.教員組織・職員組織)26.配属学生1名あたりの研究室の広さの差を少なくすることが望まれる。(11.学習環境)27.国際学会への参加者は比較的多いが長期出張者は僅かであり、増加が望まれる。(12.社会との連携)28.自己評価委員会には4名の外部委員が含まれており、草案の査読の結果を委員会に示し、改善につなげているとされているが、外部委員は委員会における審議にも恒常的に参加することが望ましい。(13.自己点検・評価)29.自己評価委員会のメンバーは教授で占められており、若手の准教授などの参画が望まれる。(13.自己点検・評価)3)改善すべき点1.「課題研究」の調査研究コースにおいて国家試験対策科目が5年次(3単位)および6年次(3単位)に実施されていることは、卒業研究である調査研究コースの教育が国家試験準備を重視したものとなっていることを示しており、改善が必要である。(2.カリキュラム編成)2.コミュニケーション能力および自己表現能力を身につけるための教育において、目標達成度を評価するための指標の設定と、それに基づいた適切な評価が行われておらず、今後の更なる改善が必要である。(3.医療人教育の基本的内容)3.卒業論文の評価が学生と同じ教室に所属する主および副指導教員により行われていることから、評価の客観性に問題があるので、改善する必要がある。(6.問題解決能力の醸成のための教育)4.問題解決能力の醸成に向けた教育全体において、目標達成度を総合的に評価する指標を設定し、適切に評価する必要がある。(6.問題解決能力の醸成のための教育)5.「課題研究」の実験研究コースでは14単位全てが卒業研究に充てられるのに対して調査研究コースでは国家試験対策科目(6単位)が含まれているため、臨床関連の講義お- 30 -よび「PBLT」を含めても卒業研究の単位は8単位である。問題解決能力醸成を目的とする卒業研究の単位数が両コース間で差があることは問題であり、改善が必要である。(6.問題解決能力の醸成のための教育)6.成績評価の基準が「履修規程」などに規定されておらず、基準が科目によって異なることは評価の厳正さを損なうので、改善する必要がある。(8.成績評価・進級・学士課程修了認定)7.成績評価において、科目内で筆記試験、レポート点など複数の評価方法を用いる場合、評価方法ごとの最終成績に与える寄与率をシラバスに記載する必要がある。(8.成績評価・進級・学士課程修了認定)8.「共用試験に合格した者が事前実務学習(実務実習事前学習Ⅱ)を受講出来る」とすることは、「共用試験」の合格を「実務実習事前学習Ⅱ」の単位認定要件にしていることになり、不適切であり、早急に改善する必要がある。(8.成績評価・進級・学士課程修了認定)9.自己点検・評価の結果を教育研究活動に反映させる体制が強化・改善される必要がある。(13.自己点検・評価)
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| 第1期 |
2015年度 |
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3:但し書き 改善報告審議結果 2017/5/26 |
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| 東京理科大学 | 私 | 東京都 | 第1期 | 2015年度 | 適 |
自己点検・評価書 基礎資料 正誤票 |
評価報告書
総評
東京理科大学 総評東京理科大学の建学の精神は「理学の普及を以て国運発展の基礎とする」であり、「自然・人間・社会とこれらの調和的発展のための科学と技術の創造」を教育研究理念としている。この理念に基づいて、東京理科大学の教育・研究目的を「一般教養とともに理学、薬学及び工学の原理及びその応用を教授研究し、人格高く、かつ、応用力に富む有為の人物を育成して、文化の進展に寄与すること」として学則に定めている。6年制薬学科の教育研究上の目的は、「医薬品の作用機序、安定性等の薬剤師の職能の基盤となる専門的知識及び関連する技能、態度を習得し、ヒューマニティと高度化する医療に適切に対応できる研究心を兼ね備えた薬剤師の育成」と学則に規定されている。この教育研究上の目的に従って、アドミッション・ポリシー(入学者受入方針)、カリキュラム・ポリシー(教育課程の編成・実施の方針)及びディプロマ・ポリシー(学位授与の方針)が設定され、ホームページ、学修簿及び薬学部パンフレットに記載、公表されている。医療人としての薬剤師養成の薬学教育カリキュラムは、基本的に薬学教育モデル・コアカリキュラムにほぼ準拠している。学習者参加型の教育科目、問題解決型の教育科目、ヒューマニズム・医療倫理教育の科目もバランスよく配置されているが、開講科目が多く、過密なカリキュラムとなっているので、選択科目の受講率が低い傾向にある。その中で「最新薬剤師業務」の中の「ケア・コロキウム」は医療人養成を目的とした他大学との協力授業であり、特色あるInterprofessional Education(IPE)として評価できる。学生の受入は入学者受入方針に基づいて行われ、成績評価、進級はおおむね公平・厳密に行われている。専任教員は大学設置基準を満たしており、教育・研究環境は充実している。- 2 -以上のように、東京理科大学薬学部薬学科の薬学教育プログラムは本機構の評価基準におおむね適合しているが、以下のような重要な問題点がある。1. 「特別講義1」(選択)の成績評価が、外部試験であるCBTの成績(正答率)を活用して行われている現状は、大学に求められている公正かつ厳格な成績評価の観点からは不適切であり、改善する必要がある。2. 6年間の教育を総合的に判断する科目(必修)としての「特別講義2」の成績判定では合格基準を定め、それに基づいた判定を行っているが、再試験ではそれを下回る基準で判定が行われている。このことは、公平かつ厳格な評価の観点からは問題があり、改善する必要がある。3. ヒューマニズム教育・医療倫理教育や、コミュニケーション能力および自己表現能力醸成教育のための科目の多くが選択科目として開講されているが、6年制薬学教育の中でも重要な科目なので、全学生が履修できるように必修化することが求められる。4. ヒューマニズム教育・医療倫理教育、コミュニケーション能力および自己表現能力醸成教育、実務実習事前学習、問題解決能力の醸成に向けた教育に関し、これらの目標達成度を評価するための指標を設定し、それに基づき適切に評価するよう改善が求められる。東京理科大学薬学部は、筑波大学医学部・看護学部との医療連携を基にした特色ある教育プログラムを構築しており、チーム医療に貢献できる薬剤師の養成など、薬剤師教育に熱心に取り組む姿勢がうかがえる。今後はさらにその特徴を伸ばし、また指摘された改善すべき点や助言を踏まえ、より一層の改善・改革を進めることで6年制薬学教育の更なる発展を期待する。
大学への提言
東京理科大学 大学への提言1)長所1. 「最新薬剤師業務」の中の「ケア・コロキウム」は筑波大学の医学・看護学・医療科学部と連携して行っており、特色あるIPEとして評価される。(3.医療人教育の基本的内容)2)助言1. 薬学部薬学科の教育研究上の目的について、定期的な検証が望まれる。(1.教育研究上の目的)2. カリキュラム・ポリシーを学生に十分に周知するために、ガイダンス資料やカリキュラム・マップ等の資料を配布するなどの工夫が望まれる。(2.カリキュラム編成)3. カリキュラム・ポリシーに記載されている「ヒューマニティと研究心にあふれる高度な薬剤師の育成」を具現化するための科目が、全学年を通して接続性を考慮して開講されていないなど、カリキュラム・ポリシーの精神がカリキュラムに必ずしも反映されているとは言えないので、改善が望まれる。(2.カリキュラム編成)4. 「特別講義1」(選択専門科目)で行われている「自己学習システム」を利用した試験の成績を基に成績下位の学生を受講させることは好ましくないので、改善が望まれる。(2.カリキュラム編成)5. 「特別講義2」の単位数に関し、実際の授業コマ数に対応するように整合性を図ることが望まれる。(2.カリキュラム編成)6. 薬学教育モデル・コアカリキュラムのSBOsのうち、態度領域の一部が実施されていないことは問題であるので、改善が望まれる。(3.医療人教育の基本的内容)7. 英語教育は実質的には1年次、2年次の2年間であり、医療現場で必要とされる英語教育を充実させるためには、高学年においても英語を学べる体系化されたカリキュラム編成を行うことが望まれる。(3.医療人教育の基本的内容)8. シラバスの表記[到達目標、授業計画、評価方法]を統一し、履修する学生に分かりやすく記載することが望まれる。(4.薬学専門教育の内容)9. 実務実習事前学習として、122コマを確保することが望まれる。また、実務実習事前学習は「医療薬学実習」と「調剤学1、2」で構成されていることをシラバス等に記載し、周知することが望まれる。(5.実務実習)- 21 -10. 教員の実務実習施設への事前打ち合わせ、実習期間中の訪問を電話のみで済ますことなく、教授会で決定したとおりに徹底されることが望まれる。(5.実務実習)11. 科目関連図に「薬学総合研究」(卒業研究)を加えることが望まれる。(6.問題解決能力の醸成のための教育)12. 「卒業論文」と「卒業論文要旨」の位置づけを明確にすることが望まれる。(6.問題解決能力の醸成のための教育)13. 試験の答案の保存、学生への答案用紙・成績のフィードバック、成績の分布の作成等について教員全体に周知することが望まれる。(8.成績評価・進級・学士課程修了認定)14. ホームページに記載されているディプロマ・ポリシーは学修簿に記載された内容と異なっていたので、ホームページの維持・管理には十分な注意を払うほか、ポリシーの定期的な検証が望まれる。(8.成績評価・進級・学士課程修了認定)15. ディプロマ・ポリシーに基づいた総合的な学習成果を測定するための指標を設定し、それを基に評価することが望まれる。(8.成績評価・進級・学士課程修了認定)16. 薬学科のFD活動の充実を図ることが望まれる。(10.教員組織・職員組織)17. 教員の長期海外出張制度の充実を図ることが望まれる。(12.社会との連携)18. 自己点検・評価実施委員会に外部の委員も加えることが望まれる。(13.自己点検・評価)3)改善すべき点1. 模擬試験(外部の試験の導入)、秋季講習会、直前ゼミ(外部講師によるゼミ)の開講を正規の授業である「特別講義2」と一体化して案内しないように改善する必要がある。(2.カリキュラム編成)2. ヒューマニズム教育・医療倫理教育や、コミュニケーション能力および自己表現能力醸成教育のための科目の多くが選択科目として開講されているが、必修化するよう改善する必要がある。(3.医療人教育の基本的内容)3. ヒューマニズム教育・医療倫理教育や、コミュニケーション能力および自己表現能力醸成教育の目標達成度を評価するための指標を設定し、それに基づいて適切に評価するように改善する必要がある。(3.医療人教育の基本的内容)4. 全学生が薬学教育モデル・コアカリキュラムのSBOsに準拠した科目を履修できるように改善する必要がある。(4.薬学専門教育の内容)- 22 -5. 大学独自のSBOsがモデル・コアカリキュラムのSBOsと判別ができるようにシラバスの記載を改善する必要がある。(4.薬学専門教育の内容)6. 実務実習事前学習の到達目標は実務実習モデル・コアカリキュラムに準拠して実施するように改善する必要がある。(5.実務実習)7. 実務実習事前学習全体の目標達成度を評価する指標を設定し、それに基づく評価をする必要がある。(5.実務実習)8. 「薬学総合研究」の最終評価は所属研究室の指導教員に任されているが、学科として統一した基準の下で評価するよう改善する必要がある。(6.問題解決能力の醸成のための教育)9. 問題解決能力の醸成に向けた教育において、目標達成度を評価するための指標を設定し、その指標に基づいて評価を行うよう改善する必要がある。(6.問題解決能力の醸成のための教育)10.「特別講義1」(選択)の成績評価がCBTの成績(正答率)を活用して行われている現状は、CBTに不合格の学生は同時に「特別講義1」も不合格になるので、早急に改善する必要がある。(8.成績評価・進級・学士課程修了認定)11.「特別講義2」の成績判定では65%を合格基準と定めているが、再試験ではそれを下回る基準で判定が行われている。このように、必ずしも公平かつ厳格に評価が実施されていないので、改善する必要がある。(8.成績評価・進級・学士課程修了認定)12. 薬学教育プログラムの改善に関する点検項目を決定し、定期的、恒常的に検証して、PDCAサイクルを介して教育研究活動を改善する体系的なシステムを構築する必要がある。(13.自己点検・評価)
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| 第1期 |
2015年度 |
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3:但し書き 改善報告審議結果 2017/5/26 |
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| 東北医科薬科大学 | 私 | 宮城県 | 第1期 | 2015年度 | 適 |
自己点検・評価書 基礎資料 正誤票 |
評価報告書
総評
東北医科薬科大学 総評東北薬科大学は、建学の精神「われら真理の扉をひらかむ」のもと、教育目的「薬学に関する高度の専門知識を修得させ、社会に貢献できる薬剤師の養成を主たる目的とする。」に基づいて、学位授与の方針、教育課程の編成・実施の方針、入学者受入方針を制定し、6年制薬学教育を実践している。カリキュラムは、医療人として心豊かな人間性を育み、薬剤師に必要な知識・技術を修得し、医療現場で活躍できる人材を養成することを目的に編成され、入学早期から、教養教育、コミュニケーション教育を介して医療人を目指して学ぶ自覚を養っている。薬学専門科目は、薬学教育モデル・コアカリキュラムに準拠しており、低学年から演習科目を多く取り入れ、学年進行に従って高度で専門的な知識・技術を修得させている。また、高学年では、PBL(Problem Based Learning 問題解決型学習)授業を取り入れた医療系科目や実務実習、卒業研究を通じて、医療人に必要な知識・技能・態度と倫理観、医療現場で活躍できる総合的な実践能力を修得させている。実務実習に関しては、3年次から4年次にかけて実務実習事前学習に相当する科目を配置し、5年次の実務実習は、全教員が施設訪問を行い、学生の実習実施状況や出席状況を確認するなど、おおむね基準に適合した体制で進められている。問題解決能力の醸成を目的とした科目としては、5年次に「処方解析Ⅰ~Ⅳ」「症例解析Ⅰ~Ⅳ」「処方実務演習Ⅰ~Ⅱ」を、5、6年次に「卒業研究」を設定している。- 2 -入学者の選抜は、一般試験、指定校制および公募制推薦試験により行われている。学生の成績評価・進級・学士課程修了認定は、後述する問題点を除けば、おおむね適正に実施されている。学生の支援も適正に実施されており、薬学教育センター学習支援部による留年生など成績不振者への学習指導のほか、大学独自の奨学金制度、震災被災学生への救済制度など経済的支援も整えている。教員組織としては、十分な教育・研究上の実績を有する85名の専任教員が配置され、教員の研究環境および学生の学習環境も十分に整えられている。社会との連携は、共同研究や、薬剤師の生涯教育などを介して実施されている。自己点検・評価に関しては、対応する委員会が設置され、日本高等教育評価機構の認証評価の結果がホームページで公表されている。以上のように、東北薬科大学の薬学教育プログラムは、全体として本機構の評価基準におおむね適合しているが、以下の重大な問題点について、改善が必要である。1. 6年次演習科目の15科目7.5単位の科目名を、「教授要目」に記載されている授業計画・講義内容と整合性が取れるように修正すべきである。2. 卒業研究の成績評価については、ルーブリック評価など客観的な評価方法を利用し、かつ複数の教員が、成績評価・単位認定に関わるように、改善すべきである。3. 4年次の薬学統合講義科目および「実務模擬実習」の単位の認定について、共用試験の結果を含めた判定は、大学としての公正かつ厳格な成績評価および単位認定という観点から不適切であり、改善する必要がある。4. 6年次後期の演習科目のみが未修得で、卒業留年となった学生に対する演習科目の再履修については、「再履修」の評価としての厳格性を確保するため、講義内容と講義時間、また卒業試験(薬学総合演習試験)の実施方法および判定基準を、6年次正規履修時と同一にする必要がある。また、予備校などの外部講師による講義の受講状況を「卒業試験」受験資格などとしているなど不適切な対応を改善する必要がある。東北薬科大学薬学部には、本評価で指摘された「改善すべき点」、「助言」に適切に対応することで、より優れた薬学教育を展開されることを期待する。
大学への提言
東北医科薬科大学 大学への提言1)助言1. 教育研究上の目的を学生便覧に、分かりやすく掲載することが望まれる。(1.教育研究上の目的)2. 基礎資料4のカリキュラムマップに記された各科目に対応する「ディプロマ・ポリシー」の文言を、学生に理解しやすいように統一的文言で表記することが望まれる。(2.カリキュラム編成)3. ヒューマニズム教育・医療倫理教育に関わるこれら科目の評価は、科目ごとに筆記試験、レポート、SGDでの発表などで行われており、その方法はシラバスに掲載されている。しかし、評価方法の記載内容としては、1年次の「薬学早期体験学習」の「総- 32 -合的に評価する」、4年次の「地域医療Ⅰ」の「主に定期試験によって評価する」などのように、評価対象、評価方法が明確でないものが散見されるので、明確に示すことが望まれる。(3.医療人教育の基本的内容)4. 1〜2 年次に教養教育科目として開講されている「哲学」「論理学」「こころの科学」「文章の表現」「社会の仕組」「現代の社会」「倫理学」「総合文化研究」については、すべて必修科目であり、選択科目が用意されていないのは問題である。他の分野の科目も加えて、社会のニーズや学生のニーズに応じて選択科目として履修できるように設定することが望まれる。(3.医療人教育の基本的内容)5. 薬害や医療事故に関する教育は十分に行われていると考えられるが、大部分が講義(座学)であり、評価方法も定期試験によるものが大半なので、科目によっては工夫が望まれる。(3.医療人教育の基本的内容)6. 「早期体験学習」の成績評価方法について、「教授要目」には、総合的に評価すると記載されているが、「2014 年度薬学早期体験学習プリント」には全日程出席すると 80 点と記載があり、整合性を取ることが望まれる。(3.医療人教育の基本的内容)7. 「英会話」は「聞く」と「書く」が中心で、「話す」要素は少ないので、これに該当する科目を増やすことが望まれる。(3.医療人教育の基本的内容)8. 態度教育の適切な方略をシラバスに明記することが望まれる。(4.薬学専門教育の内容)9. 実務実習におけるトラブル対応の体制を明確にすることが望まれる。(5.実務実習)10. SGDによる学習を採用している科目にあっても、評価が定期試験のみによって行われている科目があるので、SGDの成果などを評価に生かすことが望まれる。(6.問題解決能力の醸成のための教育)11.5年次の「症例解析Ⅰ~Ⅳ」「処方解析Ⅰ~Ⅳ」「処方実務演習Ⅰ~Ⅱ」と「卒業研究」について、両科目の学習効果が確保できるように実施時期、期間を再考することが望まれる。(6.問題解決能力の醸成のための教育)12. 6年次の「基礎学力演習」は、成績下位学生のみの受講ではあるが、週5日間のうち4日間の午前中に設定されており、十分な卒業研究の実施の観点から配慮が望まれる。(6.問題解決能力の醸成のための教育)13. パワーポイントで作成した資料などを卒業論文としている例があるので、学部全体で卒業論文の項目や形式を統一することが望まれる。(6.問題解決能力の醸成のための教育)- 33 -14. 卒業研究を学生便覧に記載し、履修期間および時間帯等、単位の根拠を明示することにより学生に周知することが望まれる。(6.問題解決能力の醸成のための教育)15. 卒業試験に該当する薬学総合演習試験は、正答率や識別指数を用いて出題された問題の妥当性を考慮した上で採点し、学生に周知した合格判定基準に従って適正に合否判定されているのにもかかわらず、「平成 26 年度 6年次後期薬学総合演習試験判定基準及び受験資格について」などの申し合わせ事項が、「合格判定は、原則として判定基準に照らして行うが、問題の難易度等を勘案し、最終的に教授会で決定する」と、卒業判定の厳格性が疑われかねない表現となっているので、実態に応じた表現に修正することが望まれる。 (8.成績評価・進級・学士課程修了認定)16. 科目によっては、複数の視点から評価する場合の点数の配分が示されていないものがあるので、点数配分を明示するよう改善が望ましい。(8.成績評価・進級・学士課程修了認定)17. 5年次「処方解析Ⅰ~Ⅳ」「症例解析Ⅰ~Ⅳ」の評価では、出席基礎点の割合が 100点満点中 75 点と高く、提出物や講義での積極性が評価に十分反映されているとは言い難いので、出席点の比率を検討することが望ましい。(8.成績評価・進級・学士課程修了認定)18. 危機管理マニュアルおよびハラスメント防止に関するリーフレットの学生編を、ホームページに掲載することが望ましい。(9.学生への支援)19. 教員1名あたりの学生数が 20.2 名と多く、教員の増員が望まれる。(10.教員組織・職員組織)20. 教授の 46%が 60 代(定年 65 歳)であり、年齢分布への配慮が望まれる。(10.教員組織・職員組織)21. 人事規定には、客観的な基準がほとんど示されておらず、規定としてあいまいな点が多いので、適正な規定を設定し、明文化することが望まれる。(10.教員組織・職員組織)22. 授業担当時間数が教員間で差が大きく、1 週間で 14.1 時間は過多な負担と言えるので、改善が望まれる。(10.教員組織・職員組織)23. 自己点検・評価委員会に外部委員を加えることが望まれる。(13.自己点検・評価)2)改善すべき点- 34 -1. 教育研究上の目的に関して、教育については学則に規定されているが、研究についての記載がないので、学則に教育研究上の目的として策定・記載することが必要である。(1.教育研究上の目的)2. 実質的に、薬剤師国家試験対策に相当する6年次の演習科目については、15 科目 7.5単位の演習科目名と、「教授要目」に記載されている授業計画・講義内容の項目(薬と生体、健康と環境、薬の効くプロセス、薬物療法、薬の体内動態と製剤化、薬剤師の責任と義務、薬剤師業務、まとめ)が乖離しているので、整合性のある科目名に修正すべきである。(2.カリキュラム編成)3. ヒューマニズム教育・医療倫理教育およびコミュニケーション教育の目標達成度評価をするための指標を定め、適切に評価する必要がある。(3.医療人教育の基本的内容)4. 実務実習事前学習に関して、目標達成度を評価するための指標を設定し、それに基づいて適切に評価する必要がある。(5.実務実習)5. 共用試験の受験者数を「自己点検・評価書」に記載することが必要である。(5.実務実習)6. 卒業研究の成績評価については、卒業研究のGIOと到達目標が明文化されているものの、具体的な評価基準がなく、研究室の教員の主観のみによって行われていると判断され、公平性に懸念される点があるので、ルーブリック評価など客観的な評価方法を利用し、かつ複数の教員が、成績評価・単位認定に関わるように、改善すべきである。(6.問題解決能力の醸成のための教育)7. 問題解決能力の醸成に向けた教育において、目標達成度を評価するための指標を設定し、それに基づいて適切に評価する必要がある。(6.問題解決能力の醸成のための教育)8. 留年者、退学者数が多いことは、薬学教育に必要な学力が不足する学生が入学している可能性が高いことを示唆しているので、選抜方法の見直しなどの改善が必要である。(7.学生の受入)9. 4年次の薬学統合講義科目および「実務模擬実習」の単位の認定について、共用試験の結果を含めて判定していることは、大学としての公正かつ厳格な成績評価および単位認定という観点から不適切であり、早急に改善する必要がある。(8.成績評価・進級・学士課程修了認定)10. 6年次後期の演習科目のみが未修得で留年となった 6年次留年生には、未修得の6年次後期演習科目を再履修させ、その成果を7月に実施する卒業試験で評価、判定する- 35 -としている。したがって、「再履修」の評価としての厳格性を確保するため、6年次留年生に対する演習科目の講義内容と講義時間、また卒業試験(薬学総合演習試験)の実施方法および判定基準を、6年次正規履修時と同一にする必要がある。特に、80 コマの授業が用意されている「基礎学力演習」が、薬剤師国家試験予備校など、学外業者により実施されるものであれば、大学教育として不適切であり、また、この講義への 2/3 以上の出席が「卒業試験の受験資格」となることは問題である。したがって、現状の制度では、再履修の評価としての厳格性が確保できないことが懸念され、講義内容、並びに卒業試験の実施、評価方法の早急な見直しが必要である。(8.成績評価・進級・学士課程修了認定)11. 6年次に実施される学外業者の作成した国家試験対策模擬試験の受験を、実質上の卒業試験である薬学総合演習試験の受験資格としていることは、「学士課程修了の認定が、公正かつ厳格におこなわれていること」とする【基準 8-3-1】にそぐわないので、受験資格の早急な改善が必要である。(8.成績評価・進級・学士課程修了認定)12. 全学的に実施された自己点検・評価の結果を教育研究活動の改善に反映できるよう、委員会運営の改善が必要である。(13.自己点検・評価)
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| 第1期 |
2015年度 |
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3:但し書き 改善報告審議結果 2017/5/26 |
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| 兵庫医科大学 | 私 | 兵庫県 | 第1期 | 2015年度 | 適 |
自己点検・評価書 基礎資料 正誤票 |
評価報告書
総評
兵庫医科大学 総評兵庫医療大学薬学部は、大学の教育理念を踏まえた学部の教育理念と教育目的、教育目標を掲げ、ディプロマ、カリキュラム、アドミッションの3つのポリシー(学位授与方針、教育課程の編成・実施方針、入学者受入方針)を定めて、社会的ニーズを反映した6年制薬学教育を行っている。看護学部/リハビリテーション学部と連携して行う3学部合同プログラムや、兵庫医科大学医学部と共に行う4学部合同プログラムは、チーム医療の実践を体感・学習できる教育プログラムであり、1年次から体系的に実施されていることは兵庫医療大学の特色である。さらに、英語教育は1年次から4年次まで体系的なプログラムを構築・実施し、医療英語を学習する興味深い取組みも行っている。「実務実習事前学習」と薬学共用試験により実務実習の能力を担保された学生は、指導薬剤師の指導のもと病院/薬局実習を行っている。5年次の「研究実習」と6年次の「研究研修」/「チーム医療研修」の組合せによって卒業研究が行われており、一部にルーブリック評価表をもちいて卒業論文や卒業研究発表会の評価を行っている。問題解決能力の醸成に向けた教育に関しては、医療に関する問題の解決に他学部学生と協働して取組む能力の涵養に努めている。さらに、担任制度、アドバイザー制度、長期密着型ゼミナール、教育支援室など多面的な修学支援制度を設けているほか、入学後の成績不良学生に対しても手厚く学習支援を行っており、自習室やグループ学習室、カンファレンス室などの学習ハード面の充実とあわせて、学生にとっては学習しやすい環境が整備されている。しかし、本機構の評価基準に照らすと、以下の改善すべき重要な問題点が指摘される。1.ヒューマニズム教育・医療倫理教育、コミュニケーション能力および自己表現能力を- 2 -身に付けるための教育の成果について、総合的な目標到達度を評価するための指標を設定し、評価が行われていないことは問題である。2.「研究活動に参加する際に基盤となる薬学に関する体系的・包括的な学識を、演習を通じて確固たるものとする」(シラバス)として卒業研究に対応する6年次の「研究研修」/「チーム医療研修」(必修)の5月以降の時間を演習に割り当て、その内容を国家試験対策としている。すなわち、6年次のカリキュラム編成が薬剤師国家試験の受験準備教育に著しく偏重したものとなっている。また、この演習授業の過半数に薬剤師国家試験予備校の講師を充てていることは、この演習が必修科目である「研究研修」/「チーム医療研修」に含まれているものであることから極めて重大な問題点である。3.「実務実習事前学習」の成績評価では知識領域の評価が50%であり、実習自体の評価が25%であることは問題である。さらに実習における技能・態度領域の目標達成度を評価するための指標を設定し、評価が行われていないことも改善すべき問題点である。4.卒業研究科目である「研究研修」/「チーム医療研修」の成績評価を研究とは直接関連しない「演習総合試験」の合格を必要条件としていることは不適切である。その上、この試験の多くに薬剤師国家試験予備校の模擬試験を流用し、合格基準をシラバスなどに明示せずに不合格としていることは、基準に従って学士課程の修了判定が公正かつ厳格に行われているとは言えず、重大な問題点である。5.「演習総合試験」が不合格で卒業できず、「研究研修」/「チーム医療研修」が継続履修となった卒業延期者の継続履修を薬剤師国家試験予備校の講習会への参加で代替にしている点、さらに、薬剤師国家試験予備校の講習会への出席状況を秋季修了判定に加味している点は、卒業延期者の教育を大学が放棄していることになる重大な問題である。6.6年制薬学教育プログラムを自ら点検・評価し、その結果を教育研究活動に反映する体制を整備し、機能させる必要がある。以上の重要な問題点については早急に改善する必要がある。それら以外の問題点についても今回の評価結果に基づいて改善に向けた取組みを進め、6年制薬学教育の向上に努めることが望まれる。
大学への提言
兵庫医科大学 大学への提言1)長所1.チーム医療学習として、3学部合同プログラムや、兵庫医科大学医学部と共に行う4学部合同プログラムを実施していることは、評価できる。(3.医療人教育の基本的内容)2.担任制度、アドバイザー制度、長期密着型ゼミナール、教育支援室など多面的な修学 支援制度を設けていることは、評価できる。(9.学生の支援)3.自習室として使用できる施設が整備されており、また、図書室・資料閲覧室には十分な閲覧座席数が確保されているほかグループ学習室が備えられている。自習室の利用時間が試験に配慮しており、さらに、年末年始を除き毎日開館していることは、評価できる。(11.学習環境)2)助言1.学則第1条の2に記述された(学部の目的)と教務便覧やホームページに記述された 教育目的は一部異なる表現で記述されているので、統一することが望ましい。(1.教育研究上の目的)2.教育研究上の目的について、定期的に検証することが望ましい。(1.教育研究上の目的)3.平成26年度のシラバスの電子化に伴い、在学生はホームページ上でしかカリキュラム・ポリシーを見ることができなくなったので、配布物等を通して周知されることが望まれる。(2.カリキュラム編成)4.卒業要件に含まれる人文社会系科目の選択科目数が少ないので、開講科目を増やすと同時に複数学年にわたって受講できるような工夫が望まれる。(3.医療人教育の基本的内容)5.英語教育のプログラムは評価できるが、「科学英語」の履修者は9名、「応用英語」の- 32 -履修者は1名と極めて少ないので、履修者を増やす努力が望まれる。(3.医療人教育の基本的内容)6.薬害、医療過誤、医療事故等の被害者やその家族、弁護士、医療における安全管理者等を講師とする科目がないので、学生が肌で感じる機会を提供することが望まれる。 (3.医療人教育の基本的内容)7.薬剤師が活躍する現場は医療機関だけではないことから、早期体験学習において、病院や薬局以外の企業や保健所などの広範な現場が見られるような取組みが行われることが望まれる。(3.医療人教育の基本的内容)8.医療の進歩に対応するために生涯学習が必要であることを、教員だけでなく、医療現場で活躍する薬剤師などからも聞く機会を直接的に設け、生涯学習に対する意欲を醸成するための教育を体系的に行うことが望まれる。(3.医療人教育の基本的内容)9.シラバスに記載されている到達目標からは、薬学教育モデル・コアカリキュラムの到達目標との対応の確認が難しいものが多いので、学生にとって分かりやすいものとすることが望まれる。(4.薬学専門教育の内容)10.「日本薬局方収載の代表的な医薬品の容量分析を実施できる(技能)」が「分析化学Ⅰ」という講義で行われていたり、「高齢化と少子化によりもたらされる問題点を列挙し、討議する(知識・態度)」が「公衆衛生学」という講義で行われていたりと、SBOsに適した学習方法が用いられていないものが幾つか見られるので、学習方法を見直すことが望まれる。(4.薬学専門教育の内容)11.実務実習全般の総合的な学習成果を適切な指標に基づいて評価することが望ましい。(5.実務実習)12.シラバスや「実務実習のしおり」に実務実習の成績評価方法を具体的に記述することが望ましい。(5.実務実習)13.実務実習の成績評価表では出席・実習態度が50%を占めているので、実習を通した学習成果に関する評価の重みを増やすことが望まれる。(5.実務実習)14.面接試験など、医療人としての適性を直接的に評価するための工夫がなされることが望ましい。(7.学生の受入)15.年度初めに開催するガイダンス・オリエンテーション等で卒業要件を学生に周知することが望まれる。(8.成績評価・進級・学士課程修了認定)16.仮進級が実施される基準がわかりにくいので、「兵庫医療大学教務に関する規程」に明記し、学生にとってわかりやすくすることが望まれる。(8.成績評価・進級・学士課- 33 -程修了認定)17.各科目の評価は1回の定期試験の結果で行われ、再試験の実施の可否は教員の裁量によって決められることが、シラバスの成績評価方法の欄に記述されている。教員によって対応が異なることは、評価の公平性に係る問題であり、改善が望まれる。(8.成績評価・進級・学士課程修了認定)18.教育研究上の目的に基づいた教育に対する総合的な学習成果について、指標を定めて評価することが望ましい。(8.成績評価・進級・学士課程修了認定)19.学生生活実態調査アンケートの回収率が50%程度を超えるように、何らかの方策を実施することが望ましい。(9.学生の支援)20.ハラスメントに関する広報は新入生ガイダンスだけでなく、各学年のガイダンスにおいて繰り返し学生に広報することが望ましい。(9.学生の支援)21.学生生活実態調査アンケート結果の分析を学生生活の質向上に結びつける体制を整備することが望まれる。(9.学生の支援)22.専任教員1名当たりの学生数は21.4名であり、教育上あるいは安全上からも教員の増員が望まれる。(10.教員組織・職員組織)23.専任教員の担当科目時間数に関して週あたり1.1時間から11時間の幅があることから、この格差を無くすことが望まれる。(10.教員組織・職員組織)24.留学生の受入・学生の海外研修・教員の海外留学等を行う体制および規程の整備が望まれる。(12.社会との連携)25.自己点検・評価委員会に外部委員を入れることが望ましい。(13.自己点検・評価)3)改善すべき点1.教育研究上の目的に、「研究を通して~」などの文言を入れて表記し、学則等に明示する必要がある。(1.教育研究上の目的)2.卒業研究である「研究研修」/「チーム医療研修」のシラバスには、「研究活動に参加する際に基盤となる薬学に関する体系的・包括的な学識を、演習を通じて確固たるものとする。」と明記されているが、5月~12月まで開講している演習は、事実上国家試験対策である。これは、6年次の卒業研究に充てるべき時間を国家試験準備教育に充てていることで、6年次のカリキュラム編成が国家試験準備教育に過度に偏重していると言わざる得ないので、早急に改善すべきである。(2.カリキュラム編成)3.卒業研究の期間が5年次、6年次をあわせても1年に満たないことは、問題解決能力- 34 -醸成のための時間が足りないことを意味しており、卒論研究の時間を充分にとることが必要である。(2.カリキュラム編成)4.国家試験予備校講師が「卒業要件単位の対象となる(必修)科目」の演習授業の多くを担当していることは、重大な問題であり、自大学の教員が担当するように、早急に改善すべきである。(2.カリキュラム編成)5.ヒューマニズム教育・医療倫理教育およびコミュニケーション能力を身につけるための教育の総合的な目標達成度を評価するための指標を設定し、これに基づいて評価を行うことが必要である。(3.医療人教育の基本的内容)6.シラバスに記述された到達目標からは、薬学教育モデル・コアカリキュラムに記述された到達目標と対応していることが確認できない科目がある。これらを是正し、6年制薬学教育に必要な多くの到達目標を必修科目として教育する必要がある。(4.薬学専門教育の内容)7.大学独自と位置付けられている薬学教育モデル・コアカリキュラム以外の科目の開講が少ないので、独自の専門教育内容を増やすことが必要である。(4.薬学専門教育の内容)8.「実務実習事前学習」の成績評価方法において、実習評価が25%で、50%が単位認定 試験・中間試験・科目別学力試験・総合学力試験等の知識領域のみの評価としている ことは問題であり、適切な評価割合に改善する必要がある。(5.実務実習)9.「実務実習事前学習」の技能・態度領域の目標到達度を評価するための指標を設定し、それに基づいて評価を行うことが必要である。(5.実務実習)10.「研究実習」の成績評価は研究指導教員のみで行われており、評価に関して十分な客観性があるとはいえないので、改善が必要である。(6.問題解決能力の醸成のための教育)11.問題解決能力の醸成に向けた教育において総合的な目標達成度を評価するための指標を設定し、それに基づいた評価を実施する必要がある。(6.問題解決能力の醸成のための教育)12.入学後の成績不良者に対する対策を手厚く行っているにも関わらず、低学年次留年率・退学率が高く、さらに、6年間の在籍で卒業できる割合が約55%である。この状況は、入学者選抜において、入学志願者の能力が的確に評価されていないことを示しているので、改善すべきである。(7.学生の受入)13.各科目のシラバスに記載されている「成績の評価方法」において複数の評価方法を用- 35 -いる場合(筆記試験、レポート、出席点、など)、最終結果に対する寄与率を示す必要がある。公平な評価のために、評価方法ごとに成績評価の具体的方法とその比率をシラバス等に明示する必要がある。(8.成績評価・進級・学士課程修了認定)14.卒業研究科目である「研究研修」/「チーム医療研修」(必修)の単位を、研究とは直接的な関連があるとは思えない国家試験準備科目である「演習総合試験」の成績で評価している点は重大な問題であり、早急に改善すべきである。(8.成績評価・進級・学士課程修了認定)15.6年次の卒業判定となる試験として「演習総合試験」が複数回実施されているが、それに薬剤師国家試験予備校が主催する模擬試験を流用していることは、学士課程の修了が基準に従って公正かつ厳格に行われているとは言えないので、早急に改善すべきである。(8.成績評価・進級・学士課程修了認定)16.「演習総合試験」の合格基準をシラバスなどで明示せずに試験を実施し、不合格者を留年・卒業延期としていることは大きな問題であり、早急に改善すべきである。(8.成績評価・進級・学士課程修了認定)17.教務に関する規程では、留年者に関しては不合格の必修科目は再履修することになっているのにもかかわらず、6年次留年生は大学ではなく、薬剤師国家試験予備校の講習会への参加で代替えにしている点、さらに、薬剤師国家試験予備校の講習会への出席状況を秋季修了判定に加味している点は大きな問題であり、早急に改善すべきである。(8.成績評価・進級・学士課程修了認定)18.大学ホームページの「情報の公表」の「研究業績DB」において、最近5年間におけ る教育研究上の業績が更新あるいは開示されていない教員が複数名確認される。この件について大学は自己点検していないので、改善する必要がある。(10.教員組織・職員組織)19.薬学部として6年制薬学教育プログラムの自己点検・評価を組織的かつ定期的に実施し、その結果を教育研究活動に反映する体制を整備し、機能させる必要がある。(13.自己点検・評価) 1)長所1.チーム医療学習として、3学部合同プログラムや、兵庫医科大学医学部と共に行う4学部合同プログラムを実施していることは、評価できる。(3.医療人教育の基本的内容)2.担任制度、アドバイザー制度、長期密着型ゼミナール、教育支援室など多面的な修学 支援制度を設けていることは、評価できる。(9.学生の支援)3.自習室として使用できる施設が整備されており、また、図書室・資料閲覧室には十分な閲覧座席数が確保されているほかグループ学習室が備えられている。自習室の利用時間が試験に配慮しており、さらに、年末年始を除き毎日開館していることは、評価できる。(11.学習環境)2)助言1.学則第1条の2に記述された(学部の目的)と教務便覧やホームページに記述された 教育目的は一部異なる表現で記述されているので、統一することが望ましい。(1.教育研究上の目的)2.教育研究上の目的について、定期的に検証することが望ましい。(1.教育研究上の目的)3.平成26年度のシラバスの電子化に伴い、在学生はホームページ上でしかカリキュラム・ポリシーを見ることができなくなったので、配布物等を通して周知されることが望まれる。(2.カリキュラム編成)4.卒業要件に含まれる人文社会系科目の選択科目数が少ないので、開講科目を増やすと同時に複数学年にわたって受講できるような工夫が望まれる。(3.医療人教育の基本的内容)5.英語教育のプログラムは評価できるが、「科学英語」の履修者は9名、「応用英語」の- 32 -履修者は1名と極めて少ないので、履修者を増やす努力が望まれる。(3.医療人教育の基本的内容)6.薬害、医療過誤、医療事故等の被害者やその家族、弁護士、医療における安全管理者等を講師とする科目がないので、学生が肌で感じる機会を提供することが望まれる。 (3.医療人教育の基本的内容)7.薬剤師が活躍する現場は医療機関だけではないことから、早期体験学習において、病院や薬局以外の企業や保健所などの広範な現場が見られるような取組みが行われることが望まれる。(3.医療人教育の基本的内容)8.医療の進歩に対応するために生涯学習が必要であることを、教員だけでなく、医療現場で活躍する薬剤師などからも聞く機会を直接的に設け、生涯学習に対する意欲を醸成するための教育を体系的に行うことが望まれる。(3.医療人教育の基本的内容)9.シラバスに記載されている到達目標からは、薬学教育モデル・コアカリキュラムの到達目標との対応の確認が難しいものが多いので、学生にとって分かりやすいものとすることが望まれる。(4.薬学専門教育の内容)10.「日本薬局方収載の代表的な医薬品の容量分析を実施できる(技能)」が「分析化学Ⅰ」という講義で行われていたり、「高齢化と少子化によりもたらされる問題点を列挙し、討議する(知識・態度)」が「公衆衛生学」という講義で行われていたりと、SBOsに適した学習方法が用いられていないものが幾つか見られるので、学習方法を見直すことが望まれる。(4.薬学専門教育の内容)11.実務実習全般の総合的な学習成果を適切な指標に基づいて評価することが望ましい。(5.実務実習)12.シラバスや「実務実習のしおり」に実務実習の成績評価方法を具体的に記述することが望ましい。(5.実務実習)13.実務実習の成績評価表では出席・実習態度が50%を占めているので、実習を通した学習成果に関する評価の重みを増やすことが望まれる。(5.実務実習)14.面接試験など、医療人としての適性を直接的に評価するための工夫がなされることが望ましい。(7.学生の受入)15.年度初めに開催するガイダンス・オリエンテーション等で卒業要件を学生に周知することが望まれる。(8.成績評価・進級・学士課程修了認定)16.仮進級が実施される基準がわかりにくいので、「兵庫医療大学教務に関する規程」に明記し、学生にとってわかりやすくすることが望まれる。(8.成績評価・進級・学士課- 33 -程修了認定)17.各科目の評価は1回の定期試験の結果で行われ、再試験の実施の可否は教員の裁量によって決められることが、シラバスの成績評価方法の欄に記述されている。教員によって対応が異なることは、評価の公平性に係る問題であり、改善が望まれる。(8.成績評価・進級・学士課程修了認定)18.教育研究上の目的に基づいた教育に対する総合的な学習成果について、指標を定めて評価することが望ましい。(8.成績評価・進級・学士課程修了認定)19.学生生活実態調査アンケートの回収率が50%程度を超えるように、何らかの方策を実施することが望ましい。(9.学生の支援)20.ハラスメントに関する広報は新入生ガイダンスだけでなく、各学年のガイダンスにおいて繰り返し学生に広報することが望ましい。(9.学生の支援)21.学生生活実態調査アンケート結果の分析を学生生活の質向上に結びつける体制を整備することが望まれる。(9.学生の支援)22.専任教員1名当たりの学生数は21.4名であり、教育上あるいは安全上からも教員の増員が望まれる。(10.教員組織・職員組織)23.専任教員の担当科目時間数に関して週あたり1.1時間から11時間の幅があることから、この格差を無くすことが望まれる。(10.教員組織・職員組織)24.留学生の受入・学生の海外研修・教員の海外留学等を行う体制および規程の整備が望まれる。(12.社会との連携)25.自己点検・評価委員会に外部委員を入れることが望ましい。(13.自己点検・評価)3)改善すべき点1.教育研究上の目的に、「研究を通して~」などの文言を入れて表記し、学則等に明示する必要がある。(1.教育研究上の目的)2.卒業研究である「研究研修」/「チーム医療研修」のシラバスには、「研究活動に参加する際に基盤となる薬学に関する体系的・包括的な学識を、演習を通じて確固たるものとする。」と明記されているが、5月~12月まで開講している演習は、事実上国家試験対策である。これは、6年次の卒業研究に充てるべき時間を国家試験準備教育に充てていることで、6年次のカリキュラム編成が国家試験準備教育に過度に偏重していると言わざる得ないので、早急に改善すべきである。(2.カリキュラム編成)3.卒業研究の期間が5年次、6年次をあわせても1年に満たないことは、問題解決能力- 34 -醸成のための時間が足りないことを意味しており、卒論研究の時間を充分にとることが必要である。(2.カリキュラム編成)4.国家試験予備校講師が「卒業要件単位の対象となる(必修)科目」の演習授業の多くを担当していることは、重大な問題であり、自大学の教員が担当するように、早急に改善すべきである。(2.カリキュラム編成)5.ヒューマニズム教育・医療倫理教育およびコミュニケーション能力を身につけるための教育の総合的な目標達成度を評価するための指標を設定し、これに基づいて評価を行うことが必要である。(3.医療人教育の基本的内容)6.シラバスに記述された到達目標からは、薬学教育モデル・コアカリキュラムに記述された到達目標と対応していることが確認できない科目がある。これらを是正し、6年制薬学教育に必要な多くの到達目標を必修科目として教育する必要がある。(4.薬学専門教育の内容)7.大学独自と位置付けられている薬学教育モデル・コアカリキュラム以外の科目の開講が少ないので、独自の専門教育内容を増やすことが必要である。(4.薬学専門教育の内容)8.「実務実習事前学習」の成績評価方法において、実習評価が25%で、50%が単位認定 試験・中間試験・科目別学力試験・総合学力試験等の知識領域のみの評価としている ことは問題であり、適切な評価割合に改善する必要がある。(5.実務実習)9.「実務実習事前学習」の技能・態度領域の目標到達度を評価するための指標を設定し、それに基づいて評価を行うことが必要である。(5.実務実習)10.「研究実習」の成績評価は研究指導教員のみで行われており、評価に関して十分な客観性があるとはいえないので、改善が必要である。(6.問題解決能力の醸成のための教育)11.問題解決能力の醸成に向けた教育において総合的な目標達成度を評価するための指標を設定し、それに基づいた評価を実施する必要がある。(6.問題解決能力の醸成のための教育)12.入学後の成績不良者に対する対策を手厚く行っているにも関わらず、低学年次留年率・退学率が高く、さらに、6年間の在籍で卒業できる割合が約55%である。この状況は、入学者選抜において、入学志願者の能力が的確に評価されていないことを示しているので、改善すべきである。(7.学生の受入)13.各科目のシラバスに記載されている「成績の評価方法」において複数の評価方法を用- 35 -いる場合(筆記試験、レポート、出席点、など)、最終結果に対する寄与率を示す必要がある。公平な評価のために、評価方法ごとに成績評価の具体的方法とその比率をシラバス等に明示する必要がある。(8.成績評価・進級・学士課程修了認定)14.卒業研究科目である「研究研修」/「チーム医療研修」(必修)の単位を、研究とは直接的な関連があるとは思えない国家試験準備科目である「演習総合試験」の成績で評価している点は重大な問題であり、早急に改善すべきである。(8.成績評価・進級・学士課程修了認定)15.6年次の卒業判定となる試験として「演習総合試験」が複数回実施されているが、それに薬剤師国家試験予備校が主催する模擬試験を流用していることは、学士課程の修了が基準に従って公正かつ厳格に行われているとは言えないので、早急に改善すべきである。(8.成績評価・進級・学士課程修了認定)16.「演習総合試験」の合格基準をシラバスなどで明示せずに試験を実施し、不合格者を留年・卒業延期としていることは大きな問題であり、早急に改善すべきである。(8.成績評価・進級・学士課程修了認定)17.教務に関する規程では、留年者に関しては不合格の必修科目は再履修することになっているのにもかかわらず、6年次留年生は大学ではなく、薬剤師国家試験予備校の講習会への参加で代替えにしている点、さらに、薬剤師国家試験予備校の講習会への出席状況を秋季修了判定に加味している点は大きな問題であり、早急に改善すべきである。(8.成績評価・進級・学士課程修了認定)18.大学ホームページの「情報の公表」の「研究業績DB」において、最近5年間におけ る教育研究上の業績が更新あるいは開示されていない教員が複数名確認される。この件について大学は自己点検していないので、改善する必要がある。(10.教員組織・職員組織)19.薬学部として6年制薬学教育プログラムの自己点検・評価を組織的かつ定期的に実施し、その結果を教育研究活動に反映する体制を整備し、機能させる必要がある。(13.自己点検・評価)
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3:但し書き 改善報告審議結果 2017/5/26 |
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| 岐阜薬科大学 | 公 | 岐阜県 | 第1期 |
2014年度 |
適 |
自己点検・評価書 基礎資料 |
評価報告書
総評
岐阜薬科大学 総評岐阜薬科大学薬学部は「薬と健康についての高度な研究に支えられた教育により、有為な薬学の専門職業人を育成し、それらを通じて社会に貢献する」ことを教育理念とし、「薬学分野における最新の学理と技術を教授研究し、高度な知識・技能並びに豊かな人間性と高い倫理観を身につけた優れた薬剤師および臨床薬学研究者を育成すること」を薬学科の教育研究上の目的として、学則第4条に掲げている。この目標に従って、6年制薬学教育の入学者受入方針(アドミッション・ポリシー)、教育課程の編成・実施方針(カリキュラム・ポリシー)および学位授与方針(ディプロマ・ポリシー)を制定している。これらは、ホームページおよび学生便覧に掲載し、公表されている。カリキュラム・ポリシーは1年次から6年次まで、学年ごとにまとめられている他、科目間の関係性や時系列もわかりやすく表現されている。国家試験準備教育に関しては、6年次後期に必修科目として「総合薬学演習(3単位)」が設定されているのみである。「ヒューマニズム・医療人教育」に関しては、1〜6年次にわたり、各学年に関係科目が配置されている。教養科目に関しては、コンソーシアムにより選択の幅が広く用意されている。生涯学習について、各種リカレント講座を開講し、学生も参加している。
薬学教育モデル・コアカリキュラムの一般目標(GIO)、到達目標(SBOs)に関して、モデル・コアカリキュラムのSBOsは、各科目に割り振られている。また、大学独自のSBOsがモデル・コアカリキュラムのSBOsと共に、各科目に配置されている。 実務実習に関しては、事前学習などでDVDを用いるなどの工夫がなされ、実習中は教養科目担当教員を除く全教員が施設を訪問し、学生・指導者・教員間で、進捗および生活状況を確認するなど、互いの連携の下で円滑な実習の実施に努力している。 卒業研究のための研究時間は適切に設定され、研究成果は、論文発表会で学生全員が口頭発表している。入学者選抜は、一般選抜、推薦入学A方式、および推薦入学B方式の3区分にわけて実施され、適正に行われている。また、入学定員に対する入学者数は妥当である。専任教員数は大学設置基準を満たしており、適切に配置されている。 学習環境に関しては、良好であり、産・官・学および医療界との連携は全体にわたりバランスよく、かつ十分に取れていることは評価できる。 しかし、改善すべき主な点として、以下のような問題点が見出される。 ヒューマニズム教育・医療倫理教育など、態度教育科目と問題解決能力醸成を目指す科目においては、特に評価基準と評価方法が明確ではない。全般的に、シラバスの不備が見られ、GIO、SBOs、学習方法、成績評価および評価基準が明記されていない。 学生の支援に関しては、事故災害時の対応マニュアルがない。また、進路支援などの委員会もなく学生への支援が十分とは言えない。また、自己点検・評価は行われているが、6年制薬学教育のプログラムに対する適切な評価項目を設定した、恒常的な自己点 検・評価はなされていない。 次に、主な助言として、以下の点があげられる。6年制薬学科の特徴を明確に示すこと、学生支援の充実、FD(Faculty Development)活動の活性化、「自己点検・評価委員会」への外部評価委員の導入などが望まれる。岐阜薬科大学には、薬科大学として培われてきた薬学教育における実績を活かしつつ、改善すべき点および助言に対し、真摯に改善に取り組むことによって、グリーンファーマシーを身につけた薬剤師を輩出することを期待する。
大学への提言
岐阜薬科大学 大学への提言1)助言(1)大学案内にも教育研究上の目的を記載することが望ましい。(1.教育研究上の目的)(2)6年制薬学科のカリキュラム・マップ、およびシラバスの内容を検討し、特徴が分かるようにすることが望ましい。(2.カリキュラム編成)(3)「ヒューマニズムおよび医療倫理教育」の中で、「薬剤師としての倫理観、使命感、職業観を醸成する」との目的に合致していない科目が散見される。適切な開講科目を増やすことが望まれる。(3.医療人教育の基本的内容)(4)医療安全教育に関し、薬害や医療過誤と関連する内容を含む科目および薬害、医療過誤、医療事故等の被害者や弁護士等を講師とする科目の開設が望まれる。(3.医療人教育の基本的内容)(5)薬剤師、他の医療関係者、薬事関係者、患者等の教育への直接的な関与が望まれる。(4.薬学専門教育の内容)(6)シラバスには学習方法を記載することが望まれる。(4薬学専門教育の内容)(7)問題解決能力醸成を目指した科目の多くが講義を中心としているので、学習方法が不適切であり、改善が望まれる。(6.問題解決能力の醸成のための教育)(8)大学としての統一した卒業論文作成指針を確立することが望ましい。(6.問題解決能力の醸成のための教育)(9)学生のキャリア支援のための体制の充実が望まれる。(9.学生の支援)(10)履修指導のガイダンスは、1、3年次以外の学年に対する履修指導が行われてお
らず、各学年ごとにガイダンスを行うのが望ましい(9.学生の支援)(11)FD活動が講演会という受動的手法でのみ行われており、目的に合わせた方略の選択に改善が望まれる。(10.教員組織・職員組織)(12)教員と事務職員が連携してのSDの開催が望まれる。(10.教員組織・職員組織)(13)基礎資料15として、全ての教員の教育・研究等に関する活動業績がまとめられている。この基礎資料と同様のものが、ホームページ等で最新の情報として公開することが望まれる。(10.教員組織・職員組織)(14)「自己点検・評価委員会」は、学部の教員及び職員のみから構成されており、外 部の委員を含むことが望ましい。(13.自己点検・評価)2)改善すべき点(1)ヒューマニズム教育・医療倫理教育において、1年次の早期体験実習、2年次の生命倫理学と哲学(哲学は選択)、6年次の臨床医学など、態度教育科目の学習方略をSBOsの領域に見合った適切なものとする必要がある。(3.医療人教育の基本的内容)(2)ヒューマニズム教育・医療倫理教育およびコミュニケーション能力・自己表現能力を身につける教育等の目標達成度を評価するための指標を設定し、それに基づいて適切に評価する必要がある(3.医療人教育の基本的内容)。(3)シラバスには、ホームページで別途掲載されている「科目目標と到達目標(GIO、SBOs)」の記載が必要である。(4.薬学専門教育の内容)(4)各科目の到達目標をモデル・コアカリキュラムのSBOsに準拠するように改善することが必要である。(4.薬学専門教育の内容)(5)実務実習事前学習の目標達成度を評価するための指標を設定し、それに基づいて適切に評価する必要がある(5.実務実習)。(6)シラバスに特別実習(卒業研究)の成績評価基準(卒業論文、発表会等)を明確に示す必要がある。(6.問題解決能力の醸成のための教育)(7)問題解決能力の醸成に向けた教育において目標達成度を評価するための指標を設定し、それに基づいて適切に評価する必要がある(6.問題解決能力の醸成のための教育)。(8)各科目の受験資格および合格基準を学生に周知するために、シラバスに各科目の基準を明記し、適切に評価する必要がある。(8.成績評価・進級・学士課程修了認定)(9)事故や災害時(台風、地震等の自然災害を含む)の対応に関するマニュアルを作成する必要がある。(9.学生の支援) |
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1:提言 改善報告審議結果 |
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| 九州医療科学大学 | 私 | 宮崎県 | 第1期 |
2014年度 |
適 |
自己点検・評価書 基礎資料 |
評価報告書
総評
九州医療科学大学 総評九州保健福祉大学薬学部薬学科は、「責任をもってチーム医療の一端を担える薬剤師の 養成を行う」という学科の理念に基づく教育研究上の目的を掲げ、充実したフィジカルア セスメント教育を特色とする臨床教育を重視した6年制薬学教育を行っている。医療人と しての基本的教育から薬学専門教育に至るカリキュラムの構成は、基本的には薬学教育モ デル・コアカリキュラムにほぼ準拠した内容になっており、基礎薬学から臨床薬学に至る まで、能動的学習方法を導入するなど、教育上の工夫が全学年にわたって効果的に配置さ れている。実務実習は、事前学習、薬学共用試験を含めて、基準を満たした内容となって いる。 学生の受入れは、アドミッション・ポリシー(入学者受入方針)に基づいて行われてお り、成績評価、進級および学士課程の修了に関する判定も、基本的には対応する規程を設 けて厳正に行われている。学生支援体制については、学修の指導と支援から、奨学金制度 やハラスメント防止対策、チューター制度に至るまで、十分に整備されており、身体に障 がいがある学生の受入れについても基準を満たす体制が整備されている。 専任教員は大学設置基準を満たしており、教員構成や教育研究の実績も十分である。ま た、教育研究に必要な経費も基準を満たしている。教育研究に必要な施設設備は基準を満 たしており、外部との交流、連携についても、教員の学外での活動、公開講座、フィジカ ルアセスメント研修会などの生涯学習プログラムの提供などが図られている。また、教育 に対する自己点検・評価については、評価を行う組織が整備され、点検・評価の結果を教 育に反映させる体制も基準に達している。 以上のように、九州保健福祉大学薬学部薬学科の教育プログラムは本機構の評価基準におおむね適合しているが、以下のような重要な問題点がある。卒業研究に相当する「特別研究」の内容と実態は、本機構の卒業研究に対する基準に適合しておらず、カリキュラム上で講義・演習科目と定義され、時間割上でもまとまった十分な時間が充てられておらず、「特別研究Ⅱ」と薬剤師国家試験準備科目である「薬学総合演習Ⅱ」との時間配分を見直すことが必要である。また、「特別研究」を含めた問題解決能力の醸成を目的とする科目について、目標達成度を評価するための指標を設定し、それに基づく評価を行うことが必要である。成績評価に関わる厳正さを保証するため、試験結果への疑義照会や再試験の実施に関する規程を設けることが必要である。専任教員の採用に関わる「全学審査委員会」の役割を、採用予定者の資格審査ではなく、本来の機能である複数の候補者からの適格な教員の選考とするよう改善することが必要である。以上の重要な問題点については、早急に適切な改善に取り組むことが必要であるが、それ以外の問題点についても、今回の評価で指摘した内容を十分に検討し、改善点の解決にむけて積極的な取り組みを進め、薬学教育の向上に努めることが望まれる。
大学への提言
九州医療科学大学 大学への提言1)長所 (1)「臨床に係る実践的な能力を培い、即戦力となる薬剤師養成」という教育目的を実 現するために、高度で多様なシミュレーションができるものを含む多種類の患者 ロボットを用いた独自の「ベッドサイド実習」を開学直後から実施し、この領域 の教育における先導的役割を果たし、これからの薬剤師に求められる臨床におけ る実践的能力の向上に多大の成果を上げている。(4.薬学専門教育の内容)2)助言 (1)教養教育科目に多数の専門に近い内容や語学の必修科目を置き、それらで卒業に 必要な教養教育科目に単位数の大部分が充足されるという現状を見直し、学生が 人文社会科学系の科目をより多く履修できるよう改善することが望ましい。(3. 医療人教育の基本的内容) (2)学生が大学開催の生涯学習のための講座等に参加できる制度を設け、積極的な参 加を促すことが望ましい。(3.医療人教育の基本的内容) (3)薬学教育モデル・コアカリキュラムの重要な到達目標(「細胞の顕微鏡観察」、 「抗菌薬の耐性と副作用」)を扱う科目がないことや科目との対応が不適切な到 達目標(「副作用」関連、「薬物の化学構造」、「放射性医薬品」、「薬剤経済」、 「医薬品の開発と生産」など)が見出されたので、それらを是正することが望ま しい。(4.薬学専門教育の内容) (4)卒業研究発表会では講座・研究室代表の1名だけが発表しているが、ポスター発 表でもよいので全員が発表することが望ましい。(6.問題解決能力の醸成のた めの教育) (5)アドミッション・ポリシーの設定に薬学部薬学科教授会が関与することが望まし い。(7.学生の受入) (6)「総合薬学演習Ⅱ」のみの未修得で卒業できないという卒業認定の実態は、ディ プロマ・ポリシーに基づく学士課程修了認定が行われていないことを意味してい るので、改善することが望まれる。(8.成績評価・進級・学士課程修了認定) (7)教員の授業担当時間数が週当たり5~6時間であるが、臨床系教員では6名が7 時間を超え、最大では11時間になるという不均等な状況が見られるので、改善を 図ることが望ましい。(10.教員組織・職員組織) (8)専任教員1名当たりの学生数を、本基準が望ましいとする10名に近づける努力が 望まれる。(10.教員組織・職員組織) (9)「卒業研究」に使用する研究室や実験設備などについては、必要な施設・設備が整 備されてはいるが、日常的に研究を行う研究室のスペースは十分ではないので、拡張することが望まれる。(11.学習環境) (10)自己点検・評価に外部委員が参画することが望ましい。(13.自己点検・評価) 3)改善すべき点 (1)6年次のカリキュラム編成において、学生に卒業研究より国家試験準備が重要で あるという印象を与えることがないよう「特別研究Ⅱ」と「薬学総合演習Ⅱ」の 時間配分を再検討することが必要である。(2.カリキュラム編成) (2)卒業研究に相当する「特別研究」を講義・演習科目と定義し、講義・演習科目に 準じた時間割上の運用をしていることは、6年制薬学教育の目的や本評価の卒業 研究に関する基準に適合しないので、改めることが必要である。(2.カリキュ ラム編成) (3)ヒューマニズム、医療安全教育における態度教育、およびコミュニケーション力 を醸成する教育等の目標達成度を評価するための指標を設定し、それに基づいて 適切に評価する必要がある。(3.医療人教育の基本的内容) (4)「早期体験学習」を全学生が履修するよう、必修科目とすることが必要である。 (3.医療人教育の基本的内容) (5)実務実習事前学習の目標到達度を評価するための指標を設定し、それに基づいて 適切に評価する必要がある。(5.実務実習) (6)「特別研究Ⅰ、Ⅱ」を講義・演習科目と定義すること、および時間割上24時間の 学習で1単位とする運用は、卒業研究として不適切であり、研究に取り組む時間 も不十分なので、改善することが必要である。(6.問題解決能力の醸成のため の教育) (7)「特別研究Ⅰ、Ⅱ」の成績評価が指導教員の判断で個別に行われているので、学 部として統一した成績評価基準を設定し、それに基づいて評価する必要がある。 (6.問題解決能力の醸成のための教育) (8)卒業論文以外の問題解決能力の醸成を目指す教育についても、目標達成度を評価 するための指標を設定し、それに基づいて適切に評価する必要がある。(6.問題解決能力の醸成のための教育) (9)毎年10名以上に及ぶ1年次での休、退学者が出ており、留年者も低学年次で多い という事実に基づき、系統的な解析を行い、学力を適確に評価することが必要で ある。(7.学生の受入) (10)試験成績に対する疑義照会と不合格科目に対する再試験の実施について、個々の 教員の判断による不公平さが生じないよう、明確な規定を早急に設けることが必 要である。(8.成績評価・進級・学士課程修了認定) (11)専任教員の新規採用に関わる「全学審査委員会」の役割を、適格な研究教育能力 を持つ者を広く求めて選考するという本評価の基準に適合するものとするよう、 教員選考体制を改善することが必要である。(10.教員組織・職員組織)
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1:提言 改善報告審議結果 |
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| 京都大学 | 国 | 京都府 | 第1期 |
2014年度 |
適 |
自己点検・評価書 基礎資料 |
評価報告書
総評
京都大学 総評京都大学薬学部は、6年制の薬学科と4年制の薬科学科の2学科を設置し、薬学部薬学 科では、「薬学の学修を通じて、先端医療、医療薬学・臨床薬学の発展を担いうる人材を育 成することによって、人類の健康と社会の発展に貢献する。」という教育理念のもとに、 「生命倫理を基盤に、薬学の基礎となる自然科学の諸学問と薬学固有の学問に関する知識 と技術および医療人として適正な態度を修得し、高度な先端医療を担う指導的薬剤師とな る人材、医療薬学分野で活躍できる人材の育成を目指す。」を人材養成の目的としている。 この目的のもと、入学者受入方針(アドミッション・ポリシー)、教育課程の編成・実施 方針(カリキュラム・ポリシー)および学位授与の方針(ディプロマ・ポリシー)を制定 している。 これらを踏まえ、薬学科の教育課程は、教養教育・語学教育、薬学専門教育、実習および 演習、卒業研究から構成されている。教養教育・語学教育は、「自学自習」のキーワードの もと、人文科学など多様な選択科目での全学共通教育が実施されている。一方、薬学専門教 育は、基礎力および研究力の育成に重点が置かれている。医療人の基本としてのヒューマニ ズム教育、コミュニケーション教育については、入学後から4年次まで及び実務実習におい て実施されている。事前学習と共用試験により学生の能力を保証した上で、京都大学医学部 附属病院で病院実習を、調整機構との連携に基づき大学の近隣の保険薬局で薬局実習を、い ずれも実務実習モデル・コアカリキュラムに沿った内容で実施している。 入学者選抜については、外部薬剤師を含む将来計画委員会で作成し教授会で承認された入 学者受入方針(アドミッション・ポリシー)に基づいて適正に実施され、入学者の決定も教 授会において厳正かつ適正に行われている。また、入学定員に対する入学者数は適正な範囲 にある。進級ならびに学士課程修了認定については、適正に実施されている。一方、成績評価につ いてはおおむね適正に実施されているが、一部科目において問題点が認められる。 学習環境については、講義・演習室、図書室、医療実務実習事前学習施設・設備、研究用 の施設・設備などが整備されており、適切である。学生への教育支援については、各学年の 最初に新年度ガイダンスを実施し、適切な履修指導が行われている。学生への経済支援とし ては、授業料の免除、海外留学、各種奨学金などを行っている。健康維持、ハラスメント防 止、障がい学生支援、バリアフリー対策などの支援も十分に行われている。学生の意見を教 育や学生生活に反映させるための体制も整えられており、教育・生活改善に活かされている。 特に、「自己評価等調査検討委員会」での追跡調査、卒業3年後と10年後のアンケート調査 を実施し、学生や社会からの教育研究に関する意見を収集し、必要な取り組みを議論する仕 組みが構築されていることは評価できる。 教員組織・職員組織については、専任教員数は大学設置基準を充足しており、専任教員数 に対する学生数比率も適切である。教員の資質向上のためのFD(Faculty Development) も実施され、教育改善に活かされている。 研究能力の向上を目指し、単位互換制度の活用など、海外の大学への短期留学制度を設 けている。さらに、若手教員の派遣を促進するために大学独自の若手人材派遣事業を実施 している点は評価できる。 薬学部内に「自己評価等調査検討委員会」を設置し、評価項目を自主的に設け、外部有 識者による外部評価も実施している。 しかし、改善すべき点として以下があげられる。 成績評価においては一部で不適切な評価方法が用いられている、また、シラバスの記載に 多くの不備が認められるなど、改善が必要である。 「自己点検・評価書」を見る限り、全ての章において、現状の記載に留まり、点検・評価 が不十分である、実施していると記載しているだけで根拠となる資料を示していないなど、 自己点検・評価が機能しているとは言えず、自己点検・評価体制の見直しと全教員による全 学部的な活動が求められる。 次に、主な助言として、以下の点があげられる。ヒューマニズム教育・医療倫理教育やコミュニケーション教育として、臨床現場で活躍す る薬剤師養成としての全人的教育を低学年から高学年まで体系的に実施するなど、さらなる 充実が期待される。バリアフリー施設は整えられているが、学部建物案内板が設置されてお らず、設置が求められる。 京都大学薬学部薬学科は優れた教育研究体制を構築し、教育・研究への熱心な姿勢と活 動が認められる。今後は、自己点検・評価体制の抜本的な見直しをはじめとする改善すべ き点および助言を踏まえ、6年制薬学教育に対して、より一層組織的に取り組み、さらな る発展を目指した改革・改善に邁進することを期待する。
大学への提言
京都大学 大学への提言1)長所 (1)「自己評価等調査検討委員会」で、新入生と3年次に進路に関して同じアンケー トをとり、2年間での学生の意識変化を追跡し、教務委員会での検討を通じて、 薬学部の方針に反映する体制をとっている。また、卒業生に対しても、卒業3年 後と10年後にアンケート調査を実施し、教育研究に関する意見を収集し、必要な 取り組みを議論する仕組みが構築され、カリキュラム改善に活かされている。(9. 学生の支援) (2)若手研究者の海外研修などの体制が整備され、さらに若手教員が派遣されている 期間中の研究者派遣元の運営など業務にかかる人件費などを支援する(「研究者 派遣元支援プログラム」)制度が整備されているなど、大学独自の若手人材派遣 事業を実施しており、若手教員や学生の将来に向けてのモチベーション向上に繋 がっている。(10.教員組織・職員組織)2)助言 (1)「薬学倫理・概論」の位置づけをカリキュラム・マップなどにおいて明確にする ことが望ましい。(3.医療人教育の基本的内容) (2)ヒューマニズム教育・医療倫理教育やコミュニケーション教育として、臨床現場 で活躍する薬剤師養成としての全人的教育を低学年から高学年まで体系的に実施 するなど、さらなる充実が期待される。(3.医療人教育の基本的内容) (3)シラバスに一般目標は記載されているが、具体的な到達目標が明示されておらず、 学生がどのような姿になれるのかがわからないため、シラバスに記載するあるい は科目ごとのモデル・コアカリキュラム対応一覧表を作るなどが望ましい。(4. 薬学専門教育の内容) (4)本中項目に関連するシラバスについて、下記の改訂が望まれる。(4.薬学専門 教育の内容) ・ 「臨床薬学総論」「医療実務事前学習」など、シラバスに授業形態が入っていな いものが散見されるため、これらを追記する。 ・ 「医療薬学ワークショップ」は講義・実験となっているが、目的には「知識、技 能、態度」になっており、具体的な内容を明示する。 (5)6年制薬学教育であるという観点から、臨床の現場で働いている薬剤師の講義や講 演を多くするなど、さらなる努力が期待される。(4.薬学専門教育の内容) (6)6年制薬学教育であるという観点から、本学科の教育研究上の目的や学生のニーズ に鑑み、アドバンスト科目においても、臨床系の授業内容を多く組み入れる、さら なる努力が期待される。(4.薬学専門教育の内容) (7)モデル・コアカリキュラムの対応に一部不整合が認められるため、改訂が望まれる。 例えば、「C10(3)感染症にかかる」は「薬学生物学」「微生物学1」「微生物 学2」「薬学専門実習4」「生物化学7」において履修すると対応表には記載され ている、資料3の対応表での対応科目が不明確であるなど、一部でシラバスや対応 表の不備が認められるため、学生にわかりやすく書くことが望ましい。(4.薬学 専門教育の内容)(8)シラバス上、事前学習の評価方法が、出席と小テストによるとなっているため、 技能・態度に関する領域の評価方法としては妥当性が低く、適切な評価方法に改 めることが望ましい。(5.実務実習) (9)「医薬品開発プロジェクト演習Ⅱ」など問題解決能力の醸成に向けた教育におい て、成績評価の方法が適切でない科目が認められるため、適切な評価方法に改め、 シラバスに記載することが望まれる。(6.問題解決能力の醸成のための教育) (10)6年制の卒業研究であるが、臨床系の研究題材が少ないように思われるため、よ り臨床的な課題にも取り組むことが期待される。(6.問題解決能力の醸成のた めの教育) (11)入学者選抜要項で大学全体の受入方針が示され、薬学部については、学生像がp.46 に示されているが、学部ホームページに示されている表記と同じではないため、 方針が複数存在するように見えてしまう状況であり、統一することが期待される。 (7.学生の受入) (12)シラバスの科目区分について、「必修」「指定」「選択」の定義を明記する、全て の科目において科目区分を明記することが望ましい。(8.成績評価・進級・学 士課程修了認定) (13)薬学部独自の就職支援として、「キャリアデザイン談話会」や「企業合同会社説 明会」を催しているが、6年制があるにも関わらず、創薬関連企業に偏りすぎて いる感があり、医療関連分野への拡大が期待される。(9.学生の支援) (14)定期健康診断の全員受診を達成する努力が求められる。(9.学生の支援) (15)バリアフリー情報も含めた学部建物案内版の設置が望まれる。(9.学生の支援) (16)臨床系の講演会などのさらなる充実が期待される。(12.社会との連携) (17)地域住民に対する公開講座および保健衛生支援活動のさらなる充実が期待される。 (12.社会との連携) (18)外部評価者が、創薬関係者、大学関係者のみで、臨床関係者が含まれていないの で、6年制薬学教育という観点から、臨床関係者を加えることが期待される。 (13.自己点検・評価)3)改善すべき点 (1)コミュニケーション能力および自己表現能力を身につけるための教育における目 標達成度評価の指標設定とそれに基づく評価の実施が必要である。(3.医療人 教育の基本的内容) (2)一部の実習などにおいて、出席点のみで評価を行う、出席点が評価基準の大半を 占めるなど、学習方法と評価基準に乖離が認められる科目が存在しており、学習 方法に適した評価方法と基準を定めるべきである。また、全てのシラバスにおい て「定期試験80%、レポート20%」など評価基準を明示する必要がある。 (4.薬学専門教育の内容) (3) 問題解決能力の醸成に向けた教育において、成績評価の基準は設定されているが、 目標達成度を評価するための指標の設定と、それに基づく評価はなされておらず、 指標の設定と評価の実施が必要である。(6.問題解決能力の醸成のための教育) (4)特別実習(卒業研究)のシラバスを作成し、評価基準を策定・明示する必要があ る。(6.問題解決能力の醸成のための教育) (5)シラバスが記載されていない科目がある、「原則として定期試験の成績で評価す る」「出席点のみで評価する」などが基準として挙げられている科目が認められ る、評価方法も基準も書かれていない科目がある、演習や実験などでの評価方法 において不適切なものが認められる、シラバスの科目区分が空欄の科目が散見さ れる、科目区分として「必修」、「指定」、「選択」とシラバスに記載されてい るが、定義が明記されておらず、学生に不利益が生じる可能性があるなど、多く の問題点がある。また、コミュニケーション教育、医療安全教育について、例え ば「統合型薬学演習」の評価が出席とレポートとなっている、「医療実務事前学 習」でのリスクマネージメントや医療安全教育の評価が出席と小テストとなって いるなど、態度教育の評価方法としては不適切なものが認められる。さらに、薬 害・医療過誤・医療事故防止に関する教育において、1年次の「先端医療SGD 演習」及び4年次の「医療倫理実習」では、いずれも弁護士を招き、薬害や医療 安全の講義や演習を行っているとあるが、シラバスからは人的資源が確認できないなど、シラバスの不備が多く認められ、教授会などの責任ある組織のもとに抜 本的な改革が必要である。(8.成績評価・進級・学士課程修了認定) (6)「医療実務事前学習」でのリスクマネージメント教育・医療安全教育については、 シラバスでは評価が出席と小テストとなっているが、「自己点検・評価書」p.18 では、レポートを提出させているとあり、「自己点検・評価書」の記載内容に矛 盾が認められ、「自己点検・評価書」の作成について十分な配慮が求められると ともに、自己点検・評価体制の抜本的な見直しと全教員による全学部的な活動が 求められる。(13.自己点検・評価)
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1:提言 改善報告審議結果 |
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| 京都薬科大学 | 私 | 京都府 | 第1期 |
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適 |
自己点検・評価書 基礎資料 正誤票 |
評価報告書
総評
京都薬科大学 総評京都薬科大学は、その教育理念に基づいて「高度の専門能力や研究能力を併せ持つ薬剤 師(ファーマシスト・サイエンティスト)」の養成を目指す6年制薬学教育を行っており、 教育研究上の目的は、大学概要、学生便覧、シラバス、ホームページ等を通して周知され ているが、6年制への移行時に学則が変更されていないために学則の教育目的はこれらと 表現が一致していない。 教育プログラムは「ファーマシスト・サイエンティスト」の養成を目指すカリキュラム・ ポリシー(教育課程の編成・実施方針)に基づいて構築されている。医療人教育の基本的 内容はおおむね適正であり、教養教育については「大学コンソーシアム京都」も含め、選 択の幅は広い。語学教育は充実しており、TOEICの受験を推奨していることや、6年 次の卒業研究発表会を英語で行っていることは、有意義な試みである。薬学専門教育は「薬 学教育モデル・コアカリキュラム」に準拠しており、大学独自の内容も設定されているが、 教育方法は講義が中心であり、SGD(Small Group Discussion)、PBL(Problem Based Learning)、TBL(Team Based Learning)などのアクティブラーニングの割合は多くな い。また、基礎系実験実習の時間数は、十分に多いとは言いがたい状況である。実務実習 事前学習と薬学共用試験は適正に実施されており、病院・薬局での実務実習における指導と評価は、適切な連携体制の下で行われている。卒業研究に相当する教育は全学生を3年 次後期から研究室に配属して行い、その成果は卒業論文と6年次6月に開催する発表会の ポスターにまとめられている。しかし、配属学生1名当たりの実験スペースや指導者数に 検討の余地のある研究室があり、また、卒業研究の評価方法には改善すべき点がある。 入学試験はアドミッション・ポリシー(入学者受入方針)に基づいて適正に行われ、入 学者数と定員数との乖離は少ないが、入学試験において医療人としての適性を評価する方 法については今後の工夫が望まれる。実務実習事前学習の単位認定を除き、成績評価なら びに進級、卒業判定はおおむね厳正に行われている。 修学のための履修指導、経済的支援、健康管理、ハラスメント対策および障がい者への 支援は十分に行われており、学生の安心・安全対策への配慮にも問題はない。また、学生 の意見を教育や学生生活の改善に反映するためのシステムも整備されている。 専任教員については基本的に大きな問題はないが、教員1名当たりの学生数は基準を大 幅に上回っており教員の増員を図ることが望まれる。講義室、実習室、図書館、臨床薬学 教育研究センター、情報処理教育研究センター等の教育施設は良く整備されているが、研 究室の広さは十分とはいえない。医療界、産業界を含めた社会との連携関係は良好であり、 留学生の受け入れや基金を設けての海外出張・留学の推進を行っている。6年制薬学教育 プログラムを恒常的に自己点検・評価する体制は設けられていない。 以上のように、京都薬科大学の教育プログラムは、本機構の評価基準におおむね適合し ていると判断される。しかしながら、以下の諸問題については早急に改善を図る必要があ る。 1) 6年制移行に伴う学則の変更を行い、ホームページ等で公表されている教育目的と 学則の規定を統一することが必要である。 2)ヒューマニズム教育・医療倫理教育ならびにコミュニケーション能力・プレゼンテ ーション能力を身につける能動的教育の目標達成度の評価を適正な評価指標を設 定して行うことが必要である。 3)必修科目である卒業論文を連名で作成している研究室が散見される。また、卒業研 究に相当する教育の評価方法が担当教員に任されていることは評価の公平性から問題である。統一した評価方法を定めることが必要である。 4)実務実習事前学習に相当する科目の単位認定に薬学共用試験(OSCE)の合否を 含めていることは適切でないので、改善する必要がある。 5)薬学教育プログラムを自己点検・評価する責任ある常設組織を構築し、教育プログ ラムの向上を恒常的に図ることが必要である。 京都薬科大学は、明確な教育理念に基づき構築された教育プログラムと、それを実践す るための優れた教員および設備を有し、教育・研究への熱心な姿勢と活動が認められる。 今回の第三者評価により指摘された改善すべき点および助言を踏まえた改革により、単科 の私立薬科大学の模範となるべく、さらに発展することを期待する。
大学への提言
京都薬科大学 大学への提言1)長所 (1)6年次の卒業研究発表会を英語で行っていることは、薬学教育のグローバリゼー ションという観点から有意義な試みである。(3.医療人教育の基本的内容) (2)留学中の研究教育を補完するために、特別契約職員として常勤の教育支援教員を 採用する制度を2013年度に導入している(10.教員組織・職員組織)。また、 「京都薬科大学科学振興基金規程」により海外出張・留学を推進している(12. 社会との連携)。2)助言 (1)教育研究上の目的について、常置された責任ある組織による定期的な検証が行わ れることが望まれる。(1.教育研究上の目的) (2)基礎資料4は、授業のつながりを示した「科目関連図」にとどまっており、カリ キュラムとディプロマ・ポリシーとの整合性を示すカリキュラム・マップの作成 が望まれる。(2.カリキュラム編成) (3)ヒューマニズム教育・医療倫理教育の学習方法については、講義、SGD、実習 など多様な形式が設定されており、総合的にはおおむね適正に行われているが、 体系性は不明確である。学年進行に伴った順次性・連続性のある科目設定が望ま れる。(3.医療人教育の基本的内容) (4)基礎系の実験実習の時間数は十分でないので、さらなる充実が期待される。(4. 薬学専門教育の内容) (5)シラバスにおいて、学習項目の到達目標と授業形態の記載を一致させることが望 まれる。(4.薬学専門教育の内容) (6)基礎実験実習および実務実習のシラバスの「成績評価方法・基準」について、評 価項目ごとの点数配分も含め、具体的な記載が望まれる。(4.薬学専門教育の内 容、5.実務実習) (7)問題解決能力の醸成に向けた教育について、実質的な実施時間数の合計が18単位 以上になるよう、SGDやPBLなどの参加型授業形式を増やす工夫が望まれる。 (6.問題解決能力の醸成のための教育) (8)1〜3年次の基礎系実験実習を指導する教員の数が少なく、安全管理上問題であ るので改善が望まれる。(9.学生の支援) (9)教員1名当たりの学生数は、基準を大幅に上回っており、卒業研究の質や安全面 から、専任教員の増員が望まれる。(10.教員組織・職員組織) (10)教員1名あたりの配属学生数が非常に多い分野があり、教員の負担軽減の方策が 望まれる。(10.教員組織・職員組織) (11)中項目4において指摘した「基礎系の実験実習の時間数が十分に多いとは言いがたい」という現状が実習室の数に起因するのであれば、実験実習室の拡充を検討 することが望まれる。(11.学習環境) (12)配属学生1名当たりの研究室の広さから判断すると、一部の研究室については、 配属学生が集中する時期には研究スペースが十分とは言えないので、改善が望ま れる。(11.学習環境) (13)自己点検・評価運営委員会に外部委員が含まれていない点について、改善が望ま れる。(13.自己点検・評価) 3)改善すべき点 (1)京都薬科大学の教育目的は、大学概要、シラバス、学生便覧、ホームページなど に記載されているものと学則の第1条に規定されているものが一致していない。 学則の変更により表現を統一することが必要である。(1.教育研究上の目的) (2)ヒューマニズム教育・医療倫理教育、コミュニケーション能力およびプレゼン テーション能力を身につける教育において、目標達成度を評価するための指標 を設定し、それに基づいて適切に評価する必要がある。(3.医療人教育の基 本的内容) (3)卒業論文を連名で作成しているケースが散見されるが、卒業論文の作成および卒 論発表会は学生ごとに行う必要がある。(6.問題解決能力の醸成のための教育) (4)卒業研究の評価は、各分野・センターが独自に設定した評価項目を用いて行わ れているが、評価方法が学内で統一されることが必要である。(6.問題解決 能力の醸成のための教育) (5)問題解決能力の醸成に向けた教育において目標達成度を評価するための指標を 設定し、それに基づいて適切に評価する必要がある。(6.問題解決能力の醸 成のための教育) (6)4年次の実務実習事前学習に相当する「病院・薬局へ行く前に」について、実 習の評価結果に加えて薬学共用試験(OSCE)の合否に基づいて単位認定し ていることは適切でないので、改善する必要がある。(8.成績評価・進級・学士課程修了認定) (7)「京都薬科大学自己点検・評価運営委員会」が常置委員会となっていない。薬学 教育プログラムを恒常的に自己点検・評価する責任ある常設組織を構築し、PD CAサイクルを回してプログラムの向上に努める必要がある。(13.自己点検・ 評価)
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1:提言 改善報告審議結果 |
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3:但し書き 改善報告審議結果 2016/10/11 |
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| 就実大学 | 私 | 岡山県 | 第1期 |
2014年度 |
適 |
自己点検・評価書 基礎資料 正誤票 |
評価報告書
総評
就実大学 総評就実大学薬学部は教育研究上の目的を「生命の尊厳を基盤とした強い使命感と高い倫理 観のもとに、ヒトの健康を守る最良の医療薬学教育・研究を行い、人類の医療・福祉に貢 献できる高度な専門性と豊かな人間性を兼ね備えた薬剤師を育成する」と定めて6年制薬 学教育を実施している。カリキュラムは、教育研究上の目的に沿ったカリキュラム・ポリ シー(教育課程の編成・実施方針)に沿って編成され、医療人教育の基本と薬学専門教育 はアクティブラーニングなどを取り入れ、知識のみならず、技能や態度の教育にも配慮し てバランスよく行われており、基本的な点に関しては問題はない。実務実習は、薬学共用 試験に合格した者を対象に、地区調整機構との連携のもとで実務実習モデル・コアカリキ ュラムに沿って実施しており、薬学共用試験結果の取り扱いに後述の問題点があるものの、 基本的には適切に実施されている。 入学者の選抜は多様な方法で実施しており、定員の見直しや特待生制度の整備などの対 策によって定員を満たす学生を確保している。学生の成績評価と進級、卒業の判定につい ては、規程や基準に基づいておおむね適切に行われている。 学生支援に関わる体制としては、奨学金制度、健康診断、ハラスメント防止体制、キャ リアセンターなどが、十分に機能しており、学習環境も基準を満たすものが整備されてい る。専任教員については、職階と年齢構成がややアンバランスではあるが基準は満たして おり、学部としての社会貢献等も適切である。また、学部教育に対する自己点検・評価は、マニフェストの作成、PDCAサイクルシートの採用などで、恒常的に向上させる仕組み が機能している。 以上のように、就実大学薬学部の6年制薬学教育プログラムは、全体としては本機構の 評価基準におおむね適合していると判定できる。しかし、以下に指摘する問題点について、 早急な改善が必要である。 1)卒業要件単位の過半数を「選択必修科目」で充足する制度になっており、薬学教育 における重要な到達目標の一部を修得せずに卒業できる制度になっていることは適 切ではなく、科目の必修指定を再検討する必要がある。 2)実務実習事前学習の単位認定に薬学共用試験の結果を加味していることは適切では なく、早急に改善する必要がある。 3)ヒューマニズム教育・倫理教育、実務実習事前学習、「卒業論文実習」を含む問題解 決能力醸成教育において、目標達成度を評価する指標を設定し、それに基づいて適 切に評価する必要がある。 4)「卒業論文実習」の実質的な研究期間が国家試験準備教育のために制約されているこ となど、卒業研究に対応する教育は評価基準に適合していないので、原因となる諸 問題の改善が必要である。 以上の改善すべき点の他に、以下のような助言がある。 1)カリキュラム・ツリーやカリキュラム・マップを、カリキュラム・ポリシーならび にディプロマ・ポリシー(学位授与方針)を反映するものに改善することが望まし い。 2)実習および卒業論文実習など実験を伴う教育の安全に必要な要員を確保すると共に、 専任教員の職階と年齢構成に見られるアンバランスを改善するために、若手教員の 増員を図ることが望ましい。 就実大学薬学部薬学科は、これら改善すべき点や助言を踏まえて、教育プログラムの改 善を図り、さらなる進展を目指した改善に邁進することを期待する。
大学への提言
就実大学 大学への提言1)助言 (1)カリキュラム・ツリーやカリキュラム・マップを、カリキュラム・ポリシーな らびにディプロマ・ポリシーとの関連が分かるように改善することが望ましい。 (2.カリキュラム編成) (2)シラバスにおける薬学教育モデル・コアカリキュラムの到達目標に関わる記述 に不適切であったり、基礎資料3との間で整合性を欠く科目が散見されるので、 それらを解消することが望ましい。(4.薬学専門教育の内容) (3)入学案内に記載しているアドミッション・ポリシーが、ホームページに公開さ れているものと異なっているので、統一を図ることが望ましい。(7.学生の 受入) (4)進級基準が、学年ごとに科目区分や選択必修科目単位の修得状況などを含めた 形で定められ、新たにGPAによる仮進級制度を導入したこともあって複雑に なっている。学生が進級の条件を誤認することがないよう、より単純で分かり やすい基準とすることが望ましい。(8.成績評価・進級・学士課程修了認定) (5)「卒業特別講義」のみの未修得で卒業できないという卒業認定の実態は、ディプ ロマ・ポリシーに基づく学士課程修了認定が行なわれていないことを意味してい るので、改善することが望まれる。(8.成績評価・進級・学士課程修了認定) (6)実習および卒業研究実習など、実験を伴う教育の安全を高め、専任教員の年齢 構成、職種構成が適正な状態に近づけるために、若手教員の増員を図ることが 望ましい。(9.学生の支援、10.教員組織・職員組織) (7)直近の研究活動が不足する教員が若干見出されるので、自己評価しているように 教員の研究活動を改善・活発化を図ることが望ましい。(10.教員組織・職員 組織) (8)薬学部独自に薬学教育研究の改善を目指す参加型のFD活動が行われていない ので、学部独自のFD活動に早急に取り組むことが望ましい。(10.教員組 織・職員組織)(9)卒業研究に学生が使用するスペースを十分に確保できるよう、研究室面積と学 生配分の適正化などに取り組むことが望ましい。(11.学習環境) 2)改善すべき点 (1)卒業要件単位の過半数を「選択必修科目」で充足する形になっており、薬学教 育モデル・コアカリキュラムの重要な到達目標を修得せず卒業している実態が あるので、主要科目を必修化することが必要である。(2.カリキュラム編成、 8.成績評価・進級・学士課程修了認定) (2)薬学共用試験ならびに薬剤師国家試験の合格を目指す教育にやや偏重している ので、該当する演習科目と卒業研究との時間配分などに関わるカリキュラムを是 正することが必要である。(2.カリキュラム編成) (3)ヒューマニズム教育・倫理教育における学習の目標達成度を評価するための指 標を設定し、それに基づいて適切に評価する必要がある。(3.医療人教育の基 本的内容) (4)薬学教育モデル・コアカリキュラムで態度に属する到達目標の一部が講義科目 のみに対応していること、モデル・コアカリキュラムA(2)医療行為に関わ る心構え5)、同A(2)自己学習・生涯学習2)や、モデル・コアカリキュラ ムの倫理に関わる到達目標が「医療倫理学」に対応していないこと、地域薬局 の役割の到達目標が「薬事関係法規」にしか対応していないことなど、モデル・ コアカリキュラムの到達目標と科目との対応に不適切なものがみられるので、 改訂することが必要である。(4.薬学専門教育の内容) (5)「実務実習事前学習」の単位認定に関わる成績評価に薬学共用試験の結果を加 味していることは不適切であるので、「実務実習事前学習」の成績評価方法を改 訂することが必要である。(5.実務実習) (6)事前学習全体についての目標達成度を評価するための指標を設定し、それに基 づいて適切に評価する必要がある。(5.実務実習) (7)「卒業論文実習」を行う期間として5年次と6年次前期を充てているが、国家試験準備教育の受講などで十分な時間が確保できているとは言えないので、「卒業 論文実習」を行う時間を増すことが必要である。(6.問題解決能力の醸成のた めの教育) (8)「卒業論文実習」の評価に関わる「卒業研究発表会」を研究室単位の事実上の 非公開で行うことや、指導教員からの評価報告提出期限が発表会以前に設定さ れている実態は不適切である。学部全体での発表会を開催して全教員の参加と 質疑を義務づけ、発表会での評価を「卒業論文実習」の評価の基本にするなど の改善を早急に行うことが必要である。(6.問題解決能力の醸成のための教 育) (9)「卒業論文実習」を含めた問題解決能力の醸成に向けた教育において、目標達成 度を評価するための指標を設定し、それに基づいて適切に評価することが必要 である。(6.問題解決能力の醸成のための教育) (10)個々の科目について、成績評価の方法と評価基準を明確かつ具体的にシラバス に記載することが必要である。(8.成績評価・進級・学士課程修了認定)
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1:提言 改善報告審議結果 |
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3:但し書き 改善報告審議結果 2016/10/11 |
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| 昭和医科大学 | 私 | 東京都 | 第1期 |
2014年度 |
適 |
自己点検・評価書 基礎資料 正誤票 |
評価報告書
総評
昭和医科大学 総評昭和大学薬学部は、大学の教育理念と教育研究目的に基づく教育目標と、それを実現す るカリキュラム・ポリシー(教育課程の編成・実施方針)を定め、医学部などと連携した 独自科目を含むカリキュラムで6年制薬学教育を行っている。 ヒューマニズム、医療倫理、コミュニケーション教育では、対応科目を各学年で開講し、 医療人たる薬剤師に求められる倫理観、使命感、職業観を醸成する教育を実施している。ま た、薬学専門教育は、薬学教育モデル・コアカリキュラムに準拠しており、体験実習やPB L(Problem Based Learning)チュートリアル、附属病院や地域医療施設でのチーム医療学 習など、昭和大学の特色を活かした学部連携教育も行っていることは高く評価できる。 実務実習も基本的に実務実習モデル・コアカリキュラムに基づいており、病院実習に関 しては附属病院を活用した独自の項目も追加している。問題解決能力の醸成を目指す教育 では、卒業研究に対応する必修科目である「総合薬学研究」を4年次に置き、5、6年次 ではより高度な内容の科目を選択必修科目として積み上げる形になっている。問題解決能 力の醸成を目指す教育としては、それらに加えて、PBLチュートリアルやグループ演習 などによって問題解決に取り組む科目を全学年に配置している。 入学者選抜では、教育目的に即したアドミッション・ポリシー(入学者受入方針)を掲げ、学力試験の成績に面接と調査書の評価を加味した二段階選抜によって志願者の適性・ 能力をより適確に評価する努力をしている。学生の成績評価は、後に指摘する問題点はあ るが、基本的には適切に行われている。進級基準は独特で、原則として各学年で履修した 科目の試験と進級試験に合格することが要件になっており、進級できなければ当該年度に 履修した科目の単位が認定されない制度になっている。学士課程の修了認定は、ディプロ マ・ポリシー(学位授与方針)の達成を原則にしてはいるが、現実の卒業判定では、所定 の単位を修得して卒業試験に合格することを基準にしている。 学生への経済的、身体的、精神的なサポート体制は整っているが、障がいのある学生へ の対応や、教育環境における安全確保の面ではやや不十分な点がある。 附属病院薬剤部の薬剤師 34 名を病院薬剤学講座の所属としているため、専任教員数は設 置基準を大幅に上回る 108 名となっており、個々の教員の資格や教育研究業績なども基準 を満たしている。 教育研究に必要な施設、設備、図書などの学習環境は、基準を満たしており、社会との 連携に関しても、適切な対応と取り組みがなされている。また、自己点検・評価が、定期 的かつ十分に実施され、教育の改善に努めている。 以上のように、昭和大学薬学部の薬学教育プログラムは、全体として本機構の評価基準 におおむね適合しているが、以下の重要な問題点については、早急な改善が必要である。 1)卒業研究に相当する必修科目が4年次にしか置かれていないことには、6年制薬学 教育における卒業研究として、時期および期間共に不十分であるという問題がある。 2)成績評価と進級判定の厳正さを保つために、試験点数と成績評価段階との関係、進 級試験の受験資格基準、進級判定基準などを規程に明示する必要がある。 3)薬学共用試験のCBTを5年次への進級試験とし、不合格の場合には4年次履修科 目の単位を認定しない制度は不適切である。 4)卒業判定の基準が具体的に定められておらず、卒業判定の厳正さを損なうことが懸 念される。また、卒業試験が不合格の場合に、卒業試験の受験資格として合格が認 められ単位が取得できるはずであった6年次履修科目の単位を認定しないことには 合理的な根拠が認められず、不適切である。昭和大学薬学部には、本評価で指摘された問題点の改善に取り組み、医系総合大学の特 色を活かした薬学教育をさらに推進されるよう期待する。
大学への提言
昭和医科大学 大学への提言1)長所 (1)学部連携の病棟実習やPBLが複数年度にわたり実施されている。また、医系総合 大学である昭和大学の特徴を最大限に活用した優れたプログラムが進められ、医療 人に必要な態度教育で大きな成果を上げている。(3.医療人教育の基本的内容、 4.薬学専門教育の内容)2)助言 (1)教員の授業担当時間数に見られる大きな差を減じることが望ましい。(10.教員 組織・職員組織) (2)自己評価委員会には学外からの委員を招聘することが望まれる。(13.自己点検・ 評価) 3)改善すべき点 (1)6年次の教育は、「カリキュラム・ポリシー」とは異なり、国家試験準備を重視し たものとなっているので、「カリキュラム・ポリシー」に応じた内容の教育を充実 させることが必要である。(2.カリキュラム編成) (2)必修科目としての卒業研究は、4年次前期の「総合薬学研究」のみであり、「薬剤 師の視点から問題解決を図る能力を醸成する」という6年制薬学教育の目的に鑑み て、開講時期は早すぎ、実施期間も短い。期間を5年次の実務実習終了後まで延長 し、現行カリキュラムの「発展薬学研究」と合わせた形のものにすることも念頭に 置いて改善を図る必要がある。(6.問題解決能力の醸成のための教育) (3)問題解決能力醸成のための教育の目標達成度評価に関する指標を設定し、それに基 づいて適切に評価する必要がある。(6.問題解決能力の醸成のための教育) (4)成績評価の厳正さに疑義を生じることがないよう、定期試験などの点数と合格基準 および成績評価段階との関係を学則等で規定し、薬学部履修要項に明記する必要が ある。(8.成績評価・進級・学士課程修了認定) (5)第2、第3学年での進級試験の受験資格の判定において、進級判定の公正さに疑義 を生じることがないよう、再試験で少数の不合格科目があっても受験が許可される 場合の基準を明示する必要がある。(8.成績評価・進級・学士課程修了認定) (6)進級判定の公正さに疑義を生じることがないよう、再試験で少数の不合格科目を持 つ者に進級試験の受験が許可された場合に実施する、「再試験不合格科目の再評価」 および「再試験不合格科目の再評価と進級試験の結果によって実施する進級判定」 の方法と基準を明示する必要がある。(8.成績評価・進級・学士課程修了認定)(7)薬学共用試験(CBT)を5年次への進級試験とみなし、CBTの合格を、定期試 験に合格している4年次履修科目の単位認定の要件とすることは不適切であるの で改める必要がある。(8.成績評価・進級・学士課程修了認定) (8)卒業判定の厳正さに疑念を生じることがないよう、卒業判定に用いる判定資料およ び判定基準を明示する必要がある。(8.成績評価・進級・学士課程修了認定) (9)卒業試験の受験資格として科目試験の合格が認められている第6学年の履修科目の 単位を、卒業試験の不合格を理由に認定しないことには合理性がなく不適切である ので改める必要がある。(8.成績評価・進級・学士課程修了認定) (10)身体に障がいのある学生の受験、入学を許可する限り、施設のバリアフリー化をは じめ、その学生が安全かつ快適に学生生活を送るため施設・設備上の対応は不可欠 であり、また学修・生活上の支援体制の整備を十分に図る必要がある。(9.学生 の支援) (11)一部の実習室では出入り口が少ないので、緊急時への対応という観点から、複数の 出入り口や十分な通路面積を確保するなどの対策を講じる必要がある。(9.学生 の支援) (12)卒業研究が安全かつ効果的に実施できるだけの研究室のスペースを確保する必要が ある。(11.学習環境)
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1:提言 改善報告審議結果 |
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3:但し書き 改善報告審議結果 2016/10/11 |
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| 同志社女子大学 | 私 | 京都府 | 第1期 |
2014年度 |
適 |
自己点検・評価書 基礎資料 正誤票 |
評価報告書
総評
同志社女子大学 総評同志社女子大学薬学部は、優れた教育理念に基づき、薬剤師に対する社会のニーズを反映 した教育目的を掲げて6年制薬学教育を行っている。この教育目的に即したカリキュラム・ ポリシー(教育課程の編成・実施方針)に従い、教養教育、語学教育、導入教育、基礎薬学 系専門教育、臨床薬学系専門教育、実務実習教育、卒業研究および大学独自のアドバンスト 教育によって構成されるカリキュラムが設定されている。教養教育は、総合大学の利点を生 かした多様な科目が開講され、語学力を養う科目は5年次を除く全ての学年に開講されてい る。ヒューマニズム教育・医療倫理教育は、オリエンテーションでの「コミュニケーション・ マナー講座」に始まり、「早期体験学習」から「模擬病院・薬局実習」などの医療人教育に 至る教育が行われている。薬学専門教育は、ほとんどの科目を必修としておおむね適切に行 われている。実習科目の時間数、卒業研究に相当する「薬学研究」の実施期間と内容には問 題がなく、PBL(Problem Based Learning)、SGD(Small Group Discussion)などの 能動的学習方法を取り入れた授業も行われている。実務実習に関しては、事前学習、共用試 験の実施と評価、病院実習および薬局での実習内容、評価における施設の指導者との連携な どを含めて、基準に適合している。入学者の選抜、学生の成績評価、進級と卒業の判定につ いても、適正に行なわれている。また、学生に対する各種の支援体制は充実しており、身体 に障がいのある学生に対する充実した支援はこの大学の特色となっている。教員組織に関し ては、後述する問題点はあるが、教育研究に必要な専任教員を擁している。教育研究に必要 な施設設備は、卒論研究に使用する研究室が狭隘であることを除けば、適正に整備されてお り、図書の整備状況も基準に適合している。社会との教育研究上の交流は活発とは言えない が行われており、自己点検・評価についても必要最小限の体制は整えられている。以上のように、同志社女子大学薬学部の薬学教育プログラムは、総合的に判断すると本機 構の評価基準に適合している。しかし、以下の重要な問題点が指摘される。 第1は、薬学教育モデル・コアカリキュラムの一部の重要な到達目標が、それにふさわし い専門科目で行われていないことである。薬学専門科目の内容を薬学教育モデル・コアカリ キュラムに準拠させることは、6年制薬学教育の基盤であるので、早急な改善が必要である。 第2は、「薬学研究」などの問題解決能力の醸成を目的とする科目や能動的学習において、 目標への達成度を測定する明確な指標とそれに基づく評価方法が確立されていないことで ある。該当する科目や能動的学習について、これらの問題点を解消することが必要である。 第3は、薬学専門科目を対象に行っている再試験実施の根拠となる規則、規程がないこと である。規定によらない再試験の実施は、成績評価の厳正さを保つ上で好ましいことではな いので、早急に再試験制度を規定すると共に、成績評価における厳正さの意味を教員全員で 確認することが必要である。 第4は、専任教員の職位と年齢の構成に偏りがあり、再任に関する基準が規定されていな い有期雇用で、授業担当が少ない特別任用助教が専任教員の1/3以上を占めているのに対 して、准教授と講師が極端に少ないことである。この状況を解消するため、若手教員の採用、 能力のある特別任用助教の昇格などにより准教授、講師を増やすなどの対応が必要である。 第5は、薬学部がこれまでに行っている自己点検・評価は第三者評価に対応するためのも ので、薬学部が教育プログラムの改善と発展を目指して、自主的で恒常的な自己点検・評価 を行っていないことである。本機構による今回の第三者評価に備えて行った自己点検・評価 の結果を基礎として、適切な評価項目を設定して、恒常的な点検・評価に取り組むことが望 まれる。 以上の重要な問題点については、自ら改善に取り組むことが必要であるが、それ以外の問 題点についても、今回の評価結果に基づいて改善に向けた取り組みを進め、薬学教育の向上 に努めることが望まれる。
大学への提言
同志社女子大学 大学への提言1)長所 (1)身体に障がいのある学生に対して、実務実習において筆談による指導や、音声認 識装置の活用を図るなどの支援を行える優れた体制を整えている。(9.学生の支 援) 2)助言 (1)教育研究の目的など、薬学部における教育研究の基本に関わる事項の検証と改善 に、薬学部が主体性と責任をもって取り組むことができる体制の構築が望ましい。 (1.教育研究上の目的) (2)「薬学部履修要項・シラバス」の構成を、学生が教育体系と各科目の内容との関 係を把握しやすい形に改善する(例えば、学年ごとに順序よく記載するなど)と共 に、学生が教育体系全体を把握できるようなカリキュラム・マップを示すことが 望ましい。(2.カリキュラム編成) (3) 実施を予定している、5年次の実務実習のない時期に行う薬学基礎科目の補講は、学生が卒業研究の一部である「薬学研究Ⅱ」に専念する意欲と時間を減らしてし まうことが懸念される。薬学基礎科目に関する知識の定着は、 補習ではなく、学 生が「実務実習」や「薬学研究Ⅱ」の学習過程で基礎専門科目の重要性を認識し、 自ら学習するよう配慮することが望ましい。(2.カリキュラム編成) (4)「内科学総論」、「臨床検査学」のシラバス内容はヒューマニズム教育・医療倫理 教育に関するSBOs(Specific Behavioral Objectives)に対応しておらず、 これらの科目をヒューマニズム教育・医療倫理教育とすることは適切ではなく、 改めることが望ましい。(3.医療人教育の基本的内容) (5)新入生の基礎学力を補う目的で実施している授業への出席率低下を防ぐための有 効な対応策を講じることが望ましい。(3.医療人教育の基本的内容) (6)「早期体験学習」において、製薬企業、行政機関などの見学が「薬学特別演習」 に割り当てられており、実質的には行われていないので「早期体験学習」にこれ らの見学を加えることが望ましい。(3.医療人教育の基本的内容) (7)6年次の「薬学特別演習」が薬学教育の全体の総まとめを行う科目であることを 示すために、薬学教育モデル・コアカリキュラムの全ての到達目標を機械的に割 り当てていることは好ましくない。「薬学特別演習」については、この科目の目的 と内容を正確に表す説明を行うことが望ましい。(4.薬学専門教育の内容) (8)実務実習に参加する学生全員が直前に健康診断を受診するようにすることが望ま しい。また、3、4年次学生の健康診断受診率がやや低いので、受診指導を徹底 することが望ましい。(5.実務実習、9.学生の支援) (9)事前学習において、少人数教育を実施するために必要となる教員数の不足を解消 することが望ましい。(5.実務実習) (10)「自己点検・評価書」で指摘している、PBL形式の授業に対応できる施設およ び教員の充実に努めることが望ましい。(6.問題解決能力の醸成のための教育) (11)入学者の選抜に際しては、入学定員の1.15倍を超えないよう配慮することが望ま しい。(7.学生の受入) (12)「薬学部が求める学生像」(アドミッション・ポリシー)と入学試験制度に整合性を図ることが望まれる。(7.学生の受入) (13)合格者の決定に薬学部の意向がより大きく反映するような入試制度の見直しが望 ましい。(7.学生の受入) (14)臨床系教員が外部の医療施設(可能な限り先端的な研修が可能な大病院)での研 修を行えるような体制を学部として構築することが望ましい。(10.教員組織・ 職員組織) (15)教員の授業担当時間数に見られる大きな差を減じることが望ましい。(10.教 員組織・職員組織) (16) 薬学部独自のFD活動に早急に取り組むことが望ましい。(10.教員組織・職 員組織) (17)OSCEの実施施設を薬学部内に整備することが望ましい。(11.学習環境) (18)若手の薬学部教員が在外研究制度を利用できるような環境を整備することが望ま しい。(12.社会との連携) 3)改善すべき点 (1)【観点2-2-3】が求める迅速なカリキュラムの検討と変更が可能になる体制とする ため、カリキュラムに関わる「薬学部教員会議」や「薬学部運営委員会」の権限 と機能の強化を図ることが必要である。(2.カリキュラム編成) (2)「ヒューマニズム教育・医療倫理教育」「コミュニケーション能力および自己表現 能力を身につけるための教育」に含まれる科目について、それぞれの目標達成度 を評価するための指標を設定し、それに基づく適切な評価を行うようにすること が必要である。(3.医療人教育の基本的内容) (3)「早期体験学習」の必須項目や「相互作用」に関わる内容など、薬学教育で重要な 意味を持つ項目が形の上で「薬学特別演習」に割り当てられているが実質的には 行われていないことは不適切である。専門科目の実際の教育内容が薬学教育モデ ル・コアカリキュラムに準拠したものとなるよう、カリキュラムを改訂すること が必要である。(4.薬学専門教育の内容)(4)共用試験の受験者数を「自己点検・評価書」に記載することが必要である。(5. 実務実習) (5)「薬学研究Ⅰ、Ⅱ」およびそれ以外の問題解決能力の醸成を目指す科目について、 それぞれの目標に対する到達度に対する明確な指標を立て、それに基づいて評価 を行う体制を整えることが必要である。(6.問題解決能力の醸成のための教育) (6)薬学部が、単位認定に関わる再試験を明確な規程に拠らずに実施していることは 成績評価の厳正さを保つ上で不適切であり、再試験の実施とその要領を明確に定 めた規程を設けることが必要である。(8.成績評価・進級・学士課程修了認定) (7)専任教員の職階、年齢などに関わる構成比率の適正化を図り、授業の主担当者と なる教員の実数を増すため、定年を過ぎた特別任用教授の交代、能力のある特別 任用助教の昇格などを含めた教員組織の再編を進めることが必要である。(10. 教員組織・職員組織) (8)卒業研究に使用する研究室の狭隘さを早急に解消することが必要である。(11. 学習環境) (9)本機構では、薬学教育プログラムの改善と発展を目指して、薬学部が主体的で恒 常的な自己点検・評価に取り組むことを求めている。今回の本機構による第三者 評価に対応して行った自己点検・評価の成果を基礎に、薬学部独自の自己点検・ 評価体制を構築し、自らで評価項目を設定し、恒常的な点検・評価に取り組むこ とが必要である。(13.自己点検・評価)
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1:提言 改善報告審議結果 |
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| 東邦大学 | 私 | 東京都 | 第1期 |
2014年度 |
適 |
自己点検・評価書 基礎資料 正誤票 |
評価報告書
総評
東邦大学 総評東邦大学薬学部は、建学の精神(「自然・生命・人間」)に基づき、「人材の養成に関する 目的」および「教育研究上の目的」を学則で規定し、ホームページで公表している。「人材 の養成に関する目的」には、心の温かい薬の専門家として、他職種とともに医療の最前線 で人々の健康を守る高い倫理観と豊かな人間性を持つ医療人の養成を目的とすると謳われ ており、また「教育研究上の目的」には、教育に関しては、高い倫理観、豊かな人間性、 豊富で正確な知識・技能および問題解決能力を涵養する、としている。 これらの目的の下、6年制薬学教育の入学者受入方針(アドミッション・ポリシー)、教 育課程の編成・実施方針(カリキュラム・ポリシー)、および学位授与の方針(ディプロマ・ ポリシー)を制定している。 これらのポリシーに基づき、教育課程は、教養教育、外国語教育、保健体育教育、基礎 教育、および専門教育から構成されている。薬学専門教育はモデル・コアカリキュラムに 準拠した教育プログラムが実施されている。また、医療系総合大学の強みを活かした多彩 な科目が配置され、医学部との合同講義や医療系の他職種との参加型教育が実施されてい る。卒業研究は、4年次秋学期から6年次春学期の期間に実施されており、卒業研究に専 念できる体制を整えている。実務実習では、事前学習と薬学共用試験で参加学生の能力を 保証した上で、附属3病院と協力病院で病院実習を、調整機構との連携に基づき大学の近 隣の保険薬局で薬局実習を、実務実習モデル・コアカリキュラムに沿って実施している。 入学者の選抜については、主に化学、英語、数学の学力により、入学後の教育に求めら れる基礎学力が評価されている。また、入学定員に対する入学者数は妥当な範囲にある。成績評価は、各科目担当者の責任に基づいて公正かつ厳格に行われており、評価方法は、 シラバスに「成績評価法」として明記されている。 専任教員数については、基本的には大きな問題点は存在しない。 学生の支援については、災害発生時を想定した「東邦大学安否確認サービス」を導入し、 学生の安否確認ならびに緊急連絡体制を整えていることは、特徴的である。また、学習環 境および社会との連携についても適切である。 しかし、主な改善すべき点として、以下の点があげられる。 1.「ヒューマニズム教育・医療倫理教育」および「コミュニケーション能力・自己表現能 力」の目標達成度を評価するための指標を設定し、評価することが必要である。 2.薬剤師育成教育として必須であるコミュニケーション教育などを必修科目とし、学習 方法として参加型学習方法を取り入れる必要がある。 3.卒業研究や「英語Ⅰ~Ⅳ」の必修科目のシラバスが掲載されていないので、早急に改 善する必要がある。 4.卒業研究の評価が担当教員に任されていることは、評価の客観性に問題があるので、 学部全体として、統一した指標を定めて評価する必要がある。 次に、主な助言としては、医療人教育における英語教育には多彩なプログラムが導入さ れており、また、アドバンスト科目には医療系総合大学の特色を活かしたものも含め様々 なものが配置されているが、履修者が少ない。大学独自のカリキュラムの特色が十分に活 かしきれていないので、履修者を増やすための対応が望まれる。 東邦大学薬学部は、医療系総合大学の特色を活かした多様な教育プログラムを構築して おり、薬剤師養成教育への熱心な取り組みがうかがえる。今後は改善すべき点および助言 を踏まえ、より一層の改善・改革を進め、6年制薬学教育の更なる発展が期待される。
大学への提言
東邦大学 大学への提言1)長所 (1)「ヒューマニズムⅡ」を必修科目として設定し、薬学生と医学生による少人数グ ループワークにより討論・学習し、結果の発表を行い、将来のチーム医療に役立 てることを考えていることは評価できる。(3.医療人教育の基本的内容) 2)助言 (1)薬学部に教育研究上の目的の検証を実施する委員会組織が早急に構築されること が望まれる。(1.教育研究上の目的) (2)薬学部の教育研究上の目的が学則に規定され、より具体的な目的が薬学部のホー ムページで公表されているが、在学生に認識させるにはシラバス(履修の手引き) や学生便覧にも記載することが望ましい。(1.教育研究上の目的)(3)カリキュラム・ポリシーは、シラバスにも掲載されることが望まれる。(2.カリ キュラム編成) (4)教養教育科目として人文社会系科目は配置されている。しかし、自然科学系科目 が皆無であることは問題であり、改善されることが望ましい。(3.医療人教育の 基本的内容) (5)英語教育には多彩なプログラムが導入されているが、上級学年の科目については 選択科目であるためか履修者が極端に少ないので、履修者数の増加に努め、科目 の特徴を活かす努力が望まれる。(3.医療人教育の基本的内容) (6)知識・技能・態度に対応した学習方法が各科目のシラバスに記載されることが望 ましい。(4.薬学専門教育の内容) (7)アドバンスト科目には医療系総合大学の特色を活かしたものも含め様々なものが 配置されている。しかし、5年次、6年次に選択科目として開講される場合、履 修者が極端に少ない科目が多い。このように、大学独自のカリキュラムの特色が 活かしきれていないので、アドバンスト科目の履修者を増やすための対応が望ま れる。(4.薬学専門教育の内容) (8)PBL、SGD等を用いた科目の更なる充実が望まれる。(6.問題解決能力の醸 成のための教育) (9)「一般入試」および「センター試験・前期」の最近6年間における募集定員は、そ れぞれ100名、20名である。この間の「一般入試」の入学者数は37~82名、「セン ター試験・前期」のそれは43~75名であり、募集定員と実際の入学者数が大きく 逆転している。受験者の不信を避けるためにも、募集定員数に見合う入学者数と することが望まれる。(7.学生の受入) (10)留年生は基本的に不合格科目のみを受講すれば良いことになるので、モチベーシ ョンの維持に向けてより適切な対策が望まれる。(8.成績評価・進級・学士課程 修了認定) (11)学生募集要項には、身体に障がいのある受験者に対する配慮に関する記載が望ま れる。(9.学生の支援)(12)教員構成における助教の比率を上げることが望まれる。(10.教員組織・職員組 織) (13)博士の学位を有しない准教授・専任講師は今後博士の学位を取得するよう努め、 さらに、博士の学位を有する者を採用することが望ましい。また、博士の学位を 有しない助教は今後博士の学位を取得するよう努め、学部として修得し易いよう に環境を整えることが望ましい。(10.教員組織・職員組織) (14)教授の採用に当たっては、公募を原則として実施されているが、推薦が優先され ると判断される「東邦大学薬学部教員人事内規」が現在に至るまで改定されてい ないので、実態に合わせて改定することが望まれる。(10.教員組織・職員組織) (15)臨床系教員・実務家教員と基礎系教員の週授業時間にバラツキが大きいので、改 善することが望まれる。(10.教員組織・職員組織) (16)10名規模の学生によるSGDに適したチュートリアル室の必要数を確保すること が望ましい。(11.学習環境) 3)改善すべき点 (1)「ヒューマニズム教育・医療倫理教育」および「コミュニケーション能力・自己表 現能力」についての達成度を評価するための基準を設定することが必要である。 (3.医療人教育の基本的内容) (2)薬剤師教育に必須であるコミュニケーション教育等を必修科目とし、学習方法に 能動的学習を取り入れることが必要である。(3.医療人教育の基本的内容) (3)「英語Ⅰ〜Ⅳ」のシラバスが記載されていないので、早急に改善する必要がある。 (3.医療人教育の基本的内容) (4)実務実習事前学習の評価を、知識、技能、態度をバランス良く評価する方法に改 善すべきである。事前学習の到達度評価については評価の指標を設定し、それに 基づいて適切に評価する必要がある。(5.実務実習) (5)卒業研究の一般目標、到達目標、成績評価法などをシラバスに掲載すべきである。 (6.問題解決能力の醸成のための教育)(6)卒業研究の評価に関しては、各担当教授に任されており、評価の客観性に疑問を 持つ。学部全体として、統一した指標を定め、評価されるべきである。(6.問題 解決能力の醸成のための教育) (7)問題解決能力醸成のための教育、たとえば、「ヒューマニズムⅠ、Ⅱ」等の成績評 価に関する評価基準ならびに評価方法を明確に設定する必要がある。(6.問題解 決能力の醸成のための教育) (8)6年制薬学教育プログラムに対する自己点検・評価を恒常的に行い、プログラム の向上に努める必要がある。(13.自己点検・評価)
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1:提言 改善報告審議結果 |
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| 徳島文理大学 | 私 | 徳島県 | 第1期 |
2014年度 |
適 |
自己点検・評価書 基礎資料 正誤票 |
評価報告書
総評
徳島文理大学 総評徳島文理大学薬学部は、「自立協同」の建学精神のもと、薬学教育・薬剤師の養成に尽 力してきた。薬学科の教育研究上の目的を「薬剤師としての必須の知識・技能・態度を習 得するだけでなく、問題解決能力を有した薬剤師を養成することを目的とする」と規定し、 これに基づく、アドミッション・ポリシー(入学者受入方針)、カリキュラム・ポリシー (教育課程の編成・実施方針)、および、ディプロマ・ポリシー(学位授与方針)を定め ている。これらのポリシーに基づき、薬学科の教育課程は、教養科目、語学科目、薬学専 門科目より構成される。教養科目は、人文・社会系、自然科学系の多くの全学共通科目が 開講され、語学(英語)は、聞く、話す能力を養う授業が実施されている。また、1年次 の早期体験学習では、病院・薬局・企業・行政を見学している。薬学専門教育は、薬学教 育モデル・コアカリキュラムに準拠した基礎知識を学び、5年次からの実務実習に備える プログラムとなっている。主体的な学習態度、問題発見・問題解決能力の醸成に重点を置 いたプログラムとして、4年次前期から6年次8月末まで、長期実務実習を除く期間に、 15単位の卒業研究を必修として課している。 実務実習事前学習と薬学共用試験により実務実習の能力を担保した学生は、中国四国地 区調整機構との連携により実習先が決定され、徳島県内・外の病院、保険薬局において、 モデル・コアカリキュラムに沿った内容で実習が行われている。 専任教員数は大学設置基準を充足しており、専任教員数に対する学生数比率も適切であ る。若手教員が海外留学できる制度も活用されている。施設・設備は、学習・研究環境と して良好で、卒後教育や地域医療への貢献も活発である。 しかし、本機構の評価基準に照らし評価すると、主な改善すべき点として以下の点があげられる。 1.薬剤師養成教育を実践するために必須であるヒューマニズム教育・医療倫理教育、 医療コミュニケーション教育などを体系的に充実させる必要がある。 2.上記1の科目の多くは講義で行われている。これらの科目に参加型学習方法を多く 取り入れることが必要である。また、達成度評価のために指標を定め、公正かつ厳 格に評価する必要がある。 3.入学後から、薬学を学ぶ上での基礎教育の補強をしているにもかかわらず、低学年 の退学率が高く、かつ6年間の在籍で卒業できる割合が50%に満たないという状況 を生じている。この状況は、入学選抜において、入学志願者の能力が的確に評価さ れていないことを示しているので、改善が必要である。 4.成績評価において、筆記試験、レポート点などの複数の評価方法を用いる場合、評 価方法ごとの最終成績への寄与率をシラバスに記載することが公正な評価のために 必要である。 5.薬学部に常置のFD(Faculty Development)委員会を整備し、教員の教育研究能力 の向上を図るための取り組みを適切に実施することが必要である。 6.薬学教育プログラム向上のために、プログラムを自己点検・評価する組織を構築し、 継続的に検証する必要がある。 徳島文理大学薬学部では、保健福祉学部看護学科、理学療法学科などと、複数の医療系 学科が協力した教育を実施することが可能である。薬学部には、問題解決能力の醸成を重 視した教育研究体制と熱心な教員の教育姿勢があるので、改善すべき点および助言を踏ま え、より一層、組織的に医療人としての薬剤師の育成に取り組み、さらに発展することを 期待する。
大学への提言
徳島文理大学 大学への提言1)長所 (1)薬学部から年間2名の若手教員の海外留学を支援する制度があり、平成25年度に2 名が留学している。(12.社会との連携) 2)助言 (1)ホームページ、ならびに「自己点検・評価書」に記載されている教育研究上の目的 を、学則に規定された表現に統一することが望ましい。(1.教育研究上の目的) (2)薬学部の教育研究上の目的を定期的に検証することが望ましい。(1.教育研究上の 目的) (3)医療倫理教育やヒューマニズム教育が1~4年次まで体系的に実施され、5年次の 医療現場での実習に備える必要があるが、カリキュラム・ポリシーからは、読みと れないので、分かりやすくすることが望まれる。(2.カリキュラム編成) (4)カリキュラムの構成が、教育目標、ならびにカリキュラム・ポリシーに基づいてい ることを学生が理解できるように、カリキュラム・マップをシラバスに掲載すること が望ましい。(2.カリキュラム編成) (5)「薬学部要覧」(シラバス)に評価方法の詳細が記載されていないので、記載する ことが望まれる。(5.実務実習) (6)入試要項と大学案内のアドミッション・ポリシーの表記を統一することが望まれる。 (7.学生の受入) (7)ディプロマ・ポリシーが策定され、公表されているが、「薬学部要覧」(シラバス) には記載がなく、学内の学生に十分に周知されているとはいえないので、改善するこ とが望まれる。(8.成績評価・進級・学士課程修了認定)(8)必修科目6単位の「総合薬学演習」のみの未修得で卒業できないという卒業認定の 実態は、ディプロマ・ポリシーに基づく学士課程修了認定が行なわれていないことを 意味しているので、改善することが望まれる。(8.成績評価・進級・学士課程修了 認定) (9)実務家教員(臨床教員)が、定期的に臨床現場に赴いて最先端の医薬品や医療に関 する知識・技能に触れるシステムを構築することが望ましい。(10.教員組織・職 員組織) 3)改善すべき点 (1)薬剤師養成教育のために必須である医療倫理教育、医療コミュニケーションおよび ヒューマニズム教育などを体系的に充実させる必要がある。(3.医療人教育の基本 的内容) (2)態度教育として重要な医療倫理教育・ヒューマニズム教育・医療コミュニケーショ ンのほとんどが講義で行われており、参加型の方略が少ないので、SGD、ロールプ レイなどの参加型の学習方法による学習時間を増やすことが必要である。(3.医療 人教育の基本的内容) (3)医療コミュニケーションに重要な科目「実践的コミュニケーション」、医療安全に 関わる科目「医薬品リスクマネージメント」は、選択科目となっているので、必修科 目とすることが必要である。(3.医療人教育の基本的内容) (4)ヒューマニズム教育・医療倫理教育科目において、教育の適切な達成度評価のため に指標を設定し、適切に評価する必要がある。(3.医療人教育の基本的内容) (5)実務実習の評価の総合点は、卒論担当教員の裁量に任されているので、評価を公正 に行うために、改善が必要である。(5.実務実習) (6)卒業研究に相当する4年次の「総合薬学研究1」、5年次の「総合薬学研究2」、 および6年次「総合薬学研究3」の評価が卒論担当教員に任されており、評価の公正 性に問題があり、統一の評価方法を設けることが必要である。(6.問題解決能力の 醸成のための教育)(7)問題解決能力の醸成を目的とする科目については、達成度を評価するための指標を 設定し、適切な評価をすることが必要である。(6.問題解決能力の醸成のための教 育) (8)低学年の退学率の増加および卒業率の低下の原因として、入学試験において入学後 に求められる基礎学力を的確に評価していないことが考えられるので、改善が必要で ある。(7.学生の受入) (9)科目の評価において、筆記試験、レポート点などの複数の評価方法を用いる場合、 評価方法ごとの最終成績への寄与率をシラバスに記載することが厳格な評価のため に必要である。(8.成績評価・進級・学士課程修了認定) (10)2年、3年、4年次生の健康診断の受診率が極めて低いので、指導する必要がある。 (9.学生の支援) (11)薬学部に常置のFD委員会を整備し、教員の教育研究能力の向上を図るための取り 組みを適切に実施することが必要である。(10.教員組織・職員組織) (12)薬学部の学生定員が1.5倍に増加しただけでなく、実務実習が開始され個々の学生に 関する事務処理量が急激に増大しており、薬学部に常駐する事務職員3名では、人手 が不足している。薬学部の教育・研究の充実のために、事務員体制を強化することが 必要である。(10.教員組織・職員組織) (13)薬学部内に薬学教育プログラムを自己点検・評価する組織を構築し、教育プログラ ムの検証を恒常的に行い、プログラムの向上に努める必要がある。(13.自己点検・ 評価)
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1:提言 改善報告審議結果 |
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| 千葉科学大学 | 私 | 千葉県 | 第1期 |
2014年度 |
継 |
自己点検・評価書 基礎資料 正誤票 |
評価報告書
総評
千葉科学大学 総評千葉科学大学薬学部薬学科は「コミュニケーション能力を持ち薬剤過誤を未然に防ぐリ スクマネージャーとしての素養を持つなど、現代社会に広く貢献できる薬剤師の養成」を 教育目標として掲げ、学位授与方針(ディプロマ・ポリシー)、教育課程の編成・実施方針 (カリキュラム・ポリシー)、入学者受入方針(アドミッション・ポリシー)を制定し、6 年制薬学教育を行っている。 教育課程は、低学年では入学者に対する基礎学力の向上に重点を置き、能力別クラス編 成を実施し、また、中高学年では薬剤師養成教育に必要な科目を配置した編成になってい る。東日本大震災を経験した千葉科学大学の特徴として、災害時対応やリスク対応能力の 養成を目的とした「リスク危機管理論(必修)」、「救急災害薬学演習(選択)」、「災害時チ ーム医療演習(選択)」という科目を開講している。学生の実務実習受入先は基本的に関東 地区調整機構との連携により決められているが、一部、大学が独自に契約を結んだ病院も 学生の実務実習受入先としている。薬学部の専任教員全員が実習施設を訪問し、実務実習 の実施に参画している。 多様な方式で入学試験を行い、試験問題が全ての学部で同一であり、学科別に解答する問 題が決められ、学科に適した学生を選抜するように設計されている。また、一部の試験では あるが、面接等が行われ、医療人としての適性の評価も入学試験に取り入れられている。 入学者数は開学以来定員を下回っていたが、定員削減や経済支援などの努力により改善 されつつあり、直近年度では定員超過となっている。 学習環境は良好であり、学生支援体制も整っている。社会との連携も行われている。しかし、本機構の評価基準に照らして教育プログラムの内容を評価すると、改善を必要 とするいくつもの重大な問題点が見出される。改善を必要とする主な問題点は下記のとお りである。 1)実務実習事前学習の単位認定に、事前学習の内容とは関連性が低いCBT(Computer Based Testing)体験受験の成績と薬学共用試験のOSCE(Objective Structured Clinical Examination)の結果を用いており、大学独自の実務実習事前学習の到達度 を評価する指標が設定されておらず、測定されていない。さらに、実務実習において 各SBOs(Specific Behavioral Objectives)に関する評価基準ならびに評価方法 が明確に設定されておらず、適正に評価されていない。 2)問題解決能力の醸成のための教育における卒業研究については、実施期間は形式的 にも1年に満たない。これは国家試験準備教育とみなされる「薬学演習Ⅱ」や「総合 薬学演習」に対して、設定単位に必要な授業時間数を大幅に超過する授業時間を充て ることで、卒業研究の実施期間が圧迫されているためと推察される。また卒業論文発 表会は実施されているが、複数名が同一課題名かつ同一内容の要旨である卒業論文も あり、評価に関する統一的な指標や基準が定められていない。また、問題解決型学習 については、各々の評価の基準が曖昧であり、成績評価のための測定が適切になされ ているとは言えず、問題解決型学習が体系的、効果的に実施されているとは言えない。 3)成績評価・進級・学士課程修了認定に関しては、学生便覧に規定されている4年次 進級試験は実施されておらず、補習を実施し明確な規定のない「進級緩和措置」によ って学生を進級させている。学士課程修了については、学外業者の試験2回を含んだ 4回の試験結果で単位認定をする「総合薬学演習」のみの単位未修得により多くの卒 業延期の学生を生じている。一方、「特別再試験」と呼ばれる優遇策が行われている など、学士課程修了認定が適切に行われているとは言えない。 上記の問題点に加えて、カリキュラム編成上、薬学教育モデル・コアカリキュラム以外 の大学独自のカリキュラムが少なく、薬剤師に求められるヒューマニズム・医療倫理教育 に関する科目の多くが選択である。また、これらヒューマニズム・医療倫理教育科目並び にコミュニケーション能力・自己表現能力を身に付ける教育のための科目に関して、目標達成度を評価するための指標が設定されておらず、それに基づいた評価がなされていない。 実務実習を含む薬学教育プログラムの内容を示すシラバスに多くの不備があり、薬学教育 モデル・コアカリキュラムへの準拠に関しても不十分な箇所がある。入学者判定や教員の 採用・昇任などに関して学則の規定通りに実施されていないなどの多くの問題点が認めら れる。 今回の評価において「改善すべき点」として指摘した諸問題を教職員で共有し、改善に 取り組み、千葉科学大学として特色のある6年制薬学教育を構築し実施することを期待し て止まない。
大学への提言
千葉科学大学 大学への提言1)助言 (1)薬学科の教育研究上の目的について、自己点検・評価する体制を構築することが望 ましい。(1.教育研究上の目的) (2)社会に発信する資料には、建学の理念や大学、学部、学科の教育研究上の目的を統 一した表現で記述することが望まれる。(1.教育研究上の目的) (3)カリキュラム・ポリシーを学生便覧やシラバス等へ掲載して、学生に周知する努力 が望まれる。(2.カリキュラム編成) (4)カリキュラム・ポリシーを学科の教育研究上の目的と具体的に関連付けることが望 ましい。(2.カリキュラム編成) (5)教育目的の達成を可能とするためにカリキュラムの体系化を行い、カリキュラム・ マップやカリキュラム・ツリー、科目相関図等として学生に広く示すことが望まし い。(2.カリキュラム編成) (6)就学年限を通した英語教育や医療現場で必要とされる英語教育を充実させることが 望ましい。(3.医療人教育の基本的内容) (7)医療人として必要な倫理観や態度教育の科目を、学年を追って体系的に学びを積み 重ねるような配慮や工夫が望まれる。さらに、実際の生涯学習活動へ学生が参加で きるような機会を増やすなど、生涯学習に対する意欲を醸成するための教育を体系 的に行うことが望ましい。(3.医療人教育の基本的内容) (8)早期体験学習を通して学生が出会う職種を増やすことが望まれる。(3.医療人教 育の基本的内容) (9)シラバスは、授業方法(学習方略:各回の授業別に)と全ての授業担当者名を記述 することが望ましい。(4.薬学専門教育の内容)(10)基礎系科目に関して、臨床との関連付けが見えるように工夫をすることが望まれる。 (4.薬学専門教育の内容) (11)大学独自のカリキュラムを増やすことが望ましい。(4.薬学専門教育の内容) (12)公表されているカリキュラムに関して、媒体間で不一致が見られることから、確認 し、訂正することが望ましい。(4.薬学専門教育の内容) (13)実務実習事前学習のシラバスには担当教員名と各回の授業に関する学習方略を明記 し、実務実習のシラバスをより充実させることが望ましい。(5.実務実習) (14)実務実習直前期に事前実習の到達度を再確認することが望まれる。(5.実務実習) (15)実習期間中は週報などを利用して、学生と指導薬剤師、大学教員の三者間で実習内 容や進捗状況に関してさらに密接に意見交換を行うことが望まれる。(5.実務実 習) (16)全ての学生が参加する実習報告会を開催することが望まれる。(5.実務実習) (17)問題解決能力の醸成に向けた科目および実質的な単位数を増やし、「特別実習」と 合わせて卒業要件の1/10という基準を満たすことが望ましい。(6.問題解決能力 の醸成のための教育) (18)卒業研究が実質的に研究室任せで運営されているので、成績の評価、実施時間につ いて、大学として責任を果たすことが望まれる。(6.問題解決能力の醸成のため の教育) (19)入学後の教育に求められる基礎学力を適確に評価する上で、入学試験の成績と入学 後の成績を比較・検証し、入試における学力調査の方法を検討することが望ましい。 (7.学生の受入) (20)編入学試験合格者に対する単位読替表を作成し、各科目の単位認定の可否の基準を 明確にすることが望ましい。(7.学生の受入) (21)薬学科の教育目標との関連が明確に見えるようなディプロマ・ポリシーに改変する ことが望ましい。(8.成績評価・進級・学士課程修了認定) (22)学生便覧へディプロマ・ポリシーを記述し、学生や教員に周知することが望まれる。 (8.成績評価・進級・学士課程修了認定)(23)9月の卒業を目指す学生に対して開講される授業の詳細な事項や該当する科目のシ ラバスへの記述、最終的な卒業の判定基準を示すことが望ましい。(8.成績評価・ 進級・学士課程修了認定) (24)学生からの意見を聞き、対応する組織や委員会を設けることが望まれる。(9.学 生の支援) (25)教員1名当たり21.4名の学生を指導することになるので、教員を増やし、是正に向 けて努力することが望まれる。(10.教員組織・職員組織) (26)教員の職位・年齢構成を考慮し、今後の人事を行うことが望ましい。(10.教員 組織・職員組織) (27)ホームページで公開している専任教員の業績を定期的に最新の情報に更新すること が望ましい。(10.教員組織・職員組織) (28)教員によって教育負担に大きな差があるので、是正に努めることが望ましい。(1 0.教員組織・職員組織) (29)FDやSDに関して、ワークショップのような能動的な取り組みも行うように努め ることが望まれる。(10.教員組織・職員組織) (30)参加型学習のための少人数教育に充てる教室を整備することが望まれる。(11. 学習環境) (31)生涯教育講座など、学科独自の地域社会との連携プログラムが年々減少傾向にある ので、再び活性化することが望ましい。(12.社会との連携) (32)大学を挙げて国際交流に力を入れるために、英語版ホームページの開設が望まれる。 (12.社会との連携) (33)教職員に対する海外派遣が十分に行われていないので、努力することが望まれる。 (12.社会との連携) (34)薬学部自己点検評価委員会が不断の自己点検・評価を促すことが望ましい。(13. 自己点検・評価)2)改善すべき点 (1)学科の教育研究の目的を学則に規定する必要がある。(1.教育研究上の目的) (2)CBT対策あるいは国家試験対策と考えられる「基礎薬学演習(4年次前期4単位)」、 「薬学演習Ⅰ(4年次後期4単位)」合わせて294時間相当、「薬学演習Ⅱ(6年次前 期)」、「総合薬学演習(6年後期)」合わせて862時間相当と、設定単位数に必要な開 講授業時間数以上に授業時間を割り当てており、CBT対策あるいは国家試験の合 格のみを目指していると判断されるので、このような教育姿勢を改める必要がある。 (2.カリキュラム編成) (3)学部あるいは学科の中でカリキュラムを検証し、必要に応じた変更を速やかに行う 体制を早急に整備する必要がある。(2.カリキュラム編成) (4)ヒューマニズム教育・医療倫理教育は、その多くが選択科目として開講されている ので、全ての学生が受講する必修科目に変える必要がある。(3.医療人教育の基 本的内容) (5)ヒューマニズム教育・医療倫理教育およびコミュニケーション能力・自己表現能力 を身につける教育等の目標達成度を評価するための指標を設定し、それに基づいて 適切に評価する必要がある。(3.医療人教育の基本的内容) (6)「薬学教育モデル・コアカリキュラム」の到達目標で対応する授業科目がないもの があるので、全てに対応したカリキュラムに改変する必要がある。(4.薬学専門教 育の内容) (7)実務実習事前学習における目標達成度の測定にCBT体験受験とOSCEの結果を 用いていることを止め、実務実習事前学習の目標達成度を評価するための指標を設 定し、それに基づいて適切に評価する必要がある(5.実務実習)。 (8)実務実習の成績評価において基準が明示されておらず、評価も適正に行われていな いので、改善が必要である。(5.実務実習) (9)実習の成績評価を行う際に用いる「実習日誌の内容」、「出席状況」、「指導薬剤師の 評価」等の、全体の評価における割合をシラバスに明記する必要がある。(5.実務 実習)(10)卒業研究は4〜6年次に分散して行われ、最大で10ヶ月と期間が短く、研究を通し て問題解決能力が醸成できる体制を築く必要がある。(6.問題解決能力の醸成のた めの教育) (11)卒業論文が成績評価の対象となっているので、卒業論文は学生一人ひとりが独立し て作成する必要がある。(6.問題解決能力の醸成のための教育) (12)論文審査基準や発表の審査基準も含めて、「特別実習」の評価基準を明示する必要 がある。(6.問題解決能力の醸成のための教育) (13)「PBL評価表」のようにグループ学習時に使用される成績評価に関しては、評価 基準とともに評価項目ごとの割合等を明示し、学生に周知する必要がある。(6.問 題解決能力の醸成のための教育) (14)問題解決能力の醸成に向けた教育において目標達成度を評価するための指標を設定 し、それに基づいて適切に評価する必要がある。(6.問題解決能力の醸成のための 教育) (15)学則第20条に示されているように、入学試験の合否の判定は、教授会による入学者 の学力を判断する審議結果に基づいて決定する必要がある。(7.学生の受入) (16)成績評価指標や評価基準をシラバスと学生便覧に明記する必要がある。(8.成績 評価・進級・学士課程修了認定) (17)学則上不明確な進級緩和措置による進級を行ったり、「総合薬学演習」に合格した 者のみに対して特別再試験を行ったりしていることは、厳格に進級や卒業が判定さ れているとは言えない。進級判定や卒業判定に関して基準に基づいて公平に実施す る必要がある。(8.成績評価・進級・学士課程修了認定) (18)事実上の卒業試験である「総合薬学演習」(「自己点検・評価書」p.56)の単位認 定試験に、国家試験合格を予測する学外業者の試験を用い、学士課程修了認定を行 っている点を改善する必要がある。(8.成績評価・進級・学士課程修了認定) (19)「総合薬学演習」のみの単位未取得で卒業延期となる学生が、受験者の約45%とい うような事態を生じさせないように、6年次までの進級判定を含め学力評価の実態 を点検し、根本的な改善を行う必要がある。(8.成績評価・進級・学士課程修了認定) (20)教員の採用・昇任に関して学則および関連規程に従って教授会で審議する必要があ る。(10.教員組織・職員組織) (21)薬学部独自の点検項目を設定し、恒常的に自己点検・評価を行う必要がある。(1 3.自己点検・評価) (22)自己点検・評価の結果を教育研究活動に反映する体制と、反映した結果を検証する 体制を構築する必要がある。(13.自己点検・評価)
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適 |
再評価改善報告書 基礎資料 正誤票 |
再評価報告書
総評
千葉科学大学 総評千葉科学大学薬学部薬学科は、「薬学に関する深い専門的知識と技能を持ち、薬学・医療に対する使命感と倫理観にあふれ、国民の健康な生活の確保に貢献できる薬剤師、研究者、技術者の養成」を教育目的とし、これに基づき学位授与の方針(ディプロマ・ポリシー)とその達成に向けた教育課程の編成・実施方針(カリキュラム・ポリシー)と入学者受入方針(アドミッション・ポリシー)を定めて6年制薬学教育を行っている。千葉科学大学薬学部薬学科の教育プログラムは、2014(平成26)年度に行った本評価において、「実務実習」、「問題解決能力の醸成のための教育」、「成績評価・進級・学士課程修了認定」に重大な問題点が見出され評価継続となったため、それらの問題点に対する改善結果について再評価を行った。「実務実習」に関しては、実務実習事前学習に当たる「事前病院・薬局実務実習」の成績評価を実務実習事前学習としての目標達成度を評価する指標に基づいて行う方式とし、本評価で問題点として指摘された薬学共用試験の結果で判断することを廃止した。また、実務実習の成績評価についても、評価基準を明示して、全体の評価に対する項目ごとの評価指標と評価の割合をシラバスに明記するよう改善し、本評価で問題点として指摘された評価基準が明示されていないという問題点を解消した。「問題解決能力の醸成のための教育」に関しては、卒業研究に対応する「特別実習」の期間を12カ月以上に延長するとともに、個々の学生が異なる課題に取り組んで卒業論文を作成する体制に改善し、評価にはルーブリックを活用している。また、「問題解決能力の- 2 -醸成のための教育」に位置付ける科目で講義のみで行っていたものについて、2単位15コマの授業の一部に能動的学習を組み込み、その割合と評価指標をシラバスに明記した。これらの対応により、「問題解決能力の醸成のための教育」について本評価時に指摘した問題点の多くが改善された。「成績評価・進級・学士課程修了認定」に関しては、個々の科目の成績評価に関する指標をシラバスに明記するとともに成績評価基準を学生便覧に明記し、ルーブリック評価表などを学生に周知するように改善している。また、学則に規定されていない進級緩和措置や「総合薬学演習」の合格者に対して行っていたそれ以外の科目の特別再試験を廃止し、進級や卒業の判定を厳格に行うように改善されている。このように、再評価によって本評価で評価継続の理由となった重要な問題点についての改善が行われていることが確認された。また、再評価の対象とはならなかった中項目に関しても、本評価における提言への対応がなされ、薬学部薬学科の教育目的を学則に規定し、単位数と演習時間の関係を適正な値に修正するとともに、カリキュラムを検証し、必要に応じた変更を速やかに行う体制を整備されるなど、改善が進められている。以上のように、千葉科学大学薬学部薬学科は、本評価において指摘された多くの問題点に対して真摯に改善に取り組んでおり、本評価において適合と判断されていた諸項目を合わせて、本機構の定める「薬学教育評価 評価基準」におおむね適合していると判断できる。しかし、再評価段階においても、以下のような問題点があり、改善が必要である。(1) 実務実習事前学習にあたる「事前病院・薬局実務実習」の成績評価において、評価項目ごとの評価の割合を事前学習の趣旨に即して技能・態度を重視したものにすると共に、事前学習の総合的な目標達成度を適切な指標を設定して評価することが必要である。(2) 実務実習の成績評価における項目ごとの評価の割合を適正なものにすることが必要である。(3) 問題解決能力の醸成に向けた教育全体としての総合的な目標達成度を測定するための指標を設定して評価を行うことが必要である。(4) 卒業率の低い状態が続き、卒業延期者の大部分が「総合薬学演習」の単位未修得によるもので、卒業判定がディプロマ・ポリシーの達成状態に基づいて行われているとは言い難いことから、入学から卒業に至るまでの過程における学修指導体制の改善が必要である。- 3 -千葉科学大学薬学部薬学科には、再評価で指摘された改善すべき点と助言、および本評価の提言への対応が十分にはなされていない問題点の改善に取り組み、薬学教育の更なる向上に努めることを期待する。
大学への提言
千葉科学大学 大学への提言1)助言
1. 全学生による実務実習発表会を行い、学生がそれぞれ学習してきた多岐にわたる実務経験を、すべての学生間で共有する機会を設定することが望ましい。(5.実務実習)2. 卒業論文の評価は、指導教員だけで行っているが、評価の客観性を担保する上で複数の教員で評価を行うよう改善することが望ましい。(6.問題解決能力の醸成のための教育)3. 卒業学年における再試験に関する例外規定(千葉科学大学履修規程第40条第2項)については、適用対象を決定する基準が明確ではなく、不公平を生じる懸念があるので、廃止あるいは適用基準を明示することが望ましい。(8.成績評価・進級・学士課程修了認定)4. 教育研究上の目的に基づいた6年間の教育における総合的な学習の成果を測定するための指標や評価基準を設定し、それに基づく評価を行うことが望まれる。(8.成績評価・進級・学士課程修了認定) 2)改善すべき点 1. 事前学習の総合的な目標達成度を評価する指標を設定し、それに基づく評価を行うように改善する必要がある。(5.実務実習)2. 事前学習に当たる「事前病院・薬局実務実習」の成績評価において、事前学習の目的とは異なる基礎薬学領域を含めた知識を80%、技能・態度を20%として評価することは、医療現場での実務実習で必要となる技能・態度を修得するという事前学習の目的から乖離しており、改善する必要がある。(5.実務実習)3. 実務実習の成績評価を、学生が提出する「実習レポート」を40%、終了後に行う「成果発表」の評価を40%、指導薬剤師の評価である「学生の成長度の測定」を20%とした合計によって行い、満点の60%以上で合格とする制度では、指導薬剤師による評価が0点であっても実務実習の単位が取得できることになり、不適切であるので、改善する必要がある。(5.実務実習)4. 問題解決能力の醸成に向けた教育において、総合的な目標達成度を測定するための指標を設定し、それに基づいた教育成果の評価を行うよう改善する必要がある。(6.問題解決能力の醸成のための教育)- 21 -5. 卒業率が44~62%に留まり、卒業延期者の多くは「総合薬学演習」の未修得が理由となっていることは、卒業判定がディプロマ・ポリシーの達成に基づいて行われているとは言い難く、この現状の解消に向けて、在学生の学力の現状とその背景となっている問題に対する点検・評価と、その結果に基づく、入学から卒業に至る学修指導体制に改善する必要がある。(8.成績評価・進級・学士課程修了認定)6. 1年次の退学者が在学生の10%を超えていることや、中高年次のストレート在籍率が49~62%と低い。このような実態について、それらの原因についての解析とその解消に向けて改善する必要がある。(8.成績評価・進級・学士課程修了認定) |
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1:提言 改善報告審議結果 |
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| 岐阜薬科大学 | 公 | 岐阜県 | 第1期 | 2014年度 | 適 |
自己点検・評価書 基礎資料 |
評価報告書
総評
岐阜薬科大学 総評岐阜薬科大学薬学部は「薬と健康についての高度な研究に支えられた教育により、有為な薬学の専門職業人を育成し、それらを通じて社会に貢献する」ことを教育理念とし、「薬学分野における最新の学理と技術を教授研究し、高度な知識・技能並びに豊かな人間性と高い倫理観を身につけた優れた薬剤師および臨床薬学研究者を育成すること」を薬学科の教育研究上の目的として、学則第4条に掲げている。この目標に従って、6年制薬学教育の入学者受入方針(アドミッション・ポリシー)、教育課程の編成・実施方針(カリキュラム・ポリシー)および学位授与方針(ディプロマ・ポリシー)を制定している。これらは、ホームページおよび学生便覧に掲載し、公表されている。カリキュラム・ポリシーは1年次から6年次まで、学年ごとにまとめられている他、科目間の関係性や時系列もわかりやすく表現されている。国家試験準備教育に関しては、6年次後期に必修科目として「総合薬学演習(3単位)」が設定されているのみである。「ヒューマニズム・医療人教育」に関しては、1〜6年次にわたり、各学年に関係科目が配置されている。教養科目に関しては、コンソーシアムにより選択の幅が広く用意されている。生涯学習について、各種リカレント講座を開講し、学生も参加している。
薬学教育モデル・コアカリキュラムの一般目標(GIO)、到達目標(SBOs)に関して、モデル・コアカリキュラムのSBOsは、各科目に割り振られている。また、大学独自のSBOsがモデル・コアカリキュラムのSBOsと共に、各科目に配置されている。 実務実習に関しては、事前学習などでDVDを用いるなどの工夫がなされ、実習中は教養科目担当教員を除く全教員が施設を訪問し、学生・指導者・教員間で、進捗および生活状況を確認するなど、互いの連携の下で円滑な実習の実施に努力している。 卒業研究のための研究時間は適切に設定され、研究成果は、論文発表会で学生全員が口頭発表している。入学者選抜は、一般選抜、推薦入学A方式、および推薦入学B方式の3区分にわけて実施され、適正に行われている。また、入学定員に対する入学者数は妥当である。専任教員数は大学設置基準を満たしており、適切に配置されている。 学習環境に関しては、良好であり、産・官・学および医療界との連携は全体にわたりバランスよく、かつ十分に取れていることは評価できる。 しかし、改善すべき主な点として、以下のような問題点が見出される。 ヒューマニズム教育・医療倫理教育など、態度教育科目と問題解決能力醸成を目指す科目においては、特に評価基準と評価方法が明確ではない。全般的に、シラバスの不備が見られ、GIO、SBOs、学習方法、成績評価および評価基準が明記されていない。 学生の支援に関しては、事故災害時の対応マニュアルがない。また、進路支援などの委員会もなく学生への支援が十分とは言えない。また、自己点検・評価は行われているが、6年制薬学教育のプログラムに対する適切な評価項目を設定した、恒常的な自己点 検・評価はなされていない。 次に、主な助言として、以下の点があげられる。6年制薬学科の特徴を明確に示すこと、学生支援の充実、FD(Faculty Development)活動の活性化、「自己点検・評価委員会」への外部評価委員の導入などが望まれる。岐阜薬科大学には、薬科大学として培われてきた薬学教育における実績を活かしつつ、改善すべき点および助言に対し、真摯に改善に取り組むことによって、グリーンファーマシーを身につけた薬剤師を輩出することを期待する。
大学への提言
岐阜薬科大学 大学への提言1)助言(1)大学案内にも教育研究上の目的を記載することが望ましい。(1.教育研究上の目的)(2)6年制薬学科のカリキュラム・マップ、およびシラバスの内容を検討し、特徴が分かるようにすることが望ましい。(2.カリキュラム編成)(3)「ヒューマニズムおよび医療倫理教育」の中で、「薬剤師としての倫理観、使命感、職業観を醸成する」との目的に合致していない科目が散見される。適切な開講科目を増やすことが望まれる。(3.医療人教育の基本的内容)(4)医療安全教育に関し、薬害や医療過誤と関連する内容を含む科目および薬害、医療過誤、医療事故等の被害者や弁護士等を講師とする科目の開設が望まれる。(3.医療人教育の基本的内容)(5)薬剤師、他の医療関係者、薬事関係者、患者等の教育への直接的な関与が望まれる。(4.薬学専門教育の内容)(6)シラバスには学習方法を記載することが望まれる。(4薬学専門教育の内容)(7)問題解決能力醸成を目指した科目の多くが講義を中心としているので、学習方法が不適切であり、改善が望まれる。(6.問題解決能力の醸成のための教育)(8)大学としての統一した卒業論文作成指針を確立することが望ましい。(6.問題解決能力の醸成のための教育)(9)学生のキャリア支援のための体制の充実が望まれる。(9.学生の支援)(10)履修指導のガイダンスは、1、3年次以外の学年に対する履修指導が行われてお
らず、各学年ごとにガイダンスを行うのが望ましい(9.学生の支援)(11)FD活動が講演会という受動的手法でのみ行われており、目的に合わせた方略の選択に改善が望まれる。(10.教員組織・職員組織)(12)教員と事務職員が連携してのSDの開催が望まれる。(10.教員組織・職員組織)(13)基礎資料15として、全ての教員の教育・研究等に関する活動業績がまとめられている。この基礎資料と同様のものが、ホームページ等で最新の情報として公開することが望まれる。(10.教員組織・職員組織)(14)「自己点検・評価委員会」は、学部の教員及び職員のみから構成されており、外 部の委員を含むことが望ましい。(13.自己点検・評価)2)改善すべき点(1)ヒューマニズム教育・医療倫理教育において、1年次の早期体験実習、2年次の生命倫理学と哲学(哲学は選択)、6年次の臨床医学など、態度教育科目の学習方略をSBOsの領域に見合った適切なものとする必要がある。(3.医療人教育の基本的内容)(2)ヒューマニズム教育・医療倫理教育およびコミュニケーション能力・自己表現能力を身につける教育等の目標達成度を評価するための指標を設定し、それに基づいて適切に評価する必要がある(3.医療人教育の基本的内容)。(3)シラバスには、ホームページで別途掲載されている「科目目標と到達目標(GIO、SBOs)」の記載が必要である。(4.薬学専門教育の内容)(4)各科目の到達目標をモデル・コアカリキュラムのSBOsに準拠するように改善することが必要である。(4.薬学専門教育の内容)(5)実務実習事前学習の目標達成度を評価するための指標を設定し、それに基づいて適切に評価する必要がある(5.実務実習)。(6)シラバスに特別実習(卒業研究)の成績評価基準(卒業論文、発表会等)を明確に示す必要がある。(6.問題解決能力の醸成のための教育)(7)問題解決能力の醸成に向けた教育において目標達成度を評価するための指標を設定し、それに基づいて適切に評価する必要がある(6.問題解決能力の醸成のための教育)。(8)各科目の受験資格および合格基準を学生に周知するために、シラバスに各科目の基準を明記し、適切に評価する必要がある。(8.成績評価・進級・学士課程修了認定)(9)事故や災害時(台風、地震等の自然災害を含む)の対応に関するマニュアルを作成する必要がある。(9.学生の支援) |
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1:提言 改善報告審議結果 |
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| 九州医療科学大学 | 私 | 宮崎県 | 第1期 | 2014年度 | 適 |
自己点検・評価書 基礎資料 |
評価報告書
総評
九州医療科学大学 総評九州保健福祉大学薬学部薬学科は、「責任をもってチーム医療の一端を担える薬剤師の 養成を行う」という学科の理念に基づく教育研究上の目的を掲げ、充実したフィジカルア セスメント教育を特色とする臨床教育を重視した6年制薬学教育を行っている。医療人と しての基本的教育から薬学専門教育に至るカリキュラムの構成は、基本的には薬学教育モ デル・コアカリキュラムにほぼ準拠した内容になっており、基礎薬学から臨床薬学に至る まで、能動的学習方法を導入するなど、教育上の工夫が全学年にわたって効果的に配置さ れている。実務実習は、事前学習、薬学共用試験を含めて、基準を満たした内容となって いる。 学生の受入れは、アドミッション・ポリシー(入学者受入方針)に基づいて行われてお り、成績評価、進級および学士課程の修了に関する判定も、基本的には対応する規程を設 けて厳正に行われている。学生支援体制については、学修の指導と支援から、奨学金制度 やハラスメント防止対策、チューター制度に至るまで、十分に整備されており、身体に障 がいがある学生の受入れについても基準を満たす体制が整備されている。 専任教員は大学設置基準を満たしており、教員構成や教育研究の実績も十分である。ま た、教育研究に必要な経費も基準を満たしている。教育研究に必要な施設設備は基準を満 たしており、外部との交流、連携についても、教員の学外での活動、公開講座、フィジカ ルアセスメント研修会などの生涯学習プログラムの提供などが図られている。また、教育 に対する自己点検・評価については、評価を行う組織が整備され、点検・評価の結果を教 育に反映させる体制も基準に達している。 以上のように、九州保健福祉大学薬学部薬学科の教育プログラムは本機構の評価基準におおむね適合しているが、以下のような重要な問題点がある。卒業研究に相当する「特別研究」の内容と実態は、本機構の卒業研究に対する基準に適合しておらず、カリキュラム上で講義・演習科目と定義され、時間割上でもまとまった十分な時間が充てられておらず、「特別研究Ⅱ」と薬剤師国家試験準備科目である「薬学総合演習Ⅱ」との時間配分を見直すことが必要である。また、「特別研究」を含めた問題解決能力の醸成を目的とする科目について、目標達成度を評価するための指標を設定し、それに基づく評価を行うことが必要である。成績評価に関わる厳正さを保証するため、試験結果への疑義照会や再試験の実施に関する規程を設けることが必要である。専任教員の採用に関わる「全学審査委員会」の役割を、採用予定者の資格審査ではなく、本来の機能である複数の候補者からの適格な教員の選考とするよう改善することが必要である。以上の重要な問題点については、早急に適切な改善に取り組むことが必要であるが、それ以外の問題点についても、今回の評価で指摘した内容を十分に検討し、改善点の解決にむけて積極的な取り組みを進め、薬学教育の向上に努めることが望まれる。
大学への提言
九州医療科学大学 大学への提言1)長所 (1)「臨床に係る実践的な能力を培い、即戦力となる薬剤師養成」という教育目的を実 現するために、高度で多様なシミュレーションができるものを含む多種類の患者 ロボットを用いた独自の「ベッドサイド実習」を開学直後から実施し、この領域 の教育における先導的役割を果たし、これからの薬剤師に求められる臨床におけ る実践的能力の向上に多大の成果を上げている。(4.薬学専門教育の内容)2)助言 (1)教養教育科目に多数の専門に近い内容や語学の必修科目を置き、それらで卒業に 必要な教養教育科目に単位数の大部分が充足されるという現状を見直し、学生が 人文社会科学系の科目をより多く履修できるよう改善することが望ましい。(3. 医療人教育の基本的内容) (2)学生が大学開催の生涯学習のための講座等に参加できる制度を設け、積極的な参 加を促すことが望ましい。(3.医療人教育の基本的内容) (3)薬学教育モデル・コアカリキュラムの重要な到達目標(「細胞の顕微鏡観察」、 「抗菌薬の耐性と副作用」)を扱う科目がないことや科目との対応が不適切な到 達目標(「副作用」関連、「薬物の化学構造」、「放射性医薬品」、「薬剤経済」、 「医薬品の開発と生産」など)が見出されたので、それらを是正することが望ま しい。(4.薬学専門教育の内容) (4)卒業研究発表会では講座・研究室代表の1名だけが発表しているが、ポスター発 表でもよいので全員が発表することが望ましい。(6.問題解決能力の醸成のた めの教育) (5)アドミッション・ポリシーの設定に薬学部薬学科教授会が関与することが望まし い。(7.学生の受入) (6)「総合薬学演習Ⅱ」のみの未修得で卒業できないという卒業認定の実態は、ディ プロマ・ポリシーに基づく学士課程修了認定が行われていないことを意味してい るので、改善することが望まれる。(8.成績評価・進級・学士課程修了認定) (7)教員の授業担当時間数が週当たり5~6時間であるが、臨床系教員では6名が7 時間を超え、最大では11時間になるという不均等な状況が見られるので、改善を 図ることが望ましい。(10.教員組織・職員組織) (8)専任教員1名当たりの学生数を、本基準が望ましいとする10名に近づける努力が 望まれる。(10.教員組織・職員組織) (9)「卒業研究」に使用する研究室や実験設備などについては、必要な施設・設備が整 備されてはいるが、日常的に研究を行う研究室のスペースは十分ではないので、拡張することが望まれる。(11.学習環境) (10)自己点検・評価に外部委員が参画することが望ましい。(13.自己点検・評価) 3)改善すべき点 (1)6年次のカリキュラム編成において、学生に卒業研究より国家試験準備が重要で あるという印象を与えることがないよう「特別研究Ⅱ」と「薬学総合演習Ⅱ」の 時間配分を再検討することが必要である。(2.カリキュラム編成) (2)卒業研究に相当する「特別研究」を講義・演習科目と定義し、講義・演習科目に 準じた時間割上の運用をしていることは、6年制薬学教育の目的や本評価の卒業 研究に関する基準に適合しないので、改めることが必要である。(2.カリキュ ラム編成) (3)ヒューマニズム、医療安全教育における態度教育、およびコミュニケーション力 を醸成する教育等の目標達成度を評価するための指標を設定し、それに基づいて 適切に評価する必要がある。(3.医療人教育の基本的内容) (4)「早期体験学習」を全学生が履修するよう、必修科目とすることが必要である。 (3.医療人教育の基本的内容) (5)実務実習事前学習の目標到達度を評価するための指標を設定し、それに基づいて 適切に評価する必要がある。(5.実務実習) (6)「特別研究Ⅰ、Ⅱ」を講義・演習科目と定義すること、および時間割上24時間の 学習で1単位とする運用は、卒業研究として不適切であり、研究に取り組む時間 も不十分なので、改善することが必要である。(6.問題解決能力の醸成のため の教育) (7)「特別研究Ⅰ、Ⅱ」の成績評価が指導教員の判断で個別に行われているので、学 部として統一した成績評価基準を設定し、それに基づいて評価する必要がある。 (6.問題解決能力の醸成のための教育) (8)卒業論文以外の問題解決能力の醸成を目指す教育についても、目標達成度を評価 するための指標を設定し、それに基づいて適切に評価する必要がある。(6.問題解決能力の醸成のための教育) (9)毎年10名以上に及ぶ1年次での休、退学者が出ており、留年者も低学年次で多い という事実に基づき、系統的な解析を行い、学力を適確に評価することが必要で ある。(7.学生の受入) (10)試験成績に対する疑義照会と不合格科目に対する再試験の実施について、個々の 教員の判断による不公平さが生じないよう、明確な規定を早急に設けることが必 要である。(8.成績評価・進級・学士課程修了認定) (11)専任教員の新規採用に関わる「全学審査委員会」の役割を、適格な研究教育能力 を持つ者を広く求めて選考するという本評価の基準に適合するものとするよう、 教員選考体制を改善することが必要である。(10.教員組織・職員組織)
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1:提言 改善報告審議結果 |
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| 京都大学 | 国 | 京都府 | 第1期 | 2014年度 | 適 |
自己点検・評価書 基礎資料 |
評価報告書
総評
京都大学 総評京都大学薬学部は、6年制の薬学科と4年制の薬科学科の2学科を設置し、薬学部薬学 科では、「薬学の学修を通じて、先端医療、医療薬学・臨床薬学の発展を担いうる人材を育 成することによって、人類の健康と社会の発展に貢献する。」という教育理念のもとに、 「生命倫理を基盤に、薬学の基礎となる自然科学の諸学問と薬学固有の学問に関する知識 と技術および医療人として適正な態度を修得し、高度な先端医療を担う指導的薬剤師とな る人材、医療薬学分野で活躍できる人材の育成を目指す。」を人材養成の目的としている。 この目的のもと、入学者受入方針(アドミッション・ポリシー)、教育課程の編成・実施 方針(カリキュラム・ポリシー)および学位授与の方針(ディプロマ・ポリシー)を制定 している。 これらを踏まえ、薬学科の教育課程は、教養教育・語学教育、薬学専門教育、実習および 演習、卒業研究から構成されている。教養教育・語学教育は、「自学自習」のキーワードの もと、人文科学など多様な選択科目での全学共通教育が実施されている。一方、薬学専門教 育は、基礎力および研究力の育成に重点が置かれている。医療人の基本としてのヒューマニ ズム教育、コミュニケーション教育については、入学後から4年次まで及び実務実習におい て実施されている。事前学習と共用試験により学生の能力を保証した上で、京都大学医学部 附属病院で病院実習を、調整機構との連携に基づき大学の近隣の保険薬局で薬局実習を、い ずれも実務実習モデル・コアカリキュラムに沿った内容で実施している。 入学者選抜については、外部薬剤師を含む将来計画委員会で作成し教授会で承認された入 学者受入方針(アドミッション・ポリシー)に基づいて適正に実施され、入学者の決定も教 授会において厳正かつ適正に行われている。また、入学定員に対する入学者数は適正な範囲 にある。進級ならびに学士課程修了認定については、適正に実施されている。一方、成績評価につ いてはおおむね適正に実施されているが、一部科目において問題点が認められる。 学習環境については、講義・演習室、図書室、医療実務実習事前学習施設・設備、研究用 の施設・設備などが整備されており、適切である。学生への教育支援については、各学年の 最初に新年度ガイダンスを実施し、適切な履修指導が行われている。学生への経済支援とし ては、授業料の免除、海外留学、各種奨学金などを行っている。健康維持、ハラスメント防 止、障がい学生支援、バリアフリー対策などの支援も十分に行われている。学生の意見を教 育や学生生活に反映させるための体制も整えられており、教育・生活改善に活かされている。 特に、「自己評価等調査検討委員会」での追跡調査、卒業3年後と10年後のアンケート調査 を実施し、学生や社会からの教育研究に関する意見を収集し、必要な取り組みを議論する仕 組みが構築されていることは評価できる。 教員組織・職員組織については、専任教員数は大学設置基準を充足しており、専任教員数 に対する学生数比率も適切である。教員の資質向上のためのFD(Faculty Development) も実施され、教育改善に活かされている。 研究能力の向上を目指し、単位互換制度の活用など、海外の大学への短期留学制度を設 けている。さらに、若手教員の派遣を促進するために大学独自の若手人材派遣事業を実施 している点は評価できる。 薬学部内に「自己評価等調査検討委員会」を設置し、評価項目を自主的に設け、外部有 識者による外部評価も実施している。 しかし、改善すべき点として以下があげられる。 成績評価においては一部で不適切な評価方法が用いられている、また、シラバスの記載に 多くの不備が認められるなど、改善が必要である。 「自己点検・評価書」を見る限り、全ての章において、現状の記載に留まり、点検・評価 が不十分である、実施していると記載しているだけで根拠となる資料を示していないなど、 自己点検・評価が機能しているとは言えず、自己点検・評価体制の見直しと全教員による全 学部的な活動が求められる。 次に、主な助言として、以下の点があげられる。ヒューマニズム教育・医療倫理教育やコミュニケーション教育として、臨床現場で活躍す る薬剤師養成としての全人的教育を低学年から高学年まで体系的に実施するなど、さらなる 充実が期待される。バリアフリー施設は整えられているが、学部建物案内板が設置されてお らず、設置が求められる。 京都大学薬学部薬学科は優れた教育研究体制を構築し、教育・研究への熱心な姿勢と活 動が認められる。今後は、自己点検・評価体制の抜本的な見直しをはじめとする改善すべ き点および助言を踏まえ、6年制薬学教育に対して、より一層組織的に取り組み、さらな る発展を目指した改革・改善に邁進することを期待する。
大学への提言
京都大学 大学への提言1)長所 (1)「自己評価等調査検討委員会」で、新入生と3年次に進路に関して同じアンケー トをとり、2年間での学生の意識変化を追跡し、教務委員会での検討を通じて、 薬学部の方針に反映する体制をとっている。また、卒業生に対しても、卒業3年 後と10年後にアンケート調査を実施し、教育研究に関する意見を収集し、必要な 取り組みを議論する仕組みが構築され、カリキュラム改善に活かされている。(9. 学生の支援) (2)若手研究者の海外研修などの体制が整備され、さらに若手教員が派遣されている 期間中の研究者派遣元の運営など業務にかかる人件費などを支援する(「研究者 派遣元支援プログラム」)制度が整備されているなど、大学独自の若手人材派遣 事業を実施しており、若手教員や学生の将来に向けてのモチベーション向上に繋 がっている。(10.教員組織・職員組織)2)助言 (1)「薬学倫理・概論」の位置づけをカリキュラム・マップなどにおいて明確にする ことが望ましい。(3.医療人教育の基本的内容) (2)ヒューマニズム教育・医療倫理教育やコミュニケーション教育として、臨床現場 で活躍する薬剤師養成としての全人的教育を低学年から高学年まで体系的に実施 するなど、さらなる充実が期待される。(3.医療人教育の基本的内容) (3)シラバスに一般目標は記載されているが、具体的な到達目標が明示されておらず、 学生がどのような姿になれるのかがわからないため、シラバスに記載するあるい は科目ごとのモデル・コアカリキュラム対応一覧表を作るなどが望ましい。(4. 薬学専門教育の内容) (4)本中項目に関連するシラバスについて、下記の改訂が望まれる。(4.薬学専門 教育の内容) ・ 「臨床薬学総論」「医療実務事前学習」など、シラバスに授業形態が入っていな いものが散見されるため、これらを追記する。 ・ 「医療薬学ワークショップ」は講義・実験となっているが、目的には「知識、技 能、態度」になっており、具体的な内容を明示する。 (5)6年制薬学教育であるという観点から、臨床の現場で働いている薬剤師の講義や講 演を多くするなど、さらなる努力が期待される。(4.薬学専門教育の内容) (6)6年制薬学教育であるという観点から、本学科の教育研究上の目的や学生のニーズ に鑑み、アドバンスト科目においても、臨床系の授業内容を多く組み入れる、さら なる努力が期待される。(4.薬学専門教育の内容) (7)モデル・コアカリキュラムの対応に一部不整合が認められるため、改訂が望まれる。 例えば、「C10(3)感染症にかかる」は「薬学生物学」「微生物学1」「微生物 学2」「薬学専門実習4」「生物化学7」において履修すると対応表には記載され ている、資料3の対応表での対応科目が不明確であるなど、一部でシラバスや対応 表の不備が認められるため、学生にわかりやすく書くことが望ましい。(4.薬学 専門教育の内容)(8)シラバス上、事前学習の評価方法が、出席と小テストによるとなっているため、 技能・態度に関する領域の評価方法としては妥当性が低く、適切な評価方法に改 めることが望ましい。(5.実務実習) (9)「医薬品開発プロジェクト演習Ⅱ」など問題解決能力の醸成に向けた教育におい て、成績評価の方法が適切でない科目が認められるため、適切な評価方法に改め、 シラバスに記載することが望まれる。(6.問題解決能力の醸成のための教育) (10)6年制の卒業研究であるが、臨床系の研究題材が少ないように思われるため、よ り臨床的な課題にも取り組むことが期待される。(6.問題解決能力の醸成のた めの教育) (11)入学者選抜要項で大学全体の受入方針が示され、薬学部については、学生像がp.46 に示されているが、学部ホームページに示されている表記と同じではないため、 方針が複数存在するように見えてしまう状況であり、統一することが期待される。 (7.学生の受入) (12)シラバスの科目区分について、「必修」「指定」「選択」の定義を明記する、全て の科目において科目区分を明記することが望ましい。(8.成績評価・進級・学 士課程修了認定) (13)薬学部独自の就職支援として、「キャリアデザイン談話会」や「企業合同会社説 明会」を催しているが、6年制があるにも関わらず、創薬関連企業に偏りすぎて いる感があり、医療関連分野への拡大が期待される。(9.学生の支援) (14)定期健康診断の全員受診を達成する努力が求められる。(9.学生の支援) (15)バリアフリー情報も含めた学部建物案内版の設置が望まれる。(9.学生の支援) (16)臨床系の講演会などのさらなる充実が期待される。(12.社会との連携) (17)地域住民に対する公開講座および保健衛生支援活動のさらなる充実が期待される。 (12.社会との連携) (18)外部評価者が、創薬関係者、大学関係者のみで、臨床関係者が含まれていないの で、6年制薬学教育という観点から、臨床関係者を加えることが期待される。 (13.自己点検・評価)3)改善すべき点 (1)コミュニケーション能力および自己表現能力を身につけるための教育における目 標達成度評価の指標設定とそれに基づく評価の実施が必要である。(3.医療人 教育の基本的内容) (2)一部の実習などにおいて、出席点のみで評価を行う、出席点が評価基準の大半を 占めるなど、学習方法と評価基準に乖離が認められる科目が存在しており、学習 方法に適した評価方法と基準を定めるべきである。また、全てのシラバスにおい て「定期試験80%、レポート20%」など評価基準を明示する必要がある。 (4.薬学専門教育の内容) (3) 問題解決能力の醸成に向けた教育において、成績評価の基準は設定されているが、 目標達成度を評価するための指標の設定と、それに基づく評価はなされておらず、 指標の設定と評価の実施が必要である。(6.問題解決能力の醸成のための教育) (4)特別実習(卒業研究)のシラバスを作成し、評価基準を策定・明示する必要があ る。(6.問題解決能力の醸成のための教育) (5)シラバスが記載されていない科目がある、「原則として定期試験の成績で評価す る」「出席点のみで評価する」などが基準として挙げられている科目が認められ る、評価方法も基準も書かれていない科目がある、演習や実験などでの評価方法 において不適切なものが認められる、シラバスの科目区分が空欄の科目が散見さ れる、科目区分として「必修」、「指定」、「選択」とシラバスに記載されてい るが、定義が明記されておらず、学生に不利益が生じる可能性があるなど、多く の問題点がある。また、コミュニケーション教育、医療安全教育について、例え ば「統合型薬学演習」の評価が出席とレポートとなっている、「医療実務事前学 習」でのリスクマネージメントや医療安全教育の評価が出席と小テストとなって いるなど、態度教育の評価方法としては不適切なものが認められる。さらに、薬 害・医療過誤・医療事故防止に関する教育において、1年次の「先端医療SGD 演習」及び4年次の「医療倫理実習」では、いずれも弁護士を招き、薬害や医療 安全の講義や演習を行っているとあるが、シラバスからは人的資源が確認できないなど、シラバスの不備が多く認められ、教授会などの責任ある組織のもとに抜 本的な改革が必要である。(8.成績評価・進級・学士課程修了認定) (6)「医療実務事前学習」でのリスクマネージメント教育・医療安全教育については、 シラバスでは評価が出席と小テストとなっているが、「自己点検・評価書」p.18 では、レポートを提出させているとあり、「自己点検・評価書」の記載内容に矛 盾が認められ、「自己点検・評価書」の作成について十分な配慮が求められると ともに、自己点検・評価体制の抜本的な見直しと全教員による全学部的な活動が 求められる。(13.自己点検・評価)
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評価報告書
総評
京都薬科大学 総評京都薬科大学は、その教育理念に基づいて「高度の専門能力や研究能力を併せ持つ薬剤 師(ファーマシスト・サイエンティスト)」の養成を目指す6年制薬学教育を行っており、 教育研究上の目的は、大学概要、学生便覧、シラバス、ホームページ等を通して周知され ているが、6年制への移行時に学則が変更されていないために学則の教育目的はこれらと 表現が一致していない。 教育プログラムは「ファーマシスト・サイエンティスト」の養成を目指すカリキュラム・ ポリシー(教育課程の編成・実施方針)に基づいて構築されている。医療人教育の基本的 内容はおおむね適正であり、教養教育については「大学コンソーシアム京都」も含め、選 択の幅は広い。語学教育は充実しており、TOEICの受験を推奨していることや、6年 次の卒業研究発表会を英語で行っていることは、有意義な試みである。薬学専門教育は「薬 学教育モデル・コアカリキュラム」に準拠しており、大学独自の内容も設定されているが、 教育方法は講義が中心であり、SGD(Small Group Discussion)、PBL(Problem Based Learning)、TBL(Team Based Learning)などのアクティブラーニングの割合は多くな い。また、基礎系実験実習の時間数は、十分に多いとは言いがたい状況である。実務実習 事前学習と薬学共用試験は適正に実施されており、病院・薬局での実務実習における指導と評価は、適切な連携体制の下で行われている。卒業研究に相当する教育は全学生を3年 次後期から研究室に配属して行い、その成果は卒業論文と6年次6月に開催する発表会の ポスターにまとめられている。しかし、配属学生1名当たりの実験スペースや指導者数に 検討の余地のある研究室があり、また、卒業研究の評価方法には改善すべき点がある。 入学試験はアドミッション・ポリシー(入学者受入方針)に基づいて適正に行われ、入 学者数と定員数との乖離は少ないが、入学試験において医療人としての適性を評価する方 法については今後の工夫が望まれる。実務実習事前学習の単位認定を除き、成績評価なら びに進級、卒業判定はおおむね厳正に行われている。 修学のための履修指導、経済的支援、健康管理、ハラスメント対策および障がい者への 支援は十分に行われており、学生の安心・安全対策への配慮にも問題はない。また、学生 の意見を教育や学生生活の改善に反映するためのシステムも整備されている。 専任教員については基本的に大きな問題はないが、教員1名当たりの学生数は基準を大 幅に上回っており教員の増員を図ることが望まれる。講義室、実習室、図書館、臨床薬学 教育研究センター、情報処理教育研究センター等の教育施設は良く整備されているが、研 究室の広さは十分とはいえない。医療界、産業界を含めた社会との連携関係は良好であり、 留学生の受け入れや基金を設けての海外出張・留学の推進を行っている。6年制薬学教育 プログラムを恒常的に自己点検・評価する体制は設けられていない。 以上のように、京都薬科大学の教育プログラムは、本機構の評価基準におおむね適合し ていると判断される。しかしながら、以下の諸問題については早急に改善を図る必要があ る。 1) 6年制移行に伴う学則の変更を行い、ホームページ等で公表されている教育目的と 学則の規定を統一することが必要である。 2)ヒューマニズム教育・医療倫理教育ならびにコミュニケーション能力・プレゼンテ ーション能力を身につける能動的教育の目標達成度の評価を適正な評価指標を設 定して行うことが必要である。 3)必修科目である卒業論文を連名で作成している研究室が散見される。また、卒業研 究に相当する教育の評価方法が担当教員に任されていることは評価の公平性から問題である。統一した評価方法を定めることが必要である。 4)実務実習事前学習に相当する科目の単位認定に薬学共用試験(OSCE)の合否を 含めていることは適切でないので、改善する必要がある。 5)薬学教育プログラムを自己点検・評価する責任ある常設組織を構築し、教育プログ ラムの向上を恒常的に図ることが必要である。 京都薬科大学は、明確な教育理念に基づき構築された教育プログラムと、それを実践す るための優れた教員および設備を有し、教育・研究への熱心な姿勢と活動が認められる。 今回の第三者評価により指摘された改善すべき点および助言を踏まえた改革により、単科 の私立薬科大学の模範となるべく、さらに発展することを期待する。
大学への提言
京都薬科大学 大学への提言1)長所 (1)6年次の卒業研究発表会を英語で行っていることは、薬学教育のグローバリゼー ションという観点から有意義な試みである。(3.医療人教育の基本的内容) (2)留学中の研究教育を補完するために、特別契約職員として常勤の教育支援教員を 採用する制度を2013年度に導入している(10.教員組織・職員組織)。また、 「京都薬科大学科学振興基金規程」により海外出張・留学を推進している(12. 社会との連携)。2)助言 (1)教育研究上の目的について、常置された責任ある組織による定期的な検証が行わ れることが望まれる。(1.教育研究上の目的) (2)基礎資料4は、授業のつながりを示した「科目関連図」にとどまっており、カリ キュラムとディプロマ・ポリシーとの整合性を示すカリキュラム・マップの作成 が望まれる。(2.カリキュラム編成) (3)ヒューマニズム教育・医療倫理教育の学習方法については、講義、SGD、実習 など多様な形式が設定されており、総合的にはおおむね適正に行われているが、 体系性は不明確である。学年進行に伴った順次性・連続性のある科目設定が望ま れる。(3.医療人教育の基本的内容) (4)基礎系の実験実習の時間数は十分でないので、さらなる充実が期待される。(4. 薬学専門教育の内容) (5)シラバスにおいて、学習項目の到達目標と授業形態の記載を一致させることが望 まれる。(4.薬学専門教育の内容) (6)基礎実験実習および実務実習のシラバスの「成績評価方法・基準」について、評 価項目ごとの点数配分も含め、具体的な記載が望まれる。(4.薬学専門教育の内 容、5.実務実習) (7)問題解決能力の醸成に向けた教育について、実質的な実施時間数の合計が18単位 以上になるよう、SGDやPBLなどの参加型授業形式を増やす工夫が望まれる。 (6.問題解決能力の醸成のための教育) (8)1〜3年次の基礎系実験実習を指導する教員の数が少なく、安全管理上問題であ るので改善が望まれる。(9.学生の支援) (9)教員1名当たりの学生数は、基準を大幅に上回っており、卒業研究の質や安全面 から、専任教員の増員が望まれる。(10.教員組織・職員組織) (10)教員1名あたりの配属学生数が非常に多い分野があり、教員の負担軽減の方策が 望まれる。(10.教員組織・職員組織) (11)中項目4において指摘した「基礎系の実験実習の時間数が十分に多いとは言いがたい」という現状が実習室の数に起因するのであれば、実験実習室の拡充を検討 することが望まれる。(11.学習環境) (12)配属学生1名当たりの研究室の広さから判断すると、一部の研究室については、 配属学生が集中する時期には研究スペースが十分とは言えないので、改善が望ま れる。(11.学習環境) (13)自己点検・評価運営委員会に外部委員が含まれていない点について、改善が望ま れる。(13.自己点検・評価) 3)改善すべき点 (1)京都薬科大学の教育目的は、大学概要、シラバス、学生便覧、ホームページなど に記載されているものと学則の第1条に規定されているものが一致していない。 学則の変更により表現を統一することが必要である。(1.教育研究上の目的) (2)ヒューマニズム教育・医療倫理教育、コミュニケーション能力およびプレゼン テーション能力を身につける教育において、目標達成度を評価するための指標 を設定し、それに基づいて適切に評価する必要がある。(3.医療人教育の基 本的内容) (3)卒業論文を連名で作成しているケースが散見されるが、卒業論文の作成および卒 論発表会は学生ごとに行う必要がある。(6.問題解決能力の醸成のための教育) (4)卒業研究の評価は、各分野・センターが独自に設定した評価項目を用いて行わ れているが、評価方法が学内で統一されることが必要である。(6.問題解決 能力の醸成のための教育) (5)問題解決能力の醸成に向けた教育において目標達成度を評価するための指標を 設定し、それに基づいて適切に評価する必要がある。(6.問題解決能力の醸 成のための教育) (6)4年次の実務実習事前学習に相当する「病院・薬局へ行く前に」について、実 習の評価結果に加えて薬学共用試験(OSCE)の合否に基づいて単位認定し ていることは適切でないので、改善する必要がある。(8.成績評価・進級・学士課程修了認定) (7)「京都薬科大学自己点検・評価運営委員会」が常置委員会となっていない。薬学 教育プログラムを恒常的に自己点検・評価する責任ある常設組織を構築し、PD CAサイクルを回してプログラムの向上に努める必要がある。(13.自己点検・ 評価)
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| 第1期 |
2014年度 |
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1:提言 改善報告審議結果 |
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| 就実大学 | 私 | 岡山県 | 第1期 | 2014年度 | 適 |
自己点検・評価書 基礎資料 正誤票 |
評価報告書
総評
就実大学 総評就実大学薬学部は教育研究上の目的を「生命の尊厳を基盤とした強い使命感と高い倫理 観のもとに、ヒトの健康を守る最良の医療薬学教育・研究を行い、人類の医療・福祉に貢 献できる高度な専門性と豊かな人間性を兼ね備えた薬剤師を育成する」と定めて6年制薬 学教育を実施している。カリキュラムは、教育研究上の目的に沿ったカリキュラム・ポリ シー(教育課程の編成・実施方針)に沿って編成され、医療人教育の基本と薬学専門教育 はアクティブラーニングなどを取り入れ、知識のみならず、技能や態度の教育にも配慮し てバランスよく行われており、基本的な点に関しては問題はない。実務実習は、薬学共用 試験に合格した者を対象に、地区調整機構との連携のもとで実務実習モデル・コアカリキ ュラムに沿って実施しており、薬学共用試験結果の取り扱いに後述の問題点があるものの、 基本的には適切に実施されている。 入学者の選抜は多様な方法で実施しており、定員の見直しや特待生制度の整備などの対 策によって定員を満たす学生を確保している。学生の成績評価と進級、卒業の判定につい ては、規程や基準に基づいておおむね適切に行われている。 学生支援に関わる体制としては、奨学金制度、健康診断、ハラスメント防止体制、キャ リアセンターなどが、十分に機能しており、学習環境も基準を満たすものが整備されてい る。専任教員については、職階と年齢構成がややアンバランスではあるが基準は満たして おり、学部としての社会貢献等も適切である。また、学部教育に対する自己点検・評価は、マニフェストの作成、PDCAサイクルシートの採用などで、恒常的に向上させる仕組み が機能している。 以上のように、就実大学薬学部の6年制薬学教育プログラムは、全体としては本機構の 評価基準におおむね適合していると判定できる。しかし、以下に指摘する問題点について、 早急な改善が必要である。 1)卒業要件単位の過半数を「選択必修科目」で充足する制度になっており、薬学教育 における重要な到達目標の一部を修得せずに卒業できる制度になっていることは適 切ではなく、科目の必修指定を再検討する必要がある。 2)実務実習事前学習の単位認定に薬学共用試験の結果を加味していることは適切では なく、早急に改善する必要がある。 3)ヒューマニズム教育・倫理教育、実務実習事前学習、「卒業論文実習」を含む問題解 決能力醸成教育において、目標達成度を評価する指標を設定し、それに基づいて適 切に評価する必要がある。 4)「卒業論文実習」の実質的な研究期間が国家試験準備教育のために制約されているこ となど、卒業研究に対応する教育は評価基準に適合していないので、原因となる諸 問題の改善が必要である。 以上の改善すべき点の他に、以下のような助言がある。 1)カリキュラム・ツリーやカリキュラム・マップを、カリキュラム・ポリシーならび にディプロマ・ポリシー(学位授与方針)を反映するものに改善することが望まし い。 2)実習および卒業論文実習など実験を伴う教育の安全に必要な要員を確保すると共に、 専任教員の職階と年齢構成に見られるアンバランスを改善するために、若手教員の 増員を図ることが望ましい。 就実大学薬学部薬学科は、これら改善すべき点や助言を踏まえて、教育プログラムの改 善を図り、さらなる進展を目指した改善に邁進することを期待する。
大学への提言
就実大学 大学への提言1)助言 (1)カリキュラム・ツリーやカリキュラム・マップを、カリキュラム・ポリシーな らびにディプロマ・ポリシーとの関連が分かるように改善することが望ましい。 (2.カリキュラム編成) (2)シラバスにおける薬学教育モデル・コアカリキュラムの到達目標に関わる記述 に不適切であったり、基礎資料3との間で整合性を欠く科目が散見されるので、 それらを解消することが望ましい。(4.薬学専門教育の内容) (3)入学案内に記載しているアドミッション・ポリシーが、ホームページに公開さ れているものと異なっているので、統一を図ることが望ましい。(7.学生の 受入) (4)進級基準が、学年ごとに科目区分や選択必修科目単位の修得状況などを含めた 形で定められ、新たにGPAによる仮進級制度を導入したこともあって複雑に なっている。学生が進級の条件を誤認することがないよう、より単純で分かり やすい基準とすることが望ましい。(8.成績評価・進級・学士課程修了認定) (5)「卒業特別講義」のみの未修得で卒業できないという卒業認定の実態は、ディプ ロマ・ポリシーに基づく学士課程修了認定が行なわれていないことを意味してい るので、改善することが望まれる。(8.成績評価・進級・学士課程修了認定) (6)実習および卒業研究実習など、実験を伴う教育の安全を高め、専任教員の年齢 構成、職種構成が適正な状態に近づけるために、若手教員の増員を図ることが 望ましい。(9.学生の支援、10.教員組織・職員組織) (7)直近の研究活動が不足する教員が若干見出されるので、自己評価しているように 教員の研究活動を改善・活発化を図ることが望ましい。(10.教員組織・職員 組織) (8)薬学部独自に薬学教育研究の改善を目指す参加型のFD活動が行われていない ので、学部独自のFD活動に早急に取り組むことが望ましい。(10.教員組 織・職員組織)(9)卒業研究に学生が使用するスペースを十分に確保できるよう、研究室面積と学 生配分の適正化などに取り組むことが望ましい。(11.学習環境) 2)改善すべき点 (1)卒業要件単位の過半数を「選択必修科目」で充足する形になっており、薬学教 育モデル・コアカリキュラムの重要な到達目標を修得せず卒業している実態が あるので、主要科目を必修化することが必要である。(2.カリキュラム編成、 8.成績評価・進級・学士課程修了認定) (2)薬学共用試験ならびに薬剤師国家試験の合格を目指す教育にやや偏重している ので、該当する演習科目と卒業研究との時間配分などに関わるカリキュラムを是 正することが必要である。(2.カリキュラム編成) (3)ヒューマニズム教育・倫理教育における学習の目標達成度を評価するための指 標を設定し、それに基づいて適切に評価する必要がある。(3.医療人教育の基 本的内容) (4)薬学教育モデル・コアカリキュラムで態度に属する到達目標の一部が講義科目 のみに対応していること、モデル・コアカリキュラムA(2)医療行為に関わ る心構え5)、同A(2)自己学習・生涯学習2)や、モデル・コアカリキュラ ムの倫理に関わる到達目標が「医療倫理学」に対応していないこと、地域薬局 の役割の到達目標が「薬事関係法規」にしか対応していないことなど、モデル・ コアカリキュラムの到達目標と科目との対応に不適切なものがみられるので、 改訂することが必要である。(4.薬学専門教育の内容) (5)「実務実習事前学習」の単位認定に関わる成績評価に薬学共用試験の結果を加 味していることは不適切であるので、「実務実習事前学習」の成績評価方法を改 訂することが必要である。(5.実務実習) (6)事前学習全体についての目標達成度を評価するための指標を設定し、それに基 づいて適切に評価する必要がある。(5.実務実習) (7)「卒業論文実習」を行う期間として5年次と6年次前期を充てているが、国家試験準備教育の受講などで十分な時間が確保できているとは言えないので、「卒業 論文実習」を行う時間を増すことが必要である。(6.問題解決能力の醸成のた めの教育) (8)「卒業論文実習」の評価に関わる「卒業研究発表会」を研究室単位の事実上の 非公開で行うことや、指導教員からの評価報告提出期限が発表会以前に設定さ れている実態は不適切である。学部全体での発表会を開催して全教員の参加と 質疑を義務づけ、発表会での評価を「卒業論文実習」の評価の基本にするなど の改善を早急に行うことが必要である。(6.問題解決能力の醸成のための教 育) (9)「卒業論文実習」を含めた問題解決能力の醸成に向けた教育において、目標達成 度を評価するための指標を設定し、それに基づいて適切に評価することが必要 である。(6.問題解決能力の醸成のための教育) (10)個々の科目について、成績評価の方法と評価基準を明確かつ具体的にシラバス に記載することが必要である。(8.成績評価・進級・学士課程修了認定)
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| 第1期 |
2014年度 |
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1:提言 改善報告審議結果 |
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| 昭和医科大学 | 私 | 東京都 | 第1期 | 2014年度 | 適 |
自己点検・評価書 基礎資料 正誤票 |
評価報告書
総評
昭和医科大学 総評昭和大学薬学部は、大学の教育理念と教育研究目的に基づく教育目標と、それを実現す るカリキュラム・ポリシー(教育課程の編成・実施方針)を定め、医学部などと連携した 独自科目を含むカリキュラムで6年制薬学教育を行っている。 ヒューマニズム、医療倫理、コミュニケーション教育では、対応科目を各学年で開講し、 医療人たる薬剤師に求められる倫理観、使命感、職業観を醸成する教育を実施している。ま た、薬学専門教育は、薬学教育モデル・コアカリキュラムに準拠しており、体験実習やPB L(Problem Based Learning)チュートリアル、附属病院や地域医療施設でのチーム医療学 習など、昭和大学の特色を活かした学部連携教育も行っていることは高く評価できる。 実務実習も基本的に実務実習モデル・コアカリキュラムに基づいており、病院実習に関 しては附属病院を活用した独自の項目も追加している。問題解決能力の醸成を目指す教育 では、卒業研究に対応する必修科目である「総合薬学研究」を4年次に置き、5、6年次 ではより高度な内容の科目を選択必修科目として積み上げる形になっている。問題解決能 力の醸成を目指す教育としては、それらに加えて、PBLチュートリアルやグループ演習 などによって問題解決に取り組む科目を全学年に配置している。 入学者選抜では、教育目的に即したアドミッション・ポリシー(入学者受入方針)を掲げ、学力試験の成績に面接と調査書の評価を加味した二段階選抜によって志願者の適性・ 能力をより適確に評価する努力をしている。学生の成績評価は、後に指摘する問題点はあ るが、基本的には適切に行われている。進級基準は独特で、原則として各学年で履修した 科目の試験と進級試験に合格することが要件になっており、進級できなければ当該年度に 履修した科目の単位が認定されない制度になっている。学士課程の修了認定は、ディプロ マ・ポリシー(学位授与方針)の達成を原則にしてはいるが、現実の卒業判定では、所定 の単位を修得して卒業試験に合格することを基準にしている。 学生への経済的、身体的、精神的なサポート体制は整っているが、障がいのある学生へ の対応や、教育環境における安全確保の面ではやや不十分な点がある。 附属病院薬剤部の薬剤師 34 名を病院薬剤学講座の所属としているため、専任教員数は設 置基準を大幅に上回る 108 名となっており、個々の教員の資格や教育研究業績なども基準 を満たしている。 教育研究に必要な施設、設備、図書などの学習環境は、基準を満たしており、社会との 連携に関しても、適切な対応と取り組みがなされている。また、自己点検・評価が、定期 的かつ十分に実施され、教育の改善に努めている。 以上のように、昭和大学薬学部の薬学教育プログラムは、全体として本機構の評価基準 におおむね適合しているが、以下の重要な問題点については、早急な改善が必要である。 1)卒業研究に相当する必修科目が4年次にしか置かれていないことには、6年制薬学 教育における卒業研究として、時期および期間共に不十分であるという問題がある。 2)成績評価と進級判定の厳正さを保つために、試験点数と成績評価段階との関係、進 級試験の受験資格基準、進級判定基準などを規程に明示する必要がある。 3)薬学共用試験のCBTを5年次への進級試験とし、不合格の場合には4年次履修科 目の単位を認定しない制度は不適切である。 4)卒業判定の基準が具体的に定められておらず、卒業判定の厳正さを損なうことが懸 念される。また、卒業試験が不合格の場合に、卒業試験の受験資格として合格が認 められ単位が取得できるはずであった6年次履修科目の単位を認定しないことには 合理的な根拠が認められず、不適切である。昭和大学薬学部には、本評価で指摘された問題点の改善に取り組み、医系総合大学の特 色を活かした薬学教育をさらに推進されるよう期待する。
大学への提言
昭和医科大学 大学への提言1)長所 (1)学部連携の病棟実習やPBLが複数年度にわたり実施されている。また、医系総合 大学である昭和大学の特徴を最大限に活用した優れたプログラムが進められ、医療 人に必要な態度教育で大きな成果を上げている。(3.医療人教育の基本的内容、 4.薬学専門教育の内容)2)助言 (1)教員の授業担当時間数に見られる大きな差を減じることが望ましい。(10.教員 組織・職員組織) (2)自己評価委員会には学外からの委員を招聘することが望まれる。(13.自己点検・ 評価) 3)改善すべき点 (1)6年次の教育は、「カリキュラム・ポリシー」とは異なり、国家試験準備を重視し たものとなっているので、「カリキュラム・ポリシー」に応じた内容の教育を充実 させることが必要である。(2.カリキュラム編成) (2)必修科目としての卒業研究は、4年次前期の「総合薬学研究」のみであり、「薬剤 師の視点から問題解決を図る能力を醸成する」という6年制薬学教育の目的に鑑み て、開講時期は早すぎ、実施期間も短い。期間を5年次の実務実習終了後まで延長 し、現行カリキュラムの「発展薬学研究」と合わせた形のものにすることも念頭に 置いて改善を図る必要がある。(6.問題解決能力の醸成のための教育) (3)問題解決能力醸成のための教育の目標達成度評価に関する指標を設定し、それに基 づいて適切に評価する必要がある。(6.問題解決能力の醸成のための教育) (4)成績評価の厳正さに疑義を生じることがないよう、定期試験などの点数と合格基準 および成績評価段階との関係を学則等で規定し、薬学部履修要項に明記する必要が ある。(8.成績評価・進級・学士課程修了認定) (5)第2、第3学年での進級試験の受験資格の判定において、進級判定の公正さに疑義 を生じることがないよう、再試験で少数の不合格科目があっても受験が許可される 場合の基準を明示する必要がある。(8.成績評価・進級・学士課程修了認定) (6)進級判定の公正さに疑義を生じることがないよう、再試験で少数の不合格科目を持 つ者に進級試験の受験が許可された場合に実施する、「再試験不合格科目の再評価」 および「再試験不合格科目の再評価と進級試験の結果によって実施する進級判定」 の方法と基準を明示する必要がある。(8.成績評価・進級・学士課程修了認定)(7)薬学共用試験(CBT)を5年次への進級試験とみなし、CBTの合格を、定期試 験に合格している4年次履修科目の単位認定の要件とすることは不適切であるの で改める必要がある。(8.成績評価・進級・学士課程修了認定) (8)卒業判定の厳正さに疑念を生じることがないよう、卒業判定に用いる判定資料およ び判定基準を明示する必要がある。(8.成績評価・進級・学士課程修了認定) (9)卒業試験の受験資格として科目試験の合格が認められている第6学年の履修科目の 単位を、卒業試験の不合格を理由に認定しないことには合理性がなく不適切である ので改める必要がある。(8.成績評価・進級・学士課程修了認定) (10)身体に障がいのある学生の受験、入学を許可する限り、施設のバリアフリー化をは じめ、その学生が安全かつ快適に学生生活を送るため施設・設備上の対応は不可欠 であり、また学修・生活上の支援体制の整備を十分に図る必要がある。(9.学生 の支援) (11)一部の実習室では出入り口が少ないので、緊急時への対応という観点から、複数の 出入り口や十分な通路面積を確保するなどの対策を講じる必要がある。(9.学生 の支援) (12)卒業研究が安全かつ効果的に実施できるだけの研究室のスペースを確保する必要が ある。(11.学習環境)
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| 第1期 |
2014年度 |
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1:提言 改善報告審議結果 |
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| 千葉科学大学 | 私 | 千葉県 | 第1期 | 2014年度 | 継 |
自己点検・評価書 基礎資料 正誤票 |
評価報告書
総評
千葉科学大学 総評千葉科学大学薬学部薬学科は「コミュニケーション能力を持ち薬剤過誤を未然に防ぐリ スクマネージャーとしての素養を持つなど、現代社会に広く貢献できる薬剤師の養成」を 教育目標として掲げ、学位授与方針(ディプロマ・ポリシー)、教育課程の編成・実施方針 (カリキュラム・ポリシー)、入学者受入方針(アドミッション・ポリシー)を制定し、6 年制薬学教育を行っている。 教育課程は、低学年では入学者に対する基礎学力の向上に重点を置き、能力別クラス編 成を実施し、また、中高学年では薬剤師養成教育に必要な科目を配置した編成になってい る。東日本大震災を経験した千葉科学大学の特徴として、災害時対応やリスク対応能力の 養成を目的とした「リスク危機管理論(必修)」、「救急災害薬学演習(選択)」、「災害時チ ーム医療演習(選択)」という科目を開講している。学生の実務実習受入先は基本的に関東 地区調整機構との連携により決められているが、一部、大学が独自に契約を結んだ病院も 学生の実務実習受入先としている。薬学部の専任教員全員が実習施設を訪問し、実務実習 の実施に参画している。 多様な方式で入学試験を行い、試験問題が全ての学部で同一であり、学科別に解答する問 題が決められ、学科に適した学生を選抜するように設計されている。また、一部の試験では あるが、面接等が行われ、医療人としての適性の評価も入学試験に取り入れられている。 入学者数は開学以来定員を下回っていたが、定員削減や経済支援などの努力により改善 されつつあり、直近年度では定員超過となっている。 学習環境は良好であり、学生支援体制も整っている。社会との連携も行われている。しかし、本機構の評価基準に照らして教育プログラムの内容を評価すると、改善を必要 とするいくつもの重大な問題点が見出される。改善を必要とする主な問題点は下記のとお りである。 1)実務実習事前学習の単位認定に、事前学習の内容とは関連性が低いCBT(Computer Based Testing)体験受験の成績と薬学共用試験のOSCE(Objective Structured Clinical Examination)の結果を用いており、大学独自の実務実習事前学習の到達度 を評価する指標が設定されておらず、測定されていない。さらに、実務実習において 各SBOs(Specific Behavioral Objectives)に関する評価基準ならびに評価方法 が明確に設定されておらず、適正に評価されていない。 2)問題解決能力の醸成のための教育における卒業研究については、実施期間は形式的 にも1年に満たない。これは国家試験準備教育とみなされる「薬学演習Ⅱ」や「総合 薬学演習」に対して、設定単位に必要な授業時間数を大幅に超過する授業時間を充て ることで、卒業研究の実施期間が圧迫されているためと推察される。また卒業論文発 表会は実施されているが、複数名が同一課題名かつ同一内容の要旨である卒業論文も あり、評価に関する統一的な指標や基準が定められていない。また、問題解決型学習 については、各々の評価の基準が曖昧であり、成績評価のための測定が適切になされ ているとは言えず、問題解決型学習が体系的、効果的に実施されているとは言えない。 3)成績評価・進級・学士課程修了認定に関しては、学生便覧に規定されている4年次 進級試験は実施されておらず、補習を実施し明確な規定のない「進級緩和措置」によ って学生を進級させている。学士課程修了については、学外業者の試験2回を含んだ 4回の試験結果で単位認定をする「総合薬学演習」のみの単位未修得により多くの卒 業延期の学生を生じている。一方、「特別再試験」と呼ばれる優遇策が行われている など、学士課程修了認定が適切に行われているとは言えない。 上記の問題点に加えて、カリキュラム編成上、薬学教育モデル・コアカリキュラム以外 の大学独自のカリキュラムが少なく、薬剤師に求められるヒューマニズム・医療倫理教育 に関する科目の多くが選択である。また、これらヒューマニズム・医療倫理教育科目並び にコミュニケーション能力・自己表現能力を身に付ける教育のための科目に関して、目標達成度を評価するための指標が設定されておらず、それに基づいた評価がなされていない。 実務実習を含む薬学教育プログラムの内容を示すシラバスに多くの不備があり、薬学教育 モデル・コアカリキュラムへの準拠に関しても不十分な箇所がある。入学者判定や教員の 採用・昇任などに関して学則の規定通りに実施されていないなどの多くの問題点が認めら れる。 今回の評価において「改善すべき点」として指摘した諸問題を教職員で共有し、改善に 取り組み、千葉科学大学として特色のある6年制薬学教育を構築し実施することを期待し て止まない。
大学への提言
千葉科学大学 大学への提言1)助言 (1)薬学科の教育研究上の目的について、自己点検・評価する体制を構築することが望 ましい。(1.教育研究上の目的) (2)社会に発信する資料には、建学の理念や大学、学部、学科の教育研究上の目的を統 一した表現で記述することが望まれる。(1.教育研究上の目的) (3)カリキュラム・ポリシーを学生便覧やシラバス等へ掲載して、学生に周知する努力 が望まれる。(2.カリキュラム編成) (4)カリキュラム・ポリシーを学科の教育研究上の目的と具体的に関連付けることが望 ましい。(2.カリキュラム編成) (5)教育目的の達成を可能とするためにカリキュラムの体系化を行い、カリキュラム・ マップやカリキュラム・ツリー、科目相関図等として学生に広く示すことが望まし い。(2.カリキュラム編成) (6)就学年限を通した英語教育や医療現場で必要とされる英語教育を充実させることが 望ましい。(3.医療人教育の基本的内容) (7)医療人として必要な倫理観や態度教育の科目を、学年を追って体系的に学びを積み 重ねるような配慮や工夫が望まれる。さらに、実際の生涯学習活動へ学生が参加で きるような機会を増やすなど、生涯学習に対する意欲を醸成するための教育を体系 的に行うことが望ましい。(3.医療人教育の基本的内容) (8)早期体験学習を通して学生が出会う職種を増やすことが望まれる。(3.医療人教 育の基本的内容) (9)シラバスは、授業方法(学習方略:各回の授業別に)と全ての授業担当者名を記述 することが望ましい。(4.薬学専門教育の内容)(10)基礎系科目に関して、臨床との関連付けが見えるように工夫をすることが望まれる。 (4.薬学専門教育の内容) (11)大学独自のカリキュラムを増やすことが望ましい。(4.薬学専門教育の内容) (12)公表されているカリキュラムに関して、媒体間で不一致が見られることから、確認 し、訂正することが望ましい。(4.薬学専門教育の内容) (13)実務実習事前学習のシラバスには担当教員名と各回の授業に関する学習方略を明記 し、実務実習のシラバスをより充実させることが望ましい。(5.実務実習) (14)実務実習直前期に事前実習の到達度を再確認することが望まれる。(5.実務実習) (15)実習期間中は週報などを利用して、学生と指導薬剤師、大学教員の三者間で実習内 容や進捗状況に関してさらに密接に意見交換を行うことが望まれる。(5.実務実 習) (16)全ての学生が参加する実習報告会を開催することが望まれる。(5.実務実習) (17)問題解決能力の醸成に向けた科目および実質的な単位数を増やし、「特別実習」と 合わせて卒業要件の1/10という基準を満たすことが望ましい。(6.問題解決能力 の醸成のための教育) (18)卒業研究が実質的に研究室任せで運営されているので、成績の評価、実施時間につ いて、大学として責任を果たすことが望まれる。(6.問題解決能力の醸成のため の教育) (19)入学後の教育に求められる基礎学力を適確に評価する上で、入学試験の成績と入学 後の成績を比較・検証し、入試における学力調査の方法を検討することが望ましい。 (7.学生の受入) (20)編入学試験合格者に対する単位読替表を作成し、各科目の単位認定の可否の基準を 明確にすることが望ましい。(7.学生の受入) (21)薬学科の教育目標との関連が明確に見えるようなディプロマ・ポリシーに改変する ことが望ましい。(8.成績評価・進級・学士課程修了認定) (22)学生便覧へディプロマ・ポリシーを記述し、学生や教員に周知することが望まれる。 (8.成績評価・進級・学士課程修了認定)(23)9月の卒業を目指す学生に対して開講される授業の詳細な事項や該当する科目のシ ラバスへの記述、最終的な卒業の判定基準を示すことが望ましい。(8.成績評価・ 進級・学士課程修了認定) (24)学生からの意見を聞き、対応する組織や委員会を設けることが望まれる。(9.学 生の支援) (25)教員1名当たり21.4名の学生を指導することになるので、教員を増やし、是正に向 けて努力することが望まれる。(10.教員組織・職員組織) (26)教員の職位・年齢構成を考慮し、今後の人事を行うことが望ましい。(10.教員 組織・職員組織) (27)ホームページで公開している専任教員の業績を定期的に最新の情報に更新すること が望ましい。(10.教員組織・職員組織) (28)教員によって教育負担に大きな差があるので、是正に努めることが望ましい。(1 0.教員組織・職員組織) (29)FDやSDに関して、ワークショップのような能動的な取り組みも行うように努め ることが望まれる。(10.教員組織・職員組織) (30)参加型学習のための少人数教育に充てる教室を整備することが望まれる。(11. 学習環境) (31)生涯教育講座など、学科独自の地域社会との連携プログラムが年々減少傾向にある ので、再び活性化することが望ましい。(12.社会との連携) (32)大学を挙げて国際交流に力を入れるために、英語版ホームページの開設が望まれる。 (12.社会との連携) (33)教職員に対する海外派遣が十分に行われていないので、努力することが望まれる。 (12.社会との連携) (34)薬学部自己点検評価委員会が不断の自己点検・評価を促すことが望ましい。(13. 自己点検・評価)2)改善すべき点 (1)学科の教育研究の目的を学則に規定する必要がある。(1.教育研究上の目的) (2)CBT対策あるいは国家試験対策と考えられる「基礎薬学演習(4年次前期4単位)」、 「薬学演習Ⅰ(4年次後期4単位)」合わせて294時間相当、「薬学演習Ⅱ(6年次前 期)」、「総合薬学演習(6年後期)」合わせて862時間相当と、設定単位数に必要な開 講授業時間数以上に授業時間を割り当てており、CBT対策あるいは国家試験の合 格のみを目指していると判断されるので、このような教育姿勢を改める必要がある。 (2.カリキュラム編成) (3)学部あるいは学科の中でカリキュラムを検証し、必要に応じた変更を速やかに行う 体制を早急に整備する必要がある。(2.カリキュラム編成) (4)ヒューマニズム教育・医療倫理教育は、その多くが選択科目として開講されている ので、全ての学生が受講する必修科目に変える必要がある。(3.医療人教育の基 本的内容) (5)ヒューマニズム教育・医療倫理教育およびコミュニケーション能力・自己表現能力 を身につける教育等の目標達成度を評価するための指標を設定し、それに基づいて 適切に評価する必要がある。(3.医療人教育の基本的内容) (6)「薬学教育モデル・コアカリキュラム」の到達目標で対応する授業科目がないもの があるので、全てに対応したカリキュラムに改変する必要がある。(4.薬学専門教 育の内容) (7)実務実習事前学習における目標達成度の測定にCBT体験受験とOSCEの結果を 用いていることを止め、実務実習事前学習の目標達成度を評価するための指標を設 定し、それに基づいて適切に評価する必要がある(5.実務実習)。 (8)実務実習の成績評価において基準が明示されておらず、評価も適正に行われていな いので、改善が必要である。(5.実務実習) (9)実習の成績評価を行う際に用いる「実習日誌の内容」、「出席状況」、「指導薬剤師の 評価」等の、全体の評価における割合をシラバスに明記する必要がある。(5.実務 実習)(10)卒業研究は4〜6年次に分散して行われ、最大で10ヶ月と期間が短く、研究を通し て問題解決能力が醸成できる体制を築く必要がある。(6.問題解決能力の醸成のた めの教育) (11)卒業論文が成績評価の対象となっているので、卒業論文は学生一人ひとりが独立し て作成する必要がある。(6.問題解決能力の醸成のための教育) (12)論文審査基準や発表の審査基準も含めて、「特別実習」の評価基準を明示する必要 がある。(6.問題解決能力の醸成のための教育) (13)「PBL評価表」のようにグループ学習時に使用される成績評価に関しては、評価 基準とともに評価項目ごとの割合等を明示し、学生に周知する必要がある。(6.問 題解決能力の醸成のための教育) (14)問題解決能力の醸成に向けた教育において目標達成度を評価するための指標を設定 し、それに基づいて適切に評価する必要がある。(6.問題解決能力の醸成のための 教育) (15)学則第20条に示されているように、入学試験の合否の判定は、教授会による入学者 の学力を判断する審議結果に基づいて決定する必要がある。(7.学生の受入) (16)成績評価指標や評価基準をシラバスと学生便覧に明記する必要がある。(8.成績 評価・進級・学士課程修了認定) (17)学則上不明確な進級緩和措置による進級を行ったり、「総合薬学演習」に合格した 者のみに対して特別再試験を行ったりしていることは、厳格に進級や卒業が判定さ れているとは言えない。進級判定や卒業判定に関して基準に基づいて公平に実施す る必要がある。(8.成績評価・進級・学士課程修了認定) (18)事実上の卒業試験である「総合薬学演習」(「自己点検・評価書」p.56)の単位認 定試験に、国家試験合格を予測する学外業者の試験を用い、学士課程修了認定を行 っている点を改善する必要がある。(8.成績評価・進級・学士課程修了認定) (19)「総合薬学演習」のみの単位未取得で卒業延期となる学生が、受験者の約45%とい うような事態を生じさせないように、6年次までの進級判定を含め学力評価の実態 を点検し、根本的な改善を行う必要がある。(8.成績評価・進級・学士課程修了認定) (20)教員の採用・昇任に関して学則および関連規程に従って教授会で審議する必要があ る。(10.教員組織・職員組織) (21)薬学部独自の点検項目を設定し、恒常的に自己点検・評価を行う必要がある。(1 3.自己点検・評価) (22)自己点検・評価の結果を教育研究活動に反映する体制と、反映した結果を検証する 体制を構築する必要がある。(13.自己点検・評価)
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1:提言 改善報告審議結果 |
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| 同志社女子大学 | 私 | 京都府 | 第1期 | 2014年度 | 適 |
自己点検・評価書 基礎資料 正誤票 |
評価報告書
総評
同志社女子大学 総評同志社女子大学薬学部は、優れた教育理念に基づき、薬剤師に対する社会のニーズを反映 した教育目的を掲げて6年制薬学教育を行っている。この教育目的に即したカリキュラム・ ポリシー(教育課程の編成・実施方針)に従い、教養教育、語学教育、導入教育、基礎薬学 系専門教育、臨床薬学系専門教育、実務実習教育、卒業研究および大学独自のアドバンスト 教育によって構成されるカリキュラムが設定されている。教養教育は、総合大学の利点を生 かした多様な科目が開講され、語学力を養う科目は5年次を除く全ての学年に開講されてい る。ヒューマニズム教育・医療倫理教育は、オリエンテーションでの「コミュニケーション・ マナー講座」に始まり、「早期体験学習」から「模擬病院・薬局実習」などの医療人教育に 至る教育が行われている。薬学専門教育は、ほとんどの科目を必修としておおむね適切に行 われている。実習科目の時間数、卒業研究に相当する「薬学研究」の実施期間と内容には問 題がなく、PBL(Problem Based Learning)、SGD(Small Group Discussion)などの 能動的学習方法を取り入れた授業も行われている。実務実習に関しては、事前学習、共用試 験の実施と評価、病院実習および薬局での実習内容、評価における施設の指導者との連携な どを含めて、基準に適合している。入学者の選抜、学生の成績評価、進級と卒業の判定につ いても、適正に行なわれている。また、学生に対する各種の支援体制は充実しており、身体 に障がいのある学生に対する充実した支援はこの大学の特色となっている。教員組織に関し ては、後述する問題点はあるが、教育研究に必要な専任教員を擁している。教育研究に必要 な施設設備は、卒論研究に使用する研究室が狭隘であることを除けば、適正に整備されてお り、図書の整備状況も基準に適合している。社会との教育研究上の交流は活発とは言えない が行われており、自己点検・評価についても必要最小限の体制は整えられている。以上のように、同志社女子大学薬学部の薬学教育プログラムは、総合的に判断すると本機 構の評価基準に適合している。しかし、以下の重要な問題点が指摘される。 第1は、薬学教育モデル・コアカリキュラムの一部の重要な到達目標が、それにふさわし い専門科目で行われていないことである。薬学専門科目の内容を薬学教育モデル・コアカリ キュラムに準拠させることは、6年制薬学教育の基盤であるので、早急な改善が必要である。 第2は、「薬学研究」などの問題解決能力の醸成を目的とする科目や能動的学習において、 目標への達成度を測定する明確な指標とそれに基づく評価方法が確立されていないことで ある。該当する科目や能動的学習について、これらの問題点を解消することが必要である。 第3は、薬学専門科目を対象に行っている再試験実施の根拠となる規則、規程がないこと である。規定によらない再試験の実施は、成績評価の厳正さを保つ上で好ましいことではな いので、早急に再試験制度を規定すると共に、成績評価における厳正さの意味を教員全員で 確認することが必要である。 第4は、専任教員の職位と年齢の構成に偏りがあり、再任に関する基準が規定されていな い有期雇用で、授業担当が少ない特別任用助教が専任教員の1/3以上を占めているのに対 して、准教授と講師が極端に少ないことである。この状況を解消するため、若手教員の採用、 能力のある特別任用助教の昇格などにより准教授、講師を増やすなどの対応が必要である。 第5は、薬学部がこれまでに行っている自己点検・評価は第三者評価に対応するためのも ので、薬学部が教育プログラムの改善と発展を目指して、自主的で恒常的な自己点検・評価 を行っていないことである。本機構による今回の第三者評価に備えて行った自己点検・評価 の結果を基礎として、適切な評価項目を設定して、恒常的な点検・評価に取り組むことが望 まれる。 以上の重要な問題点については、自ら改善に取り組むことが必要であるが、それ以外の問 題点についても、今回の評価結果に基づいて改善に向けた取り組みを進め、薬学教育の向上 に努めることが望まれる。
大学への提言
同志社女子大学 大学への提言1)長所 (1)身体に障がいのある学生に対して、実務実習において筆談による指導や、音声認 識装置の活用を図るなどの支援を行える優れた体制を整えている。(9.学生の支 援) 2)助言 (1)教育研究の目的など、薬学部における教育研究の基本に関わる事項の検証と改善 に、薬学部が主体性と責任をもって取り組むことができる体制の構築が望ましい。 (1.教育研究上の目的) (2)「薬学部履修要項・シラバス」の構成を、学生が教育体系と各科目の内容との関 係を把握しやすい形に改善する(例えば、学年ごとに順序よく記載するなど)と共 に、学生が教育体系全体を把握できるようなカリキュラム・マップを示すことが 望ましい。(2.カリキュラム編成) (3) 実施を予定している、5年次の実務実習のない時期に行う薬学基礎科目の補講は、学生が卒業研究の一部である「薬学研究Ⅱ」に専念する意欲と時間を減らしてし まうことが懸念される。薬学基礎科目に関する知識の定着は、 補習ではなく、学 生が「実務実習」や「薬学研究Ⅱ」の学習過程で基礎専門科目の重要性を認識し、 自ら学習するよう配慮することが望ましい。(2.カリキュラム編成) (4)「内科学総論」、「臨床検査学」のシラバス内容はヒューマニズム教育・医療倫理 教育に関するSBOs(Specific Behavioral Objectives)に対応しておらず、 これらの科目をヒューマニズム教育・医療倫理教育とすることは適切ではなく、 改めることが望ましい。(3.医療人教育の基本的内容) (5)新入生の基礎学力を補う目的で実施している授業への出席率低下を防ぐための有 効な対応策を講じることが望ましい。(3.医療人教育の基本的内容) (6)「早期体験学習」において、製薬企業、行政機関などの見学が「薬学特別演習」 に割り当てられており、実質的には行われていないので「早期体験学習」にこれ らの見学を加えることが望ましい。(3.医療人教育の基本的内容) (7)6年次の「薬学特別演習」が薬学教育の全体の総まとめを行う科目であることを 示すために、薬学教育モデル・コアカリキュラムの全ての到達目標を機械的に割 り当てていることは好ましくない。「薬学特別演習」については、この科目の目的 と内容を正確に表す説明を行うことが望ましい。(4.薬学専門教育の内容) (8)実務実習に参加する学生全員が直前に健康診断を受診するようにすることが望ま しい。また、3、4年次学生の健康診断受診率がやや低いので、受診指導を徹底 することが望ましい。(5.実務実習、9.学生の支援) (9)事前学習において、少人数教育を実施するために必要となる教員数の不足を解消 することが望ましい。(5.実務実習) (10)「自己点検・評価書」で指摘している、PBL形式の授業に対応できる施設およ び教員の充実に努めることが望ましい。(6.問題解決能力の醸成のための教育) (11)入学者の選抜に際しては、入学定員の1.15倍を超えないよう配慮することが望ま しい。(7.学生の受入) (12)「薬学部が求める学生像」(アドミッション・ポリシー)と入学試験制度に整合性を図ることが望まれる。(7.学生の受入) (13)合格者の決定に薬学部の意向がより大きく反映するような入試制度の見直しが望 ましい。(7.学生の受入) (14)臨床系教員が外部の医療施設(可能な限り先端的な研修が可能な大病院)での研 修を行えるような体制を学部として構築することが望ましい。(10.教員組織・ 職員組織) (15)教員の授業担当時間数に見られる大きな差を減じることが望ましい。(10.教 員組織・職員組織) (16) 薬学部独自のFD活動に早急に取り組むことが望ましい。(10.教員組織・職 員組織) (17)OSCEの実施施設を薬学部内に整備することが望ましい。(11.学習環境) (18)若手の薬学部教員が在外研究制度を利用できるような環境を整備することが望ま しい。(12.社会との連携) 3)改善すべき点 (1)【観点2-2-3】が求める迅速なカリキュラムの検討と変更が可能になる体制とする ため、カリキュラムに関わる「薬学部教員会議」や「薬学部運営委員会」の権限 と機能の強化を図ることが必要である。(2.カリキュラム編成) (2)「ヒューマニズム教育・医療倫理教育」「コミュニケーション能力および自己表現 能力を身につけるための教育」に含まれる科目について、それぞれの目標達成度 を評価するための指標を設定し、それに基づく適切な評価を行うようにすること が必要である。(3.医療人教育の基本的内容) (3)「早期体験学習」の必須項目や「相互作用」に関わる内容など、薬学教育で重要な 意味を持つ項目が形の上で「薬学特別演習」に割り当てられているが実質的には 行われていないことは不適切である。専門科目の実際の教育内容が薬学教育モデ ル・コアカリキュラムに準拠したものとなるよう、カリキュラムを改訂すること が必要である。(4.薬学専門教育の内容)(4)共用試験の受験者数を「自己点検・評価書」に記載することが必要である。(5. 実務実習) (5)「薬学研究Ⅰ、Ⅱ」およびそれ以外の問題解決能力の醸成を目指す科目について、 それぞれの目標に対する到達度に対する明確な指標を立て、それに基づいて評価 を行う体制を整えることが必要である。(6.問題解決能力の醸成のための教育) (6)薬学部が、単位認定に関わる再試験を明確な規程に拠らずに実施していることは 成績評価の厳正さを保つ上で不適切であり、再試験の実施とその要領を明確に定 めた規程を設けることが必要である。(8.成績評価・進級・学士課程修了認定) (7)専任教員の職階、年齢などに関わる構成比率の適正化を図り、授業の主担当者と なる教員の実数を増すため、定年を過ぎた特別任用教授の交代、能力のある特別 任用助教の昇格などを含めた教員組織の再編を進めることが必要である。(10. 教員組織・職員組織) (8)卒業研究に使用する研究室の狭隘さを早急に解消することが必要である。(11. 学習環境) (9)本機構では、薬学教育プログラムの改善と発展を目指して、薬学部が主体的で恒 常的な自己点検・評価に取り組むことを求めている。今回の本機構による第三者 評価に対応して行った自己点検・評価の成果を基礎に、薬学部独自の自己点検・ 評価体制を構築し、自らで評価項目を設定し、恒常的な点検・評価に取り組むこ とが必要である。(13.自己点検・評価)
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自己点検・評価書 基礎資料 正誤票 |
評価報告書
総評
東邦大学 総評東邦大学薬学部は、建学の精神(「自然・生命・人間」)に基づき、「人材の養成に関する 目的」および「教育研究上の目的」を学則で規定し、ホームページで公表している。「人材 の養成に関する目的」には、心の温かい薬の専門家として、他職種とともに医療の最前線 で人々の健康を守る高い倫理観と豊かな人間性を持つ医療人の養成を目的とすると謳われ ており、また「教育研究上の目的」には、教育に関しては、高い倫理観、豊かな人間性、 豊富で正確な知識・技能および問題解決能力を涵養する、としている。 これらの目的の下、6年制薬学教育の入学者受入方針(アドミッション・ポリシー)、教 育課程の編成・実施方針(カリキュラム・ポリシー)、および学位授与の方針(ディプロマ・ ポリシー)を制定している。 これらのポリシーに基づき、教育課程は、教養教育、外国語教育、保健体育教育、基礎 教育、および専門教育から構成されている。薬学専門教育はモデル・コアカリキュラムに 準拠した教育プログラムが実施されている。また、医療系総合大学の強みを活かした多彩 な科目が配置され、医学部との合同講義や医療系の他職種との参加型教育が実施されてい る。卒業研究は、4年次秋学期から6年次春学期の期間に実施されており、卒業研究に専 念できる体制を整えている。実務実習では、事前学習と薬学共用試験で参加学生の能力を 保証した上で、附属3病院と協力病院で病院実習を、調整機構との連携に基づき大学の近 隣の保険薬局で薬局実習を、実務実習モデル・コアカリキュラムに沿って実施している。 入学者の選抜については、主に化学、英語、数学の学力により、入学後の教育に求めら れる基礎学力が評価されている。また、入学定員に対する入学者数は妥当な範囲にある。成績評価は、各科目担当者の責任に基づいて公正かつ厳格に行われており、評価方法は、 シラバスに「成績評価法」として明記されている。 専任教員数については、基本的には大きな問題点は存在しない。 学生の支援については、災害発生時を想定した「東邦大学安否確認サービス」を導入し、 学生の安否確認ならびに緊急連絡体制を整えていることは、特徴的である。また、学習環 境および社会との連携についても適切である。 しかし、主な改善すべき点として、以下の点があげられる。 1.「ヒューマニズム教育・医療倫理教育」および「コミュニケーション能力・自己表現能 力」の目標達成度を評価するための指標を設定し、評価することが必要である。 2.薬剤師育成教育として必須であるコミュニケーション教育などを必修科目とし、学習 方法として参加型学習方法を取り入れる必要がある。 3.卒業研究や「英語Ⅰ~Ⅳ」の必修科目のシラバスが掲載されていないので、早急に改 善する必要がある。 4.卒業研究の評価が担当教員に任されていることは、評価の客観性に問題があるので、 学部全体として、統一した指標を定めて評価する必要がある。 次に、主な助言としては、医療人教育における英語教育には多彩なプログラムが導入さ れており、また、アドバンスト科目には医療系総合大学の特色を活かしたものも含め様々 なものが配置されているが、履修者が少ない。大学独自のカリキュラムの特色が十分に活 かしきれていないので、履修者を増やすための対応が望まれる。 東邦大学薬学部は、医療系総合大学の特色を活かした多様な教育プログラムを構築して おり、薬剤師養成教育への熱心な取り組みがうかがえる。今後は改善すべき点および助言 を踏まえ、より一層の改善・改革を進め、6年制薬学教育の更なる発展が期待される。
大学への提言
東邦大学 大学への提言1)長所 (1)「ヒューマニズムⅡ」を必修科目として設定し、薬学生と医学生による少人数グ ループワークにより討論・学習し、結果の発表を行い、将来のチーム医療に役立 てることを考えていることは評価できる。(3.医療人教育の基本的内容) 2)助言 (1)薬学部に教育研究上の目的の検証を実施する委員会組織が早急に構築されること が望まれる。(1.教育研究上の目的) (2)薬学部の教育研究上の目的が学則に規定され、より具体的な目的が薬学部のホー ムページで公表されているが、在学生に認識させるにはシラバス(履修の手引き) や学生便覧にも記載することが望ましい。(1.教育研究上の目的)(3)カリキュラム・ポリシーは、シラバスにも掲載されることが望まれる。(2.カリ キュラム編成) (4)教養教育科目として人文社会系科目は配置されている。しかし、自然科学系科目 が皆無であることは問題であり、改善されることが望ましい。(3.医療人教育の 基本的内容) (5)英語教育には多彩なプログラムが導入されているが、上級学年の科目については 選択科目であるためか履修者が極端に少ないので、履修者数の増加に努め、科目 の特徴を活かす努力が望まれる。(3.医療人教育の基本的内容) (6)知識・技能・態度に対応した学習方法が各科目のシラバスに記載されることが望 ましい。(4.薬学専門教育の内容) (7)アドバンスト科目には医療系総合大学の特色を活かしたものも含め様々なものが 配置されている。しかし、5年次、6年次に選択科目として開講される場合、履 修者が極端に少ない科目が多い。このように、大学独自のカリキュラムの特色が 活かしきれていないので、アドバンスト科目の履修者を増やすための対応が望ま れる。(4.薬学専門教育の内容) (8)PBL、SGD等を用いた科目の更なる充実が望まれる。(6.問題解決能力の醸 成のための教育) (9)「一般入試」および「センター試験・前期」の最近6年間における募集定員は、そ れぞれ100名、20名である。この間の「一般入試」の入学者数は37~82名、「セン ター試験・前期」のそれは43~75名であり、募集定員と実際の入学者数が大きく 逆転している。受験者の不信を避けるためにも、募集定員数に見合う入学者数と することが望まれる。(7.学生の受入) (10)留年生は基本的に不合格科目のみを受講すれば良いことになるので、モチベーシ ョンの維持に向けてより適切な対策が望まれる。(8.成績評価・進級・学士課程 修了認定) (11)学生募集要項には、身体に障がいのある受験者に対する配慮に関する記載が望ま れる。(9.学生の支援)(12)教員構成における助教の比率を上げることが望まれる。(10.教員組織・職員組 織) (13)博士の学位を有しない准教授・専任講師は今後博士の学位を取得するよう努め、 さらに、博士の学位を有する者を採用することが望ましい。また、博士の学位を 有しない助教は今後博士の学位を取得するよう努め、学部として修得し易いよう に環境を整えることが望ましい。(10.教員組織・職員組織) (14)教授の採用に当たっては、公募を原則として実施されているが、推薦が優先され ると判断される「東邦大学薬学部教員人事内規」が現在に至るまで改定されてい ないので、実態に合わせて改定することが望まれる。(10.教員組織・職員組織) (15)臨床系教員・実務家教員と基礎系教員の週授業時間にバラツキが大きいので、改 善することが望まれる。(10.教員組織・職員組織) (16)10名規模の学生によるSGDに適したチュートリアル室の必要数を確保すること が望ましい。(11.学習環境) 3)改善すべき点 (1)「ヒューマニズム教育・医療倫理教育」および「コミュニケーション能力・自己表 現能力」についての達成度を評価するための基準を設定することが必要である。 (3.医療人教育の基本的内容) (2)薬剤師教育に必須であるコミュニケーション教育等を必修科目とし、学習方法に 能動的学習を取り入れることが必要である。(3.医療人教育の基本的内容) (3)「英語Ⅰ〜Ⅳ」のシラバスが記載されていないので、早急に改善する必要がある。 (3.医療人教育の基本的内容) (4)実務実習事前学習の評価を、知識、技能、態度をバランス良く評価する方法に改 善すべきである。事前学習の到達度評価については評価の指標を設定し、それに 基づいて適切に評価する必要がある。(5.実務実習) (5)卒業研究の一般目標、到達目標、成績評価法などをシラバスに掲載すべきである。 (6.問題解決能力の醸成のための教育)(6)卒業研究の評価に関しては、各担当教授に任されており、評価の客観性に疑問を 持つ。学部全体として、統一した指標を定め、評価されるべきである。(6.問題 解決能力の醸成のための教育) (7)問題解決能力醸成のための教育、たとえば、「ヒューマニズムⅠ、Ⅱ」等の成績評 価に関する評価基準ならびに評価方法を明確に設定する必要がある。(6.問題解 決能力の醸成のための教育) (8)6年制薬学教育プログラムに対する自己点検・評価を恒常的に行い、プログラム の向上に努める必要がある。(13.自己点検・評価)
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| 第1期 |
2014年度 |
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1:提言 改善報告審議結果 |
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| 徳島文理大学 | 私 | 徳島県 | 第1期 | 2014年度 | 適 |
自己点検・評価書 基礎資料 正誤票 |
評価報告書
総評
徳島文理大学 総評徳島文理大学薬学部は、「自立協同」の建学精神のもと、薬学教育・薬剤師の養成に尽 力してきた。薬学科の教育研究上の目的を「薬剤師としての必須の知識・技能・態度を習 得するだけでなく、問題解決能力を有した薬剤師を養成することを目的とする」と規定し、 これに基づく、アドミッション・ポリシー(入学者受入方針)、カリキュラム・ポリシー (教育課程の編成・実施方針)、および、ディプロマ・ポリシー(学位授与方針)を定め ている。これらのポリシーに基づき、薬学科の教育課程は、教養科目、語学科目、薬学専 門科目より構成される。教養科目は、人文・社会系、自然科学系の多くの全学共通科目が 開講され、語学(英語)は、聞く、話す能力を養う授業が実施されている。また、1年次 の早期体験学習では、病院・薬局・企業・行政を見学している。薬学専門教育は、薬学教 育モデル・コアカリキュラムに準拠した基礎知識を学び、5年次からの実務実習に備える プログラムとなっている。主体的な学習態度、問題発見・問題解決能力の醸成に重点を置 いたプログラムとして、4年次前期から6年次8月末まで、長期実務実習を除く期間に、 15単位の卒業研究を必修として課している。 実務実習事前学習と薬学共用試験により実務実習の能力を担保した学生は、中国四国地 区調整機構との連携により実習先が決定され、徳島県内・外の病院、保険薬局において、 モデル・コアカリキュラムに沿った内容で実習が行われている。 専任教員数は大学設置基準を充足しており、専任教員数に対する学生数比率も適切であ る。若手教員が海外留学できる制度も活用されている。施設・設備は、学習・研究環境と して良好で、卒後教育や地域医療への貢献も活発である。 しかし、本機構の評価基準に照らし評価すると、主な改善すべき点として以下の点があげられる。 1.薬剤師養成教育を実践するために必須であるヒューマニズム教育・医療倫理教育、 医療コミュニケーション教育などを体系的に充実させる必要がある。 2.上記1の科目の多くは講義で行われている。これらの科目に参加型学習方法を多く 取り入れることが必要である。また、達成度評価のために指標を定め、公正かつ厳 格に評価する必要がある。 3.入学後から、薬学を学ぶ上での基礎教育の補強をしているにもかかわらず、低学年 の退学率が高く、かつ6年間の在籍で卒業できる割合が50%に満たないという状況 を生じている。この状況は、入学選抜において、入学志願者の能力が的確に評価さ れていないことを示しているので、改善が必要である。 4.成績評価において、筆記試験、レポート点などの複数の評価方法を用いる場合、評 価方法ごとの最終成績への寄与率をシラバスに記載することが公正な評価のために 必要である。 5.薬学部に常置のFD(Faculty Development)委員会を整備し、教員の教育研究能力 の向上を図るための取り組みを適切に実施することが必要である。 6.薬学教育プログラム向上のために、プログラムを自己点検・評価する組織を構築し、 継続的に検証する必要がある。 徳島文理大学薬学部では、保健福祉学部看護学科、理学療法学科などと、複数の医療系 学科が協力した教育を実施することが可能である。薬学部には、問題解決能力の醸成を重 視した教育研究体制と熱心な教員の教育姿勢があるので、改善すべき点および助言を踏ま え、より一層、組織的に医療人としての薬剤師の育成に取り組み、さらに発展することを 期待する。
大学への提言
徳島文理大学 大学への提言1)長所 (1)薬学部から年間2名の若手教員の海外留学を支援する制度があり、平成25年度に2 名が留学している。(12.社会との連携) 2)助言 (1)ホームページ、ならびに「自己点検・評価書」に記載されている教育研究上の目的 を、学則に規定された表現に統一することが望ましい。(1.教育研究上の目的) (2)薬学部の教育研究上の目的を定期的に検証することが望ましい。(1.教育研究上の 目的) (3)医療倫理教育やヒューマニズム教育が1~4年次まで体系的に実施され、5年次の 医療現場での実習に備える必要があるが、カリキュラム・ポリシーからは、読みと れないので、分かりやすくすることが望まれる。(2.カリキュラム編成) (4)カリキュラムの構成が、教育目標、ならびにカリキュラム・ポリシーに基づいてい ることを学生が理解できるように、カリキュラム・マップをシラバスに掲載すること が望ましい。(2.カリキュラム編成) (5)「薬学部要覧」(シラバス)に評価方法の詳細が記載されていないので、記載する ことが望まれる。(5.実務実習) (6)入試要項と大学案内のアドミッション・ポリシーの表記を統一することが望まれる。 (7.学生の受入) (7)ディプロマ・ポリシーが策定され、公表されているが、「薬学部要覧」(シラバス) には記載がなく、学内の学生に十分に周知されているとはいえないので、改善するこ とが望まれる。(8.成績評価・進級・学士課程修了認定)(8)必修科目6単位の「総合薬学演習」のみの未修得で卒業できないという卒業認定の 実態は、ディプロマ・ポリシーに基づく学士課程修了認定が行なわれていないことを 意味しているので、改善することが望まれる。(8.成績評価・進級・学士課程修了 認定) (9)実務家教員(臨床教員)が、定期的に臨床現場に赴いて最先端の医薬品や医療に関 する知識・技能に触れるシステムを構築することが望ましい。(10.教員組織・職 員組織) 3)改善すべき点 (1)薬剤師養成教育のために必須である医療倫理教育、医療コミュニケーションおよび ヒューマニズム教育などを体系的に充実させる必要がある。(3.医療人教育の基本 的内容) (2)態度教育として重要な医療倫理教育・ヒューマニズム教育・医療コミュニケーショ ンのほとんどが講義で行われており、参加型の方略が少ないので、SGD、ロールプ レイなどの参加型の学習方法による学習時間を増やすことが必要である。(3.医療 人教育の基本的内容) (3)医療コミュニケーションに重要な科目「実践的コミュニケーション」、医療安全に 関わる科目「医薬品リスクマネージメント」は、選択科目となっているので、必修科 目とすることが必要である。(3.医療人教育の基本的内容) (4)ヒューマニズム教育・医療倫理教育科目において、教育の適切な達成度評価のため に指標を設定し、適切に評価する必要がある。(3.医療人教育の基本的内容) (5)実務実習の評価の総合点は、卒論担当教員の裁量に任されているので、評価を公正 に行うために、改善が必要である。(5.実務実習) (6)卒業研究に相当する4年次の「総合薬学研究1」、5年次の「総合薬学研究2」、 および6年次「総合薬学研究3」の評価が卒論担当教員に任されており、評価の公正 性に問題があり、統一の評価方法を設けることが必要である。(6.問題解決能力の 醸成のための教育)(7)問題解決能力の醸成を目的とする科目については、達成度を評価するための指標を 設定し、適切な評価をすることが必要である。(6.問題解決能力の醸成のための教 育) (8)低学年の退学率の増加および卒業率の低下の原因として、入学試験において入学後 に求められる基礎学力を的確に評価していないことが考えられるので、改善が必要で ある。(7.学生の受入) (9)科目の評価において、筆記試験、レポート点などの複数の評価方法を用いる場合、 評価方法ごとの最終成績への寄与率をシラバスに記載することが厳格な評価のため に必要である。(8.成績評価・進級・学士課程修了認定) (10)2年、3年、4年次生の健康診断の受診率が極めて低いので、指導する必要がある。 (9.学生の支援) (11)薬学部に常置のFD委員会を整備し、教員の教育研究能力の向上を図るための取り 組みを適切に実施することが必要である。(10.教員組織・職員組織) (12)薬学部の学生定員が1.5倍に増加しただけでなく、実務実習が開始され個々の学生に 関する事務処理量が急激に増大しており、薬学部に常駐する事務職員3名では、人手 が不足している。薬学部の教育・研究の充実のために、事務員体制を強化することが 必要である。(10.教員組織・職員組織) (13)薬学部内に薬学教育プログラムを自己点検・評価する組織を構築し、教育プログラ ムの検証を恒常的に行い、プログラムの向上に努める必要がある。(13.自己点検・ 評価)
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| 第1期 |
2014年度 |
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1:提言 改善報告審議結果 |
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| 京都薬科大学 | 私 | 京都府 | 第1期 | 2014年度 | 適 |
自己点検・評価書 基礎資料 正誤票 |
評価報告書
総評
京都薬科大学 総評京都薬科大学は、その教育理念に基づいて「高度の専門能力や研究能力を併せ持つ薬剤 師(ファーマシスト・サイエンティスト)」の養成を目指す6年制薬学教育を行っており、 教育研究上の目的は、大学概要、学生便覧、シラバス、ホームページ等を通して周知され ているが、6年制への移行時に学則が変更されていないために学則の教育目的はこれらと 表現が一致していない。 教育プログラムは「ファーマシスト・サイエンティスト」の養成を目指すカリキュラム・ ポリシー(教育課程の編成・実施方針)に基づいて構築されている。医療人教育の基本的 内容はおおむね適正であり、教養教育については「大学コンソーシアム京都」も含め、選 択の幅は広い。語学教育は充実しており、TOEICの受験を推奨していることや、6年 次の卒業研究発表会を英語で行っていることは、有意義な試みである。薬学専門教育は「薬 学教育モデル・コアカリキュラム」に準拠しており、大学独自の内容も設定されているが、 教育方法は講義が中心であり、SGD(Small Group Discussion)、PBL(Problem Based Learning)、TBL(Team Based Learning)などのアクティブラーニングの割合は多くな い。また、基礎系実験実習の時間数は、十分に多いとは言いがたい状況である。実務実習 事前学習と薬学共用試験は適正に実施されており、病院・薬局での実務実習における指導と評価は、適切な連携体制の下で行われている。卒業研究に相当する教育は全学生を3年 次後期から研究室に配属して行い、その成果は卒業論文と6年次6月に開催する発表会の ポスターにまとめられている。しかし、配属学生1名当たりの実験スペースや指導者数に 検討の余地のある研究室があり、また、卒業研究の評価方法には改善すべき点がある。 入学試験はアドミッション・ポリシー(入学者受入方針)に基づいて適正に行われ、入 学者数と定員数との乖離は少ないが、入学試験において医療人としての適性を評価する方 法については今後の工夫が望まれる。実務実習事前学習の単位認定を除き、成績評価なら びに進級、卒業判定はおおむね厳正に行われている。 修学のための履修指導、経済的支援、健康管理、ハラスメント対策および障がい者への 支援は十分に行われており、学生の安心・安全対策への配慮にも問題はない。また、学生 の意見を教育や学生生活の改善に反映するためのシステムも整備されている。 専任教員については基本的に大きな問題はないが、教員1名当たりの学生数は基準を大 幅に上回っており教員の増員を図ることが望まれる。講義室、実習室、図書館、臨床薬学 教育研究センター、情報処理教育研究センター等の教育施設は良く整備されているが、研 究室の広さは十分とはいえない。医療界、産業界を含めた社会との連携関係は良好であり、 留学生の受け入れや基金を設けての海外出張・留学の推進を行っている。6年制薬学教育 プログラムを恒常的に自己点検・評価する体制は設けられていない。 以上のように、京都薬科大学の教育プログラムは、本機構の評価基準におおむね適合し ていると判断される。しかしながら、以下の諸問題については早急に改善を図る必要があ る。 1) 6年制移行に伴う学則の変更を行い、ホームページ等で公表されている教育目的と 学則の規定を統一することが必要である。 2)ヒューマニズム教育・医療倫理教育ならびにコミュニケーション能力・プレゼンテ ーション能力を身につける能動的教育の目標達成度の評価を適正な評価指標を設 定して行うことが必要である。 3)必修科目である卒業論文を連名で作成している研究室が散見される。また、卒業研 究に相当する教育の評価方法が担当教員に任されていることは評価の公平性から問題である。統一した評価方法を定めることが必要である。 4)実務実習事前学習に相当する科目の単位認定に薬学共用試験(OSCE)の合否を 含めていることは適切でないので、改善する必要がある。 5)薬学教育プログラムを自己点検・評価する責任ある常設組織を構築し、教育プログ ラムの向上を恒常的に図ることが必要である。 京都薬科大学は、明確な教育理念に基づき構築された教育プログラムと、それを実践す るための優れた教員および設備を有し、教育・研究への熱心な姿勢と活動が認められる。 今回の第三者評価により指摘された改善すべき点および助言を踏まえた改革により、単科 の私立薬科大学の模範となるべく、さらに発展することを期待する。
大学への提言
京都薬科大学 大学への提言1)長所 (1)6年次の卒業研究発表会を英語で行っていることは、薬学教育のグローバリゼー ションという観点から有意義な試みである。(3.医療人教育の基本的内容) (2)留学中の研究教育を補完するために、特別契約職員として常勤の教育支援教員を 採用する制度を2013年度に導入している(10.教員組織・職員組織)。また、 「京都薬科大学科学振興基金規程」により海外出張・留学を推進している(12. 社会との連携)。2)助言 (1)教育研究上の目的について、常置された責任ある組織による定期的な検証が行わ れることが望まれる。(1.教育研究上の目的) (2)基礎資料4は、授業のつながりを示した「科目関連図」にとどまっており、カリ キュラムとディプロマ・ポリシーとの整合性を示すカリキュラム・マップの作成 が望まれる。(2.カリキュラム編成) (3)ヒューマニズム教育・医療倫理教育の学習方法については、講義、SGD、実習 など多様な形式が設定されており、総合的にはおおむね適正に行われているが、 体系性は不明確である。学年進行に伴った順次性・連続性のある科目設定が望ま れる。(3.医療人教育の基本的内容) (4)基礎系の実験実習の時間数は十分でないので、さらなる充実が期待される。(4. 薬学専門教育の内容) (5)シラバスにおいて、学習項目の到達目標と授業形態の記載を一致させることが望 まれる。(4.薬学専門教育の内容) (6)基礎実験実習および実務実習のシラバスの「成績評価方法・基準」について、評 価項目ごとの点数配分も含め、具体的な記載が望まれる。(4.薬学専門教育の内 容、5.実務実習) (7)問題解決能力の醸成に向けた教育について、実質的な実施時間数の合計が18単位 以上になるよう、SGDやPBLなどの参加型授業形式を増やす工夫が望まれる。 (6.問題解決能力の醸成のための教育) (8)1〜3年次の基礎系実験実習を指導する教員の数が少なく、安全管理上問題であ るので改善が望まれる。(9.学生の支援) (9)教員1名当たりの学生数は、基準を大幅に上回っており、卒業研究の質や安全面 から、専任教員の増員が望まれる。(10.教員組織・職員組織) (10)教員1名あたりの配属学生数が非常に多い分野があり、教員の負担軽減の方策が 望まれる。(10.教員組織・職員組織) (11)中項目4において指摘した「基礎系の実験実習の時間数が十分に多いとは言いがたい」という現状が実習室の数に起因するのであれば、実験実習室の拡充を検討 することが望まれる。(11.学習環境) (12)配属学生1名当たりの研究室の広さから判断すると、一部の研究室については、 配属学生が集中する時期には研究スペースが十分とは言えないので、改善が望ま れる。(11.学習環境) (13)自己点検・評価運営委員会に外部委員が含まれていない点について、改善が望ま れる。(13.自己点検・評価) 3)改善すべき点 (1)京都薬科大学の教育目的は、大学概要、シラバス、学生便覧、ホームページなど に記載されているものと学則の第1条に規定されているものが一致していない。 学則の変更により表現を統一することが必要である。(1.教育研究上の目的) (2)ヒューマニズム教育・医療倫理教育、コミュニケーション能力およびプレゼン テーション能力を身につける教育において、目標達成度を評価するための指標 を設定し、それに基づいて適切に評価する必要がある。(3.医療人教育の基 本的内容) (3)卒業論文を連名で作成しているケースが散見されるが、卒業論文の作成および卒 論発表会は学生ごとに行う必要がある。(6.問題解決能力の醸成のための教育) (4)卒業研究の評価は、各分野・センターが独自に設定した評価項目を用いて行わ れているが、評価方法が学内で統一されることが必要である。(6.問題解決 能力の醸成のための教育) (5)問題解決能力の醸成に向けた教育において目標達成度を評価するための指標を 設定し、それに基づいて適切に評価する必要がある。(6.問題解決能力の醸 成のための教育) (6)4年次の実務実習事前学習に相当する「病院・薬局へ行く前に」について、実 習の評価結果に加えて薬学共用試験(OSCE)の合否に基づいて単位認定し ていることは適切でないので、改善する必要がある。(8.成績評価・進級・学士課程修了認定) (7)「京都薬科大学自己点検・評価運営委員会」が常置委員会となっていない。薬学 教育プログラムを恒常的に自己点検・評価する責任ある常設組織を構築し、PD CAサイクルを回してプログラムの向上に努める必要がある。(13.自己点検・ 評価)
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| 第1期 |
2014年度 |
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3:但し書き 改善報告審議結果 2016/10/11 |
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| 就実大学 | 私 | 岡山県 | 第1期 | 2014年度 | 適 |
自己点検・評価書 基礎資料 正誤票 |
評価報告書
総評
就実大学 総評就実大学薬学部は教育研究上の目的を「生命の尊厳を基盤とした強い使命感と高い倫理 観のもとに、ヒトの健康を守る最良の医療薬学教育・研究を行い、人類の医療・福祉に貢 献できる高度な専門性と豊かな人間性を兼ね備えた薬剤師を育成する」と定めて6年制薬 学教育を実施している。カリキュラムは、教育研究上の目的に沿ったカリキュラム・ポリ シー(教育課程の編成・実施方針)に沿って編成され、医療人教育の基本と薬学専門教育 はアクティブラーニングなどを取り入れ、知識のみならず、技能や態度の教育にも配慮し てバランスよく行われており、基本的な点に関しては問題はない。実務実習は、薬学共用 試験に合格した者を対象に、地区調整機構との連携のもとで実務実習モデル・コアカリキ ュラムに沿って実施しており、薬学共用試験結果の取り扱いに後述の問題点があるものの、 基本的には適切に実施されている。 入学者の選抜は多様な方法で実施しており、定員の見直しや特待生制度の整備などの対 策によって定員を満たす学生を確保している。学生の成績評価と進級、卒業の判定につい ては、規程や基準に基づいておおむね適切に行われている。 学生支援に関わる体制としては、奨学金制度、健康診断、ハラスメント防止体制、キャ リアセンターなどが、十分に機能しており、学習環境も基準を満たすものが整備されてい る。専任教員については、職階と年齢構成がややアンバランスではあるが基準は満たして おり、学部としての社会貢献等も適切である。また、学部教育に対する自己点検・評価は、マニフェストの作成、PDCAサイクルシートの採用などで、恒常的に向上させる仕組み が機能している。 以上のように、就実大学薬学部の6年制薬学教育プログラムは、全体としては本機構の 評価基準におおむね適合していると判定できる。しかし、以下に指摘する問題点について、 早急な改善が必要である。 1)卒業要件単位の過半数を「選択必修科目」で充足する制度になっており、薬学教育 における重要な到達目標の一部を修得せずに卒業できる制度になっていることは適 切ではなく、科目の必修指定を再検討する必要がある。 2)実務実習事前学習の単位認定に薬学共用試験の結果を加味していることは適切では なく、早急に改善する必要がある。 3)ヒューマニズム教育・倫理教育、実務実習事前学習、「卒業論文実習」を含む問題解 決能力醸成教育において、目標達成度を評価する指標を設定し、それに基づいて適 切に評価する必要がある。 4)「卒業論文実習」の実質的な研究期間が国家試験準備教育のために制約されているこ となど、卒業研究に対応する教育は評価基準に適合していないので、原因となる諸 問題の改善が必要である。 以上の改善すべき点の他に、以下のような助言がある。 1)カリキュラム・ツリーやカリキュラム・マップを、カリキュラム・ポリシーならび にディプロマ・ポリシー(学位授与方針)を反映するものに改善することが望まし い。 2)実習および卒業論文実習など実験を伴う教育の安全に必要な要員を確保すると共に、 専任教員の職階と年齢構成に見られるアンバランスを改善するために、若手教員の 増員を図ることが望ましい。 就実大学薬学部薬学科は、これら改善すべき点や助言を踏まえて、教育プログラムの改 善を図り、さらなる進展を目指した改善に邁進することを期待する。
大学への提言
就実大学 大学への提言1)助言 (1)カリキュラム・ツリーやカリキュラム・マップを、カリキュラム・ポリシーな らびにディプロマ・ポリシーとの関連が分かるように改善することが望ましい。 (2.カリキュラム編成) (2)シラバスにおける薬学教育モデル・コアカリキュラムの到達目標に関わる記述 に不適切であったり、基礎資料3との間で整合性を欠く科目が散見されるので、 それらを解消することが望ましい。(4.薬学専門教育の内容) (3)入学案内に記載しているアドミッション・ポリシーが、ホームページに公開さ れているものと異なっているので、統一を図ることが望ましい。(7.学生の 受入) (4)進級基準が、学年ごとに科目区分や選択必修科目単位の修得状況などを含めた 形で定められ、新たにGPAによる仮進級制度を導入したこともあって複雑に なっている。学生が進級の条件を誤認することがないよう、より単純で分かり やすい基準とすることが望ましい。(8.成績評価・進級・学士課程修了認定) (5)「卒業特別講義」のみの未修得で卒業できないという卒業認定の実態は、ディプ ロマ・ポリシーに基づく学士課程修了認定が行なわれていないことを意味してい るので、改善することが望まれる。(8.成績評価・進級・学士課程修了認定) (6)実習および卒業研究実習など、実験を伴う教育の安全を高め、専任教員の年齢 構成、職種構成が適正な状態に近づけるために、若手教員の増員を図ることが 望ましい。(9.学生の支援、10.教員組織・職員組織) (7)直近の研究活動が不足する教員が若干見出されるので、自己評価しているように 教員の研究活動を改善・活発化を図ることが望ましい。(10.教員組織・職員 組織) (8)薬学部独自に薬学教育研究の改善を目指す参加型のFD活動が行われていない ので、学部独自のFD活動に早急に取り組むことが望ましい。(10.教員組 織・職員組織)(9)卒業研究に学生が使用するスペースを十分に確保できるよう、研究室面積と学 生配分の適正化などに取り組むことが望ましい。(11.学習環境) 2)改善すべき点 (1)卒業要件単位の過半数を「選択必修科目」で充足する形になっており、薬学教 育モデル・コアカリキュラムの重要な到達目標を修得せず卒業している実態が あるので、主要科目を必修化することが必要である。(2.カリキュラム編成、 8.成績評価・進級・学士課程修了認定) (2)薬学共用試験ならびに薬剤師国家試験の合格を目指す教育にやや偏重している ので、該当する演習科目と卒業研究との時間配分などに関わるカリキュラムを是 正することが必要である。(2.カリキュラム編成) (3)ヒューマニズム教育・倫理教育における学習の目標達成度を評価するための指 標を設定し、それに基づいて適切に評価する必要がある。(3.医療人教育の基 本的内容) (4)薬学教育モデル・コアカリキュラムで態度に属する到達目標の一部が講義科目 のみに対応していること、モデル・コアカリキュラムA(2)医療行為に関わ る心構え5)、同A(2)自己学習・生涯学習2)や、モデル・コアカリキュラ ムの倫理に関わる到達目標が「医療倫理学」に対応していないこと、地域薬局 の役割の到達目標が「薬事関係法規」にしか対応していないことなど、モデル・ コアカリキュラムの到達目標と科目との対応に不適切なものがみられるので、 改訂することが必要である。(4.薬学専門教育の内容) (5)「実務実習事前学習」の単位認定に関わる成績評価に薬学共用試験の結果を加 味していることは不適切であるので、「実務実習事前学習」の成績評価方法を改 訂することが必要である。(5.実務実習) (6)事前学習全体についての目標達成度を評価するための指標を設定し、それに基 づいて適切に評価する必要がある。(5.実務実習) (7)「卒業論文実習」を行う期間として5年次と6年次前期を充てているが、国家試験準備教育の受講などで十分な時間が確保できているとは言えないので、「卒業 論文実習」を行う時間を増すことが必要である。(6.問題解決能力の醸成のた めの教育) (8)「卒業論文実習」の評価に関わる「卒業研究発表会」を研究室単位の事実上の 非公開で行うことや、指導教員からの評価報告提出期限が発表会以前に設定さ れている実態は不適切である。学部全体での発表会を開催して全教員の参加と 質疑を義務づけ、発表会での評価を「卒業論文実習」の評価の基本にするなど の改善を早急に行うことが必要である。(6.問題解決能力の醸成のための教 育) (9)「卒業論文実習」を含めた問題解決能力の醸成に向けた教育において、目標達成 度を評価するための指標を設定し、それに基づいて適切に評価することが必要 である。(6.問題解決能力の醸成のための教育) (10)個々の科目について、成績評価の方法と評価基準を明確かつ具体的にシラバス に記載することが必要である。(8.成績評価・進級・学士課程修了認定)
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| 第1期 |
2014年度 |
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3:但し書き 改善報告審議結果 2016/10/11 |
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| 昭和医科大学 | 私 | 東京都 | 第1期 | 2014年度 | 適 |
自己点検・評価書 基礎資料 正誤票 |
評価報告書
総評
昭和医科大学 総評昭和大学薬学部は、大学の教育理念と教育研究目的に基づく教育目標と、それを実現す るカリキュラム・ポリシー(教育課程の編成・実施方針)を定め、医学部などと連携した 独自科目を含むカリキュラムで6年制薬学教育を行っている。 ヒューマニズム、医療倫理、コミュニケーション教育では、対応科目を各学年で開講し、 医療人たる薬剤師に求められる倫理観、使命感、職業観を醸成する教育を実施している。ま た、薬学専門教育は、薬学教育モデル・コアカリキュラムに準拠しており、体験実習やPB L(Problem Based Learning)チュートリアル、附属病院や地域医療施設でのチーム医療学 習など、昭和大学の特色を活かした学部連携教育も行っていることは高く評価できる。 実務実習も基本的に実務実習モデル・コアカリキュラムに基づいており、病院実習に関 しては附属病院を活用した独自の項目も追加している。問題解決能力の醸成を目指す教育 では、卒業研究に対応する必修科目である「総合薬学研究」を4年次に置き、5、6年次 ではより高度な内容の科目を選択必修科目として積み上げる形になっている。問題解決能 力の醸成を目指す教育としては、それらに加えて、PBLチュートリアルやグループ演習 などによって問題解決に取り組む科目を全学年に配置している。 入学者選抜では、教育目的に即したアドミッション・ポリシー(入学者受入方針)を掲げ、学力試験の成績に面接と調査書の評価を加味した二段階選抜によって志願者の適性・ 能力をより適確に評価する努力をしている。学生の成績評価は、後に指摘する問題点はあ るが、基本的には適切に行われている。進級基準は独特で、原則として各学年で履修した 科目の試験と進級試験に合格することが要件になっており、進級できなければ当該年度に 履修した科目の単位が認定されない制度になっている。学士課程の修了認定は、ディプロ マ・ポリシー(学位授与方針)の達成を原則にしてはいるが、現実の卒業判定では、所定 の単位を修得して卒業試験に合格することを基準にしている。 学生への経済的、身体的、精神的なサポート体制は整っているが、障がいのある学生へ の対応や、教育環境における安全確保の面ではやや不十分な点がある。 附属病院薬剤部の薬剤師 34 名を病院薬剤学講座の所属としているため、専任教員数は設 置基準を大幅に上回る 108 名となっており、個々の教員の資格や教育研究業績なども基準 を満たしている。 教育研究に必要な施設、設備、図書などの学習環境は、基準を満たしており、社会との 連携に関しても、適切な対応と取り組みがなされている。また、自己点検・評価が、定期 的かつ十分に実施され、教育の改善に努めている。 以上のように、昭和大学薬学部の薬学教育プログラムは、全体として本機構の評価基準 におおむね適合しているが、以下の重要な問題点については、早急な改善が必要である。 1)卒業研究に相当する必修科目が4年次にしか置かれていないことには、6年制薬学 教育における卒業研究として、時期および期間共に不十分であるという問題がある。 2)成績評価と進級判定の厳正さを保つために、試験点数と成績評価段階との関係、進 級試験の受験資格基準、進級判定基準などを規程に明示する必要がある。 3)薬学共用試験のCBTを5年次への進級試験とし、不合格の場合には4年次履修科 目の単位を認定しない制度は不適切である。 4)卒業判定の基準が具体的に定められておらず、卒業判定の厳正さを損なうことが懸 念される。また、卒業試験が不合格の場合に、卒業試験の受験資格として合格が認 められ単位が取得できるはずであった6年次履修科目の単位を認定しないことには 合理的な根拠が認められず、不適切である。昭和大学薬学部には、本評価で指摘された問題点の改善に取り組み、医系総合大学の特 色を活かした薬学教育をさらに推進されるよう期待する。
大学への提言
昭和医科大学 大学への提言1)長所 (1)学部連携の病棟実習やPBLが複数年度にわたり実施されている。また、医系総合 大学である昭和大学の特徴を最大限に活用した優れたプログラムが進められ、医療 人に必要な態度教育で大きな成果を上げている。(3.医療人教育の基本的内容、 4.薬学専門教育の内容)2)助言 (1)教員の授業担当時間数に見られる大きな差を減じることが望ましい。(10.教員 組織・職員組織) (2)自己評価委員会には学外からの委員を招聘することが望まれる。(13.自己点検・ 評価) 3)改善すべき点 (1)6年次の教育は、「カリキュラム・ポリシー」とは異なり、国家試験準備を重視し たものとなっているので、「カリキュラム・ポリシー」に応じた内容の教育を充実 させることが必要である。(2.カリキュラム編成) (2)必修科目としての卒業研究は、4年次前期の「総合薬学研究」のみであり、「薬剤 師の視点から問題解決を図る能力を醸成する」という6年制薬学教育の目的に鑑み て、開講時期は早すぎ、実施期間も短い。期間を5年次の実務実習終了後まで延長 し、現行カリキュラムの「発展薬学研究」と合わせた形のものにすることも念頭に 置いて改善を図る必要がある。(6.問題解決能力の醸成のための教育) (3)問題解決能力醸成のための教育の目標達成度評価に関する指標を設定し、それに基 づいて適切に評価する必要がある。(6.問題解決能力の醸成のための教育) (4)成績評価の厳正さに疑義を生じることがないよう、定期試験などの点数と合格基準 および成績評価段階との関係を学則等で規定し、薬学部履修要項に明記する必要が ある。(8.成績評価・進級・学士課程修了認定) (5)第2、第3学年での進級試験の受験資格の判定において、進級判定の公正さに疑義 を生じることがないよう、再試験で少数の不合格科目があっても受験が許可される 場合の基準を明示する必要がある。(8.成績評価・進級・学士課程修了認定) (6)進級判定の公正さに疑義を生じることがないよう、再試験で少数の不合格科目を持 つ者に進級試験の受験が許可された場合に実施する、「再試験不合格科目の再評価」 および「再試験不合格科目の再評価と進級試験の結果によって実施する進級判定」 の方法と基準を明示する必要がある。(8.成績評価・進級・学士課程修了認定)(7)薬学共用試験(CBT)を5年次への進級試験とみなし、CBTの合格を、定期試 験に合格している4年次履修科目の単位認定の要件とすることは不適切であるの で改める必要がある。(8.成績評価・進級・学士課程修了認定) (8)卒業判定の厳正さに疑念を生じることがないよう、卒業判定に用いる判定資料およ び判定基準を明示する必要がある。(8.成績評価・進級・学士課程修了認定) (9)卒業試験の受験資格として科目試験の合格が認められている第6学年の履修科目の 単位を、卒業試験の不合格を理由に認定しないことには合理性がなく不適切である ので改める必要がある。(8.成績評価・進級・学士課程修了認定) (10)身体に障がいのある学生の受験、入学を許可する限り、施設のバリアフリー化をは じめ、その学生が安全かつ快適に学生生活を送るため施設・設備上の対応は不可欠 であり、また学修・生活上の支援体制の整備を十分に図る必要がある。(9.学生 の支援) (11)一部の実習室では出入り口が少ないので、緊急時への対応という観点から、複数の 出入り口や十分な通路面積を確保するなどの対策を講じる必要がある。(9.学生 の支援) (12)卒業研究が安全かつ効果的に実施できるだけの研究室のスペースを確保する必要が ある。(11.学習環境)
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2014年度 |
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3:但し書き 改善報告審議結果 2016/10/11 |
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| 岡山大学 | 国 | 岡山県 | 第1期 |
2013年度 |
適 |
自己点検・評価書 基礎資料 |
評価報告書
総評
岡山大学 総評岡山大学薬学部は、6年制の薬学科と4年制の創薬科学科の2学科を設置し、薬学部で は、「薬学に関する基礎及び応用の科学並びに技術を修得させること、薬学に関連する社会 的使命を正しく遂行し得る人材を養成すること、薬学に関し深く研究を遂行して社会の発 展に寄与すること」を教育研究上の目的としている。この目的の下、薬学科では、入学者 受入方針(アドミッション・ポリシー)、教育課程の編成・実施方針(カリキュラム・ポリ シー)および学位授与の方針(ディプロマ・ポリシー)を制定している。 これらを踏まえ、薬学科の教育課程は、教養教育・語学教育、薬学専門教育、実習およ び演習から構成されており、教養教育・語学教育は、主に、岡山大学の全学共通の多彩な プログラムの中で実施されている。一方、薬学専門教育は、基礎力およびリサーチマイン ドの醸成に重点が置かれ、特に、卒業研究の準備教育が始まる3年次後期から、6年次の 12 月まで、長期実務実習期間を除き、時間の許す限り卒業研究に充てられている。また、 医療人教育の基本的内容として開設し、2年次の特色ある科目である「人体解剖学」は、 学生のその後の医療教育の基礎となるヒューマニズムの科目として有効である。実務実習 では、事前学習と共用試験で参加学生の能力を保証した上で、岡山大学病院で病院実習を、 調整機構との連携に基づき大学の近隣の保険薬局で薬局実習を、いずれも実務実習コアカ リキュラムに沿った内容で実施している。 教員組織・職員組織については、専任教員数は大学設置基準を充足しており、専任教員 数に対する学生数比率も適切である。また、「薬学部教員活動評価調書」、同僚評価、FD (Faculty Development)フォーラム、新任・転入教員FD研修会、桃太郎フォーラム、教 育・研究業績の活動評価等、教員の教育研究能力の向上を図る努力が様々な形で行われて おり、学生・教員FD検討会が設置され、学生の意見も反映するように工夫されているこ とも評価できる。入学者選抜については、AO(アドミッション・オフィス)入試、前期、後期の3区分 に分けて実施し、全ての入試における学力の評価には、大学入試センター試験の成績を総 合得点に加えており、基礎的な学力を有する学生を選抜することが保証できている。その 上に立って、AO入試では面接と小論文を、前期では個別学力試験を、後期では小論文を 課しており、各々の入試で異なる資質を有する学生を募集する仕組みとなっている。また、 入学定員に対する入学者数は妥当な範囲にある。 そのほか、学習環境、社会貢献等も適切であり、恒常的な自己点検・評価が十分に機能 していると評価できる。 しかし、改善すべき点として、以下の点があげられる。 上記のように、薬学部の目的は設定されているが、学校教育法第 87 条に規定されている ように、6年制薬学教育では、臨床に係る実践的な能力を培うことを主たる目的として、 修業年限が延長されている。この法の趣旨に基づき、学科の教育研究上の目的を設定し、 薬学科のカリキュラム・ポリシーを「臨床に係る実践的能力を培うことを主たる目的とす る」学科であることがよくわかるものに改定する必要がある。また、シラバスにある倫理 関係の科目の内容は、倫理観の醸成に必要な知識の領域の内容が多いので、低学年から、 医療人としての倫理観・態度を涵養するヒューマニズム教育、医療コミュニケーション科 目の充実が必要である。さらに、ヒューマニズム教育・医療倫理教育、問題解決能力等に おける技能・態度の目標達成度を評価するための指標を設定し、それに基づいて適切に評 価することが必要である。 次に、主な助言として、以下の点があげられる。 学習方法については、シラバスの授業計画の中で確認できる科目もあるが、統一された フォーマットとなっていない。学習方法の項目を設定するなど、すべての科目について学 習方法が明示されるようにシラバスを改定することが望ましい。さらに、学生の受け入れ については、学科の教育研究上の目的を設定し、アドミッション・ポリシーを再度検討す ることが望ましい。 岡山大学薬学部薬学科は、多角的な教育研究体制を構築しており、教育・研究への熱心 な姿勢がうかがえる。今後は、学科の目的改定をはじめとする改善すべき点および助言を 踏まえ、6年制薬学教育に対して、より一層組織的に取り組み、さらなる発展を目指した 改革・改善に邁進することを期待する。
大学への提言
岡山大学 大学への提言1)長所 1)学生・教員FD検討会が設置され、学生の意見も反映するように工夫されていることは評価できる(10.教員組織・職員組織)。2)助言 1)学習方法については、シラバスの授業計画の中で確認できる科目もあるが、統一されたフォーマットとなっていない。学習方法の項目を設定するなど、すべての科目について学習方法が明示されるようにシラバスを改定することが望ましい(4.薬学専門教育の内容)。2)学科の教育目的を設定し、アドミッション・ポリシーをそれに基づいて再度検証することが望ましい(7.学生の受入)。3)改善すべき点1)6年制薬学科は、「臨床に係る実践的な能力を培うことを主たる目的とする」(学校教育法第 87 条第2項)ために修業年限が延長されている。同目的に沿った「学科の教育研究上の目的」を設定する必要がある(1.教育研究上の目的)。2)薬学科のカリキュラム・ポリシーを「臨床に係る実践的能力を培うことを主たる目的とする」学科であることがよくわかるものに改定する必要がある。(2.カリキュラム編成)。3)現在シラバスにある倫理関係の科目は、倫理観の醸成に必要な知識領域の内容が多いので、低学年から、医療人としての倫理観・態度を涵養するヒューマニズム教育、医療コミュニケーション教育の充実が必要である(3.医療人教育の基本的内容)。4)ヒューマニズム教育・医療倫理教育における技能・態度の目標達成度を評価するための指標を設定し、それに基づいて適切に評価することが必要である(3.医療人教育の基本的内容)。5)問題解決能力の醸成のための教育における能・態度の目標達成度を評価するための指標を設定し、それに基づいて適切に評価することが必要である(6.問題解決能力の醸成のための教育)。
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| - | - | - | - | 2013年度 |
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1:提言 改善報告審議結果 |
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3:但し書き 改善報告審議結果 2017/3/2 |
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| 福山大学 | 私 | 広島県 | 第1期 |
2013年度 |
適 |
自己点検・評価書 基礎資料 |
評価報告書
総評
福山大学 総評福山大学薬学部薬学科(以下「福山大学薬学部」という。)は、「理想とする医療ならび に薬剤師のあるべき姿を探求し続ける薬学のプロフェッショナルを輩出し、人類の健康と 福祉に貢献する」ことを教育目標としている。この目標に沿って、6年制薬学教育の入学 者受入方針(アドミッション・ポリシー)、教育課程の編成・実施方針(カリキュラム・ ポリシー)および学位授与の方針(ディプロマ・ポリシー)を制定している。 これらのポリシーに基づき、教養教育・専門基礎教育・専門科目・課題研究・演習で構 成される教育課程を実施している。教養教育については、総合大学である利点を生かし、 多様な科目が開講されており、語学力を養う教育も体系的に行われている。また、専門科 目については、教育目標に基づき、医療人教育に重点を置いたプログラム構成となってい る。特に、患者を含む医療チームで薬剤師としての役割を果たすために、2年次では、「コ ミュニケーション」で幼児や高齢者との積極的な関わり方を、高学年では「医療コミュニ ケーション」、「生命倫理」、「病棟での看護師医療体験」等の科目で、患者の心理や医療人 相互の信頼関係の構築について参加型・体験型の学習方法を取り入れ、体系的に学習する プログラムを実施していることは評価できる。実務実習については、事前学習と薬学共用 試験で参加学生の能力を保証した上で、調整機構との連携に基づき病院実習および大学の 近隣の保険薬局で薬局実習をいずれも実務実習コアカリキュラムに沿った内容で実施し ている。特に、実習期間中に実習先の地域別に、「地区別セミナー」を行い、実習終了後には、ワークショップを開催し「実務実習後学習」という授業科目によって実務実習の総 合的な学習成果を高めるようにしていることは、特徴的である。 そのほか、入学者選抜については、アドミッション・ポリシーに基づいて適切に行われ ており、学生の支援、学習環境についても適切である。特に、参加型・能動的学習を少人 数で行うための施設・設備は充実している。 しかし、以下のような問題点が見いだされる。 第1に、成績評価・進級・学士課程修了認定については、判定基準が規定され、学生便 覧等によって学生に周知されている。しかし、薬学部規則第8条第1項および第5項に基 づき、卒業研究に対応する「課題研究」の判定に学科試験を行い、その合否によって学士 課程の修了認定を行っている。また、不合格で卒業延期となった場合は、次年度に再履修 を行うことなく、学科試験の再試験の合格でその単位を認定するという制度は問題である。 さらに、これまで不認定になった者がいないとはいえ、薬学共用試験(OSCE)の合否 によって事前学習の単位修得を認定する制度は問題である。これらについては、早急に改 善すべきである。加えて、薬学共用試験に合格することを5年次への進級要件にしている ことを進級基準に規定して、学生に周知する必要がある。 第2に、薬学専門教育の内容については、卒業研究と実習科目を除く大部分の専門科目 が選択必修となっている。本評価の過程で、この点についての確認を行ったが、薬剤師養 成教育に必須の科目は、ほとんどの学生が受講しているという実績があった。しかし、こ うした科目は必修科目とすべきである。また、卒業研究に対応する「課題研究」の時間帯 に、国家試験受験準備の意味を持つ演習科目が開講されており、卒業研究の実質的時間が 減少している。これらについては改善する必要がある。 第3に、教員組織については、専任教員1人あたりの学生数が多く、その結果、教員の 授業担当時間数が多くなっているので、今後は、若手教員(講師・助教)の増員を図るな ど改善する必要がある。 最後に、自己点検・評価についてであるが、薬学教育プログラムのさらなる向上を図る ためには、教育研究活動を恒常的に自己点検・評価し、その結果を改善に活用することが 必要である。薬学部独自の自己評価委員会は設置されているが、機能していない。自己点 検・評価の過程で明らかになった問題点を教員全員で共有し、見いだされた問題点を改善 する方策を検討し、実現させる必要がある。 総合大学に設置された薬学部の強みやこれまで培われてきた薬学教育における実績を 生かしつつ、恒常的に教育プログラムを自己点検・評価し、上記の問題点の改善に向けて真摯に取り組むことによって、医療人としての倫理観、使命感、職業観をもった「薬学の プロフェッショナル」としての薬剤師を輩出する教育をさらに充実させることを期待する。
大学への提言
福山大学 大学への提言1)長所 1)2年次の「コミュニケーション」で幼児、高齢者と関わることでコミュニケーショ ンの手法と人間関係を学び、その上で専門科目の「医療コミュニケーション」を置 き、患者との適切な関わり方や言語・非言語的コミュニケーション理論などを修得 する目的のチュートリアル教育、ロールプレイを行っていることは、特徴ある教育 として評価できる。また、「コミュニケーション」での幼児・高齢者との交流は、3 年次の「生命倫理」における看護師業務体験とともに、体系的にチーム医療教育を学ぶ特徴的な取り組みとして評価できる(4.薬学専門教育の内容)。 2)実習先のそれぞれの地域別に、実務実習担当施設を担当する教員チームを編成し、 実習期間中に「地区別セミナー」を行っていること、実習終了後にワークショップ を開催し「実務実習後学習」という授業科目によって実務実習の総合的な学習成果 を高めるようにしていることは評価できる(5.実務実習)。 3)参加型、能動的学習を少人数で行うことを重視し、そのための施設・設備を十分に 確保していること、図書館以外にも自習室を十分に確保していることは評価できる (11.学習環境)。 2)助言 1)医療安全教育に関する科目の中核となる「医薬品開発Ⅱ」が選択必修科目であり、 関連科目数も少ないので、さらなる充実が望まれる(3.医療人教育の基本的内容)。 2)薬学教育モデル・コアカリキュラム以外で開講する大学独自の専門教育科目を明示 し、科目数を増やすことが望ましい(4.薬学専門教育の内容)。 3)「生命倫理」や「コミュニケーション」などの薬剤師養成教育に必要な科目を、全員 が履修するよう対応策を講ずることが望ましい(4.薬学専門教育の内容)。 4)6年間の入学定員に対する充足率が平均0.55と低いので、入学定員を充足すること が望まれる(7.学生の受入)。 5)身体に障がいのある学生を支援する施設・設備の整備は、一部の建物に限られてい るので、整備に努めることが望ましい(9.学生の支援)。 6)FD研修、FD講習会を企画・実施する「大学教育センター」が設置されているが、 薬学部独自のFD活動を行う体制が整備されていないので、改善が望ましい(10. 教員組織・職員組織)。 7)専任教員の年齢構成は60歳代(11名)および50歳代(12名)に偏っており、講師、 助教の数が少ないので、若手教員の採用に重点をおいた改善を行うことが望ましい (10.教員組織・職員組織)。 8)学術雑誌の購読数や図書の購入数が減少傾向にあり、電子ジャーナルの整備状況が 不十分であるので、今後の改善が望まれる(11.学習環境)。 9)英文ホームページを作成することが望ましい(12.社会との連携)。 10)薬学部として積極的な国際交流は行われていないので、活性化に努めることが望ま しい(12.社会との連携)。3)改善すべき点 1)専門科目における「総合薬学演習Ⅰ」(3年次)、「総合薬学演習Ⅱ」、「総合薬学演習 Ⅲ」(4年次)に加え、国家試験合格のみを目的としないとはいえ6年次に「特講」 6科目を開講し、薬学共用試験や薬剤師国家試験のための学力補強を目的とする教 育に多くの科目を割り当てている。そのうえ、卒業研究に相当する「課題研究」の 評価に国家試験と同じ形式で行われる学科試験を採用しているなど、薬剤師国家試 験の合格のみを目指した教育に過度に偏っているので、是正する必要がある(2. カリキュラム編成)。 2)ヒューマニズム教育・医療倫理教育およびコミュニケーション能力・自己表現能力 を身につける教育等の目標達成度を評価するための指標を設定し、それに基づいて 適切に評価する必要がある(3.医療人教育の基本的内容)。 3)実習科目と「課題研究」以外の薬学専門科目(薬理学、薬物治療学、薬物動態学等) がすべて選択必修科目となっている。6年制薬学教育の趣旨に鑑み、薬剤師養成教 育に必須となる項目(到達目標)は必修科目に変更する必要がある(4.薬学専門 教育の内容)。 4)実務実習事前学習の目標達成度を評価するための指標を設定し、それに基づいて適 切に評価する必要がある(5.実務実習)。 5)卒業研究に相当する「課題研究」の単位修得の認定に学科試験の合格を条件とする ことは適切ではない。「研究課題を通して、新しい発見に挑み、科学的根拠に基づい て問題点を解決する能力を獲得するための卒業研究」として、「課題研究」は演習と は別の科目とする必要がある(6.問題解決能力の醸成のための教育)。 6)教員の指導の下で約1年間の研究に取り組むなど、「課題研究」には十分な時間を確 保するとともに、例えば6年次9月末など、卒業判定の評価対象とできるよう卒業 論文の提出時期を改める必要がある(6.問題解決能力の醸成のための教育)。 7)現行のシラバスには「課題研究」の詳細な説明が記載されていないので改善が必要 である(6.問題解決能力の醸成のための教育)。 8)問題解決能力の醸成に向けた教育において目標達成度を評価するための指標を設定 し、それに基づいて適切に評価する必要がある(6.問題解決能力の醸成のための 教育)。 9)卒業研究や卒業研究発表会の評価基準を明確にし、それに基づいて問題解決能力の 向上を適切に評価する必要がある(6.問題解決能力の醸成のための教育)。10)「課題研究」に関する薬学部規則第8条第1項および第5項、さらにディプロマ・ ポリシーを早急に改定する必要がある(8.成績評価・進級・学士課程修了認定)。 11)6年次の必修科目である「課題研究」で学科試験を行い、その合否によって学士課 程の修了認定を行い、卒業延期となった場合は、次年度に再履修を行うことなく、 学科試験の再試験の合格でその単位を認定するという運用は、学士課程修了の認定 が厳格に行われているとはいえないので、改善を要する(8.成績評価・進級・学 士課程修了認定)。 12)これまで不認定になった者がいないとはいえ、薬学共用試験(OSCE)の合否に よって事前学習の単位修得を認定する制度は問題であるので、事前学習の単位認定 はOSCEの結果と独立して行うように制度を早急に変更することが必要である (8.成績評価・進級・学士課程修了認定)。 13)留年生に対して5科目まで上級年次科目の履修を認めている薬学部の運用は明文化 されていない。学生便覧に記載されている進級・卒業に必要な年次別累積単位数の 備考欄にある「上級年次配当科目は履修できない」という規則との整合性を検討し、 取り扱いを明確にしておくことが必要である(8.成績評価・進級・学士課程修了 認定)。 14)教員1名あたりの学生数が23.7名と多く、教員の担当授業時間数も90分授業平均週 8回と多く、また各教員間の講義担当時間にも2倍の差が認められる。現状を改善 するため専任教員の増員が必要である(10.教員組織・職員組織)。 15)薬学部の自己点検・評価が十分に機能していないので、改善する必要がある。恒常 的に教育プログラムを点検・評価し、その結果を教育研究活動の改善に反映する必 要がある(13.自己点検・評価)。
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1:提言 改善報告審議結果 |
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3:但し書き 改善報告審議結果 2014/12/1 |
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| 日本薬科大学 | 私 |
埼玉県 東京都 |
第1期 |
2013年度 |
継 |
自己点検・評価書 基礎資料 |
評価報告書
総評
日本薬科大学 総評日本薬科大学は、『個性の伸展による人生練磨』を建学の精神とし、薬剤師養成教育に 特化した4つの教育目的、すなわち、1)創造的医療人、2)時代の変化に適応できる医 療人、3)惻隠の心をもつ医療人、4)統合医療を実践できる医療人の育成を掲げ、それ らに基づき、学位授与の方針(ディプロマ・ポリシー)とその達成に向けた入学者受入方 針(アドミッション・ポリシー)と教育課程の編成・実施方針(カリキュラム・ポリシー) を定めて6年制薬学教育を行っている。 しかしながら、本機構の評価基準に基づいて教育プログラムの内容を評価すると、改善 を必要とするいくつもの重大な問題が見出される。すなわち、「卒業研究」、「学士課程 修了認定」に関わる問題としては、①「薬学総合演習Ⅱ」など国家試験準備を目的とする 授業時間を増やして「卒業研究」の実質的な時間を減らしていること、②卒業の可否をほ ぼ「薬学総合演習Ⅱ」の試験結果だけで判定し、この科目のみの単位未修得による多くの 卒業延期者を出していることなどがあり、それらの根底には薬剤師国家試験合格を目指す、 記憶中心の知識を重視した教育に偏重しているという問題がある。また、入学後から様々 な学力補強教育を行っているにもかかわらず、2年次までの退学者が 50 名を超え、6年 間の在籍で卒業する学生の割合(卒業率)が 50%に満たないという状況を生じていた。 2012(平成 24)年度以後、低学年での退学者数は改善される方向に向かってはいるもの の、上記の状況は入学者の選抜において入学志願者の適性および能力が適確かつ客観的に 評価されず、薬学教育に必要な学力を欠く学生を少なからず入学させていたという「学生 の受入」に関わる問題があることを示している。さらに、「教員組織」についても、①10 名以上の教授が規定の定年を過ぎている一方、②若い教員(特に助教、助手)の人数が少 ないという問題点がある。 以上の具体的に指摘できる問題点に加えて、「薬学専門教育の内容」とシラバスの記載 の対応に関する十分な検討がなく、その状況に対する自己点検・評価も不十分であったことで、薬学専門教育の薬学教育モデル・コアカリキュラムへの準拠に関わる説明が評価の 過程で変遷した。これは、日本薬科大学が薬学専門教育の内容、シラバスの内容、薬学教 育モデル・コアカリキュラムの相互関係を把握することの重要性を十分に理解していなか ったことを意味するものである。また、「専任教員の教育研究業績」に対する自己点検・ 評価が学部として包括的な形で行われていたことは、個々の専任教員の適格性評価に関わ る自己点検・評価の姿勢に問題があることを示している。 今回の評価で「改善すべき点」として指摘した諸問題を全教員で共有して、その重要性 を認識する必要がある。そして、全学を挙げて問題の改善に取り組み、それらを解消し、 優れた学習環境を生かして、6年制薬学教育に貢献することを期待している。
大学への提言
日本薬科大学 大学への提言1)助言
1)学部教授会が主体となり、教育研究上の目的ならびに薬学教育プログラムの向上に資 する自己点検・評価委員会を再構築し、薬学教育プログラムを定期的に検証すること が望まれる(1.教育研究上の目的)。 2)薬学科の完成年度までは、入学時に適用されるカリキュラムに対応した上級学年の教 育概要がわかる適当な資料を配布することが望ましい(2.カリキュラム編成)。 3)自然科学系の必修科目を除いた実質的な教養科目は人文系2科目、社会系3科目しか なく、科目数が著しく不足しているので、教養教育の人文科学、社会科学の科目数を 増やし選択の幅を広げることが望ましい(3.医療人教育の基本的内容)。 4)語学教育については、「読む」、「書く」の英語教育が中核となり、「聞く」、「話す」の英語教育は各1科目にしかなく、「聞く」、「話す」の教育内容を充実させ、「読む」「書 く」とのバランスを改善することが望ましい(3.医療人教育の基本的内容)。 5)「医療人教育の基本的内容」の対象科目の根拠としている表 3-1-1-1 では重複して収 載されている改組前後の科目数を単純に合計しており、実質的には卒業要件の 1/5 を越えることにはならない。これらの科目数を増すとともに、その内容もニーズにあ ったものへの変更を行い、内容の充実を図ることが望ましい(3.医療人教育の基本 的内容)。 6)日本薬科大学の教育研究目的に基づく、薬学教育モデル・コアカリキュラム以外の内 容を持った、独自の科目によるアドバンスト教育を行う体制を整えることが望ましい (4.薬学専門教育の内容)。 7)改組に伴うカリキュラムの変更で、旧課程で入学した留年生等が未修得科目の履修で 不利益を蒙らないよう、科目の読み替え制度を整備し、該当する学生に説明すること が望ましい(8.成績評価・進級・学士課程修了認定)。 2)改善すべき点 1)6年次の週日の午前中を使って行われる長時間の「薬学総合演習Ⅱ」、「卒業研究」の 一部として5年次の午前に組み込まれている演習プログラム(E2)によって「卒業 研究」の時間が不足している。この状況を改善するため、「薬学総合演習Ⅱ」と「卒 業研究(E2)」を整理してそれらに充てている時間数を抑制すること、正規の授業 科目と国家試験準備補習とを時間割表記でも明確に区別すること、「薬学総合演習」 の内容と評価基準をシラバスに明示すること、ならびに本来の「卒業研究」であるE 1の実質時間を延長する等、薬剤師国家試験の合格を目指す教育への偏重を是正する ことが必要である(2.カリキュラム編成)。 2)ヒューマニズム教育および医療倫理教育の一部(「ヒューマニズムⅡ」「医療倫理学」 「コミュニケーション学」)が、講義のみの授業と定期試験による評価となっており、 医療人として患者や医療提供者の立場を理解し信頼関係を構築する教育に必要な学 習方法となっていない。さらに、本機構が求める「目標達成度を評価するための指標 が設定され、それに基づいて適切に評価されていること」にも適合していない。これ らの科目については、学習方法の変更とそれに見合った評価方法の改善が必要である (3.医療人教育の基本的内容)。 3)相手の立場や意見を尊重した上で、自分の考えや意見を適切に表現するための基本的知識、技能および態度を修得する教育として列挙されている一連の科目群には、内容 の連続性がないので、改善する必要がある。さらに、それらについては、本機構の基 準である「目標達成度を評価するための指標が設定され、それに基づいて適切に評価 されていること」を実現する評価指標の設定とそれに基づく適切な評価の実施が必要 である(3.医療人教育の基本的内容)。 4)教育内容を学生に提示する基本文書であるシラバスの記載内容が、一部の科目で実際 の教育内容と異なっていることを自覚しながら改善できていないことや、薬学教育モ デル・コアカリキュラムへの準拠に関する教育内容の説明が評価の過程で変遷したこ とは、薬学教育モデル・コアカリキュラムやシラバスの意義を重視せず、学部の全教 員による取り組みが不足していたことを示している。6年制薬学教育を行う薬学部に 求められる基本的な義務であり改善が必要である(4.薬学専門教育の内容)。 5)事前学習の評価に関する指針において、個々の教育項目の内容を考慮せずに全項目の 評価を、知識:技能:態度=3:3:4の比率で行うよう指示していることは適切で ない。また、この指針には、態度の指標に服装を指定するなど、評価指標や評価の基 準に必ずしも適切とはいえないものが含まれている。事前学習の評価指針を、個々の 学習項目の教育内容と評価領域(知識、技能、態度)との対応を考慮し、それぞれの 項目に対して適切な評価指標と評価基準を示した内容のものに改善することが必要 である(5.実務実習)。 6)薬学共用試験の受験者数を、自己点検・評価書に記載することが必要である(5.実 務実習)。 7)「卒業研究」を「研究課題を通して、新しい発見に挑み、科学的根拠に基づいて問題 点を解決する能力を修得する」ことができる内容のものとするため、研究室において 教員の指導を受けて研究課題に取り組む実質的な期間を少なくとも1年間は保証で きるよう、5、6年次における卒業研究と国家試験準備教育の時間配分を調整し、改 善する必要がある(6.問題解決能力の醸成のための教育)。 8)「卒業研究」の具体的な内容(薬学教育における卒業研究の意義、研究の一般的な進 め方などの説明と評価方法と基準の説明)をシラバスに明記することが必要である (6.問題解決能力の醸成のための教育)。 9)卒業論文の一部が連名で作成されており、これらを個人ごとにする必要がある(6. 問題解決能力の醸成のための教育)。 10)「薬学総合実習(PBL)」以外で「問題解決能力の醸成に向けた教育」としている科目には内容上の系統性が見られず、授業の一部にPBLやSGDという学習方法を実 施している科目を集めたに過ぎない。さらに、それらの科目では、評価基準が求めて いる「目標達成度を評価するための指標の設定やそれに基づく適切な評価」がなされ ているとはいえない。これらの問題点を改善するため、問題解決能力の醸成を系統的 に行うことを目的とする科目を整備して教育の充実を図ることが必要である(6.問 題解決能力の醸成のための教育)。 11)徹底した学力補強教育に努めているにも関わらず、卒業率が 50%に届かず、低学年 での退学者が 50 名を超えている現状は、補強教育によっても薬学を学ぶために必要 な学力に到達させることができない学生を多数入学させていることに原因があると いわざるを得ない。これは、現行の「入学者選考委員会」が合格者を決定する制度で は、「入学志願者の適性および能力が適確かつ客観的に評価されていること」が実現 できていないことを意味する。この状況を改善するため、教育に携わる責任ある薬学 部教員の判断によって合格者の原案を決定するような入学者選抜制度とするなど、入 学志願者の適性および能力を適確かつ客観的に評価する体制への抜本的な改善が必 要である(7.学生の受入)。 12)受験生からの求めがあれば、当該者の入学試験成績を開示する制度を設けることが必 要である(7.学生の受入)。 13)選抜方法別に学生の退学率・進級率等を継続的に検証して評価する体制を構築し、一 層の改善を実現する必要がある(7.学生の受入)。 14)4年次および6年次に行われている「薬学総合演習」と「卒業研究」など一部の重要 な科目で、評価方法と基準がシラバスに示されていない。これらの科目は5年次への 進級や卒業の判断に重要な意味を持つことから、評価基準をシラバスに明示するよう 改善することが必要である(8.成績評価・進級・学士課程修了認定)。 15)訪問調査における試験問題の閲覧において、毎年ほぼ同一の問題が出題されていた科 目、定期試験と追再試験が同一問題で行われていた科目、再試験における点数の操作 などが見出されたので、試験問題の作成や試験の採点における公正で厳格な態度の重 要性を全教員に徹底することが必要である(8.成績評価・進級・学士課程修了認定)。 16)「薬学総合演習Ⅱ」のみの単位が未修得で在籍者の約 25%の卒業延期者を出している ことから、適切に設定された基準に基づく学士課程修了認定が行われているとはいえ ない。薬学教育モデル・コアカリキュラムに準拠した薬学専門科目を修得し、「卒業 研究」と「実務実習」を修了している学生の多数が、「薬学総合演習Ⅱ」の試験で不合格になり、卒業できないという事態を生じることがないよう、全教員で学力評価の 実態を点検し、根本的な改善を早急に行うことが必要である(8.成績評価・進級・ 学士課程修了認定)。 17)専任教員の年令構成が高齢に偏っており、若手の教員(特に助教)が著しく少ない。 この状態を解消するため、定年を過ぎた専任教員の後任人事を進め、若い教員を積極 的に採用することによって、専任教員の職位別比率および年齢構成の適正化を図るこ とが必要である(10.教員組織・職員組織)。 18)基礎資料 15 を縦覧すると、過去5年間において、日本薬科大学の基準(専門領域の 学会誌に年間1報以上掲載)に達していない教員が見いだされるため、改善が必要で ある(10.教員組織・職員組織)。 19)個々の教員に関する自己点検を行っておらず、教員が教育目標を達成するための基礎 となる研究活動を行っていることが確認されていない。また教員名簿には専門分野の 記載がない教員が教授(非常勤)を含めて 12 名掲載されている(「さいたまキャンパ ス教員名簿」)。薬学教育を主たる担当とする専任教員として必要とされる教育研究能 力を有する者が配置されていることは、教育における質保証の基本に関わる重要事項 である。これを実現するため、恒常的な自己点検・評価による、専任教員の教育研究 能力に対する客観的な検証と保証を早急に実行し、適格な教員を配置することが必要 である(10.教員組織・職員組織)。 20)大学の規定による定年である 65 歳を超えた専任教員が 10 名以上も在籍しており、改 善が必要である(10.教員組織・職員組織)。 21)自己点検・評価委員会の充実を図り、教育に係る諸項目を恒常的に点検・評価してそ の結果を薬学教育の改善に活用できる体制を早急に確立することが必要である。その 際には、一部の教員で報告書の作成を行うのではなく、学部執行部以外の教員を含め て自己点検・評価を行い、その過程で明らかになった問題点を全教員で共有する体制 を構築し、見いだされた問題点を改善する方策を考え、教育研究活動の改善に反映す ることが必要である(13.自己点検・評価)。 |
異議申立に対する回答書 |
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適 |
再評価改善報告書 |
再評価報告書
総評
日本薬科大学 総評日本薬科大学薬学部薬学科は、『個性の伸展による人生練磨』を建学の精神に掲げ、学則において「広く知識を授けるとともに、深く薬学に関する学理と技術を教授研究し、豊かな人間性と確かな倫理観を兼ね備えた有能かつ創造的人材を育成することを目的としている。このことにより、薬学の深化、文化の向上、人類の福祉、地域社会の振興に貢献することを使命としている。」と定め、薬学科の教育研究上の目的に当たる教育目標を「創造的医療人、時代と地域社会に適応できる医療人、惻隠の心をもつ医療人、統合医療を実践できる医療人の育成を目標とする。」とし、これらに基づき、2013(平成25)年当時から学位授与の方針(ディプロマ・ポリシー)とその達成に向けた入学者受入方針(アドミッション・ポリシー)と教育課程の編成・実施方針(カリキュラム・ポリシー) を定めて
6年制薬学教育を行っているが、2013(平成25)年度の本評価時には「薬学専門教育の内容」、「問題解決能力の醸成のための教育」、「学生の受入」、「成績評価・進級・学士 課程修了認定」、「教員組織・職員組織」、「自己点検・評価」の6中項目が本機構の定める評価基準に達しておらず、評価継続となった。今回、「再評価改善報告書」に基づい て上記6中項目に関して再評価を行った。日本薬科大学薬学部薬学科では、本評価で指摘された諸問題を全教員で共有し改善に臨むために、教員連絡会を中心にFD研修会(FD:Faculty Development)を実施するなどの努力を行っている。「薬学専門教育の内容」に関しては、改定モデル・コアカリキュラムに準拠した教育内容にするべく改善を図り、シラバス等の改善にも努めた。「問題解決能力の醸成のための教育」に関しては、卒業研究に関して4年次から「卒業研究準備」の時間を設けるなどして、その充実を図った。「学生の受入」に関しては、薬学部教授会が入学者選考に、より関与する体制とし、指定校推薦の募集人員の削減、評定平均値を上げるなど具体的改善を試みている。また、教学IR委員会(IR:Institutional Research)を設置し、退学率、進学率などを集計し、年度ごとに比較検討すること等も行っているが、それら改善策の効果は即効的ではなく十分ではない。「成績評価・進級・学士課程修了認定」に関しては、成績評価方法、成績基準などをシラバスに明記し、科目ごとの成績ヒストグラムを全教員で共有するようにした。また、実質的な卒業試験につながると考えられた「薬学総合演習Ⅱ」の授業方法および成績評価方法(試験制度)を変更するなどの改善努力を行っている。しかし、入試制度の改善努力の効果が6年次の卒業試験結果に表れるまでには至っておらず、6年間で卒業する学生の割合の改善は不十分である。 「教員組織・職員組織」に関しては、若い教員の採用に努めており、教員の平均年齢は本評価時よりは低くなってきている。「自己点検・評価」に関しては、改善を要する事項を全学で共有すべき連絡会を設置し、FD研修会、教員の業績に関する自己申告を実施するなど全教員で改善に努めている。以上のように、日本薬科大学薬学部薬学科は、本評価において指摘された多くの問題点に対して真摯に向き合い、全学で改善に取り組んでおり、本評価における評価結果と併せて、本機構の定める「薬学教育 評価基準」におおむね適合水準に達していると判断できる。 しかし、以下のような更なる改善を必要とする問題点がある。(1)「薬学演習ⅢA、B」における正規時間内での外部補講(予備校の関与)について改善する必要がある。(2)卒業研究期間の正規時間内にシラバスに記載されていない長期にわたる組織的・継続的な補講、演習を実施しないよう改善する必要がある。(3) 入学者の基礎学力を担保できるように、入試制度の改善が必要である。(4)「薬学総合演習Ⅱ」の未修得のみによる卒業延期率については、十分な改善が窺えないので、各学年において進級基準に従って公正かつ厳格な判定を行うなど、教員の意識改革を含めた根本的な改善を早急に行うことが必要である。日本薬科大学薬学部薬学科には、本評価および再評価で指摘された改善すべき点、助言を踏まえ、指摘事項の改善に取り組み、薬学教育の更なる向上に努めることを期待する。
大学への提言
日本薬科大学 大学への提言1)助言
1. カリキュラムマップとシラバスの記載内容の整合性を精査することが望まれる。(4. 薬学専門教育の内容) 2. 「Syllabus 授業計画」の冊子は、学年ごとではなく冊子を通しての全目次を記載する など、学生の利便性を考慮したさらなる改善が望まれる。(4.薬学専門教育の内容) 3. 研究のもつ独特の意義、すなわち、自立性と独創性、客観的にとらえる観察眼、論理 的思考などがシラバスの到達目標に含まれることが望ましい。(6.問題解決能力の醸 成のための教育) 2)改善すべき点 1. 「薬学演習ⅢA、B」(3年次)における正規時間内での外部補講(予備校の関与)に ついて改善する必要がある。(4.薬学専門教育の内容) 2. 実質的に十分な研究活動ができるように、卒業研究の時間を更に確保するよう改善する 必要がある。(6.問題解決能力の醸成のための教育) 21 3. 卒業研究期間の正規時間内に、シラバスに記載されていない長期にわたる組織的・継続 的な補講、演習を実施しないよう改善する必要がある。(6.問題解決能力の醸成のた めの教育) 4. 問題解決能力醸成のための教育において、総合的目標達成度を評価するための指標を設 定し、それに基づいて適切に評価する必要がある。(6.問題解決能力の醸成のための 教育) 5. 入学者の基礎学力を担保できるように、入試制度の改善が必要である。(7.学生の 受入) 6. 「薬学総合演習Ⅱ」の未修得のみによる卒業延期率については、十分な改善が窺えない ので、各学年において進級基準に従って公正かつ厳格な判定を行うなど、教員の意識改 革を含めた根本的な改善を早急に行うことが必要である。(8.成績評価・進級・学士 課程修了認定) 7. 卒業延期者に単位未修得科目の再履修を義務付け、正規の試験に合格して卒業させる ように改善すべきである。(8.成績評価・進級・学士課程修了認定) 8. 教員の年齢構成の偏りは改善されていないので、人事制度の改善をする必要がある。(1 0.教員組織・職員組織) 9. PDCAサイクルによる一連の行動(改善)は、点検項目を定め、毎年チェックして更 なる改善を行うことが必要である。(13.自己点検・評価) |
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1:提言 改善報告審議結果 |
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| 岡山大学 | 国 | 岡山県 | 第1期 | 2013年度 | 適 |
自己点検・評価書 基礎資料 |
評価報告書
総評
岡山大学 総評岡山大学薬学部は、6年制の薬学科と4年制の創薬科学科の2学科を設置し、薬学部で は、「薬学に関する基礎及び応用の科学並びに技術を修得させること、薬学に関連する社会 的使命を正しく遂行し得る人材を養成すること、薬学に関し深く研究を遂行して社会の発 展に寄与すること」を教育研究上の目的としている。この目的の下、薬学科では、入学者 受入方針(アドミッション・ポリシー)、教育課程の編成・実施方針(カリキュラム・ポリ シー)および学位授与の方針(ディプロマ・ポリシー)を制定している。 これらを踏まえ、薬学科の教育課程は、教養教育・語学教育、薬学専門教育、実習およ び演習から構成されており、教養教育・語学教育は、主に、岡山大学の全学共通の多彩な プログラムの中で実施されている。一方、薬学専門教育は、基礎力およびリサーチマイン ドの醸成に重点が置かれ、特に、卒業研究の準備教育が始まる3年次後期から、6年次の 12 月まで、長期実務実習期間を除き、時間の許す限り卒業研究に充てられている。また、 医療人教育の基本的内容として開設し、2年次の特色ある科目である「人体解剖学」は、 学生のその後の医療教育の基礎となるヒューマニズムの科目として有効である。実務実習 では、事前学習と共用試験で参加学生の能力を保証した上で、岡山大学病院で病院実習を、 調整機構との連携に基づき大学の近隣の保険薬局で薬局実習を、いずれも実務実習コアカ リキュラムに沿った内容で実施している。 教員組織・職員組織については、専任教員数は大学設置基準を充足しており、専任教員 数に対する学生数比率も適切である。また、「薬学部教員活動評価調書」、同僚評価、FD (Faculty Development)フォーラム、新任・転入教員FD研修会、桃太郎フォーラム、教 育・研究業績の活動評価等、教員の教育研究能力の向上を図る努力が様々な形で行われて おり、学生・教員FD検討会が設置され、学生の意見も反映するように工夫されているこ とも評価できる。入学者選抜については、AO(アドミッション・オフィス)入試、前期、後期の3区分 に分けて実施し、全ての入試における学力の評価には、大学入試センター試験の成績を総 合得点に加えており、基礎的な学力を有する学生を選抜することが保証できている。その 上に立って、AO入試では面接と小論文を、前期では個別学力試験を、後期では小論文を 課しており、各々の入試で異なる資質を有する学生を募集する仕組みとなっている。また、 入学定員に対する入学者数は妥当な範囲にある。 そのほか、学習環境、社会貢献等も適切であり、恒常的な自己点検・評価が十分に機能 していると評価できる。 しかし、改善すべき点として、以下の点があげられる。 上記のように、薬学部の目的は設定されているが、学校教育法第 87 条に規定されている ように、6年制薬学教育では、臨床に係る実践的な能力を培うことを主たる目的として、 修業年限が延長されている。この法の趣旨に基づき、学科の教育研究上の目的を設定し、 薬学科のカリキュラム・ポリシーを「臨床に係る実践的能力を培うことを主たる目的とす る」学科であることがよくわかるものに改定する必要がある。また、シラバスにある倫理 関係の科目の内容は、倫理観の醸成に必要な知識の領域の内容が多いので、低学年から、 医療人としての倫理観・態度を涵養するヒューマニズム教育、医療コミュニケーション科 目の充実が必要である。さらに、ヒューマニズム教育・医療倫理教育、問題解決能力等に おける技能・態度の目標達成度を評価するための指標を設定し、それに基づいて適切に評 価することが必要である。 次に、主な助言として、以下の点があげられる。 学習方法については、シラバスの授業計画の中で確認できる科目もあるが、統一された フォーマットとなっていない。学習方法の項目を設定するなど、すべての科目について学 習方法が明示されるようにシラバスを改定することが望ましい。さらに、学生の受け入れ については、学科の教育研究上の目的を設定し、アドミッション・ポリシーを再度検討す ることが望ましい。 岡山大学薬学部薬学科は、多角的な教育研究体制を構築しており、教育・研究への熱心 な姿勢がうかがえる。今後は、学科の目的改定をはじめとする改善すべき点および助言を 踏まえ、6年制薬学教育に対して、より一層組織的に取り組み、さらなる発展を目指した 改革・改善に邁進することを期待する。
大学への提言
岡山大学 大学への提言1)長所 1)学生・教員FD検討会が設置され、学生の意見も反映するように工夫されていることは評価できる(10.教員組織・職員組織)。2)助言 1)学習方法については、シラバスの授業計画の中で確認できる科目もあるが、統一されたフォーマットとなっていない。学習方法の項目を設定するなど、すべての科目について学習方法が明示されるようにシラバスを改定することが望ましい(4.薬学専門教育の内容)。2)学科の教育目的を設定し、アドミッション・ポリシーをそれに基づいて再度検証することが望ましい(7.学生の受入)。3)改善すべき点1)6年制薬学科は、「臨床に係る実践的な能力を培うことを主たる目的とする」(学校教育法第 87 条第2項)ために修業年限が延長されている。同目的に沿った「学科の教育研究上の目的」を設定する必要がある(1.教育研究上の目的)。2)薬学科のカリキュラム・ポリシーを「臨床に係る実践的能力を培うことを主たる目的とする」学科であることがよくわかるものに改定する必要がある。(2.カリキュラム編成)。3)現在シラバスにある倫理関係の科目は、倫理観の醸成に必要な知識領域の内容が多いので、低学年から、医療人としての倫理観・態度を涵養するヒューマニズム教育、医療コミュニケーション教育の充実が必要である(3.医療人教育の基本的内容)。4)ヒューマニズム教育・医療倫理教育における技能・態度の目標達成度を評価するための指標を設定し、それに基づいて適切に評価することが必要である(3.医療人教育の基本的内容)。5)問題解決能力の醸成のための教育における能・態度の目標達成度を評価するための指標を設定し、それに基づいて適切に評価することが必要である(6.問題解決能力の醸成のための教育)。
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| 第1期 |
2013年度 |
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3:但し書き 改善報告審議結果 2017/3/2 |
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| 福山大学 | 私 | 広島県 | 第1期 | 2013年度 | 適 |
自己点検・評価書 基礎資料 |
評価報告書
総評
福山大学 総評福山大学薬学部薬学科(以下「福山大学薬学部」という。)は、「理想とする医療ならび に薬剤師のあるべき姿を探求し続ける薬学のプロフェッショナルを輩出し、人類の健康と 福祉に貢献する」ことを教育目標としている。この目標に沿って、6年制薬学教育の入学 者受入方針(アドミッション・ポリシー)、教育課程の編成・実施方針(カリキュラム・ ポリシー)および学位授与の方針(ディプロマ・ポリシー)を制定している。 これらのポリシーに基づき、教養教育・専門基礎教育・専門科目・課題研究・演習で構 成される教育課程を実施している。教養教育については、総合大学である利点を生かし、 多様な科目が開講されており、語学力を養う教育も体系的に行われている。また、専門科 目については、教育目標に基づき、医療人教育に重点を置いたプログラム構成となってい る。特に、患者を含む医療チームで薬剤師としての役割を果たすために、2年次では、「コ ミュニケーション」で幼児や高齢者との積極的な関わり方を、高学年では「医療コミュニ ケーション」、「生命倫理」、「病棟での看護師医療体験」等の科目で、患者の心理や医療人 相互の信頼関係の構築について参加型・体験型の学習方法を取り入れ、体系的に学習する プログラムを実施していることは評価できる。実務実習については、事前学習と薬学共用 試験で参加学生の能力を保証した上で、調整機構との連携に基づき病院実習および大学の 近隣の保険薬局で薬局実習をいずれも実務実習コアカリキュラムに沿った内容で実施し ている。特に、実習期間中に実習先の地域別に、「地区別セミナー」を行い、実習終了後には、ワークショップを開催し「実務実習後学習」という授業科目によって実務実習の総 合的な学習成果を高めるようにしていることは、特徴的である。 そのほか、入学者選抜については、アドミッション・ポリシーに基づいて適切に行われ ており、学生の支援、学習環境についても適切である。特に、参加型・能動的学習を少人 数で行うための施設・設備は充実している。 しかし、以下のような問題点が見いだされる。 第1に、成績評価・進級・学士課程修了認定については、判定基準が規定され、学生便 覧等によって学生に周知されている。しかし、薬学部規則第8条第1項および第5項に基 づき、卒業研究に対応する「課題研究」の判定に学科試験を行い、その合否によって学士 課程の修了認定を行っている。また、不合格で卒業延期となった場合は、次年度に再履修 を行うことなく、学科試験の再試験の合格でその単位を認定するという制度は問題である。 さらに、これまで不認定になった者がいないとはいえ、薬学共用試験(OSCE)の合否 によって事前学習の単位修得を認定する制度は問題である。これらについては、早急に改 善すべきである。加えて、薬学共用試験に合格することを5年次への進級要件にしている ことを進級基準に規定して、学生に周知する必要がある。 第2に、薬学専門教育の内容については、卒業研究と実習科目を除く大部分の専門科目 が選択必修となっている。本評価の過程で、この点についての確認を行ったが、薬剤師養 成教育に必須の科目は、ほとんどの学生が受講しているという実績があった。しかし、こ うした科目は必修科目とすべきである。また、卒業研究に対応する「課題研究」の時間帯 に、国家試験受験準備の意味を持つ演習科目が開講されており、卒業研究の実質的時間が 減少している。これらについては改善する必要がある。 第3に、教員組織については、専任教員1人あたりの学生数が多く、その結果、教員の 授業担当時間数が多くなっているので、今後は、若手教員(講師・助教)の増員を図るな ど改善する必要がある。 最後に、自己点検・評価についてであるが、薬学教育プログラムのさらなる向上を図る ためには、教育研究活動を恒常的に自己点検・評価し、その結果を改善に活用することが 必要である。薬学部独自の自己評価委員会は設置されているが、機能していない。自己点 検・評価の過程で明らかになった問題点を教員全員で共有し、見いだされた問題点を改善 する方策を検討し、実現させる必要がある。 総合大学に設置された薬学部の強みやこれまで培われてきた薬学教育における実績を 生かしつつ、恒常的に教育プログラムを自己点検・評価し、上記の問題点の改善に向けて真摯に取り組むことによって、医療人としての倫理観、使命感、職業観をもった「薬学の プロフェッショナル」としての薬剤師を輩出する教育をさらに充実させることを期待する。
大学への提言
福山大学 大学への提言1)長所 1)2年次の「コミュニケーション」で幼児、高齢者と関わることでコミュニケーショ ンの手法と人間関係を学び、その上で専門科目の「医療コミュニケーション」を置 き、患者との適切な関わり方や言語・非言語的コミュニケーション理論などを修得 する目的のチュートリアル教育、ロールプレイを行っていることは、特徴ある教育 として評価できる。また、「コミュニケーション」での幼児・高齢者との交流は、3 年次の「生命倫理」における看護師業務体験とともに、体系的にチーム医療教育を学ぶ特徴的な取り組みとして評価できる(4.薬学専門教育の内容)。 2)実習先のそれぞれの地域別に、実務実習担当施設を担当する教員チームを編成し、 実習期間中に「地区別セミナー」を行っていること、実習終了後にワークショップ を開催し「実務実習後学習」という授業科目によって実務実習の総合的な学習成果 を高めるようにしていることは評価できる(5.実務実習)。 3)参加型、能動的学習を少人数で行うことを重視し、そのための施設・設備を十分に 確保していること、図書館以外にも自習室を十分に確保していることは評価できる (11.学習環境)。 2)助言 1)医療安全教育に関する科目の中核となる「医薬品開発Ⅱ」が選択必修科目であり、 関連科目数も少ないので、さらなる充実が望まれる(3.医療人教育の基本的内容)。 2)薬学教育モデル・コアカリキュラム以外で開講する大学独自の専門教育科目を明示 し、科目数を増やすことが望ましい(4.薬学専門教育の内容)。 3)「生命倫理」や「コミュニケーション」などの薬剤師養成教育に必要な科目を、全員 が履修するよう対応策を講ずることが望ましい(4.薬学専門教育の内容)。 4)6年間の入学定員に対する充足率が平均0.55と低いので、入学定員を充足すること が望まれる(7.学生の受入)。 5)身体に障がいのある学生を支援する施設・設備の整備は、一部の建物に限られてい るので、整備に努めることが望ましい(9.学生の支援)。 6)FD研修、FD講習会を企画・実施する「大学教育センター」が設置されているが、 薬学部独自のFD活動を行う体制が整備されていないので、改善が望ましい(10. 教員組織・職員組織)。 7)専任教員の年齢構成は60歳代(11名)および50歳代(12名)に偏っており、講師、 助教の数が少ないので、若手教員の採用に重点をおいた改善を行うことが望ましい (10.教員組織・職員組織)。 8)学術雑誌の購読数や図書の購入数が減少傾向にあり、電子ジャーナルの整備状況が 不十分であるので、今後の改善が望まれる(11.学習環境)。 9)英文ホームページを作成することが望ましい(12.社会との連携)。 10)薬学部として積極的な国際交流は行われていないので、活性化に努めることが望ま しい(12.社会との連携)。3)改善すべき点 1)専門科目における「総合薬学演習Ⅰ」(3年次)、「総合薬学演習Ⅱ」、「総合薬学演習 Ⅲ」(4年次)に加え、国家試験合格のみを目的としないとはいえ6年次に「特講」 6科目を開講し、薬学共用試験や薬剤師国家試験のための学力補強を目的とする教 育に多くの科目を割り当てている。そのうえ、卒業研究に相当する「課題研究」の 評価に国家試験と同じ形式で行われる学科試験を採用しているなど、薬剤師国家試 験の合格のみを目指した教育に過度に偏っているので、是正する必要がある(2. カリキュラム編成)。 2)ヒューマニズム教育・医療倫理教育およびコミュニケーション能力・自己表現能力 を身につける教育等の目標達成度を評価するための指標を設定し、それに基づいて 適切に評価する必要がある(3.医療人教育の基本的内容)。 3)実習科目と「課題研究」以外の薬学専門科目(薬理学、薬物治療学、薬物動態学等) がすべて選択必修科目となっている。6年制薬学教育の趣旨に鑑み、薬剤師養成教 育に必須となる項目(到達目標)は必修科目に変更する必要がある(4.薬学専門 教育の内容)。 4)実務実習事前学習の目標達成度を評価するための指標を設定し、それに基づいて適 切に評価する必要がある(5.実務実習)。 5)卒業研究に相当する「課題研究」の単位修得の認定に学科試験の合格を条件とする ことは適切ではない。「研究課題を通して、新しい発見に挑み、科学的根拠に基づい て問題点を解決する能力を獲得するための卒業研究」として、「課題研究」は演習と は別の科目とする必要がある(6.問題解決能力の醸成のための教育)。 6)教員の指導の下で約1年間の研究に取り組むなど、「課題研究」には十分な時間を確 保するとともに、例えば6年次9月末など、卒業判定の評価対象とできるよう卒業 論文の提出時期を改める必要がある(6.問題解決能力の醸成のための教育)。 7)現行のシラバスには「課題研究」の詳細な説明が記載されていないので改善が必要 である(6.問題解決能力の醸成のための教育)。 8)問題解決能力の醸成に向けた教育において目標達成度を評価するための指標を設定 し、それに基づいて適切に評価する必要がある(6.問題解決能力の醸成のための 教育)。 9)卒業研究や卒業研究発表会の評価基準を明確にし、それに基づいて問題解決能力の 向上を適切に評価する必要がある(6.問題解決能力の醸成のための教育)。10)「課題研究」に関する薬学部規則第8条第1項および第5項、さらにディプロマ・ ポリシーを早急に改定する必要がある(8.成績評価・進級・学士課程修了認定)。 11)6年次の必修科目である「課題研究」で学科試験を行い、その合否によって学士課 程の修了認定を行い、卒業延期となった場合は、次年度に再履修を行うことなく、 学科試験の再試験の合格でその単位を認定するという運用は、学士課程修了の認定 が厳格に行われているとはいえないので、改善を要する(8.成績評価・進級・学 士課程修了認定)。 12)これまで不認定になった者がいないとはいえ、薬学共用試験(OSCE)の合否に よって事前学習の単位修得を認定する制度は問題であるので、事前学習の単位認定 はOSCEの結果と独立して行うように制度を早急に変更することが必要である (8.成績評価・進級・学士課程修了認定)。 13)留年生に対して5科目まで上級年次科目の履修を認めている薬学部の運用は明文化 されていない。学生便覧に記載されている進級・卒業に必要な年次別累積単位数の 備考欄にある「上級年次配当科目は履修できない」という規則との整合性を検討し、 取り扱いを明確にしておくことが必要である(8.成績評価・進級・学士課程修了 認定)。 14)教員1名あたりの学生数が23.7名と多く、教員の担当授業時間数も90分授業平均週 8回と多く、また各教員間の講義担当時間にも2倍の差が認められる。現状を改善 するため専任教員の増員が必要である(10.教員組織・職員組織)。 15)薬学部の自己点検・評価が十分に機能していないので、改善する必要がある。恒常 的に教育プログラムを点検・評価し、その結果を教育研究活動の改善に反映する必 要がある(13.自己点検・評価)。
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| 第1期 |
2013年度 |
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3:但し書き 改善報告審議結果 2014/12/1 |
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| 岡山大学 | 国 | 岡山県 | 第1期 | 2013年度 | 適 |
自己点検・評価書 基礎資料 |
評価報告書
総評
岡山大学 総評岡山大学薬学部は、6年制の薬学科と4年制の創薬科学科の2学科を設置し、薬学部で は、「薬学に関する基礎及び応用の科学並びに技術を修得させること、薬学に関連する社会 的使命を正しく遂行し得る人材を養成すること、薬学に関し深く研究を遂行して社会の発 展に寄与すること」を教育研究上の目的としている。この目的の下、薬学科では、入学者 受入方針(アドミッション・ポリシー)、教育課程の編成・実施方針(カリキュラム・ポリ シー)および学位授与の方針(ディプロマ・ポリシー)を制定している。 これらを踏まえ、薬学科の教育課程は、教養教育・語学教育、薬学専門教育、実習およ び演習から構成されており、教養教育・語学教育は、主に、岡山大学の全学共通の多彩な プログラムの中で実施されている。一方、薬学専門教育は、基礎力およびリサーチマイン ドの醸成に重点が置かれ、特に、卒業研究の準備教育が始まる3年次後期から、6年次の 12 月まで、長期実務実習期間を除き、時間の許す限り卒業研究に充てられている。また、 医療人教育の基本的内容として開設し、2年次の特色ある科目である「人体解剖学」は、 学生のその後の医療教育の基礎となるヒューマニズムの科目として有効である。実務実習 では、事前学習と共用試験で参加学生の能力を保証した上で、岡山大学病院で病院実習を、 調整機構との連携に基づき大学の近隣の保険薬局で薬局実習を、いずれも実務実習コアカ リキュラムに沿った内容で実施している。 教員組織・職員組織については、専任教員数は大学設置基準を充足しており、専任教員 数に対する学生数比率も適切である。また、「薬学部教員活動評価調書」、同僚評価、FD (Faculty Development)フォーラム、新任・転入教員FD研修会、桃太郎フォーラム、教 育・研究業績の活動評価等、教員の教育研究能力の向上を図る努力が様々な形で行われて おり、学生・教員FD検討会が設置され、学生の意見も反映するように工夫されているこ とも評価できる。入学者選抜については、AO(アドミッション・オフィス)入試、前期、後期の3区分 に分けて実施し、全ての入試における学力の評価には、大学入試センター試験の成績を総 合得点に加えており、基礎的な学力を有する学生を選抜することが保証できている。その 上に立って、AO入試では面接と小論文を、前期では個別学力試験を、後期では小論文を 課しており、各々の入試で異なる資質を有する学生を募集する仕組みとなっている。また、 入学定員に対する入学者数は妥当な範囲にある。 そのほか、学習環境、社会貢献等も適切であり、恒常的な自己点検・評価が十分に機能 していると評価できる。 しかし、改善すべき点として、以下の点があげられる。 上記のように、薬学部の目的は設定されているが、学校教育法第 87 条に規定されている ように、6年制薬学教育では、臨床に係る実践的な能力を培うことを主たる目的として、 修業年限が延長されている。この法の趣旨に基づき、学科の教育研究上の目的を設定し、 薬学科のカリキュラム・ポリシーを「臨床に係る実践的能力を培うことを主たる目的とす る」学科であることがよくわかるものに改定する必要がある。また、シラバスにある倫理 関係の科目の内容は、倫理観の醸成に必要な知識の領域の内容が多いので、低学年から、 医療人としての倫理観・態度を涵養するヒューマニズム教育、医療コミュニケーション科 目の充実が必要である。さらに、ヒューマニズム教育・医療倫理教育、問題解決能力等に おける技能・態度の目標達成度を評価するための指標を設定し、それに基づいて適切に評 価することが必要である。 次に、主な助言として、以下の点があげられる。 学習方法については、シラバスの授業計画の中で確認できる科目もあるが、統一された フォーマットとなっていない。学習方法の項目を設定するなど、すべての科目について学 習方法が明示されるようにシラバスを改定することが望ましい。さらに、学生の受け入れ については、学科の教育研究上の目的を設定し、アドミッション・ポリシーを再度検討す ることが望ましい。 岡山大学薬学部薬学科は、多角的な教育研究体制を構築しており、教育・研究への熱心 な姿勢がうかがえる。今後は、学科の目的改定をはじめとする改善すべき点および助言を 踏まえ、6年制薬学教育に対して、より一層組織的に取り組み、さらなる発展を目指した 改革・改善に邁進することを期待する。
大学への提言
岡山大学 大学への提言1)長所 1)学生・教員FD検討会が設置され、学生の意見も反映するように工夫されていることは評価できる(10.教員組織・職員組織)。2)助言 1)学習方法については、シラバスの授業計画の中で確認できる科目もあるが、統一されたフォーマットとなっていない。学習方法の項目を設定するなど、すべての科目について学習方法が明示されるようにシラバスを改定することが望ましい(4.薬学専門教育の内容)。2)学科の教育目的を設定し、アドミッション・ポリシーをそれに基づいて再度検証することが望ましい(7.学生の受入)。3)改善すべき点1)6年制薬学科は、「臨床に係る実践的な能力を培うことを主たる目的とする」(学校教育法第 87 条第2項)ために修業年限が延長されている。同目的に沿った「学科の教育研究上の目的」を設定する必要がある(1.教育研究上の目的)。2)薬学科のカリキュラム・ポリシーを「臨床に係る実践的能力を培うことを主たる目的とする」学科であることがよくわかるものに改定する必要がある。(2.カリキュラム編成)。3)現在シラバスにある倫理関係の科目は、倫理観の醸成に必要な知識領域の内容が多いので、低学年から、医療人としての倫理観・態度を涵養するヒューマニズム教育、医療コミュニケーション教育の充実が必要である(3.医療人教育の基本的内容)。4)ヒューマニズム教育・医療倫理教育における技能・態度の目標達成度を評価するための指標を設定し、それに基づいて適切に評価することが必要である(3.医療人教育の基本的内容)。5)問題解決能力の醸成のための教育における能・態度の目標達成度を評価するための指標を設定し、それに基づいて適切に評価することが必要である(6.問題解決能力の醸成のための教育)。
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2013年度 |
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1:提言 改善報告審議結果 |
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| 日本薬科大学 | 私 | 埼玉県 東京都 |
第1期 | 2013年度 | 継 |
自己点検・評価書 基礎資料 |
評価報告書
総評
日本薬科大学 総評日本薬科大学は、『個性の伸展による人生練磨』を建学の精神とし、薬剤師養成教育に 特化した4つの教育目的、すなわち、1)創造的医療人、2)時代の変化に適応できる医 療人、3)惻隠の心をもつ医療人、4)統合医療を実践できる医療人の育成を掲げ、それ らに基づき、学位授与の方針(ディプロマ・ポリシー)とその達成に向けた入学者受入方 針(アドミッション・ポリシー)と教育課程の編成・実施方針(カリキュラム・ポリシー) を定めて6年制薬学教育を行っている。 しかしながら、本機構の評価基準に基づいて教育プログラムの内容を評価すると、改善 を必要とするいくつもの重大な問題が見出される。すなわち、「卒業研究」、「学士課程 修了認定」に関わる問題としては、①「薬学総合演習Ⅱ」など国家試験準備を目的とする 授業時間を増やして「卒業研究」の実質的な時間を減らしていること、②卒業の可否をほ ぼ「薬学総合演習Ⅱ」の試験結果だけで判定し、この科目のみの単位未修得による多くの 卒業延期者を出していることなどがあり、それらの根底には薬剤師国家試験合格を目指す、 記憶中心の知識を重視した教育に偏重しているという問題がある。また、入学後から様々 な学力補強教育を行っているにもかかわらず、2年次までの退学者が 50 名を超え、6年 間の在籍で卒業する学生の割合(卒業率)が 50%に満たないという状況を生じていた。 2012(平成 24)年度以後、低学年での退学者数は改善される方向に向かってはいるもの の、上記の状況は入学者の選抜において入学志願者の適性および能力が適確かつ客観的に 評価されず、薬学教育に必要な学力を欠く学生を少なからず入学させていたという「学生 の受入」に関わる問題があることを示している。さらに、「教員組織」についても、①10 名以上の教授が規定の定年を過ぎている一方、②若い教員(特に助教、助手)の人数が少 ないという問題点がある。 以上の具体的に指摘できる問題点に加えて、「薬学専門教育の内容」とシラバスの記載 の対応に関する十分な検討がなく、その状況に対する自己点検・評価も不十分であったことで、薬学専門教育の薬学教育モデル・コアカリキュラムへの準拠に関わる説明が評価の 過程で変遷した。これは、日本薬科大学が薬学専門教育の内容、シラバスの内容、薬学教 育モデル・コアカリキュラムの相互関係を把握することの重要性を十分に理解していなか ったことを意味するものである。また、「専任教員の教育研究業績」に対する自己点検・ 評価が学部として包括的な形で行われていたことは、個々の専任教員の適格性評価に関わ る自己点検・評価の姿勢に問題があることを示している。 今回の評価で「改善すべき点」として指摘した諸問題を全教員で共有して、その重要性 を認識する必要がある。そして、全学を挙げて問題の改善に取り組み、それらを解消し、 優れた学習環境を生かして、6年制薬学教育に貢献することを期待している。
大学への提言
日本薬科大学 大学への提言1)助言
1)学部教授会が主体となり、教育研究上の目的ならびに薬学教育プログラムの向上に資 する自己点検・評価委員会を再構築し、薬学教育プログラムを定期的に検証すること が望まれる(1.教育研究上の目的)。 2)薬学科の完成年度までは、入学時に適用されるカリキュラムに対応した上級学年の教 育概要がわかる適当な資料を配布することが望ましい(2.カリキュラム編成)。 3)自然科学系の必修科目を除いた実質的な教養科目は人文系2科目、社会系3科目しか なく、科目数が著しく不足しているので、教養教育の人文科学、社会科学の科目数を 増やし選択の幅を広げることが望ましい(3.医療人教育の基本的内容)。 4)語学教育については、「読む」、「書く」の英語教育が中核となり、「聞く」、「話す」の英語教育は各1科目にしかなく、「聞く」、「話す」の教育内容を充実させ、「読む」「書 く」とのバランスを改善することが望ましい(3.医療人教育の基本的内容)。 5)「医療人教育の基本的内容」の対象科目の根拠としている表 3-1-1-1 では重複して収 載されている改組前後の科目数を単純に合計しており、実質的には卒業要件の 1/5 を越えることにはならない。これらの科目数を増すとともに、その内容もニーズにあ ったものへの変更を行い、内容の充実を図ることが望ましい(3.医療人教育の基本 的内容)。 6)日本薬科大学の教育研究目的に基づく、薬学教育モデル・コアカリキュラム以外の内 容を持った、独自の科目によるアドバンスト教育を行う体制を整えることが望ましい (4.薬学専門教育の内容)。 7)改組に伴うカリキュラムの変更で、旧課程で入学した留年生等が未修得科目の履修で 不利益を蒙らないよう、科目の読み替え制度を整備し、該当する学生に説明すること が望ましい(8.成績評価・進級・学士課程修了認定)。 2)改善すべき点 1)6年次の週日の午前中を使って行われる長時間の「薬学総合演習Ⅱ」、「卒業研究」の 一部として5年次の午前に組み込まれている演習プログラム(E2)によって「卒業 研究」の時間が不足している。この状況を改善するため、「薬学総合演習Ⅱ」と「卒 業研究(E2)」を整理してそれらに充てている時間数を抑制すること、正規の授業 科目と国家試験準備補習とを時間割表記でも明確に区別すること、「薬学総合演習」 の内容と評価基準をシラバスに明示すること、ならびに本来の「卒業研究」であるE 1の実質時間を延長する等、薬剤師国家試験の合格を目指す教育への偏重を是正する ことが必要である(2.カリキュラム編成)。 2)ヒューマニズム教育および医療倫理教育の一部(「ヒューマニズムⅡ」「医療倫理学」 「コミュニケーション学」)が、講義のみの授業と定期試験による評価となっており、 医療人として患者や医療提供者の立場を理解し信頼関係を構築する教育に必要な学 習方法となっていない。さらに、本機構が求める「目標達成度を評価するための指標 が設定され、それに基づいて適切に評価されていること」にも適合していない。これ らの科目については、学習方法の変更とそれに見合った評価方法の改善が必要である (3.医療人教育の基本的内容)。 3)相手の立場や意見を尊重した上で、自分の考えや意見を適切に表現するための基本的知識、技能および態度を修得する教育として列挙されている一連の科目群には、内容 の連続性がないので、改善する必要がある。さらに、それらについては、本機構の基 準である「目標達成度を評価するための指標が設定され、それに基づいて適切に評価 されていること」を実現する評価指標の設定とそれに基づく適切な評価の実施が必要 である(3.医療人教育の基本的内容)。 4)教育内容を学生に提示する基本文書であるシラバスの記載内容が、一部の科目で実際 の教育内容と異なっていることを自覚しながら改善できていないことや、薬学教育モ デル・コアカリキュラムへの準拠に関する教育内容の説明が評価の過程で変遷したこ とは、薬学教育モデル・コアカリキュラムやシラバスの意義を重視せず、学部の全教 員による取り組みが不足していたことを示している。6年制薬学教育を行う薬学部に 求められる基本的な義務であり改善が必要である(4.薬学専門教育の内容)。 5)事前学習の評価に関する指針において、個々の教育項目の内容を考慮せずに全項目の 評価を、知識:技能:態度=3:3:4の比率で行うよう指示していることは適切で ない。また、この指針には、態度の指標に服装を指定するなど、評価指標や評価の基 準に必ずしも適切とはいえないものが含まれている。事前学習の評価指針を、個々の 学習項目の教育内容と評価領域(知識、技能、態度)との対応を考慮し、それぞれの 項目に対して適切な評価指標と評価基準を示した内容のものに改善することが必要 である(5.実務実習)。 6)薬学共用試験の受験者数を、自己点検・評価書に記載することが必要である(5.実 務実習)。 7)「卒業研究」を「研究課題を通して、新しい発見に挑み、科学的根拠に基づいて問題 点を解決する能力を修得する」ことができる内容のものとするため、研究室において 教員の指導を受けて研究課題に取り組む実質的な期間を少なくとも1年間は保証で きるよう、5、6年次における卒業研究と国家試験準備教育の時間配分を調整し、改 善する必要がある(6.問題解決能力の醸成のための教育)。 8)「卒業研究」の具体的な内容(薬学教育における卒業研究の意義、研究の一般的な進 め方などの説明と評価方法と基準の説明)をシラバスに明記することが必要である (6.問題解決能力の醸成のための教育)。 9)卒業論文の一部が連名で作成されており、これらを個人ごとにする必要がある(6. 問題解決能力の醸成のための教育)。 10)「薬学総合実習(PBL)」以外で「問題解決能力の醸成に向けた教育」としている科目には内容上の系統性が見られず、授業の一部にPBLやSGDという学習方法を実 施している科目を集めたに過ぎない。さらに、それらの科目では、評価基準が求めて いる「目標達成度を評価するための指標の設定やそれに基づく適切な評価」がなされ ているとはいえない。これらの問題点を改善するため、問題解決能力の醸成を系統的 に行うことを目的とする科目を整備して教育の充実を図ることが必要である(6.問 題解決能力の醸成のための教育)。 11)徹底した学力補強教育に努めているにも関わらず、卒業率が 50%に届かず、低学年 での退学者が 50 名を超えている現状は、補強教育によっても薬学を学ぶために必要 な学力に到達させることができない学生を多数入学させていることに原因があると いわざるを得ない。これは、現行の「入学者選考委員会」が合格者を決定する制度で は、「入学志願者の適性および能力が適確かつ客観的に評価されていること」が実現 できていないことを意味する。この状況を改善するため、教育に携わる責任ある薬学 部教員の判断によって合格者の原案を決定するような入学者選抜制度とするなど、入 学志願者の適性および能力を適確かつ客観的に評価する体制への抜本的な改善が必 要である(7.学生の受入)。 12)受験生からの求めがあれば、当該者の入学試験成績を開示する制度を設けることが必 要である(7.学生の受入)。 13)選抜方法別に学生の退学率・進級率等を継続的に検証して評価する体制を構築し、一 層の改善を実現する必要がある(7.学生の受入)。 14)4年次および6年次に行われている「薬学総合演習」と「卒業研究」など一部の重要 な科目で、評価方法と基準がシラバスに示されていない。これらの科目は5年次への 進級や卒業の判断に重要な意味を持つことから、評価基準をシラバスに明示するよう 改善することが必要である(8.成績評価・進級・学士課程修了認定)。 15)訪問調査における試験問題の閲覧において、毎年ほぼ同一の問題が出題されていた科 目、定期試験と追再試験が同一問題で行われていた科目、再試験における点数の操作 などが見出されたので、試験問題の作成や試験の採点における公正で厳格な態度の重 要性を全教員に徹底することが必要である(8.成績評価・進級・学士課程修了認定)。 16)「薬学総合演習Ⅱ」のみの単位が未修得で在籍者の約 25%の卒業延期者を出している ことから、適切に設定された基準に基づく学士課程修了認定が行われているとはいえ ない。薬学教育モデル・コアカリキュラムに準拠した薬学専門科目を修得し、「卒業 研究」と「実務実習」を修了している学生の多数が、「薬学総合演習Ⅱ」の試験で不合格になり、卒業できないという事態を生じることがないよう、全教員で学力評価の 実態を点検し、根本的な改善を早急に行うことが必要である(8.成績評価・進級・ 学士課程修了認定)。 17)専任教員の年令構成が高齢に偏っており、若手の教員(特に助教)が著しく少ない。 この状態を解消するため、定年を過ぎた専任教員の後任人事を進め、若い教員を積極 的に採用することによって、専任教員の職位別比率および年齢構成の適正化を図るこ とが必要である(10.教員組織・職員組織)。 18)基礎資料 15 を縦覧すると、過去5年間において、日本薬科大学の基準(専門領域の 学会誌に年間1報以上掲載)に達していない教員が見いだされるため、改善が必要で ある(10.教員組織・職員組織)。 19)個々の教員に関する自己点検を行っておらず、教員が教育目標を達成するための基礎 となる研究活動を行っていることが確認されていない。また教員名簿には専門分野の 記載がない教員が教授(非常勤)を含めて 12 名掲載されている(「さいたまキャンパ ス教員名簿」)。薬学教育を主たる担当とする専任教員として必要とされる教育研究能 力を有する者が配置されていることは、教育における質保証の基本に関わる重要事項 である。これを実現するため、恒常的な自己点検・評価による、専任教員の教育研究 能力に対する客観的な検証と保証を早急に実行し、適格な教員を配置することが必要 である(10.教員組織・職員組織)。 20)大学の規定による定年である 65 歳を超えた専任教員が 10 名以上も在籍しており、改 善が必要である(10.教員組織・職員組織)。 21)自己点検・評価委員会の充実を図り、教育に係る諸項目を恒常的に点検・評価してそ の結果を薬学教育の改善に活用できる体制を早急に確立することが必要である。その 際には、一部の教員で報告書の作成を行うのではなく、学部執行部以外の教員を含め て自己点検・評価を行い、その過程で明らかになった問題点を全教員で共有する体制 を構築し、見いだされた問題点を改善する方策を考え、教育研究活動の改善に反映す ることが必要である(13.自己点検・評価)。 |
異議申立に対する回答書 |
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| 第1期 |
2013年度 |
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1:提言 改善報告審議結果 |
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| 福山大学 | 私 | 広島県 | 第1期 | 2013年度 | 適 |
自己点検・評価書 基礎資料 |
評価報告書
総評
福山大学 総評福山大学薬学部薬学科(以下「福山大学薬学部」という。)は、「理想とする医療ならび に薬剤師のあるべき姿を探求し続ける薬学のプロフェッショナルを輩出し、人類の健康と 福祉に貢献する」ことを教育目標としている。この目標に沿って、6年制薬学教育の入学 者受入方針(アドミッション・ポリシー)、教育課程の編成・実施方針(カリキュラム・ ポリシー)および学位授与の方針(ディプロマ・ポリシー)を制定している。 これらのポリシーに基づき、教養教育・専門基礎教育・専門科目・課題研究・演習で構 成される教育課程を実施している。教養教育については、総合大学である利点を生かし、 多様な科目が開講されており、語学力を養う教育も体系的に行われている。また、専門科 目については、教育目標に基づき、医療人教育に重点を置いたプログラム構成となってい る。特に、患者を含む医療チームで薬剤師としての役割を果たすために、2年次では、「コ ミュニケーション」で幼児や高齢者との積極的な関わり方を、高学年では「医療コミュニ ケーション」、「生命倫理」、「病棟での看護師医療体験」等の科目で、患者の心理や医療人 相互の信頼関係の構築について参加型・体験型の学習方法を取り入れ、体系的に学習する プログラムを実施していることは評価できる。実務実習については、事前学習と薬学共用 試験で参加学生の能力を保証した上で、調整機構との連携に基づき病院実習および大学の 近隣の保険薬局で薬局実習をいずれも実務実習コアカリキュラムに沿った内容で実施し ている。特に、実習期間中に実習先の地域別に、「地区別セミナー」を行い、実習終了後には、ワークショップを開催し「実務実習後学習」という授業科目によって実務実習の総 合的な学習成果を高めるようにしていることは、特徴的である。 そのほか、入学者選抜については、アドミッション・ポリシーに基づいて適切に行われ ており、学生の支援、学習環境についても適切である。特に、参加型・能動的学習を少人 数で行うための施設・設備は充実している。 しかし、以下のような問題点が見いだされる。 第1に、成績評価・進級・学士課程修了認定については、判定基準が規定され、学生便 覧等によって学生に周知されている。しかし、薬学部規則第8条第1項および第5項に基 づき、卒業研究に対応する「課題研究」の判定に学科試験を行い、その合否によって学士 課程の修了認定を行っている。また、不合格で卒業延期となった場合は、次年度に再履修 を行うことなく、学科試験の再試験の合格でその単位を認定するという制度は問題である。 さらに、これまで不認定になった者がいないとはいえ、薬学共用試験(OSCE)の合否 によって事前学習の単位修得を認定する制度は問題である。これらについては、早急に改 善すべきである。加えて、薬学共用試験に合格することを5年次への進級要件にしている ことを進級基準に規定して、学生に周知する必要がある。 第2に、薬学専門教育の内容については、卒業研究と実習科目を除く大部分の専門科目 が選択必修となっている。本評価の過程で、この点についての確認を行ったが、薬剤師養 成教育に必須の科目は、ほとんどの学生が受講しているという実績があった。しかし、こ うした科目は必修科目とすべきである。また、卒業研究に対応する「課題研究」の時間帯 に、国家試験受験準備の意味を持つ演習科目が開講されており、卒業研究の実質的時間が 減少している。これらについては改善する必要がある。 第3に、教員組織については、専任教員1人あたりの学生数が多く、その結果、教員の 授業担当時間数が多くなっているので、今後は、若手教員(講師・助教)の増員を図るな ど改善する必要がある。 最後に、自己点検・評価についてであるが、薬学教育プログラムのさらなる向上を図る ためには、教育研究活動を恒常的に自己点検・評価し、その結果を改善に活用することが 必要である。薬学部独自の自己評価委員会は設置されているが、機能していない。自己点 検・評価の過程で明らかになった問題点を教員全員で共有し、見いだされた問題点を改善 する方策を検討し、実現させる必要がある。 総合大学に設置された薬学部の強みやこれまで培われてきた薬学教育における実績を 生かしつつ、恒常的に教育プログラムを自己点検・評価し、上記の問題点の改善に向けて真摯に取り組むことによって、医療人としての倫理観、使命感、職業観をもった「薬学の プロフェッショナル」としての薬剤師を輩出する教育をさらに充実させることを期待する。
大学への提言
福山大学 大学への提言1)長所 1)2年次の「コミュニケーション」で幼児、高齢者と関わることでコミュニケーショ ンの手法と人間関係を学び、その上で専門科目の「医療コミュニケーション」を置 き、患者との適切な関わり方や言語・非言語的コミュニケーション理論などを修得 する目的のチュートリアル教育、ロールプレイを行っていることは、特徴ある教育 として評価できる。また、「コミュニケーション」での幼児・高齢者との交流は、3 年次の「生命倫理」における看護師業務体験とともに、体系的にチーム医療教育を学ぶ特徴的な取り組みとして評価できる(4.薬学専門教育の内容)。 2)実習先のそれぞれの地域別に、実務実習担当施設を担当する教員チームを編成し、 実習期間中に「地区別セミナー」を行っていること、実習終了後にワークショップ を開催し「実務実習後学習」という授業科目によって実務実習の総合的な学習成果 を高めるようにしていることは評価できる(5.実務実習)。 3)参加型、能動的学習を少人数で行うことを重視し、そのための施設・設備を十分に 確保していること、図書館以外にも自習室を十分に確保していることは評価できる (11.学習環境)。 2)助言 1)医療安全教育に関する科目の中核となる「医薬品開発Ⅱ」が選択必修科目であり、 関連科目数も少ないので、さらなる充実が望まれる(3.医療人教育の基本的内容)。 2)薬学教育モデル・コアカリキュラム以外で開講する大学独自の専門教育科目を明示 し、科目数を増やすことが望ましい(4.薬学専門教育の内容)。 3)「生命倫理」や「コミュニケーション」などの薬剤師養成教育に必要な科目を、全員 が履修するよう対応策を講ずることが望ましい(4.薬学専門教育の内容)。 4)6年間の入学定員に対する充足率が平均0.55と低いので、入学定員を充足すること が望まれる(7.学生の受入)。 5)身体に障がいのある学生を支援する施設・設備の整備は、一部の建物に限られてい るので、整備に努めることが望ましい(9.学生の支援)。 6)FD研修、FD講習会を企画・実施する「大学教育センター」が設置されているが、 薬学部独自のFD活動を行う体制が整備されていないので、改善が望ましい(10. 教員組織・職員組織)。 7)専任教員の年齢構成は60歳代(11名)および50歳代(12名)に偏っており、講師、 助教の数が少ないので、若手教員の採用に重点をおいた改善を行うことが望ましい (10.教員組織・職員組織)。 8)学術雑誌の購読数や図書の購入数が減少傾向にあり、電子ジャーナルの整備状況が 不十分であるので、今後の改善が望まれる(11.学習環境)。 9)英文ホームページを作成することが望ましい(12.社会との連携)。 10)薬学部として積極的な国際交流は行われていないので、活性化に努めることが望ま しい(12.社会との連携)。3)改善すべき点 1)専門科目における「総合薬学演習Ⅰ」(3年次)、「総合薬学演習Ⅱ」、「総合薬学演習 Ⅲ」(4年次)に加え、国家試験合格のみを目的としないとはいえ6年次に「特講」 6科目を開講し、薬学共用試験や薬剤師国家試験のための学力補強を目的とする教 育に多くの科目を割り当てている。そのうえ、卒業研究に相当する「課題研究」の 評価に国家試験と同じ形式で行われる学科試験を採用しているなど、薬剤師国家試 験の合格のみを目指した教育に過度に偏っているので、是正する必要がある(2. カリキュラム編成)。 2)ヒューマニズム教育・医療倫理教育およびコミュニケーション能力・自己表現能力 を身につける教育等の目標達成度を評価するための指標を設定し、それに基づいて 適切に評価する必要がある(3.医療人教育の基本的内容)。 3)実習科目と「課題研究」以外の薬学専門科目(薬理学、薬物治療学、薬物動態学等) がすべて選択必修科目となっている。6年制薬学教育の趣旨に鑑み、薬剤師養成教 育に必須となる項目(到達目標)は必修科目に変更する必要がある(4.薬学専門 教育の内容)。 4)実務実習事前学習の目標達成度を評価するための指標を設定し、それに基づいて適 切に評価する必要がある(5.実務実習)。 5)卒業研究に相当する「課題研究」の単位修得の認定に学科試験の合格を条件とする ことは適切ではない。「研究課題を通して、新しい発見に挑み、科学的根拠に基づい て問題点を解決する能力を獲得するための卒業研究」として、「課題研究」は演習と は別の科目とする必要がある(6.問題解決能力の醸成のための教育)。 6)教員の指導の下で約1年間の研究に取り組むなど、「課題研究」には十分な時間を確 保するとともに、例えば6年次9月末など、卒業判定の評価対象とできるよう卒業 論文の提出時期を改める必要がある(6.問題解決能力の醸成のための教育)。 7)現行のシラバスには「課題研究」の詳細な説明が記載されていないので改善が必要 である(6.問題解決能力の醸成のための教育)。 8)問題解決能力の醸成に向けた教育において目標達成度を評価するための指標を設定 し、それに基づいて適切に評価する必要がある(6.問題解決能力の醸成のための 教育)。 9)卒業研究や卒業研究発表会の評価基準を明確にし、それに基づいて問題解決能力の 向上を適切に評価する必要がある(6.問題解決能力の醸成のための教育)。10)「課題研究」に関する薬学部規則第8条第1項および第5項、さらにディプロマ・ ポリシーを早急に改定する必要がある(8.成績評価・進級・学士課程修了認定)。 11)6年次の必修科目である「課題研究」で学科試験を行い、その合否によって学士課 程の修了認定を行い、卒業延期となった場合は、次年度に再履修を行うことなく、 学科試験の再試験の合格でその単位を認定するという運用は、学士課程修了の認定 が厳格に行われているとはいえないので、改善を要する(8.成績評価・進級・学 士課程修了認定)。 12)これまで不認定になった者がいないとはいえ、薬学共用試験(OSCE)の合否に よって事前学習の単位修得を認定する制度は問題であるので、事前学習の単位認定 はOSCEの結果と独立して行うように制度を早急に変更することが必要である (8.成績評価・進級・学士課程修了認定)。 13)留年生に対して5科目まで上級年次科目の履修を認めている薬学部の運用は明文化 されていない。学生便覧に記載されている進級・卒業に必要な年次別累積単位数の 備考欄にある「上級年次配当科目は履修できない」という規則との整合性を検討し、 取り扱いを明確にしておくことが必要である(8.成績評価・進級・学士課程修了 認定)。 14)教員1名あたりの学生数が23.7名と多く、教員の担当授業時間数も90分授業平均週 8回と多く、また各教員間の講義担当時間にも2倍の差が認められる。現状を改善 するため専任教員の増員が必要である(10.教員組織・職員組織)。 15)薬学部の自己点検・評価が十分に機能していないので、改善する必要がある。恒常 的に教育プログラムを点検・評価し、その結果を教育研究活動の改善に反映する必 要がある(13.自己点検・評価)。
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2013年度 |
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1:提言 改善報告審議結果 |
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